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[第五弾]妹に言われたいセリフ
- 1 :たゆんサマの降臨 :05/03/13 21:43:36 ID:xJ0cSVLy
- 「また会えたね、お兄ちゃん」
ここは、脳内の妹さんが囁いてくれるセリフとかSSとかを暴露しちゃうスレです。
【お兄ちゃんと私のお約束】
・荒らしさんや厨房さんは、ちょっと可哀想だけど、見ないフリをしようね♪
・SS職人さんにはちゃんとお礼を言うこと!!デリケートな職人さんもいるんだからね?
・えっと……いっぱい見られるのはちょっとだけ恥ずかしいから……sage推奨だよ……。
メール欄に『sage』って入れてほしいな……。
・リアルの妹さんの話は程々にすること!!
【お兄ちゃんとの思い出】
妹に言われたいセリフ
http://game.2ch.net/gal/kako/1022/10225/1022257886.html
[第二弾]妹に言われたいセリフ
http://game4.2ch.net/test/read.cgi/gal/1028470988/
[第三弾]妹に言われたいセリフ
http://game9.2ch.net/test/read.cgi/gal/1056993709/
[第四弾]妹に言われたいセリフ
http://game9.2ch.net/test/read.cgi/gal/1106065356/l50
過去ログ倉庫
http://www.geocities.jp/mewmirror9/
このスレでもずぅっと一緒だよ、お兄ちゃん♪
- 2 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/13 21:45:09 ID:xJ0cSVLy
- 容量を忘れる辺り、僕もまだまだ初心者ですな・・・・。
続き貼ろうか・・・。
- 3 ::大好きだよ・・・おにいちゃん :05/03/13 21:48:00 ID:xJ0cSVLy
- 「明日で丁度一年になるね」
灯りを消した洞窟に、僕の呟きが響く。
「え、なにが?」
「僕が・・・・お兄ちゃんになって」
「うん・・・そうだね」
「一年・・・そうだ、お誕生日・・」
「え?」
「僕のお誕生日は祝ってもらったけど・・・」
「あ・・・わたしのは・・思い出せないから・・・・」
「そっか・・・じゃあさ、明日にしよう?」
「明日・・?」
「うん。 僕と会った日。 つらい日かもしれないけど・・・だからこそ、いい日にもした方がいいと思うんだ」
つらい事があったら、その分楽しいことをすればきっとつらいのが減ると思った。
「ダメ・・・かな?」
「・・ううん、すごく・・・すごく、うれしいよおにいちゃん・・・!」
「・・・・決まりだね。 明日はコージさんに頼んでちょっと多めに食べ物をもらおう」
「うん、うん・・・」
「なにか食べたいの、ある?」
「えとね・・・リンゴ!」
「ふふ、分かってる、必ずもらってくる。 他にはない?」
「あのね・・前におにいちゃんに作ってもらった、あのお料理が食べたいな」
「ん〜・・・アレはお肉が欲しいから・・うん、お肉がもらえたらそうしよう」
「わぁ、ありがとう、おにいちゃん」
暗くてよく見えないけれど、きっと満面の笑顔なんだろう。 僕はそれを感じたくて、そっと頬をなでた。
「あ・・・れ?」
濡れていた・・・・涙で。
「ど、どうしたの? やっぱり、つらい?」
「ううん・・・違うの。 すごく、すっごくうれしいの。 うれしすぎて、涙が出ちゃったの」
「大好きだよ・・・おにいちゃん」
- 4 ::地雷を用意しろ!! :05/03/13 21:49:22 ID:xJ0cSVLy
- 「誕生日・・・か。 いいね、そりゃ」
翌日、僕はコージさんにそのことを相談していた。
「お前も運がいい。 こないだ豚を拾ってな・・血抜きも済んでる。 持ってくといい」
「あ、ありがとうございます!」
「あとはなんか注文あるか?」
「リンゴがあれば」
「おーけー、キープしとく」
これで全部そろう・・・僕は段々と楽しい気持ちが高まっていくのを感じた。
「妹さん、大切にしろよ」
「はいっ!」
今日が楽しい日になれば、きっとあの子はもっと笑ってくれる。 あの子のためなら、僕は何だって出来るんだ。
そう、あの子の笑顔の為なら―――。 僕は死ねる。
爆音が轟いた。
ボロボロの建物が揺れる。
「・・・っ!? 敵か!? こんな所まで?!」
「コージさん、出ましょう! 崩れますよ、こんな建物!」
「ああ・・・・!!」
裏口から様子を窺いつつ出る。
「コージ!!」
「レクス、何が起きてんだ!?」
「サイアクだ・・・あいつら骨董品の戦車を引っ張り出してきやがった!」
「戦車ぁ!? そんなもん、どっから出したんだ?!」
「知らねーよ! 第二次大戦の時の骨董品だが、生身じゃキツイ!」
「くそっ、なんつー展開だよ、こりゃ!!」
「コージ、戦車に対抗するにはアレしかないぜ」
「アレって・・アレか?」
「ああ、今の装備じゃアレしかねえ」
「分かった・・・地雷を用意しろ!!」
- 5 ::ミッションスタート! :05/03/13 21:51:56 ID:xJ0cSVLy
- 「やることは簡単なんだ。 戦車に近づいて、底面に貼っつける。 後は適当に離れてボン」
「問題は近づくことだ。 奴ら歩兵と組んで行動してるからな。 とっととこいつらを排除しないといけない」
「十四、五人でどうにかなる相手なのか?」
「敵方は戦車17台、歩兵は7、80かな」
「ひゅー、敵さんいきなり本腰だねぇ。 骨董品がそんなあったのも驚きだが・・レクス、地雷よこせ」
「おいおい、司令官が突っ込んでく気かよ?」
「俺ぁ司令官なんかになった気はないね。 ヴァニシングトルーパー、それが俺の名だ」
「馬鹿言ってんじゃねーよ、タコ」
「タコだとぉ、この銃器マニア」
「その銃器マニアのお陰で今、銃器に苦労してねーんだろ」
「なら対戦車バズーカぐらい用意しとけや」
「・・・・お前らいい加減にしたらどうだ。 ほらコージ、対戦車地雷だ」
「さんきゅ、スティ。 うし、一発かますかね」
「結局お前が先陣切るのかよ・・・おいボウズ、離れるなよ」
「・・・・はい。 僕たちは後方支援、敵の歩兵を撃てばいいんですね」
「そうだ。 俺はとにかくばら撒くから、お前は確実にしとめていけ」
「分かりました」
「ったく・・・こんなガキに人殺しの指示を出さなきゃならんたぁな」
「ぼやくなレクス。 戦争ってのはそんなもんだろ」
「俺らはお前と違って、そう簡単に割り切れねー事情ってもんがあんだよ。 なぁ、コージ」
「ああ。 お前も家族が出来ればそう言ってられねーぞ、スティ・・・ってなんの話をしてんだ」
どんっ―――と、音というより衝撃が走る。
「うおっと、和やかに談笑してるうちに、敵さんらがこっちにきたみたいですな」
「ま、いつもどうり傭兵野郎Aチームの華麗なるチームワークで切り抜けようぜ」
「そうだな。 こんなのは4人で爆撃機を11機落としたときよりずっと簡単だ」
「あー、対人火気しかなくて大変だった―――」
どんっ―――。
「ま、昔話の時間でもないようだな・・・・それじゃあ」
「ミッションスタート!」
- 6 ::お前に任す :05/03/13 21:53:46 ID:xJ0cSVLy
- いつもふざけてる様で、コージさんたちの戦闘技能はすごい。
僕が引き金を五回も引かないうち、戦車一台が爆炎をあげた。
「スティ、向こうの路地!」
「了解だ」
「ボウズ、俺たちはこっちだ! コージに続くぞ!」
「はいっ!」
一人、二人と僕が敵を撃ち抜いていく。
一時間経たないうちに、四分の三ほどの戦車が破壊された。
僕も確実に死人を作っていく。
「ボウズ、引っ込め!!」
レクスさんの怒鳴り声に反射的に従う。
チュインチュインチュインッ―――鉄筋コンクリートの柱の残骸、その表面を弾丸が掠め取って行った。
「よ、どうだ」
「コージ? 先行ってたんじゃなかったのか?」
「いや、地雷が切れてな。 取りに戻らなならん」
「こっちにゃ、もう戦車はいねーんじゃねーか?」
「なら別の方に行くか」
「ああ・・・奴らをどーにかしてからな」
コンクリ越しに向こうを見やる。 数は十数人といったところか。
「おいおい、なんであんなかたまってんだよ?」
「指揮系統か作戦系統が上手くいってないのかもな・・・・しかし、それがこっちに不利に働くとはな・・・」
「よし、囮だ、向こうの建物まで走れレクス」
「ぶっ殺すぞてめぇ」
「いや、結構真面目な話なんだが」
「なおさらだ。 お前のが足も速いし適任だろーが、ヴァニシングトルーパー」
「それなら僕がやります」
「ボウズが・・・・?」
「はい。 敵も子供なら撃つ事をためらうでしょうし、足は多分お二人よりも速いと思います」
「・・・・分かった。 お前に任す」
- 7 ::ああそうか、僕は :05/03/13 21:55:29 ID:xJ0cSVLy
- 「俺が合図したら飛び出せ」
コージさんが僕を見る。
「絶対に死ぬなよ」
「はい。 食べ物、多めでお願いします」
「ああ、まかしとけ。 せいぜい派手に祝ってやれ」
合図とともに走り出す。
向かいまでの20メートル。
何のことは無い、いつもどおりだ。
戦場に子供が居るのは不思議じゃない。
けれども誰もそれが兵だとは思わず、引き金を引くのをためらう。
そう、いつもどおりのハズだった。
敵に徴集されたばかりの新兵が居たこと以外は。
動くものは標的―――戦場で恐慌状態になった新兵は、余りにも軽い引き金を引いた。
タタタタッ、タタッ。
軽快な音が響く。
どうにか当たらずに済んだ僕は、建物に飛び込む。
しばらくの間音が鳴り響く。 ・・・・・そして、静寂が訪れる。
僕はコージさんたちの方を見た。
コージさんがこっちに親指を立てた。 作戦は成功―――僕は安堵の溜め息を吐いた。
僕は立ち上がって、コージさんたちの方へ向かう。
「ナイスランだったぜ、ボウズ」
「ありがとうございます、レク――」
衝撃に、僕の言葉が遮られた。
視界が、倒れる。
体が動かない。
段々と胸の辺りが熱くなってくる。
レクスさんが何か叫んで、コージさんが銃を撃つ。
まるで、スローモーション。
ああそうか、僕は、撃たれたんだ。
- 8 ::お前が居なきゃ :05/03/13 21:57:02 ID:xJ0cSVLy
- 「しっかりしろ、ボウズ!!」
「レクス・・・・さん?」
「くそ、血が止まらねぇ!!」
「落ち着けレクス! 応急処置は済んだんだ、衛生兵を呼ぶしかねぇ!」
「ば、馬鹿野郎! 俺たちのメディックは、この前死んじまっただろうが!!」
段々と、音が遠くなってくる。
痛みがないのは、麻酔かなにかのお陰だろうか?
僕は、ここで、死ぬみたいだ。
走馬灯は見えない――代わりに、あの子の顔が浮かんだ。
僕の、大切な、妹。
僕に与えられた、最後の家族。
そうだ、今日はあの子の誕生日だ。
最高に楽しい日にしなくちゃならないんだ。
「コージ・・・さん・・」
「な、なんだ!?」
「今日・・・妹の、誕・・生日、なんです・・・」
「ああ、知ってる!」
「だから・・・・祝って、あげて、くれませんか・・」
「ああ! 盛大に祝ってやるよ!!」
「そう・・あの子の、好きな、料理も・・・一度、だけ・・・僕が作った料理・・・ホイコーローも、作ってやって・・下さい・・」
「作ってやるよ!! 俺の最高の奴をよ!!」
「あり・・がとう、ございます・・僕の、代わりに・・・今日を、最高の・・誕生、日に・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「おい・・・ボウズ・・・・死んだのか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「おい・・・ウソだろ・・・? 俺のガキより小さいのに・・・なんで死ぬんだよ!? まだ生きてなきゃ駄目だろ!?」
「くっ・・・・・・・くそっ!! くそっ!!」
「何だよ・・・死ぬんじゃねーよ!! まだ死ぬ歳じゃねーだろ!? お前が死んでいいわけねーだろっっ!!!!」
「馬鹿野郎・・・この大馬鹿野郎・・・!! 誕生日なんて――――」
「お前が居なきゃ、意味がねーだろーが―――っ!!」
- 9 ::ランだもん :05/03/13 21:59:18 ID:xJ0cSVLy
- 「あの子の・・レイジちゃんの引き取り先、見付かったぞ」
低い声で、コージはレクスに言った。
「日本の方に祖母がいたらしい。 日本なら俺も居るからな・・・なにかあればそこに行ける」
「・・・・・・・・」
「レクス・・・・」
「あの子・・・・思い出しちまったんだとさ」
「・・・・何を?」
「名前とか、戦争前の頃のこととか・・・・両親が死んだときのこととか」
「・・・・・・・・・」
「・・・・ボウズが、死んだショックでだろうな・・・・・・・・・」
コージは応えず、ドアを開けた。
その中には、兄を二度も失った少女が居た。
「・・・・レイジちゃん。 これからキミは日本のおばあさんの所に行くことになった」
「・・・・・・・おにいちゃんは?」
「俺も・・・アイツが死んだ実感なんてない。 でも、アイツは・・・・死んだんだ」
何も残さない、死。
残ったのは、彼女の深い悲しみだけ。
「またなの・・・? どうしてわたしを置いてくの? ずっとずっと、おにいちゃんでいてくれるって言ったのに・・・」
「・・・・・レイジちゃん・・・・」
「ちがう・・・ちがうもん・・」
「レイジちゃん・・?」
「わたしの名前、ちがうもん・・・・」
『名前も、思い出せないの?』
「おにいちゃんがつけてくれたんだもん」
『それじゃあ僕が付けてもいいかな?』
「わたしの・・・わたしの名前は―――」
『僕の好きな色なんだけど・・・嫌かな?』
『ううん・・・好き。 それがいいな・・・今日からわたしは―――』
「―――藍、ランだもん」
- 10 :中華:第五話 9 :05/03/13 22:02:33 ID:xJ0cSVLy
- 「・・・・・・・・・・・・」
僕は、何も言えなかった。
あの、明るい藍が抱えるモノは・・・・・あまりにもつらい過去。
「あの子は三回も家族を失ったのさ・・・」
「三回・・・?」
「実の親が死んで、引き取り先の家族は戦争で殺されて―――そして守ってくれた『兄』も殺された」
「・・・・!」
「だからあの子は家族がいなくなるのを恐れる。 必要以上に明るく振舞おうとする。
家族に嫌われたくないから・・・・・過去を自分の中に殺してまで」
「夢は・・・・藍の、悲鳴・・」
「そうさ・・・あの子は今でも繰り返し夢を見てるのさ・・・・・家族の、死をね」
なんて・・・ことだ。 藍は、藍は今までずっと、そんなものを一人で抱え込んでいたのか。
「ホイコーローがアンタと兄を重ね合わせたのさ・・・」
僕は・・・・僕は・・・藍の苦しみの前には、余りにも小さな存在じゃないか・・・・・。
「でもね・・・あの子が懐いたのそれだけじゃないはずさ。 ただの代わりなんかじゃないさ、アンタは」
僕の心を読んだように、ばあさんが言った。
「ど、どうして・・・? 僕はただホイコーローが上手く作れたって、それだけじゃないですか」
「アンタはきっぱり言った。 自分は藍の兄だ、ってね。
今まであの子のことをそこまで考えてくれたのはアンタが初めてさ。 アンタなら・・・あの子を救える」
ばあさんは僕の目を見て言った。
「救ってやっておくれ・・・あの子を」
「・・・・僕は・・」
ぴろりろりろ――――電子音が鳴り響く。 ・・・・電話だ。
「・・・・・・・・・・・・・・僕が、出ますね・・」
受話器を取り、耳に当てる。
「もしもし・・・・・・はい、そうです・・・・・・・え・・?」
- 11 :中華:第五話 10 :05/03/13 22:04:27 ID:xJ0cSVLy
- 僕は走った。
藍が向かった市場へ。
電話の相手は、警察。
藍に何かあって・・・怪我をしたらしい。
重体なのか、軽症なのか――警察でも状況を掴みかねているらしい。
藍、藍、藍――無事で・・・いてくれ・・・。
市場が見えてくる・・・人がごった返すその中に突っ込んでいく。
「藍、藍!! どこだ、どこに居る!?」
僕は奥へ、奥へと進んでいく。
管理事務所の前・・・藍は居た。
「お兄ちゃん・・・? どしたのか?」
「ら、藍・・・無事で・・・・?」
「無事・・・?」
きょとんとした表情・・・・。 そこに事務所のおばさんが話しかけてくる。
「藍ちゃんがね、引ったくりを捕まえてくれたんですよ。 犯人と格闘になって・・・でも中国武術でやっつけちゃってくれて」
「あはは、ちょちょいのちょいね。 ほら」
藍が指差す先に、丁寧に縛られて伸びている男が居た。
「わたしにぶつかて、買い物落としてしまたよ。 晩御飯の材料、ダメになて頭にきて、ちょとやりすぎたかもしれないアル」
ちろっと舌を出す藍・・・。
「怪我・・・怪我は無いの?」
「うん? 打ち合いなたから何発かもらたけど、大したことないアル」
「藍・・・・」
僕は・・・・思わず藍を抱きしめた。
「お、お兄ちゃん?」
「もう・・・こんな無茶はやめてよ・・・・すごく、すごく心配したんだ」
「ご、ごめんなさいアル。 晩御飯、とてもおいしいの作るから、許して欲しいアル・・・嫌わないで欲しいアル・・・・」
「・・・・・・・藍・・・! 大丈夫だから・・・! 僕は、何処にも行かないから・・・ずっと、藍といるから・・・・!」
「お・・・お兄ちゃん・・・・?」
「だから、だから・・・・もう、大丈夫だから・・・・・」
「どして・・・泣いてるか・・・?」
- 12 :中華:第五話 11 :05/03/13 22:07:27 ID:xJ0cSVLy
- 言葉がまとまらなくて・・僕は泣いていた。
今まで藍が抱いてきた、苦しみとか、悲しみとか・・・・それを思うと胸がいっぱいになった。
「大丈夫だから・・・・絶対、離れないから・・・」
「おにい・・・・ちゃん・・・? どうしたか? 悲しいこと、あたか?」
悲しいことがあったのは、藍、キミの方だろ?
それをずっと押し殺してきたんだろ?
「大丈夫だから・・・僕は、キミを置いていかないから・・・・・」
もう、無理はしなくていいから・・・僕が支えるから・・・・。
「・・・・・・・・・お兄ちゃん・・・・・・・・ホント、か・・? お兄ちゃんは、藍、置いてかないか?」
「ああ、絶対に置いていったりしない」
「ホントか? お父さん、お母さん、ホントのも、そでないのも・・・みんな藍、置いてた・・。
『おにいちゃん』たちも、みんな、ずと一緒言った・・・でも、みんな置いてたよ・・・・」
「僕は置いていかない!! 絶対に置いていかない!!」
「ホント・・・か? 信じて、いいか? ・・・・・ら、藍の・・ホントのお兄ちゃんに、なてくれるか?」
「ああ!! 藍は、僕の妹だ!! 誰よりも大切な、妹だ!!」
「お兄ちゃん・・・・おに・・・・ふえぇ・・・」
「藍・・・・・!!」
「お兄ちゃ――んっ!! 怖かた・・お兄ちゃんに、『お兄ちゃん』になてくれ頼んでも・・・断られる思た・・・!!
でも、お兄ちゃんに、『お兄ちゃん』なて欲しかた・・・わたしの苦しいの、助けて欲しかた・・!!」
「うん・・・大丈夫、大丈夫だ・・・僕は藍から離れてったりしないから・・・これからは、二人で越えていこう・・」
「頼ていいのか? 迷惑違うか?」
「何言ってるの・・僕と藍は兄妹なんだよ・・・頼って当たり前だし、僕だって藍に頼るし」
「うん・・・・うん・・・・!!」
「僕らは、家族なんだから・・・・」
「・・・・・うん・・・!!」
市場の真ん中で、僕と藍は抱き合って泣いていた。
周りから見れば、さぞかし奇妙な光景だったろう。
でも、丁度いい。
これは僕と藍が兄妹に・・・本当の兄妹になったことの宣言なんだ。
これからは、ずっと、ずっと一緒―――恋人にも似た、永遠の誓い。
- 13 :中華:第五話 12 :05/03/13 22:10:14 ID:xJ0cSVLy
- 繋いだ手、帰り道。
「藍、早速だけど頼みたいことがあるんだ」
「うん? なにか?」
「次の休み、空いてるかな?」
「えと、空いてるよ?」
「それじゃあ一日付き合ってくれないかな」
「構わないが・・・デートか? デートなのかっ?」
期待に満ちた目で僕を見詰める。
「ん〜、期待してるところ悪いけど、デートとは言いがたいかな」
「む・・・そか。 それならどこ行くか?」
「僕が借りてるアパート」
「アパート? 何するか?」
「引越しの手伝いして欲しいんだけど」
「引越し・・・か?」
「うん・・・・藍の家に」
「え・・・・わ、わたしのウチにか?!」
「うん・・・やっぱ兄妹だし、一緒に住んだ方がいいかな・・って。 ダメかなぁ?」
「とと、とんでもないアル! 大歓迎アル!!」
「ありがと、藍」
「お兄ちゃん・・・やっぱり、お兄ちゃんはお兄ちゃんアル」
「なんで?」
「わたしが一番して欲しいことしてくれるよ・・・お兄ちゃん、大好きアル!!」
日々が始まる。
僕らの新しい日常がやって来る。
過去でなく、現在へ、未来へと向かうために。
僕と藍、二人で歩き出す。
そう、一人でなく、二人で―――。
- 14 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/13 22:27:00 ID:xJ0cSVLy
- 辻褄を合わせるコーナー!!
1、警察の電話って、なんだったの?
浩人 「え〜と、なんか藍が怪我させた、をどっかで間違って伝わったみたいです」
2、仕入れはどうなったの?
藍 「ゴタゴタで忘れてしまたアル。 あの後ばばさまに怒られたよ・・・」
3、傭兵ですか?
コージ 「スマン、あの戦闘前シーンあたりは完全に趣味だ」
4、藍の経歴がよく分からんのですが。
ばばさま 「両親に死なれて、親戚の家に引き取られたのさ。
そこの息子によく懐いてたそうだよ・・・。 そして戦争でその一家は藍を残して・・・というわけさ」
5、四川料理を作れたのはなんで?
おにいちゃん「えと、僕のお母さんが四川の方の出身だった・・・じゃダメですか?」
えーと、こんなもんかな・・・?
僕がだらだらと長い台本なんか貼るもんで容量オーバーしちまいました。
でもこれでもう悔いは完全に・・・ありまくるのでこれからもごめんなさい。
紅の蒼龍第五話 前スレ最後+>>3-13
今後の予定
中華外伝
プロジェクトJの完結
あにまにプロジェクトの始動
ネタだけなら腐るほどあるのにテクニークがおっつかない。
早く神が来ますように。
- 15 :すばる ◆9tSxotve.o :05/03/13 22:55:29 ID:7bnONWe+
- スレ立て&SS乙ですー。
素晴らしかったです!
ホワイトデイSS、書けませんでしたorz
- 16 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/03/14 12:35:01 ID:ozX7WEe1
- 休みはいいねぇ……。
俺は休日の有難みを噛み締めながら、ベッドに寝転びながらダラダラと雑誌を読んでいた。
すると……
「おにぃちゃーーーーーん!!」
妹、パジャマ姿……ま、沙耶のパジャマは俺のYシャツだが……の沙耶が俺のベッドに突然飛び込んでくる。
「ぐはっ!!」
降ってきた沙耶をまともに腹に食らってしまった。
「朝だよー!!起きてよー!!」
俺の腹に抱きついて脚をバタバタさせる沙耶。
「沙耶……どいてくれ……重いよ」
俺から降りて、ベッドのそばに立つ沙耶。
そして、腕をパタパタ振りながら、
「あ、うん!!それよりね、それよりね!!」
「何?」
「今日はホワイトデーなんだよ!!知ってるー!?」
ホワイトデー……!?
ヤバっ……すっかり忘れてた……。
「いや、知らないな。ホワイトデーって何?」
「はわっ?おにぃちゃん、知らないのー?」
「うん。教えてくれ」
「えっとねぇ、男の人が女の人にバレンタインデーのお返しをあげる日なんだよー!!」
「へぇ……そんなの、俺の故郷には無かったぞ?」
「ふるさと……?」
「ああ、アメリカじゃそんな日なんてなかった」
「はわわっ!?おにぃちゃん、あめりか人だったのっ!?」
「知らなかった?」
「知らなかったよー!!じゃあ、サヤもあめりか人なのっ!?」
- 17 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/03/14 12:36:01 ID:ozX7WEe1
- 「オフコース」
「はわわっ!?サヤ、英語分からないよっ!?」
「とまぁ、冗談はコレぐらいにして……ホワイトデー、何も用意してないなぁ……」
「うん。だって、あめりかにはホワイトデーは無いんだよね?しょうがないよー」
会話が噛み合ってない……。
沙耶は何を冗談だと思ったのだろうか……。
「……いや、だからソレはウソで……」
「ウソ……?じゃあ、おにぃちゃんとサヤはあめりか人じゃないの?」
「そりゃそうだろ」
「あー!!良かったー!!サヤね、英語全然分からないからどうしようかと思っちゃったよー!!」
「ほぅ。ま、そりゃよかったな。朝飯食うぞ、朝飯」
「うん!!」
作戦成功。
ホワイトデーのことを忘れてくれたようです。……ま、どこまで持つかが問題だけどね。
───────────────────────
「どうすっかなぁ……」
とぼとぼ歩きながら呟く。
沙耶へのプレゼント、コレだ!!ってモンがないんだよな……。
「あーあ……」「あーあ……」
ドン。
誰かに正面衝突する。
「あっ、すいません……」
「すいません!!すいません!!」
俺とぶつかった女の子が、何度も頭を下げて俺に謝る。
あれ……この娘は……。
- 18 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/03/14 12:37:01 ID:ozX7WEe1
- 「ひょっとして……千奈ちゃん……?」
「えっ……み、三上さんっ?」
「こんにちは。千奈ちゃん」
「は、はい!!こんにちは……あ、あのっ!!すいませんでした!!私、ボーっとしてて!!」
「いいよいいよ。俺もちゃんと前見てなかったし……で、今日は真司は?一緒じゃないの?」
「えっと……今日は……」
「そうか。千奈ちゃんは一人で何してるの、こんなところで?」
「えっと……お散歩です」
「ま、考え事するのに一人は丁度いいしね」
「えっ……?」
「いや、何か悩んでます。って顔だったからさ。俺でよかったら話に乗るよ?」
千奈ちゃんはしばらく俯いて、迷っていたようだが……
「あっ、はい。お願いします」
「うん。で、どうしたの?」
「今日はホワイトデーで……お兄さんが美味しいもの買ってきてくれるって言ってたんですけど……」
「ふむ……」
「つい忘れて、ケーキを焼いちゃったんです……」
「うん。……で?」
「えっと……それで終わりですけど」
えっと……
真司が折角何か買ってきてくれるのに、お菓子が家にあったら真司に申し訳ない……
でも、捨てるのも勿体無いし……。みたいな感じ……?
それは悩みの部類に入ってないと思うのだけど……。
「じゃあさ、そのケーキ、俺にくれないか?」
「えっ?」
「俺もホワイトデーのプレゼント探しててね。かなりの店に行ったけど、あんまり良いのが無くってさ」
「ええ、構いませんけど……いいんですか?」
「ああ。千奈ちゃんのケーキなら、沙耶も喜ぶと思うよ」
「そうですか。そう言ってもらえると嬉しいですね」
「はははっ。……そうだ、お礼をどうしようかな。何がいい?」
- 19 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/03/14 12:38:01 ID:ozX7WEe1
- 「い、いえ!!お礼なんて悪いですよっ!!」
「いや、そういう訳にはいかないって……どうしよう」
「じゃあ……あ……あの……三上さん……一つ欲しい物があるんですけど……」
微妙に千奈ちゃんの頬が赤い……?
何だ、この妙なノリは……
「何かな?」
「えっと……えっと……」
「ん?」
「えっと……ハンバーグ……」
「ハンバーグ?」
「えっと……前頂いたのが凄く美味しかったので……もう一度食べたいなぁと思いまして」
「ははははっ!!分かった、そのうち作って持っていくよ」
「は、はいっ!!え、えっと……ケーキは家にありますけど……」
「ああ、今から行ってもいい?」
「はい」
という訳で……俺、三上修二と友人の妹、石川千奈という微妙なコンビで石川家へ……。
───────────────────────
「ただいまー」
玄関のドアを開けると……
「わーい!!おにぃちゃんが帰ってきたぁー!!」
「ただいま、沙耶」
「ん?おにぃちゃん、何か持ってる?いい匂いがするよー」
「そうか?気のせいじゃないの?」
「ううん。おにぃちゃんの匂いとは違うの。甘い匂いがするー!!」
凄い嗅覚だな……。
「バレちゃ仕方ないな。沙耶へのプレゼントだよ、ホワイトデーのな」
「はわわっ!?サヤの!?」
「うん。ま、こんなところで開けるのもなんだから、リビングに行こうか?」
「うん!!」
- 20 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/03/14 12:39:03 ID:ozX7WEe1
- という訳でリビング。
「はやくっ♪はやくっ♪」
「おぅ……」
俺は千奈ちゃんから貰った箱を開ける。
沙耶はそれを一目見て……
「はわ……わわ……」
落胆した。
それもそのはず。ケーキとはいえ、千奈ちゃんの焼いたケーキはシフォンケーキ。
ま、ケーキのスポンジ部分みたいなもんだ。
それだけでも十分美味いけど……やっぱり見た目には地味だ。
「お、おにぃちゃん……えっと……う、嬉しいよ……」
笑顔を取り繕ってはいるが、悲愴なガッカリオーラがひしひし伝わってくる……。
「へぇ……沙耶、コレで嬉しいんだ?」
「え……?」
「まだ作りかけなんだよ、コレ。でも、沙耶がそんなに喜んでくれるなら、もう食べても良いけど?」
ま、作りかけってのは千奈ちゃんに失礼だが。
面倒なんで、説明は以下の回想に任せる。
『お、美味そうだね』
『でも、これだけだと地味じゃないですか?』
『俺はそうでもないけど……沙耶にしてみれば、地味かもな』
『そうですよね。ですから……コレも差し上げますよ』
『生クリームとフルーツの缶詰……?』
『はい。家でデコレーションしてみてはどうですか?そんなに時間もかかりませんし……』
『なるほどね』
『それならケーキらしくなると思いますよ』
『うん。ありがとう。千奈ちゃん』
『いえいえ。沙耶ちゃんによろしくお願いしますね』
『あぁ、唯奈ちゃんと真司にもよろしくな……あ、それと、真司のプレゼント期待してもいいと思うよ』
『えっ……?』
- 21 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/14 12:46:08 ID:xF5FMMku
- 自己支援
- 22 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/03/14 12:46:35 ID:ozX7WEe1
- 『真司、色々情報収集してたからさ』
『お兄さんが?』
『ああ、なんとかアイツらを喜ばせてやりたい。って……』
『お兄さん……』
『ま、真司が帰ってくる前に俺は消えるわ。じゃあね』
『はっ!!はいっ!!』
……という訳だ。
「はわわ……作りかけ?」
「ああ、生クリームと果物の缶詰があるからさ。二人で完成させよう?」
「う、うんっ!!」
「さぁ、まずは生クリームを泡立てないとな」
「はいはいはーい!!!サヤがやりまーす!!」
右手をピンと上げて、自己主張する。
「えっ?結構、大変だぞ?」
「大丈夫だよー!!」
「そうか……じゃあ、頼むわ」
「うん!!」
俺は沙耶に恐る恐るボウルと泡立て器を渡す。
カショカショカショ……。
「んしょ、んしょ……はわわっ!!」
沙耶が勢い余って、クリームを弾き飛ばす。
俺や沙耶の髪や顔にクリームがついた。
「ふふ、きゃははははははははっ♪」
「あっ……あはははははは!!」
「おにぃちゃん、クリームついてるよー?」
「沙耶だってだぞ?」
沙耶は自分の頬についているクリームを、自分で舐めた。
そして、沙耶は突然笑いだして、
「きゃははは♪ホワイトデーって楽しいねー!!」
「そうか?」
- 23 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/03/14 12:47:40 ID:ozX7WEe1
- 「うん。おにぃちゃんと一緒が一番楽しいよー!!」
そう言って、沙耶が俺に抱きついた。
「サヤ、おにぃちゃん、大好きだよー!!」
「ははっ。ありがとう、沙耶」
沙耶の頭を優しく撫でる俺。沙耶は、心地よさそうに目を閉じた。
「さ、続き続き。生クリーム、二人で混ぜよう?」
「うん!!」
ま、沙耶が喜んでくれたようでホントによかった。
そして……早いうちにハンバーグを作らないとね。
───────────────────────
容量オーバーか……ビックリした……。しかも連投規制厳しくなってるし……。
さて、ホワイトデー台本。そして、双子プッシュ計画第1.5弾。
そして、遊星より愛を込めて、復活。
いや……名前無くなったら、ホントに消えるつもりだったんだけどさ、
こんなのを最終回にするのは嫌だ!!ってことで意味もなく復活。
ホント、ウザい奴でゴメンな……クレームあったら大人しく消えるからさ。
- 24 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/03/14 18:51:04 ID:ozX7WEe1
- 周りを見回す。
おし。唯奈良し。千奈良し。
「さぁ、行くか」
俺は自転車の鍵を開け、それに跨った。
しかし……俺は、甘かったようだ。
「あっ!!お兄ちゃん、どこに行くの?」
「よ、よぅ!!唯奈!!何か用か!?」
「コソコソしちゃって、どこに行くのかなーって思って」
「べ、別に!!言うほどのところじゃないッス!!」
「怪しい……」
完璧に疑いを持った目で、俺を見る唯奈。
「そうだ!!千奈はどうした!?」
何とか誤魔化そうと必死で別の話題を振る。
「千奈ちゃん?千奈ちゃんなら、散歩に行ったけど?」
「そうか。んじゃ、俺は……」
逃げ出そうとペダルを踏み出した俺は……唯奈にガシッと首を掴まれた。
「何で唯奈から逃げようとするかなぁ?」
「う……今日は厳しいな……」
「だって、ヒマなんだもん」
「いや、俺は用事あるからさ……」
ヤバいなぁ……急がなきゃならないのに……。
「つーことで……離脱っ!!」
俺は唯奈の手を振り払い、全力でペダルを踏む。
「あっ!!待ってよー!!」
「悪い!!理由は後で話すから!!」
「もー!!お兄ちゃんのバカ!!」
───────────────────────
- 25 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/03/14 18:52:07 ID:ozX7WEe1
- 「もうっ!!千奈ちゃん、聞いてよー!!」
何かに怒りながら、リビングに唯奈が入ってくる。
「何かな?」
千奈は、またか。といった感じで答えた。
「お兄ちゃんって、ヒドいんだよー!!」
「お兄さんが?」
「うん!!朝、コソコソしてたから、何処に行くの?って聞いたら逃げちゃったんだよー!?」
唯奈はソファーの上のクッションをポカスカ殴りながら、言った。
「私は、お兄さんって……そんなことする人じゃないと思うんだけどなぁ……」
「うん……唯奈だって……そう思うけど……」
「ふふっ」
ちょっと微笑んで、千奈は優しく唯奈を抱きしめる。
「心配しなくてもいいんだよ。お兄さんには絶対、理由があるに決まってるから」
「千奈ちゃん……」
「今は、お兄さんを待とうよ?きっと教えてくれるよ」
「うん……」
安心したのか、ゆっくり目を閉じる唯奈。千奈は、あやすように唯奈の肩をポンポンと優しく叩く。
「あの……と言うよりも……多分、お兄さんは……」
「お兄ちゃんは……?」
「えっと……やっぱり言わないほうがいいかな……」
「えっー!?教えてよー!!」
「でも、やっぱり、お兄さんから直接聞いたほうが……」
「そんなぁー!!気になるよぉー!!」
「大丈夫だよ。もうすぐ帰ってくるから」
と噂をすれば……
───────────────────────
- 26 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/03/14 18:53:35 ID:ozX7WEe1
- 「ただいま」
俺は玄関のドアを開け、中に入る。
「お兄ちゃーーーん!!!!」
すかさず唯奈が飛び出してきた。
「うぉ!?唯奈っ!?」
「早く早く早く早く!!教えてよー!!」
「いきなりだな……」
「気になってるんだよー!!!だから、早く教えてー!!」
「分かった分かった……えと、千奈は?」
「リビングにいるよー!!」
「じゃ、リビング行こう」
「うん!!」
という訳で、唯奈とリビングへ。
「お帰りなさい、お兄さん」
「ああ、ただいま。千奈」
「お兄ちゃん!!約束だよ!!早く、早くっ!!」
「あ、あぁ……えっと……」
俺は紙袋から二つ小箱を取り出し、机の上に並べた。
唯奈は期待でうずうず。千奈は嬉しそうにポーっとしている。
「えっと……確か、コッチが唯奈で……コレが千奈だな。はい」
「お兄さん、ありがとうございます」
「え……何、何?何で?」
一人状況が飲み込めていない唯奈。
そんな唯奈に千奈が囁いた。
「唯奈ちゃん……今日はホワイトデーだよ?」
「ホワイトデー……?あーーーーー!!」
「やっと思い出したのか……はい、唯奈」
唯奈にプレゼントを手渡す。唯奈は鳩が豆大福を食らったような顔をして、
「あ、ありがとう!!お兄ちゃん!!それで……ゴメンなさい。唯奈、全然知らなくて……」
「いいよいいよ。俺も逃げちゃって、結構酷いことしたし」
- 27 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/03/14 18:54:40 ID:ozX7WEe1
- 「ふふっ、これで一件落着ですね?」
「あー、まぁね。ホント、千奈には迷惑かけるなぁ……」
「いえいえ……二人が仲直り出来て、私も嬉しいです」
別に喧嘩してた訳じゃないけど……ま、いいか。
「ねぇねぇ!!千奈ちゃん、コレ!!開けてみようよ」
「そうですね。お兄さん、私たちのためにお友達に聞いていたみたいですし。楽しみですね」
「い゙っ!?千奈、ソレ、誰から聞いた?」
「ふふっ。お兄さんと仲の良い人に聞いたんですよ」
「仲の良い人って……誰だ?」
「あー!!お兄ちゃん、その人に嫉妬してるー!?」
「ばっ、バカ!!唯奈!!何言ってんだよ!?」
「さっき、目が笑ってなかったもん!!ジェラシーだー!!」
「だから違うって言ってんだろ!!」
「お兄さんが……ジェラシー……えっと……えっと……私……」
「誤解だって、千奈!!顔を赤くするな!!」
「おー。千奈ちゃん、可愛いー♪」
「えっと……私は……」
三月十四日。俺の人生初のホワイトデー。何だか、今日は二人とも勢いが凄い……。
───────────────────────
ヤバい……連投規制がマジで響いてる……。
しばらくしたら、俺も旅に出なけりゃならないし……
未来の台本、貼れないかもなぁ……。
- 28 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/03/14 19:16:58 ID:ozX7WEe1
- 「未来ちゃん」
「何ですか?兄さん」
料理の本を読んでいた未来が振り返る。
「明日、ヒマか?」
「はい、ヒマですけど?」
「んじゃ、決まり。明日は俺に付き合ってもらうよ」
「別に良いですけど……何するんですか?」
「デートだよ、デート」
「でででで、デートっ!?」
『デート』って言うだけで顔を紅くするなんて……今時、中学生でも珍しいだろ……たぶん。
「ああ、明日はホワイトデーだろ?学校もないしさ。俺からのお返しとして、遊びに行こうぜ?」
「い、イヤですよぉ!!」
即否定かよ……ちっとは悩めって……。
しかし、今日はココで引き下がる訳には行かない!!
「何で?」
「兄さんとデートなんて……は、恥ずかしいですっ……」
モジモジしやがって……可愛いヤツめ……。
「俺とはそんなにイヤ?」
「そ、そんなことないですけどっ!!」
「んじゃ、出かけるのがイヤ?」
「そ、そういうワケじゃ……」
「じゃ、相乗効果で、俺と出かけるのがイヤってことだ?」
「そんなつもりじゃ……」
よし!!後一押し!!
「じゃあ、行こうぜ?」
「はぁ……しょうがないですね……」
とか言いつつ、ちょっと嬉しそうなのは気のせいか……?
「よし。決まりね。楽しみー!!」
「あの……ところで、何処に行くんですか?」
「未来が行きたいところに行こうと思ってるけど、未来ちゃんは何処に行きたい?」
「わ、私は……別に……。兄さんは?」
- 29 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/03/14 19:18:00 ID:ozX7WEe1
- 「イキたいとこなら山ほどあるが……どこがいいかなぁ……」
「そうですねぇ……」
二人で頭を巡らせる。
日帰り可能なデートスポットねぇ……。
「あ、塚田駅のトコのなんとかって言うショッピングセンターはどう?行ったこと無いだろ?」
「そうですね……私はそこでもいいですよ?」
「んじゃ、そうするか。ソコに決定ね」
「はいっ!!」
何だ、やっぱり乗り気じゃないか……嬉しいねぇ。
「じゃ、九時ぐらいに家を出ればいいかな」
「そうですね。じゃあ、九時までに各自準備完了ってことで」
「りょーかい。遅刻するなよ?」
「兄さん、それは私のセリフですよ?」
未来ちゃんは俺を指差して、少し意地悪っぽく微笑んだ。
───────────────────────
「未来がいつまでも髪の毛いじってるからだよ!!」
「に、兄さんだって、寝坊したじゃないですか!!」
はい。遅刻です。二人とも遅刻しました。
「あぁ、もう時間がねぇ!!未来、後ろに乗れ!!」
俺は自転車のハンドルを掴み、ガレージから引っ張り出す。
「えっ!?でも、私……!!」
「いいから!!飛ばすぞ!!しっかりつかまってろ!!」
未来が後ろに座ったのを確認し、俺は全身に力を入れ、重いペダルを踏んだ。
駅までの道は下り坂だ。二人の乗る自転車は次第にスピードを上げていく。
よほど怖いのか、俺の体にしがみついている未来が可愛かった。
「に、兄さん……そ、そんなに……スピード出さないで下さい!!」
「何だよ……怖いのか?」
「ち、違います!!きゃっ!!」
「どうした?」
- 30 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/03/14 19:19:01 ID:ozX7WEe1
- 「す、スカートが捲れちゃって……きゃっ!?」
「手で押さえてりゃいいのに……」
「だ、だって……手を離したら怖いです……」
くぁぁぁぁぁぁ!!可愛いなぁ、チクショー!!耳元で囁くなよ!!
しかし、どうしようかな〜。
未来ちゃんのぱんつをその辺の奴らに見せるのは嫌だけど……怯える未来ちゃんは可愛すぎ!!
ってなことを、考えてると……。
「あんっ♥」
未来ちゃんが俺の耳元で色っぽい声を出す。
「今度は何!?」
「地面がデコボコしてて……い、痛いんです……お……お尻が……あぅ……!!」
うわぁ……力が抜けるぅ……。
「だ、だから……に、兄さん……もっと……あぅ!……ゆ、ゆっくり……してくださいっ!!」
もうさ、未来ちゃんに耳元でこんな事言われたら……
かなり迷った末、俺は力一杯ブレーキを握り締めた。
「ま、歩いていこうぜ」
「はい。すいません……」
「いいって」
俺は未来の肩をポンと叩いて、二人で歩き出した。
───────────────────────
「座れないねぇ」
「ですね……」
塚田駅へ向かう電車の中。
現在は、かろうじて他人と触れない程度の混み具合。
「次は、十崎、十崎です」
車内放送がそんなことを告げ、列車はスピードを下げていく。
ドアが開くと、かなりの人数が乗り込んできた。
「うわぁ、すげぇな」
「ですね……」
そう呟いた未来の声が沈んでいるのに俺は気付いた。
なるほどね……。
- 31 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/03/14 19:20:43 ID:ozX7WEe1
- 「未来」
俺は未来の肩をつかんで、未来を隅に押し寄せる。
そして、俺はその未来に覆いかぶさるような体勢をとった。
「大丈夫。未来は俺が守るから」
「兄さん……」
「チカンは嫌だもんな?」
「あ、ありがとうございます!!」
そんなことをやっている間に、電車は更に混んで来た。
背中に受ける力が大きくなる。
俺はグッと手に力を入れて、未来に力がかからないように踏ん張る。
「だ、大丈夫ですか!?」
「大丈夫大丈夫」
無理に笑顔を作る。
「兄さん……」
未来が心配そうな顔をしている。
……こんな細い体に無理させる訳にはいかねぇよな、やっぱ。
「兄さん……もういいですよ……こんなに顔真っ赤になって……」
「未来……」
「はい」
「いや……未来の髪って、いい匂いだよな?」
「はい?」
「チカンの気持ちもちょっと分かるかも」
「に、兄さん!?な、何言ってるんですか!?」
未来が顔を真っ赤にしながら、ちょっと小声で言う。
「それでいいよ。俺は大丈夫だから、いつも通り俺に話しかけてくれ」
「兄さん……」
「顔が赤いのも、未来ちゃんとお揃いだし……うぉっと」
過去最高の力がかかる。
痛ぅ……手がしびれてきた……。
「兄さん……」
「大丈夫。鍛えてます」
「はぁ……兄さんってば……」
- 32 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/03/14 19:21:45 ID:ozX7WEe1
- 未来が溜息をつく。
「もう止めても無理みたいですね?」
「流石……分かってるね」
「頑張って……ください……」
「あぁ」
今度は作り笑いではなく、本当の笑顔がこぼれる。俺の笑いに釣られて、未来までも笑顔になる。
そんな未来を見ると、俺の腕にも力が漲ってきた気がする。
さぁ、もうちょっと頑張ろうか!!
「次は、塚田、塚田です」
そんなアナウンスが聞こえた。
俺がちょっとホッとしている中、次第にスピードを落とす列車。
「あっ」
慣性によって、未来がバランスを崩し、俺の胸に飛び込んできた。
「未来、大丈夫か?」
俺はその未来を優しく抱きとめた。
「兄さん……ありがとうございます」
「普段に何も出来ないからね。こういうときぐらいは最後までやらなきゃな?」
未来に微笑みかける。
「兄さん……兄さんって、カッコいいですね……」
俺の胸の中で未来が呟いた。
そのセリフがすごく恥ずかしくて、俺は何も聞こえないフリをする。
「さ、降りるぞ?」
「はい」
俺はごく自然に未来の手を掴む。
力を入れすぎて真っ白になった手には、未来の手がすごく暖かく感じられた。
───────────────────────
「おっ!!未来、あの店、いいんじゃないか?」
「えぇっ!?私、そんな……」
「いいから。見るだけならタダ。行くだけ行ってみようぜ」
件のショッピングセンター内。
俺は未来の手を引っ張り、オサレな洋服屋さんに入る。
「未来ちゃん。こんなのどうかな?」
- 33 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/03/14 19:23:03 ID:ozX7WEe1
- 「えっ……ちょっと派手すぎますよ!?」
「そう?似合うと思うけど?ちょっと試着してみてよ」
「そ、そんな……恥ずかしいですよ……」
手に持っていたコートで、恥ずかしそうに顔を隠す未来。
くぅぅぅぅ!!可愛いぞ!!
「大丈夫。絶対似合うから。俺が保障する」
「で、でも……」
「いいからいいから。騙されたと思って着てみなよ」
半ばムリヤリ、未来を試着室に押し込む。
実際、似合うかどうかなんて、ファッション関係に疎い俺にはサッパリ分からない。
ま、未来はいつも地味な服装ばっかりだから、たまにはいつもと違う未来が見てみたいってのが内心だが。
「あの……兄さん……」
「おぅ、早かった……な……」
試着室から現れた未来を見て、俺は言葉を奪われた。
肩を出した漆黒のキャミソールとロングスカート……真っ白な未来の肌と相まって……美しい……。
「えっと……どうですか……?」
俺がずっと固まったまま動かないので、心配そうに未来が声をかける。
「えっ……いや、もう、未来を褒める言葉が思いつかねぇ……」
「ほら、やっぱりダメですよね?こういう大人っぽい服は私には似合いませんよ」
別に失望した訳でもなく、予想通りといった感じの未来。
「い、いやっ!!そういう意味じゃなくて!!」
「じゃあ……どういう意味ですか?」
「いや……なんつーか……すごく似合ってる。いや、それ以上だ。似合いすぎて、何も言えない」
「あの……兄さん、お世辞にしても言い過ぎですよ?」
「いや、お世辞なんかじゃないって!!ホントに似合ってるよ!!」
「え、えっと……あ、ありがとうございます……えっと……じゃ、脱ぎますね……」
未来がカーテンを閉める。
「ああ……よし、次はこの服ね」
「ま、まだ買うんですか!?」
未来が慌てて、カーテンから顔だけを出す。
- 34 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/03/14 19:24:04 ID:ozX7WEe1
- 「うん。もっともっと可愛い未来が見たいからね」
「も、もう、兄さん!!こんなところで、何言ってるんですか!!」
未来は顔を真っ赤にして、シャッとカーテンを閉じた。
───────────────────────
「兄さん……ちょっと買いたいものがあるんですけど、いいですか?」
さっきの店を出た後、未来が、恥ずかしそうに言った。
「あ、ああ……いいけど」
「ありがとうございます。じゃ、こっち来てください」
「ああ」
そう言って、案内されてきたのは……
「下着売り場……!?」
禁断の場所とも言える女性下着売り場へ来てしまった……。
「は、はい……」
「えーと……俺、その辺で休憩してるわ」
その場から緊急離脱を謀り、回れ右をした俺の首を……未来がしっかりと掴んだ。
「ダメなのかい?」
コクコクと可愛く頷く未来。
もう、未来ちゃんは甘えん坊だなぁー!!
「じゃあ、兄さん、行きましょ?」
「マジで?」
「マジ……ですよ?さ、行きましょ?」
未来は俺の手を掴んで、下着売り場へ引き込もうとする。
既に未来は聖域の中……俺はギリギリのところで踏みとどまった。
「兄さん……来てくれないんですか?」
上目遣いの未来。
ぬはぁーーー!!写真撮りてぇーーーー!!
しかし、今ので分かったぞ……コイツは、いつぞやの裏未来だ……!!
ま、だからどうした。って感じだが……。
「いや……こういうところに、男とは、普通来ないんじゃない?」
「そうですか……?結構カップルで来てる人も多いですよ?」
確かに、少ないが男連れの人もいることはいる……。
「さ、兄さんも覚悟決めてください!!」
- 35 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/03/14 19:25:06 ID:ozX7WEe1
- 「何故、今日はそんなに積極的なんだ!?」
「だって……一番見て欲しい人が一番好きなモノを着けたいですから……ねっ?」
裏未来は上目遣いで俺を見て、瞬間的に俺の手をちょっとだけ強く握った。
くぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!窒息するーーー!!
「いいですよね?兄さん?」
「あぁ……しょうがない……」
「へへへっ……ありがとうございます!!」
出来るだけ周りを見ないように、未来の背中だけを見て歩く。
「あっ、兄さん!!コレ、可愛くないですか?」
突然、未来が立ち止まる。
そして、一つブr……いや……えっと……胸用の下着を取り、自分の胸に当てる。
「どうですか?」
「いや……い、いいんじゃない……?」
俺はそんな未来を直視できず、未来の頭の辺りを見ながら適当に答える。
「もう!!兄さん、ちゃんと見てくださいよぉ!!」
「いや……やっぱ……恥ずかしいしさ……」
「そうですね。兄さんもお顔が真っ赤ですよ?」
「そ、そうだねぇ……」
居心地最悪……。
何だか、ここには俺の存在すらも許されないような気がして、俺は俯いて硬直状態になる。
「ふふっ、兄さんも、意外と純なんですね?」
「そうだねぇ……。それが分かったら、そろそろ勘弁して欲しいねぇ……」
「しょうがないですね……冗談はコレぐらいにしてあげましょうか」
未来が両手を腰に当てて、仕方ないといった感じで言う。
俺は呆気に取られて、
「冗談……?」
「はい。いくら兄さんでも、下着を選んでもらうのはさすがに……」
「そうか、冗談か……なるほど……あははははは……」
乾いた笑いが口から漏れた。
ホッとしたような、残念なような……そんな気分だった。
「未ぃ来ぅぅーーーーー!!」
- 36 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/03/14 19:26:19 ID:ozX7WEe1
- そして、その後に込み上げてきた怒り……
「あっ!!ごめんなさいっ!!」
「と行きたいところだけど。ま、こっちも十分可愛い未来を見せてもらったし……それで良しとしようか」
「に、兄さん!?何言ってるんですかっ!?」
「でも、すごく可愛かったよ?『だって……一番見て欲しい人が一番好きなモノを着けたいですから』の辺りとか」
「い、言わないで下さい!!それ、一番恥ずかしかったんですよ!!」
「じゃ、言わなきゃよかったのに。どうせ冗談なんだからさ」
「で、でも……」
俺の言葉に、顔を赤くして俯く未来。
「結構……本気だったりするんですけどね……?」
「おいおい。さすがに、もう騙されないぞ?」
「えっ……?あー……そ、そうですよね。さ、さすがにねぇ?」
「そうそう。そこまで俺も馬鹿じゃないからな。さ、次のトコ行こう」
「は、はいっ!!」
───────────────────────
「兄さん。今日はありがとうございました……」
駅から家までの帰り道。
隣で並んで歩いている未来が呟いた。
「楽しかった?」
「はい」
「そりゃ良かったよ。もしかしたら、未来ちゃんつまらないんじゃないかと思ってたんだ」
「つまらなかったですよ、すごく」
速答!?さっきのはモロに社交辞令……?
「ぅゎぁ……」
全身から力が抜け、俺はその場に膝を付く。
「に、兄さん!!この話、まだ続きがあるんですよっ!!」
「つづき……?」
- 37 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/03/14 19:27:29 ID:ozX7WEe1
- 「はい。えっと……私は可愛くもないし、オシャレにも興味ないから、
ああいう場所って、私には縁の無い物だと思ってたんです」
いや、未来ちゃんは可愛いよ!!と言いたかったが、話の腰の骨を折るのでやめた。
「私があの場所にいるのは、場違いのような気がして……最初は楽しくなった」
その気持ちは分かる。つーか、さっき散々味わった。
「でも……兄さんと一緒にいると、そんなことどうでも良くなってきちゃって……」
「……?」
「考えるのも馬鹿らしいというか、考えるのを忘れてたというか……そんな感じです」
「ま……よく分からねぇけど。要約すると、『俺と来て良かった』ってことかな?」
「はい!!」
明るく笑う未来。夕日を浴びたその顔が可愛かった。
「そうだ、どこかで飯食って帰ろうぜ!?」
「いいですね。行きましょう。何にしましょうか?」
「ここを右に曲がったトコにある店、オムライスが美味いらしいぞ?」
「いいですね。そこにしましょうか?」
「よし、決定!!さぁ、未来よ。後ろに乗れ」
「えぇっ!?い、イヤですよ!!」
「はははっ!!冗談だって。二人で歩いていこう」
「もう……兄さんってば……」
ちょっとだけ頬を膨らませて、俯きながら歩く未来。
「ねぇ……兄さん……」
「ん?」
「手……繋ぎませんか……?」
「どうしたんだ?寒いのか?」
「は……はいっ……!」
「しょうがねぇな」
優しく未来の手を握る。
未来は子供のように微笑んで……
「ありがとうございます。……兄さんの手……いいですね」
「何が?」
- 38 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/03/14 19:31:01 ID:ozX7WEe1
- 「暖かくて大きくて……未来は好きですよ。この手」
「手だけ褒められても、あんま嬉しくないけど……」
「ふふっ……あくまでも手が一番好きってことですって」
兄さんの手。私を守ってくれる優しい手……。
この手がいつまでも……いつまでも……私のそばに……。
───────────────────────
まとめ。
>>16-23 沙耶のホワイトデー。
>>24-27 双子のホワイトデー。
>>28-38 未来のホワイトデー。、
あ〜、今回キツかった……
- 39 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/14 20:43:37 ID:eYht8hH+
- キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!!
ぐっぞぶ杉!! 神杉るぜ・・・!
- 40 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/14 20:56:32 ID:1UtVjrQf
- 未来たんさいこ!
マジ萌えぢんじゃうよ!
てかまた微妙に響ネタ…。好きですねぇ〜w
- 41 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/03/14 21:07:20 ID:Hdp/ZNKM
- 遊星さんキタ Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒(。A。)?!!
ぐ、ぐぐぐGJ!!
- 42 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/14 21:08:41 ID:vl1DUKAq
- しえん・・・・って遅いか
- 43 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/14 22:19:59 ID:DChDja92
- 遊星神GJです!
未来ちゃん(゚∀゚)イイ!!
- 44 :いつぞやの931 :05/03/14 23:36:35 ID:W1fguBhp
- いいかげんコテとトリップつけなきゃ…それはさておき
ステキです、遊星神GJ!
ちうか皆さん筆が早いですねぇ…すごいっす
- 45 :すばる ◆9tSxotve.o :05/03/15 00:39:26 ID:m5HOOlEt
- 遊星神GJ!!
こんなに素晴らしいのをこんなに書けるなんて凄いです。
やっぱり遊星さんが来ると活気が出ていいなぁ…この雰囲気が好き(´∀`)
- 46 :雨音は紫音の調べ ◆cXtmHcvU.. :05/03/15 22:49:15 ID:K99FmguV
- 遊星様乙です!
すごい…
凄すぎますよ…!
GJ!GJ!!GJ!!!
- 47 ::月影に踊る血印の使徒 1 :05/03/16 07:40:27 ID:ilQbt1oS
- 世界は千十一の要素で構成されている。
私は八人目に属す七十七人目。
世界の要素、そのそれぞれに使徒と呼ばれる「司る者」が存在する。
私は八人目、「死」に属する、七十七番目の要素、「血」の使途。
そう、私はヒトではない―――。
私は世界を構成する、その一つ。
「奈菜ーっ、起きないと遅刻すっぞーっ」
私の家に、今日も馬鹿みたいな声が響く。 私は既に起きている。
そうだというのに、声の主は今日も私を起こし続ける。
「奈菜ーっ、起きろってのーっ!」
・・・・いい加減五月蝿い。 仕方ない、そろそろ降りてやろう。
私は読みかけの書物を閉じ、部屋を出た。
冷たい空気が私を迎える。 私は冬というのが嫌いだ。
冬は私の仕事が多くなるから―――死を与える仕事が。
「奈菜ーっ、飯冷めるぞーっ!」
「・・・・・今行く」
馬鹿みたいに私を呼び続けるのは、私の兄。
ただし、「私」の兄ではない。
私の体の兄。
使徒は体を持たず、他人の体を借りたり、何か別の寄り代を用いて「ここ」に存在する。
私が今使っている体は、十五年前に頂いたモノだ。
別に、殺したとかそういうのではない。 死産だったのだ。
だから私に悪気もないし、むしろ感謝してもらってもいいくらいなのだが・・・。
「おせーよ、遅刻するぞ」
・・・・この兄、太刀川史也にはそうでもないようだ。
「・・・・すまない」
「いや、まーいいんだけどよ・・・まず食え」
「分かった」
用意された食事に手を付ける。 全て史也が用意したものだ。
- 48 ::月影に踊る血印の使徒 2 :05/03/16 07:42:05 ID:ilQbt1oS
- 「ふむ、今日もまた、凝った朝飯だな」
「俺なりにお前の健康には気を使ってんだよ、これでも」
「そうか。 迷惑を掛けるな、兄」
「迷惑とかじゃ・・・つかさ、その『兄』ってやめない?」
「・・・・なんだ、いきなり」
「俺は前から思ってたんだよ。 なんだよ、『兄』って。 まんますぎだろ」
「・・・・そのまま、ということは、物事の特徴をよく表わしていて望ましい呼び名ではないか?」
「あ、あのなぁ・・・」
ふむ・・・どうやら史也は兄、という呼称に不満があるらしい。
「では、どう呼べばよいのだ?」
「え・・・えーと、普通にさ、お兄ちゃん、とか、兄さん、とか・・・・」
「ふむ・・・しかし兄よ、お兄ちゃん、というのはどうかと思うぞ」
「なんでさ?」
「私の外見的な要素から判断すると、幼い印象を与える言葉は似合わないそうだ」
「そうだ、て何よ」
「私の学友からの所見だ。 それと兄さん、という方だが」
「・・・何だよ」
「さん付けというのは敬意を表わすものだと聞いている。 私の態度はとても兄に敬意を払っているようには見えないそうだ。
よってこちらも不適であろう」
「あー・・・じゃあ・・・お兄、とか、兄様ーとか・・・」
「それらも先ほど上げた理由が当てはまる」
「なんだ・・・つまり呼び方を変える気はないんだな?」
「いや、そんなことは言っていない。 ただ、私と兄の間柄に相応しい呼称が今の例にない、というだけだ」
「あー・・・・そーかよ」
そんなやり取りの間に私の食事が済んだので、洗面所に向かおうとする。
「奈菜、お前さぁ・・・」
「なんだ、兄」
「お前、やっぱり変わってるよな」
「・・・・そうだろうか」
史也は・・・私を余り快く思っていないようだ。
- 49 ::月影に踊る血印の使徒 3 :05/03/16 07:43:39 ID:ilQbt1oS
- 「どうだ、兄、遅刻しそうか」
「いや、そうでもない」
「そうか」
私と史也、並んで歩く。
史也はこれでも私と同じ、進学校に通っている。
私にとってヒトとしての人生など大した意味を成さないが、私の学力だとそこの学校が適していたらしいのでそこに入学した。
しかし、史也の方はと言うと・・・。
「兄よ、補習の予定は?」
「うぐ・・・・次のテスト前、さんしゅーかん前からだとよ」
と、このとおりである。
「そうか・・・と言うともう時期だな」
「うあー・・・・くそー、なんで奈菜と違って勉強出来ないんだー、俺はー」
「・・・・努力が足りないのだろう」
「うぬ・・・キツイね、奈菜さん・・・」
本当は、私と史也は兄妹ではないから・・・似ていなくて当然なのだが。
「・・・・・済まんな、兄よ」
「あ・・・? 何か言ったか?」
「いや、何も―――」
不意に視界に黒、いや、闇が現れる。 これは・・・・。
「奈菜、どうした?」
「いや・・・・兄よ、先に行ってくれ」
「なんだ? 具合悪いのか? 家まで運んでやろうか?」
「・・・・・・トイレだ」
「あ、そ、そうか、スマンな。 公園まで行ける・・・よな?」
「ああ・・・だから、先に行け」
「あ、ああ・・・」
視界から史也の姿が消えたのを確認して、私は喋りだす。
「・・・・感覚をジャックするのはやめてもらいたいものだな」
「いやぁ・・・声を掛ける訳にもいかなくてね」
虚空に声が響いた。
- 50 ::月影に踊る血印の使徒 4 :05/03/16 07:45:23 ID:ilQbt1oS
- 「ふん・・音など立たないのにか。 それで、私に何の用だ? 六十一番目の使徒」
「うふふ・・・私がアナタをお茶に誘うとでも? 七十七番目の使徒」
「仕事か・・・」
「ええ。 アナタの仕事。 ヒトに死を与える、そのお仕事」
「私が使われるということは、何かしらの力を持っている者が対象か?」
「いいえ、ハズレ。 確かに抗いの力は持っているけれど、特別な何かを彼が持っているわけじゃないわ」
「すると・・・・使徒の隣人か」
「そう。 使徒の側に長く居続けると、自然からの干渉に抵抗がついてしまう。 だからアナタが死を与えるの」
「ふん・・・やっかいだな」
「あら、どうして?」
「使徒に知られれば邪魔をするかもしれない・・・長く共にいれば、愛着くらい湧くのだろう」
「ふふふ、それは無いわ」
「何故?」
「だって、アナタの知り合いですもの」
「・・・・・!」
「うふふ、驚いた? それこそが私の司る『恐』・・・恐れよ」
「私が恐れる・・? ふん、ありえんな。 私こそがヒトに恐れを与える存在。 死という絶対の恐怖を」
「うふふふふ・・・『その日』は明日の午後六時と十二分。 場所は駅前の交差点」
「交通事故か」
「ええ・・・・幸せからの転落・・・ヒトって哀れね」
「・・・・ふん」
「それじゃあ、また明日」
「待て。 対称の名前を聞いていない」
「あらゴメンなさい。 でもね、お仕事に支障があったらタイヘンだから教えるな、って八人目サマに言われているの」
「・・・・・・」
「でも、誰かは言うな、なんては言われてないのよねー?」
「・・・・・・」
「今度死ぬのは・・・・アナタのお兄さんよ」
「・・・・・っ!?」
「うふふふふふふっっ! そう、その顔よ!! また明日会いましょうっ!! うふふふふふふっっ!!」
- 51 ::月影に踊る血印の使徒 5 :05/03/16 07:47:01 ID:ilQbt1oS
- 「おはよー奈菜ちゃん」
校門前で声を掛けられる。 同じクラスの有紗である。
「・・・・お早う」
「・・・・どしたの? 具合悪いの?」
顔を覗き込まれる。
「いや・・・・そんなことはないが?」
「でも・・・顔色悪いよ? ・・お兄さんも今日は一緒じゃないみたいだし」
「兄は・・・先に行かせたから、もう教室に居るだろう」
「ん〜・・・ホントに大丈夫?」
「ああ・・・・何も問題はない」
そう・・・何も問題は無い。 私は私が司る物を司るだけ。
それを否定するなど馬鹿げている、自分自身の存在を否定するのと同じだ。
明日の午後六時、史也は死ぬ。
それが運命だ・・・・。 抗うことも変えることも出来ない、運命だ。
一限目、そして二限目が終わる。
「ふぅ・・・・」
「奈菜ちゃん、幸せが逃げるよ?」
「ん・・・? 何がだ?」
「溜め息。 吐くとその分幸せが逃げちゃうんだよ」
「・・・・又根拠のないことを」
「ちっちっち。 甘ーい、甘いよ奈菜ちゃん。
溜め息吐いちゃうと弱気になる、弱気になると物事が上手くいかなくなる、物事が上手くいかないと・・・不幸せだよ?」
「ふむ・・・そういう見方もあるか」
「そんな弱気な奈菜ちゃんに特別ゲスト!」
「ん・・・?」
「はーい、史也お兄さんでーっす! ぱちぱちぱちーっ」
そこに現れたのは・・・間違いなく、史也だった。
「あ、あの、有紗ちゃん、恥ずかしいんだけど・・」
「な・・・何故兄がここに・・・・・?」
- 52 ::月影に踊る血印の使徒 6 :05/03/16 07:48:14 ID:ilQbt1oS
- 「わたしが呼んじゃいましたー。 奈菜ちゃん調子が悪いみたいなんでー」
「・・・・有紗・・・・・・・」
「やーん、お兄さん助けてー、奈菜ちゃんが怖い目で睨むんですー」
「ははは・・・・で、どうなんだ奈菜」
「いや・・・どうと言うことは無いが・・」
「ふむ・・・?」
私の額に手を当てる。
「熱は無い・・・せきも無いけど・・・確かに顔色は悪いな」
「そう・・・・か・・?」
「あ、奈菜ちゃんまさか・・・」
「え? なんか心当たりでもあんの?」
「えと・・・奈菜ちゃんひょっとして・・・あの日?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・違う」
「そっかー、わたし早とちりでお兄さん呼んじゃったかと思っちゃったよー」
「は、ははは・・・」
と、居心地悪そうな史也の苦笑い。
「あ、ご、ごめんなさいお兄さん」
「あーや、別に・・・なぁ?」
「・・・・なぜ私に話を振る」
「え、えと、それでどうします、お兄さん」
「ふむ・・顔色悪いのは確かだし・・・早退しろ、奈菜」
「いや・・・そんな大袈裟なものでは」
「バカ野郎、大げさなくらいで丁度いいんだよ、病気ってのは」
「・・私は病気では」
「奈菜!」
「・・・・・分かった」
時々史也はどうしようもなく強情になる。 どうもそのタイミングが掴めなく、私としてはやり辛いところだ。
「奈菜ちゃん、家まで送ってこうか?」
「いやいい・・・亜里沙はサボりたいだけだろう」
「・・・・えへへ」
- 53 ::月影に踊る血印の使徒 7 :05/03/16 07:51:15 ID:ilQbt1oS
- 帰り道、私は纏まらない思考と共に歩いていた。
・・・・何を悩んでいるのだ、私は? 答えならもう出ているではないか。
明日、史也に「死」を与える、ただそれだけではないか。
何も特別なことは無い、今迄通りだ。
ヒトの死は決まっている。 如何なる者も避けられない、確定した未来。
その「未来」を、「現在」に変える、唯其れだけの事。
死の無い生は有り得ず、逆も真である。 輪廻転生というものはヒトには存在しない。
だが、ヒトを構成していた要素はやがて別の存在、別のヒトを構成するだろう。
それが自然の摂理。 私は摂理の流れを代行する・・・・唯、其れだけの事。
私は八人目・・・「死」の従属。
死の従属が、死を否定するなど・・・・・有り得ない。
水が上から下に流れ落ちるのと同じ。
私は明日、史也に死を与える・・・・・・唯・・・・・・・其れだけの・・・・事。
ふと視線を上げる・・・ショウウィンドウの中に一足のシューズ。
・・・史也が欲しがっていた、シューズ。
明日、アルバイトの給料が入るので、その金で買う予定らしい。
史也は・・・何も知らない。 目前に迫った死を、知らない。
史也にとって、明日はアルバイトの給料日でしかなく、この靴を買う日でしかない。
私にとっては・・・・・私にとって・・・明日は・・・・・。
ああそうだ、私にとっても唯仕事を一つ片付ける日でしかない。
そう・・・・・唯、其れだけの、事。
「ただいま帰ったぞー」
玄関先から史也の声が響く。
「お帰り、兄」
「おー、大人しくしてたかー?」
「兄の言う大人しくに該当するかは分からんが、特に何をするでもなく過ごした」
「おー、俺の言うことちゃんと聞くなんて珍しい」
「・・・・私が兄の言う事に逆らった記憶など無いが」
「結果的に逆らってることが多いんだよ、お前は」
- 54 ::月影に踊る血印の使徒 8 :05/03/16 07:52:43 ID:ilQbt1oS
- 「・・・・そうか」
「待ってろ、飯作ってやるからよ」
「あ・・・・兄よ」
「んー? なんだ、たまには奈菜が作るか?」
「あ、いや、そうではなく・・・・・・コレを」
「ん? 何だコレ・・・開けていいのか?」
「ああ・・・・」
ビニール袋から取り出した箱、其れを開けていく。
「こ・・・れは・・・・・!?」
「・・・欲しかったのだろう?」
其れは、ショウウィンドウの中のシューズ。
史也が数ヶ月前から見詰めていたシューズだ。
「あ・・・ああ・・・でもコレ・・ど、どうしたんだ?」
「いや・・・プレゼント、と言う奴だ・・。 今迄、した事が無かったしな・・・」
「ど、どーゆー風の吹き回しだ・・・・?」
「迷惑・・・だったか?」
「い、いや、すっっっっげー嬉しい! ありがとう、奈菜!!」
「いや・・・・・・」
私は、一体何がしたいのだ? 史也にシューズを贈った所で、何が変わる訳でもない。
明日、史也は事故に遭う。 そして私に命を断たれる。
変わり様の無い、確定した未来。
変え様の無い、確定した死。
「奈菜、俺マジで嬉しいよ!! ありがと!!」
其れを知らない史也は、余りにも何時も通り過ぎて・・・・。
「・・・・・・・済まない」
其の言葉が洩れた。
「え・・・奈菜?」
「・・・済まない、済まない兄よ」
「奈菜・・・・・どうしたんだ?」
私だって・・・分からない・・・。 分からないけれど。
- 55 ::月影に踊る血印の使徒 9 :05/03/16 08:02:09 ID:ilQbt1oS
- 「済まない・・・本当に・・」
「奈菜・・・・泣くな」
「・・・・私は、泣いてなど」
「涙流すだけが、泣くって事じゃないだろ」
史也が、私を抱きしめた。
「何があったのか・・それともこれから何かあるのか・・・無理に聞こうとは思わない。
だけどさ、俺はお前の兄貴だから。 何が起こっても、起こらなくても。 それだけは変わらない。
どー仕様もなく頼りない兄貴だけどさ・・・いつだってお前の味方だぜ、俺は」
「私・・・は・・・・でも」
「でもじゃない。 俺には何も出来ないかもしれない。 でも、絶対にお前の味方だ。 何があっても、絶対に」
「私が・・・本当の妹じゃ、無かったとしても?」
「ああ」
史也は、迷うことなく応えた。
「家族ってのは、単にそーいうもんじゃないって思う。 やっぱさ、この人は家族だ、って思えなかったら家族じゃないんだよ。
だから、こいつは俺の家族だ、って思った瞬間から家族なんだよ。 ・・・・お前は俺の妹だ。 例えお前と俺が本当の兄妹じゃなかったとしても、だ」
「でも、私は・・・何時も、兄に迷惑を掛けるし」
「誰も迷惑なんて思ってねーよ」
「其れに・・・兄は、私のことを、余り好いてはいないだろう?」
「は・・・? 何言ってんの、お前? お前は俺の自慢の妹だよ。 これ以上ないくらいのな」
「いや・・・しかし」
「しかしじゃねぇー。 なんだよお前、今までずっとそう思ってたのかー?」
「あ、ああ」
「くぁー、何でそーなっちまうかなー。 俺、兄貴としての自信、喪失しちまいそー・・・」
「あ、兄・・・?」
「あのねぇ、お前のこと好きに決まってるだろ? 俺は好きでもない奴の心配なんかしねーぞ?
嫌いな奴のために飯作ったりしねーぞ? どーでもいい奴に好きだ、なんて言えるほど器用じゃねーぞ?」
「・・・・・・・」
「そんなん、お前が一番知ってるだろ?」
「・・・・・・・・・ああ、そうだった・・・そうだった、な・・・・・・」
其の夜、私は生まれて初めて、泣いた。
- 56 ::月影に踊る血印の使徒 10 :05/03/16 08:04:15 ID:ilQbt1oS
- 翌日の朝・・・私は布団に包まっていた。
「今日は学校休むのかー?」
「ああ・・・済まないが、有紗辺りに言伝してくれ」
「おうよ。 ・・・もう大丈夫なのか?」
「ああ・・・・いや、兄に嘘はいけないな。 正直、まだ悩んでいる」
「・・・・そうか。 一体何なのか分かんねーけど・・・忘れんなよ。 俺はいつでも何があっても、お前の味方だ」
「・・・・・ああ、有り難う」
「お前なら答えを見付けられるって信じてるぜ」
「・・・・行ってらっしゃい」
「おー、行ってきます」
変わらない、一日が始まる。
昨日から何も変わってなどいない。
変わったとすれば・・・それは、私。
私は、今日、答えを出さなければならない。
史也と、私に。
するすると寝巻きを脱ぎ、裸になる。
左胸に手を当て、心臓の音を聞く。
動いているはずの無い心臓。 その鼓動から、生命の繋がり方を確認する。
其の繋がりを、断つモノのイメージ。
私はヒトと同じように、大鎌を想う。
そして形作られる、姿無き、形無き、存在無き鎌。
私はヒトに死を与える者。
即ち、死神。
学校の制服の上に、黒き影を纏い。
右腕に8のルーンを描き。
左腕に77のルーンを描き。
額に使徒のルーンを描き。
「暗き闇より深く、燦然と輝く生よりも美しく・・・全てのモノに等しく在り、唯唯一なるモノとして在る―――」
口に死の詩を口ずさみ。
準備は、整った。
- 57 ::月影に踊る血印の使徒 11 :05/03/16 08:06:21 ID:ilQbt1oS
- 駅前の交差点を見下ろせる、ビルの屋上。
「やぁ・・・随分念入りな格好だね」
そこに立つ私と、六十一番目の使徒。
「私は相手が誰であろうと・・・この姿で仕事をしてきた」
「うふふふふ・・・そう」
「お前こそ、随分な格好だな」
「あら、私は何時もこの格好よ? いつもは感覚のジャックのみで会話していたからね、直接会うのは初めてだったかしら?」
表情も無く私に笑いかける・・・・マネキン。
「なら今日は如何いった風の吹き回しだ? お前が直接私の仕事を見に来るなど」
「うふふふふ。 言ったでしょう? 私が司るのは恐・・アナタが兄を手に掛ける、その瞬間。
絶望に打ちひしがれる、アナタの顔が見たいの」
顔など存在しない・・・しかし、確かにそのマネキンは、禍々しい狂気の笑みを浮かべていた。
「六時・・・そろそろね。 ほら、アナタのお兄さんよ?」
指差す先に、史也。
「うふふふふ。 覚悟は出来て? 実の兄を殺す覚悟は」
「ふん・・・・私と史也は、兄妹などでは・・・無い」
「うふふふふ、そうね、アナタはアナタでしかなく、決して太刀川奈菜では無いものね」
「ああ・・・そうだ」
「じゃあ・・・始めてもらおうかしら?」
「ああ・・・・」
手に「流れ」を纏う。 「摂理」と言う名の流れ・・・其れは強靭な刃と成る。
背後に回り込み、そして、貫く―――――。
音も無く、唯結果だけが現れる。 胸を貫かれて・・・・私を見る。
「・・・・・・何のつもりかしら?」
胸を貫かれたマネキンが語りかける。
「見ての通りだ」
「うふ、うふふふふふふふっっっ!!! 逆らうのね!? 八人目に、アナタの主に、世界の摂理に逆らうのね!!??」
「ああ」
「うふふふ、うふ、うふふふふふっっっ!!! いい、いいわ!! これこそ私が望んでいた未来!!! 素敵よ、七十七番目!!」
けたたましい笑い声・・・・だが、ヒトには聞こえないだろう。 それは「音」では無いのだから。
- 58 ::月影に踊る血印の使徒 12 :05/03/16 08:08:25 ID:ilQbt1oS
- 「うふ、うふふふふふっっ!! いい、いいわ七十七番目!! その純粋な想い!! 兄を救おうとする想い!!
絶望的な希望にすがる、その想い!!! それが潰れた時、アナタはどんな良い顔をしてくれるのかしら!!??」
マネキンが消える。
辺りを見ても、姿はない。
「うふ、うふふふふっっ!! 私は観念の三十七使徒!! 存在するモノの使徒であるアナタに勝てるはずが無い!!」
「・・・・・・・」
私は、また鎌を想う。 糺し、今度は実在する鎌を。
現れる大鎌。 其れは死、其のもの。
「いい、いいわ!!! 抗って!! 限界まで!! 抗い続けて!! そして絶望という恐怖を味わうの!! うふふふふっっ!!」
観念に形は無い。 だから、捉えるのは「感覚」。
「せいぁっ!!」
右方向に鎌を振るう。
「うふふふふふふ・・・・正解よ」
其処に居た、マネキンに刃が突き刺さる。
「でも、どうしてかしら・・・私、全然痛くないの。 血も流れないの。 何故? うふっ、うふふふふふっっ!!
正解は、マネキンだ・か・ら、でした。 うふふふふふふふふふっっ!!!」
霧散し、再び空間に消えるマネキン。
私は又、感覚を探す。 そして、鎌を振るう。
「きゃあっ、また当たりよ。 うふふ、これじゃあ負けちゃうかしら? うふふふふふっっ!!」
再び消える―――其れの繰り返し。
「・・・・くっ・・」
「うふふふふ・・・・・分かっていたのでしょう? アナタに『観念』を殺すことは出来ない。
アナタが殺せるのは、ヒトだけですもの。 うふふふふふっ」
「く・・・ぅ・・・・!!!?」
「うふふふふ・・・・私は二人目の眷属。 『闇』を操ることも出来る。 アナタに少しづつ、『闇』をプレゼントしてあげたわ」
「・・・・・ぐ・・・・!!!」
「どう? 辛いでしょう、自分のモノでないモノが流れ込んでくるのは。 ましてそれは『闇』。
何よりも深くアナタに染み込んでいくのよ。 うふ、うふふふふふっっ!! 苦しいでしょう怖いでしょう!?
うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふっっっっっっ!!!!!!!!」
「ぐぅ・・・・・・ぁく・・・!!!!!!」
- 59 ::月影に踊る血印の使徒 13 :05/03/16 08:10:34 ID:ilQbt1oS
- 「あら・・・もうこんな時間・・いけないわ、このままじゃ時間通りに死を与えられないわ」
マネキンが下界を見下ろす。
「でも困ったわね。 死を与える使徒は使えないし・・・・私が死を与えるしかないかしら・・・? うふふふふっっ!!」
「ぅ・・・ぐ・・・貴様・・・・っっっ!!!」
「あら、さらに困ったことがあるわ。 私、死を与えるなんてしたこと無いから、あのヒトを苦しめちゃうかもしれないわ。
うふ、うふふふふふふふっっ!!」
「ぐ・・・・ぅ・・・・!!!!」
マネキンがこちらへ近づき、私を覗き込む。
「馬鹿ね。 死を与えられるアナタなら、苦しまずに彼を死なせてあげれたのに」
「くぅ・・・・・!!!」
「いらっしゃい」
闇に操られ、私は下界を見下ろせる位置に運ばれる。
「ほら・・・アナタのお兄さんが丁度今・・・事故に遭ったみたいよ」
道路に叩き付けられた、史也の姿。
「でも、あれじゃあ彼は死ねない。 アナタと長く居すぎたから、死への抵抗力が強く成りすぎているの。
それじゃあ摂理が上手く働かない。 それは世界が否定されることになってしまう。 だから、私たち使徒が、彼を殺すの」
「・・・・・・・・・」
「っていうのがタ・テ・マ・エ。 私はね、ただアナタの恐怖の顔が見たいの。 絶望という恐怖に歪んだ顔がね。
うふふ、うふ、うふふふふふふふふふふふふふふっっっっっっ!!!!!!」
「くう・・・・!!!!」
「それじゃあ、其処でゆっくり見ててね。 私が彼を殺すから。 うふふふふ・・・・」
辺りを闇が包む。 時間が静止する。 私と、マネキンを除いて。
ゆっくりとマネキンが空中を降りていく。
歓喜の歌を口ずさみ。
こちらを振り向き・・・・笑った。
地上に降り立つ。
史也の前に立ち、私にこう言った。
あなたのお兄さんは、私の中で永遠に成るの。 そう、唯の死ではなく、永遠の苦しみを味わうの。
そして、笑った。
「うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふっっっっっっ!!!!!!」
- 60 ::月影に踊る血印の使徒 14 :05/03/16 08:18:13 ID:ilQbt1oS
- 「き・・・・さま・・・・貴様ぁ―――っっ!!!」
私は闇を振り払い、立ち上がった。
一足飛びに、ビルからマネキンへ踊り掛かる。
「せぇぇぇいっっ!!!」
真上から、真下に鎌を振り下ろす。
すたんっ・・・・。
間違いなくマネキンの真ん中を通り―――極々静かな音が響く。
刃が通った跡には、切れ目一つ無い。
だが――――。
「アナタ・・・・・何? 何をしたの? 私が、斬られた? そんな・・・在り得ない」
マネキンが、崩れていく。
「在り得ない・・・在り得ないわ。 観念を斬るなんて・・・殺すなんて!!!
アナタなどに在り得ないわ!!! 観念が観念以外に殺されるなんて!!!!」
「私が、何を司っているか、忘れたか?」
「アナタは・・・・血!!! 生命維持の機能でしかないわ!!!」
「違うな・・・・血は、家族との・・・繋がり、心の繋がりだ」
「・・・・・・・・・うふ、うふふふふふっっ・・・私が殺される? 何故?
血などという、下等な『観念』に? 『世界』に認識されてすらいない観念に?」
「ふん・・・絆は、恐怖を超えられる・・・・・お前の死は、『必然』だ」
「アナタ・・・一体、何者なの? 『世界』が把握していない要素の『意味』を見出すなんて・・・・」
「私か? 私は・・・・・・・・・・唯の馬鹿さ」
「・・・・・・・・・・うふふふふふ・・・そうね、アナタはこれ以上ないくらいの馬鹿ね。
『世界』に逆らった・・・『世界』を敵に回したんだもの」
「・・・・・・・・」
「いづれ・・・アナタの存在そのものを、消しに、使徒が来る・・でしょう・・・きっと、私より、も『強い』観念の・・・使徒が。
そのとき・・・の・・・・アナ・・タの、恐怖に歪ん・・だ顔・・・・見られなくて、残念・・・・・・・だわ。
うふ・・・うふふふふふ・・・・うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ―――」
マネキンは、完全に崩れ――――そして、消えた。
やがて、時は動き出す――――――――。
- 61 ::月影に踊る血印の使徒 15 :05/03/16 08:20:30 ID:ilQbt1oS
- 「う、ん・・・・・・・」
ベッドの上で、史也が声を出す。
「起きたか」
「え・・・あれ・・・? ここは・・・」
「病院だ。 事故に遭ったんだ、憶えているか?」
「あ・・・そういえば・・・・車に吹っ飛ばされたような・・・」
「ああ・・・医者も呆れた生命力で助かったんだ」
「呆れたって・・・・・・・・・そんなやばかったのか、俺・・・・?」
「ああ・・・普通なら生きていても半身不随か植物状態だろうと言われていたが・・・それもさっぱりだ」
「へぇ・・・俺って意外としぶといんだな、ははは・・・ってぇ・・・!」
「余り無理をするな。 それでも三日、生死を彷徨ったんだ」
「み、三日もか?!」
「其れだって医者に言わせればゴキブリ並みだそうだ。 普通一週間は意識が戻らないそうだ」
「へ、へぇ・・・・」
「まあ兎に角休め。 私もそろそろ休ませて貰うよ・・・私も三日、寝てないのでね」
「え・・・お前、ずっと付き添ってたのか?」
「・・・・な、何か不味いか?」
「い、いや別に。 迷惑かけたな」
「いや、迷惑なんかじゃない・・・・・・いいから早く治せ―――お兄ちゃん」
「おー・・・・って、あれ? 今」
「お休みっ」
私はベッドの横のソファーに倒れた。
「・・・・・・お休み、奈菜」
嗚呼・・・今日は良い夢が見られそうだ。
私は、家族を護れた。
太刀川史也・・・私の初めての家族。
私の・・・・・兄。
「・・・・お兄ちゃん」
もう一度その言葉を呟いて、私は眠りに着いた。
- 62 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/16 08:26:27 ID:ilQbt1oS
- 昨日漫画の月姫読んでたら思いついたので書きました。
この話はホント、それだけ。 突発一発。
月影に踊る血印の使徒 >>47-61
15日に誰も貼らなかったから貼っちゃいました。
二日に一個くらいないと寂しいかなー、なんて思って。
こう一発ネタばっかやってると、名前が被ってそうで恐怖。
いや、絶対被ってる。 職人様、神様、御免なさいまし。
うふふふふふふふふふふふふふ。
- 63 :47 :05/03/16 08:29:37 ID:ilQbt1oS
- あー、速攻漢字間違えてる。
馬鹿みたいだぞ、兄よ。 orz
使途→使徒
- 64 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/16 16:02:48 ID:gxp51j0J
- r;ァ'N;:::::::::::::,ィ/ >::::::::::ヽ
. 〃 ヽル1'´ ∠:::::::::::::::::i
i′ ___, - ,. = -一  ̄l:::::::::::::::l
. ! , -==、´r' l::::::/,ニ.ヽ
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レー-- 、ヽヾニ-ァ,ニ;=、_ !:::l ) } ト
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:ーゝヽ、 !´ " ̄ 'l,;;;;,,,.、 ,i:::::::ミ
::::::::::::::::ヽ.-‐ ト、 r'_{ __)`ニゝ、 ,,iリ::::::::ミ
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:::::::::::::::::::::::::N. ゙、::::ヾ,.`二ニ´∠,,.i::::::::::::::::::::///
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- 65 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/16 16:41:56 ID:91PlNHJM
- 「お兄ちゃん誕生日おめでと」
これだけでたまらん。
- 66 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/16 21:33:36 ID:ilQbt1oS
- > ここはお前のサイトじゃねえんだ
そりゃ当然です。
しかし固定のアンチが居るなんて、僕ってば流石だね! orz
これからも僕を応援しないで下さいね!!
なんて冗談はともかく、貴方の存在は僕にとってかなり重要です。
「物書き殺すにゃ刃物は要らぬ、上手い上手いと褒めりゃいい」なんて言葉もあります。
僕が何かを書く上で、それを否定してくれる貴方は本当に有り難いです。
ってかこんなんで物書き気取りかよwwwwwwwww
他のヒトはもう、僕のはスルーしてるみたいなんで、読んでくれる貴方は有り難いです。
あ、読んでないのかも。 まぁいいか。
んまぁ、自分は低俗すぎて神とかのSSに批評とかなんて付けられないしー、それどころか称える言葉すら見付かんないしー。
- 67 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/17 00:22:26 ID:WDo81OVc
- こういうシリアス系でありながらダークではないSS大好きです。
続きはお書きになるんでしょうか?
- 68 :雨音は紫音の調べ ◆cXtmHcvU.. :05/03/17 00:28:40 ID:kwY4WIa0
- >>66
僕は何と言えば……
とりあえず思った事を…↓
萌え…と言うよりは、かっこいい! Σd(>ヮ<)
今までに類を見ないジャンルですね。
個人的には
いつものほんわか萌え萌えな話の方が好きだったりしますが
こちらもけっこうゾクゾクきて良いですねぇ…
気を悪くしたら申し訳ございませんです……
- 69 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/17 00:56:08 ID:a8vG1XC+
- えと、何に気を悪く・・・?
別に褒められるのが嫌いな訳じゃないですよ?
むしろ甘やかしてくれよ、パパ! な人種ですから。
ただ、褒められると調子に乗るたちでして(現に今、調子に乗ってます)、
そんな意味で>>64さんみたいなヒトは僕にとって必要不可欠なんです。
>>67
これ以上書くと、どうしてもヌレ違いになっちゃうので、無理ぽです。
少なくともこのスレには貼れないですね・・・。
奈菜がツンからデレに変わってく過程とか書きたいんですが・・・。
設定上、奈菜だけじゃ続けられないんでー。
しかし、そのお言葉、非常に嬉しいです。
マリガトー。 。・゚・(ノД`)・゚・。
- 70 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/17 01:12:21 ID:cGV0gJ4C
- この際スレ違いでも構いませんので続きよろしく
面白かったので
- 71 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/17 02:12:00 ID:a8vG1XC+
- 工エエェェ(´д`)ェェエエ工工いいのかなー、続き書いて・・・。
面白い、ってのはすげー嬉しいんですけど・・・。
んまぁ、貼る貼らないは別にして、ちょっと書いてみますかね・・・。
しかし続き物って向いてないんだよなぁ、僕・・・・。
- 72 :すばる ◆9tSxotve.o :05/03/17 04:22:51 ID:2jfuKi22
- >>たゆんさん
乙ですー。
話に乗り遅れてしまったorz
俺は中途半端に物書きしてて難しさを知っちゃってるし
普通にSSとして書くより台詞集にして書く方が難しい気がしてるくらいなんですよ。
だから短い文章で上手く表現出来てる皆さんの作品は「素晴らしい」としか言いようがないです(笑
- 73 :海中 ◆xRzLN.WsAA :05/03/17 22:12:36 ID:H4PAcvU9
- 久しぶりに覗いたら、ついつい読みふけってしまいました。
とにかくGJ!
続きキボンヌ(;´Д`)ハァハァ
- 74 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/18 00:03:29 ID:XWOo1dW3
- 姐さん凄過ぎですって…マジで面白かったっす!
これ読んだら自分のがクソみたいに思えてきて、書きかけだったやつ全部消しちゃいましたよ…
しばらく名無しに戻って精進するので、続きぜひお願いしますー
- 75 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/03/18 20:47:04 ID:h4ARaOEy
- 「ふぅ……」
現在、午前十時。
特にすることもないので、コーヒーでまったり。
そんな時……
ピンポーン。
玄関のチャイムが鳴った。
「はーい」
俺は返事をして、玄関に向かう。
そして、鍵を開け、ドアを開けると……
誰もいない。
悪戯かよ……俺の家にピンポンダッシュとは、怖いもの知らずだな……。
そう思い、ドアを閉めようとすると……
「こんにちは」
と、いるはずの無い女の子の声。
「下よ」
そう言われて視線を下に向けると……
「あれ、沙耶ちゃん?」
この身長、このツインテール……俺の友人の妹、三上沙耶ちゃんに違いない。
「こんにちは。一人でどうしたの?三上は一緒じゃないの?」
「は?」
「しかし……どうしたの、その髪、金髪にしちゃって……中学生でそれはマズくない?」
「あのね、誰と勘違いしてるのか知らないけど……人違いよ」
「人違い……?」
そう言われて、この娘の顔をジッと見てみる。
うむ……。よく見ると全然違うわ……。
って言うか……多分、日本人じゃない。欧米系の顔だ。
「えっと……悪かったね、知り合いに似てたから」
「まぁ、いいわ。改めて、こんにちは。アナタ、この家の人?」
「あ……あぁ。君は?」
- 76 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/03/18 20:48:08 ID:h4ARaOEy
- 「自分から名乗るのが、この国の礼儀じゃないの?」
アニメみたいなセリフだな……。
コレって、貴重な体験かもしれないぞ、ひょっとすると。
「ま、そうだな。俺は立花将人。よろしく」
「私はサラ・ハワード。こちらこそ、よろしく」
「で、自己紹介が済んだところで本題に入ろう。何か御用?」
「私のママからコレを預かってきたわ。読んで」
俺は、この少女から手渡された手紙を開く。
差出人は……俺の従姉、クミ姉ぇだ……。
…………
……
…なるほど。
しかし……手紙の内容の描写は不可能に近いので、要約すると……
『用事があって遠出しなきゃならなくなったので、この娘を明日まで預かってください』
ということだ。
「何でこんないきなり……」
「しょうがないわよ。ママだって急だったんだから」
「じゃあ、何で俺の家に……」
「頼めるのはココしか無かったのよ」
「訳あって、今日と明日、この家には俺しかいないけど……それについてどう思う?」
「私だって立場をわきまえてるつもりよ。食事さえちゃんとしてれば文句は言わないわ」
「いや……そういうことじゃなくて」
「アナタが私に手を出すとは考え辛いけど?」
「ま、そりゃそうだ」
「じゃあ、問題ないわね。で、荷物はどこに置けばいいのかしら?」
「あ、そこの部屋に置いて」
とりあえず客間に荷物を置かせて、リビングにサラを通す。
むぅ……この娘、俺と距離を置きたい感じだな。
無理に接近を謀るよりは、この距離を保つことを優先しよう。
- 77 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/03/18 20:49:08 ID:h4ARaOEy
- 「へぇ……クミ姉ぇの娘か。国際結婚をしていたとは聞いていたが……」
親戚のおじさん風の会話で行こう。ま、実際そんなもんだし。
「ええ」
「ってことは、君はハーフか何か?」
「ええ。私のパパはイギリス人なの」
「ふーん。それにしても日本語上手だね?日本に住んでるの?」
「最近、越して来たの。ま、小さい頃からママに教えてもらってたけどね」
「ってことは、英語も話せるってこと?」
「そうね。というより、英語が主体よ」
「ほぅ。凄いもんだな……お茶でも飲むかい?」
「いただくわ」
やっぱ、イギリスといえば紅茶。しかし、中途半端なもんは出せないよな……。
確か母さんの茶葉がこの辺に……。
「あー……紅茶葉、切らしてるね……ティーバッグでもいいかな?」
「えっと……私、日本のお茶が飲んでみたい」
「緑茶?まぁ……いいけど」
とりあえず二つの湯飲みに緑茶を入れて持っていく。
「ほい。お待たせ。熱いから気をつけてね」
「えっと……お砂糖は?」
「入れない」
「ミルクは?」
「入れない」
「レモンは?」
「入れない。そのまま飲むんだ」
ま、日本に来たばっかりだし、しょうがないかな……。
恐る恐る口を湯飲みに近づけるサラ。
「どう?」
- 78 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/03/18 20:50:11 ID:h4ARaOEy
- 「なんだか……落ち着く」
「ははは。なかなかイケるクチだな」
笑いながら俺もお茶を一口。
それにしても、全然笑わんな……この子。
「ところで……今度は私があなたに質問してもいいかしら?」
「いいけど。アナタってのは止めてくれないか?」
「じゃあ、どうすればいいの?」
「……将人でいいよ」
ま、『お兄ちゃん』がベストだが……そこまでは望まんよ。
「そう。じゃあ、マサト」
「何?」
「ヨウカンって食べた事ある?」
「は?」
「知らないの?」
「いや、あるけど」
凄い突拍子も無い質問にちょっと戸惑ってしまった。
羊羹って……珍しいとこ狙ってくるな……。
「美味しいの?」
「ああ。甘い物好きなら」
「なるほど……。えっと……じゃ、お城には行った事ある?」
「城?一回ぐらいは」
「へぇ……」
気まずい沈黙……。
これから、たいした予定もあるわけじゃないし……どうしようかなぁ……。
このコを連れてどっかに遊びに行ってもいいけど……多分断られるだろうなぁ……。
「キミ、日本に興味あるんだ?」
「マサト、君っていうのはやめてくれない?サラでいいわ」
「じゃ、サラちゃん。他に何か聞きたい事あるかな?」
- 79 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/03/18 20:51:14 ID:h4ARaOEy
- 「そうね……和菓子って何処で買えるの?」
「和菓子?駅前の商店街に和菓子屋さんがあるけど」
「そのお店、教えてくれない?」
「えっと……この家を出て右に行くと坂道がある。それを下がっていくと駅に着くから、
そこを左に曲がって右側の三軒目の『たちばな』っていうお店だ。黍団子が有名だな」
「たちばな……?」
「あっ。俺とは何の関係も無いから」
「まぁ、いいわ。ありがとう。ちょっと行ってくるわ」
「えっ、一人で?大丈夫?」
「決まってるじゃない。マサト、行ってくれるの?」
「おいおい。俺はサラの食べたい物は分かんないよ?」
「ほらね。一人で行くわ」
「待てって。俺も一緒に行くよ。どうせヒマだし」
「い、いいわよ!!そんなっ!」
……何を慌てているんだ。
「いや、最近変質者とか出るらしいからさ。危ないよ」
「そう……。じゃあ、ご一緒してもらおうかしら」
「ああ。財布持って来るから待ってて」
───────────────────────
鍛えろ腕を 脚を ランランラン♪磨けよ技を 男前♪
えっと、貼っていいかよく分からんが……突然始まったぜ、新シリーズ。
旅先で突然思いついて、ダラダラ書いてみた。(※注 旅先‥新潟)
続くか続かないかは正直分からん。今回は行き当たりばったりで。
しかし……イギリスの文化はもうちょっと勉強しないと……。
- 80 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/18 21:23:08 ID:7qXG5Xo3
- 遊星神GJ!
未来たんとともに期待しております。
- 81 :海中 ◆xRzLN.WsAA :05/03/18 22:21:52 ID:kdkeB6xD
- 新シリーズキター!!うほっ いいハーフ… >旅先は新潟 ( д) ゚ ゚
- 82 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/18 22:29:56 ID:8Hh7BPYS
- おお、来ましたー! 個人的に異文化体験はかなり好きー。 期待値高め。
もうバンバン貼っちゃって下さい。 (前スレ19より)
ってゆーか毎度の様に何か騒ぎ起こしてゴメンなさい。 orz
ぜ、全部消したなんて嘘ですよね・・・?
- 83 :月影に踊る血印の使徒:第二夜 1 :05/03/19 08:41:04 ID:WTKVMXJY
- 世界は千十一の要素で構成されている。
其の始原要素、10。
光、闇、生、地、水、火、風、死、獣、そして人。
全ての要素はこの始原要素の何れかに属する。
私は「死」に属する「血」の使徒。
ヒトに「死」を与える使徒。
然し、今は違う。
私は「血」に新たなる意味を見出した。
「絆」という意味を―――。
「如何だ、調子は」
ベッドの上の史也に話し掛ける。
「んあ・・・おはよう、奈菜・・・・・調子なら普通かな」
「普通、か・・・其れでは良く分からん」
「あー・・・そんなこと言われてもなぁ・・・・」
史也は腕を回し、首を横に鳴らした。
「ずっとこの状態だし・・・足が折れてる以外は多分健康そのものだぜ?」
事実、史也の傷は骨折以外既に完治していた。
之が「使徒の隣人」の持つ特性。
永きの間使徒と関わって来た者は、其の使徒の司るモノに関する「世界」からの干渉が薄れる。
私が本来司るは、ヒトの死。
史也は極端に「死に辛い体」に成っているのだ。
「もう入院してる理由なんかねーんだけどなぁ」
「否(いや)・・・念には念を入れて、だろう。 ・・・・異常な位の生命力だからな」
「うわ・・・なんかトゲのある言い方・・・」
「そんな事は無い。 之でも褒めている心算(つもり)だ」
「うわ〜、喜んでいいのか微妙〜」
ふと、ベッド向かいの棚の上を見る。
「・・・・其れは」
「ん? ああ、お前から貰ったヤツ」
- 84 :月影に踊る血印の使徒:第二夜 2 :05/03/19 08:42:27 ID:WTKVMXJY
- 其れは確かに、私があの日贈ったシューズ。
「俺の血で汚れちまったからな、空いてる時間に洗っといた」
「・・・・そうか」
「大切なモンだからなー、キレイにしとかないと」
「・・・・大切な・・・物」
史也が、私の贈った物を大切にしている―――。
何故か分からないが、私は非常に嬉しくなった。
「あ・・・奈菜、お前・・」
急に史也が私を見詰める。
「・・・・何だ?」
「今までロクに見れなかったけど、笑った顔、可愛いな」
「・・・・・・・馬鹿野郎」
すぱーん。
私の突込みが史也の頭に入る。
「いてー・・・手加減抜きかよ・・・・・」
「当然だ。 健康なのだろう?」
「んまぁ、そうだけど・・・・」
「其れじゃあ私はそろそろ行くぞ」
「ああ。 勉強頑張って来い」
「ん。 ・・・・そうだ、起こして悪かったな」
「・・・・普通は一番最初に言うんじゃないか、ソレ?」
「済まん・・・・未だ、ヒトに気を使う、と云う事に慣れていないんだ」
今迄そんな事を考えた事が無かったから・・・・。
「いんや、別にかまわねーよ。 俺も奈菜と話せて良かったし」
「そうか・・・では、行って来ます」
「おう、行ってらっしゃい」
戸を開け、病室を出る・・・前に。
「どした、奈菜?」
「・・・・・早く元気に成れよ・・・・・・・お、お兄ちゃん」
其れだけ言って、私は戸を閉めた。
- 85 :月影に踊る血印の使徒:第二夜 3 :05/03/19 08:44:47 ID:WTKVMXJY
- 「おはよー、奈菜ちゃん」
今日も校門前で有紗に声を掛けられる。
「ん、お早う、有紗」
「お兄さんどうだった?」
「うん、大丈夫そうだった」
「・・・・えへへ〜」
「・・・・何だ?」
「やっぱり今朝も行ったんだ〜」
「・・・・何か可笑しいか?」
「え〜? なんかさー、奈菜ちゃんとお兄さんが急速接近! って感じ?」
「・・・・何だ、其れは」
「前ならさー、毎日なんて通わなかったよーきっと」
「其れは・・・そうだな・・以前の私なら、きっと然程心配しなかっただろうな・・」
「およ? なんか素直にもなった感じ?」
「ん・・・私は自分が思って居たよりも、ずっと子供だった様だ。 おに・・兄が、気付かせてくれた」
そう、私は未だ未だ子供。 ヒトを寄り代とした事など、幾度もあった。 だが、一度もヒトを理解しようとした事など無かった。
だから、私は子供。 何も知らない子供なのだ。
「へぇ〜・・・呼び方変えたのもその影響?」
・・・・・有紗は時々、妙に勘が働く。
「・・・・余計な所で耳聡いな」
「お兄ちゃん、って呼ぶことにしたんだー、へぇ〜」
「・・・・何だ」
「ん〜? ど〜して隠そうとしたのかな〜って」
「・・・・・・恥ずかしい、から・・・だと思う」
之が、「恥ずかしい」と云う想い。 感じた事が無い訳じゃない・・・けれど、認識したのは、之が初めて。
「・・・・・なんか奈菜ちゃん、ますます可愛くなっちゃったなー」
「何を言っているんだ・・・・行くぞ」
「あ、待ってよ奈菜ちゃーんっ。 そんな照れなくてもいいのにーっ」
「・・・照れてなど・・いない」
・・・・・・之が、照れ。
- 86 :月影に踊る血印の使徒:第二夜 4 :05/03/19 08:47:06 ID:WTKVMXJY
- 今日も私にとって退屈でしかない時間が過ぎる。
「数」のルール、「物質」を構成する元素と言う名の「要素」、世界に存在する「力」・・・・。
どれも之も、「世界の要素」で在る私が知らない筈の無いモノばかり。
だが、此の頃は楽しみも出来た。
ヒトの想いを乗せた言葉達や、ヒトの歴史。
ヒトの想い、ヒトの物語。 どれもが私の心を満たす。
私はもっとヒトを知りたかった。 「私」を知りたかった。
何故今迄知ろうとしなかったのだろう。 世界には、ヒトで満ちていると云うのに。
今、其の歴史の時間に・・・視線を感じ窓を見る。
木々の上に留まる、一羽の鳥。
碧い瞳に、確かに「意思」を乗せて・・・。
・・・・私は手を挙げた。
中年の歴史教諭が私を見る。
「・・どうした、太刀川」
「少し、頭が痛むので・・・保健室で休養を取らせて頂きたいのですが」
「貴様、何の用だ」
私は木々の上の鳥に言った。
「なんか不機嫌だね、キミ」
鳥が、応える。
「楽しみにしていた時間を潰されたんだ。 不機嫌にも成る」
「あらら・・・こりゃ悪いことしちゃったかな・・・待ってて、取り敢えず降りるから」
ばささささっ―――目の前に降り立った鳥は、思ったよりも大きかった。
「先ずは自己紹介。 僕は七人目の僕、八百五番目の使徒。 司るは『断』。 キミは?」
・・・・こいつ・・『世界』からの刺客、か・・・?
「・・・・私は八人目に従属する七十七番目の『血』の使徒。 名は太刀川奈菜」
「へぇ・・いいな、ヒトの寄り代は名前があって。 僕も5、6代前はヒトが寄り代だったんだけどさ」
「・・・・其れで、何の用なのだ?」
「うん、あのね、ここらへんで使徒に心当たりないかな?」
「・・・・と言うと?」
- 87 :月影に踊る血印の使徒:第二夜 5 :05/03/19 08:50:13 ID:WTKVMXJY
- 「うん、実はね、『欠員』が出てるんだ。 それ自体はそんなに珍しいことでもないんだけど」
欠員――例えば使徒が寄り代から寄り代へ移る間、世界からは其の要素が消える。
短い間ならば他の要素で補う事が出来るのだが、永く「欠員」が出ると其れも又摂理の流れに淀みを生じる。
「結構永いことなんだ。 だから『忘却者』が出たんだと思うんだ」
・・・・・如何やら「世界」からの刺客ではないらしい。 私が「恐」を「殺した」のは、つい先日の事だからな・・・・。
「『忘却者』、か・・・・」
永い永いヒトや生き物、樹木などの生。
寄り代として其れ等に関わり続けて行くと、自身が使徒で在る事を「忘れて」仕舞う者が居るのだ。
「生憎と私の周りに其れらしい者は居ないな・・と言うより私はそう云ったモノを探すのに向いていない」
「うーん、そっかぁ・・・」
気配を感じ、振り返る・・・其処に一匹の猫。
「あ、姉さん」
鳥が羽ばたき、猫の側に降り立つ。
「姉さんと呼ぶのは止めなさい。 未だヒトだった時のクセが抜けていないのね」
猫が喋りだす。
「良いじゃないか、使徒としても姉弟みたいなものだろ」
「もう・・・初めまして。 私は七人目の僕、八百四番目の使徒。 司るは『切』」
「私は・・・」
「存じておりますわ。 八人目の七十七、『血』の使徒」
「・・・・・・名前が抜けている。 太刀川奈菜だ」
「そうでしたね。 では、お聞きになったと思いますが、私たちは『忘却者』を探さなければいけませんので、この辺で」
猫が後ろを向く。
「じゃ、そういうことだから。 勉強の邪魔してゴメンね、奈菜」
鳥が大きく羽ばたき、空へ昇って行った。
「そうだ、奈菜さん。 『恐』の使徒を、知りませんか?」
「・・・・・・いや、最近は見ていないな」
「・・・・そうですか。 奈菜さん、気を付ける事です。 例え貴方が『観念』を倒すことが出来たのだとしても、所詮は一使徒。
『現象』二人に掛かれば・・・・貴方が『死ぬ』ことに成るのですから。 では、さようなら」
身を翻し、猫は街へと消えて行く。 ・・・切の言葉。 其れは私の行いが「世界」に通じていると云う事・・・。
そして、命令さえ在れば・・・・何時でも私を「殺し」に来ると云う事。
- 88 :月影に踊る血印の使徒:第二夜 6 :05/03/19 08:51:50 ID:WTKVMXJY
- 「奈菜ちゃーん、心配したよぉーっ! いきなり授業休んじゃうんだもーん!」
「・・・・有紗、保健室では静かにするものだ」
「ふーんだ、親友に心配掛ける奈菜ちゃんがいけないんだもーん!」
無茶苦茶な理屈・・・だけれど。
「親友・・・・」
「そーよ! この頃奈菜ちゃんお兄さんのこととかで忙しそうだったし、わたし結構心配してたんだからね! 親友として!」
「有紗・・・・・私は、有紗の、親友なのか?」
「え・・・な、何ソレぇ!? それが幼稚園の時から一緒だった親友に言う言葉ぁ?!」
「い、いや・・・有紗にとって、私は親友と呼べる様な存在なのか?」
「あったり前じゃないのぉ! ソレとも何?! 奈菜ちゃんにとってわたしって親友でも何でもなかったの?! そーなの!?」
「わ、私は・・・親友とか、そう云うの・・良く分からないから・・・」
「何、何ー? 今日はわたしを怒らせるキャンペーン? 親友の意味? 好きか嫌いか、それだけでしょ!」
「そ、そう・・・なのか?」
「あーあ、奈菜ちゃんがわたしを嫌いだったなんてかなりショックぅ・・・」
拗ねた様な言葉。 頭で本気で無いと分かっていても、其の言葉に慌ててしまう。
「あ、否、べ、別に有紗が嫌いとかじゃなくて・・・」
「でも、わたしは親友じゃーないんでしょー?」
「あ・・・・有紗は・・・私の、親友・・・だ」
「どうして?」
「私は・・・有紗が、好き・・・・だから」
「・・・・えへへ、なーら許しちゃう」
有紗に笑顔が戻った。 ・・・此処でやっと気付く。 私はこの笑顔が好きなんだ、と。
「有紗は・・・私の事、好き・・・・か?」
「ん? うん、だーい好きっ」
何の臆面も無く・・余りにも無防備過ぎる其の言葉は――私には、眩し過ぎる。
「あ、あれ・・・? な、奈菜ちゃん、泣いてるの?」
「ん? いいや、私は笑っているよ」
「で、でも、涙が・・・」
「嬉しくたって、涙は出るのだろう?」
史也と有紗。 二人の絆が在る限り、私は負けない。
- 89 :月影に踊る血印の使徒:第二夜 7 :05/03/19 08:53:34 ID:WTKVMXJY
- 「はいはい、二人の友情物語はそこら辺にしてもらえる?」
奥から透き通る声。
「あれ、吉川先生居たのー?」
「あのねぇ・・・保健の先生が保健室に居なくてどうするの」
「だってー、こっからじゃ見えないんだもーん」
「土方さん・・・私を怒らせたいの?」
しゃっ、とカーテンが引かれる。 其処に現れるのは白衣の女性。
「いくら貴方達しか居ないからって、あんまり騒がれちゃこまるの。 ここは保健室なんですから」
「はーい。 いやーしかし吉川先生、今日もお美しいですなー」
「何を言ってるの・・・太刀川さんも元気があるなら起きて教室行きなさい」
「あ、吉川先生、今のはNGです! いくら美しい吉川先生でも、わたしの親友に無理させたらダメダメです!」
「否・・・先生の言う通りだ。 もう大丈夫だから、教室に戻ろう」
「本当に大丈夫? 無理なんかしたら駄目だよ?」
「ああ・・・大丈夫だ、無理はしない。 有紗や、おに・・いちゃんに、心配を掛けたくないからな」
言って、有紗に笑い掛ける。
「わ・・・・・な、奈菜ちゃんって・・」
「何だ?」
「笑うと一層カワイイね」
「・・・・・」
べしっ。
「い、痛ーい! 奈菜ちゃんがぶったー! 割と本気でーっ!」
「・・・二人で同じ事を言うからだ」
「え、何・・・あ、待って待ってぇ! 何処行くのぉ?」
「・・・・教室だと言ったろう」
私はドアを開け、挨拶をしてとっとと出て行く。
「あ、待って、待ってってばぁっ! そ、それじゃ失礼しまーすっ」
「んふふ・・・仲良きことは美しきかな。 子供達って飽きないわねぇ・・なんて、年寄り臭いかしら?」
にゃあ、にゃぁー。
「あら・・・・猫かしら?」
- 90 :月影に踊る血印の使徒:第二夜 8 :05/03/19 08:56:06 ID:WTKVMXJY
- 「其れじゃあな、有紗」
そして放課。
「んー、お兄さんによろしくねー・・・・はぁ」
言葉尻の溜め息。
「幸せが逃げるぞ」
「え・・・あ、そーだね」
「如何したのだ、有紗」
「んー・・・わたしもお兄さんのお見舞い行きたいなー、って。 一日くらいピアノサボっても大丈夫かな?」
「サボりは善くないな」
「え〜、奈菜ちゃんヒドいよー。 自分ばっかりお兄さんとー」
「・・・・・有紗。 私も兄・・お兄ちゃんも、有紗のピアノが好きだ」
「えっ?」
「だから・・・退院した時、聞かせてやってくれ」
「あ・・・・う、うん!」
「練習、確りな」
「まっかして! 有紗ちゃんの超絶テクでお兄さんも奈菜ちゃんもピアノ中毒にしちゃうんだから! 退院の日、覚悟しておくことね!」
「嗚呼、覚悟して置くよ。 又な」
「ばいばーい!」
街の中心街へと有紗は駆け出す。
私はと言うと反対方向、今朝の病院へと歩き出す。 学校からは少々遠い道。 歩く裡(うち)、段々と辺りも暗く成る。
家々から流れる夕食の香りと温かい灯り。 其れ等に安らぎを感じ始めている自分――――。
私は、ヒトに近づけているのだろうか・・・・。
<<・・・すけて・・・! ね・・んを、た・・て・・・!!>>
「!?」
突如私の頭に響く思念の波。 痛切で、唯想いだけをぶつける様な思念。
何だ・・・・こんな「思念」を繰る事が出来る者が・・・この街に居たのか?
突風が駆け抜け、私の真後ろで一塊に成る。
其の中心に、一匹の猫。
「・・・・・貴方・・七十七番目・・?」
其の猫が、喋りだす。
- 91 :月影に踊る血印の使徒:第二夜 9 :05/03/19 08:59:31 ID:WTKVMXJY
- 「お前は・・・切か? 寄り代を変えた様だが」
「ええ・・・私の寄り代は、『焼かれて』しまった」
「『焼かれた』・・・?」
「済まないけれど・・・力を貸して欲しいの・・断を助ける為に」
走りながら喋りだす。
「私は欠員らしきヒトを見付けた。 暫く様子を見たけれど、やっぱり『忘却者』だった・・・。
だから私は記憶に干渉して呼び起こそうとしたの」
「・・・・お前にそんな事が出来るのか?」
「私は七人目の僕。 吹き抜ける風程度になら干渉も出来るわ」
「・・其れで?」
「彼女は、目覚めた・・原始の意思の儘に・・・・。 今彼女の頭には唯一つの思いしかないわ」
辿り着いたのは―――私の、学校。
「自分が司るモノを唯司るという意思だけ」
人影無きグラウンドの真ん中に白い影。
「六人目の腕、百八番目の使徒」
美しき顔に表情は無い。
「司るは、『焼』」
「・・・・・吉川先生」
足元に、焼け焦げた黒い物体・・・昼間見た切の寄り代だろう。 手には一羽の鳥・・・・断だ。
「ねえ・・・さん・・・」
「断・・・!!」
「ゴメン・・・流石に・・『火』には、勝てなかった・・・・よ・・」
「断、待ってて、今助け―――」
ぶわんっ!
衝撃波の様なモノが掛け、思わず目を閉じる。
開く・・・と共に広がる焦げた臭い。
白衣の右手に最早鳥の姿は無く・・・・・唯、焼け焦げた、肉塊。
「・・・・・くっ・・!!」
之が、「焼」と云う「現象」・・・・。
- 92 :月影に踊る血印の使徒:第二夜 10 :05/03/19 09:01:10 ID:WTKVMXJY
- 「私は・・・・『焼』。 あらゆるモノを、大地へと還す力。 私は、還す。 全てを、『世界』に」
「・・・焼! 徒に『世界』を還元して、如何するというの!」
「私は・・・・『焼』。 あらゆるモノを、大地へ―――」
「・・・・・駄目ね・・如何にかして止めないと、この辺り一帯を焦土にしても止まらなそう」
「・・・・仕方在るまい」
私は意識を集中させる。
「暗き闇より深く、燦然と輝く生よりも美しく・・・全てのモノに等しく在り、唯唯一なるモノとして在る―――。
此処に具現せよ。 我に体現せよ。 世界に存在せよ。 汝は死、我が手に集いて其を示せ」
現れる、大鎌。
「殺すの?」
「真逆(まさか)。 あれは私の学校の先生なんだ。 死なれては困る」
「多少手荒な方法で・・・って事ね」
「ああ。 相手は『現象』だ。 二人掛かりとはいえ油断するな」
「それはこっちのセリフよ」
たんっ―――私から飛び掛る。
「汝・・・使徒で在りながら、私を邪魔するか・・・」
片手で大鎌を受け流し、私の懐へ潜り込む。
「こっちよ!!」
其の隙に背面に回り込んだ切が、其の爪を振るう―――が、最小の動作で其れを回避する。 即ち、私を吹っ飛ばし、前へ。
「くっ・・・っ!」
着地し焼の方を見る―――眼前に迫る焼。
「『焼けろ』」
ぶわっ。 私を炎が包む。
「ああっっっ!!!」
「彼女を、放しなさい!!」
切が焼に飛び掛る・・・が、又してもかわされ、体を捕らえられる。
「汝、再び『世界』へ還るか?」
「ぐっ・・・!!」
「其の手を、放せぇっ!!」
大鎌の柄を当てる様に振るう。 が、余計な気遣い立った様で、焼は難なく其れをかわす。
- 93 :月影に踊る血印の使徒:第二夜 11 :05/03/19 09:03:10 ID:WTKVMXJY
- 「っっ!!」
一瞬逸れた焼の注意を見逃さず、切は如何にか自由を得る。 私達は素早く距離を取った。
「・・・・『強い』な」
短い迎合だったが、「強さ」の差が嫌と言う程分かった。
「ええ・・六人目の系統は使徒の中でも『強い』部類。 しかも・・・風は火を煽るだけ」
「相性も悪い、か・・・全く、厄介事を持って来てくれたな」
「悪かったわね・・・・」
「・・・・切、一太刀で良い。 如何にかして焼の・・先生の体に傷を付けろ」
「何・・何をするつもり?」
「私が何を司っているか、忘れたか」
「・・・いいわ、よく分からないけれどやってみるわ」
駆け出す切。 私も右方向から焼に駆け寄る。
「せぇいっ!!」
切が躍り掛かる。 焼は上半身を逸らしてかわし、切を左手で捕らえようとする。
「はっ!!」
私が切り掛かる――大鎌の攻撃範囲外から。
「!」
一瞬の虚―――投げられた大鎌に焼の反応が遅れる。 其れは本の小さな隙。 大鎌をかわすのには問題はない。 だが。
「そこよっっ!!!」
切が焼の左腕に斬撃を与える。
「―――!?」
不測が二度も続き、焼は無防備。 意識其の物で在る使徒にとって、其れは致命的。
「私の邪魔をするな!!」
ごうっ! 切が炎に包まれ、飛ぶ。
「其方ばかり見ていて良いのか?」
私は左腕の傷口を掴んだ。
「――暫く眠っていろ」
「・・・・な、に・・・・を・・」
「喋るな、辛いぞ」
ふっ――と焼の意識が途切れ、私に崩れ落ちた。
- 94 :月影に踊る血印の使徒:第二夜 12 :05/03/19 09:05:15 ID:WTKVMXJY
- 「何を・・・したの?」
起き上がった切が、此方に歩いて来る。
「先生の体の血の流れを止めた」
「血流を・・・?」
「嗚呼。 原始の意思しかないので在れば、寄り代と使徒の結び付きも強い。 ヒトの・・寄り代の意識を奪う方法で十分だ」
「血流を止めても・・・暫くは意識が残るのではなくて?」
「こいつは『焼』だ。 酸素のない状態に長くは耐えられないだろう」
「――使徒の意識のクセを利用するとはね・・・『恐』も、そうやって倒したのかしら?」
「・・・・やはり、『世界』は知っていたか」
「少なくとも・・『始原の十人』は知っているのでしょうね。 私は『空』に聞いたのだけれど」
「はっ、あの噂好きか。 奴に掛かれば『世界』中に知れ渡るのも時間の問題だな」
私は自嘲気味に笑った。
「・・・貴方は、何故・・『世界』を――」
ごおっ!!
轟音に言葉が掻き消される。 又も切は炎に包まれた。
「なっ―――!!?」
私の腕の中の先生が―――目を、開く。
「うふ、うふふふふ・・・流石ね、『血』の使徒」
辺りが、赤に包まれる――。
「六人目の配下を使って負けるなんて・・・予想外よ」
私が、燃えている・・・・。
「安心して。 未だ、『殺さ』ないから・・私の受けた苦しみを、味あわせてあげるから・・・・。 うふふふ・・・・・・」
其の美しい顔が狂気の笑みに歪むのを見て・・・・・私の意識は、途絶えた。
冷たい感触―――私の意識は其れに呼び起こされた。
「お目覚め?」
見下ろす、『焼』・・・・・。 床に倒れた、私。
「此処が何処だか、分かるかしら?」
意識がはっきりとしてくる・・・忘れる筈が無い、今朝程来たばかりなのだから。
- 95 :月影に踊る血印の使徒:第二夜 13 :05/03/19 09:08:27 ID:WTKVMXJY
- 「そう、此処は病院。 深夜、誰もが寝静まる、患者達の病棟」
私の横には、切。
「彼女なら大丈夫。 無関係の使徒を『殺す』理由は無いもの。 唯、彼女は七人目、風の僕。
空気を断ち切ったのだから暫くは動けないでしょうね」
「お前は・・・何を・・・!?」
「うふふ・・私は私が受けた苦しみを、貴方にも返したいだけ」
「貴様・・・・『焼』では、ない・・・?!」
「うふふふふ。 そんな事は然したる問題ではないわ。 貴方が『太刀川奈菜』でないのと同じでしょう?」
息が苦しい・・・・頭が痛む・・・・・声が、頭に響く・・・。
「貴方は、『恐』を『殺した』。 私の半身も同じ、彼女を。 だから殺すの。 貴方の半身を」
私の半身・・・真逆!?
「うふふふふふふふふ。 そう、其の顔。 彼女が一番好きだった」
焼・・・白衣が、歩き出す。
「黒焦げにしてあげるから、火葬代は浮くわよ? うふふふふふふふふふふふふふふ」
「くっ・・・貴様、待て・・・!!」
「あら、無理はしない方がいいわよ? 今此処はとても酸素が薄く成ってるから」
「くぅ・・・!!!」
一歩が、途轍もなく重い。
「『焼』って便利ね。 この『現象』なら、広範囲の生き物を殲滅する事も出来るわ。
いっそ八人目の従属にした方がいいかも知れないわね。 うふふふふふふ」
「ま、て・・・・!!!」
「うふふふふ。 ゆっくりついて来るといいわ。 待っててあげるから」
たん、たん、たん―――廊下に足音が響く。
奴は・・『焼』の現象を如何にか利用して、自分の周りに酸素を確保しているのだろう・・・・。
其の後を、間抜けの様に着いて行く。
「くぅ・・・はぁ・・!!」
途中、何度も倒れそうに成りながら。 其の度に奴は此方を見て、笑う。
如何したの? 貴方の半身の命は、私の手の内に在るのよ? 取り返さなくて良いの? と。
「くっ・・・・・!!!!」
「ほら・・・もうすぐよ?」
- 96 :月影に踊る血印の使徒:第二夜 14 :05/03/19 09:10:53 ID:WTKVMXJY
- 指差すプレート・・・・507、太刀川史也。
「さて・・如何する? 此の儘部屋の外から火葬する事も出来るわ。
其れとも、直接彼が焼ける様を見たい? うふふふふふふふ」
「くっ・・・!!!!」
「私は、彼女の死に様を見られなかったわ・・・。 其れはとても辛い事。 貴方にそんな辛い思いをさせるのも気が引けるわ。
うふふ。 だから・・・貴方の目の前で焼いてあげるわ・・・うふふふふふふふふふ」
「止め・・・ろぉ―――!!!」
すっ・・・ドアが開かれる。
其処に眠る、史也。
「うふふ・・・さぁ、さよならよ」
白衣の手が、史也に伸び・・火花が散る。
ぶわっっ!!
突然の突風。 炎は史也でなく、白衣を包んだ。
「奈菜、大丈夫!?」
後ろから、聞き慣れぬ男の声。
「うふふふふ。 上手く風を操って炎を私に向けたのね? でも、この体は『焼』。 炎などに焼かれる事は無いわよ?」
すぐに火は消えた。
「奈菜、僕の『現象』を貸す! 奴と『焼』との『繋がり』を『断』って!!」
「―――出ろ!!!」
私の一言で具現する大鎌。 其処に、『現象』を乗せる。
「たぁ―――!!!」
すっ―――間違い無く、刃は白衣を捕らえた。
糸の切れた人形の様に、先生の体は崩れた。
「・・・・・・・・・・・上手く・・・いったの?」
「・・・・嗚呼。 空気が、軽く成った」
風が吹く。 外から中へ、今迄押し止められていた空気が動く。
「そうだ・・・他の患者達は・・・」
「ん、廊下とこの部屋だけみたいだよ。 彼の周りは確保されてたみたいだし、僕の部屋も大丈夫だった。 だから空気を持って来られたんだけどね」
「・・・・貴様、知っていたのか? 私が何をして・・そして誰かに狙われていたのを」
「・・・・出ようか」
- 97 :月影に踊る血印の使徒:第二夜 15 :05/03/19 09:18:03 ID:WTKVMXJY
- 屋上、星々の光が私達を包む。
「切は、如何だ」
「うん、大丈夫っぽい。 何だか変な気分だね、こうしてヒトの姿で猫の姉さんを見るのは」
左手に抱き締めた切を、男――断は優しい目で見ていた。
「ふう・・いい加減しんどいな。 よいせっと」
右手に抱えた焼――吉川先生をベンチに降ろす。
「姉さんもここで寝ていてくれよ」
そっと、切を寝かせる。 暫しの間を取って、話しだす。
「・・・・・・・・僕は『生』の意思で動いてる」
「・・・・三人目の?」
「うん。 奈菜の取った行動は確かに『摂理』の流れに反しているかもしれない。 けれど、使徒としては正しい行動だった。
奈菜の見付けた新しい『意味』は、『世界』にとっては意外なものだったし。
今までずっと『死』の従属だと思っていたのに・・・むしろ『人』の方が近かったんだもん」
断は手摺りに寄り掛かり、肩越しに街を見た。
「だから、今『世界』は揉めている。 奈菜を、『摂理』に背いた者として『殺す』か、否か」
「三人目は、私を生かす意見か」
「そうじゃない。 まだ見極めきれてないんだ。 キミを迎えるべきか否か。 だから、見届け人を僕に頼んだ」
「・・・では、何故私を助けた?」
「姉さんを助けてくれたから」
「・・・・其れだけか?」
「本音はね。 建前も在るよ。 アイツは個人の恨みで奈菜を狙ってるから、っていう。 さっきも奈菜より先に彼を殺そうとした」
「・・・奴は・・『恐』を自分の半身と言った・・・奴は、何者なんだ?」
「それは・・・まだ分からない。 唯・・・相当な『強さ』だね。
『現象』を操って・・『時の制限』を認識出来る媒介無しでやってのけた」
「『根源』か、其れ並みの『強さ』か・・・」
「・・・・どうするんだい、奈菜。 はっきり言って勝ち目は無いよ。 『世界』がすぐに結論を出すとも思えない」
「相手が何で在ろうと・・・」
私の司る『絆』に誓おう。
「私は史也を護ってみせる。 絶対に―――」
仰いだ夜空には、燦然と満月が輝いていた。
- 98 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/19 09:22:09 ID:WTKVMXJY
- はい、スレ違いです。
月影に踊る血印の使徒:第二夜 >>83-97
今回、はっきり言っても言わなくても、ご期待いただいたほど面白くなかったと思います。
理由はたんとありますが、まず特に焦点がない。
前回は奈菜がうじうじ悩んだり、マネキンのいかれっぷりとか、萌え要素は結構あったんですが・・・。
今回は世界観の拡張みたいなのと、前ふりみたいなのぐらいに終始してますねぇ。
何人かのご期待頂いた方のために、出来る事なら第三夜を書かせていただきたい。
しかしスレ違い。 困ったもんだ。
っていうかこんなんでいいんかって、一時間ぐらい送るの悩みました。
「ええい送っちまえ」ってリアルに言って送信しました(馬鹿)。
これ、さっぱり分かんねーよ、どーいうこと? っていうのがあったら聞いてください。
ちゃんと考えてるのだったらお答えできますんで。
あ、今回はちょっとおまけがつきます。 少し待っててください。
- 99 :なぜなに月下:いちにちめ :05/03/19 09:26:13 ID:WTKVMXJY
- 「有紗と!」
「・・・切の」
「なぜなに月下ー!」
「・・・何故私がこんなことを・・」
「うるさい! えいぎょ−しなさい!」
「はいはい・・此処では言葉足らず、表現足らずの書き手に代わって貴方達の疑問を解決してあげるわ(棒読み)」
「まず最初の疑問は・・5レス目9行目ー! 私には向いてないってどーいうこと?」
「例えば私達七人目・・『風』の僕はヒトの心に色々干渉出来るわ。 風はヒトの心に結構影響を与えられるもの。
そして奈菜は『死』の従属。 情報を得たりするのには向いてないわ。 特に奈菜は『血』だから、余りヒトの心に関わらないもの。
最も、『絆』としての奈菜は如何だか分からないけれど。 奈菜自身もまだ『絆』としての自分を掴み切れていないから、未知数ね」
「ほー。 んじゃ、次ー!」
「(絶対に理解していないわね、この娘)」
「12のはちー。 使徒の意識のクセってー?」
「使徒は意識其の物だから、本来寄り代が受けた物理的干渉其の物以上の影響は受けないの。
ただ、例えば今回は『焼』だけれど、『焼』という現象は酸素が必要でしょう?
だから沢山酸素があればもっともっと『燃え』られる『気がする』。 逆に無いと自分の存在すらも危ういような『気がする』の」
「気がするー?」
「ええ。 意識其の物なんだから、『気がする』というのは非常に重要なの。
第一夜の奈菜の格好だって、気分を上げる以上の効果はないわ」
「へー。 気分屋さんなんだね、使徒ってー」
「・・・・・・・気分屋さん・・」
「今日の最後! 14の18! 現象を貸すって何ー?」
「使徒としての意識を薄くすることで、使徒の『現象』を世界から無くすの」
「無くすの? そしたら誰かが補わなきゃダメなんだよね?」
「そう。 逆を言うと、其の『現象』を誰かが代行出来る様に成る、ってことでしょう? 断は其れを『貸す』って表現したのね」
「ふーん」
「因みに『断』たれたモノは二度と一つに戻ることは無いわ。 之は私と『断』の最大の違いなの」
「ほほー。 よーし今日は勉強になったぜ旦那! みんなー、次回もちゃんと見てねー!」
「次なんてあるのかしら・・・?」
「それは言わないお約束〜。 もう会えないかもだけど、またねー・・・」
- 100 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/03/19 10:51:41 ID:EDS4V9VT
- 書くの早ぇぇ……しかも凄ぇ……。
姐さんに(とてつもなく身分を弁えてない)一言。
『自分を信じる事。それが自分が自分らしくあるための第一歩』(>40さん辺りは苦笑いだと思います。はい。大好きです)
つまり……他人を念頭においてSSを書くと、やっぱ書いててもつまらないですよ。
なので、自分が萌えられるor面白いと思う台本を第一目標にすべきだと思います。
それさえ行ってれば、少なくとも俺は文句言いません。
って、偉そうにもほどがあるよ……すみません、マジで。orz
- 101 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/19 22:55:41 ID:nYhoD2mQ
- もう、おもしろければ何でも構いません
- 102 :雨音は紫音の調べ ◆cXtmHcvU.. :05/03/19 23:12:42 ID:Y0OABBB/
- >>遊星さん
乙です〜!GJ!新シリーズですか!
ハーフ…萌え……! (*´Д`)ハァハァ
>>たゆんさん
乙です〜!
凄いですよ!マジで!
隔離スレに感想書いたので
手の空いた時に見てください!
- 103 :雨音は紫音の調べ ◆cXtmHcvU.. :05/03/20 00:24:53 ID:DCEAXzVe
- ↑隔離スレというのは
あの雑談スレの事です。すみません。
- 104 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/03/20 09:14:56 ID:ZvCnOG4i
- これを読めば話は大体分かる。遊星より愛を込めて台本基礎知識。(for beginners)
双子の話→明るい姉の石川唯奈(ゆな)と大人しい妹の石川千奈(ちな)の双子と、
お兄ちゃん(お兄さん)石川真司の話。義理。正直、千奈はほぼ未来。
『唯奈は何でも気兼ねなく話してくれたし、千奈も聞かれれば答えてくれた。
二人の特徴としては、俺に話してくれた限りではだが、
唯奈は明るく、素直な子。勉強はあんまりだが、テニスとかスポーツが得意らしい。
対照的に千奈は大人しく、恥ずかしがり。趣味は読書とお菓子作りらしい。
不思議なくらい正反対な二人だが……俺は、それが仲の良い理由ではないかと思っている。』
梨那の話→明るく無邪気、ちょっとバカな相川梨那と、成績優秀なお兄ちゃん、州田(すだ)敬介の話。
二人は同学年で幼馴染、勿論兄妹ではないが、兄妹のような関係。
『こいつの名前は相川梨那。俺の幼馴染。もちろん妹ではない。
だが、小二になるまで自分が俺の実の妹だと信じていたバカなヤツだ。
そのクセで、俺のことをお兄ちゃんと呼ぶのだが……。
「大体、一年も歳離れてないんだぞ、俺たち?しかも同じ学年だし」
ちなみに、梨那は俺と同じ学年である事に小一の三学期で気付いた。
「でも、お兄ちゃんはお兄ちゃんだよー?」』
- 105 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/03/20 09:16:15 ID:ZvCnOG4i
- 沙耶の話→無邪気で元気一杯、ちょっと臆病で引っ込み思案なところもある三上沙耶と、
沙耶のツインテールを引っ張ったり、からかったりしながらも沙耶を見守るおにぃちゃん三上修二の話。
仔犬とご主人様のじゃれ合いみたいな話にしたかったが、現実はただのロリキャラ……
『俺に起きて欲しい何かしらの理由があるのだけど、
無理には言えなくて、泣きそうになってる。そんな顔だ。
「……お休み、おにぃちゃん。でも……出来るだけ、早く起きてきてね……」
こういうネガティブな急かし方も沙耶らしいといえば沙耶らしい。』
未来の話→真面目で料理マニア、機械オンチの未来(みく)と、セクハラ全開のシスコン兄さんの話。
ハッキリ言えばエロ担当。
『「もっ、もう!!兄さん!!実の妹口説いてどうするんですか!!」
「そりゃ、妹だろうと何だろうと、未来が可愛すぎるからに決まってるだろ……?」
そう言って、俺は妹の首に手を回し、妹の顔を俺の顔に引き寄せる。
「にっ、兄さん!!!」
顔を真っ赤にして、俺の手を振り解く。こういう純なところがとてつもなく可愛い……。』
───────────────────────
……ま、今更だけど、新スレだし一応必要なんじゃないか……と、思って。
>雨音は紫音の調べ 様
えっと……『あの雑談スレ』とやらに心当たりが無いのですが……
俺……もしかして隔離された……?
- 106 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/20 14:34:45 ID:umApLcvD
- あーや、僕の方です。 ぎゃるげ板に巣くう駄目コテどもが群がるスレですー。
貴方を隔離なんて、そんな。
なんか尊敬してる方に姐さんって呼ばれちゃった。 如何しよう。
うみゅ、言い訳はすまい。 兎に角面白いの目指してこれからも頑張らせて下さい。
明日へ向けて。 日々是精進。
自分も皆も納得出来たらベストかなー。 そんな日を夢見てパッション。
む? 偉そう? 何を仰るキタキツネ。 貴方は! 偉いんですよ!
私の心の師匠七人目指定です(如何でも良い)。 之からも迷える私に道を示してやって下さいね、遊兄さん。
・・・・慣れ慣れしいか。 スイマセン。
↓次までの繋ぎ+自己満足。 細い設定ハァハァ。 有紗ハァハァ。
- 107 :なぜなに月下:ににちめ の1 :05/03/20 14:38:34 ID:umApLcvD
- 「ほいきた! 有紗と!」
「・・・・・切の」
「なぜなに月下〜!」
「・・・本編が続くか如何かも微妙なのに、よくやるわね」
「うるさいなー、続くのを願ってでしょー? はい、今日はにゃんこちゃんが進行して」
「にゃんこちゃん・・・・・・・・・んん、今日は使徒の種類について」
「おおー、ぱちぱちー」
「先ず、使徒は世界を構成する千十一の要素全てに居るわ」
「1011人だね」
「そうね。 そして使徒、と言うより要素は大きく六種類に分けられるの。
始原、根源、観念、現象、其の他のモノ・・・ってね」
「ほうほう」
「始原の要素は10。 第二夜の冒頭のね。
これらは世界が出来るよりも前に存在して・・と言うより、これらが在ったから世界は出来たの」
「だから始原なんだねー」
「次に、根源。 根源は多くの他の要素にも影響が在る要素なの」
「例えば?」
「例えば・・『雷』」
「あ〜、電気がないと大変だもんね〜」
「・・・・まぁいいわ。 根源と言っても何の根源か、という見方によって変わるから、何が根源要素か、っていう決まりは無いわ。
極端な話、奈菜の『血』だって多くの生き物に関わるから、根源とも取れるわ」
「ふーん。 じゃ、観念は?」
「観念と言うのは心持つモノ・・つまりヒトにのみ関わる、元々はさして『強い』要素ではなかったの。
でも現在は世界中にヒトが溢れてる。 今となっては『強い』要素として、『観念』っていうカテゴリーで括られてるの」
「あの怖いマネキンさんが言ってたけど、37人いるの?」
「其れは一つの括りでしかないわ。 根源と一緒。 厳密な規定なんてないの」
「何かてきとーだねー。 現象は?」
「第二夜に出てきた私達や『焼』みたいな、文字どおり『現象』の事を指すの。 根源と被る事も多いわね。
先刻(さっき)言った『雷』なんかそうね」
「強いの?」
- 108 :なぜなに月下:ににちめ の2 :05/03/20 14:41:15 ID:umApLcvD
- 「そうね・・。 『強い』のが多いわ」
「にゃんこちゃんも? 吉川先生に良い様にやられてた感じだったけど」
「あれは殺さない様、加減してたからよ。 突風は火其の物を消してしまうもの」
「へー。 んで、その他は?」
「其の他に分類されるのは・・『鉄』や、『翼』とかかしら」
「つばさ? 鳥の?」
「鳥とは限らないわよ? あと、奈菜の『血』ね。 これなんかは血其の物も示すし、血液のシステムも指すわ」
「えーと・・・つまりー、いろいろな物ってことだね」
「そうね」
「んー、要素の分類って結構てきとーなんだね・・・あ、六個なら一個足りないよ?」
「残りの一つ・・・其れは『不明』の要素」
「ふめー? 分かんないの?」
「どの始原要素にも関わらない要素をそう呼ぶの」
「あれ? 全部に関わるから始原なんじゃないの?」
「其の筈なんだけど・・実際はそうなの」
「うわー、益々てきとーくさいなー」
「例を挙げれば『時』とかね」
「んー、確かにあの10個には関係なさそう・・かも」
「寧ろ始原が影響を受けてるとも見れるわ。 『時』が流れるから『死』が訪れる訳だし」
「でも、死んじゃうから時間が流れるのかも」
「そう、そうとも取れる。 結局よく分からないの。 だから不明」
「んー・・それじゃどうしてその要素は出来たのかなー? ってゆーか、何がどうなって要素って出来たんだろ?」
「其の答えを知っているのは・・始原の十人位でしょうね」
「他の使徒は知らないの?」
「知る必要が無いもの。 使徒は己の司るモノを司るだけ」
「えー、そんなのつまんなくないー?」
「其れが使徒だもの。 余計な事を考えて、奈菜みたいに他の使徒を『殺し』たりし始めたら困るもの」
「んー・・・・・・でもどうして今になって突然、奈菜ちゃんは違う意味を見付けたんだろー?」
「さぁ・・・其れは奈菜に聞いてみないと。 奈菜にも分からないかも知れないけれどね」
「ほう、伏線の予感・・・・あ! ヤバイ、最後の行だ! ほいじゃみんな、また会う日まで! あでぃおす・あみーご!」
- 109 :雨音は紫音の調べ ◆cXtmHcvU.. :2005/03/21(月) 08:35:26 ID:QGl3DPuA
- >>104-105
>>107-108
設定の練り込みがすごい…!さすがです!!
>>遊星さん
紛らわしい言い方してしまいすみませんです……
隔離スレは、
ゲームの話やマンガの話、日常会話など、特にジャンルを問わない雑談スレです。
「雑談好きコテ達の馴れ合い、語り合いスレ」ってやつですねw
お暇な時にでも是非覗いてみてください〜! d(>ヮ<)
差し支え無ければリンク先貼りますが……
- 110 :すばる ◆9tSxotve.o :2005/03/21(月) 11:15:03 ID:TW5FDPao
- 久しぶりに来たな…
コテ付けるの、何か投下する時だけにしようかな…
>>たゆん氏
乙ですー。
こーゆーのは恐いと思ってたんですが、この作品で見方が変わりましたorz
凄いっス
>>遊星氏
乙ですー。
台詞(萌え)に重点を置いた感じに作風を変えたんですね。
相変わらず素晴らしいです
- 111 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/03/23(水) 18:15:16 ID:kJxeyLMN
- 妹「ねぇねぇ、お兄ちゃんの高校に合格しちゃった♪」
兄「ふぅん。なんでまた、ウチの学校を選んだんだ?」
妹「えっ!?……そ、それは……」
兄「まあ、別に言わなくてもいいけどな」
妹「……えっと……誰にも言っちゃダメだよ?」
兄「ああ」
妹「あのね……お兄ちゃんと……一緒が良かったから……」
兄「俺と?」
妹「な、ナイショだよっ!?誰にも言っちゃダメだからねっ!?」
兄「分かってるよ。……ふぅん、俺と一緒が良かったから、ねぇ……」
妹「お、お兄ちゃん!?」
兄「お前ってそんなに人見知りするほうだったっけ?まあ分かるけどな。その気持ち」
妹「―――え」
兄「あれだろ?身内がいないと不安だって感じたんだろ?」
妹「―――お兄ちゃんの」
兄「え?なんだって?」
妹「ばかああああぁぁぁぁぁぁっ!!!もう知らないっ!!」
- 112 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/03/23(水) 22:35:02 ID:krCQ6CBg
- 「えっと……えっと……」
並びに並んだ和菓子の前でサラちゃんが悩んでいる。
「サラちゃん、決まった?」
「まだ……」
「どれも美味しそうだね?」
「えぇ。あの……マサト、選んでくれないかしら?」
「ああ。いいよ……あの、すいません」
俺は団子、羊羹などを適当に選んで買う。
「可愛いお嬢さんだね?カノジョ?」
「あはは。ま、そんなもんッスよ」
「そうかい。でも、浮気は良くないなぁ」
「な、何言ってんスか!?おやっさん!!」
「だって、いつものコが見えないじゃないか。それとも、喧嘩でもしたかい?」
「いや、アイツはちょっと用事で……」
「ま、今日は見逃そう。あの娘を大事にしてあげなよ?」
「ははは。そうッスね」
「うん。頑張ってな。毎度あり」
店主と軽く会話を交わして、ビニール袋を受け取る。
「お待たせ、サラちゃん」
「この店のお得意様のようね。いつもは恋人と来てるの?」
「え……ま、まぁ、いいじゃないか。その辺の話は」
「まぁ、私も無理には聞くつもりはないわ」
「あぁ。感謝するよ。さぁ、帰ろうか」
また、沈黙の道程を歩き出す二人。
しかし……
- 113 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/03/23(水) 22:36:00 ID:krCQ6CBg
- 「あー!!ガイジンだ!!」
「ホントだー!!」
近所のガキがサラを指差して叫んだ。
俺は腹が立ってしょうがなかったのだが、当のサラちゃんは何食わぬ顔で歩き続けている。
「大丈夫?」
俺は前を向きながら、サラちゃんに話しかける。
「大丈夫。酔っ払いと一緒。反応したら負けよ。そのまま前を向いていなさい」
「強いね……サラちゃんは」
「慣れてるだけよ。自慢にもならないわ」
「そう……。少し、急ごうか」
「えぇ」
出来るだけ前方しか見ないようにしていたので、サラちゃんの顔は分からない。
でも……どこか悲しげな感じはしっかりと伝わってきて……行き以上に沈黙が辛かった。
───────────────────────
「マサト……」
「何?」
坂を上りきったとき、サラちゃんが重い口調で言った。
「何で……あんなこと言われちゃうのかな……」
「んー……あんまり言いたかないけど、しょうがないことだと思う……」
「うん。それは分かってる……けど……」
「あんまり、いい気分じゃないよな」
「うん……」
サラちゃんが俯いて答える。
こんな時……俺は……。
「日本で友達出来るか、不安?」
「うん……」
「……多分、サラちゃんの第一印象ってあんなモンだと思う」
「……」
- 114 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/03/23(水) 22:37:06 ID:krCQ6CBg
- 「でも……そこから先はサラちゃん次第だよ」
「えっ……?」
「たとえ外見が皆と違ってても、結局人を引き付けるのはサラちゃん自身だからね」
「私自身……?」
「うん。サラちゃんの場合、確かに、友達になるきっかけは人よりも少ないかもしれない。
でも、勇気出して話しかけてみたら、結構仲良く慣れるもんだよ?」
「そんなに……簡単じゃないよ……」
「そう?俺の友達が言うんだから間違いないって」
「マサトの……友達?」
「ああ。そいつもちょっと問題ありだったんだがな……
でも、いざ話してみたら凄くいい奴でさ。今じゃそんな事気にもならないよ」
「マサト……」
「勇気出た?」
「うん……ありがとう……。私、日本でも友達出来そうな気がしてきた……」
「あ……」
サラちゃんが……笑った。
凄く明るくて、嬉しそうな笑顔。
「サラちゃん……やっと、笑ったな?」
「えっ?えへへへ……うん」
もともとサラちゃんってこういう娘だったんだろうな……。
「腹減ったな……何か食べて帰ろうか?」
「えっ……えっと……」
「話し易いようでいいよ。口調には拘らないからさ」
「うん。ありがとう」
「いいよ。で、何か食べたい物あるかな?」
「やっぱり、日本の物がいい」
- 115 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/03/23(水) 22:38:25 ID:krCQ6CBg
- 「日本の物か……オムライスなんてどうかな?」
「おむらいす……?」
「知らない?美味しいお店知ってるんだけど、食べてみない?」
「うん。食べてみたい!」
「よし、決まり。行こう」
「うん」
───────────────────────
この台本で訴えたい事。
・緑茶を飲め。
・和菓子を食え。
・響鬼を見ろ。
つーか、悩みとかそのへん書くのに向いてないんだよ、俺は。
もっと言うと、物書くのに向いてないんだよ、うん。
変な期待させてゴメンな。まだ続くけど、次は頑張るからさ。
>海中様
こんな短いのにちゃんと萌えがあって……流石だなぁ。
- 116 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/03/23(水) 22:52:28 ID:lnSm1jmf
- >>姐さん
えらいこと亀レスですが…面白かったですー!
練られた展開と深い設定を、これだけ凝縮して書けるとは…もう脱帽っすよホント…
>>海中さん
カワイイ……マジで…
>>遊星神
リアルタイムで見れた!ステキですよ〜♪
- 117 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/03/23(水) 23:52:09 ID:u9BKqKsY
- ・ゆっくりやれ
・じっくりやれ
・亀に乗れ
- 118 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/03/24(木) 00:34:41 ID:kLD+eCZ3
- やっぱり此処がないと自分は駄目です。 神々最高。
中毒性が高いスレ・・・((((((;゚Д゚))))))ガクガクブルブル(*´Д`)ハニャーン
うっし、デュープリズムばっかやってないで、続き書くか!
オムライスとか、ピンポイントで素晴らしい。
- 119 :雨音は紫音の調べ ◆cXtmHcvU.. :2005/03/24(木) 21:13:19 ID:u4FjRBrb
- 良いです!スバラシイです!このスレ最高!(≧∇≦)b
- 120 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/03/25(金) 10:36:30 ID:BWAUjHbJ
- >>海中さん
ヤバい……にやにやしちゃう///
1レスでも素晴らしい程萌えられました!
>>遊星さん
イイ(・∀・)です!
ツンデレ……?(*´д`)ハァハァ
>>118
デュープリズムとはまた懐かしいものを……
- 121 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/03/25(金) 16:24:37 ID:3dhdsjtW
- そういえば、『サラ・ハワード』って英国人の名前として存在するんだろうか。
ま、それはそれとして……こっから、サラの性格をどうしようかな。
一気にデレデレになるのがいいか、ツンなんだけど時々デレを見せるのがいいか……。
お兄ちゃんって呼び始めるのがいいか、「マサト」のままがいいか……。
あ、でもお兄ちゃんって呼ばなきゃスレ違いだよな……「マサト」、結構気に入ってるのに。
- 122 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/03/26(土) 00:33:36 ID:pVtWmD+p
- みんなもし妹がいたら何て呼ばれたい?
1.お兄ちゃん
2.兄さん
3.自分の名前
4.その他(例を挙げて下さい)
俺は基本的には「お兄ちゃん」が一番で (細かく言うと、「お兄ぃちゃん」というイントネーションが最強)
それ以外も十分OKなんだが、ひぐらしで「にーにー」を覚えて以来かなりキてる。
- 123 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/03/29(火) 21:53:21 ID:I1urJFfK
- むしろ一人称にこだわりたい
余所のスレの昔のログで見た一人称”妹”とか
フィクションでも良いから、一度お目にかかってみたい
- 124 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/03/31(木) 23:19:16 ID:EWSNEC8p
- 「マサト……何を作ってるの?」
晩飯の支度をしていた時、サラちゃんが俺に声をかけた。
一応、お手伝いの申し出はあったのだけど、特にすることもないし、危ないので断った。
「ん?今日の晩御飯だよー」
「そんな大きなお鍋で?何が出来るの?」
「うん。何だと思う?」
「えっと……分かんない……」
「ヒント。サラちゃんがさっき言った」
「……?」
「ヒントその2。コレ」
俺はサラちゃんに見えるように、箸で鍋を軽く叩く。
「お鍋……?」
「正解。答えは鍋でした」
「お鍋……?お鍋を、食べるの……?」
「はっはっはっ!!久しぶりに聞いたよ、そのギャグ!!」
「わ、笑わないでよ!!知らないんだから!!」
「悪い悪い。あの、鍋料理っていって、この鍋で、お肉とか野菜とかを煮ながら食べる訳だ」
「へぇ……スキヤキみたいなもの?」
「まぁ、そんなもんだ」
今や世界中にジャパニーズ・レストランなるものがあるらしいが……鍋はそんなに有名じゃないのか……?
外国なんて行った事ないから分からないけど……。
- 125 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/03/31(木) 23:20:23 ID:EWSNEC8p
- 「さ、そろそろ煮えてきたかな。食べ始めようか」
「うん」
「はい。サラちゃんの器と箸」
「うん。ありがとう」
「そういえば、サラちゃん、箸は使えるの?」
「うん。チャイニーズ・レストランには何回か行ったことがあるから」
「ほぉ。あ、豆腐ならもう食べられるよ」
「うん」
「この箸でお鍋の中のものを取って、この中のタレにつけて食べるんだよ」
「うん」
俺の言うとおり、サラちゃんは豆腐を掴もうとしたが……
「あれっ……?」
やはり豆腐となると上手く掴めない様で、豆腐を四分割してしまった。
「あ、ゴメンゴメン。俺が取るよ」
「いい!!自分でやりたい!!」
「ほぅ。自分を鍛えたいというわけだ。よく言った」
「えっと……そんな大げさな……」
「でも、練習は後。食べるときは楽しく食べる!!オタマ持って来るよ」
「えっ……うん」
つーわけで、もう春だが鍋を食う二人でした。
───────────────────────
- 126 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/03/31(木) 23:21:09 ID:EWSNEC8p
- 「サラちゃん、お風呂沸いたから、先に入りなよ」
飯も食べ終え、珍しそうにテレビを見ているサラちゃんに声をかけた。
「うん。でも、マサト。私、日本のお風呂の入り方知らないわよ……?」
「あっ、そうか……つっても、俺もイギリスの風呂の文化なんて知らないし、どこから説明すればいいのか……」
って言うか、風呂ってあるの?あ、映画で見るみたいな泡風呂かな?
「あの……それなら……マサト……」
サラちゃん……顔赤いぞ……?
「ん?何?」
「一緒に……入らない?」
「おぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
「ダメ?」
「いや……あの……俺にはサラちゃんを預かってる責任があるわけで……」
「え?何言ってるの、マサト?」
「ちょっと……マズくない?」
「子供だから大丈夫よ。私、パジャマ取って来るね」
「えっ!?ちょっと!!ねぇ!?」
行っちゃった……どうしよう……。
まぁ……サラちゃんは小さい訳だし……俺も気にし過ぎかもしれないな……。
そう自分に言い聞かせながら、俺は先に風呂に向かう。
いつも通り軽く体を流し、湯船の中へ……おっと、タオル巻くのを忘れてた、危ない危ない。
そして、しばらく一人、湯船の中でのんびりしてると……。
- 127 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/03/31(木) 23:22:03 ID:EWSNEC8p
- 「マサト」
サラちゃんが脱衣所から声をかける。
「よっ、サラちゃん。えっと……そこで服脱いで、その辺に畳んで置いといて」
「うん。分かってるわ」
「じゃあ、そこのバスタオルを体に捲いて入ってきて」
「うん」
髪を下ろしたサラちゃんが、タオル一枚で浴室に入ってくる。
……あ、意外と大丈夫だ、耐えられる耐えられる。
「で、体にお湯をかけてから、この中に入るんだ」
「うん」
言われたとおり、お湯を被り、浴槽の中にゆっくりと入るサラちゃん。
「熱い?」
「ううん……大丈夫よ……」
「そう。じゃあ、俺は……」
俺が立ち上がって湯船から出ようとすると……
「えっ!?マサト、もう行っちゃうの!?」
「ははは、ここで髪の毛洗うだけ。何処にも行かないよ」
「そう……良かった……」
サラちゃんの安堵の溜息。
「すぐ洗っちゃうから、待ってて」
「うん」
ってことで、シャカシャカと頭を洗って、湯船に飛び込む。
「きゃっ!?マサト!?」
「何だ?」
- 128 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/03/31(木) 23:23:09 ID:EWSNEC8p
- 「マサトが……私に……ちょっと触れた……」
……それだけですか?なんか、アイツにそっくり……。
「おいおい……狭いからしょうがないじゃないか」
「ま、まぁ……そうなんだけど……ちょっと恥ずかしいわ……」
「それなら、サラちゃん、髪の毛洗ってきなよ」
「い、いいわよ!!このままで!!」
「あ……そう……」
サラちゃんの勢いに負け、そのまま二人は湯船の中、互いに向き合っている。
目を閉じ、何も考えず静かに座っている俺と、何だか落ち着き無く足をモゾモゾ動かしているサラちゃん。
二人の間に、しばらく会話は無かったのだが……
「ねぇ、マサト……」
「何?」
「そっちに行ってもいい?」
「えっ?」
「いいよね?」
そう言って、体の向きを180度回転させ、俺の膝の上に座るサラちゃん。
……さっきは恥ずかしいって言ってたくせに。
「さ、サラちゃん……?」
「うーん……これだと、肩がちょっと出ちゃうね」
ちょっと残念そうにサラちゃんが漏らす。
あ、水の位置が合わないってことなのか……。
「お湯足そうか?」
「いいわ。もうちょっとこうすれば……」
サラちゃんが、お尻の位置を前方に移動させ、俺にもたれかかるような体勢になる。
「ね、マサト」
- 129 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/03/31(木) 23:24:01 ID:EWSNEC8p
- サラちゃんがその体勢のまま上を向き、俺の顔を下から覗きこんだ。
……うわっ、可愛い……かも……。
ちょっとドキドキしてきた……。
「背中流してあげようか?」
「そういうこと……よく知ってるな?」
「さっき見てたテレビでやってたから」
「えっと……じゃ、じゃあお願いしようかな……」
「うん」
ということで、二人で湯船から出て、俺は椅子に座った。
ヤバ……胸の動悸が収まらん……。
「えっと……そ、そこにあるタオルと、このボディーソープ使って」
言葉を噛んでしまった……落ち着け落ち着け。
「うん」
後ろからゴソゴソと言う物音が聞こえる。
そして、
「じゃあ始めるわね」
ごしごしごしごし……。
「どう、マサト?」
「うん。気持ちいいよ」
「良かった……。でも、そんなに気持ちいいの?」
「うん。じゃあ、今度は俺がやってあげよう」
「えっ……!?」
「いいからいいから」
ムリヤリ、サラちゃんからタオルを奪い、椅子に座らせる。
「さ、タオル外して」
「えっ……マサトっ!?」
サラちゃんが顔を真っ赤にして振り返る。
おいおい、何を想像してるんだよ……。
- 130 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/03/31(木) 23:25:06 ID:EWSNEC8p
- 「いやいや、背中出さなきゃ洗えないだろ?」
「そうだけど……」
「じゃ、やめる?」
「う……ううん……」
そう言って、ゆっくりタオルを外すサラちゃん……。
エロすぎるだろ……コレ。
そんなモヤモヤした気持ちを抱えながら、サラちゃんの小さな背中を優しく洗い始める。
「キャっ!?ま、マサト!?くすぐったいよぉ!!きゃはははは……」
「くすぐったい?じゃあ……」
手の力をちょっと強くしてみる。すると……
「ま、マサト!?そこっ!!ダメだって!!きゃははははは!!」
くすぐったそうに身をよじらせるサラちゃん。
そして……
「もう!!マサト!!真面目にやってよ!!」
サラちゃんが振り返った……。
「あっ……」
「えっ、どうしたの?……あーーーーーっ!!」
恥ずかしそうに胸を押さえ、浴室から出ていってしまうサラちゃん……。
俺は、のぼせ+興奮で、フラフラになりながら、サラちゃんに謝りましたとさ……。
───────────────────────
スレ違い!?話が無理矢理!?キャラの性格に一貫性が無い!?……知らん知らん、もう知らん!!
……つまり、まだまだ俺も鍛え足りないと言う事ですよ。
もっともっと、萌える台本が書けるように鍛えまくります。
- 131 :名無しくん、、、好きです。。。 :皇紀2665/04/01(金) 13:48:57 ID:8Vy5lyAR
- >>遊星さん
GJです!
スレ違いなんて全然気にしませ(ry
もう妹じゃなくてもロリだったらもう何でも逝い( ´д`)ハァハァ
とゆーより妹だともうネタが厳しい(;´д`)
- 132 :名無しくん、、、好きです。。。 :太正94/04/01(金) 21:43:47 ID:zWpujXAO
- >>遊星さん
乙です!GJ! Σd(>ヮ<)
お鍋でまったりイイ! ヽ(>▽<)ノ
一緒にお風呂入るのすげぇイイ! (≧∇≦)b
- 133 :月影に踊る血印の使徒:第三夜 1 :太正94/04/02(土) 13:17:29 ID:szyt9Beb
- 世界は千十一の要素で構成されている。
今、世界は動き出そうとしている。
そう、生まれ変わろうと。
変わりゆく世界。
それは要素に刻まれた宿命(さだめ)。
千六番目の言葉を借りれば、キミ達は変わる事が運命付けられた『血印の使徒』。
奈菜、キミの奏でる運命は―――。
「・・・・」
土曜の午後、私は如何にも落ち着かず、十九杯目のお茶を飲み干した。
「・・・奈菜、そんなにお茶を飲んで如何するの?」
至極当然の疑問が向いに座った猫から発せられる。
「・・・落ち着かない」
「・・・其れはこっちのセリフよ。 先刻からお茶を飲んでは台所に酌みに。 酌んでは飲んで、又酌みに。
貴方ってそんなにお茶が好きなの?」
「・・・・否・・」
言って立ち上がる。
「二十杯目よ」
「嗚呼・・・・・」
湯飲みを掴んで、台所に―――。
ぴんぽーん。
其の音に私は即座に反応し、玄関に駆け出す。
「い、今開ける!」
ドア越しの相手にそう言って、素早く鍵を外し開ける。
「おー・・・ただいま」
「・・・・・お帰りなさい、お兄ちゃん」
松葉杖を突いた史也が入ってくる。
そう、今日は史也の退院の日。
「はー、やっぱウチが一番だねー」
まるで万里の旅から帰郷して来たかの様に、史也は玄関先で呟く。
- 134 :月影に踊る血印の使徒:第三夜 2 :太正94/04/02(土) 13:19:33 ID:szyt9Beb
- 「奈菜、ちょっと手伝ってくれ」
言われる通りに史也を支え、背中に背負った鞄を降ろす。 次に、鞄の下に背負った松葉杖。 屋内用だろう。
「疲れただろう」
「あー、まぁ病院からぴょんぴょん来たからな」
「・・・だから私も付き合うと言ったのに」
「いやいや、体鈍ってるだろうから、こんぐらい運動しとかねーと」
「・・・無理をするなよ。 言えば、何でもするから」
「おー」
屋内用の杖で居間に向う。 途中で転びやしないかと気が気で無い。
「おー・・俺んちだ。 帰って来たー、て感じがするなー」
ばふっと先程迄私が座っていたソファーに掛ける。
「はー、くつろぐなー・・・あれ? その猫は?」
正面に成った切を指して訊ねてくる。
「あ、ええと、飼って・・るんだ」
「飼う? 奈菜が、猫を?」
「嗚呼・・・駄目、か?」
「んや、構わねーけど・・奈菜が、動物を、ねぇ・・・」
心底意外そうな表情。 ・・・私が動物を飼うのは、そんなに可笑しい事だろうか。
「でも、なんでまた」
「え、ええと・・」
聞かれて、適当な理由が浮かばない。 ええと・・・。
「そ、其の、お兄ちゃんが居なくて、寂しかった、から・・・」
即興で適当な理由を丁稚挙げるが・・な、何か・・凄く恥ずかしい事を言っている気が・・・・・・。
「へー・・・・・へ?! い、今なんて」
「ちょ、一寸部屋に行って来る!」
私は堪らなくなり、史也が言い終わる前に部屋を飛び出し、一気に自分の部屋に駆け込んだ。
落ち着くように、深呼吸。 ・・顔が火照る。
「・・・・まるで別人ね」
付いて来たらしい、切の声。
「この前焼を沈黙させたのと同一人物だとは思えないわ」
- 135 :月影に踊る血印の使徒:第三夜 3 :太正94/04/02(土) 13:21:55 ID:szyt9Beb
- 「う、五月蝿いな。 私だって、こんなのはらしく無いと思って居る・・。 だ、だけど・・・・・」
「はぁ、まるで中学生ね」
ぴょんと飛び上がり、ベッドの上に丸く成る。
「中学生・・如何云う意味だ?」
「さあね」
其れきり、切は黙り込む。
「奈菜ー、ちょっと来てくれー」
史也の声。
「ほら、呼んでるわよ」
「嗚呼・・・・分かっている」
ドアを開け、廊下に出て行く。
「・・・・恋する中学生、みたいなのよ。 まぁ、初めての家族に戸惑ってる、って事にしておきましょう」
病室には静寂が満ちていた。 昼間迄、其処には歓喜の涙が溢れていた。
三年間植物状態だった青年が、唐突に目を覚ましたのだ。
「日野瀬秋(あき)、か・・」
其の青年が病室の窓辺に月光を浴び、己の名前を呟く。 満月から幾日か分欠けた月を見上げて。
―――音も無く、病室にもう一人が現れる。
「やぁ・・・『初めまして』、かな?」
可笑しそうに首を少し傾げて笑う。 銀髪が揺れた。
「キミの新しい名前を、教えてくれるかい?」
「・・そっちの国だとどうか知らないけど、日本では先に名乗るのが礼儀だよ」
「ふふっ、そうだね。 ボクの名前はウィル・フロイライン」
「日野瀬秋」
「アキ、か。 うん、いい名前だ」
嫌味の無い笑顔で、ウィルは秋に並んだ。
「如何だい、彼女は」
「別に・・普通、かな」
「そうか。 普通、か・・・くっくっく・・」
- 136 :月影に踊る血印の使徒:第三夜 4 :太正94/04/02(土) 13:23:22 ID:szyt9Beb
- 「・・・何が、可笑しい?」
「いいや。 使徒が、使徒を、普通、って表わすなんて、ね。 コレも『世界の変容』の一部なのかもね」
「変容する世界、か。 奈菜は、その・・・」
「『血印の使徒』、だってさ。 千六番目も中々センスが良い」
「それはつまり、奈菜が『世界の変容』其の物だ、ってことなのか?」
「そうなるね。 勿論奈菜だけじゃない、もっと沢山の使徒たちが変わり始めてる。 例えば、キミ」
ウィルの碧眼が、秋を見据える。
「風は影響されやすいからね。 キミのお姉さんも、そうかもね」
「でも、僕らは」
「そう、『世界の変容』と呼べる程大そうなものじゃない。 『意味』が変わった訳じゃないから。
まぁ例えるなら、性格がちょっと変わった位のもの。 でも、奈菜は違う」
「『意味』其の物、要素其の物を変えてしまった」
「ふふふ、楽しみはこれからさ。 奈菜だけでは終わらない。 『世界』は動き出す。 そう、生まれ変わるんだ」
「・・・・お前は、何がしたいんだ?」
「ボクかい? ボクはただ、聴きたいんだ」
月影に、銀と碧が輝く。
「『世界の再誕』っていう、交響曲(シンフォニー)をね」
子供が新しい玩具を見付けたときの瞳。
「千八番目は言った。 停滞したものは存在しているとは言えない。 変わり続ける事こそが『永遠』だ、ってね」
純粋な喜びに満ちた瞳。
「変わり続けるから『世界』は存在する。 今まで淀んでいた『世界』が、一気に流れ出す」
純粋過ぎる程に、純粋な瞳。
「ボクは聴きたい。 『世界』たちが奏でる『音楽』を。 たった一度限りの、その音色を」
時に、純粋さは残酷さでもあり、狂気でも或る。 ウィルの瞳に宿る純粋、其れは―――。
「ま、ボクの話はこの位でいいよ。 それよりも彼女のことなんだけど」
「彼女?」
「奈菜を狙ってる使徒さ。 彼女も或る意味『血印の使徒』なんだけどね」
「分かったのか?」
「うん。 彼女はね―――」
- 137 :月影に踊る血印の使徒:第三夜 5 :太正94/04/02(土) 13:25:25 ID:szyt9Beb
-
夜風に白衣が旗めく。 曇り無く輝く月に映し出された美しい横顔。 視線の先に、ヒトのシルエット。
「汝か」
白衣の女性が、其れに話し掛ける。
「あら・・・焼かしら?」
振り向く其れ。 声は確かに白衣―――焼に伝わる。
「怪我はいいのかしら? まぁ、『切』に切られたのなら、かえって丈夫になったかも知れないわね」
焼は、応えない。
「・・・・汝が私を操ったのか」
「うん? ああ、この前のことね。 ええそう。 私がやったの」
「何故」
「うふふ、話しても貴方に分かるのかしら? まぁ『忘却者』だったのなら分かるかも知れないわね」
「・・・・汝は私の寄り代だけで無く、この街全てを危機に追いやった。 其の罪は重いぞ」
「罪? 一体何の事かしら? 私は私が司るモノを司っているだけ。 そう、全ては其れだけの事」
「意味も無く私にこの街と云う世界を壊させようとした」
「意味も無く? 言った通り、私は自分の司るモノの為に動いただけよ。 意味なら其れで十分」
「話に成らんな。 『世界』の為に世界を壊すなど、戯けた理屈だ」
「あらあら、『忘却者』だった割には随分前時代的ね」
「『忘却者』が、何だと言うのだ」
「分からない? 『忘却者』は『世界の変容』の一部。 寧ろ最たる物なのかも知れないわね」
「『世界の変容』・・?」
「知らない? まぁ仕方ないわね。 今、『世界』は変わろうとしているの」
ゆっくりと、影が動き出す。
「私がこうして此処に居るのも、『変容』のお陰。 そう、奈菜のお陰なの」
月光に浮かぶ其れ。 確かに、ヒト。 だが、何かがヒトでないと感じさせる。
「だから私は彼女にお礼をしたいの」
姿でなく、内面。 滲み出る、狂気。
「うふふふふ・・。 貴方も一緒に舞台に上がる?」
「・・・・お断りだ」
「あら、其れは残念」
- 138 :月影に踊る血印の使徒:第三夜 6 :太正94/04/02(土) 13:27:06 ID:szyt9Beb
- 「・・・・私はけじめを付けに来た」
「けじめ? うふふ、其れは詰り―――」
「こう云う事だ」
焼が動く。 振り被らずに伸ばした右手が、相手の衣服を掴む―――炎。 衣服が燃える。
「あら大変」
瞬時に離れた其れは、手早く上着を脱ぎ捨てる。
「もう、上半身裸。 警察に捕まっちゃうわ。 うふふ」
其れでも猶楽しそうに笑う。
「怖いわね。 私を『殺す』の?」
「嗚呼」
「そう、其れが貴方のけじめなの・・・うふふふふふ」
月を背負い、妖しく瞳が輝く。
「調子に乗るんじゃないわ」
静かに、全身を駆ける様な声。 冷たく、鋭利。 言葉が、焼の体温を奪う―――。
「・・・?!」
「うふふふふ・・真逆本気で私を『殺せ』ると思った? 『現象』風情が」
唯言葉が焼に届く――其れだけで体温が奪われていく。
「私は根源にして観念。 ヒトの体を持つ限り、生物の体を持つ限り、私を伏す事は出来ない」
「・・・!!」
最早息すらも苦しい。 一呼吸毎に『死』が近づく。
「私は『恐怖』。 半身の『恐』を超えるモノ。 根源として在る観念」
足元に焼を見下ろす。
「でもね・・。 私も知らなかった『恐怖』が在ったの。 其れを奈菜が教えてくれたの」
襟を掴み、片手で焼を引き上げる。
「其れは『孤独』。 私は半身のお陰で今まで其れを知る事は無かった。 私は一人じゃなかった。 彼女が居た」
瞳に宿る狂気。
「奈菜が、彼女を『殺し』てくれたお陰で、私は『孤独』を知り真の『恐怖』に成った。 そう、奈菜のお陰なの」
唯、狂おしく。
「だから、殺してあげるの。 彼女を、彼女の全てを。 彼女にお礼をするの。 私の半身の分まで」
純粋に。
- 139 :月影に踊る血印の使徒:第三夜 7 :太正94/04/02(土) 13:29:08 ID:szyt9Beb
- 「私はお礼をしたいだけなの。 彼女にも、この想いを教えてあげたいの」
其の狂気の名は―――。
「私の『憎しみ』。 半身を奪った彼女への想い。 伝えたいの」
焼の意識が霞む。
「貴方に分かるかしら? 私の憎しみ、孤独、絶望・・・・恐怖。 私自身が初めて知った恐怖。
孤独孤独孤独、唯々一人。 今迄確かに居た私の半身が消えていく。 世界が変わる。 私と云う『世界』が『死ぬ』。
私は彼女の居なかった頃にはもう戻れない。 私は孤独でない事を知ってしまった。
そして本当の恐怖を知ってしまった。 ―――孤独孤独孤独、孤独。 私は恐怖した。 孤独と云う恐怖に。
私自身に。 ・・・自分を認められなく成った使徒は如何すれば良いのかしら? 分かる?」
繋ぎ止めた意識では、応える事も儘成らない。
「自分で『死ぬ』の。 己を否定するのは、つまりそう云う事なの。 意識其の物なんだから、使徒は」
手を放し、焼を捨て置く。
「でも、私は未だ此処に居る。 何故? ―――もう一つの道を選んだの」
月を仰ぐ。 蒼い光が彼女を映し出す。
「自分で死ぬのが嫌なら・・私が居られる様に世界を変えれば良いの。 私が居られる世界に」
両手を広げる。 月光を受け止めるかの様に。
「奈菜、彼女の『恐怖』・・きっと私の『恐怖』を癒してくれる。 だって私は『恐怖』なんですもの。
うふふふふふふ・・・。 うふふふふふふふふふふふ――――――」
「―――どうよ!?」
余韻冷めやらぬリビングに、有紗の声が響く。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・あの?」
「・・・・いい! やっぱスゲーよ有紗ちゃん!! 有紗ちゃんはホンモノだ!」
「あ・・そ、そんな褒められると照れちゃうかにゃー? あ、あははー」
「な!? 凄いよな、奈菜!!」
「嗚呼・・・矢張り良いものだな・・・・流石だ、有紗」
「な、奈菜ちゃんまでー。 どーしたのよー、いつもはそんな褒めないのにー」
- 140 :月影に踊る血印の使徒:第三夜 8 :太正94/04/02(土) 13:30:47 ID:szyt9Beb
- 「否・・正直な感想だ」
「うんうん! いい! マジ最高!」
「う〜、褒めすぎです〜」
日曜の午後、有紗の家のリビング。 そしてグランドピアノの前に座った有紗。 詰り、そう云う事だ。
「奈菜! お前は幸せ者だ! こんな素晴らしい友人に恵まれて・・・! 俺は嬉しい・・!」
「全くだな・・・有紗、有り難う」
「あう・・・」
珍しく赤くなる有紗。 そう言えば有紗は褒められるのが苦手だった。
「にゃう」
私の隣の切が鳴く。 折角だから連れて来たのだ。
「ん、切もそう思うか。 付いて来て正解だったろう」
「にゃあ」
「そうだな、秋にも聞かせてやりたかったな、有紗のピアノ」
そんな私達の遣り取りに有紗が気付く。
「あ、そ、そう言えば奈菜ちゃん、そのにゃんこはどしたの?」
話の先を私達に向ける。 まぁ、此処ら辺で話題を変えてやろうか。
「えーと、飼ってるんだ」
「へー? 奈菜ちゃんがにゃんこを? そだねー、奈菜ちゃんはわんこよりにゃんこが似合いそうだもんねー」
寄って来て、切に触れる。
「こんにちわー。 お名前はー?」
「にゃ・・」
少し嫌そうに身を捩る。
「切だ」
「せつ? ちょっと変わったお名前だねー。 奈菜ちゃん命名?」
「否・・元からそう云う名前だ」
「もとから・・? もらい猫なの?」
「ん、そう、だな」
しまった・・少々墓穴を掘ったかもしれん。
「誰からー?」
「ええと、其れは、だな・・」
- 141 :月影に踊る血印の使徒:第三夜 9 :太正94/04/02(土) 13:32:39 ID:szyt9Beb
- 余り適当な嘘だと、又ボロが出るかも知れんな・・。
「知り合いから、だが」
「え、誰?」
「あー、其の、病院でな、知り合って」
「ほー」
「・・えーと、ほら、病院だと動物は飼えないだろう?」
「へー。 で、誰なの?」
「・・否、誰って」
「人見知りの奈菜ちゃんだ病院で出会ったー、なんてウソでしょー?」
「私は別に人見知りでは・・・」
「わたし、奈菜ちゃんがわたしとお兄さん以外にお話してるとこ、見たことないよー?」
「み、見た事無いだけだろう・・・」
「あー、有紗ちゃん、あんまりうちの妹いじめないでやってくれよ」
見兼ねた史也が口を出す。
「でもでもー、お兄さんも気になるでしょー? 奈菜ちゃんが無理にウソ吐くなんてー。 ・・分かった!
きっとオトコですよ! ・・・・奈菜ちゃんに春が!? ウソ、マジで!?」
ぶっ、と史也が妙なリアクションをする。
「な、なんだって?! 奈菜に、オトコ!?」
「そうに決まってます! 親友にウソ吐くなんて、そーゆー事なんです、きっと!」
妙な自信で、自分で頷く有紗・・・。
「でしょ?! オトコなんでしょ、奈菜ちゃん!」
「否・・まぁ、貰ったのは、男性からだが・・・」
「ほら! ついに吐いた! ああ、真実はいつも残酷なのね! あの奈菜ちゃんに、恋人がっ!」
「い、否、恋人とかでは・・・」
「な、奈菜に彼氏が・・むぅ、兄として、どうリアクションを取ればいいんだ・・」
し、信じるなよ、史也・・・。
「こ、ここは家まで呼んで、妹はお前なんぞにやらーん! ってすべきです! それが正解です!」
「しかし・・奈菜を祝福してやるべきでは・・」
しないでくれ。
「にゃに言ってるんですか! わたしたちのかーいい奈菜ちゃんはまだお嫁になんか行かせないんですっ!」
- 142 :月影に踊る血印の使徒:第三夜 10 :太正94/04/02(土) 13:34:47 ID:szyt9Beb
- もう嫁の話か。
「うーん・・でも、奈菜が選んだ相手なわけで・・・」
否、選んで無い。
「違いますぅ! 純情な奈菜ちゃんは、悪いオトコに騙されてるんですぅ! そんなヤツは一刀両断ですぅ!」
「いや・・しかし・・・」
・・・何を本気に成って居るんだ、この二人は・・・。
「はぁ・・」
「にゃぁ・・」
私の溜め息と、切の呆れた鳴き声が重なった。
「ふふふ・・・彼女は幸せ者だね」
遠い駅ビルの屋上、ベンチに腰掛て呟く。
「だからこそ、『血印』なんだろうね、奈菜は・・」
目を開ける。 広がる夕日に、銀髪が紅く染まる。
「また、覗き見かよ」
ずっと後ろに居た男が喋り出す。
「折角借りたんだから、有効に使わないと」
「・・まぁいいさ。 それよりウィル」
「なんだい、エイジ」
「アイツは、いいのか?」
「アイツ・・? ああ、彼女の事か」
「そろそろ動き出すだろ・・奈菜を『殺し』に」
「そうだろうね」
「そうだろうね、って・・いいのか? 『血印』なんだろ、奈菜は」
「それなら彼女もそうさ」
「・・どちらが『死ぬ』事になっても、それも『変容』の一部って事か」
「あるいは両方『死ん』でも、『死』ななくても」
二人だけの屋上に、一陣の風。 天から降り立つ、少女。
「ヒトが居ないからって、『飛』んで来るのは余り感心しないなぁ」
- 143 :月影に踊る血印の使徒:第三夜 11 :太正94/04/02(土) 13:36:35 ID:szyt9Beb
- 「早く知らせた方がいいかなー、って」
反省した風でもなく、呑気に少女は返す。
「『時の制限』はしたのか?」
エイジが咎める様に聞く。
「・・・・えへへ」
「えへへ、じゃねぇ。 バレたらどーすんだ」
「むぅ、そーは言うけどねー、マイは全っ然『弱』っちい使徒なんだよー? そんな器用なこと出来ないもーん」
「あのなぁ・・・」
「まぁまぁエイジ。 マイはまだ『生まれたばかり』なんだ。 少しは大目に見てあげよう」
「そーだそーだ」
「マイも調子に乗らない。 確かにマイが悪いんだから」
「はーい。 以後気を付けまーす」
「あーもー、コイツは・・・。 で、なんか報告があったんじゃねーのか」
「あ、そーだそーだ。 あのね、あのヒトのことなんだけどー」
「あのヒト?」
「怖いヒト」
「『恐怖』か」
「ほら、六人目の、なんか・・」
「六人目の腕(かいな)」
「そー、それ。 それのヒトいたよねー? そのヒトをね――――――」
「そうか・・・・分かった、有り難う」
「焼、か・・・アイツは・・」
「『忘却者』。 『変容』に近しいモノ・・だった」
「動き出したか・・・『恐怖』が」
「さてさて・・此処からは奈菜次第だ。 生き残るのはどっちかな?」
「悪趣味だな、お前」
「どうして?」
「楽しそうだ」
「楽しいさ。 コレも『変容』の前奏曲(プレリュード)。 どんな音色が聞けるのか・・・楽しみだよ」
日が沈み・・三人は闇に消えた。
- 144 :月影に踊る血印の使徒:第三夜 12 :太正94/04/02(土) 13:45:19 ID:szyt9Beb
-
「あのさー、奈菜」
夕飯のシチューを掬いながら、史也が話し出す。
「何だ」
「いや、さぁ・・彼氏の事、なんだけど」
「だ、だから其れは違うと言っただろう!」
「あーうん、それは、な。 んでさ、もしも奈菜に彼氏が出来たら、さ」
「・・・出来たら?」
「教えてくれよな。 祝ってやっから。 まぁ、さ、心配しない訳でもないけど、ほら、俺なんかより奈菜はずっとしっかりしてるからさ。
奈菜が選んだヤツなら、まぁ、多分大丈夫だろうし・・・」
「う・・ん・・・・分かった・・」
「んー・・そうだよなぁ。 いつまでも一緒ってわけにもいかんよなぁ・・。 俺も妹離れしないとな。 彼女も出来やしねぇ」
冗談めかして笑う。
「彼女・・居ないのか」
「おいおい・・居ると思ったか?」
「否・・・唯、確証が無かったから」
「だはは、彼女居ない暦がそのまま年齢だ」
「そうか。 良かった・・・」
「いや、良かった、って・・・」
「ん? 如何かしたか?」
「いや・・・・ははは、奈菜も兄離れしないとな?」
「私は・・したくないな」
「え?」
「出来るなら・・・・ずっと、一緒に居たい」
「・・・・・・まぁ、アレだな。 ・・無理に離れることもないか?」
「うん」
「奈菜は家事出来ないしな」
「う・・・うん。 そ、其の内、憶える」
「俺と居るウチは憶えなさそうだけどな」
- 145 :月影に踊る血印の使徒:第三夜 13 :太正94/04/02(土) 13:47:29 ID:szyt9Beb
- 「な、何だ・・間接的に離れろと言ってるのか?」
「あーいやいや、そんなつもりじゃねーって」
「嫌だからな・・・私は」
「ん?」
「お兄ちゃんが何と言っても、私の方から離れる心算は無いからな」
「・・・何ムキになってんだ?」
「べ、別にむきに成ってなど居ない」
「ムキになってるよなぁ? セツ」
「んにゃー」
「おー、セツもそう思うかー」
「なっ・・・! も、もう良い!」
だん、とテーブルを叩き、立ち上がる。 其の儘ドアに向う。
「何処行くんだー?」
「散歩だっ!」
怒鳴り散らし、台所を出る。
つとと・・と切も走り出す。
一人残される史也。
「たはは・・・からかいすぎたか?」
苦笑いと独白が部屋に響いた。
「ブラコン」
外に出る為り、切が言う。
「・・・・五月蝿い」
「自覚は在るのね」
塀に飛び上がり、私の少し前を行く。
「貴方少し可笑しいわよ」
「・・・分かっている」
此処の所・・如何も自分を上手く扱えない。 自分の想いをコントロール仕切れない。
「使徒らしくないわ」
- 146 :月影に踊る血印の使徒:第三夜 14 :太正94/04/02(土) 13:49:31 ID:szyt9Beb
- 「使徒らしく、か・・・」
今迄感じようとして居なかった、想い。 其れを受け入れて、私は・・・・。
「ヒトに、近づけた・・・のだろうか・・・・」
「ヒトに、近づく・・・?」
切が訝しげに此方を見遣る。
「貴方・・・ヒトに成りたいの?」
「ヒトに・・成りたい訳じゃ、無い。 唯、私はもっと・・ヒトを・・・『想い』を、知りたい」
「・・・・変わらないわ。 それは詰り、ヒトに成りたいと云う事よ」
「そう、かもな」
「そして・・それは馬鹿げてる。 使徒は使徒よ・・そしてヒトはヒト。 例え『人』だって、結局は使徒であってヒトではない」
何処か、寂しそうな切の声。 淡々と語る其れは、確かに真実。
「でも、私は―――」
「貴方は『変容』を認められないのね」
私の声が、三つ目の声に遮られる。 道の行く手、街灯にぼんやりと映し出される女性。
「其れは仕方の無い事。 誰だって今迄の自分を否定されれば腹が立つわ。 でもね、『世界』は変わろうとしている。
其れは疑いようの無い事実なのよ、八百四番目」
其の女性の言葉が続く。 『世界』が、変わる・・?
「私も変わるのは嫌だった。 嫌だったの。 でも、変わってしまう迄、其れが分からなかった。
――変えられてしまう迄。 ねぇ、奈菜?」
ぞっとする、其の声・・殺意。
「だから、私は貴方の味方。 変わりたくなければ、変わらなければ良いの」
「あ、貴方は、何なの・・・?!」
切が、声を搾り出す。
「私? うふふ・・・奈菜に半身を奪われた、哀れな使徒よ」
「貴様・・?! 焼を操ったのは、貴様か・・・・!!」
つかつかと歩み寄る。 構えようとするが・・。
「・・・動けない・・?!」
「奈菜、少し待ってなさいな。 私は今、八百四番目に用が在るの」
言葉一つ一つが私を縛る鎖と成る。 圧倒的な、『強さ』・・・・!!!
「八百四番目・・・司るのは、『切』でよかったかしら?」
- 147 :月影に踊る血印の使徒:第三夜 15 :太正94/04/02(土) 13:51:52 ID:szyt9Beb
- 切も、身動ぎ一つ出来ない。
「貴方にも、在るのでしょう? 変えたくない、失いたくない何か。 私にとっての彼女の様な。
失いたくないのでしょう? 其れを奪われて、貴方は貴方で居られる?」
「う・・・あ・・・・」
切が、相手の言葉に伏されて行く。 眼光が鈍り、虚ろに成る。
「教えましょうか、護る術を。 変わらなければ良いの。 そう、其れだけ。 でも、其れだけじゃ完璧じゃない。
貴方が変わらなくても、世界が変えられてしまうから。 だったら如何すればいいの?」
「・・・変えさせない・・・・・変えさせなければ、良い・・」
うわ言の様に・・・意識が在るのかも分からない様な声で、切が答える。
「そう。 『世界の変容』なんて・・馬鹿げてる。 私達に『変容』なんて―――必要無い」
「失う位なら――この儘で良い・・・新しいモノなんて、要らない・・・・・」
「そう・・私達には大切なモノが在る。 何よりも、自分よりも大切なモノが」
「私は・・・私達は・・ずっと、この儘で・・・・良い」
「そうよ。 うふふふふ・・・良い子ね」
大事そうに切を抱え上げる。
「行きましょう、八百四番目。 私と共に。 『世界の変容』なんて私達には必要無いもの」
身を委ねる切・・二人は、夜闇に消えようとする。
「ま・・・待て・・!! 貴様、切を如何する気だ!!」
「如何も? この子が言ったとおり。 私達は私達が望む儘に行動するだけよ」
「私が・・・・狙いでは無かったのかっ!?」
「貴方を殺すわ。 絶対に」
確かな殺意が私を貫く。 堪らず、膝を突く。
「でも言ったとおり。 私は私と同じ想いをさせたくないの。 この子には」
既に意識の無い切を優しく撫でる。
「・・・なんてね。 精々私の役に立って貰うわ・・・うふふふふふふふ」
狂気。 間違い無く、其れは病院で垣間見たものと同じ。
「うふふふふ・・安心してね。 ちゃんと、貴方の半身から殺してあげるから。 貴方を『殺す』のは其の後」
「史也に・・・・手を出すなぁっ!!!」
「うふふふふふふふふふ・・・・・楽しみに、待っててね。 うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ――――――」
漆黒に影が消え・・辺りに残るものは無かった。 空には月さえも無く――――闇だけが、其処に。
- 148 :名無しくん、、、好きです。。。 :太正94/04/02(土) 13:58:18 ID:szyt9Beb
- そろそろ忘れられた頃じゃないでしょうか。
待っていたヒトは長らくお待たせ。 待ってないヒトはいつものやつで。
NGワードにHN欄の「:」を指定してちょ。
月影に踊る血印の使徒 >>133-147
450行に全てを賭ける! とは言うものの、三回目ということでここらでスパッと終わるといい感じなんですが。
まだ続くのかい?! 続きます。 これ、あと二、三回で終わらせられるんかいな・・・?
暴走列車は今日も逝く。
- 149 :なぜなに月下:さんにちめ :太正94/04/02(土) 14:00:29 ID:szyt9Beb
- 「久々にきたっ! 有紗と!」
「マイのー」
「「なぜなに月下ーっ」」
「・・・ってあれ? にゃんこちゃんは?」
「知らなーい。 なんかねー本編で自分がどーだとか言ってねー、マイにパスされたー」
「むぅ、職務放棄だね。 後でマタタビの刑だ」
「それよりはやくやんないとー」
「そうだね! じゃ、マイたんよろしく!」
「おー。 マイ、がんばるー。 あのねー、今日は使徒の『強さ』についてー」
「『強さ』かー。 単純な強さとかじゃないんだね?」
「うん。 マイもねー、よく分かんないけどー、使徒の『強さ』はねー、かんしょおりょくなんだってー」
「干渉力、かな?」
「うん。 例えばー、えーと、五人目だったかなー。 『水』はねー、生命があるのにとって、すごく重要な要素だよねー」
「そだね。 無かったら死んじゃうもん」
「つまりー、命があるものにとってー、『水』の干渉力はすっごいってことだよね」
「うんうん」
「だからー、『獣』とかー、『木』とかはー、『水』よりずっと『弱い』の」
「ずっと?」
「うん。 絶対勝てないよー」
「絶対なの? まぐれも無理?」
「使徒と使徒の戦いはー、要素の干渉合戦なのー。 百回やっても千回やっても、結果は絶対変わらないのー」
「絶対ー?」
「絶対の絶対ー」
「絶対の絶対ー?」
「絶対の絶対の絶対ーっ」
「ホントかなー?」
「ホントだもん。 ウィルもエイジも言ってたもん。 絶対の絶対の絶対の絶対だもんっ」
「・・・・・マイたん、カワイイ」
「はえ?」
「んじゃ、またね! しーゆーねくすつ!」
- 150 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/02(土) 22:36:09 ID:maMWhb9W
- >>たゆんさん
待ってました!乙です!GJ! Σd(>ヮ<)
もうハラハラドキドキしまくりの展開っスねぇ!
続きキボンですヨ〜! ヽ(>▽<)ノ
奈菜ちゃんも萌えるけど
俺は有紗ちゃんとマイちゃん萌え……! (*´Д`)ハァハァ
- 151 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/04/02(土) 22:52:11 ID:KDwR5ehp
- おぉ、凄ぇ……。
萌えるって言うより、面白いですね。……あ、褒めてませんか。すいません。
姐さんのSSに触発されて、俺もなんかインスピレーションが沸いてきたー。
俺もカッコいい台本書きてー!!
- 152 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/03(日) 17:55:00 ID:XJjb8Wdk
- 「おにいちゃん、ハメハメして!」
言われ…たくないな
- 153 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/04(月) 15:31:00 ID:XSswwWHt
- ↑を受けて・・。
「あう〜、おにいちゃん、ハメ技しちゃやだ〜」
コントローラーを握って涙目で。
言われたいけど、言わしちゃ駄目だよ。 ハメ技禁止ですぅ。
- 154 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/04/04(月) 22:42:51 ID:pigkp2AG
- お風呂でサラちゃんの裸を直視してしまった俺は……
「あの……ホントにゴメンなさい」
まだ謝ってました。
「もういいわよ……」
「そうですか……あ、あの……明日、奮発してお寿司でも買ってくるから……」
「いいわよ、そんな……私も悪かったから」
「あ……そうですか……」
ま、許してもらえたようだし……良しとしよう。
「えっと……今晩のことだけど、和室にお布団敷くからサラちゃん、そこで寝てね?」
「え……えっと……」
「あ、ベッドのほうがいい?それなら、俺が和室で寝るよ?」
「えっと……えっと……」
サラちゃんが俯いてモジモジ……。
「何?」
「マサト……」
「はい」
「マサトと……一緒に寝たいな……なんて」
「ダメ!!絶対ダメ!!」
「え?何で?」
「いや、さっきの件もあるからさ。俺、ホントに何するか分からないよ?」
「大丈夫。私はマサトを信じてるから」
「いや……そういう問題じゃなくて……」
「そういう問題なのっ!!」
ビシッと言い切る。
- 155 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/04/04(月) 22:44:41 ID:pigkp2AG
- 「大体……一人じゃ……淋しいじゃない……」
バツが悪そうにサラちゃんが呟く。
「しょうがないなぁ……」
あーあ。言っちゃったよ……
ま、手出さないように頑張ろう!!
「いいの?」
「ただし!!責任は取らん!!」
「それは困る。だから……私を……私を……」
「サラちゃんを……?」
サラちゃんの顔が一気に赤くなる。
「な、何でも無いわよっ!!で、マサトの部屋はどこなの!?」
「えっと……階段上がって右だけど……」
「じゃ、行きましょ?」
「もう寝るの?」
「うん。いろいろあって疲れちゃったから」
「そう。じゃ、行こうか」
正直……不安だ……。
俺が変な気起こさないといいけど……。
───────────────────────
ピークのときよりも人が減ってるような……気のせいか。
しかし、この台本、いつになったら終わるんだろう……。
行き当たりばったりですが……まだまだ続きます。
ですので、もうしばらく、スレ違いは勘弁してください……出来るだけ頑張りますんで。
- 156 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/04(月) 23:04:25 ID:o3+nwpNa
- スレ違いなんか気にしないでいいですよーきっと。
面白ければ良しっす〜!
しかし、確かに人減ってますねぇ…寂しい限りですハイ
- 157 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/05(火) 05:33:07 ID:lU6/qFnb
- GJですー。
確かに人減りましたねー…orz
- 158 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/05(火) 21:16:13 ID:z52PcHWf
- 「あ、あ、あああ……」
「どうした、もう限界か?」
「ま、まだ大丈夫だもん!……うくっ」
「ほれほれ」
「やっ、やだぁ……!!そこは……」
「なんだよ。威勢はいい割に、こっちは全然たいしたこと無いな」
「おっ、おにいちゃんが上手すぎるんだよぉ……ひゃうっ」
「ふふん。お前の弱点など知り尽くしているからな」
「だっ、だからって……んっ……少し、休ませてくれてもぉ……」
「ダメだ」
「お、おにいちゃんの、いじわるぅ……んっ!」
「さて、そろそろラストスパートをかけるか」
「あっ!あっ!あっ!!おにいちゃん……!!もうっ……もうっ……わたしっ!!」
「イってもいいんだぜ?」
「あっ……あ……ああぁぁぁぁっ!!」
「―――お、逝った。やっぱりお前弱いな」
「ああぁぁぁぁっ!!もうヤダ!おにいちゃん強すぎだよっ!!」
「お前の攻撃がワンパターンなのがいけないんだよ」
「おにいちゃんのハメ技がいけないんですっ!あとそのキャラは使用禁止っ!」
「ハンデつけすぎ……」
「おにいちゃん!!もう一回勝負だよっ!!」
- 159 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/04/05(火) 21:54:25 ID:wtY/mi9d
- ベッドの上。見慣れた天井。
俺は何時間この天井を眺めているのだろうか……。
別にサラちゃんを意識して興奮してるわけじゃない。
でも……眠れないのは、サラちゃんのせいには違いないんだろうな……。
「ね、マサト……起きてる?」
「ああ、起きてるよ」
「眠れないの?」
「ああ。サラちゃんは?」
「私もなの。なんだか目が冴えちゃって……少しお話してもいい?」
「ああ、構わないよ」
「あの……マサトに聞きたいことがいくつかあるんだけど……」
「うん。答えれる範囲で答える」
「ありがと。まず……恋をしたら……どうしたらいいのかな?」
「恋?はは。いきなり難しいね……そうだな。特にしなきゃいけないことなんて無いんじゃない?」
「そうなの……?」
「でも……そのうち何かしたくなるんだよ」
「何かって?」
「それは人それぞれだね」
「マサトは?」
「俺?俺は……鍛えたくなるな、猛烈に」
「え……鍛える……?」
「その人に見合うような、その人を守れるような人間になりたくなる。だから鍛える」
「ふぅん……」
「ま、意味があるかどうかは別としてね」
「……なるほどね。じゃ、次……マサトの好みのタイプは?」
「難しい質問だな……答えなきゃダメか?」
- 160 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/04/05(火) 21:55:26 ID:wtY/mi9d
- 「ええ。是非」
「んー……美人っていうよりカワイイって感じかな……後は極端な年齢差はちょっと……」
「あ……そう……なんだ……」
「でも、そういうタイプってあんまり意味が無いと思うよ」
「え?」
「何だかんだ言っても、人間、恋に落ちるときは落ちるからさ。例え、タイプじゃない相手でも」
「なるほどね……じゃあ、まだ私にもチャンスは……」
「え?何か?」
「え!?えっと!!なんでもないの!!じゃ、最後の質問」
「おぅ」
「マサトは……私のこと……どう思ってるの?」
「へ?」
「だからね……えっと……その……」
「うーん……コレも難しいけど……ま……妹が出来たような感じかな」
「妹……?」
「うん。ちっちゃくて可愛くて……妹みたいだから」
「へ、へぇ……」
「あ、可愛いは失礼だったかな?」
「う、ううん!!そんなことない!!」
「そう……もう質問はいい?」
「うん……ありがと」
沈黙……。
- 161 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/04/05(火) 21:56:25 ID:wtY/mi9d
- 「ねぇ……マサト……」
「ん?」
「妹だったら……たまに遊びに来ても不思議じゃないよね?」
「うん。いいよ」
「マサト……妹だったら、一緒にお風呂に入ってもいいよね?」
「そう……かもね」
「妹だったら、一緒に寝てもいいよね?」
「まぁね……」
「それなら、私、妹でもいいかな」
「え……あぁ……そう」
「お兄ちゃん」
「え……!?」
「おにぃちゃん」
「な、何?」
「ただ呼んだだけ。お休みなさい」
「おい。サラ」
「え、何?お兄ちゃん」
「ただ呼んだだけだ。お休みなさい、サラ」
「うん」
「そうだ。日本の昔話でもしてやろうか?」
「うん。聞いてみたい」
「じゃあ行くぞ……Once upon a time,there lived an old man and his old wife in a village.……」
「英語、上手なのね?驚いたわ……」
「ははっ、鍛えてるからな。ま、でも、サラの前じゃ自慢にもならんさ」
- 162 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/04/05(火) 21:57:33 ID:wtY/mi9d
- 「まぁ……そう……ね……」
「ん?サラ?」
「くぅ……くぅ……」
「寝ちゃったのか……ま、いいや。お休み、サラ」
妹の髪を軽く撫でて、俺も目を閉じる……。
明日は……何をしようかな……。
───────────────────────
人が減ったのは俺の責任なんだろうな……。
俺も鍛えたら、いつかSSが書けるようになるだろうか……。
いやいや。自分を信じて鍛えまくれ、俺!!
>>158
いいねぇ……エロスレで一本書いてみる気ない?
- 163 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/04/05(火) 22:16:02 ID:odkxDed4
- >>158 = 拙者
(・∀・)ニヤニヤ うわなにするやめr
- 164 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/04/05(火) 22:17:52 ID:odkxDed4
- それは置いといて、遊星さんGJです。
サラちゃんファンクラブとか発足しちゃいますよ、自分(*ノ∀ノ)
- 165 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/06(水) 00:46:29 ID:sH5qvwoq
- >>遊星さん
たとえ世界中から人がいなくなっても、俺はこのスレと供に生きていきますから
- 166 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/06(水) 00:48:17 ID:paUCV+aa
- 久しぶりにコテ付きで参上
遊星さんGJですー。
サラちゃんファンクラブかぁ(*´д`)ハァハァ
コテ付けて参上したのは新たなる挑戦のため…
僕には遊星さんやたゆんさんのようにばんばん投下するのは無理だ…ならばっ!!
叩かれるの覚悟で逝きます…携帯からだしネ('A`)
今、超絶即興で描きました。前スレ投下の夢亜(子供時代)のイメージ晒し。
http://p2.ms/605f2
こーゆーのはアリですか?氏ねですか?
晒しageだけはマジで勘弁願いたいorz
- 167 :すばる ◆9tSxotve.o :2005/04/06(水) 00:50:55 ID:paUCV+aa
- コテ付け忘れてたorz
>>166=すばる
- 168 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/06(水) 00:57:56 ID:jSE0rS+P
- 遊星神GJ!毎度ながら最高にかわいいっす〜
あ、そーだ。また某雑談スレにも顔出して下さいねー
- 169 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/06(水) 01:59:30 ID:BA0cS0hC
- 歳の差があるんですか! ロリなんですか、やっぱり! やった―――っっ!!
はい、病気です。 流石やで、ホンマ・・・。
>>151
アレだ、面白いなんて最高の褒め言葉でがんす。
あれは萌えを捨ててますから(問題発言)。
両方なんて高等テク、私には無理です。 片一方でも危ういのに。
>>166
私的にはアリです。 欲しい。 下さい。 妹画像。 愛してる。
多分ですねー、ヒトが減ったと言うより書き込みが減っただけではないかと。
まぁ、ね、誰かがコメントし辛いのを貼ってるから、ねぇ。 あはは、俺だっつーの。
がんがります。 もっともっと、がんがります。 7日から学校だけど、がんがります。
- 170 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/04/06(水) 19:39:59 ID:yBW8f41E
- 未来派、沙耶派に続く、第三勢力、サラ派誕生の予感……!?
……俺は沙耶派ですけど。
>海中様
偉そうな口利いてすいませんでした……orz
海中様の作品を見抜けないとは……鍛え直さねば!!
>すばる様
絵かぁ……。
俺は絵が下手だから羨ましいなぁ……。
>姐さん
姐さんのSSは完成度が高いですからね。
俺なんかが褒めても、価値を損ねるだけだ……などと思ってしまうわけですよ。
おそらく皆も同じ気持ちではないかと。
あ、ちなみに英文の訳は『昔々、あるところにおじいさんとおばあさんがいました』ですよ。
- 171 :忘れた頃にやってくる :2005/04/06(水) 23:28:55 ID:vrCr+jEc
- 頬杖をつきながら外の風景を眺める
前方からは数学教師から発せられる声が静かな教室に響き渡っている
「おい、真田。授業聞かなくて良いのか?」
不意に後ろから声を掛けられた
声の主は親友である石井裕也だ。
「どうせ聞いたって訳が分からないさ。」
「とか言って愛しの妹の事考えてるんじゃねぇのか?」
全く、とんでもない事を言う奴である。
「あのなぁ、何で『愛しの』が付くんだ?しかも何であいつの事を今考えなきゃいけないんだ。」
「だって、お前ら絶対仲良すぎだぜ。周りと比べてみろよ、異常とも言えるぞ。」
「そんな事ないさ、そりゃ仲が良いのかもしれないが、別に飛び抜けてるわけじゃない。」
そう言うと同時にキーンコーンと今日最後の授業の終わりを知らせるチャイムがなった。
挨拶を終え、出ていく数学教師と入れ替わりに担任の教師が教室に入ってくると
手っ取り早くホームルームを済ませ、開放された。
- 172 :続き :2005/04/06(水) 23:30:03 ID:vrCr+jEc
- 自由の身となったクラスメート達がバラバラと散っていく中、教室の入口から
「コウくーん!」
と弾んだ声を響かせながら妹の美幸が小走りに走ってきた。
「おっと、早速愛しの人のお出ましだ。」
後ろから茶化す声が聞こえるがこの際無視する。
「お前な、たまにはクラスメートと一緒に帰ったりしないのか?」
「良いじゃん別にー、損する訳じゃないんだしさっ。それにクラスに話の合う人が少ないから面白くないんだもん。」
「こっちは大迷惑なんだ。今じゃ学校中でシスコン扱いされてるんだぞ?」
「うぅ〜、そんなに私のこと嫌い?」
「いや、嫌いじゃないけどだな・・・」
「じゃあ良いでしょ?」
「おうおう、夫婦漫才繰り広げてくれちゃって、校内放送で聞かしてやりたいぜ。」
すかさず石井が首を突っ込んでくる。
「馬鹿言ってるんじゃねぇよ、おかげで全くモテないんだからな。」
そう喋りながら教科書を通学鞄に収め、出口に向かう。
「ほらユキ、帰るぞ。それじゃあな、石井!」
「あ、待ってよぉ〜!」
「じゃあな、真田夫婦!」
最後まで馬鹿なことを言っているが、日常茶飯事なので突っ込む気にもならず、逃げるように教室を出た。
--------------------------------------------
スレ汚しなものを貼ってすみません・・・。
統一感のない文章ですがどうか悪しからず・・・orz
- 173 :雨音は紫音の調べ ◆cXtmHcvU.. :2005/04/07(木) 01:23:55 ID:mHvoiAey
- >>遊星さん
俺はみんな好きっス!
中でも未来ちゃんは特に好きー! (≧∇≦)b
>>海中さん
スゴイ… (*´Д`)ハァハァ
最初えっちぃ事してるのかと思いましたヨ…w
>>すばるさん
可愛い! (≧∇≦)b
絵が描ける人羨ましいっス…!
>>たゆんさん
萌え捨ててたんですか…?
萌え+燃えで素晴らしいっスよ!
>>171-172
イイっす! Σd(>ヮ<)
是非続きキボンです〜!
- 174 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/08(金) 16:24:44 ID:BBvZMAip
- >>171-172
GJですー。
これ前少し書いてなかったですか?あれの続きかな?
今度こそ続きキボン(*´д`)
- 175 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/08(金) 18:11:13 ID:SmjfSc3A
- 漏れも続ききぼんぬ
- 176 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/09(土) 00:57:37 ID:BrjW2kFb
- >>173-175
おほめの言葉ありがとうございます。
現在マイペースながらも書いていますが、SSではなく小説になってしまいそうです
- 177 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/04/09(土) 22:15:38 ID:BrjW2kFb
- 二人で並びながら歩く
校門まで来た時、横から聞き覚えのある声で話し掛けられた。
「あら、真田君じゃない?」
「あ、どうも。上原さん。」
話し掛けてきたのは1学年上の風紀委員である上原百合恵さんだった。
上原さんは隣にいる美幸を見ると・・・
「そちらはお友達?それとも真田君の彼女?」
「え・・・・あ、いえ。私は妹の美幸って言います。」
「そうなんだ。私は2年の上原百合恵って言うの、よろしくね。」
「こちらこそよろしくお願いします。」
「そそっかしい奴ですけど、大目に見てやって下さいね。」
「コウくん、余計な事言わないでよぉ」
「うふふ。そう言えば、真田君は1年生よね?じゃあ美幸ちゃんは・・・」
「俺は4月生まれで妹は3月生まれなので学年は同じなんですよ。」
「そうだったんだ。あまりにも仲が良くて恋人かと思っちゃった。」
「そ・・・そんな、恥ずかしいです。」
そんなに嬉しがるな、妹よ。
「えっと。それで、上原さんは今から何かやること有るんですか?」
「ええ、ちょっと風紀委員の集まりが有るの、それじゃあ行くわね。バイバイ、真田くん、美幸ちゃん。」
「はい、さようなら〜」
二人で上原さんの姿が校舎の中に消えるのを見届けると、再び歩き出した。
- 178 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/04/09(土) 22:16:51 ID:BrjW2kFb
- 「えへへ、恋人みたいだって!」
「兄妹で見られたって何も嬉しくないぞ・・・」
「え〜、何でよぉ。こんな可愛い妹のどこが不満なの?」
「後々が問題なんだよ。シスコンだのブラコンだの不名誉な称号が付くぞ。」
「そんなの気にしなければ良いんだよ。それに仲が良いのは良いことだよ。」
「仲が良いにも限度ってもんがあるんだ。特に兄弟はな。」
その言葉を聞くといきなり美幸は黙り込んでしまった・・・
何か気に障ることでも言ったか、俺?
それから一言も喋らないまま歩いた。
通学路の途中にある公園に通りかかった時
「ねぇ、コウくん。公園寄っていこう・・・」
何か思い詰めたような面持ちで美幸が誘ってきた。
「ん?別に良いけど、何かあるのか?」
「うん、ちょっとね・・・」
曖昧に答えたまま美幸は公園に入っていく。
取りあえず俺はそれに着いて行くことにした。
- 179 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/04/09(土) 22:18:08 ID:BrjW2kFb
- 美幸は手頃なベンチを見つけると腰を掛け、溜め息をした。
俺もその隣に座る。
「なぁ、一体どうしたんだ・・・?」
「・・・・・・コウくん。コウくんは私のこと好き・・・?」
「何を言ってんだ。そんなの当たり前だろう。」
「・・・そうじゃない。その好きじゃなくて・・・」
「・・・・ユキ?」
「・・・私は好きだよ。兄妹としてじゃなくて、コウくんを男の人として見てる・・・。」
「・・・・・・」
「・・・何度も諦めようとしたよ。でもどうしても諦められなかった・・・・。」
言葉が出なかった。
心底驚いた。まさか美幸がそんな事を考えてるとは思ってもみなかった。
「だから・・・気付いてもらおうと何度もアタックしたよ・・・、でも気付いてくれなかった・・・。」
美幸の口から次々と言葉が出てくる。
「もう・・・限界だよ、こんなの耐えられない!」
「どうして兄妹で好きになっちゃいけないの?!どうして・・・!」
目からは涙が溢れてきた。
「何で兄妹として生まれて来ちゃったのかな・・・・」
「ねぇ・・・コウくんは私のことどう思ってるの・・・?答えて・・・っ!」
俺は返答に迷った。確かに美幸のことは好きだ。
だが、それは兄妹の範囲を超えるものでは無いのではないか?
答えが出なかった・・・。
だから、俺は美幸の肩に手を置き、首を横に振った・・・。
「そんな・・・・えぐっ・・・・っく・・・・・・・コウくんの・・・・ばかああああぁぁぁぁぁっ!!」
そう叫ぶと美幸は思いっきり手を振りほどいて走り去ってしまった。
- 180 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/04/09(土) 22:20:13 ID:BrjW2kFb
- ・・・暫く動く気になれなかった。
俺は・・・本当はどう思っているのだろう。ただの兄妹でしかないのか?
思えば、小さな頃から常に俺と美幸は一緒だった。
俺と一緒にいると、美幸は本当に楽しそうに笑ってくれるし、俺もその笑顔が好きだった。
だから、美幸を喜ばせる為に色々なことをやってきた。
無意識の内に美幸を喜ばせることを生きがいにしていたのかもしれない。
それは・・・好きだということだと思う。兄妹としてではなく、本当の意味で。
何故そんな事も気付かなかったんだろう、今更ながら馬鹿だったと思う。
今ならまだ間に合うはずだ・・・。
俺の本当の気持ちを伝えよう。
そう考えると同時に俺は走り出した。
色々な場所を探して回った。
家にも帰ったが美幸は居なかった。
そして、最後に思いついたのが此処だった。
─学校。
日が沈みかけ、誰も居なくなった校舎を歩く。
教室に着くと、一人寂しく椅子に座って泣いている美幸の姿を見つけた。
呼吸を整えて教室に入る。
- 181 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/04/09(土) 22:23:35 ID:BrjW2kFb
- 「・・・・美幸。」
「・・・コウ・・く・・・ん?」
「さっきは済まなかった、気が動転しちまって・・・」
「・・・・」
「あれからよく考えたんだ、自分の気持ちを。」
「俺、真剣に自分の気持ちを考えたこと無かったんだ。」
「それで、分かったよ。俺は・・・否、俺もユキのことが好きだ。」
「コウくん・・・」
「俺はユキの笑顔が無いと駄目なんだ、ユキは俺の生きがいなんだよ。」
「・・・・本当?」
「本当さ、だから笑ってくれ。」
「うん・・・・うん・・・っ」
ユキの目から余計に涙が溢れてきた、だけど顔は満面の笑みを浮かべていた。
「さぁ、帰ろうか・・・あ、この事は父さん達には内緒だぞ?何言われるか分からないしな。」
「うん!ありがとう・・・・大好きだよっ、コウくん!」
-----------------------------------------
え〜・・・と、お気付きかも知れないですが紛らわしくない様にコテハンとトリップ付けました。
自分ながら馬鹿な文章書いてるな〜と思っております。
ちなみに、特に「萌え」等を意識しては書いてないのでお見苦しいかも知れません。
- 182 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/09(土) 23:38:56 ID:7VGJmXjn
- >>177GJ
ところで、
巨 人 フ ァ ン で す か ?
- 183 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/10(日) 13:42:41 ID:AzRQyDxW
- >>171-172>>177-181 GJです!
これからもがんばってください!
- 184 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/04/10(日) 16:57:02 ID:lN8BLcA9
- 応援ありがとうございます。
>>182
どこのファンでも無いです。
強いて言えば地元である阪神ですが。
キャラの名前は中学時代の知り合いから拝借しました。
>>183
遊星さん達のような素晴らしいものは書けませんけど
神職人が不在の間、少しでも楽しめるようなものを書けるように頑張ります。
- 185 :182 :2005/04/10(日) 17:36:00 ID:+DZoU1wf
- そうでしたか。
上原 真田と来たものですからついそうなのかと。
これからも頑張ってください。
- 186 :雨音は紫音の調べ ◆cXtmHcvU.. :2005/04/11(月) 00:26:41 ID:1fh0T0QE
- >>二姉持ちの弟さん
GJです! Σd(>ヮ<)
すごいイイ!萌えるっス!
続きが気になります…!
- 187 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/04/11(月) 21:26:20 ID:wX16aF+o
- 時刻は七時半。場所は俺の部屋。
俺はサラのための朝食を作って、ここに戻ってきた。
「サラー。朝だぞー」
カーテンが開き、部屋中に光が満ちる。
サラは眩しそうに固く目を閉じ、寝返りをうった。
今まで暗くて分からなかったけど……寝顔も結構可愛い……。
って、見惚れている場合ではなくて……
「おーい。サラー」
俺はサラの肩を掴み、軽く揺する。
「起きろー」
「……what……?」
え、英語!?地が出たか!?
「サラ、起きろー。Wake up.」
「ん?マサト……?」
「Good morning」
「おはよう……」
ゆっくり起き上がって、眠そうに目をこするサラ。
「朝御飯できたぞー」
「うん……」
「下に行くぞ?」
「うん……」
聞いてるんだか、聞いてないんだか分からないが……
俺はそんなサラを従えて、階段を下り、ダイニングへ。
- 188 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/04/11(月) 21:27:05 ID:wX16aF+o
- ダイニングのテーブルの上には、ご飯。味噌汁。焼き魚などなど……パーフェクトな日本の朝食だな。
「でさ……サラは今日帰るんだよね?」
俺は茶碗にご飯を盛りながら、サラに尋ねる。
「うん。今日の夕方、ママが迎えに来るの」
「よし。じゃあ、今日は遊びに行けるな……いいよね?」
「うん」
「どっか行きたいトコある?無きゃ俺が決めるけど?」
「うーん……無くはないけど……でも、マサトに任せるわ。そのほうが面白そうだから」
「そう?ま、そのほうがやりやすいけどね」
「うん。楽しみにしてるよ、マサト」
卵焼きを頬張りながら微笑むサラ。
何だか今日でお別れなんて信じられそうに無い……。
───────────────────────
「はぁ……着いた……」
俺は自転車のブレーキを握り締め、片足を地面につける。
俺はサラを後ろの荷台に座らせ、四、五十分ほど自転車を漕ぎ、とうとう目的地へと辿り着いた。
「お疲れ様、マサト」
「ああ、さすがに疲れたよ……」
「うん。ずいぶん遠くまで来たみたいだからね。さぁ、行こう?」
「ああ」
「って言っても、ここが何処なのか分からないんだけど……」
「ここ?お城だけど?」
「えっ?ここにあるの?」
「うん。ま、もう少し歩くけどね」
「へぇ……ここがお城か……。楽しみだな……」
本当に嬉しそうに辺りをキョロキョロ見回すサラ。
見たがってたもんな……お城。
- 189 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/04/11(月) 21:27:50 ID:wX16aF+o
- 「でもな、サラ。ここには、お城を見に来たわけじゃないんだ」
「え……」
「こっち来て」
俺はうなだれるサラの手を掴み、歩き出す。
このまままっすぐ行けば……
「わ……あ……」
「すごいだろ?」
辺り一面の桜の木に圧倒されているサラ。
「知ってるよな、桜?」
「う、うん……でも、こんなにキレイなんて……」
「うん。ちょうど満開だからね」
「何だか……ずっとこうして見ていたい……」
「気持ちはわかるけど、歩きながら見ていこう?そのうちもっといい景色があるかもしれないからね」
「うん……」
俺も風流な気持ちになりながら、桜の下を歩いていく。
「ねぇ、お兄ちゃん……」
「何?」
「手、繋ごう?」
「うん。いいよ」
幻想的な風景をサラと二人、歩く。
もはや言葉など無い。だが、居心地のいい沈黙だった。
「ねぇ、サラ」
「?」
「サラは今何処に住んでるの?」
「よく分からないけど……近くに角山って言う駅がある……」
「角山か……結構近いんだな」
「えっ!?近くなのっ!?」
- 190 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/04/11(月) 21:28:35 ID:wX16aF+o
- 「まぁ、俺の家の最寄り駅から電車で四、五十分ぐらいかな」
「何だ……全然近く無いね……」
「でも、来れない距離じゃない。だろ?」
「うん……」
「だからさ、また遊びに来てよ。前もって連絡くれたら、何か用意するし」
「いいの……?」
「何言ってんだよ。兄妹だろ、俺たち?」
「うん!!」
サラの笑顔。
自分ではああ言っておきながらも、この笑顔を何度見えるだろうと思うと切なくなる。
「喉も渇いたし、お茶でも飲んでいこうか?」
「うん」
「そうそう。せっかくだし、桜餅を食べなきゃね」
「サクラモチ?食べてみたい!!」
「そうそう。花見団子も忘れちゃいけないよな」
「ふむふむ……よく分からないけど、楽しみだなぁー」
……良くないな。
サラが目の前にいるのに、サラがいなくなってからのことを考えるなんて。
しばらくは、サラと一緒に楽しもう。俺も。
───────────────────────
- 191 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/04/11(月) 21:29:47 ID:wX16aF+o
- >>184
『神職人?いやぁ、いいんだよ、クソ台本書きで』
……俺もヒビキさんみたいなカッコいい大人になりたいなぁ。
というわけで、やっとラストが見えてきた感じですな。
あと少しだ。頑張ろう。
実は影で、あることを計画中。ま、このスレには関係ないけど……けど……。
- 192 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/11(月) 21:33:47 ID:8AF/ePFm
- リアルタイムで乙!
いや〜サラちゃんも可愛いね〜!
- 193 :すばる ◆9tSxotve.o :2005/04/12(火) 05:44:55 ID:BPcKadcd
- 今日はー 休みなのにー 目覚ましをー 消し忘れ〜
起 き た orz
>>二姉持ちの弟さん
乙ですー。
王道ストーリーですね。王道の良さがしっかり出てますです(*´Д`)
>>遊星さん
乙でーす。
相変わらずリアルの季節にあった話で素敵です。
もしかしたらこの前のPCから見れない設定になってたかも…
【夢亜(第二形態)】
http://p2.ms/ha3lk
第二形態が前の台詞集の夢の中前後で第三形態になると事故前後になりまする。
- 194 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/04/14(木) 21:07:20 ID:OvsBSyhB
- 何か本当にあっという間だった。
城の見学したり、外国人観光客と話したり、寿司食いに行ったり……。
全て終えて帰ってきたとき、丁度クミ姉ぇの車が家に来たところだった。
「お、丁度良かったみたいだな」
「……」
うつむいたまま、何も答えないサラ。
俺はそんなサラの手を掴んで……
「大丈夫。また会えるからさ」
「うん……」
「じゃ、そんな暗い顔してるんじゃねぇよ」
俺はサラの背後に回りこみ、脇腹をくすぐる。
「きゃ、お兄ちゃん!?きゃはははははっ!!」
身を捩じらせながら、サラが笑う。
「もう!!お兄ちゃん、何するのよ!!」
「よし。笑った笑った」
「え?」
「サラは笑顔が一番似合うよ」
「お兄ちゃん……」
「何度も言うが、俺たちは兄妹だ。会いたくなったらいつでも会いに来い」
「うん!!」
「あとは……ほい。俺のケータイの番号とメールアドレス。また連絡してくれ」
「うん!!」
サラが笑う。俺も微笑を返す。
そして、別れの挨拶はひと通り済んだと判断したクミ姉ぇがサラを呼び、
最後の最後がやってきた。
- 195 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/04/14(木) 21:08:11 ID:OvsBSyhB
- 「マサト」
「……!?」
反応する間もなく、サラが俺の胸に飛び込んでくる。
そして……頬にキス。
「ホントは唇にしたいんだけど……まだ我慢するわ」
「え……?」
「いい!?マサトの次の恋人には私が予約入れてるからね!!勝手に新しい恋人作っちゃダメよ!?」
「え……えぇ……?」
「返事は?」
「……はい」
「それまでは、お兄ちゃんの妹で我慢してあげるわ」
「はい……」
「よろしい♪」
満足そうに微笑み、手を振りながら車に向かっていくサラ。
そして、乗り込む手前で振り返り
「バイバイ、マサト!!大好きだよ!!」
ちょっと恥ずかしかったが、俺も笑顔で手を振り返す。
サラはまた大きく手を振り、車の中に消える。
車はすぐに動き出し、あっという間に見えなくなった。
呆然と立ち尽くす俺の隣を、一陣の風が悲鳴を上げながら通り過ぎる。
そして、どこから来たのか、俺の手のひらの上に一枚の桜が。
「そうだよな。また会えるもんな」
俺はその桜を優しく握り締め、誰もいない家のドアを開けた……
───────────────────────
- 196 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/04/14(木) 21:08:56 ID:OvsBSyhB
- サラが帰った後、なんとなく物足りない気持ちでテレビを見ていた。
すると……
「ねぇ、兄さん」
「ん?何、未来ちゃん?」
「私が旅行に行っていた間……お友達でも来てたんですか?」
「え……?友達は来てないけど……どうした?」
「あぁ、そうですか。何でもありませんよ、お兄様」
……未来ちゃんがキレてる!?
「えっと……何かあったのか?未来……?」
「ええ、お風呂場で、こんなものを見つけまして」
そう言って、未来が取り出したのは……
サラの髪の毛……?
「あ……お兄様の枕からも同じ方の物と思われる髪の毛を見つけましたよ」
「あっ……それは……!!」
「心当たりがおありのようですね?お兄様?」
「えっと……ちょっと待て、未来!!」
「いいんですよ、言い訳なさらなくても?私は分かってますから」
「言い訳じゃないって!!それは、サラっていって……」
「へぇ……お兄様の恋人、サラさんっておっしゃるんですか」
「恋人じゃないってば!!ホント、誤解なんだって!!」
「そんなに私が邪魔ならば、遠慮なく仰ってくれればいいのに」
俯いて、ちょっと拗ねている未来。
すげぇ可愛いけど……
- 197 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/04/14(木) 21:09:41 ID:OvsBSyhB
- 今はそんなこと考えてる場合じゃない!!
「はぁ……疲れたので、私はもう寝ますね?」
「ちょっ!?未来!?晩飯は……!?」
「カップラーメンでも何でもお食べになってください」
「ちょっ!?待てって!!未来!!みくぅー!!」
俺の叫びも空しく、自分の部屋へ消えてしまう未来。
叫ぶ腹を押さえながら、やり場の無い怒りを抱く俺……。
……結局、未来の料理が食えたのは、ここから二十四時間後のことでした……。
[終わり]
───────────────────────
ま、やっと終わりなワケです。俺、ご苦労様。
一月近く書いてたわけですねぇ……。
で、結局この台本でやりたかったこと
・ツンデレっぽい娘。
・嫉妬する未来。
・限りない響鬼ネタ。
……ホント難しいな、台本書きって。
- 198 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/14(木) 21:59:32 ID:3BAsTLWb
- 遊星神乙!ってかGJ!
長きに渡って楽しませて頂いたっす〜
- 199 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/14(木) 22:24:14 ID:VpuAVIy6
- うわ、そこで未来ちゃんスカ!
いや〜相変わらず萌え面白いっス!さすが遊星神!乙で〜す。
- 200 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/15(金) 21:33:40 ID:tDG2Dwpp
- かなり意表をつかれましたよ!未来ちゃんでしたか!
- 201 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/15(金) 23:36:12 ID:zBZnli9C
- GJ!
今後の未来とサラの遭遇が楽しみです。
- 202 :コンズ :2005/04/16(土) 03:15:10 ID:684b5Xjd
- いや〜、皆さん最高です!!
自分もまさか未来タソの兄様だとわ思ってなかったっス!!
まぁ、何わともあれ乙です!!
- 203 :雨音は紫音の調べ ◆cXtmHcvU.. :2005/04/16(土) 19:22:45 ID:dNK5O2Gr
- 乙です〜GJ!
俺も今後の展開が楽しみです〜! (≧∇≦)b
- 204 :コンズ :2005/04/17(日) 02:56:49 ID:3PguGlN5
- 漏れなら妹に『一緒に寝よ?』って言われたいなぁ………orz
- 205 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 1 :2005/04/17(日) 22:26:17 ID:BI16hUL8
- 世界は千十一の要素で構成されている。
それは私が生まれた刻から変わっていない。
私が、世界が生まれたその刻から。
私が私として存せられるのは、世界が在るから。
私が私として存せられるには、世界が今の儘で無ければならない。
世界が変わる刻、即ち私が変わる刻。
何故ならば私は世界の一部。
私と世界は不可分。
それは『要素』を背負う『使徒』の宿命。
私は、未だ、変わりたくない―――。
「奈菜・・・その、なんだ。 きっとすぐに帰って来るって」
史也が私を慰める。
「・・・有り難う」
如何にか形ばかりでも笑顔を作ろうとした・・が、無理だった。
「・・明日、また探そうぜ。 俺も手伝うからよ」
「否、お兄ちゃんは、無理をしない方が・・・・」
「何言ってんだよ。 セツも立派な家族の一員だぜ。 呑気なこと言ってらんねーよ」
「有り難う・・・・・」
「な? 今日はもう風呂入って寝ろ。 探し回って疲れたろ」
「ん・・・・分かった・・」
俯いた儘、脱衣場の戸を潜る。
唯惰性で衣服を脱ぎ捨てていく。
――今日、我が家の飼い猫のセツが、逃げた。 私はこの時間迄探し回って来たのだ。
浴室の扉を開けてとぼとぼと浴槽迄歩く。
蛇口を捻り、水を風呂桶に満たす。 頭から、被る。
――真実は違う。 切は私を狙う使徒・・恐怖に連れ去られたのだ。
圧倒的な『強さ』に、私は動けなかった。 見す見す切を敵の手に・・・・。
「私は・・・切を、護れなかった・・・・!!」
- 206 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 2 :2005/04/17(日) 22:27:41 ID:BI16hUL8
- ばしゃーっ。
二杯目の水が私を打つ。
「秋に頼まれたんだ・・・自分の代わりに切を護ってくれ、って・・・・なのに、私は・・・!!
秋の大切な姉を・・・護れなかった・・・・!!」
ばしゃーっ。
もう冷たくも感じ無い。 唯液体が体を走る感覚だけ。 其れでも私は、幾度も其れを繰り返す。
秋の、大切な、何よりも大切な、切を。 護れなかった。
其れは私にとっての史也。
史也を護れなかったのと、同じ。
ばしゃーっ。
取り戻す。 絶対に、切を―――取り戻す。
「おはよー奈菜ちゃ・・・如何したの?」
行き成り有紗にそう尋ねられる。
「お早う・・・・何がだ?」
「だって・・今日は久々にお兄さんと一緒の登校でウキウキ奈菜ちゃんかと思ったら・・どんより奈菜ちゃん?」
「あー、あのね、有紗ちゃん・・・・実は、さ」
史也が私に代わって答えようとするが・・チャイム。
「ありゃ、遅刻しちゃうね・・・後で、お願いします」
「うん、じゃあ後で」
史也が自分の教室に歩き出す。
「それじゃ・・・行こ、奈菜ちゃん」
「ん・・・」
一時間目、二時間目、三時間目、四時間目。
授業を聞く気にも成れず、唯ぼんやりと外を眺める。
そう言えば・・あいつ等と初めて出会ったのは授業中だったな・・・。
「奈菜ちゃん・・」
躊躇いがちな有紗の声。 振り向くと、私の席の直ぐ其処に立って居た。
- 207 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 3 :2005/04/17(日) 22:30:02 ID:BI16hUL8
- 「お昼休み、だよ」
教室の正面の時計を見る。 確かに、昼休みの時間だった。
「休み時間にも声掛けたけど・・・上の空だったから・・・・」
「・・・そうだったか。 済まない」
「ううん、いいの。 でも、よっぽど思い詰めてるんだね・・・にゃんこちゃん、えと、セツちゃんのこと」
「ん・・? 何故其れを?」
「俺も居るって」
有紗の後ろから聞き慣れた声・・史也だ。
「気付いてなかったか?」
「嗚呼・・・・」
「マジで重症だな、こりゃ・・有紗ちゃんには俺から話しといた」
「うん・・あのね、わたしも放課後手伝うから」
「あ・・否、有紗に迄、迷惑は・・」
「迷惑じゃないよ! 奈菜ちゃんがそんなののままだったら、心配でそっちのが迷惑だよ・・・」
「ほら、俺はこれだからさ」
ギプスを指す。
「悪いとは思うけど、俺の低下した分の戦力になって貰おうと思ってな。 俺から頼んだんだ」
「頼まれなくてもやるつもりだったよ。 奈菜ちゃんの大切な家族だもん」
「有紗・・・うん、有り難う。 宜しく頼む」
「んじゃ・・飯食おうぜ。 腹が減っては戦も午睡も出来ねーからな」
「・・寝る気か」
「怪我人は良く寝るのが大切なんだよ」
「そーですよぉ。 今晩はセツちゃんが見付かるまで寝ないで探しますからね〜。 奈菜ちゃんも今のうちに寝た方がいいかもよ?」
「ふ・・そうだな。 寝るなら今の内かも知れん」
「じゃ、わたしも寝ないとねーっ。 何か三人でお泊り会でもするみたいだねっ」
「おいおい、そうなってもどうせ俺は除け者だろ? 女の子二人で盛り上がってさ」
「あはは、お兄さんも一緒に盛り上がりましょーよ」
有紗と史也が無理に明るく振舞う。 きっと、私の為に。
「・・・・有り難う、有紗、お兄ちゃん」
- 208 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 4 :2005/04/17(日) 22:31:42 ID:BI16hUL8
-
「奈菜ちゃん、次は歴史だよ。 移動、移動」
有紗の声に目を覚ます。
「ん・・・有り難う」
「は〜、ホントに寝たんだ、奈菜ちゃん」
「嗚呼。 今日は徹夜する覚悟だからな」
「そかそか。 うん、わたしも次は寝るよ。 くまちゃんせんせー寝放題だからね」
「・・・・最前列だろう、有紗は確か」
「うん。 寝放題だから」
道具を持ち、廊下を歩きながら話す。
「でも奈菜ちゃんも佐々木せんせーの授業で寝るなんていい度胸だねー。 殴られるよ?」
「教師が無闇に暴力を振るうか」
「いやま、そりゃ滅多には殴んないけどさぁ。 怒ると怖いでしょ、佐々木せんせー」
階段を登り切る。 廊下を左へ曲がろうとした時―――。
「ねぇ、そこのキミ達」
透き通る声が、私達を呼び止めた。
「そう、キミ達。 ここの生徒でしょ?」
銀髪が揺れる。
「当然だ」
「よかった。 ボクは方向音痴でね。 こんな所まで迷い込んじゃってさ」
「あれ、でもウチの制服着てますね。 転校生さんですか?」
「うん。 明後日からなんだ。 先生にちょっと顔を見せに来たんだけど、職員室って何処かな?」
「は〜、本気で音痴さん・・? 一階だよ?」
「あれ、ここって・・・」
「三階だ」
「・・・・あはははは、日本の建物はよく分からないね」
「それ以前じゃないかなぁ・・」
「えーと、出来れば案内してくれないかな?」
「しょうがないなぁ。 奈菜ちゃん、先行ってて」
と、授業で使う道具を渡される。
- 209 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 5 :2005/04/17(日) 22:33:10 ID:BI16hUL8
- 「あ、出来ればそっちのコに案内されたいかな」
「・・・・なんで?」
「ん〜、ボクの好みだから」
「絶っっっっ対に!!! 駄目!!!!」
有紗が大声を出す。 ・・・何故有紗が返事をするんだ?
「つれないなぁ。 ボクは唯、案内してもらいたいだけなのに」
「奈菜ちゃん!! コイツの半径250メートル以内に近寄っちゃ駄目だよ!! 犯されるから!!」
「有紗・・・落ち着け」
「落ち着けない!! 危険!! コイツはデンジャーよ!!」
「ふふふ、愉快なお友達だね、奈菜」
「呼び捨てにするな! 穢れる!!」
「あはははは・・・・『屋上で待ってるから後で来て、七十七番目』」
「!! ・・・・『貴様、使徒か』」
「『まぁ、そう云う事』。 それじゃ、自力で探してみるよ」
と言って、階段を下りて行く。
「・・・・・」
アイツは、一体・・・。
「・・・・どっか行ったね。 ふう、一安心だ」
「・・・御苦労様」
「なんのなんの、コレも愛しの奈菜ちゃんの貞操を護るためですから。 ってか奈菜ちゃんすごいね。 ドイツ語でしょ、今の」
「あ・・何て言ってたか、聞き取れたのか?」
「んーん、ドイツ語だってのは分かったけど、速いからサッパリ。 ・・・・なんかヒワイな事でも言われたの?」
「否、唯の挨拶だ」
「ふーん・・・・あ、時間がピムチ。 早く行こ」
「有紗、私は保健室に行く」
「えええぇぇぇっっ!!? 具合悪いの?! 大丈夫なの?!!」
「否、ベッドで寝たいだけだ」
「へ・・・? あ、そ、そお? じゃ、わたしも行こうかな」
「ベッド、一つしか無いぞ」
「一緒に寝ればいいよ」
- 210 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 6 :2005/04/17(日) 22:34:33 ID:BI16hUL8
- 「今度にしてくれ」
「ん〜、まぁ真面目な奈菜ちゃんは授業中に居眠りなんかした事ないだろーからね。 机じゃ熟睡出来ないか〜。
分かったよ。 丁度吉川先生もお休みだしね。 今なら寝れるんじゃないかな」
「其れじゃあ、済まないが宜しく頼む」
「任せろ! あ、奈菜ちゃん!」
階段を下りようとしていた私に声を掛ける。
「何だ?」
「あのヘンタイには気を付けてね!」
「・・・・分かった」
「やぁ、待ってたよ奈菜」
屋上の手摺りに背中と肘を乗せ、此方を見る。
「キミの事は知ってる。 けれどボクの事は知らないよね? ウィル・フロイライン。 半分がドイツで日本とイギリスが四分の一ずつ」
銀髪を摘んでみせる。
「ご覧の通り、ね」
「・・・用件は何だ」
「せっかちだね。 キミの友達の件さ。 猫のね」
「切か!? 切は今、何処に居る!?」
「まぁ、待ってよ。 もう一人呼んであるから」
「もう一人・・・?」
ぶわっ――。
一陣の風、降り立つ少女と、青年。
「つれてきたよー」
「御苦労様、マイ」
「んーん、このくらいなんでもないよー」
「んじゃ、先に帰ってて。 お土産にケーキでも買ってくから」
「うんっ。 じゃ、またねー」
あっと言う間に少女が飛び立ち―――すぐに見えなく成った。
「・・・・・奈菜」
後に残されたのは、私と、ウィルと、青年――秋だけ。
- 211 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 7 :2005/04/17(日) 22:35:59 ID:BI16hUL8
- 「秋・・・済まない、私は・・」
「いや・・・いい。 詳しく聞いてる。 姉さんは、アイツに屈したみたいだね」
「そう、八百四番目・・・切は、恐怖に屈した。 負けた訳でも、『殺された』訳でもなく、ね」
「如何云う意味だ」
「そのまま。 心が屈したって事だから、自分から帰ってくる事は無いだろうね」
「寧ろ・・・敵対するかもね、そっちと」
秋がウィルにそう云う。
「はは、多分そうだろうね。 でも、彼女の事だ、奈菜辺りを襲わせるんじゃないかな? 奈菜は、『血印』だから」
「『血印』・・・?」
「『世界の変容』其の物とも言える、要素の意味の変化。 キミの事さ」
「『世界の、変容』・・・奴も、そんな事を言って居た。 『世界の変容』とは、何だ?」
「停滞したものは存在しているとは言えない。 変わり続ける事こそが『永遠』だ・・・ってね。
世界は永遠でなければならないのさ。 だから、変わろうとしている・・・『世界』がね」
「・・・・・はっきりと言え」
「はは、そのままだよ。 どんなものでも変わらずに在り続ける事は出来ない。 それは『世界』も同じ。
奈菜、キミは変わるべき『世界』なんだよ」
「詰まり・・・今の姉さんにとって奈菜は敵其の物なんだよ。
姉さんは・・・・変わりたくないみたいだから・・・・」
「・・・・・・・」
「さて、それは兎も角。 彼女の居場所なんだけど―――」
波音が無機質な壁に響く。
唯一定の間隔に並べられた倉庫達は、返って乱立と云う言葉を思い起こさせる。
電車で30分程の寂れた港町に着く頃には、辺りは夕日に染まり始めていた。。
「奈菜、僕は向こうから見て回る」
「嗚呼、此方は任せろ」
一つ一つの倉庫を見て行く。 非効率的だが、どの倉庫か分からない以上之しかない。
扉を開け中を覗き、奥を窺う。 何度と無く其れを繰り返して行く。
さして多くは無い倉庫だが、一つ一つ奥まで見て行く内に段々と暗く成っていく。
- 212 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 8 :2005/04/17(日) 22:37:41 ID:BI16hUL8
- 潮風にくすんだ赤い屋根の倉庫。 私が受け持った方の最後の倉庫。
錆付いた扉を押すと、ぎきぃ・・・と不快な音が響いた。
高い位置の窓から辛うじて射す月光。 物音無く、鉄錆の臭いが鼻を突いた。
暗くて判別出来ない資材の中を進む。 かつん、かつん――自分の足音のみ響く。
と、空間に出る。
資材達が意図的か偶然か除けられ、丁度月明かりが其処を射す。
蒼い闇の中、宛ら其の光景は深海に射した光の様だった。
之以上は進めそうも無い。
踵を返そうとして―――見付けた。
「・・・・・・・切、か?」
資材の上に、小さな影。 のっそりと怠惰に反応し、此方に動き出す。
徐々に月影に現れた姿は、紛れも無く切だった。
「切、無事・・だったか?」
答えない。
唯、瞳は、連れ去られた時と同く、虚ろに輝いて居た。
「切・・・・」
「・・・・・七十七・・」
やっと発せられた言葉。
「・・・何だ?」
「貴方は・・・私の、敵なのね・・」
「私が、敵?」
「そう・・・私から私の全てを奪う・・敵」
「私はそんな事をする心算は無い」
「貴方にその気が在ろうと無かろうと・・・・事実として、貴方は私から奪う・・」
「私が・・・お前の、何を奪う?」
「私の全て・・・私にとっての全て。 何に代えられる事は無く、二度と手に入れる事も出来ない、私の全て」
「奪わない・・・奪うものか。 私にだって、其れ位大切なものが在るんだ」
「でも、貴方は奪ったじゃない。 『恐怖』から、半身を」
「・・・・・其れは・・」
す――猫独特の無音の動きで、床に降り立つ。
- 213 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 9 :2005/04/17(日) 22:39:19 ID:BI16hUL8
- 「貴方が齎(もたら)す変化は、私から其れを奪う。 屹度(きっと)・・・私の全てを、奪う」
「・・・・何故、そう言い切れる?」
「現に貴方は奪っているじゃない・・・『恐怖』から」
「切の大切なものが、『恐怖』の其れと同じとは・・・限らないだろう」
「同じよ。 私に取って半身も同じ。 幾数千、幾数万の時を共にした、私の半身・・・・」
其の表情は窺い知れない。
「私は護る・・私の全ての為に。 私と私の全てが、何時までも共に居られる用に・・『変容』など、不要」
「私は・・・」
「貴方が如何考えて如何行動しようと、結果として貴方は『変容』を齎す。 だから―――」
ひゅっ――。
極々小さく風が鳴き、私の頬に一筋の線。 遅れて、血。
「此処で、死んで頂戴」
見据えた其の瞳には、暗い決意。
「・・・・・本気か」
「勿論」
私との距離を保ちながら、ゆっくりと、ゆっくりと歩き出す。
「・・・・・・・・出ろ!」
私の声と共に大鎌は現れ、確かな質量を持つ。
同時、駆け出して来た切の爪を鎌に止める。
其の儘鎌を跳び、私の真上に躍る。
横方向へ回避。
着地から間髪置かず私への追撃。
低く跳び上がった其の一撃を、更に身を低くしてかわす。
三角跳びに又も私への追撃を繰り出す。
この角度では、回避は――!
ならば攻撃に因って止めるしかな無い。
体が反転するように鎌を振るう。
柄の軌道は確かに切を捉えていたが、猫独特の柔軟な動きで衝撃を完全に殺し、少し離れた場所へ着地した。
す――がたん。
周りの資材が騒ぎ出す。 切の攻撃に因り『切』られた鉄材等が、間を置いて崩れ始めたのだ。
- 214 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 10 :2005/04/17(日) 22:41:30 ID:BI16hUL8
- がたん、がっ、ず・・・・。
ほんの少しの間、騒音が倉庫に響き・・・静寂。
私と切の視線はぶつかった儘。
かたん、かたん・・・鉄片がゆっくりと資材の上を転がる。
かたん、かたん・・・・・かーん――床に落ちた鉄片が甲高い音を響かせ、同時、切と私が動き出す。
私との距離をぎりぎりに詰め、跳躍。
零に近い距離の其れを、刃の横腹で受ける。
瞬間的に切の質量が増し、私は受けた姿勢の儘数メートル吹き飛ばされた。
・・・・風を使ったか。
微かな流れだった空気に、静かに、だが確実に意図的な流れが出来ていた。
「切り刻む・・・貴方を・・私から私の全てを奪う、私の敵全てを」
切の周りに風溜まりが出来る。
空気と空気の圧力差に因って、『切る』。 鎌鼬所では無いだろう。
「私と、あの子の為に・・・私とあの子が、ずっとずっと共に居られる様に・・『変容』、貴方を『殺す』。
ずっとずっと、今迄と同じ様に・・・私とあの子が居られる様に・・・今迄と同じで居られる様に・・・」
「『変容』・・・其れは一体何々だ? 私にも止められない事なのか? お前達を犠牲にしなければ為し得ない事なのか?」
「貴方の要素に刻まれた変わる運命。 存在を始めた其の時から、貴方は変わる宿命。 絶対に不可避」
「・・・・・・」
「如何して数ある獣の中で、『人』だけが始原として在るか、分かる?」
「ヒトは・・・唯一心を持つ存在だから・・・」
「『変容』、其れはヒトの齎すもの。 ヒトが使徒に齎す・・・・災いよ」
「災い・・・」
「そう。 私から全てを奪う、災いよ」
徐々に徐々に、切の風溜まりが大きさを増す。
「使徒に、心なんて要らない。 必要なのは、己の司るものを司る使命だけ・・・七十七、貴方はヒトに感化され過ぎた。 心を求めた。
使徒を別のものに変え・・そして世界を変える。 私達を巻き込んで。 私からあの子を、奪う・・・!」
ぶわっ―――風の塊が、私を撃つ。
切の『切る』と云う意思其の物が私を包む。 其れに負けない為には、私も意志を強く持つしかない。
「―――くっ!!」
私の衣服が切り刻まれ、幾筋もの傷が体に刻まれる。
- 215 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 11 :2005/04/17(日) 22:43:18 ID:BI16hUL8
- 「私は、死ぬ訳にはいかない!!」
大鎌を振るい――風を断った。
「――!! 風を切るなんて・・・其処まで『強い』のね、貴方は・・・・」
再度風を纏い出す・・・。
「だからこそ危険なの・・・貴方の『強さ』は、『世界』への影響力其の物。 此処で、死んで・・・!!」
駆け出す。 先程迄と違うのは、全身に纏った風と言う名の凶器。
無尽に駆け、私を徐々に切り刻む。
一気に切られないのは私の意志が其れを抑えて居るからだ。
「切・・・! 何故『変容』を恐れる! お前が恐れるものなど、何も無い!!」
「嘘――!! 貴方は奪った!!」
「其れは奴が私から奪おうとしたからだ!! 『世界』が変わったって・・・お前らが離れる理由なんか無い!!」
「私は・・私は・・!! 私とあの子の繋がりなんて、使徒としての繋がりしかない!! 使徒で無く成れば・・・私達は・・!!」
切の軌道が終に私自身に向かう。
正面から、私に・・・来る!
身構え様とした時――私の背面から軋む鉄の音。
切の度重なる攻撃に因って崩れ掛かった鉄材の山―――!!!
私の体に切が届くのと、鉄材が崩れたのは、どちらが先だったか・・・・・。
走って居た方向から突然の騒音。
青年は其の音に立ち止まる事無く、更に速度を上げた。
一番東端の赤い屋根。 音のした其処へ全速力の儘駆け込む。
「姉さん!! 奈菜!!」
未だ音が響く倉庫に青年、秋の声が其の音の上に響いた。
返事は無いが、此処しか在り得ない。 暗い倉庫を月明かりを頼りに進む。
奥の広がりの一角・・崩れた鉄材の山。
其処に―――。
「奈菜!?」
見知った人影。
「・・・・・秋、か・・」
- 216 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 12 :2005/04/17(日) 22:44:46 ID:BI16hUL8
- 「奈菜、大丈夫なの?!」
「未だ・・・生きては居る・・」
駆け寄り覗くと、鉄材を大鎌で支え如何にか空間を確保していた。
「僕が支えるから、早く!!」
「分かった・・・・」
転がる様に這い出て、奈菜は別の鉄材を背にして座り込む。
意識が向かなくなった大鎌が消え、秋の手からも離れた鉄材がもう一度騒音を立てて崩れた。
「如何して・・・」
奈菜の腹部の辺り・・・血塗れの猫が声を出した。
「如何して私を助けたの・・・?!」
「言っただろう・・・私にも大切なものがあるって・・・私だって、好き好んで誰かの其れを、奪ったりはしないし・・私が護れるなら、護る・・・」
其の血は、奈菜の血。
「な、奈菜、その傷・・・!!」
秋が言葉を失う。
如何見ても其れは、死に至る傷。
「奈菜! 血は止められないのか?!」
「・・いくら『血』だからと言って・・・そんな事は出来ない・・ふ、血流は止められても、傷口が塞げ無くては、な・・・」
「な、何でもいい! このままじゃ出血多量で死んじゃうよ!」
「ふう・・・済まんが、意識が霞んで来た・・・・其れも出来ない・・様だ・・・・」
「奈菜、奈菜!?」
「・・・・切・・」
「な、何・・・!?」
「切、お前の大切な・・秋・・・秋に取っても、お前は大切なヒトだ・・」
「・・・・」
「そうだろう、秋・・」
「あ、ああ・・・・」
「互いに想い合って・・何を恐れる? 何が変わったって・・・今の其の想い・・変わらないだろう?
秋を・・・自分を・・・・信じろ。 何を疑っても、秋を信じて・・・そうすれば・・」
「奈菜・・・・」
「でも・・・私は、使徒なのよ・・!! ヒトには、成れない・・!!」
- 217 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 13 :2005/04/17(日) 22:46:40 ID:BI16hUL8
- 「ふ・・・切、お前は、ヒトだ・・お前の秋を想う・・心・・確かに、お前は、心が在る。 お前は・・ヒトだ・・・・・・」
段々と言葉の力が弱まって行く。
「奈菜!!」
「済まん・・・私は、此処迄・・・の様、だ・・・・。 史也を・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「な・・・奈菜!!」
瞳が閉じて、奈菜は沈黙した。
「奈菜・・・そんな・・・私、私・・・・私は・・」
唐突に気付く。 自分は、史也の大切なものを、奪ったのだと。
「・・・私・・・私が・・奪った・・・・駄目、駄目、駄目っ・・!!」
強烈な自責の念が切を襲う。
「こん・・な・・・!! 奈菜、死んじゃ駄目!! 死んじゃ、駄目ぇ!!!」
泣き叫ぶ切。
「姉さん・・・!! 泣くのは何時だって出来る!! 僕は救急車を呼んで来るから!!」
「駄目・・・・駄目・・・・こんな、こんな・・・っっ!!」
「姉さん!!」
「駄目・・・死なせない!! 私の命に換えても・・・奈菜、貴方は―――!!!」
体が熱く成る。
切の体に新たな流れが生じる。
風が騒ぐ―――。
「姉さん―――!?」
世界が、変わる―――。
「・・・・・私は・・・生きて・・」
意識が蘇る。
「・・・はは、当たり前か。 私は使徒なのだからな・・・私自身、『血』が死んだ訳じゃ無い・・」
体を起こす。 ―――体?
「や、起きた?」
聞き覚えの在る声。 ・・・秋だ。
「秋・・・!? わ、私は―――!?」
- 218 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 14 :2005/04/17(日) 22:48:13 ID:BI16hUL8
- 「生きてるよ。 太刀川奈菜として、ね」
「な、何故・・・」
「戻し切りって知ってるかな。 達人の刀と達人の腕があるとね、切ったものがまたくっ付くんだ。
元々姉さんの『切』は其れに近い現象だったんだけどね。 分かれた分子と分子を再結合したんだよ」
「切に・・・そんな事が出来たのか?」
「いや、出来なかったよ。 姉さんも・・・見付けたんだ」
「何を・・?」
「切れたものは又くっ付けられる、ってね。 『切』の新しい一面・・新しい意味を、ね」
「そうか・・・切も、見付けたんだな・・」
意味を見付けた・・きっと、何か大きなものを掴んだんだろう。
「切は?」
「ん・・自分の限界以上の干渉をした所為かな。 ・・猫の体は、死んだよ」
「・・!」
「今は、取り敢えず僕の中に居る。 色々考えたい事が在るんだって」
「そうか・・」
「伝言。 本当に御免なさい、って」
「なら伝えてくれ。 何も気にする事は無い、と」
「うん。 有り難う」
「・・そうだ、此処は?」
「病院だよ。 僕が入院してて、奈菜のお兄さんが入院してた」
「史也・・お兄ちゃん達には・・・」
「連絡したよ。 ただ、事前に口裏合わせとく必要があったからついさっきだけど。 すぐに来ると思うよ」
「そうか・・・心配掛けたろうな。 ふう・・・有紗辺りに言い訳するのが大変そうだ」
「あはは・・それだけ思われてるんだよ。 幸せ者だね」
「嗚呼・・・・私は幸せ者だ。 お兄ちゃん、有紗、秋、切・・・皆が私を支えてくれる。 家族として、親友として」
「僕と、姉さんも?」
「嗚呼。 二人は私の親友だ」
「・・・はは、姉さん泣いちゃった。 意外と泣き虫なんだなぁ」
「何だ知らなかったのか。 切はか弱いんだ。 お前が支えてやるんだ」
秋の苦笑い。 しかし何処か嬉しそうだ。 大丈夫、この二人なら―――。
- 219 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 エピローグ :2005/04/17(日) 22:49:47 ID:BI16hUL8
- 日野瀬秋がこの病院に入院したのは三年前に成る。
修学旅行の新幹線、脱線事故。 数百の命が消えた中、辛うじて其の生命を留めたのは、僅かに二人。
日野瀬秋と、日野瀬五十鈴。
二人は親戚として幼い頃からの交流が在った。
強気な五十鈴に従う秋。 しかし五十鈴が何時も前に前にと出られたのは、何時もどんな時でも従ってくれる秋が居たからだった。
二人が惹かれ合ったのは自然な流れだった。
其の二人を引き裂いた事故。
まるで何時も通りに一緒で在るかの様に・・二人は揃って植物状態に成った。
先に目を覚ましたのは、秋。
体に刻まれた記憶は、断の使徒としての秋の胸も強く締め付けた。
そして、秋の目覚めから数日後―――。
「ほら、姉さん・・・もういいだろ?」
自分の中の『切』に話し掛ける。
「一杯悩んで、一杯考えて・・答え、出したんだろ? 後は、勇気を出すだけだよ」
そっと姉の背中を押す。
優しい風が二人限りの病室に流れ、ベッドの上の女性を包む。
―――女性が、三年振りに瞳を開く。
「あ・・秋・・・・」
「・・・お早う、姉さん」
三年前と同じ様に、秋は五十鈴に笑い掛けた。
切を、五十鈴の記憶が駆け巡る。
そして、自分の想いと重なる。
「秋・・・秋・・!!」
涙が止まらない。 又会えて嬉しい。 迷惑掛けて済まない。 支えてくれて有り難う。 ―――貴方が愛しい。 想いが止まらない。
「秋・・・っ!!」
抱き締めて、唯々涙を流す。
「大好き・・・大好き・・・・・ずっと、ずっと一緒に、居て・・・!!」
「うん・・・僕は、ずっと姉さんと一緒だよ・・」
唇が重なり―――風は、幸せを謳って居た。
- 220 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/17(日) 22:54:23 ID:BI16hUL8
- 姉スレに貼れ。
月影に踊る血印の使徒 第四夜 >>205-219
律儀に一話15レス450行でやるもんだから・・・
たいへん だ! レスすう より ようりょう の ほうが おおきい ぞ!
ってかよ、終わんないです。
あと2,3話は掛かる・・・。 が、がんがります。
多分次回あたりから伏線の回収が始まります。
名作の余韻をぶった切って・・・お邪魔しました。
- 221 :なぜなに月下:よんにちめ :2005/04/17(日) 22:56:16 ID:BI16hUL8
- 「有紗とぉ〜」
「五十鈴の」
「なぜなに月下〜ってうわぁ〜?!」
「・・・・何よ」
「にゃ、にゃんこちゃんが人間形態にビルドアップしてる?!」
「・・・何よ・・それより始めましょう」
「あ、う、うん、そだね・・今日のテーマは?」
「名前ね」
「名前? 切とか、断とか?」
「其れは要素の、引いては使徒自身の名前ね。 此処では人間としての名前。 奈菜や秋」
「あーそれね。 なんか二つも名前あってごっちゃになんない? 使徒同士なら使徒の名前だけで呼び合えばいいんじゃないの?」
「其れはとても失礼なの」
「失礼?」
「そう。 名前が在るのは基本的に人間だけ。 それを無視するなんて、その寄り代を蔑ろにする事になる。 何番目、とか言うのもね」
「はー、なるほどねー」
「おい、其処の女・・って呼ばれれば誰でも少しは頭に来るでしょう?」
「そうだねー。 つまり使徒にとって寄り代ってのは大事なんだねー」
「借り物だもの」
「うん、今日は使徒の考え方が少し分かった! それじゃまた・・・ってそーだ!」
「・・・何よ」
「前回休んだでしょ、にゃんこちゃん。 だからマタタビの刑」
「・・・マタタビって・・私はもう猫じゃ・・」
「そりゃー、くらえー」
「にゃっ?! にゃうっ、にゃーっ・・・・・はっ!」
「・・・・・にゃう・・?」
「う・・つい・・・・」
「何か・・・ひょっとして・・・・萌え?」
「う、五月蝿いわね、終わりよ、今日は!!」
「ね、ね、このネコミミカチューシャを・・・」
「今日は終わりよ!!!」
- 222 :雨音は紫音の調べ ◆cXtmHcvU.. :2005/04/18(月) 01:53:57 ID:YZNNUtEp
- GJ!すっげー!素晴らしい! (≧∇≦)b
バトルカッコイイ!
姉と弟…!感動! 。・゚・(ノД`)・゚・。
ネコ耳カチューシャ… (*´Д`)ハァハァ
- 223 :コンズ :2005/04/18(月) 11:49:41 ID:CBqWVbI9
- 乙華麗様です!!
普通に真剣に呼んでました。そして、姉と弟(´Д`)ハァハァ
次回も楽しみにしておりますゾ!!
- 224 :コンズ :2005/04/21(木) 00:19:29 ID:y6MRr5It
- どなたか投下お願いしますっ!!このままでわ………
バタッ
- 225 :すばる ◆9tSxotve.o :2005/04/21(木) 19:35:04 ID:aofNaFKO
- なむなむ(´・人・`)
最近萌え話・妹出てくるもの書いてないです(ノд`)
- 226 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/21(木) 20:07:34 ID:kOvCuYgC
- 私も。
- 227 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/04/21(木) 21:12:47 ID:pyi/bCeT
- あれから一週間。
コウくんは何事も無かったかのように振る舞っている。
もしかしたらそれはコウくんなりの配慮なのかもしれない。
第一、赤ちゃんの時から一緒に暮らしている私達兄妹には
お互いの想いが伝わったところで特別に振る舞う必要は無いんだと思う。
それに、そのおかげで何気なく接することが出来るから気が楽だ。
「・・・〜ぃ、ユキ〜起きてるか〜?」
「・・・・え?あ、ごめん。ボーっとしてた。」
「なんか最近そればっかりだなぁ、しっかりしろよ。」
「うん、大丈夫だから。」
いけないいけない、考え事が多いせいかボーっとしてるように見えるらしい。
「えっと、お風呂入ってくるね。」
「おぅよ。」
「・・・・・一緒に入らない?」
「っ?!ちょ、ちょっと待て!それはっ」
「じょ、冗談だよ、じゃあ入ってくるねっ!」
「お、おぅ・・・」
無意識の内に大胆なことを言っちゃった・・・・。
今になってから顔が熱い。
ふふ、それにしてもコウくんの慌てっぷり・・・
面白くて吹き出しそうだけど我慢我慢。
- 228 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/04/21(木) 21:15:26 ID:pyi/bCeT
- シャワーを浴び、体を洗う。
体を洗い終えると湯船に浸かり、考え事に耽る。
周りを気にしなくて良い分考え事がはかどる。
・・・・
特別な振る舞いをしなくても良いのは楽だけど
やっぱり何も変化が無いというのもつまらないし・・・
何かコウくんをびっくりさせられるような事はないかなぁ
・・・そうだ、コスプレをするって言うのはどうだろう。
友達によると、男の人はメイドさんや巫女さんに目がないらしい
その格好をすればきっとコウくんも・・・・・・
「ユキ〜、タオルここに置いておくからな。」
「っわぁ!・・・・あ、うん。わかったぁ。」
「何驚いてるんだよ。」
「ううん、何でもないよ。」
「全く、変なヤツだなぁ。」
「もぉ〜、コウくん!」
「はいはい、失礼しやした〜。」
ふぅ〜、びっくりした。
全然気付いてなかったよ
一体私がびっくりしてどうするんだ・・・。
う〜ん、どうしようかなぁ。
でも、善は急げって言うよね・・・
よぉし、決めた!コスプレをしてコウくんをびっくりさせてやるぞぉ!
そんな決意を胸に私はお風呂から出た。
---------------------------------------
投下して良いレベルなのかと迷いましたが投下することにしました。
今回は妹視点で書いてます。
展開が無茶苦茶ですが暇つぶしになれば幸いです。
- 229 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/22(金) 00:27:29 ID:0OvjfHNR
- 巫女さんでお願いします
- 230 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/22(金) 08:53:38 ID:vMg5zshI
- ↑ワロス
頑張ってくれ
十分イケてるから
- 231 :コンズ :2005/04/22(金) 11:53:01 ID:nS5tt6+y
- 二姉持ちの弟すゎん、乙です!!さぁ〜、一体何のコスプレをするのでしょうか?次回作も期待して折ります!!
- 232 :雨音は紫音の調べ ◆cXtmHcvU.. :2005/04/23(土) 01:30:00 ID:J7isavrN
- GJです! (≧∇≦)b
コスプレがすごく楽しみです〜!!
- 233 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/23(土) 03:21:45 ID:NvxdCejB
- ツボった!!
続きに期待(゚∀゚)
- 234 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/26(火) 19:23:19 ID:lXBPn57j
- ω・`)ダレモイナイ…
- 235 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/27(水) 00:27:08 ID:6/WowKhM
- ここは心のオアシス
- 236 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/27(水) 21:42:18 ID:tMFY60ck
- TOR秘奥義風に。
「行くよ、姉さん!」
「私の『切』と!」
「僕の『断』!」
「重ね合わせて!」
「全てを断ち切る刃と成す!!」
「「奥義!! 風刃剣<<ゴッドブレス>>!!!!」」
勝利メッセージ
「僕と姉さんに掛かれば」
「この世界に、断ち切れないものなど無いわ!」
まぁアレだ、保守です。
所詮テイルズ厨ですから。
風刃剣と書いてゴッドブレス。
刃と神が掛かってるのがポイント・・・?
- 237 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/30(土) 00:59:14 ID:OR0aE8oY
- 姉スレで偶然遊星さんを見かけ、「オレは姉でもイケるかも」と感じた。
しかし妹には敵わないはずだ!とにかく誰か書いて下さいお願いします!!
- 238 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/30(土) 02:13:06 ID:+slL1Dyc
- 「お兄ちゃん、キスってどんな味するか知ってる?」
「ああ? 知らねーよ」
「した事ないんだ」
「おめーはどーなんだ」
「えへへ・・私も。 だから知りたいの。 ね、してみよっか?」
「はぁ? しねーよ」
「えぇ? しよーよぉ」
「誰がおめーとするか」
「ひっどーい。 私の何が不満なのよ?」
「全部だ、全部。 遅いからもう寝ろ」
「ちょっとぉ、誤魔化さないでよ〜」
「おめーが寝ねーなら、俺が寝る。 オヤスミ」
「ああ、ちょっとぉ〜、待ちなよ〜」
数時間後・・・。
ベッドで眠り込んだ兄と、その前に立つ妹。
「くふふ・・駄目だなぁ、お兄ちゃんは。
ちゃんと寝る時は鍵を掛けとかないと・・・こうなっちゃうんだからっ♪」
妹はキスの味を知りました。
――――――――――――――――――――――――――――――
誰でも良いって感じの事言ったから即興で書いた。
思い付けば何でも良かった。
反省はしていない。
- 239 :すばる ◆9tSxotve.o :2005/04/30(土) 03:00:38 ID:2SV7BT0a
- ↑の続きを勝手な……止めた。
人の作品に手を出すのはイクナイな。うん。
GJですー。
- 240 :すばる ◆9tSxotve.o :2005/04/30(土) 03:01:54 ID:2SV7BT0a
- 誤字 orz
× 勝手な
〇 勝手に
- 241 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/04/30(土) 07:05:56 ID:WxO5BCjD
- >>237
でも、姉スレでは俺は放置されてますから!
残念!!っと。……コレは古いな、もう。
>>238
(・∀・)イイ!!ねぇ。
次回も期待してるよ。
- 242 :すばる ◆9tSxotve.o :2005/04/30(土) 14:13:49 ID:2SV7BT0a
- 「…てよ……」
「……………」
「………起きろっっ!バカ兄貴ィ〜!!」
「ぉうわあっっっ!!何だ…お前か」
「何だよー、せーっかく起こしてあげたのにぃ」
「って何でお前が俺のベッドで寝てんだよっ!?」
「えー?だって昨日寝るの遅かったから寝坊しないように…」
「お前なぁ〜…そう言っていっつも俺より早く起きてるぞ?」
「あれだけ目覚ましが鳴って起きないのは兄貴だけだよっ」
「目覚ましで起きれるなら自分の部屋で寝ろっ、毎回起こされる俺の身にもなってみろよ…」
「この幸せ者〜♪」
「どう考えたら幸せなんだよ!?」
- 243 :すばる ◆9tSxotve.o :2005/04/30(土) 14:15:55 ID:2SV7BT0a
- 「へっ?!だ…だって目が覚めた時傍らにこんな可愛い妹が居るんだよっ///」
「いや、恥ずかしいなら言わなけりゃいいじゃん……それにバカ兄貴なんて叫ばれて幸せな訳ないだろ」
「じゃあ今度から『おにいちゃん♥』にするぅっ?」
「勘弁して下さい……」
―――――――――――――――――――――――――――――――
ちょっとふざけただけですorz
- 244 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/01(日) 17:38:54 ID:elSvX9VM
- ♥
- 245 :コンズ :2005/05/02(月) 04:57:33 ID:FoAIIfpw
- >238
短いでもこんなにも萌えるとわ……。GJ!!
>243
『お兄ちゃん』と呼んでくださいOTL
乙ですっ!!
- 246 :瀬場須 ◆OLSyyL/MoE :2005/05/02(月) 21:12:10 ID:YOqqNACm
- >>舞タン
イイっス!萌えGJ!
>>すばるさん
萌える…!最高ッ!
- 247 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/07(土) 23:27:19 ID:JgFFhath
- 過疎ってる orz
- 248 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/07(土) 23:36:48 ID:gwGjZ/FE
- 流石に下がり杉だからね。
GW明けにでも上げた方がこのスレのためだと思う。
- 249 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/09(月) 00:33:05 ID:kIaOPpvc
- ゴールデンウィークがあけたのでage
- 250 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/09(月) 07:59:38 ID:gcmD3euU
- 期待age
- 251 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/09(月) 08:09:47 ID:a/kZTl1Z
- 妹「お金たくさん手に入ったから5000万あげる」
俺「そうか、悪いね」
家の妹じゃこんぐらいしか思いツカネ。
- 252 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/09(月) 22:46:29 ID:VSfK3sLy
- 両親外出中のお話
妹『お兄ちゃん、今日はどうしよっか?』
兄『なぬが?』
妹『ご飯のコトとか色々だよぉ』
兄『ん〜、どうする?』妹『えへへ〜、じゃあ私が作ってあげるね☆』
兄『?お前が?大丈夫か?』
妹『大丈夫だよ!私も女の子だから一応勉強してるモン』
兄『ふ〜ん。じゃ何でもイイから作ってミソ』
妹『お兄ちゃんも手伝うんだよ☆』
兄『は?オレ料理なんて出来ねぇぞ』
妹『私に言われた通りにすればイイからさ』
兄『そうなのか?』
妹『よしっ、じゃいってみよ〜!!』
完成
兄『オ、オイ、コレ大丈夫か?何か浮いてるんですけど……。』
妹『お兄ちゃん食べてみて』
兄『何でオレなんだよ!!まずお前が食え』
妹『私だって嫌だよ〜』
兄『はぁ〜、でわ、いただきますっ』
パクッと
兄『ちょっとトイレに』
妹『ど、どうしたのお兄ちゃん?』
兄『』
妹『………
- 253 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/10(火) 01:30:41 ID:h6ytI4FC
- 大切なのは料理の出来ではなく、作ってくれようとするその気持ちだよね?
>>252のような話ならリアルでも起こり得ると思うんだが、>>251をはじめ
妹のいる人、実際のところは如何でしょう?
- 254 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/12(木) 00:54:10 ID:4zw35RKq
- 誰かSS書いてくだされぇぇ〜!!
へ?じゃ藻前が書いてみろって?よ、よしっ、やってみまつ!!
- 255 :フレイム ◆ahKkMyjBGg :2005/05/12(木) 03:17:46 ID:HHrxm/GD
- も
- 256 :フレイム ◆SK0Ajy5QBw :2005/05/12(木) 03:18:28 ID:HHrxm/GD
- スマソ。↑のカキコは無視してください
- 257 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/13(金) 06:29:09 ID:9Ak7an4o
- コンコン
兄「あ〜い」
妹「お、お兄ちゃん、あ、あのね」
兄「ん?どーした?」
妹「い、一緒に、一緒に寝ない?」
兄「な、なじぇ?」
妹「さ、さっきホラー映画観たらさ、怖くて眠れないの。だからね、ダメ?」
兄「い、いや、ダメでは無いけど……。」
妹「やったぁ!!じゃあ枕持ってくるね!!」
兄「あ、お、おいっ!イイのか?俺?」
やってしもた………。
- 258 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/13(金) 12:24:44 ID:5gUo+xsN
- さすが13日の金曜日www
- 259 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/14(土) 11:46:37 ID:G/qJM4d8
- >>257
グッジョッッッ!!!!
- 260 : 名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/14(土) 23:39:12 ID:pIwIQxj2
- ここ最近えらく静かなのでここいらでSSを投下してみます。
神々の邪魔にならぬ様にとタイミングを計ってはや四ヶ月。
いざ!!
- 261 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/14(土) 23:42:39 ID:pIwIQxj2
- 山も谷も無く平穏無事な一日を終えていざ帰宅と下駄箱へ向かう途中、見覚えのある背中に出くわした。
というより忘れようがない。
遠目に見ても流れる様にサラサラなショートカットの黒髪。
真っ直ぐのびてシャンとした後姿。
・・・あれは俺の妹、巴だ。
「よっ、今帰りか?」
「えっ、ああ、お兄ちゃん」
急に声をかけられ、少し強張った肩が俺の顔を見てホッと下ろされる。
「うん、お兄ちゃんも今帰り?」
「ああ、一緒に帰るか」
「ボクは最初からそのつもりだよ」
「さいですか」
つまり、御丁寧に待っていたという訳か。
内心では予想通りだなと思いつつ肩を並べて歩き出す。
「それより、今日の体育どうだった?」
「どうって・・・そりゃ、お前」
そういえばあったんだよな、山も谷も。
話は遡ること二時間前。
お昼過ぎの授業の体育で偶然に巴と隣合わせとなってしまったのだ。
なるべく気付かれないようにしていたのだが幸か不幸かあっさり目が
合ってしまい輝きを増した瞳で我が妹は大活躍。
バスケットボールでワンマンショーを演じたのだった。
- 262 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/14(土) 23:45:17 ID:pIwIQxj2
- 「張り切り過ぎだろ、あれは」
「頑張れって言ったのはお兄ちゃんじゃない」
「待て待て、あの時一言も交わしてないだろ?」
「目がそう言ってたの!!」
「んな無茶苦茶な・・・」
ふとその時の状況を思い出してみる。
点を入れる度にわざわざ送ってくる視線。
外見はともかく、中身は何年経っても変わっていない。
「でも、頑張ってたよね?」
「まぁ、確かに」
「・・・それだけ?」
「ん?他には・・・そうだな・・・」
「・・・」
「相手の子達がやたら見惚れたな、また巴のファンが増えたぞきっと」
「・・・ボク、頑張った・・・よ・・・」
「うむ、お前に憧れる子達の為にな」
「お兄ちゃんの為に頑張ったんだよ?」
「ち、ちょっと待て!!誰も頼んで無いだろうが!?」
「ボクは・・・お兄ちゃんに・・・」
- 263 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/14(土) 23:49:35 ID:pIwIQxj2
- 表情を窺う様に透き通る瞳で上目使いに顔を覗き込んでくる巴。
苦手な視線に思わず上体が反れる俺。
他人には絶対に見せない顔だな。
「うっ・・・用件はなんだ?」
「えっと、その・・・今度の日曜日に」
「日曜日に?」
「どこか一緒に遊びに行きたいかなぁ、なんて・・・駄目?」
「そんだけ?」
「あっ、もちろん先約があるなら無理にとは言わないけど」
とは遠慮しつつも少し甘いこの口調は確実に良い返事を期待している。
相変わらず積極的なんだか奥手なんだか解らんな。
「何を頼んで来るかと思えば・・・まぁ、考えとく」
「考えとくってお兄ちゃん・・・」
- 264 : 名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/14(土) 23:51:41 ID:SVdBfmiv
- 何故この子はダンボール箱に置き去りにされた子猫の如き目で
見つめてくるのか?
物凄く罪悪感を感じてしまうではないか。
「どこに行くかを考えとく」
「・・・うん」
夕陽の中で花が咲いた様に綺麗な笑顔を見せる妹。
まったく、黙ってりゃ美人なのに。
そんな事を思いつつも笑顔につられてしまう。
結局、甘いのは俺の方か。
「ねぇ、御夕飯は何が食べたい?ボク、何でも作るからね」
大人びた横顔の甘えん坊を隣に帰り道を歩く。
これから訪れる休日の過ごし方を考えつつ学校内の何倍も喋る
妹の話にいつも通りき合う俺だった。
- 265 : 名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/15(日) 00:02:39 ID:eluJezXL
- なんと言うか我ながら返り討ちって感じが・・・
言い訳するとまぁ、こういうの書くのは約三年振りなのですよ。
続きもあるにはあるけどそれはまた需要があればという事で。
自分で書いて改めて思う、遊星氏はすごいと。
萌えは難しいですなぁ。
- 266 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/15(日) 00:04:05 ID:ovrfYJ7o
- ( ・∀・ )!
良い物頂きました。
- 267 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/15(日) 00:04:49 ID:4d1sbKdw
- リアルタイム
キタ━━━(゚∀゚)━━━!!
GJ!!
- 268 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/15(日) 05:20:39 ID:HBsA9A7h
- >261->264
GJっ!!次回も期待しておりますゾ!!
- 269 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/15(日) 05:21:47 ID:HBsA9A7h
- >261-264
連投スマソ
- 270 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/05/15(日) 11:10:46 ID:izqXa5zK
- >>261-264
おぉ、凄ぇ……。
続き、期待してますよ。
で、迷ったんだけど……ちょっと褒められて気を良くしたんで、このスレにも貼ってみることにしました。
妹成分も無くはないですが、基本はメイドなんで……見るなら、細目で見て下さい。
passは、俺のお気に入りの妹の名前を半角小文字で。
ttp://www.42ch.net/UploaderSmall/source/1116058375.zip
- 271 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/05/15(日) 22:25:44 ID:gYP6pxpr
- (´・ω・`)コソコソ
>>270
一発でpassを当ててしまいました。やっぱりあの妹でしたか・・・。
メイドさんいいですね。妹&メイドなんて難しい組み合わせを見事に!
私も呼ばれたい・・・。・゚・(ノД`)・゚・。
- 272 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/05/15(日) 22:27:08 ID:gYP6pxpr
- orz そして駄作貼り。
===
花畑のど真ん中で、俺はぼうっと突っ立っていた。
一面に咲き乱れる花が、一陣の風に流されて、飛ばされていく。
その向こう側に、一人の女の子の姿が見えた。
麦わら帽子を被り、白いワンピースをひらひらさせながら、楽しそうに踊っている。
俺はひどく懐かしいものを感じ、一歩だけ踏み出した。
足元で草花が踏み潰される音がする。たちまち草の匂いが辺りに広がる。
俺はそっと手を伸ばす。女の子はふと踊るのを止めて、こちらを向いた。
その顔は、どこか悲しそうで、胸が締め付けられるようで、そして―――。
ジリリリリリリリリ!!
「あー…………はいはい」
眠い頭をフル稼働して、目覚ましを止めた。窓の外から小鳥のさえずりが聞こえる。
カーテン越しの日差しから推測するに、どうやら今日は快晴らしい。
俺はベッドから足を下ろし、ウンと背伸びをすると、今朝の朝食の準備にかかった。
- 273 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/05/15(日) 22:28:29 ID:gYP6pxpr
- 「……っと、こんなもんか」
エプロンを外し、食卓の上の料理を見下ろす。……うむ、完璧だ。
炊きたてのご飯に緑の野菜。適度な栄養をバランス良く含んでいる。
「さて、そろそろお姫様を起こしに行きますかね」
誰に言うまでもなく呟くと、俺は居間の戸を開けた。
戸を開けると、優しい日差しが室内を照らしていて、お姫様はベッドの上ですやすやと
規則正しい寝息を立てていた。俺は足音を立てないようにベッドに近づく。
か、可愛い寝顔だ。見とれつつも、俺はお姫様の頭に手を伸ばす。
そっと、頭を撫でてやる。
「う……んん……」
気持ち良さそうに頬を緩ませた。ははは、こやつめ!
ギュッと頬をつまんでみる。
「い、いひゃい!?」
ぱっと目を見開き、しばらく俺の顔を穴が空くほど見つめ、
「……お、お兄ちゃん……?」
一言だけ、ぽつりと呟いた。
「はいはい、朝だよ。起きた起きた」
言いながらカーテンを開ける。瞬間、眩しい光が目を射抜き、俺は顔を逸らした。
ベッドの上に視線を戻すと、お姫様……もとい、妹はぼーっとしていた。
ただ虚ろな表情で窓の外を眺めている。
「朝ご飯出来てるぞ?」
「……う、うーん……分かったよー……」
「寝るなよ」
- 274 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/05/15(日) 22:30:03 ID:gYP6pxpr
- 「んー、ご馳走様でした」
妹は満足そうに両手を合わせ、箸をとん、と食卓の上に置いた。
彼女の茶碗が空になっているのを見て、俺も少し嬉しくなる。
「お、全部食ったのか。偉い偉い」
「む。わたしだってお腹空くときは空くんだもん」
「ふーん」
つまらない会話を交わし、時計を見る。そろそろ学校へ行く時間だ。
「じゃ、俺は行ってくるから。何かあったらケータイで電話しろよ」
「うん。行ってらっしゃい、お兄ちゃん」
にっこりと微笑む妹の頭をくしゃりと撫で、俺は家を後にした。
「…………」
朝独特の忙しさから隔離された居間は、ゆったりとした時間を生み出していた。
女の子はふと立ち上がり、おぼつかない足取りで窓の方へ歩み寄った。
額をごつんとガラスにぶつけ、そのまま動かなくなる。
窓の外では手入れの行き届いた庭が広がり、花たちがその存在を主張していた。
しかし。
彼女の瞳はそれを捉えていない。捉えることが出来ない。
―――そう、彼女は。
「……見えないなぁ……」
一言だけぽつりとこぼし、目の端の涙を拭い、行ってらっしゃい、と静かにささやいた。
- 275 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/05/15(日) 22:31:49 ID:gYP6pxpr
- orz 萌えねーっスね。そのうち萌やすので勘弁してください・・・
- 276 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/15(日) 22:36:53 ID:ovrfYJ7o
- (*´Д`)
- 277 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/05/15(日) 22:37:13 ID:izqXa5zK
- >>272-274
すげぇよ。流石海中さんだよ……。
続き、マジで期待してますよ!!
- 278 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/15(日) 23:05:33 ID:M0+6WxET
- ヤバい悲しい系だよ…。俺これに弱いんだよね。
ともあれ海中さんGJです!次回も期待してますよ!
- 279 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/16(月) 05:54:56 ID:hJuKAln+
- >272-274
海中様、乙です!!目が、眼がぁっ('A`)
- 280 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/05/16(月) 22:26:29 ID:+/U0CZV/
- 午後七時。学校から帰宅して、夕食の準備をするために台所に入った俺は、
隣の居間から妙な話し声がするのを聞いた。
何気無く戸を開けると、そこには妹が机に突っ伏して眠っていた。
机の上には古いラジオが置かれていて、ちょうど夕方のニュースを流しているところだった。
「そんな所で寝てると風邪引くぞ」
声に反応した妹は、びくっと体を震わせて、すぐに頭を持ち上げた。
「んにゃ……?お兄ちゃん?」
「オレだよ、オレオレ。そんな所で寝てると風邪引くぞ」
「んー……わたしは丈夫だから平気ですー」
妹はそう言って再び机に突っ伏した。俺も夕食の支度に取り掛かろうとしたが、
ふと机の上のラジオに目が留まった。
「それ……母さんのか?」
その単語を耳にした妹は、切なそうに笑みをこぼし、軽く息を吐いた。
「……そうだよ。お母さんのラジオ。かなり昔の型らしいけどね」
「そんなの持ってたのか。知らなかったな」
「これはお母さんの形見だから。お兄ちゃんにはナイショだったの」
形見。妹が言ったとおり、我が家の母さんは数年前に病気で死んでいる。
そしてその母親もまた…………。
「お兄ちゃん。お母さんもさ……目が見えなかったから、こういうの聞いてたんだよね?」
妹の瞳は開いている。けれども、光は無い。真っ暗な闇に覆われたままだ。
- 281 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/05/16(月) 22:27:49 ID:+/U0CZV/
- 「たぶんな」
「あは、お母さんの気持ち、なんとなく分かっちゃうよ」
妹は無理して笑い、場を和ませるように夕食をせかし始めた。
俺はそれを無視して歩み寄り、ゆっくりとその小さな両肩を抱いた。
「んっ?な、なに?」
妹の顔は動かず、色のない瞳が俺の顔を見つめている。俺はごつん、と額をくっ付けた。
「わっ!お、お兄ちゃん……?」
「大丈夫さ」
俺はよく聞こえるように喉を潤わせ、一気に続けた。
「目が見えなくても、音は聞こえるし、何かに触れる。
お前を必要としている人の呼び声は聞こえるし、人の温もりも分かるだろ?」
俺はあえて分かるように声を出してキザっぽく笑った。我ながら恥ずかしいぞ……。
じわり、妹の目に涙が浮かぶ。
「お兄ちゃん……うん!お兄ちゃんは、ここにいるんだよね……」
「そうさ。お前のすぐ側に、ここにこうしているよ」
妹はしばらく俺の胸に顔を押し付けたあとラジオを消して、ありがとう、と小さく囁いた。
そうさ。
たとえ目が見えなくても、愛はいつでも感じ取れるのだから。無論、温もりも。
- 282 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/05/16(月) 22:29:09 ID:+/U0CZV/
- クサくて萌えない。これが海中クオリティ!
正直スマソ ('A`)
- 283 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/05/16(月) 22:31:22 ID:zgxO72pi
- リアルタイムで見えた!!
海中様、凄いっス!!
俺も何か書かなきゃなぁ
- 284 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/16(月) 22:36:07 ID:r994qQ5C
- うほっ激萌え!
- 285 :260 :2005/05/16(月) 23:21:15 ID:Y3jFBU4S
- 評判はまずまずの様で正直ほっとしているチキンなオレです。
続きはまたタイミング見計らいつつ貼らせて頂きます。
>266>267>268さん
読んで頂けて心より感謝。
まぁ、あんまり期待せずガッカリせず暖かい目で見てやって下さいw
>遊星氏
SS読ませて頂きました。
いや、萌えでは遊星氏に敵いませんマジで。
ちなみに俺的一番は未来ちゃん。
サラちゃんも捨てがたいんですがw
次回作を期待しております。
>海中さん
悲しくて萌える、お見事です。
俺にはとても真似できません、本当に凄い・・・。
続きを期待しておりますよ。
- 286 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/17(火) 00:23:47 ID:u6MXUOnD
- 海中様キテタ━━━(゚∀゚)━━━!!!
冷たい世界と暖かい人間。
そんなSSを書くあなたが大好きです.゚・(ノд`)・゚.
- 287 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/17(火) 23:11:46 ID:+77P57UZ
- おー!ちょっと来ぬ間に海中さん光臨とは
期待してますぜい
- 288 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/18(水) 00:38:00 ID:lwLB+C/i
- う〜む、いつも感じるが海中さんの作品は特に情景が浮かびやすい。
これも文章の巧みさ故か…(他の神々を貶めるつもりはないですよ)
- 289 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/05/19(木) 21:40:27 ID:QPn7OdNn
- 「・・き・・てくだ・・・コウ・・さま」
「・・きて下さい・・朝ですよ。」
誰だ・・・、俺を様付けするのは。
我が家に俺を様付けする人間なんて居ない。
それに今日は学校はないはず・・・。
まだ回らない頭をフルに使って確かめる
「今日は日曜だぞ・・・それに一体誰だ・・・って!?」
目の前に美幸『らしき』人が居た。
しかも・・・・、メイド服。
「おはようございます、幸一様。」
ちゃっかり決め言葉まで言っている。
「・・・・何でそんな格好をしてるんだ?」
「えへへ、驚いた?」
「お前は本当にユキか?」
「うん、ユキだよ。」
「じゃあ、何故そんな格好してる」
「コウくんに喜んで欲しかったからだよ!」
「喜んで欲しかったのは分かった、でも何故にメイド服なんだ?」
「友達に『男の人はメイドさんと巫女さんには目がない』って聞いたんだよ。」
なんて事を吹き込んでくれるんだ・・・その友達は。
「・・・ここで話してても仕方がない、朝飯を食うか。」
「只今準備して参ります、御主人様。」
「って、その格好で料理するのか?」
「え・・・そうだけど。」
「そうですか・・・」
「それじゃあ、作ってくるね。」
そう言って嬉しそうに部屋を出ていった。
全く、何を考えてるのか。
でも・・・メイドって言うのも良いかもしれない。
取り敢えず自分も行くか。
- 290 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/05/19(木) 21:41:30 ID:QPn7OdNn
- 「幸一様、お食事の用意が出来ました。」
「お、おぅ、ありがとう。」
なんか調子が狂う・・・。
食事はいつもと同じ純和風
手始めに味噌汁を飲む。
「美味しい?」
「いつも通りにな、それよりユキは食べないのか?」
「メイドは御主人様とは一緒に食べないものですから。」
「おいおい、そこまで拘る必要ないだろう。」
「気分の問題なの。」
そう言う問題かと思いながらご飯をガッつく。
「そうだ、飯食い終わったらちょっと本屋まで行く予定だから留守番頼むな。」
「うん、分かった。」
最後に残った焼き魚を平らげる。
「それじゃ、行ってきます。」
「え、もう行くの?」
「あぁ、昼までには帰ってくるから。」
「分かりました。行ってらっしゃいませ、御主人様。」
最後までメイドになりきるとは・・・。
半分苦笑めいた笑顔を残して家を出る。
「・・・・・暑い。」
春だと言うのにこの暑さは何だ。
出かけるなんて言うんじゃなかった・・・。
- 291 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/05/19(木) 21:42:39 ID:QPn7OdNn
- 読んでいた本を畳む。
「・・・そろそろ帰るか。」
本屋に行く予定があるなんて出任せだった。
俺はコスプレ等には慣れてない。
だから美幸のメイド姿は刺激が強すぎた。
「まぁ、可愛いから良いんだけどな。」
「誰が可愛いんだ?真田。」
「おわっ!?い・・・石井か!」
まずい・・・声に出てたらしい。
「驚くこと無いだろ。で、誰が可愛いんだ、もしかして愛しの妹か〜?」
「ち・・違うっ!お前には関係ない事だ。」
「おやおや、図星みたいだな。良いよなぁラブラブで。」
「うるせぇな。俺は帰るから、じゃあな。」
「末永くお幸せに。」
本屋を出ると暑さが再び襲ってくる。
湿度が比較的低いのが不幸中の幸いだ。
しかし、それでも暑いものは暑い。
地球温暖化を助長させる時代の名器を産んだ方々への呪いを
頭の中で唱えつつも家を目指す。
道行く人が振り返っていたからもしかしたらまた声に出ていたかもしれない。
暑さに絶句しそうになったところでようやく家の前に到着。
そろそろ美幸の奴も私服に着替えてるだろう。
暑さから逃げるように家のドアを開ける。
- 292 :二姉持ちの弟 :2005/05/19(木) 21:43:55 ID:QPn7OdNn
- 「ただいま〜。」
だが返事はない。
そのまま廊下を歩き、リビングに繋がるドアのノブに手を掛ける。
ガチャリ・・・・
「あ、お帰り!」
「・・・・・。」
バタン・・・・
見てはいけない物を見てしまった気がする・・・。
白い服に赤いズボン・・・いや違う、あれは袴じゃないのか。
そう言えば、朝に「メイドさんとか巫女さん」とか言ってたっけ。
もう一度出かけるわけにも行かないし、仕方がない。
ガチャリ・・・・
「なぁ・・・、一体そんな服どこから仕入れて来るんだ?」
「友達から借りたんだよ。」
「お前は凄い友達を持ってるんだな・・・。」
「えへへ。ねぇ、この格好似合ってる?」
「あ、ああ・・・・似合ってるよ。」
「本当?じゃあ、ご奉仕しちゃおっかな♪」
「ご、ご奉仕って、一体何をするんだ?」
「うーんと、マッサージっ!」
「マッサージか・・・」
駄目だ、ご奉仕だなんて言うから飛んでもない方向に考えてしまった。
「えっと、じゃあ・・・腰を揉んで貰おうかな。」
「良いよ、じゃあシャツ脱いで!」
「いや、別に脱ぐ必要は・・・。」
「い・い・か・ら!ほら、早く。」
「わかったよ、脱げば良いんだろ。」
- 293 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/05/19(木) 21:44:55 ID:QPn7OdNn
- 俺がシャツを脱ぐと美幸の視線が体に注がれる。
「・・・コウ君って、結構筋肉有るんだね。」
「一応毎日筋トレしてるからな。じゃあ、早速頼む。」
カーペットの上にうつぶせになる。
「あ、うん。やるね。」
美幸の柔らかい手が腰に触れる。
徐々に力が入ってくるのが分かる。
ちょうど良い具合の力で気持ち良い・・・って、いてててて!
「痛い痛い!力入れすぎだ!」
「え、あぅぅ。ごめんなさい・・。」
「いや、良いよ。取り敢えず少し力を緩めてくれれば。」
「うん、わかった・・・。」
再びリラックスモードに入る。
しかし、一向にマッサージが再開される気配が無い。
と思ったら、首筋に手が回ってきた。
そしてそのまま後ろから美幸が抱きついてきた、半分俺にのし掛かる状態で。
「お、おい。何する気だ?」
「これもご奉仕の一つだよ♥」
背中に美幸の胸が当たってるのが分かる。
美幸ってこんなに胸大きかったっけ・・・。
やばい、心臓がバクバクする。
「ねぇ、コウ君。私のこと・・・好き?」
美幸が耳元で囁いてくる。
「あぁ・・・・好きだよ。」
「私もコウ君のことが大好きだよ!」
「ははっ、ありがとう。取り敢えずマッサージの続きしてくれないか。」
「りょーかいっ!今度は気を付けるね。」
嗚呼、神様。俺はなんて幸せな兄なんだろう。
- 294 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/05/19(木) 21:48:12 ID:QPn7OdNn
- ごめんなさい、操作ミスでageてしまいましたorz
つくづく文章作成能力がないと感じます。
以前投稿したときに「どっちのコスになるか」と言う声がありましたが、結局両方やることに。
あと、270さん。ネタが被ってしまってすみません。
遊星さんや海中さんの様な文章が書いてみたいです。
- 295 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/05/19(木) 22:31:07 ID:3ec5ld5J
- >>289-293
おぉ!!待ってました!!
メイド(;´Д`)ハァハァ、巫女もいいねぇ……。
>ネタが被ってしまってすみません
まぁさ、被ったとかなんとかは言いっこなしだよ。
誰が何考えてるのか。なんて、分かるわけないんだしね。
ま、参考にしたなら、一言あったほうがいいと思うけどね、俺は。
- 296 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/20(金) 09:56:22 ID:UQZHnc6q
- 二姉持ちの弟様もキタ━━(゚∀゚)━━!!
ユキちゃんいいなぁ(*´д`)
マジ乙です!!
- 297 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/05/20(金) 21:40:08 ID:/9YKqLRO
- (つд`)ハァハァ・・・ちくしょう、萌えます・・・!
ぜひ、我々を萌やし尽くしてくださlittいleふsiじsterこ
- 298 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/25(水) 01:07:08 ID:WJVEBa5c
- ほしゅ
- 299 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/05/25(水) 21:00:40 ID:6U1C6WWx
- 「ふぅ……今日も終わったなぁ……」
俺、三上修二は友人とともに、昇降口に向かって歩いている。
「だな。どっか寄ってこうぜ!!」
と、友人、州田敬介。
「ま、いいけど……二人でか?」
「しょうがないじゃん……俺たち二人はモテないんだからさ」
「失礼な……」
というようなバカな話をしていると……
「あっ!!お兄ちゃん、み〜つけた〜!!」
後ろからそんな声が聞こえた。
その瞬間、隣の州田が前方に倒れそうになる。
「り、梨那っ!!何しやがる!!」
上半身を三十度ほど傾けた州田が背中に乗った少女に叫ぶ。
「えへへ。嬉しくてね〜♪」
明るく笑う少女。
「よぅ、相川。元気そうだな」
「うん。元気だよ〜」
彼女は相川梨那。州田の……幼馴染らしい。ま、詳しい説明は他に譲るけど。
「でるたも元気そうだね〜?」
「だから……デルタは止めてくれって……」
「何で〜?」
「意味が分からないから」
「ま、意味なんて無いんだけどね〜。今日は、シンちゃんとだでぃはいないの?」
- 300 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/05/25(水) 21:02:02 ID:6U1C6WWx
- 「真司も立花も妹と一緒に帰った」
『シンちゃん』とは石川真司、『だでぃ』とは立花将人のこと。どちらも俺の友人。
「そうなんだ〜。じゃ、お兄ちゃん、梨那と一緒に帰ろ?」
「いや……意味分からんし……って言うか、退け。重い」
「にゃははっ。レディに重いは失礼だよ?」
「レディ?誰がよ?」
「うにゃ?お兄ちゃんって、意外とバカなんだね〜?梨那のことだよ〜?」
「知ってるよ!!」
「にゃはははははは♪ばーか、ばぁーか♪」
「黙れ、数学赤点三冠が」
「にゃっ!?ま、まだ二冠だもん!!」
「ほぅ?ま、三冠になる日も近いだろうけどな」
「つ、次は大丈夫だよ!!」
「どうだかねぇ?」
……えっと、今回の主人公は俺なんですけど……。
「州田」
何だか寂しくなったので、俺は州田に声をかけた。
「ん?どうした、三上?」
「どうした、デルタ?」
「俺、帰るわ。二人で仲良くやってくれ」
「おっ、デルタ、お主、分かっておるな〜?」
「ちょっ!?三上っ!?」
「じゃあな」
背中越しにそういって、歩き出す。
「にゃはは。これで二人きりだね、お兄ちゃん♪」
「待てって!!おい、三上!!」
背後で、相川の猫なで声と州田の悲鳴のような声が聞こえたが……
俺にはもう関係ないことだ。適当に頑張れよ、相川〜。
───────────────────────
- 301 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/05/25(水) 21:03:02 ID:6U1C6WWx
- んー。かなり日も長くなってきたな。
帰る者、部活に励む者で騒がしい夕暮れ前の校庭を一人歩く。
そして、俺が校門を通り抜けたとき……
「あー!!おにぃちゃんだー!!」
後ろから声をかけられた。
慌てて振り返る俺。
「さ、沙耶っ!?」
「うん。サヤだよー」
塀に寄りかかっていた俺の妹、沙耶が、嬉しそうに俺の方に走ってくる。
「どうしてここに?」
「うん。今度のね、遠足のお菓子を買いに行こうと思ったんだー」
中学にもなって、遠足ですか……似合うけど。
「でもね、サヤ、お金持ってなかったから、おにぃちゃんに貰いに来たんだよー」
「あぁ、俺も晩飯の買い物行こうと思ってたし、一緒に行くか?」
「うん!!行くー!!」
右手を高々と挙げて、嬉しそうに笑う沙耶。
俺も微笑んで、沙耶の頭にポンと手を置き、
「よし、じゃ行こう。早くしないと、お菓子売り切れちゃうかもしれないからな」
「はわっ!?は、早くしないとー!!」
「あぁ、急ごう?」
「うん!!」
走り出す二人。
しかし……
- 302 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/05/25(水) 21:04:03 ID:6U1C6WWx
- どてっ。
移動距離20メートルにして、沙耶が転ぶ。
転んだまま動かない沙耶……。
俺は体を反転させ、焦って沙耶の元へ走る。
「だ、大丈夫か!?沙耶!?」
「はわわ……転んじゃったよ……てへへ」
起き上がって、恥ずかしそうに笑う沙耶。
ちょっとホッとし、俺は沙耶の両脇を持ち上げて、沙耶を起こしてやる。
「大丈夫か?怪我してないか?」
「うん。痛くないよ!!」
「そっか。沙耶は強い娘だな?」
「えへへ……」
沙耶が笑う。頭を前に傾けて。
俺は沙耶の頭を軽く撫でた後、沙耶の服や膝の土を手で払って、
「よいしょ」
沙耶を抱きかかえる。
流石に軽いなー。
「はわわっ!?」
「コレが一番早いだろ?」
「うん!!」
「よし、出発。舌噛むなよー」
沙耶を抱いたまま、近所のスーパーへと少し早足で歩き出す。
接近する顔と顔。
沙耶は俺の顔を見て、嬉しそうに微笑んだ。
実際……お菓子が売り切れるなんて、そうは無い。
急ぐ理由は、広告の品目当て、だったりして……。
───────────────────────
- 303 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/05/25(水) 21:05:40 ID:6U1C6WWx
- 『小さいことにクヨクヨしたりしてない?
自分のやりたいこと、やれること、やればいいんだよ少しずつさ。
それが、強さになるんだよ、きっと。
元気ハツラツ! 君は強い。オロナミンC』
えっと、久しぶりの妹台本。
つーことで、キャラの性格を思い出すため、色んな妹を出してみようかなぁ……なんて。
そんな感じ。
まだ続くと思うよ、多分。
気に入らなきゃスルーですよ。それが2chのルール。
- 304 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/25(水) 21:07:31 ID:JmKXC8Bp
- │д`*)ミタヨ
- 305 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/26(木) 01:54:05 ID:UXUyueVu
- 遊星神様もキタ━━(゚∀゚)━━!!
是非僕らが萌え死ぬまで書いて下さい!!
- 306 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/05/26(木) 18:53:37 ID:3wo7B50/
- ただいま〜。
あっついなー、今日も。
深夜、コテトリの話が出てたようので、気になって調べてみる。
鳥付けた日:03/2/14、名前付けた日:03/8/19
もう二年近くも使ってんだ……このコテとトリ……愛着も出るよなぁ。
>>308
調べてみたけどよく分かんない……。
専ブラのdatファイルがあれば出来るとか出来ないとか……。
- 307 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/05/26(木) 18:54:31 ID:3wo7B50/
- 人生初誤爆!?
ゴメン、皆!!
- 308 :sage :2005/05/26(木) 19:17:54 ID:zRqUAXoK
- あの…遊星さん?
沙耶って、咲耶をもじられたのでしょうか?
- 309 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/05/26(木) 21:16:03 ID:3wo7B50/
- >>308
┐(´ー`)┌
そんなものより、もっと疑うべき作品があるだろう。と。
- 310 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/26(木) 22:37:18 ID:Y6cWlEoH
- >>260-265
GJ!!
是非とも続き読みたいです!
>>海中さん
すごい…!GJ!!
俺、萌え悲しい話に弱いです… 。・゚・(ノД`)・゚・。
>>二姉持ちの弟さん
メイドさん、巫女さん、
両方イイ!!GJ!!
>>遊星さん
デルタキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
三上さんと州田さん、両方の話の続きが読みたいです!!
- 311 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/27(金) 02:15:21 ID:35pn4lqQ
- どこの誤爆か気になるが結果的に2回も>>308にレスしてる遊星さんに萌え
ともあれGJです!!
- 312 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/27(金) 14:30:42 ID:G+HqNPVO
- これはこっちでいいかな…
今更だけどまだ読んでなくて暇な人はどうぞ
http://moemoe.homeip.net/i/index.php?ac=view&aid=2417
携帯版でスマソ
- 313 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/28(土) 00:15:40 ID:TfJDpUmd
- 読んだ。
よかった。
- 314 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/05/28(土) 23:04:59 ID:Zw9oqKxC
- 風邪でしばらくの間、くたばってました。orz お久しぶりです。
>>遊星さん
沙耶たん、お持ち帰りはおいくらでしょうか?・・・え、非売品?
ころしてでも(ry それはともかく、GJです!
- 315 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/05/28(土) 23:06:18 ID:Zw9oqKxC
- 「お兄ちゃ〜ん……早く寝ようよ〜……」
「なんだよ、もう寝るのか?まだ早いぞ」
「わたしはお兄ちゃんと違って、やこーせーじゃないの!眠いの!」
「……はいはい。さいですか」
俺は本をぱたんと閉じて、クッションの上に放り投げた。
「あれ?本を読んでたの?」
「ああ。ダヴィンチ・コード」
「あー、それ知ってるよ。ラジオで紹介してたもん」
「なんだ、知ってたのか。読んでやろうか?」
妹は「うー」と唸ったあと、恥ずかしそうに頬を緩め、俺のパジャマに頭をすり寄せた。
「読んで欲しいけど……今日はお兄ちゃんと早く寝たいの……」
「……そっか」
よくそんな恥ずかしい台詞が言えるな、と思いつつ。俺は明かりを消した。
- 316 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/05/28(土) 23:07:24 ID:Zw9oqKxC
- ふとクッションの上の本に視線を送る。
妹に言われたい台詞 2005年決定版!(エロバージョン)
「……倫理的にさ、さすがにお前はマズいよな」
「え?なんのこと?」
「なんでもない」
教訓:嘘も方便だが、これはひどい例である。兄はすました顔で鬼畜である。
- 317 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/29(日) 16:59:11 ID:l7/SM/Hp
- >>海中さん
風邪をひいていたとはこれはまた…体には気をつけて下さいね。
ともあれGJです!
激萌えです(*´д`)
みなさんも風邪には気をつけて下さいね
- 318 :好きだよ :2005/05/29(日) 21:42:14 ID:H+UBTrwW
- お兄ちゃんは私の苦しいとき、悲しいとき、辛いときに私の相談にのってくれたり、励ましてくれたり、アドバイスをくれたりしてありがとう。楽しいときは2倍楽しくなり、辛いときは少ししか辛くない。私、お兄ちゃんといるだけで楽しいよ。お兄ちゃんとっても好きだよ。
- 319 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/05/29(日) 23:50:46 ID:PkVqgvUK
- >海中様
やっぱ、海中さんの書く妹は可愛いですねぇ……。
さすが海中さんッス!!
- 320 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/06/01(水) 16:16:38 ID:MV+AsTi7
- 〃⌒⌒ヽ
\ i彡ノノ))))〉 /
\ l∬ ゚ヮ゚ 八 /ァ[〉 ⌒⌒ 〈] ./
\ ⊂/\__〕 ヽ //ノi ノ/从从|〉 ./
__ \ ./丶2 |Σノ /┌ゝ!| ゚ヮ゚ノl ./
, ' ___ヽ /\ / //7ゝ〇 ノ\ /≡/\丿>/
i/ノノレリ)〉 / /.\ ///⌒γノ/___). / ≡\/≡/____
○ / <ゝ|| ゚ ヮ゚ノ!/ /○ .\/ ///ノ / / /[〉γ /^lヘ ヽ
\ / / /ヘ∇ヘ_|. // \/// / ./ l i ノリノ )))
\,ヘ .l⌒l⌒l, ヘ/ |\/\/\// / ノ /iハ ゚ ヮ゚ ハ
l二/\!, '⌒ヽ|,.'\二l > 妹 〈 / / ̄`-==-' ̄\
(人Ξ ノ) < ス > / ,イ/ ̄ ̄\ト \
○巛巛○ > 予 レ < (m / ̄ ̄ ̄ ̄.\m
- 321 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/06/01(水) 16:17:04 ID:MV+AsTi7
-  ̄ィ^8 lヘ `8ヘ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄< の > ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ァ' ト ヽ ̄ ̄ ̄
从iノリノ )))リ > 感 < .\ (ト)ミノノノ )) 〉
ノ (li ゚ ヮ゚ノリ < !! \ \ ノノ(リ ゚ヮ゚ ノ、
/⌒\/⌒ヽ_______ //\/\/ ̄ __\ / ⌒〇二\ノ)⌒
| ̄⌒\ 彡ノ_ | /, 〜ーヾ | 〃/二ヾ\ ─) ⌒ヘ◎>) ─ 彡
|_________\_|__ 丿____| .// .イノリ从))) | i /フフ77i〉\// \=(_) //
/_____________\彡ノ________ / ヽ !| ゚ -゚ノリ .| 从|! ゚ヮ゚ノl| .\\ |(○|(γ⌒ゝ´
‖ \ヽ ./ /(⌒───| (∧∧)⊂) \| ──二(◎) |l
ヽミ / | ` ̄| ̄ ̄ .| .|ΘΘ| ノ \ ゝ_ノ
./ \ |ニ二{] | (_|; /_) \
./ \! ̄ ̄i ∨__ ̄ヽ/| ヘД/ヽ .\
/ /二二\( iii iii>\ \ |( )
- 322 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/06/01(水) 17:24:32 ID:RWT4mKCr
- 「お兄ちゃん!一緒にぷよぷよしよ♪」
「お兄ちゃん!食べさせてあげる♪ア〜ン」
「お兄ちゃん!一緒にお風呂入ろ♪」
「お兄ちゃん…一緒に寝ていい?」
妹よ…いい加減兄から卒業しような…こんな妹を持った漏れは幸せ者なんでつか?(´・ω・`)
- 323 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/06/01(水) 17:42:21 ID:7HbaUx4g
- 君の実生活を箇条書きするだけで、俺の台本は軽く超えられそうだ……
っていうか、羨ましいぞ。おい。
- 324 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/06/01(水) 20:21:57 ID:W5zecRNu
- 羨ますぃ(´・ω・`)
- 325 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/06/01(水) 22:23:15 ID:7HbaUx4g
- 沙耶と二人、カートを押しながら歩いている。
沙耶には、お菓子売り場に行くように言ったが、俺と一緒に行きたい様で、
しばらく俺の買い物に付き合ってもらっている。
「晩飯何にしようかな……」
「おにぃちゃん!!サヤ、ハンバーグがいいー!!」
「おいおい。この前も作っただろ?だからまた今度。なっ?」
「うん」
「さてと……どうしようかなぁ」
呟きながら、店内を歩いていく。
「お、キャベツ一玉95円か……安いな、買うか」
と、俺がキャベツに手を伸ばすと……
「きゃっ!?」
偶然、キャベツを取ろうとした俺の手が、
同様にキャベツを掴もうとしていた女の子の手を掴んでしまった。
「あっ、すいません……」
その女の子に軽く謝って、別のキャベツに手を伸ばすと……
「あれ……?三上!?」
「ん?」
何者かに呼ばれ、顔を上げると……
「あ、立花……」
「よっ。三上も買い物?」
「ああ」
ってことは、三上の横に立ってるさっきの女の子は……
「未来ちゃんだったのか……」
「あ、お久しぶりです。三上さん。沙耶ちゃんもこんにちは」
立花の妹、未来ちゃんが、ペコリと頭を下げる。
- 326 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/06/01(水) 22:24:15 ID:7HbaUx4g
- 「ミクおねぇちゃん、こんにちはー」
「あぁ、久しぶり。前会ったのは……鍋パーティの時だっけ?あの時はどうも」
「いえ。好きでやってますから」
この娘。かなりの料理好きである。
立花家には、何度か食事をご馳走になったが……どれも美味くて驚いた記憶がある。
「今日は何買ったの?」
「えっと……シメジとキュウリとモヤシ、あとニンジンですね。今のところ」
「お、キュウリ買おうかな。いくらだった?」
「確か……三本で98円だったと……」
「ほぅ。安いね。あとで買おう」
「でも、今日はお肉はあんまり安くないんですよね……」
「あぁ、そうだね。魚もそこまで安くないみたいだしね。今晩は何にしようかな……」
「あ、なんでしたら、何かレシピ教えましょうか?」
「えっ?いいのっ!?」
「はい。たまには兄さん以外の感想も聞いてみたいですしね」
「そう?じゃ、お言葉に甘えて……」
俺はバッグから手帳とペンを取り出す。
すると……
「あれ……?」
ちょっと目を放した隙に、未来ちゃんが消えていた。
「……?」
呆然と立ち尽くす俺。
すると、沙耶が俺の服の裾を軽く引っ張って……
「ミクおねぇちゃん、おにぃちゃんに引っ張られて、どっか行っちゃったよー?」
「ち……立花め……」
いい機会だったのに……。
はぁ……。ま、立花らしいといえば……その通りなんだけどさ。
───────────────────────
- 327 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/06/01(水) 22:25:15 ID:7HbaUx4g
- 「ま、ここまで来りゃ、大丈夫だな。スマンな、未来」
「ぷはっ……はぁ……はぁ……」
「大丈夫?」
「口を塞ぐなんて、いきなり何てことするんですか!!兄さん!!」
「ん〜。強いて言うなら、悪の手先から未来ちゃんを救出したって感じ?」
「はぁ……何言ってるんですか……兄さん……」
「だって、無視されて寂しかったんだもん」
「だからって……あんなことして……三上さんに悪いじゃないですか……」
「まぁね。でも、そりゃお互い様」
「え?」
「いや、沙耶ちゃん、一人ですげぇ可哀想だっただろ?」
「え……」
「気付かなかった?」
「は……はい……」
「ま、料理の話で夢中になるのもいいけどさ」
「はい……」
「沙耶ちゃんには三上が必要だ。分かるだろ?」
「はい」
「それなら良し。さ、行こうぜ」
「はい。えっと……兄さん……」
「ん?」
「意外と優しいんですね?」
「まぁ、未来ちゃんや沙耶ちゃんみたいな可愛い娘には特にな」
「に、兄さんっ!!何言ってるんですか!!」
「いや、もう。未来ちゃん、そのリアクション、ホント可愛い!この場で抱き締めちゃいたい!!」
「に、兄さん!?何言ってるんですか!!」
───────────────────────
- 328 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/06/01(水) 22:26:18 ID:7HbaUx4g
- 中途半端!!だけど貼る。
ココまで行ったら、双子も出す!!サラは……微妙!!頑張る!!
ってことで、まだ続くよ。
いつも通り、気に食わなきゃスルーして。
しかし……「みく」→「未来」が、デフォルトで変換できるなんて……
新しいパソコンはいいねぇ……。
- 329 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/06/01(水) 22:29:31 ID:UbWwbHcI
- リアルタイムで拝見させていただきました。
遊星さん乙です!ちなみに俺は携帯から見てるんですが、こっちもみくで変換できます。
- 330 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/06/01(水) 23:45:10 ID:W5zecRNu
- >>遊星様
GJです!!
萌えパレード開催の予感w
>>329
('A`)人('A`)ナカーマ>携帯から見てる
- 331 :322 :2005/06/02(木) 03:27:38 ID:NvBvfeoi
- 遊星さん>そぉですか?ぢゃぁ今度1日の出来事でも書いてみます…ちなみにお風呂と寝るのは丁重にお断りしました。なんかすいません…
- 332 :二酸化マシンガソ :2005/06/02(木) 14:04:53 ID:sknVNkwb
- 遊星さん
やはり神はすごいですね
流石過ぎまつ
- 333 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/06/02(木) 23:20:30 ID:Y23j4Xg9
- >>遊星さん
乙です!GJ!!
続き待ってます!!
- 334 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/06/03(金) 19:39:43 ID:yLKLy2se
- なんだろう、群発頭痛にかかりました。
台本書きを少し休止します・・・
- 335 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/06/03(金) 20:06:03 ID:k9W6aOnD
- 携帯から見てる人、やっぱ多いんだねぇ……zip上げは、やらない方がいいか。
>>329
へぇ、変換出来るんだ。
ケータイよりも劣るPCって……orz。
>>334
大丈夫ですか?
ともかく、お大事に。
- 336 :二酸化マシンガン改 :2005/06/04(土) 15:20:16 ID:q3vbDOQf
- 妹「あにうえ〜」
兄「どうしたんだ?」
妹「これそこの川原で拾ったのじゃ〜」
兄「綺麗な石だな」
妹「えへへっこれあにうえにあげるのじゃ」
兄「いいのかい?」
妹「うむ!これはあにうえの為に探してきたのじゃ」
兄「?」
妹「あにうえお誕生日おめでとうなのじゃ!」
兄「…そうか今日は俺の誕生日か…ありがとう、詠美」
妹「えへへっ大好きじゃあにうえ!」
兄「俺もだよ…」
なんていうかこんなの貼ってすいません
- 337 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/06/04(土) 21:25:36 ID:aJum4fyn
- 二酸化マシンガンさんがカスタム化した!?
戦国娘(?)萌え〜!乙です!
- 338 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/06/04(土) 22:58:39 ID:q3vbDOQf
- >>337さん
どうもです〜
ちょうどこの前に天上天下見てて
それで「〜じゃ」口調の娘書いてみました
改はカスタムでなく動くように直した感じですよ
ハハ…
- 339 :バiタ兄 ◆0.yvR/lIf. :2005/06/05(日) 15:41:42 ID:vCtwlWzg
- >>331の者です。昨日ちょっと萌え的な事があったので書かせてもらいます。始めてなので読みにくいと思いますが…。
俺には2人の妹がいます。中1の長女ハルナ(仮名)と小4の次女ユイ(仮名)です。ハルナは憎たらしいので微妙ですがユイは超甘えん坊なので激萌えです。wじゃあそろそろ話に入ります。
- 340 :バiタ兄 ◆0.yvR/lIf. :2005/06/05(日) 15:51:33 ID:vCtwlWzg
- 朝、俺がまだ寝ぼけているとユイが部屋にきました。
ユ「お兄ちゃ〜ん?朝だよ〜?起きないの〜?」オ「今日って土曜だろ?」ユ「そぉだよ」オ「じゃあ寝る…」
俺の高校は土曜休みなので9時になってましたが寝ることにしました。
ユ「じゃあユイも寝る〜」オ「俺のトコで寝るなよ…」ユ「いや〜…」
結局ユイは俺のベットに入って来ました。俺もメンドくさいのでそのまま2人で寝ちゃいました…。
- 341 :バiタ兄 ◆0.yvR/lIf. :2005/06/05(日) 16:02:04 ID:vCtwlWzg
- 12時頃になり俺は目が覚めたのでベットに座りタバコを吸いながらテレビを見てました。後ろではユイが寝てます。30分ぐらい経つとユイが目を覚ましました。
ユ「ん〜…お兄ちゃんオハヨー」オ「ん、おはよ」ユ「あ〜っお兄ちゃんまたタバコ吸ってる〜!」オ「ん?どぉした?」ユ「こーこーせーはタバコ吸っちゃイケナイんだよ〜!」オ「はいはい」
- 342 :バiタ兄 ◆0.yvR/lIf. :2005/06/05(日) 16:13:48 ID:vCtwlWzg
- タバコを消してテレビを見てるとユイが
ユ「ねぇお兄ちゃ〜ん」オ「ん〜?」ユ「おはようのチューは〜?」オ「なし」ユ「なんで〜?おねがい〜!」
後ろから抱き付いてくるユイ…。
オ「だめ」ユ「いや〜」オ「離れなさい」ユ「いや〜。チューしてくれるまで離れない〜」
はぁ〜…なんだこの妹は…orzまぁ可愛いからイイけど。w
オ「はいはい。じゃあ目つぶって」ユ「は〜い」
ユイのおでこに優しくキスをする。9歳にもなる実の妹にキスするなんて…人間失格だな…orz
- 343 :バiタ兄 ◆0.yvR/lIf. :2005/06/05(日) 16:29:01 ID:vCtwlWzg
- オ「ところでメシは?」ユ「まだ食べてな〜い」オ「じゃあ何か作るか?」ユ「ユイも手伝う〜!」オ「よしっ!じゃあキッチンへGO!」ユ「GO〜!」
パンを焼いてマーガリンを塗るユイ。炒めた卵とウインナーにケチャップをかけたヤツを作ってだす俺。
オ「よしっ!じゃあ食うか!」ユ「うん!」オ「はい、いただきます」ユ「いただきま〜す!」オ「…うまいか?」ユ「うんっ!おいしーよっ!」オ「ん、ならイイや」
メシを終えて寝汗をかいたので風呂に入る。…風呂から出てユイに
オ「ユイも汗かいたんだったら風呂入っとけ」と言って居間でテレビを見る。ユイは風呂に行った。
- 344 :バiタ兄 ◆0.yvR/lIf. :2005/06/05(日) 16:40:09 ID:vCtwlWzg
- ユ「お兄ちゃ〜んっ!!!!」風呂からユイの大声が聞こえる。俺は急いで風呂まで行く。
オ「どぉしたっ!?」ユ「ドアが…ドアが開かないよ〜っ!!!!」
どうやらユイは内側からカギを掛けてしまいドアが開かなくなって泣いてるらしい。
オ「ユイ〜。カギ掛かってっからドアの下にあるカギ開けろ〜」ユ「わかんないよ〜っ!!!!」
…だめだ…ユイは泣いて言うこと聞かない…orz仕方ないのでドライバーを使い外側から開ける。
- 345 :バiタ兄 ◆0.yvR/lIf. :2005/06/05(日) 16:52:01 ID:vCtwlWzg
- オ「ユイ〜開いたぞ〜」と言ってドアを開ける。
ユ「うわぁ〜んっ!!!!」オ「おいっ!抱き付くなっ!濡れるだろっ!」
オ「っつか体洗ったか?」ユイは小さく頷く。
オ「頭は?」首を横に振る。
オ「じゃあ体洗ってから出ろよ」と言って居間に戻ろうとする。
ユ「行っちゃヤダ!!!!」俺のズボンにしがみつく。
仕方ないのでユイの頭を洗ってやる。可愛いなぁ…体を拭いて服を着せる。俺も服を濡らされたので着替える。
- 346 :バiタ兄 ◆0.yvR/lIf. :2005/06/05(日) 17:08:35 ID:vCtwlWzg
- 俺はする事がないので部屋でダラダラ。ユイはずっとついてくる。トイレにまで一緒に入ろうとしてきた。しばらくすると出掛けてたハルナが帰ってきた。
ハ「ただいま〜」オ「おぅ!おかえり」ユ「…」ハ「ユイ何やってんの?」オ「あぁ、ちょっとあってね」ハ「ふ〜ん」
親から今日は帰れないとの連絡を受ける。オレがメシを作るのか…orz3人黙ってメシを食う。なぜかユイは俺の膝の上に座ってる。会話はない…。メシを終え簡単に片付けを済ます。
- 347 :バiタ兄 ◆0.yvR/lIf. :2005/06/05(日) 17:21:12 ID:vCtwlWzg
- 風呂に入ろうと思い服を脱ぐ。なぜかユイも脱いでる…。
オ「何やってんの?」ユ「一緒に入っちゃダメ?」
少し考えたが今日の事があったので一緒に入ってあげた。ユイはまだ元気がない…。風呂からでてハルナに風呂が空いたことを伝える。居間で少しユイとダラダラする。そろそろ寝ようと思いユイに
オ「じゃあ俺寝るから。ユイも早く寝ろよ」と言って部屋に戻ろうとしたときズボンを引っ張られた。
オ「ん?」ユ「一緒に寝て…」オ「しゃ〜ね〜なぁ〜。じゃあ今日だけだぞ!」
内心ちょっと嬉しい。w
- 348 :バiタ兄 ◆0.yvR/lIf. :2005/06/05(日) 17:46:01 ID:vCtwlWzg
- 風呂から出たハルナにユイと寝ることを伝える。部屋に戻ってユイと寝た。ベットの中でユイはずっと俺の腕にしがみついてた。今日はいつもの元気なユイに戻ってたので安心した。
とまぁこんな感じですね。長文&駄文失礼しました。ちなみに今ユイは俺の部屋でマンガ読んで笑ってます。w
- 349 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/06/05(日) 18:40:23 ID:n3L74Ajz
- ぴゅあぴゅあ(コンシューマ版)から。
美和「お兄ちゃんの・・・ロリコンーーーッ!」
茶をふきました。
- 350 :二酸化マシンガン改 :2005/06/05(日) 21:17:05 ID:yyKNTugw
- バロさん
ギャルゲー的現実体験スレにカキコしてください
みんなよろこびますよん
てかユイちゃん俺にください(;´Д`)ハァハァ(最悪だ俺
しかもユイとは俺の糞SSのキャラと同じ名前…(゚∀゚)b
- 351 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/06/05(日) 21:40:44 ID:TZ7vrU+f
- 自分の稼ぎで 生活出来る様 一人立ち出来るまで、喫煙の資格無し!!!
よって、妹 没収!!!
- 352 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/06/05(日) 22:11:18 ID:ib2fuB1k
- 「……ちゃ……て」
―――う。
「……ちゃん……きてよ……!」
―――うん?
「お兄ちゃん!起きてよっ!」
ソファに寝ながら、薄っすらと目蓋をこじ開けると、まばゆいばかりの光が差し込んできた。
俺はとっさに顔を背け、手のひらで顔を隠した。そのままの体勢で再び目を開けてみる。
どアップで妹の顔。
「うおわっ!?」 「きゃっ!?」
二人とも磁石のように離れ、お互いにどすん、と尻餅をついた。
「いて……」 「いたい〜……」
見ると、パジャマ姿の妹が座り込んでいた。胸元のボタンがはだけてブラが……あれ?
ブラをしていない?ああ……それすら早いのか。お兄ちゃん、ちょっと悲しいぞ。
というか、はだけた胸元の奥に、ふたつの小さなぽっちが見える……って、まさか!
……などと不純な想像をしていると、妹はお尻をさすりながら睨みつけてきた。
「お兄ちゃん!!いきなり驚かさないでよ、ばかっ!!」
しかし、妹の睨みつける先に俺の顔はなくて、代わりに立派にいきり立つ俺の息子が……。
「お前、どこ見て言ってんだ?」
「……え?お兄ちゃんの顔、どこ?」
すすすっ、と手を探らせる。―――って、オイ!!
ぐにゅっ。
- 353 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/06/05(日) 22:12:24 ID:ib2fuB1k
- あ、ダメだ。俺もう終わりだ。死ぬ。殺される。ヤバ、ヤバいよ、ヤバすぎるよ。
いくら義妹とはいえ、妹だよ。そんな妹に欲情していたなんて知れたら、マジ終わりだよ。
ああ、デストロイだ。この世のデストロイ。ああ、デストロイ!?
「やだっ!?もしかして脛触っちゃった!?やだぁ……」
脛?足の?……ああ、そうか。感触似てないけどな。助かった。
「人の足を汚いものみたいに言うなよ」
「だってそうだもん。お風呂入ったばかりなのに……」
「あのなぁ……って、おい。お前、パジャマのズボン、前後逆にはいてるぞ」
「えーっ!?うそっ!?」
するり。
ああ、妹よ。目が見えないんだよね。だから“見られている”意識は少ないんだろうけどさ。
兄の目の前でパジャマのズボンを脱ぎだすのは止めておくれ。
- 354 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/06/05(日) 22:13:36 ID:ib2fuB1k
- まず、ふっくらとした感触を指先に覚えそうなほどの、青と緑のしましま。
健康そうで、触れると温かそうな太もも。そのまま柔らかな曲線を描き、両足へ。
……ビューティホー。合格だ。
「……あの」
「え?なに?……って、ひゃ」
数秒後、怒号と悲鳴と近くに落ちてた新聞の広告が飛んできたのは言うまでも無い。
「ばかっ!もう知らない!お兄ちゃんなんて一生眠ってればいいのよ!!」
「おーい、元はと言えばお前が悪いんだぞ?なあ、機嫌直せよ」
「やだっ!!絶対にやだっ!!」
手すりを掴みながら猛スピードで逃げ出す妹。それを追いかける俺。
端から見たら疑われそうな光景だ。
「なあ、許してくれってば。いいだろ?別に減るもんじゃないし」
「減るのっ!!」
「何が―――?」
妹の進行方向にはタンスがある。ごく普通のタンスだ。妹の足は止まらない。
……気づいていないのか?
「お、おい!前!」
「なによっ!ばかっ!!―――あ」
そのまま歩を進めて……。
- 355 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/06/05(日) 22:14:49 ID:ib2fuB1k
- ものすごい衝撃だった。タンスにぶつかり、その振動で上に積んであった物がすべて落下した。
「お、お兄ちゃん……?」
反射的に妹を庇う姿勢になり、俺は背中に全衝撃を受けていた。
途中、グサッとかいう音が聞こえたりもした。……迂闊だった。
「お兄ちゃん!?お兄ちゃんっ!!」
「なんだ?」
ゆっくりと手を伸ばし、妹の頬に触れる。冷たい。どうやらお姫様は泣いてしまったようだ。
そんなこと、触れなくても分かる。―――見りゃ分かるんだ。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
「泣くなよ。その水分は減るぞ」
冗談を呟きながら体を起こそうとして、俺は顔をひきつらせた。
背中が痛い。
「うが……運悪いな、俺」
震える手で背中を探ると、厚紙用のハサミが床に落ちた。ついでに血も。
- 356 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/06/05(日) 22:15:53 ID:ib2fuB1k
- 「……いいか?」
「う、うん……」
俺は妹に背中を向け、あぐらをかいて座っていた。妹は消毒液で湿らせたガーゼを
両手に握っている。
「痛いって言うから、言ったところを軽く拭いてくれ」
「うん……」
湿ったガーゼの感触が背中を動いていく。
「もう少し上かな?」
「うん……」
感触が傷口を捉えた。俺は妹に言う。
適当に拭いたあと、上からナプキンを貼る。これでまあ大丈夫だろう。
「あの……ごめんなさい……わたしのせいで……お兄ちゃん……ケガ……」
妹は尻すぼみに呟き、再び目尻に涙を溜めた。
「泣くなよ。怒ってないからさ。むしろ俺が謝りたいんだから」
「……え?」
「いや、見ちゃったからさ。……許してくれる?」
「……う、うん……」
俺は妹の頭をくしゃりと撫で、わざと声を弾ませて言った。
「それじゃ、これであいこにしよう」
- 357 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/06/05(日) 22:17:04 ID:ib2fuB1k
- とある二行の描写に頑張った私がいます。誰かこらしめてください……。
風邪なのか群発頭痛なのか分かりませんが、頭痛が。
ヘタクソな台本ですが、しばらく休養に入ります・・・。
- 358 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/06/05(日) 22:18:21 ID:YGAcd3+Q
- 二酸化マシンガンさん帰ってキター!!
しかも『改』…なんかカコイイ
GJです!
>>バiタ兄さん
羨まし杉ですorz
- 359 :バiタ兄 ◆0.yvR/lIf. :2005/06/05(日) 23:07:47 ID:vCtwlWzg
- 俺の糞みたぃな話にレスしてくださった皆様ありがとうございます!あとハルナなら2・3日ぐらぃ構わないけどユイは無理です(´・ω・`)すいません
- 360 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/06/06(月) 03:27:39 ID:5RZMcMzH
- >>バiタ兄さん
萌える…ね、ネタじゃあるまいな!?マジだと言うなら
証拠としてハルナちゃんを俺に預けなさい!!
>> 二酸化マシンガン改さん
ギャルゲー的現実体験スレは一時期、このスレで紹介したい程の
妹萌え&燃えな展開だったからな。現状は全く知らないが
>>海中さん
何かエロい。あれ、ここエロバージョンじゃないよね?
しかし話に上手く惹き込まれてGJです。どうかお大事に。
ところで、とある二行というのが結構気になるのだが、
オレの予想だとあの二行かな…?
- 361 :二酸化マシンガン改 :2005/06/06(月) 16:07:44 ID:ng0XVebF
- 「はぁ〜疲れた〜」
俺が部活を終えて家に帰ってくると
「おかえり〜ま〜お兄ちゃん!」
と女の子が駆け寄って…
ドンッ!
「グフハァ!」
とみぞおちに飛び込んできた
「げほっ…た、ただいま…ごほごほ…美鳩ちゃん」
「おかえりなさい!」
このこは波崎美鳩(みはと)俺の親戚のお子さんだ
今俺は学校がうちから遠いので波崎家に置いてもらっている
- 362 :二酸化マシンガン改 :2005/06/06(月) 16:11:04 ID:ng0XVebF
- なので美鳩ちゃんとは兄弟みたいなものだ
「もうだめよ美鳩、雅君疲れてるんだから」
「ご、ごめんなさい」
しゅんとなる
「ハハいいですよ別に美鳥さん若いこは元気があっていいですね〜」
「あ〜ら雅くんそれは私に対する言葉かしら?」
顔は笑っているがアニメとかなら怒りマークがつく感じだ
実際この波崎美鳥(みどり)さんは歳は29なのだが
…明らかにまだ10代に見える若さだ
この人が今は一国の主だ
「違いますよ!そんな事いったら美鳥さんと同年代の人達に殺されますよ!」
「あら!そう」
ご機嫌になったなんか単純
「それよりお風呂お先にどうぞ、部活で汗かいたでしょ?」
「ではすいません」
「み〜も一緒にはいる〜」
「あいよ〜じゃあいこうか」
期待したかたすいませんもうここにきて3日目なので馴れました
流石に最初はエッ!だったけど
「うん!おっふろ〜」
すみませんなんか強引でして(てかゴミで
早く遊星さんみたくいいものかけるといいな〜と思います(´・ω・`)
続きありますが嫌でしたら申告お願いします
- 363 :バiタ兄 ◆0.yvR/lIf. :2005/06/06(月) 16:30:34 ID:uZ3uN8sF
- マシンガンさんや遊星さんや海中さん…皆すげぇ…俺には今日あった事を書くぐらいしか出来ないっすよ…orzまたなんか面白い事あったら書きますね…
- 364 :二酸化マシンガン弾切れ :2005/06/06(月) 19:42:44 ID:ng0XVebF
- 「ふぅ〜疲れがとれるようだ〜」
(でも、本来風呂って疲れるもんらしいがな)
「お兄ちゃんきもちいね〜」
「だな〜ってだから泳いじゃだめだよ!」
「えへへ〜じゃあつかまえてぇ」
ここは旧家の家だから家がでかいもちろん風呂もだ
「もう、はいつかまえたから大人しくしなさい」
だきっ
「はいみ〜を捕まえてくれたのでご褒美に」
チュッ
「あははそんなことしてるとホントにしたいとき後悔するよ?」
「大丈夫だよだって…マ〜オニイチャンが…」
「えっ?聞こえなかったよ?なに?」
「な、なんでもないよ!えへへっ」
とりあえず学校なのでここまでです(´・ω・`)
といっても見てないと思いますが
見てる人いたらすいませんこんなの…
- 365 :すばる ◆9tSxotve.o :2005/06/07(火) 00:05:39 ID:XsNwa/MC
- みんな凄いです…
もう俺の出る隙はないな…('A`)
- 366 :好きだよ :2005/06/09(木) 19:00:46 ID:TrmERqbl
- お兄ちゃんと一緒にいるとつらい思いをしても、苦しい思いをしても、悲しい思いをしてもそれを乗り切ることができると思うよ。だから、私はお兄ちゃんといままで過ごして良かったよ。このまま、お互い愛し続ける兄妹でいようね。
- 367 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/06/10(金) 00:33:53 ID:Sp/NCG6n
- お兄ちゃん今日は私がご飯作ってあげるね。
何か食べたい物とかある?
- 368 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/06/10(金) 01:12:20 ID:ObZy0Noa
- お粥作ってくれ…風邪ひいてんだ…
- 369 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/06/10(金) 22:42:30 ID:0AmK4fM+
- 「えへへ〜♪」
スーパーからの帰り道、沙耶はいつものように跳ねながら、俺の隣に並んでいる。
結局、あの後立花は見つからず、未来ちゃんのレシピはしばらくお預けとなった。
肝心の夕飯だが……キャベツはあるので、焼きそばでも作ろうかと思ってる。
「えへへ〜」
沙耶が二十歩に一回ぐらいのペースで、俺の顔を見て微笑む。
……また、転ぶってのに。
「ご機嫌だねぇ」
「うん。遠足楽しみだよー!!」
「あれ?遠足に行くのに、バナナ買ってないな?」
「はわっ?ばなな?何で?」
「知らないのか?遠足の時にはバナナを持てるだけ持ってくといいんだぞ?」
「はわわっ!!知らなかったよー!?」
「ま、今度から気をつけろよ?」
「うん!!」
無邪気に笑う沙耶に微笑を返し、しばらく前を向いて歩いていると……
「きゃっ!?」
俺の右の方で小さな悲鳴が聞こえた。
ま、また転んだのだろうと重い、沙耶のほうに目をやると、
沙耶の横、つまり俺から見て沙耶の向こう側に、金髪の少女が立っていた。
「ごめんなさい。ちょっとボーっとしてて……」
金髪の少女が沙耶に言う。
- 370 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/06/10(金) 22:43:30 ID:0AmK4fM+
- 「う、ううん……大丈夫だから」
人見知りの激しい沙耶は、その少女にオズオズと答えた。
「君は大丈夫?」
俺はそんな沙耶の横に並び、少女に尋ねた。
「ええ、大丈夫よ」
「そう。そりゃ良かった……じゃ、俺たちはこれで。沙耶、行こうか?」
「うん!」
少女に軽く挨拶をして立ち去ろうとすると、
「ねぇ……」
後ろから声がかかる。
「ん?まだ何か?」
「アナタに聞きたいことがあるんだけど」
「俺?何?」
「この辺りで、立花っていう人の家を知らない?」
「ん〜……結構あるからなぁ……どの立花さんか分かる?」
「えっと、アナタと同じくらいの歳で、マサトって言うんだけど」
「ああ、知ってる知ってる」
「知ってるの!?」
「ああ。ちょっと遠いから、地図書いてあげるよ」
「うん、ありがとう!」
今までの感じからは想像も出来ないような笑顔を見せる少女……。
っていうか、立花……この娘……誰なの……?
───────────────────────
- 371 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/06/10(金) 22:44:31 ID:0AmK4fM+
- 「ねぇ、兄さん……」
「ん?どうした、未来ちゃん?」
「黙ってココまで来ちゃいましたけど、三上さん、探してるんじゃないですか?」
「大丈夫大丈夫。生物買ってたみたいだから、すぐ諦めて帰るって」
「そうですかねぇ……でも、怒ってるんじゃないですか?」
「ま、それは仕方ないな」
「どうするんですか?」
「ま、そのうち考えるさ……なんて言ってると、バッタリあったりするんだよな」
「あはは。そうですね」
笑いながら、角を曲がる。
目に入る二人の女の子と、男一匹。
俺はとっさに右手を伸ばし、隣の未来を後ろへ押しのける。
あれは、サラ!?何でこんなところに!?しかも、何故三上と!?
「え……どうしたんですか?兄さん?」
未来が小声で尋ねる。
「いた……」
「いた。って……三上さんがですか……?」
「三上もいた……」
「三上……も……?」
「ああ、えっと、沙耶ちゃんだよ、沙耶ちゃん!元気そうで良かったなぁって!」
「ああ、そういうことですか。……で、どうします?」
どうしよう……。
- 372 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/06/10(金) 22:45:31 ID:0AmK4fM+
- このまま待ってたら、サラがこっちにきて、未来と修羅場。なんてこともあるし……。
かといって、逃げるのも怪しまれる……。
あぁ、もう!!一か八か!!俺はマジだぜ!!
「未来はここで待っててくれ。俺は三上と話しつけてくるから」
「あ、はい。行ってらっしゃい」
覚悟を決め、曲がり角を飛び出す。
「あっ……」
「あっ……」
サラと三上が俺を見て、小さな驚きの声を出す。
「あ、マサ……むぐっ!!」
とりあえず、何か叫びだしそうだったサラの口を軽く押さえた。
「た、立花……?」
「その角の向こうに未来が居る。行け」
「は……?」
「レシピでも何でも聞くといい」
「あ、あぁ……」
「俺は用事を思い出したから、先に帰るように言ってくれ!!」
「あ……あぁ……」
「よろしくな!!」
強引に話を完結させ、俺はサラをつかんだまま走り出す。
これで作戦成功、マジで決めたぜ!!
───────────────────────
ホントに、サラ出しちゃった……。
次は双子か……頑張るぞー。
一々レスしてったら夜が明けるから省略させてもらうけど、皆凄いねぇ……。
尊敬するよ、マジで。
- 373 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/06/10(金) 23:09:48 ID:tKq5ELNI
- あなたを一番尊敬するんだけどね、マジで。
- 374 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/06/10(金) 23:10:37 ID:NZWC3HJr
- GJです!
やっぱり遊星さんの台本はおもしろいですねぇ
見習いたいものです
- 375 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/06/11(土) 00:32:23 ID:rBbA7ipW
- GJ!
次は修羅場ですか?
楽しみにしてます。
- 376 :バiタ兄 ◆0.yvR/lIf. :2005/06/11(土) 00:40:54 ID:T/3/NtS7
- 遊星さん流石です…禿しく続きキボン
- 377 :二酸化マシンガン改 :2005/06/11(土) 09:43:22 ID:g+iDipNJ
- く!遊星さんなんて神なものを…
うわ〜んすごすぎますよ〜
- 378 :バiタ兄 ◆0.yvR/lIf. :2005/06/11(土) 15:14:02 ID:T/3/NtS7
- あの風呂カギ事件からユイが毎日一緒に寝ようとしてくる…orz
オレはどぉすればイイんだ?やっぱ兄として一緒に寝てやるべきか?意見求む…
こんなくだらない事で悩んで申し訳ない…orz
- 379 :二酸化マシンガン改 :2005/06/11(土) 19:50:04 ID:g+iDipNJ
- バロさん俺は意見は出せませんが
ちょっとHなこと考えちゃいました
( ´・ω・`)すいません
ちょい妹エロスレで話書いてきていいでしょうか?
- 380 :バiタ兄 ◆0.yvR/lIf. :2005/06/11(土) 19:57:21 ID:T/3/NtS7
- マシンガンさん!よろしく頼んだ!ついでに今日もしユイに言われたら一緒に寝てやろう…なんかあったら明日書きます。
- 381 :二酸化マシンガン改 :2005/06/11(土) 20:15:44 ID:g+iDipNJ
- とりあえず書いてみました
暇な人は
たく…みてやるよ!
ってな感じで見てみてください
- 382 :バiタ兄 ◆0.yvR/lIf. :2005/06/11(土) 20:56:32 ID:T/3/NtS7
- 続き書いたけど…書いてたら死にたくなった…orz
- 383 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/06/11(土) 23:57:11 ID:eV74kY1P
- 死ぬ前に貼ってくれ
- 384 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/06/12(日) 00:19:15 ID:FQIhLwrJ
- 死ぬなんつ勿体ない!
折角のおいしい人生じゃまいか!
貼ってくれ!!
- 385 :バiタ兄 ◆0.yvR/lIf. :2005/06/12(日) 05:05:37 ID:B4nARDRW
- おはようごさいます…そして…すいません…オレが続きを書いたのはエロスレでマシンガンさんの続きを書いただけです…オレがココに貼ってるのはほぼノンフィクションなんで続くか続かないかはその時々です…
- 386 :バiタ兄 ◆0.yvR/lIf. :2005/06/12(日) 05:17:05 ID:B4nARDRW
- 昨日は結局ユイと寝ました…なんかいつもよりベタベタしてきた…めちゃくちゃ暑い!!!!夜中に3回も起きてしまった…orz
今日は親父の会社の仲間でやるバーベキューに親父とユイと行ってきます…なんかあったらイイな…
- 387 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/06/12(日) 15:00:22 ID:mDpXdmGW
- このまま失踪しようかな・・・。
- 388 :バiタ兄 ◆0.yvR/lIf. :2005/06/12(日) 18:40:10 ID:B4nARDRW
- ただいま…今日は疲れた…ユイも寝た…明日書くことにします…
- 389 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/06/12(日) 20:11:45 ID:QF1BV9WJ
- 「……で、塩と胡椒で味を調えて、完成です」
「ほぅ……なるほどね」
「美味しそうだね〜?」
沙耶が、俺の顔を見ながら嬉しそうに言う。
「うん、美味そうだな?しかし……キャベツをそういう風に使うとは……」
「キャベツは工夫すれば何でも使えますからね。重宝しますよ」
「なるほど……」
メモを取る。
しかし、流石未来ちゃんだな……。
今日買ったモノを言っただけで、どんどんいろんなメニューを教えてくれる。
しかも、わざわざ沙耶のために、刺激の少ないものを選んでくれてるし……。
立花はかなり幸せもんだねぇ……。
「あの……三上さん」
「ん?何?」
「ちょっと外してもらってもいいですか?ちょっと女の子同士で話したいんですけど……」
「ああ、いいよ。沙耶、未来ちゃんの言うこと良く聞くんだぞ?」
「うん!!」
「よし、いい子だ」
俺は沙耶に微笑み、未来ちゃんに会釈をして、数十メートル離れた壁に寄りかかった。
少し屈んで、沙耶に何かを教える未来ちゃん。
それを聞いて、驚いたような沙耶。
微笑む未来ちゃん。
おずおずと頷く沙耶。
そして会話終了。沙耶の元へ戻る。
- 390 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/06/12(日) 20:12:59 ID:QF1BV9WJ
- 「もういい?」
「うん!!」
「はい」
「じゃ、帰ろうか?」
「うん!!」
と、未来ちゃんと別れの挨拶をしていると……
ピ〜ピロリロリロリ〜♪
俺のポケットから、電子音が響く。
「あっ……立花から電話だ……」
「えっ……?兄さん?」
「うん。出るよ……もしもし。どうした?」
『あっ、三上。言い忘れたけど、さっき見たことは未来には秘密にな!!』
「ああ、分かってる」
『それなら良いや。じゃあな!』
「あ、あぁ……」
切れた……。
「兄さん、何て言ってました?」
未来ちゃんが、少し目を輝かせて尋ねる。
「えっ……いや、大したことじゃないけど……」
「そう……ですか……」
「い、いや……」
肩を落とし、うなだれる未来ちゃんにどう言葉をかけるか考えていると……
- 391 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/06/12(日) 20:14:00 ID:QF1BV9WJ
- 「だいじょーぶだよ!!」
「えっ……」
「沙耶……」
「立花のおにぃちゃんは、ミクおねぇちゃんのおにぃちゃんだから。きっとだいじょうぶだよー?」
全く、沙耶……お前ってヤツは……。
「そうかもな。あの立花のことだから、何か未来ちゃんを驚かせようとしてるのかも」
「ふふっ……そうですね。兄さん……ですからね」
「うん」
「だな」
「ありがとうございます。そろそろ、私も帰りますね」
「じゃあねー!!」」
「こっちこそありがとう。気をつけてね」
「はい!!」
未来ちゃんは嬉しそうに、俺と沙耶、別々にお辞儀をして、帰って行った。
なんだかソレが凄く微笑ましくて、嬉しくて
『未来ちゃんにお土産でも買って帰れ』
俺は立花にそんなメールを送ってみた。
「俺たちも帰ろう?」
「うん!!」
【続く】
───────────────────────
- 392 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/06/12(日) 20:15:00 ID:QF1BV9WJ
- 君が超えたいモノは何?
神々、前作、連投制限?
立ち向かうとき、揺れ動く
その脳に湧き出す妄想
未来 沙耶 双子 梨那 サラ みんな二文字
駄作の始まりさ
ゴーファイ 遊、遊、遊星
限界チャレンジャー
パクリという名の魔法を持ってる
ゴーファイ い、い、妹
夢見て 仮想妹
オッケー オーライ
ネタをこの手に
台詞が多過ぎ、遊星より愛を込めて
閃け!
……まぁ、替え歌作っちゃうぐらいやりたい放題で、次に続くワケだ。
>>387
いやいや、待ってくださいよ!!
次回作、楽しみにしてますから!!
>>388
んー、まぁ、俺がこう言うのもアレだけど、さすがにそろそろスレ違いかも……。
他にいいスレ無いかなぁ……。
- 393 :二酸化マシンガン改 :2005/06/12(日) 20:31:41 ID:VrVcHqBS
- 遊星さん
つギャルゲー的現実体験スレ
- 394 :バiタ兄 ◆0.yvR/lIf. :2005/06/13(月) 17:36:04 ID:k7nVIlWw
- たしかにスレ違い…と言うことでロム専にします(´∀`)皆様あとよろしく頑張って下さぃ!!!!
- 395 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/06/13(月) 21:27:33 ID:Af0aQOUx
- ↑引越て来ないの?
- 396 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/06/16(木) 00:26:45 ID:hh8sd3jQ
- ほしゅだよ♥
- 397 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/06/16(木) 11:03:50 ID:N0rHzwCR
- 誰か書き手さん来ないかな〜?
- 398 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/06/16(木) 21:10:07 ID:1hE6YouG
- 放置されてもへこたれない!普通にダラダラと続きだよ。
「あーーー!!」
帰り道……。
またしても……。
「沙耶ちゃんだー!!こんにちはー!!」
「沙耶ちゃん、こんにちは。三上先輩も、こんにちは」
真司の妹たちにばったり会う。
何なんだ、今日は……。
「うん。こんにちわー!!」
「こんにちは、唯奈ちゃん、千奈ちゃん」
「沙耶ちゃん、お兄ちゃんと買い物?」
「うん!!おにぃちゃんと、遠足のおやつを買いに行ったんだよー!!」
「へぇ、遠足かー。いいなー!」
沙耶と唯奈ちゃん、仲がいいみたいだね。
人見知りするはずの沙耶も、唯奈ちゃんとは普通に話せてるし。
それが唯奈ちゃんの魅力なのかも……
「で、二人はどこへ?」
沙耶と唯奈ちゃんを横目で見ながら、俺は千奈ちゃんに話しかけた。
「ちょっとお散歩です」
「ふーん。真司は?」
真司。という単語に、唯奈ちゃんが反応した。
俺の前に立って、
「あー!!聞いてくださいよ、三上センパイ!!」
「あ……なに?」
- 399 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/06/16(木) 21:11:17 ID:1hE6YouG
- 「お兄ちゃんと一緒に買い物に行く約束してたのに、お兄ちゃん、帰って、いきなり寝ちゃったんですよー!?」
「あぁ、そう……」
分かってるんだか、分かってないんだか知らないが、沙耶がふんふんと頷く。
「ヒドいと思いません?ねぇ、千奈ちゃん?」
「えぇ、まぁ……楽しみにしてたので……」
「ふーん……」
「ふーん。じゃないですよ、三上センパイ!!ね、千奈ちゃん?」
「ええ……」
「いや、悪い悪い。でもさ、ま、しょうがないんじゃない?真司、色々頑張ってるし」
「お兄ちゃんが?何をです?」
「いろいろだよ。色々。な、沙耶?」
「うん」
「沙耶ちゃんも知ってるのー!?」
「うん」
「そんなー、教えてくださいよー、三上センパイ!!」
「しょうがない……教えてあげよう。ただし、コレを聞いたことは秘密にしてくれよ?」
「はいはい!!わかってますよ!!」
「千奈ちゃんは?」
「はい。私も、承知しました」
「じゃ、言うぞ。えっと……なんつーか、真司は君たちの兄になろうとして、一生懸命やってるんだよ」
「「え……?」」
ハモった。流石双子。
- 400 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/06/16(木) 21:12:18 ID:1hE6YouG
- 「真司にとっては、女子と話すのすら稀だからな……いきなり妹が出来て、不安とか、あるんじゃないか?」
「お兄ちゃんが?」「お兄さんが?」
またハモった。凄ぇ……。
「俺も、妹にはどう接するべきかとか何とか、色々聞かれたもんだよ。ねぇ、沙耶?」
「うん。サヤも、おにぃちゃん何をしてもらったら嬉しいの?って、聞かれたんだよー」
「お兄ちゃんが……」「お兄さんが……」
未知の双子力に俺はもう沈黙するしかない……。
「まぁ、そういうこと。真司は真面目だから、あんまりからかっちゃダメだぞ?」
「うん!!分かりました!!」
「はい」
「えへへ♪帰ろうか、千奈ちゃん♪」
「うん。そうだね、唯奈ちゃん」
「何か、お土産買って行ってあげようか?」
「うん。何がいいかな?」
「そうだね、何がいいかなー?」
「何がいいかなー?」
嬉しそうに、来た道を帰っていく双子。
真司も、なかなか慕われてるんだなぁ……。
───────────────────────
うむ。さすが俺。調子に乗ると、スレまで止めるとは……
って感じで、ダラダラ書いてきたけど、次回、軽くまとめみたいなものを書いて終わり。
コレも長かったなぁ……だけど、もう少しの辛抱だよ、俺嫌いの方々。
ところで、関係ないけど、向こうの妹スレ落ちてるよ……。
初代からの参加者だけあって、寂しい……。
- 401 :二酸化マシンガン改 :2005/06/16(木) 21:24:26 ID:R/XrLmHp
- くっ!遊星さんの話ってなんか
男キャラもかっこいい…
神GJ!って所ですね
- 402 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/06/16(木) 22:24:47 ID:hh8sd3jQ
- GJです!!
良いなぁ(*´д`)
- 403 :バiタ兄 ◆0.yvR/lIf. :2005/06/17(金) 17:01:46 ID:brMAWfh+
- 遊星さん流石です!!!!
- 404 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/06/17(金) 23:18:10 ID:zKxsoOv8
- 久し振りに来た。
いいよね、此処は。 みんな頑張れ。
- 405 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/06/17(金) 23:50:39 ID:4nqwQOQB
- 鳥は自由だ。
大空を自在に飛び回り、行きたい場所へ行くことができる。
もちろん鳥にも生活があるだろうし、弱肉強食だってあるだろう。
それでも、僕は憧れる。鳥こそ自由の象徴なんだ。
ようするに、何を言いたいかと言うと……。
「……はぁ」
僕はため息をもらしたあと、ウンと背伸びをした。
気だるさを取り除こうとしたのだが、かえって両肩に圧し掛かってしまった。
「……はぁ」
僕はシャーペンをカチカチ鳴らしながら、授業中の教室を見回した。
まず、殺気を感じる。さすが高校三年だけあって、受験の雰囲気が張り詰めている。
誰もが鋭い目つきで黒板を睨み、精確にノートに書き写している。
「……はぁ」
何度目のため息だろう。僕は重圧に耐え切れず、窓の外を眺めた。
鳥が飛んでいる。
- 406 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/06/17(金) 23:51:29 ID:4nqwQOQB
- 「おい、本川!よそ見するな」
先生の注意を受け、慌てて顔を戻す。ふと時計を見ると、もう授業終了間際だった。
「……えー、では前回のテストを返却する。名簿順に取りに来い」
名前が読み上げられ、生徒が前へ出て行く。僕もすぐに名前を呼ばれた。
ふらふらと歩き、薄っぺらな答案を受け取る。
「本川。お前、進学を考えてるんだろ?これじゃ話にならんぞ」
「……はい」
簡単な忠告を受け、席に戻る。僕はさっさと答案を丸め、カバンに押し込んだ。
なんだろう、この感覚は。
未来をまったく感じない。確かな何かがあると、感じられない。
ただ繰り返すだけの日々。そして卒業して、また同じことの繰り返し。
足りない。足りない。夢も希望も、何もかもが足りない。
僕は、果たして「生きている」と言えるのだろうか?
- 407 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/06/17(金) 23:52:27 ID:4nqwQOQB
- 僕は玄関のドアを開けた。ひどく重く感じる。
「……ただいま」
「あっ!おかえり、お兄ちゃん!」
リビングに入ると、妹がこちらを向いて可愛らしく笑った。
「ねえねえ、さっきラジオですっごく面白いこと話してたんだよ!?」
「ふぅん……」
「えへへ、知りたい?お兄ちゃん、知りたいでしょ?」
「いいよ……」
「えー、知りたくないの?……うう、やっぱり聞いてよぉ〜……」
「いいってば……」
「う〜……やっぱり聞―――」
「―――うるさい!!!」
怒鳴っていた。
妹は硬直し、凍りついた。
「本当にうるさい奴だな、お前は。目が見えなくて邪魔な奴なのに」
びくっ、と妹は震えた。僕は振り返らず、背中を向けた。
妹はわずかに声をこぼした。けれど、僕の耳はごうごうと血が流れていて、聞こえなかった。
- 408 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/06/17(金) 23:53:23 ID:4nqwQOQB
- そのまま勢いよくドアを閉め、階段をドカドカと駆け上がり、部屋に入る。
カバンを投げ捨て、ベッドの上に寝転がった。
くそったれ!
分からない。この世界の価値が、まるで分からない。
生きることは、そんなに楽しいことなのか?
僕はこの幕を下ろせるのなら下ろしたい。
周囲から期待され、命令され、求められ、疲弊していく毎日。
もう疲れた。疲れたよ。疲れたんだ。
もう嫌だ。もう嫌だ。そう―――。
「もう、嫌だ…………」
窓の外を見た。鳥は飛んでいなかった。
…………僕は、どうなってしまうのだろう?
- 409 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/06/17(金) 23:56:48 ID:4nqwQOQB
- 欝展開専門なヘタレが来ましたよ。ご無沙汰してました。
生暖かく見守ってもらえれば嬉しくて小躍りします。
>>遊星さん
萌えすぎますがな!自分も早く精進したいです……。
くっ!夢に出てきそうだ。いや、むしろ出てきて欲し(ry
- 410 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/06/18(土) 00:04:39 ID:gPuSKkzr
- すごい間違い発見……。気づいた方はスルーしてください……
- 411 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/06/18(土) 01:09:17 ID:JZhKTtPS
- 海中さんGJ!
続きはマターリ待ちます。
- 412 :すばる ◆9tSxotve.o :2005/06/18(土) 02:10:29 ID:18XArYoW
- 海中さんキタ━━(゚∀゚)━━!!
GJです!!
実は俺…コテを晒してしまう位海中さんの大ファンだったりします(笑
- 413 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/06/20(月) 22:37:54 ID:DzhiR9n7
- しばらく来ない間にレスが・・・
>>411
実は色々と切羽詰っているのでありがたいです。
>>すばるさん
ま、マジですか。さらにファンを増やせるように精進します。
- 414 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/06/23(木) 05:14:58 ID:5h4KxV4L
- 精確
- 415 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/06/24(金) 12:13:09 ID:Ju0LanlR
- また〜り(*´∀`)
- 416 :コンズ :2005/06/25(土) 04:18:37 ID:j30mxwqE
- どなたか投下してくだされっ!!もうダメぽorz
- 417 :携帯からこんにちは :2005/06/25(土) 11:32:26 ID:e/VIgxi7
- 「おにぃ!昨日で梅雨明けたの知ってた!?」
「ん?あぁ。これでやっと清々しく昼寝が出来るな!」
「お昼寝なんてしないでどこか行こうよ〜!」
「えー?かったるい…」
「…おにぃ…この前、梅雨が明けたら遊んでくれるって言った……」
「…仕方ないなぁ…分かったよ…」
「ホント!?じゃあ水族館行きたい!」
「あ、無理」
「…なんで?」
「今月そんな遠出する程金が無い。」
「じゃあ遊園地!」
「…遠い」
「…もういいもん…おにぃなんて知らないもん…」
「たく…分かったよ…どこ行きたい?」
- 418 :携帯からさようなら :2005/06/25(土) 11:34:51 ID:e/VIgxi7
- 「いいよ…おにぃお金無いんでしょ…」
「じゃあ海行くか?」
「いいよ…まだ海開きしてないもん…」
「そっか、残念だ。花火買う位の金ならあったんだが」
「……!?」
「そうだよな。花火はまだ早いよな。出かけるのは来月金が出来てからにするか」
服を引っ張られる
「…花火…」
「…したい?」
「…うん…」
「よし、じゃあ今から花火買いに行くか!」
「うんっ♥」
- 419 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/06/25(土) 14:18:09 ID:6zFYhvF9
- 病室には妹の苦しそうな吐息と心拍計の電子音だけが響いている。
妹の白い顔は時折苦しげに眉をゆがめるが、それ以外は至って静穏
なものだ。
とても、医者がさじを投げた患者には見えない。
なんで、俺じゃなくて妹なんだ。まだ中学生じゃないか。あんまりだ。
「お兄ちゃん……」
いつもの祈りとも呪詛ともつかない思いが終わる前に、妹が静に口を
開いた。
「……なんだ?」
「わたし、飛行機が見たいよ。」
飛行機どころか、この1年外にだって出られていないのに。
「飛行機か。……どんなのが見たいんだ?」
「うん。」
ちょっと考え込んだ妹は、儚げに笑ってこう答えた。
「……F-108レイピアに護衛されて飛ぶXB-70ヴァルキリーが見たいよ。」
ちょwwwwwおまwwwwwww無理wwwwwwwwww
- 420 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/06/25(土) 19:18:30 ID:rQVeggoX
- うけたw
そりゃムリだろwww
- 421 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/06/26(日) 23:06:16 ID:aMSKlA4Y
- >>419
ワロタw
- 422 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/06/27(月) 00:30:56 ID:Zof3tBvS
- 「だーれだ?」
真夏の午後、突如視界が遮られる。聞き慣れた声…
「はいはい…」テキトーに返す
「はいはいじゃなーぃ!!ちゃんと答えて!」
「わかったよ…ゆか、由佳だろ」
「あったりぃー」うれしそうにそう言うと後ろから抱きついてくる
「暑い…離れろよ」
- 423 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/06/27(月) 03:06:53 ID:pBy9jF5w
- >417-418
>422
続きをキボンっ!!
- 424 :すばる ◆9tSxotve.o :2005/06/28(火) 00:48:12 ID:hi0OSEN+
- >>417-418です。
SS書いてる合間に気分転換で書いただけなので続きは…orz
- 425 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/06/28(火) 09:48:04 ID:sp9DUNHO
- 「ねぇねぇ、おにぃー海行こうよー」
「やだよ。暑いし、人多いだろ」
「おねがーい。連れてってよー。」
「じゃあ行くか?」
「やったぁ。由佳、新しい水着買ったから、おにぃに見せたくて」
「それはいいけど、泳げるのか?」
「危なくなったら助けてね早v
- 426 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/06/28(火) 23:30:36 ID:LykdyTwI
- ってかさ………月影に踊る血印の使徒さんまだ〜?(いまさら)
- 427 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/06/29(水) 01:33:07 ID:SgFKkiOB
- 「ねぇ…おにぃ、一緒に寝よーよ」
「またかぃ!」
「だって雷怖いんだもん」
「おまえ、小さいときから全然直らないなー」
稲光が走る…
「きゃっっ」
「まったく…おさまったら戻れよ」
「やーだ。今日は一緒に寝るもん」
- 428 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/06/29(水) 01:43:41 ID:esJWM2lw
- うえ、憶えてた人がいたのね。
それだけで嬉しくなってしまう駄文打ちのねーさんですよ。
ごめんね、お姉さん忙しさにかまけてサボってたの、ごめんね。
ぎゃるげ板に殆ど来てすらいなかったの、ごめんね。
望むなら
今週中に
晒そうか
いや無理かも知れない。
そもそも望まれていないかも知れない。
もうあれだ、>>222以降、みんなGJ。
愛してる。
- 429 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/06/29(水) 18:17:09 ID:5IDisQI0
- 月影に踊る血印の使徒についに続きが……。
楽しみだー。
それがしの様な三下職人は、せいぜい姐さんの前座が務まるよう努力させていただきます。はい。
- 430 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/06/29(水) 18:53:29 ID:yJSJ1Gyt
- たゆんさん、遊星さん、楽しみにしてます。
また〜り待とうホトトギス
- 431 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/06/30(木) 23:31:25 ID:g+Q4rAfZ
- 「ねぇ、お兄ちゃ〜ん!水着買いに行こっ♪」
「やだね」
「え……ど、どうしてなの?」
「暑いし、面倒だし、そもそも俺にそんな金は無いからだ」
「そんなぁ……この前、すっごく可愛いの見つけたのに……」
「そんなに欲しいヤツなら、一人で買ってこいよ。俺は絶対に行かないからな」
「……お兄ちゃんに一番に見てもらいたいくらい可愛いのに……?」
「それでもダメ。俺はクーラー依存症なんだよ」
(むー……お兄ちゃん、私の新しい水着姿が見たいはずなのに……?)
(お前の体にはスクール水着が一番似合うんだよ!だから必要無いんだ!!)
- 432 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/06/30(木) 23:34:26 ID:g+Q4rAfZ
- 残暑見舞い申し上げます。
……とか言ってたら、新潟では大雨らしいですね。
- 433 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/06/30(木) 23:37:33 ID:kUKo8Ft7
- しょ、暑中かっ!
- 434 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/01(金) 01:13:46 ID:VoACVXgP
- 俺の妹は俺のコトおにぃと呼んでくるぞ。気持ち悪いっつーの
- 435 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/01(金) 09:32:14 ID:jgqBZD4x
- >>434
おれは名前にちゃん付けorz
- 436 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/01(金) 22:37:21 ID:/xZBi9Hg
- 【州田家付近】
「お兄ちゃん」
「んー?どうした、梨那?」
「明日も、一緒に帰ろうね?」
「イヤだっつってもついてくるだろ、お前は。家隣だし」
「それじゃ意味無いのー!!」
「意味なんてもともとない」
「あるよー」
「ないね」
「あるー!!」
「ない」
「あるあるあるある!!」
「ないないないない……これじゃ、不毛だな」
「にゃ?ふもー?」
「意味がないってコト。梨那にとっては意味がある。俺にとっては無い。これが結論」
「にゃ……それはそうだけどぉ……」
「ただ、俺には断る意味も無い」
「にゃ……?」
「もし、梨那が誘ってきたら……その時は一緒に帰ってやるよ」
「うん。ありがとう!!」
「あぁ。ただし、いつもの三つで」
「にゃっ!?有料っ!?……ちょっとショックぅ……」
「冗談冗談。さ、足がお留守だぞ。歩けよ」
「疲れたよー。お兄ちゃん、おんぶ〜♪」
「……ずっと止まってろ」
「あ、ヒド〜い!!お兄ちゃん、待ってよー!!」
───────────────────────
- 437 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/01(金) 22:38:33 ID:/xZBi9Hg
- 【立花家、玄関】
「あ、あの……ただいまー……」
「あ、お帰りなさい。兄さん」
「あ……未来ちゃん……えっと……やっぱ、怒ってる……よねぇ?」
「え?あはは、そんなことないですよ?」
「い……?何で?」
「何でと言われても困りますけど……兄さんは帰ってきてくれたじゃないですか、私はそれでいいんです」
「未来……」
「でも……理由ぐらいは……聞かせてくれませんか……?じゃないと……」
「じゃないと……?」
「不安……ですから」
「あぁ、俺が浮気しちゃうんじゃないか、って?」
「ち、違いますっ!!その……最近物騒だからっ!!」
「ふーん……ま、心配してくれてんだ。嬉しいねー」
「で、兄さんは何処に行ってたんですか?」
「えぇっと……ソレは……」
「それは?」
「えっと……あぁ、コレ!!」
「何ですか?ソレ?」
「花姫の新作ケーキ。未来、ここのケーキ好きだもんな?」
「え……兄さん……まさか……」
「いや、ふと思い出してさ。早くしないと売切れるって思って」
「兄さん……」
「あとで食べようぜ?」
「はいっ!!」
「ま、ホントは偶然通りかかっただけなんだけど……」
「え?何か言いました?」
「いや、やっぱり未来ちゃんは可愛いなーって」
「に、兄さんっ!?」
───────────────────────
- 438 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/01(金) 22:39:38 ID:/xZBi9Hg
- 【電車の中】
To:マサト♥
Sub:サラで〜す
新しい携帯電話で、初めてマサトにメールしちゃいます。
えっと、今日はいきなりごめんなさい。
ビックリした?
携帯電話、早くマサトに見せたかったんだ。
だって、今日から毎日マサトとお話できるからね。
だから、暇なときでも良いからお返事くれると嬉しいな。
今日はマサトの住んでる町を色々見てきました。
そのせいで、全然マサトとお話しする時間が無かったんだけどね。
あ、そうそう。今日会った人、きっとマサトのお友達だよね?
可愛い女の子連れてたけど……マサトの恋人、あの人じゃないよね?
会えないからって、浮気はダメだよ!次の恋人は私なんだから!!
えっと、とにかく、マサトのこと、色々知ることが出来てよかったよ。
また行くね〜。
P.S
マサトの写真を撮って、待ち受け画像にしようと思ったけど、忘れちゃった!
マサトの写真、送ってくれると嬉しいな。
───────────────────────
- 439 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/01(金) 22:40:39 ID:/xZBi9Hg
- 【石川家、真司の部屋】
「お兄ちゃん、起きて」
「お兄さん、起きてください」
「ん……寝てたのか……」
「おはよう、お兄ちゃん」
「おはようございます、お兄さん」
「……あぁ、おはよう……っ!!」
「どうしました?」
「悪い!!一緒に買い物行く約束してたのに……ホントにスマン!!」
「あはは、そんなのいいんだよ〜?」
「え?」
「お兄さん、お疲れみたいですからね?」
「うん。ご苦労様だよー」
「あぁ……申し訳ない……」
「私たちは、いいんですよ。気にしないでください」
「でも……」
「も〜、いいんだってば。お兄ちゃんはリチギだね〜?」
「ですね」
「そうか……?」
「うん。だけど、そういうとこが……」
「いいんだけどねー」「良いんですけどね」
「……?千奈……唯奈……何かあった?」
「いいえ」「なーんにも」
「……あぁ、そう」
- 440 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/01(金) 22:41:53 ID:/xZBi9Hg
- 「で、トークも一段落したトコロで、お兄ちゃんに質問〜」
「あぁ、いいけど?」
「水羊羹と……」
「フルーツゼリー」
「どっちがいい?」「どっちがいいですか?」
「……はい?」
「こんな暑い日は、日本人なら、水羊羹だよねっ!?」
「あっさりしたフルーツゼリーですよね!?」
「……またケンカ?」
「ケンカじゃないよー?」
「ただ、お兄さんの好きなものを当てるっていうゲームですよ?」
「それで……お兄ちゃんは……」「お兄さんは……」
「「どっち?」」
「えぇ……!?えっと……俺は」
「お兄ちゃんは?」「お兄さんは?」
「俺は……どっちも好き」
「「え……」」
「水羊羹が食べたいときもあるし、ゼリーが食べたいときもある。常にこう。ってのは決められないかな」
「うーん……」
「じゃあ……今はどっちです?」
「今は……両方。腹減ったからね」
「うん。そういえば、お母さんがご飯出来たって」
「あー、呼びにきてくれたんだ?」
「ちょっと余談が多かったですけどね」
「まぁ、いいさ。いこう、唯奈、千奈」
「うん!」「はい!」
───────────────────────
- 441 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/01(金) 22:42:52 ID:/xZBi9Hg
- 【三上家キッチン】
「ふぅ……やっと家に着いたよ」
「うん。もう暗くなってきたねー?」
「だな。すぐに飯作るから待ってて」
「あー、沙耶がやるー!!」
「沙耶が?」
「うん。ミクおねぇちゃんが教えてくれたんだー」
「さっきの内緒話のこと?」
「うん。明日、おにぃちゃんを、ビックリさせようって思ったんだけど、サヤ、やっぱりガマンできないよー!!」
「沙耶……」
「はわ?」
「沙耶のご飯、食べてみたいな」
「うん!!頑張るよっ!!」
「食べれるもの、作ってくれよ?」
「だいじょーぶだよ。おにぃちゃんの嫌いなもの入れないもん」
「いや、そういう意味じゃなくて……」
「はわ?」
「まぁ、いいや。頑張って」
「うん!!おにぃちゃんのために頑張るよー!」
「じゃ、俺も沙耶のために、デザートでも作ろうかなー」
「うん!!一緒に作ろー!!」
これが俺の妹。
明日も今日のままの君と、この道を歩き、笑顔を交わし、言葉を伝える。
俺はそれを望んでいるよ。
───────────────────────
- 442 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/01(金) 22:43:55 ID:/xZBi9Hg
- 双子、最近好きかも。
と言うわけで、無計画で突っ走った台本が今終了。ご苦労様、俺。
なんか、45作目らしいですよ、コレで。
数だけ書いても、相変わらず下手糞のようです、はい。
さて、こんなもんで、前座の役割は果たせてますでしょうかねぇ……。
>海中様
お疲れ様でございます。
スク水……(;´Д`)
- 443 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/02(土) 01:09:33 ID:5DS0RZIA
- >>遊星さん
ウォォォォォォ!!
何て言っていいのか適当な言葉が見つからんから
とりあえず叫んでおく。とにかく超GJでございます!!
なんか終了とか言われると寂しいな…遊星さんが
このスレを卒業してしまいそうな感じ…
ところで遊星さんてネーミングが上手いですよね。
>>434-435
死ぬほど羨ましい…
- 444 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/02(土) 01:19:58 ID:SzGHsvfQ
- 妹の誕生日の日にレストランに行った帰りに「お兄ちゃんと食べるカップラーメンの方がおいしい」
- 445 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/02(土) 06:28:34 ID:TGk730tw
- 『ん〜…』
「お兄ちゃん?どぉしたの?」
『ちょっコッチ来てみ』
「ん?なに?」
「きゃっ!お兄ちゃん麻彩の髪の毛で遊ばないでよ〜」
『いいから動くなって』
「ねぇ何してるの?」
『ほれっ』
「えっ?」
『コッチのが可愛いべ?』
「そぉかなぁ〜?」
『お前は顔がガキっぽいからツインテールのが似合うんだよ』
「ひど〜い!麻彩ガキっぽくないもん!」
『褒めてんだぞ?可愛いって』
「………」
『まぁイヤだったら勝手に戻してよかよ』
『ん?戻してねぇの?』
「だってコッチの方が可愛いんでしょ?」
『オレはそぉ思う』
「じゃあ明日はこれで学校行ってみる♪」
『頑張れ』
「何を?」
『いや…言ってみただけですたい』
「お兄ちゃん意味不明だょ〜♪」
『…なんか嬉しいことでもあったか?』
「なんで〜?」
『なんか楽しそうじゃん』
「別に〜♪」
『さいですか』
- 446 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/02(土) 10:51:17 ID:syaS4w0c
- 妹に言われたい台詞から なんで妹としたいシチュエーションなんだよWWWWW
- 447 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/03(日) 02:52:56 ID:+SehZ86q
- ここの>>1の妹萌える?
妹が俺の部屋に居座った
http://ex11.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1120314150/
報告(妹が俺の部屋に居座った)
http://ex11.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1120326136/
- 448 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/03(日) 21:10:28 ID:7lAgv0dM
- もう落ちてるお
>>446
過去ログ読んで、ダブらないセリフ出せたら凄いぞ
- 449 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/03(日) 21:28:48 ID:+SehZ86q
- 遊星さんGJス(;´д`)ハァハァ
>>448
妹が俺の部屋に居座った3
http://ex11.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1120383242/
- 450 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/05(火) 01:10:32 ID:sLDYFtuY
- コピペ。
いも 「ねーねー」
おれ 「ん?」
いも 「ジャーン!」
おれ 「……」
いも 「どう?これ(と言いつつ水着のブラを引っ張る)可愛いっしょ?」
おれ 「……」
いも 「めっちゃ可愛くない?もうね、一目惚れっていうの?売り場でさぁ、見た瞬間、これしかねぇぇぇ!みたいなw」
おれ 「で、それ着て海行ったりするわけか」
いも 「はぁ?あったりまえじゃん!」
おれ 「……お前、受験生だろ」
いも 「あっ」
おれ 「……来年にしとけ」
いも 「今年いくもの!」
おれ 「語尾が変だぞお前」
いも 「今年だもの!」
おれ 「じゃ、俺と行くか」
いも 「それはない」
即答でした。
- 451 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/05(火) 01:15:55 ID:kcG9QXKK
- >>450
orz
- 452 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/05(火) 22:10:21 ID:1h9fRvzB
- 「お兄ちゃんが好きな服を、着てみたいな。」
- 453 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/06(水) 21:58:14 ID:stl02ERy
- 「ねぇねぇお兄ちゃん、
ペアルック、しよっ!」
- 454 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/06(水) 22:42:34 ID:q8+KCfG9
- 「お兄ちゃんの服おっきぃー!ぶかぶかだ〜♪」
- 455 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/07(木) 00:56:52 ID:j2erBfx1
- >>454
さらに「えへへ〜、お兄ちゃんの匂いがする」があればなお良い
- 456 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/07(木) 02:18:25 ID:+oGjJZOG
- なるほどなるほど・・・把握した
- 457 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/07(木) 15:13:52 ID:xkhVoYVU
- 【お兄ちゃんっ】妹にしてっ☆【3スレ目だよ♪】
http://etc3.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1120637188/l50
キミたちにオススメだよ。
- 458 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/07(木) 16:03:44 ID:v6wxf/es
- 七夕ネタ期待age
- 459 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/07(木) 16:05:27 ID:xsKjlQ6v
- お兄ちゃんのスウプに私のへその緒入れておいてあげたお。
- 460 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/07(木) 16:14:46 ID:gKldU2hm
- なにこのスレ
(・∀・)イイ!!
- 461 :丹下 桜継 :2005/07/07(木) 17:08:39 ID:E+gq4+zm
- 妄想乙wwww
- 462 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/07(木) 17:52:58 ID:xsKjlQ6v
- >>461
死ね
- 463 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/07(木) 19:26:46 ID:+oGjJZOG
- >>461
丹下ちょっとこのスレこい
http://game9.2ch.net/test/read.cgi/gal/1113806290/
- 464 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/07(木) 23:33:18 ID:AX8WTOt9
- 「お兄ちゃ〜ん♪ 一緒に『電車男』見よ〜♪」
- 465 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/09(土) 21:18:30 ID:54HSe7P6
- 「お兄ちゃん、友達、連れてきたよ。
左右からムギュッとされたいんだよね〜。」
- 466 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/09(土) 21:56:47 ID:wL04bBCz
- 「私が家にいる時は部屋から出ないでくれる?マジ殺しそうなんだけど。」
- 467 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/10(日) 01:07:01 ID:H3ZSsj9K
- 「おい、アニキよぅ、ケツにてぇとどかねーんだけどよっ。優しくふきふきシテシテシテ」
- 468 :コンズ :2005/07/10(日) 22:04:53 ID:B4F0F/tS
- >464
>465
イイですっ
ネ申の降臨はまだですかねぃ(漏れは書けないのにorz
- 469 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/10(日) 22:31:24 ID:uY5l2wAL
- ……需要があれば、来週の火曜日に。
名付けて遊星祭りだ!!
- 470 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/10(日) 22:44:22 ID:cpMoZ3H1
- 遊星祭り!?
是が非でもお願いします!!
- 471 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/10(日) 22:54:36 ID:zsZQ6XuO
- 遊星祭り激しくキボンヌ!
- 472 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/11(月) 11:21:54 ID:YwtBt9QG
- ワクテカ
- 473 :コンズ :2005/07/11(月) 13:03:02 ID:MgNLGuU2
- 何とっ!?遊星さんゼヒお願いしますっ!!
双子の登場に期待っ
- 474 :260 :2005/07/11(月) 21:48:21 ID:qYvZolct
-
「・・・静かだな」
春より大きくなった空を見上げて独りカレーパンにかぶりつく。
喧騒を離れ、屋上で一人過ごす昼休み。
ゆっくりとした時間の中で流れる雲を見ているとここが学校で
あることさえ忘れてしまいそうだ。
「ん?メールか、ええと」
唐突に無粋な着信音に現実に引き戻される俺。
今度からは音をクラシックにでもしておこうかなどと思いつつメールを開いてみると
お兄ちゃん、今晩のおかずは何にしようか?
「こんなん直接聞けゃいいじゃないか」
「ふふっ、じゃあそうするよ、お兄ちゃん何がいい?」
「うおわっ!?」
空を遮る様に見慣れた綺麗な顔が流れる黒髪と共に視界に割り込む。
- 475 :260 :2005/07/11(月) 21:56:40 ID:qYvZolct
- 約二ヶ月ぶりに参上!!
ちまちま投下していきますんで祭りまでの間繋ぎになれば幸いです。
そして、月影の姐さんのも待ってますぜ。
- 476 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/12(火) 02:27:54 ID:ZcmrOTt4
- うわあああああ!!
260氏キタ━━.':+'・(ノ∀`)'.'*:.━━!!
GJです!!
- 477 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/12(火) 13:01:41 ID:vYavXvYc
- 俺は妹が嫌いだった…「死ね」「ウザい」「クソ兄貴」口も性格も最悪だと思っていた
そんな妹がある日熱を出した…37度3分…
俺「なんだよ微熱じゃねぇか。そんぐらいで学校休むなよ。」
夕子『うるせぇよクソ兄貴!!気持ち悪いんだよ!!』
俺「中1にもなって見え透いた嘘ついてんじゃねぇよ。明日はサボんなよ。」
夕子『うるせぇよ早く学校行け!!死ね!!』
俺は妹が嫌いだった…この日までは…
次の日も夕子は学校を休んだ
俺「またサボりかよ。」
夕子『違ぇよ病院行くんだよ!!』
俺「ど〜せ仮病だろ。行くだけ無駄。」
夕子『うるせぇよ早く学校行け!!死ね!!』
俺が学校で授業を受けていると突然教室のドアが開いた。
先生「おいっ斎藤、お前のお母さんから電話だ。職員室来い。先生、ちょっと斎藤借ります。」
先生『あ…はい…どうぞ…』
- 478 :すばる ◆9tSxotve.o :2005/07/12(火) 15:22:37 ID:ZcmrOTt4
- (;´-`).。oO(ちょ…めちゃくちゃ気になるじゃまいか…)
GJ!!
てか最近またヒドく過疎ってる気が…
取り敢えずコテ晒していきますね
- 479 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/12(火) 19:09:09 ID:vYavXvYc
- 俺「何すか?何かあったんすか?」
先生「いいから…ほれ…」
俺「もしもし?」
母『たかし?ちょっと今から病院来なさい。』
俺「は?何で?」
母『夕子が入院することになったからよ。』
俺「だから?俺関係ねぇじゃん。」
母『いいから来なさい。』
俺「は?意味わかんねぇし。」
先生「いいから行ってやれ。」
俺「???」
先生に言われたので俺は病院に行くことにした。大学病院だった。先生が地図と交通費をくれた。
病院の入口で母が待っていた。
俺「で?夕子がどうかしたの?」
母『いいから来なさい。』
俺は母に診察室みたいな所に連れてかれた。中には先生らしき人が待っていた。
先生「君がお兄さんのたかし君だね?」
俺「はぁ…」
先生「妹の夕子ちゃんのことなんだが…驚かないで聞いて欲しい…」
俺「はぁ…」
先生「君の妹は…白血病にかかっている…」
俺「はぁ…は?」
- 480 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/12(火) 20:05:00 ID:vYavXvYc
- その後先生にいろいろと説明を受けたがよく覚えてない…というか頭に入らなかった…
ただ…ドナーがいないこととドナーが見つからなければあと1年の命と言われたことだけは覚えてる…
病室に行くと夕子はベットでマンガを読んでた…
夕子『なんだ、兄貴来たんだ。』
俺「あぁ…まぁな…」
夕子『栄養失調だってさ。』
俺「そっか…ゆっくり休めよ…」
夕子『兄貴テンション低くない?』
俺「ちょっと疲れてるだけだよ…」
夕子『ふ〜ん』
それから一週間…俺は毎日夕子のお見舞いに行った…
ときどき夕子の友達が来たりした…俺はリンゴを剥いてやったりゲームを持ってったりいろいろした…
『最近の兄貴なんかやさしいね。』とか『早く退院したい。』とか言われたけど上手く流した…
- 481 :すばる ◆9tSxotve.o :2005/07/12(火) 20:27:59 ID:rK7DuJUK
- なんかお前らのオナニー文にも飽きてきたよ(´・ω・`)
- 482 :遊星より愛を込めて ◆ni2.3Eq2oY :2005/07/12(火) 20:37:24 ID:7DzBKOEv
- もともとそういうトコだから。
一々そんなこと言わんでもいいよー?
- 483 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 20:38:36 ID:7DzBKOEv
- トリップ間違えた……orz
- 484 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/12(火) 20:42:44 ID:NZB9h4vA
- 「8億円の遺産を相続放棄します」
- 485 :すばる ◆9tSxotve.o :2005/07/12(火) 21:07:11 ID:ZcmrOTt4
- ちょ…スマソ…トリがバレた…orz
しばらくROMにまわります
- 486 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 21:07:22 ID:7DzBKOEv
- そろそろ始めるか……。
と、その前に……
>>443
えっと、俺のネーミングにはほぼ元ネタがありまして……。
それはまた、次の機会に……。
>260さん
お久しぶりです。
続き、楽しみにしてますよ!!
>>477>>479>>480
続きが気になる……。
- 487 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 21:08:40 ID:7DzBKOEv
- >>485
あ、そうっスか。
ID出てるんで、トリ変えるなら、今のうちに宣言しておいてはいかがですか?
- 488 :すばる ◆9tSxotve.o :2005/07/12(火) 21:15:15 ID:ZcmrOTt4
- 次から◆9l4B6y7T.Qで来ます。
これもバレたらしばらく潜伏しますね
迷惑かけてホント申し訳ないorz
- 489 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2005/07/12(火) 21:17:31 ID:ZcmrOTt4
- トリ変え忘れたorz
ではしばらく潜伏しますノシ
>>遊星さん
期待してますよ(゚∀゚)
- 490 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/12(火) 21:34:21 ID:h4MQrbnl
- 「お兄ちゃんに好きな人ができたら、こまっちゃうな。」
- 491 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:04:21 ID:7DzBKOEv
- 「ねぇ、お兄ちゃん」
「ん?」
帰り道、俺と並んで歩いている少女、相川梨那が俺に語りかける。
「明日、イヤだよね〜?」
「明日?何かあったか?」
「校内実力テストだよー?」
「別にいいじゃん。順位出すだけで、成績関係ないんだし」
「良くないー!!このテスト悪かったら……」
「悪かったら?」
「お小遣い減らされちゃうんだよー!!」
「……あっそ」
「うぁー!!今月欲しいものがいっぱいあるんだよー!!」
「頑張れー」
適当に相槌を打っていたが、梨那はそれがご不満のようで、
「ねぇ、お兄ちゃん。梨那がこんなに困ってるのに、何か言うことないの?」
「ん?あぁ、勉強しろよ」
「そうじゃなくてー!!」
「……何?」
「一緒に勉強しよう、とかー」
「俺、勉強しないから」
「うにゃ……じゃ、じゃあ、俺が教えてやるよ。とかー」
「いいけど、当然有料な」
「にゃぁ……ヒドいよぉ……」
「酷くない」
「けーち、けーち!!」
「ケチで結構」
「うにゃぁ……」
肩を落とす梨那。
ま、別に暇だから付き合ってやっても良いんだけど。
梨那の提案をサラッと受けるのも……何かカッコ悪いし。
- 492 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:05:06 ID:7DzBKOEv
- 「そういや……数学の課題出てたな……」
「いつまで?」
「……実力テストの日まで」
「明日だねー?」
意見を求めるように、俺の顔を覗き込む梨那。
「ね、ねぇ……お兄ちゃん?ついでだから、一緒に勉強しようよ?」
「……しょうがねぇなぁ」
「いいのっ!?」
「まぁ、いい。で、どっちの家でやる?」
「どっちでも良いよー。じゃあ、梨那の家にしようか?」
「えー?お前の家ー?何か襲われそう……」
「襲わないよっ!!っていうか、それはこっちのセリフだよっ!!」
「俺は梨那を襲うほど、困ってないからなー」
「にゃ……そう、だよねー、お兄ちゃん人気あるもんねー、あはは……」
どうして、ちょっと落ち込んじゃったのかね、梨那クン?
「梨那……冗談に決まってんだろ。突っ込んでくれないと、ちょっと恥ずかしいじゃないか……」
「にゃ?冗談……?」
「はい、冗談ですー。困りまくってますー。梨那だって襲いますー」
「そ、それはそれで困るんですけど……」
「よし。まぁ、リアクションは合格だな。で、どっちにする?」
「梨那の家でも良いけどー……あ、今日、工事の人が来るんだった!!梨那の家、ダメだー!!」
「そんなこと、最初に言えって……」
「ゴメンねー。お兄ちゃんの家でも良い?」
「まぁ、いいけど」
「やったー!!お兄ちゃんのお部屋、久しぶりだねー!!」
「勘違いするな!!誰が俺の部屋に入れるか!!客間だ、客間!!」
「にゃ!?つまんないよ、そんなのー!!」
「勉強するのに、面白いもつまらないも無いだろ」
「あるもん!!お兄ちゃんの部屋がいいー!!」
「ワガママ言うな!!お前、何か壊しそうだから嫌なんだよ!!」
- 493 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:05:51 ID:7DzBKOEv
- 「壊さないよー!!だから、お願いー!!」
両手を合わせて、目を閉じて俺に懇願する梨那。
「いいだろう……ただし、何か壊したら……」
「壊したら……?」
「全く同じものを買ってきてもらう!!」
「にゃ……分かりました……」
「よし。確かに」
「わーい!!お兄ちゃんと一緒だー!!じゃあ、梨那、ちょっと先に行くねー?」
「ああ」
突然走り出し、俺を追い抜かす梨那。
そして、前方で振り返り、
「お兄ちゃーん!!着替えたら、すぐお兄ちゃんの家に行くねー!!」
「おう。じゃあな」
「うん、あとでねー!!」
そう言って、また振り返り、100メートルほど前方の家に、駆け込んでいった。
───────────────────────
えっと、課題は……
何だ10ページだけか、楽じゃないか……。
問1……簡単簡単……よし、解けた。
問2は面倒くさいな……。
そんな具合で、順調に進めていると、
「あれー?答えが違うー……何でー?」
テーブルの真正面に座っている梨那が、間抜けな声を上げた。
「見せて……あ、計算ミス発見」
「にゃ……?どこどこ!?」
「ここ」
ペンの先で指し示す。
梨那の動きが止まる……。
「あー、なるほどなるほど」
「気をつけろよ。そこが間違ってると、(4)まで間違えるぞ?」
- 494 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:06:36 ID:7DzBKOEv
- 「うん……梨那、計算ミス多いんだよねー。どうすればいいのかな?」
「慣れるしかないんじゃないのか」
「うにゃ……分かったよ……」
えっと……どこまでやったっけ……。
あぁ、問2の計算の途中か。
続きをやろうと、俺のペンがノートに接地した瞬間……。
「ところで、お兄ちゃん……コレ、このやり方で合ってる?」
梨那がノートを差し出す。
「ん……全然違う!!a=0と、そうでないときで場合分けするんだよ!!」
「あー、授業でそんなこと言ってたかもー。ありがとー」
「ああ……」
また、ノートと向かい合う。
数問ほど、解いた後……。
「ねぇ……この問題のやりかた、教えてー!!」
「あぁ……。上の問題とほとんど同じだぞー?この部分を一つのまとまりとして考えるんだよ」
「ふーん」
「つーかさ……」
「ん?何?」
「俺、全然進んでねぇぞ!!」
「にゃー。大変だねー?」
梨那の頭を小突く。
「にゃっ!?何っ!?」
「誰のせいだと思ってやがる!!」
「り、梨那っ!?」
「必死なのは分かるが……俺だって、やることあるんだぞ?」
「うん……ゴメン」
「何だ?いやに素直だな?」
「え……?あはは、そうかな……?」
力なく笑う梨那。
やっぱ、元気ないじゃないか……
- 495 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:07:22 ID:7DzBKOEv
- 「あぁ。何か悩み?」
「うん……やっぱり梨那じゃダメなのかなって……」
「テスト……?」
「うん……」
「いいじゃん、小遣いなんて。少しなら貸すぞ?」
「ううん、それだけじゃないの……。やっぱり、梨那……進学出来ないのかな……」
「進学するのか?」
「うん。まだ、詩の勉強したいから……でも、梨那、バカだし……」
「ふーん……」
「明日のテスト……この人はどれぐらいの大学にいけるのか、っていうのを見るものらしいから……」
「なるほど……」
「だから、こんなんじゃ……梨那、全然ダメなんじゃないかって思って……」
俯く梨那。
泣く寸前、十秒前ってトコか。
「梨那……お前の前に居るのは誰だ?」
「にゃ……?」
「誰だと聞いている」
「おにぃちゃん……?」
「そう。この州田敬介(学年一位)様がいるじゃねぇか。家庭教師にはうってつけだぞ?」
「家庭教師……?」
「今からお前に、俺の知識を全部叩き込んでやる。しかも、タダで」
「……」
「お前は……夢を諦めるな」
「う、うんっ!!」
「さ、勉強勉強。気合入れろよー」
「うん!!」
- 496 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:09:38 ID:7DzBKOEv
- また机に向かう梨那。
「ねぇ……お兄ちゃん」
「ん?」
「ありがとう……大好きだよ」
「よく、そんな恥ずかしいことが言えるねー」
「でも、ホントだからねー♪」
俺は梨那を守りたい。
梨那の体も心も。梨那の夢すらも。
それは、俺が梨那の兄であることの、何よりの証だと思うから。
───────────────────────
梨那。
何で書き始めたか忘れた。
兄に『バカ』と言える点で他の妹とは異なる(と、俺は思っている)。
- 497 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:10:25 ID:7DzBKOEv
- 久しぶりだね……。
さぁ、唯奈……勇気を出して……。
大丈夫。
全然大丈夫だよ。
だから、さぁ、勇気を出すの、唯奈……。
……
「あーーーーーーーー!!!」
……最近、雨で全然部活とかしてなかったからな〜。
千奈ちゃんは千奈ちゃんで、二日に一回ぐらいは、お兄ちゃんにお菓子作るし……
あ!
そうだよ、このバスタオル、結構水含んでるモンね!!きっとそうだよ!!
じゃあ、外して……
「唯奈っ!!」
えっ……!?
「あーーーーーーーー!!!」
食事を終え、まったりムードの我が石川家に、少女の絶叫が響き渡った。
「あの声は……?」
「唯奈ちゃん、ですよね?確か、今お風呂に……
俺にお茶を持ってきてくれた千奈が呟く。
「ちょっと俺、様子見てくるよ!!」
「は、はいっ!!お願いしますっ!!」
唯奈に何が……!?
不安を抱えながら、脱衣所のドアを開ける。
「唯奈っ!!」
「きゃっ!?お、お兄ちゃんっ!?」
中では、今にもバスタオルを外そうとしていた唯奈が……。
慌てて隠す唯奈。
- 498 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:11:10 ID:7DzBKOEv
- 「何かあったのか!?」
俺はそんなこと気にも留めず、唯奈に歩み寄る。
「えぇ……えっとぉ……なんにもないですよ?」
「んー、何か隠してない?」
「え、えと……そんなことないですよ?」
「で、何でそんな話し方なんだ?」
「いや、別に意味は無いけどぉ……とにかく、何も無いったら無いの!!」
「そうか……?」
「そうだよっ!!さ、服着るから、出てって!!」
「あ、あぁ……」
さっきの緊迫感は何処へやら……。
ちょっと悲しくなって、千奈のところへ戻る。
「どうでしたか?」
「ん……何もないってさ」
「そうですか」
「でも、妙に冷たかった……」
「冷たい?」
「あぁ、何か俺が邪魔みたいだった……」
「え……?」
「出てって!!……だって」
「……着替えの最中だったから、慌ててるんじゃないんですか?」
「んー、そうだといいけどね」
苦笑いして、お茶を一気に飲みほす。
「千奈……おかわりもらえる?」
「はい」
千奈が俺の湯飲みを持って立ち上がる。ちょうどそのとき、
「お風呂、空いたよー」
唯奈がドアを開け、入ってくる。
- 499 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:11:55 ID:7DzBKOEv
- 「あ、唯奈ちゃんもお茶、飲む?」
「うん。冷たい麦茶がいいなー」
「はーい」
立ち上がってキッチンに向かう千奈。
「あ、そういえば……お母さんが、会社の人から、お土産でお饅頭を頂いてきたんですけど、食べますか?」
「あぁ、もらおうかな」
「はい。唯奈ちゃんは……?」
「いい……」
「そうなんだ」
千奈が唯奈に微笑む。
唯奈は恥ずかしそうに、下を向いた。
……何だ?
「はい。お待たせしました」
「あぁ、ありがとう、千奈。唯奈もそんなトコに突っ立ってないで、座れよ」
「う、うん……」
俺から、離れたトコロにわざわざ座る唯奈。
何か話でもしようと思ったが……そんな唯奈を見て、何も言えなくなってしまった。
「なぁ、千奈」
仕方なく、話を千奈に振る。
「はい?」
「千奈は食べないのか?」
「はい、私もやめておきます」
「そう……」
妙に気まずい思いを紛らすため、一人饅頭をかじってみた。
───────────────────────
- 500 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:12:40 ID:7DzBKOEv
- 「千奈ちゃん、お兄ちゃんは……?」
「お風呂、しばらく唯奈ちゃんと私、二人きりだよ」
「で……話って何?」
「いきなりだけど、唯奈ちゃん……太っちゃったんだ?」
「千奈ちゃ〜ん、言わないでよ、気にしてるんだから〜」
「やっぱり……ダイエットするの?」
「うん!今度こそ、本気!!」
「そのセリフ……何度目だっけ?」
「う……こ、今度こそだもん!!」
「お兄さんには秘密なの?」
「うん」
「何で?」
「だって……恥ずかしいし……それに……」
「それに?」
「太った、なんて言ったら、お兄ちゃんに嫌われちゃうかも……」
「そうかなぁ……お兄さんはそんなこと、気にしないと思うけど……?」
「でも、やっぱりダメなのっ!!こっそりダイエットするんだから!!」
「ふーん……そういえば、お兄さん、落ち込んでたよ?」
「え?何で?」
「唯奈ちゃんの態度が冷たかった。って。嫌われてるかも、なんて言ってましたよ?」
「そうなんだ……」
「お兄さんには、言った方が良いと思うけどなぁ……」
「だ、ダメダメ!!絶対ダメ!!とにかく秘密に、ダイエットするの!!」
「……そう。頑張ってね」
「うん!!」
───────────────────────
- 501 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:13:25 ID:7DzBKOEv
- 「はぁ……」
風呂の中。
大きなため息を吐く。
「何でなんだろ……」
唯奈。
んー、分からん……。
千奈が言うように、着替え見ちゃったから……?
いや、でも、もしそうなら、その時にもっと怒るよなぁ……。
ま……ヘタしたら、理由もなく嫌われたってコトか。
元々いなかったんだから、唯奈が俺から離れていったとしても、悲しいわけないんだけどなぁ……。
なんだろ、この感じ……。
分からん……。
モヤモヤした頭をなんとかしたくて、頭から冷水のシャワーを被ってみる。
ふぅ……。
そうだ、千奈に相談してみようかな……。
「それがいいな……」
シャワーを止め、風呂場を出る。
そして、脱衣所。
「あ……体重計がビショビショだ……誰だよ……」
ん……?
確か……
「そういえば、この辺だったな。さっき、唯奈が居たのは」
ってことは、体重計に乗ったのは唯奈で……。
大声出したのは……まさか……。
───────────────────────
- 502 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:14:10 ID:7DzBKOEv
- とりあえず、急いで服を着て、リビングへ向かう。
まだ、千奈も唯奈も居るだろう。
「千奈っ!」
リビングに飛び込むと、千奈も唯奈も、驚いて、ジッと俺の顔を見る。
「お、お兄さん……?どうしました?」
そして、千奈が遠慮がちに話しかけた。
「ちょっと耳貸してくれ」
「あ、はい」
千奈に耳打ちする
「もしかして……唯奈って、体重とか、気にしてたとか……?」
「あ、正解です。さすがお兄さん。鋭いですね」
千奈がささやく。
「偶然だって」
「なんでもいいですよ。唯奈ちゃんのフォロー、頼めますか?」
「ああ、そのつもり」
「お願いします」
というわけで、唯奈の前に立つ。
「唯奈」
「あ、お兄ちゃん、何?」
「よし、やるか」
「え、やるって、何を……?って、えぇ!?」
唯奈を片手で持ち上げる。
「お、お兄ちゃん!?何してるの!?」
「持ち上げてる」
「な、何で!?」
「別に」
「別に、って……」
- 503 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:14:55 ID:7DzBKOEv
- 「強いて言うなら、力試し」
「力試し?」
「ああ。大丈夫、俺は今の唯奈でも、軽く持ち上げられる」
「お兄ちゃん……?」
「ってことは、唯奈がソファで寝てても俺は唯奈をベッドまで連れて行ける」
「……」
「しかも……千奈」
「きゃ、きゃっ!?」
もう片手で千奈を持ち上げた。
「俺は千奈も唯奈も、一緒に持っていける」
「……」
「あー……上手く言えんけど……唯奈は無理しないでも良いと思う。もちろん千奈も」
「お兄ちゃん……」「お兄さん」
「もし、俺だけじゃ二人ともを支えられなくなったら……俺が鍛えるからさ」
「うん!!」「はい!!」
「うんうん。分かれば良いんだよ」
俺は二人を下ろし、二人の肩をポンポンと叩く。
そして、何か飲み物を探し、冷蔵庫へ。
「ね、唯奈ちゃん?私の言ったとおりでしょ?」
「うん」
「ダイエット、また失敗だね」
「うん。でも、ある意味成功」
「だね」
仲良く囁きあっている二人。
「ん?何の話だ?」
割って入る。
- 504 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:15:40 ID:7DzBKOEv
- 「お兄ちゃんの話」「お兄さんの話です」
「俺の?どんな?」
「「秘密」」
「秘密って……そりゃないだろー?教えてくれよ」
「秘密。ね、千奈ちゃん?」
「ね、唯奈ちゃん?」
困惑する俺の前で、双子は顔を見合わせ、いたずらっぽく微笑んだ。
──決まってるじゃない。お兄ちゃん、大好き……ってそういう話だよー。ね、千奈ちゃん?
──お兄さんカッコいいなぁ……ってそういう話だよね、唯奈ちゃん?
───────────────────────
双子。
海中さんの双子ssに触発されて書いた。
書いていて楽しいが、当時からちょっと不人気……orz
- 505 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:16:35 ID:7DzBKOEv
- 雨。
ガラス越しに雨降りの景色を見ながら、のんびり過ごす。
室内に居る分には、雨降りも嫌いじゃない。
「ねぇねぇ、おにぃちゃん!!遊ぼうよっ!!」
俺の妹、沙耶が俺の隣で、騒いでいる。
「いいけど、何して?」
「お散歩!!お散歩行こうよー!!」
「……雨だぞ?」
本人には言えないけど、沙耶はよくコケるしなぁ……。
雨の日でずぶ濡れになったら、風邪引くかもしれないし……。
「雨でも良いよー!雨でも楽しいよー?」
「沙耶がよくても、俺がダメだ」
「何でー?」
「太陽が出てないと、元気出ないんだよ、俺」
「えーっ!?おにぃちゃん、だいじょーぶなのっ!?」
「うん。大人しくしてればね」
「はわ……じゃあ、しょうがないね」
「あぁ、ゴメンな」
……ところで、雨の日で俺が元気なかったことってありますか、沙耶さん?
「ううん」
「じゃ、ちょっと寝るよ、お休み。沙耶」
「うん、お休み、おにぃちゃん」
予想以上に上手くいったことに驚きながら、俺は目を閉じる。
沙耶は、しばらくゴソゴソと何かをしていたが、結局テレビを見ることに落ち着いたようだ。
チャンネルを変えている。
二週ほどチャンネルを変えた後、プツンと音を立て、周りが再び静かになった。
……まぁ、休みの日の昼は、沙耶が見るような番組はあんまり無いよな。
そして……隣に人の気配。
「おにぃちゃん……」
小さな小さな声が聞こえる。
……なんか罪悪感。
- 506 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:17:20 ID:7DzBKOEv
- でもあんなウソついちゃったし、普通に起きるのもなぁ……。
何かないか、何か……
ん……そういえば……今日は……。
「ねぇ、沙耶?」
「はわわっ!?び、びっくりしたよー!!」
「あぁ、ゴメン。で……散歩行こうか?」
「はわ?何で!?」
「いや、雑誌が今日発売日だからさ。買いに行かなきゃと思って」
「そうなんだー。いいよー、行こー!!」
「あぁ、行こうか」
───────────────────────
「わーい。お散歩、お散歩っ」
「あんまり、はしゃぐなよ」
雨降りの町を、傘を差しながら、二人並んで歩く。
沙耶が転ばないように、俺はしっかり沙耶の右手を握っている。
「てへへ……サヤね、お散歩行けないと思ってたから、すごく嬉しいんだー」
「そうか?でも、雨の日はいろいろ気をつけないとな」
「いろいろ?」
「ああ、出来るだけ水溜りに入らないように。とか、滑らないように、とかな」
「だいじょーぶだよ!!おにぃちゃんが手をつないでいてくれるもん!!」
「じゃ、俺が危なくなったら、沙耶が助けてくれよ?」
「はわっ!?う、うん、サヤ頑張るよー」
「おっ、頼もしいなぁ」
「てへへ……」
そんな風に談笑していると……
バシャ
脇を自動車が通り抜け、大きな水飛沫があがった。
その水飛沫が、俺の隣の少女へ……。
「さ、沙耶っ!!大丈夫かっ!?」
- 507 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:18:05 ID:7DzBKOEv
- 「う、うん。傘があったから、あんまり濡れてないよー」
「そうか……よかった」
「てへへ、ちょっとビックリしたけど、傘にビシビシッ!!って水がかかって面白かったよー!!」
「そっか。でも、危ないから、俺と場所変わろう?」
「うん!!おにぃちゃん、ありがとう!!」
なんてやってる間に
……大型のトラックが横を通る。
水飛沫、そして……突風。
「うぉっ!?」
「はわわわわっ!!」
吹き飛ばされないように、必死で傘を掴んだ。
風が止み、前のように雨は上から降ってくる。
俺はなんとか持ちこたえたが……
「はわわ……傘が……」
沙耶の傘は、突風に負け、骨が折れてしまったようだ。
しゃがみこんで、傘を見ている沙耶。
「あー、ダメだな、コレは」
俺は自分の傘を沙耶の頭上に掲げ、沙耶の傘をのぞき見る。
「サヤの傘が……おにぃちゃんと一緒に買いに行ったのに……」
「沙耶……」
こんな落ち込んだ沙耶を見るってのは、そうあることじゃない。
こんな光景を見るのはゴメンだが、俺にはかける言葉が思いつかなかった。
「沙耶……帰ろう?」
「……」
「そんなに濡れてちゃ風邪引くぞ?抱っこしてあげるから、帰ろう?」
「うん……」
ゆっくり立ち上がる沙耶。
俺は沙耶を左手で持ち上げ、傘を持った右手も使い、左腕の上に座らせる。
「ねぇ……おにぃちゃん……」
沙耶が呟くように言う。
- 508 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:20:19 ID:7DzBKOEv
- 「ん?」
「あの傘……持って帰ってもいい……?」
「あぁ、いいよ」
傘を拾い、沙耶に渡す。
顔は見えなかったが、悲しそうなオーラは伝わってくる。
「また明日、新しい傘買いにいこうよ?」
「うん……」
喜ぶと思ったのだが……沙耶の声はまだ暗い。
「沙耶、その傘、大切にしてくれてたんだ?」
「うん……おにぃちゃんが買ってくれた傘だもん……」
「そうだったね。前使ってた傘が無くなっちゃって、二人で買いにいったんだよな?」
「うん……」
「でも、なかなか良い傘が見つからなくて、町中探し回ったんだよな」
「うん……コレと同じくらいカワイイ傘、さがそうね?」
「いや、やめとく」
「はわ……?」
「直してみるよ、傘」
「おにぃちゃんが……?」
「うん。ダメなら、誰かに頼んでみる。だって、大切な傘なんだよな?捨てるのは勿体無いよ」
「お、おにぃちゃん……!!」
「ん?新しい傘、欲しい?」
「ううん!!ありがとぉ!!」
喜び極まってか、沙耶が俺を力いっぱい抱きしめる。
「てへへ、おにぃちゃん、大好きー」
頬擦りされる。
「沙耶、寒くない?」
「ううん、だいじょーぶ。おにぃちゃんが暖かいからねー」
「そう。でも、油断は禁物だよな。早く帰ろう?」
「うん!!」
- 509 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:21:13 ID:7DzBKOEv
- 俺の妹、沙耶。
やっぱりこの娘には……俺は適わないかも……。
───────────────────────
沙耶。
マイブームが犬耳の時に書きたくなった。
遊星の一番のお気に入り。
- 510 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/12(火) 22:21:42 ID:vYavXvYc
- いや…上手く流せたと思っていた…
数日後、家でゴロゴロしてたら夕子からメールがきた。
[件名]いままでゴメンね
[本文]お兄ちゃん…夕子もぅ気付ぃちゃったょ…お兄ちゃんが急に優しくなった理由も…夕子が退院出来なぃ理由も…夕子死ぬんでしょ?はっきり言ってょ…お兄ちゃん…
お兄ちゃんなんて呼ばれたのも夕子からメールがきたのもかなり久しぶりだった…
メールは返さなかった…というより返せなかった…
親と相談して明日俺が本当のことを夕子に話すことになった…
その日はまったく眠れなかった…夕子になんて言えばいいのか…思いつかなかった…
翌日もお見舞いに行った。
夕子『あ〜っ!!お兄ちゃんなんで昨日メール返してくれなかったの〜!!』
俺「…」
夕子『お兄ちゃん?』
俺「夕子…はっきり言うな………お前は…白血病にかかってる…」
夕子『…』
俺「夕子…」
夕子『なぁ〜んだ。やっぱり!!とっくに気付いてるって♪』
俺「…」
俺は病室を飛び出してトイレで泣いた…両親の涙が…夕子の無理矢理つくったような笑顔が…すごく…すごく悲しくて…その日はそのまま家に帰った…
- 511 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:19:36 ID:7DzBKOEv
- 「ん?」
「あの傘……持って帰ってもいい……?」
「あぁ、いいよ」
傘を拾い、沙耶に渡す。
顔は見えなかったが、悲しそうなオーラは伝わってくる。
「また明日、新しい傘買いにいこうよ?」
「うん……」
喜ぶと思ったのだが……沙耶の声はまだ暗い。
「沙耶、その傘、大切にしてくれてたんだ?」
「うん……おにぃちゃんが買ってくれた傘だもん……」
「そうだったね。前使ってた傘が無くなっちゃって、二人で買いにいったんだよな?」
「うん……」
「でも、なかなか良い傘が見つからなくて、町中探し回ったんだよな」
「うん……コレと同じくらいカワイイ傘、さがそうね?」
「いや、やめとく」
「はわ……?」
「直してみるよ、傘」
「おにぃちゃんが……?」
「うん。ダメなら、誰かに頼んでみる。だって、大切な傘なんだよな?捨てるのは勿体無いよ」
「お、おにぃちゃん……!!」
「ん?新しい傘、欲しい?」
「ううん!!ありがとぉ!!」
喜び極まってか、沙耶が俺を力いっぱい抱きしめる。
「てへへ、おにぃちゃん、大好きー」
頬擦りされる。
「沙耶、寒くない?」
「ううん、だいじょーぶ。おにぃちゃんが暖かいからねー」
「そう。でも、油断は禁物だよな。早く帰ろう?」
「うん!!」
- 512 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:23:29 ID:7DzBKOEv
- ピカッ……ゴロロロ
稲光が走り。雷鳴が轟く。
「ふむ、凄いなぁ……」
窓から外を見ながら呟く。
「雨も強いですね」
俺の妹、未来が俺の隣で答えた。
「今日は、できるだけ早く寝た方がいいな」
「そうですね」
「とりあえず、使わないコンセントは今のうちに抜いとけよ?」
「え……?何でです……?」
「知らないのか?」
「私は機械はダメなんですけど……」
「あぁ、そうだったな。近くで雷が落ちると、コンセントが刺さってる電化製品は壊れるかもしれないって感じかな」
「そうなんですか……」
未来がそこまで言った瞬間……
ピカッ、ゴロロロロロロ!!
大きめの轟音が響いた。
「ひゃっ!?」
可愛い声を出して、俺に抱きついてくる未来。
「あらら、未来ちゃん、怖いの?」
「い、いえ!!ちょっと驚いただけです!!」
「ホントに〜?」
「本当です!!」
「と、まぁ、ふざけてる場合じゃなくて……寝るぞ、未来」
「あ、私はまだ洗い物があるので……」
「テレビで見たんだが、雷の日は水を使うのもダメらしいぞ。洗い物は、明日にして寝ようぜ?」
「そうですか……じゃあ……」
その時……、
一瞬だけ、辺りが昼間のような明るさに包まれた。
何が起こっているのか理解する間もなく、爆発音にも似た雷鳴が轟く。
そして、暗闇に包まれる我が家。
- 513 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:23:56 ID:7DzBKOEv
- 「わっ、わぁっ!!」
雷鳴に慌てて、俺に抱きつく未来ちゃん。
「い、今っ……家が揺れてませんでしたかっ!?」
「あぁ、揺れた」
おっ、未来ちゃんの胸が腕にっ!!
そんな邪なことを考えながら、あくまで落ち着いて答える。
「に、にぃさんっ……!」
「怖い?」
「だ、だって……」
雷に怯え、俺の胸の中でフルフル震えている未来ちゃん……
可愛い過ぎるーーーー!!
「とりあえず、真っ暗だし、蝋燭点けようよ」
「は、はい……」
俺は机の上にあった蝋燭を手に取り、ライターで火をつける。
ぼうっと、未来の顔が明るく照らされる。
「用意しといてよかったな」
「そう……ですね……」
「さぁ、寝るぞ」
「は、はい」
俺は蝋燭を持って、ゆっくり階段を上る。
未来は俺の後ろに従った。
「未来、はい」
俺の部屋の前で、未来に蝋燭を手渡す。
「えっ……何ですか……?」
「何って……俺の部屋、ここだから」
「え、えっと……に、兄さん……」
「何?」
「い、一緒に……ね……」
「一緒に?」
- 514 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:24:20 ID:7DzBKOEv
- 「いっしょに……寝てください……」
「一緒に……って、いぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」
一緒に寝てくださいって……未来に言われたい台詞、トップ5には確実に入ってるぞ!!
今、すげぇ幸せ……!!
「だ……だってぇ……」
「……うーん、どうしようかな」
いや、もちろんオッケーしたいけど……流石にマズい気もしてる……。
『いいだろ!!せっかくのチャンスだぜ?大丈夫、未来だってある程度は覚悟してるって!!』
と、悪い将人。
『未来ちゃんと寝てあげなさい。恐怖から妹を守るのも兄の仕事です』
と、良い将人。
ぬぅ……
「同じだ……」
「え……何がですか……?」
「え、えっと……何も無い……」
ここで悪い将人とか良い将人とか言ったら、未来ちゃん、不安が募って暴走する気がする……。
「あ……あの……やっぱり、ダメですか……?」
未来ちゃんが、恥ずかしそうに呟く。
「んー……」
まぁ、確かに可哀想だし、サラのときは大丈夫だったから……今回も、それに賭けてみようかな。
「分かった。一緒に寝るか?」
「は、はい!!ありがとうございますっ!!」
物凄い勢いで頭を下げる未来。
「まずは、未来の布団を取って来なきゃな。一緒に行こう?」
「はいっ!!お願いします」
───────────────────────
- 515 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:24:40 ID:7DzBKOEv
- 蝋燭の明かりの下。
俺の部屋の床に、二人分の布団を敷いて、未来と二人そこに寝ころんでいる。
雷は、相変わらず大きな音を立てている。
未来はすっかりトラウマになってしまったのか、小さな稲光にも可愛い悲鳴をあげた。
「もう、寝ようよ……?」
「だ、だって……怖いです……」
「雨戸閉めようか?少しはマシになると思うけど?」
「で、でも……窓も開けられなくなるので、暑いですよ?」
「まぁ、そうか……雷、我慢できる?」
「分かりません……きゃっ!」
「無理っぽいね。雨戸閉めるよ……」
「い、いいです!!」
「え……?」
「兄さん……あの……その……」
蝋燭に照らされた未来の恥ずかしそうな顔……。
うっ、綺麗だ……。
「な、何……?」
「えっと……その……手、繋いでくれませんか?」
「手……何で?」
「安心、するんです。だから……お願いします」
未来が手を差し出す。
「……」
そっと手を握る。
「これでいい?」
「はい、ありがとうございます……お休みなさい」
「あぁ、お休み」
蝋燭を消す。
未来の顔が見えなくなる。
「昔を思い出すな」
「え……?」
- 516 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:25:03 ID:7DzBKOEv
- 「未来、昔はこんな感じだった。『お兄ちゃん、お兄ちゃん』って、俺の後いつも追いかけてきてさ」
「え……そうでしたっけ?」
「うん。でも、やっぱり未来は未来なんだって思ったよ」
「そうですか……。兄さんは、昔から相変わらずですけどね」
「そうか?ま、それでもいいよ……もう、寝よう?」
「はい」
未来の姿は見えない。だけど、俺の大事な未来はここにいる。
未来を感じながら、俺は目を閉じた。
───────────────────────
深夜。時計を見ると二時十分前。
ふと目が覚めた。
窓を見ると、雨も風も雷も止んでいるようだった。
隣を見る。
兄さんが、気持ちよさそうにスヤスヤと眠っていた。
その兄さんから伸びた手は、今も私とつながっている。
兄さん、ずっと手を握っててくれたんだ……。
「ありがとう」
そう呟く。昔の、『お兄ちゃん』が大好きだった時の気持ちで。
ううん……今の『兄さん』も、多分、好きだと思うんだけど。
兄さんの手。
いつからだろう……。
この手が、頼もしいって思えるようになったのは……。
そんなに太くないように見えるんだけど、暖かくて、力持ちで、いつも私を助けてくれる兄さんの手……。
まだ、面と向かって気持ちを伝えるのは恥ずかしいけど……。
でも、今なら言える気がする。
- 517 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:25:23 ID:7DzBKOEv
- 「大好き……」
兄さんの手の甲にそっと口づけ。
「お休み、兄さん……」
兄さんと手を繋いだまま、兄さんにちょっとだけ近づいて、瞳を閉じた。
兄さんの手を握る力が、ちょっとだけ優しくなった気がした。
もう一度呟く。
兄さん。大好きです……。
───────────────────────
未来。
多分ダカーポを見たのがきっかけだと思う。
エロとか、色々やらせて、ホント申し訳ない……。
- 518 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/12(火) 22:32:36 ID:KcEQsOS3
- 遊星祭りマジ乙です!
最高っす!
双子ちゃんが可愛すぎ!
- 519 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:33:03 ID:7DzBKOEv
- 何故だろう……とりあえず、>>511は無視してください。
とりあえず、これにて終了。
今回、頑張った。
7月1日に思いついて、12日で4作品……。記録的な速さだね。
第二弾の712に登場して、二年と半年。
これからも、精進しますんでよろしくお願いします。
あと、712という数字がかなり気に入ってるので、7月12日は遊星記念日。勝手に決めた。
- 520 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/12(火) 22:56:13 ID:Id9Bzf71
- 遊星さんGJッス
- 521 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/07/12(火) 22:57:59 ID:N4qWR9cw
- 本当に・・・皆さんGJです・・・。
素晴らしすぎて書く気が失せました('A´)
- 522 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/12(火) 23:46:55 ID:vYavXvYc
- 翌日もお見舞いに行った。
夕子『お兄ちゃんなんで昨日出てっちゃったの?』
俺「ちょっと腹が痛くなってな…ハハハ…」
夕子『そうなんだ…アハハ…』
俺「…」
夕子『…』
二人しかいない病室はすごく静かだった…
夕子『お兄ちゃん…』
俺「ん?」
夕子『夕子…怖いよ…』
俺「え?」
夕子『夕子まだ死にたくないよ…死ぬの怖いよ…』
夕子の目から涙がこぼれ落ちた…俺は…どうしたらいいのか…わからなくて…優しく抱きしめて「大丈夫、大丈夫」と言うしか出来なかった…
それから俺は毎日病院に行った。学校も昼休みになるたび夕子に電話した。夕子は明るさを取り戻し日に日に元気になっていった。先生も「もしかしたらそのうち治るんじゃないか?」と驚いていた。
俺は毎日病院に通った。クリスマスも正月も夕子の病室で過ごした…
- 523 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/13(水) 00:05:02 ID:vYavXvYc
- ある日いつものように病院に着くとロビーに巨大な笹が飾ってあった。(あぁ…今日は七夕か…)
病室に入りしばらく話してると夕子が銀色の細長い紙を渡してきた…
夕子『お兄ちゃんも願い事書いたら?』
俺「そうだな、なんか書くか。」
夕子『何て書くの?』
俺「やっぱ夕子が元気になりますように…かな。夕子は?」
夕子『ないしょ♪ってかまだ決めてない♪』
俺「じゃあ夕子も早く元気になれますように…だな♪」
夕子『うん♪』
翌日も病院に行った。ロビーの笹に俺の短冊を見つけた。夕子のは…無かった…
俺「夕子、早くしないと笹片付けられちゃうぞ?」
夕子『明日吊すの♪』
俺「で、願い事は?」
夕子『ひみつ♪今日は疲れてるから夕子もう寝るね…』
俺「大丈夫か?ゆっくり休めよ。じゃあまた明日な。」
夕子『うん…また明日ね…』
家に着くと同時に夕子からメールがきた…
[件名]いままでありがとぅ
[本文]お兄ちゃんいままで迷惑ばっかかけてゴメンね…ありがとぅ…大好きだょ…
玄関のドアを開けると母が走ってた…
母『たかし!!病院行くよ!!』
俺「いや…今帰ったばっかだけど…」
母『いいから早く!!』
- 524 :月読 紫音 ◆SION/lApfc :2005/07/13(水) 00:20:48 ID:9xCZ1E0F
- >>遊星さん
遊星祭りお疲れ様でした!
読み応えたっぷり!萌えもすげぇ!
来年も楽しみにしています! (≧∇≦)b
>>522-523
悲しい系のお話ですね…っ (´;ω;`)
- 525 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/13(水) 00:23:32 ID:w4Vb+9AD
- 病室に入ると夕子の顔には白い布がかけられていた…俺は力無くその場にへたれ込んだ…
なんで?さっきまで元気だったじゃん…先生治るかもって言ったじゃん…
俺が呆然としてると看護婦さんがケータイと短冊を渡してくれた…
夕子は死ぬ直前まで握りしめて「お兄ちゃん…お兄ちゃん…」と言ってたらしい…
金色の短冊には
『生まれ変わったらお兄ちゃんの恋人になれますように』
そう書いてあった…
涙が溢れた…
夕子が死んだこと…
夕子の最期を看てやれなかったこと…
夕子の気持ちに気付いてやれなかったこと…
全てが悲しかった…
あれから2年…夕子のケータイと短冊は遺影の横に置いてある…あの時のまま…
- 526 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/13(水) 00:30:19 ID:w4Vb+9AD
- 遊星さん乙!!!!遊星さんGJ!!!!遊星さん夢と希望をありがとう!!!!
そしてこんなクソ話を支援してくださった方々…本当にありがとうございます。
七夕ということで七夕ネタを投下してみました。(;´∀`)非常に読みづらい駄文失礼しました…m(_ _)m
みなさん乙!!!!それではまたROM専に戻ります♪みなさんまた会う日まで…(*´∀`)ノシ
- 527 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2005/07/13(水) 09:25:27 ID:I11hHzG3
- 昨日はお騒がせしましたorz
遊星さん、名無しさんGJです!
名無しさんのがバラバラになっちゃったんでまとめてみました。
名無しさん投稿
>>477
>>479-480
>>510
>>522-523
>>525
- 528 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/13(水) 10:38:22 ID:ayQWd2UJ
- ttp://pya.cc/pyaimg/pimg.php?imgid=5318
7月12日は遊星記念日。これはガチ。
- 529 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/13(水) 13:33:09 ID:w4Vb+9AD
- すばるさん…ありがとうごさいます!!(*´∀`)なんか考えついたらまた投下していいですかね?(;´∀`)
- 530 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/07/13(水) 19:31:35 ID:uLjNRf14
-
「コウくん、起きて、起きてってば!」
夜中に美幸に起こされる。一体何時なのだろうか。
枕元に置いてある時計を覗き込む・・・
「なんだよ、2時じゃないか。何か用か?」
「何って、流星群だよ!一緒に見るって約束したでしょ?」
「そうだったっけ・・・わかった、今起きる。」
上体を起こすと急かすように美幸が腕を引っ張ってくる。
「慌てるなって、まだ時間にはなってないんだろ?」
「そうだけど、善は急げだよ。」
美幸さん、何か言葉の使い方間違っているような気がしますが。
ここは取り敢えず言われたとおりに急ぐことにする。
「それにしても、こんな都会で満足に流れ星なんか見れるのか?」
美幸を従えベランダに出て空を見るが・・・
さすが都会、ほとんど明るい等級の星しか見えない。
「・・・見えると良いなぁ。」
空を仰ぎながら美幸が呟く。
だが、予定時刻まで暫く時間が有るので見える気配は無い。
視線を空から戻し、周りに視線を巡らす。
海と山とに挟まれた港街
我が家はその山裾にある。
おかげで街の様子を一望できた。
近くに人の気配は無い。
ただ、遠くのネオンの光だけが街が生きていることを語っていた。
- 531 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/07/13(水) 19:33:17 ID:uLjNRf14
- 「何見てるの?」
不意に隣から声が聞こえてきた。
「この街の光は全部人間が作った物なんだなと思ってさ。」
「人間って凄いよね。何でも出来ちゃうんだよ。」
「その反面、これだけ多くの自然を破壊してるんだ。」
「あ、それって嫌かも。」
「人間も元は自然で暮らしてたからな。100万ドルの夜景とか言うけど、
元々あった自然の方がそれ以上価値があると思う。」
「コウくん、なんか学者さんみたいな事言ってるよ。」
「そうか?それにしても、少し冷えるな。ユキは大丈夫か?」
「私もちょっと寒いかも、くっついて良い?」
夏とはいえ、夜になるとさすがに冷えてくる。
晴れていると放射冷却で尚更のこと
半袖というラフな格好なので余計だ。
ん・・・ちょっと待て、『くっついても良い?』??
「ちょ、ちょっと待った!」
「・・・・駄目?」
ぅ、そんな懇願するような上目遣いで・・・
「し、仕方が無いな。ほら、こっち来いよ。」
でも、実は凄く嬉しかったり。
調子に乗って美幸の肩に腕を回す。
- 532 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/07/13(水) 19:34:20 ID:uLjNRf14
- 「・・・ありがとう。」
恥ずかしそうに俯きながら言う仕草が可愛い。
何だか俺も恥ずかしくなって、誤魔化すように空を見る。
「そろそろだな、見えると良いけど・・・」
続いて美幸も空を見る。
だけど、まだ見えない。
「コウくんとこうして居られるなら、見えなくても良いかな♪」
「な、何言ってんだよ。」
「本当だよ、コウくんと一緒にいられるのが一番の幸せだもん。」
「よく平気でそんな事言えるよ・・・」
「だって、本当なんだもん。」
「ま、俺もユキを独りにさせるつもりはないからな。」
そんな話をしていると唐突に流れ星第一号が流れた。
「あ、流れた!コウくんも見た?」
「見たぞ、小さかったけどな。」
「綺麗だね・・・」
次の瞬間二個目が。
「あ、また流れたな。」
「え、嘘!?あぅぅ、見れなかったよぉ。」
「今のは大きくて綺麗だったなぁ。」
「コウくん、わざと言ってるでしょ?」
「そんな事はないぞ、正直な感想だ。」
「ぅー。次は絶対見るぞーっ!」
「ああ、頑張れ。」
- 533 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/07/13(水) 19:35:22 ID:uLjNRf14
- その後、30分ほど二人で眺めていた。
すると満足したのか、はたまた眠さに耐えかねたのか
「もう寝るね、お休み。」と一言残し、自室に戻っていった。
「俺もいい加減寝るか・・・。」
ベランダの戸締まりを確認し、自分も自室へ向かう。
部屋のドアを開け、いざ快眠へ!・・・・と思いきや
何故か美幸がベッドの上に座っていた。
「・・・何で俺の部屋にユキが居るんだ?」
「えへへ、一緒に寝ようと思って、駄目かな?」
「駄目に決まってるだろ!子供じゃあるまいし。」
「子供かどうかなんて関係ないよ。仲の良い二人が一緒に寝るのは当然のことだよ。」
「とは言ってもだなぁ、俺も男な訳で、お前に何するかわからんぞ?」
「コウくんだったら何されても良いもん。」
「お前、無防備すぎ・・・。」
「それに、コウくんは何があっても変な事しないでしょ?」
「いや、そうかもしれないけどな、遠慮ってもんを知れ。」
「良いじゃん、減るものじゃないんだから、ね?」
そう言って腕に絡み付いてくる。
俺が甘えに弱いことを良いことに・・・・
「あぁ、もう。分かった、勝手にしろ!」
「やったぁ!それじゃあ、お邪魔しま〜す♪」
まだまだ夜は長そうだ・・・・。
- 534 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/07/13(水) 19:37:08 ID:uLjNRf14
- あー、遂に変な物を投下しちゃいました、ごめんなさい('A`)
先日、ディープインパクト計画があったので、彗星関連で書きました。
そろそろ新妹を登場させるべきでしょうか・・・。
- 535 :474の続き :2005/07/13(水) 22:41:56 ID:bZBoKDGV
- 「ど、どこから現れるんだお前は!?」
「ごめん、下から着信音が聞こえたからつい」
「屋上の更に上なんかで何してるんだか・・・」
「こっちの方が風が気持ちいいから、お兄ちゃんもおいでよ」
差し出された白い手を取りはしごを昇ると一面に広がる青い空。
涼しい風が頬を撫でて行く。
「なるほど、これは確かに気持ちいいな」
「うん、ここが一番空気が澄んでるよ」
「いつも昼はここにいるのか?」
「いつもじゃないよ、独りで静かにしてたい時にね」
「ふ〜ん・・・あ、そうだ、どら焼き食べるか」
片手に提げていた小さなビニール袋から食後のデザートを取り出し二つに割る。
しかし、我ながら不恰好に割ったもんだ。
大きさの明らかに異なる二つを二人して見比べてしまう。
「ありゃ・・・ま、いいや、ほら食べな」
「・・・お兄ちゃん、変わってないね」
「ん、何が」
「半分にした物は絶対に大きい方をボクにくれるよ」
「そんなの当たり前だろ」
「ちっちゃな時からそうだったよね、覚えてる?子供の頃の事」
「子供の頃か・・・確かにおやつはよく二人で分けてたっけな」
「あの頃はいつも一緒だったよね、楽しかったな・・・」
「俺が思い返すに楽しいだけじゃなかったなぁ、自転車の件とか」
- 536 :260 :2005/07/13(水) 23:00:19 ID:bZBoKDGV
- 遊星神、乙です。
これだけ沢山の妹を書いてきた事に、また書き続けている事に本気で尊敬しますよ。
これからも期待しております。
>名無しさん
ええい、ちくしょう!!目が霞む!!
GJです!
>二姉持ちの弟さん
七夕なんてすっかり忘れてましたorz
妹と流星群とはいいですなぁ、GJ!!
そのうち書きたいな・・・やっぱ無理かな
一つ書くのに二ヶ月程掛かるからなぁ・・・
- 537 :260 :2005/07/13(水) 23:01:26 ID:bZBoKDGV
- すんません、sageを忘れてました。
- 538 :雨音は紫音の調べ ◆cXtmHcvU.. :2005/07/14(木) 01:20:19 ID:DYdkrKZc
- >>名無しさん
ラストが…悲しくて…
泣けてくるっス……っ! 。・゚・(ノД`)・゚・。
>>二姉持ちの弟
良いですねぇ!流星群!
コウくんが羨ましいっス…!
>>260さん
続きキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
二ヶ月も待ちきれないっスよ〜!
- 539 :雨音は紫音の調べ ◆cXtmHcvU.. :2005/07/14(木) 01:23:39 ID:DYdkrKZc
- すみませんっ!
538で二姉持ちの弟さんに「さん」を付け忘れてしまいました……
本当にすみませんでした…… m( __ __ ;m
- 540 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/07/14(木) 12:28:37 ID:ovnTMS21
- >>雨音は紫音の調べさん
え、あぁ。気にしなくて良いですよ、気にしないタチですし、気付きませんでしたから(汗
それにしても、平日の休みって言うのは暇ですね。
暇つぶしついでに今度は姉に言われたいセリフの方を書いてみようかな、とか考えてます。
- 541 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/14(木) 21:17:12 ID:Ke4vYw1X
- 遊星ネ申とか言われると、某ヒーロー番組を思い出すのは俺だけか……。
>名無し様
お疲れ様です。
あの……お邪魔して申し訳ありませんでした……。
>二姉持ちの弟様
GJっス。
なるほど、流星群ですか……。
姉スレの方も頑張ってください。
>260様
流石ですよ。
続き、期待してます!!
- 542 :雨音は紫音の調べ ◆cXtmHcvU.. :2005/07/14(木) 21:24:37 ID:DYdkrKZc
- >>二姉持ちの弟さん
呼び捨てになってしまいすみませんでした…… m( __ __ ;m
姉SSの方も楽しみにしています!頑張ってください! ヽ(>▽<)ノ
- 543 :二酸化マシンガン処分品 :2005/07/15(金) 09:47:32 ID:pV5ds4JS
- >>弟さん
もしや!葵姉のやつはあなたですか!!
- 544 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/07/15(金) 15:45:55 ID:h5SMfh5b
- いえ、あれは別の神職人様の作品です。
・・・うちの姉どもを見てたら萌える姉SS書ける自信が無くなってきました('A`;)
- 545 :260 :2005/07/15(金) 20:28:09 ID:x6mq9Au1
- 当時の痛みを思い出すとついつい身震いしてしまう。
そんな俺を見て巴は昔を懐かしむ様に目を細めてクスリと笑う。
「自転車の練習、ボクが転ぶ度にお兄ちゃんが庇ってくれた・・・」
「まぁ、絶対に痛い想いはさせない約束だったからな」
「何度も何度も転んで、それでも嫌な顔一つせずに最後まで付き合ってくれた」
「補助輪無しの練習しようって言い出したのは俺だったからな」
無傷の巴と体中生傷だらけの俺というのは子供の頃は珍しい事じゃなかった。
他にも逆上がりの練習、スケートの練習と転んだ時の下敷きになった回数は
数え上げたらキリがない。
「練習してる時はいいんだけど風呂に入る時がキツかったな、あれは」
「でも、ボクは楽しかった」
「ああいうのも楽しかったか、そりゃいい思い出だな」
「うん、ボクの・・・ボクとお兄ちゃんの大切な思い出・・・お兄ちゃん、ありがとう」
「ん?どうした急に」
微笑みながら、それでも真剣な眼差しで巴は真っ直ぐに俺を見つめてくる。
「お兄ちゃんはいつでもボクの事を守ってくれたよね、ホントに・・・嬉しかったよ」
「よしてくれよ、そんな風に改めて言われるとなんか照れるだろ」
「・・・ふふっ」
「・・・変な笑い方」
まじまじと見つめて来たかと思うと急に巴は悪戯っぽく笑みをこぼす。
そんな人懐っこい笑顔も眩しい妹に妙な具合に照れてしまう。
・・・なんか悔しいが反則的に綺麗だよな、実際。
- 546 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/16(土) 20:20:36 ID:o2dxmPmt
- >>545
お、続きキタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!!
260様の書く兄妹、俺は好きですよ。
- 547 :二酸化マシンガン自動式 :2005/07/17(日) 01:25:57 ID:AZCToZ0K
- 妹はとてもよく笑う娘だった…
小さくてか細くではあるがよく笑う娘だった…
あの事件が起こるまでは…
○月○日俺は妹の中学の入学式の日
妹は少し落ち着かず俺に
「お、お兄ちゃん…わ、私にもお友達できるかなぁ」
俺は当時中三だった友人は多い方だった
勉強は…ダメだったが空手で中学生では有名だった
…最初はいつもいじめられていた妹を助ける為だけに頑張ってきた
「大丈夫だよ!美咲は俺の自慢の妹なんだから!」
「うん、うん!」
「あとなにかあったら俺が助けてやるから」
きゅっ
美咲は俺の手を握った
「ありがとう…お兄ちゃん…学校までこうしていていい?」
「…あぁいいよ」
4年半ごしの妹の学校生活がいいモノになることを心のそこから願いながら
見慣れた通学路を歩いた
(;´Д`)=3お久しぶりです忘れてるはずですが
よろしければご観覧ください
- 548 :雨音は紫音の調べ ◆cXtmHcvU.. :2005/07/18(月) 12:37:11 ID:zKH+oFbu
- GJ!!
続きが気になるーっスー!! モエェ(*´Д`*)ェエ工
- 549 :二酸化マシンガン自動式 :2005/07/18(月) 14:30:12 ID:YInOjRu+
- そして入学式が始まった
「お!あいつ緊張してんなw動き固いし、今にも泣きそうだw」
「新入生着席!」
・
・
・
そして式が終わり上級生の俺らはもう帰りだ
新入生は校内見学とLHRがある
「お〜い!将!帰ろうぜ!」
「え?あっと俺は用事あるからさき帰っていいよ」
「はは〜ん…お前美咲ちゃん心配してんだろ!このシスコンがw」
「うるせ〜!…ただ、俺は…」
「まぁ、わからんでもないがな、美咲ちゃん弱弱しいかんな〜」
「でも美咲ちゃんのいいとこわかってくれるヤツいるさ、あんま心配すんな」
「あぁ…そうだよな帰るか直(大丈夫だよな美咲)」
そうこの男直春は唯一美咲と仲良くしてくれている俺の親友だ
軟派野郎だが根はいいやつ
「帰りにミスドいこうぜ!今日はなんていうか甘いもんくいてぇし」
「いいね!いこう」
・
・
- 550 :二酸化マシンガン自動式 :2005/07/18(月) 14:31:14 ID:YInOjRu+
- 「う〜ん美咲のヤツおそいな〜」
「ちょっと学校いってみよう…べ、別に美咲が心配なわけじゃ…」
心配だった
「はぁはぁ、あそこにいるのは…おい!美咲!」
「あ、お兄ちゃん」
「なにしたんだよ〜心配したぞ」
「ごめん…なさい…うぐっ」
「おい!別になかんでも!」
「お兄ちゃん…またお友達できなかったよ…みんなは楽しそうなのに
私また一人だった…う、う、ひっぐ、うわ〜〜〜ん!」
「大丈夫だよ!まだ初日だろ!もう」
(まだ初日…確かにそうだ…でも心配だった…)
はい、すいません駄文書きました
一応続きです
- 551 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2005/07/18(月) 16:10:59 ID:/1drsvCO
- >>260氏の文章力は相変わらず素晴らし杉ますね
GJッす!
>>二酸化マシンガン自動式さん
GJです!今度は自動式ですかww
- 552 :260 :2005/07/18(月) 23:21:54 ID:el+XxdAF
- 「うふふっ、ごめんね。お兄ちゃんのそういう所、ホントに昔のままだから」
「そういう所って何が?」
「・・・照れ隠し」
人差し指をピンと立てて秘密をそっと明かす様に囁く巴。
「あははっ・・・まいったなぁ、しっかりバレてるか」
「もちろん、ボクはお兄ちゃんの事ずっと見てきたんだから」
見惚れていた事には気付かれなかった様でなによりだな。
心の中で漏れる安堵の溜息を知らずに微笑む巴を前に
さらに誤魔化すべく俺は盛大に欠伸をかます。
「ふぁ〜あ・・・それにしても、今日はポカポカだな」
「眠たくなった?」
「ああ、枕でもありゃなぁ」
「・・・枕ならあるよ、良かったら貸してあげよっか?」
「そりゃありがたい、是非」
少し考えるそぶりを見せたのが気に掛かるが折角の申し出を断る理由もない。
「けど、枕なんてどこに?」
「・・・ここ・・・」
頬を紅く染めてちょこんと自分の膝を指差す。
一瞬、思考が止まる俺。
膝?・・・つまり、膝枕?
- 553 :260 :2005/07/18(月) 23:49:54 ID:el+XxdAF
- 後もうちょいでこの話も完結。
しかし・・・最近暑すぎる。
シベリアにでも逃げ出したい気分だ。
> 雨音は紫音の調べさん
ゆるゆると続くssですが気長に読んで頂ければ幸いです。
書き始めるとそうでもないのですが一行書くのに一時間か
かる時もあったりしますw
> 遊星さん
ありがたいお言葉をどうもです。
出来の良さでは 遊星さんの所の妹達にはとても敵いませ
んが頑張って書いてますんでこれからもどうぞよろしく。
そして、一ファンとして次のお話を期待してます。
>すばるさん
そういってもらえるといくらか救われますw
書くたびにセンスの無さを思い知らされておりますよ。
もっと萌えるssを書けるようになりたいなぁ。
> 二酸化マシンガン自動式さん
GJです!!本気で萌えましたよ!!
- 554 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/19(火) 11:56:43 ID:GdvDfErP
- >>260
妄想乙wwwwwwwwww
つまらないからやめろバーカww
- 555 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/19(火) 12:55:01 ID:jhqy86sG
- >>554
そう思うならアンタが見なきゃいいだけ。
260さん、気にせず頑張って下さい!
釣られてしまったのかもしれないが・・
失礼いたしました。
- 556 :コンズ ◆.QEIQa0jSM :2005/07/19(火) 15:05:54 ID:poWE046G
- 遊星祭りっ、とてもGJでこざいました!!
皆様、素晴らしすぎですOTL
- 557 :終末 ◆.QEIQa0jSM :2005/07/19(火) 15:08:52 ID:poWE046G
- やっぱコレでorz
スマソ
- 558 :二酸化マシンガン自動式 :2005/07/19(火) 15:54:07 ID:fUP9vwiH
- 次の日家にて
「はい、お兄ちゃん」
「あ、あぁ、ありがと」
食事は分担で作っているお袋は美咲を産んだ時に他界してしまい
親父は今海外で働いていた
「親父はおばさんの所でお世話になりなさい」
といったが俺は
「俺が美咲を守るから!」
とごねた
まだ責任という言葉もしらないガキがよくいうと今は思う
「今日ね、お友達ができたんだ…」
顔を真っ赤にしていう
「!!ホントか!!」
嬉しかった…我が事のように嬉しかった…
「うん…名前はね、清水 葉さんっていうの」
「授業の図書室の使い方で一人でね本読んでいた時にね」
- 559 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/19(火) 15:55:08 ID:fUP9vwiH
- 「はぁ〜暇だな〜そう思わない?美咲ちゃん!」
「(ビック!)え、え、えっと!(はわわなんで私にぃ〜)」
「ご、ごめんね〜そんなに驚かなくても!」
「はぅ、ごめんなさい…(はぁ〜嫌われちゃったかな…)」
「……かっわいい〜〜〜!!可愛いね美咲ちゃん!」
「決めた!もう私の親友に決定!拒否権は認めません!」
「わぁ!」
思わず椅子からおちちゃったよぉ〜
「私、葉!清水 葉っていうんだ〜葉って呼んでね!そんかわし私も美咲って呼ぶから!いい?」
「え、あ、は、はい〜し、清水さん」
「よう」
「え?は、はいよ、うさん」
「よう!」
「あ、あ〜う〜」
「はいはいわかったよ!ようちゃんで手を打とうOK?」
「は、はい!」
「敬語は禁止!」
「あう、」
「って感じで…変かな…」
「(うん変だ)そ、そんなことないぞ!」
「よかった〜お友達できたんだ…」
「泣き顔になるな!もう、でもよかったな」
本当によかった
「うん!」
続きです
多くは言いませんごめんなさい
- 560 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/20(水) 20:55:34 ID:rM/Ykwpq
- 夏ですなぁ……。
夏のお話、何か書きたい……。
>>260様
何て言うんでしょうかね、260様のssは『キレイ』だと思うんですよ。
ほのぼのしてて、それでいて不自然じゃなくて。
そういうトコが凄いなーなんて思ってしまうわけです。はい。
つまり、暑くて大変でしょうけど、楽しみにしてるんで、頑張ってください。と。
- 561 :二酸化マシンガン自動式 :2005/07/22(金) 10:06:28 ID:+1dp5BA4
- 続き
「ふぁ〜ねみい〜」
「ごめんねおにいちゃん…」
「いいよ別にそれだけうれしかったんだもんな〜(う、そんな目されたらこういうしかないだろ!)」
※
昨日急にふとんに入ってきて
「あの〜おにいちゃん…一緒に寝てもいい?」
「あ、あぁいいよ別に(こいつわざと?)」
「あのね…お兄ちゃんと春くんと仲良くなったときどういう感じだったの…」
「あぁ〜あれは…ね」
「なに?」
「内緒だ」
「え〜」
「そのかわり友達ともっと仲良くなる方法おしえてやろう!」
「いいの?」
「(がくっ)い、いいの〜ってなんだよw」
「だって〜」
「まぁいいじゃあよ〜く聞けよ〜」
ってなやりとりがあった
- 562 :二酸化マシンガン自動式 :2005/07/22(金) 10:07:28 ID:+1dp5BA4
- ※
「(かぁ〜)う、うん」
「だからいいよ、美咲はほんと小動物だな〜」
「私は人だよ〜」
「はいはいwぶすくれるな」
よしよしと頭をなでる
「うん、もうおこってないよ」
「あぁ〜あれ怒ってたの、わからんかった!ははは!」
「ぶぅ〜!」
「あはは!遅れるから置いてくぞw」
「まぁって〜!」
まぁ過去編はまだ続きます
すいませんこんなんでスレ数増やしちゃって
俺!死ねばいいよ!うわ〜ん!
- 563 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2005/07/22(金) 10:32:29 ID:6orxjwCy
- 夏ですねー・・・妹SS書きたいなー・・・海ー海ー
ノートPCのUSB壊れたー もうお金貯めてPC買った方がいいんですかね・・・
>>二酸化さん
乙ですー。
二酸化さんの作品のキャラって何か新鮮でいいですね。
- 564 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/24(日) 13:46:27 ID:IHh60M7u
- |ω・`)つ コソーリ【 http://www.geocities.jp/you_say712/ 】
台本書庫(候補)
とはいえ、まだ何も無い。
今は遊星専用っぽいけど、そのうち他の方々のも……。
- 565 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/26(火) 14:45:48 ID:Jv774xZV
- 「お兄ちゃん、この水着って似合う?」
- 566 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/26(火) 15:36:30 ID:6KS+U31I
- >>遊星さん
保管庫作成乙です。
作品が保管される日を心からお待ちしております。
- 567 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/26(火) 21:48:41 ID:vtyFpkH9
- 「お兄ちゃん…台風来るんだって…」
「そうだな」
「風がゴウゴウなってるよ…」
「まぁ、台風来てるからな」
「カミナリ鳴るかな…?」「鳴るかもね」
「…カミナリちょっと怖いかも…」
「雷鳴るとしてもどーせ寝てる時だろ?」
「でも…やっぱり怖いかも…」
「怖がりは大変だなぁ」
「あのね……」
「ん?」
「だから…今日一緒に寝てくれないかな…なんて…」
>>遊星さん
GJです!
- 568 :二酸化マシンガン夜間迷彩 :2005/07/26(火) 23:54:39 ID:iwE6DdS9
- 「台風怖いね…」
「ははは!お前吹き飛ばされるんじゃないか!」
「そそそんなことないもん!…あれ?」
「お前!なにないてるんだよ!冗談くらいわかる年だろ!?」
「ヒッグ…わかってるわかってるよ〜…でもおにいちゃんと離れ離れになること頭に
浮かんじゃって…え〜ん!」
「もう…大丈夫だよ俺が離さなきゃいいことだろ?」
「うん…うんおにいちゃん…離しちゃやだよ…」
「わかったよ、たく」
まだこいつからはなれるわけにはいかないな…こいつに好きなやつができるまで
でもなんかムカつく
なんてーかすいません
ちょいとあるゲームやってたらかきたくなって
つーか続きはもうちょいまってください(待ってる人いないと思いますが)
では!
- 569 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/27(水) 08:18:37 ID:scEQrax8
- 私はお待ちしてますよ!
しかし夜間迷彩と聞くとどうしてもダンバイn(ターン
- 570 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/27(水) 09:24:44 ID:VlUdtzoZ
- 僕も待ってますよ
- 571 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/27(水) 20:54:09 ID:O5iv0rAw
- ふぅ……とりあえず俺の分は保管完了。
不具合があったら、メールくれるとありがたいです。
- 572 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/27(水) 21:23:41 ID:Te6RL0Rb
- >>遊星さん
激しく乙です!
ヤバイ・・明日テストの山場なのに読みたくて仕方ない・・
- 573 :二酸化マシンガン実は爆弾 :2005/07/28(木) 15:15:06 ID:UWvdl349
- うぅ…(つω・`)みんなありがとうです
今いそがいなので待っていてください!
必ずしも書きますから(`・ω・´)ゞ
- 574 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/28(木) 19:10:37 ID:PtQGQ8vl
- やぁ皆。
夏だね。
相変わらず、良いものを書いて居るみたいだね。
安心したよ。
あれだ・・私にもそのエネルゲー、分けて欲しいね。
>>47-61 >>83-97 >>133-147 >>205-219
此処等辺に興味の無い方、見ると反吐が出る方は。
今の内に、「:」をNGにしといて下さい。
その内、そんなのを貼りに来ますので。
嗚呼・・暑いね。
- 575 :なぜなに月下:ごにちめ :2005/07/29(金) 02:55:54 ID:UwjDIQtE
- 「有紗とっ」
「五十鈴の」
「なぜなに月下、あらすじ編〜」
「粗筋、ねぇ」
「おう。 しばらくバックれてたから、忘れてる人も多いだろーと」
「・・憶えてる人、居るのかしら」
「まぁちゃっちゃとやりましょうっ。 はい、キュー」
「・・・・ログを読みなさい。 以上」
「おいおいおいおいおいっ。 それじゃクレームしか産まない不毛の大地だよっ!」
「良いじゃない・・ログも読まない人は、こんなのスレ違いで読み飛ばすわよ」
「そ、それもそうだ・・そう、月下はザ・スレ違いなのでしたっ」
「じゃあ終わりましょう」
「うん・・っておいっ! 折角のわたしの出番をっ! 嘘、大袈裟、紛らわしい、CEROに訴えるよ!?」
「それはJARO・・しかも関係無いわよ」
「にゃんこちゃんは彼氏出来たんでしょ?」
「・・・・行き成り話を変えるわね。 ・・まぁ、一応、ね」
「ふむむ・・。 あとは奈菜ちゃんの恋路の行方だけだね。 がんばれ奈菜ちゃん!」
「誰との恋よ」
「もちろんお兄さん」
「・・・・実の兄妹は、不味いんじゃないの?」
「大丈夫! 何故ならここはっ!」
「妹スレだから・・って事ね?」
「そうさおういぇ〜っ!」
「それじゃあ奈菜にも頑張って貰いましょうか」
「そうさ! 板違いに成らない範囲でねっ!」
「・・・・・・・・どんなよ・・」
「そりゃもう、エロエロ」
「今日は此処迄」
「お? 結構純情派?」
「貴女が不純なのよ。 じゃ、また本編でね」
- 576 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 1 :2005/07/29(金) 02:58:59 ID:UwjDIQtE
- 世界は千十一の要素で構成されて居る。
私は、『血』。
要素の、一つ。
世界の、一つ。
私は世界で在り、世界は私でも在る。
私が変わる時、世界が変わる。
――私は、変わる。
ヒトに、近付く為に。
或いは其れは、愚かな事かも知れない。
私は、決して、人間では無いのだから。
伸ばしても、手は届かないのかも知れない。
けれど、私は、伸ばし続ける。
伸ばした手を、掴んでくれる人が居る。
掴もうと藻掻く私を、励ましてくれる人が居る。
私と同じ道を、歩む人が居る。
私と、私の大切な人達の為に。
私は、手を伸ばす。
変わる為に。
変える為に。
私は、変わる。
世界を、変える。
私は『血』。
己が司るものの為に。
己自身を変えてみせる。
私は『血』。
世界の一つ。
そして、世界其の物。
そして、私は――ヒト。
- 577 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 2 :2005/07/29(金) 03:00:41 ID:UwjDIQtE
- 「ふぅ・・・・」
「・・何よ、溜め息なんて」
思わず出た其れに、五十鈴が反応する。
「疲れてるの?」
「ん、まあ、な」
「色々大変だったみたいだね。 あの子とお兄さんに言い訳とか」
「嗚呼・・特に有紗・・・・涙目で迫られると、な・・嘘の罪悪感、と云う奴か」
五十鈴の座るベッドの右手、詰まり私の向かいに座る秋に答える。
「・・お墓、作ってくれたんだっけ?」
「ん、猫の、な」
「・・奈菜・・・・その」
「謝るなよ。 済んだ事だ」
「・・・・分かった。 有り難う」
「飼い猫が死んだんだ。 当然の事をした迄さ」
猫のセツは、事故で死んだ。
私も巻き込まれ、軽い怪我を負った・・そんな言い訳。
心苦しいものは在るが、二人を是以上巻き込む訳にも行か無いだろう。
「さて・・そろそろ出ようか」
「そうね、もう時期面会時間も終わりだし」
「毎日晩くまで、悪いね」
「友人を見舞いに来て、晩く成ってしまうだけだ。 普通だろう?」
「はは、それもそうだ。 でも、お兄さんと一緒、が良いんじゃないかい?」
「・・・・有紗みたいな事を言うな。 お兄ちゃんは・・」
「お兄さんは?」
「・・・・・・補習だ」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・ご愁傷様、ね」
「・・お兄ちゃんの、努力不足だ」
- 578 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 3 :2005/07/29(金) 03:05:38 ID:UwjDIQtE
-
「只今」
「お帰り」
リビングから、出迎えの声。
「ちゃんと真っ直ぐ帰って来て居た様だな」
「お前は俺の保護者か」
「足が治る迄はな」
「・・・・了解」
リビングに入り、ソファーに座る。
「直ぐ無理をするからな、お兄ちゃんは」
「そうかぁ?」
「そうだ」
「奈菜の方が、よっぽど無理してると思うんだがなぁ?」
「私・・がか?」
不意を打たれ、隣の史也を見詰め返す。
「おうよ。 こないだだって、セツ助けようとして・・怪我したんだろ?」
「嗚呼、うん・・・・まぁ、な」
少し、視線を泳がせて仕舞う・・嘘と云うものには、慣れないな・・・・。
「それに、すぐ自分だけで抱え込んじまう。 限界の限界まで、な」
「・・・・・・そう、かも・・な」
「俺はよぉ、奈菜がいつか背負ってるもん背負いきれなく成って、潰されやしねーかと心配なんだよ」
「・・・・・・」
「ま、話聞くだけなら出来っから・・な? 何時でも頼ってくれていーぜ。 頼りになんねーけどな」
「そんな事、無い・・。 頼りに、してる」
史也は・・是以上の無い、私の支えだ。 私の、生きる、理由・・だ。
「・・あー・・・・帰って来てすぐの話じゃねーな。 ま、あれだ・・・・晩飯でも食うか?」
「・・そうだな。 夕飯にしよう」
「それじゃ、たまには奈菜がつく「断る」」
――間。
「・・私だって、美味いものの方が良い」
- 579 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 4 :2005/07/29(金) 03:07:40 ID:UwjDIQtE
- 「花嫁修業とか、する気無い訳?」
「行かないから良い」
「・・お前ね」
「奈菜ちゃんは、お兄さんの元で幸せになるので料理スキルなんざ必要ないんですっ」
「っ!」
「おわっ、有紗ちゃん!?」
突然の割り込み声に、私も大声を上げそうに成った。
「・・・・有紗」
「なにかな?」
「何時から、何故、家に居るんだ」
「最初からいたよ」
「・・俺も気付いてなかったんだけど」
「お兄さんは鈍いから♪」
「そんな問題じゃないと思う・・」
「今日はね、久し振りにお兄さんの料理が食べたくなりましたっ」
「・・・・・・そうか。 なら、食べて行くと良い」
「ん、それじゃ今日のメニューは有紗ちゃんの好きな料理でいこうかな」
「お、カレーですか? 楽しみですー」
――――有紗の父は、他界して居る。
そして残された母は、女手一つ・・と云った次第だ。
・・・・しかし酷なもので、彼女は遺伝性の心臓病と云う、病持ちでもある。
倒れれば、有紗は祈るしかない――其れは、幼い頃から有紗を縛る、茨。
だから、何時からか・・有紗の母が帰らぬ日には、我が家の夕飯に有紗が加わる様に成った。
「今晩は泊まってくんだろ、有紗ちゃん」
「良いんですか、お兄さん?」
「初めからその心算だろう」
「ふふ、さすがは奈菜ちゃん! わたしのことなら何でもお見通しってヤツだね?」
「二人とも手伝ってくれよ。 こういうときゃ、皆で作った方が美味いもんだ。 ――あ、やっぱり奈菜は手伝わなくていいぞ」
「・・如何云う意味だ」
「そういう意味だ」
- 580 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 5 :2005/07/29(金) 03:09:04 ID:UwjDIQtE
- 「ならボクが手伝おうか」
「っ!」
背後からの声に、又も上がりそうに成る声を抑える。
「お邪魔してるよ」
「・・・・・・何故此処に居る、ウィル」
「ああ、俺が呼んだんだ。 事故ん時世話に成ったらしいから」
「うげぇ、変態銀髪っ! こんな所まで奈菜ちゃんのストーカーっ?!」
「有紗、史也の話、聞いてたかい?」
「聞いてたわっ! 一度たまたま偶然奈菜ちゃんを助けたからって、それにつけ込んで家まで無遠慮に! 恥を知りなさい!」
「恥は純血日本人の君に任せるよ。 史也、何をすれば良いかな?」
「ジャガイモの皮むきでも頼もうか。 地味だけど」
「地味な仕事は嫌いじゃないよ。 引き受けた」
「わ、私を無視するにゃーっ!」
「有紗ちゃんは他の食材切り分けてもらおうかな」
「あ・・は、はい、分かりました」
「よし、くっきんスタート」
それぞれが仕事に入る。
地味なカリスマ性だな、史也・・・・所で。
「・・・・お兄ちゃん、私は?」
「ん? テレビでも見てろよ」
「・・・・お兄ちゃん」
「睨むな睨むな、冗談だ。 丁度福神漬け切らしてたから、買って来てくれ。 コンビニ行って」
「・・まぁ良い。 分かった、買って来る」
「あ、奈菜ちゃん出るの? 一人じゃ危なくない?」
「ボクがつい「アンタは黙ってて」」
「・・・・一人で大丈夫だ。 行って来ます」
「おう、行ってらー」
史也の送る言葉を背に、外に出る――と、見慣れない男。
「よう」
「・・・・誰だ」
- 581 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 6 :2005/07/29(金) 03:11:46 ID:UwjDIQtE
- 「ウィルのお仲間ってとこかな」
千客万来とは、この事か・・。
「何の用だ」
「一人じゃ心許なかろうと思ってな。 この前みたいに、行き成り何か仕掛けられないとも限らん」
「・・・・そう、だな。 じゃあ、付いて来て貰おうか」
「おう。 俺はエイジ」
「知って居るとは思うが、奈菜、だ」
「ん、宜しく」
「それじゃあ、行こうか。 ・・エイジ、お前も食べて行く気か?」
「あーいやいや。 もう一人仲間が居てな、腹空かして待ってるから食いもん買って帰るわ」
「その序で、と云う事か」
「ま、そんな感じだ」
街灯が照らす、コンビニへの短い道を歩く。
そこそこ近い場所なので、偶に史也が利用したりする。
「・・お前らの目的は何だ?」
「あん? 俺らの?」
暫し、考える仕草。
「分からん」
「・・・・おい」
「いや、マジ。 俺らはウィルに付いてってるだけだからな。 奴に聞いてくれ」
「・・ウィルに聞いても答えないから聞いたんだがな・・・・なら、お前等は如何云う関係なんだ」
「ウィルは・・命の恩人、かな」
「ウィルがか」
「そ。 俺らは『新しい要素』なんだよ」
「『新しい要素』?」
「そう。 世界誕生の頃から在る要素じゃなくて、それ以降から生まれた要素。 ウィルは違うけどな」
「・・・・要素が新しく、『生まれる』? そんな事が、在るのか?」
「『死ぬ』事が在るなら、当然だろ」
「・・・・」
「俺ら『新しい要素』の存在を認められない奴らも居てね。 そういう奴らから、身を護る手段みたいなのを手解きされたり、な」
- 582 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 7 :2005/07/29(金) 03:13:42 ID:UwjDIQtE
- 「新しいものを、認められない・・」
「あんたの敵と同じ様な所もあるな。 ・・ま、身を護る手段つっても、逃げ方とかだけどな。 ――着いたぞ」
上げた視線、コンビニの光に一瞬目が眩む。
――そして浮かぶ、幼いシルエット。
「・・・・お前、何で此処に居んの」
「エイジ〜、おそいぃ〜。 マイ、おなかへったぁっ!」
「だからって此処まで来るか・・このアホ」
「なんでアホっていうの、バカエイジっ」
「今この街がどんだけあぶねーか、分かってんのかテメーは」
「しらない! いまはマイのおなかがあぶないのっ!」
「コイツは・・・・はぁ、まー良い。 とっとと買い物済まして帰るぞ」
「それでよろしい」
ぺしっ。
「いたっ! なんではたくの、バカエイジ!」
「イラついたからだ」
「いしゃりょうよこせー!」
「飯は要らんのか」
「マイねー、ツナマヨおにぎりがたべたいなー」
・・・・漫才の様なコンビだな。
「・・家で食べて行くか?」
「「え?」」
「良いのか?」
「いいのっ?」
「・・同時に喋るな。 今更一人二人増えた所で変わらん。 どうせお兄ちゃんも多めに作って居るだろうしな」
「わー、ひさしぶりにまともなメシにありつけるっ」
「・・妙な言葉ばっか憶えやがって。 悪いが、是非頼む」
「ん。 大勢の方が、楽しいだろう。 さっさと福神漬けを買って帰ろう」
「おお、カレーだねっ? マイねー、カレーも好きー」
「そうか。 有紗と気が合いそうだな」
- 583 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 8 :2005/07/29(金) 03:15:42 ID:UwjDIQtE
-
「お風呂上りましたー」
有紗の声が、リビングに響く。
「おー、そっか。 んじゃ、俺も入るかね」
時計は、短針が十と十一の間を指して居た。
「それじゃ、私達は先に寝るぞ」
「んー、お休み」
「お休み」
「お休みなさーい」
階段を登り、私の部屋に二人で入る。
「いやいや、中々賑やかな夕べでしたなー」
「賑やかと言うより、騒々しかったな・・」
「まぁ、あれ位騒がしい方が楽しいって事で!」
「・・大半、有紗が騒いだんだがな」
「そう、あの変態銀髪! 事あるごとに、奈菜ちゃん狙いやがってっ」
「・・・・・・もう寝るぞ」
「あ、奈菜ちゃんっ」
「何だ」
「一緒・・良いか、な・・・・?」
私のベッドと私自身を見ながら、遠慮がちに尋ねる。
「・・他に何処に寝る気だ」
二人では少々狭いベッドに、並んで横に成る。
「電気、消すぞ」
「うん」
カチ、カチ。
二つの段階を経て、暗闇が私の部屋に満ちた。
「奈菜ちゃん」
「何だ?」
「・・手」
「うん」
- 584 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 9 :2005/07/29(金) 03:18:17 ID:UwjDIQtE
- 伸ばされた手を、握る。
「・・・・奈菜ちゃんは、私のお姉ちゃん」
「・・ん?」
「そんな、イメージ。 昔は、すごく大人な感じで・・私のお姉ちゃんみたく、見てた」
「今は?」
「・・・・すごく優しいお姉ちゃん」
ふふふ、と笑い声。
「妹よりかわいーお姉ちゃんなんて、反則だー」
「・・有紗の方が、余程可愛いと思うんだが」
「うそだー」
「有紗は・・自分に素直に成れる。 私には、無理だ」
「奈菜ちゃん、最近段々素直に成ってるじゃん」
「未だ未だ有紗には敵わないさ」
「私も結構素直じゃないとことか、あるよー?」
「知って居る」
「・・何でもお見通しだね」
「有紗程じゃ無いさ」
「もー、さっきからそればっか」
「そうだな。 ――――有紗」
「んー?」
空いて居る方の手を、有紗の頭に回し、撫でやる。
「・・素直に成って良いぞ」
「奈菜・・ちゃん?」
「大丈夫だ」
「・・・・・・・・奈菜ちゃ・・・・ぐす・・・・ななちゃぁ・・っ」
「よしよし・・」
「ふぇ・・ぇ・・・・奈菜ちゃん・・お母さん、おかあさんがぁ・・・・」
「大丈夫だ・・お母さんなら、又直ぐに良く成るから」
「だって・・だってぇ・・・・今度は、ダメかもしれないよぉ?」
「大丈夫・・お母さん、何時だってちゃんと、帰って来ただろ?」
- 585 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 10 :2005/07/29(金) 03:20:27 ID:UwjDIQtE
- 「ぐす・・・・だって・・だって・・・・・・おかあさん、おかあさん・・がぁ・・っ・・・・うえぇぇ・・」
「よしよし・・・・大丈夫・・大丈夫だから――」
泣き疲れて、眠る迄・・私は、有紗に言い聞かせ続けた。
暗闇がその場を支配して居た。
彼女に意識が戻っても、瞳は一切の光を捉える事が出来なかった。
「――目が覚めたかしら?」
覚醒し、どれ程の時間が経ったのか――或いは、間髪置かずにで在ったのか。
次にその場を支配したのは、少なくとも彼女のものでは無い、女性の声。
その声を辿り、記憶を引っ張り出す。
自分は、何故此の様な状況に置かれて居るのか。
相手――声の主は誰なのか。
そもそも、自分は誰だったのか・・。
「――『恐怖』」
口に出た、相手の名前。 其れを糸口に、一気に記憶が蘇る。
「貴様――此処は・・何の、心算だ・・」
「私は逃げやしないわ。 ゆっくり整理しなさい、焼」
「・・・・・・・・・・・・此処は、何処だ」
「貴女の学校の、保健室」
「出鱈目を、言うな」
学校――何年も見続けた、ヒトとしての己の職場。
其処を、見間違う筈が無い。
「本当よ。 少し、暗くして居るけれどね」
闇が、彼女の声に蠢いた。 『恐怖』――二人目の眷属。
「・・私を、何故生かして居る。 如何する心算だ」
「ふふ・・また操るのも、良いかも知れないわね。 前よりもっと簡単よ?
貴女には、私に敗れた・・『恐怖』が、刻み込まれて居るんだから」
「く・・っ!」
見える訳では無い。 それでも、焼は虚空を睨み付けた。
- 586 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 11 :2005/07/29(金) 03:21:55 ID:UwjDIQtE
- 「うふふ・・安心して。 私が貴女に与えるのは――寧ろ、幸福よ」
「何を・・・・」
「其れは、私の幸福では無いけれどね・・ふふ」
瞬間、蠢く闇は焼を中心に集結した。
「っ・・! 何、を・・・・!!」
「――左様なら、焼」
闇は焼の意識へ染み、徐々に、徐々に、彼女の意識を奪って行く。
其れは寧ろ、甘美とも言える・・眠りへの、誘い。
「貴女の使徒としての生命は・・・・此処で、終わる。 お休みなさい――」
閉じて居た瞼を、ゆっくりと開ける。
「何を『視て』いた?」
「――やぁ、エイジ。 起きて居たんだね」
「未だ日付も変わってねぇよ」
「そう言えばそうだ」
備え付けの冷蔵庫から、ミネラルウォーターを取り出し、二つのコップに注ぐ。
「ほれ」
差し出す右手に、其の片割れ。
「有り難う、頂くよ」
つい、と一口。
「で、何を?」
「・・・・彼女さ」
「それじゃ分からん」
「『恐怖』」
「・・何か、動いたのか」
「まぁ、ね。 ちょっと予想外・・だけど、案外予想内」
「・・どっちだよ」
「ふふ、どっちだろうね。 まぁ其れより差し迫った問題が在るよ」
「何だ」
- 587 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 12 :2005/07/29(金) 03:23:11 ID:UwjDIQtE
- 「近々『狩り』が来る」
エイジの、動きが止まる。
「・・・・何人位だ?」
「根源一人と、現象一人・・後は」
「後は?」
「――――始原」
「なっ・・・・?! 始原が、『狩り』なんぞに参加するってのか!?」
「ふふ・・彼は、昔っから融通が利かなくてね。 『新しい要素』なんて、認められないんだよ」
「笑い事じゃねぇだろ・・」
「そう、だね。 ・・・・エイジ」
表情に、真剣なものが加わる。
「・・・・何だ」
「頼みが、在る」
「何を今更」
「・・・・君の命に関わる」
「・・・・・・」
「彼は、奈菜を『殺し』に来る。 『世界の変容』を、潰しに」
「『恐怖』と、同じだな」
「『恐怖』も、『殺さ』れる。 彼女も、変わり過ぎた」
「・・・・皆殺しかよ?」
「はは、殆どそんなものだね。 其れで、だけど」
「ああ・・」
「君の命・・ボクに、くれ」
「はっ・・・・そんなもん、当の昔にくれてやってるぜ」
「・・・・済まない」
「・・マイは――」
向かいのベッドを見遣る。
布団に包まり寝息を立てる、小さな生命。
「――彼女も、だね・・」
「・・・・未だガキだが、その覚悟ぐらい、出来てるだろうさ」
- 588 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 13 :2005/07/29(金) 03:24:30 ID:UwjDIQtE
- 「・・御免よ。 ボクの、我が儘で――」
「言いっこ無し、だぜ。 そんくらいしねぇと、とても返せる恩義じゃねぇからな」
煽り、コップの中身を飲み干す。
「何をすりゃ良い」
「時間を稼いで欲しい」
「時間?」
「奈菜と、彼女が決着を付ける迄の時間」
「お安い御用だ・・と言えないのが辛い所だな」
「頼む」
「おーけい、やるだけやってみるさ」
立ち上がり、窓を見る。
ガラスに映る、エイジとウィル。
「ウィル」
「何だい?」
「お前が、奈菜に――あの二人に拘る理由は何だ?」
「・・・・・・」
コップに残った水が揺れる。
「奈菜は・・・・ボクに似てるんだ」
「・・ウィルに?」
「ふふ、そう、ボクに。 だから――」
水を、一気に飲む。
「だから・・ボクの代わりに――――見付けて、欲しい・・」
「・・風、騒ぐわね」
深夜の病室。 五十鈴の声が、暗い病室に響く。
「そうだね」
答える声は、秋。
「――『狩り』が、来るって」
「・・『狩り』?」
- 589 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 14 :2005/07/29(金) 03:26:21 ID:UwjDIQtE
- 「『世界』の中の・・新しいものを認められない人達。 『変容』を、潰しに来る」
「・・・・あの時の、私と、同じ・・?」
「そうなのかも」
「そう・・」
「・・難しいかも知れないけど、姉さんは僕が護るから」
「何言ってるの。 弟らしく、私に護られてなさい」
「もう姉弟じゃなく、恋人同士でしょ?」
「こいびっ・・・・んんん・・まぁ、その・・ね」
「はは。 それじゃ・・退院の準備しとこう」
「退院って・・」
「すぐに出られる準備、って事。 病院でやりあう訳にも行かないでしょ」
「そう、ね・・動き易い服、用意して貰わなきゃ」
「ああ、あれ良いんじゃないかな。 ほら、姉さんと初めてデートした時の」
「でっ、デートじゃないわよ、あんなのっ! 一緒に映画見ただけじゃないの!」
「どの日の事とは言ってないんだけどな〜?」
「うっ・・・・しまった・・」
「――立派に、デートだったよ。 楽しかった」
「・・私も・・楽しかったわよ」
秋と五十鈴の、記憶。
『切』と『断』が体験した訳では無いが、其れは確かに、二人の記憶なのだ。
「はは、洒落っ気の無い服だったけどね」
「う、五月蝿いわね! 私なりに精一杯お洒落したのよっ!」
「知ってるよ。 可愛かったよ・・珍しく」
「・・余計なのよ、一言」
「未だ、もっとデートするんだ。 死んでなんか、居られない」
「・・・・当然よ。 私達は、生きるの」
「変わり続ける世界で」
「変わり続ける、永遠と共に・・ね」
- 590 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 15 :2005/07/29(金) 03:28:11 ID:UwjDIQtE
- 「・・・・世界が、存する為に」
男は呟いた。
誰にとでも無く。
或いは、己自身へ。
「変容等を、認める訳には、行かない――」
男は続けた。
相変わらず、その声を聞くのは男自身のみであった。
「・・・・世界の為に」
重い扉を開く。
明るい日差しに包まれて、男の護るべき『世界』は存在して居た。
「・・・・世界を、殺す」
決意。
或いは、固執。
何年も何年も――ヒトならざるものとして生きた、己に課した・・宿命。
或いは、意味。
陽光の下、銀色の髪が輝く。
瞳に宿るは、決意の光のみか。
揺れる其れには、微かに――悲しみ。
「行くぞ」
其の呟きを聞いたのは、男だけでは無かった。
「・・承知」
答える其れも又、ヒトならざるもの。
二人の『使徒』。
『狩る』は、『使徒』。
世界の為に、世界を殺す。
其れは、矛盾では無いのか?
或いは、そうなのかも知れない。
世界の為に、世界を殺す。
揺れる瞳に微かに陰る悲しみは・・死に行く世界への悲しみか。
或いは――――――――。
- 591 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/29(金) 03:33:47 ID:UwjDIQtE
- まぁリハビリって奴だ。
月影に踊る血印の使徒 第五夜 >>576-590
決戦前話ー。 会話イベントオンリー。
輪を掛けて面白くねー。
お陰で容量が軽い軽い。
後二、三話(!)で終わりますよぅ。
風呂敷畳むのは苦手やで、ホンマ。
- 592 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/29(金) 09:23:04 ID:05Stc9zU
- たゆん様の降臨キターーー!!
- 593 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/29(金) 22:07:08 ID:LVAWDxQG
- 姐さんキタ――(゚∀゚)――!
金曜に来ると言われてからずーーーっと待ってましたよ!
乙です!
- 594 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/31(日) 00:23:53 ID:MIbSus30
- 自演褒め乙
- 595 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/31(日) 08:19:35 ID:fkDytcVw
- まあ確かにつまらんわな
- 596 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/31(日) 11:04:19 ID:U1scoXLp
- (´ー`)y−~~~
- 597 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/31(日) 11:32:25 ID:mf1OYX2N
- つうか意味がよくわからん
- 598 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/31(日) 12:25:05 ID:Z/johIH1
- 私も最近分からん。
- 599 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2005/07/31(日) 13:34:26 ID:ryhbClDe
- (´・ω・`)おやおや
- 600 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/31(日) 21:04:00 ID:U1scoXLp
- 俺だって、このスレナンバーワンの台本書き(選考方法:年功序列)!!
このまま何もしないではいられねぇ!!新キャラ引っ下げて登場だ!!
「んー!!終わったー!!」
ノートを閉じ、制服のシャツのボタンを一つ外し、大きく背伸びをする。
真っ青な空、白い雲。自分の体を忘れそうなほどハッキリとキレイに見えた。
今日の夏季補習も無事終了。
残り何日かなー。なんて考えると、ワクワクしてくる。
そんな俺は、足取りも軽く、教室を出る。
すると……制服を着ていない少女が立っていた。
シンプルなワンピース。艶やかな黒髪。そして、透き通るような白い肌。
その少女は何かを探すようにキョロキョロしたり、教室を覗き込んだりしていたが
俺の姿を見つけると、パッと表情が明るくなった。
「お、お兄ちゃん……!」
「羽音ちゃん……?どうしたの、こんなトコで?」
この少女の名前は霧島羽音。俺の従妹になる。
羽音は隣の市に住んでいて、今まではなかなか会う機会がなかったのだが、
俺が今年、こちらの高校に入学し、通うことになり、こうしてたまに顔を見せるようになった。
「お、お兄ちゃん……えっと……その……」
「……?」
「ほ……」
「ほ……?」
「えっと……えっと……」
深呼吸。
「補習、お疲れ様でした!!こ、コレ、お弁当っ!!」
恥ずかしそうに紺色の包みを差し出す羽音ちゃん。
俺はそれを丁寧に受け取って、
「お弁当……?」
「は、はい!!お昼からも頑張ってください!!」
勘違いしてるわ……。
- 601 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/31(日) 21:05:32 ID:U1scoXLp
- 「あ、あのね……羽音ちゃん……」
「はい!!」
「補習……午前中だけなんだけど……」
「えっ!!」
固まる羽音ちゃん。
そして、
「あ、えっと……す、すいませんでした!!」
俺から弁当の包みを奪い取り、走り去ってしまった。
「ちょ!?は、羽音ちゃん!?」
急いで追いかける。
しかし、気付いたときには羽音ちゃんの背中は遥か彼方……。
羽音ちゃん、早ぇ……。
しかし、さすがに俺も男だ。
プライドをかけて、全力で走る。
カーブを最小限で駆け抜け、階段を飛び降り、
やっとのことで、羽音ちゃんが大分近づいてきた。
周りの生徒が迷惑そうに見ているが、そんなことを気にしている余裕はない。
ラストスパート!!
最後の力を振り絞り、何とか羽音ちゃんに追いついた。
「羽音ちゃんっ!!」
羽音ちゃんの肩に手をかける。
「お、お兄ちゃん……?」
羽音ちゃんが急に足を止めて振り返った。
- 602 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/31(日) 21:06:13 ID:U1scoXLp
- 「どうして逃げるの?」
「だ、だって……失敗しちゃって……」
「失敗?何を?」
「えと……だから、お弁当いらないのに……」
俯く羽音ちゃん。
優しくその名を呼んだ。
「羽音ちゃん」
「は、はい!!」
背筋をピンと伸ばし、返事をする羽音ちゃん。
「俺、家遠くて、今から帰ると一時半くらいになるからさ。弁当持って来ようか迷ったんだよね」
「……」
「で、結局面倒で作ってこなかったんだけど……何かお腹空いちゃったなー」
横目で羽音ちゃんを見る。
「お、お兄ちゃん……」
「何かな、羽音ちゃん」
「こ、コレ……食べて……ください……」
羽音ちゃんは、ゆっくりと遠慮がちにさっきの包みを差し出す。
「お、何コレ?」
「え、えと……お弁当です……」
「ありがとう。嬉しいよ」
俺は左手でお弁当を受け取り、右手で羽音ちゃんの頭にポンと手を置く。
「は、はいっ!!ありがとうございますっ!!」
「羽音ちゃん、お昼は?」
「えっと……私も、お弁当を……あ、あれっ!?」
「どうしたの?」
「お弁当……忘れちゃいました……。帰ります……」
肩を落とし、振り返る羽音ちゃん。
俺はそんな羽音ちゃんの肩を掴んで
「俺も行くよ」
「え……?」
- 603 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/31(日) 21:06:43 ID:U1scoXLp
- 「俺、自転車あるから。送ってくよ」
「え、いやっ!!いいですよ!!」
羽音ちゃんは手をパタパタ振って断る。
「そう?良かったら、白田公園で一緒にお弁当でもと思ったんだけど……せっかく良い天気だしね」
「っ!?」
「どうしたの?」
「その……い、行きたい……公園」
「あ、行きたい?」
「はい……」
小さい声で呟く羽根ちゃん。
そんな羽音ちゃんに、俺は……
「声が小さくてよく聞こえないぞー?」
「え……えっと……行きたい……です」
「え?」
「公園、行きたいです!!お兄ちゃんと!!」
「はい、よくできました。行こう」
「はいっ……!」
可愛く返事をして、俺の横に並ぶ羽音ちゃん。
「お兄ちゃん……」
「ん?」
「明日も……お弁当作っても……いい?」
「いいよ。っていうか、お願いします、だよな。俺は作ってもらうんだから」
「ううん。お勉強だから」
「勉強?」
「うん。お兄ちゃんのね……」
- 604 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/31(日) 21:07:22 ID:U1scoXLp
- 「俺の……?」
「えと……お嫁さんになるときの……ね?」
「羽音……ちゃん……?」
頬を赤く染めて、俯く羽音ちゃん。
何だ、そういうことか。
「羽音ちゃん」
「はぃ……」
「待ってるよ」
「お兄ちゃん……!!」
「行こうか?」
「うん」
夏はまだ始まったばかり。
あと何日、羽音ちゃんのお弁当を食べられるのかなー。
───────────────────────
俺の夏はまだだろうか……。
後テストが二つ、レポートが一つ……はぁ……。
新キャラ。また敬語系。でも可愛いよ、羽音……。
兄ちゃん、一気火勢でお気に入りだよ……。
- 605 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2005/07/31(日) 21:50:22 ID:ryhbClDe
- これは俺も古参として久々にちゃんとした何か書くしか・・・
>>604 遊星さん
GJです!
夏ですねー(*´д`)ハァハァ
- 606 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/01(月) 11:30:47 ID:nj8ub4/G
- >>600-604
またまた下らん妄想乙。
つまらねえからやめちまえ!!
- 607 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/01(月) 12:45:49 ID:r1cuR4Lr
- まあ確かにつまらんわな
- 608 :二酸化マシンガンBB弾仕様 :2005/08/01(月) 12:51:33 ID:KEBeLpXu
- 続き
四限目
「はぁ〜」
「なんだ〜またシスコン全開か!」
「ちげ〜よ暇でさ〜現社」
「なんだ〜美咲ちゃんのことでため息ついたかと思ったよ」
「ふっ!もう平気さ!あいつにも友ができたからな!」
「へぇ〜よかったじゃん」
「へ?それだけ?」
「だって俺は心配してなかったし」
「お、おれだってな〜!」
「すご〜く心配してたよな」
「くっ!」
「まぁ、この調子で彼氏もできりゃいいな」
「彼氏…あいつに…」
(あいつ自分の意思あんまださないからあんなことやこんなこと…)
「ダメだ!!!」
ガタッ
「なにがだめたんだ?如月?」
「いや!え〜と自分の頭が…ははは」
「わかってるならちゃんとノートとれ!馬鹿者」
「は、はい」
クスクス
「くそ!直お前が変なこと言うから!」
カリカリ
(このやろ〜我関せずでノートとってやがる!)
- 609 :二酸化マシンガンBB弾仕様 :2005/08/01(月) 13:09:04 ID:KEBeLpXu
- 昼休み
ここは私立なので給食がない
「将!お前どうする?」
「美咲の様子見てきてからパン買ってくうよ」
「俺も行くかな」
「あ、お兄ちゃんどうしたの?」
「いや、昼どうすんのかな〜て思ってな」
「こいつさ〜美咲ちゃんが心配で心配で仕方ないらしいよ」
「ち、ちげーよ!」
「美咲!この人噂のお兄ちゃん?」
「う、うん」
「カッコイイじゃん!私は葉っていいま〜す先輩!」
「よ、よろしく」
「将〜モテモテやね〜」
「ち、ちげ〜よ!」
「私らこれから昼なんですけど先輩方一緒にどうです?」
「行くよな!将」
「あぁ」
こうして四人で昼を過ごした
お久しぶりです
過去はあと一、二度くらいかと…
クソ作品を読んでいただけると光栄です
- 610 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/02(火) 15:28:33 ID:A28tHoUy
- >>606-607
下らんと思うなら来るな厨房が
- 611 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/02(火) 23:22:20 ID:F6JiBTfn
- >>610
相手しなくていいよ。時期が時期だし。
- 612 :すの字 ◆9l4B6y7T.Q :2005/08/03(水) 12:57:24 ID:qsNSUMhY
- こんな時こそ⊂二二二( ^ω^)二⊃ブーンして気分転換しようぜ
二酸化さんGJです!
⊂二二二( ^ω^)二⊃ブーン
- 613 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/03(水) 21:09:30 ID:SPYZt4OY
- ギャルゲしかしてないのかココの職人
文章力に難あり杉。本読もうな
- 614 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/03(水) 22:23:12 ID:Tyb0o9H9
- >>613
SPY・Z
- 615 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/04(木) 01:21:24 ID:HDpZKf0g
- しばらく来ない内に神々が再降臨してるな。
みなさん狂おしいほどにGJ!!。
久々に萌え&燃え(弱火)たよ。ところで
>>遊星さん
「羽音」って何て読めばいいの?
- 616 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/04(木) 02:01:39 ID:lpQqd+9N
- はね、ジャマイカ?
- 617 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/04(木) 06:10:15 ID:X01QGJc/
- >>615
「はね」のつもり。
羽音かわいいよ、羽音……。
- 618 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/04(木) 22:24:20 ID:X01QGJc/
- 夏休みの午後。というか、もう夕方。
リビングで、涼しくなってきた風に当たりながらのんびりと過ごしていた。
風鈴の音が心地よい。
「今日の晩飯何かなー」
力の抜けきった声でそう呟いた時、夕飯の支度に来たと思われる妹の未来がゆっくりドアを開け、入ってくる。
そして、そのままキッチンに向かうと思われたが……倒れるようにソファーに座ると、
「はぁ……」
大きなため息をついた。
「どうした、未来?ため息なんてついて?」
「ちょっと……悩み事です」
「悩み事……?未来にも悩みなんてあるんだ?」
「そりゃ、私だって、悩みぐらいありますよ……」
「まぁ、分かってるけど。未来ちゃんに悩み事って、なんつーかイメージに合わない」
「イメージ……?」
「未来ちゃんってさ、しっかりしてるから、何でもスパッと切り抜けられそうなイメージがあるからね」
「しっかりしてても……無理なものは無理だと思います……」
「まぁね。相談なら乗るよ?」
「いえ、遠慮しときます。聞いても嫌な気分になるだけですから……」
そこまで言って、一層顔を曇らせる未来ちゃん。
「そうかい……」
さっきまで枕代わりにしていたクッションを掴む。
そして……
「てぃ」
未来の顔に投げつけた。
ヒット。
ボフッと音がして、クッションが落ちる。
「いたっ……な、何するんですか、兄さんっ!?」
鳩が豆鉄砲を食らったような顔をして、未来が鼻を押さえた。
「出かけるぞ。ソレ、持って来い」
「えっ!?ど、どこへ!?」
- 619 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/04(木) 22:24:50 ID:X01QGJc/
- 「いいトコ」
「あの……兄さん。私、晩御飯を作らなくちゃ……」
「夕飯は……外だな」
「えっ……ちょっと!?兄さんっ!」
「いいから。行くぞ」
困惑する未来の腕を掴み、そのまま外へ連れ出す。
「に、兄さん!?コレ、何に使うんです!?」
「クッション?自転車に乗るとき、尻に敷く」
そう言いながら、ガレージから自転車を引っ張り出す。
「なるほど……って、自転車ですか!?」
「自転車でなきゃ間に合わないからな」
自転車に跨る。
「間に合う?何に?」
「秘密だ。さ、後ろに乗れ」
「えぇ……あぁ、はい」
恐る恐る後ろに乗る未来。そして、しっかり俺の腰を抱く。
「よし、行くぞ」
両足に目一杯力を入れて自転車を漕ぐ。
空はまだ明るい。
まだ間に合いそうだ。
───────────────────────
家から出て左に曲がり、緩やかな坂道を上る。
途中コンビニに寄って、夕飯とあるものを調達した。
未来は何度も降りることを提案したが、俺はそれを断り、
結局そのままで、坂の一番上まで、もう少しというところまできていた。
「はぁ……はぁ……」
「もう少しですよ、兄さん」
「あぁ……」
俺は最後の力を振り絞って、全力でペダルを踏む。
坂がだんだん平らな道になり、視界が徐々に開けていく。
- 620 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/04(木) 22:25:51 ID:X01QGJc/
- 目に飛び込んできたのは、オレンジ色の世界だった。
俺は坂の一番上で自転車を止め、未来に降りるよう促す。
「わぁ……」
未来は後ろで、ため息のような声を漏らす。
オレンジ色に染まる町並み。
夕日を受けて輝く海。
そして大きな夕日がこの場所から一度に見えていた。
「キレイだろ?」
「はいっ!!」
オレンジ色の光の受けて、一段と可愛く見える未来の顔……。
そんな未来を見ながら、さっきのコンビニで買ったコーラを一口。
未来の横顔に見惚れて、つい零しそうになる。
「未来……」
「はい……?」
「いや……まだ早いな」
「?」
「行こう。自転車乗って」
「はい」
何も考えずに自転車に乗ってしまった未来ちゃん。
「よし、ちょっと怖いけど、我慢しろよ?」
「え……!?に、兄さんっ!?」
未来が驚きの声を上げたが時すでに遅し。
俺は坂道を下り始めていた。
とはいえ、ブレーキをかけたままなのでそんなにスピードは出ない。
夕焼けの町へと、潮風を受けながら、ゆっくり下っていく。
「飲む?」
途中、コーラのペットボトルを掲げて、未来に言う。
「に、兄さん!!前向いてください!!」
「大丈夫だって。で、いる?いらない?」
- 621 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/04(木) 22:26:52 ID:X01QGJc/
- 「あ、じゃあ……もらいますね」
俺の手からペットボトルを取る。
プシュッ
蓋が開き、炭酸の抜ける小気味よい音。
そして、コクコクという液体の流れる音が聞こえた。
「ぷはぁ……」
「美味い?」
「はい。たまにはいいですね。こういうのも」
「うん。美味いよね、こういう時に飲むとさ」
「はい……。えへへ……」
「何?」
「兄さんと……同じ気持ち」
未来が俺の腰を強く抱く。
「ちょっと……嬉しいです」
いつもより、幼いような印象を受ける未来の声。
……未来は時々、こういう大胆なことをするから、ちょっと驚く。
まぁ、可愛いんだけどさ……。
「キレイですよね……」
そんな俺の心境を知ってか知らずか、未来がいつものように呟く。
「だな」
「ありがとうございます。兄さん」
「おいおい、礼を言うのはまだ早いぞ?」
「そうですか?じゃ、これからもよろしくお願いしますね?」
「ああ、まかせとけ」
少しブレーキを強く握る。
夕暮れの下り坂を、妹を自転車の後ろに乗せて、ゆっくり海まで下っていく。
───────────────────────
- 622 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/04(木) 22:27:23 ID:X01QGJc/
- 夜の海。
コンビニで買った夕飯を食べ、二人、砂浜で波の音に包まれている。
「誰もいないね」
「そうですね……」
何だか会話も途切れがちになる。
まぁ、それならそれでもいいんだけど……。
「はぁ……」
未来がため息をつく。
やっぱり、何もしないでジッとしていると悩みを思い出すのかな。
「未来」
「はい」
「花火しようぜ」
「花火?」
「さっき買ったから」
コンビニのビニール袋の中から花火とライターを取り出し、未来に投げる。
「しかし、あんまり花火ってないんだな、こんなもんしかなかった」
「こんなもんって……二人なら多すぎるくらいですよ?」
「そうか?まぁ、多いに越したことは無いけどな。よし、まずはこのデカいのだ」
とりあえず、数少ない吹き上げ花火を地面に置き、火をつける。
ジジジッ……
火花が導火線を伝う。
この瞬間が、結構好きだったりする。
シュワワワワ……
一瞬の間のあと、オレンジ色の炎が舞い上がった。
オレンジから赤や緑に色を変える炎を二人静かに見ている。
そして、徐々に炎が小さくなって、最終的に煙を出して消える。
「キレイだったな、これ」
「そうですね」
「さぁさぁ、どんどんやろう」
「あ、はい」
二人だけの花火。
- 623 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/04(木) 22:27:54 ID:X01QGJc/
- 花火を振り回して未来に怒られたり、
なかなか火がつかないと思っていたら、突然ついてビックリしたり、
花火が何色に変わるか賭けたり、
どっちの花火が長く持つか競ったり……
文字にしてみると些細なことかもしれないが、ずっと未来は楽しそうに笑っていた。
それを見て、俺も嬉しかった。
「やっぱ、最後は線香花火だな。はい、未来ちゃん」
「あ、ありがとうございます」
二人しゃがみこんで、ライターの炎を二本の線香花火にゆっくり近づける。
パチ……パチパチ……
線香花火の作り出す小さな炎。
次第に炎は小さくなり、先端の珠が地面に落ちる。
この穏やかな感じが、他の花火とは違う線香花火の良いところだろう。
「このまったりした感じが、花火の締め、って感じだよな」
「ですね」
「さてと。ゴミをまとめて……」
「帰りますか?」
「ん?どっちでもいいけど……帰りたい?」
「いえ、もう少し、ここにいたいです」
「そう。じゃ、もう少しゆっくりしてくか」
「はい」
とりあえず、花火のゴミを手早く一つにまとめ、海に向かって座っている未来の隣に腰を下ろす。
海を見つめたまま、何も言わない未来。
俺も何も言わず、天を見上げる。
「兄さん……」
しばらくの沈黙の後、未来が海を見つめたままポツリと呟いた。
「どうした?」
「兄さんは……」
「……?」
「兄さんは……私の側にいてくれますか……?」
未来は悲しそうな目で俺を見て、言った。
- 624 :自治厨よりスルーを込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/04(木) 22:28:48 ID:X01QGJc/
- 「分からん……」
「そう……ですか……」
「だけど……努力はするよ」
「兄さん……」
「ま、何も出来ないけどね」
「ふふっ。いいですよ、それでも」
ちょっと微笑んで、未来が答える。
「じゃあ、私も出来るだけ兄さんの側にいられるように、努力しますね?」
「おぅ」
未来の頭にポンと手を置く。
「帰るか?」
「はい」
未来は嬉しそうに俺の手を掴み、立ち上がる。
何かよく分からんが……手を繋いでいる。
「兄さん」
「ん?」
「ふふっ。兄さん、いるかなーと思って」
「……ワケ分かんねぇ」
マジメで初心で……だけど時々妙に積極的で……
まだ、未来のことは分からないことばかり。
だけど、だからこそ……未来と一緒にいなきゃ。
多分、未来も同じ気持ちなんじゃないかな。
───────────────────────
とうとう夏休みだぁぁぁぁぁぁ!!夏っぽい話書きまくってやる!!
えっと、正直に言う。とある曲をイメージした、つーかパクった。
結構有名なフレーズをほぼそのまま使ってるから、分かる人は多いでしょう。
アレ聞くと、夏って感じがするんだよね、俺は。
どうでもいいが俺IDがGJ。
- 625 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/05(金) 12:20:12 ID:EAPl+uJz
- >>618-624
遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ さん。
今日もくだらない妄想乙かれ様です。
いい加減飽きましたよ。
もっと面白いのを書いてください。
- 626 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/05(金) 17:30:15 ID:DwhB6+R8
- >>625
m9(・ω・)プ…プギャ…なんでもない
- 627 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/05(金) 18:55:32 ID:YjJrDYp+
- >>遊星氏GJ!!
車輪の唄??
違うかな…
- 628 :すばr ◆9l4B6y7T.Q :2005/08/08(月) 12:50:41 ID:XVmffpAB
- こんな事が現実にあるなんて・・・
(・ω・`)っhttp://www.geocities.jp/siscom71/index.html
- 629 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/11(木) 13:46:18 ID:76UXTf5U
- 人こないなぁ…
暇だからボウリングでもするか。
ぷ。
- 630 :終末 ◆ZkGZ7DovZM :2005/08/11(木) 19:37:26 ID:38qE2H9r
- いつの間にかネ申たちが降臨しとる〜!!
荒しまで
- 631 :終末 ◆ZkGZ7DovZM :2005/08/14(日) 23:19:32 ID:izZmFZRR
- 待ちまつ
(・ω・)つ旦~
- 632 :終末 ◆ZkGZ7DovZM :2005/08/16(火) 06:31:04 ID:C09nKrjK
- ω・`)ノシ
- 633 :終末 ◆ZkGZ7DovZM :2005/08/19(金) 01:39:36 ID:Kcfuy5tI
- えっ、ホントに誰も来ないっ!?
投下お願いしまさぁっ
スレ汚しスマソOTL
- 634 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/19(金) 12:45:03 ID:haUMFEGd
- すごいことになっているなぁ。
- 635 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/19(金) 22:30:30 ID:1Nvq5qMq
- 夏になると寂れるのは、ここの特徴みたいなモンだ。
どんな状況でも、俺だけは沸いて出るから気を抜くな。早速、始めようか。
「はぁ……」
胸を押さえて、ため息。
─今日こそ、言うんだ。お兄ちゃんに。
─チャンスは……もう、今日しかないんだから……
─勇気を出さなきゃ……
あと10秒……9……8…………0。
待ち望んでいた授業終了のチャイムが鳴りました。
時計とのにらめっこは、私の勝ちみたいです。
みんなが立ち上がり、礼をする。そして、騒がしくなる。
そんなあの人の教室を私は廊下から、こっそりと見ています。
あの人は……いました。
日直なのでしょうか……黒板を消しています。
お疲れ様です。と心の中で呼びかけます。
あの人は、思ってたよりも、几帳面みたいで……。
何度も黒板の前を往復しています。
それが意外でもあり、微笑ましくもあり……じれったくもあります。
ふと視線を落とす。
私とあの人のお弁当。
今日は一生懸命頑張ったんですよ?
最後……ですから。
そう思うと、少し悲しくなってきました……いけませんね、こんな弱気じゃ。
だって、今日は……
- 636 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/19(金) 22:31:01 ID:1Nvq5qMq
- 「ねぇ、そこのキミ」
そんなことを言う男の人の声が聞こえます。
下を向いているので分かりませんが、コレが、ナンパというものでしょうか。
頑張ってくださいね。
「ねぇ、キミだってば」
またそんな声がします。
あらら……ナンパ、失敗でしょうか……?
……?
何でしょう。
右の肩の上に何か……?
顔を上げて、右の肩を見ると……手が……。
その手の先には……知らない男の人の肩……。
私……?
「私……ですか?」
「うん。キミ、最近いつもいるよねー?カレシ待ち?」
「え……えっと……違います……」
一応……カレシ……では……ないですよね……。
え……?一応……?
少し、引っかかりますが……この際無視します。
「そうなんだー。そんならさ、オレと昼メシでも食いに行かねー?」
「え……?」
「あ?もしかして、こういうの初めて?だいじょーぶだって。変な事しねーから」
「で、でも……」
「あ?迷ってる?じゃあ、オレのオゴリでいいよ。どーよ?」
「……あ、あの……」
「ん?行く?」
「え……えっと……」
困り……ました……。
早くしないと……お兄ちゃんが……。
───────────────────────
- 637 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/19(金) 22:31:35 ID:1Nvq5qMq
- 水道の水でチョークの粉で汚れてしまった手を洗う。
水が冷たくて気持ち良い。
そのまま、つい顔まで洗ってしまう。
「ふぅー」
夏の必需品、タオルで顔を拭く。
窓から外を見ると、気持ち良いほどの青空。
オレも、今日から本当の夏休み。
補習最終日に日直とは運が悪いけど……仕事ももう終わった。
何も気にすることは無い。
「さてと、帰るとしますか」
足取りも軽く、帰り支度のため教室へ向かう。
大した荷物もないので、一瞬で荷物をまとめ、教室を後にした。
教室の戸の前にいたのは、羽音ちゃんの背中と……彼女の前に立つ知らない男。
え……何でっ!?
何もせずにそこに立っているのもアレなので、慌てて教室に身を隠す。
教室内でホッと小さくため息をつく。
とりあえず……そう!状況の整理だ!
えっと……とりあえず、羽音ちゃんと、男A。
あの男A、羽音ちゃんの知り合いだろうか……。
羽音ちゃんの肩に手なんか置いてたし……。
よく考えれば、ここは羽音ちゃんの地元。
しかも、この学校には、この市出身の人が多いみたいだし、
羽音ちゃんの中学の先輩とかがこの学校にいても何もおかしくは無い。
何処にでもある、久しぶりに会った先輩との会話。
そう考えるのが、一番合理的だ。
それだけだ。
それだけ……なのに……何か腹立つ……。
- 638 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/19(金) 22:32:06 ID:1Nvq5qMq
- まぁ、いい。
合理性の面では、ある程度納得の行く答えを得た俺は、することもなくなったので、
こっそりと羽音ちゃんの様子を伺ってみた。
二人は、まだ話してる。
会話する男と女。別によくある光景だ。
だが……ホント、イライラする。
さっきから、何でこんなに怒ってるんだ。ってぐらい腹が立つ。
さすがに俺がこんなことに口挟むの悪いと思って我慢してたが、もう我慢の限界!!
バッグを背負い、男Aに向かっていく。
羽音ちゃんの背後から、その男に向かって声をかける。
「「あの……」」
ハモった。
振り返った羽音ちゃんと目が合う。
「お、お兄ちゃんっ!?」
羽音ちゃんが、驚きで目を大きくさせて言った。
作戦変更。
この際、羽音ちゃんで良いや。
「よっ」
右手を上げ、羽音ちゃんに挨拶。
「羽音ちゃんの知り合い?」
「いえ……えっと……」
羽音ちゃんが、チラリと男Aを見る。
男Aは困惑したように視線をそらしたが、すぐにこちらに向き直り、
「あ、いえ、何でもないんス。一緒にご飯でも食べに行こうかな。なんて」
「そうなんだ」
心の中で胸を撫で下ろす。
……が、まだ安心は出来ない。羽音ちゃんがどうするかだ。
- 639 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/19(金) 22:33:26 ID:1Nvq5qMq
- 「えっと……それなら、俺はお邪魔かな?」
「い、いえっ!!そんなこと、ないですっ!!」
俺は二人に尋ねたつもりだったが、羽音ちゃんが答えた。
「あ……でも……この人は……」
羽音ちゃんは、もう一度男Aに向き直り……
「あ、あのっ、すいませんが……お断りさせていただきますっ!!」
頭を下げ、言った。
気まずそうに、俯く男A。
ちょっと可哀想だな。とも思ったが……嬉しい気持ちが勝った。
「行こうか?」
「はい」
並んで歩き出す二人。
さっきまでのイライラと一変して、凄く良い気分。
青い空がさっきよりも何倍も気持ちよく見えた。
───────────────────────
「はい、お兄ちゃん、どうぞ」
公園の噴水の前のベンチ。
いつもの場所に二人で座って、羽音ちゃんのお弁当を食べる。
「うん。ありがとう」
緊張した面持ちの羽音ちゃんによって手渡されたお弁当箱。
蓋を開けると、美味しそうなおかずが、キレイに敷き詰められている。
「お、今日も美味しそうだね」
緊張をほぐすため、そう言って羽音ちゃんに笑ってみせる。
「あのね……」
しかし、羽音ちゃんは緊張した顔のまま、小さな声で呟く。
「うん」
- 640 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/19(金) 22:33:59 ID:1Nvq5qMq
- 「今日は……全部、私が作ったんだよ」
「羽音ちゃんが?」
「うん。昨日までは、お母さんと一緒だったんだけど……今日は私一人で作ったんだよ」
そこまで言って、俯いてしまう羽音ちゃん。
「だって……今日で最後だから」
「最後って?」
「補習……今日で終わりなんですよね……?」
「ああ、そうだけど?」
「だったら……もう……お兄ちゃんに会えない……」
「え?何で?」
「だから……もうお兄ちゃんが学校に来ないから……」
だんだん小さくなる声。
最後にはもう、聞こえないぐらいまでになってしまった。
「ねぇ、羽音ちゃん?」
「はい……?」
「俺は今夏休みが始まったトコだよ?
明日からは、ついでじゃなくて、羽音ちゃんに会うだけのためにこっちに来れるし、
羽音ちゃんと一緒にどっか遊びにも行けるんだよ?」
「……」
「毎日だって会えるんだよ、俺たち。っていうか、俺は毎日会いたいんだけど」
「え……それって……」
「まぁ、まだ待ってよ。
話は変わるけど、さっき羽音ちゃんが男と話してて凄くムカついたんだよね」
「うん……」
「だから……何て言うのかな……羽音ちゃんには……
俺以外の男とは出来るだけ話して欲しくないっていうか……」
「お兄ちゃん……?」
「いつでも羽音ちゃんと一緒にいたいし、俺だけの羽音ちゃんでいて欲しい……」
「……」
「あぁ、もう!!つまり!!上手くいえないんだけど、俺、羽音ちゃんのこと、好きなんだよ!!」
- 641 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/19(金) 22:34:30 ID:1Nvq5qMq
- ……言ってしまった。
肝心な羽音ちゃんは……俯いたまま反応が無い。
さっきの男と同じ、どう断ろうか困ってるって感じかな……。
「あ、変な事言ってゴメン……イヤなら忘れてくれて良いから……」
「……せん……」
羽音ちゃんが何かを呟く。
「え……?」
「私、絶対に忘れませんっ!!だって……凄く……嬉しいから……っ!!
わ、私も、ずっとずっと……昔から……お兄ちゃんのこと、好きだったから」
「羽音ちゃん……」
「私も……今日言おうと思ってたんです。でも……お兄ちゃんに先に言われちゃいましたね」
微笑む羽音ちゃん。
「可愛いね、その顔?」
「お、おおおおお兄ちゃんっ!?」
顔を真っ赤にして、慌てる羽音ちゃん。
やっぱり可愛い。
今までよりも、ずっとずっと。
「早速だけど、遊びに行こうよ。今から」
「え……?」
「嫌?」
「ううん!!行きたい!!」
「良かった。でも、その前に、お弁当を頂こうかな」
「はい!!」
幸せそうな羽音ちゃんの笑顔を見ながら、茄子の煮物を口に運ぶ。
「うん。美味しいよ」
「ホント?」
「うん。食べてみなよ」
「……あ、ホントだ。良かった……。ちゃんと柔らかくなってますね」
「うん」
「でも……ちょっとお醤油入れすぎかなぁ……」
- 642 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/19(金) 22:35:05 ID:1Nvq5qMq
- ちょっと考えるように、俯き加減になる羽音ちゃん。
この瞬間でも、羽音ちゃんの顔が可愛すぎて……
「羽音ちゃん」
羽音ちゃんが振り向く。
その瞬間、羽音ちゃんの唇を奪う。
「ん……んー!!」
羽音ちゃんはパニックになって、手をジタバタ。
俺はちょっと意地悪して、強く唇を押し付ける。
とはいえ、さすがに悪い気がするので、お子様のキスだけでやめておいた。
唇を離す。
羽音ちゃんは、俺の顔をジッと見ながら、唇を手で押さえた。
「んー。砂糖かな?甘くて美味しいよ」
「お、お兄ちゃん!!」
「いやぁ、悪い悪い」
「私……初めて……だったのに」
「俺とじゃ嫌?」
「ううん……でも、初めてはもっと素敵なシチュエーションでしたかったな……」
「う……そ、それは悪かった」
「謝っても……手遅れですよ」
「いや、ホント反省してるから……許してくれ……」
「許しません!!だから……お返しですっ!!」
視界に空が広がっていく。
青空をバックに、頬を赤らめた羽音ちゃんの顔。
その顔が、徐々に近づく……。
高校最初の夏休み。
今年は……今までで一番、楽しくなりそうだ。
- 643 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/19(金) 22:36:05 ID:1Nvq5qMq
- 〜エピローグ(?)〜
「い、意外と羽音ちゃんも大胆だね……」
「私も……お兄ちゃんと同じなんです。
お兄ちゃんのことが、好き過ぎて……我慢できなくなっちゃっただけですよ」
「なるほどね」
「えへへ……お兄ちゃん、大好きです」
「……」
「ほら、お兄ちゃんも」
「え……俺も言うの!?」
「当たり前です。私だけなんてズルいです」
「……あんまり、そういうの何度も言うのってカッコ悪いと思うんだけどな」
「そんなことないですよ!!さぁ!!」
「羽音……」
「はい」
「愛してるよ」
「はい!!」
[終わり]
───────────────────────
この兄妹、前の一回で終わるつもりだったけど……気に入ったんでもう一回。
ここまでハッキリした両思いは初めてだから、やりたい放題書いた。
書いてるうちに、やりたいことがポンポン浮かんできて……。
あと、そろそろ次スレのことも考えなきゃならなくなってきたよ。
- 644 :終末 ◆ZkGZ7DovZM :2005/08/20(土) 04:14:50 ID:FApac86B
- >635-643
GJっ!!遊星様、相変わらず素晴らしいですねぃ。
お気に入りは双子ちゃんですが、この際何でもイイですな!!
- 645 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/20(土) 14:52:39 ID:mrGscolb
- >遊星さん
GJです。
とても微笑ましいっすね
俺もSS書いてみようかなぁ〜…
- 646 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/20(土) 19:52:21 ID:IrGWMR+J
- >>635-643
つまらない。
いつまでたっても成長しないのな。
- 647 :終末 ◆ZkGZ7DovZM :2005/08/21(日) 22:40:27 ID:wqtkx04y
- >645様
お願いします!!
- 648 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/22(月) 15:40:05 ID:TUCVJXmn
- >>647
お題がなかなかみつからない…
リクエストがあれば、言ってください
携帯からだからあまり長い文も書けないですけど…
- 649 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/23(火) 00:19:39 ID:GSr86m9N
- ツンデレを希望
- 650 :終末 ◆ZkGZ7DovZM :2005/08/23(火) 02:49:33 ID:Q59sI3KV
- >648様
ソチで決めてもらってイイですよ!書きたいものを書いてくださいなっ
>649氏の言うツンデレでも良いので
グダグダでスマソorz
- 651 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/23(火) 14:33:36 ID:f1TyQfL7
- ただ今執筆中……
ツンデレ難カシス……
今週中にはできると思います
短いと思いますが、携帯からなので勘弁して下さい…
できるだけツンデレになるよう頑張ります
- 652 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/23(火) 19:30:55 ID:TLUNl9Lv
- 暇つぶしに書いてみました。宜しければ感想くださいな。
ついさっき布団に包まってもふもふしてたら飼い猫(通称ロボ)が入ってきた。
可愛かったので一緒にごろごろした。満ち足りていた。
しばらくすると5つ下の妹までもぐりこんできた。
暑いし邪魔だったので蹴っ飛ばした。少し悲しそうな顔をしていた。
しばらくすると暑かったのかロボが暴れて出て行ってしまった。
引き止めたが、振り返ってくれなかった。とても悲しかった。
落ち込んでいると妹と目が合った。寂しそうにこちらを見ている。
妙に妹が愛しくなり手招きでこっちへ来い、と呼び込んだ。
妹の表情(カオ)が輝いた。いそいそと布団に入ってくる。
恥ずかしそうに微笑んでから、そっと身体を摺り寄せてきた。
どぎまぎしながら「暑くないのか」と聞いてみると「あったかいよ、心も体も」とはにかみながら首に手を回してくる。
くらっときた。
堪らず力いっぱい妹を抱きしめた。「いたた、いたいよ」と腕の中でやんわりと抵抗する。
少しだけ力を緩めるも離してやらない。
観念したのか目を閉じて為すがままにされる妹。
胸や腕に感じる幼くも柔らかい感触、甘い髪の香り、手触り。全てが心地良い。
枕が一つしかないので抱擁を解き腕を差し出してやる。おずおずと頭を預けてくる仕草が愛らしい。
暫く妹の長い髪を梳いたり指に絡めたりしていると小さな寝息が。
安心しきったような寝顔が俺の擦れた心を暖かくしてくれる。
思えば最近仕事に付き合いにと色々忙しくて全然構ってやれなかった。
恥ずかしがりやなこいつがこんな事をしたのも一種のアピールだったのだろう。
明日からはぼちぼち相手してやるか。丁度これから暇になるしプールにでも連れて行ってやろう。
そんな事を思いつつ、軽い睡眠を取る為に目を閉じた。
- 653 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/23(火) 19:31:58 ID:TLUNl9Lv
- うわ、ageちまいましたスマソ
- 654 :終末 ◆ZkGZ7DovZM :2005/08/24(水) 04:35:55 ID:K2xTWpL7
- >651
ツンデレなんて初かな?期待してまつ(´・ω・`)
>652
GJ。初めエロかと思いました。続きキボーン
- 655 :終末 ◆ZkGZ7DovZM :2005/08/26(金) 13:16:26 ID:M+QwFBO7
- (´・ω・`)ショボーン
- 656 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/08/27(土) 01:55:44 ID:7dlh6asL
- 『お兄ちゃん……起きてよぉ……』
「んー……」
『お兄ちゃん……そろそろ起きないと、濡れタオルを顔に被せちゃうよっ?』
「んー……」
『……お兄ちゃん……』
「…………」
『………………ばか』
「―――お客さん、起きて下さいよ!」
意識が戻った瞬間の大声に、俺は驚いて椅子を揺らした。
慌てて顔を向けると、そこには呆れ顔の乗務員が立っていた。
「お客さん、着きましたよ、駅。この列車は車庫行きなんですから、早く降りてくださいね」
「あ、ああ……どうも」
それだけ返事をすると、乗務員はさっさと隣の車両に行ってしまった。
頭を振り、小窓から駅のホームを見る。
……馴染みのあるホームだ。俺は、帰ってきた。
浮かれてきた心を抑えつつ、荷物を下ろすために席を立った。
- 657 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/08/27(土) 01:56:54 ID:7dlh6asL
- 列車を降りると、まるでサウナに放り込まれたかのような熱気に包まれた。
むし暑い。というか、暑すぎる。あまりの暑さに、脳細胞がすべて蒸発しそうだ。
そんな感じでぐでぐでと改札に向かって歩いていると、ふと視界に女の子の姿が映った。
14〜16歳くらいだろうか。制服を着ている。
女の子は友達と楽しそうに話をしながら、通路の向こうへと消えていった。
その様子を眺めて、俺はどことなく懐かしい気分になり、荷物を担ぎなおした。
瞬間。
「……どこを見ているんですか?」
「うわっ!?」
女の子の声。
びっくりして背後を振り返ると、そこには。
「ひどいですよ?再会の第一声が『うわっ!?』なんて」
さっきの子と同じくらいの年齢。気持ち控えめな身長。大人しそうな瞳。馴染んだ制服。
そして……忘れたことのなかった、その顔。
「おかえりなさい、お兄ちゃん」
―――妹は、可愛らしくはにかんだ。
- 658 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/08/27(土) 01:57:50 ID:7dlh6asL
- 「……しかし変わったなぁ、お前も」
駅から自宅までのわずかな距離を、ふたり並んで歩く。
隣にこいつの頭があるというのも、なんだか久しぶりだ。俺はじろじろと妹を観察した。
「そうですか?お兄ちゃんはちっとも変わってないですね」
「その減らず口も相変わらずだなぁ」
「そっちこそ、女の子に目がないところは変わってないですね?お兄ちゃん」
「いや、あれは……」
ふと、言葉を止める。たしかに……あの女の子は少しは可愛かったけど、でも……。
「お前ほどじゃ無かったよ」
前後に繋がりのない言葉に、妹は目を丸くしてこちらを見た。
「は、はあ?どういうことですか?」
俺は無言でじろじろと妹を観察する。その様子で気づいたのか、妹は即座に顔を沸騰させた。
「ば、ばか!!久しぶりに再会した妹を、いきなり口説いてどうするんですかっ!」
「別に口説いてなんかいないけどなぁ。正直な感想を述べただけだし」
「え、あ、う……う、嬉しくなんかないですからねっ!?」
妹はそれだけ言うと、つかつかと歩を速めた。
「お、おーい……荷物持ってくれないのか?」
「知りません!!お兄ちゃんのすけべ!!嫌い!!」
嫌い、か。俺は苦笑しながら妹の後姿を眺めた。
お前はたしかに、変わったよ。
- 659 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/08/27(土) 01:58:47 ID:7dlh6asL
- 「―――親父も母さんも出張!?なんだそりゃ!!」
我が家のリビングで荷物を下ろした俺は、突然の知らせに驚愕した。
それをさも当然の反応とでもいうように、妹はため息をもらした。
「わたしは反対したんです。せっかくお兄ちゃんが帰ってくるのに、海外出張だなんて」
「……まったく聞いてなかったぞ。初耳だ」
「……はあ……なんでわたしがお兄ちゃんの世話をしなければならないのでしょうか……」
「ん。あのな、俺だって大学に入ってから一人暮らしだったんだ。家事くらいできるぞ」
「そーですか。なら自分のことは自分でしてくださいね、お兄ちゃん」
「……なに怒ってんだ?お前」
「怒ってなんかないです!ばか!!」
なんだこいつ。本当は自分が面倒見たいんじゃないのか?
っていうか……。
「むしろ、面倒見られるのはお前のほうじゃないのか?ええ?」
それを聞いて、妹はぎくりとした表情になる。
そう。今回、俺は妹の高校受験の家庭教師をするために、我が家に戻ってきたのだ。
なので、勉強の面倒を見るのは俺。つまり主従関係では俺に利があるということだ。
- 660 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/08/27(土) 01:59:44 ID:7dlh6asL
- 「うっ……」
「ほれほれ、どうした?……よし、さっそく勉強を始めるか?」
「え……あの、まだ着いたばかりですし……」
「そうやって先送りにするのはいけないんだ。やるなら今すぐやらなきゃ」
「で、でも……ほら、お昼ご飯、まだですよね?わたし、作りますよ?」
「……ん」
そういえば、昼はまだだった。ちょうどいいタイミングで俺の腹が鳴る。
「ほ、ほら!わたしがお兄ちゃんのお昼ご飯、作ってあげますから!!」
「んー……そうだな。腹が減っては戦はできぬというしな」
「えっと、お兄ちゃん、たしか冷やし中華好きでしたよね?」
「おう。……あ、そんな気にしなくていいぞ。簡単なものでいいから」
「え?ダメですよ。久しぶりに帰ってきたんだから、わたしが美味しいものを作ってあげます」
「そ、そうか?悪いな」
「ふふっ、そんなことないですよ。わたし、お料理の手伝いとかしてたんですから」
「……へ、へえ。いい子だな、お前は」
「えへへ……。お兄ちゃんの好きな味付けって、たしか―――」
- 661 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/08/27(土) 02:00:41 ID:7dlh6asL
- そこまでまくし立てて、妹はハッと気づいた。
「―――なっ、なんでわたしがお兄ちゃんのお昼ご飯を作らなきゃいけないんですか!!」
「い、いや……俺に言われても」
妹は顔を真っ赤にしてむうっ、とうなり、頬を膨らませた。頭から湯気が出ているようだ。
「ばかっ!!ばかばかばかっ!!罠にはめましたね!?」
「ここ数年、罠って単語すら聞いたことなかったぞ」
「ばかぁ!!お兄ちゃんなんて嫌いっ!」
叫びながら、ドアを開けて出て行った。どかどかと階段を昇る音が聞こえる。
「……はあ。変わったなぁ、あいつは」
呟きながら冷蔵庫を開ける。ひんやりとした冷気を感じ、そして俺は驚いた。
中には冷やし中華の材料だけでなく、俺の好きだった色々な料理の具材が整頓されていた。
「……素直じゃないねぇ」
俺は二人分の冷やし中華を作るべく、麺に手を伸ばした。
やっぱり俺は、面倒を見られる側らしい。
- 662 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/08/27(土) 02:03:08 ID:7dlh6asL
- リアルが忙しくてご無沙汰してました、海中です。お久しぶりです。
久しぶりに色々と書いてみたのですが……どうでしょうか。
またお世話になるかもしれませんが、できれば拾ってやってくださいな。
- 663 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/27(土) 03:08:59 ID:tmS5QLY9
- >海中さん
萌えました、GJです。
でも今書いてる奴とかなり被ってる…orz
もう一回書き直すか…
- 664 :終末 ◆ZkGZ7DovZM :2005/08/27(土) 09:41:29 ID:KPPmLaN5
- >656-661
海中様、GJです!
忙しい中お疲れ様ですた。そして続きキボン
- 665 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/08/27(土) 10:05:53 ID:po65iWoW
- >>663
吊ってきまつorz
>>664
続きはまだ書いてないのですが、できれば書きたいですね。
- 666 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/28(日) 20:50:13 ID:yU2K3QNI
- >>656-662
海中さんだ、海中さんがいらっしゃったぞ、わーい!!
やっぱ海中さんはすげぇや、感動だよ。
- 667 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/30(火) 19:13:03 ID:eiueUqW0
- GJ!
- 668 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/08/30(火) 23:27:08 ID:MbMwxm7F
- 一歩踏み出すたびにギシギシと軋む階段を昇り、妹の部屋の前に立つ。
ドア越しに室内の気配を探ろうとエスパーみたいな真似もしてみたが、駄目だった。
やはり行くしかない。開いた窓から吹き込んだ風が、俺の背中を押した。
「……なあ、入ってもいいか?」
「…………」
返事は無い。ゴン、とドアを小突いてみるも、やっぱり返事は無い。
俺は意を決して、ドアノブに手をかける。静かに開けると、ベッドの上で寝ている妹が見えた。
しかし、ここでひとつ予想外の出来事が起こった。俺はそっとドアを開けたつもりだった。
だが、廊下の窓から入り込んできていた風が、突如として勢いを増したのだ。
当然のようにドアは凄まじい勢いで開いた。そしてすぐ入り口に置いてある本棚に激突する。
ゴンッ!!!
……家中に響き渡るほどの豪快な音が鳴った。瞬間、ベッドの上の妹がびくりと驚く。
けれど起き上がって文句を言ってこない。
(こいつ……まさかこの年にもなってタヌキ寝入りか?)
風に乗って、優しい匂いが鼻をくすぐる。俺は片手に持っていたある物を机の上に置いた。
「……おーい、生きてるかー?」
「…………」
返事は、無い。
- 669 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/08/30(火) 23:28:13 ID:MbMwxm7F
- 「なあなあ、たかが昼飯ごときでむくれてタヌキ寝入りする妹もどうよ?」
なんとはなしに話しかけてみるけど、まったく反応は無い。
「そろそろ起きないと、兄ちゃん怒って犯しちゃうぞ」
言いながら足の裏をくすぐってみる。すぐにバッと片足が動き、俺の手を蹴り飛ばした。
「本日は白」
「―――!!!??!!」
妹はついに起き上がった。おお、顔面真っ赤だ。ついでに奥歯がぎりぎりと鳴っているような。
「いい加減にしてくださいっ!!」
「はい」
俺はすっとお盆を差し出した。妹は突然の行動に目を丸くする。
目の前に差し出されたお盆の上には、二人分の冷やし中華が乗っていたからだ。
「仲直りの冷やし中華、始めました」
「…………え?」
「久しぶりなんだ。お前とケンカがしたい訳じゃないんだ。ごめん」
「………あ…」
しばらくの間、見詰め合ったあと、俺たちはお互いに吹き出した。
「あはは、はは…………ありがとう、お兄ちゃん」
「なんで?」
「えへ……わたしがどんなにワガママしても、結局は来てくれるから」
そう言って恥かしそうに微笑んだあと、妹はベッドの上で膝を抱えた。
「わたしも、ごめんなさい……」
「……それじゃ、これであいこにしよう」
「……はいっ」
その日の昼飯は、格段に美味かった。
- 670 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/08/30(火) 23:29:23 ID:MbMwxm7F
- 空になった皿をお盆の上に乗せ、俺たちふたりはベッドの上に横になっていた。
そよ風が窓から入り込み、前髪を無遠慮に撫でていく。
「えへへ……川の字ですねっ♪」
妹はごろりと寝返りを打ち、俺にタコのように絡み付いてきた。
すりすりと頬を擦り付けてくる。ついでに胸のような物も感じる……。
「川の字にはひとり足りないだろ」
「あ……そうでした」
呟き、くすくすと笑う。俺はそんな妹がいとしく感じ、ぎゅっと引き寄せる。
妹はさらに頬を緩め、 言った。
「……三人目、欲しいですか……?」
What?
俺は即座に妹から離れ、そのままベッドから床へダイブした。尻を打った。痛い。
「じょ、じょじょじょ冗談ですっ!!」
「冗談にしては顔が赤いぞ!?」
赤面してあわあわと慌てる俺たち。端から見られたくない光景だ。
「きょっ、きょ兄妹だしな!俺たち!!」
「そ、そうですよねっ!義理ですけど!!」
「…………」 「…………」
赤面したまま、しばらく沈黙する。
- 671 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/08/30(火) 23:30:22 ID:MbMwxm7F
- 「……あのさ」
「……はい」
「……俺のこと、どう想ってる?」
「…………兄として、尊敬してます」
「……だよね?」
「……だよです」
「変な間違い、おかしたりしないよね?」
「……たぶん……」
「たぶんかよ!」
「……だって!!」
妹は言葉を吐き出そうとして、しかし途中で止めた。
「だって……!!」
いつの間にか、空はもう赤くなっていた。
「だって…………だって好きなんですっ!!」
「―――な」
「好きなんですっ!!お兄ちゃんのことが、ずっと、ずっと!!」
妹は涙をぽろぽろとこぼし、弱弱しく崩れ落ちた。
「……ずっと……ずっとぉ……うっ……ひっく……」
「あ……」
―――俺は、決断を迫られる。
- 672 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/08/30(火) 23:34:59 ID:MbMwxm7F
- >>666
相変わらず下手ですが、そう言ってもらえると嬉しいです。ウホッ
>>667
できればsageで・・・ GJありがとうです。
実はまだ次回を考えていないので、選択肢置いておきますね。
1.「これに応えないのは男じゃない!」
2.「い、いや……俺たちは義理でも兄妹なんだぞ!?」
- 673 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/31(水) 00:21:26 ID:nTmyLxn8
- >>海中さん
現時点では 「2」
…畜生、頬が弛んでしまうじゃないか
- 674 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/31(水) 12:04:52 ID:BScVxLm3
- 彼女いない暦=年齢のキモヲタが妄想しまくるスレはここですか?
- 675 :終末 ◆ZkGZ7DovZM :2005/09/01(木) 06:28:54 ID:KQaL043r
- >668->671
海中様、GJです!!萌えました!!
漏れ的に1キボンです
- 676 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/09/02(金) 03:08:56 ID:uOBPun7T
- 【大阪】中学生の妹を脅して淫らな写真を撮り自サイトで公開していた19歳の兄逮捕
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/news7/1124361427
- 677 :終末 ◆ZkGZ7DovZM :2005/09/02(金) 05:16:18 ID:iKnhGt3L
- >675
アンカーミスOTL
>668-671
- 678 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/09/05(月) 01:36:27 ID:G0VMRxMG
- daremoinai
- 679 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/09/07(水) 18:51:19 ID:D7lyIe+z
- 面白いスレだな
俺もSS書いてみようかな…
- 680 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/09/09(金) 21:24:19 ID:ncNJ9BGW
- 業務連絡。
第四弾までのSSをまとめちゃいました。よければ、どうぞ。
ところで、何気に容量が450を超えちゃってるワケですよ。
ぼちぼち次スレのことも考えなきゃですよ。
- 681 :終末 ◆ZkGZ7DovZM :2005/09/13(火) 01:34:40 ID:gFrinwOE
- 人がいない(´・ω・`)
>679様
お願いします。期待しております
>遊星様
乙です!
次スレ……ですね。
- 682 :260 :2005/09/14(水) 21:55:41 ID:icBwl0Ik
- 「お、お前が俺に?」
「うん」
「本気で?」
「うん」
「タダで?」
「お金なんて取らないよ!!」
思いっきり照れながら妙な具合に怒る巴。
勿論な事だが耳まで赤くしていては説得力の欠片もない。
そんな俺の視線を知ってか知らずか更にそっぽ向いて拗ねた横顔。
他人には絶対に見せない顔、その二だ。
俺と接していると時々こうやって子供っぽくなる事があるんだよな巴は。
まぁ、俺から言わせてもらえばこれこそ巴の真の姿なんだが。
「もう・・・あまりからかわないでよ、お兄ちゃん」
「いや、笑ったり怒ったりせわしないなぁ、と思って」
「お兄ちゃんがそうさせてるんだよ!?」
「はいはい分かった分かった、じゃあ、折角なんで膝借りるぞ」
「あ・・・うん・・・」
ここで言い合いを始めては多分、昼休みが終わるまで続くかもな・・・
不毛な論争を避け、柔らかい膝に潜り込む。
背中越しに伝わる温もりと胸を透くサラリと風に揺れる髪の香り。
想像なんて遥かに及ばない心地よさについ黙り込んでしまう俺。
「・・・あの、お兄ちゃん・・・どうかな?」
俺を膝に乗っけてから黙り込んでいた巴が不意に口を開く。
「えっ、ああ・・・なんというか・・・かなり恥ずかしい」
- 683 :260 :2005/09/14(水) 22:03:18 ID:icBwl0Ik
- お久しぶり、誰も待ってない期待してない260です。
前回から約二ヵ月ぶりに投下します。
- 684 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/09/14(水) 22:20:35 ID:cnkDzGMc
- キタ━━━(゚∀゚)━━━!!
待ってましたよ。期待してましたよ!!
アナタの作品、大好きです、俺。
- 685 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/09/14(水) 23:16:25 ID:/h12MEU3
- 今日も何時もと同じ朝がやってくる
「シャ!」
カーテンの開く音と共に朝日の眩しい日差しが射し込んでくる…
「何時まで寝てんだよ!もう起きる時間だぞ!」
妹の舞の声が耳に響く…
「あぁもう!何時コイツは!起きろ!」
「ガバッ!」その言葉と同時に布団が取られる
「あと少しだけ……」
「あと少しじゃねぇよ!サッサと起きろ!毎朝起こす身にもなってみろ!」
「でも少し…(ゴニョゴニョ)」
「?何か言った?」
「サッサと起きろってんだよ!!」
「わかった、わかった…わかったからもう怒鳴るな…」
「怒鳴りたくて怒鳴ってるわけじゃねぅんだ!てめぇがサッサと起きねぇから怒鳴ってんだよ!ほら早く朝飯食わねぇと学校遅れちまうぞ!」
何時と同じような時が、何時と同じように流れて行く
そんな何時と変わらない朝…
- 686 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/09/14(水) 23:19:04 ID:/h12MEU3
- 645です…諸事情で来れませんでした、スミマセン…
初めてなんで色々ご指摘お願いします…
ツンデレって難しい…
- 687 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/09/15(木) 22:59:23 ID:MhIlxmEh
- おお、待ってました!!
続きを期待してますぜ。
そうですねぇ、指摘するなら、
後半どれが誰のセリフか分かりにくい。とか……。
効果音をセリフと同じように書く(二行目と七行目)のは違和感。とか……。
偉そうだね。ゴメン。
- 688 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/09/16(金) 00:05:00 ID:oiY7qzfM
- デレ分が足りない…いや真のツンデレ好きなら分かるのだろうか。
とにかく先を期待している。
オレなんか何も書けないくせに偉そうだね、超ゴメン
- 689 :ツンデレより愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/09/16(金) 18:54:26 ID:dokk7KB2
- 忘れたのか!? 『 ツンデレ 』とは
「なによあんた、半径2m以内に入ってこないで!
― でも5m以上離れないで 。― 」だ。
ちょ、ちょっと見つけたからコピペしただけよ!!
ほら、ワタシはこのスレのためを思って……。
だから、勘違いしないでよ!!べ、別にアンタのためとか、全然そういうのじゃ……ないんだからねっ!!
で、でも……折角ワタシが探してきてあげたんだから……ステキなSS、書きなさいよ!?
- 690 :大日本美桜塾 ◆HenXmdfsKc :2005/09/17(土) 06:18:36 ID:gmTJYAZF
- もっと暴力的な方がいい
- 691 :【官憲上等】大日本美桜塾 ◆HenXmdfsKc :2005/09/17(土) 06:28:54 ID:gmTJYAZF
- >>690はツンデレの事ね
最近生塩なキャラが増えたな…と思っただけ
妹じゃないがリアル姪っ子に言われたいなぁこのセリフ↓
あにじゃー
もっと高くなのじゃー
〃´⌒`ヽ
〈((リノ)))iiヽ
l从・∀・ノ!リ人
⊂)丕⊂)ヽ)
∩</」jゝ((
/ / / ∩
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/ / /∧_∧||
/ /´_ゝ`)/
/| /
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| /⌒l
ヽ | /
/ |゙ー| L
/ | /(__ヽ
/ ノ
`/ /
(_ヽ
(*゚Д゚)<まだ二歳なのにツンデレの兆候が!?
御成長が楽しみでつ
- 692 :終末 ◆ZkGZ7DovZM :2005/09/18(日) 00:11:30 ID:rX9U2ao6
- >260様
GJです!続きお願いしますっ!
>645様
GJです!ツンデレ…イイですな
>691氏
イイですねぃ(´Д`)
- 693 :260 :2005/09/20(火) 20:44:46 ID:BQPS4kNx
- 随分と今更ながらな感想ではあるが巴が言い出した事も俺がそれに素直に従っ
た事もかなり大胆な話ではなかろうか?
心の天秤は未だにグラグラと上下を繰り返している。
しかし、既に巴の膝の上で安らいでいる自分がいる訳で・・・
「でも・・・良いな」
「・・・うん」
陽の光が巴の顔に影を落とす。
思えばこんな風に巴を見上げたのは初めてかもしれない。
視線の先にある表情は今までで一番、優しさに満ちていた。
俺の知らなかった巴の穏やかな顔。
そっと白い指先が額に触れる。
背中から伝わる暖かな魔法にだんだんと掛かっていく。
「ゆっくり眠っていいからね、予鈴が鳴ったら起こしてあげるから」
「サンキュ、う〜む・・・」
「?・・・どうかしたの?」
「いや、今とてつもなく幸せを感じているんだが・・・これでいいんだろうか?」
「・・・ふふっ、変なお兄ちゃん」
俺の言っている事の意図には全く気付いていないご様子の我が妹。
「ボクも思うよ、これが多分・・・女の子の幸せなんだって・・・」
「なんとまぁ、大胆な言葉」
「言わせてるのはお兄ちゃんだよ」
「はいはい、それも俺の所為ですか」
「所為じゃなくてお蔭だよ、お兄ちゃんと一緒だとボクは心に素直になれる、正直になれる」
「買い被り過ぎだって・・・神様じゃあるまいし・・・」
- 694 :260 :2005/09/20(火) 20:46:10 ID:BQPS4kNx
- 単純な事を大袈裟に語ってみせる巴。
神に近いのは巴の方だろ?と思う、本人には照れ臭くてとても言えたものではないが
容姿で言えば立派に女神だし。
太陽に映える漆黒の髪に絹の様な白い肌、薄紅色の唇。
そんな巴の瞳にやたら眠たげな俺の顔が映っている。
この腑抜けが神とは到底思えないな、我ながら。
「目に見えない神様より傍にいてくれたよ、ボクの事を解ってくれたよ」
「そう・・・かな?」
「辛い時、悲しい時、誰よりも傍にいてくれた、手を繋いでいてくれた・・・ホントに嬉しかった」
「・・・」
「今までも、これからもきっと・・・ずっと」
「ん・・・悪い、もう眠くてしょうがない」
「・・・おやすみなさい・・・夢の中でも傍にいてね・・・お兄ちゃん」
薄れ行く意識の中で聞いた言葉はこれまた大胆だったのか?
覚えているのは頭を撫でる冷たくて気持ちのいい指の感覚と陽だまりの様に暖かな膝の感触。
耳の奥にやたらくすぐったい言葉を残したまま俺はフワリと雲の上に浮かび上がった。
- 695 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/09/20(火) 21:07:22 ID:fbNHGDgX
- >>693-694
もう、最高です!!
先生と呼ばせてくださいっ!!
っていうか、コテハン、せめてトリップ付けて下さい!!
先生にはその価値が十分ありますから!!
- 696 :260 :2005/09/20(火) 21:08:14 ID:BQPS4kNx
- ようやく一段落付きました。
というか何ヶ月かかってるんだ('A`)
>遊星さん
忘れられてなかっただけで感謝です。
遊星さんのSSも期待してますよ。
羽音ちゃん、可愛いなぁ。
>645さん
ツンデレですか、この先が楽しみです。
期待してますんで無理せずにご自分のペースで頑張って下さいね。
>終末さん
ようやく涼しくなってきたのでまたちょこちょこと投下していきす。
とはいえこんなレベルなんであまり期待せずにお待ち下さい。
- 697 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/09/21(水) 11:21:07 ID:8DTrhmb/
- 童貞ヲタの妄想ほどキモいものはない。
- 698 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/09/22(木) 05:47:33 ID:q31Inh4X
- ↑
ピザデブ?
- 699 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/09/22(木) 23:52:43 ID:lBpKqiJt
- すっげえ言われたい
いや、解かってるんだ、リアルは違うなんてことくらい。
だからこそオレは、このスレに…居るんだ……(ガクッ
- 700 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/09/24(土) 02:10:49 ID:I3SxLL4k
- >>697
粘着質だなー
よっぽど恵まれない毎日を送ってるんだね君ってw
- 701 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/09/29(木) 13:25:14 ID:S0xd9dzq
- 流れをぶったぎりますが、妹に言われたいせりふです。
「おかゆ先生だいすき〜!!」
これだけでたぶん俺もおかゆになれます。
- 702 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/09/29(木) 23:27:02 ID:sZNsZdVx
- >>701
なんでそうなるかなぁ……?
- 703 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/09/30(金) 07:34:27 ID:3XE7FDoG
- つぽかっ☆
- 704 :260 :2005/09/30(金) 21:26:21 ID:dahocQXW
- 学校帰りに軽い足取りで駅前を歩く。
「家に直行するのもいいがなんとなくどこかに寄っていきたいし、ん?あれは・・・」
本屋でも冷やかしに行こうかと思索していたその時に見つけ二つの背中。
一つは見慣れた妹の背中、そしてもう一つは知らない男の背中。
どうやらまた勇気あるチャレンジャーが現れたみたいだな。
普通なら兄として多少なりとも心配すべき所かもしれないが俺は正直なんとも思わない。
「おぉ、まだいたんだ・・・挑戦者が」
見えるんだよな、あからさまな拒絶のオーラが。
程なくして肩を落とし去っていく男。
去り行く背中は気のせいか一回り小さくなって見えた。
善戦した様だがまたもや秒殺か。
そんな光景を後に俺は忍び足で巴の背後に迫る。
「ご一緒にお茶でも如何ですか?お嬢さん」
「はい、喜んで・・・お兄ちゃん」
- 705 :260 :2005/09/30(金) 21:33:07 ID:dahocQXW
- 朝晩がようやく涼しくなってきましたねぇ。
そんなこんなで投下させて頂きます。
>遊星さん
せ、先生!?
褒め過ぎでしょうそれは。
真面目な話、前にも言いましたが萌えでは遊星さんに
敵わないですよ。
後、トリップかコテハンはもう少し書き続けられたら考え
ます。
なにげに投下したssはまだ二つだけなんで。
- 706 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/10/02(日) 13:07:12 ID:9reAzgol
- >>704-705
いやー、俺、もう感動したっスよ!!
あれですね、さすが260さんって感じっスね!!
しかし、さすがに俺も何か書かなきゃなぁ。
- 707 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/03(月) 23:46:29 ID:mCHWU/2X
- 「...兄貴...いっしょに食べよ。」
これだけで俺は多分泣けます。
- 708 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/04(火) 03:56:50 ID:/PkeQlI0
- 「お兄ちゃん……お兄ちゃん…………お兄ちゃん!!」
「えっ?あぁ俺のこと?」
「はい…」
「どうしたの急に?いつもは真司さんって呼ぶのに」
「義理でも一応妹ですから…そう呼んだ方がいいかなって………嫌ですか?」
「いや、全然いいけど…なんか照れ臭いな」
「あと私のことも真希ちゃんじゃなくて真希って呼んで下さいね♪」
「はいよ」
「それにしてもお母さんたち遅いですね」
「あぁ〜…今日は外で食うっつってたの忘れてた…」
「えぇ!?じゃあ晩ご飯はどうするんですか!?」
「真希ちゃん作ってよ」
「真希ちゃん…ですか?」
「あぁ〜真希ね、真希、はいはい」
「わかればいいんです♪」
「で?何作ってくれんの?」
「ん〜…じゃあお兄ちゃんの大好きなハヤシライス作ります!」
「おぉ!嬉しいねぇ〜真希のハヤシライスは最高に美味いからなぁ〜」
「おだてても何も出ませんよ♪」
「ハヤシライスが出ます!」
「もう!」
「あはははは」
秋の夜に…ハウスのハヤシライス…
以上、ハヤシライスのCMでした。
- 709 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/04(火) 04:31:44 ID:69OZb7lj
- >>708 ..............
こういうの嫌いじゃないな
- 710 :260 :2005/10/05(水) 20:43:49 ID:fu61cigc
- わざわざ声色を変えて話し掛けた俺に弾んだ声が返ってくる。
「・・・気付いてたか、無念だ」
「ボクがお兄ちゃんの声、解らないと思う?ふふっ」
先程までとは打って変わって和やかな笑顔の巴。
人差し指で俺の鼻先に軽くタッチして、くるりとスカートを翻す。
(うっ・・・可愛い過ぎるぞ、巴・・・)
やたらと人懐っこい仕草に思わず鼓動が高鳴る。
意識してこういう事をやっていない分、余計にドキドキさせられてしまう俺。
ちょうど背中越しになって照れた俺の顔が見られなかったのが幸いだ。
「じゃ、行こ」
「は?どこに?」
「お茶に誘ってくれたのはお兄ちゃんだよ」
「・・・あ〜・・・しょうがない、男に二言は無いか」
寄り道したいと思っていた矢先だし、それも悪くない。
まんざらでもない俺の態度に満足したのか上機嫌で肩を並べ隣を歩く巴。
昔と少しも変わらない巴のそんな姿に思わず笑みの零れる俺だった。
- 711 :260 :2005/10/05(水) 20:55:17 ID:fu61cigc
- >遊星さん
お褒めの言葉どうもです。
一ファンとして次回作を期待してますよ。
>708さん
いいですね、こういうほんわかしたのは大好きです。
なんかハヤシライスが食べたくなりました。
文字通り旨いCMだ。
- 712 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/10/05(水) 21:23:52 ID:eAYB1uHB
- 朝だ。
何時に起きようと、学校に行くという目標が控えている限り、眠い。
最近やっと、そんなことに気付いた。
休みの日はいくら眠くてもなかなか眠れないしね。
「ふあぁぁぁあ」
俺は、大きな欠伸をしながら、階段を下りる。
「おはよー……って誰もいないよなー」
自分の挨拶に自分で突っ込みながら、キッチンに続くドアを開けた。
……ハズだった。
「……ぇと……」
俺を迎えてくれたのは、小さな小さな女の子。
俺の妹、杏。
まぁ、妹と言っても血の繋がりは無い。
つい最近、母親が再婚して出来た、歳の離れた妹。
とにかく、そんな妹と、ガッツリ目が合ってしまった俺は、なんというか、気まずい思いに駆られた。
それは杏もおなじらしく、杏も全力で視線を下に逸らす。
……ここまでやられると、微妙にショックなんですけど。
「おはよう」
俺も目をそむけたかったが、まだ仲もよろしくないので、挨拶は重要だ。
俺は杏の座っているテーブルに近づきながら、出来るだけの笑顔を杏に向ける。
「……」
俯いて、全身を強張らせている杏は何も言わない。
無視ですか……。
「むぅ……」
杏の隣にでも。と思ったが、あまりの滑りっぷりのため、杏の横を通り抜け、冷蔵庫に向かう。
今となっては、あの笑顔が恨めしいよ、お母さん。
特に意味もなく、冷蔵庫の前までやってきた俺は、別に飲みたくも無い牛乳を取り出してみる。
バタンと冷蔵庫の扉が閉まったとき……
- 713 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/10/05(水) 21:25:42 ID:eAYB1uHB
- 「お、おはよう……ございます……」
「ん……?」
今小さな声で、おはようございます、と聞こえたような……。
「杏ちゃん、何か言った?」
黙ってブンブンと首を振る杏。じゃ、気のせいですね。
「そう、ゴメンね」
「……」
返事なし。
……クールですね、杏さんは。
「さてと、朝飯朝飯」
いつものように、食卓の上には朝食。
ちなみに母さんは二度寝中。ご苦労さんです。
「杏ちゃん、朝ごはんは?」
「え……えと……」
俯いて、モジモジする杏。
そんなに俺が嫌いなのか……杏ちゃん。
もうそろそろ、仲良くなるの諦めようかな。
なんて思っていると……
「ま、まだ……です」
「無理して丁寧な言葉しなくてもいいから」
「あ……うん」
「じゃ、一緒に食べようか?」
「う、うん」
杏ちゃんが立ち上がる。
そして、トテトテこちらに歩いてきたかと思うと、背伸びをして、食器棚を覗き始める。
俺はそんな杏を横目で見ながら、箸を出したり、茶碗にご飯をよそったり。
そうだ、茶碗と言えば
「そういえば、杏ちゃん」
「は、はい」
ビクっと体を大きく震わせて、こちらを向く杏。
- 714 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/10/05(水) 21:27:10 ID:eAYB1uHB
- 「杏ちゃんのお茶碗って、このクマのでよかったんだっけ?」
クマの茶碗を杏にも見えるように、上げる。
「えっ?……あ……うん」
「……何してるの?」
「えっと……お茶碗……」
「茶碗?」
「……お手伝い、しようと思って……」
「あぁ、そういうことか。そっちの棚は、あんまり使わないのばっかり入ってるからね。
お茶碗とか、よく使うのはコッチなんだよ」
「っ!?ご、ゴメンなさい!!」
凄いスピードで頭を下げる杏。
……謝るときだけ元気だな。
「い、いや。別に謝る事じゃないよ」
って言うか、ここまでされるとコッチが困ってしまう。
「さ、用意できたから、食べよう?」
「……うん」
恐る恐る顔を上げた杏は、いつもの杏で……食卓に向かう俺の後を、ゆっくりとついてくるのでした。
───────────────────────
何か最近新キャラばっかりで……どうなる!?未来、沙耶、双子!?
ってな感じで……新キャラ、杏。
まだ続くつもりです。どうかご期待しないように。
>260様
先生、アナタのSS、大好き。
アンタ最高だよ、マジで。
- 715 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/05(水) 21:39:28 ID:NxNXrSgc
- 生徒A「おい!あの子可愛くね!」
生徒B「うお!やばいな!」
美紀「…なにかよう?」
生徒A「ねぇねぇこれからどっか行かない?」
美紀「いい」
生徒B「ようでもあるの?」
美紀「別に」
生徒A「ならいいじゃん」
美紀「あんた達と遊んでる暇はない」
生徒A「ちょっと可愛いからってイキがんなよ!」
由紀「おい!お前らうちの妹に用か?」
生徒B「(げっ!山中!こい山中の妹かよ!)」
生徒A「い、いや!なんでもないよ!なぁ!」
生徒B「そうそう!じゃあ俺たちこれで!」
由紀「なんなんだあいつら?」
美紀「ただのナンパ野郎てか兄貴面すんな」
由紀「はいはい」
美紀「アリガト」
由紀「なんかいったか?」
美紀「別に」
夜
由紀「ふぁ〜ねるか」
コンコン
由紀「ふぁい?」
美紀「ぐすっね、ねぇ一緒にねてもいい?」
由紀「またか〜いいよこっちこいよ」
美紀「う、うんありがとお兄ちゃん…」
おしまい
- 716 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/05(水) 21:40:39 ID:NxNXrSgc
- >>生徒B「(げっ!山中!こい山中の妹かよ!)」
>>生徒B「(げっ!山中!こいつ山中の妹かよ!)」
に直しておいてください
- 717 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/05(水) 21:50:31 ID:WcOqpTh7
- わーい褒められた!なんかめっちゃ嬉しい♪
ハヤシライス食ってる時に思いついたんです
- 718 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/06(木) 01:36:10 ID:s9zIu7rK
- 俺もさっきカレー食べてたのにハヤシライス食べたくなってきた。
つーかしばらく来ない間に新規さんが増えてるし、>>260氏が台頭
してきてるし、ゴッドは新キャラが登場してるし。
・・・この調子で職人さんが増えてくれれば良いなあと
- 719 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/10/06(木) 20:02:01 ID:N/VanJ8N
- 職人さんが増えるのはもちろん歓迎だけど、
海中さんとか、すばるさんとか、姐さんとかのSSが読みたいと思ってるのは俺だけだろうか。
最近お姿を見てないのだけど……。
- 720 :712 ◆isG/JvRidQ :2005/10/07(金) 22:05:56 ID:lYbppSbX
- 俺を持ちうけていたのは……沈黙の食卓でした。
俺から杏に言うことも特に思いつかず、杏が俺に話しかけてくるわけも無く、必然的にこういうことになっている。
……美味いハズがねぇよ。
これは、何よりも、気まずい。
何か話すこと無いかなー、なんて思いながら、チラッと杏の顔を見ると……
「!?」
また目が合ってしまった。
そして、また全力で視線を逸らす杏。……またもショックを受ける俺。
話をするタイミングまで失ってしまった。
「あ……あの……」
そんな小さな声が聞こえる。
「ん?」
「それ……」
俺が杏ちゃんに目を向けると、杏ちゃんは俯いたまま、俺の顔の右下辺りを指差した。
俺もそちらに目をやると、
「あぁ、醤油ね。どうぞ」
またも俯きながら、俺の出した醤油を取る杏。
「あの……えっと……その……あ、ありがとう……」
段々小さくなっていく言葉。俺には『が』辺りから聞こえなくなった。
まぁ、何を言おうとしているのかは分かったが。
そして、また沈黙の食卓の再開。
いや、それだけは避けねば!!
「そういえば……今日は早いよね?どうかしたの?」
「え……あ……うん」
うん。って……。
俺は別に理由の有無を聞いてる訳じゃないっつーの!!
- 721 :712 ◆isG/JvRidQ :2005/10/07(金) 22:07:08 ID:lYbppSbX
- だけど、こんなこと本人に直接言えるわけも無く
「あ、ああ、そうなんだ。何があるの?」
「えと……当番なの……」
「当番?あぁ、飼育当番とか?」
「ううん……お水……あげるの」
「そうなんだ」
……まぁ、60点だな。
「友達出来た?」
ちょっと調子に乗ってきたので、質問を続ける。
首をコクコクと縦に振る杏。
「そっか。よかったな」
「うん」
杏は少しだけ顔を上げて、頷いた。
「学校楽しい?」
「うん」
さっきよりもまたちょっと顔を上げて頷く杏。
「そっか」
うん、割と満足。
つ−か、会話が成立しただけでも快挙なんじゃないですか?
満足と同時に、朝から疲労した気持ちを感じながら、焼き魚を突付く。
うん、美味い。
そのまま満ち足りた気分でご飯を食べていると……
- 722 :712 ◆isG/JvRidQ :2005/10/07(金) 22:08:04 ID:lYbppSbX
- 「あっ……あの……」
杏の小さな声が聞こえたような気がした。
「ん?」
俺がゆっくり杏に目を向けるのにつれて、目を伏せていく杏。
……この行動の意味が分からん。
しばらく見つめていたが、杏はモジモジしたまま何も言わない。
諦めて、下を向くと……
「い、いっしょに……」
確かに杏がそう言った。
あわてて、顔を上げる俺。
「ん?」
「え、えと……い、いっしょに……」
「一緒に……?」
「いっしょに……えと……学校……」
「一緒に学校……?」
「えと……その……行こう……?」
あ……。
顔、上げた。
杏が何かを話してるときの顔、初めて見たかもしれない……。
こんなに顔、真っ赤にして話してたんだ……。
「うん、いいよ」
「あ、ありがとう……!!」
胸の前で組んだ手をせわしなく動かしながら、杏がちょっとだけ笑う。
……そういえば、笑顔も始めてだ。
「いいよ、お礼なんて」
俺がそういうと、杏はご機嫌そうに、食事の続きを始める。
訂正。80点はカタい。
大きな進展を感じながら、俺も朝食をまた食べ始めるのでした
───────────────────────
- 723 :712 ◆isG/JvRidQ :2005/10/07(金) 22:10:57 ID:lYbppSbX
- とりあえず前回のでネタ切れにならなくて一安心。
……でも、続くのやら続かないのやら。とりあえず、頑張ります。
- 724 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/08(土) 00:33:54 ID:3Bx7W86Z
- 激しく続き期待してます
ただ、この兄妹の年齢設定がワカリマセヌ
このオレが脳内補完もできねーとはね
- 725 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/08(土) 06:18:38 ID:NH8Yq+2P
- 妹 年齢一桁
兄 おそらく高か大だろう
一緒に行く 妹の学校までの道に駅があり、兄はその駅を使って学校へ行きます 途中まで一緒
漏れの中ではこういう設定になっている
- 726 :712 ◆isG/JvRidQ :2005/10/08(土) 14:06:49 ID:kScl96pG
- 今回はあんまり年齢とか細かい設定は考えてないんだけど、
まぁ、妹が小学校高学年、兄は高校一年くらいかな。と。
場所については、>>725さんと逆で、駅までの道の途中に学校が。みたいな。
だから『今日は早いよね』となる訳でして……まぁ、だからどうってことはないですが。
- 727 :260 :2005/10/08(土) 21:59:14 ID:u8qDI+Ih
- 「はぁ、涼しいな〜っていてて!!なにするんだよ!?」
「・・・余所見してるからだよ」
冷房の効いた喫茶店でまったりウェイトレスさんを眺め始めた矢先に
耳を軽く引っ張られる。
「見るぐらいならいいじゃないか、タダなんだし」
「そういう問題じゃないの・・・それより、ホントによかったの?」
「ん?注文の事か?いいのいいの」
能天気な返事に零れる呆れた巴の溜め息。
店内に流れるモノラルの音色がそれを俺の耳元でかき消す。
「普通のオレンジジュースでよかったのにスペシャルトロピカルジュースだなんて」
「だってこれだけ値段が一桁違うんだぞ?気になるだろ」
注文しようとした巴を手で制して頼んだ大層な名前の飲み物。
正直、興味本位だったのは否めない。
「俺のおごりなんだから気にするな、飲みきれなけりゃ半分俺が飲むし」
「でも・・・」
「そんなに深刻な事でも無いだろうに・・・責任は俺が取る、それよりだ」
「?」
「またまたアタックを受けてたみたいだったな」
「・・・ああ、その事」
- 728 :260 :2005/10/08(土) 22:18:39 ID:u8qDI+Ih
- 今現在、クリスマスSSを頑張って書いてます。
ええ、出来上がるのはちょうどそれ位の時期でしょうから
>>718さん
新規さんも増えて俄かに活気付いてきて嬉しいかぎりですね。
一個人としてはこれからもぼちぼち投下していくつもりです。
>>遊星さん
流石は遊星さん、続きも期待させて頂きます。
杏ちゃん、ぎこちない感じが可愛いですね
- 729 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/10(月) 01:46:56 ID:aojs9GCd
- 「お兄ちゃん!今日が何の日か知ってる?」
「…知らない」
「あ、ひっどーい!今日は私がこの家に来てから丁度2年だよ」
「ちげぇよ…。俺がお前を好きになった日から丁度2年」
「…え?私もそれ今言おうとしたのぉ!ずるいよ…」
- 730 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/10(月) 02:13:01 ID:VpFNMmyu
- 9時。居間でテレビを見ていた妹がコタツの中で寝ている
テレビが終わったら風呂に入るとか言っていたのだが…
風呂に入れば眠気も取れたろうに
しかたない。このままでは風邪をひくから抱えて部屋に連れてってやる
よいしょ!…結構重たい
暖房の効いた居間の戸を足で乱暴に開けると冷たい風が頬をかすめた
布団の用意がまだだったので畳の上にそっと寝かせて布団の用意をしてやる
押し入れを開けて布団をだすと、ふと良いにおいがした
布団の用意ができたので上に寝かせてやる
見ると畳の上で寒そうに足を抱えて縮こまっている
手を触ると冷たかった
手が冷たい人は心が暖かいという話を思い出す
この部屋には暖房がない
だから毛布を2枚かけてやる
湯たんぽも用意してやろうかな
立ち上がって台所に行く
湯たんぽは昨日使ったまま、流しに立て掛けられていた
タオルで2重にまいてポットから湯を入れる
湯たんぽの用意もできたので部屋に戻る
部屋に戻ると妹は起きていた
どうやら布団の冷たさで目が覚めたらしい
服を脱がしてパジャマに着替えさせ、布団の横から湯たんぽを入れる
なんか寂しいので手を握ってみた
やっぱり手は冷たい
両手で左手を包むようにして暖める
少しすると規則正しい寝息が聞こえ出した
妹の左手を布団の中に入れて肩が冷えないように布団をかぶせ、部屋から出た
さて、風呂入って寝るか
- 731 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2005/10/10(月) 11:14:44 ID:VhDinb8P
- トリ忘れた・・・これで合ってる・・・・・ハズ(ぇ
>>719
一応は居るんですが忙しくて・・・('A`)
まとめサイト(?)管理乙です〜
- 732 :712 ◆isG/JvRidQ :2005/10/12(水) 21:58:11 ID:pf6ZEXpT
- 「……」
「……」
二人、黙ったまま、学校への道を歩いていく。
……いや、こうなるのは分かってましたけどね。
何か話した方がいいのかとも思うけど、
さっきの恥ずかしそうな顔見ちゃうと、無理に話しかけるのも可哀想な気がして……
どうしようかな……。
「あ、あの……」
そんな時、隣の杏が俺の顔を見上げて言う。
「ん?」
「え……えと……」
杏は、腰の辺りで指をモジモジ動かしながら、小さな声で言った。
「どうしたの?」
「え、えっと……その……」
徐々に真っ赤になっていく杏の顔。
「だから……その……」
こういう娘だって分かってるから、別に俺も急かしはしない。
急かしたところで、どうにかなるものでもなさそうだし。
「えっと……その……手……」
「手……?」
ああ、俺ちょっと分かってきたよ。
この感じから行くと……
- 733 :712 ◆isG/JvRidQ :2005/10/12(水) 21:59:41 ID:pf6ZEXpT
- 「はい」
杏に手を差し出す。
「え……」
「手、繋ぎたいんでしょ?」
「う、うん……!!」
杏は嬉しそうに、大きく頷いてから、俺の手を優しく握る。
「へへ……」
顔を真っ赤に染めながら、俺の横で並んで歩く杏。
……もう少し、ゆっくり歩かなきゃな。
「……帰りも……いっしょだと……いいな……」
暖かくて、優しい杏の笑顔。
「うん。そうだね」
そんな杏に、優しく笑いかける俺。
……おや、意外と俺も笑顔出来るんだな。
そのまま、何の会話もなく進む。
やがて、杏の学校の前に着く。
小さく手を振りながら離れていく杏に、手を振り返し、
いつもの道とは違う道を、駅に向かって歩き出した。
───────────────────────
- 734 :712 ◆isG/JvRidQ :2005/10/12(水) 22:01:48 ID:pf6ZEXpT
- ええい、筆が進まん!!
つーか……本格的なネタ切れかもしれません、俺……。
クリスマス、正月、バレンタイン……あぁ……。
>260様
GJっス!!続き、期待してます!!
あと、クリスマスSSも、楽しみにしてますよ!!
>>730
季節先取りって感じですな。
ふむふむ……情景描写の描き方とか、勉強になるっス……。
>すばるさん
おぉっ!!久しぶりでござりますです!!
いつか、すばるさんのSSが読める日を待ってますぜ。
さて、そろそろ、次スレ立てましょうかね。
- 735 :712 ◆isG/JvRidQ :2005/10/12(水) 22:13:38 ID:pf6ZEXpT
- ダメでした……カッコ悪ぅ……。テンプレ作ったから、気に入ったら使って。
「あ、お帰りなさい、兄さん。ご飯できてますよ」
ここは、脳内の妹さんが囁いてくれるセリフとかSSとかを暴露しちゃうスレなんです。
【兄さんと私の約束】
・荒らしさんや厨房は、無視してくださいね?
そうでないと、兄さん自信が居づらいスレになってしまいますよ。
・出来れば、sage進行でお願いしますね。……その……恥ずかしいですから。
メール欄に『sage』といれてくださいね。
・SS職人さんにはお礼を忘れずに。
次も素敵なSSを読むことの出来るコツですよ。
・たとえリアル妹さんでも……浮気は、許しませんからねっ!?
【兄さんとの思い出】
妹に言われたいセリフ
http://game.2ch.net/gal/kako/1022/10225/1022257886.html
[第二弾]妹に言われたいセリフ
http://game4.2ch.net/test/read.cgi/gal/1028470988/
[第三弾]妹に言われたいセリフ
http://game9.2ch.net/test/read.cgi/gal/1056993709/
[第四弾]妹に言われたいセリフ
http://game9.2ch.net/test/read.cgi/gal/1106065356/
[第五弾]妹に言われたいセリフ
http://game9.2ch.net/test/read.cgi/gal/1110717816/
過去ログ倉庫
ttp://www.geocities.jp/mewmirror9/
では、このスレも楽しんでくださいね、兄さん?
- 736 :260 :2005/10/12(水) 23:17:22 ID:WK59l+zx
- 次スレ、立てました。
[第六弾]妹に言われたいセリフ
http://game9.2ch.net/test/read.cgi/gal/1129126207/l50
- 737 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2005/10/16(日) 15:01:13 ID:EdtwdGwB
- やっと追い付いた!
>>690美桜くん推奨のの暴力的な妹を埋めついでに即興で軽く妄想してみますです
コンコン
「・・・・・」
本日3度目の沈黙。妹が学校帰ってきてから何か様子がおかしい。
人が「おかえり」と言っても「ただいま」どころか返事すらなかった。
いや、「ただいま」はいつもないか・・・いやいや、今の問題はそこじゃない。
いつもならノックをするだけで「うるさい!」だのなんだのとつっかかってくるのに今日は何度ノックをしても返事がない。
「お〜い。寝てるのか〜?」
・・・・・。やはり返事はない。だが俺は負けず嫌いだ。こうなったら何か反応があるまでノックし続けてやる!
コンコンコンコンコンコンコンコンコ・・・「うるさいよバカっ!・・・放っといてよ!」
「人が心配してるのに放っといてはないだろ?お前帰ってから何かおかしいぞ?」
「誰も心配してなんて頼んでない!どっか行ってよ!」
『どっか』とは妹の部屋のドアの前以外なら何処でもいい・と言う事か?なら・・・
俺は目の前のドアを掴み、妹の部屋へ入る。
久しぶりに入る妹の部屋。思わず立ち尽くしてしまった。
そこは俺の知っている妹の部屋ではなく、立派な女の子の部屋だった。
そして当の妹はベットの上で布団を被り蹲っていた。
「なんで入って来んのよ!?どっか行ってって言ったでしょ!」
「どこか行けって言われたから部屋の前から部屋の中に移動したんだが・・・ダメなのか?」
「ダメに決まってんでしょ!早くどっか行ってよ!」
「だが断る。お前が布団から出てきて何があったのか話すなら考えよう。」
「・・・何もないよ!出てって!もう放っといてよ・・・」
- 738 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2005/10/16(日) 15:36:43 ID:EdtwdGwB
- 俺は黙って妹のベットの横へ移動する。そしてもう一度
「お前が 布 団 か ら 出 て き て 何 が あ っ た か 話 す なら考えよう」
言い終わるか終わらないかのうちに妹がバッと起き上がり妹の右手が俺の頬に飛んでくる。
つまり、ビンタされた。いつも叩かれてるせいで手加減無しだとわかった。
妹はすぐに顔を反らしたがビンタの反動で妹の目から何かが飛んだのもわかった。
「・・・いい加減にしてよ!そんなに私が嫌い!?こんなからかいに怒ってる私を見てそんなに楽しい!?」
「とりあえず嫌いなやつの心配をするやつは居ないと思うが?まぁ少しからかってたのは否定はしないけど。」
「・・・うるさい!都合のいいときだけ兄貴面しないでよ!」
「俺はいつも通りだが。俺は今のお前にとって都合がいいのか?」
「うるさい!あっち行って!私に構わないで!」
「都合がいいと思うならお前も都合よく妹面すればいいだろ?俺はお前の兄貴だからな。強制はしないけどね。とりあえず夕飯作っといたから食べろよ。じゃ、どっか行くよ。」
なんでこいつは素直になれないんだろうか。強がって、自分を隠してる。
泣きたい時くらい素直に泣けばいいのに。
とにかくこれ以上居ても妹の機嫌を逆撫でするだけだと思って妹に背を向けた。
その時、急に背中の重力が増した。
「・・・この部屋の空気が重いせいか随分と体が重いな。背中に何か乗ってるのか?」
「何も乗ってない。運動不足だ。バカ・・・」
「運動不足とバカは関係ないと思わないか?」
「関係ある。運動してれば重いなんて思わない。それと・・・こっち向くな。こっち見るな。」
「それは困った。もう向いてる。だが幸いまだ見てはない。」
そう言って妹を抱き締める。
布団から体を乗り出して抱きつく妹とぼーっ天井を見つめながら妹を抱き締める兄。
- 739 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2005/10/16(日) 16:03:47 ID:EdtwdGwB
- 「端からみたら本当に『バカ』だな・・・」
「兄貴がね。」
「その『バカ』の妹もきっとバカだな。きっと強がりで無器用で、悲しい時でも兄貴に頼れないようなバカだ。」
「そうかもね・・・」
「お前の事だ。」
妹につねられる。やっぱり今のは失敗だったかも。
でも今度は手加減されてるのが分かる、と言うより痛くない。
「背中が痛い気がする。これも運動不足のせいだと思う?」
「当たり前。帰宅部なんかやってるからだよ。少しは運動しろ。」
「どっかのバカが素直になるくらい無理だな。」
「じゃあ出来る。」
「例えば?」
「・・・長距離走・・・気分がすっきりする。」
「つまり一人じゃ寂しいから一緒に走って欲しいって事か?」
「っ!!///」
途端に突き放され妹の顔が真っ赤になる。
真っ赤になった妹の顔にはさっき飛んだ『何か』がなくなっていた。
それを見た俺はにやにやしてしまう。
妹が赤面している事よりも何よりも、妹が兄を頼って、そこに安らぎを感じてくれた事が嬉しかった。
だがバカの妹がバカなように、素直じゃない女の兄も素直じゃない。
- 740 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2005/10/16(日) 16:20:37 ID:EdtwdGwB
- 「図星か?そうなんだな?」
「違うっ!兄貴が運動不足で太ったら学校で私が恥をかくからっ!!」
「はいはい。いやぁ妹に頼られる兄貴はつらいなぁ!」
「違うって言ってんでしょ!このバカ!!早くどっか行け!!」
バシンッ
本日2度目。また叩かれた。しかも手加減無しに。
ただ今度は1度目と違い嫌な気分はしない。痛いが。
「はいはいどっか行きますよ。夕飯、忘れるなよ。」
そう言って今度こそ部屋を出る為ドアへと歩く。
今は重力が弱いからか空気がいいからか体が軽い気がする。
「・・・ありがとね。」
「・・・なんか言ったかバカの妹のおバカさん。」
「どっか行くならちょうどいい走って行け。ミスター運動不足。」
「そうだな・・・多分30分後くらいには公園辺りまで走ってるだろうな。じゃあね、寂しがり屋のお姫様。」
「な・・・っ!!////」
言いながら走って部屋を出てドアを閉める。
やはり今は体が軽い。
少し運動した方がいいかも。と少し本気で思った。
長距離走、妹と同じ部活もいいかもとも思った。本当に少しだけ。
ドアを閉め終わるか終わらないかで妹の部屋から「今すぐ地獄まで走ってけバカッ!」と言う大声と枕が飛んで来た気がするが気のせいだろう。きっと。
- 741 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2005/10/16(日) 16:24:47 ID:EdtwdGwB
- あれ?
終わってみたらこれはツンデレかどうかすら危うくなってるような・・・
久々に書いてみたら時間掛るし文章書けないし妹も兄も名前ないし・・・ダメぽ(・ω・`)
駄文で申し訳ないです・・・と言う埋めでした まる
- 742 :712 ◆isG/JvRidQ :2005/10/17(月) 21:08:28 ID:ccxLyglz
- さて、杏ちゃんは少しお休み。遊星的ツンデレ妹のはじまりはじまり〜。
何か冷たいケンカになってしまった……。
───────────────────────
ピーピーピー……
電子レンジが電子音を発する。
そういえば、レンジで暖める事を「チンする」というが……
『チン』と音がなるレンジは最近あまり見ない。
「最高にどうでもいいな、我ながら……」
レンジの中から夕飯のおかずを取り出し、テーブルの上へ運ぶ。
両親が急な用事で出かけてしまって、今日は俺一人。
気楽といえば気楽であるが、静か過ぎるのも少し寂しい。
少々行儀は悪いが、テレビでも見ようかと、リモコンに手を伸ばしたその時……。
コト……。
俺の前に夕飯の生姜焼きの載った皿が置かれる。
「え……?」
突然のことに驚きながら、皿の少し上へ視線を向けると……
「何よ?」
何が気に食わないのか分からないが、ムッっとしている妹、彩の顔が。
「別に。彩が来たのに気付かなかったから、ちょっと驚いただけ」
「お兄ちゃんが、ボーっとしてるからでしょ?」
生意気というか……何でこんなにケンカ売るような事を言うのだろう。
「……」
まぁ、こういうのは無視するに限る。
……というか、腹減って、怒る気になれないだけだが。
俺は、黙って夕飯を食べ始めた。
……空気が重い……。
そうだ、テレビだ。
俺がテレビをつけると、ちょうどバラエティ番組が。
一見何をやっているかはさっぱりだが、今はこのバカらしさが有り難いよ。
てなことを考えながら、しばしテレビを眺めていると……。
- 743 :712 ◆isG/JvRidQ :2005/10/17(月) 21:10:17 ID:ccxLyglz
- プツン……。
何とも無残な音がして、また静寂が戻ってくる。
俺が正面に目を向けると……。
「うるさい」
サラダを食べながら、彩がピシっと言う。
もう一度テレビをつけようと思ったが、リモコンはすでに彩の手の中。
「俺は少し賑やかなほうが好きなんだけど?」
「あっそ」
関係ない、とでも言いたげな彩の顔。
うるさいと思うなら思うで、もう少し言い方ってモンがあるだろうに……。
だが、この挑発に乗る俺ではない。
俺は黙って席を立った。
「どこ行くの?」
「俺、和室でテレビ見るわ」
「え……」
俺がそういうと、何故か、俯く彩。
「どうかしたか……?」
俺が尋ねると、右方が急に騒がしくなる。
どうやら、テレビの電源が入ったようだ。
「え……?」
「わ、私見たいテレビあったの忘れてたよ。お兄ちゃんも一緒に見ても良いよ?」
「あ、ああ……」
何か拍子抜け……。
- 744 :712 ◆isG/JvRidQ :2005/10/17(月) 21:11:22 ID:ccxLyglz
- どうすればいいか分からず、とりあえず黙って座る俺。
「……この番組でいいのか?」
「う、うん!!」
「そうかい……」
まさか彩がこういう番組が好きだったとは……。
やっぱ、人間って変わるもんだなぁ……。
まぁいいや……あんまり相手にしたくないし、とにかく早く飯食って出てこう。
俺が食事に集中しようと、下を向くと……
「ね、ねぇ、お兄ちゃん」
「何だよ?」
「コレ、食べる?」
生姜焼きの皿を突き出して、こちらを睨みつけてる彩。
「何で?」
「別に。もうお腹一杯だし」
「あ、そう……」
「いらないの?生姜焼き、好きでしょ?」
どうしよう……。
このまま貰うのも癪だが……確かに生姜焼きは好物だ。
「じゃ……もらうよ」
プライドよりも食欲の勝ち。
彩の前に置かれた皿に手を伸ばす。
- 745 :712 ◆isG/JvRidQ :2005/10/17(月) 21:12:57 ID:ccxLyglz
- 「何だよ、全然食べてないみたいだけど……いいのか?」
「食欲無いから」
「大丈夫か?」
「だ、大丈夫よ」
とは言ったものの……。
俺は立ち上がり、彩の近くへ。
「な、何するのよ!!」
「大人しくしろ。一応だ」
そう言って、彩の額に手を当てる。
「別に熱はないみたいだけど」
「……そう」
何だ、急に大人しくなって……。
「いや……何か熱くなってきたような……」
「え……?」
「顔も赤い。風邪でも引いたか?」
「な、なんでもないわよ、バカっ!!」
俺の手を振り払い部屋を出て行く彩。
「わっかんねぇなぁ……」
一人残る俺。テーブルの上には二人分の生姜焼き。
テレビでは若手お笑い芸人へのドッキリが……オチを迎えたようだ。
───────────────────────
……ツンデレって難しいなぁ、おい。
もうちょいデレ分が欲しいかなーって感じだけど、コレがボクの限界みたいですよ。
お目汚し申し訳ありませんでした。
- 746 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/18(火) 01:52:24 ID:K7iBOljF
- 贅沢言うとすばるさんの方はツン分が少ない気がする。デレ分は確かに熱いけど。
そして遊星さん本人はデレ分が足りないとのたまっているが、俺にしてみれば全くそんなことはない
しかしお二方のツンデレを連続で拝見するという珍しい事態に遭遇したから感じたのだが遊星さんが
ツンな部分を、すばるさんがデレの部分を書くという風にしてみればと思った。まあ、ツンとデレは
完全に独立している訳ではないので不可能だろうが…
それにしても、いつか職人さん達の合作(リレーSSみたいな感じ)を見てみたいと思った。
それはまさに夢のコラボレーション!! 無理ですか…?
- 747 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/19(水) 18:04:53 ID:hNRJiNA3
- とりあえず埋める
- 748 :712 ◆isG/JvRidQ :2005/10/19(水) 22:10:16 ID:IbZS0PQq
- 次スレ立ったし、SS貼るのも微妙だし、
せっかくだから、各々のお気に入りSSでも語るってのはどうですか、お客さん?
- 749 :712 ◆isG/JvRidQ :2005/10/21(金) 22:01:46 ID:z+xtPEDv
- 俺が、家に着いたのは六時半。
もう辺りは、暗くなっていた。
「ただいま」
俺が玄関のドアを開けると、母さんが奥からパタパタとやってきた。
「啓太郎、おかえり〜」
丁度今頃は夕飯の支度で忙しいはずの母さんが、わざわざ出てくるなんて……。
少し違和感を感じた俺は、一応聞いてみることにする。
「何かあったの?」
「あぁ、別に大したことじゃないんだけどー。杏ちゃんがね、ついさっき帰ってきたんだけど、元気ないのよ」
「いつもでしょ?」
「そう?ちょっと大人しいけど、そこまでじゃないと思うけど」
母さんの前だと元気ですと?
ってことは、別に人見知りしてるワケじゃないんだね……。
つまり、嫌われてるのか……俺だけ……?
いやいや、俺と母さんの感じ方の違いだと思いたいな。
「……まぁいいや。元気ないって何が?」
「おやつも食べないし、部屋から出てこないの」
「ふーん……」
「何か心当たりない?」
「……分かんない」
杏には、何しても問題になりそうな感じだけど……。
「そう……。何か大事じゃないといいけど……」
「だね。何かまたおかしな事あったら教えて」
「そうね。行く?」
「どこへ?」
「杏ちゃんのトコ」
「ううん。杏ちゃん、俺には何も話してくれないから、やめとくよ」
「ふぅん」
そう言う母さんだが……微妙に笑顔。
- 750 :712 ◆isG/JvRidQ :2005/10/21(金) 22:02:39 ID:z+xtPEDv
- 「何で笑ってんの?」
「いやー、私、好きよ、そういうの」
「どういうの?」
「私が言うより、自分で気付いた方が何倍も嬉しいわよ?」
「あっそ」
気にはなるが……ここまで言われると、絶対に教えてくれる気はないだろう。
母さんの脇を通り抜け、俺は自分の部屋へと向かう。
「あ、そうそう。もうすぐご飯だから、来るときに、杏ちゃん呼んできてね」
「ん、分かった」
───────────────────────
結局、夕飯のときも話をすることはなく、母さんと杏、ふたりで静かに会話をしているのみだった。
一時は進展したかと思われた俺と杏との仲だが……
一気に、出会ったとき、いや、もしくはそれ以上に後退していたようだ。
やっぱり、杏の考えてることは、よく分からない。
コレは、良い気分ではないが……そのうち突然元に戻るだろうと、若干楽観的になっていた。
その日は、何もなく、夕食後ダラダラして、風呂に入って寝たわけだが……。
「ん……」
時刻は二時。突然目が覚めた。
「ストレスってヤツかな」
そのまま目を閉じる。が、ちっとも眠くない。
とりあえず気分を変えようと思い、水でも飲もうと部屋を後にした。
階段を目指し、廊下を静かに歩いていると、一つの部屋の前で奇妙な音を耳にする。
「ここって……」
俺の部屋の隣の少し小さな部屋。杏の部屋だ。
断続的に聞こえてくる奇妙な音。
考えなくても分かる、これは杏の声……。
「杏ちゃん……?」
ゆっくり杏の部屋のドアを押し、真っ暗の部屋の中を手探りで進む。
その間も杏ちゃんの呼吸は、荒く続いている。
「杏ちゃん……?」
- 751 :712 ◆isG/JvRidQ :2005/10/21(金) 22:03:24 ID:z+xtPEDv
- 暗がりの中、もう一度呼びかける。
「けいたろ……さん……」
荒い呼吸の中に、杏の俺を呼ぶ声が確かに聞こえた。
「電気、つけるね」
そういいながら、電気のスイッチを探し、つける。
蛍光灯が何度か瞬いて、杏の顔が次第に見えてくる。
……苦しそうな杏の顔。
「だ、大丈夫なのか!?」
やっと、事の重大さを認識した。
「だ、だいじょうぶ……だよ……?だから……」
苦しそうな顔を無理矢理笑わせて、俺に向ける杏。
「何言ってんだよ、その顔で、大丈夫なワケないだろ!!」
その杏の顔が、あまりに健気で、可哀想で、思わず声を荒げてしまう。
杏は、布団を鼻の辺りまで被りながら、脅えた目を見せる。
「あ……ゴメン」
謝りながら、杏の額に手を置く。
熱い。かなり。
「すごい熱だ」
「私は、だいじょうぶだから……」
「いーや、大丈夫じゃないね。待ってて。色々持ってくるから」
「いいの……メイワク……かけちゃダメだって……」
「いいから。こういうときだけ良く喋るな、お前」
あ……。
何か、すげぇ馴れ馴れしいっつーか、すげぇ砕けた言葉を使ってしまった。
予想通り、脅えた目リターンズ。
「あ……ゴメン。でも、ホントに迷惑なんかじゃないから」
杏の髪を優しく撫で、俺は部屋を出て行く。
「……ありがと」
杏がそう呟いて、微笑んだのを……残念ながら、俺は見ていなかった。
───────────────────────
- 752 :712 ◆isG/JvRidQ :2005/10/21(金) 22:05:03 ID:z+xtPEDv
- 無視されちゃったんで、中途半端になるの覚悟で貼っちゃいました。
まぁ、次スレに続く、ってことで。
このスレでは世話になりました。また次スレでもよろしくお願いします、っと
- 753 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2005/10/22(土) 20:09:32 ID:0O9cwvdc
- 来るのが遅かった orz
>>遊星さん
無視した訳じゃないんです orz
なんかキャラが初々しくていいですな(´∀`)GJです
俺もお世話になりました〜
神出鬼没の幽霊コテですが次スレでもよろしくお願いしますね、っと
- 754 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/28(金) 22:36:03 ID:srnz0BmZ
- 浮上
- 755 : ◆zijNnv0Y/k :2005/10/30(日) 14:44:28 ID:6fPXjCe3
- sage
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0ch BBS 2004-10-30