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[第五弾]妹に言われたいセリフ
- 501 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:13:25 ID:7DzBKOEv
- 「はぁ……」
風呂の中。
大きなため息を吐く。
「何でなんだろ……」
唯奈。
んー、分からん……。
千奈が言うように、着替え見ちゃったから……?
いや、でも、もしそうなら、その時にもっと怒るよなぁ……。
ま……ヘタしたら、理由もなく嫌われたってコトか。
元々いなかったんだから、唯奈が俺から離れていったとしても、悲しいわけないんだけどなぁ……。
なんだろ、この感じ……。
分からん……。
モヤモヤした頭をなんとかしたくて、頭から冷水のシャワーを被ってみる。
ふぅ……。
そうだ、千奈に相談してみようかな……。
「それがいいな……」
シャワーを止め、風呂場を出る。
そして、脱衣所。
「あ……体重計がビショビショだ……誰だよ……」
ん……?
確か……
「そういえば、この辺だったな。さっき、唯奈が居たのは」
ってことは、体重計に乗ったのは唯奈で……。
大声出したのは……まさか……。
───────────────────────
- 502 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:14:10 ID:7DzBKOEv
- とりあえず、急いで服を着て、リビングへ向かう。
まだ、千奈も唯奈も居るだろう。
「千奈っ!」
リビングに飛び込むと、千奈も唯奈も、驚いて、ジッと俺の顔を見る。
「お、お兄さん……?どうしました?」
そして、千奈が遠慮がちに話しかけた。
「ちょっと耳貸してくれ」
「あ、はい」
千奈に耳打ちする
「もしかして……唯奈って、体重とか、気にしてたとか……?」
「あ、正解です。さすがお兄さん。鋭いですね」
千奈がささやく。
「偶然だって」
「なんでもいいですよ。唯奈ちゃんのフォロー、頼めますか?」
「ああ、そのつもり」
「お願いします」
というわけで、唯奈の前に立つ。
「唯奈」
「あ、お兄ちゃん、何?」
「よし、やるか」
「え、やるって、何を……?って、えぇ!?」
唯奈を片手で持ち上げる。
「お、お兄ちゃん!?何してるの!?」
「持ち上げてる」
「な、何で!?」
「別に」
「別に、って……」
- 503 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:14:55 ID:7DzBKOEv
- 「強いて言うなら、力試し」
「力試し?」
「ああ。大丈夫、俺は今の唯奈でも、軽く持ち上げられる」
「お兄ちゃん……?」
「ってことは、唯奈がソファで寝てても俺は唯奈をベッドまで連れて行ける」
「……」
「しかも……千奈」
「きゃ、きゃっ!?」
もう片手で千奈を持ち上げた。
「俺は千奈も唯奈も、一緒に持っていける」
「……」
「あー……上手く言えんけど……唯奈は無理しないでも良いと思う。もちろん千奈も」
「お兄ちゃん……」「お兄さん」
「もし、俺だけじゃ二人ともを支えられなくなったら……俺が鍛えるからさ」
「うん!!」「はい!!」
「うんうん。分かれば良いんだよ」
俺は二人を下ろし、二人の肩をポンポンと叩く。
そして、何か飲み物を探し、冷蔵庫へ。
「ね、唯奈ちゃん?私の言ったとおりでしょ?」
「うん」
「ダイエット、また失敗だね」
「うん。でも、ある意味成功」
「だね」
仲良く囁きあっている二人。
「ん?何の話だ?」
割って入る。
- 504 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:15:40 ID:7DzBKOEv
- 「お兄ちゃんの話」「お兄さんの話です」
「俺の?どんな?」
「「秘密」」
「秘密って……そりゃないだろー?教えてくれよ」
「秘密。ね、千奈ちゃん?」
「ね、唯奈ちゃん?」
困惑する俺の前で、双子は顔を見合わせ、いたずらっぽく微笑んだ。
──決まってるじゃない。お兄ちゃん、大好き……ってそういう話だよー。ね、千奈ちゃん?
──お兄さんカッコいいなぁ……ってそういう話だよね、唯奈ちゃん?
───────────────────────
双子。
海中さんの双子ssに触発されて書いた。
書いていて楽しいが、当時からちょっと不人気……orz
- 505 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:16:35 ID:7DzBKOEv
- 雨。
ガラス越しに雨降りの景色を見ながら、のんびり過ごす。
室内に居る分には、雨降りも嫌いじゃない。
「ねぇねぇ、おにぃちゃん!!遊ぼうよっ!!」
俺の妹、沙耶が俺の隣で、騒いでいる。
「いいけど、何して?」
「お散歩!!お散歩行こうよー!!」
「……雨だぞ?」
本人には言えないけど、沙耶はよくコケるしなぁ……。
雨の日でずぶ濡れになったら、風邪引くかもしれないし……。
「雨でも良いよー!雨でも楽しいよー?」
「沙耶がよくても、俺がダメだ」
「何でー?」
「太陽が出てないと、元気出ないんだよ、俺」
「えーっ!?おにぃちゃん、だいじょーぶなのっ!?」
「うん。大人しくしてればね」
「はわ……じゃあ、しょうがないね」
「あぁ、ゴメンな」
……ところで、雨の日で俺が元気なかったことってありますか、沙耶さん?
「ううん」
「じゃ、ちょっと寝るよ、お休み。沙耶」
「うん、お休み、おにぃちゃん」
予想以上に上手くいったことに驚きながら、俺は目を閉じる。
沙耶は、しばらくゴソゴソと何かをしていたが、結局テレビを見ることに落ち着いたようだ。
チャンネルを変えている。
二週ほどチャンネルを変えた後、プツンと音を立て、周りが再び静かになった。
……まぁ、休みの日の昼は、沙耶が見るような番組はあんまり無いよな。
そして……隣に人の気配。
「おにぃちゃん……」
小さな小さな声が聞こえる。
……なんか罪悪感。
- 506 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:17:20 ID:7DzBKOEv
- でもあんなウソついちゃったし、普通に起きるのもなぁ……。
何かないか、何か……
ん……そういえば……今日は……。
「ねぇ、沙耶?」
「はわわっ!?び、びっくりしたよー!!」
「あぁ、ゴメン。で……散歩行こうか?」
「はわ?何で!?」
「いや、雑誌が今日発売日だからさ。買いに行かなきゃと思って」
「そうなんだー。いいよー、行こー!!」
「あぁ、行こうか」
───────────────────────
「わーい。お散歩、お散歩っ」
「あんまり、はしゃぐなよ」
雨降りの町を、傘を差しながら、二人並んで歩く。
沙耶が転ばないように、俺はしっかり沙耶の右手を握っている。
「てへへ……サヤね、お散歩行けないと思ってたから、すごく嬉しいんだー」
「そうか?でも、雨の日はいろいろ気をつけないとな」
「いろいろ?」
「ああ、出来るだけ水溜りに入らないように。とか、滑らないように、とかな」
「だいじょーぶだよ!!おにぃちゃんが手をつないでいてくれるもん!!」
「じゃ、俺が危なくなったら、沙耶が助けてくれよ?」
「はわっ!?う、うん、サヤ頑張るよー」
「おっ、頼もしいなぁ」
「てへへ……」
そんな風に談笑していると……
バシャ
脇を自動車が通り抜け、大きな水飛沫があがった。
その水飛沫が、俺の隣の少女へ……。
「さ、沙耶っ!!大丈夫かっ!?」
- 507 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:18:05 ID:7DzBKOEv
- 「う、うん。傘があったから、あんまり濡れてないよー」
「そうか……よかった」
「てへへ、ちょっとビックリしたけど、傘にビシビシッ!!って水がかかって面白かったよー!!」
「そっか。でも、危ないから、俺と場所変わろう?」
「うん!!おにぃちゃん、ありがとう!!」
なんてやってる間に
……大型のトラックが横を通る。
水飛沫、そして……突風。
「うぉっ!?」
「はわわわわっ!!」
吹き飛ばされないように、必死で傘を掴んだ。
風が止み、前のように雨は上から降ってくる。
俺はなんとか持ちこたえたが……
「はわわ……傘が……」
沙耶の傘は、突風に負け、骨が折れてしまったようだ。
しゃがみこんで、傘を見ている沙耶。
「あー、ダメだな、コレは」
俺は自分の傘を沙耶の頭上に掲げ、沙耶の傘をのぞき見る。
「サヤの傘が……おにぃちゃんと一緒に買いに行ったのに……」
「沙耶……」
こんな落ち込んだ沙耶を見るってのは、そうあることじゃない。
こんな光景を見るのはゴメンだが、俺にはかける言葉が思いつかなかった。
「沙耶……帰ろう?」
「……」
「そんなに濡れてちゃ風邪引くぞ?抱っこしてあげるから、帰ろう?」
「うん……」
ゆっくり立ち上がる沙耶。
俺は沙耶を左手で持ち上げ、傘を持った右手も使い、左腕の上に座らせる。
「ねぇ……おにぃちゃん……」
沙耶が呟くように言う。
- 508 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:20:19 ID:7DzBKOEv
- 「ん?」
「あの傘……持って帰ってもいい……?」
「あぁ、いいよ」
傘を拾い、沙耶に渡す。
顔は見えなかったが、悲しそうなオーラは伝わってくる。
「また明日、新しい傘買いにいこうよ?」
「うん……」
喜ぶと思ったのだが……沙耶の声はまだ暗い。
「沙耶、その傘、大切にしてくれてたんだ?」
「うん……おにぃちゃんが買ってくれた傘だもん……」
「そうだったね。前使ってた傘が無くなっちゃって、二人で買いにいったんだよな?」
「うん……」
「でも、なかなか良い傘が見つからなくて、町中探し回ったんだよな」
「うん……コレと同じくらいカワイイ傘、さがそうね?」
「いや、やめとく」
「はわ……?」
「直してみるよ、傘」
「おにぃちゃんが……?」
「うん。ダメなら、誰かに頼んでみる。だって、大切な傘なんだよな?捨てるのは勿体無いよ」
「お、おにぃちゃん……!!」
「ん?新しい傘、欲しい?」
「ううん!!ありがとぉ!!」
喜び極まってか、沙耶が俺を力いっぱい抱きしめる。
「てへへ、おにぃちゃん、大好きー」
頬擦りされる。
「沙耶、寒くない?」
「ううん、だいじょーぶ。おにぃちゃんが暖かいからねー」
「そう。でも、油断は禁物だよな。早く帰ろう?」
「うん!!」
- 509 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:21:13 ID:7DzBKOEv
- 俺の妹、沙耶。
やっぱりこの娘には……俺は適わないかも……。
───────────────────────
沙耶。
マイブームが犬耳の時に書きたくなった。
遊星の一番のお気に入り。
- 510 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/12(火) 22:21:42 ID:vYavXvYc
- いや…上手く流せたと思っていた…
数日後、家でゴロゴロしてたら夕子からメールがきた。
[件名]いままでゴメンね
[本文]お兄ちゃん…夕子もぅ気付ぃちゃったょ…お兄ちゃんが急に優しくなった理由も…夕子が退院出来なぃ理由も…夕子死ぬんでしょ?はっきり言ってょ…お兄ちゃん…
お兄ちゃんなんて呼ばれたのも夕子からメールがきたのもかなり久しぶりだった…
メールは返さなかった…というより返せなかった…
親と相談して明日俺が本当のことを夕子に話すことになった…
その日はまったく眠れなかった…夕子になんて言えばいいのか…思いつかなかった…
翌日もお見舞いに行った。
夕子『あ〜っ!!お兄ちゃんなんで昨日メール返してくれなかったの〜!!』
俺「…」
夕子『お兄ちゃん?』
俺「夕子…はっきり言うな………お前は…白血病にかかってる…」
夕子『…』
俺「夕子…」
夕子『なぁ〜んだ。やっぱり!!とっくに気付いてるって♪』
俺「…」
俺は病室を飛び出してトイレで泣いた…両親の涙が…夕子の無理矢理つくったような笑顔が…すごく…すごく悲しくて…その日はそのまま家に帰った…
- 511 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:19:36 ID:7DzBKOEv
- 「ん?」
「あの傘……持って帰ってもいい……?」
「あぁ、いいよ」
傘を拾い、沙耶に渡す。
顔は見えなかったが、悲しそうなオーラは伝わってくる。
「また明日、新しい傘買いにいこうよ?」
「うん……」
喜ぶと思ったのだが……沙耶の声はまだ暗い。
「沙耶、その傘、大切にしてくれてたんだ?」
「うん……おにぃちゃんが買ってくれた傘だもん……」
「そうだったね。前使ってた傘が無くなっちゃって、二人で買いにいったんだよな?」
「うん……」
「でも、なかなか良い傘が見つからなくて、町中探し回ったんだよな」
「うん……コレと同じくらいカワイイ傘、さがそうね?」
「いや、やめとく」
「はわ……?」
「直してみるよ、傘」
「おにぃちゃんが……?」
「うん。ダメなら、誰かに頼んでみる。だって、大切な傘なんだよな?捨てるのは勿体無いよ」
「お、おにぃちゃん……!!」
「ん?新しい傘、欲しい?」
「ううん!!ありがとぉ!!」
喜び極まってか、沙耶が俺を力いっぱい抱きしめる。
「てへへ、おにぃちゃん、大好きー」
頬擦りされる。
「沙耶、寒くない?」
「ううん、だいじょーぶ。おにぃちゃんが暖かいからねー」
「そう。でも、油断は禁物だよな。早く帰ろう?」
「うん!!」
- 512 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:23:29 ID:7DzBKOEv
- ピカッ……ゴロロロ
稲光が走り。雷鳴が轟く。
「ふむ、凄いなぁ……」
窓から外を見ながら呟く。
「雨も強いですね」
俺の妹、未来が俺の隣で答えた。
「今日は、できるだけ早く寝た方がいいな」
「そうですね」
「とりあえず、使わないコンセントは今のうちに抜いとけよ?」
「え……?何でです……?」
「知らないのか?」
「私は機械はダメなんですけど……」
「あぁ、そうだったな。近くで雷が落ちると、コンセントが刺さってる電化製品は壊れるかもしれないって感じかな」
「そうなんですか……」
未来がそこまで言った瞬間……
ピカッ、ゴロロロロロロ!!
大きめの轟音が響いた。
「ひゃっ!?」
可愛い声を出して、俺に抱きついてくる未来。
「あらら、未来ちゃん、怖いの?」
「い、いえ!!ちょっと驚いただけです!!」
「ホントに〜?」
「本当です!!」
「と、まぁ、ふざけてる場合じゃなくて……寝るぞ、未来」
「あ、私はまだ洗い物があるので……」
「テレビで見たんだが、雷の日は水を使うのもダメらしいぞ。洗い物は、明日にして寝ようぜ?」
「そうですか……じゃあ……」
その時……、
一瞬だけ、辺りが昼間のような明るさに包まれた。
何が起こっているのか理解する間もなく、爆発音にも似た雷鳴が轟く。
そして、暗闇に包まれる我が家。
- 513 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:23:56 ID:7DzBKOEv
- 「わっ、わぁっ!!」
雷鳴に慌てて、俺に抱きつく未来ちゃん。
「い、今っ……家が揺れてませんでしたかっ!?」
「あぁ、揺れた」
おっ、未来ちゃんの胸が腕にっ!!
そんな邪なことを考えながら、あくまで落ち着いて答える。
「に、にぃさんっ……!」
「怖い?」
「だ、だって……」
雷に怯え、俺の胸の中でフルフル震えている未来ちゃん……
可愛い過ぎるーーーー!!
「とりあえず、真っ暗だし、蝋燭点けようよ」
「は、はい……」
俺は机の上にあった蝋燭を手に取り、ライターで火をつける。
ぼうっと、未来の顔が明るく照らされる。
「用意しといてよかったな」
「そう……ですね……」
「さぁ、寝るぞ」
「は、はい」
俺は蝋燭を持って、ゆっくり階段を上る。
未来は俺の後ろに従った。
「未来、はい」
俺の部屋の前で、未来に蝋燭を手渡す。
「えっ……何ですか……?」
「何って……俺の部屋、ここだから」
「え、えっと……に、兄さん……」
「何?」
「い、一緒に……ね……」
「一緒に?」
- 514 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:24:20 ID:7DzBKOEv
- 「いっしょに……寝てください……」
「一緒に……って、いぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」
一緒に寝てくださいって……未来に言われたい台詞、トップ5には確実に入ってるぞ!!
今、すげぇ幸せ……!!
「だ……だってぇ……」
「……うーん、どうしようかな」
いや、もちろんオッケーしたいけど……流石にマズい気もしてる……。
『いいだろ!!せっかくのチャンスだぜ?大丈夫、未来だってある程度は覚悟してるって!!』
と、悪い将人。
『未来ちゃんと寝てあげなさい。恐怖から妹を守るのも兄の仕事です』
と、良い将人。
ぬぅ……
「同じだ……」
「え……何がですか……?」
「え、えっと……何も無い……」
ここで悪い将人とか良い将人とか言ったら、未来ちゃん、不安が募って暴走する気がする……。
「あ……あの……やっぱり、ダメですか……?」
未来ちゃんが、恥ずかしそうに呟く。
「んー……」
まぁ、確かに可哀想だし、サラのときは大丈夫だったから……今回も、それに賭けてみようかな。
「分かった。一緒に寝るか?」
「は、はい!!ありがとうございますっ!!」
物凄い勢いで頭を下げる未来。
「まずは、未来の布団を取って来なきゃな。一緒に行こう?」
「はいっ!!お願いします」
───────────────────────
- 515 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:24:40 ID:7DzBKOEv
- 蝋燭の明かりの下。
俺の部屋の床に、二人分の布団を敷いて、未来と二人そこに寝ころんでいる。
雷は、相変わらず大きな音を立てている。
未来はすっかりトラウマになってしまったのか、小さな稲光にも可愛い悲鳴をあげた。
「もう、寝ようよ……?」
「だ、だって……怖いです……」
「雨戸閉めようか?少しはマシになると思うけど?」
「で、でも……窓も開けられなくなるので、暑いですよ?」
「まぁ、そうか……雷、我慢できる?」
「分かりません……きゃっ!」
「無理っぽいね。雨戸閉めるよ……」
「い、いいです!!」
「え……?」
「兄さん……あの……その……」
蝋燭に照らされた未来の恥ずかしそうな顔……。
うっ、綺麗だ……。
「な、何……?」
「えっと……その……手、繋いでくれませんか?」
「手……何で?」
「安心、するんです。だから……お願いします」
未来が手を差し出す。
「……」
そっと手を握る。
「これでいい?」
「はい、ありがとうございます……お休みなさい」
「あぁ、お休み」
蝋燭を消す。
未来の顔が見えなくなる。
「昔を思い出すな」
「え……?」
- 516 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:25:03 ID:7DzBKOEv
- 「未来、昔はこんな感じだった。『お兄ちゃん、お兄ちゃん』って、俺の後いつも追いかけてきてさ」
「え……そうでしたっけ?」
「うん。でも、やっぱり未来は未来なんだって思ったよ」
「そうですか……。兄さんは、昔から相変わらずですけどね」
「そうか?ま、それでもいいよ……もう、寝よう?」
「はい」
未来の姿は見えない。だけど、俺の大事な未来はここにいる。
未来を感じながら、俺は目を閉じた。
───────────────────────
深夜。時計を見ると二時十分前。
ふと目が覚めた。
窓を見ると、雨も風も雷も止んでいるようだった。
隣を見る。
兄さんが、気持ちよさそうにスヤスヤと眠っていた。
その兄さんから伸びた手は、今も私とつながっている。
兄さん、ずっと手を握っててくれたんだ……。
「ありがとう」
そう呟く。昔の、『お兄ちゃん』が大好きだった時の気持ちで。
ううん……今の『兄さん』も、多分、好きだと思うんだけど。
兄さんの手。
いつからだろう……。
この手が、頼もしいって思えるようになったのは……。
そんなに太くないように見えるんだけど、暖かくて、力持ちで、いつも私を助けてくれる兄さんの手……。
まだ、面と向かって気持ちを伝えるのは恥ずかしいけど……。
でも、今なら言える気がする。
- 517 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:25:23 ID:7DzBKOEv
- 「大好き……」
兄さんの手の甲にそっと口づけ。
「お休み、兄さん……」
兄さんと手を繋いだまま、兄さんにちょっとだけ近づいて、瞳を閉じた。
兄さんの手を握る力が、ちょっとだけ優しくなった気がした。
もう一度呟く。
兄さん。大好きです……。
───────────────────────
未来。
多分ダカーポを見たのがきっかけだと思う。
エロとか、色々やらせて、ホント申し訳ない……。
- 518 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/12(火) 22:32:36 ID:KcEQsOS3
- 遊星祭りマジ乙です!
最高っす!
双子ちゃんが可愛すぎ!
- 519 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/12(火) 22:33:03 ID:7DzBKOEv
- 何故だろう……とりあえず、>>511は無視してください。
とりあえず、これにて終了。
今回、頑張った。
7月1日に思いついて、12日で4作品……。記録的な速さだね。
第二弾の712に登場して、二年と半年。
これからも、精進しますんでよろしくお願いします。
あと、712という数字がかなり気に入ってるので、7月12日は遊星記念日。勝手に決めた。
- 520 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/12(火) 22:56:13 ID:Id9Bzf71
- 遊星さんGJッス
- 521 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/07/12(火) 22:57:59 ID:N4qWR9cw
- 本当に・・・皆さんGJです・・・。
素晴らしすぎて書く気が失せました('A´)
- 522 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/12(火) 23:46:55 ID:vYavXvYc
- 翌日もお見舞いに行った。
夕子『お兄ちゃんなんで昨日出てっちゃったの?』
俺「ちょっと腹が痛くなってな…ハハハ…」
夕子『そうなんだ…アハハ…』
俺「…」
夕子『…』
二人しかいない病室はすごく静かだった…
夕子『お兄ちゃん…』
俺「ん?」
夕子『夕子…怖いよ…』
俺「え?」
夕子『夕子まだ死にたくないよ…死ぬの怖いよ…』
夕子の目から涙がこぼれ落ちた…俺は…どうしたらいいのか…わからなくて…優しく抱きしめて「大丈夫、大丈夫」と言うしか出来なかった…
それから俺は毎日病院に行った。学校も昼休みになるたび夕子に電話した。夕子は明るさを取り戻し日に日に元気になっていった。先生も「もしかしたらそのうち治るんじゃないか?」と驚いていた。
俺は毎日病院に通った。クリスマスも正月も夕子の病室で過ごした…
- 523 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/13(水) 00:05:02 ID:vYavXvYc
- ある日いつものように病院に着くとロビーに巨大な笹が飾ってあった。(あぁ…今日は七夕か…)
病室に入りしばらく話してると夕子が銀色の細長い紙を渡してきた…
夕子『お兄ちゃんも願い事書いたら?』
俺「そうだな、なんか書くか。」
夕子『何て書くの?』
俺「やっぱ夕子が元気になりますように…かな。夕子は?」
夕子『ないしょ♪ってかまだ決めてない♪』
俺「じゃあ夕子も早く元気になれますように…だな♪」
夕子『うん♪』
翌日も病院に行った。ロビーの笹に俺の短冊を見つけた。夕子のは…無かった…
俺「夕子、早くしないと笹片付けられちゃうぞ?」
夕子『明日吊すの♪』
俺「で、願い事は?」
夕子『ひみつ♪今日は疲れてるから夕子もう寝るね…』
俺「大丈夫か?ゆっくり休めよ。じゃあまた明日な。」
夕子『うん…また明日ね…』
家に着くと同時に夕子からメールがきた…
[件名]いままでありがとぅ
[本文]お兄ちゃんいままで迷惑ばっかかけてゴメンね…ありがとぅ…大好きだょ…
玄関のドアを開けると母が走ってた…
母『たかし!!病院行くよ!!』
俺「いや…今帰ったばっかだけど…」
母『いいから早く!!』
- 524 :月読 紫音 ◆SION/lApfc :2005/07/13(水) 00:20:48 ID:9xCZ1E0F
- >>遊星さん
遊星祭りお疲れ様でした!
読み応えたっぷり!萌えもすげぇ!
来年も楽しみにしています! (≧∇≦)b
>>522-523
悲しい系のお話ですね…っ (´;ω;`)
- 525 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/13(水) 00:23:32 ID:w4Vb+9AD
- 病室に入ると夕子の顔には白い布がかけられていた…俺は力無くその場にへたれ込んだ…
なんで?さっきまで元気だったじゃん…先生治るかもって言ったじゃん…
俺が呆然としてると看護婦さんがケータイと短冊を渡してくれた…
夕子は死ぬ直前まで握りしめて「お兄ちゃん…お兄ちゃん…」と言ってたらしい…
金色の短冊には
『生まれ変わったらお兄ちゃんの恋人になれますように』
そう書いてあった…
涙が溢れた…
夕子が死んだこと…
夕子の最期を看てやれなかったこと…
夕子の気持ちに気付いてやれなかったこと…
全てが悲しかった…
あれから2年…夕子のケータイと短冊は遺影の横に置いてある…あの時のまま…
- 526 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/13(水) 00:30:19 ID:w4Vb+9AD
- 遊星さん乙!!!!遊星さんGJ!!!!遊星さん夢と希望をありがとう!!!!
そしてこんなクソ話を支援してくださった方々…本当にありがとうございます。
七夕ということで七夕ネタを投下してみました。(;´∀`)非常に読みづらい駄文失礼しました…m(_ _)m
みなさん乙!!!!それではまたROM専に戻ります♪みなさんまた会う日まで…(*´∀`)ノシ
- 527 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2005/07/13(水) 09:25:27 ID:I11hHzG3
- 昨日はお騒がせしましたorz
遊星さん、名無しさんGJです!
名無しさんのがバラバラになっちゃったんでまとめてみました。
名無しさん投稿
>>477
>>479-480
>>510
>>522-523
>>525
- 528 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/13(水) 10:38:22 ID:ayQWd2UJ
- ttp://pya.cc/pyaimg/pimg.php?imgid=5318
7月12日は遊星記念日。これはガチ。
- 529 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/13(水) 13:33:09 ID:w4Vb+9AD
- すばるさん…ありがとうごさいます!!(*´∀`)なんか考えついたらまた投下していいですかね?(;´∀`)
- 530 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/07/13(水) 19:31:35 ID:uLjNRf14
-
「コウくん、起きて、起きてってば!」
夜中に美幸に起こされる。一体何時なのだろうか。
枕元に置いてある時計を覗き込む・・・
「なんだよ、2時じゃないか。何か用か?」
「何って、流星群だよ!一緒に見るって約束したでしょ?」
「そうだったっけ・・・わかった、今起きる。」
上体を起こすと急かすように美幸が腕を引っ張ってくる。
「慌てるなって、まだ時間にはなってないんだろ?」
「そうだけど、善は急げだよ。」
美幸さん、何か言葉の使い方間違っているような気がしますが。
ここは取り敢えず言われたとおりに急ぐことにする。
「それにしても、こんな都会で満足に流れ星なんか見れるのか?」
美幸を従えベランダに出て空を見るが・・・
さすが都会、ほとんど明るい等級の星しか見えない。
「・・・見えると良いなぁ。」
空を仰ぎながら美幸が呟く。
だが、予定時刻まで暫く時間が有るので見える気配は無い。
視線を空から戻し、周りに視線を巡らす。
海と山とに挟まれた港街
我が家はその山裾にある。
おかげで街の様子を一望できた。
近くに人の気配は無い。
ただ、遠くのネオンの光だけが街が生きていることを語っていた。
- 531 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/07/13(水) 19:33:17 ID:uLjNRf14
- 「何見てるの?」
不意に隣から声が聞こえてきた。
「この街の光は全部人間が作った物なんだなと思ってさ。」
「人間って凄いよね。何でも出来ちゃうんだよ。」
「その反面、これだけ多くの自然を破壊してるんだ。」
「あ、それって嫌かも。」
「人間も元は自然で暮らしてたからな。100万ドルの夜景とか言うけど、
元々あった自然の方がそれ以上価値があると思う。」
「コウくん、なんか学者さんみたいな事言ってるよ。」
「そうか?それにしても、少し冷えるな。ユキは大丈夫か?」
「私もちょっと寒いかも、くっついて良い?」
夏とはいえ、夜になるとさすがに冷えてくる。
晴れていると放射冷却で尚更のこと
半袖というラフな格好なので余計だ。
ん・・・ちょっと待て、『くっついても良い?』??
「ちょ、ちょっと待った!」
「・・・・駄目?」
ぅ、そんな懇願するような上目遣いで・・・
「し、仕方が無いな。ほら、こっち来いよ。」
でも、実は凄く嬉しかったり。
調子に乗って美幸の肩に腕を回す。
- 532 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/07/13(水) 19:34:20 ID:uLjNRf14
- 「・・・ありがとう。」
恥ずかしそうに俯きながら言う仕草が可愛い。
何だか俺も恥ずかしくなって、誤魔化すように空を見る。
「そろそろだな、見えると良いけど・・・」
続いて美幸も空を見る。
だけど、まだ見えない。
「コウくんとこうして居られるなら、見えなくても良いかな♪」
「な、何言ってんだよ。」
「本当だよ、コウくんと一緒にいられるのが一番の幸せだもん。」
「よく平気でそんな事言えるよ・・・」
「だって、本当なんだもん。」
「ま、俺もユキを独りにさせるつもりはないからな。」
そんな話をしていると唐突に流れ星第一号が流れた。
「あ、流れた!コウくんも見た?」
「見たぞ、小さかったけどな。」
「綺麗だね・・・」
次の瞬間二個目が。
「あ、また流れたな。」
「え、嘘!?あぅぅ、見れなかったよぉ。」
「今のは大きくて綺麗だったなぁ。」
「コウくん、わざと言ってるでしょ?」
「そんな事はないぞ、正直な感想だ。」
「ぅー。次は絶対見るぞーっ!」
「ああ、頑張れ。」
- 533 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/07/13(水) 19:35:22 ID:uLjNRf14
- その後、30分ほど二人で眺めていた。
すると満足したのか、はたまた眠さに耐えかねたのか
「もう寝るね、お休み。」と一言残し、自室に戻っていった。
「俺もいい加減寝るか・・・。」
ベランダの戸締まりを確認し、自分も自室へ向かう。
部屋のドアを開け、いざ快眠へ!・・・・と思いきや
何故か美幸がベッドの上に座っていた。
「・・・何で俺の部屋にユキが居るんだ?」
「えへへ、一緒に寝ようと思って、駄目かな?」
「駄目に決まってるだろ!子供じゃあるまいし。」
「子供かどうかなんて関係ないよ。仲の良い二人が一緒に寝るのは当然のことだよ。」
「とは言ってもだなぁ、俺も男な訳で、お前に何するかわからんぞ?」
「コウくんだったら何されても良いもん。」
「お前、無防備すぎ・・・。」
「それに、コウくんは何があっても変な事しないでしょ?」
「いや、そうかもしれないけどな、遠慮ってもんを知れ。」
「良いじゃん、減るものじゃないんだから、ね?」
そう言って腕に絡み付いてくる。
俺が甘えに弱いことを良いことに・・・・
「あぁ、もう。分かった、勝手にしろ!」
「やったぁ!それじゃあ、お邪魔しま〜す♪」
まだまだ夜は長そうだ・・・・。
- 534 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/07/13(水) 19:37:08 ID:uLjNRf14
- あー、遂に変な物を投下しちゃいました、ごめんなさい('A`)
先日、ディープインパクト計画があったので、彗星関連で書きました。
そろそろ新妹を登場させるべきでしょうか・・・。
- 535 :474の続き :2005/07/13(水) 22:41:56 ID:bZBoKDGV
- 「ど、どこから現れるんだお前は!?」
「ごめん、下から着信音が聞こえたからつい」
「屋上の更に上なんかで何してるんだか・・・」
「こっちの方が風が気持ちいいから、お兄ちゃんもおいでよ」
差し出された白い手を取りはしごを昇ると一面に広がる青い空。
涼しい風が頬を撫でて行く。
「なるほど、これは確かに気持ちいいな」
「うん、ここが一番空気が澄んでるよ」
「いつも昼はここにいるのか?」
「いつもじゃないよ、独りで静かにしてたい時にね」
「ふ〜ん・・・あ、そうだ、どら焼き食べるか」
片手に提げていた小さなビニール袋から食後のデザートを取り出し二つに割る。
しかし、我ながら不恰好に割ったもんだ。
大きさの明らかに異なる二つを二人して見比べてしまう。
「ありゃ・・・ま、いいや、ほら食べな」
「・・・お兄ちゃん、変わってないね」
「ん、何が」
「半分にした物は絶対に大きい方をボクにくれるよ」
「そんなの当たり前だろ」
「ちっちゃな時からそうだったよね、覚えてる?子供の頃の事」
「子供の頃か・・・確かにおやつはよく二人で分けてたっけな」
「あの頃はいつも一緒だったよね、楽しかったな・・・」
「俺が思い返すに楽しいだけじゃなかったなぁ、自転車の件とか」
- 536 :260 :2005/07/13(水) 23:00:19 ID:bZBoKDGV
- 遊星神、乙です。
これだけ沢山の妹を書いてきた事に、また書き続けている事に本気で尊敬しますよ。
これからも期待しております。
>名無しさん
ええい、ちくしょう!!目が霞む!!
GJです!
>二姉持ちの弟さん
七夕なんてすっかり忘れてましたorz
妹と流星群とはいいですなぁ、GJ!!
そのうち書きたいな・・・やっぱ無理かな
一つ書くのに二ヶ月程掛かるからなぁ・・・
- 537 :260 :2005/07/13(水) 23:01:26 ID:bZBoKDGV
- すんません、sageを忘れてました。
- 538 :雨音は紫音の調べ ◆cXtmHcvU.. :2005/07/14(木) 01:20:19 ID:DYdkrKZc
- >>名無しさん
ラストが…悲しくて…
泣けてくるっス……っ! 。・゚・(ノД`)・゚・。
>>二姉持ちの弟
良いですねぇ!流星群!
コウくんが羨ましいっス…!
>>260さん
続きキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
二ヶ月も待ちきれないっスよ〜!
- 539 :雨音は紫音の調べ ◆cXtmHcvU.. :2005/07/14(木) 01:23:39 ID:DYdkrKZc
- すみませんっ!
538で二姉持ちの弟さんに「さん」を付け忘れてしまいました……
本当にすみませんでした…… m( __ __ ;m
- 540 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/07/14(木) 12:28:37 ID:ovnTMS21
- >>雨音は紫音の調べさん
え、あぁ。気にしなくて良いですよ、気にしないタチですし、気付きませんでしたから(汗
それにしても、平日の休みって言うのは暇ですね。
暇つぶしついでに今度は姉に言われたいセリフの方を書いてみようかな、とか考えてます。
- 541 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/14(木) 21:17:12 ID:Ke4vYw1X
- 遊星ネ申とか言われると、某ヒーロー番組を思い出すのは俺だけか……。
>名無し様
お疲れ様です。
あの……お邪魔して申し訳ありませんでした……。
>二姉持ちの弟様
GJっス。
なるほど、流星群ですか……。
姉スレの方も頑張ってください。
>260様
流石ですよ。
続き、期待してます!!
- 542 :雨音は紫音の調べ ◆cXtmHcvU.. :2005/07/14(木) 21:24:37 ID:DYdkrKZc
- >>二姉持ちの弟さん
呼び捨てになってしまいすみませんでした…… m( __ __ ;m
姉SSの方も楽しみにしています!頑張ってください! ヽ(>▽<)ノ
- 543 :二酸化マシンガン処分品 :2005/07/15(金) 09:47:32 ID:pV5ds4JS
- >>弟さん
もしや!葵姉のやつはあなたですか!!
- 544 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/07/15(金) 15:45:55 ID:h5SMfh5b
- いえ、あれは別の神職人様の作品です。
・・・うちの姉どもを見てたら萌える姉SS書ける自信が無くなってきました('A`;)
- 545 :260 :2005/07/15(金) 20:28:09 ID:x6mq9Au1
- 当時の痛みを思い出すとついつい身震いしてしまう。
そんな俺を見て巴は昔を懐かしむ様に目を細めてクスリと笑う。
「自転車の練習、ボクが転ぶ度にお兄ちゃんが庇ってくれた・・・」
「まぁ、絶対に痛い想いはさせない約束だったからな」
「何度も何度も転んで、それでも嫌な顔一つせずに最後まで付き合ってくれた」
「補助輪無しの練習しようって言い出したのは俺だったからな」
無傷の巴と体中生傷だらけの俺というのは子供の頃は珍しい事じゃなかった。
他にも逆上がりの練習、スケートの練習と転んだ時の下敷きになった回数は
数え上げたらキリがない。
「練習してる時はいいんだけど風呂に入る時がキツかったな、あれは」
「でも、ボクは楽しかった」
「ああいうのも楽しかったか、そりゃいい思い出だな」
「うん、ボクの・・・ボクとお兄ちゃんの大切な思い出・・・お兄ちゃん、ありがとう」
「ん?どうした急に」
微笑みながら、それでも真剣な眼差しで巴は真っ直ぐに俺を見つめてくる。
「お兄ちゃんはいつでもボクの事を守ってくれたよね、ホントに・・・嬉しかったよ」
「よしてくれよ、そんな風に改めて言われるとなんか照れるだろ」
「・・・ふふっ」
「・・・変な笑い方」
まじまじと見つめて来たかと思うと急に巴は悪戯っぽく笑みをこぼす。
そんな人懐っこい笑顔も眩しい妹に妙な具合に照れてしまう。
・・・なんか悔しいが反則的に綺麗だよな、実際。
- 546 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/16(土) 20:20:36 ID:o2dxmPmt
- >>545
お、続きキタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!!
260様の書く兄妹、俺は好きですよ。
- 547 :二酸化マシンガン自動式 :2005/07/17(日) 01:25:57 ID:AZCToZ0K
- 妹はとてもよく笑う娘だった…
小さくてか細くではあるがよく笑う娘だった…
あの事件が起こるまでは…
○月○日俺は妹の中学の入学式の日
妹は少し落ち着かず俺に
「お、お兄ちゃん…わ、私にもお友達できるかなぁ」
俺は当時中三だった友人は多い方だった
勉強は…ダメだったが空手で中学生では有名だった
…最初はいつもいじめられていた妹を助ける為だけに頑張ってきた
「大丈夫だよ!美咲は俺の自慢の妹なんだから!」
「うん、うん!」
「あとなにかあったら俺が助けてやるから」
きゅっ
美咲は俺の手を握った
「ありがとう…お兄ちゃん…学校までこうしていていい?」
「…あぁいいよ」
4年半ごしの妹の学校生活がいいモノになることを心のそこから願いながら
見慣れた通学路を歩いた
(;´Д`)=3お久しぶりです忘れてるはずですが
よろしければご観覧ください
- 548 :雨音は紫音の調べ ◆cXtmHcvU.. :2005/07/18(月) 12:37:11 ID:zKH+oFbu
- GJ!!
続きが気になるーっスー!! モエェ(*´Д`*)ェエ工
- 549 :二酸化マシンガン自動式 :2005/07/18(月) 14:30:12 ID:YInOjRu+
- そして入学式が始まった
「お!あいつ緊張してんなw動き固いし、今にも泣きそうだw」
「新入生着席!」
・
・
・
そして式が終わり上級生の俺らはもう帰りだ
新入生は校内見学とLHRがある
「お〜い!将!帰ろうぜ!」
「え?あっと俺は用事あるからさき帰っていいよ」
「はは〜ん…お前美咲ちゃん心配してんだろ!このシスコンがw」
「うるせ〜!…ただ、俺は…」
「まぁ、わからんでもないがな、美咲ちゃん弱弱しいかんな〜」
「でも美咲ちゃんのいいとこわかってくれるヤツいるさ、あんま心配すんな」
「あぁ…そうだよな帰るか直(大丈夫だよな美咲)」
そうこの男直春は唯一美咲と仲良くしてくれている俺の親友だ
軟派野郎だが根はいいやつ
「帰りにミスドいこうぜ!今日はなんていうか甘いもんくいてぇし」
「いいね!いこう」
・
・
- 550 :二酸化マシンガン自動式 :2005/07/18(月) 14:31:14 ID:YInOjRu+
- 「う〜ん美咲のヤツおそいな〜」
「ちょっと学校いってみよう…べ、別に美咲が心配なわけじゃ…」
心配だった
「はぁはぁ、あそこにいるのは…おい!美咲!」
「あ、お兄ちゃん」
「なにしたんだよ〜心配したぞ」
「ごめん…なさい…うぐっ」
「おい!別になかんでも!」
「お兄ちゃん…またお友達できなかったよ…みんなは楽しそうなのに
私また一人だった…う、う、ひっぐ、うわ〜〜〜ん!」
「大丈夫だよ!まだ初日だろ!もう」
(まだ初日…確かにそうだ…でも心配だった…)
はい、すいません駄文書きました
一応続きです
- 551 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2005/07/18(月) 16:10:59 ID:/1drsvCO
- >>260氏の文章力は相変わらず素晴らし杉ますね
GJッす!
>>二酸化マシンガン自動式さん
GJです!今度は自動式ですかww
- 552 :260 :2005/07/18(月) 23:21:54 ID:el+XxdAF
- 「うふふっ、ごめんね。お兄ちゃんのそういう所、ホントに昔のままだから」
「そういう所って何が?」
「・・・照れ隠し」
人差し指をピンと立てて秘密をそっと明かす様に囁く巴。
「あははっ・・・まいったなぁ、しっかりバレてるか」
「もちろん、ボクはお兄ちゃんの事ずっと見てきたんだから」
見惚れていた事には気付かれなかった様でなによりだな。
心の中で漏れる安堵の溜息を知らずに微笑む巴を前に
さらに誤魔化すべく俺は盛大に欠伸をかます。
「ふぁ〜あ・・・それにしても、今日はポカポカだな」
「眠たくなった?」
「ああ、枕でもありゃなぁ」
「・・・枕ならあるよ、良かったら貸してあげよっか?」
「そりゃありがたい、是非」
少し考えるそぶりを見せたのが気に掛かるが折角の申し出を断る理由もない。
「けど、枕なんてどこに?」
「・・・ここ・・・」
頬を紅く染めてちょこんと自分の膝を指差す。
一瞬、思考が止まる俺。
膝?・・・つまり、膝枕?
- 553 :260 :2005/07/18(月) 23:49:54 ID:el+XxdAF
- 後もうちょいでこの話も完結。
しかし・・・最近暑すぎる。
シベリアにでも逃げ出したい気分だ。
> 雨音は紫音の調べさん
ゆるゆると続くssですが気長に読んで頂ければ幸いです。
書き始めるとそうでもないのですが一行書くのに一時間か
かる時もあったりしますw
> 遊星さん
ありがたいお言葉をどうもです。
出来の良さでは 遊星さんの所の妹達にはとても敵いませ
んが頑張って書いてますんでこれからもどうぞよろしく。
そして、一ファンとして次のお話を期待してます。
>すばるさん
そういってもらえるといくらか救われますw
書くたびにセンスの無さを思い知らされておりますよ。
もっと萌えるssを書けるようになりたいなぁ。
> 二酸化マシンガン自動式さん
GJです!!本気で萌えましたよ!!
- 554 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/19(火) 11:56:43 ID:GdvDfErP
- >>260
妄想乙wwwwwwwwww
つまらないからやめろバーカww
- 555 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/19(火) 12:55:01 ID:jhqy86sG
- >>554
そう思うならアンタが見なきゃいいだけ。
260さん、気にせず頑張って下さい!
釣られてしまったのかもしれないが・・
失礼いたしました。
- 556 :コンズ ◆.QEIQa0jSM :2005/07/19(火) 15:05:54 ID:poWE046G
- 遊星祭りっ、とてもGJでこざいました!!
皆様、素晴らしすぎですOTL
- 557 :終末 ◆.QEIQa0jSM :2005/07/19(火) 15:08:52 ID:poWE046G
- やっぱコレでorz
スマソ
- 558 :二酸化マシンガン自動式 :2005/07/19(火) 15:54:07 ID:fUP9vwiH
- 次の日家にて
「はい、お兄ちゃん」
「あ、あぁ、ありがと」
食事は分担で作っているお袋は美咲を産んだ時に他界してしまい
親父は今海外で働いていた
「親父はおばさんの所でお世話になりなさい」
といったが俺は
「俺が美咲を守るから!」
とごねた
まだ責任という言葉もしらないガキがよくいうと今は思う
「今日ね、お友達ができたんだ…」
顔を真っ赤にしていう
「!!ホントか!!」
嬉しかった…我が事のように嬉しかった…
「うん…名前はね、清水 葉さんっていうの」
「授業の図書室の使い方で一人でね本読んでいた時にね」
- 559 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/19(火) 15:55:08 ID:fUP9vwiH
- 「はぁ〜暇だな〜そう思わない?美咲ちゃん!」
「(ビック!)え、え、えっと!(はわわなんで私にぃ〜)」
「ご、ごめんね〜そんなに驚かなくても!」
「はぅ、ごめんなさい…(はぁ〜嫌われちゃったかな…)」
「……かっわいい〜〜〜!!可愛いね美咲ちゃん!」
「決めた!もう私の親友に決定!拒否権は認めません!」
「わぁ!」
思わず椅子からおちちゃったよぉ〜
「私、葉!清水 葉っていうんだ〜葉って呼んでね!そんかわし私も美咲って呼ぶから!いい?」
「え、あ、は、はい〜し、清水さん」
「よう」
「え?は、はいよ、うさん」
「よう!」
「あ、あ〜う〜」
「はいはいわかったよ!ようちゃんで手を打とうOK?」
「は、はい!」
「敬語は禁止!」
「あう、」
「って感じで…変かな…」
「(うん変だ)そ、そんなことないぞ!」
「よかった〜お友達できたんだ…」
「泣き顔になるな!もう、でもよかったな」
本当によかった
「うん!」
続きです
多くは言いませんごめんなさい
- 560 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/20(水) 20:55:34 ID:rM/Ykwpq
- 夏ですなぁ……。
夏のお話、何か書きたい……。
>>260様
何て言うんでしょうかね、260様のssは『キレイ』だと思うんですよ。
ほのぼのしてて、それでいて不自然じゃなくて。
そういうトコが凄いなーなんて思ってしまうわけです。はい。
つまり、暑くて大変でしょうけど、楽しみにしてるんで、頑張ってください。と。
- 561 :二酸化マシンガン自動式 :2005/07/22(金) 10:06:28 ID:+1dp5BA4
- 続き
「ふぁ〜ねみい〜」
「ごめんねおにいちゃん…」
「いいよ別にそれだけうれしかったんだもんな〜(う、そんな目されたらこういうしかないだろ!)」
※
昨日急にふとんに入ってきて
「あの〜おにいちゃん…一緒に寝てもいい?」
「あ、あぁいいよ別に(こいつわざと?)」
「あのね…お兄ちゃんと春くんと仲良くなったときどういう感じだったの…」
「あぁ〜あれは…ね」
「なに?」
「内緒だ」
「え〜」
「そのかわり友達ともっと仲良くなる方法おしえてやろう!」
「いいの?」
「(がくっ)い、いいの〜ってなんだよw」
「だって〜」
「まぁいいじゃあよ〜く聞けよ〜」
ってなやりとりがあった
- 562 :二酸化マシンガン自動式 :2005/07/22(金) 10:07:28 ID:+1dp5BA4
- ※
「(かぁ〜)う、うん」
「だからいいよ、美咲はほんと小動物だな〜」
「私は人だよ〜」
「はいはいwぶすくれるな」
よしよしと頭をなでる
「うん、もうおこってないよ」
「あぁ〜あれ怒ってたの、わからんかった!ははは!」
「ぶぅ〜!」
「あはは!遅れるから置いてくぞw」
「まぁって〜!」
まぁ過去編はまだ続きます
すいませんこんなんでスレ数増やしちゃって
俺!死ねばいいよ!うわ〜ん!
- 563 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2005/07/22(金) 10:32:29 ID:6orxjwCy
- 夏ですねー・・・妹SS書きたいなー・・・海ー海ー
ノートPCのUSB壊れたー もうお金貯めてPC買った方がいいんですかね・・・
>>二酸化さん
乙ですー。
二酸化さんの作品のキャラって何か新鮮でいいですね。
- 564 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/24(日) 13:46:27 ID:IHh60M7u
- |ω・`)つ コソーリ【 http://www.geocities.jp/you_say712/ 】
台本書庫(候補)
とはいえ、まだ何も無い。
今は遊星専用っぽいけど、そのうち他の方々のも……。
- 565 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/26(火) 14:45:48 ID:Jv774xZV
- 「お兄ちゃん、この水着って似合う?」
- 566 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/26(火) 15:36:30 ID:6KS+U31I
- >>遊星さん
保管庫作成乙です。
作品が保管される日を心からお待ちしております。
- 567 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/26(火) 21:48:41 ID:vtyFpkH9
- 「お兄ちゃん…台風来るんだって…」
「そうだな」
「風がゴウゴウなってるよ…」
「まぁ、台風来てるからな」
「カミナリ鳴るかな…?」「鳴るかもね」
「…カミナリちょっと怖いかも…」
「雷鳴るとしてもどーせ寝てる時だろ?」
「でも…やっぱり怖いかも…」
「怖がりは大変だなぁ」
「あのね……」
「ん?」
「だから…今日一緒に寝てくれないかな…なんて…」
>>遊星さん
GJです!
- 568 :二酸化マシンガン夜間迷彩 :2005/07/26(火) 23:54:39 ID:iwE6DdS9
- 「台風怖いね…」
「ははは!お前吹き飛ばされるんじゃないか!」
「そそそんなことないもん!…あれ?」
「お前!なにないてるんだよ!冗談くらいわかる年だろ!?」
「ヒッグ…わかってるわかってるよ〜…でもおにいちゃんと離れ離れになること頭に
浮かんじゃって…え〜ん!」
「もう…大丈夫だよ俺が離さなきゃいいことだろ?」
「うん…うんおにいちゃん…離しちゃやだよ…」
「わかったよ、たく」
まだこいつからはなれるわけにはいかないな…こいつに好きなやつができるまで
でもなんかムカつく
なんてーかすいません
ちょいとあるゲームやってたらかきたくなって
つーか続きはもうちょいまってください(待ってる人いないと思いますが)
では!
- 569 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/27(水) 08:18:37 ID:scEQrax8
- 私はお待ちしてますよ!
しかし夜間迷彩と聞くとどうしてもダンバイn(ターン
- 570 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/27(水) 09:24:44 ID:VlUdtzoZ
- 僕も待ってますよ
- 571 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/27(水) 20:54:09 ID:O5iv0rAw
- ふぅ……とりあえず俺の分は保管完了。
不具合があったら、メールくれるとありがたいです。
- 572 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/27(水) 21:23:41 ID:Te6RL0Rb
- >>遊星さん
激しく乙です!
ヤバイ・・明日テストの山場なのに読みたくて仕方ない・・
- 573 :二酸化マシンガン実は爆弾 :2005/07/28(木) 15:15:06 ID:UWvdl349
- うぅ…(つω・`)みんなありがとうです
今いそがいなので待っていてください!
必ずしも書きますから(`・ω・´)ゞ
- 574 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/28(木) 19:10:37 ID:PtQGQ8vl
- やぁ皆。
夏だね。
相変わらず、良いものを書いて居るみたいだね。
安心したよ。
あれだ・・私にもそのエネルゲー、分けて欲しいね。
>>47-61 >>83-97 >>133-147 >>205-219
此処等辺に興味の無い方、見ると反吐が出る方は。
今の内に、「:」をNGにしといて下さい。
その内、そんなのを貼りに来ますので。
嗚呼・・暑いね。
- 575 :なぜなに月下:ごにちめ :2005/07/29(金) 02:55:54 ID:UwjDIQtE
- 「有紗とっ」
「五十鈴の」
「なぜなに月下、あらすじ編〜」
「粗筋、ねぇ」
「おう。 しばらくバックれてたから、忘れてる人も多いだろーと」
「・・憶えてる人、居るのかしら」
「まぁちゃっちゃとやりましょうっ。 はい、キュー」
「・・・・ログを読みなさい。 以上」
「おいおいおいおいおいっ。 それじゃクレームしか産まない不毛の大地だよっ!」
「良いじゃない・・ログも読まない人は、こんなのスレ違いで読み飛ばすわよ」
「そ、それもそうだ・・そう、月下はザ・スレ違いなのでしたっ」
「じゃあ終わりましょう」
「うん・・っておいっ! 折角のわたしの出番をっ! 嘘、大袈裟、紛らわしい、CEROに訴えるよ!?」
「それはJARO・・しかも関係無いわよ」
「にゃんこちゃんは彼氏出来たんでしょ?」
「・・・・行き成り話を変えるわね。 ・・まぁ、一応、ね」
「ふむむ・・。 あとは奈菜ちゃんの恋路の行方だけだね。 がんばれ奈菜ちゃん!」
「誰との恋よ」
「もちろんお兄さん」
「・・・・実の兄妹は、不味いんじゃないの?」
「大丈夫! 何故ならここはっ!」
「妹スレだから・・って事ね?」
「そうさおういぇ〜っ!」
「それじゃあ奈菜にも頑張って貰いましょうか」
「そうさ! 板違いに成らない範囲でねっ!」
「・・・・・・・・どんなよ・・」
「そりゃもう、エロエロ」
「今日は此処迄」
「お? 結構純情派?」
「貴女が不純なのよ。 じゃ、また本編でね」
- 576 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 1 :2005/07/29(金) 02:58:59 ID:UwjDIQtE
- 世界は千十一の要素で構成されて居る。
私は、『血』。
要素の、一つ。
世界の、一つ。
私は世界で在り、世界は私でも在る。
私が変わる時、世界が変わる。
――私は、変わる。
ヒトに、近付く為に。
或いは其れは、愚かな事かも知れない。
私は、決して、人間では無いのだから。
伸ばしても、手は届かないのかも知れない。
けれど、私は、伸ばし続ける。
伸ばした手を、掴んでくれる人が居る。
掴もうと藻掻く私を、励ましてくれる人が居る。
私と同じ道を、歩む人が居る。
私と、私の大切な人達の為に。
私は、手を伸ばす。
変わる為に。
変える為に。
私は、変わる。
世界を、変える。
私は『血』。
己が司るものの為に。
己自身を変えてみせる。
私は『血』。
世界の一つ。
そして、世界其の物。
そして、私は――ヒト。
- 577 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 2 :2005/07/29(金) 03:00:41 ID:UwjDIQtE
- 「ふぅ・・・・」
「・・何よ、溜め息なんて」
思わず出た其れに、五十鈴が反応する。
「疲れてるの?」
「ん、まあ、な」
「色々大変だったみたいだね。 あの子とお兄さんに言い訳とか」
「嗚呼・・特に有紗・・・・涙目で迫られると、な・・嘘の罪悪感、と云う奴か」
五十鈴の座るベッドの右手、詰まり私の向かいに座る秋に答える。
「・・お墓、作ってくれたんだっけ?」
「ん、猫の、な」
「・・奈菜・・・・その」
「謝るなよ。 済んだ事だ」
「・・・・分かった。 有り難う」
「飼い猫が死んだんだ。 当然の事をした迄さ」
猫のセツは、事故で死んだ。
私も巻き込まれ、軽い怪我を負った・・そんな言い訳。
心苦しいものは在るが、二人を是以上巻き込む訳にも行か無いだろう。
「さて・・そろそろ出ようか」
「そうね、もう時期面会時間も終わりだし」
「毎日晩くまで、悪いね」
「友人を見舞いに来て、晩く成ってしまうだけだ。 普通だろう?」
「はは、それもそうだ。 でも、お兄さんと一緒、が良いんじゃないかい?」
「・・・・有紗みたいな事を言うな。 お兄ちゃんは・・」
「お兄さんは?」
「・・・・・・補習だ」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・ご愁傷様、ね」
「・・お兄ちゃんの、努力不足だ」
- 578 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 3 :2005/07/29(金) 03:05:38 ID:UwjDIQtE
-
「只今」
「お帰り」
リビングから、出迎えの声。
「ちゃんと真っ直ぐ帰って来て居た様だな」
「お前は俺の保護者か」
「足が治る迄はな」
「・・・・了解」
リビングに入り、ソファーに座る。
「直ぐ無理をするからな、お兄ちゃんは」
「そうかぁ?」
「そうだ」
「奈菜の方が、よっぽど無理してると思うんだがなぁ?」
「私・・がか?」
不意を打たれ、隣の史也を見詰め返す。
「おうよ。 こないだだって、セツ助けようとして・・怪我したんだろ?」
「嗚呼、うん・・・・まぁ、な」
少し、視線を泳がせて仕舞う・・嘘と云うものには、慣れないな・・・・。
「それに、すぐ自分だけで抱え込んじまう。 限界の限界まで、な」
「・・・・・・そう、かも・・な」
「俺はよぉ、奈菜がいつか背負ってるもん背負いきれなく成って、潰されやしねーかと心配なんだよ」
「・・・・・・」
「ま、話聞くだけなら出来っから・・な? 何時でも頼ってくれていーぜ。 頼りになんねーけどな」
「そんな事、無い・・。 頼りに、してる」
史也は・・是以上の無い、私の支えだ。 私の、生きる、理由・・だ。
「・・あー・・・・帰って来てすぐの話じゃねーな。 ま、あれだ・・・・晩飯でも食うか?」
「・・そうだな。 夕飯にしよう」
「それじゃ、たまには奈菜がつく「断る」」
――間。
「・・私だって、美味いものの方が良い」
- 579 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 4 :2005/07/29(金) 03:07:40 ID:UwjDIQtE
- 「花嫁修業とか、する気無い訳?」
「行かないから良い」
「・・お前ね」
「奈菜ちゃんは、お兄さんの元で幸せになるので料理スキルなんざ必要ないんですっ」
「っ!」
「おわっ、有紗ちゃん!?」
突然の割り込み声に、私も大声を上げそうに成った。
「・・・・有紗」
「なにかな?」
「何時から、何故、家に居るんだ」
「最初からいたよ」
「・・俺も気付いてなかったんだけど」
「お兄さんは鈍いから♪」
「そんな問題じゃないと思う・・」
「今日はね、久し振りにお兄さんの料理が食べたくなりましたっ」
「・・・・・・そうか。 なら、食べて行くと良い」
「ん、それじゃ今日のメニューは有紗ちゃんの好きな料理でいこうかな」
「お、カレーですか? 楽しみですー」
――――有紗の父は、他界して居る。
そして残された母は、女手一つ・・と云った次第だ。
・・・・しかし酷なもので、彼女は遺伝性の心臓病と云う、病持ちでもある。
倒れれば、有紗は祈るしかない――其れは、幼い頃から有紗を縛る、茨。
だから、何時からか・・有紗の母が帰らぬ日には、我が家の夕飯に有紗が加わる様に成った。
「今晩は泊まってくんだろ、有紗ちゃん」
「良いんですか、お兄さん?」
「初めからその心算だろう」
「ふふ、さすがは奈菜ちゃん! わたしのことなら何でもお見通しってヤツだね?」
「二人とも手伝ってくれよ。 こういうときゃ、皆で作った方が美味いもんだ。 ――あ、やっぱり奈菜は手伝わなくていいぞ」
「・・如何云う意味だ」
「そういう意味だ」
- 580 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 5 :2005/07/29(金) 03:09:04 ID:UwjDIQtE
- 「ならボクが手伝おうか」
「っ!」
背後からの声に、又も上がりそうに成る声を抑える。
「お邪魔してるよ」
「・・・・・・何故此処に居る、ウィル」
「ああ、俺が呼んだんだ。 事故ん時世話に成ったらしいから」
「うげぇ、変態銀髪っ! こんな所まで奈菜ちゃんのストーカーっ?!」
「有紗、史也の話、聞いてたかい?」
「聞いてたわっ! 一度たまたま偶然奈菜ちゃんを助けたからって、それにつけ込んで家まで無遠慮に! 恥を知りなさい!」
「恥は純血日本人の君に任せるよ。 史也、何をすれば良いかな?」
「ジャガイモの皮むきでも頼もうか。 地味だけど」
「地味な仕事は嫌いじゃないよ。 引き受けた」
「わ、私を無視するにゃーっ!」
「有紗ちゃんは他の食材切り分けてもらおうかな」
「あ・・は、はい、分かりました」
「よし、くっきんスタート」
それぞれが仕事に入る。
地味なカリスマ性だな、史也・・・・所で。
「・・・・お兄ちゃん、私は?」
「ん? テレビでも見てろよ」
「・・・・お兄ちゃん」
「睨むな睨むな、冗談だ。 丁度福神漬け切らしてたから、買って来てくれ。 コンビニ行って」
「・・まぁ良い。 分かった、買って来る」
「あ、奈菜ちゃん出るの? 一人じゃ危なくない?」
「ボクがつい「アンタは黙ってて」」
「・・・・一人で大丈夫だ。 行って来ます」
「おう、行ってらー」
史也の送る言葉を背に、外に出る――と、見慣れない男。
「よう」
「・・・・誰だ」
- 581 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 6 :2005/07/29(金) 03:11:46 ID:UwjDIQtE
- 「ウィルのお仲間ってとこかな」
千客万来とは、この事か・・。
「何の用だ」
「一人じゃ心許なかろうと思ってな。 この前みたいに、行き成り何か仕掛けられないとも限らん」
「・・・・そう、だな。 じゃあ、付いて来て貰おうか」
「おう。 俺はエイジ」
「知って居るとは思うが、奈菜、だ」
「ん、宜しく」
「それじゃあ、行こうか。 ・・エイジ、お前も食べて行く気か?」
「あーいやいや。 もう一人仲間が居てな、腹空かして待ってるから食いもん買って帰るわ」
「その序で、と云う事か」
「ま、そんな感じだ」
街灯が照らす、コンビニへの短い道を歩く。
そこそこ近い場所なので、偶に史也が利用したりする。
「・・お前らの目的は何だ?」
「あん? 俺らの?」
暫し、考える仕草。
「分からん」
「・・・・おい」
「いや、マジ。 俺らはウィルに付いてってるだけだからな。 奴に聞いてくれ」
「・・ウィルに聞いても答えないから聞いたんだがな・・・・なら、お前等は如何云う関係なんだ」
「ウィルは・・命の恩人、かな」
「ウィルがか」
「そ。 俺らは『新しい要素』なんだよ」
「『新しい要素』?」
「そう。 世界誕生の頃から在る要素じゃなくて、それ以降から生まれた要素。 ウィルは違うけどな」
「・・・・要素が新しく、『生まれる』? そんな事が、在るのか?」
「『死ぬ』事が在るなら、当然だろ」
「・・・・」
「俺ら『新しい要素』の存在を認められない奴らも居てね。 そういう奴らから、身を護る手段みたいなのを手解きされたり、な」
- 582 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 7 :2005/07/29(金) 03:13:42 ID:UwjDIQtE
- 「新しいものを、認められない・・」
「あんたの敵と同じ様な所もあるな。 ・・ま、身を護る手段つっても、逃げ方とかだけどな。 ――着いたぞ」
上げた視線、コンビニの光に一瞬目が眩む。
――そして浮かぶ、幼いシルエット。
「・・・・お前、何で此処に居んの」
「エイジ〜、おそいぃ〜。 マイ、おなかへったぁっ!」
「だからって此処まで来るか・・このアホ」
「なんでアホっていうの、バカエイジっ」
「今この街がどんだけあぶねーか、分かってんのかテメーは」
「しらない! いまはマイのおなかがあぶないのっ!」
「コイツは・・・・はぁ、まー良い。 とっとと買い物済まして帰るぞ」
「それでよろしい」
ぺしっ。
「いたっ! なんではたくの、バカエイジ!」
「イラついたからだ」
「いしゃりょうよこせー!」
「飯は要らんのか」
「マイねー、ツナマヨおにぎりがたべたいなー」
・・・・漫才の様なコンビだな。
「・・家で食べて行くか?」
「「え?」」
「良いのか?」
「いいのっ?」
「・・同時に喋るな。 今更一人二人増えた所で変わらん。 どうせお兄ちゃんも多めに作って居るだろうしな」
「わー、ひさしぶりにまともなメシにありつけるっ」
「・・妙な言葉ばっか憶えやがって。 悪いが、是非頼む」
「ん。 大勢の方が、楽しいだろう。 さっさと福神漬けを買って帰ろう」
「おお、カレーだねっ? マイねー、カレーも好きー」
「そうか。 有紗と気が合いそうだな」
- 583 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 8 :2005/07/29(金) 03:15:42 ID:UwjDIQtE
-
「お風呂上りましたー」
有紗の声が、リビングに響く。
「おー、そっか。 んじゃ、俺も入るかね」
時計は、短針が十と十一の間を指して居た。
「それじゃ、私達は先に寝るぞ」
「んー、お休み」
「お休み」
「お休みなさーい」
階段を登り、私の部屋に二人で入る。
「いやいや、中々賑やかな夕べでしたなー」
「賑やかと言うより、騒々しかったな・・」
「まぁ、あれ位騒がしい方が楽しいって事で!」
「・・大半、有紗が騒いだんだがな」
「そう、あの変態銀髪! 事あるごとに、奈菜ちゃん狙いやがってっ」
「・・・・・・もう寝るぞ」
「あ、奈菜ちゃんっ」
「何だ」
「一緒・・良いか、な・・・・?」
私のベッドと私自身を見ながら、遠慮がちに尋ねる。
「・・他に何処に寝る気だ」
二人では少々狭いベッドに、並んで横に成る。
「電気、消すぞ」
「うん」
カチ、カチ。
二つの段階を経て、暗闇が私の部屋に満ちた。
「奈菜ちゃん」
「何だ?」
「・・手」
「うん」
- 584 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 9 :2005/07/29(金) 03:18:17 ID:UwjDIQtE
- 伸ばされた手を、握る。
「・・・・奈菜ちゃんは、私のお姉ちゃん」
「・・ん?」
「そんな、イメージ。 昔は、すごく大人な感じで・・私のお姉ちゃんみたく、見てた」
「今は?」
「・・・・すごく優しいお姉ちゃん」
ふふふ、と笑い声。
「妹よりかわいーお姉ちゃんなんて、反則だー」
「・・有紗の方が、余程可愛いと思うんだが」
「うそだー」
「有紗は・・自分に素直に成れる。 私には、無理だ」
「奈菜ちゃん、最近段々素直に成ってるじゃん」
「未だ未だ有紗には敵わないさ」
「私も結構素直じゃないとことか、あるよー?」
「知って居る」
「・・何でもお見通しだね」
「有紗程じゃ無いさ」
「もー、さっきからそればっか」
「そうだな。 ――――有紗」
「んー?」
空いて居る方の手を、有紗の頭に回し、撫でやる。
「・・素直に成って良いぞ」
「奈菜・・ちゃん?」
「大丈夫だ」
「・・・・・・・・奈菜ちゃ・・・・ぐす・・・・ななちゃぁ・・っ」
「よしよし・・」
「ふぇ・・ぇ・・・・奈菜ちゃん・・お母さん、おかあさんがぁ・・・・」
「大丈夫だ・・お母さんなら、又直ぐに良く成るから」
「だって・・だってぇ・・・・今度は、ダメかもしれないよぉ?」
「大丈夫・・お母さん、何時だってちゃんと、帰って来ただろ?」
- 585 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 10 :2005/07/29(金) 03:20:27 ID:UwjDIQtE
- 「ぐす・・・・だって・・だって・・・・・・おかあさん、おかあさん・・がぁ・・っ・・・・うえぇぇ・・」
「よしよし・・・・大丈夫・・大丈夫だから――」
泣き疲れて、眠る迄・・私は、有紗に言い聞かせ続けた。
暗闇がその場を支配して居た。
彼女に意識が戻っても、瞳は一切の光を捉える事が出来なかった。
「――目が覚めたかしら?」
覚醒し、どれ程の時間が経ったのか――或いは、間髪置かずにで在ったのか。
次にその場を支配したのは、少なくとも彼女のものでは無い、女性の声。
その声を辿り、記憶を引っ張り出す。
自分は、何故此の様な状況に置かれて居るのか。
相手――声の主は誰なのか。
そもそも、自分は誰だったのか・・。
「――『恐怖』」
口に出た、相手の名前。 其れを糸口に、一気に記憶が蘇る。
「貴様――此処は・・何の、心算だ・・」
「私は逃げやしないわ。 ゆっくり整理しなさい、焼」
「・・・・・・・・・・・・此処は、何処だ」
「貴女の学校の、保健室」
「出鱈目を、言うな」
学校――何年も見続けた、ヒトとしての己の職場。
其処を、見間違う筈が無い。
「本当よ。 少し、暗くして居るけれどね」
闇が、彼女の声に蠢いた。 『恐怖』――二人目の眷属。
「・・私を、何故生かして居る。 如何する心算だ」
「ふふ・・また操るのも、良いかも知れないわね。 前よりもっと簡単よ?
貴女には、私に敗れた・・『恐怖』が、刻み込まれて居るんだから」
「く・・っ!」
見える訳では無い。 それでも、焼は虚空を睨み付けた。
- 586 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 11 :2005/07/29(金) 03:21:55 ID:UwjDIQtE
- 「うふふ・・安心して。 私が貴女に与えるのは――寧ろ、幸福よ」
「何を・・・・」
「其れは、私の幸福では無いけれどね・・ふふ」
瞬間、蠢く闇は焼を中心に集結した。
「っ・・! 何、を・・・・!!」
「――左様なら、焼」
闇は焼の意識へ染み、徐々に、徐々に、彼女の意識を奪って行く。
其れは寧ろ、甘美とも言える・・眠りへの、誘い。
「貴女の使徒としての生命は・・・・此処で、終わる。 お休みなさい――」
閉じて居た瞼を、ゆっくりと開ける。
「何を『視て』いた?」
「――やぁ、エイジ。 起きて居たんだね」
「未だ日付も変わってねぇよ」
「そう言えばそうだ」
備え付けの冷蔵庫から、ミネラルウォーターを取り出し、二つのコップに注ぐ。
「ほれ」
差し出す右手に、其の片割れ。
「有り難う、頂くよ」
つい、と一口。
「で、何を?」
「・・・・彼女さ」
「それじゃ分からん」
「『恐怖』」
「・・何か、動いたのか」
「まぁ、ね。 ちょっと予想外・・だけど、案外予想内」
「・・どっちだよ」
「ふふ、どっちだろうね。 まぁ其れより差し迫った問題が在るよ」
「何だ」
- 587 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 12 :2005/07/29(金) 03:23:11 ID:UwjDIQtE
- 「近々『狩り』が来る」
エイジの、動きが止まる。
「・・・・何人位だ?」
「根源一人と、現象一人・・後は」
「後は?」
「――――始原」
「なっ・・・・?! 始原が、『狩り』なんぞに参加するってのか!?」
「ふふ・・彼は、昔っから融通が利かなくてね。 『新しい要素』なんて、認められないんだよ」
「笑い事じゃねぇだろ・・」
「そう、だね。 ・・・・エイジ」
表情に、真剣なものが加わる。
「・・・・何だ」
「頼みが、在る」
「何を今更」
「・・・・君の命に関わる」
「・・・・・・」
「彼は、奈菜を『殺し』に来る。 『世界の変容』を、潰しに」
「『恐怖』と、同じだな」
「『恐怖』も、『殺さ』れる。 彼女も、変わり過ぎた」
「・・・・皆殺しかよ?」
「はは、殆どそんなものだね。 其れで、だけど」
「ああ・・」
「君の命・・ボクに、くれ」
「はっ・・・・そんなもん、当の昔にくれてやってるぜ」
「・・・・済まない」
「・・マイは――」
向かいのベッドを見遣る。
布団に包まり寝息を立てる、小さな生命。
「――彼女も、だね・・」
「・・・・未だガキだが、その覚悟ぐらい、出来てるだろうさ」
- 588 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 13 :2005/07/29(金) 03:24:30 ID:UwjDIQtE
- 「・・御免よ。 ボクの、我が儘で――」
「言いっこ無し、だぜ。 そんくらいしねぇと、とても返せる恩義じゃねぇからな」
煽り、コップの中身を飲み干す。
「何をすりゃ良い」
「時間を稼いで欲しい」
「時間?」
「奈菜と、彼女が決着を付ける迄の時間」
「お安い御用だ・・と言えないのが辛い所だな」
「頼む」
「おーけい、やるだけやってみるさ」
立ち上がり、窓を見る。
ガラスに映る、エイジとウィル。
「ウィル」
「何だい?」
「お前が、奈菜に――あの二人に拘る理由は何だ?」
「・・・・・・」
コップに残った水が揺れる。
「奈菜は・・・・ボクに似てるんだ」
「・・ウィルに?」
「ふふ、そう、ボクに。 だから――」
水を、一気に飲む。
「だから・・ボクの代わりに――――見付けて、欲しい・・」
「・・風、騒ぐわね」
深夜の病室。 五十鈴の声が、暗い病室に響く。
「そうだね」
答える声は、秋。
「――『狩り』が、来るって」
「・・『狩り』?」
- 589 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 14 :2005/07/29(金) 03:26:21 ID:UwjDIQtE
- 「『世界』の中の・・新しいものを認められない人達。 『変容』を、潰しに来る」
「・・・・あの時の、私と、同じ・・?」
「そうなのかも」
「そう・・」
「・・難しいかも知れないけど、姉さんは僕が護るから」
「何言ってるの。 弟らしく、私に護られてなさい」
「もう姉弟じゃなく、恋人同士でしょ?」
「こいびっ・・・・んんん・・まぁ、その・・ね」
「はは。 それじゃ・・退院の準備しとこう」
「退院って・・」
「すぐに出られる準備、って事。 病院でやりあう訳にも行かないでしょ」
「そう、ね・・動き易い服、用意して貰わなきゃ」
「ああ、あれ良いんじゃないかな。 ほら、姉さんと初めてデートした時の」
「でっ、デートじゃないわよ、あんなのっ! 一緒に映画見ただけじゃないの!」
「どの日の事とは言ってないんだけどな〜?」
「うっ・・・・しまった・・」
「――立派に、デートだったよ。 楽しかった」
「・・私も・・楽しかったわよ」
秋と五十鈴の、記憶。
『切』と『断』が体験した訳では無いが、其れは確かに、二人の記憶なのだ。
「はは、洒落っ気の無い服だったけどね」
「う、五月蝿いわね! 私なりに精一杯お洒落したのよっ!」
「知ってるよ。 可愛かったよ・・珍しく」
「・・余計なのよ、一言」
「未だ、もっとデートするんだ。 死んでなんか、居られない」
「・・・・当然よ。 私達は、生きるの」
「変わり続ける世界で」
「変わり続ける、永遠と共に・・ね」
- 590 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 15 :2005/07/29(金) 03:28:11 ID:UwjDIQtE
- 「・・・・世界が、存する為に」
男は呟いた。
誰にとでも無く。
或いは、己自身へ。
「変容等を、認める訳には、行かない――」
男は続けた。
相変わらず、その声を聞くのは男自身のみであった。
「・・・・世界の為に」
重い扉を開く。
明るい日差しに包まれて、男の護るべき『世界』は存在して居た。
「・・・・世界を、殺す」
決意。
或いは、固執。
何年も何年も――ヒトならざるものとして生きた、己に課した・・宿命。
或いは、意味。
陽光の下、銀色の髪が輝く。
瞳に宿るは、決意の光のみか。
揺れる其れには、微かに――悲しみ。
「行くぞ」
其の呟きを聞いたのは、男だけでは無かった。
「・・承知」
答える其れも又、ヒトならざるもの。
二人の『使徒』。
『狩る』は、『使徒』。
世界の為に、世界を殺す。
其れは、矛盾では無いのか?
或いは、そうなのかも知れない。
世界の為に、世界を殺す。
揺れる瞳に微かに陰る悲しみは・・死に行く世界への悲しみか。
或いは――――――――。
- 591 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/29(金) 03:33:47 ID:UwjDIQtE
- まぁリハビリって奴だ。
月影に踊る血印の使徒 第五夜 >>576-590
決戦前話ー。 会話イベントオンリー。
輪を掛けて面白くねー。
お陰で容量が軽い軽い。
後二、三話(!)で終わりますよぅ。
風呂敷畳むのは苦手やで、ホンマ。
- 592 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/29(金) 09:23:04 ID:05Stc9zU
- たゆん様の降臨キターーー!!
- 593 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/29(金) 22:07:08 ID:LVAWDxQG
- 姐さんキタ――(゚∀゚)――!
金曜に来ると言われてからずーーーっと待ってましたよ!
乙です!
- 594 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/31(日) 00:23:53 ID:MIbSus30
- 自演褒め乙
- 595 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/31(日) 08:19:35 ID:fkDytcVw
- まあ確かにつまらんわな
- 596 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/31(日) 11:04:19 ID:U1scoXLp
- (´ー`)y−~~~
- 597 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/31(日) 11:32:25 ID:mf1OYX2N
- つうか意味がよくわからん
- 598 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/31(日) 12:25:05 ID:Z/johIH1
- 私も最近分からん。
- 599 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2005/07/31(日) 13:34:26 ID:ryhbClDe
- (´・ω・`)おやおや
- 600 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/31(日) 21:04:00 ID:U1scoXLp
- 俺だって、このスレナンバーワンの台本書き(選考方法:年功序列)!!
このまま何もしないではいられねぇ!!新キャラ引っ下げて登場だ!!
「んー!!終わったー!!」
ノートを閉じ、制服のシャツのボタンを一つ外し、大きく背伸びをする。
真っ青な空、白い雲。自分の体を忘れそうなほどハッキリとキレイに見えた。
今日の夏季補習も無事終了。
残り何日かなー。なんて考えると、ワクワクしてくる。
そんな俺は、足取りも軽く、教室を出る。
すると……制服を着ていない少女が立っていた。
シンプルなワンピース。艶やかな黒髪。そして、透き通るような白い肌。
その少女は何かを探すようにキョロキョロしたり、教室を覗き込んだりしていたが
俺の姿を見つけると、パッと表情が明るくなった。
「お、お兄ちゃん……!」
「羽音ちゃん……?どうしたの、こんなトコで?」
この少女の名前は霧島羽音。俺の従妹になる。
羽音は隣の市に住んでいて、今まではなかなか会う機会がなかったのだが、
俺が今年、こちらの高校に入学し、通うことになり、こうしてたまに顔を見せるようになった。
「お、お兄ちゃん……えっと……その……」
「……?」
「ほ……」
「ほ……?」
「えっと……えっと……」
深呼吸。
「補習、お疲れ様でした!!こ、コレ、お弁当っ!!」
恥ずかしそうに紺色の包みを差し出す羽音ちゃん。
俺はそれを丁寧に受け取って、
「お弁当……?」
「は、はい!!お昼からも頑張ってください!!」
勘違いしてるわ……。
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