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[第五弾]妹に言われたいセリフ
- 201 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/15(金) 23:36:12 ID:zBZnli9C
- GJ!
今後の未来とサラの遭遇が楽しみです。
- 202 :コンズ :2005/04/16(土) 03:15:10 ID:684b5Xjd
- いや〜、皆さん最高です!!
自分もまさか未来タソの兄様だとわ思ってなかったっス!!
まぁ、何わともあれ乙です!!
- 203 :雨音は紫音の調べ ◆cXtmHcvU.. :2005/04/16(土) 19:22:45 ID:dNK5O2Gr
- 乙です〜GJ!
俺も今後の展開が楽しみです〜! (≧∇≦)b
- 204 :コンズ :2005/04/17(日) 02:56:49 ID:3PguGlN5
- 漏れなら妹に『一緒に寝よ?』って言われたいなぁ………orz
- 205 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 1 :2005/04/17(日) 22:26:17 ID:BI16hUL8
- 世界は千十一の要素で構成されている。
それは私が生まれた刻から変わっていない。
私が、世界が生まれたその刻から。
私が私として存せられるのは、世界が在るから。
私が私として存せられるには、世界が今の儘で無ければならない。
世界が変わる刻、即ち私が変わる刻。
何故ならば私は世界の一部。
私と世界は不可分。
それは『要素』を背負う『使徒』の宿命。
私は、未だ、変わりたくない―――。
「奈菜・・・その、なんだ。 きっとすぐに帰って来るって」
史也が私を慰める。
「・・・有り難う」
如何にか形ばかりでも笑顔を作ろうとした・・が、無理だった。
「・・明日、また探そうぜ。 俺も手伝うからよ」
「否、お兄ちゃんは、無理をしない方が・・・・」
「何言ってんだよ。 セツも立派な家族の一員だぜ。 呑気なこと言ってらんねーよ」
「有り難う・・・・・」
「な? 今日はもう風呂入って寝ろ。 探し回って疲れたろ」
「ん・・・・分かった・・」
俯いた儘、脱衣場の戸を潜る。
唯惰性で衣服を脱ぎ捨てていく。
――今日、我が家の飼い猫のセツが、逃げた。 私はこの時間迄探し回って来たのだ。
浴室の扉を開けてとぼとぼと浴槽迄歩く。
蛇口を捻り、水を風呂桶に満たす。 頭から、被る。
――真実は違う。 切は私を狙う使徒・・恐怖に連れ去られたのだ。
圧倒的な『強さ』に、私は動けなかった。 見す見す切を敵の手に・・・・。
「私は・・・切を、護れなかった・・・・!!」
- 206 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 2 :2005/04/17(日) 22:27:41 ID:BI16hUL8
- ばしゃーっ。
二杯目の水が私を打つ。
「秋に頼まれたんだ・・・自分の代わりに切を護ってくれ、って・・・・なのに、私は・・・!!
秋の大切な姉を・・・護れなかった・・・・!!」
ばしゃーっ。
もう冷たくも感じ無い。 唯液体が体を走る感覚だけ。 其れでも私は、幾度も其れを繰り返す。
秋の、大切な、何よりも大切な、切を。 護れなかった。
其れは私にとっての史也。
史也を護れなかったのと、同じ。
ばしゃーっ。
取り戻す。 絶対に、切を―――取り戻す。
「おはよー奈菜ちゃ・・・如何したの?」
行き成り有紗にそう尋ねられる。
「お早う・・・・何がだ?」
「だって・・今日は久々にお兄さんと一緒の登校でウキウキ奈菜ちゃんかと思ったら・・どんより奈菜ちゃん?」
「あー、あのね、有紗ちゃん・・・・実は、さ」
史也が私に代わって答えようとするが・・チャイム。
「ありゃ、遅刻しちゃうね・・・後で、お願いします」
「うん、じゃあ後で」
史也が自分の教室に歩き出す。
「それじゃ・・・行こ、奈菜ちゃん」
「ん・・・」
一時間目、二時間目、三時間目、四時間目。
授業を聞く気にも成れず、唯ぼんやりと外を眺める。
そう言えば・・あいつ等と初めて出会ったのは授業中だったな・・・。
「奈菜ちゃん・・」
躊躇いがちな有紗の声。 振り向くと、私の席の直ぐ其処に立って居た。
- 207 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 3 :2005/04/17(日) 22:30:02 ID:BI16hUL8
- 「お昼休み、だよ」
教室の正面の時計を見る。 確かに、昼休みの時間だった。
「休み時間にも声掛けたけど・・・上の空だったから・・・・」
「・・・そうだったか。 済まない」
「ううん、いいの。 でも、よっぽど思い詰めてるんだね・・・にゃんこちゃん、えと、セツちゃんのこと」
「ん・・? 何故其れを?」
「俺も居るって」
有紗の後ろから聞き慣れた声・・史也だ。
「気付いてなかったか?」
「嗚呼・・・・」
「マジで重症だな、こりゃ・・有紗ちゃんには俺から話しといた」
「うん・・あのね、わたしも放課後手伝うから」
「あ・・否、有紗に迄、迷惑は・・」
「迷惑じゃないよ! 奈菜ちゃんがそんなののままだったら、心配でそっちのが迷惑だよ・・・」
「ほら、俺はこれだからさ」
ギプスを指す。
「悪いとは思うけど、俺の低下した分の戦力になって貰おうと思ってな。 俺から頼んだんだ」
「頼まれなくてもやるつもりだったよ。 奈菜ちゃんの大切な家族だもん」
「有紗・・・うん、有り難う。 宜しく頼む」
「んじゃ・・飯食おうぜ。 腹が減っては戦も午睡も出来ねーからな」
「・・寝る気か」
「怪我人は良く寝るのが大切なんだよ」
「そーですよぉ。 今晩はセツちゃんが見付かるまで寝ないで探しますからね〜。 奈菜ちゃんも今のうちに寝た方がいいかもよ?」
「ふ・・そうだな。 寝るなら今の内かも知れん」
「じゃ、わたしも寝ないとねーっ。 何か三人でお泊り会でもするみたいだねっ」
「おいおい、そうなってもどうせ俺は除け者だろ? 女の子二人で盛り上がってさ」
「あはは、お兄さんも一緒に盛り上がりましょーよ」
有紗と史也が無理に明るく振舞う。 きっと、私の為に。
「・・・・有り難う、有紗、お兄ちゃん」
- 208 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 4 :2005/04/17(日) 22:31:42 ID:BI16hUL8
-
「奈菜ちゃん、次は歴史だよ。 移動、移動」
有紗の声に目を覚ます。
「ん・・・有り難う」
「は〜、ホントに寝たんだ、奈菜ちゃん」
「嗚呼。 今日は徹夜する覚悟だからな」
「そかそか。 うん、わたしも次は寝るよ。 くまちゃんせんせー寝放題だからね」
「・・・・最前列だろう、有紗は確か」
「うん。 寝放題だから」
道具を持ち、廊下を歩きながら話す。
「でも奈菜ちゃんも佐々木せんせーの授業で寝るなんていい度胸だねー。 殴られるよ?」
「教師が無闇に暴力を振るうか」
「いやま、そりゃ滅多には殴んないけどさぁ。 怒ると怖いでしょ、佐々木せんせー」
階段を登り切る。 廊下を左へ曲がろうとした時―――。
「ねぇ、そこのキミ達」
透き通る声が、私達を呼び止めた。
「そう、キミ達。 ここの生徒でしょ?」
銀髪が揺れる。
「当然だ」
「よかった。 ボクは方向音痴でね。 こんな所まで迷い込んじゃってさ」
「あれ、でもウチの制服着てますね。 転校生さんですか?」
「うん。 明後日からなんだ。 先生にちょっと顔を見せに来たんだけど、職員室って何処かな?」
「は〜、本気で音痴さん・・? 一階だよ?」
「あれ、ここって・・・」
「三階だ」
「・・・・あはははは、日本の建物はよく分からないね」
「それ以前じゃないかなぁ・・」
「えーと、出来れば案内してくれないかな?」
「しょうがないなぁ。 奈菜ちゃん、先行ってて」
と、授業で使う道具を渡される。
- 209 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 5 :2005/04/17(日) 22:33:10 ID:BI16hUL8
- 「あ、出来ればそっちのコに案内されたいかな」
「・・・・なんで?」
「ん〜、ボクの好みだから」
「絶っっっっ対に!!! 駄目!!!!」
有紗が大声を出す。 ・・・何故有紗が返事をするんだ?
「つれないなぁ。 ボクは唯、案内してもらいたいだけなのに」
「奈菜ちゃん!! コイツの半径250メートル以内に近寄っちゃ駄目だよ!! 犯されるから!!」
「有紗・・・落ち着け」
「落ち着けない!! 危険!! コイツはデンジャーよ!!」
「ふふふ、愉快なお友達だね、奈菜」
「呼び捨てにするな! 穢れる!!」
「あはははは・・・・『屋上で待ってるから後で来て、七十七番目』」
「!! ・・・・『貴様、使徒か』」
「『まぁ、そう云う事』。 それじゃ、自力で探してみるよ」
と言って、階段を下りて行く。
「・・・・・」
アイツは、一体・・・。
「・・・・どっか行ったね。 ふう、一安心だ」
「・・・御苦労様」
「なんのなんの、コレも愛しの奈菜ちゃんの貞操を護るためですから。 ってか奈菜ちゃんすごいね。 ドイツ語でしょ、今の」
「あ・・何て言ってたか、聞き取れたのか?」
「んーん、ドイツ語だってのは分かったけど、速いからサッパリ。 ・・・・なんかヒワイな事でも言われたの?」
「否、唯の挨拶だ」
「ふーん・・・・あ、時間がピムチ。 早く行こ」
「有紗、私は保健室に行く」
「えええぇぇぇっっ!!? 具合悪いの?! 大丈夫なの?!!」
「否、ベッドで寝たいだけだ」
「へ・・・? あ、そ、そお? じゃ、わたしも行こうかな」
「ベッド、一つしか無いぞ」
「一緒に寝ればいいよ」
- 210 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 6 :2005/04/17(日) 22:34:33 ID:BI16hUL8
- 「今度にしてくれ」
「ん〜、まぁ真面目な奈菜ちゃんは授業中に居眠りなんかした事ないだろーからね。 机じゃ熟睡出来ないか〜。
分かったよ。 丁度吉川先生もお休みだしね。 今なら寝れるんじゃないかな」
「其れじゃあ、済まないが宜しく頼む」
「任せろ! あ、奈菜ちゃん!」
階段を下りようとしていた私に声を掛ける。
「何だ?」
「あのヘンタイには気を付けてね!」
「・・・・分かった」
「やぁ、待ってたよ奈菜」
屋上の手摺りに背中と肘を乗せ、此方を見る。
「キミの事は知ってる。 けれどボクの事は知らないよね? ウィル・フロイライン。 半分がドイツで日本とイギリスが四分の一ずつ」
銀髪を摘んでみせる。
「ご覧の通り、ね」
「・・・用件は何だ」
「せっかちだね。 キミの友達の件さ。 猫のね」
「切か!? 切は今、何処に居る!?」
「まぁ、待ってよ。 もう一人呼んであるから」
「もう一人・・・?」
ぶわっ――。
一陣の風、降り立つ少女と、青年。
「つれてきたよー」
「御苦労様、マイ」
「んーん、このくらいなんでもないよー」
「んじゃ、先に帰ってて。 お土産にケーキでも買ってくから」
「うんっ。 じゃ、またねー」
あっと言う間に少女が飛び立ち―――すぐに見えなく成った。
「・・・・・奈菜」
後に残されたのは、私と、ウィルと、青年――秋だけ。
- 211 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 7 :2005/04/17(日) 22:35:59 ID:BI16hUL8
- 「秋・・・済まない、私は・・」
「いや・・・いい。 詳しく聞いてる。 姉さんは、アイツに屈したみたいだね」
「そう、八百四番目・・・切は、恐怖に屈した。 負けた訳でも、『殺された』訳でもなく、ね」
「如何云う意味だ」
「そのまま。 心が屈したって事だから、自分から帰ってくる事は無いだろうね」
「寧ろ・・・敵対するかもね、そっちと」
秋がウィルにそう云う。
「はは、多分そうだろうね。 でも、彼女の事だ、奈菜辺りを襲わせるんじゃないかな? 奈菜は、『血印』だから」
「『血印』・・・?」
「『世界の変容』其の物とも言える、要素の意味の変化。 キミの事さ」
「『世界の、変容』・・・奴も、そんな事を言って居た。 『世界の変容』とは、何だ?」
「停滞したものは存在しているとは言えない。 変わり続ける事こそが『永遠』だ・・・ってね。
世界は永遠でなければならないのさ。 だから、変わろうとしている・・・『世界』がね」
「・・・・・はっきりと言え」
「はは、そのままだよ。 どんなものでも変わらずに在り続ける事は出来ない。 それは『世界』も同じ。
奈菜、キミは変わるべき『世界』なんだよ」
「詰まり・・・今の姉さんにとって奈菜は敵其の物なんだよ。
姉さんは・・・・変わりたくないみたいだから・・・・」
「・・・・・・・」
「さて、それは兎も角。 彼女の居場所なんだけど―――」
波音が無機質な壁に響く。
唯一定の間隔に並べられた倉庫達は、返って乱立と云う言葉を思い起こさせる。
電車で30分程の寂れた港町に着く頃には、辺りは夕日に染まり始めていた。。
「奈菜、僕は向こうから見て回る」
「嗚呼、此方は任せろ」
一つ一つの倉庫を見て行く。 非効率的だが、どの倉庫か分からない以上之しかない。
扉を開け中を覗き、奥を窺う。 何度と無く其れを繰り返して行く。
さして多くは無い倉庫だが、一つ一つ奥まで見て行く内に段々と暗く成っていく。
- 212 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 8 :2005/04/17(日) 22:37:41 ID:BI16hUL8
- 潮風にくすんだ赤い屋根の倉庫。 私が受け持った方の最後の倉庫。
錆付いた扉を押すと、ぎきぃ・・・と不快な音が響いた。
高い位置の窓から辛うじて射す月光。 物音無く、鉄錆の臭いが鼻を突いた。
暗くて判別出来ない資材の中を進む。 かつん、かつん――自分の足音のみ響く。
と、空間に出る。
資材達が意図的か偶然か除けられ、丁度月明かりが其処を射す。
蒼い闇の中、宛ら其の光景は深海に射した光の様だった。
之以上は進めそうも無い。
踵を返そうとして―――見付けた。
「・・・・・・・切、か?」
資材の上に、小さな影。 のっそりと怠惰に反応し、此方に動き出す。
徐々に月影に現れた姿は、紛れも無く切だった。
「切、無事・・だったか?」
答えない。
唯、瞳は、連れ去られた時と同く、虚ろに輝いて居た。
「切・・・・」
「・・・・・七十七・・」
やっと発せられた言葉。
「・・・何だ?」
「貴方は・・・私の、敵なのね・・」
「私が、敵?」
「そう・・・私から私の全てを奪う・・敵」
「私はそんな事をする心算は無い」
「貴方にその気が在ろうと無かろうと・・・・事実として、貴方は私から奪う・・」
「私が・・・お前の、何を奪う?」
「私の全て・・・私にとっての全て。 何に代えられる事は無く、二度と手に入れる事も出来ない、私の全て」
「奪わない・・・奪うものか。 私にだって、其れ位大切なものが在るんだ」
「でも、貴方は奪ったじゃない。 『恐怖』から、半身を」
「・・・・・其れは・・」
す――猫独特の無音の動きで、床に降り立つ。
- 213 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 9 :2005/04/17(日) 22:39:19 ID:BI16hUL8
- 「貴方が齎(もたら)す変化は、私から其れを奪う。 屹度(きっと)・・・私の全てを、奪う」
「・・・・何故、そう言い切れる?」
「現に貴方は奪っているじゃない・・・『恐怖』から」
「切の大切なものが、『恐怖』の其れと同じとは・・・限らないだろう」
「同じよ。 私に取って半身も同じ。 幾数千、幾数万の時を共にした、私の半身・・・・」
其の表情は窺い知れない。
「私は護る・・私の全ての為に。 私と私の全てが、何時までも共に居られる用に・・『変容』など、不要」
「私は・・・」
「貴方が如何考えて如何行動しようと、結果として貴方は『変容』を齎す。 だから―――」
ひゅっ――。
極々小さく風が鳴き、私の頬に一筋の線。 遅れて、血。
「此処で、死んで頂戴」
見据えた其の瞳には、暗い決意。
「・・・・・本気か」
「勿論」
私との距離を保ちながら、ゆっくりと、ゆっくりと歩き出す。
「・・・・・・・・出ろ!」
私の声と共に大鎌は現れ、確かな質量を持つ。
同時、駆け出して来た切の爪を鎌に止める。
其の儘鎌を跳び、私の真上に躍る。
横方向へ回避。
着地から間髪置かず私への追撃。
低く跳び上がった其の一撃を、更に身を低くしてかわす。
三角跳びに又も私への追撃を繰り出す。
この角度では、回避は――!
ならば攻撃に因って止めるしかな無い。
体が反転するように鎌を振るう。
柄の軌道は確かに切を捉えていたが、猫独特の柔軟な動きで衝撃を完全に殺し、少し離れた場所へ着地した。
す――がたん。
周りの資材が騒ぎ出す。 切の攻撃に因り『切』られた鉄材等が、間を置いて崩れ始めたのだ。
- 214 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 10 :2005/04/17(日) 22:41:30 ID:BI16hUL8
- がたん、がっ、ず・・・・。
ほんの少しの間、騒音が倉庫に響き・・・静寂。
私と切の視線はぶつかった儘。
かたん、かたん・・・鉄片がゆっくりと資材の上を転がる。
かたん、かたん・・・・・かーん――床に落ちた鉄片が甲高い音を響かせ、同時、切と私が動き出す。
私との距離をぎりぎりに詰め、跳躍。
零に近い距離の其れを、刃の横腹で受ける。
瞬間的に切の質量が増し、私は受けた姿勢の儘数メートル吹き飛ばされた。
・・・・風を使ったか。
微かな流れだった空気に、静かに、だが確実に意図的な流れが出来ていた。
「切り刻む・・・貴方を・・私から私の全てを奪う、私の敵全てを」
切の周りに風溜まりが出来る。
空気と空気の圧力差に因って、『切る』。 鎌鼬所では無いだろう。
「私と、あの子の為に・・・私とあの子が、ずっとずっと共に居られる様に・・『変容』、貴方を『殺す』。
ずっとずっと、今迄と同じ様に・・・私とあの子が居られる様に・・・今迄と同じで居られる様に・・・」
「『変容』・・・其れは一体何々だ? 私にも止められない事なのか? お前達を犠牲にしなければ為し得ない事なのか?」
「貴方の要素に刻まれた変わる運命。 存在を始めた其の時から、貴方は変わる宿命。 絶対に不可避」
「・・・・・・」
「如何して数ある獣の中で、『人』だけが始原として在るか、分かる?」
「ヒトは・・・唯一心を持つ存在だから・・・」
「『変容』、其れはヒトの齎すもの。 ヒトが使徒に齎す・・・・災いよ」
「災い・・・」
「そう。 私から全てを奪う、災いよ」
徐々に徐々に、切の風溜まりが大きさを増す。
「使徒に、心なんて要らない。 必要なのは、己の司るものを司る使命だけ・・・七十七、貴方はヒトに感化され過ぎた。 心を求めた。
使徒を別のものに変え・・そして世界を変える。 私達を巻き込んで。 私からあの子を、奪う・・・!」
ぶわっ―――風の塊が、私を撃つ。
切の『切る』と云う意思其の物が私を包む。 其れに負けない為には、私も意志を強く持つしかない。
「―――くっ!!」
私の衣服が切り刻まれ、幾筋もの傷が体に刻まれる。
- 215 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 11 :2005/04/17(日) 22:43:18 ID:BI16hUL8
- 「私は、死ぬ訳にはいかない!!」
大鎌を振るい――風を断った。
「――!! 風を切るなんて・・・其処まで『強い』のね、貴方は・・・・」
再度風を纏い出す・・・。
「だからこそ危険なの・・・貴方の『強さ』は、『世界』への影響力其の物。 此処で、死んで・・・!!」
駆け出す。 先程迄と違うのは、全身に纏った風と言う名の凶器。
無尽に駆け、私を徐々に切り刻む。
一気に切られないのは私の意志が其れを抑えて居るからだ。
「切・・・! 何故『変容』を恐れる! お前が恐れるものなど、何も無い!!」
「嘘――!! 貴方は奪った!!」
「其れは奴が私から奪おうとしたからだ!! 『世界』が変わったって・・・お前らが離れる理由なんか無い!!」
「私は・・私は・・!! 私とあの子の繋がりなんて、使徒としての繋がりしかない!! 使徒で無く成れば・・・私達は・・!!」
切の軌道が終に私自身に向かう。
正面から、私に・・・来る!
身構え様とした時――私の背面から軋む鉄の音。
切の度重なる攻撃に因って崩れ掛かった鉄材の山―――!!!
私の体に切が届くのと、鉄材が崩れたのは、どちらが先だったか・・・・・。
走って居た方向から突然の騒音。
青年は其の音に立ち止まる事無く、更に速度を上げた。
一番東端の赤い屋根。 音のした其処へ全速力の儘駆け込む。
「姉さん!! 奈菜!!」
未だ音が響く倉庫に青年、秋の声が其の音の上に響いた。
返事は無いが、此処しか在り得ない。 暗い倉庫を月明かりを頼りに進む。
奥の広がりの一角・・崩れた鉄材の山。
其処に―――。
「奈菜!?」
見知った人影。
「・・・・・秋、か・・」
- 216 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 12 :2005/04/17(日) 22:44:46 ID:BI16hUL8
- 「奈菜、大丈夫なの?!」
「未だ・・・生きては居る・・」
駆け寄り覗くと、鉄材を大鎌で支え如何にか空間を確保していた。
「僕が支えるから、早く!!」
「分かった・・・・」
転がる様に這い出て、奈菜は別の鉄材を背にして座り込む。
意識が向かなくなった大鎌が消え、秋の手からも離れた鉄材がもう一度騒音を立てて崩れた。
「如何して・・・」
奈菜の腹部の辺り・・・血塗れの猫が声を出した。
「如何して私を助けたの・・・?!」
「言っただろう・・・私にも大切なものがあるって・・・私だって、好き好んで誰かの其れを、奪ったりはしないし・・私が護れるなら、護る・・・」
其の血は、奈菜の血。
「な、奈菜、その傷・・・!!」
秋が言葉を失う。
如何見ても其れは、死に至る傷。
「奈菜! 血は止められないのか?!」
「・・いくら『血』だからと言って・・・そんな事は出来ない・・ふ、血流は止められても、傷口が塞げ無くては、な・・・」
「な、何でもいい! このままじゃ出血多量で死んじゃうよ!」
「ふう・・・済まんが、意識が霞んで来た・・・・其れも出来ない・・様だ・・・・」
「奈菜、奈菜!?」
「・・・・切・・」
「な、何・・・!?」
「切、お前の大切な・・秋・・・秋に取っても、お前は大切なヒトだ・・」
「・・・・」
「そうだろう、秋・・」
「あ、ああ・・・・」
「互いに想い合って・・何を恐れる? 何が変わったって・・・今の其の想い・・変わらないだろう?
秋を・・・自分を・・・・信じろ。 何を疑っても、秋を信じて・・・そうすれば・・」
「奈菜・・・・」
「でも・・・私は、使徒なのよ・・!! ヒトには、成れない・・!!」
- 217 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 13 :2005/04/17(日) 22:46:40 ID:BI16hUL8
- 「ふ・・・切、お前は、ヒトだ・・お前の秋を想う・・心・・確かに、お前は、心が在る。 お前は・・ヒトだ・・・・・・」
段々と言葉の力が弱まって行く。
「奈菜!!」
「済まん・・・私は、此処迄・・・の様、だ・・・・。 史也を・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「な・・・奈菜!!」
瞳が閉じて、奈菜は沈黙した。
「奈菜・・・そんな・・・私、私・・・・私は・・」
唐突に気付く。 自分は、史也の大切なものを、奪ったのだと。
「・・・私・・・私が・・奪った・・・・駄目、駄目、駄目っ・・!!」
強烈な自責の念が切を襲う。
「こん・・な・・・!! 奈菜、死んじゃ駄目!! 死んじゃ、駄目ぇ!!!」
泣き叫ぶ切。
「姉さん・・・!! 泣くのは何時だって出来る!! 僕は救急車を呼んで来るから!!」
「駄目・・・・駄目・・・・こんな、こんな・・・っっ!!」
「姉さん!!」
「駄目・・・死なせない!! 私の命に換えても・・・奈菜、貴方は―――!!!」
体が熱く成る。
切の体に新たな流れが生じる。
風が騒ぐ―――。
「姉さん―――!?」
世界が、変わる―――。
「・・・・・私は・・・生きて・・」
意識が蘇る。
「・・・はは、当たり前か。 私は使徒なのだからな・・・私自身、『血』が死んだ訳じゃ無い・・」
体を起こす。 ―――体?
「や、起きた?」
聞き覚えの在る声。 ・・・秋だ。
「秋・・・!? わ、私は―――!?」
- 218 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 14 :2005/04/17(日) 22:48:13 ID:BI16hUL8
- 「生きてるよ。 太刀川奈菜として、ね」
「な、何故・・・」
「戻し切りって知ってるかな。 達人の刀と達人の腕があるとね、切ったものがまたくっ付くんだ。
元々姉さんの『切』は其れに近い現象だったんだけどね。 分かれた分子と分子を再結合したんだよ」
「切に・・・そんな事が出来たのか?」
「いや、出来なかったよ。 姉さんも・・・見付けたんだ」
「何を・・?」
「切れたものは又くっ付けられる、ってね。 『切』の新しい一面・・新しい意味を、ね」
「そうか・・・切も、見付けたんだな・・」
意味を見付けた・・きっと、何か大きなものを掴んだんだろう。
「切は?」
「ん・・自分の限界以上の干渉をした所為かな。 ・・猫の体は、死んだよ」
「・・!」
「今は、取り敢えず僕の中に居る。 色々考えたい事が在るんだって」
「そうか・・」
「伝言。 本当に御免なさい、って」
「なら伝えてくれ。 何も気にする事は無い、と」
「うん。 有り難う」
「・・そうだ、此処は?」
「病院だよ。 僕が入院してて、奈菜のお兄さんが入院してた」
「史也・・お兄ちゃん達には・・・」
「連絡したよ。 ただ、事前に口裏合わせとく必要があったからついさっきだけど。 すぐに来ると思うよ」
「そうか・・・心配掛けたろうな。 ふう・・・有紗辺りに言い訳するのが大変そうだ」
「あはは・・それだけ思われてるんだよ。 幸せ者だね」
「嗚呼・・・・私は幸せ者だ。 お兄ちゃん、有紗、秋、切・・・皆が私を支えてくれる。 家族として、親友として」
「僕と、姉さんも?」
「嗚呼。 二人は私の親友だ」
「・・・はは、姉さん泣いちゃった。 意外と泣き虫なんだなぁ」
「何だ知らなかったのか。 切はか弱いんだ。 お前が支えてやるんだ」
秋の苦笑い。 しかし何処か嬉しそうだ。 大丈夫、この二人なら―――。
- 219 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 エピローグ :2005/04/17(日) 22:49:47 ID:BI16hUL8
- 日野瀬秋がこの病院に入院したのは三年前に成る。
修学旅行の新幹線、脱線事故。 数百の命が消えた中、辛うじて其の生命を留めたのは、僅かに二人。
日野瀬秋と、日野瀬五十鈴。
二人は親戚として幼い頃からの交流が在った。
強気な五十鈴に従う秋。 しかし五十鈴が何時も前に前にと出られたのは、何時もどんな時でも従ってくれる秋が居たからだった。
二人が惹かれ合ったのは自然な流れだった。
其の二人を引き裂いた事故。
まるで何時も通りに一緒で在るかの様に・・二人は揃って植物状態に成った。
先に目を覚ましたのは、秋。
体に刻まれた記憶は、断の使徒としての秋の胸も強く締め付けた。
そして、秋の目覚めから数日後―――。
「ほら、姉さん・・・もういいだろ?」
自分の中の『切』に話し掛ける。
「一杯悩んで、一杯考えて・・答え、出したんだろ? 後は、勇気を出すだけだよ」
そっと姉の背中を押す。
優しい風が二人限りの病室に流れ、ベッドの上の女性を包む。
―――女性が、三年振りに瞳を開く。
「あ・・秋・・・・」
「・・・お早う、姉さん」
三年前と同じ様に、秋は五十鈴に笑い掛けた。
切を、五十鈴の記憶が駆け巡る。
そして、自分の想いと重なる。
「秋・・・秋・・!!」
涙が止まらない。 又会えて嬉しい。 迷惑掛けて済まない。 支えてくれて有り難う。 ―――貴方が愛しい。 想いが止まらない。
「秋・・・っ!!」
抱き締めて、唯々涙を流す。
「大好き・・・大好き・・・・・ずっと、ずっと一緒に、居て・・・!!」
「うん・・・僕は、ずっと姉さんと一緒だよ・・」
唇が重なり―――風は、幸せを謳って居た。
- 220 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/17(日) 22:54:23 ID:BI16hUL8
- 姉スレに貼れ。
月影に踊る血印の使徒 第四夜 >>205-219
律儀に一話15レス450行でやるもんだから・・・
たいへん だ! レスすう より ようりょう の ほうが おおきい ぞ!
ってかよ、終わんないです。
あと2,3話は掛かる・・・。 が、がんがります。
多分次回あたりから伏線の回収が始まります。
名作の余韻をぶった切って・・・お邪魔しました。
- 221 :なぜなに月下:よんにちめ :2005/04/17(日) 22:56:16 ID:BI16hUL8
- 「有紗とぉ〜」
「五十鈴の」
「なぜなに月下〜ってうわぁ〜?!」
「・・・・何よ」
「にゃ、にゃんこちゃんが人間形態にビルドアップしてる?!」
「・・・何よ・・それより始めましょう」
「あ、う、うん、そだね・・今日のテーマは?」
「名前ね」
「名前? 切とか、断とか?」
「其れは要素の、引いては使徒自身の名前ね。 此処では人間としての名前。 奈菜や秋」
「あーそれね。 なんか二つも名前あってごっちゃになんない? 使徒同士なら使徒の名前だけで呼び合えばいいんじゃないの?」
「其れはとても失礼なの」
「失礼?」
「そう。 名前が在るのは基本的に人間だけ。 それを無視するなんて、その寄り代を蔑ろにする事になる。 何番目、とか言うのもね」
「はー、なるほどねー」
「おい、其処の女・・って呼ばれれば誰でも少しは頭に来るでしょう?」
「そうだねー。 つまり使徒にとって寄り代ってのは大事なんだねー」
「借り物だもの」
「うん、今日は使徒の考え方が少し分かった! それじゃまた・・・ってそーだ!」
「・・・何よ」
「前回休んだでしょ、にゃんこちゃん。 だからマタタビの刑」
「・・・マタタビって・・私はもう猫じゃ・・」
「そりゃー、くらえー」
「にゃっ?! にゃうっ、にゃーっ・・・・・はっ!」
「・・・・・にゃう・・?」
「う・・つい・・・・」
「何か・・・ひょっとして・・・・萌え?」
「う、五月蝿いわね、終わりよ、今日は!!」
「ね、ね、このネコミミカチューシャを・・・」
「今日は終わりよ!!!」
- 222 :雨音は紫音の調べ ◆cXtmHcvU.. :2005/04/18(月) 01:53:57 ID:YZNNUtEp
- GJ!すっげー!素晴らしい! (≧∇≦)b
バトルカッコイイ!
姉と弟…!感動! 。・゚・(ノД`)・゚・。
ネコ耳カチューシャ… (*´Д`)ハァハァ
- 223 :コンズ :2005/04/18(月) 11:49:41 ID:CBqWVbI9
- 乙華麗様です!!
普通に真剣に呼んでました。そして、姉と弟(´Д`)ハァハァ
次回も楽しみにしておりますゾ!!
- 224 :コンズ :2005/04/21(木) 00:19:29 ID:y6MRr5It
- どなたか投下お願いしますっ!!このままでわ………
バタッ
- 225 :すばる ◆9tSxotve.o :2005/04/21(木) 19:35:04 ID:aofNaFKO
- なむなむ(´・人・`)
最近萌え話・妹出てくるもの書いてないです(ノд`)
- 226 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/21(木) 20:07:34 ID:kOvCuYgC
- 私も。
- 227 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/04/21(木) 21:12:47 ID:pyi/bCeT
- あれから一週間。
コウくんは何事も無かったかのように振る舞っている。
もしかしたらそれはコウくんなりの配慮なのかもしれない。
第一、赤ちゃんの時から一緒に暮らしている私達兄妹には
お互いの想いが伝わったところで特別に振る舞う必要は無いんだと思う。
それに、そのおかげで何気なく接することが出来るから気が楽だ。
「・・・〜ぃ、ユキ〜起きてるか〜?」
「・・・・え?あ、ごめん。ボーっとしてた。」
「なんか最近そればっかりだなぁ、しっかりしろよ。」
「うん、大丈夫だから。」
いけないいけない、考え事が多いせいかボーっとしてるように見えるらしい。
「えっと、お風呂入ってくるね。」
「おぅよ。」
「・・・・・一緒に入らない?」
「っ?!ちょ、ちょっと待て!それはっ」
「じょ、冗談だよ、じゃあ入ってくるねっ!」
「お、おぅ・・・」
無意識の内に大胆なことを言っちゃった・・・・。
今になってから顔が熱い。
ふふ、それにしてもコウくんの慌てっぷり・・・
面白くて吹き出しそうだけど我慢我慢。
- 228 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/04/21(木) 21:15:26 ID:pyi/bCeT
- シャワーを浴び、体を洗う。
体を洗い終えると湯船に浸かり、考え事に耽る。
周りを気にしなくて良い分考え事がはかどる。
・・・・
特別な振る舞いをしなくても良いのは楽だけど
やっぱり何も変化が無いというのもつまらないし・・・
何かコウくんをびっくりさせられるような事はないかなぁ
・・・そうだ、コスプレをするって言うのはどうだろう。
友達によると、男の人はメイドさんや巫女さんに目がないらしい
その格好をすればきっとコウくんも・・・・・・
「ユキ〜、タオルここに置いておくからな。」
「っわぁ!・・・・あ、うん。わかったぁ。」
「何驚いてるんだよ。」
「ううん、何でもないよ。」
「全く、変なヤツだなぁ。」
「もぉ〜、コウくん!」
「はいはい、失礼しやした〜。」
ふぅ〜、びっくりした。
全然気付いてなかったよ
一体私がびっくりしてどうするんだ・・・。
う〜ん、どうしようかなぁ。
でも、善は急げって言うよね・・・
よぉし、決めた!コスプレをしてコウくんをびっくりさせてやるぞぉ!
そんな決意を胸に私はお風呂から出た。
---------------------------------------
投下して良いレベルなのかと迷いましたが投下することにしました。
今回は妹視点で書いてます。
展開が無茶苦茶ですが暇つぶしになれば幸いです。
- 229 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/22(金) 00:27:29 ID:0OvjfHNR
- 巫女さんでお願いします
- 230 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/22(金) 08:53:38 ID:vMg5zshI
- ↑ワロス
頑張ってくれ
十分イケてるから
- 231 :コンズ :2005/04/22(金) 11:53:01 ID:nS5tt6+y
- 二姉持ちの弟すゎん、乙です!!さぁ〜、一体何のコスプレをするのでしょうか?次回作も期待して折ります!!
- 232 :雨音は紫音の調べ ◆cXtmHcvU.. :2005/04/23(土) 01:30:00 ID:J7isavrN
- GJです! (≧∇≦)b
コスプレがすごく楽しみです〜!!
- 233 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/23(土) 03:21:45 ID:NvxdCejB
- ツボった!!
続きに期待(゚∀゚)
- 234 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/26(火) 19:23:19 ID:lXBPn57j
- ω・`)ダレモイナイ…
- 235 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/27(水) 00:27:08 ID:6/WowKhM
- ここは心のオアシス
- 236 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/27(水) 21:42:18 ID:tMFY60ck
- TOR秘奥義風に。
「行くよ、姉さん!」
「私の『切』と!」
「僕の『断』!」
「重ね合わせて!」
「全てを断ち切る刃と成す!!」
「「奥義!! 風刃剣<<ゴッドブレス>>!!!!」」
勝利メッセージ
「僕と姉さんに掛かれば」
「この世界に、断ち切れないものなど無いわ!」
まぁアレだ、保守です。
所詮テイルズ厨ですから。
風刃剣と書いてゴッドブレス。
刃と神が掛かってるのがポイント・・・?
- 237 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/30(土) 00:59:14 ID:OR0aE8oY
- 姉スレで偶然遊星さんを見かけ、「オレは姉でもイケるかも」と感じた。
しかし妹には敵わないはずだ!とにかく誰か書いて下さいお願いします!!
- 238 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/30(土) 02:13:06 ID:+slL1Dyc
- 「お兄ちゃん、キスってどんな味するか知ってる?」
「ああ? 知らねーよ」
「した事ないんだ」
「おめーはどーなんだ」
「えへへ・・私も。 だから知りたいの。 ね、してみよっか?」
「はぁ? しねーよ」
「えぇ? しよーよぉ」
「誰がおめーとするか」
「ひっどーい。 私の何が不満なのよ?」
「全部だ、全部。 遅いからもう寝ろ」
「ちょっとぉ、誤魔化さないでよ〜」
「おめーが寝ねーなら、俺が寝る。 オヤスミ」
「ああ、ちょっとぉ〜、待ちなよ〜」
数時間後・・・。
ベッドで眠り込んだ兄と、その前に立つ妹。
「くふふ・・駄目だなぁ、お兄ちゃんは。
ちゃんと寝る時は鍵を掛けとかないと・・・こうなっちゃうんだからっ♪」
妹はキスの味を知りました。
――――――――――――――――――――――――――――――
誰でも良いって感じの事言ったから即興で書いた。
思い付けば何でも良かった。
反省はしていない。
- 239 :すばる ◆9tSxotve.o :2005/04/30(土) 03:00:38 ID:2SV7BT0a
- ↑の続きを勝手な……止めた。
人の作品に手を出すのはイクナイな。うん。
GJですー。
- 240 :すばる ◆9tSxotve.o :2005/04/30(土) 03:01:54 ID:2SV7BT0a
- 誤字 orz
× 勝手な
〇 勝手に
- 241 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/04/30(土) 07:05:56 ID:WxO5BCjD
- >>237
でも、姉スレでは俺は放置されてますから!
残念!!っと。……コレは古いな、もう。
>>238
(・∀・)イイ!!ねぇ。
次回も期待してるよ。
- 242 :すばる ◆9tSxotve.o :2005/04/30(土) 14:13:49 ID:2SV7BT0a
- 「…てよ……」
「……………」
「………起きろっっ!バカ兄貴ィ〜!!」
「ぉうわあっっっ!!何だ…お前か」
「何だよー、せーっかく起こしてあげたのにぃ」
「って何でお前が俺のベッドで寝てんだよっ!?」
「えー?だって昨日寝るの遅かったから寝坊しないように…」
「お前なぁ〜…そう言っていっつも俺より早く起きてるぞ?」
「あれだけ目覚ましが鳴って起きないのは兄貴だけだよっ」
「目覚ましで起きれるなら自分の部屋で寝ろっ、毎回起こされる俺の身にもなってみろよ…」
「この幸せ者〜♪」
「どう考えたら幸せなんだよ!?」
- 243 :すばる ◆9tSxotve.o :2005/04/30(土) 14:15:55 ID:2SV7BT0a
- 「へっ?!だ…だって目が覚めた時傍らにこんな可愛い妹が居るんだよっ///」
「いや、恥ずかしいなら言わなけりゃいいじゃん……それにバカ兄貴なんて叫ばれて幸せな訳ないだろ」
「じゃあ今度から『おにいちゃん♥』にするぅっ?」
「勘弁して下さい……」
―――――――――――――――――――――――――――――――
ちょっとふざけただけですorz
- 244 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/01(日) 17:38:54 ID:elSvX9VM
- ♥
- 245 :コンズ :2005/05/02(月) 04:57:33 ID:FoAIIfpw
- >238
短いでもこんなにも萌えるとわ……。GJ!!
>243
『お兄ちゃん』と呼んでくださいOTL
乙ですっ!!
- 246 :瀬場須 ◆OLSyyL/MoE :2005/05/02(月) 21:12:10 ID:YOqqNACm
- >>舞タン
イイっス!萌えGJ!
>>すばるさん
萌える…!最高ッ!
- 247 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/07(土) 23:27:19 ID:JgFFhath
- 過疎ってる orz
- 248 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/07(土) 23:36:48 ID:gwGjZ/FE
- 流石に下がり杉だからね。
GW明けにでも上げた方がこのスレのためだと思う。
- 249 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/09(月) 00:33:05 ID:kIaOPpvc
- ゴールデンウィークがあけたのでage
- 250 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/09(月) 07:59:38 ID:gcmD3euU
- 期待age
- 251 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/09(月) 08:09:47 ID:a/kZTl1Z
- 妹「お金たくさん手に入ったから5000万あげる」
俺「そうか、悪いね」
家の妹じゃこんぐらいしか思いツカネ。
- 252 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/09(月) 22:46:29 ID:VSfK3sLy
- 両親外出中のお話
妹『お兄ちゃん、今日はどうしよっか?』
兄『なぬが?』
妹『ご飯のコトとか色々だよぉ』
兄『ん〜、どうする?』妹『えへへ〜、じゃあ私が作ってあげるね☆』
兄『?お前が?大丈夫か?』
妹『大丈夫だよ!私も女の子だから一応勉強してるモン』
兄『ふ〜ん。じゃ何でもイイから作ってミソ』
妹『お兄ちゃんも手伝うんだよ☆』
兄『は?オレ料理なんて出来ねぇぞ』
妹『私に言われた通りにすればイイからさ』
兄『そうなのか?』
妹『よしっ、じゃいってみよ〜!!』
完成
兄『オ、オイ、コレ大丈夫か?何か浮いてるんですけど……。』
妹『お兄ちゃん食べてみて』
兄『何でオレなんだよ!!まずお前が食え』
妹『私だって嫌だよ〜』
兄『はぁ〜、でわ、いただきますっ』
パクッと
兄『ちょっとトイレに』
妹『ど、どうしたのお兄ちゃん?』
兄『』
妹『………
- 253 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/10(火) 01:30:41 ID:h6ytI4FC
- 大切なのは料理の出来ではなく、作ってくれようとするその気持ちだよね?
>>252のような話ならリアルでも起こり得ると思うんだが、>>251をはじめ
妹のいる人、実際のところは如何でしょう?
- 254 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/12(木) 00:54:10 ID:4zw35RKq
- 誰かSS書いてくだされぇぇ〜!!
へ?じゃ藻前が書いてみろって?よ、よしっ、やってみまつ!!
- 255 :フレイム ◆ahKkMyjBGg :2005/05/12(木) 03:17:46 ID:HHrxm/GD
- も
- 256 :フレイム ◆SK0Ajy5QBw :2005/05/12(木) 03:18:28 ID:HHrxm/GD
- スマソ。↑のカキコは無視してください
- 257 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/13(金) 06:29:09 ID:9Ak7an4o
- コンコン
兄「あ〜い」
妹「お、お兄ちゃん、あ、あのね」
兄「ん?どーした?」
妹「い、一緒に、一緒に寝ない?」
兄「な、なじぇ?」
妹「さ、さっきホラー映画観たらさ、怖くて眠れないの。だからね、ダメ?」
兄「い、いや、ダメでは無いけど……。」
妹「やったぁ!!じゃあ枕持ってくるね!!」
兄「あ、お、おいっ!イイのか?俺?」
やってしもた………。
- 258 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/13(金) 12:24:44 ID:5gUo+xsN
- さすが13日の金曜日www
- 259 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/14(土) 11:46:37 ID:G/qJM4d8
- >>257
グッジョッッッ!!!!
- 260 : 名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/14(土) 23:39:12 ID:pIwIQxj2
- ここ最近えらく静かなのでここいらでSSを投下してみます。
神々の邪魔にならぬ様にとタイミングを計ってはや四ヶ月。
いざ!!
- 261 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/14(土) 23:42:39 ID:pIwIQxj2
- 山も谷も無く平穏無事な一日を終えていざ帰宅と下駄箱へ向かう途中、見覚えのある背中に出くわした。
というより忘れようがない。
遠目に見ても流れる様にサラサラなショートカットの黒髪。
真っ直ぐのびてシャンとした後姿。
・・・あれは俺の妹、巴だ。
「よっ、今帰りか?」
「えっ、ああ、お兄ちゃん」
急に声をかけられ、少し強張った肩が俺の顔を見てホッと下ろされる。
「うん、お兄ちゃんも今帰り?」
「ああ、一緒に帰るか」
「ボクは最初からそのつもりだよ」
「さいですか」
つまり、御丁寧に待っていたという訳か。
内心では予想通りだなと思いつつ肩を並べて歩き出す。
「それより、今日の体育どうだった?」
「どうって・・・そりゃ、お前」
そういえばあったんだよな、山も谷も。
話は遡ること二時間前。
お昼過ぎの授業の体育で偶然に巴と隣合わせとなってしまったのだ。
なるべく気付かれないようにしていたのだが幸か不幸かあっさり目が
合ってしまい輝きを増した瞳で我が妹は大活躍。
バスケットボールでワンマンショーを演じたのだった。
- 262 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/14(土) 23:45:17 ID:pIwIQxj2
- 「張り切り過ぎだろ、あれは」
「頑張れって言ったのはお兄ちゃんじゃない」
「待て待て、あの時一言も交わしてないだろ?」
「目がそう言ってたの!!」
「んな無茶苦茶な・・・」
ふとその時の状況を思い出してみる。
点を入れる度にわざわざ送ってくる視線。
外見はともかく、中身は何年経っても変わっていない。
「でも、頑張ってたよね?」
「まぁ、確かに」
「・・・それだけ?」
「ん?他には・・・そうだな・・・」
「・・・」
「相手の子達がやたら見惚れたな、また巴のファンが増えたぞきっと」
「・・・ボク、頑張った・・・よ・・・」
「うむ、お前に憧れる子達の為にな」
「お兄ちゃんの為に頑張ったんだよ?」
「ち、ちょっと待て!!誰も頼んで無いだろうが!?」
「ボクは・・・お兄ちゃんに・・・」
- 263 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/14(土) 23:49:35 ID:pIwIQxj2
- 表情を窺う様に透き通る瞳で上目使いに顔を覗き込んでくる巴。
苦手な視線に思わず上体が反れる俺。
他人には絶対に見せない顔だな。
「うっ・・・用件はなんだ?」
「えっと、その・・・今度の日曜日に」
「日曜日に?」
「どこか一緒に遊びに行きたいかなぁ、なんて・・・駄目?」
「そんだけ?」
「あっ、もちろん先約があるなら無理にとは言わないけど」
とは遠慮しつつも少し甘いこの口調は確実に良い返事を期待している。
相変わらず積極的なんだか奥手なんだか解らんな。
「何を頼んで来るかと思えば・・・まぁ、考えとく」
「考えとくってお兄ちゃん・・・」
- 264 : 名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/14(土) 23:51:41 ID:SVdBfmiv
- 何故この子はダンボール箱に置き去りにされた子猫の如き目で
見つめてくるのか?
物凄く罪悪感を感じてしまうではないか。
「どこに行くかを考えとく」
「・・・うん」
夕陽の中で花が咲いた様に綺麗な笑顔を見せる妹。
まったく、黙ってりゃ美人なのに。
そんな事を思いつつも笑顔につられてしまう。
結局、甘いのは俺の方か。
「ねぇ、御夕飯は何が食べたい?ボク、何でも作るからね」
大人びた横顔の甘えん坊を隣に帰り道を歩く。
これから訪れる休日の過ごし方を考えつつ学校内の何倍も喋る
妹の話にいつも通りき合う俺だった。
- 265 : 名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/15(日) 00:02:39 ID:eluJezXL
- なんと言うか我ながら返り討ちって感じが・・・
言い訳するとまぁ、こういうの書くのは約三年振りなのですよ。
続きもあるにはあるけどそれはまた需要があればという事で。
自分で書いて改めて思う、遊星氏はすごいと。
萌えは難しいですなぁ。
- 266 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/15(日) 00:04:05 ID:ovrfYJ7o
- ( ・∀・ )!
良い物頂きました。
- 267 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/15(日) 00:04:49 ID:4d1sbKdw
- リアルタイム
キタ━━━(゚∀゚)━━━!!
GJ!!
- 268 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/15(日) 05:20:39 ID:HBsA9A7h
- >261->264
GJっ!!次回も期待しておりますゾ!!
- 269 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/15(日) 05:21:47 ID:HBsA9A7h
- >261-264
連投スマソ
- 270 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/05/15(日) 11:10:46 ID:izqXa5zK
- >>261-264
おぉ、凄ぇ……。
続き、期待してますよ。
で、迷ったんだけど……ちょっと褒められて気を良くしたんで、このスレにも貼ってみることにしました。
妹成分も無くはないですが、基本はメイドなんで……見るなら、細目で見て下さい。
passは、俺のお気に入りの妹の名前を半角小文字で。
ttp://www.42ch.net/UploaderSmall/source/1116058375.zip
- 271 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/05/15(日) 22:25:44 ID:gYP6pxpr
- (´・ω・`)コソコソ
>>270
一発でpassを当ててしまいました。やっぱりあの妹でしたか・・・。
メイドさんいいですね。妹&メイドなんて難しい組み合わせを見事に!
私も呼ばれたい・・・。・゚・(ノД`)・゚・。
- 272 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/05/15(日) 22:27:08 ID:gYP6pxpr
- orz そして駄作貼り。
===
花畑のど真ん中で、俺はぼうっと突っ立っていた。
一面に咲き乱れる花が、一陣の風に流されて、飛ばされていく。
その向こう側に、一人の女の子の姿が見えた。
麦わら帽子を被り、白いワンピースをひらひらさせながら、楽しそうに踊っている。
俺はひどく懐かしいものを感じ、一歩だけ踏み出した。
足元で草花が踏み潰される音がする。たちまち草の匂いが辺りに広がる。
俺はそっと手を伸ばす。女の子はふと踊るのを止めて、こちらを向いた。
その顔は、どこか悲しそうで、胸が締め付けられるようで、そして―――。
ジリリリリリリリリ!!
「あー…………はいはい」
眠い頭をフル稼働して、目覚ましを止めた。窓の外から小鳥のさえずりが聞こえる。
カーテン越しの日差しから推測するに、どうやら今日は快晴らしい。
俺はベッドから足を下ろし、ウンと背伸びをすると、今朝の朝食の準備にかかった。
- 273 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/05/15(日) 22:28:29 ID:gYP6pxpr
- 「……っと、こんなもんか」
エプロンを外し、食卓の上の料理を見下ろす。……うむ、完璧だ。
炊きたてのご飯に緑の野菜。適度な栄養をバランス良く含んでいる。
「さて、そろそろお姫様を起こしに行きますかね」
誰に言うまでもなく呟くと、俺は居間の戸を開けた。
戸を開けると、優しい日差しが室内を照らしていて、お姫様はベッドの上ですやすやと
規則正しい寝息を立てていた。俺は足音を立てないようにベッドに近づく。
か、可愛い寝顔だ。見とれつつも、俺はお姫様の頭に手を伸ばす。
そっと、頭を撫でてやる。
「う……んん……」
気持ち良さそうに頬を緩ませた。ははは、こやつめ!
ギュッと頬をつまんでみる。
「い、いひゃい!?」
ぱっと目を見開き、しばらく俺の顔を穴が空くほど見つめ、
「……お、お兄ちゃん……?」
一言だけ、ぽつりと呟いた。
「はいはい、朝だよ。起きた起きた」
言いながらカーテンを開ける。瞬間、眩しい光が目を射抜き、俺は顔を逸らした。
ベッドの上に視線を戻すと、お姫様……もとい、妹はぼーっとしていた。
ただ虚ろな表情で窓の外を眺めている。
「朝ご飯出来てるぞ?」
「……う、うーん……分かったよー……」
「寝るなよ」
- 274 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/05/15(日) 22:30:03 ID:gYP6pxpr
- 「んー、ご馳走様でした」
妹は満足そうに両手を合わせ、箸をとん、と食卓の上に置いた。
彼女の茶碗が空になっているのを見て、俺も少し嬉しくなる。
「お、全部食ったのか。偉い偉い」
「む。わたしだってお腹空くときは空くんだもん」
「ふーん」
つまらない会話を交わし、時計を見る。そろそろ学校へ行く時間だ。
「じゃ、俺は行ってくるから。何かあったらケータイで電話しろよ」
「うん。行ってらっしゃい、お兄ちゃん」
にっこりと微笑む妹の頭をくしゃりと撫で、俺は家を後にした。
「…………」
朝独特の忙しさから隔離された居間は、ゆったりとした時間を生み出していた。
女の子はふと立ち上がり、おぼつかない足取りで窓の方へ歩み寄った。
額をごつんとガラスにぶつけ、そのまま動かなくなる。
窓の外では手入れの行き届いた庭が広がり、花たちがその存在を主張していた。
しかし。
彼女の瞳はそれを捉えていない。捉えることが出来ない。
―――そう、彼女は。
「……見えないなぁ……」
一言だけぽつりとこぼし、目の端の涙を拭い、行ってらっしゃい、と静かにささやいた。
- 275 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/05/15(日) 22:31:49 ID:gYP6pxpr
- orz 萌えねーっスね。そのうち萌やすので勘弁してください・・・
- 276 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/15(日) 22:36:53 ID:ovrfYJ7o
- (*´Д`)
- 277 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/05/15(日) 22:37:13 ID:izqXa5zK
- >>272-274
すげぇよ。流石海中さんだよ……。
続き、マジで期待してますよ!!
- 278 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/15(日) 23:05:33 ID:M0+6WxET
- ヤバい悲しい系だよ…。俺これに弱いんだよね。
ともあれ海中さんGJです!次回も期待してますよ!
- 279 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/16(月) 05:54:56 ID:hJuKAln+
- >272-274
海中様、乙です!!目が、眼がぁっ('A`)
- 280 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/05/16(月) 22:26:29 ID:+/U0CZV/
- 午後七時。学校から帰宅して、夕食の準備をするために台所に入った俺は、
隣の居間から妙な話し声がするのを聞いた。
何気無く戸を開けると、そこには妹が机に突っ伏して眠っていた。
机の上には古いラジオが置かれていて、ちょうど夕方のニュースを流しているところだった。
「そんな所で寝てると風邪引くぞ」
声に反応した妹は、びくっと体を震わせて、すぐに頭を持ち上げた。
「んにゃ……?お兄ちゃん?」
「オレだよ、オレオレ。そんな所で寝てると風邪引くぞ」
「んー……わたしは丈夫だから平気ですー」
妹はそう言って再び机に突っ伏した。俺も夕食の支度に取り掛かろうとしたが、
ふと机の上のラジオに目が留まった。
「それ……母さんのか?」
その単語を耳にした妹は、切なそうに笑みをこぼし、軽く息を吐いた。
「……そうだよ。お母さんのラジオ。かなり昔の型らしいけどね」
「そんなの持ってたのか。知らなかったな」
「これはお母さんの形見だから。お兄ちゃんにはナイショだったの」
形見。妹が言ったとおり、我が家の母さんは数年前に病気で死んでいる。
そしてその母親もまた…………。
「お兄ちゃん。お母さんもさ……目が見えなかったから、こういうの聞いてたんだよね?」
妹の瞳は開いている。けれども、光は無い。真っ暗な闇に覆われたままだ。
- 281 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/05/16(月) 22:27:49 ID:+/U0CZV/
- 「たぶんな」
「あは、お母さんの気持ち、なんとなく分かっちゃうよ」
妹は無理して笑い、場を和ませるように夕食をせかし始めた。
俺はそれを無視して歩み寄り、ゆっくりとその小さな両肩を抱いた。
「んっ?な、なに?」
妹の顔は動かず、色のない瞳が俺の顔を見つめている。俺はごつん、と額をくっ付けた。
「わっ!お、お兄ちゃん……?」
「大丈夫さ」
俺はよく聞こえるように喉を潤わせ、一気に続けた。
「目が見えなくても、音は聞こえるし、何かに触れる。
お前を必要としている人の呼び声は聞こえるし、人の温もりも分かるだろ?」
俺はあえて分かるように声を出してキザっぽく笑った。我ながら恥ずかしいぞ……。
じわり、妹の目に涙が浮かぶ。
「お兄ちゃん……うん!お兄ちゃんは、ここにいるんだよね……」
「そうさ。お前のすぐ側に、ここにこうしているよ」
妹はしばらく俺の胸に顔を押し付けたあとラジオを消して、ありがとう、と小さく囁いた。
そうさ。
たとえ目が見えなくても、愛はいつでも感じ取れるのだから。無論、温もりも。
- 282 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/05/16(月) 22:29:09 ID:+/U0CZV/
- クサくて萌えない。これが海中クオリティ!
正直スマソ ('A`)
- 283 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/05/16(月) 22:31:22 ID:zgxO72pi
- リアルタイムで見えた!!
海中様、凄いっス!!
俺も何か書かなきゃなぁ
- 284 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/16(月) 22:36:07 ID:r994qQ5C
- うほっ激萌え!
- 285 :260 :2005/05/16(月) 23:21:15 ID:Y3jFBU4S
- 評判はまずまずの様で正直ほっとしているチキンなオレです。
続きはまたタイミング見計らいつつ貼らせて頂きます。
>266>267>268さん
読んで頂けて心より感謝。
まぁ、あんまり期待せずガッカリせず暖かい目で見てやって下さいw
>遊星氏
SS読ませて頂きました。
いや、萌えでは遊星氏に敵いませんマジで。
ちなみに俺的一番は未来ちゃん。
サラちゃんも捨てがたいんですがw
次回作を期待しております。
>海中さん
悲しくて萌える、お見事です。
俺にはとても真似できません、本当に凄い・・・。
続きを期待しておりますよ。
- 286 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/17(火) 00:23:47 ID:u6MXUOnD
- 海中様キテタ━━━(゚∀゚)━━━!!!
冷たい世界と暖かい人間。
そんなSSを書くあなたが大好きです.゚・(ノд`)・゚.
- 287 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/17(火) 23:11:46 ID:+77P57UZ
- おー!ちょっと来ぬ間に海中さん光臨とは
期待してますぜい
- 288 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/18(水) 00:38:00 ID:lwLB+C/i
- う〜む、いつも感じるが海中さんの作品は特に情景が浮かびやすい。
これも文章の巧みさ故か…(他の神々を貶めるつもりはないですよ)
- 289 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/05/19(木) 21:40:27 ID:QPn7OdNn
- 「・・き・・てくだ・・・コウ・・さま」
「・・きて下さい・・朝ですよ。」
誰だ・・・、俺を様付けするのは。
我が家に俺を様付けする人間なんて居ない。
それに今日は学校はないはず・・・。
まだ回らない頭をフルに使って確かめる
「今日は日曜だぞ・・・それに一体誰だ・・・って!?」
目の前に美幸『らしき』人が居た。
しかも・・・・、メイド服。
「おはようございます、幸一様。」
ちゃっかり決め言葉まで言っている。
「・・・・何でそんな格好をしてるんだ?」
「えへへ、驚いた?」
「お前は本当にユキか?」
「うん、ユキだよ。」
「じゃあ、何故そんな格好してる」
「コウくんに喜んで欲しかったからだよ!」
「喜んで欲しかったのは分かった、でも何故にメイド服なんだ?」
「友達に『男の人はメイドさんと巫女さんには目がない』って聞いたんだよ。」
なんて事を吹き込んでくれるんだ・・・その友達は。
「・・・ここで話してても仕方がない、朝飯を食うか。」
「只今準備して参ります、御主人様。」
「って、その格好で料理するのか?」
「え・・・そうだけど。」
「そうですか・・・」
「それじゃあ、作ってくるね。」
そう言って嬉しそうに部屋を出ていった。
全く、何を考えてるのか。
でも・・・メイドって言うのも良いかもしれない。
取り敢えず自分も行くか。
- 290 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/05/19(木) 21:41:30 ID:QPn7OdNn
- 「幸一様、お食事の用意が出来ました。」
「お、おぅ、ありがとう。」
なんか調子が狂う・・・。
食事はいつもと同じ純和風
手始めに味噌汁を飲む。
「美味しい?」
「いつも通りにな、それよりユキは食べないのか?」
「メイドは御主人様とは一緒に食べないものですから。」
「おいおい、そこまで拘る必要ないだろう。」
「気分の問題なの。」
そう言う問題かと思いながらご飯をガッつく。
「そうだ、飯食い終わったらちょっと本屋まで行く予定だから留守番頼むな。」
「うん、分かった。」
最後に残った焼き魚を平らげる。
「それじゃ、行ってきます。」
「え、もう行くの?」
「あぁ、昼までには帰ってくるから。」
「分かりました。行ってらっしゃいませ、御主人様。」
最後までメイドになりきるとは・・・。
半分苦笑めいた笑顔を残して家を出る。
「・・・・・暑い。」
春だと言うのにこの暑さは何だ。
出かけるなんて言うんじゃなかった・・・。
- 291 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/05/19(木) 21:42:39 ID:QPn7OdNn
- 読んでいた本を畳む。
「・・・そろそろ帰るか。」
本屋に行く予定があるなんて出任せだった。
俺はコスプレ等には慣れてない。
だから美幸のメイド姿は刺激が強すぎた。
「まぁ、可愛いから良いんだけどな。」
「誰が可愛いんだ?真田。」
「おわっ!?い・・・石井か!」
まずい・・・声に出てたらしい。
「驚くこと無いだろ。で、誰が可愛いんだ、もしかして愛しの妹か〜?」
「ち・・違うっ!お前には関係ない事だ。」
「おやおや、図星みたいだな。良いよなぁラブラブで。」
「うるせぇな。俺は帰るから、じゃあな。」
「末永くお幸せに。」
本屋を出ると暑さが再び襲ってくる。
湿度が比較的低いのが不幸中の幸いだ。
しかし、それでも暑いものは暑い。
地球温暖化を助長させる時代の名器を産んだ方々への呪いを
頭の中で唱えつつも家を目指す。
道行く人が振り返っていたからもしかしたらまた声に出ていたかもしれない。
暑さに絶句しそうになったところでようやく家の前に到着。
そろそろ美幸の奴も私服に着替えてるだろう。
暑さから逃げるように家のドアを開ける。
- 292 :二姉持ちの弟 :2005/05/19(木) 21:43:55 ID:QPn7OdNn
- 「ただいま〜。」
だが返事はない。
そのまま廊下を歩き、リビングに繋がるドアのノブに手を掛ける。
ガチャリ・・・・
「あ、お帰り!」
「・・・・・。」
バタン・・・・
見てはいけない物を見てしまった気がする・・・。
白い服に赤いズボン・・・いや違う、あれは袴じゃないのか。
そう言えば、朝に「メイドさんとか巫女さん」とか言ってたっけ。
もう一度出かけるわけにも行かないし、仕方がない。
ガチャリ・・・・
「なぁ・・・、一体そんな服どこから仕入れて来るんだ?」
「友達から借りたんだよ。」
「お前は凄い友達を持ってるんだな・・・。」
「えへへ。ねぇ、この格好似合ってる?」
「あ、ああ・・・・似合ってるよ。」
「本当?じゃあ、ご奉仕しちゃおっかな♪」
「ご、ご奉仕って、一体何をするんだ?」
「うーんと、マッサージっ!」
「マッサージか・・・」
駄目だ、ご奉仕だなんて言うから飛んでもない方向に考えてしまった。
「えっと、じゃあ・・・腰を揉んで貰おうかな。」
「良いよ、じゃあシャツ脱いで!」
「いや、別に脱ぐ必要は・・・。」
「い・い・か・ら!ほら、早く。」
「わかったよ、脱げば良いんだろ。」
- 293 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/05/19(木) 21:44:55 ID:QPn7OdNn
- 俺がシャツを脱ぐと美幸の視線が体に注がれる。
「・・・コウ君って、結構筋肉有るんだね。」
「一応毎日筋トレしてるからな。じゃあ、早速頼む。」
カーペットの上にうつぶせになる。
「あ、うん。やるね。」
美幸の柔らかい手が腰に触れる。
徐々に力が入ってくるのが分かる。
ちょうど良い具合の力で気持ち良い・・・って、いてててて!
「痛い痛い!力入れすぎだ!」
「え、あぅぅ。ごめんなさい・・。」
「いや、良いよ。取り敢えず少し力を緩めてくれれば。」
「うん、わかった・・・。」
再びリラックスモードに入る。
しかし、一向にマッサージが再開される気配が無い。
と思ったら、首筋に手が回ってきた。
そしてそのまま後ろから美幸が抱きついてきた、半分俺にのし掛かる状態で。
「お、おい。何する気だ?」
「これもご奉仕の一つだよ♥」
背中に美幸の胸が当たってるのが分かる。
美幸ってこんなに胸大きかったっけ・・・。
やばい、心臓がバクバクする。
「ねぇ、コウ君。私のこと・・・好き?」
美幸が耳元で囁いてくる。
「あぁ・・・・好きだよ。」
「私もコウ君のことが大好きだよ!」
「ははっ、ありがとう。取り敢えずマッサージの続きしてくれないか。」
「りょーかいっ!今度は気を付けるね。」
嗚呼、神様。俺はなんて幸せな兄なんだろう。
- 294 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/05/19(木) 21:48:12 ID:QPn7OdNn
- ごめんなさい、操作ミスでageてしまいましたorz
つくづく文章作成能力がないと感じます。
以前投稿したときに「どっちのコスになるか」と言う声がありましたが、結局両方やることに。
あと、270さん。ネタが被ってしまってすみません。
遊星さんや海中さんの様な文章が書いてみたいです。
- 295 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/05/19(木) 22:31:07 ID:3ec5ld5J
- >>289-293
おぉ!!待ってました!!
メイド(;´Д`)ハァハァ、巫女もいいねぇ……。
>ネタが被ってしまってすみません
まぁさ、被ったとかなんとかは言いっこなしだよ。
誰が何考えてるのか。なんて、分かるわけないんだしね。
ま、参考にしたなら、一言あったほうがいいと思うけどね、俺は。
- 296 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/20(金) 09:56:22 ID:UQZHnc6q
- 二姉持ちの弟様もキタ━━(゚∀゚)━━!!
ユキちゃんいいなぁ(*´д`)
マジ乙です!!
- 297 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/05/20(金) 21:40:08 ID:/9YKqLRO
- (つд`)ハァハァ・・・ちくしょう、萌えます・・・!
ぜひ、我々を萌やし尽くしてくださlittいleふsiじsterこ
- 298 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/25(水) 01:07:08 ID:WJVEBa5c
- ほしゅ
- 299 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/05/25(水) 21:00:40 ID:6U1C6WWx
- 「ふぅ……今日も終わったなぁ……」
俺、三上修二は友人とともに、昇降口に向かって歩いている。
「だな。どっか寄ってこうぜ!!」
と、友人、州田敬介。
「ま、いいけど……二人でか?」
「しょうがないじゃん……俺たち二人はモテないんだからさ」
「失礼な……」
というようなバカな話をしていると……
「あっ!!お兄ちゃん、み〜つけた〜!!」
後ろからそんな声が聞こえた。
その瞬間、隣の州田が前方に倒れそうになる。
「り、梨那っ!!何しやがる!!」
上半身を三十度ほど傾けた州田が背中に乗った少女に叫ぶ。
「えへへ。嬉しくてね〜♪」
明るく笑う少女。
「よぅ、相川。元気そうだな」
「うん。元気だよ〜」
彼女は相川梨那。州田の……幼馴染らしい。ま、詳しい説明は他に譲るけど。
「でるたも元気そうだね〜?」
「だから……デルタは止めてくれって……」
「何で〜?」
「意味が分からないから」
「ま、意味なんて無いんだけどね〜。今日は、シンちゃんとだでぃはいないの?」
- 300 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/05/25(水) 21:02:02 ID:6U1C6WWx
- 「真司も立花も妹と一緒に帰った」
『シンちゃん』とは石川真司、『だでぃ』とは立花将人のこと。どちらも俺の友人。
「そうなんだ〜。じゃ、お兄ちゃん、梨那と一緒に帰ろ?」
「いや……意味分からんし……って言うか、退け。重い」
「にゃははっ。レディに重いは失礼だよ?」
「レディ?誰がよ?」
「うにゃ?お兄ちゃんって、意外とバカなんだね〜?梨那のことだよ〜?」
「知ってるよ!!」
「にゃはははははは♪ばーか、ばぁーか♪」
「黙れ、数学赤点三冠が」
「にゃっ!?ま、まだ二冠だもん!!」
「ほぅ?ま、三冠になる日も近いだろうけどな」
「つ、次は大丈夫だよ!!」
「どうだかねぇ?」
……えっと、今回の主人公は俺なんですけど……。
「州田」
何だか寂しくなったので、俺は州田に声をかけた。
「ん?どうした、三上?」
「どうした、デルタ?」
「俺、帰るわ。二人で仲良くやってくれ」
「おっ、デルタ、お主、分かっておるな〜?」
「ちょっ!?三上っ!?」
「じゃあな」
背中越しにそういって、歩き出す。
「にゃはは。これで二人きりだね、お兄ちゃん♪」
「待てって!!おい、三上!!」
背後で、相川の猫なで声と州田の悲鳴のような声が聞こえたが……
俺にはもう関係ないことだ。適当に頑張れよ、相川〜。
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