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[第五弾]妹に言われたいセリフ

261 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/14(土) 23:42:39 ID:pIwIQxj2
山も谷も無く平穏無事な一日を終えていざ帰宅と下駄箱へ向かう途中、見覚えのある背中に出くわした。

というより忘れようがない。
遠目に見ても流れる様にサラサラなショートカットの黒髪。
真っ直ぐのびてシャンとした後姿。

・・・あれは俺の妹、巴だ。

「よっ、今帰りか?」
「えっ、ああ、お兄ちゃん」

急に声をかけられ、少し強張った肩が俺の顔を見てホッと下ろされる。

「うん、お兄ちゃんも今帰り?」
「ああ、一緒に帰るか」
「ボクは最初からそのつもりだよ」
「さいですか」

つまり、御丁寧に待っていたという訳か。
内心では予想通りだなと思いつつ肩を並べて歩き出す。

「それより、今日の体育どうだった?」
「どうって・・・そりゃ、お前」

そういえばあったんだよな、山も谷も。
話は遡ること二時間前。
お昼過ぎの授業の体育で偶然に巴と隣合わせとなってしまったのだ。
なるべく気付かれないようにしていたのだが幸か不幸かあっさり目が
合ってしまい輝きを増した瞳で我が妹は大活躍。
バスケットボールでワンマンショーを演じたのだった。


262 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/14(土) 23:45:17 ID:pIwIQxj2
「張り切り過ぎだろ、あれは」
「頑張れって言ったのはお兄ちゃんじゃない」
「待て待て、あの時一言も交わしてないだろ?」
「目がそう言ってたの!!」
「んな無茶苦茶な・・・」

ふとその時の状況を思い出してみる。
点を入れる度にわざわざ送ってくる視線。
外見はともかく、中身は何年経っても変わっていない。

「でも、頑張ってたよね?」
「まぁ、確かに」
「・・・それだけ?」
「ん?他には・・・そうだな・・・」
「・・・」
「相手の子達がやたら見惚れたな、また巴のファンが増えたぞきっと」
「・・・ボク、頑張った・・・よ・・・」
「うむ、お前に憧れる子達の為にな」
「お兄ちゃんの為に頑張ったんだよ?」
「ち、ちょっと待て!!誰も頼んで無いだろうが!?」
「ボクは・・・お兄ちゃんに・・・」



263 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/14(土) 23:49:35 ID:pIwIQxj2
表情を窺う様に透き通る瞳で上目使いに顔を覗き込んでくる巴。
苦手な視線に思わず上体が反れる俺。
他人には絶対に見せない顔だな。

「うっ・・・用件はなんだ?」
「えっと、その・・・今度の日曜日に」
「日曜日に?」
「どこか一緒に遊びに行きたいかなぁ、なんて・・・駄目?」
「そんだけ?」
「あっ、もちろん先約があるなら無理にとは言わないけど」

とは遠慮しつつも少し甘いこの口調は確実に良い返事を期待している。
相変わらず積極的なんだか奥手なんだか解らんな。

「何を頼んで来るかと思えば・・・まぁ、考えとく」
「考えとくってお兄ちゃん・・・」



264 : 名無しくん、、、好きです。。。 :2005/05/14(土) 23:51:41 ID:SVdBfmiv
何故この子はダンボール箱に置き去りにされた子猫の如き目で
見つめてくるのか?
物凄く罪悪感を感じてしまうではないか。

「どこに行くかを考えとく」
「・・・うん」

夕陽の中で花が咲いた様に綺麗な笑顔を見せる妹。
まったく、黙ってりゃ美人なのに。
そんな事を思いつつも笑顔につられてしまう。
結局、甘いのは俺の方か。

「ねぇ、御夕飯は何が食べたい?ボク、何でも作るからね」

大人びた横顔の甘えん坊を隣に帰り道を歩く。
これから訪れる休日の過ごし方を考えつつ学校内の何倍も喋る
妹の話にいつも通りき合う俺だった。

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0ch BBS 2004-10-30