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[第五弾]妹に言われたいセリフ

564 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/24(日) 13:46:27 ID:IHh60M7u
|ω・`)つ コソーリ【 http://www.geocities.jp/you_say712/

台本書庫(候補)
とはいえ、まだ何も無い。
今は遊星専用っぽいけど、そのうち他の方々のも……。

565 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/26(火) 14:45:48 ID:Jv774xZV
「お兄ちゃん、この水着って似合う?」

566 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/26(火) 15:36:30 ID:6KS+U31I
>>遊星さん
保管庫作成乙です。
作品が保管される日を心からお待ちしております。

567 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/26(火) 21:48:41 ID:vtyFpkH9
「お兄ちゃん…台風来るんだって…」
「そうだな」
「風がゴウゴウなってるよ…」
「まぁ、台風来てるからな」
「カミナリ鳴るかな…?」「鳴るかもね」
「…カミナリちょっと怖いかも…」
「雷鳴るとしてもどーせ寝てる時だろ?」
「でも…やっぱり怖いかも…」
「怖がりは大変だなぁ」
「あのね……」
「ん?」
「だから…今日一緒に寝てくれないかな…なんて…」


>>遊星さん
GJです!

568 :二酸化マシンガン夜間迷彩 :2005/07/26(火) 23:54:39 ID:iwE6DdS9
「台風怖いね…」
「ははは!お前吹き飛ばされるんじゃないか!」
「そそそんなことないもん!…あれ?」
「お前!なにないてるんだよ!冗談くらいわかる年だろ!?」
「ヒッグ…わかってるわかってるよ〜…でもおにいちゃんと離れ離れになること頭に
浮かんじゃって…え〜ん!」
「もう…大丈夫だよ俺が離さなきゃいいことだろ?」
「うん…うんおにいちゃん…離しちゃやだよ…」
「わかったよ、たく」

まだこいつからはなれるわけにはいかないな…こいつに好きなやつができるまで

でもなんかムカつく


なんてーかすいません
ちょいとあるゲームやってたらかきたくなって
つーか続きはもうちょいまってください(待ってる人いないと思いますが)
では!

569 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/27(水) 08:18:37 ID:scEQrax8
私はお待ちしてますよ!
しかし夜間迷彩と聞くとどうしてもダンバイn(ターン

570 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/27(水) 09:24:44 ID:VlUdtzoZ
僕も待ってますよ

571 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/27(水) 20:54:09 ID:O5iv0rAw
ふぅ……とりあえず俺の分は保管完了。
不具合があったら、メールくれるとありがたいです。

572 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/27(水) 21:23:41 ID:Te6RL0Rb
>>遊星さん
激しく乙です!
ヤバイ・・明日テストの山場なのに読みたくて仕方ない・・

573 :二酸化マシンガン実は爆弾 :2005/07/28(木) 15:15:06 ID:UWvdl349
うぅ…(つω・`)みんなありがとうです
今いそがいなので待っていてください!
必ずしも書きますから(`・ω・´)ゞ

574 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/28(木) 19:10:37 ID:PtQGQ8vl
やぁ皆。
夏だね。
相変わらず、良いものを書いて居るみたいだね。
安心したよ。
あれだ・・私にもそのエネルゲー、分けて欲しいね。

>>47-61 >>83-97 >>133-147 >>205-219

此処等辺に興味の無い方、見ると反吐が出る方は。
今の内に、「:」をNGにしといて下さい。
その内、そんなのを貼りに来ますので。
嗚呼・・暑いね。

575 :なぜなに月下:ごにちめ :2005/07/29(金) 02:55:54 ID:UwjDIQtE
「有紗とっ」
「五十鈴の」
「なぜなに月下、あらすじ編〜」
「粗筋、ねぇ」
「おう。 しばらくバックれてたから、忘れてる人も多いだろーと」
「・・憶えてる人、居るのかしら」
「まぁちゃっちゃとやりましょうっ。 はい、キュー」
「・・・・ログを読みなさい。 以上」
「おいおいおいおいおいっ。 それじゃクレームしか産まない不毛の大地だよっ!」
「良いじゃない・・ログも読まない人は、こんなのスレ違いで読み飛ばすわよ」
「そ、それもそうだ・・そう、月下はザ・スレ違いなのでしたっ」
「じゃあ終わりましょう」
「うん・・っておいっ! 折角のわたしの出番をっ! 嘘、大袈裟、紛らわしい、CEROに訴えるよ!?」
「それはJARO・・しかも関係無いわよ」
「にゃんこちゃんは彼氏出来たんでしょ?」
「・・・・行き成り話を変えるわね。 ・・まぁ、一応、ね」
「ふむむ・・。 あとは奈菜ちゃんの恋路の行方だけだね。 がんばれ奈菜ちゃん!」
「誰との恋よ」
「もちろんお兄さん」
「・・・・実の兄妹は、不味いんじゃないの?」
「大丈夫! 何故ならここはっ!」
「妹スレだから・・って事ね?」
「そうさおういぇ〜っ!」
「それじゃあ奈菜にも頑張って貰いましょうか」
「そうさ! 板違いに成らない範囲でねっ!」
「・・・・・・・・どんなよ・・」
「そりゃもう、エロエロ」
「今日は此処迄」
「お? 結構純情派?」
「貴女が不純なのよ。 じゃ、また本編でね」

576 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 1 :2005/07/29(金) 02:58:59 ID:UwjDIQtE
 世界は千十一の要素で構成されて居る。
 私は、『血』。
 要素の、一つ。
 世界の、一つ。
 私は世界で在り、世界は私でも在る。
 私が変わる時、世界が変わる。
 ――私は、変わる。
 ヒトに、近付く為に。
 或いは其れは、愚かな事かも知れない。
 私は、決して、人間では無いのだから。
 伸ばしても、手は届かないのかも知れない。
 けれど、私は、伸ばし続ける。
 伸ばした手を、掴んでくれる人が居る。
 掴もうと藻掻く私を、励ましてくれる人が居る。
 私と同じ道を、歩む人が居る。
 私と、私の大切な人達の為に。
 私は、手を伸ばす。
 変わる為に。
 変える為に。
 私は、変わる。
 世界を、変える。
 私は『血』。
 己が司るものの為に。
 己自身を変えてみせる。
 私は『血』。
 世界の一つ。
 そして、世界其の物。
 そして、私は――ヒト。




577 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 2 :2005/07/29(金) 03:00:41 ID:UwjDIQtE
「ふぅ・・・・」
「・・何よ、溜め息なんて」
 思わず出た其れに、五十鈴が反応する。
「疲れてるの?」
「ん、まあ、な」
「色々大変だったみたいだね。 あの子とお兄さんに言い訳とか」
「嗚呼・・特に有紗・・・・涙目で迫られると、な・・嘘の罪悪感、と云う奴か」
 五十鈴の座るベッドの右手、詰まり私の向かいに座る秋に答える。
「・・お墓、作ってくれたんだっけ?」
「ん、猫の、な」
「・・奈菜・・・・その」
「謝るなよ。 済んだ事だ」
「・・・・分かった。 有り難う」
「飼い猫が死んだんだ。 当然の事をした迄さ」
 猫のセツは、事故で死んだ。
 私も巻き込まれ、軽い怪我を負った・・そんな言い訳。
 心苦しいものは在るが、二人を是以上巻き込む訳にも行か無いだろう。
「さて・・そろそろ出ようか」
「そうね、もう時期面会時間も終わりだし」
「毎日晩くまで、悪いね」
「友人を見舞いに来て、晩く成ってしまうだけだ。 普通だろう?」
「はは、それもそうだ。 でも、お兄さんと一緒、が良いんじゃないかい?」
「・・・・有紗みたいな事を言うな。 お兄ちゃんは・・」
「お兄さんは?」
「・・・・・・補習だ」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・ご愁傷様、ね」
「・・お兄ちゃんの、努力不足だ」



578 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 3 :2005/07/29(金) 03:05:38 ID:UwjDIQtE

「只今」
「お帰り」
 リビングから、出迎えの声。
「ちゃんと真っ直ぐ帰って来て居た様だな」
「お前は俺の保護者か」
「足が治る迄はな」
「・・・・了解」
 リビングに入り、ソファーに座る。
「直ぐ無理をするからな、お兄ちゃんは」
「そうかぁ?」
「そうだ」
「奈菜の方が、よっぽど無理してると思うんだがなぁ?」
「私・・がか?」
 不意を打たれ、隣の史也を見詰め返す。
「おうよ。 こないだだって、セツ助けようとして・・怪我したんだろ?」
「嗚呼、うん・・・・まぁ、な」
 少し、視線を泳がせて仕舞う・・嘘と云うものには、慣れないな・・・・。
「それに、すぐ自分だけで抱え込んじまう。 限界の限界まで、な」
「・・・・・・そう、かも・・な」
「俺はよぉ、奈菜がいつか背負ってるもん背負いきれなく成って、潰されやしねーかと心配なんだよ」
「・・・・・・」
「ま、話聞くだけなら出来っから・・な? 何時でも頼ってくれていーぜ。 頼りになんねーけどな」
「そんな事、無い・・。 頼りに、してる」
 史也は・・是以上の無い、私の支えだ。 私の、生きる、理由・・だ。
「・・あー・・・・帰って来てすぐの話じゃねーな。 ま、あれだ・・・・晩飯でも食うか?」
「・・そうだな。 夕飯にしよう」
「それじゃ、たまには奈菜がつく「断る」」
 ――間。
「・・私だって、美味いものの方が良い」

579 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 4 :2005/07/29(金) 03:07:40 ID:UwjDIQtE
「花嫁修業とか、する気無い訳?」
「行かないから良い」
「・・お前ね」
「奈菜ちゃんは、お兄さんの元で幸せになるので料理スキルなんざ必要ないんですっ」
「っ!」
「おわっ、有紗ちゃん!?」
 突然の割り込み声に、私も大声を上げそうに成った。
「・・・・有紗」
「なにかな?」
「何時から、何故、家に居るんだ」
「最初からいたよ」
「・・俺も気付いてなかったんだけど」
「お兄さんは鈍いから♪」
「そんな問題じゃないと思う・・」
「今日はね、久し振りにお兄さんの料理が食べたくなりましたっ」
「・・・・・・そうか。 なら、食べて行くと良い」
「ん、それじゃ今日のメニューは有紗ちゃんの好きな料理でいこうかな」
「お、カレーですか? 楽しみですー」
 ――――有紗の父は、他界して居る。
 そして残された母は、女手一つ・・と云った次第だ。
 ・・・・しかし酷なもので、彼女は遺伝性の心臓病と云う、病持ちでもある。
 倒れれば、有紗は祈るしかない――其れは、幼い頃から有紗を縛る、茨。
 だから、何時からか・・有紗の母が帰らぬ日には、我が家の夕飯に有紗が加わる様に成った。
「今晩は泊まってくんだろ、有紗ちゃん」
「良いんですか、お兄さん?」
「初めからその心算だろう」
「ふふ、さすがは奈菜ちゃん! わたしのことなら何でもお見通しってヤツだね?」
「二人とも手伝ってくれよ。 こういうときゃ、皆で作った方が美味いもんだ。 ――あ、やっぱり奈菜は手伝わなくていいぞ」
「・・如何云う意味だ」
「そういう意味だ」

580 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 5 :2005/07/29(金) 03:09:04 ID:UwjDIQtE
「ならボクが手伝おうか」
「っ!」
 背後からの声に、又も上がりそうに成る声を抑える。
「お邪魔してるよ」
「・・・・・・何故此処に居る、ウィル」
「ああ、俺が呼んだんだ。 事故ん時世話に成ったらしいから」
「うげぇ、変態銀髪っ! こんな所まで奈菜ちゃんのストーカーっ?!」
「有紗、史也の話、聞いてたかい?」
「聞いてたわっ! 一度たまたま偶然奈菜ちゃんを助けたからって、それにつけ込んで家まで無遠慮に! 恥を知りなさい!」
「恥は純血日本人の君に任せるよ。 史也、何をすれば良いかな?」
「ジャガイモの皮むきでも頼もうか。 地味だけど」
「地味な仕事は嫌いじゃないよ。 引き受けた」
「わ、私を無視するにゃーっ!」
「有紗ちゃんは他の食材切り分けてもらおうかな」
「あ・・は、はい、分かりました」
「よし、くっきんスタート」
 それぞれが仕事に入る。
 地味なカリスマ性だな、史也・・・・所で。
「・・・・お兄ちゃん、私は?」
「ん? テレビでも見てろよ」
「・・・・お兄ちゃん」
「睨むな睨むな、冗談だ。 丁度福神漬け切らしてたから、買って来てくれ。 コンビニ行って」
「・・まぁ良い。 分かった、買って来る」
「あ、奈菜ちゃん出るの? 一人じゃ危なくない?」
「ボクがつい「アンタは黙ってて」」
「・・・・一人で大丈夫だ。 行って来ます」
「おう、行ってらー」
 史也の送る言葉を背に、外に出る――と、見慣れない男。
「よう」
「・・・・誰だ」

581 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 6 :2005/07/29(金) 03:11:46 ID:UwjDIQtE
「ウィルのお仲間ってとこかな」
 千客万来とは、この事か・・。
「何の用だ」
「一人じゃ心許なかろうと思ってな。 この前みたいに、行き成り何か仕掛けられないとも限らん」
「・・・・そう、だな。 じゃあ、付いて来て貰おうか」
「おう。 俺はエイジ」
「知って居るとは思うが、奈菜、だ」
「ん、宜しく」
「それじゃあ、行こうか。 ・・エイジ、お前も食べて行く気か?」
「あーいやいや。 もう一人仲間が居てな、腹空かして待ってるから食いもん買って帰るわ」
「その序で、と云う事か」
「ま、そんな感じだ」
 街灯が照らす、コンビニへの短い道を歩く。
 そこそこ近い場所なので、偶に史也が利用したりする。
「・・お前らの目的は何だ?」
「あん? 俺らの?」
 暫し、考える仕草。
「分からん」
「・・・・おい」
「いや、マジ。 俺らはウィルに付いてってるだけだからな。 奴に聞いてくれ」
「・・ウィルに聞いても答えないから聞いたんだがな・・・・なら、お前等は如何云う関係なんだ」
「ウィルは・・命の恩人、かな」
「ウィルがか」
「そ。 俺らは『新しい要素』なんだよ」
「『新しい要素』?」
「そう。 世界誕生の頃から在る要素じゃなくて、それ以降から生まれた要素。 ウィルは違うけどな」
「・・・・要素が新しく、『生まれる』? そんな事が、在るのか?」
「『死ぬ』事が在るなら、当然だろ」
「・・・・」
「俺ら『新しい要素』の存在を認められない奴らも居てね。 そういう奴らから、身を護る手段みたいなのを手解きされたり、な」


582 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 7 :2005/07/29(金) 03:13:42 ID:UwjDIQtE
「新しいものを、認められない・・」
「あんたの敵と同じ様な所もあるな。 ・・ま、身を護る手段つっても、逃げ方とかだけどな。 ――着いたぞ」
 上げた視線、コンビニの光に一瞬目が眩む。
 ――そして浮かぶ、幼いシルエット。
「・・・・お前、何で此処に居んの」
「エイジ〜、おそいぃ〜。 マイ、おなかへったぁっ!」
「だからって此処まで来るか・・このアホ」
「なんでアホっていうの、バカエイジっ」
「今この街がどんだけあぶねーか、分かってんのかテメーは」
「しらない! いまはマイのおなかがあぶないのっ!」
「コイツは・・・・はぁ、まー良い。 とっとと買い物済まして帰るぞ」
「それでよろしい」
 ぺしっ。
「いたっ! なんではたくの、バカエイジ!」
「イラついたからだ」
「いしゃりょうよこせー!」
「飯は要らんのか」
「マイねー、ツナマヨおにぎりがたべたいなー」
 ・・・・漫才の様なコンビだな。
「・・家で食べて行くか?」
「「え?」」
「良いのか?」
「いいのっ?」
「・・同時に喋るな。 今更一人二人増えた所で変わらん。 どうせお兄ちゃんも多めに作って居るだろうしな」
「わー、ひさしぶりにまともなメシにありつけるっ」
「・・妙な言葉ばっか憶えやがって。 悪いが、是非頼む」
「ん。 大勢の方が、楽しいだろう。 さっさと福神漬けを買って帰ろう」
「おお、カレーだねっ? マイねー、カレーも好きー」
「そうか。 有紗と気が合いそうだな」



583 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 8 :2005/07/29(金) 03:15:42 ID:UwjDIQtE

「お風呂上りましたー」
 有紗の声が、リビングに響く。
「おー、そっか。 んじゃ、俺も入るかね」
 時計は、短針が十と十一の間を指して居た。
「それじゃ、私達は先に寝るぞ」
「んー、お休み」
「お休み」
「お休みなさーい」
 階段を登り、私の部屋に二人で入る。
「いやいや、中々賑やかな夕べでしたなー」
「賑やかと言うより、騒々しかったな・・」
「まぁ、あれ位騒がしい方が楽しいって事で!」
「・・大半、有紗が騒いだんだがな」
「そう、あの変態銀髪! 事あるごとに、奈菜ちゃん狙いやがってっ」
「・・・・・・もう寝るぞ」
「あ、奈菜ちゃんっ」
「何だ」
「一緒・・良いか、な・・・・?」
 私のベッドと私自身を見ながら、遠慮がちに尋ねる。
「・・他に何処に寝る気だ」
 二人では少々狭いベッドに、並んで横に成る。
「電気、消すぞ」
「うん」
 カチ、カチ。
 二つの段階を経て、暗闇が私の部屋に満ちた。
「奈菜ちゃん」
「何だ?」
「・・手」
「うん」

584 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 9 :2005/07/29(金) 03:18:17 ID:UwjDIQtE
 伸ばされた手を、握る。
「・・・・奈菜ちゃんは、私のお姉ちゃん」
「・・ん?」
「そんな、イメージ。 昔は、すごく大人な感じで・・私のお姉ちゃんみたく、見てた」
「今は?」
「・・・・すごく優しいお姉ちゃん」
 ふふふ、と笑い声。
「妹よりかわいーお姉ちゃんなんて、反則だー」
「・・有紗の方が、余程可愛いと思うんだが」
「うそだー」
「有紗は・・自分に素直に成れる。 私には、無理だ」
「奈菜ちゃん、最近段々素直に成ってるじゃん」
「未だ未だ有紗には敵わないさ」
「私も結構素直じゃないとことか、あるよー?」
「知って居る」
「・・何でもお見通しだね」
「有紗程じゃ無いさ」
「もー、さっきからそればっか」
「そうだな。 ――――有紗」
「んー?」
 空いて居る方の手を、有紗の頭に回し、撫でやる。
「・・素直に成って良いぞ」
「奈菜・・ちゃん?」
「大丈夫だ」
「・・・・・・・・奈菜ちゃ・・・・ぐす・・・・ななちゃぁ・・っ」
「よしよし・・」
「ふぇ・・ぇ・・・・奈菜ちゃん・・お母さん、おかあさんがぁ・・・・」
「大丈夫だ・・お母さんなら、又直ぐに良く成るから」
「だって・・だってぇ・・・・今度は、ダメかもしれないよぉ?」
「大丈夫・・お母さん、何時だってちゃんと、帰って来ただろ?」


585 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 10 :2005/07/29(金) 03:20:27 ID:UwjDIQtE
「ぐす・・・・だって・・だって・・・・・・おかあさん、おかあさん・・がぁ・・っ・・・・うえぇぇ・・」
「よしよし・・・・大丈夫・・大丈夫だから――」
 泣き疲れて、眠る迄・・私は、有紗に言い聞かせ続けた。


 暗闇がその場を支配して居た。
 彼女に意識が戻っても、瞳は一切の光を捉える事が出来なかった。
「――目が覚めたかしら?」
 覚醒し、どれ程の時間が経ったのか――或いは、間髪置かずにで在ったのか。
 次にその場を支配したのは、少なくとも彼女のものでは無い、女性の声。
 その声を辿り、記憶を引っ張り出す。
 自分は、何故此の様な状況に置かれて居るのか。
 相手――声の主は誰なのか。
 そもそも、自分は誰だったのか・・。
「――『恐怖』」
 口に出た、相手の名前。 其れを糸口に、一気に記憶が蘇る。
「貴様――此処は・・何の、心算だ・・」
「私は逃げやしないわ。 ゆっくり整理しなさい、焼」
「・・・・・・・・・・・・此処は、何処だ」
「貴女の学校の、保健室」
「出鱈目を、言うな」
 学校――何年も見続けた、ヒトとしての己の職場。
 其処を、見間違う筈が無い。
「本当よ。 少し、暗くして居るけれどね」
 闇が、彼女の声に蠢いた。 『恐怖』――二人目の眷属。
「・・私を、何故生かして居る。 如何する心算だ」
「ふふ・・また操るのも、良いかも知れないわね。 前よりもっと簡単よ?
 貴女には、私に敗れた・・『恐怖』が、刻み込まれて居るんだから」
「く・・っ!」
 見える訳では無い。 それでも、焼は虚空を睨み付けた。


586 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 11 :2005/07/29(金) 03:21:55 ID:UwjDIQtE
「うふふ・・安心して。 私が貴女に与えるのは――寧ろ、幸福よ」
「何を・・・・」
「其れは、私の幸福では無いけれどね・・ふふ」
 瞬間、蠢く闇は焼を中心に集結した。
「っ・・! 何、を・・・・!!」
「――左様なら、焼」
 闇は焼の意識へ染み、徐々に、徐々に、彼女の意識を奪って行く。
 其れは寧ろ、甘美とも言える・・眠りへの、誘い。
「貴女の使徒としての生命は・・・・此処で、終わる。 お休みなさい――」


 閉じて居た瞼を、ゆっくりと開ける。
「何を『視て』いた?」
「――やぁ、エイジ。 起きて居たんだね」
「未だ日付も変わってねぇよ」
「そう言えばそうだ」
 備え付けの冷蔵庫から、ミネラルウォーターを取り出し、二つのコップに注ぐ。
「ほれ」
 差し出す右手に、其の片割れ。
「有り難う、頂くよ」
 つい、と一口。
「で、何を?」
「・・・・彼女さ」
「それじゃ分からん」
「『恐怖』」
「・・何か、動いたのか」
「まぁ、ね。 ちょっと予想外・・だけど、案外予想内」
「・・どっちだよ」
「ふふ、どっちだろうね。 まぁ其れより差し迫った問題が在るよ」
「何だ」


587 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 12 :2005/07/29(金) 03:23:11 ID:UwjDIQtE
「近々『狩り』が来る」
 エイジの、動きが止まる。
「・・・・何人位だ?」
「根源一人と、現象一人・・後は」
「後は?」
「――――始原」
「なっ・・・・?! 始原が、『狩り』なんぞに参加するってのか!?」
「ふふ・・彼は、昔っから融通が利かなくてね。 『新しい要素』なんて、認められないんだよ」
「笑い事じゃねぇだろ・・」
「そう、だね。 ・・・・エイジ」
 表情に、真剣なものが加わる。
「・・・・何だ」
「頼みが、在る」
「何を今更」
「・・・・君の命に関わる」
「・・・・・・」
「彼は、奈菜を『殺し』に来る。 『世界の変容』を、潰しに」
「『恐怖』と、同じだな」
「『恐怖』も、『殺さ』れる。 彼女も、変わり過ぎた」
「・・・・皆殺しかよ?」
「はは、殆どそんなものだね。 其れで、だけど」
「ああ・・」
「君の命・・ボクに、くれ」
「はっ・・・・そんなもん、当の昔にくれてやってるぜ」
「・・・・済まない」
「・・マイは――」
 向かいのベッドを見遣る。
 布団に包まり寝息を立てる、小さな生命。
「――彼女も、だね・・」
「・・・・未だガキだが、その覚悟ぐらい、出来てるだろうさ」

588 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 13 :2005/07/29(金) 03:24:30 ID:UwjDIQtE
「・・御免よ。 ボクの、我が儘で――」
「言いっこ無し、だぜ。 そんくらいしねぇと、とても返せる恩義じゃねぇからな」
 煽り、コップの中身を飲み干す。
「何をすりゃ良い」
「時間を稼いで欲しい」
「時間?」
「奈菜と、彼女が決着を付ける迄の時間」
「お安い御用だ・・と言えないのが辛い所だな」
「頼む」
「おーけい、やるだけやってみるさ」
 立ち上がり、窓を見る。
 ガラスに映る、エイジとウィル。
「ウィル」
「何だい?」
「お前が、奈菜に――あの二人に拘る理由は何だ?」
「・・・・・・」
 コップに残った水が揺れる。
「奈菜は・・・・ボクに似てるんだ」
「・・ウィルに?」
「ふふ、そう、ボクに。 だから――」
 水を、一気に飲む。
「だから・・ボクの代わりに――――見付けて、欲しい・・」


「・・風、騒ぐわね」
 深夜の病室。 五十鈴の声が、暗い病室に響く。
「そうだね」
 答える声は、秋。
「――『狩り』が、来るって」
「・・『狩り』?」

589 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 14 :2005/07/29(金) 03:26:21 ID:UwjDIQtE
「『世界』の中の・・新しいものを認められない人達。 『変容』を、潰しに来る」
「・・・・あの時の、私と、同じ・・?」
「そうなのかも」
「そう・・」
「・・難しいかも知れないけど、姉さんは僕が護るから」
「何言ってるの。 弟らしく、私に護られてなさい」
「もう姉弟じゃなく、恋人同士でしょ?」
「こいびっ・・・・んんん・・まぁ、その・・ね」
「はは。 それじゃ・・退院の準備しとこう」
「退院って・・」
「すぐに出られる準備、って事。 病院でやりあう訳にも行かないでしょ」
「そう、ね・・動き易い服、用意して貰わなきゃ」
「ああ、あれ良いんじゃないかな。 ほら、姉さんと初めてデートした時の」
「でっ、デートじゃないわよ、あんなのっ! 一緒に映画見ただけじゃないの!」
「どの日の事とは言ってないんだけどな〜?」
「うっ・・・・しまった・・」
「――立派に、デートだったよ。 楽しかった」
「・・私も・・楽しかったわよ」
 秋と五十鈴の、記憶。
 『切』と『断』が体験した訳では無いが、其れは確かに、二人の記憶なのだ。
「はは、洒落っ気の無い服だったけどね」
「う、五月蝿いわね! 私なりに精一杯お洒落したのよっ!」
「知ってるよ。 可愛かったよ・・珍しく」
「・・余計なのよ、一言」
「未だ、もっとデートするんだ。 死んでなんか、居られない」
「・・・・当然よ。 私達は、生きるの」
「変わり続ける世界で」
「変わり続ける、永遠と共に・・ね」




590 :月影に踊る血印の使徒:第五夜 15 :2005/07/29(金) 03:28:11 ID:UwjDIQtE
「・・・・世界が、存する為に」
 男は呟いた。
 誰にとでも無く。
 或いは、己自身へ。
「変容等を、認める訳には、行かない――」
 男は続けた。
 相変わらず、その声を聞くのは男自身のみであった。
「・・・・世界の為に」
 重い扉を開く。
 明るい日差しに包まれて、男の護るべき『世界』は存在して居た。
「・・・・世界を、殺す」
 決意。
 或いは、固執。
 何年も何年も――ヒトならざるものとして生きた、己に課した・・宿命。
 或いは、意味。
 陽光の下、銀色の髪が輝く。
 瞳に宿るは、決意の光のみか。
 揺れる其れには、微かに――悲しみ。
「行くぞ」
 其の呟きを聞いたのは、男だけでは無かった。
「・・承知」
 答える其れも又、ヒトならざるもの。
 二人の『使徒』。
 『狩る』は、『使徒』。
 世界の為に、世界を殺す。
 其れは、矛盾では無いのか?
 或いは、そうなのかも知れない。
 世界の為に、世界を殺す。
 揺れる瞳に微かに陰る悲しみは・・死に行く世界への悲しみか。
 或いは――――――――。

591 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/29(金) 03:33:47 ID:UwjDIQtE
まぁリハビリって奴だ。
月影に踊る血印の使徒 第五夜 >>576-590

決戦前話ー。 会話イベントオンリー。
輪を掛けて面白くねー。
お陰で容量が軽い軽い。
後二、三話(!)で終わりますよぅ。
風呂敷畳むのは苦手やで、ホンマ。

592 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/29(金) 09:23:04 ID:05Stc9zU
たゆん様の降臨キターーー!!

593 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/29(金) 22:07:08 ID:LVAWDxQG
姐さんキタ――(゚∀゚)――!
金曜に来ると言われてからずーーーっと待ってましたよ!
乙です!

594 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/31(日) 00:23:53 ID:MIbSus30
自演褒め乙

595 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/31(日) 08:19:35 ID:fkDytcVw
まあ確かにつまらんわな

596 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/31(日) 11:04:19 ID:U1scoXLp
(´ー`)y−~~~

597 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/31(日) 11:32:25 ID:mf1OYX2N
つうか意味がよくわからん

598 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/07/31(日) 12:25:05 ID:Z/johIH1
私も最近分からん。

599 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2005/07/31(日) 13:34:26 ID:ryhbClDe
(´・ω・`)おやおや

600 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/31(日) 21:04:00 ID:U1scoXLp
俺だって、このスレナンバーワンの台本書き(選考方法:年功序列)!!
このまま何もしないではいられねぇ!!新キャラ引っ下げて登場だ!!

「んー!!終わったー!!」
ノートを閉じ、制服のシャツのボタンを一つ外し、大きく背伸びをする。
真っ青な空、白い雲。自分の体を忘れそうなほどハッキリとキレイに見えた。
今日の夏季補習も無事終了。
残り何日かなー。なんて考えると、ワクワクしてくる。
そんな俺は、足取りも軽く、教室を出る。
すると……制服を着ていない少女が立っていた。
シンプルなワンピース。艶やかな黒髪。そして、透き通るような白い肌。
その少女は何かを探すようにキョロキョロしたり、教室を覗き込んだりしていたが
俺の姿を見つけると、パッと表情が明るくなった。
「お、お兄ちゃん……!」
「羽音ちゃん……?どうしたの、こんなトコで?」
この少女の名前は霧島羽音。俺の従妹になる。
羽音は隣の市に住んでいて、今まではなかなか会う機会がなかったのだが、
俺が今年、こちらの高校に入学し、通うことになり、こうしてたまに顔を見せるようになった。
「お、お兄ちゃん……えっと……その……」
「……?」
「ほ……」
「ほ……?」
「えっと……えっと……」
深呼吸。
「補習、お疲れ様でした!!こ、コレ、お弁当っ!!」
恥ずかしそうに紺色の包みを差し出す羽音ちゃん。
俺はそれを丁寧に受け取って、
「お弁当……?」
「は、はい!!お昼からも頑張ってください!!」
勘違いしてるわ……。

601 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/31(日) 21:05:32 ID:U1scoXLp
「あ、あのね……羽音ちゃん……」
「はい!!」
「補習……午前中だけなんだけど……」
「えっ!!」
固まる羽音ちゃん。
そして、
「あ、えっと……す、すいませんでした!!」
俺から弁当の包みを奪い取り、走り去ってしまった。
「ちょ!?は、羽音ちゃん!?」
急いで追いかける。
しかし、気付いたときには羽音ちゃんの背中は遥か彼方……。
羽音ちゃん、早ぇ……。
しかし、さすがに俺も男だ。
プライドをかけて、全力で走る。
カーブを最小限で駆け抜け、階段を飛び降り、
やっとのことで、羽音ちゃんが大分近づいてきた。
周りの生徒が迷惑そうに見ているが、そんなことを気にしている余裕はない。
ラストスパート!!
最後の力を振り絞り、何とか羽音ちゃんに追いついた。
「羽音ちゃんっ!!」
羽音ちゃんの肩に手をかける。
「お、お兄ちゃん……?」
羽音ちゃんが急に足を止めて振り返った。


602 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/31(日) 21:06:13 ID:U1scoXLp
「どうして逃げるの?」
「だ、だって……失敗しちゃって……」
「失敗?何を?」
「えと……だから、お弁当いらないのに……」
俯く羽音ちゃん。
優しくその名を呼んだ。
「羽音ちゃん」
「は、はい!!」
背筋をピンと伸ばし、返事をする羽音ちゃん。
「俺、家遠くて、今から帰ると一時半くらいになるからさ。弁当持って来ようか迷ったんだよね」
「……」
「で、結局面倒で作ってこなかったんだけど……何かお腹空いちゃったなー」
横目で羽音ちゃんを見る。
「お、お兄ちゃん……」
「何かな、羽音ちゃん」
「こ、コレ……食べて……ください……」
羽音ちゃんは、ゆっくりと遠慮がちにさっきの包みを差し出す。
「お、何コレ?」
「え、えと……お弁当です……」
「ありがとう。嬉しいよ」
俺は左手でお弁当を受け取り、右手で羽音ちゃんの頭にポンと手を置く。
「は、はいっ!!ありがとうございますっ!!」
「羽音ちゃん、お昼は?」
「えっと……私も、お弁当を……あ、あれっ!?」
「どうしたの?」
「お弁当……忘れちゃいました……。帰ります……」
肩を落とし、振り返る羽音ちゃん。
俺はそんな羽音ちゃんの肩を掴んで
「俺も行くよ」
「え……?」

603 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/31(日) 21:06:43 ID:U1scoXLp
「俺、自転車あるから。送ってくよ」
「え、いやっ!!いいですよ!!」
羽音ちゃんは手をパタパタ振って断る。
「そう?良かったら、白田公園で一緒にお弁当でもと思ったんだけど……せっかく良い天気だしね」
「っ!?」
「どうしたの?」
「その……い、行きたい……公園」
「あ、行きたい?」
「はい……」
小さい声で呟く羽根ちゃん。
そんな羽音ちゃんに、俺は……
「声が小さくてよく聞こえないぞー?」
「え……えっと……行きたい……です」
「え?」
「公園、行きたいです!!お兄ちゃんと!!」
「はい、よくできました。行こう」
「はいっ……!」
可愛く返事をして、俺の横に並ぶ羽音ちゃん。
「お兄ちゃん……」
「ん?」
「明日も……お弁当作っても……いい?」
「いいよ。っていうか、お願いします、だよな。俺は作ってもらうんだから」
「ううん。お勉強だから」
「勉強?」
「うん。お兄ちゃんのね……」

604 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/07/31(日) 21:07:22 ID:U1scoXLp
「俺の……?」
「えと……お嫁さんになるときの……ね?」
「羽音……ちゃん……?」
頬を赤く染めて、俯く羽音ちゃん。
何だ、そういうことか。
「羽音ちゃん」
「はぃ……」
「待ってるよ」
「お兄ちゃん……!!」
「行こうか?」
「うん」

夏はまだ始まったばかり。
あと何日、羽音ちゃんのお弁当を食べられるのかなー。
───────────────────────
俺の夏はまだだろうか……。
後テストが二つ、レポートが一つ……はぁ……。

新キャラ。また敬語系。でも可愛いよ、羽音……。
兄ちゃん、一気火勢でお気に入りだよ……。

605 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2005/07/31(日) 21:50:22 ID:ryhbClDe
これは俺も古参として久々にちゃんとした何か書くしか・・・

>>604 遊星さん
GJです!
夏ですねー(*´д`)ハァハァ

606 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/01(月) 11:30:47 ID:nj8ub4/G
>>600-604
またまた下らん妄想乙。
つまらねえからやめちまえ!!

607 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/01(月) 12:45:49 ID:r1cuR4Lr
まあ確かにつまらんわな

608 :二酸化マシンガンBB弾仕様 :2005/08/01(月) 12:51:33 ID:KEBeLpXu
続き
四限目
「はぁ〜」
「なんだ〜またシスコン全開か!」
「ちげ〜よ暇でさ〜現社」
「なんだ〜美咲ちゃんのことでため息ついたかと思ったよ」
「ふっ!もう平気さ!あいつにも友ができたからな!」
「へぇ〜よかったじゃん」
「へ?それだけ?」
「だって俺は心配してなかったし」
「お、おれだってな〜!」
「すご〜く心配してたよな」
「くっ!」
「まぁ、この調子で彼氏もできりゃいいな」
「彼氏…あいつに…」
(あいつ自分の意思あんまださないからあんなことやこんなこと…)
「ダメだ!!!」
ガタッ
「なにがだめたんだ?如月?」
「いや!え〜と自分の頭が…ははは」
「わかってるならちゃんとノートとれ!馬鹿者」
「は、はい」
クスクス
「くそ!直お前が変なこと言うから!」
カリカリ
(このやろ〜我関せずでノートとってやがる!)

609 :二酸化マシンガンBB弾仕様 :2005/08/01(月) 13:09:04 ID:KEBeLpXu
昼休み
ここは私立なので給食がない
「将!お前どうする?」
「美咲の様子見てきてからパン買ってくうよ」
「俺も行くかな」

「あ、お兄ちゃんどうしたの?」
「いや、昼どうすんのかな〜て思ってな」
「こいつさ〜美咲ちゃんが心配で心配で仕方ないらしいよ」
「ち、ちげーよ!」
「美咲!この人噂のお兄ちゃん?」
「う、うん」
「カッコイイじゃん!私は葉っていいま〜す先輩!」
「よ、よろしく」
「将〜モテモテやね〜」
「ち、ちげ〜よ!」
「私らこれから昼なんですけど先輩方一緒にどうです?」
「行くよな!将」
「あぁ」

こうして四人で昼を過ごした


お久しぶりです
過去はあと一、二度くらいかと…
クソ作品を読んでいただけると光栄です

610 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/02(火) 15:28:33 ID:A28tHoUy
>>606-607
下らんと思うなら来るな厨房が

611 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/02(火) 23:22:20 ID:F6JiBTfn
>>610
相手しなくていいよ。時期が時期だし。

612 :すの字 ◆9l4B6y7T.Q :2005/08/03(水) 12:57:24 ID:qsNSUMhY
こんな時こそ⊂二二二( ^ω^)二⊃ブーンして気分転換しようぜ
二酸化さんGJです!

⊂二二二( ^ω^)二⊃ブーン

613 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/03(水) 21:09:30 ID:SPYZt4OY
ギャルゲしかしてないのかココの職人
文章力に難あり杉。本読もうな

614 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/03(水) 22:23:12 ID:Tyb0o9H9
>>613
SPY・Z

615 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/04(木) 01:21:24 ID:HDpZKf0g
しばらく来ない内に神々が再降臨してるな。
みなさん狂おしいほどにGJ!!。
久々に萌え&燃え(弱火)たよ。ところで

>>遊星さん
「羽音」って何て読めばいいの?

616 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/04(木) 02:01:39 ID:lpQqd+9N
はね、ジャマイカ?

617 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/04(木) 06:10:15 ID:X01QGJc/
>>615
「はね」のつもり。
羽音かわいいよ、羽音……。

618 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/04(木) 22:24:20 ID:X01QGJc/
夏休みの午後。というか、もう夕方。
リビングで、涼しくなってきた風に当たりながらのんびりと過ごしていた。
風鈴の音が心地よい。
「今日の晩飯何かなー」
力の抜けきった声でそう呟いた時、夕飯の支度に来たと思われる妹の未来がゆっくりドアを開け、入ってくる。
そして、そのままキッチンに向かうと思われたが……倒れるようにソファーに座ると、
「はぁ……」
大きなため息をついた。
「どうした、未来?ため息なんてついて?」
「ちょっと……悩み事です」
「悩み事……?未来にも悩みなんてあるんだ?」
「そりゃ、私だって、悩みぐらいありますよ……」
「まぁ、分かってるけど。未来ちゃんに悩み事って、なんつーかイメージに合わない」
「イメージ……?」
「未来ちゃんってさ、しっかりしてるから、何でもスパッと切り抜けられそうなイメージがあるからね」
「しっかりしてても……無理なものは無理だと思います……」
「まぁね。相談なら乗るよ?」
「いえ、遠慮しときます。聞いても嫌な気分になるだけですから……」
そこまで言って、一層顔を曇らせる未来ちゃん。
「そうかい……」
さっきまで枕代わりにしていたクッションを掴む。
そして……
「てぃ」
未来の顔に投げつけた。
ヒット。
ボフッと音がして、クッションが落ちる。
「いたっ……な、何するんですか、兄さんっ!?」
鳩が豆鉄砲を食らったような顔をして、未来が鼻を押さえた。
「出かけるぞ。ソレ、持って来い」
「えっ!?ど、どこへ!?」

619 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/04(木) 22:24:50 ID:X01QGJc/
「いいトコ」
「あの……兄さん。私、晩御飯を作らなくちゃ……」
「夕飯は……外だな」
「えっ……ちょっと!?兄さんっ!」
「いいから。行くぞ」
困惑する未来の腕を掴み、そのまま外へ連れ出す。
「に、兄さん!?コレ、何に使うんです!?」
「クッション?自転車に乗るとき、尻に敷く」
そう言いながら、ガレージから自転車を引っ張り出す。
「なるほど……って、自転車ですか!?」
「自転車でなきゃ間に合わないからな」
自転車に跨る。
「間に合う?何に?」
「秘密だ。さ、後ろに乗れ」
「えぇ……あぁ、はい」
恐る恐る後ろに乗る未来。そして、しっかり俺の腰を抱く。
「よし、行くぞ」
両足に目一杯力を入れて自転車を漕ぐ。
空はまだ明るい。
まだ間に合いそうだ。
───────────────────────
家から出て左に曲がり、緩やかな坂道を上る。
途中コンビニに寄って、夕飯とあるものを調達した。
未来は何度も降りることを提案したが、俺はそれを断り、
結局そのままで、坂の一番上まで、もう少しというところまできていた。
「はぁ……はぁ……」
「もう少しですよ、兄さん」
「あぁ……」
俺は最後の力を振り絞って、全力でペダルを踏む。
坂がだんだん平らな道になり、視界が徐々に開けていく。

620 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/04(木) 22:25:51 ID:X01QGJc/
目に飛び込んできたのは、オレンジ色の世界だった。
俺は坂の一番上で自転車を止め、未来に降りるよう促す。
「わぁ……」
未来は後ろで、ため息のような声を漏らす。
オレンジ色に染まる町並み。
夕日を受けて輝く海。
そして大きな夕日がこの場所から一度に見えていた。
「キレイだろ?」
「はいっ!!」
オレンジ色の光の受けて、一段と可愛く見える未来の顔……。
そんな未来を見ながら、さっきのコンビニで買ったコーラを一口。
未来の横顔に見惚れて、つい零しそうになる。
「未来……」
「はい……?」
「いや……まだ早いな」
「?」
「行こう。自転車乗って」
「はい」
何も考えずに自転車に乗ってしまった未来ちゃん。
「よし、ちょっと怖いけど、我慢しろよ?」
「え……!?に、兄さんっ!?」
未来が驚きの声を上げたが時すでに遅し。
俺は坂道を下り始めていた。
とはいえ、ブレーキをかけたままなのでそんなにスピードは出ない。
夕焼けの町へと、潮風を受けながら、ゆっくり下っていく。
「飲む?」
途中、コーラのペットボトルを掲げて、未来に言う。
「に、兄さん!!前向いてください!!」
「大丈夫だって。で、いる?いらない?」

621 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/04(木) 22:26:52 ID:X01QGJc/
「あ、じゃあ……もらいますね」
俺の手からペットボトルを取る。
プシュッ
蓋が開き、炭酸の抜ける小気味よい音。
そして、コクコクという液体の流れる音が聞こえた。
「ぷはぁ……」
「美味い?」
「はい。たまにはいいですね。こういうのも」
「うん。美味いよね、こういう時に飲むとさ」
「はい……。えへへ……」
「何?」
「兄さんと……同じ気持ち」
未来が俺の腰を強く抱く。
「ちょっと……嬉しいです」
いつもより、幼いような印象を受ける未来の声。
……未来は時々、こういう大胆なことをするから、ちょっと驚く。
まぁ、可愛いんだけどさ……。
「キレイですよね……」
そんな俺の心境を知ってか知らずか、未来がいつものように呟く。
「だな」
「ありがとうございます。兄さん」
「おいおい、礼を言うのはまだ早いぞ?」
「そうですか?じゃ、これからもよろしくお願いしますね?」
「ああ、まかせとけ」
少しブレーキを強く握る。
夕暮れの下り坂を、妹を自転車の後ろに乗せて、ゆっくり海まで下っていく。
───────────────────────

622 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/04(木) 22:27:23 ID:X01QGJc/
夜の海。
コンビニで買った夕飯を食べ、二人、砂浜で波の音に包まれている。
「誰もいないね」
「そうですね……」
何だか会話も途切れがちになる。
まぁ、それならそれでもいいんだけど……。
「はぁ……」
未来がため息をつく。
やっぱり、何もしないでジッとしていると悩みを思い出すのかな。
「未来」
「はい」
「花火しようぜ」
「花火?」
「さっき買ったから」
コンビニのビニール袋の中から花火とライターを取り出し、未来に投げる。
「しかし、あんまり花火ってないんだな、こんなもんしかなかった」
「こんなもんって……二人なら多すぎるくらいですよ?」
「そうか?まぁ、多いに越したことは無いけどな。よし、まずはこのデカいのだ」
とりあえず、数少ない吹き上げ花火を地面に置き、火をつける。
ジジジッ……
火花が導火線を伝う。
この瞬間が、結構好きだったりする。
シュワワワワ……
一瞬の間のあと、オレンジ色の炎が舞い上がった。
オレンジから赤や緑に色を変える炎を二人静かに見ている。
そして、徐々に炎が小さくなって、最終的に煙を出して消える。
「キレイだったな、これ」
「そうですね」
「さぁさぁ、どんどんやろう」
「あ、はい」
二人だけの花火。

623 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/04(木) 22:27:54 ID:X01QGJc/
花火を振り回して未来に怒られたり、
なかなか火がつかないと思っていたら、突然ついてビックリしたり、
花火が何色に変わるか賭けたり、
どっちの花火が長く持つか競ったり……
文字にしてみると些細なことかもしれないが、ずっと未来は楽しそうに笑っていた。
それを見て、俺も嬉しかった。
「やっぱ、最後は線香花火だな。はい、未来ちゃん」
「あ、ありがとうございます」
二人しゃがみこんで、ライターの炎を二本の線香花火にゆっくり近づける。
パチ……パチパチ……
線香花火の作り出す小さな炎。
次第に炎は小さくなり、先端の珠が地面に落ちる。
この穏やかな感じが、他の花火とは違う線香花火の良いところだろう。
「このまったりした感じが、花火の締め、って感じだよな」
「ですね」
「さてと。ゴミをまとめて……」
「帰りますか?」
「ん?どっちでもいいけど……帰りたい?」
「いえ、もう少し、ここにいたいです」
「そう。じゃ、もう少しゆっくりしてくか」
「はい」
とりあえず、花火のゴミを手早く一つにまとめ、海に向かって座っている未来の隣に腰を下ろす。
海を見つめたまま、何も言わない未来。
俺も何も言わず、天を見上げる。
「兄さん……」
しばらくの沈黙の後、未来が海を見つめたままポツリと呟いた。
「どうした?」
「兄さんは……」
「……?」
「兄さんは……私の側にいてくれますか……?」
未来は悲しそうな目で俺を見て、言った。

624 :自治厨よりスルーを込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/04(木) 22:28:48 ID:X01QGJc/
「分からん……」
「そう……ですか……」
「だけど……努力はするよ」
「兄さん……」
「ま、何も出来ないけどね」
「ふふっ。いいですよ、それでも」
ちょっと微笑んで、未来が答える。
「じゃあ、私も出来るだけ兄さんの側にいられるように、努力しますね?」
「おぅ」
未来の頭にポンと手を置く。
「帰るか?」
「はい」
未来は嬉しそうに俺の手を掴み、立ち上がる。
何かよく分からんが……手を繋いでいる。
「兄さん」
「ん?」
「ふふっ。兄さん、いるかなーと思って」
「……ワケ分かんねぇ」

マジメで初心で……だけど時々妙に積極的で……
まだ、未来のことは分からないことばかり。
だけど、だからこそ……未来と一緒にいなきゃ。
多分、未来も同じ気持ちなんじゃないかな。
───────────────────────
とうとう夏休みだぁぁぁぁぁぁ!!夏っぽい話書きまくってやる!!

えっと、正直に言う。とある曲をイメージした、つーかパクった。
結構有名なフレーズをほぼそのまま使ってるから、分かる人は多いでしょう。
アレ聞くと、夏って感じがするんだよね、俺は。

どうでもいいが俺IDがGJ。

625 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/05(金) 12:20:12 ID:EAPl+uJz
>>618-624
遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ さん。
今日もくだらない妄想乙かれ様です。
いい加減飽きましたよ。
もっと面白いのを書いてください。

626 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/05(金) 17:30:15 ID:DwhB6+R8
>>625
m9(・ω・)プ…プギャ…なんでもない

627 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/05(金) 18:55:32 ID:YjJrDYp+
>>遊星氏GJ!!
車輪の唄??
違うかな…

628 :すばr ◆9l4B6y7T.Q :2005/08/08(月) 12:50:41 ID:XVmffpAB
こんな事が現実にあるなんて・・・
(・ω・`)っhttp://www.geocities.jp/siscom71/index.html

629 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/11(木) 13:46:18 ID:76UXTf5U
人こないなぁ…
暇だからボウリングでもするか。
ぷ。

630 :終末 ◆ZkGZ7DovZM :2005/08/11(木) 19:37:26 ID:38qE2H9r
いつの間にかネ申たちが降臨しとる〜!!

荒しまで

631 :終末 ◆ZkGZ7DovZM :2005/08/14(日) 23:19:32 ID:izZmFZRR
待ちまつ

(・ω・)つ旦~

632 :終末 ◆ZkGZ7DovZM :2005/08/16(火) 06:31:04 ID:C09nKrjK
ω・`)ノシ



633 :終末 ◆ZkGZ7DovZM :2005/08/19(金) 01:39:36 ID:Kcfuy5tI
えっ、ホントに誰も来ないっ!?
投下お願いしまさぁっ

スレ汚しスマソOTL

634 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/19(金) 12:45:03 ID:haUMFEGd
すごいことになっているなぁ。

635 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/19(金) 22:30:30 ID:1Nvq5qMq
夏になると寂れるのは、ここの特徴みたいなモンだ。
どんな状況でも、俺だけは沸いて出るから気を抜くな。早速、始めようか。

「はぁ……」
胸を押さえて、ため息。

─今日こそ、言うんだ。お兄ちゃんに。
─チャンスは……もう、今日しかないんだから……
─勇気を出さなきゃ……

あと10秒……9……8…………0。
待ち望んでいた授業終了のチャイムが鳴りました。
時計とのにらめっこは、私の勝ちみたいです。
みんなが立ち上がり、礼をする。そして、騒がしくなる。
そんなあの人の教室を私は廊下から、こっそりと見ています。
あの人は……いました。
日直なのでしょうか……黒板を消しています。
お疲れ様です。と心の中で呼びかけます。
あの人は、思ってたよりも、几帳面みたいで……。
何度も黒板の前を往復しています。
それが意外でもあり、微笑ましくもあり……じれったくもあります。
ふと視線を落とす。
私とあの人のお弁当。
今日は一生懸命頑張ったんですよ?
最後……ですから。
そう思うと、少し悲しくなってきました……いけませんね、こんな弱気じゃ。
だって、今日は……


636 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/19(金) 22:31:01 ID:1Nvq5qMq
「ねぇ、そこのキミ」
そんなことを言う男の人の声が聞こえます。
下を向いているので分かりませんが、コレが、ナンパというものでしょうか。
頑張ってくださいね。
「ねぇ、キミだってば」
またそんな声がします。
あらら……ナンパ、失敗でしょうか……?
……?
何でしょう。
右の肩の上に何か……?
顔を上げて、右の肩を見ると……手が……。
その手の先には……知らない男の人の肩……。
私……?
「私……ですか?」
「うん。キミ、最近いつもいるよねー?カレシ待ち?」
「え……えっと……違います……」
一応……カレシ……では……ないですよね……。
え……?一応……?
少し、引っかかりますが……この際無視します。
「そうなんだー。そんならさ、オレと昼メシでも食いに行かねー?」
「え……?」
「あ?もしかして、こういうの初めて?だいじょーぶだって。変な事しねーから」
「で、でも……」
「あ?迷ってる?じゃあ、オレのオゴリでいいよ。どーよ?」
「……あ、あの……」
「ん?行く?」
「え……えっと……」
困り……ました……。
早くしないと……お兄ちゃんが……。
───────────────────────

637 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/19(金) 22:31:35 ID:1Nvq5qMq
水道の水でチョークの粉で汚れてしまった手を洗う。
水が冷たくて気持ち良い。
そのまま、つい顔まで洗ってしまう。
「ふぅー」
夏の必需品、タオルで顔を拭く。
窓から外を見ると、気持ち良いほどの青空。
オレも、今日から本当の夏休み。
補習最終日に日直とは運が悪いけど……仕事ももう終わった。
何も気にすることは無い。
「さてと、帰るとしますか」
足取りも軽く、帰り支度のため教室へ向かう。
大した荷物もないので、一瞬で荷物をまとめ、教室を後にした。
教室の戸の前にいたのは、羽音ちゃんの背中と……彼女の前に立つ知らない男。
え……何でっ!?
何もせずにそこに立っているのもアレなので、慌てて教室に身を隠す。
教室内でホッと小さくため息をつく。
とりあえず……そう!状況の整理だ!
えっと……とりあえず、羽音ちゃんと、男A。
あの男A、羽音ちゃんの知り合いだろうか……。
羽音ちゃんの肩に手なんか置いてたし……。
よく考えれば、ここは羽音ちゃんの地元。
しかも、この学校には、この市出身の人が多いみたいだし、
羽音ちゃんの中学の先輩とかがこの学校にいても何もおかしくは無い。
何処にでもある、久しぶりに会った先輩との会話。
そう考えるのが、一番合理的だ。
それだけだ。
それだけ……なのに……何か腹立つ……。

638 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/19(金) 22:32:06 ID:1Nvq5qMq
まぁ、いい。
合理性の面では、ある程度納得の行く答えを得た俺は、することもなくなったので、
こっそりと羽音ちゃんの様子を伺ってみた。
二人は、まだ話してる。
会話する男と女。別によくある光景だ。
だが……ホント、イライラする。
さっきから、何でこんなに怒ってるんだ。ってぐらい腹が立つ。
さすがに俺がこんなことに口挟むの悪いと思って我慢してたが、もう我慢の限界!!
バッグを背負い、男Aに向かっていく。
羽音ちゃんの背後から、その男に向かって声をかける。
「「あの……」」
ハモった。
振り返った羽音ちゃんと目が合う。
「お、お兄ちゃんっ!?」
羽音ちゃんが、驚きで目を大きくさせて言った。
作戦変更。
この際、羽音ちゃんで良いや。
「よっ」
右手を上げ、羽音ちゃんに挨拶。
「羽音ちゃんの知り合い?」
「いえ……えっと……」
羽音ちゃんが、チラリと男Aを見る。
男Aは困惑したように視線をそらしたが、すぐにこちらに向き直り、
「あ、いえ、何でもないんス。一緒にご飯でも食べに行こうかな。なんて」
「そうなんだ」
心の中で胸を撫で下ろす。
……が、まだ安心は出来ない。羽音ちゃんがどうするかだ。

639 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/19(金) 22:33:26 ID:1Nvq5qMq
「えっと……それなら、俺はお邪魔かな?」
「い、いえっ!!そんなこと、ないですっ!!」
俺は二人に尋ねたつもりだったが、羽音ちゃんが答えた。
「あ……でも……この人は……」
羽音ちゃんは、もう一度男Aに向き直り……
「あ、あのっ、すいませんが……お断りさせていただきますっ!!」
頭を下げ、言った。
気まずそうに、俯く男A。
ちょっと可哀想だな。とも思ったが……嬉しい気持ちが勝った。
「行こうか?」
「はい」
並んで歩き出す二人。
さっきまでのイライラと一変して、凄く良い気分。
青い空がさっきよりも何倍も気持ちよく見えた。
───────────────────────
「はい、お兄ちゃん、どうぞ」
公園の噴水の前のベンチ。
いつもの場所に二人で座って、羽音ちゃんのお弁当を食べる。
「うん。ありがとう」
緊張した面持ちの羽音ちゃんによって手渡されたお弁当箱。
蓋を開けると、美味しそうなおかずが、キレイに敷き詰められている。
「お、今日も美味しそうだね」
緊張をほぐすため、そう言って羽音ちゃんに笑ってみせる。
「あのね……」
しかし、羽音ちゃんは緊張した顔のまま、小さな声で呟く。
「うん」

640 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/19(金) 22:33:59 ID:1Nvq5qMq
「今日は……全部、私が作ったんだよ」
「羽音ちゃんが?」
「うん。昨日までは、お母さんと一緒だったんだけど……今日は私一人で作ったんだよ」
そこまで言って、俯いてしまう羽音ちゃん。
「だって……今日で最後だから」
「最後って?」
「補習……今日で終わりなんですよね……?」
「ああ、そうだけど?」
「だったら……もう……お兄ちゃんに会えない……」
「え?何で?」
「だから……もうお兄ちゃんが学校に来ないから……」
だんだん小さくなる声。
最後にはもう、聞こえないぐらいまでになってしまった。
「ねぇ、羽音ちゃん?」
「はい……?」
「俺は今夏休みが始まったトコだよ?
 明日からは、ついでじゃなくて、羽音ちゃんに会うだけのためにこっちに来れるし、
 羽音ちゃんと一緒にどっか遊びにも行けるんだよ?」
「……」
「毎日だって会えるんだよ、俺たち。っていうか、俺は毎日会いたいんだけど」
「え……それって……」
「まぁ、まだ待ってよ。
 話は変わるけど、さっき羽音ちゃんが男と話してて凄くムカついたんだよね」
「うん……」
「だから……何て言うのかな……羽音ちゃんには……
 俺以外の男とは出来るだけ話して欲しくないっていうか……」
「お兄ちゃん……?」
「いつでも羽音ちゃんと一緒にいたいし、俺だけの羽音ちゃんでいて欲しい……」
「……」
「あぁ、もう!!つまり!!上手くいえないんだけど、俺、羽音ちゃんのこと、好きなんだよ!!」

641 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/19(金) 22:34:30 ID:1Nvq5qMq
……言ってしまった。
肝心な羽音ちゃんは……俯いたまま反応が無い。
さっきの男と同じ、どう断ろうか困ってるって感じかな……。
「あ、変な事言ってゴメン……イヤなら忘れてくれて良いから……」
「……せん……」
羽音ちゃんが何かを呟く。
「え……?」
「私、絶対に忘れませんっ!!だって……凄く……嬉しいから……っ!!
 わ、私も、ずっとずっと……昔から……お兄ちゃんのこと、好きだったから」
「羽音ちゃん……」
「私も……今日言おうと思ってたんです。でも……お兄ちゃんに先に言われちゃいましたね」
微笑む羽音ちゃん。
「可愛いね、その顔?」
「お、おおおおお兄ちゃんっ!?」
顔を真っ赤にして、慌てる羽音ちゃん。
やっぱり可愛い。
今までよりも、ずっとずっと。
「早速だけど、遊びに行こうよ。今から」
「え……?」
「嫌?」
「ううん!!行きたい!!」
「良かった。でも、その前に、お弁当を頂こうかな」
「はい!!」
幸せそうな羽音ちゃんの笑顔を見ながら、茄子の煮物を口に運ぶ。
「うん。美味しいよ」
「ホント?」
「うん。食べてみなよ」
「……あ、ホントだ。良かった……。ちゃんと柔らかくなってますね」
「うん」
「でも……ちょっとお醤油入れすぎかなぁ……」

642 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/19(金) 22:35:05 ID:1Nvq5qMq
ちょっと考えるように、俯き加減になる羽音ちゃん。
この瞬間でも、羽音ちゃんの顔が可愛すぎて……
「羽音ちゃん」
羽音ちゃんが振り向く。
その瞬間、羽音ちゃんの唇を奪う。
「ん……んー!!」
羽音ちゃんはパニックになって、手をジタバタ。
俺はちょっと意地悪して、強く唇を押し付ける。
とはいえ、さすがに悪い気がするので、お子様のキスだけでやめておいた。
唇を離す。
羽音ちゃんは、俺の顔をジッと見ながら、唇を手で押さえた。
「んー。砂糖かな?甘くて美味しいよ」
「お、お兄ちゃん!!」
「いやぁ、悪い悪い」
「私……初めて……だったのに」
「俺とじゃ嫌?」
「ううん……でも、初めてはもっと素敵なシチュエーションでしたかったな……」
「う……そ、それは悪かった」
「謝っても……手遅れですよ」
「いや、ホント反省してるから……許してくれ……」
「許しません!!だから……お返しですっ!!」
視界に空が広がっていく。
青空をバックに、頬を赤らめた羽音ちゃんの顔。
その顔が、徐々に近づく……。

高校最初の夏休み。
今年は……今までで一番、楽しくなりそうだ。

643 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/19(金) 22:36:05 ID:1Nvq5qMq
〜エピローグ(?)〜
「い、意外と羽音ちゃんも大胆だね……」
「私も……お兄ちゃんと同じなんです。
 お兄ちゃんのことが、好き過ぎて……我慢できなくなっちゃっただけですよ」
「なるほどね」
「えへへ……お兄ちゃん、大好きです」
「……」
「ほら、お兄ちゃんも」
「え……俺も言うの!?」
「当たり前です。私だけなんてズルいです」
「……あんまり、そういうの何度も言うのってカッコ悪いと思うんだけどな」
「そんなことないですよ!!さぁ!!」
「羽音……」
「はい」
「愛してるよ」
「はい!!」

[終わり]
───────────────────────
この兄妹、前の一回で終わるつもりだったけど……気に入ったんでもう一回。
ここまでハッキリした両思いは初めてだから、やりたい放題書いた。
書いてるうちに、やりたいことがポンポン浮かんできて……。


あと、そろそろ次スレのことも考えなきゃならなくなってきたよ。

644 :終末 ◆ZkGZ7DovZM :2005/08/20(土) 04:14:50 ID:FApac86B
>635-643

GJっ!!遊星様、相変わらず素晴らしいですねぃ。

お気に入りは双子ちゃんですが、この際何でもイイですな!!

645 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/20(土) 14:52:39 ID:mrGscolb
>遊星さん
GJです。
とても微笑ましいっすね

俺もSS書いてみようかなぁ〜…

646 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/20(土) 19:52:21 ID:IrGWMR+J
>>635-643
つまらない。
いつまでたっても成長しないのな。

647 :終末 ◆ZkGZ7DovZM :2005/08/21(日) 22:40:27 ID:wqtkx04y
>645様
お願いします!!


648 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/22(月) 15:40:05 ID:TUCVJXmn
>>647
お題がなかなかみつからない…
リクエストがあれば、言ってください
携帯からだからあまり長い文も書けないですけど…

649 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/23(火) 00:19:39 ID:GSr86m9N
ツンデレを希望

650 :終末 ◆ZkGZ7DovZM :2005/08/23(火) 02:49:33 ID:Q59sI3KV
>648様
ソチで決めてもらってイイですよ!書きたいものを書いてくださいなっ
>649氏の言うツンデレでも良いので

グダグダでスマソorz

651 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/23(火) 14:33:36 ID:f1TyQfL7
ただ今執筆中……

ツンデレ難カシス……

今週中にはできると思います
短いと思いますが、携帯からなので勘弁して下さい…

できるだけツンデレになるよう頑張ります

652 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/23(火) 19:30:55 ID:TLUNl9Lv
暇つぶしに書いてみました。宜しければ感想くださいな。

ついさっき布団に包まってもふもふしてたら飼い猫(通称ロボ)が入ってきた。
可愛かったので一緒にごろごろした。満ち足りていた。
しばらくすると5つ下の妹までもぐりこんできた。
暑いし邪魔だったので蹴っ飛ばした。少し悲しそうな顔をしていた。
しばらくすると暑かったのかロボが暴れて出て行ってしまった。
引き止めたが、振り返ってくれなかった。とても悲しかった。
落ち込んでいると妹と目が合った。寂しそうにこちらを見ている。
妙に妹が愛しくなり手招きでこっちへ来い、と呼び込んだ。
妹の表情(カオ)が輝いた。いそいそと布団に入ってくる。
恥ずかしそうに微笑んでから、そっと身体を摺り寄せてきた。
どぎまぎしながら「暑くないのか」と聞いてみると「あったかいよ、心も体も」とはにかみながら首に手を回してくる。
くらっときた。
堪らず力いっぱい妹を抱きしめた。「いたた、いたいよ」と腕の中でやんわりと抵抗する。
少しだけ力を緩めるも離してやらない。
観念したのか目を閉じて為すがままにされる妹。
胸や腕に感じる幼くも柔らかい感触、甘い髪の香り、手触り。全てが心地良い。
枕が一つしかないので抱擁を解き腕を差し出してやる。おずおずと頭を預けてくる仕草が愛らしい。
暫く妹の長い髪を梳いたり指に絡めたりしていると小さな寝息が。
安心しきったような寝顔が俺の擦れた心を暖かくしてくれる。
思えば最近仕事に付き合いにと色々忙しくて全然構ってやれなかった。
恥ずかしがりやなこいつがこんな事をしたのも一種のアピールだったのだろう。
明日からはぼちぼち相手してやるか。丁度これから暇になるしプールにでも連れて行ってやろう。
そんな事を思いつつ、軽い睡眠を取る為に目を閉じた。




653 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/23(火) 19:31:58 ID:TLUNl9Lv
うわ、ageちまいましたスマソ

654 :終末 ◆ZkGZ7DovZM :2005/08/24(水) 04:35:55 ID:K2xTWpL7
>651
ツンデレなんて初かな?期待してまつ(´・ω・`)

>652
GJ。初めエロかと思いました。続きキボーン

655 :終末 ◆ZkGZ7DovZM :2005/08/26(金) 13:16:26 ID:M+QwFBO7
(´・ω・`)ショボーン

656 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/08/27(土) 01:55:44 ID:7dlh6asL
 『お兄ちゃん……起きてよぉ……』
 「んー……」
 『お兄ちゃん……そろそろ起きないと、濡れタオルを顔に被せちゃうよっ?』
 「んー……」
 『……お兄ちゃん……』
 「…………」
 『………………ばか』


 「―――お客さん、起きて下さいよ!」
意識が戻った瞬間の大声に、俺は驚いて椅子を揺らした。
慌てて顔を向けると、そこには呆れ顔の乗務員が立っていた。
 「お客さん、着きましたよ、駅。この列車は車庫行きなんですから、早く降りてくださいね」
 「あ、ああ……どうも」
それだけ返事をすると、乗務員はさっさと隣の車両に行ってしまった。
頭を振り、小窓から駅のホームを見る。
……馴染みのあるホームだ。俺は、帰ってきた。
浮かれてきた心を抑えつつ、荷物を下ろすために席を立った。

657 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/08/27(土) 01:56:54 ID:7dlh6asL
 列車を降りると、まるでサウナに放り込まれたかのような熱気に包まれた。
むし暑い。というか、暑すぎる。あまりの暑さに、脳細胞がすべて蒸発しそうだ。
そんな感じでぐでぐでと改札に向かって歩いていると、ふと視界に女の子の姿が映った。
14〜16歳くらいだろうか。制服を着ている。
女の子は友達と楽しそうに話をしながら、通路の向こうへと消えていった。
その様子を眺めて、俺はどことなく懐かしい気分になり、荷物を担ぎなおした。
瞬間。

 「……どこを見ているんですか?」

 「うわっ!?」
女の子の声。
びっくりして背後を振り返ると、そこには。
 「ひどいですよ?再会の第一声が『うわっ!?』なんて」
さっきの子と同じくらいの年齢。気持ち控えめな身長。大人しそうな瞳。馴染んだ制服。
そして……忘れたことのなかった、その顔。
 「おかえりなさい、お兄ちゃん」
―――妹は、可愛らしくはにかんだ。

658 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/08/27(土) 01:57:50 ID:7dlh6asL
 「……しかし変わったなぁ、お前も」
駅から自宅までのわずかな距離を、ふたり並んで歩く。
隣にこいつの頭があるというのも、なんだか久しぶりだ。俺はじろじろと妹を観察した。
 「そうですか?お兄ちゃんはちっとも変わってないですね」
 「その減らず口も相変わらずだなぁ」
 「そっちこそ、女の子に目がないところは変わってないですね?お兄ちゃん」
 「いや、あれは……」
ふと、言葉を止める。たしかに……あの女の子は少しは可愛かったけど、でも……。
 「お前ほどじゃ無かったよ」
前後に繋がりのない言葉に、妹は目を丸くしてこちらを見た。
 「は、はあ?どういうことですか?」
俺は無言でじろじろと妹を観察する。その様子で気づいたのか、妹は即座に顔を沸騰させた。
 「ば、ばか!!久しぶりに再会した妹を、いきなり口説いてどうするんですかっ!」
 「別に口説いてなんかいないけどなぁ。正直な感想を述べただけだし」
 「え、あ、う……う、嬉しくなんかないですからねっ!?」
妹はそれだけ言うと、つかつかと歩を速めた。
 「お、おーい……荷物持ってくれないのか?」
 「知りません!!お兄ちゃんのすけべ!!嫌い!!」
嫌い、か。俺は苦笑しながら妹の後姿を眺めた。
お前はたしかに、変わったよ。

659 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/08/27(土) 01:58:47 ID:7dlh6asL
 「―――親父も母さんも出張!?なんだそりゃ!!」
我が家のリビングで荷物を下ろした俺は、突然の知らせに驚愕した。
それをさも当然の反応とでもいうように、妹はため息をもらした。
 「わたしは反対したんです。せっかくお兄ちゃんが帰ってくるのに、海外出張だなんて」
 「……まったく聞いてなかったぞ。初耳だ」
 「……はあ……なんでわたしがお兄ちゃんの世話をしなければならないのでしょうか……」
 「ん。あのな、俺だって大学に入ってから一人暮らしだったんだ。家事くらいできるぞ」
 「そーですか。なら自分のことは自分でしてくださいね、お兄ちゃん」
 「……なに怒ってんだ?お前」
 「怒ってなんかないです!ばか!!」
なんだこいつ。本当は自分が面倒見たいんじゃないのか?
っていうか……。
 「むしろ、面倒見られるのはお前のほうじゃないのか?ええ?」
それを聞いて、妹はぎくりとした表情になる。
そう。今回、俺は妹の高校受験の家庭教師をするために、我が家に戻ってきたのだ。
なので、勉強の面倒を見るのは俺。つまり主従関係では俺に利があるということだ。

660 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/08/27(土) 01:59:44 ID:7dlh6asL
「うっ……」
 「ほれほれ、どうした?……よし、さっそく勉強を始めるか?」
 「え……あの、まだ着いたばかりですし……」
 「そうやって先送りにするのはいけないんだ。やるなら今すぐやらなきゃ」
 「で、でも……ほら、お昼ご飯、まだですよね?わたし、作りますよ?」
 「……ん」
そういえば、昼はまだだった。ちょうどいいタイミングで俺の腹が鳴る。
 「ほ、ほら!わたしがお兄ちゃんのお昼ご飯、作ってあげますから!!」
 「んー……そうだな。腹が減っては戦はできぬというしな」
 「えっと、お兄ちゃん、たしか冷やし中華好きでしたよね?」
 「おう。……あ、そんな気にしなくていいぞ。簡単なものでいいから」
 「え?ダメですよ。久しぶりに帰ってきたんだから、わたしが美味しいものを作ってあげます」
 「そ、そうか?悪いな」
 「ふふっ、そんなことないですよ。わたし、お料理の手伝いとかしてたんですから」
 「……へ、へえ。いい子だな、お前は」
 「えへへ……。お兄ちゃんの好きな味付けって、たしか―――」

661 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/08/27(土) 02:00:41 ID:7dlh6asL
そこまでまくし立てて、妹はハッと気づいた。
 「―――なっ、なんでわたしがお兄ちゃんのお昼ご飯を作らなきゃいけないんですか!!」
 「い、いや……俺に言われても」
妹は顔を真っ赤にしてむうっ、とうなり、頬を膨らませた。頭から湯気が出ているようだ。
 「ばかっ!!ばかばかばかっ!!罠にはめましたね!?」
 「ここ数年、罠って単語すら聞いたことなかったぞ」
 「ばかぁ!!お兄ちゃんなんて嫌いっ!」
叫びながら、ドアを開けて出て行った。どかどかと階段を昇る音が聞こえる。
 「……はあ。変わったなぁ、あいつは」
呟きながら冷蔵庫を開ける。ひんやりとした冷気を感じ、そして俺は驚いた。
中には冷やし中華の材料だけでなく、俺の好きだった色々な料理の具材が整頓されていた。
 「……素直じゃないねぇ」
俺は二人分の冷やし中華を作るべく、麺に手を伸ばした。
やっぱり俺は、面倒を見られる側らしい。

662 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/08/27(土) 02:03:08 ID:7dlh6asL
リアルが忙しくてご無沙汰してました、海中です。お久しぶりです。

久しぶりに色々と書いてみたのですが……どうでしょうか。
またお世話になるかもしれませんが、できれば拾ってやってくださいな。


663 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/27(土) 03:08:59 ID:tmS5QLY9
>海中さん
萌えました、GJです。

でも今書いてる奴とかなり被ってる…orz
もう一回書き直すか…

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0ch BBS 2004-10-30