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[第六弾]妹に言われたいセリフ

436 :夢ノ又夢 ◆7FqW82/Veo :2006/09/01(金) 21:46:46 ID:PFYNOR93
前回投下からちょうど一月、近々とか言っておいてえらく時間が掛かりました。
続きは近い内に投下します、いや、今度こそホントに。

>遊星様
スクール水着は反則でしょうw
誤解の一部始終が読みたい、是が否でも読みたいですw

437 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/09/02(土) 00:01:26 ID:UMDDMWqv
待つ時間は長いぜ

438 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/09/02(土) 01:48:01 ID:I+Qt+wbj
>>遊星さん
GJです!スク水…(*´Д`)

>>夢ノ又夢さん
GJ!今回のは雰囲気がちょっと鍵っぽいですねw

439 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/09/04(月) 06:33:13 ID:cCQov9T6
部屋で懐かしのパラサイト・イヴをやっていたら妹がやってきた
「お兄ちゃ〜ん」
「んぁ?」テレビの画面を見ながら適当な返事をする
「ネギまのゲーム買ってきた」と言ってソフトを前に突き出す妹
「少し待て、今クライスラービルだからセーブまで多少時間掛かる」

手早くセーブをしてディスクを抜いて妹に場所を譲る
「ほれ、終わったぞ」
「ネギま〜」と言ってまたソフトを突き出す
「だからなんだよwイタい子みたいだからやめれww」
「やって?」
「は?俺が?意味がわからん」
「だって1人でやるの恥ずかしいんだもん」
「知らねーよw」
「お願い〜」
「そのぐらい自分でやりなさいw」
「じゃあお兄ちゃんそこで見ててね!」
「なんでだよw」

結局見ることになってトイレにも行かせてもらえない。
という夢を見た。かれこれ10年ぐらい妹が欲しいと嘆き続けた俺23、そろそろ重症です。

440 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/09/05(火) 18:04:09 ID:x1oVduXO
>>439
> 「だからなんだよwイタい子みたいだからやめれww」
そっくりそのままおまいに言…えない俺ガイル…('A`)

441 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/09/06(水) 22:44:40 ID:RH9FdTlA
・前回のあらすじ
水着を買いにいった兄と妹。
しかし、兄の鈍感さから、誤解が勃発。
妹、葵は兄がスク水好きと勘違いしてしまう。

「ほら、お兄ちゃん、見て見て!!」
突如俺の部屋に現れた水着姿の妹を前に、しばし、固まる俺。
「……」
水着買ってたんだ。いつの間に……。
……。
アレか、俺がトイレ行った時だ。
結構時間かかったしな……時間はあったよな。
「変……?」
「い、いや、いいんじゃないか……?」
なんか学校で使うヤツみたいな感じだけど……
……まぁ、とりあえず褒めとけば間違いないよな……。
「ホント?よかった……」
安堵のため息をつく葵。
……安易なことを言ったと、少し罪悪感。
「お兄ちゃんがこの水着、好きだって言ってくれたから……思い切っちゃった、えへへ」
……言ったっけ?
必死で思いをめぐらす。

442 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/09/06(水) 22:45:26 ID:RH9FdTlA
……あぁ。
色は青系が好き。とは言ったな。
あと、露出は少な目の方が良いんじゃないか?という兄としての気遣い(それと、俺が恥ずかしくて見れないから)もした。
二つを統合すると……まぁ、こんなもんか。
もう一度、水着を見る。
「……っ……」
「どうかしたの?」
「いや、何も……」
……一瞬、スク水、とか、スク水着て……とか、考えた自分が恥ずかしい……。
そんなこと葵に言ったら、なんて思われるか……。
当の葵は、自分の体をあちこち見ながら、
「でも、ダメだ、これは家の中でしか着れないよー」
「ああ、そうか」
「まぁ……もともと、そのつもりなんだけどね」
そういって、俺にウインクをしてみせる葵……。
つーか……家の中で何に使うんだ……?
「……やっぱり、風呂か……?」
……素朴な疑問が口に出てしまった。
聞こえてなかったら良いんだけど……。
そう思っていたが、葵は突然スイッチが入ったように……
「お、お風呂っ!?え、何何!?どういうこと!?」
聞こえてたか……。
それなら、しょうがない。
「いや、入るんじゃないのか?」
「えっ!?そ、そんな!?お兄ちゃん、私、まだ、心の準備が……」
水着で風呂に入るってのは、そんなに覚悟のいることなんだな……。
女の子って難しいなぁ……。

443 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/09/06(水) 22:46:14 ID:RH9FdTlA
「……え?」
「あ、でも……イヤじゃないんだけど……!!」
「……はぁ……」
「……でも、私、初めてだから……最初は、普通にしたいな……?」
「まぁ、よく分からんけど……好きなようにしたらいいんじゃないか」
「……うん。ありがとう、ゴメンね?」
「謝ることじゃないだろう、俺は関係ないし」
俺がそう言うと、
「……え?」
目の前の葵の動きが固まる。
「え?何?俺関係あるの?」
「……ねぇ、お兄ちゃん。何の話?」
目の座った葵が、低い声で尋ねた。
……何だ、このプレッシャーは……。
「葵は水着を着て風呂に入るって、話じゃなかったか?」
何だかポカーンとしてる葵。
徐々に俯き……何だか震えてますけど……。
「……お……」
「お?」
「お兄ちゃんのバカぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!!!!!!」
「っ!?……何故……」
……葵のボディーブローをモロにくらい、その場に膝をつく俺。
「喜んで損したよっ!!もうっ!!」
怒った様子で出て行く葵。
尚も動けず、しゃべることもままならぬ俺。
何にも分からぬまま喰らったパンチは、涙が出るくらい痛いんだね、チーフ……。
───────────────────────

444 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/09/06(水) 22:47:29 ID:RH9FdTlA
一人前の前座を目指して、今日も貼り貼りっと。
でも、名前を忘れるようじゃねぇ……

本来作るつもりの無かった続編。
……姉のテイストが少し入ってる気が……。
夢ノ又夢先生の作品がまだ続くようなら、葵視点のものもその前座で書くかも……。

445 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/09/12(火) 23:15:42 ID:o0VcQwlS
俺はスレストすることにおいても頂点に立つ男らしい……。

ところで、質問。
新しい妹で新しい話を書き始めたんだけど、よく考えたら、最初の方は妹関係ない。
それでも貼っても良いのかな……?

446 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/09/13(水) 05:31:52 ID:oZFQ6p5A
新しい妹貼っておくれ(´∀`)


葵もよろすく!

447 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/09/16(土) 23:15:10 ID:hshwH5iR
突然振り出した雨。
空はどんよりと曇って、どうやらすぐには止みそうにない。
駅前の街灯時計の前には、俺を除いて誰もいない。
両手に持った二本の傘を見比べ、俺は小さくため息をついた。
「早く来すぎたか」
約束の時間まで、あと三十分以上。
ある程度の時間的余裕を確保しておかないと落ち着かないという病気を抱えた俺だが、
今回の予想以上の待ち時間に、少しうんざりする。
と、いいつつも……心の準備をする時間が出来て、少しホッとしたワケだが。
どこか休める場所があれば良いのだが。
そう思い、辺りに目を向けると、少し先のほうに、喫茶店らしき店が。
丁度良いとばかりに、迷わずその店に入る。
……それが悲劇の始まりだった。
「おかえりなさいませ、ご主人様♥」
何かすごい服装の女性に出迎えられ、一時、全てを忘れる。
「……?」
「こちらへどうぞ♥」
「あ……はい……」
……ショックで完璧に自分を失った俺は、言われるがままにテーブル席へ……。
まぁ……ここなら、さっきの時計もよく見えるな……と少し冷静だった。
「お飲み物は?」
「……アイスコーヒーで……」
「かしこまりました♥」
……。
水を一気に飲んで、少し冷静になる。
なるほど、ここが噂のメイドカフェというものか……。
しかし、田舎だ田舎だと思っていたが、メイドカフェなんてものがこの町にあるなんてなぁ……。
物凄い場違い感を抱えながら、窓の外をずっと眺めている。
とはいえ、しばらくすれば少し慣れてきたのか、
今まで忘れていた緊張やら不安やらが込み上げてきた。

448 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/09/16(土) 23:15:49 ID:hshwH5iR
「お待たせしました」
そんな時にタイミングよく現れたのは、アイスコーヒーとさっきの女性。
「ミルクとシロップはどれくらいにしますか?」
「ふむ……」
他の客を見ていて分かったことだが、
どうもこの店では、ミルクやシロップは彼女たちが入れてくれるらしい。
「少しで」
「はい。かしこまりました」
そういって、ミルクを注ぎ始めるのだが……何だか腕がプルプル震えている……。
危なげにその光景を眺める俺。
……ポタン。
ミルクが、上手に一滴だけ、グラスの中に入る。
少し=一滴……もしかして、天然?
それともそういうサービス……ってことは、ツッコミ待ち?
いろいろ考えながら、呆然と、真っ黒なままのグラスを眺めていると、
「どうかしましたか?」
シロップも一滴いれ終えた彼女が、不思議そうに尋ねる。
……やっぱ天然だ……!!
「いや、なんでも……」
「そうですか。では、ごゆっくり!」
お辞儀をして、嬉しそうに戻っていく彼女。
……残された俺とほぼブラックなコーヒー。
驚きの余り、全てを忘れてしまっていた。
───────────────────────

449 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/09/16(土) 23:18:16 ID:hshwH5iR
許可頂いてからどんだけ時間かかってんだよ、ってワケで今更貼り。
全然、妹関係ないけど、今日はココまで。バーボン怖いし……

……メイド喫茶ちょっと行ってみたい……近くに無いけど。

450 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/09/18(月) 22:54:55 ID:NpCHzpCe
最後まであの天然ちゃんが俺を担当するのかと思ったが、そうではないらしい。
お姉さん系のメイドさんにお金を払い、お店を後にする。
「いってらっしゃいませ、ご主人様」
……なるほど。店を出て行くときはいってらっしゃいになるわけだ……。
感心しながらドアを押すと、
「あ……」
私服姿の、さっきの天然ちゃんが、店の軒先に立っていた。
なるほど、上がる時間だったわけだね。
しかし……さっきは服に圧倒されて、気付かなかったが、結構可愛い。
「ん〜……」
どうやら、傘を持っていないご様子。
話しかけるべきかどうか迷っていると、
「雨、イヤですねぇ」
「え、あぁ、そうですね」
「澪、傘もってくるの忘れちゃって……」
天然ちゃんは困った様子で、手を伸ばし、その掌を雨に晒す。
「……よかったら、使います?」
「え?……あ!?そんなつもりじゃないんですよ!?」
「別にいいですよ、二本持ってますし」
「で、でも……」
困っている様子の天然ちゃん。
まぁ……彼女なりの考えがあるなら、無理に押す必要も無いか……

451 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/09/18(月) 22:55:29 ID:NpCHzpCe
そう思っていると、
「ひぁっ!!」
彼女が突然大声を出す。
「どうかしました?」
「いえ……大丈夫です。ケータイが震えて、ビックリしただけですから」
バッグからケータイを取り出す彼女。
「あ、お母さーん!!うん、うん。こっちもすごい雨だよー」
声デカいなぁ……。
「迎えにきてくれるの?ありがとー!!……うん、分かった。待ってるよー……うん、バイバイ」
ケータイを折りたたむ彼女。
「あ、あの……少しお願いしても良いですか?」
「あぁ、どうぞ」
「あそこの時計の前まで、傘に入れてくれませんか?」
「いいよ。僕もあそこの前で、人と会うから」
「そうなんですかー、偶然ですね!!カノジョさんですか?」
「はっ?」
「あ、ゴメンなさい。変なこといいました?」
「……いや。ちょっと、驚いただけ。義理の妹と会うんだ」
「わー!!そうなんですか!?私もね、もうすぐお兄ちゃんができるんですよ!!」
とたんに嬉しそうになる彼女。
「まだ全然どんな人か知らなくて、すっごく楽しみです!!」
「……ふぅん」
奇妙な偶然もあるもんだ。と、少し驚く。

452 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/09/18(月) 22:56:13 ID:NpCHzpCe
「じゃ、行こうか。はい、傘」
妹の物だという傘を、彼女に差し出す。
「……え……?」
「どうかした?」
「これ……どうしたんですか?」
「傘?いや、妹の傘だから持ってけって、ウチの父親が……」
「……って、ことは……ど、泥棒っ!?」
「はっ!?」
「だって、コレ、私の傘ですよ!?」
「……キミの?」
「間違いありません!!」
……ということは、つまり……
「……もしかして、キミの苗字って二河……?」
「はい。二河澪です!!」
「やっぱり……」
「どうかしました?」
「……キミが妹だったのか……」
「え!?えぇぇぇっ!?」
「まぁ、はじめまして」
驚きを隠し、握手を求める。
「み、澪のお兄ちゃんが……泥棒さん……?」
「……泥棒じゃありません」
「じゃあ……何?」
「何といわれても困るけど……怪しいもんじゃない」
「そうなんですかー」
……さすが天然……。

453 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/09/18(月) 22:56:45 ID:NpCHzpCe
「えっと、よろしくお願いします。お兄ちゃん!!」
「ああ、こちらこそ」
先ほど俺が出していた手を、やっと握る妹。
しかし、突然思い出したように、
「あ!!」
「?」
「呼び方、お兄ちゃんでよかったですか?」
「は?」
「友達が、男の人は呼び方にこだわるって言ってたし。
 だから、お兄様とか、そういう呼び方のほうがいいのかなーって」
「……変でなければ、なんでもいいけど」
「ホントに?」
「うん」
「じゃあ……お兄ちゃんにします。お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん……」
……改めて言われると、恥ずかしいな……。
「……帰るか」
「うん、お兄ちゃん。……あっ!!」
「今度は何?」
「澪のことは、澪って呼んでください」
「わかった、澪ちゃんね」
「……み・お!!」
「え……?」
「『ちゃん』はいりません!!」
拘ってるのね……。
「あぁ、ゴメン。澪……澪ね」
「へへ、ありがとうございます」

454 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/09/18(月) 22:58:06 ID:NpCHzpCe
……ところで……いつまで手を握っているつもりですか……
「さ、帰りましょ?」
「あ、あの澪……?手を……」
「て……?手がどうかしました?」
「いや、何で握ったままなのかなって」
「……あぁ!!そうですよね!!」
慌てて俺の右手を放し、そして、すぐに左手を掴む。
「え?」
「そうですよね。右手と右手じゃ、手繋げないですよね」
「いや、そうじゃなくて」
「ふぇ……?」
一点の曇りもない純粋な目……。
そんな目でコッチを見るなよ……。
「いや、帰ろうか」
……負けた……。
「はい!!あ、ところで、お兄ちゃんの名前、なんていうんですか?」
新しく出来た妹……。
やっぱ天然……。
───────────────────────
続くのやら続かないのやら。
まぁ、妹にメイド服を着せたいと言う黒い欲望のため『だけ』に書き始めたんで、どうなることやら……。

どうせ俺なんか……。
もう……萌えも妹もないんだよ……。

455 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/09/19(火) 04:21:54 ID:is6F3IPB
>>447-454
グッジョブ!
もう何を書いても素晴らしいですね
続きを期待しております!!

456 :夢ノ又夢 ◆7FqW82/Veo :2006/09/22(金) 19:07:35 ID:ZkC5pbr/
「・・・なんだか以外だね」
「な、何が?」

やはり予期せぬタイミングで投げ掛けられる言葉に少し反応が遅れる俺。
そして、やはり気後れにはお構いなしで再び始まる会話のキャッチボール。

「お兄ちゃんがそんな風に言ってくれるなんて、思ってもみなかった」
「そうか?やっぱり変だったかな」
「ううん、そうじゃなくて・・・なんだか・・・それってプロポーズの言葉、みたいだから」
「・・・」
「・・・お兄ちゃん?」

この時、実はすでに巴の声には耳を貸してはいなかった、俺の耳は後方で轟くエンジンの音に集中している。
音を聞く限り減速する気は欠片も無いらしい、いや、恐らくこちらに気付いてさえもいないのだろう。
怪訝そうな顔の巴を前に頭でそう結論付ける前に体が先に動き出す。

「巴っ!!」
「え・・・」

壁になる様に巴に覆い被さる俺、数秒も待たない内にウォータースライダーの如き水飛沫が背中に襲い掛かる。
あっという間の出来事、車のエンジン音はロックだかラップだか分からない大音響と共に瞬く間に遠くになっていく。
しかし、この結果を見る限りやっぱり今日の運勢は大凶らしいな・・・
もはや雨も関係無い程に額から盛大に水を滴らせて巴の安全だけは確認しておく。

「ううっ、冷てぇ・・・巴はなんとか無事みたいだな、良かった良かった・・・巴?」
「・・・」

457 :夢ノ又夢 ◆7FqW82/Veo :2006/09/22(金) 19:10:00 ID:ZkC5pbr/
それは神様のほんの些細なイタズラ

見詰め合うにはあまりにも近過ぎる距離
思いがけずに俺が映り込む少し潤んだ透き通った瞳
雨露に濡れて艶を帯びた黒髪
色鮮やかな赤みを帯びた頬
触れれば弾けて消えそうなシャボン玉の様なその姿

脆さを湛えた表情を目の前に真赤な傘の下、青い水の星が呼吸を止める。
嘘みたいに綺麗なその姿は全てが霧に霞んで見える所為だろうか大袈裟にもこの世にある事さえ奇跡に思えた。
お互いの吐息が鼻先に触れ合うギリギリの距離でじっと見詰めたまま流れる憂いを秘めた沈黙。
そんな沈黙に堪えられなくなった俺はたどたどしくも時を解いていく。

「その・・・ごめん」
「・・・どうして謝るの?お兄ちゃんはボクを庇ってくれたのに」
「いや、そうなんだけどなんか罪悪感があって・・・」
「それより大丈夫?こんなに濡れて・・・」
「いいよ、ここまでくれば焼け石に水だ」
「あ・・・うん」

ハンカチでいそいそと俺の顔を拭き始める手を制して歩き出す距離を取ろうとする。
思えば不慮のアクシデントとはいえ俺が巴を壁際に押し倒した様な体勢、色んな意味でこのままでは危険だ。
今更になってまだまだこれからとやけに辺りに響く自己主張の強い雨。
それが俺には自分の中の時が重々しくもようやく動き出した証拠の様に思えた。

「巴、俺、先に帰るわ」
「先に、ってお兄ちゃん?」
「さっさと帰ってシャワーでも浴びるって事、巴はゆっくり帰ってくればいいから」

458 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/09/22(金) 23:23:45 ID:9t5HOImZ
>夢ノ又夢先生様
毎度ながら、さすがです!!
次回もお早めにお願いするっス!!



459 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/09/24(日) 20:19:08 ID:JlNcAtiX
>>456-457

そして保守

460 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/09/26(火) 05:44:50 ID:u+0f3xrL
あげ

461 :夢ノ又夢 ◆7FqW82/Veo :2006/09/26(火) 05:47:37 ID:zmQW6TcE
言うが早いか俺は傘を強引に手渡して走り出す体勢をとる、ここからならば家までは走ればそう時間は掛からない。
この蒸し暑さと靴底まで湿った状態、正直言って濡れたままでいるのはキツ過ぎる。

「じゃ、そういうコトで・・・うわっ!?」
「だ、ダメッ!!」

走り出す正にその瞬間、思い切り掴まれる右手、普段の巴からは考えられない程の声が辺りに響く。
驚いて後ろを振り返れば俺と同じように驚いた顔の当のご本人、呆気に取られた俺の先で雨は再び勢いを増して行く。

「・・・な、何が駄目なんだ?」
「・・・そんなのヤダよ・・・一人に、しないで・・・お願い」

今にも泣きそうな、不安で堪らないといった顔で巴が俺を見詰める。
降り止まぬ雨が呼び覚ましたその捨てられた子犬の様なあまりにも綺麗な泣き顔。
痛い程に掴まれた右手に俺は巴の微かな震えを感じていた。
・・・全く以って神様とはなんともイタズラ好きらしいな・・・
俺はそっと巴の手を解いて傘を二人の真ん中に持ち直す。

「俺が風邪ひいたら看病頼むぞ、まったく・・・」
「・・・ゴメンね、お兄ちゃん、でも・・・ホントに嫌だったから」
「はいはい、分かってるよ、いつでも俺は巴の側にいますので」
「ホントにゴメンね、それと・・・ありがとう」

月日がどれだけ経とうとも変わらない心からの信頼。
そういえば子供の頃はこんな巴が見たくて色々無茶な頼まれ事を引き受けてたんだっけか・・・

「・・・」
「・・・」

462 :夢ノ又夢 ◆7FqW82/Veo :2006/09/26(火) 05:48:19 ID:zmQW6TcE
長い夢現の時から少しだけ自分を取り戻したら今度は隣にある物言いたげな視線に気が付く俺。
何かを訴える少女の眼差し、しかもやや上目遣い、今日というごく平凡なハズの一日は何かスペシャルな日なのだろうか。

「・・・巴、とりあえず言いたい事があるなら言ってくれ、その視線は物凄く気になる」
「うん、言いたい事はあるけど・・・何から言えばいいのか、何を言えばいいのか、少し分からなくなって・・・」

真っ直ぐに視線が重なると先程とは正反対に困った様に目を逸らす巴。
なかなかに難儀な状況の連続に図らずも小さな溜め息が漏れ出てしまう。
取り合えず会話のボールはこちらの手にあるので俺からなるべく簡潔に投げ掛ける。

「じゃ、最初に思いついた事を言えばいいんじゃないか?」
「・・・ホントはね、一人になるのが嫌だったんじゃなかったんだ」
「へっ!?」
「一人が嫌だったんじゃない、お兄ちゃんと離れてしまうのが・・・イヤだった」
「ま、まぁ、あのまま走り去っていくとホントにどこぞの映画のワンシーンみたいではあった・・・かな?」

確かにそんな感じではあったと、ふと数分前を振り返る。
まぁ、主演女優はともかく男の方が相当な大根役者ではあったけれど・・・
予期せず二人の間に流れ出すぎこちない空気、そんな雰囲気に気圧されつつも俺は巴の歩調に併せて歩く。

「ふふっ、お兄ちゃんがその後、戻って来て抱き締めてくれてたらそうだったかもね」
「ほうほう、俺と一緒に仲良く風邪が引きたかったとでも?」
「冗談だよ、さ、ホントに風邪を引く前に帰らなくちゃね」

少しだけ明るさを取り戻したいつもの囁くような澄んだ声が耳に残る、ほんの少し歩みが早くなる。
神様のイタズラが目覚めさせた露帯びた時間と厚い雲の向こうにある陽だまりの空白。
雨の中で変わり行く季節の色と香りが密やかな夏の終わりを想わせる。

「・・・でも・・・お兄ちゃんならそれでもよかったのに・・・ボクは・・・抱き締めて・・・欲しいのに・・・」

雨音は依然、弱くなる兆しを見せない。
巴の溜め息の様な呟きは二人の隙間で傘から流れ落ちる滴と共に地面に吸い込まれていった。

463 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/09/27(水) 09:20:16 ID:EkrWQTIe
>>遊星さん
乙です!相変わらずいいです!
天然メイドですね。ドジッ娘要素も期待してしまいますw
メイド服を着せたいと思うのは自然の摂理並に仕方ないですよw

>>夢ノ又夢さん
乙です!GJです!度ツボですっ!
これはすばるには耐えられません(*´Д`)

464 :夢ノ又夢 ◆7FqW82/Veo :2006/09/27(水) 21:31:27 ID:sMkZAm2X
結局、今回も大きく遅れての投下、ホントすいません。
そんな訳で続けて投下。

>遊星様
天然さんまで書けるとは引き出しの多さに感服です。
しかもメイドさん、実に二度オイシイw
続きを期待してますよ、後、葵ちゃんも楽しみにしています。

>すばるさん
いつも御感想ありがとうございます。
もっと萌えられるssを書ければいいんですけどねぇ。
精進が足りない様です・・・今の所、一番足りないのは時間ですが。

465 :夢ノ又夢 ◆7FqW82/Veo :2006/09/27(水) 21:36:04 ID:sMkZAm2X
ベッドの側の時計が静かに時を刻む夜。机の上で不規則に音を立てるシャーペンが耳鳴りを残す。
時計を見れば十二時過ぎ、草木も眠る時間だ。そんな時間を経ても健気にテスト勉強に勤しむ俺。
・・・いや、当たり前なんだよな。普段、朝型な俺には酷なんだけど。

「そういや、普段から夜型な方はどうしてるかな」

両腕を天へ向けて大きく伸ばし勢いで立ち上がる。少し立眩みを起こすが気にはしない。
部屋を出れば視界に入る開け放たれたドアから差し込む蛍光灯の明かり。妹さんも健闘中の御様子だ。
巴に差し入れをするべく忍び足でキッチンに向かう。コーヒーでも持っていってやろう。
手早く支度を済ませてコーヒー片手に開いたままのドアをノックする。

「よ、頑張ってるな」
「・・・お兄ちゃんもご苦労様」

机に向けられていた真剣な表情が俺を見た途端に穏やかな微笑みに変わる。
相変わらずの女神の微笑、少しだけ心躍ってしまう自分がいて妙に照れてしまう。

「巴さんや、調子はどうですかな?」
「ふふっ、まずまずだよ、お兄ちゃんは?」
「俺も・・・まずまず」

コーヒーを受け取りおどけた俺に余裕を返す巴。言うまでも無く巴のまずまずとは俺のそれとはまるでレベルが違う。
全教科で死角の無い巴に穴だらけの俺。事、勉学に関しては悲しいかな俺に立つ瀬は無い。
・・・今日はもう少し頑張るか

466 :夢ノ又夢 ◆7FqW82/Veo :2006/09/27(水) 21:37:30 ID:sMkZAm2X
「まぁ、キリのいい所で寝るんだぞ、そうじゃなくても巴は朝が弱いんだからな・・・じゃあ退散しますかね」
「あ・・・お兄ちゃん、待って」
「ん、なんだ?」
「えっと・・・その・・・」

部屋から出ようとした時、唐突に呼び止められてクルリと顔だけ振り返る。視線の先には妙に焦り気味な巴の姿。
次の言葉が来るの黙って待っていると巴の困惑は更に加速していく。
この様子だけ見ていると学校やご近所で才色兼備と称えられる少女と同一人物とは到底思えない。
こっちからきっかけをやらんと駄目かな、これは・・・

「・・・あの・・・」
「何をテンパっとるんだお前は、何か頼みでもあるんじゃないのか、遠慮せずに言ってみな?」
「あ、と・・・うん、少し勉強で解らない所があったから・・・お兄ちゃんに教えてもらえないかな、って」
「・・・」
「・・・お兄ちゃん?」
「あのなぁ、巴に解らない問題が俺に解る訳無いだろ、もっと俺を見縊れ!!」

自分で言っておいて兄の威厳もへったくれもない言葉が何より自分に響く。ぐっと突き上げられた握り拳が物凄く虚しい。
我ながら胸を張って言う事じゃないよな、実際。
・・・やっぱり今日は徹夜でもするか
黙って俯いてしまう巴に不安になりつつもその場に立ち尽くすしか成す術のない俺。さすがに呆れられたのか深い溜め息すら聞こえてこない。

「巴・・・さん?あの・・・やっぱり怒って」
「お兄ちゃんに教えて貰えたらって思ったんだけど、お兄ちゃんだって勉強があるよね・・・ワガママ言ってゴメン」
「うっ!?」

467 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/09/27(水) 23:51:32 ID:Fl9FaxpS
「寒……」
季節が変わるのはいつも突然だ。
昨日まで過ごしやすくて喜んでいたら、今日は寒い……。
あまりの急な気温の変化に、私の体も寝具も対応し切れなかった。
「お布団か何か……探してこようかな……」
このままではいけないと思い、ベッドから起き上がり部屋を後にする。
外の空気は部屋の中よりも冷たく、肌寒さに体が少し震えている。
寝ている家族を起こさないように、静かに歩きだすと、隣の部屋から明かりが洩れているのに気付く。
「まだ起きてるんだ……」
私は、少し助けてもらおうと思い、その部屋をノックする。
コンコン。
乾いた音が響く。
そして、すぐに
「誰?」
「私、葵」
「葵か。開いてるよ」
という聞きなれた声。
「うん。入るね」
一言断わって、部屋の中に入る。
部屋の中では、お兄ちゃんがベッドに寝転がってゲームをしている。
「まだ起きてたんだ。珍しいね?」
「え?」
意味が分からないという風に聞き返すお兄ちゃん
「ほら、もうこんな時間」
「うそっ!?もうこんな時間!?」
時計を見て、お兄ちゃんが慌てだす。
「あははっ、熱中しちゃったんだね?」
「みたいだな……」
少しバツが悪そうなお兄ちゃん。
必要以上にしっかり者のお兄ちゃんにしては珍しい。

468 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/09/27(水) 23:52:05 ID:Fl9FaxpS
「……で、葵はどうしたんだ?」
「私?ちょっと寒くて眠れなくて……」
「確かにちょっと涼しすぎるかもな」
「うん。それで、毛布を探してるんだけど、お兄ちゃん知ってる?」
「……毛布か……ゴメン、俺も知らないな……」
「そっか」
「悪いな……」
本当に申し訳なさそうなお兄ちゃん……。
「お兄ちゃんは悪くないよー」
「そうか……」
「うん。でも、そのかわり……一つだけお願い、聞いて欲しいな?」
「お願い?まぁ、いいけど」
「寒くないように……一緒の布団で寝て欲しいなー、なんて……」
きゃー!!言っちゃった!!
あまりの恥ずかしさに、目をそらす。
肝心のお兄ちゃんは意外にもあっさりと……。
「あぁ、いいよ」
「いいの!?」
「まぁ、仕方ないよ。俺も寒いのイヤだしね」
ピュアだ……この人……全然「寝る」の意味に誤解が無いよ……。
「ホントに?」
「葵が言ったんじゃないか」
「そうだけどぉ……」
もっと焦るかと思った……っていうのは言っちゃいけないことだよね……。
そ れ で も !!結果オーライだよねっ!!
……鈍感さんも使いよう、ってことなのかなぁ。

469 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/09/27(水) 23:52:37 ID:Fl9FaxpS
「まぁ、いいじゃない。何か兄妹っぽいよね」
「……きょう……だい……?」
「うん。兄として、頼られるのって悪くないね」
前言撤回……。
ただの兄妹なのはわかってるけど……そういう現実をつきつけなくてもいいのに……。
「どうかした?」
「別に……」
「あぁ、そう。じゃあ、寝ようか」
「うん……」
お兄ちゃんのあとに続いて、お兄ちゃんのベッドの中へ。
……全然ワクワクもドキドキもないのは何でかな……。
背中合わせの二人。
こんなに近くにいるはずなのに……。
「あのさ……」
暗がりの中で、申し訳なさそうなお兄ちゃんの声。
「何……?」
「いや……何か、暗いって言うか……悲しそうだからさ」
「……分かっちゃうか……」
そうか……きっと……この人は……。
「俺が出来ることなんて葵に比べたら、ホントに何も無いけどさ……話聞くくらいなら出来るよ?」
「ううん……いいよ……」
「いいのか?」

470 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/09/27(水) 23:53:18 ID:Fl9FaxpS
「うん。葵は、その言葉が聴けただけでも幸せっ」
「はぁ……」
「あとね……お兄ちゃんは、魔法使いを自称するといいよ」
「……?」
「きっと、私はその魔法にかかったんだ」
「話が読めないんだが……どういうこと?」
「ヒミツ。おやすみ」
鈍感なお兄ちゃんへの愛のメッセージ。
いつか……謎が解ける日が来るといいんだけど。
「おぅ、おやすみ……」
お兄ちゃんは優しすぎるから、私はつい空回りしてしまう。
素直すぎるから、私はつい深読みしてしまう。
……それでもいいよ。
それでも、いつだってお兄ちゃんは私を受け止めてくれた。
だから、私も……これまで通り。
「ねぇ……お兄ちゃん」
「ん……?」
「お兄ちゃんって、あったかいね」
「そんなに離れてるのにか?もっとこっち来たらいいのに。落ちるよ?」
「え……?」
「葵……」
「えっと……じゃ、じゃあ……いくね?」
わ、わぁ……ドキドキしてきた……。
……これじゃ……今夜は……眠れないよ……。
───────────────────────
……アレ、葵がぶん殴ってないぞ……。

ゴメンなさい。
夢ノ又夢先生の神作品のあとにこんな最低なデザートをつけてしまいました。
先生の巴ちゃんみたいな可愛い妹を書きたかったのに、何故兄萌え系策略暴力妹に……。

471 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/09/28(木) 09:08:01 ID:gfqFfdgq
久しぶりにこのスレひらいてみたら朝から癒された!
グッジョブ

472 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/09/29(金) 22:50:57 ID:Z6z/ToXT
……何故か手を繋いだまま、俺の家の前まで来てしまった。
片手には澪で、片手には傘。
歩きにくいことこの上なし。
「……あのぉー」
「ん?」
「ここ、何処ですか?」
「ん、あぁ、俺の家だよ」
「ということは、もうすぐ澪の家になる家ですね?」
「……」
間違ってないけど……何か違う……。
「澪の家に『も』なるな」
「はい。澪の家ですよね」
些細な反撃は見事に失敗……気付きやしねぇ……。
「さ、入って。澪のお母さんも、そのうち来ると思うから」
「はい」
玄関のドアを押し、二人で家の中に入る。
すると、
「あら、おかえりなさい」
俺たちを出迎えたのは、年上の女性。
そう。それはつまり……
「お、お母さん。もう来てたんだー」
「おかえりなさい、澪」
「お母さんお母さん!!見て見て!!新しいお兄ちゃん!!」
「ホント。よかったわね?」
「うん!!」
俺を指差しはしゃぐ澪と、優しく微笑む義母……俺は物扱いかよ……。
機関銃のように話しまくる澪とそれに相槌を打つ義母についていけず、俺は虚空を見る。

473 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/09/29(金) 22:51:31 ID:Z6z/ToXT
とりあえず俺に出来ることは……。
「夕飯作らなきゃ……」
「お兄ちゃん、料理できるの?」
「まぁ、親父が絶望的に料理下手だからね……俺が作らないと」
「カッコいー!!お母さんお母さん、お兄ちゃんカッコいいよ!!」
「そうね。カッコいいわね」
「うん!!」
……この母にしてこの娘あり……か。
気を確かに持てよ、俺……。
「まぁ、澪もお義母さんもくつろいでてくださいよ」
「澪……あらら、もう名前で呼び合うような仲なのね?」
「うん、もう名前で呼び合うような仲なの!!」
……ついていけない……。
───────────────────────
カチャカチャと陶器の触れ合う音が澪と二人きりのキッチンに響く。
「悪いね。手伝ってもらって」
「いいえ、美味しいパスタのお礼です」
目を細めて、大皿を拭いている澪。
服を着替えたからだろうか……今まで気付かなかった二つの山が柔らかそうに揺れる揺れる……。
って……変態か俺は……。
「それに、澪ももう家族なんですよ?」
「まぁ、そういってもらえると嬉しいよ」
「澪も嬉しいですよ」
結構いい感じの会話なのだが……俺は澪が皿を割らないか心配で……。

474 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/09/29(金) 22:52:08 ID:Z6z/ToXT
「あ……そうそう、お兄ちゃん」
何かを思い出したように、澪が話を切り出す。
「何?」
「一つ、言っておきたいことがあるの」
「あぁ、何?」
持っていたグラスをグラス立ての上に置く澪。
そして、
「一目惚れです」
「え……?」
「澪ね」
「ああ」
「お兄ちゃんのこと好きになっちゃったみたい♥」
満面の笑顔。
しかし、呆気なく言うなぁ……。
「はっ?」
「お兄ちゃんはどう?澪に一目惚れした?」
……答えにくいな……。
だが、嘘をつくべきことじゃない気がする。
「いや、残念ながら……」
「そっかー。あ、でもでも、澪はそれでいいんだよ」
「はぁ……」
天然恐るべし……。
さっきから俺、まともに話せてないよ……。

475 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/09/29(金) 22:53:40 ID:Z6z/ToXT
澪は、胸の前で指をモジモジさせて、
「えっと、澪は好きな人から告白されたいのでぇ……」
そして俺の目をジッと見て、
「お兄ちゃんに澪のことを好きになってもらうために、今日からお兄ちゃんを誘惑しちゃいます♥」
「誘惑……?」
「でもでも、えっちなのは無しですよ?」
「あ、そう……」
これが残念そうな態度に見えたのだろうか、澪は少し焦った様子で、
「それならそれなら!!ちょっっっっとだけなら、ね?」
「いや、あの……澪……?」
深い意味は無かった。
俺が少し心配して、澪の肩に手を置くと
「やーん♥もしかして、もう告白ですかー♥」
少し恥ずかしそうに、そしてかなり嬉しそうに、頬に手を当てる澪。
「いや……違うけど」
「そうですよねー。じゃあ、そういうことだから、よろしくお願いします♪」
「はぁ……」
「じゃあ、片付けようよ、お兄ちゃん?」
「あ、うん……」
相変わらず色々なことを話してくれる澪。
俺はもう何が何だか分からぬまま。
相槌も適当に、皿を黙々と洗っていた。
───────────────────────
澪のいきなりの巨乳設定は天からの啓示。
しかし、天然妹……意外と良いなぁ……。
で……次は遊星お待ちかね、妹メイド服……が出来るかどうか。

夢ノ又夢先生の次の作品を強く期待する。

476 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/10/01(日) 22:24:19 ID:T7gSMZxW
天然(・∀・)イイ!

477 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/10/03(火) 17:05:39 ID:fXAlSx5j
天然っつーか
頭がかわいそうな子になってね?W

478 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/10/03(火) 19:05:18 ID:2uA0drNP
こんな妹なら惚れる

479 :夢ノ又夢 ◆7FqW82/Veo :2006/10/05(木) 22:33:35 ID:LGJxTGww
「・・・お兄ちゃんも勉強、頑張ってね」

強烈に後ろ髪を引く寂しそうな巴の無理矢理作った笑顔、あまりに予想外な返答に今度はこちらがうろたえまくる。
ああ、苦手なんだって・・・その捨てられた子犬の如き目は。
揺らめく瞳での上目遣いはあまりにも反則過ぎる、こうなってはこちらに否定権は存在しない。
なんというか、これも我が家のお決まりのパターンではある。
・・・しかし、弱いなぁ、俺よ。

「・・・あんまり力にはなれないとは思うが・・・やってみよう」
「ありがとう、お兄ちゃんならきっとそう言ってくれるって・・・ボクは信じてた」
「はいはい、で、どれだ?」
「ここの所なんだけど・・・」

真冬から打って変わって春の輝きを取り戻した巴の隣に座り、問題に目を通す。やはり巴が迷うだけあってサッパリ解らない。
というかこんな問題、俺は去年やったっけか?
設問が問い掛ける答えを求めて俺はあれこれ頭を悩ませる。
本気で解らない、これは困った。

「う〜ん・・・これは難しい」
「・・・お兄ちゃん、最近・・・話してないよね」
「う〜む・・・あたた、耳を引っ張るな!!痛いってば」
「・・・ボクの話を聞いてよ、もうっ」

いつの間にやら真横にあった巴の不満気な顔に耳を擦りながら恨みがましい視線を投げやる。
それにしてもいつもながらの七変化。
膨れっ面になると普段の大人びて見える巴より幾分子供っぽく見えるから面白いものだ。

480 :夢ノ又夢 ◆7FqW82/Veo :2006/10/05(木) 22:35:05 ID:LGJxTGww
「で、答えでも解ったのか?」
「そうじゃなくて・・・最近、ボクたち余り話をしてないよね、って」
「そうか?テスト前とはいえ少なくても毎日朝晩顔を合わしてるだろ」
「話は余りしてないよ、それに顔を見るのだってホントに朝晩くらいで・・・学校でもほとんど会わないし」
「朝晩会ってれば充分だと思うが、何か特別な話がある訳でもないし」
「・・・ボクは充分じゃない・・・足りない・・・もっとお兄ちゃんとの時間が欲しい」
「ん?なんだって?」
「・・・なんでもないよ、やっぱり・・・待ってるだけじゃダメだよね」
「・・・な、何?藪から棒な視線を送って」

何やら独り言を呟いてジッと俺の顔を覗き込んでくる。とりあえず何かが言いたい事は分かるんだが・・・
澄んだ瞳に見つめられ続けると心の奥まで見透かされそうで気恥ずかしさがこみ上げる。
そんな俺を知ってか知らずか巴は努めて明るく話を切り出す。

「お兄ちゃん、テスト明けの日曜日に遊びに行こうよ、久しぶりに二人で」
「あ〜悪い、先約が入ってるんだ」
「あ・・・そうなんだ・・・」

あっさり出た返事に露骨に声のトーンが沈む巴、本当に我が妹は分かり易い。
話を無かった事にでもするかの様に二人して机に向き直る。この問題を解かない限り俺も自分の勉強に戻れない。

「うむむむ・・・全く解らん」
「・・・お兄ちゃん、聞いてもいいかな?」
「ん?何を?」
「先約って、何?」

忙しなくシャーペンを動かして巴が不意に口を開く、お互い目線は机に向かったままで。

481 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/10/06(金) 06:57:44 ID:0sRwYzOm
続きが気になるぜ

482 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/10/07(土) 07:53:26 ID:fLeLpbCw
ちょ……なんて中途半端な……続きが気になる

483 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/10/07(土) 10:55:18 ID:2qGvuh1M
【社会】妹を騙った「わたしわたし詐欺」発生・・・容疑者逮捕 - 警視庁
http://news19.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1160139215/

484 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/10/08(日) 22:14:15 ID:gbCW+2p8
「ふぅ……」
放課後の教室に、自分のため息だけが響く。
いつも賑やかな教室は、誰もいないと非常に寂しいものだ。
急かされるように、荷物をまとめ、同じように誰もいない廊下を歩いていく。
賑やかに演奏しているのは、ブラスバンド部だろうか。
新しい曲なのだろうか。まだまだ未熟な音が、やかましく聞こえる。
「ん?」
そんな音の中に紛れて、かすかだが、ピアノの音が聞こえた。
ブラスバンド部ではない。
その音に引き寄せられるように、フラフラと行き先を変え、音楽室の前へと。
開け放たれたドアの向こうで、ピアノを弾いている少女の背中。
顔は見えないが、確かに見覚えがある。
だが、声をかけるのは勿体無い。
このまま、曲が終わるまで待つ。
最後の盛り上がりを迎え、美しい旋律はあっと言う間に終わってしまった。
パチパチパチ……。
間抜けな拍手を鳴らしながら、ピアノの方へと歩いていく。
少女は大きく肩を震わせ、振り返る。
「葵はピアノも上手なんだな」
「お、お兄ちゃんっ!?」
「あ……ゴメン、驚かすつもりは無かったんだけど」
「ううん、いいよ」
楽譜を閉じ、立ち上がる葵。そして、大きく伸びをする。

485 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/10/08(日) 22:14:48 ID:gbCW+2p8
「でも、どうしたんだ?こんなトコでピアノなんて」
「別に。芸術の秋……でしょ?」
「芸術ねぇ……」
……そういうのがどうしても理解できない人間にとっては、なんか胡散臭い言葉ではあるのだが……。
「なんてね。合唱の伴奏の練習だよ」
「ほぅ、葵が伴奏やるのか」
「うん、ピアノ弾けるの私しか居なくて……っていっても、私もかなりブランクあるんだけど……」
「へぇ……でも、ピアノ弾けるなんてカッコいいな?」
「そう……?そんなこと……無いよ……えへへ……」
褒められてるはずの葵が、妙に恥ずかしがっている。
ブランクがあるというのは、どうやら本当らしい……。
「そっか。じゃ、邪魔しちゃ悪いから、俺は帰るよ」
「えっ!?」
「どうした?」
「えっと……その……だから……」
大きな声を出したかと思ったら、何だか急に言葉に詰まる葵。
「……?」
「ピアノ、聴いてて欲しいんだけど……」
「俺が?」
「うん……」
「まぁ、いいけど……音楽とか、俺全然わかんないよ?」
「いいよ。私は、お兄ちゃんがいれば……」
「はは、まぁ、俺がいれば遅くなっても少しは安心だしな」
……一瞬の間。

486 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/10/08(日) 22:15:20 ID:gbCW+2p8
「まぁ……こんなものか……」
「え……?」
「ううん……じゃ、始めるね」
「あぁ……」
俺の返事に答えるように、目を閉じ大きく息を吸い込む葵。
葵の細くて長い指が、舞うように、鍵盤の上を駆ける。
先ほどとは違う。というよりも、先ほど以上の美しい旋律が、直接頭の中に響くように聞こえた。
それに、葵の楽しそうな顔が、なによりも目を惹きつける。
そのまま時が止まってしまったかのような錯覚。
ただのピアノの音が、葵の声にすら感じられる不思議……。
もしかして俺は……。
「お兄ちゃん……お兄ちゃん……!!」
葵の声……。
「葵……?」
「どうしたの、ボーっとしちゃって……?」
「え?……あぁ、ゴメン。あんまり上手かったからさ」
「あはは。お世辞なんて、お兄ちゃんらしくないなぁ」
あの時とは違う葵の屈託の無い笑顔。
……ん?あの時……?
「俺……何考えてたんだっけ……」
「うーん……さすがにそれは分からないけど……」
と言いながらも、一応考えてくれる素振りは見せる葵。
「何か大事なこと考えてた気がするんだけどな……」
「あはは。わかるよ、その気持ち。でも思い出すと意外と呆気ないんだよねぇ」
「まぁ……そうかもな……」
……やっぱり思い出せない。
確かに葵の言うとおり、どうでも良いことだったかもしれない。そんな気がしてきた。

487 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/10/08(日) 22:15:55 ID:gbCW+2p8
「ん?私の顔、何か付いてる?」
「え?」
「いや、ジッと私の顔見てたから……」
「あぁ……ゴメン……」
……無意識って恐ろしい……。
「ううん、いいのっ!」
「……やっぱ、俺何か変だ……帰るわ」
「あ、じゃあ私も帰るー」
「いいのか、練習は?」
「うん、一時間もやれば十分だよ」
……そんなに時間がたってたのか……。
「じゃあ、帰ろうか?」
「うん」
ピアノの蓋を閉じて、俺の隣に並ぶ葵。
「……」
「……?どうしたの?」
葵が俺の顔を覗きこむ。
その何気ない表情に俺は……
「やっぱ変だぁぁぁぁ!!」
「……え!?ちょっとお兄ちゃん!!待ってよー!!」

……後で思い返して恥ずかしい出来事がまた一つ。
そのきっかけになった葵への感情は、今となっては、もはや誰にも分からない……。
───────────────────────

488 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/10/11(水) 03:10:15 ID:4bp8xZb3
>>484-487
遊星さん乙
そして続きカモン

489 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/10/11(水) 18:37:08 ID:MzYzSw7y
ひさびさの葵いいねぇ。

490 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/10/14(土) 22:16:09 ID:6BGloho2
遊星さん
夢ノ又夢さん
続き待ってます。

491 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/10/15(日) 04:29:23 ID:rUPTSb0e
続き期待待ち

492 :夢ノ又夢 ◆7FqW82/Veo :2006/10/15(日) 21:30:57 ID:pih7j5Ps
「クラスの連中とボーリング、テスト明けにスカッとストレス解消という訳」
「・・・男友達と?」
「男も女も、だな」
「・・・そう・・・」

興味無しとでも言いたげな気の無い返事、それきりお互い言葉を交わす事もなく流れる沈黙の時間。
先程まで一人でいた時と同じ静寂が辺りを包み無機質な音だけが隣から聞こえる。
こうなってくるといよいよ以って弱いのは俺の方。
集中力の途切れない巴とは対照的に問題とにらめっこすればする程、俺の神経はヤスリの如く磨り減っていく。

「・・・くあっ、限界だ、巴、少し休憩を入れよう」
「疲れちゃったみたいだね、じゃ、そうしよっか」

両手を揚げて降参のポーズ、そのまま椅子を支えに後ろに反り返る俺。
姿勢の崩れない巴を横に窓に映る逆さまの月がぼんやりと目に入り、意識しないうちに深い溜め息が零れ落ちた。
なんというか、はっきり言ってこれはもう完敗。

「はぁ・・・ん?なんだこの写真?」
「何って、お兄ちゃん覚えてないの?」
「いや、覚えているような覚えていないような・・・」

今まで気づかなかったのも可笑しな話ではあるが机の上に整然と並べられた中の一つの写真に目が入る。
写真に写る見覚えのある二人の子供、というか俺と巴。
満面の笑みでピースをする俺と少し恥ずかしそうに俺の腕に引っ付く巴が映っている。

493 :夢ノ又夢 ◆7FqW82/Veo :2006/10/15(日) 21:33:06 ID:pih7j5Ps
「これはボクにとって特別な写真・・・お兄ちゃん、この頃のボクの将来の夢ってなんだったか覚えてる?」
「夢ね・・・なんだっけか?確か妙な事を言い出した記憶があるんだが・・・」
「ボクの夢はお兄ちゃんになる事、お兄ちゃんみたいじゃなくてお兄ちゃんそのものに」
「ああ!!完璧思い出した!!いきなり俺になりたいとか訳の分からない話をしてきたんだよな」

頭の上に浮かび上がる思い出に腕組みして懐かしむ、そんな俺を見て楽しそうに微笑む巴。
無邪気な頃の二人の声が耳の奥遠くに鳴り響いて部屋の空気がだんだんと明るくなっていく。

「あの時は驚いたよ、いきなり真剣な顔してどうしたらボクはお兄ちゃんになれる?だもんな」
「子供心に色々考えた結果だったんだよ・・・どうすればずっとお兄ちゃんといられるだろうって」
「俺と一緒に?」
「お兄ちゃんと一緒だとすごく楽しくて、一緒なら辛いことも寂しいこともなんでもなんとかなるって思えた」
「そ、そう?・・・まぁ、なんか年中引っ付かれてた気はするな」
「だから怖かったんだよ・・・もしお兄ちゃんを失ってしまったら・・・そう考えるとすごく怖かった」
「それでいっそ自分が俺になってしまおう、と」
「うん、ま、そんな事は当然出来なくてガッカリしちゃったんだけどね・・・ふふっ」

子供だった自分の幼さが今となっては余程可笑しかったのか巴に屈託の無い笑いが零れる。
いや待てよ・・・そいうや、巴が自分の事をワタシではなくボクと言い出したのも確かこの頃だった気が・・・

「あははっ、夢は儚く破れた訳か、残念だったな」
「ううん、そうでもないよ、お陰で気が付いたんだ・・・色々ね」
「色々、ねぇ・・・」
「そ、色々だよ」

目を細めて見詰める俺の隣で巴は写真を手に取りちょうど二人の間に置き換える。

494 :夢ノ又夢 ◆7FqW82/Veo :2006/10/15(日) 21:46:55 ID:pih7j5Ps
話はもう少し続きます、本当は一度に投下したいのですが続きの推敲が
まだ足りませんので忘れられない程度にちまちまといきます。
>481、482様
それが狙いと言いたい所ですが単純に上で述べた通りなので気長にお待
ち頂けると幸いです、も少し萌えられる話に出来る様、努力してます。
>遊星様
澪ちゃんカワイイですね、やはり天然と巨乳はセットでしょうw
妹メイド服を期待して待ってます。
葵ちゃんはいつも通りイイ!!
この二人のこそばゆい距離感が未だ出せずにいますよ、ホントに。
こういう萌える話がいつか書けたらなぁ・・・

495 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/10/15(日) 22:48:16 ID:rUPTSb0e
>>492-494
夢ノ又夢さん投下乙です
やっぱり続きがきになる
お体に気をつけ無理なさらない程度に執筆して投下してくれれば幸いです。

496 :夢ノ又夢 ◆7FqW82/Veo :2006/10/20(金) 21:42:23 ID:Y8zdY8zG
僅かな光を放つ写真とその下にある複雑な問題、どちらもそこにあるハズの隠された答えは見えてこない。
でも、かわりに見えてくる物はある、といっても単純な事が見えてなかっただけなんだが。

「あの・・・巴さん、たった今気が付いたんだけど・・・この問題集、全国統一模試とか書いてあるんだけど」
「うん、書いてあるね」
「・・・ひょっとして俺、ハメられた?」
「そうとも言えるかな」

臆面無くあっさり言い放つ巴になんだか清々しさを感じるも当然、納得は出来ない俺。
ワザとらしく大きな咳を吐いて改めて巴に向き直る。

「・・・で、理由を聞こうじゃないか」
「お兄ちゃんと話しがしたかったから・・・こうでもしないとボクに時間をくれなかったでしょ」
「そんな事は・・・あった・・・かな?」
「さっきも言ったけど最近はあまり顔を合わせる事もないし、なんだかボクに冷たいし・・・」
「それはないと思うけどな、別にいつも通り接してるだろ」
「・・・そういう言い方が冷たいの」

珍しく拗ねて見せる巴、プイとそっぽを向いて頬を少し膨らませる。
巴は横顔になると睫毛の長さや鼻の高さが本当に際立つ、美術品顔負けの脆さを兼ねた美しさが真横にある事実。
夜の闇の中、小さな灯りに照らし出された肌が透き通る様な白さをも際立たせる。
そんな巴を前に困ってしまって頭を掻く俺、しかし、拗ねても美人とは可愛いんだか綺麗なんだかうちの妹は。

「なんだか・・・お兄ちゃんは必要以上にボクから距離をとってるみたいだよ・・・」
「・・・じゃ、距離を縮めるか・・・」
「・・・どうやって?」

497 :夢ノ又夢 ◆7FqW82/Veo :2006/10/20(金) 21:44:25 ID:Y8zdY8zG
こちらが追及していた筈がほんの二言三言であっさり立場を逆転されている俺。
顔を向けないまま俺の答えをツンと澄ました顔で待つ巴、何故かそれが期待を含んでいると俺には分かる。

「テスト明けの土曜日にどこか遊びに行くってのはどうだ?」
「あ・・・」
「まぁ、それだとテストが終わってそのまま直行になるから無理にとは・・・」
「行くよ!!もちろん!!」
「いっ!?」

獲物を見つけた豹が飛び掛らんとばかりに俺の両手をしっかりと握る巴。
なんとも言えない数秒間の妙な沈黙。
その変り身の早さに目が点になる俺を見て今度は巴が真っ赤になって変な咳を払う。
微妙に緩んだままの頬でそういう事をされると余計に変なんだが、なんか可愛い・・・とも言えるかな?

「・・・えっと、その・・・折角、お兄ちゃんが誘ってくれたんだし付き合うよ」
「そっか、まぁ、ありがとうと言っておこう」
「じゃあ、どこに行こうか?ボクはお兄ちゃんとならどこだって・・・」
「はいはい、それはまた明日にな、今日はここまでにして寝ること」

澄まし顔はどこへやら蕩けきった笑顔の巴を制して席を立つ、このまま話し込んでいたら夜が明けてしまう。
本当はもう少し巴の笑顔を見ていたい気もするが土曜の午後には今以上に御機嫌な巴を隣で見る事が出来る。
それはきっと女神の笑顔、誰でも自然とつられてしまう様なとびきりの笑顔。
心の中で思索を巡らせながら振り返る事無く巴の部屋から扉を抜ける、と不意に背後から呼び掛けられる。

「お兄ちゃん、待って」
「ん?まだ何か用があるのか?」
「さっきの話・・・ほら昔のボクの夢だけど・・・その後にお兄ちゃんに話した夢って・・・覚えてる?」
「ええっと、後?・・・後なんてあったっけか?」

498 :夢ノ又夢 ◆7FqW82/Veo :2006/10/20(金) 21:45:11 ID:Y8zdY8zG
予想だにしていなかった問いかけに頭が空になる俺。
巴は立ち往生する俺に何故か少しだけ頬を赤らめると意地の悪い、それでいて上品な笑みを返す。
・・・なんなんだ、一体?

「ちょっと待て、なんだその笑顔は?」
「ふふっ、知らないよ・・・ただ、残念だなって」
「残念?何が?」
「そっちの夢はボクはまだ諦めてないってコト・・・おやすみ、お兄ちゃん」
「あ、ああ・・・」

強い希望の光を宿した巴の瞳、それ以上物言わぬ静かな迫力に気圧される様に部屋を後にする。
未だに疑問の拭い去れない俺をそのままに高い音を立てて閉められる扉。
巴の熱を帯びた意味有り気な視線を未だ背中に感じながら俺は自室に戻る。

「・・・なんか納得がいかん、夢・・・なんだっけか・・・あ」

唐突に頭に響く天の啓示、ヒントは巴の机に飾られたあの写真にあった・・・気がする。
・・・いや、しかし、流石にそれは・・・なぁ・・・

「・・・さっさと俺も寝よう・・・寝れるかは分からんけど」

途切れ途切れ浮かび上がるキーワード。
子供の頃の俺、しっかりと俺の腕に張り付いた巴の左手の薬指に輝くオモチャの指輪。
あどけない女神の微笑が頭から離れない俺はやはり眠れぬままやたら目に染みる朝を迎えるのだった。

499 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/10/20(金) 23:10:00 ID:wFwVhHqh
「おおおおおおお、お兄ちゃん!!」
窓の向こう。
間抜けな顔で、隣の家の娘さんが叫んでいる。
「どうしたよ、梨那?」
「ちょっと頼みたいことがあるの!!だから、開けて!!」
「あ、あぁ……」
いつもは一度ぐらいは断わるところだが、真剣そのものの梨那の顔に何もいえなくなってしまった。
黙って窓を開ける俺。
梨那は、待ちきれないとばかりに飛び込んできて、俺の部屋の棚の前に。
「……何よ?」
「CDを貸して欲しいの!!」
「CD?何の?」
「日本語の歌なら、何でも良いよ」
「その棚に入ってる。気に入ったの勝手に持ってけよ」
「ぐっじょぶ!!ありがとう!!」
慌てて、CDの棚を漁りだす梨那。
……しかし、これぐらいは予想しておくべきだった……。
「にゃにゃにゃっ!!落ちるぅっ!!」
見事に床にぶちまけられる俺のCDたち……
「あぁ……。気をつけろよ……」
俺の大人の対応度:80。
 アナタの対応はかなり大人です。
 ただ、微妙に表情が歪んでいるのでマイナス。笑顔を心がけて!

500 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/10/20(金) 23:11:02 ID:wFwVhHqh
「ゴメンなさいぃ……あ、これ、いいね!!コレも借りてこーっと」
……反省もほどほどに、CD選びに余念の無い梨那。
その手には、俺のCDがごっそり……。
「でも、何で急にCDなんか?」
「……断われなかったの……」
しょんぼりと答える梨那。
「何が?」
「えっと……友達が文化祭でバンドを組むみたいで……」
「へぇ……。で?」
「梨那が……作詞を……」
そういや、そういう設定もあったね……。
「でも、曲に詩をつけるなんてやったことないから、ちょっと参考に……」
「なるほど。しかし、お前、そういうのは全部断わってきたじゃないか」
「あのコにあんな顔されたら、梨那だって断われないよ……」
「誰?」
「天童葵ちゃん……」
天童といえば、学校一の美少女とまで噂される女の子じゃないか……。
「知り合いだったのか?」
「ううん……でも、唯奈ちゃんとはお友達みたいで……」
「ほぅ……」
……唯奈ってのは学校で話題の美人双子姉妹の姉。
梨那とは仲のよい先輩後輩の間柄。
何気に、有名人の知り合いは多いんだな、コイツ……。
「イヤなら断われば?なんなら、俺も一緒に行ってやるぞ?」
「ううん。楽しそうだし、やってみるよ」

501 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/10/20(金) 23:12:12 ID:wFwVhHqh
「随分と強気だな」
「うん……お兄ちゃんと話してたら、何だか書けそうな気がしてきた」
「……ま、楽しみにしてるわ」
「にゃっ!?聞きに来るつもりっ!?」
「なんだ、聞かせないつもりだったのか?」
「あわわわわ!!だめー!!ダメだよー!!恥ずかしいよー!!」
「大丈夫だ。別に期待なんかしてないから」
「そういう問題じゃないのー!!」
「じゃあ、どういう……」
「とにかくダメったらダメなのー!!えと……那、帰るね!!CDありがと!!」
迅い……。
独りになった室内。
残された一枚のメモ。
中には告白の時に言うセリフベスト100みたいなのがズラリ……。
「……これは……」
……見なかったことにしよう。
「お、お兄ちゃん!!メモ、見てない!?」
戻ってきやがった……。
「メモ?」
「うん……詩に使えそうな言葉をダーッって書いてあるメモなんだけど……」
「コレ?」
「そう!!……見た?」
「いや」
「良かったー!!ありがと。じゃね!!」

梨那の言葉。
梨那に与えられた一種の奇跡のようなものだ。
誰に向けられたものなのか、それとも誰に向けられたものでもないのか。
まぁ……後者であって欲しいが……。
そんな俺は……梨那の乙女メモから落ちた一枚の『やけに見覚えのある男』の写真には、気付いていたのだった。
───────────────────────

502 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/10/20(金) 23:12:56 ID:wFwVhHqh
夢ノ又夢先生に少しでも追いつこうと思った。
……やっぱりダメだった。

文化祭当日のネタは書くんだか書かないんだか……まぁ、きっと、書けない。に落ち着くはず。
どうせ俺なんて……。

503 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/10/21(土) 21:49:23 ID:YYZlj4gG
深歩みたいな妹がほしいなぁ〜

504 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/10/25(水) 22:27:36 ID:hopkKz4g
情けない話だが、どうも自分の体のことには疎いらしい。
いつも気付かずに限界まで無理をして、そこで初めて自分が体調不良だと気付く。
せめて誰かがそれに気付いてくれれば良いのだが……
「なぁ、立花……なんか……暑くないか……?」
流れ落ちそうな汗を手で拭ながら、友人に尋ねる。
「暑い?少し寒いぐらいだぞ?」
「……そうか」
「おいおい、天童、大丈夫か?そういえば顔も赤いぞ」
「……ヤバイな……」
「大丈夫か?」
「あぁ……もう帰るだけだし……。何とかなる……」
「そっか。気をつけろよ……」
心配そうに俺を見ている友人を跡目に、重い体を立たせ、歩き出す。
自分としてはまっすぐ歩いているつもりだが、どうも不安定だ……。
……なんか頭も痛くなってきた。
そんな自分の体に絶望を感じつつ、一歩一歩ゆっくり歩く。
途中の上り坂あたりで、頭痛がピークに達し、なんかもう死ぬんじゃないかとまで思えてきた。
「……やっと……」
そんなこんなで、やっと我が家にたどり着く。
……何か忘れている気もするが、今はそんなことを気にしている余裕は全く無い。
鍵を開け、家の中に入った……まではよかったのだが、
「うおっ……」
玄関の段差を乗り越えられず、そのまま床に倒れてしまう。
起きなければならないと思うが、体が全く動かない。
そのまま意識が遠のく。
……あぁ、床が……冷たくて気持ち良い……。
───────────────────────

505 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/10/25(水) 22:28:10 ID:hopkKz4g
少しだけ冷たい風が吹く校庭。
風に飛ばされていく落ち葉を眺めながら、小さくため息をつく。
「遅いよ……」
かれこれ三十分……。
さすがにそろそろ来てくれても良いと思うのだけど……
私の希望に反して、玄関から出てくる人の数はもはやゼロ……。
「……もう帰っちゃったのかな……」
今日は朝早くて、顔見てなかったから……帰りぐらいは一緒にいたかったのに……。
また待っててくれなかったんだ……。
そう考えると、とても悲しくなってくる。
あと……十分だけ……。
半ば諦めるような気持ちで、待ち続ける。
……きっと来ないだろうな。
悪い予感がそう告げている。
もはや立っているのも辛くなって、思わずその場にしゃがみこむ。
「寒い……」
思わず呟いた。
「葵ちゃん?」
名前を呼ばれて見上げると、
「相川先輩……」
相川先輩とそのお友達の州田先輩が、心配そうな顔をして立っている。
「どうしたの?あ、もしかして天童君?」
「え……は、はい……」
「天童君、帰っちゃったよー。ねー、お兄ちゃん?」
「あ、ああ……何か熱っぽいから早めに帰るとか……」
「お、お兄ちゃんがですか!?」

506 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/10/25(水) 22:28:45 ID:hopkKz4g
「聞いてないか?」
「聞いてないですよ!!」
「じゃ、早く帰らなきゃだねー」
「あ、はい!!あ、あの……ありがとうございました!!」
「頑張ってねー!」
「いいから、急ぎな」
二人の心遣いに、もう一度礼を言いながら、我が家へ走り出す。
今日も待っててくれなかったこととか、
女の子と仲良くしてたとか、
そんなこと、今はどうでもいい。
今はただお兄ちゃんが心配だった。
いつもはお兄ちゃんと歩く道を、
お兄ちゃんを追いかけて走る道を、祈るような気持ちで全力で走った。
……お兄ちゃん……どうか、無事でありますように……。
───────────────────────
やっとたどり着いた我が家。
途中でお兄ちゃんが倒れていなかったことには少しホッとした。
しかし、休んでいる暇はない。
ドアに手をかけると、鍵が開いているようだ。
お兄ちゃんが中にいることを確信し、全力でドアを開ける。
どこにいる。なんて考えるヒマも無く、玄関に仰向けに倒れるお兄ちゃんが目に入った。

507 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/10/25(水) 22:29:20 ID:hopkKz4g
「お兄ちゃん!!」
お兄ちゃんに、急いで駆け寄る。
私の心臓が、バクバクいっている。
「お兄ちゃん!!起きてよ!!」
「ぅん……」
ゆっくりと目を開けるお兄ちゃん……。
「葵……?」
「お兄ちゃん……」
「あぁ……寝てたのか……」
「お兄ちゃん……」
大きくあくびをするお兄ちゃん。
確かに顔色は余り良くないけど、思っていたほどではなさそうだ……
そう考えると、急に気が抜けて
「もう……お兄ちゃんのバカ……」
お兄ちゃんを抱きしめていた。
……もちろん恥ずかしいには恥ずかしいが、それ以上にお兄ちゃんが無事で嬉しい。
「葵……」
「心配……したんだからぁ……!」
涙が溢れた。
自分の声が涙声になっているのがわかる。
「あ、ゴメン……」
「ううん……よかった……」
堰を切ったように溢れてくる涙と、お兄ちゃんの気持ち……。
お兄ちゃんは私が何で泣いてるのかも分かってないんだろうな。

508 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/10/25(水) 22:29:54 ID:hopkKz4g
「葵……あの……悪いんだけど……」
「何かな、お兄ちゃん?看病だったら、何でもするよー」
「いや……俺はもう大丈夫だから……。もう離れてくれ……風邪うつるぞ……」
「病人はそんな心配しない!さ、ベッドまで行こう、お兄ちゃん。肩、貸してあげるから」
「……スマンな……」
「ううん。今晩は、私がお粥つくってあげるからねー?」
「……あんまり食欲は……」
「だーめ!!食べなきゃ元気になれないよー」
「……葵……」
「なーに?」
「お嫁さんみたいだな……」
「そんなー、お兄ちゃんったらー♥」

えっと……災い転じて福となす……って言ったら、不謹慎かな。
でも……ちょっとだけ幸せな、ある寒い日でした。
───────────────────────
風邪引いて妹に看病してもらうネタはいつかやろうやろうと思っていた。
今回見事に秋風邪をひいたので、良い機会と思って書いてみた。
……やっぱり俺は俺だった。

天然妹の続きはいつ書こう……

509 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/11/01(水) 11:18:29 ID:Yo1kXnoX
妹がほしくなるスレだな

510 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/11/03(金) 16:25:30 ID:DMMjCkd5
warosu

511 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/11/12(日) 03:29:47 ID:BnDg9Gc5
age

512 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/11/15(水) 01:03:40 ID:QU8kpWmp
保守

513 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/11/20(月) 12:39:25 ID:jKA8V7iY
保守

514 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/11/22(水) 22:45:09 ID:hJbu959W
続き待ってます

515 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/11/27(月) 06:31:23 ID:af7SSd/s
続き見たいです。とくに巴が・・・

516 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/12/04(月) 17:03:33 ID:2lObEAU7
ガンガレ

517 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2006/12/07(木) 03:13:53 ID:eD2P+stn
―――夢を見ていた。
昔の夢を見るのはあまり好きではない。
事故で目覚めて以来―――まぁ、かなり昔の話なのだが―――目を開けたとき、目の前に兄の泣き顔があるのではないかと、不安になってしまう。
昨日の事を思い返す。
昨日は学園から帰り、ご飯を食べて、お風呂に入り、マンガを読んで寝た。そうそう、しっかり歯も磨いた。口を濯いでいるとき、兄に背中を叩かれて少し水を飲んでしまったが。……余計な事まで思い出してしまった。だが、しっかり昨日の事を思い出せる。
寝ぼけたままの意識を今日に戻す。
布団の感触は私の布団の感触だ。
病院の匂いは……しない。この前買った芳香剤は今日もしっかりと働いてくれている。
瞼を閉じたまま外の風景を探ると、昨日カーテンをしっかり閉めていなかったのか、太陽の光を感じる。やはり、病院のあの無感情な電気の光は感じない。
意識がはっきりとしてきた。
ここは私の部屋で、病院ではない。だから、目を開けても兄が泣いている事はないし、病院という事も無い。瞼を閉じていても眩しい程太陽は輝いているし、脳は私に朝を告げ、意識もしっかりとしている。
うん。そろそろ起きよう。今日も、良い一日になりますように。
 「おそよう夢亜さん。随分と気持ち良く寝ていたようですね。」
こうして私の予想は一行で粉砕された。
――――――――――――――――
遊星さんと夢ノ又夢さんがいる時点で私の出番はなしって感じですが過疎ってるので久々に登場してみました。
酉があってるかわからない。というか私を覚えてる人がいるかのがわからないw
構成0分執筆30分くらいの保守がてら気まぐれに書いただけで続くかも分からないんものなんでアレな感じを受けた人は華麗にスルーしてください。
という保守。

518 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/12/07(木) 03:40:44 ID:tNAokx+q
>>517
すばるさんじゃないですか!職人さんたちに見捨てられたのかと思ってから嬉しい
これからも時間に余裕があれば投下して下さい。

519 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/12/07(木) 23:18:20 ID:tNAokx+q
age

520 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/12/08(金) 17:01:39 ID:LyoHa+DX
まんちょ

521 :遊(ry ◆isG/JvRidQ :2006/12/09(土) 22:29:24 ID:rGwefdjJ
もう俺なんか、いないと思ってもらったほうがいような存在なんですけど。
ただ、別に貼れるものを書いてないっていうか、
文化祭を今書き終わったとかそんな次元だし……クリスマスはネタがないし……

……つーことで、クリスマスに向けて頑張ります。でも、忙しいからそんなには書けないだろうなぁ……。

522 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/12/10(日) 09:37:07 ID:H00x2rDj
妹「お、おにいちゃん…お、おかえりなさい…た、大漁だった?ねえ大漁だった??」
妹「イ、イサキは?イサキは、と、取れたの??」

523 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2006/12/11(月) 05:38:07 ID:NB+eYM7O
兄「あぁ!小振りだけど脂の乗ったのが釣れたぞ!刺身にして食おうな!」
妹「や、やったぁー!お兄ちゃんがおっ刺っ身だぁ〜♪」
なんてこった……orz
勝手に変に続けてすいませんすいません。

>>518
覚えててくれた人がっ!感謝です。
どちらかと言うと最近反応を返してくれる名無しさんが少ない気が……
書く人も読む人も増えてくれるのが一番なのでしょうが……

>これからも時間に余裕があれば投下して下さい。
そう言ってもらえると投下しやすいです。

>>遊星さん
遊星さんはこのスレのシンボルみたいな人なのでいないと思うのは中々難しいと思いますよ。
私としてはまったり時間を気にせずにでもいいので職人でいてほしいです。
と、言いつつクリスマス期待してますw

524 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2006/12/11(月) 06:15:20 ID:NB+eYM7O
「さて、そろそろ行くか。」
昼食を食べてからおよそ一時間が経った。
いつまでも居間で暇を持て余しているのもどうかと思い、特に予定があるわけでもないが出掛けようと腰を上げる。
せっかくの休日を一日中家でだらだらして過ごす、なんて勿体無い事は出来ない。
夢亜に言ったらおそらく「せっかくの休日にわざわざ疲れに出掛ける事の方が勿体無い。」とか「休みはだらだらしないと嘘だよ。」なんて言われるのだろうが、そこは価値観の相違というやつだ。
「あれ?お兄ちゃん出かけるの?」
昼食の後、何故か自室ではなく居間でマンガを読んでいる夢亜に話しかけられる。
休日はほとんど動こうとすらしない怠惰ぶりを発揮する癖に、自室から居間までマンガを運ぶ事は苦にならないらしい。
何故、居間でマンガを読むのかは聞くだけむだだろう。どうせ意味など無い。
「あぁ、せっかくの休みだからちょっと商店街でもぶらぶらしてくる。」
「ふーん。……私も出掛けようかな。」
「……はい?」
一瞬、聞き間違いかと思った。夢亜が壊れたのかとも思った。
今日の天気は晴れのはずだ。雪が降る予報など出ていない。という事は、聞き間違いかと思ったのではなく、実際に聞き間違いなのだろうか?
「私も出掛ける。って言ったの。」
なんと、聞き間違いではなかった。病院へ連れて行った方がいいだろうか。今の夢亜は一人で病院へ行けるだろうか。
「俺も一緒に行こうか?」
「?出掛けるお兄ちゃんに私が付いて行くんだよ?……あ、私、付いていかない方が良い……かな……?」
俺の都合を気にして不安そうな顔をする夢亜と夢亜の安否を心配する俺。
何とも言えない微妙な空気が居間に漂い、短い沈黙が訪れる。

――――――
前回、文や流れがおかしい所が多かったので今回は見直してから……なんて事はしてません。すいません。
改変したやつ見たい・というありがたくも数奇な嗜好をお持ちの方、又、「○文字くらいで改行入れて」「文章いい
からセリフ率上げて」などなど些細な事でも要望があればなるべく答えていこうと思うのでご一報を。
苦情、アドバイス、感想は随時受け付け中です。

今の連投規制とか1レスで書き込み可能な容量・行数はどうなっているのでしょう?
次からは投下後の文章は短くしますので今回はご容赦を。

525 :遊(ry ◆isG/JvRidQ :2006/12/13(水) 22:14:04 ID:zaZQQykK
……過疎スレだねぇ。

>>524
あとは、すばる先生と夢ノ又夢先生だけが頼りですよw

>今の連投規制とか1レスで書き込み可能な容量・行数はどうなっているのでしょう?
自分は30行を目安に。
文字数は……そんなにそんなに詰めたことないからわかんないや……。
連投規制秒数は30秒だったと思う。

526 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/12/14(木) 19:42:32 ID:cYQce1FA
>>524
すばるさん良い感じですね続きが気になります

連投規制とか改行制限はわかりませんすいません。

>>525
遊星さんも待ってますよ。

527 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2006/12/14(木) 19:56:34 ID:9EMjgA/d
意外な人に愛の告白をされ、どう答えたものか困った時の沈黙に似ているなぁ。などと、経験した事も無いのに、そんな突拍子もない事を考えてしまった。
「……もしかして、『夢亜が自分から外に出るなんて、雪でも降るんじゃないかー』なんて考えてぼうっとしてる。なんて事ないよね?」
「あ、あぁ……そんな、事は……」
唐突に予想もしていなかった事――さっきまで考えていたか――を聞かれたので戸惑い、言葉に詰まってしまった。それと同時に、何とも言えなかった微妙な空気も吹き飛んでいく。
それにしても、予想はしていなかったとはいえ、「そんな事はない。」と言い切れなかった辺り、俺は自分で思っているより根は正直なのかもしれない。
「あ!その間は考えてたんだ!ひっどいなぁ。いくら私でもまだそこまで怠け者じゃないよ。」
言葉に詰まっていただけなのだが、夢亜はそれを勘違いしてくれたようだ。
それにしても、「いくら私でも」やら「まだ」とは随分な言い様だ。まぁ、俺の中ではそれ以上の事態にまで発展していたのだが……それは、しばらく胸の中にしまっておこう。
今言うと、何をおごらされるかわかったものじゃない。いや、もう遅いか。
「悪い悪い。今朝の天気予報を思い出してたらつい本音が、な。」
「本当にひどいなぁ。久しぶりに愛しの夢亜さんと出掛けられるっていうのにそんな事考えてたなんて。罰としていつもの、ね?」
「はいはい。わかりましたよ。お姫様。謹んでエスコートさせていただきます。」
「うむ。よろしい。しっかりエスコートするのですよ。なんてね。実はね、今日はちょっと気分転換したいなーって思ってたんだ。さ!行こ!」
そう言って俺の手を取って歩き出す夢亜。
やはり、今日は雪でも降るのではないだろうか?

―――――――――――――――――
「あ、この前書いた分の続きを投下してない」そんな事に気付いた休みの夕飯時。
と、言う訳で前回の続きです。

>>遊星さん
先生だなんて……褒めても出てくるのは駄文だけですよw
凄い気まぐれな人間なんで駄文すら出てくるか怪しいんですが。
情報どうもです。

528 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/12/14(木) 23:12:32 ID:cYQce1FA
>>527
すばるさん投下乙
雰囲気が好きです続き期待してますよ

529 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/12/16(土) 19:47:39 ID:yaRb2X6+
ageとく

530 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/12/17(日) 14:03:15 ID:bpbuH8G1
もう男の人としか見えないよ!おにいちゃん!

ハアハア

531 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/12/17(日) 16:26:08 ID:aKqB8IlY
>>530
それはそれで萌えるなw

532 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/12/20(水) 00:14:31 ID:J+jkZI6+
過疎だ

533 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/12/20(水) 01:49:17 ID:YveQyMk4
この待っている時間は、私は好きだ……


534 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/12/20(水) 05:11:40 ID:4UvDT69B
現実
妹が兄に対して→死ね兄→お前が死ね。消えろキモスデブ。
妹→殺すぞ。
兄→ガキのくせに調子こくなよこら。
妹→手を出す。
兄→妹を殺す。
妹→泣く。
兄→キモいから息すんなよ。お前がキモいから悪いんだよ。死ね。
親→怒る。
兄が親に対して→あいつをキモく生んだ遺伝子持ってるアンタも悪い。
親→お前も同じ遺伝子持ってるんだよ。
兄→黙れ。自分の部屋に逃げる。
妹→相変わらずキモい声を出してキモく泣く。

ゲーム
妹→おにーちゃん!!
兄→おう、なんだ。
妹→兄にべったり。
兄→相変わらず甘え過ぎだから。
妹→あ〜おにーちゃんたら照れてる〜!!(くすくす)
兄→お前みたいな子供になんか照れません。
妹→もう!!いつも子供扱いしてー!!あたしだって、お ん な よ!! 腰に手をあてセクシーポーズ
兄→だめだめだな。
妹→うぅー…!!おにーちゃんのばかぁ!!
兄→ばかとはひどいなばかとは。
妹→だってぇー…。ちょい泣きそうになる。

俺→泣

535 :名無しくん、、、好きです。。。 :2006/12/20(水) 07:33:36 ID:bCOE4FF/

>534がキモいのはよくわかった

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0ch BBS 2004-10-30