■スレッドリストへ戻る■ 全部 1- 101- 201- 301- 401- 501- 601- 最新50

[第六弾]妹に言われたいセリフ

447 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/09/16(土) 23:15:10 ID:hshwH5iR
突然振り出した雨。
空はどんよりと曇って、どうやらすぐには止みそうにない。
駅前の街灯時計の前には、俺を除いて誰もいない。
両手に持った二本の傘を見比べ、俺は小さくため息をついた。
「早く来すぎたか」
約束の時間まで、あと三十分以上。
ある程度の時間的余裕を確保しておかないと落ち着かないという病気を抱えた俺だが、
今回の予想以上の待ち時間に、少しうんざりする。
と、いいつつも……心の準備をする時間が出来て、少しホッとしたワケだが。
どこか休める場所があれば良いのだが。
そう思い、辺りに目を向けると、少し先のほうに、喫茶店らしき店が。
丁度良いとばかりに、迷わずその店に入る。
……それが悲劇の始まりだった。
「おかえりなさいませ、ご主人様♥」
何かすごい服装の女性に出迎えられ、一時、全てを忘れる。
「……?」
「こちらへどうぞ♥」
「あ……はい……」
……ショックで完璧に自分を失った俺は、言われるがままにテーブル席へ……。
まぁ……ここなら、さっきの時計もよく見えるな……と少し冷静だった。
「お飲み物は?」
「……アイスコーヒーで……」
「かしこまりました♥」
……。
水を一気に飲んで、少し冷静になる。
なるほど、ここが噂のメイドカフェというものか……。
しかし、田舎だ田舎だと思っていたが、メイドカフェなんてものがこの町にあるなんてなぁ……。
物凄い場違い感を抱えながら、窓の外をずっと眺めている。
とはいえ、しばらくすれば少し慣れてきたのか、
今まで忘れていた緊張やら不安やらが込み上げてきた。

448 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/09/16(土) 23:15:49 ID:hshwH5iR
「お待たせしました」
そんな時にタイミングよく現れたのは、アイスコーヒーとさっきの女性。
「ミルクとシロップはどれくらいにしますか?」
「ふむ……」
他の客を見ていて分かったことだが、
どうもこの店では、ミルクやシロップは彼女たちが入れてくれるらしい。
「少しで」
「はい。かしこまりました」
そういって、ミルクを注ぎ始めるのだが……何だか腕がプルプル震えている……。
危なげにその光景を眺める俺。
……ポタン。
ミルクが、上手に一滴だけ、グラスの中に入る。
少し=一滴……もしかして、天然?
それともそういうサービス……ってことは、ツッコミ待ち?
いろいろ考えながら、呆然と、真っ黒なままのグラスを眺めていると、
「どうかしましたか?」
シロップも一滴いれ終えた彼女が、不思議そうに尋ねる。
……やっぱ天然だ……!!
「いや、なんでも……」
「そうですか。では、ごゆっくり!」
お辞儀をして、嬉しそうに戻っていく彼女。
……残された俺とほぼブラックなコーヒー。
驚きの余り、全てを忘れてしまっていた。
───────────────────────

449 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/09/16(土) 23:18:16 ID:hshwH5iR
許可頂いてからどんだけ時間かかってんだよ、ってワケで今更貼り。
全然、妹関係ないけど、今日はココまで。バーボン怖いし……

……メイド喫茶ちょっと行ってみたい……近くに無いけど。

450 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/09/18(月) 22:54:55 ID:NpCHzpCe
最後まであの天然ちゃんが俺を担当するのかと思ったが、そうではないらしい。
お姉さん系のメイドさんにお金を払い、お店を後にする。
「いってらっしゃいませ、ご主人様」
……なるほど。店を出て行くときはいってらっしゃいになるわけだ……。
感心しながらドアを押すと、
「あ……」
私服姿の、さっきの天然ちゃんが、店の軒先に立っていた。
なるほど、上がる時間だったわけだね。
しかし……さっきは服に圧倒されて、気付かなかったが、結構可愛い。
「ん〜……」
どうやら、傘を持っていないご様子。
話しかけるべきかどうか迷っていると、
「雨、イヤですねぇ」
「え、あぁ、そうですね」
「澪、傘もってくるの忘れちゃって……」
天然ちゃんは困った様子で、手を伸ばし、その掌を雨に晒す。
「……よかったら、使います?」
「え?……あ!?そんなつもりじゃないんですよ!?」
「別にいいですよ、二本持ってますし」
「で、でも……」
困っている様子の天然ちゃん。
まぁ……彼女なりの考えがあるなら、無理に押す必要も無いか……

451 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/09/18(月) 22:55:29 ID:NpCHzpCe
そう思っていると、
「ひぁっ!!」
彼女が突然大声を出す。
「どうかしました?」
「いえ……大丈夫です。ケータイが震えて、ビックリしただけですから」
バッグからケータイを取り出す彼女。
「あ、お母さーん!!うん、うん。こっちもすごい雨だよー」
声デカいなぁ……。
「迎えにきてくれるの?ありがとー!!……うん、分かった。待ってるよー……うん、バイバイ」
ケータイを折りたたむ彼女。
「あ、あの……少しお願いしても良いですか?」
「あぁ、どうぞ」
「あそこの時計の前まで、傘に入れてくれませんか?」
「いいよ。僕もあそこの前で、人と会うから」
「そうなんですかー、偶然ですね!!カノジョさんですか?」
「はっ?」
「あ、ゴメンなさい。変なこといいました?」
「……いや。ちょっと、驚いただけ。義理の妹と会うんだ」
「わー!!そうなんですか!?私もね、もうすぐお兄ちゃんができるんですよ!!」
とたんに嬉しそうになる彼女。
「まだ全然どんな人か知らなくて、すっごく楽しみです!!」
「……ふぅん」
奇妙な偶然もあるもんだ。と、少し驚く。

452 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/09/18(月) 22:56:13 ID:NpCHzpCe
「じゃ、行こうか。はい、傘」
妹の物だという傘を、彼女に差し出す。
「……え……?」
「どうかした?」
「これ……どうしたんですか?」
「傘?いや、妹の傘だから持ってけって、ウチの父親が……」
「……って、ことは……ど、泥棒っ!?」
「はっ!?」
「だって、コレ、私の傘ですよ!?」
「……キミの?」
「間違いありません!!」
……ということは、つまり……
「……もしかして、キミの苗字って二河……?」
「はい。二河澪です!!」
「やっぱり……」
「どうかしました?」
「……キミが妹だったのか……」
「え!?えぇぇぇっ!?」
「まぁ、はじめまして」
驚きを隠し、握手を求める。
「み、澪のお兄ちゃんが……泥棒さん……?」
「……泥棒じゃありません」
「じゃあ……何?」
「何といわれても困るけど……怪しいもんじゃない」
「そうなんですかー」
……さすが天然……。

453 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/09/18(月) 22:56:45 ID:NpCHzpCe
「えっと、よろしくお願いします。お兄ちゃん!!」
「ああ、こちらこそ」
先ほど俺が出していた手を、やっと握る妹。
しかし、突然思い出したように、
「あ!!」
「?」
「呼び方、お兄ちゃんでよかったですか?」
「は?」
「友達が、男の人は呼び方にこだわるって言ってたし。
 だから、お兄様とか、そういう呼び方のほうがいいのかなーって」
「……変でなければ、なんでもいいけど」
「ホントに?」
「うん」
「じゃあ……お兄ちゃんにします。お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん……」
……改めて言われると、恥ずかしいな……。
「……帰るか」
「うん、お兄ちゃん。……あっ!!」
「今度は何?」
「澪のことは、澪って呼んでください」
「わかった、澪ちゃんね」
「……み・お!!」
「え……?」
「『ちゃん』はいりません!!」
拘ってるのね……。
「あぁ、ゴメン。澪……澪ね」
「へへ、ありがとうございます」

454 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2006/09/18(月) 22:58:06 ID:NpCHzpCe
……ところで……いつまで手を握っているつもりですか……
「さ、帰りましょ?」
「あ、あの澪……?手を……」
「て……?手がどうかしました?」
「いや、何で握ったままなのかなって」
「……あぁ!!そうですよね!!」
慌てて俺の右手を放し、そして、すぐに左手を掴む。
「え?」
「そうですよね。右手と右手じゃ、手繋げないですよね」
「いや、そうじゃなくて」
「ふぇ……?」
一点の曇りもない純粋な目……。
そんな目でコッチを見るなよ……。
「いや、帰ろうか」
……負けた……。
「はい!!あ、ところで、お兄ちゃんの名前、なんていうんですか?」
新しく出来た妹……。
やっぱ天然……。
───────────────────────
続くのやら続かないのやら。
まぁ、妹にメイド服を着せたいと言う黒い欲望のため『だけ』に書き始めたんで、どうなることやら……。

どうせ俺なんか……。
もう……萌えも妹もないんだよ……。

501KB
新着レスの表示

スレッドリストへ戻る 全部 前100 次100 最新50

0ch BBS 2004-10-30