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[第七弾]妹に言われたいセリフ
- 72 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/05/11(金) 02:32:49 ID:XX17KPmi
- ここからじゃよく見えないし、何話してるのかわからないけど、兄さんが楽しそうなのは分かる。
きっと、家であの人の事を話す時に見せる顔で笑ってるんだと思う。
昔は私と兄さんが話して、兄さんが私と話した事を笑いながら母さんたちに話してたのに。
いつの間にか、私が聞く立場になってる。
いつの間にか、私の居場所が変わってる。
きっとこのままじゃ、これからも変わってく。私の知らない所で。
「兄さんは。兄さんは、私の兄さん……ですよね?」
「え?そりゃあ、兄妹……だし」
「そうですよね。兄妹……なんだから」
「…………ねぇ、鈴夏ちゃん」
「なんですか」
「今日はもう練習終わりだよね?」
「はい」
「寄り道なんだけど、行き先は私が決めてもいいかな」
「どうぞ」
「よし、じゃあつけよう!」
「……は?」
「草薙くんとゆなちゃんを尾行するのですよ、ワトスンクン」
「アホですか?」
「春に桜の木の下でばったり会って何もないはずがない!今日、あの二人に何か起こると私の中の何かが告げている!」
バカなのは知っていたけど、遂に頭に妖精まで飼い始めたらしい。
「先輩、妖精は架空の生き物で現実には存在しませんよ」
「何言ってるの?そんなのあたりまえでしょ。鈴夏ちゃん、春だからって少し気が緩んでるんじゃないかな?」
「先輩がそれを言いますか」
「?」
『掛ける言葉が見つからない』とはこんな時の為にあるんじゃないだろうか。
「なんでもないです。尾行なんかしてどうするんですか」
「鈴夏ちゃん、気になるんでしょ?」
「それは……気にならなくはないですけど」
「つまり、私は可愛い後輩の為に一肌脱いであげようと思ってるんだよ!」
「必要ないです」
- 73 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/05/11(金) 02:33:20 ID:XX17KPmi
- 「本当は尾行なんてしちゃいけないこと……分かってる。分かってるよ。でもね、私には思い悩む鈴夏ちゃんを黙って見ているなんて出来ないの!」
「それって見つかったら全部私のせいにするってことですか?第一、別に悩んでないですし」
「あ、ちょうどホシの片方が動き出したね。これは中々グッドタイミングですぜ鈴夏さん。牛乳とあんぱんもお役目御免だね」
堂々と話を逸らされた。
……帰ろう。
「帰ります。勝手に一人でやっててください」
「なんで!?死ぬ時は一緒だよって言ってくれたじゃない!」
「言ってないです」
「じゃあ鈴夏ちゃんはあの二人が付き合う事になってもいいんだ?」
「それは……」
――――――――――――
- 74 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/05/11(金) 02:36:49 ID:XX17KPmi
- >>69-73 無題
すいません……書き終わらなかったので急遽全部書き直しました。
ネタも無ければテーマもないですし、タイトルすら考えてないです……orz
本来は鈴夏単独で鉱とゆなをストーキングする予定だったんですが、その話はお蔵入りという事で。
次回予告が嘘になってしまいましたが、今回は鈴夏のキャラ紹介的なものと捕らえて貰えれば。
また今回みたいな事になったら目も当てられなくなってしまうので次回予告はしませんです。
>>遊星さん
楽しみにしてます。
- 75 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/05/12(土) 01:07:35 ID:KISmW8sh
- >>遊星さん
のんびり楽しみに待ってますー!
文化祭の方も楽しみにしております!
>>すばるさん
GJです!
一人で尾行よりも二人で尾行の方が賑やかになりそう。
名探偵さんとワトスンクンの活躍ぶりに乞うご期待!?
でも先輩の様子から見て迷探偵になってしまいそうな気も…w
次回の投下も楽しみに待ってますー!
- 76 :某173 ◆HsV9Lpvnw. :2007/05/14(月) 20:06:59 ID:f+pLVw3n
- >すばる氏
今後の展開がにぎやかになりそうで期待できるとです。
- 77 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/14(月) 22:44:04 ID:qt3/8Eya
- 今日は良い天気だ。
俺の部屋に差し込む暖かい日差しの中、何だか眠くなってきた。
「ふぁ……いっそ昼寝しちまうか」
大きなあくびを一つ。
そして、そのままベッドに倒れ込む。
目を閉じればすぐにでも夢の世界に突入できそうな……
ピンポーン
……玄関のチャイム。
「誰だよ……」
不機嫌をたっぷり込めて呟く。
ここで、ふと思い出した。
そういえば、あの注文したもの、そろそろ届くはず……。
俺は焦る気持ちを抑えて立ち上がり、小走りで玄関に。
印鑑片手にドアを開けると、そこには……
「突撃!お勉強会ぃー!!」
……教科書片手に、やたらテンションの高い隣人、相川梨那。
と、
「お勉強会ぃ〜!!」
「……ぉおべんきょう……かぃ……」
石川姉妹。
と、
「お邪魔します、州田先輩」
立花妹。
と、
「えと……はじめまして、州田先輩」
……この人、誰よ。
- 78 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/14(月) 22:45:16 ID:qt3/8Eya
- 「あ……あぁ、はじめまして。えっと……」
「天童です。天童葵」
……あぁ、名前は知ってるぞ。
「あぁ……天童の妹さんか」
「あ、お兄ちゃんのお友達ですか?兄がお世話になってます」
「いやいや」
……これが噂の天童葵か、こんな近くで見たのは初めてだな……。
しかし、なるほど……いいなぁ、天童……。
「ささ、自己紹介も済んだし、上がって上がって〜」
何故か仕切っている梨那。
俺は、皆を引き連れ俺の家に侵入しようとしている梨那の首を掴んで
「これは一体、どういうことかな?相川クン?」
「にゃ?勉強会でしょ?」
「何で俺の家でやるかって聞いてんだよ……!」
少し力を込める。
「にゃにゃっ!!痛い痛いっ!!だって、テスト近いし、お兄ちゃん頭良いし……!!」
「そういう問題じゃねぇだろ……!!」
「に゙ゃあーっ!!」
思い切って爪を立ててみる。
オロオロと俺たちを見ている招かれざる客たち。
「……」
さすがに……ここに来て追い返すわけにもいかんか……。
「しょうがねぇなぁ……」
わぁ、俺ってば大人〜。
- 79 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/14(月) 22:47:15 ID:qt3/8Eya
- 「いいんですか、州田センパイ?」
と、双子の姉、唯奈ちゃんが尋ねる。
……キミ、梨那の次ぐらいに乗り気だったじゃないか……。
「どうせ昼寝のつもりだったから」
「でも……本当にいいんですか?」
と、立花妹が心配そうに尋ねる。
同感、とばかりに首を縦に振る千奈ちゃん。
「ま、立花妹には夕飯ご馳走になったりするしな。その礼にはいいだろ」
「そうそう遠慮なく〜」
「梨那は黙ってろ」
「にぎゃーぁっ!!」
……つーわけで、女だらけの勉強会が何故か開幕してしまいました。
───────────────────────
大体、女ってのは何でこんな話すのが好きなのかねぇ……。
テーブルのまわりに群がる可愛い女の子+1から少し離れたソファ。
ため息交じりで、ページをめくる。
今やるべきことはハッキリ言って、ない。
だが、客人の手前、さすがに楽な姿勢をしすぎるわけにもいかず、仕方なく勉強してるフリ。
「ねぇねぇ、お兄ちゃん。ここ、教えてよー」
ノート片手にモソモソやってくる可愛くないの。
「またお前か……どこだよ……」
「ここー。なんでこうなっちゃうのー?」
「あぁっと……分子、分母に3をかけるんだ。そうすりゃ、この定理を使えるだろ?」
「ほぉー……そういえば授業で聞いたかもー。ありがとー」
笑顔で礼を言って、また群れの中に戻る一人だけ二年生の梨那……。
……って、よく考えたら、
「天童妹がいるんだよなぁ……」
天童妹は勉強も出来るらしいし……立花妹、石川妹だってそんな悪いとは思えない……。
ってことは、このまま俺は梨那専用の存在……?
- 80 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/14(月) 22:48:05 ID:qt3/8Eya
- 「私がどうかしましたか?州田先輩」
やや前方から、天童妹の声。
少し驚いたがそのまま、
「いや……天童さんがいれば基本的には俺は必要ないなって」
「あはは、そんなこと無いですよ」
「確かに、二年の勉強は無理みたいだな」
横目でペンを握る梨那を見る。
天童妹はそんな俺を見て、
「ホント仲良いんですね?」
と、クスリと笑う。
「そう見えるか?」
「はい。ホントの兄妹みたいです」
「それ皮肉?まぁ、幼馴染なんて兄妹みたいなものだけどな」
「……そうですか……」
俺の一言に、急に沈む天童妹。
「何よ?」
「……いえ……州田先輩に言うことじゃ……」
「ふぅん……まぁ、あの天童だしな。難しいよなぁ」
「え……?」
驚いた様子の天童妹。
「違うか?」
とは聞いてみたものの、確信に近いものなら持っている。
俺の顔は不敵な笑顔に見えているかもしれないな。
「……さすが……ですね」
「まぁね」
誤魔化しても無駄だと判断したのか、思ったよりもあっさり答える天童妹。
- 81 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/14(月) 22:48:51 ID:qt3/8Eya
- 「ふぅん……じゃ、妹が原因じゃないのかねぇ」
「原因……?」
「アイツの女嫌いは筋金入りだからな……いや、だったというか」
「え……」
「昔からね。ちょっと前までは会話も出来なかったんだけど、最近は随分楽しそうに話してやがるからな」
天童妹が、ギュッと拳を握る。
そうだ。この人はこういう難儀な人間だったな……。
フォローフォローっと。
「てっきり可愛い妹のお陰かと思ったんだが」
「……」
何も言わない天童妹。
「ま、いいんじゃない。真実はどうあれ、そういうことでさ。少なくとも、俺はそうだと思うけど」
「はい……」
「俺を疑ってる?」
「いいえ……じゃあ、そういうことにしておきますか……」
天童妹の瞳に、次第に力が戻る。
それを満足げに眺めていると、
ピリリリリリリリリ……
携帯の着メロが鳴り響く。
画面に書かれた名前。
タイミングだけは外さない男に、思わず笑ってしまう。
「おぅ、どうした天童」
ピクッと反応する天童妹。
「州田?悪いんだけど、問題集の58ページの問2を教えて欲しいんだけど……」
「……あー、この問題か……電話口で説明するの面倒だから、お前、俺の家来いよ」
「え?でも、俺、州田の家知らないぞ?」
「気にするな。迎えが行く」
「いいのか?」
「あぁ。家で待ってろよ」
「わかった、ありがとな」
「ふっ……こちらこそ」
「何故州田が礼を言う?」
- 82 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/14(月) 22:49:43 ID:qt3/8Eya
- 「別に。じゃ、切るぞ」
「待ってるよ」
黙って電話を切る。
そして、天童妹に向き直って。
「つーことで、頼むわ」
「……はい」
「あぁ、ちょっと待って。例の問題の答え、今書くから」
「州田先輩……」
「ん〜?」
必死でペンを動かしながら返事をする。
「ありがとうございます……!!」
「べつに。暇つぶしさ」
「そうですか。じゃあ、私、先輩と相川先輩のこと応援しますから」
「……」
……茶化されるのには慣れてるよ。
「ほれ、書けた」
「ありがとうございます……」
「ま、友達だからな。あの天童だから、腹立つこともあると思うけど、頑張れよ」
「はい!!」
お辞儀をして、我が家を後にする天童葵。
「ありゃー、葵ちゃん帰っちゃったんだー」
その後姿を眺めながら、梨那が呟く。
「あぁ、用事があるんだと」
「そっか。残念ー。それより、お兄ちゃん、ここ教えてよー。」
「んー?どれ?」
「58ページの問2ー」
「あぁ、これはなー……」
今頃天童家では何が起こっているのやら……。
まぁ、天童だしな。
妹怒らせてないといいけど……。
───────────────────────
- 83 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/14(月) 22:50:42 ID:qt3/8Eya
- 妹関係なくないか、コレ……大丈夫か、昔の俺。
この際だから言います、言っちゃいます。
散々引っ張った文化祭の話は、この話の後に繋がる話で、
未来双子葵でバンドを組む。みたいなノリだったのですが、
まぁ、演奏描写なんぞ当然書けず、
無駄にセルフコラボしたワリにはいつにも増して薄っぺらになってしまったので放置してたワケです。
部分部分は悪くないと思うんであとは流れを何とかできれば、納得できるかなと。
何にせよアイデア待ちな感じなので、ゆっくりと待っていただけたら。
>すばる先生
こういうノリ好きです。
続きを期待しておりますゆえ、お早めにw
- 84 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/05/15(火) 00:11:06 ID:4G3OZuQJ
- GJすぎる!!
- 85 :某173 ◆HsV9Lpvnw. :2007/05/16(水) 01:06:56 ID:Tc2JXOUc
- >……これが噂の天童葵か、こんな近くで見たのは初めてだな……。
>しかし、なるほど……いいなぁ、天童……。
「可愛い」と云う言葉を使わずに可愛いことを表現しているのがイイ。
>「そうですか。じゃあ、私、先輩と相川先輩のこと応援しますから」
予想外。でも逆に云えば、予想を読者にさせしめるだけの描写が
できているからなのだろう。
イイ!続きが楽しみ。焦らずしっかりと。
- 86 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/05/16(水) 01:52:48 ID:0yyk7u7v
- GJです!
勉強会、懐かしい…
集まった友達と喋りまくったり
ゲームやる方に夢中になっちゃって、
ちっとも勉強が捗らなかった記憶があります…w
文化祭でバンド、良いですねー!
ゆっくりまったり楽しみに待っておりますー!
- 87 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/22(火) 20:36:35 ID:57hCNT1q
- 保守。
文化祭のアイデア出てくれない。ホントに秋までかかったりして……w
その代わり別のネタばかり出てくる……例の日にでも使おうかな。
- 88 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/05/24(木) 02:18:47 ID:6BKV4Dke
- 最近だんだん暑くなってきましたねぇ…
これ置いておきますんでのど渇いた方はどうぞー
っ【氷入り冷たい麦茶】×3
>>遊星さん
秋までって…まだ夏も来てないですよw
例の日って何の日だろう…
楽しみですー
- 89 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/05/24(木) 13:18:28 ID:f9EVOQOS
- 氷入り冷たい麦茶よりも氷庫さんが欲しい今日この頃……
姉スレが活気付いてきてるので私もさぼってないでそろそろ続きを書き始めるとします。
遊星さん>
楽しみにしてますよ〜
- 90 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/24(木) 21:53:49 ID:iOZh4bEz
- >>88
>例の日
……一応二年前からやってみたりしてるんだけどな。
まぁ、いいや。7月12日です。詳しくは過去ログで。
>すばる先生
姉スレ、名前消すのを忘れて書いてしまった……。
ま、それはさておき……俺はしばらくアイデア無いので……
すばる先生。頼りにしてますよw
- 91 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/05/27(日) 00:26:36 ID:IayRk8RZ
- hosyu
- 92 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/05/28(月) 01:06:30 ID:/GJ/CgFt
- >>すばるさん
楽しみに待ってます!
姉スレへの投下も待ってますよー!
>>遊星さん
失礼しました…
まだ祭りはだいぶ先だけど今から待ち遠しいっす!
期待しております!
- 93 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/05/29(火) 03:08:30 ID:k8l7jFtz
- >>遊星さん
そう言われると早く投下しなければいけない気がしてきますねw
実際は一回くらいなら投下出来るんですが……ちょっと気に入らない部分がありまして。
もうちょいお待ちくださいませ。
追伸。私も姉スレに誤爆しました。素で('A`)
>>92
つ【http://game12.2ch.net/test/read.cgi/gal/1106310589/522】
自分、不器用ですから。
冗談はおいて。
結構前に投下しようと思ってたんでネタはあるんですが、最近自分のサイトが放置気味なのをなんとかしたいんで姉スレの投下は微妙な所です。
- 94 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/06/02(土) 03:27:22 ID:AExunG9q
- 露と散れ
- 95 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/06/02(土) 03:29:53 ID:AExunG9q
- 剣道部のエース
黒髪ロングで昔の事故で右目が薄赤のオッドアイツンデレ寡黙
剣道するときは長い髪を束ねる
俺が世話しようとすると竹刀つきつけてきて
お兄の忠告はいらない
とか怒らせると
露と散れ
とかつぶやく
- 96 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/06/03(日) 01:52:27 ID:RPvGOGCn
- >>すばるさん
そうですかー
気長にお待ちしておりますので
お手すきの時はお願いします!
妹SSの続きも待ってますー!
サイトって小説のサイトでしょうか、
(既出でしたらすみません…)
- 97 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/06/04(月) 07:46:10 ID:hC7WVdp+
- ロリっ子は?
- 98 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/06/08(金) 10:31:15 ID:148L5l8R
- >>95
妄想したらちょっと萌えました
>>96
ゆなの話がなかなか進まないので、とりあえず今書いてある分を2、3日中に投下します〜。
サイトの話を出したのは初めてですよ。一次・二次創作サイトにするのが目標です。多分。
スレタイとかコテとかヒロインとかで適当にググれば見つかるようにはしてあるんで、もし、興味があれば。
- 99 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/06/09(土) 02:43:33 ID:N3OYWRBr
- 「せんぱ〜い!」
飲み物を買いに出てすぐ、さっき僕を送り出した声が後ろから聞こえてきた。
少し頬を火照らせながら走ってくる声の主は僕の元まで走ってきて、両手を膝に付き息を整え始める。
本当に出てすぐだから、これくらいで疲れるのはどうかな、とも思うけど、口に出さないでおく。
「先輩、やっぱり、ゆなも、一緒に、行きます」
「走ってこなくても、学校で待っててくれて構わないのに」
「だって、飲み物を買いに行くって、どこまで行くつもり、ですか」
「ん……一番近くの自販機まで……かな」
実はこの自販機、少し遠い。学校の中にある事にはあるのだけど、さすがに私服で学校に入るのもどうかと思いこちらを選んだ。
それが何か問題でもあったんだろうか。
「一番近くの、自販機って言っても、10分以上掛かるじゃないですか。だったらゆなも、行きます」
「……そう?そうだね。じゃあ、行こっか」
そう言って改めて前を向き歩き始めた僕だが、ゆなに動く様子はなくもう一度振り返る。
「でも、その……ちょっとだけ、待って貰えないかな、なんて」
さっきから言葉が変に途切れると思ったら、まだ疲れてたんだ……。
息を整え始めた時からずっと俯いていたから気付かなかったが、よく見るとまだ頬がほんのり赤かった。
この体力の無さには少し同情を覚える。
「べ、別に疲れたとかそういうんじゃないんですよ!?急いぐ理由もな、ごほっ……急ぐ理由も、ないから……」
慌てて誤魔化そうとするが全く意味が無くて、というか、逆効果だったり。
そんなゆなを見て、少し優しい気持ちになってしまったりもする。
「……別に無理しなくても大丈夫だよ。ちゃんと待ってるから」
「はぅ……すいません」
そう言って俯いてしまう。
「謝る事じゃないよ」
そう言って、なんとなくゆなの頭を撫でてあげる。
普段なら髪が乱れると怒るのに、ゆなが怒る様子はなかった。
それから特にする事もなく、ゆなを撫でる手の行き場もなく、沈黙。
「…………」
学校からは部活に励む声が聞こえ、空からは鳥の声が聞こえる。都会でも田舎でもない中途半端なこの地域だから、休日のこの時間は車も少ない。
「平和だなぁ……こんなに平和だと、なんていうのかな?悪い事が起こる前触れ、みたいな気がするのはなんでなんだろう」
「!」
- 100 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/06/09(土) 02:44:51 ID:N3OYWRBr
- 上下していたゆなの肩がビクッと跳ねて固まる。
「どうしたの?」
「ゆな、何も企んでないですよ?」
「…………」
なんとなく―――本当はなんとなくなんかではないのだけれど―――行き場を失っていた手を離す。
「なんでそんな目で見るんです!?なんで離れるんです!?ゆな、今何も企んでないって言ったじゃないですか!」
「……うん……そうだね」
「だからなんでそんな目で……。先輩は、ゆなの事を信用できないですか…?」
目を潤ませながら上目遣いに見つめてくる。
この目をされるとまるで拾ってきた捨て猫を親に叱られ、もう一度捨てに行く時のような、どうしようもない罪悪感に捕らわれる。
僕は悪くないのに、まるで僕が悪いような。そしていつもゆなのペースになってしまう。
せっかくの平和な時間……なんとかこの時間を守らなくては。
なんとか……なんとか……
「……もう疲れはとれたよね?そろそろ行こっか」
そう言って僕はそそくさと歩き出す。
これは仕方ないこと。仕方ないこと。僕が悪いんじゃない。だって僕はこの子を助けようとした。なんて本当に拾った子猫をまた捨てるような心境になる。
「あからさまに話をそらされた!?」
「あはは……」
「しかも笑って誤魔化そうとしてる!」
「な、なんのことかな……」
「先輩、嘘つくの下手すぎです!」
「む……早く来ないと追いつけなくなっちゃうよ、歩幅的に」
「酷いです!気にしてるのに!」「
ゆなの心無い一言に傷つきつつ怒りつつ。
これはこれで平和というのかな、なんて思いながら歩き続ける。
この時僕は、この平和な時間があっさりと壊されるとは思ってもいなかった。」
◇ ◆ ◇
「ゆなの心無い一言に傷つきつつ怒りつつ。これはこれで平和というのかな、なんて思いながら歩き続ける。この時僕は、この平和な時間があっさりと壊されるとは思ってもいなかった。……そう。あの大人しい鈴夏が、まさかあんな事を……」
「何言ってんですか?」
- 101 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/06/09(土) 02:47:12 ID:N3OYWRBr
- 「やだなぁ。ちょっとモノローグっぽく語ってみただけだよ。それで、どんな事をするの?」
「何もしません」
はぁ。と溜息をつき歩き出す。
「何もしない?中睦まじげなカップルを尾行してるのに?」
「っ!」
「あははー。図星突いちゃってごめんねー」
「これは、先輩がうるさいから、仕方なく……」
「自分から歩き出すほどノリノリなのにぃ?」
「先輩がうるさいから、仕方なくです!」
「はいはい、そういう事にしといてあげる」
―――――
エロゲー発売ラッシュに見事に引っ掛かってしまい、なかなかこっちに手が向きません……。
そんな私にいえるのはひとつだけ。本当、グダグダですいませんorz
- 102 :某173 ◆HsV9Lpvnw. :2007/06/14(木) 01:41:33 ID:HZSqU4kx
- >すばる氏
乙カレー。仔猫に関する比喩を、
あえて繰り返してるあたりが技巧的なのではないか、と。
- 103 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/06/16(土) 15:01:01 ID:dmOtAzrw
- 旧家に生まれたかった
女みたいな顔で体が弱くていつも屋敷で療養してるから滅多に学校行けない
色白黒髪ストレートの妹がいて小さい頃から京都の分家のとこになんかの修行で住んでて京都弁話す
10年くらい会ってなくてある日帰ってきて
俺が咳しながら苦しんでる寝床に血のように赤い着物着て現れて
兄や、おひさしゅうございます
って言っておでこ撫でてくれんの
ちなみに絵柄はシャイニングティアーズぽい絵柄で
こんな妹欲しかった
- 104 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/06/19(火) 01:29:18 ID:EwUN3B1l
- >>103
声は水樹奈々で?
- 105 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/06/25(月) 03:13:01 ID:kGMEMtNF
- 兄
「ほしゅ」
妹
「お兄ちゃん!?なんで保守したの!?」
兄
「たまにしたくなるんだ」
妹
「たまにしたくなるの?」
「保守ってそんな簡単にしたくなるものなの?」
兄
「とりあえずね」
妹
「とりあえずしたくなるものなんだ?」
「私は怖くて書き込みすらしたことないけど……こういう所って結構みんな普通に書き込みしてるの?」
兄
「とりあえずね」
妹
「とりあえずで普通に書き込んじやうの!?」
「驚きだよ……カルチャーショックだよ……」
「じゃ、じゃあ私が保守してもその、叩かれたりageられたりしないかな?」
「でも、こういうのってタイミングとか重要だから、やっぱり私には無理……かな?」
兄
「とりあえずね」
妹
「とりあえず無理なの!?じゃあ、一体どうすれば保守出来るようになるかな?」
「やっぱりこういう匠の技は見て覚えるしかないの?」
兄
「とりあえずね」
という事でとりあえずCLANNAD風味に保守
- 106 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/06/28(木) 21:46:30 ID:XSYCdjW9
- Hosyu
- 107 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/06/29(金) 23:40:47 ID:x6l3MRCA
- 妹にエロマンガ読ませてます
わすれな
- 108 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/06/30(土) 16:46:07 ID:1T8mQqjU
- 新作待ち
- 109 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/07/02(月) 05:00:09 ID:wLoiZ1Gi
- 「私の鍛え上げた背中を見てくれ
こいつをどう思う?」
妹「すごく…しょぼいです」
- 110 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/07/03(火) 21:19:25 ID:gRuy9VBH
- 上げ
- 111 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/07/04(水) 01:32:48 ID:qVcVW8Kq
- >>すばるさん
GJです!
ゆなちゃんヤバイくらいに超カワイイ…
続きの投下待っております!
サイトも訪問させて頂きに参りますー!
>>105、兄ちゃん適当で笑えますねw
>>109も笑えましたw
- 112 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/07/06(金) 10:40:54 ID:4ItdEgtx
- 誰もいないの?
- 113 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/07/06(金) 16:13:40 ID:lRkKiQnt
- 一応いますよ〜。
>>111
どうもです。
次の投下まではちょっと時間かかりそうなのでしばし、というか結構お待ちを。
- 114 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/07/06(金) 21:14:18 ID:GfZke3ED
- 俺も一応……。
例の日の準備中ですので。しばらくお待ちを。
- 115 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/07/10(火) 20:54:33 ID:vsXFzBim
- この空気の中でこんなことを言うのは非常に辛いのだけど……
自己満足祭りを今年も個人的に開催しようかと思います。
年々スケールダウンしていくので、今年あたり最後だろうなぁ。と思いながら見ていただければ、少しは楽しめるかも。
- 116 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/07/11(水) 05:05:25 ID:F07Lm+PQ
- 明日の事でしょうか?
楽しみに待ってます〜
- 117 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/07/11(水) 21:59:15 ID:8ZXCmZH8
- >>すばるさん
いつまでも待ち続けておりますので
お手すきの時には是非続きをお願いしますー。
>>遊星さん
お祭り期待しておりますよー!明日は妹スレに全員集合!!
- 118 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/07/12(木) 21:01:00 ID:VZvtDdLR
- 人間の成長とはなんと無情なものだろう。
昔はよかった。なんていいたくは無いけど……。
この場合は、絶対に昔はよかったと自信を持って言える。
なぜなら……
「大河ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
豪邸の中にそんな声が響く。
あまりの大音量に窓がビリビリと震えている。
「またですか……」
ため息をつきながら、重い腰をあげる。
大きな音を立てないように静かに、それでいて急いで歩く。
静かさと速さ、なかなかバランスが難しい。
俺を呼ぶ声のする部屋まで、つま先立ちで跳ねるように歩いていく。
「お呼びですか。ひかるお嬢様」
ドアを開けるとそこには、
「遅い!!」
目を吊り上げた少女が仁王立ちで俺を待っていた。
「呼んだら三秒で来なさいっていつも言ってるでしょ!?」
「……申し訳ありません」
「あと、ノックぐらいしなさいよ!!」
「……申し訳ありません。以後気をつけます」
ストレス……。
「まぁ、いいわ。早速だけど、大河!かぼちゃのプリンを買ってきなさい!!」
「は?」
「食べたくなったの!!昨日テレビでやってたでしょ!?アレが食べたいの!!」
「あの……」
「何よ!?」
「その店までは一時間はかかりますよね?さすがに今から一時間後には、お店は閉店してるかと……」
- 119 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/07/12(木) 21:01:45 ID:VZvtDdLR
- 「だったら、もっと早く家出ればいいでしょ?」
「はぁ……?」
「大河は仮にも私の付き人でしょ?それぐらい察して、夕食後には買ってくるとか気を回せないの!?」
「……てめぇ……」
「いいのよ別に。大河は借金が大好きなのねー?」
「分かったよ!!行くよ!!行けば良いんだろ!!」
「行けば良いのよ」
もう静かにとか言っていられない。
ボロボロのスニーカーを装着し、一目散に駅に走る。
電車は完璧に把握している。
目的地に向かう電車まであと五分。
俺の足なら急げば間に合う。
しかし、問題は別のところに。
「あ……」
……電車代足りるか……?
───────────────────────
ひかる……いや、ひかるお嬢様は俺の従妹。
昔はホントに可愛くて素直で、俺のことをお兄ちゃんと慕っていたような女の子。
……でも、あくまでそれは昔の話。
今は見ての通りの暴君っぷりで。
親父の借金を肩代わりしてもらう代わりに、俺は住み込みでひかるお嬢様の付き人をやっている。
……住み込みといっても、家賃は納めてるし、食べ物だって自分持ち。決してラクではない。
まぁ、無利子で借金を立て替えてくれるんだから文句は言えないけどさ。
「……貧乏生活も楽じゃねぇな」
大通りをトボトボ歩きながら呟く。
閉店には間に合った。お目当てのプリンも最後の一個を買えた。
ただ、電車代が少し足りなかったばかりに、一駅分歩くことになってしまった。
「よかったよ、一個しかなくて……」
プリン=電車賃三駅分。いや、もっとか。
急がねばせっかく買ったプリンが温まってしまうと言うに。
- 120 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/07/12(木) 21:02:31 ID:VZvtDdLR
- いや、やっぱり問題はそこじゃねぇ。
「バイトの給料日まであと三日……」
……一応米ならある。
逆に言えば、米しかない……。
「三日白米か……」
キツいなぁ……。
……せめてチャーハンにならないかなぁ。
そんなことを考えながら歩いていくと、いつの間にか家の前。
……感じる。ひかるお嬢様の怒りのオーラを……!!
ドアを開けるのを躊躇ったが……仕方ない。借金、棲家、そして部屋の米を背負って、ドアを開ける。
「……!?」
ドアを開けると、お嬢様が立っていた。
さぞ怒っているかと思いきや、
「た、大河っ……!」
ちょっと嬉しそう……。
そんなにプリンが食べたかったのか……。
驚いたのも束の間。
「お、遅かったじゃない!!」
いつものお嬢……。
「すみません。ちょっと電車が……」
「まさか乗り遅れたなんて言うんじゃないでしょうね?」
「……いえ。申し訳ありません。言い訳は恥と肝に銘じます」
つーか、電車代足りなかったなんて恥ずかしくて言えねぇ……。
「まぁ、いいわ。それより大河!」
「はい。何でしょうお嬢様?」
「勉強見なさい。明日小テストなの」
「え?プリンは……」
「もう九時過ぎてるのよ?今から食べたら太るじゃない!」
……この女め……。
- 121 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/07/12(木) 21:03:17 ID:VZvtDdLR
- 「何よ?」
「……いいえ、なにも……」
……胃に穴開きそう……。
「さ、行くわよ。誰かさんのせいで待たされたんだから」
……この溜まりに溜まったストレスよ……。
───────────────────────
「……何よ、自分は分かるー、みたいな顔してさ」
「僕が分からなくてどうするんです……」
「むぅ……」
数学は苦手なお嬢様。
ちょっと優越感。いやぁ、数学っていいですね!
「……」
「ほら、そこ計算ミス」
「……う、うるさい!分かってるわよ!!」
「それはよかった」
「何でよ……」
お嬢様のペンが止まる。
「え?だから、さっき言ったとおり、辺CDを……」
「そうじゃない……」
「は?」
「そんなに頭良いのに、何で就職なんてするのよ……」
「は……?」
「聞いてないよ、就職するなんて……」
「あぁ、進路調査書……か」
机の上の一枚の紙切れに目をやる。
「そんなこと言わなくても察して欲しいのですが」
「一人暮らしするの……?」
「それが理想ですね」
今でも半ば一人暮らしだけど。
「……」
「……?」
- 122 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/07/12(木) 21:04:02 ID:VZvtDdLR
- 沈黙。
ガタッ。
そして、突然お嬢様が無言で席を立つ。
何か声をかける暇も無くおもむろに机の上の紙を掴んで……や、破ったっ!?
「な、何をするんですか!?」
「いいの、こんなのいらないんだから!!」
「いや、必要ですから!!」
「うるさいの!大河のものをどうしようと私の勝手でしょ!!」
「だからって……」
「うるさい!うるさーい!!就職なんて、絶対許さないんだから!!」
「え……?」
「大河は大学に行って、私も次の年に同じトコに入って、で、大河と一緒に勉強して、一緒にご飯食べて……
だから就職なんてダメなの!!絶対ダメなの!!」
「お嬢様……?」
だからってどこにそんな金があるのさ……。
「あの……別に就職するのはここが嫌いだからじゃないですよ」
「え……?」
「早く借金返さないと、旦那様に申し訳が立ちませんからね」
「だったら……だったら、なおさらダメ!!」
「何で?」
「……借金が無くなったら、大河が私のこと忘れちゃう……
私と大河の繋がりが完全になくなっちゃう……」
んー……弱いなぁ、こういうの。
「大丈夫だよ、ひかる」
見られないようにそっと涙をこぼす彼女の前では、俺はあのときの『お兄ちゃん』に戻る。
「お兄ちゃん……」
「俺はひかるのこと忘れないし、いつだってひかるの傍にいる」
「ホント……?」
「もう少し、ひかるが素直になってくれたらな」
「……意地悪」
「え……」
「なんでもないっ……!」
- 123 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/07/12(木) 21:04:48 ID:VZvtDdLR
- 慌てて誤魔化すひかる。
俺はそんなひかるを見て、
「それで、今日はご機嫌斜めだったんだな……」
「……ゴメンなさい……大河お兄ちゃんと離れ離れになるって思ったら……」
打って変わって、しおらしいひかる。
「……ねぇ、大河お兄ちゃん。やっぱり大学行こうよ」
「でもなぁ……」
「お父さん、大河お兄ちゃんに期待してるんだよ?
だから、一杯勉強してすごく頭よくなってお父さんのお仕事手伝って……それからでも借金返せるよ」
「……うーん……」
「ね?」
いや、条件より何より
……この笑顔に勝てるものか……。
「わかった。大学……行くよ」
……言っちゃった。
「うん。お父さんに伝えとくよ」
嬉しそうなひかる。
しばらくニコニコしていたが
「ふぅ、安心したらお腹すいちゃった。大河、プリン持ってきてよ」
恥ずかしいのか、いつものお嬢様に戻る。
「食べるんスか?」
「うん。大河も半分食べる?」
「いや……自分は……」
「あら、大河に拒否権はないのよ?」
「……いただきます」
「そうそう。素直なのは良いことよ」
お嬢様とひかる。付き人と兄の間を行ったり来たりの二人。
どう考えたって前途多難以外になりそうにもないけど……
まぁ、人が言うほど、この暮らしも悪くはない気がしてきたよ。
───────────────────────
- 124 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/07/12(木) 21:05:34 ID:VZvtDdLR
- ウチの妹はおかしい。
信じられないくらい変な女だ。
どの辺が変かというと……
「あ、お兄様〜♥」
体中の骨が溶けそうなほど甘ったるい声で呼ばれた。
ため息とともに振り返ると、
「お兄様〜♥奈央ね、お兄様に会えなくて、すっごく寂しかったのー♥」
大袈裟なアクション込みで話し始める。
「あぁ、そうなんだ……」
「でも!でも♥こうして学校も終わったことだし、二人でお家に帰ろうねー♥」
「……あぁ、まぁ、結果そうなる」
「ふふっ、お兄様も結構大胆なのね♥」
「そうかな……?」
そうじゃないだろう……。
「気にしないで、お兄様♥お兄様の気持ち、奈央がしっかりと受け止めます♥」
感謝して良いのだろうか、これは。
「そうそう、お兄様ー♥今日は時間があるから、奈央が夕飯を作りますね♥」
「悪いよ」
「いいんですよ♥お兄様に尽くすことが奈央の幸せですから♥」
「そうなんだ……」
その幸せが非常に重いのだが……
「ね、ね♥お兄様♥夕飯は何が食べたいー?」
「いや、何でも……」
「もー、お兄様ったら遠慮深いんだからー♥」
このポジティブ思考が羨ましい……
「お兄様が素敵なのは分かりましたからー、せめて系統を教えてください。和?洋?中?」
「そうだなぁ……」
この場合は……
- 125 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/07/12(木) 21:06:19 ID:VZvtDdLR
- 「奈央の一番得意な料理が……」
「お兄様、そんなに奈央の料理を……!
わかりましたお兄様!この私、愛するお兄様のため、一生懸命作りますわ」
「あぁ、頑張って……」
「あ!申し訳ありません、お兄様!食材の買出しに行ってきますので、お先に帰って待っててください!」
「あ、うん。頑張ってね」
「はい!では!」
名残惜しそうに僕の顔を見ていたが、覚悟を決めたのか勢いよく走り出した奈央。
こう言っちゃ悪いけど……やっと一人になれた。
───────────────────────
本当に、奈央のことはよく分からない。
確かに僕に懐いていたけど、ここまでだったかどうか。
「お兄様?」
不思議そうに僕の顔を覗き込む奈央。
「美味しく……なかったですか?」
「いや、そんなことは……」
「そうですか!沢山作りましたから、どんどん食べてくださいね!」
ドンと目の前に置かれる大盛りのポテトサラダ。
……こんなに食えないって。
それよりも、
「ねぇ、奈央……?」
「何ですの、お兄様?」
「……何かあったの?」
「え……?」
動揺の色が奈央の顔に浮かぶ。
こういう違和感はなかなか外れないものだ。
「いつもと何か違うから」
「……お兄様には敵いませんね」
奈央がぎこちない微笑みを見せた。
「僕でよければ、話聞くけど」
「……聞かないでください」
- 126 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/07/12(木) 21:07:04 ID:VZvtDdLR
- 「……?」
「お兄様には言いたくありません……」
「ダメだ」
「……」
「そういう話ほど……僕が聞いといたほうが良い話だと思うよ。だから……奈央?」
「お兄様……」
奈央は覚悟を決めたのか、大きく息を吸い込み
「奈央は……見合いをすることになりました」
「……誰と?」
「許婚と聞きました……ですから、おそらく見合いといっても……」
「……」
「奈央は……お兄様と離れたくありません……」
俯いたままの奈央。
震えた声だけが耳に刺さる。
「奈央は……奈央は……」
「奈央……」
僕に出来ることは何だろう。
慰めることか?送り出すことか?
……違うよ。
もっと大事で大きな一言を、僕は持ち続けてきたんだから。
「奈央……僕は……僕も……」
「え……?」
「ずっと……奈央のこと……好きだから……だから、お見合いなんて止めてくれ」
「お兄様……?」
「ゴメン……僕はあんまり喋るの得意じゃないから」
「……お兄様……」
ガラにもないことを言ってしまった。
奈央が僕を不思議そうに見ている。
熱い頬を隠すため、俯いて奈央の返事を待つ。
「……お兄様」
その返事とは以外にも。
- 127 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/07/12(木) 21:07:58 ID:VZvtDdLR
- 「では、お父様に早速連絡しませんとね♥」
「……は?」
「お兄様の気持ちはしぃっかり受け取りました♥これで二人は晴れて両想いですものね?」
「あれ……?お見合いは……?許婚は……?」
まさか……
「嘘?」
「嘘じゃありません。お見合いはする予定はありました。
でも、奈央はお父様に言ったんです『お兄様以外の人と結ばれるつもりはありません』と」
「……で?」
「お兄様次第ということで、許可を頂きました。もちろんダメでしたらきっぱりと諦めるつもりで」
「……許婚は?」
「うーん、随分昔に決められたものですから。今じゃ状況も違いますし、両家とも強制はしてないようです」
「……」
いいのか、それで……。
「もう聞きたいことは無いですか?」
「……一応」
「では難しい話はここまでにして、これからはずっと一緒ですねー、お兄様ー?」
「……ハメられた……」
「やーん♥お兄様、人聞きが悪いですわー♥奈央は、お兄様の本心を引き出しただけですもの♥」
「……」
奈央には負けっぱなし……。
……でも、試合には勝ったのかな。
───────────────────────
- 128 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/07/12(木) 22:01:05 ID:VZvtDdLR
- そりゃ、この歳になってできた妹だもの。
普通に可愛いし。
異性として意識するなって方が無理だって思うし……。
「お母さーん!!瞳のブラ、知らないー!?」
「ふぁ……」
小さく欠伸をしながら階段を下りる。
理由はどうあれ、珍しく早起きした自分を褒めながら、最後の一段を飛び降りる。
すると、
「きゃっ……!!」
角の向こうから現れた少女が、俺とぶつかりそうになって咄嗟に身を引く。
「お、お兄ちゃん……?」
「あ、悪い。瞳」
「おはよう、お兄ちゃん。今日は早いんだね?」
「……」
胸を見る。
……結構……ある……。
「どしたの?」
俺の顔を覗き込む妹。
「い、いやなんでも……それより急いでるんじゃないのか?」
「あはは、そうでした」
ペロッと舌を出して笑ってみせる妹。
……そりゃ……可愛いよな。
「じゃね、お兄ちゃん」
俺の脇をすり抜け、勢いよく階段を上がっていく妹。
「あぁ」
そして階段の上で振り返り、
「たまには早起きしなくちゃダメだよー?」
「分かってるよ」
適当に返事をして、ダイニングへ。
- 129 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/07/12(木) 22:01:56 ID:VZvtDdLR
- 用意された朝食をモソモソと食べていると、
「お兄ちゃん」
ドアから顔だけ出した妹が
「じゃあ、行ってくるね?」
「ああ、朝練頑張れよ」
「うん。お兄ちゃんも、よかったら見に来てね」
「いつかね」
「約束だよ!」
底抜けに眩しい笑顔を見せながら、小さく手を振って家を出て行く妹。
……やっと行ってくれて、ホッとしたやら残念やら。
苦い顔でコーヒーを一口飲むと、
「あ……あのコ、お昼忘れてる」
後ろで義母が呟く。
「あぁ、よかったら届けますよ」
「ホント?あのコも喜ぶわ」
「……喜ぶ?」
「えっと……コッチの話。じゃあ、お願いね。お昼はチア部の部室にいるらしいから」
「わかりました」
俺の昼と、一回り小さい妹のお昼。
……どうやら俺もかなりの本気ぶりらしい。
───────────────────────
「さてと……行こうかね」
昼休みを告げるチャイムを聞いて立ち上がった。
チア部の部室とは聞いたが、そもそも部室の場所を知らない……。
まぁ、運動部の部室は一つに固まっていると聞いたから、大体の場所は分かる。
片手に弁当を二つ持って、歩き出した。
運動部部室群は屋外にあって、この熱気の中を歩いていくのは少し嫌だったが……仕方ない。
汗を流しながら歩いていくと、目的地にたどり着いた。
俺には何の用も無い場所。場違いも良いところだ。
「チア部チア部……っと……」
と呟いて気付いたが、部が部だけに怪しいセリフ……。
- 130 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/07/12(木) 22:04:05 ID:VZvtDdLR
- しかもそういう発言ほど、聞き流してくれないもののようで。
「こら!!何してるんだ、そこで!!」
思わず体が震える。
「……いや、別に俺は……」
言い訳しながら振り向くと、
「や。お兄ちゃん」
嬉しそうにこっちに歩いてくる瞳。
「何だ、瞳か……」
全身の力が抜ける。
「もー!声で分かってよね、声でー?」
「まぁ、それもそうなんだけど。ゴメン」
「あはは、素直でよろしい。それより何かご用?あ、何か部活始めるとか?」
「まさか」
即座に否定。
……瞳の前では言えないが、この炎天下。出来れば運動はしたくはない。
瞳は残念そうに唸った後、しばらく考えていたが、
少し遠慮がちに
「じゃあ……練習、見に来てくれた……とか?」
「近いな」
「……近い?」
何だか嬉しそうな顔。
……面倒になってきたので、ネタ晴らし。
「弁当、忘れただろ?」
「え……あ、そういえば……入れてないかも……」
「ほら、これ。お義母さんから預かってきた」
「わー!お兄ちゃん、ありがとー!!」
笑顔が眩しすぎる……。
「んじゃ、俺は……」
「あ……お兄ちゃん?」
- 131 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/07/12(木) 22:07:21 ID:VZvtDdLR
- 「何か?」
「もうお昼ごはん食べちゃった?」
「まだ昼休み始まったばっかりだぞ?」
「あ、そうなんだ!」
笑顔がさらに眩しく……。
「よかったら、練習見ていって欲しいなーなんて……思うんだけど」
「練習?今から?」
「うん、大会が近いから。お昼半分だけ練習してるんだ」
「ほー、大変なんだな。しかし、俺で良いの?」
「うん。大歓迎だよ。人の目があったほうがやる気になれるし……それに……」
「それに?」
「ううん、なんでもない!!き、着替えてくるね!!」
俺からランチボックスを受け取ると、というか奪い取ると、一目散に部室へ走っていく。
答えを聞かれぬまま、残された俺。
「……なんだか、見ていく流れ……?」
一筋の汗が流れる。
……望むところといいたいが……。
───────────────────────
「あ、お兄ちゃん!」
更衣室から現れた妹。
ブルーのワンピース状のチア服を身にまとっている。
細く締まった二の腕や、ヒラヒラのスカートから覗く太腿が眩しい。
それより目が行ってしまうのは……無防備な二つの膨らみで……。
「お……お兄ちゃん……目が……えっちだよ……」
顔を赤らめながら、胸を隠すように腕を組む妹。
「は!?」
自覚なし。その分、性質が悪し。
「え、えへへー……し、仕方ないよね?お兄ちゃんも、男の人だしー……」
本人の必死のフォローが泣ける……。
「……ゴメン」
「え、あ……いいの。お兄ちゃんにやっと見てもらえて嬉しいよ」
頬を赤らめ、微笑を見せる瞳。
- 132 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/07/12(木) 22:08:31 ID:VZvtDdLR
- ……あぁ、嫌な予感。
「似合う……かな?」
やっぱり……。
「うーん……」
そりゃ似合う。正直可愛いと思う。
だが。さっきの件もある……正直に言ったらさすがにヤバいのでは……。
「……答えにくいよね……。変なこと聞いてゴメンね?」
応えるより先に、後ろ向きな答えで納得してしまった妹。
「え、いやっ!そんなつもりじゃ!」
必死で取り繕うも、もはや手遅れ。
「ううん。いいのいいの。さ、練習練習!!」
誤魔化すように、仲間の待つ炎天下のグラウンドへ駆けて行く瞳。
……後悔。
───────────────────────
笛の音とともに、舞うチア部部員一同。
足が上がるたびに、その……素敵なものが見えるのだけど。
「チラリズム的にはイマイチ……」
……なにも口に出すこたぁねぇだろ、俺。
まぁ、見えても良い物なんだけどね、アレは。
「だからこそ……」
黙ってくれ。
それにしても、やっぱり瞳は可愛い。
……言い忘れた感があるが、恋愛感情は無い。無いったら無い。
「炎天下でついにおかしくなったか、俺も」
思考の乱れを感じ、思わず呟く。
瞳が頑張っている以上、俺も日陰で観察というワケには行かない。
だが、応援部を応援する気にもなれず、ただ呆然と立ち尽くす怪しい男な俺。
フィナーレに向けて加熱していくチア部一同と、茹っていく俺の脳。
そんな中で、俺はずっと妹に釘付けになっていることに気付いた。
俺の目を奪って放さないのは何だ?
一切の曇りも無い笑顔?
日焼けとは無縁の白い肌?
- 133 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/07/12(木) 22:09:03 ID:VZvtDdLR
- 『全部』なんて言うのは安っぽいセリフみたいで癪だが……恐らくそれが正解。
気持ちが伝わるってのは、きっとこういうことなんだと思う。
「あ、おーい!!」
だんだん妹に染まっていく俺の脳に止めを刺す妹の声。
「ふぅ、お兄ちゃん。お待たせー」
「おぅ、お疲れ」
「あ、ゴメンね。付き合せちゃって」
「いや、見てるのも楽しかったし」
「そうなんだ。嬉しいなー」
タオルをギュッと握り締め、満面の笑顔。
あぁ、可愛いっ!!
「あ、あの……お兄ちゃん?」
「ん?」
「よかったら……お昼一緒に食べない……?」
「俺と?」
「うん……いつもはみんなと食べるんだけど……みんなが……」
チラッと後ろを見る瞳。
その視線の先には、楽しそうにこちらを見物しているチア部部員。
「ダメかな?」
「いや、全然」
……本心はかなり嬉しいです。
「うん、じゃあ行こう?いつもね、あの木の下で食べるんだ」
スキップするように歩く妹のあとに続く。
「あ、結構涼しい」
木陰となった芝生の上に腰を下ろす。
ここには良い風が吹くようで、さっきまでの暑さからしばし開放され、
体に溜まった熱気を吐き出すように大きく息を吐いた。
- 134 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/07/12(木) 22:09:38 ID:VZvtDdLR
- 「あ……」
さっきまでの元気な瞳はどこへやら。
急に座るのを躊躇い始める瞳。
「どうした?」
「う、ううん!!なんでもない!!あ……あの……やっぱり一緒に食べるのは止めない?」
「……?まぁ、いいけど……何で?」
「……だって……汗……かいてるし……」
「気にしないぞ?」
「でも匂いとか……」
「気にしないって」
「ホント……?」
「本当だよ」
女の子ってのは大変だなぁ……。
いや、俺だって多少は気にするけどね。
「義理とはいえ、兄貴にそんな気使わなくても良いのに」
何気無く言った一言。
……だが、受け取る側は何かを感じてしまったようで。
「ダメだよ……」
俺の目の前にペタンと座り、真っ直ぐに俺の目を見る妹。
その姿、その視線にドキッとする。
「嫌われたくない……」
「へ?」
「お兄ちゃんのこと大好きだから……だから……そんなことで嫌われたくない」
真剣な眼差し。
……逃げることは許されない。それは男として恥ずべきことだから。
でも、真面目な方向に話を進められそうにない。
……なぜなら、俺の理性は熱で緩くなっているから。熱可塑性だっけ……?
「瞳ー!」
一気に距離を詰め、小さな肩を抱く。
汗?匂い?嫌われる?そんなの知るもんか。
「あぁ、もう!!お前は可愛いな!!」
「お、お兄ちゃん……?」
- 135 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/07/12(木) 22:11:19 ID:VZvtDdLR
- 「ずっと可愛いと思ってたよ。チア服だって似合ってる」
「ど、どうしたの……?」
キョトンとした妹。
「何?何でそんなに俺の心をくすぐるわけ?」
「え……」
「あぁ、もうはっきり言うよ。俺も瞳のことが好きになった」
「ウソ……?」
「さすがにそんな嘘はつかないぞ」
「……信じていいの?」
「信じてくれなきゃ俺も困る」
……っていうか、今の状況がすでに困っている。
何してくれたんだ、俺は……。
せっかくちょっと静かで知的な……
「うぅ……」
「な、泣くなよ!」
「クスンっ……でも……」
ま、いいか。
「……飯にしようか」
「うん……いっぱいお話しようね?」
「あぁ」
俺に寄りそうように座る瞳。
下から俺の顔を覗き込んだその顔が眩しすぎて。
……少々短絡的で、その場凌ぎの告白。
いや、告白といえるかどうかも怪しいが。
とにかく、この兄妹、新たな段階を迎えたことは間違いないようだ。
「はいお兄ちゃん、あーんして!」
「え、えぇ!?」
「ずっと夢だったんだ。ね?」
「仕方ない……」
……今日は暑いことで。
───────────────────────
- 136 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/07/12(木) 22:15:38 ID:VZvtDdLR
- >>118-123暴君妹
>>124-127兄大好き妹
>>128-135チア妹
127を書き込んだ時点で、規制に引っかかってしまいました……
実はあと一つ用意していたのですが……
多分また規制に引っかかってしまいそうなので、ここに貼るのはこれで止めときます。
続きはこちらで。
http://www.geocities.jp/you_say712/fes.htm
では、お騒がせをいたしました。
- 137 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/07/12(木) 22:30:34 ID:6y2cfxK6
- 乙ですー。
懐かしい言葉でいうと久々のリアルタイムでした。
ひとつだけ。
確かに少し似ている設定ですが、ハヤテはそういうのじゃないですよ。
内容はエロゲの『君が主で執事が俺で』に似てます。
- 138 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/07/13(金) 01:30:47 ID:HNBBitjv
- GJ!!お疲れ様でしたー!!
>>暴君妹
主人公の名前のせいか、
「大河ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
に、物凄い迫力と威圧感を感じた…w
ツンの時は凄い迫力だけどデレの時はやっぱり可愛い!
>>ゾッコン妹
僕の性格のせいか好みのせいか、
これはこれでありですけど
積極的すぎてちょっと怖かったかも…、
>>チア妹
ブルーのワンピース状のチア服を身にまとった姿。
そしてヒラヒラのスカートから覗く太腿、無防備な二つの膨らみ…、
イメージしてみて超エロース!!
主人公はエロスな上に乳フェチとみた!w
>>不幸妹
唐揚げ半分で許してくれる気前の良さに惚れてしまう!
テーブルの上が大惨事になるのも想像して笑えてきましたw
不運もこれくらいの不運なら見ていて微笑ましくて良いですねぇ。
>>いつもの姉弟
遊星さん、いい感じにビール飲んで酔っ払ってますねw
メガネは必須アイテムだとして
問題はスーツか白衣か…、うーん、どちらにするか悩む…w
- 139 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/07/17(火) 17:24:51 ID:hEHy2MF6
- 保守
- 140 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/07/19(木) 20:56:19 ID:s/5B0Fr6
- 期待あげ
- 141 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/07/19(木) 22:50:15 ID:oWcKdiN3
- 妹「お兄ちゃんどいてっ!そいつ殺せない!」
俺「来ちゃだめぇっ!!王蠱の幼虫なんかいないってば!」
リアルでこんな会話してみてぇ
- 142 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/07/20(金) 06:19:22 ID:cUvj4O4D
- 妹「お兄ちゃんなんか大っ嫌い!」
とか言われてぇ
その夜に、
妹「ごめんね、やっぱりお兄ちゃん大好きだよ。」
とか謝られてぇ
それだけで萌死しそうだ。
- 143 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/07/20(金) 19:57:45 ID:E6uv3vON
- >「ごめんね、やっぱりお兄ちゃん大好きだよ。」
俺はこの言葉を聞いて萌死する日を今か今かと待っている。
「お兄ちゃんなんか大っ嫌い!」 のフラグはもう半年も前に立ったはずなんだが・・・。
- 144 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/07/20(金) 20:01:10 ID:8Fp/HzRG
- お兄ちゃんには夢が無いね。
- 145 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/07/21(土) 13:24:30 ID:eOegB1y3
- >>143
来世と二次があるさ
- 146 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/07/22(日) 01:48:28 ID:R9abGzC4
- 小学校とかは今日から夏休みが始まるらしいですね。
懐かしき夏休み…
夏休みネタでアイデアが閃いたゾというそこのあなたっ!
そのネタを文章にしてこのスレに貼ってみませんか?!
あなたの才能を活かしてみる気はありませんか?!
…へんな言い方は止めにして、
もし夏休みでネタが閃いた方がいらしたら是非お願い致します。
もちろん新職人様も大歓迎ですので宜しくお願い致しますー
- 147 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/07/22(日) 10:56:00 ID:F1RSJdQu
- 「?」
視線を感じて立ち止まる。視線というか、話し声が聞こえたような気がするんだけど……。
振り返ってみても、誰もいない。
―――ボフッ
「ふにゅっ」
「あ、ごめん」
さっきの僕の言葉に突進してきたゆなが、急にと止まった僕に反応しきれず突っ込む。
「うぅ〜急に止まらないでください……って、先輩、どうかしました?」
「うん。なんかさっきから、誰かに見られてるような気がするんだけど……」
「……?ゆなはいつでも先輩の事を見つめてますよ?今まで気付いてなかったんですか?もぅ♥」
「そ、そうなんだ…?」
「はい♪それはもう先輩がお風呂に入ってるときも、寝ているときも、いつでも……」
それ、世間ではストーカーっていうんじゃないだろうか?
というかそんな事を恥らいながら言われても反応に困るんだけど……まさか、本当じゃないよね…?
「……なんちゃってっ♪さすがにそこまではしませんけど、先輩の事はかなり知ってる自身がありますよ!なんでも聞いてください!」
そう言って目を輝かせてこちらを見つめてくる。
自分の事を自分で聞くって……一体何を聞けばいいのやら。
「あー……そういえばゆなちゃん?」
「はいっ」
「えーと……今日は僕にどうしても聞きたい事があるんじゃなかった?」
反応に困ることを言われて、無理矢理話を逸らしてみる。
「……なんでも聞いてください!」
「今聞いたけど……」
「なんでも聞いてください!」
「えーと……じゃあ、学校での僕はどんな感じ?変なとことかな…」
「カッコイイです!」
「そ、そう…ありがと……あははは……」
「いえいえ!本当のことを言ったまでですよ♥」
これは苦笑いであって、照れてるわけではないんだけど……
- 148 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/07/22(日) 10:56:55 ID:F1RSJdQu
- 「ゆなならこう答えるに決まってるじゃないですか、もぉっ♥」
両手を頬にあて照れるような仕草をしながら一人でなにやら盛り上がり始める。
こうしてゆなは違う世界へと旅立つのだった。完
――――――
いや、冗談ですよ……?
このテンションはなかなか疲れるのでちょっと遊んだだけです。
最後の一行だけスルーしてくださいorz
過疎気味なのでとりあえず中途半端で投下しましたが、まだ続きます。
相変わらず投下の間隔が開きまくりですが最後までお付き合いいただければ。
- 149 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/07/23(月) 00:17:42 ID:LNyhh/Qv
- 待ってました!GJ!
ゆなちゃんは僕のツボにむっちゃジャストミートしてます!
続きも待ってますー!
- 150 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/07/24(火) 02:28:45 ID:qs9co9UR
- >>149
どうもです。
そこまで褒められるとやる気が出てきちゃいますw
ですが今日からリトバスのネタバレ回避とプレイの為にしばらく2ちゃんを封印します。
続きを書くのは速くてもコミケ後くらいになるかと……
なので申し訳ないですが結構な期間待ってください……
- 151 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/07/26(木) 02:51:20 ID:3+W0nljo
- コミケ後となると一ヶ月近く先になりそうですね…
続きが投下される日を楽しみにまったりと待っております!
- 152 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/01(水) 07:37:47 ID:GGJyUZ3B
- 保守
- 153 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/02(木) 15:48:43 ID:jIGw83Ns
- にいさま、ごはんができましたの!
- 154 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/08/02(木) 23:04:31 ID:35tDiHOz
- 雲ひとつ無い青空。
透き通るような青を背景に、ケヤキの木は葉を茂らす。
さらにその下では、太陽の光を受けて二つの影が揺れる。
「はぁ……」
鉛のように重いため息が口から溢れた。
隣の影は得意げな顔をしながら
「『空が青いと、俺が汚れているのがよく分かる……』って?」
「人の心を読むな、遥……」
ため息と同時に諌めると、
「それ、お兄ちゃんの口癖じゃない……」
呆れたと言わんばかりの口調で反撃してくる妹の遥。
「あとは……『どうせ俺なんか……』とか『絶望だ……』とか」
似てない口真似で俺の口癖を紹介する遥。
……正直、楽しい物ではない。
「妹にまで俺は嘲笑われているのか……」
「あ、ゴメンゴメン。機嫌直して!ねっ!?」
「気にするな、いつものことだ」
「あ、ちょっと、歩くの速いよー」
「いつものことだ」
「もー……」
不満を漏らしつつも、早足でついてくる妹。
「あ、そういえば知ってるー?」
「何を……?」
「希望ヶ丘って知ってる?」
「希望……希望……」
呟くたびに胸のあたりがズンと重い……。
「あぁ、ゴメン。お兄ちゃんってそういう言葉嫌いだよねー」
「大丈夫だ、耐えてみせる……」
- 155 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/08/02(木) 23:05:29 ID:35tDiHOz
- 「そんなに辛いんだ……。
まぁ、いいや、その……ヶ丘っていう映画がやるんだけど、それ、この辺で撮ってるらしいよ」
「……へぇ」
「それで、その映画誰が出るか知ってる?」
「……俺の知ってそうな芸能人?」
「んーん、全然」
「じゃあ振るなよ、そんな話題……」
「へへー。早く誰かに言いたかったんだよー!!だから、一番最初にお兄ちゃんに教えてあげようと思って」
「とっておきの情報どうも……」
心の底から必要としない情報にうんざりしながら、さらに歩みを速める。
「もしかしたら、この辺にも来るのかなぁ?」
「来ないだろ、こっちには」
「そうかなぁ」
「この辺で丘っていったら、蔵野公園のあたりだろ?」
「うん、多分」
「だったら、こっちじゃなくて十崎市のほうに行くんじゃないか?向こうの方がデカいし」
「夢が無いなぁ……」
「夢……」
「あ、ゴメン」
「……大丈夫。耐えられないほどじゃない」
「世話が焼けるなぁ」
といいつつも何だか嬉しそうな遥。
「うん、ホントお兄ちゃんったら世話が焼けるよ」
「二度も言うな……」
「三回目聞きたい?」
嫌なやつだ……
「急がないと遅刻するぞ」
「あ、待ってよー!!」
暑い一日になりそうな予感を、肌と頭皮で感じつつ。
まさか、あんなことが起こるとは、俺のご自慢のネガティブでも思いつかなかったのだが……。
───────────────────────
- 156 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/08/02(木) 23:06:20 ID:35tDiHOz
- あの人を見たときから、ずっと書いてみたいと思っていた台本。
そのせいで妹ほったらかしで兄の性格から決めたワケですが……。
この兄妹の関係は気に入ってるんで、結果オーライといえなくもないかと。
ちなみに今回完璧な見切り発車で、オチはまだ決まってません。
期待は厳禁です。
- 157 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/03(金) 20:47:44 ID:0N/lRERK
- >>154-156
遊星さん投下乙
そして保守
- 158 :二姉持ちの弟 ◆qopBr3PozM :2007/08/04(土) 15:14:47 ID:xI5CJCPU
- ぽつりぽつりと浮かぶ綿雲を眼下にF-22が2機飛んでいた。
その隊長機のパイロット、真田幸輔が無線を開いた。
「……まもなく作戦空域だ。メビウス2、火器管制システムの確認をしておけよ。…………おい、ユキ?」
その呼びかけにユキと呼ばれた2番機のパイロット、真田美幸は我に返った。
「え? わ、何コウくん、火器管制システム? 何それ? って言うかなんで私達戦闘機に乗ってるの!?」
俺「そりゃ、これ俺の妄想SSだし。何やっても無問題だろ?」
「そういう問題!? って、今の声どこから聞こえてきた訳!?」
筆者の声が突然登場したにも関わらずツッコミを入れる美幸。流石、妄想の中の住人である。
その異様に高いテンションに幸輔は呆れる。
「何騒いでんだユキ。もうすぐ接敵するぞ、チェックは済んだのか?」
「っと、そうでした。メビウス2、システムチェック完了!」
いたって冷静な幸輔に窘められた美幸は、意識を本来の場所に戻す。
何も知らないそぶりだったのに何故チェックできたのかは謎。
って言うか、俺の事は完璧無視みたいですねコウくん。
「うっせぇ、その呼び方を許してるのはユキだけだ。気安く呼ぶな」
「……なんかキャラ変わってるよぉ、コウくん」
俺「そうだそうだ、筆者の俺に冷たく当たるな」
「調子に乗るな。あぁ、もう良い。作戦空域に入ったぞ。メビウス2、俺を援護しろ。行くぞ!」
「わ、メビウス2了解!」
そうして2機のF-22は翼を翻し敵と味方が入り乱れる空域へ突入していく。
「「メビウス1(2)、エンゲージ!」」
完
───────────────────────
なんか久しぶりにこのスレを見たら何か書きたくなって訳の分からない物書いてしまいました。
しかも2年以上前のネタを引っ張り出して……
しかもゲームのネタを取り入れちゃいました。
……戦闘機とかに興味のない人、ごめんなさい。
- 159 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/07(火) 22:22:46 ID:TBvyJy06
- age
- 160 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/07(火) 23:13:29 ID:N2Fh1yT+
- >>遊星さん
あの人って誰だろう…
これほどネガティブな主人公もめずらしいですねーw
期待は厳禁と言われてもやはり今回も期待してしまいます。
続きも待ってますー!
>>二姉持ちの弟さん
おお!姉スレの職人さんがこのスレに…!
作者みずからSSに登場するとは、なかなか面白かったですよー!
長編の新作も待っておりますー!
- 161 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/07(火) 23:18:19 ID:N2Fh1yT+
- このスレは読み手の人数が少なすぎる気がする…
書き込みが無いだけで実際は読んでる人はもっといるのかもしれないけど…
- 162 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/08/08(水) 23:12:42 ID:5ZenRGto
- 夕方とはいえ、まだ十分すぎるほどの力を持つ太陽を今度は正面に受け、またも揺れる二つの影。
「ふぅ。今日も暑かったねー?」
ハンカチで汗を拭きながら、力の無い声で話しかける遥。
「いや、今でも十二分に暑い……」
「ホント……。ねぇ、コンビニでアイスでも買ってこうか?」
「そうだな」
二人の意見の一致を確認すると、そのままダレたままコンビニへ。
しかし、運命の分かれ道とはこういうところに存在するものだ。
「そういえば、坂野先生って知ってる?」
「……ああいうの俺は苦手だ……」
「だよねー」
遥との道中のたわいも無い会話。
一人の帽子の少女とすれ違った。
そんなこと、俺は気にも留めなかったのだが、
「……っ!?」
しかし、少女は驚いたように振り返ると
「……あの……ちょっといいですか?」
俺たちに向かって話しかけてきた。
いや、正確には俺たちではない……その視線は明らかに俺に向いている。
……変な目で見るなよ、遥……。
「……遥、頼む」
「あ、うん。えと……なんでしょうか?」
人と話すのが苦手な俺と人当たりの良い遥。
どちらが出るのが得策かは比を見るより明らか。
大体こういう場面では、俺は遥に任せることにしている。
「えっと……えっと……その人は……?」
困惑したように、俺を指差して尋ねる帽子の少女。
- 163 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/08/08(水) 23:13:16 ID:5ZenRGto
- 「え?あの人は私のお兄ちゃんですけど……」
「……」
何ですか。俺に用ですか。……勘弁してください……マジで……。
相手をしたくない俺は、気付かれないように一歩後ろに下がる。
が、そういうわけにはいかないようで。
「あの、人違いだったら申し訳ないんですけど……もしかして大野賢太郎君?」
「……え?」
確かにそれは俺の名前だけど……。
「知り合いなの?」
遥が鋭い目で俺に尋ねた。
「いや……確かにそうだけど……君は?」
「やっぱりそうなんだ!!」
「は?」
「ボクだよ、近野あきら!あきらだよ!!」
近野……あきら……。
その名前を頼りに記憶の糸を辿っていく。
しかし、俺よりも先に
「近野あきらっ!?」
「なんだ、遥の知り合いか」
「違うよっ!!ほら、朝話したじゃない!!」
「何を?」
「映画の話!!」
「あぁ……」
いかにも俺の嫌いなタイトルの……。
「その映画のヒロイン役の娘だよ!!」
「ふぅん……」
「お兄ちゃんの知り合いなんだ!?」
「……」
思い出せません……。
芸能人といわれるとますます分からん……。
- 164 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/08/08(水) 23:13:47 ID:5ZenRGto
- 「……忘れちゃったんだ……」
悲しそうな『あきら』と名乗る女……。え?俺が悪いの……?
「申し訳ない……」
「あ、あの……お兄ちゃん、女性が苦手なんです。だから……」
そんな彼女を気の毒に思ってか、遥が必死でフォローを入れる。
「いいんです。賢ちゃん私のこと忘れてるんじゃないかって覚悟は……してたから」
「……?」
もしかして……
「もしかして……」
「お兄ちゃん、思い出したの?」
「いや……でも、だって……」
「どうしたの?」
「あの……遥。俺、勘違いしてた……」
「何を?」
「確かに昔、それっぽい名前のヤツがいた。俺のことを賢ちゃんって呼んでた」
「うん。それで?」
「……男だと思ってた」
だって、一人称僕だし、あきらだし……。
「賢ちゃんまでそんなこと言うなんてぇ……」
きっと言われ慣れているのだろう。
不満そうに頬を膨らますあきら。
「でも、覚えていてくれて嬉しいよ!!」
「はぁ……」
といわれても、という感じ。
大体……あきらのことよく覚えてないし。
「ボクね、これは神様の贈り物だと思うんだぁ!!」
「……」
うわぁ……。怖いよ、このコ……。
- 165 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/08/08(水) 23:14:20 ID:5ZenRGto
- 「……」
遥もチラッと横目で、苦々しい視線を俺に向けた。
「どしたの?」
「いや……何でも……」
「ふーん。変なのー。あ、そだ。賢ちゃん。これ、あげる」
鞄から何かを取り出し差し出した。
「ボクの連絡先。ボクはもう戻らなくちゃいけないから……またゆっくりお話しようね!!」
黙って頷く。
「賢ちゃんもちょうだい?」
「あぁ……」
俺も自分のケータイの番号とアドレスを紙に書いて、あきらに渡す。
「ありがとう!!あとで絶対メール送るから!!」
「……」
メール……。
『あいうえお』は須らく『ぁぃぅぇぉ』になっていたり、
『wa』と読む『は』は『ゎ』になってたり、
顔文字や絵文字のせいで文章なのに文章じゃない、あのメールですか?
……絶対返せない……。
「じゃあ、賢ちゃん。またねー」
手を振って、遠くへ歩いていってしまうあきら。
その姿が完全に見えなくなってから……
「……無理……もう無理……」
「お疲れ様、お兄ちゃん」
「どうなっちゃうんだよ、俺……」
「確かに、お兄ちゃんには辛いかもね」
「辛いよ。何だよ、あのポジティブさんは……」
「うんうん。遥には分かるよ。もう帰ろうか、お兄ちゃん」
メールするという言葉が社交辞令であって欲しいと願う俺。
遥だけが俺の理解者だ……。
───────────────────────
- 166 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/08/08(水) 23:16:10 ID:5ZenRGto
- 続き。だが、これから先、さらに続くとは限りません。
>>158
なかなか斬新ですね……。参考にさせてもらおう……。
>>160
言って分からないとは思いますが、『仮面ライダーカブト』に出てきた矢車さんがモデルです。
絶望先生の影響も多少受けてますね。
>>161
まとめサイトのアクセス数見る限り、結構読んでるもんだと思いますけどね。
書き込みはこのスレの性質上少なくなるのはしょうがないのでしょうね。
まぁ、個人的には書き込みが少ない方がのんびりしていて良いと思いますがw
- 167 :二姉持ちの弟 ◆qopBr3PozM :2007/08/09(木) 14:00:00 ID:b7JROsRn
- >>160
感想ありがとうございます。
現在のところ他にも色々やらなければならない事があるんで長編を書けるかどうか分かりません。
ちなみにこの短編書くにも20分くらいもかかっていたと思います…。
>>161
ROMの人は多いんじゃないでしょうか?
自分も最初はそうでしたし。
>>遊星さん
相変わらず素晴らしい作品ですね、見習いたいものです。
ちなみに自分の作品は第三者視点だったのがいきなり筆者視点になったりと、小説的にはアウトだと思いますよ。
それにしても凄いネガティブな主人公、筋金入りですねw
レス遅れました、すみません。
- 168 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/12(日) 21:33:52 ID:1sAREIPS
- 上げ
- 169 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/14(火) 04:46:55 ID:hVSx+Tsa
- 遊星さんのSSで、ライダー好きな俺はニヤリとさせられてますよ。桃色係長のテイストも入ってたんですね。
- 170 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/08/14(火) 23:27:04 ID:6y8BsDwk
- 「ごちそうさま。美味かったよ、遥」
「お粗末様。ありがとう、お兄ちゃん」
カチャカチャと食器を片付け始める遥。
「あ、俺も手伝う」
「え?どうしたの?」
「……体、動かしていたい……」
「あぁ……それなら、手伝ってもらいましょうか」
「助かる……」
ため息をつきながら、スポンジを握る。
「ねぇ、お兄ちゃん?」
「ん?」
「この際だから、聞いてもいい?」
「あぁ、何を?」
「あきらさんとはどういう関係なの?」
嫌なことを聞く……。
まぁ、遥になら言ってもいいか。
「……どういう関係っていったって……」
「じゃあ、どうして知り合ったの?」
「……確か、小学一年だか二年だかのときに一ヶ月間だけ俺の学校に転校してきたんだ。で、知り合った」
「で、そのころは?」
「……質問攻めだな。別に特別な関係じゃないと思う。ま、記憶違いしてたくらいだし」
「ふぅん……お兄ちゃんは、昔は今みたいなのじゃなかったんだっけ?」
「……忘れた。でも、嫌だろ、こんな小学生……」
「今でも嫌だけど……」
……突き刺すような言葉。
妹の本音を聞けて嬉しい……ワケは当然無く、心が無惨に凹む凹む……。
- 171 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/08/14(火) 23:27:35 ID:6y8BsDwk
- 「……絶望した……」
「わわっ!!冗談だよ、冗談!!」
「……ホントにか?」
「ホントだよ!!リアクションが暗いから、こっちが焦っちゃうよ、もう……」
「スマン……」
「謝ることじゃないけど」
食器を濯ぎながら、遥は呆れたようにため息を吐いた。
「変わっちゃうんだよね。人間も。人と人の関係も」
「……俺みたいな理系にはアレルギー出そうな話だな……」
「ゴメン。変な事聞いたね」
「あぁ。ま、俺に言わせればだな……変わるのは当然。大切なのは変わった中でどうするか、だろ」
「ふむふむ……で、すっかり変わっちゃったお兄ちゃんは、あきらさんとはどうするつもり?」
変な話題になってきた……。
だが、聞かれたからには答えねばならない。
満を辞して俺の口から出た言葉は、
「このまま自然消滅を狙う……」
「却下。それじゃ、あきらさんが可愛そうだよ」
「厳しいな……」
半ばマジだったのだが、即座に却下され少し不満が漏れる。
「甘やかすばっかりが妹の役目じゃないんだよ?」
胸を張って答える遥。
……甘やかすのも妹の役目じゃないと思うが。
「……じゃ、どうすればいいんだ……」
「普通で良いんじゃない?話しかけられたら話す。メールしてきたらメールする。受身は得意でしょ?」
「……今日はちょくちょく毒を吐くな……」
「べっつにー。とにかく、逃げるのだけはダメだからね!」
「やけに今野の肩を持つんだな」
「そうかな?……でも、やっぱり女の子のことは女の子が詳しいでしょ?私には分かるんだよ」
得意顔の遥。俺にはさっぱり意味が分からず、
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