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[第七弾]妹に言われたいセリフ
- 1 :No.2 :2007/04/11(水) 21:26:33 ID:2u7WT58l
- 「あ……。ま、待ってたわけじゃないのよ!これは……たまたまよ!!誰がバカアニキなんか……」
こ、ここは脳内の妹が囁いたセリフを暴露しちゃうスレに決まってるじゃない!!
【バカなアニキのための四箇条】
・変なのは無視!釣り針にも引っかからない!……ったく、ホントにアニキはバカなんだから。
・SS職人にはお礼を忘れない。これぐらい、言われなくても当然よねぇ?アニキ?
・メール欄に『sage』……べ、別に二人きりとかそういうのは関係ないんだから!!
・浮気は禁止。……私だって……アニキに浮気されたら傷つくわよ……う、嘘嘘!!今のはウソよ!!
【バカアニキとの思い出】
妹に言われたいセリフ
http://game.2ch.net/gal/kako/1022/10225/1022257886.html
[第二弾]妹に言われたいセリフ
http://game4.2ch.net/test/read.cgi/gal/1028470988/
[第三弾]妹に言われたいセリフ
http://game9.2ch.net/test/read.cgi/gal/1056993709/
[第四弾]妹に言われたいセリフ
http://game9.2ch.net/test/read.cgi/gal/1106065356/
[第五弾]妹に言われたいセリフ
http://game9.2ch.net/test/read.cgi/gal/1110717816/
[第六弾]妹に言われたいセリフ
http://game12.2ch.net/test/read.cgi/gal/1129126207/
過去ログ倉庫
ttp://www.geocities.jp/mewmirror9/
じゃあ、このスレも楽しんでね、アニキ?
- 2 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/04/11(水) 21:31:11 ID:crHwUD5x
- >>1
オゥ!ホットガイ!
- 3 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/04/11(水) 21:37:53 ID:r0Cd2xNV
- あ゛にぎぃ!ア゛ッーー!ア゛ッー!!
- 4 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/04/11(水) 21:41:32 ID:5big1S5r
- 乙です ノシ
- 5 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/04/11(水) 21:45:48 ID:k2sdqbmW
- 乙ー。
……まさか使われるとは思わなかった……。
- 6 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/04/11(水) 22:52:44 ID:7SPtkVV0
- 「気持ち悪いんだよこのウジ虫早く死ね」と罵倒されたら深く傷つくだろうなw
リアル姉にならいつも罵られてるけどね
- 7 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/04/12(木) 21:23:42 ID:CRD6G3QV
- >>1乙。
テンプレもグゥレイト!(`・ω・´)
- 8 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/04/12(木) 22:01:51 ID:TBKjkKks
- 引っ込み思案な妹もいいなぁーと思う
「お、お兄ちゃん…お、起きて…」
「ま、まって…お兄…ちゃん…」
「やだ…やだやだ…お兄…ちゃんと一緒が良い…」
どよ?ちなみに声は小さめで。ほら、萌えたろ?
- 9 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/04/13(金) 18:33:26 ID:gySK7wx+
- 一乙!
- 10 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/04/13(金) 23:58:48 ID:2Z9Mr//O
- 新スレ乙です!
- 11 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/04/14(土) 02:57:25 ID:u98sa4pd
- >>8
萌えた!特に3行目がっ!
- 12 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/04/18(水) 21:15:14 ID:4CAJBsh4
- 「美佐子さん、もう時間だよ」
「ん?もうそんな時間か。二人ともお疲れ様。あがっていいよ。まさか康は一緒に帰ろうなんて考えてないよね?」
「も、もちろん」
午後8時。鉱先輩のクラスメイトの四羽先輩……の彼氏(?)の康先輩……の従姉の美佐子さんのお店(喫茶店)でのバイト終了の時間。……ちょっと紛らわしい。
店内の客はもうあまりいないけど夕方の混み具合がひどかったから洗い物が溜まってる。
「あ、じゃあゆな、洗い物してからんぐっ!?」
「……お疲れ様です」
洗い物を片付けから帰ろうと美佐子さんに声をかけようとしたゆなの口が塞がれ強引に裏へ引き摺られる。
更衣室に着いたところでようやく口に当てられた手が離され、生きてる事の素晴らしさを改めて実感する。
「ぷはぁっ!はぁ、はぁ、く、苦しかったですぅ……」
「…………」
「何するんですか紫乃先輩!ゆな、危うく帰らぬ人になるところでしたよ!?」
息を整えて私を引っ張って来た殺人未遂者に抗議する。
「………………?」
そんな『なんで?』みたいな顔されても……。
「先輩が口だけじゃなくて鼻まで塞いでたんです!」
「!……」
言われるまで気付いてなかったのか、ちょっと驚いたような顔をしてからゆなの頭を撫でてくる紫乃先輩。
ええっと……一応は悪いとは思ってくれてるんでしょうか?
「それで、急にこんな事して一体何なんですか?」
「……鉱くんと………………どう?」
今、『鉱くんと』と『どう?』……凄い端折られた気が……。
えぇと、最近何か進展はあったかという事でしょうか。
「実は……」
「……(コクコク)」
「もう先輩とは人には言えないような関係に」
なってないです。
「……………」
「この前なんて先輩が……きゃっ♥」
「…………………………………………………………」
じーっと紫乃先輩に疑いの眼差しで見つめられる。
- 13 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/04/18(水) 21:15:45 ID:4CAJBsh4
- 「う……な、なんです?」
「………………………………………………………………………………………」
疑いの眼差しが……沈黙が痛い。新しい快感に目覚めそう!
というか呆れられてるような……。
『康!お前いい加減にしないと追い出すぞコラァ!…………』
店の方から聞こえてくる美佐子さんの怒鳴り声がよく聞こえてくる。
康先輩、また何かしたんでしょうか……。
「うぅ……すいません……いつも通りというか相変わらずというか……」
「♪」
紫乃先輩の目がまるで玩具を貰った子供みたいにきらーんと光った。ような気がする。
満面の笑み(実際はそんなに笑顔じゃないけど紫乃先輩の場合はこれで満面と言っていいと思う)で近付いてくる紫乃先輩。……正直、怖い。
「な、何ですか……?ゆな、紫乃先輩の気に触るような事何もしてないですよ?ホントですよ?」
ズルズルと後ろに下がりながら一生懸命弁解するも、ゆなの言葉が聞こえているのか聞こえていないのか無言のまま笑顔を崩さずに近づいて来る紫乃先輩。
「ホ、ホントに何もしてないですよ!?」
必死の弁解も空しくロッカーひ追い詰められる。
もうダメ……殺される。
「こ、この前、紫乃先輩の忘れ物を届けに来た紫乃先輩のお兄さんをちょーっと変質者と間違えて大声で人呼んじゃっただけで……あとはホントに何もしてないです!ごめんなさい!よく分からないけどごめんなさい!」
「…………初耳」
「…………え?それで怒ってたんじゃないんですか……?」
「…………(コク)」
「え……え?ええぇぇぇーーー!?じゃ、じゃあなんでそんな怖い顔で詰め寄ってくるんです!?それ以外はホントに何もしてないですよぉ〜!」
「……可愛い後輩に…アドバイス」
「ごめんなさーい!謝りますから!お願いだから許してくださいー!って……アドバイス……ですか?」
「……(コクコク)」
「えーっと…何のアドバイス、ですか?」
「鉱くんいちころ作戦……その五」
「な、なんだってー!?」
「…………?」
「なんでもないです……。それで、今度は何をさせる気です……」
今度、というのは前もあったということで。
前があるのにまたやるということは失敗したということで……。
- 14 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/04/18(水) 21:16:17 ID:4CAJBsh4
- 「今度は……完璧」
グッと自身満々(多分)に親指を立ててくる紫乃先輩。
「いつもそう言って変なことばっかりじゃないですか!」
「……完璧」
そう言って更に立てた親指を誇張する紫乃先輩。
「……どうせ断ってもやらせるんですよね?」
ポンポンと慰めるように肩を叩かれた……。
「うぅぅ……いじめです。絶対いつか教育委員会に訴えてやります」
「〜♪」
紫乃先輩は明後日の方を向いて知らん振りする。こんな人がなんで『人魚姫』なんて呼ばれてるんでしょう……学校の皆は騙されてます。
絶対に魔女の間違いです……
「ゆなちゃん、声に出てるよ……」」
「ひぇえっ!す、すいません!すいません!今のはちょっとした冗談で……って四羽先輩、。どうしたんですか?」
紫乃先輩かと思って謝ったらいつの間にか更衣室に来ていた苦笑している四羽先輩だった。
「先輩なんてつけなくていいって言ってるのに……」
四羽先輩はこの通り紫乃先輩とは対極のとても優しい先輩で、紫乃先輩の意外な親友(?)。
男の人には少し他人行儀(女の人にもほとんど他人行儀だけど)なのに何故か康先輩だけは康くん(本名は康人)とあだ名で呼び、一緒の家に住んでて更に幼馴染らしいから学校では皆に付き合ってると疑われているけど、二人はそういう関係じゃないと否定している。
関係ないけど、紫乃先輩には違う学校にとても仲の良いもう一人親友がいるとか。
さっきの魔女発言で紫乃先輩に何か仕返しされるかとこっそり紫乃先輩を見てみると何故かご機嫌な様子。
「紫乃ちゃん、呼んだ?」
「…………(コクコク)
「え?いつ呼んだんですか?」
「ちゃんと呼ばれた訳じゃないんだけど、なんとなく呼ばれた気がして」
相変わらず四羽先輩は凄い。テレパシーでも使ってるんじゃないかっていう程紫乃先輩の事が分かっている。
学校ではよく紫乃先輩の通訳をしているとか。
「何か用事?」
コクっと頷いて手招きする紫乃先輩に近づいて行く四羽先輩。
あぁ。可憐な乙女(四羽先輩)が魔女(紫乃先輩)の魔手に……
「ゆなちゃん、また声に出てる……」
「はぁっ!!じょ、冗談ですよ……あは、あはははは……」
機嫌を損ねてないかと慌てて紫乃先輩を見てみると
- 15 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/04/18(水) 21:16:48 ID:4CAJBsh4
- 「………………」
じーっと見つめられた。
「…………………………………………………………………………」
怖……。
「そ、それで紫乃ちゃん、用事って?」
四羽先輩がフォローしてくれた。
ああ四羽先輩、先輩は本当に良い人です。いつかこういう落ち着いた優しい人になりたい……紫乃先輩にも見習って欲しいものです。
こういう時、爪の垢を煎じて飲ませてやりたいって言うんでしたっけ。
「……………………………………………………………………………………………………………………………………………………」
そんなことを考えてながら二人の方を見てみると四羽先輩は苦笑していて紫乃先輩にはまたじーっと見られていた。
というか……睨まれてる?
……もしかしてまた声に出てたんでしょうか。
「し、紫乃ちゃん…それはさすがに……それより用事。ね?」
「『それ』ってなんですか!?今紫乃先輩が何か言ったんですか!?」
「え……あの……言っていいのかな……。柔らかく言うと『騒がしくて小さい小学生の癖に』って」
「ち…小さい……小学生………」
うぅ……人が気にしてる事を……。
「それって硬く言うとどうなるんですか……」
「え、え〜と……ねぇゆなちゃん?私はね、世の中知らない方がいい事もあると思う……なんて」
四羽先輩……それ、フォローになってないです。
「四羽の言う通り……おチビ」
「ち……」
「ち?」
「ち……チビって言うなーっ!紫乃先輩だって小さい癖に!ゆなと大して変わらないじゃないですか!無いのは口だけでにして貰いたいですぅー!」
「………!」
「ゆなちゃん、ちょっと落ち着いて」
「おチビ……まな板……コケシ」
「し、紫乃ちゃんも落ち着いて」
「ゆなは少しずつ成長してるからいいんです!口数も胸囲も増えない人と一緒にしないでください!」
「ちょっと二人とも落ち着いて……」
「……(フルフル)」
- 16 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/04/18(水) 21:19:01 ID:4CAJBsh4
- 「四羽先輩はゆなの味方ですよね!?」
「え?それはその……えぇと?」
◇ ◆ ◇
「「ごめんなさい」」
「…………」
「わかればいいんだ。わかれば」
「だ、ダメだよ。康くんも謝らなきゃ」
「そうだぞこのバカ」
そう言って康先輩が美佐子さんに叩かれる。
「いてぇ。すいません」
「分かればよろしい」
結局、あの後騒ぎを聞き駆けつけた康先輩が騒動を納め……たりはせず、二人を更に炊き付けた。
そして康先輩を四羽先輩が注意。ゆなと紫乃先輩の言い合いは加熱。
康先輩に白黒付けて貰おうとした所で喫茶店の主、美佐子さんが来て「給料無くされたい?」という笑顔の一言で鎮圧。
その後、店のボックスのひとつに座らされ今に至る。
「今日はなんでこんな騒ぎになったんだ?」
「ゆなに……アドバイス………恋の」
「! そういう事なら年上のお姉さんにまっかせなさい!」
水を得た魚のように美佐子さんが目を輝かせてゆなを見てくる。
「え?いや、その、ゆなはべつに自分で何とかしますから……」
「だよなー。この年で結婚してないやつに任せられる訳ないよな」
「そういう訳じゃなくて……」
「康、お前夕飯抜きな」
「なっ!マジか!?」
「マジ」
「……………orz」
なんでこの人たちと話すとこうも話がそれるんでしょう……。
「そういえば紫乃ちゃん、私に用があるって言ってたよね?」
「………(コク)」
- 17 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/04/18(水) 21:19:32 ID:4CAJBsh4
- 紫乃先輩は頷いてから四羽先輩に耳打ちする。
「……………」
「うんうん」
「……………………、…………」
「え?そ、そうかなぁ」
「………。……?」
「え、えぇ!?私が!?む、むむむ無理だよっ!」
しばらく紫乃先輩が四羽先輩に何か話したら、四羽先輩が康先輩を見て赤面した。
「……星くんはいちころだった……」
星くんって誰でしょう?
「星?あーあの見込みある少年か。あの少年がいちころ?まさか。飛び道具でも使ったのか?」
「アレの何処が見込みあるんだ。ただのチキンだろ」
「星くん…バカにしちゃダメ……」
「そうだよ康くん」
「あーはいはい悪うござんした。で、あいつがどうしたって?」
ゆな以外は皆知ってる……何か疎外感……。
「あ、あのー……その人、誰ですか?」
「星くんは…………………………星くん」
「はぁ……星くん、ですか……」
紫乃先輩の説明じゃさっぱり分からない……。
「紫乃ちゃん、それじゃ分からないよ。あのね、静原星一さんっていってちょっとした事で知り合った紫乃ちゃんの親友のお兄さんなの」
「はぁ……その、星一さん?がどうかしたんですか?」
「紫乃ちゃんが昔ふざけておに……あぅ……」
またもや四羽先輩が赤面した。なんなんでしょう……。
「四羽……ごー」
「し、紫乃ちゃん…ホントにやらなきゃ、ダメ?」
「……(コクコク)」
なんなんでしょう?話がさっぱりわかりません。
「あ、あのね、康くん」
「なんだ?」
「あ、あの……そのー…………やっぱり無理だよぉ〜」
- 18 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/04/18(水) 21:20:03 ID:4CAJBsh4
- 真っ赤な顔に涙を溜めて抗議する四羽先輩(何をするのか分からないけど)。
「なんだったんだ?」
「さぁ?なんだったんでしょう」
「やめてもいいよね?私頑張ったよね?」
「……………………………………………………………………………………………」
「う〜……わかったよわかりましたー。やればいいんでしょー……紫乃ちゃんのばかぁ……」
「四羽は……………出来る娘」
「う、うん……あ、あのね康くん」
真っ赤な顔を俯かせてもじもじと喋る四羽先輩。こ、これは……もしかして告白?
「なんだ」
「その、怒らないでね……?」
「くはー!ここで上目遣いっすかー!さすが四羽先輩!レベル高っ!」
「ゆな……あんた一体どういう育ちしてんだ……」
「…………うるさい」
ついテンションが上がってしまって紫乃先輩に怒られた。
「「すいません」」
「って何故か勢いで私まで謝ってしまったじゃないか!」
「………みーさん」
「はい。すいません」
美佐子さんをこうも簡単に謝らせるとは……紫乃先輩、さすがというかなんというか……。
そんな事をしていた時、四羽先輩が突然康先輩の腕に抱きつく。
「な、なんだっ!?なにする気だ!?」
途端に真っ赤に赤面する康先輩。既に赤かった顔をもっと真っ赤にしつつ上目遣いを意地する四羽先輩。
「お、お、お兄……ちゃん」
「…………は?」
「大す……す……やっぱりダメ…はぅ……」
体から力が抜け四羽先輩が椅子にへたれ込む。
「ちょっ!どうした!?」
慌てて康先輩が四羽先輩を抱きかかえる。
「紫乃ちゃん……私、頑張ったよね……?頑張ったから……もう、ゴールしても、いいよね?」
「……あかん……ダメや四羽……来たらあかん」
- 19 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/04/18(水) 21:20:35 ID:4CAJBsh4
- 「紫乃先輩がエセ関西弁をっ!?」
そのまま四羽先輩の首が力なくカクっと倒れる。
「おい!四羽!?」
「………すー……すー」
そして、後には穏やかな寝息だけが残った。
「……寝た」
「ああ、寝たな」
「寝ましたね」
「みたいだな。……なんだったんだ?」
「ゆなの恋へのアドバイス……ですか?」
「……ダメ」
「はい?」
「……これじゃ…ダメ」
目に、紫乃先輩の目に何かが宿る。
紫乃先輩がゆっくりと四羽先輩に近付いて行く。
「ど、どうしたんだ紫乃?」
「………邪魔……持ってて」
そして四羽先輩を抱きかかえ美佐子さんへ渡す。
「あ、ああ……それはいいが、紫乃はどうするんだ?」
「私が……やる……」
そう言って康先輩の対面に立つ紫乃先輩。
「康くん」
「な、なんでしょう!?」
何故か敬語で返す康先輩。
「年下……好き?」
「え……?別に子供は嫌いじゃないけど」
「そう……」
紫乃先輩が突然康先輩に抱きつく。
「なっ!今度はなんだ!?」
紫乃先輩が熱の篭った視線で康先輩を見つめる。
「あのね……大好きだよ?お兄ちゃん♥」
- 20 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/04/18(水) 21:21:06 ID:4CAJBsh4
- 「っ!」
紫乃先輩の大好き発言に湯気が出そうな程顔を赤くする康先輩。
……お兄ちゃん?あの変質者として職員室に連れていかれた人?
「な、何言ってんの、お前」
平静を装おうとしてるけど全然動揺を隠せてない康先輩。
「お兄ちゃんは…私のこと…きらい……?」
瞳を潤ませて不安そうな顔で尋ねる紫乃先輩。
「ああ……いや……嫌い、ではない……けど」
「…………こんな感じ」
安先輩からぱっと離れて服を払う紫乃先輩。
それを見て呆然とするゆなたち。
な、なにが『こんな感じ』なんでしょう……。
「…………?」
不思議そうな顔されても……。
「……?……?」
「いや、『?』じゃなくて。紫乃、あんたは何がしたかったんだ?」
四羽先輩を抱きかかえて呆然としていた美佐子さんが皆が気になっていた事を聞いてくれる。
「……………アドバイス?」
「あ、あのー……今のどこがアドバイスだったんでしょう?」
「…………はぁ」
何故か呆れられた!
紫乃先輩が未だにぼうっとしてる康先輩を見向きもせずに美佐子さんの元へ寄り、四羽先輩の頬をぎゅーっと抓る。
「……んん……い、いた……すー」
「……………起きて」
ぎゅう。
四羽先輩の頬がうにゅーっと伸びる。
「い、いふぁい!いふぁいっ!いふぁいよひのひゃん!」
四羽先輩の頬からぱっと手が離れる。
「……おはよ」
「お、おはよ……紫乃ちゃん……あぅぅ…痛い………」
涙を滲ませながら頬を擦る四羽先輩。
- 21 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/04/18(水) 21:21:40 ID:4CAJBsh4
- 「…………」
自分で抓ったくせに無言で四羽先輩の頬をさする紫乃先輩。
この先輩は本当に何がしたいんだろう。
「うぅー。紫乃ちゃんが抓ったんでしょー……用があってもこういう起こし方はやめて……なんなの〜?」
紫乃先輩が四羽先輩に耳打ちする。
「………、……………………………………。………………?」
「あ、そっか。それで私……あぅぅ……」
「……。…………、……………………!」
紫乃先輩ってなんで四羽先輩にはあんなに話すんでしょう。
「康先輩」
「…………」
この人、まだ呆然としてたんですね。
「康先輩!」
「はっ!?な、なんだ?」
「紫乃先輩ってなんで四羽先輩相手だとあんなによく話すんですか?」
「あ、それは私も気になるな。なんでだ?」
このことは美佐子さんも気になってたのか話に参加してくる。……仕事はいいんでしょうか。
「いや、俺に聞くなよ……。大体、聞き耳を立ててみろ。紫乃の声が聞こえるか?」
そういえばいくら小声で話しているとはいえ、今まで一度も声が聞こえた事がないような。
「……全く聞こえないです」
「……聞こえないな」
「だろ?なんか紫乃が話してるというより四羽が紫乃の思考を読んでるっぽいぞ」
「まさか……いくらなんでも……」
「えぇーーーっ!?紫乃ちゃんそんな事したの!?康くんに!?」
四羽先輩の驚きの声で話が途切れる。
「………」
「で、でも……」
「…?…………、…………」
「うーん……本当に?そういう事なら……」
「……………………」
「うん……わかった……約束だよ?」
- 22 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/04/18(水) 21:22:24 ID:4CAJBsh4
- 「……(コクコク)」
「嘘ついたらやだよ?」
「……(コクコク)」
この二人、一体どんな会話をしてるんでしょう……。
「あのね、ちょっと聞いてくれる?紫乃ちゃんの話なんだけど……私じゃなくて紫乃ちゃんの考えだよ?」
「はい。なんです?」
「『お兄ちゃん』っていう言葉には魔力をあって、この世の半分くらいの人はこれでいちころ。それで、草薙くんも間違いなくその半分の中に入るタイプだから、抱きついてお兄ちゃーんとか言って適当に甘えれば簡単に落とせる……って」
「……………康くんも」
「お、俺は関係ないだろ!?」
「そんな……だから昔あんなに優しかったのに今は……康くんのばか」
「四羽も信じるなよ!」
「康、お前そんな趣味あったのか……」
「ねーよ!!」
「でも紫乃ちゃんに言われて喜んでたって」
「喜んでねーよ!」
「………喜んでた」
「あ、あれは紫乃がよく喋るのが意外だっただけだよ!……多分」
「え?紫乃ちゃんはいつもよく喋ってるよ。ね?」
「……(コクコク)」
「あー…なんかもうどうでもいいや……」
「え……嘘だよ?冗談だからね?私は康くんの事信じてるよ?」
「ああそう。で、ゆなはどうすんの?」
「そうですねー……」
「信じてる?ねえ康くん。さっきのは冗談だよ。だから怒らないで。ね?」
「あ、あの〜、一応今ゆなが話そうとしてるんですけど……」
「………、………」
「あぅぅ……康くんそんなぁ〜……お願いだから捨てないで〜」
「だーっ!大丈夫だって!捨てないから少し黙ってろ!紫乃は四羽に変な事吹き込むな!」
「はぁ〜い」
「……ちっ」
「おまっ!紫乃、今舌打ちしただろ!?したよな!?喧嘩売ってんのか!?」
- 23 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/04/18(水) 21:24:52 ID:4CAJBsh4
- 「………………はぁ」
「よしその喧嘩買った!」
「うるさいですよ康先輩!今日の主役はゆななんだから少し引っ込んでください!これじゃ誰の話か分からないじゃないですか!」
「…………?」
「紫乃先輩もこれ見よがしに『え?主役って私じゃないの?』みたいな顔しないでください!」
あ、でも、なんか…紫乃先輩喋ってない割に出番多いような……。
「あー、ちょっといいかな」
「何です?いくら美佐子さんでもこれっばかりは譲れないですよ?」
「それは別にいいけど。ここ、私の店。今、営業中。オッケー?」
「あ……あははははは。静かに、ですよね?」
「分かればよろしい。でも康は減給な」
「なんで俺だけ!?大体今客いないだろ!」
「お?給料欲しくないのか?」
「ぐっ……」
「で、結局ゆなはどうすんの?やるの?やらないの?」
「……なんかいまいち信用出来るような出来ないような……そんな話現実で通用するんでしょうか」
「『現実で』ってなんだ?」
「康先輩、それは聞かないお約束です」
「…………実証済み」
「う……確かに……あ、でもでも、先輩は妹さんいるから効かないんじゃないですか?」
「………星くん」
「『星一さんにも夢亜さんという妹がいるけど効果は抜群でしたよ』と言ってます」
「そうなんですか……じゃ、じゃあ、ゆなも試しにやってみようかな……」
「『星くん』だけでなんでそこまで紫乃が言いたい事を理解できるのかはつっこまないんだな」
「容量の都合上です。それくらい察してください」
「容量の都合ってなんだ?」
「そんなの決まってるじゃないですか……って、あれ?なんでしょう……」
◇ ◆ ◇
一気に大量投下したのはいいけど、ほとんどの描写をカットしてとことんギャルゲーぽく仕上げようとしたら
誰が喋ってるのか分からないぐちゃぐちゃ仕様になってしまいました……orz
- 24 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/04/18(水) 22:40:20 ID:ZKZBCuCn
- >すばる先生
前スレでも書きましたが、GJです!凄いです!!
次回作を楽しみにしてますんで、次回も何卒お早めに……w
- 25 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/04/18(水) 22:44:01 ID:I3YPdeLJ
- >すばる氏
乙カレー。
つ『緑茶』
- 26 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/04/18(水) 23:19:24 ID:awa1+VHP
- >>すばるさん
GJです!
読み応えたっぷりでありがとうございます!
これくらいの人数なら
ちゃんと誰が喋ってるか分かりますよー!
- 27 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/04/19(木) 07:15:47 ID:a3ey+WoE
- どうでもいい事なんですがタイトル付け忘れてた。
>>12-16 『お兄ちゃんと呼んで欲しい? 回想そのいち』
>>16-23 『お兄ちゃん(ry 回想そのに』
次回、鉱の妹ストーカー編。
>>遊星さん どうもです。
次回投下分は話の流れは決まっていて書くだけなんですがいつになるやら……
気長にお持ちくださいですw
>>25 どうもです。
折角なのでその緑茶は次の投下で使わせていただきます。
>>26 どうもです。
久しぶりに2連休なんで張り切って書いてみました。
これくらいだったら大丈夫ですか。参考にさせていただきますです。
- 28 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/04/19(木) 16:06:49 ID:HzP0636W
- お兄ちゃん、緑茶に雑ぜてゴックンして・・・
- 29 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/04/22(日) 17:48:32 ID:IFBut28x
- >すばる氏
よくやるよなぁ。
- 30 :某173 ◆HsV9Lpvnw. :2007/04/23(月) 02:27:48 ID:tukS2coB
- >すばる氏
紫乃先輩は、岩男さんにアテレコさせるつもり?芹香先輩っぽいとオモタ。
- 31 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/04/24(火) 22:12:00 ID:XcMsfP7K
- 「ヒマだ」
ケータイは使用禁止。
テレビには興味が無い。
ノートPCは仕事場……あとで母親にでも持ってこさせよう。
仕事の書類は義妹に取り上げられた。
仕事をしすぎたことによって、自分はつくづく仕事人間だなと思い知る羽目になってしまった。
ここで問1。
俺−仕事=?
「……まぁ、肉体としての人間が残るくらいか」
俺は別にそれでも構わない。
研究するのは好きだし、やりがいもある。
結婚しろという親からのプレッシャーも弟の結婚によって早々回避。
弟夫婦に孫が出来れば、もう俺の生涯独身街道は明るい。
あの弟も少しは役に立つものだ。
「ヒマだ」
もう一度呟く。
呟いても1秒ほどの暇つぶしにしかならないのに。だ。
散歩でもしようか。
……といっても点滴つけたままじゃなぁ。
「ヒマだ」
三回目。通算三秒の消費だ。
みんな何して過ごしてんだろう……。
そんなことを考えながらベッドに寝転がると、
「お義兄さーん、元気ですかー?」
能天気な看護婦……。
いいよなぁ、忙しそうで……。
- 32 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/04/24(火) 22:12:32 ID:XcMsfP7K
- 「暇」
「でしょうね。いいことですよ」
「何が?」
「心と体を休めるのには丁度良いでしょう?」
「仕事休んでこんなことしてるんだ。逆に焦る」
「何だか定年退職したお父さんみたいですね。お休みの日とか何してるんですか?」
「……」
何してんだろ……。
「あ、えっと……あはははは……」
とりあえず笑ってみました。な感じの義妹。
確実に寂しいやつだと思われたぞ、これは。
「な、何かあったら遠慮なく言ってくださいね……?」
「何も無いから困ってるんだぞ、俺は……」
「何か本でも買ってきましょうか?」
「俺から書類取り上げといて?」
「あ、あんな難しいのはダメに決まってますよぅ!!」
「お前が決めるなよ……」
小言でグチを漏らす俺。
義妹は大袈裟に、ため息をついて、
「ホントに、お義兄ちゃんは気難しい人ですー」
ムカつく……。
「おっと、こんなこと言いに来たんじゃなかった」
「は?」
「よかったら、これどうぞ」
紙袋を机の上においていく義妹。
- 33 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/04/24(火) 22:13:03 ID:XcMsfP7K
- 「何コレ?」
「私の本と……一応新聞も」
「本?借りて良いのか?」
「ええ。私はもう覚えちゃうぐらい読んでますから。暇だったら読んでください」
「ああ、悪いな」
「いいえー。義理とはいえ、兄妹じゃないですか」
こいつ、ちょっと良いヤツじゃないか……。
「お礼は期待してますよー」
前言撤回。
結局それか……。
「あの、お義兄さん……冗談ですよ?そんな絶望した顔止めてくださいよぉ……」
「……いや……感謝……してるよ?」
してるよ、してるってば……。
「だ、だからぁっ!!」
困ったように声を荒げる義妹。
「ま、礼をしたいのは山々だが……」
「だが……?」
何をすれば礼になるのだろう。
相手は仮にも女性だし。
「ま。時間はある。ゆっくり考えよう」
「ちょ、ちょっと自己解決しないでくださいよっ!!」
「人に言うことじゃない。気にするな」
「気になります」
「厄介な生き物だな……」
「人間ですもの♪」
人間単位でそんなこといわれても困る……。
- 34 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/04/24(火) 22:13:50 ID:XcMsfP7K
- 「ところで、お前さん、仕事は良いのかね……」
「あ……」
やっぱり忘れてたか。
「じゃあ、お義兄さん、また夕食の時間に来ますねー」
「いいよ、来なくて……」
「あ、ヒドいー。そんなに私のこと嫌いですかー?」
「お世辞でも好きとは言えんな……」
「ヒドいっ……ヒドいわっ!!アナタのこと信じてたのにっ!!」
ベタベタなセリフで去っていく義妹。
個室で良かったよ。
「おい……おーい……」
突拍子も無い行動に全く反応できず、取り残される俺。
今更ながら、あんなのの姉と結ばれた俺の弟って一体……。
アイツの姉にはほとんど会った事ないけど。
「……忘れよう」
嫌なことは忘れるに限る。
頭の切り替えって大事だよな。
「ま、せっかくだし借りた本でも読むか」
紙袋の中を漁る。
デカくて薄くて硬い本。
……絵本だよ、これ。
「暇つぶしにもなりゃしねぇ……」
ブツブツ呟きながら、ページをめくり始める。
……眠い。
───────────────────────
ナース妹の続き。しかも、まだ続くっぽい。
当初の話の予定とズレるズレる……昔は伏線だったものが書いてくうちに……。
あと、すばる先生からいただいた名前、早速使うことになりました。
……ま、貼るのはまだ先ですがね。
- 35 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/04/26(木) 00:59:20 ID:L21V6m8B
- GJです!次の続きも待ってます!
- 36 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/04/29(日) 10:54:59 ID:5RQcHVSk
- ho
- 37 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/05/01(火) 22:34:10 ID:WjLq4VcP
- syu
- 38 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/05/01(火) 23:58:30 ID:Yx7Axtbp
- >>28
すいません……それがどんな状況か考え付かないです…………
>>29
ageるほどしょぼくて申し訳ないです。でも、長い目で見守っていたらいつかいいのを書けようになる……かも。
>>某173さん
夢亜や四羽もそうなんですが、紫乃には元になるイメージがなく、完全にオリジナルなので特に声は考えてません。
岩男さんの声でもいいかもですね。
紫乃はこのスレではゲスト的な位置でしか出しませんが、ちゃんとした紫乃の話を作るとちょっとイメージが変わるかも?
>>遊星さん
GJです!
今回の投下分、密かに結構好きなタイプでしたw
私の考えた名前が他の方の話で使われるというのはちょっと嬉しかったりw
- 39 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/02(水) 22:55:01 ID:C8gL029q
- 「お義兄さん?お義兄さーん?」
遠くで声がする。
うるさいな……誰だよ……。
「お義兄ちゃん?おーい。甲斐性なしー」
……俺のことだよな。
「ガリガリメガネー?研究バカー?起きろー」
「……」
「起きないか……」
残念そうな義妹。
……ムカつく。
「……起きてるよ」
「おわっ!?お、おおおおおお、お義兄さま!?お目覚めになっていらしたのでございますですかっ!?」
「寝てる患者に悪口とは……なかなかよい趣味だな、義妹さんよ」
「お、おーっ、ほっほっほっほっ!!そんなことするのは、お義兄さまにだけですわっ!!」
……変なキャラが出てきた。
「……」
「あぅ……ノってくれなきゃ恥ずかしいじゃないですかー……」
顔を真っ赤にして、気まずそうに指をモジモジ動かす義妹。
「それなら、やらなきゃいいのに……」
「ぶー、私はお義兄さんに楽しんでもらおうと思ってー」
「いいから、そういうの」
「べ、別にアンタのためにやったんじゃないからね……っ!!」
「どっちだよ」
「あ、あははははは!!」
突然笑い出す義妹。
- 40 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/02(水) 22:55:33 ID:C8gL029q
- 「お義兄さん、面白いー!!」
笑いながら面白いといわれた俺は、ちょっとムッとする。
「私、お義兄さんってもっとお堅い人かと思ってましたよー」
「……」
自分で言うのもなんだが、お堅い人間だと思うが……。
「あれ、お義兄さん。どうかしましたか?」
「俺ほどつまらない人間もそうはいないと思うけどねぇ……」
「そうですかー?じゃ、相性良いんですかねぇ、私達って?」
「相性ねぇ……」
「あ、そういうの嫌いですか?」
「いや、いいよ。後学の参考にする」
「む……そんなに真面目に聞かれると困っちゃいますけど……」
義妹はコホンと咳をして、
「お義兄さんはどう思います?」
少し考える。
「……まぁ、初対面に近い状況にしてはよく話してるほうだと思う」
「ですよねー?」
首をかしげて、同意を求めてくる義妹。
「じゃあ、いっその事、付き合っちゃいましょうか、私達?」
「……は?」
「あぅ……そのリアクションは悲しいです……。私のこと、眼中に無いですかー?」
「アンタだけじゃない。付き合うとかそういうの自体がどうでもいい」
「お義兄さん……」
哀れむような目の義妹……。
- 41 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/02(水) 22:56:04 ID:C8gL029q
- 「お義兄さんって、女の人とお付き合いしたことありますー?」
口を開けばこんな話か……女って嫌だね。
「生まれてこの方、科学だけが恋人だ」
「それじゃわかりませんよねー」
「何が?」
「だって、それじゃ食わず嫌いじゃないですか。そういうセリフは、恋の甘さと苦さを味わってからですよー?」
「そんなもんかねぇ」
「ほら、研究だって、理論上は可能なことでも実験してみなくちゃ分からない、でしょ?同じですよ」
……ほぅ。
「なかなか言うじゃないか」
ただのバカじゃなかったんだな。
「納得していただけました?」
「少しはな」
「そうですかー」
いやらしいほどの笑顔を見せる義妹。
「ものは相談ですけどー。お義兄さんってお酒飲めますー?」
「人並みには」
「よし、決まり。退院したら二人で飲みましょ!」
「俺と……アンタ?」
「ええ。お仕事無しで、お義兄さんと話してみたいんで。いいですよね?」
覗き込むように、俺をジッと見つめる目……。
「ま、まぁ……いいんじゃないか?」
義妹の目に耐えられず、答えを急かす。
「じゃ、決まりー!明後日の夜なんてどうです?」
「……」
早い……。
いや……まぁ……その方が……いいけど……。
───────────────────────
- 42 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/02(水) 22:57:07 ID:C8gL029q
- 別に勿体つけるほどのモンでもないのだけど、一応続き。まだまだ続くらしい。
書けば書くほど、ナースとは関係なくなるし、妹とは関係なくなるし……
もっと先のことを考えてから書き始めるべきだよなぁ。まぁ、もともと企画段階から妹感は相当薄いのだけど。
しかし、なかなかピッタリな名前を付けてもらったもんだなぁ。
- 43 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/05/03(木) 03:51:50 ID:bTS0IjT9
- Σd(・∀・)GJ!!
- 44 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/05/04(金) 01:03:05 ID:6oDh8Vaj
- GJ!
続きが気になります!
- 45 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/05(土) 22:41:19 ID:U9Yj2mFh
- 翌朝。
「元気そうで何よりだね」
俺の顔をジロジロと眺める白衣の優男。
「そうですか」
何がおかしいのか、俺にはわからないが、
優男の後ろで、ニヤニヤと俺の挙動を眺めているいつもの看護婦が一人……。
「とりあえず点滴はもう外して……予定通り明日にでも退院できるでしょ」
一瞬喜んだ。
が、予定通りじゃ困るんだよな。
「よかったら、この機会にしっかりとした健康診断とかしようか?」
この医者も、なかなか良い度胸だ。
「いえ、結構……」
「そう。ま、気持ちは分かるけどね。医者としては一応……ね」
「そうですか……」
「じゃ、また明日の朝にでも」
一礼をして病室から出て行く優男。
彼が出て行くのを見届けるとすぐさま……
「おはようございます、お義兄さん」
さきほどと変わらぬ笑顔で、俺に話しかけてくる。
「何か……?」
「いえ……」
俺を見てはクスクス笑う義妹。
失礼な女だ、今更だが。
「失礼なヤツだな……」
「それは分かってますけど……」
「何だよ?」
「言いにくいんですけど、お義兄さん……寝癖ついてますよ?」
「……なんだ、そんなことか」
あまりの下らなさに、思ったことをそのまま口にしてしまう。
- 46 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/05(土) 22:41:51 ID:U9Yj2mFh
- 義妹は少し驚いたように、
「気にしないんですか?」
「そこまで無頓着じゃないが……必死になって気にするほどでもない」
基本、寝癖なんか付かないしな……。
「そーですかー」
つまらなさそうに返事をする義妹。
「いや、まぁ……わざわざありがとう」
「へ……?」
間抜けな声を出して、急に手を止める義妹。
「何か?」
「いえ……何だか、意外……」
「何が?」
「お義兄さんが、素直に『ありがとう』なんて言うとは思わなかったから」
義妹は花瓶に刺さった花をいじりながら、照れたように笑う。
「ほら、男の人ってそういうの口に出すの恥ずかしがるじゃないですか。
お義兄さんは特にそんなタイプだと思ってたんですけど……意外です」
「なら撤回させてくれ」
「あ、褒めてるんですよ!そういうの、良いと思います」
「そうかい……」
ここまで言われるってのは、妙にくすぐったい。
褒められるのに慣れてないんだな、俺。
「さてと、点滴外しますか。動かないでくださいよ、お義兄さん」
義妹の顔が、一瞬で仕事の顔に変わる。
真面目そのものな義妹が、俺の少し血色のよくなった腕を優しく掴む。
気まずいような。
心地よいような。
長いような。
短いような。
必要以上に大人しくしている俺に、義妹は怪訝な表情を見せて、
「どうしました、お義兄さん?」
「……いや……」
恥ずかしくて、たまらず目を反らす。
- 47 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/05(土) 22:42:25 ID:U9Yj2mFh
- 「ふふっ……」
義妹の微笑とともに、一陣の風が吹いた。
強い風だけど、気持ちよくて。
この狭い部屋に一枚の花びらを運ぶ風。
「桜、もう咲いてるんですね」
「……」
桜なんて、気にしてなかった。それも数年単位でだ。
久しぶりに見た桜。
そして……この初めての感覚はなんだろう。
戸惑う俺に、ふぅっと風が吹いた。
義妹の掌に載った桜が、その息とともに俺の胸の上に落ちた。
驚いて顔を上げると、義妹はニッコリと笑って、
「春って気持ちいいですよね」
「あ……っと、そう。そうだな」
「ですよねー」
風を探すように、窓辺に立つ義妹。
「こんなに気持ちいいのに、お仕事なんて嫌だなー」
そしてクルリと身を翻し、
「こんなこと言ったら、お義兄さんに怒られちゃいますよね」
「まぁな」
「では、もう一頑張りしますか。お義兄さんも大人しくしててくださいね?」
「おぅ。また後で、新聞頼む」
「はーい」
小さく手を振って病室から出て行く義妹。
その光景が、頭から離れない俺。
……優秀すぎる頭も問題だ。
───────────────────────
- 48 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/05(土) 22:43:04 ID:U9Yj2mFh
- 大体どの時期に書いていたのかわかってしまうな……。
まぁ、そこまで季節外れってワケでもないし、
北海道あたりの話だと思っていただければ……w
もう書きあがってんだから一気に貼っちまえば良いんだけど、
一気に貼るのがあんまり好きじゃないんでチマチマと。まだまだ続くみたいよ。
- 49 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/05/06(日) 00:47:08 ID:NoDtuGcu
- GJ!
書きあがっていらっしゃるなら是非とも毎日更新を…!
- 50 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/05/06(日) 04:11:51 ID:H+q9nEGF
- 遊星さんに続き桜の時期を逃してしまっている私も明日から続きを書き始めます。
遅くても10日までには投下できるかと。
>>遊星さん
>もう書きあがってるからこれから毎日投下します。
これから毎日ここ見ますw
- 51 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/06(日) 09:22:15 ID:TaYQHRKP
- >>49さん
わざわざ有り難うございます。
毎日でも良いんですけど、毎日だと……ウザくない?w
>すばる先生
自分でハードルを上げてしまいました……w
とはいえ、すばる先生の作品が控えてる以上、
前座は前座らしく早めに貼ってしまわなければいけませんな。
- 52 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/06(日) 22:17:32 ID:TaYQHRKP
- 今日の時間は早い。
早いは早いが、それに加え不安定。
ときどき早くなったり、遅くなったり、不便でしょうがない。
「お義兄さーん!!ご飯一緒に食べませんー?」
ほら、いつの間にか昼だ。
「え……俺と……?」
「はい。ほら、少しですけど栄養の出るもの作ったんですよー」
……焼肉と鰻……。
「嫌いでした?」
「いや、大丈夫。それにしても、アンタ料理上手いのか?」
「んー……お肉は焼いただけですし、鰻は蒲焼を買いましたからねー」
……ま、それもそうか……。
「でも、上手いかどうかは知りませんけど、よく料理は作りますよー」
「へぇ」
「お義兄さん、知ってます?実は……お姉ちゃんの手料理って、前はほとんど私が作ってたんですよ」
「え……?」
衝撃発言、というほどでもないが……驚きの発言に箸が止まる。
「コレ、絶対内緒ですからね?」
「あのバカ、随分嫁の料理上手を自慢してた気がするが……」
「うーん……喜んでいいのかなぁ……」
「あんまりよくないと思う」
「ですよねー……」
はぁっと大袈裟にため息をつく義妹。
- 53 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/06(日) 22:18:05 ID:TaYQHRKP
- 「ま、それはさておき……どうぞ、お義兄さん」
「あ……ありがとう」
義妹から可愛らしい弁当箱を受け取る。
そして、一口。
「どうですか?」
「あ、あぁ。なんか久しぶり」
そもそも食事とか、食べる。とか意識したことがココ最近無かった気がする。
「私でよければ、これからも料理作りますよ?」
小さな口でご飯を頬張りながら、何気なく呟く。
「え……」
今までの人生ではありえなかった提案にしばし固まる俺。
義妹はそれを気にする素振りも見せず、
「あ、そうそう、リンゴ買ってきたんですよ、リンゴ。今剥きますねー」
小さな包丁片手にシャクシャクとリンゴを剥き始めた義妹。
どこか嬉しそうな横顔を見ながら……少し後悔の気持ちが。
「どうぞ。やっぱり入院したらリンゴ食べなくちゃですよね」
「……」
「リンゴ……嫌いですか?」
「い、いや……食べる」
出来るだけ義妹の顔を見ないように、リンゴを受け取り、齧る。
「美味しいですか?」
「あ、あぁ、美味いよ」
「それはよかった。さてと。あんまり長居するわけにはいきませんので、私は行きますね」
「あぁ、ありがとう」
「気にしないでください」
バイバイと小さく手を振って病室から消えた。
一人残る俺は心ここにあらず。
……随分、義妹に入れ込んできている自分に、戸惑い、驚き、その他諸々の感情を感じていた。
───────────────────────
- 54 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/06(日) 22:18:38 ID:TaYQHRKP
- 一応二夜連続で。
随分貼ってきましたが、あと少しで終わります。
次回からは妹目線になっていくので、とりあえず今回は短いですがここまでってことに。
では、また明日にでも。
- 55 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/05/06(日) 23:24:27 ID:NoDtuGcu
- >>すばるさん
楽しみに待っております!
>>遊星さん
GJ!
僕も毎日このスレに参上します!
- 56 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/07(月) 22:12:08 ID:20I++rSh
- 「はぁ……」
病室から飛び出た私は、壁に寄りかかり小さくため息を吐く。
ダメだ……どんどんお義兄さんの顔が見れなくなってく……。
気にしちゃダメだと思うほど、強く意識してしまう。
「こんなの初めてだな……」
「それは恋ね。病院じゃ治せないわよ」
突然の声。
「うわぁっ!?」
「そんなに驚くこと無いでしょ?」
「声、出てましたっ!?」
「ばっちり」
笑顔で答えてくれる女性。
名前は鈴宮鈴さん。この病院の女医さんで、私の大学の先輩。
明るくて、面倒見がよくて、良い人なんだけど……。
「しかし、あのメガネがそんなに良い男かね?」
口はちょっと悪い……。
「っ!?」
「驚くなよ。みんな気付いてるって」
しかも意地悪……。
「……好きになっちゃったみたいだから……」
「簡単で良いじゃない。里見はメガネが好きなんでしょ?」
「うん。でも、お義兄さんは……違うと思います……」
「里見……両思いなんて幻想よ?気持ちなんて関係作ってから何とでもなるわ」
「関係……」
「別にカラダで迫れってワケじゃないぞ?」
「分かってますよぅ!」
- 57 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/07(月) 22:14:26 ID:20I++rSh
- そういうと、鈴さんはニヤッと笑って、
「そんなら話は早い。告れ」
「えぇっ!?」
「里見、声デカいって」
「す、すいません……で、でも……」
「いいじゃない。後腐れするような関係じゃないでしょ?」
「それは……そうですけど……」
思わず暗くなる声。
鈴さんはお見通しのようで、
「拒否られるのが怖い?」
「……はい……」
「メガネの様子を見るに、その心配は無いと思うがねぇ……」
「え……」
「いや、こっちの話……とにかく告るったら告る!メガネは明日まで動けん。絶好のチャンスじゃない?」
「……ですよね」
「そうそう。次の機会なんて無いかもしれないんだから。ね?」
「鈴さん、わかりました!!私やります!」
「そうそう、その意気。じゃ、今夜結果報告を兼ねて飲みに行くわよ」
「ええっ!?」
「成功なら祝い酒、失敗なら……奢るわ」
「わ、わかりました」
鈴さんは満足そうに頷いて、
「じゃ、雑談ここまで。仕事に戻りますか」
「はい。鈴宮先生♪」
鈴さんの後に続いて、お仕事に戻る。
……とりあえず、目の前の仕事を何とかしなくちゃ。
───────────────────────
- 58 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/07(月) 22:15:04 ID:20I++rSh
- 三日連続。
あと一回とそれに加え、エピローグ的なものを予定しております。
ついにすばる先生から頂いた名前が日の目を見ることとなりました。
……申し訳ないくらいチョイ役なのですが。
ホントに申し訳ないんで、気が向いたら、このキャラでスピンオフ的な作品を書いてみようかななんて思ったり。
では、また明日。
- 59 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/05/08(火) 01:18:14 ID:MjQ20xoh
- おお!女医さんも登場!GJです!
スピンオフ作品の方も是非とも希望です!
- 60 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/08(火) 22:49:14 ID:NsG9dHrl
- 決断は思った以上に容易だった。
こちらも、それほど本気ということなのだろう。
仕事は終わったが、着替えるヒマも惜しくて。
そのままお義兄さんの部屋へ。
「……お義兄さん……?」
大きなドアを軽くノックをして、呼びかけると、
「あぁ、入れよ」
いつものぶっきらぼうなお義兄さんの声。
それに従いゆっくり中に入る。
「どうしたんですか、電気もつけずに……」
「あ、いや……考え事してたから」
「そうですか……」
会話が止まる。
薄暗い病室に、重い空気が漂い始めた。
「あ、あのっ……!!」
「あー……っと」
ほぼ同時に話を切り出してしまった。
「あっ……お義兄さん、どうぞ」
「いや……俺は出来れば後のほうが」
「……私も後の方がいいんですけど……」
「そうか……」
また止まる。
しかし、今度はそうは長くなく、
「少しいいか?」
「え……?」
「ここじゃ話しにくいから。屋上にでも」
「えぇ、いいですよ」
「じゃ、行こうか」
お義兄さんは、ゆっくりと体を起こし、私の先を歩いていく。
- 61 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/08(火) 22:49:45 ID:NsG9dHrl
- 頭を整理しながら、お義兄さんのあとについていく。
本当は……このドキドキから早く開放されたいのにな。
そんなことを考えながら、いつのまにか屋上に。
満月に近い月が照らす屋上は、とても静かで、私の緊張を加速させる。
「寒くないか?」
「うん、大丈夫ですよ。お義兄さんは大丈夫ですか?」
「ああ……」
静かに頷くお義兄さん
そして、
「あの……」
ゆっくり話し出す。
「今まで世話になったな」
「いえ、別に構いませんよ」
「いや……それが言いたいわけじゃなくて……なんつーか……」
「え?」
私が聞き返した瞬間の出来事だった。
風が吹いた。
お義兄さんのほうから、私に向かって。
優しくて、温かい風が。
「その……里見歓奈。好き……だ」
「はい……?」
心臓が飛び出すように跳ねだした。
耳が自分の耳じゃないように、
目が自分の目じゃないように、
心が自分の心じゃないように。
「あ……あれ……」
ポロポロと涙が溢れてきて、どうしても止まらない。
- 62 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/08(火) 22:50:15 ID:NsG9dHrl
- 「……変……だな……」
「わ、悪い!そ、その……泣かせるつもりなんて……」
「……ぃ」
「え?」
「悪くなんてないですよ!!嬉しくて……泣いてるんだから……!!」
「えっと……じゃあ……」
「……」
今度は私の番だったのに……ココから先は、言葉にならなかった。
それにきっと、今の顔はひどいものだと思う。
それでもお義兄さんは、優しく私を抱きしめてくれた。
「……」
こうしていると安心する。
……でも何で止まってくれないのかな、この涙は……。
「ホントに、俺なんかでいいのか……?」
返事の代わりに強く抱きしめる。
「いいんだな?研究バカだし、家事できないし、酒癖だってそんなによくないし……」
まだまだ続きそうなお義兄さんの自分責めを……ゆっくり唇で塞ぐ。
「それは……」
驚いた顔のお義兄さんに。
「それは……好きになる前に聞きたかったかな」
さっきの味を忘れないようにもう一度。
「倉音さん……好き」
風に祝福されながら、お義兄さんの愛を噛み締める。
月明かりが妙に優しい夜だった。
───────────────────────
- 63 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/08(火) 22:51:02 ID:NsG9dHrl
- 「まさか、こんなことになるなんてなぁ……」
「ホント。まさかまたお姉ちゃんの妹になれるなんて……ね」
「なぁ……後悔してないか?飽きてきたりしてないか?」
「倉音さんはしてるの?」
「いや、俺は大丈夫だけど……歓奈は……」
「もちろん大丈夫。こんなに幸せなのに後悔なんか出来ないし、飽きるわけがないよ」
「そっか」
「それに……好きな人と飽きるほど一緒にいられるって素敵なことだと思う」
「歓奈……」
「あ、照れてるー?」
「そりゃ……」
「こんなもんで照れてちゃ、結婚式なんて出来ないよ?」
「……不安だな」
「不安なんてないよ。プロポーズだってちゃんとしてくれたし。二人なら大丈夫、でしょ?」
「ま、それもそうか……」
「そうそう。さぁ、帰って祝杯あげよー!」
「また飲むのか?」
「嬉しいときはお祝い。お祝いするにはお酒が必要なのだー。って私の先輩がよく言ってた」
「じゃ、人生で一番嬉しい今日は……かなり良い物を飲まなくちゃな」
「うんうん。その意気その意気。商店街寄って帰ろうか?」
「うん」
「あ、そだ。倉音さん」
「どうした、歓奈」
「これからも、よろしくね」
「ん?」
「これ、ずっと言おうと思ってたの。さ、行こう?」
「あー……っと、歓奈。俺もよろしく」
「うん」
───────────────────────
- 64 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/08(火) 22:57:06 ID:NsG9dHrl
- 四日目。今日で最後です。
まぁ、正直書いてるコッチも小恥ずかしいのですが、
理想は幸せそうであることなので、こんな終わり方でも良いかなと思います。
最後に、毎日凝りもせずにコメントをくれた名無しの方々。
四日間続けてここに来ることができたのも、あなた方のお陰です。どうもありがとうざいました。
- 65 :某173 ◆HsV9Lpvnw. :2007/05/09(水) 00:32:35 ID:0t1K+M7R
- ほわ〜。
丁寧に書いてて、すごく感じ入るものがあった〜。
- 66 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/05/09(水) 02:41:25 ID:wKAXOn7t
- >>遊星さん
とても良かったです。GJ!
毎日更新してくれてありがとうございました!
ハッピーエンドの心地好い余韻…!
お姉ちゃんの話も読んでみたくなってしまった…
今度もし気が向いたら宜しくお願いします!
- 67 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/05/10(木) 06:49:00 ID:Jwox27l5
- >>55
毎度の如く終盤に向かうにつれグダグダになっていくので期待は禁物かもです。
しかも>>50のレスした後に100行くらい書いきそれきり手つかずという……
>>遊星さん
あまーい!乙です!
アク禁かかっていてレスできませんでしたが毎日見させていただきました。
確か次は文化祭の……
- 68 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/10(木) 22:49:17 ID:PcHGJ8KN
- >>65さん
……褒めすぎじゃないでしょうか。
いや、まぁ、読み手が感じたものが全てなので、そう感じていただけたならいいんですけど。
>>66さん
歓奈の姉……誰とどう絡ませたら良いんだろう……。
現段階ではなんともなので、アイデアが降りてくるのをのんびり待ってください。
まぁ、何にせよスレ違いであることにはかわりなさそうですがw
>すばる先生
アク禁解除おめでとうございます。気持ちは物凄くわかりますよw
文化祭は……もういっそ忘れたほうがいいかもですよw
ってのもあんまりなんで……また昔書いてた別の話を近いうちに。
- 69 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/05/11(金) 02:31:18 ID:XX17KPmi
- 正直なところ、走るのはそんなに好きじゃない。冬は寒いし、夏は暑いし、何よりも疲れるし。
努力すればしただけの記録が出る。そこは好きかもしれない。
「お疲れ様!はい、タオル」
「ありがとうございます」
先輩が差し出してくれたタオルで汗を拭く。
「なんで先輩が私のタオル持ってるんですか」
「勿論、鈴夏ちゃんのバッグから取ってきたからだよ?」
またこの人は。まぁ、ありがたくない訳ではないけど。
「勝手に人のバッグ漁らないでくれませんか?」
「まぁまぁ♪それにしても、相変わらずそんなに走っても涼しい顔してるのが信じられないよ」
「そうでもないです。結構疲れてます」
「でも、この調子なら今度の大会が楽しみだね」
「……そうですね」
「あれ?浮かない顔ー。楽しみじゃないのかな?」
大会。そんなものに興味はない。
私には人と競う事の何が楽しいのか理解できないし、する気もない。
私が走ってる事と他人と競う事は関係ないから。
「そんな事ないです。その為に練習してるんですから」
「そっか。鈴夏ちゃんの足なら一位取るのは当たり前かな?」
「そんな事ないです。やるからには全力でやりますけど」
「謙遜謙遜♪それにしても、遂に公式戦デビューだね!初・体・験♥」
楽しそうに先輩が笑う。
「はぁ」
いつもの事だから呆れて溜息だって出てしまう。
「酷ーい。先輩に向かってそーゆー態度取っちゃうんだ?」
「ねぇ先輩?」
「ん〜?」
「帰りにどっか寄ってきません?」
「いいよ〜?珍しいね。鈴夏ちゃんの方から誘ってくるなんて」
「そうですか?」
そういえば珍しいかもしれない。なんとなく誘っただけなんだけど。
- 70 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/05/11(金) 02:31:49 ID:XX17KPmi
- 「うんうん。珍しいよ。もしかして……」
「なんですか?」
何か予定でもあったんだろうか。それなら無理に誘ったりしないけど。
「私に惚れたなっ!?」
「そんな訳あるはずないじゃないですか」
「あれれ。違った?」
バカかこの人は。女が女に惚れるはずがない。桜と一緒に脳細胞まで散ってるんじゃんだろうか。
「当たり前です。バカですか?」
「昔の偉い人がこんな事を言いました。『ムキになる そんなところが また怪し』」
「ああ。バカでしたね。バカにこんな事聞くのは失礼でした。すいません」
「酷いっ!」とかなんとか言ってる先輩をいつも通り溜息であしらい、なんとなく桜の方を見てみる。
「あ」
「私の魅力に気付いた!?」
あの人が桜の木の近くにあるベンチに座っていた。
最近兄さんとよくいる人。ゆな……だっけ?俯いて何か呟いてる。
「そうでしょう。そうでしょうとも。この話を聞いて私に惚れない訳が……」
「何の話ですか?先輩、意味分からないです」
「……どうせ私には魅力なんてないですよ。別にいいもんね。気にしてないもん」
「先輩」
「慰めなんていらないよ。私が欲しいのは愛なの。私を見て。read me!」
「いい加減うざいです」
「はい。ごめんなさい」
最近の兄さんの話にはよくあの人の名前が出てくる。あの人、兄さんの何なんだろう。
「さっきから何見てるの?……あぁ、ゆなちゃん?」
「先輩、あの人の事知ってるんですか?」
「知ってるも何もいつも騒いでるから有名だよ?」
「そうなんですか?」
敢えて先輩だっていつも騒いでるとは言わないでおく。また騒がれてもうるさいし。
「最近草薙君といるとこよく見るけど、あの二人って付き合ってるの?」
「なんで私に聞くんですか」
「兄妹だったらそういう話もするのかなーって思って」
- 71 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/05/11(金) 02:32:19 ID:XX17KPmi
- 「知りません。本人に聞けばいいじゃないですか」
私だって知りたい。最近の兄さんはよく分からない。
昔はなんでも分かったのに、いつの間にか分からない事の方が多くなってた。
「んー。それでもいいけど、鈴夏ちゃんに言ってないならまだ付き合ってないのかな?」
「まだってなんですか」
それじゃまるでもうすぐ付き合うみたい。兄さんにそんな話ある訳……
「ゆなちゃんのあの猛烈アタック受けてまんざらでもないみたいだし、付き合うのも時間の問題かなーって」
「……え?」
「え?って……え?もしかして気付いてなかった?」
「だって、なんで兄さんにそんな事するんですか」
「なんでって……好きだから、じゃない?」
「だから、なんで兄さんなんですか」
だって、兄さんは私の兄さんで。その兄さんが誰かと付き合うなんて考えた事ない。
「さすが草薙君の妹。鈍過ぎだね。草薙君は結構モテモテだよ?本人は気付いてないみたいだけど。あ、噂をすれば」
モテモテ?あの兄さんが?他の女の人と歩いてるとこなんて想像出来ない。
「待ち合わせかにゃ〜?……鈴夏ちゃん?」
本当に兄さんはあの人と?
そんな事……あるはずない。
あの兄さんが。私の兄さんが。
「おーい、鈴夏ちゃーん。私の事を好き好き大好きな鈴夏ちゃーん」
「……え?なんですか?」
「ツッコミもない……。どうしたの?」
「別に。急になんですか。意味分からないです」
「急じゃないんけど……もしかして、『きゃー!私の兄さんが他の女に取られちゃう!』なんて焦ってたり?」
「そんな訳ないです!別に兄さんは私のものってわけじゃないし、別に、兄さんが誰と付き合ったって……あ」
言ってから気付いた。先輩のいつもの悪ふざけ。それにムキになって反応するなんて……
「あ、あはははは……あ、ほら、なんて言うのかな?別にまだ付き合ってる訳じゃないみたいだし、よく見たら待ち合わせっていうより偶然会ったって感じだよ?ねっ!」
「…………」
先輩もまさか私がムキになると思ってなかったんだと思う。困ってる。
「その……ごめん」
「なんで謝るんですか」
- 72 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/05/11(金) 02:32:49 ID:XX17KPmi
- ここからじゃよく見えないし、何話してるのかわからないけど、兄さんが楽しそうなのは分かる。
きっと、家であの人の事を話す時に見せる顔で笑ってるんだと思う。
昔は私と兄さんが話して、兄さんが私と話した事を笑いながら母さんたちに話してたのに。
いつの間にか、私が聞く立場になってる。
いつの間にか、私の居場所が変わってる。
きっとこのままじゃ、これからも変わってく。私の知らない所で。
「兄さんは。兄さんは、私の兄さん……ですよね?」
「え?そりゃあ、兄妹……だし」
「そうですよね。兄妹……なんだから」
「…………ねぇ、鈴夏ちゃん」
「なんですか」
「今日はもう練習終わりだよね?」
「はい」
「寄り道なんだけど、行き先は私が決めてもいいかな」
「どうぞ」
「よし、じゃあつけよう!」
「……は?」
「草薙くんとゆなちゃんを尾行するのですよ、ワトスンクン」
「アホですか?」
「春に桜の木の下でばったり会って何もないはずがない!今日、あの二人に何か起こると私の中の何かが告げている!」
バカなのは知っていたけど、遂に頭に妖精まで飼い始めたらしい。
「先輩、妖精は架空の生き物で現実には存在しませんよ」
「何言ってるの?そんなのあたりまえでしょ。鈴夏ちゃん、春だからって少し気が緩んでるんじゃないかな?」
「先輩がそれを言いますか」
「?」
『掛ける言葉が見つからない』とはこんな時の為にあるんじゃないだろうか。
「なんでもないです。尾行なんかしてどうするんですか」
「鈴夏ちゃん、気になるんでしょ?」
「それは……気にならなくはないですけど」
「つまり、私は可愛い後輩の為に一肌脱いであげようと思ってるんだよ!」
「必要ないです」
- 73 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/05/11(金) 02:33:20 ID:XX17KPmi
- 「本当は尾行なんてしちゃいけないこと……分かってる。分かってるよ。でもね、私には思い悩む鈴夏ちゃんを黙って見ているなんて出来ないの!」
「それって見つかったら全部私のせいにするってことですか?第一、別に悩んでないですし」
「あ、ちょうどホシの片方が動き出したね。これは中々グッドタイミングですぜ鈴夏さん。牛乳とあんぱんもお役目御免だね」
堂々と話を逸らされた。
……帰ろう。
「帰ります。勝手に一人でやっててください」
「なんで!?死ぬ時は一緒だよって言ってくれたじゃない!」
「言ってないです」
「じゃあ鈴夏ちゃんはあの二人が付き合う事になってもいいんだ?」
「それは……」
――――――――――――
- 74 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/05/11(金) 02:36:49 ID:XX17KPmi
- >>69-73 無題
すいません……書き終わらなかったので急遽全部書き直しました。
ネタも無ければテーマもないですし、タイトルすら考えてないです……orz
本来は鈴夏単独で鉱とゆなをストーキングする予定だったんですが、その話はお蔵入りという事で。
次回予告が嘘になってしまいましたが、今回は鈴夏のキャラ紹介的なものと捕らえて貰えれば。
また今回みたいな事になったら目も当てられなくなってしまうので次回予告はしませんです。
>>遊星さん
楽しみにしてます。
- 75 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/05/12(土) 01:07:35 ID:KISmW8sh
- >>遊星さん
のんびり楽しみに待ってますー!
文化祭の方も楽しみにしております!
>>すばるさん
GJです!
一人で尾行よりも二人で尾行の方が賑やかになりそう。
名探偵さんとワトスンクンの活躍ぶりに乞うご期待!?
でも先輩の様子から見て迷探偵になってしまいそうな気も…w
次回の投下も楽しみに待ってますー!
- 76 :某173 ◆HsV9Lpvnw. :2007/05/14(月) 20:06:59 ID:f+pLVw3n
- >すばる氏
今後の展開がにぎやかになりそうで期待できるとです。
- 77 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/14(月) 22:44:04 ID:qt3/8Eya
- 今日は良い天気だ。
俺の部屋に差し込む暖かい日差しの中、何だか眠くなってきた。
「ふぁ……いっそ昼寝しちまうか」
大きなあくびを一つ。
そして、そのままベッドに倒れ込む。
目を閉じればすぐにでも夢の世界に突入できそうな……
ピンポーン
……玄関のチャイム。
「誰だよ……」
不機嫌をたっぷり込めて呟く。
ここで、ふと思い出した。
そういえば、あの注文したもの、そろそろ届くはず……。
俺は焦る気持ちを抑えて立ち上がり、小走りで玄関に。
印鑑片手にドアを開けると、そこには……
「突撃!お勉強会ぃー!!」
……教科書片手に、やたらテンションの高い隣人、相川梨那。
と、
「お勉強会ぃ〜!!」
「……ぉおべんきょう……かぃ……」
石川姉妹。
と、
「お邪魔します、州田先輩」
立花妹。
と、
「えと……はじめまして、州田先輩」
……この人、誰よ。
- 78 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/14(月) 22:45:16 ID:qt3/8Eya
- 「あ……あぁ、はじめまして。えっと……」
「天童です。天童葵」
……あぁ、名前は知ってるぞ。
「あぁ……天童の妹さんか」
「あ、お兄ちゃんのお友達ですか?兄がお世話になってます」
「いやいや」
……これが噂の天童葵か、こんな近くで見たのは初めてだな……。
しかし、なるほど……いいなぁ、天童……。
「ささ、自己紹介も済んだし、上がって上がって〜」
何故か仕切っている梨那。
俺は、皆を引き連れ俺の家に侵入しようとしている梨那の首を掴んで
「これは一体、どういうことかな?相川クン?」
「にゃ?勉強会でしょ?」
「何で俺の家でやるかって聞いてんだよ……!」
少し力を込める。
「にゃにゃっ!!痛い痛いっ!!だって、テスト近いし、お兄ちゃん頭良いし……!!」
「そういう問題じゃねぇだろ……!!」
「に゙ゃあーっ!!」
思い切って爪を立ててみる。
オロオロと俺たちを見ている招かれざる客たち。
「……」
さすがに……ここに来て追い返すわけにもいかんか……。
「しょうがねぇなぁ……」
わぁ、俺ってば大人〜。
- 79 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/14(月) 22:47:15 ID:qt3/8Eya
- 「いいんですか、州田センパイ?」
と、双子の姉、唯奈ちゃんが尋ねる。
……キミ、梨那の次ぐらいに乗り気だったじゃないか……。
「どうせ昼寝のつもりだったから」
「でも……本当にいいんですか?」
と、立花妹が心配そうに尋ねる。
同感、とばかりに首を縦に振る千奈ちゃん。
「ま、立花妹には夕飯ご馳走になったりするしな。その礼にはいいだろ」
「そうそう遠慮なく〜」
「梨那は黙ってろ」
「にぎゃーぁっ!!」
……つーわけで、女だらけの勉強会が何故か開幕してしまいました。
───────────────────────
大体、女ってのは何でこんな話すのが好きなのかねぇ……。
テーブルのまわりに群がる可愛い女の子+1から少し離れたソファ。
ため息交じりで、ページをめくる。
今やるべきことはハッキリ言って、ない。
だが、客人の手前、さすがに楽な姿勢をしすぎるわけにもいかず、仕方なく勉強してるフリ。
「ねぇねぇ、お兄ちゃん。ここ、教えてよー」
ノート片手にモソモソやってくる可愛くないの。
「またお前か……どこだよ……」
「ここー。なんでこうなっちゃうのー?」
「あぁっと……分子、分母に3をかけるんだ。そうすりゃ、この定理を使えるだろ?」
「ほぉー……そういえば授業で聞いたかもー。ありがとー」
笑顔で礼を言って、また群れの中に戻る一人だけ二年生の梨那……。
……って、よく考えたら、
「天童妹がいるんだよなぁ……」
天童妹は勉強も出来るらしいし……立花妹、石川妹だってそんな悪いとは思えない……。
ってことは、このまま俺は梨那専用の存在……?
- 80 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/14(月) 22:48:05 ID:qt3/8Eya
- 「私がどうかしましたか?州田先輩」
やや前方から、天童妹の声。
少し驚いたがそのまま、
「いや……天童さんがいれば基本的には俺は必要ないなって」
「あはは、そんなこと無いですよ」
「確かに、二年の勉強は無理みたいだな」
横目でペンを握る梨那を見る。
天童妹はそんな俺を見て、
「ホント仲良いんですね?」
と、クスリと笑う。
「そう見えるか?」
「はい。ホントの兄妹みたいです」
「それ皮肉?まぁ、幼馴染なんて兄妹みたいなものだけどな」
「……そうですか……」
俺の一言に、急に沈む天童妹。
「何よ?」
「……いえ……州田先輩に言うことじゃ……」
「ふぅん……まぁ、あの天童だしな。難しいよなぁ」
「え……?」
驚いた様子の天童妹。
「違うか?」
とは聞いてみたものの、確信に近いものなら持っている。
俺の顔は不敵な笑顔に見えているかもしれないな。
「……さすが……ですね」
「まぁね」
誤魔化しても無駄だと判断したのか、思ったよりもあっさり答える天童妹。
- 81 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/14(月) 22:48:51 ID:qt3/8Eya
- 「ふぅん……じゃ、妹が原因じゃないのかねぇ」
「原因……?」
「アイツの女嫌いは筋金入りだからな……いや、だったというか」
「え……」
「昔からね。ちょっと前までは会話も出来なかったんだけど、最近は随分楽しそうに話してやがるからな」
天童妹が、ギュッと拳を握る。
そうだ。この人はこういう難儀な人間だったな……。
フォローフォローっと。
「てっきり可愛い妹のお陰かと思ったんだが」
「……」
何も言わない天童妹。
「ま、いいんじゃない。真実はどうあれ、そういうことでさ。少なくとも、俺はそうだと思うけど」
「はい……」
「俺を疑ってる?」
「いいえ……じゃあ、そういうことにしておきますか……」
天童妹の瞳に、次第に力が戻る。
それを満足げに眺めていると、
ピリリリリリリリリ……
携帯の着メロが鳴り響く。
画面に書かれた名前。
タイミングだけは外さない男に、思わず笑ってしまう。
「おぅ、どうした天童」
ピクッと反応する天童妹。
「州田?悪いんだけど、問題集の58ページの問2を教えて欲しいんだけど……」
「……あー、この問題か……電話口で説明するの面倒だから、お前、俺の家来いよ」
「え?でも、俺、州田の家知らないぞ?」
「気にするな。迎えが行く」
「いいのか?」
「あぁ。家で待ってろよ」
「わかった、ありがとな」
「ふっ……こちらこそ」
「何故州田が礼を言う?」
- 82 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/14(月) 22:49:43 ID:qt3/8Eya
- 「別に。じゃ、切るぞ」
「待ってるよ」
黙って電話を切る。
そして、天童妹に向き直って。
「つーことで、頼むわ」
「……はい」
「あぁ、ちょっと待って。例の問題の答え、今書くから」
「州田先輩……」
「ん〜?」
必死でペンを動かしながら返事をする。
「ありがとうございます……!!」
「べつに。暇つぶしさ」
「そうですか。じゃあ、私、先輩と相川先輩のこと応援しますから」
「……」
……茶化されるのには慣れてるよ。
「ほれ、書けた」
「ありがとうございます……」
「ま、友達だからな。あの天童だから、腹立つこともあると思うけど、頑張れよ」
「はい!!」
お辞儀をして、我が家を後にする天童葵。
「ありゃー、葵ちゃん帰っちゃったんだー」
その後姿を眺めながら、梨那が呟く。
「あぁ、用事があるんだと」
「そっか。残念ー。それより、お兄ちゃん、ここ教えてよー。」
「んー?どれ?」
「58ページの問2ー」
「あぁ、これはなー……」
今頃天童家では何が起こっているのやら……。
まぁ、天童だしな。
妹怒らせてないといいけど……。
───────────────────────
- 83 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/14(月) 22:50:42 ID:qt3/8Eya
- 妹関係なくないか、コレ……大丈夫か、昔の俺。
この際だから言います、言っちゃいます。
散々引っ張った文化祭の話は、この話の後に繋がる話で、
未来双子葵でバンドを組む。みたいなノリだったのですが、
まぁ、演奏描写なんぞ当然書けず、
無駄にセルフコラボしたワリにはいつにも増して薄っぺらになってしまったので放置してたワケです。
部分部分は悪くないと思うんであとは流れを何とかできれば、納得できるかなと。
何にせよアイデア待ちな感じなので、ゆっくりと待っていただけたら。
>すばる先生
こういうノリ好きです。
続きを期待しておりますゆえ、お早めにw
- 84 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/05/15(火) 00:11:06 ID:4G3OZuQJ
- GJすぎる!!
- 85 :某173 ◆HsV9Lpvnw. :2007/05/16(水) 01:06:56 ID:Tc2JXOUc
- >……これが噂の天童葵か、こんな近くで見たのは初めてだな……。
>しかし、なるほど……いいなぁ、天童……。
「可愛い」と云う言葉を使わずに可愛いことを表現しているのがイイ。
>「そうですか。じゃあ、私、先輩と相川先輩のこと応援しますから」
予想外。でも逆に云えば、予想を読者にさせしめるだけの描写が
できているからなのだろう。
イイ!続きが楽しみ。焦らずしっかりと。
- 86 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/05/16(水) 01:52:48 ID:0yyk7u7v
- GJです!
勉強会、懐かしい…
集まった友達と喋りまくったり
ゲームやる方に夢中になっちゃって、
ちっとも勉強が捗らなかった記憶があります…w
文化祭でバンド、良いですねー!
ゆっくりまったり楽しみに待っておりますー!
- 87 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/22(火) 20:36:35 ID:57hCNT1q
- 保守。
文化祭のアイデア出てくれない。ホントに秋までかかったりして……w
その代わり別のネタばかり出てくる……例の日にでも使おうかな。
- 88 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/05/24(木) 02:18:47 ID:6BKV4Dke
- 最近だんだん暑くなってきましたねぇ…
これ置いておきますんでのど渇いた方はどうぞー
っ【氷入り冷たい麦茶】×3
>>遊星さん
秋までって…まだ夏も来てないですよw
例の日って何の日だろう…
楽しみですー
- 89 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/05/24(木) 13:18:28 ID:f9EVOQOS
- 氷入り冷たい麦茶よりも氷庫さんが欲しい今日この頃……
姉スレが活気付いてきてるので私もさぼってないでそろそろ続きを書き始めるとします。
遊星さん>
楽しみにしてますよ〜
- 90 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/05/24(木) 21:53:49 ID:iOZh4bEz
- >>88
>例の日
……一応二年前からやってみたりしてるんだけどな。
まぁ、いいや。7月12日です。詳しくは過去ログで。
>すばる先生
姉スレ、名前消すのを忘れて書いてしまった……。
ま、それはさておき……俺はしばらくアイデア無いので……
すばる先生。頼りにしてますよw
- 91 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/05/27(日) 00:26:36 ID:IayRk8RZ
- hosyu
- 92 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/05/28(月) 01:06:30 ID:/GJ/CgFt
- >>すばるさん
楽しみに待ってます!
姉スレへの投下も待ってますよー!
>>遊星さん
失礼しました…
まだ祭りはだいぶ先だけど今から待ち遠しいっす!
期待しております!
- 93 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/05/29(火) 03:08:30 ID:k8l7jFtz
- >>遊星さん
そう言われると早く投下しなければいけない気がしてきますねw
実際は一回くらいなら投下出来るんですが……ちょっと気に入らない部分がありまして。
もうちょいお待ちくださいませ。
追伸。私も姉スレに誤爆しました。素で('A`)
>>92
つ【http://game12.2ch.net/test/read.cgi/gal/1106310589/522】
自分、不器用ですから。
冗談はおいて。
結構前に投下しようと思ってたんでネタはあるんですが、最近自分のサイトが放置気味なのをなんとかしたいんで姉スレの投下は微妙な所です。
- 94 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/06/02(土) 03:27:22 ID:AExunG9q
- 露と散れ
- 95 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/06/02(土) 03:29:53 ID:AExunG9q
- 剣道部のエース
黒髪ロングで昔の事故で右目が薄赤のオッドアイツンデレ寡黙
剣道するときは長い髪を束ねる
俺が世話しようとすると竹刀つきつけてきて
お兄の忠告はいらない
とか怒らせると
露と散れ
とかつぶやく
- 96 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/06/03(日) 01:52:27 ID:RPvGOGCn
- >>すばるさん
そうですかー
気長にお待ちしておりますので
お手すきの時はお願いします!
妹SSの続きも待ってますー!
サイトって小説のサイトでしょうか、
(既出でしたらすみません…)
- 97 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/06/04(月) 07:46:10 ID:hC7WVdp+
- ロリっ子は?
- 98 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/06/08(金) 10:31:15 ID:148L5l8R
- >>95
妄想したらちょっと萌えました
>>96
ゆなの話がなかなか進まないので、とりあえず今書いてある分を2、3日中に投下します〜。
サイトの話を出したのは初めてですよ。一次・二次創作サイトにするのが目標です。多分。
スレタイとかコテとかヒロインとかで適当にググれば見つかるようにはしてあるんで、もし、興味があれば。
- 99 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/06/09(土) 02:43:33 ID:N3OYWRBr
- 「せんぱ〜い!」
飲み物を買いに出てすぐ、さっき僕を送り出した声が後ろから聞こえてきた。
少し頬を火照らせながら走ってくる声の主は僕の元まで走ってきて、両手を膝に付き息を整え始める。
本当に出てすぐだから、これくらいで疲れるのはどうかな、とも思うけど、口に出さないでおく。
「先輩、やっぱり、ゆなも、一緒に、行きます」
「走ってこなくても、学校で待っててくれて構わないのに」
「だって、飲み物を買いに行くって、どこまで行くつもり、ですか」
「ん……一番近くの自販機まで……かな」
実はこの自販機、少し遠い。学校の中にある事にはあるのだけど、さすがに私服で学校に入るのもどうかと思いこちらを選んだ。
それが何か問題でもあったんだろうか。
「一番近くの、自販機って言っても、10分以上掛かるじゃないですか。だったらゆなも、行きます」
「……そう?そうだね。じゃあ、行こっか」
そう言って改めて前を向き歩き始めた僕だが、ゆなに動く様子はなくもう一度振り返る。
「でも、その……ちょっとだけ、待って貰えないかな、なんて」
さっきから言葉が変に途切れると思ったら、まだ疲れてたんだ……。
息を整え始めた時からずっと俯いていたから気付かなかったが、よく見るとまだ頬がほんのり赤かった。
この体力の無さには少し同情を覚える。
「べ、別に疲れたとかそういうんじゃないんですよ!?急いぐ理由もな、ごほっ……急ぐ理由も、ないから……」
慌てて誤魔化そうとするが全く意味が無くて、というか、逆効果だったり。
そんなゆなを見て、少し優しい気持ちになってしまったりもする。
「……別に無理しなくても大丈夫だよ。ちゃんと待ってるから」
「はぅ……すいません」
そう言って俯いてしまう。
「謝る事じゃないよ」
そう言って、なんとなくゆなの頭を撫でてあげる。
普段なら髪が乱れると怒るのに、ゆなが怒る様子はなかった。
それから特にする事もなく、ゆなを撫でる手の行き場もなく、沈黙。
「…………」
学校からは部活に励む声が聞こえ、空からは鳥の声が聞こえる。都会でも田舎でもない中途半端なこの地域だから、休日のこの時間は車も少ない。
「平和だなぁ……こんなに平和だと、なんていうのかな?悪い事が起こる前触れ、みたいな気がするのはなんでなんだろう」
「!」
- 100 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/06/09(土) 02:44:51 ID:N3OYWRBr
- 上下していたゆなの肩がビクッと跳ねて固まる。
「どうしたの?」
「ゆな、何も企んでないですよ?」
「…………」
なんとなく―――本当はなんとなくなんかではないのだけれど―――行き場を失っていた手を離す。
「なんでそんな目で見るんです!?なんで離れるんです!?ゆな、今何も企んでないって言ったじゃないですか!」
「……うん……そうだね」
「だからなんでそんな目で……。先輩は、ゆなの事を信用できないですか…?」
目を潤ませながら上目遣いに見つめてくる。
この目をされるとまるで拾ってきた捨て猫を親に叱られ、もう一度捨てに行く時のような、どうしようもない罪悪感に捕らわれる。
僕は悪くないのに、まるで僕が悪いような。そしていつもゆなのペースになってしまう。
せっかくの平和な時間……なんとかこの時間を守らなくては。
なんとか……なんとか……
「……もう疲れはとれたよね?そろそろ行こっか」
そう言って僕はそそくさと歩き出す。
これは仕方ないこと。仕方ないこと。僕が悪いんじゃない。だって僕はこの子を助けようとした。なんて本当に拾った子猫をまた捨てるような心境になる。
「あからさまに話をそらされた!?」
「あはは……」
「しかも笑って誤魔化そうとしてる!」
「な、なんのことかな……」
「先輩、嘘つくの下手すぎです!」
「む……早く来ないと追いつけなくなっちゃうよ、歩幅的に」
「酷いです!気にしてるのに!」「
ゆなの心無い一言に傷つきつつ怒りつつ。
これはこれで平和というのかな、なんて思いながら歩き続ける。
この時僕は、この平和な時間があっさりと壊されるとは思ってもいなかった。」
◇ ◆ ◇
「ゆなの心無い一言に傷つきつつ怒りつつ。これはこれで平和というのかな、なんて思いながら歩き続ける。この時僕は、この平和な時間があっさりと壊されるとは思ってもいなかった。……そう。あの大人しい鈴夏が、まさかあんな事を……」
「何言ってんですか?」
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0ch BBS 2004-10-30