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[第七弾]妹に言われたいセリフ
- 154 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/08/02(木) 23:04:31 ID:35tDiHOz
- 雲ひとつ無い青空。
透き通るような青を背景に、ケヤキの木は葉を茂らす。
さらにその下では、太陽の光を受けて二つの影が揺れる。
「はぁ……」
鉛のように重いため息が口から溢れた。
隣の影は得意げな顔をしながら
「『空が青いと、俺が汚れているのがよく分かる……』って?」
「人の心を読むな、遥……」
ため息と同時に諌めると、
「それ、お兄ちゃんの口癖じゃない……」
呆れたと言わんばかりの口調で反撃してくる妹の遥。
「あとは……『どうせ俺なんか……』とか『絶望だ……』とか」
似てない口真似で俺の口癖を紹介する遥。
……正直、楽しい物ではない。
「妹にまで俺は嘲笑われているのか……」
「あ、ゴメンゴメン。機嫌直して!ねっ!?」
「気にするな、いつものことだ」
「あ、ちょっと、歩くの速いよー」
「いつものことだ」
「もー……」
不満を漏らしつつも、早足でついてくる妹。
「あ、そういえば知ってるー?」
「何を……?」
「希望ヶ丘って知ってる?」
「希望……希望……」
呟くたびに胸のあたりがズンと重い……。
「あぁ、ゴメン。お兄ちゃんってそういう言葉嫌いだよねー」
「大丈夫だ、耐えてみせる……」
- 155 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/08/02(木) 23:05:29 ID:35tDiHOz
- 「そんなに辛いんだ……。
まぁ、いいや、その……ヶ丘っていう映画がやるんだけど、それ、この辺で撮ってるらしいよ」
「……へぇ」
「それで、その映画誰が出るか知ってる?」
「……俺の知ってそうな芸能人?」
「んーん、全然」
「じゃあ振るなよ、そんな話題……」
「へへー。早く誰かに言いたかったんだよー!!だから、一番最初にお兄ちゃんに教えてあげようと思って」
「とっておきの情報どうも……」
心の底から必要としない情報にうんざりしながら、さらに歩みを速める。
「もしかしたら、この辺にも来るのかなぁ?」
「来ないだろ、こっちには」
「そうかなぁ」
「この辺で丘っていったら、蔵野公園のあたりだろ?」
「うん、多分」
「だったら、こっちじゃなくて十崎市のほうに行くんじゃないか?向こうの方がデカいし」
「夢が無いなぁ……」
「夢……」
「あ、ゴメン」
「……大丈夫。耐えられないほどじゃない」
「世話が焼けるなぁ」
といいつつも何だか嬉しそうな遥。
「うん、ホントお兄ちゃんったら世話が焼けるよ」
「二度も言うな……」
「三回目聞きたい?」
嫌なやつだ……
「急がないと遅刻するぞ」
「あ、待ってよー!!」
暑い一日になりそうな予感を、肌と頭皮で感じつつ。
まさか、あんなことが起こるとは、俺のご自慢のネガティブでも思いつかなかったのだが……。
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- 156 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/08/02(木) 23:06:20 ID:35tDiHOz
- あの人を見たときから、ずっと書いてみたいと思っていた台本。
そのせいで妹ほったらかしで兄の性格から決めたワケですが……。
この兄妹の関係は気に入ってるんで、結果オーライといえなくもないかと。
ちなみに今回完璧な見切り発車で、オチはまだ決まってません。
期待は厳禁です。
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0ch BBS 2004-10-30