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[第七弾]妹に言われたいセリフ
- 1 :No.2 :2007/04/11(水) 21:26:33 ID:2u7WT58l
- 「あ……。ま、待ってたわけじゃないのよ!これは……たまたまよ!!誰がバカアニキなんか……」
こ、ここは脳内の妹が囁いたセリフを暴露しちゃうスレに決まってるじゃない!!
【バカなアニキのための四箇条】
・変なのは無視!釣り針にも引っかからない!……ったく、ホントにアニキはバカなんだから。
・SS職人にはお礼を忘れない。これぐらい、言われなくても当然よねぇ?アニキ?
・メール欄に『sage』……べ、別に二人きりとかそういうのは関係ないんだから!!
・浮気は禁止。……私だって……アニキに浮気されたら傷つくわよ……う、嘘嘘!!今のはウソよ!!
【バカアニキとの思い出】
妹に言われたいセリフ
http://game.2ch.net/gal/kako/1022/10225/1022257886.html
[第二弾]妹に言われたいセリフ
http://game4.2ch.net/test/read.cgi/gal/1028470988/
[第三弾]妹に言われたいセリフ
http://game9.2ch.net/test/read.cgi/gal/1056993709/
[第四弾]妹に言われたいセリフ
http://game9.2ch.net/test/read.cgi/gal/1106065356/
[第五弾]妹に言われたいセリフ
http://game9.2ch.net/test/read.cgi/gal/1110717816/
[第六弾]妹に言われたいセリフ
http://game12.2ch.net/test/read.cgi/gal/1129126207/
過去ログ倉庫
ttp://www.geocities.jp/mewmirror9/
じゃあ、このスレも楽しんでね、アニキ?
- 432 :長い物に巻かれた :2008/04/02(水) 01:15:16 ID:VqT0P5Y+
- 「ふぅ」
湯舟に浸かり、一息つく。私はお風呂が好きだから、日本人に生まれて来て、正解だったと思う。
「うーん。」
髪の毛をいじる。ふわふわのくせっ毛。羨ましいって言う人もいるけど、私はやっぱり、ストレートの方がよかった。
視線を落とす、女性特有の膨らみが二つ、湯舟に浮いている。姉と違って、私は発育がいい。少しだけ、自分で揉んでみた。
「………んぅっ」
……………変な所を触ってしまった。
天井を見上げる。胸は、べつに大きくなくてもよかった。小さすぎるのも嫌なので、普通サイズが一番だと、私は思っている。
髪のことも、胸のことも、無い物ねだりだと、自分でも思う。それでも、そう思ってしまうのは、まさしく『理想』と呼べる女性を知っているから……
少しは、私の方も見てよ………
数日前の事を、唐突に………本当は、唐突ではないかもしれないけれど………思い出す。
あの時は、聞こえない振りをしたけど、本当は聞いてしまった………親友の、切ない本音を。
「はっぱ………かけようかな。」
親友の………あんな顔なんて、見るのは嫌だから。
どんな結果だろうと、今のままより、きっとましだから。
「よし!!」
決行は明日。月曜日。
〜・〜・〜・〜・〜・〜
ちょっと伏線気味に書いてみました。
短くまとめるつもりが、予想以上に長く………orz。
遊星さん、GJです!!続き待ってます。
- 433 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/04/02(水) 02:28:32 ID:KZjVHFFp
- 職人さんお二方ともGJ!続きも待っとります!
- 434 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/04/02(水) 23:56:53 ID:meoYloJ6
- 二人とも乙!
テラ萌えるわぁ
- 435 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/04/03(木) 02:02:01 ID:v1chYpxt
- >>431の路線も良いですねぇ、そして>>432はエロいです。
- 436 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/04/05(土) 00:26:29 ID:HdUeiqt+
- 「……」
「……」
青空の下、沈黙の二人。
別に気まずいわけではない。
黙って、この二人の間に流れる雰囲気を楽しんでいる。
……のだと僕は思っていたが……
「兄さん?」
「ん?なに?」
「やっぱり私はつまらない?」
「え?」
「さっきから黙ってる……」
そうか、さすがに無口すぎたか。
「あぁ、ゴメン。少しボーっとしてた」
「はは。こんな何も無いところに呼び出して悪かったね」
「いや、静かで良いと思うよ」
「そんな私なんかに気を使ってくれなくても構わないよ。文句があるなら、遠慮なく言えば良いのに」
「ううん。こんなに良くしてもらってるのに、静流さんに文句なんていったら罰が当たるよ」
「当たらないよ。私は兄さんと一緒にいることが嬉しいんだから、怒られたくらいじゃ」
「なんか大仰だなぁ……」
「それだけ、私の中の兄さんが占める割合が大きいってことだよ」
微笑む静流さん。
うーむ……それはそれで、申し訳ない気も……。
「そうだ。兄さんに少し相談したいことが、あるんだ」
「ん?相談?珍しいね」
「うん。で、相談なんだけど……」
座りなおし、ジッと俺の目を見る静流さん。
「私たち、出合ってもう随分経つよね?」
「そうだね、もう……3ヶ月くらいかな?」
「うん。正確には3ヶ月と12日。それでなんだけど……」
「……?」
- 437 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/04/05(土) 00:27:00 ID:HdUeiqt+
- 珍しい。
静流さんが口篭っているなんて……。
「えっと……うーんと……」
「静流……さん……?」
「だから!そろそろ……静流さんなんて他人行儀な呼び方は……辞めてほしいななんて……」
徐々に小さくなっていく声。
でも、ちゃんと一字一句逃さず僕の耳には聞こえた。
「あぁ……そんなことでいいの?」
静流さんの硬い雰囲気から発せられた提案に、肩透かしを食らった気分。
「そ、そんなことって、兄さん!私にとってはとても重要なことで……!」
「あ、えっと、ゴメン。そんなつもりじゃ……」
怒っているというより、お説教と言うのに近い言葉に思わず、頭を下げて謝ってしまう。
「悪気があるわけじゃないんだ……許してよ、静流ちゃん」
「……!」
睨まれた……。
「……呼び捨てが良い……」
ボソッと呟く静流……。
こだわっているんだ……。
「分かったよ……静流」
「もう一回呼んで……?」
「うん。静流」
「ありがとう。幸せだよ、兄さん」
いつもの口調でそう言った静流、でも嬉しさを隠せない顔。
「兄さん、いつものやろうか」
「え?ここでっ!?」
「いいからいいから。ほら、ちゃんとコレも」
家からそんなものを持ってきたって事は……最初からそのつもりですか。
- 438 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/04/05(土) 00:27:33 ID:HdUeiqt+
- 「こんなに天気が良いんだ。きっと気持ち良いよ」
「……じゃあ……お言葉に甘えようかな……?」
「クス……いっらしゃいませ」
穏やかな太陽。
心地よい春風。
柔らかな静流の膝枕に横になり、耳かきをしてもらう贅沢。
ただ、冷静に考えると、この体勢は恥ずかしいぞ……。
「ふふ、気持ち良いんだね。兄さん」
「あぁ……」
間抜けな声……。
「愛してるよ、兄さん」
「こんなときに言わなくても……」
「本当は、四六時中言っていたんだけどね」
「勘弁してよ……」
「はは、今日は今の兄さんの横顔に免じて許してあげるよ」
時を忘れてしまいそうな、ゆったりとした時間。
今日もしっかり静流に乗せられてしまったが……まぁ、いいか。
「そうだ。たまには静流にもやってあげるよ」
「え?わ、私はいいよ!」
「まぁまぁ、そういわずに。膝枕もちゃんとするよ」
「う……じゃ、じゃあ……」
ちょっと勝った。
───────────────────────
作品を貼った後は人が増えるが、急速に人がいなくなるね……。
他のSSスレとかはどうしてるんだろうか。
素直クール妹後編。好きなんだけど、妹である必然性が薄い……いつものことか。
次回はネガティブ兄vsクール娘編……よく考えたら冬の話だったなぁ……。
- 439 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/04/05(土) 05:21:26 ID:S15QW7Xj
- GJ!
次の作品も楽しみにしてます
- 440 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/04/06(日) 00:21:43 ID:KJ8815af
- グッジョブ!
- 441 :長い物に巻かれた :2008/04/07(月) 02:05:07 ID:axLZxt3H
- 一応、投下しときます。
御国家です。
雪華が風邪をひいた。
普段から、健康管理はしっかりしている妹なので、すぐに治るとは、思うんだか。
「けほっ……けほっ。」
「大丈夫か?」
辛そうだったので、背中を軽くさすってやると、雪華は、申し訳なさそうな顔をしながら、
「大丈夫…です、兄さん。………気を遣わせてしまって、すみません。」
そう、返事をした。
背中をさするのをやめ、頭を軽く撫でる。
「あまり、大丈夫じゃなさそうだな。
あと、こういう時ぐらい、甘えろ。」
「……………ずるいです、兄さん。」
そんなやり取りの後、しばらく黙ったまま、雪華の頭を撫で続ける。
………………
「紅葉、開けてー。」
部屋の外から、姉さんの声が聞こえたので、撫でるのをやめ、ドアの方へ向かう。手が離れる一瞬、雪華が、寂しそうな顔をした気がするが、それは自意識過剰というものだろう。
「雪華、具合のほうはどう?」
「いえ、大丈」
「あまり、大丈夫とは言えない。けど、朝よりは大分マシにはなってる。」
雪華が「大丈夫」と、返事をしようとしたので、それを遮り、正確な現状を、姉さんに伝える。
姉さんは、少しだけ、困ったような、呆れたような顔をしたが、結局は、とびきり優しい微笑みを浮かべながら、俺がしたのと同じ様に、雪華の頭を撫でた。
- 442 :長い物に巻かれた :2008/04/07(月) 02:07:54 ID:axLZxt3H
- 「もう、あんまり無理しちゃ駄目だよ?」
「はい………姉さん。」
「風邪ひいた時くらい、甘えて良いんだからね?
それと、お粥作ってきたから、食べさせてあげるね。」
「え!ちょっ、姉さん。」
「食べさせてあげるね。」
にこっ。
逆らう気を奪うような、綺麗な笑顔を、雪華に対して向ける姉さん。雪華も観念したようで、諦めたような溜息をついた。
「あ、紅葉。少しだけ外に出ていてくれる?」
と、そこで唐突に、姉さんがそう言った。
「ん?なんで?」
「もー、気が利かないなぁー。」
軽く頬を膨らませながら、姉さんは、お粥の乗っているお盆に視線を移す。
「あー、なるほど。じゃあ俺は、薬でも持ってくるよ。」
お盆の上には、お粥と一緒に、濡れタオルが置いてあった。
「うん、分かればよろしい。」
そういえば、随分汗かいてたなぁ、雪華。
〜・〜・〜・〜・〜・〜
- 443 :長い物に巻かれた :2008/04/07(月) 02:11:11 ID:axLZxt3H
- コンコン。
「姉さん、雪華、もういいか?」
30分程時間をつぶし、薬を持って、雪華の部屋を訪れる。
「兄さん?もう、入っても問題ありませんよ。」
雪華の返答があったので、扉を開け、部屋に入る。
「あれ?姉さんは?」
部屋の中には、雪華しかいなかったので、疑問に思い、質問してみる。
「夕飯の買い出しに行くと言って、少し前に出掛けましたが。行き会わなかったんですか?」
「ああ、俺もさっきまで、部屋にいたからな。」
そう答えて、ふと違和感を感じた。
雪華の声が、少しだけ強張っているように感じたのだ。
「………姉さんと、何かあったのか?」
気になったので、そう質問すると、雪華は、少しだけ驚いたような顔をして、
「こういう時だけ………鋭いんですね。」
と、拗ねたような声で答えた。
「兄さんは………姉さんの事、好きですか?」
間を置かずに、雪華が質問をしてきたので、
「そりゃあ……」
好きだよ、家族だから。と続けようとして………やめた。
雪華が、とても真剣な目で、とてもまっすぐな瞳で、見つめてきていたから。だから……………『そういう』意味なんだと、理解した。理解………してしまった。
- 444 :長い物にマカロニ :2008/04/07(月) 02:22:01 ID:axLZxt3H
- 「どうして………分かったんだ?」
隠しても無駄だと思い、遠回しに、けれど正直に、自分の気持ちを白状した。
「分かるに………決まってるよ。」
声色に含まれる悲しみに……ズルイ俺は、気付かない振りをする。
「そう…………か。」
それしか、言えなかった。頭を撫でてやりたかったが、出来なかった。今それをするのは、とても残酷な事だから………。
「薬、置いておくから、しっかり飲めよ?」
耐えられなくなって、薬だけ渡して、部屋を出ようとする、
「…………あのね。」
背中を向けたところで、雪華に呼び止められた。
振り返るのは、怖かった。けれど、
(本当は…………逃げるべきじゃあ、ないんだろうな。)
そう思い、振り返る。
雪華は…………笑っていた。大粒の涙を流しながら………それでも、吹っ切れたような、穏やかな笑顔を浮かべていた。
「頑張ってね、お兄ちゃん。」
ごめんな、雪華。お前の気持ちに応えれなくて。
許さなくてもいいから、信じて欲しい。
『妹』として、お前の事、愛しているよ………。
ーーーーー・ーーーーー
な、長かったです。また、無駄に心理描写多いです。読みにくいです。すみません。
一応、雪華の気持ちには、決着を付けました。続きも一応考えては有るんですが、桜お姉ちゃん中心の展開になってしまうので、妹スレで書くのは………。
後は、今回のSSの雪華sideぐらいです。
- 445 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/04/08(火) 01:33:02 ID:fwTmdHcp
- GJ!姉スレへの投下もまってます。
- 446 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/04/08(火) 09:38:41 ID:qyg6Uq1J
- >>436-438
これは良い義妹です。
>>441-444
雪華が可愛過ぎて萌える
- 447 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/04/09(水) 00:20:14 ID:6HHJN2Kp
- 盛り上がって来た感じだな
- 448 :長い物に巻かれた :2008/04/09(水) 00:27:43 ID:MMUtx0W4
- なにを投下しようか、悩んでます。
とりあえず、脳内設定(妄想)を書いておきます。
ちょっと、話に関わる設定も有ります。
御国家side
御国 桜→御国家長女、才色兼備で家事万能、姉馬鹿と、テンプレな姉。演劇部部長。
御国 紅葉→御国家長男、桜と同等レベルの完璧超人、クールだが、隠れシスコン。演劇部所属。
御国 雪華→御国家次女、成績優秀だが、基本的には、努力の人。冷静で健気。美術部所属。
バカ兄妹side
バカ兄→可奈、由佳の兄、ノリに生きる男。
可奈→ボクっ娘、明朗快活、オープンブラコン。貧乳だが、身長は、それなりにある。
由佳→可奈の妹、雪華の親友。一番普通な人。繋ぎ役。ちょいレズっ気あり。
- 449 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/04/09(水) 22:53:56 ID:yx9TgAMl
- 草木生い茂る密林。
あらゆる生き物がその繁栄を求め、他の生き物よりも抜きん出ようとその牙を振るう。
「!?」
ふと空高くに鋭く尖った気配を感じた。
「来るな……」
周囲を警戒しつつ、相棒とも言える武器に魂を込める。
重く輝く、重弩。
これを持ち歩くことはこの業界では随分と変わり者と称されるが、
俺はこの武器こそ自分の命を預けるに相応しいと思っていた。
「来るの、お兄ちゃん?」
俺の後ろを歩いていた妹が俺が立ち止まったのを見て、足を止める。
そういえば、今日は二人で来ていたことを思い出す。
「あぁ、どうもそのようだ」
天空から飛来する気配の正体を、スコープで捉える。
「じゃあ、私たち兄妹の初陣、がんばろー!」
妹は背中から、刃を引き抜き構えた。
美しいカーブを描いて湾曲した刃。
自分にとってはなんとも頼りない武器に見えるが、彼女にとってはこれが頼れる相棒のようだ。
「始めようか」
ゆっくりと飛来してくる標的の翼に、挨拶代わりの銃弾を撃ち込む。
「!?」
どうも効いているようには見えないのだが、少なくともこちらには気付いてくれたようだ。
威嚇のつもりだろうか、耳を劈くような咆哮。
それが盾により阻まれ、咆哮は盾をビリビリと震わす。
「うるさあぁぁぁあぁああああい!!」
しかし、妹はというと、その大音響により思わず耳を塞ぎうずくまっている。
このままでは敵の攻撃をまともに受けるのが関の山。
「世話のかかる奴め」
前転で彼女から急速に離れると、そこから銃弾を弾倉にある限り放つ。
陽動は成功したようで、標的はターゲットを俺に定めると、その口から赤く燃える火球を投げつけた。
とはいえ、狙いは正確とは言い難い。もう一度前転でその火球を難なくかわす。
- 450 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/04/09(水) 22:55:02 ID:yx9TgAMl
- 「おぉ……」
騒音から回復した妹が驚嘆のため息を漏らす。
「感心してないで戦え!」
が、褒められて喜んでいるような場合ではない。
若干上ずった声で叫ぶ。
「う、うん!いっくぞー!!」
刀を構えなおし、敵に向かっていく妹。
俺はその背中を眺めながら、標的の弱点を狙って銃弾を打ち込んでいく。
「よし!羽も壊れたぞー!!」
「いいから黙って尻尾切れよ」
「あ、そっか。ボウガンじゃ切れないもんね」
「……」
「痛いっ!!お、お兄ちゃん!?今、私撃ったよねぇ!?」
「撃ってない」
「いや、絶対撃った……って、うわぁぁっ!」
「わ、バカ!こっち来るなよ!!」
妹を追いかけて巨体が迫る。
全くの無防備だった俺は、指が追いつかない。
「あ、お兄ちゃんがやられた」
「……」
「痛っ!ホントに殴ることないでしょー!?」
「……」
「あ、ほらほら!尻尾切れたよ!!ね?怒らないでよ?」
「俺も尻尾が切れたら一人で行くのに……」
「そんなこと言わないで、二人も楽しいよ。兄妹水入らずでさ。ね、お兄ちゃん?」
「……お前……」
ちょっと嬉しい。嬉しいけど……。
「あ、お兄ちゃんがまたやられた」
チクショウ、こんな相手に……。
───────────────────────
- 451 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/04/09(水) 22:56:32 ID:yx9TgAMl
- えっと……一応モンハンネタというか……完全に趣味の領域ですな。最上級の自己満足です。
だけど、可愛い妹と一緒にゲームがしたいんだよ、俺は!!
すいません……次回はちゃんとしたのを貼りますので。今回はお目溢しを……。
- 452 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/04/09(水) 23:00:21 ID:Yotoi/fu
- GJ!!
あえて聞いときますが雌火竜?w
- 453 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/04/09(水) 23:11:32 ID:yx9TgAMl
- 分かるのか……。
一応元ネタになった女友達が居るのですが、彼女とリオレイアを狩りまくった思い出が強くて……。
分かってくれる方が居て、気分的に救われました。
ですが、スレ違いになりますので、これ以上モンハンの話はやめときましょうw
- 454 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/04/10(木) 23:04:07 ID:1BVW2fI7
- ……理由は定かではないが、年頃の若者は普通ならば男女問わず異性を求めるようだ。
次回の授業から英語の授業で二人一組にならなきゃいけないとか。
どこぞのバカが、男女で組んだ方が良いとか言い出したこととか。
放課後残ってそのペアを決めることになったこととか。
男子代表と女子代表、ジャンケンで勝ったほうが使命権を得るとか。
男子代表が勝ちやがったこととか。
……本当にどうでもいい事だらけだ。
まぁ、本来俺も男子の端くれなのだから、好きな女子を一人選ぶ権利が与えられているのだが……
「じゃあ、残った大野は冬月とペアだな」
最後の一人ってホント楽で良い。大体女子の名前知らないしね。
が、最低限で済んだとはいえ、女子一人と交流しなければならないのは辛い。
うんざりしながら、その女子と顔を合わせる。
「はじめまして」
もうこの時期になってこの挨拶はおかしいのだが、本当にはじめましてなのだから仕方がない。
「……冬月真雪。よろしく」
俺の前に居たのは、小さくて細くて白くて、とても不健康そうな女の子。
大人しそうな上に、自己主張が激しくなさそうなので、俺でもなんとかなるかもしれない。
「大野賢太郎君……だよね……?」
声小せぇ……。
「俺の名前知ってるのか?」
「……同じクラス……」
「……」
同じクラスでも俺はお前のこと知らんがな……。
「まぁ、なんでもいいや……冬月さん……だっけ?」
「うん。覚えて」
「努力する」
きっとすぐに忘れる前提のこのセリフ。
「……じゃあ……帰っていいのか」
「男子は女子を送ってく……って、いってるよ?」
阿呆が……。
- 455 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/04/10(木) 23:04:49 ID:1BVW2fI7
- 「嫌なら私一人で帰るよ……?」
「いや、いい。そういうことなら送る……妹も一緒になるが良いか?」
「遥ちゃん……?私は……構わないけど」
有名なんだな、遥……。
「助かる。帰るか」
「うん」
鞄をつかみ、浮き足立つ教室からそそくさと脱出。
「なぁ……冬月さんの家って……」
ふと思い出したように足を止め、後ろの冬月に振り返る。
「わっ……」
驚いて俺にぶつかる冬月。
あ……なんか、冬月から甘くて良い匂い……。
ん……?何なんだ、俺らしくない……。
「……?」
「あ……悪い。家は近いのか?」
「大丈夫……大野君の家と方向は同じだから……」
「そうか、それなら……」
ふと思ったが、普通に話せてるな、俺。
遥ほどじゃないが、もしかしたらある程度の付き合いがあるあきらや宮原よりも気が楽かもしれない。
などと考えながら、歩いていたが
「あれ……冬月……?」
いない……。
どうしよう……どっかに置いてきちゃったのか……。
- 456 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/04/10(木) 23:05:22 ID:1BVW2fI7
- 俺は、責任という言葉に非常に弱い。
今回も非常に重い責任を感じ、慌てて来た道を引き返す。
「冬月ー……?」
誰もいない廊下は俺の濁声が非常によく響く。
汚ねぇなぁ、俺の声……。
「……ん?」
……階下から物音。
とはいえ、急いで行って違う人だったら、赤恥をかくことになる。
思慮深い俺は、早足で階段を駆け下りる。
そこには真っ暗な廊下に、一人の少女。
「……大野君……」
半泣きの冬月が壁にうずくまって座っていた。
「……悪い。置いてったりして」
「私もゴメン……迷っちゃって……」
震えた声で謝っている冬月。
強がっているのか、無理に冷静に振舞おうとしているのは俺でも分かる。
「無理すんな。寒いし、暗いし、静かだし最悪だよな」
「……うん……」
「置いていって悪かったな。もう少しだけ付き合ってくれ」
冬月に手を差し出す。
「うん……」
冬月の目が覚めるほど冷たい手が俺の手を掴む。
「暖かいね」
「冷たいな」
「ねぇ、大野君……」
「呼び捨てで良い」
「じゃあ……私も真雪でいい」
下の名前か、ハードル高いな……。
「で、なんだっけ?」
「……もう少し、このまま握ってても良い?」
……握る……。
- 457 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/04/10(木) 23:06:19 ID:1BVW2fI7
- おぅっ!?
手を握ってる!?俺が!?女の子の!?
「まさか……こんなことが……」
「あ、ゴメン……嫌なら……良いんだけど」
ゆっくりと手を離す真雪。
「いや……そうじゃなくて……」
「?」
不思議そうに顔をかしげる真雪。
……特別なのかな、真雪は……。
「手、握ってていいの……?」
「リジェクションが出るまでは……」
「りじぇ……?」
rejection:拒絶反応。
「聞き流せ」
「うん」
冬月真雪……。
不思議な女だ……。
───────────────────────
昨日のがあまりにもアレだったんで、二日連続ですが貼ってしまいましょう。
ネガティブ兄vsクール娘編。今更冬の話なのは……想像力で補ってください。
こういう娘、好きなんで随分贔屓目になっちゃって……。
しかし、やっぱり妹関係ないじゃん……?いつものことか、もう開き直っちゃうか。
- 458 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/04/11(金) 01:36:41 ID:Cg+68tko
- GJ!
自分、ネガティブ兄シリーズ好きです!!
- 459 :長い物に巻かれた :2008/04/12(土) 00:59:06 ID:diQ0J2z/
- 遊星さんの後に投下するのは、ちと緊張するんですが、とりあえず、『雪華』の物語の、シメを投下しときます。
「ごちそうさまでした。」
姉さんの作ったお粥を食べ終わり、手を合わせる。
姉さんは、最初の一口こそ、「アーン」をしてきたけれど、それ以降は、私が食べ終わるまで、嬉しそうに見つめているだけだった。
おそらく、私が自分のペースで食べられる様にと、配慮してくれたのだろう。
(ありがとうございます、姉さん。)
言葉にするのは、恥ずかしかったので、心の中でお礼を言う。
「それじゃあ、汗、拭いてあげる。」
「すみません、お手数おかけします。」
「だから、こういう時は甘えていいの。」
「………はい。」
姉さんの厚意に甘える事にし、パジャマの上を脱ぐ。姉さんは、私の身体を、まるで壊れ物を扱うかのように、丁寧に、優しく拭き始めた。
「姉さん、演劇部の方は、どうですか?」
ただ黙っているのも、なんだか気まずいので、適当な話題を振る。
「順調だよ。脚本もいい感じ。」
「演劇部の、一年生の娘が書いた脚本らしいですね?」
「うん、そうだよ。私と紅葉に、是非演じて欲しいんだって。」
「そうなんですか。」
そう、返事をしたが、実は私は、その話を知っていた。
『鏡写しの恋』………それが、脚本のタイトル。
想いを寄せ合う、双子の姉弟の、綺麗で切ない恋の話。
その内容を、親友の由佳から聞いた時、姉さんと兄さんの為に作られた物語だと、はっきりと分かった。
おそらく、脚本を書いた娘は、気付いていたのだろう。二人が胸に秘める、許される事のない恋心に。
- 460 :長い物に巻かれた :2008/04/12(土) 01:00:57 ID:diQ0J2z/
- 「よし、これくらいでいいかな?」
「はい、ありがとうございました。」
思考を中断し、姉さんにお礼を言う。
そして、パジャマに袖を通す。汗による不快感は無く、さらりとした、布の感触が心地いい。
「さてと、私はお夕飯の買い出しをしてくるから。なにかあったら、紅葉に頼んでね?」
「え?あ、はい。」
少し、意外だった。姉さんなら、兄さんが来るまで、ここで待っていると思っていたからだ。
そうこう考えているうちに、姉さんは、手際よく、お粥の容器と濡れタオルを、お盆の上に乗せると、それを持って、ドアの方へと向かった。
「雪華。」
ドアの前で立ち止まり、私に背中を向けたまま、姉さんが、私の名前を呼んだ。「遠慮なんて、しなくて良いんだよ。」
「……………え?」
ひどく真面目な声で発せられたその言葉を、私はすぐには理解出来なかった。
しかし、続けて発せられた言葉で、私は、姉さんの言いたい事を理解した。
「すごく…………つらそうな顔をしてたから。」
「!!」
姉さんは、その言葉だけを残すと、少しだけ急ぐ様に、私の部屋から、出て行った。
「優し過ぎますよ………姉さん。」
ベッドの上で、一人呟く。
姉さんは、私の気持ちに気付いているのだろう。そして、その気持ちが、自身の想いと同じ物だと、理解していて尚、ああいう風に、私を気遣えるのだ。
だからこそ、敵わないと思ってしまう、笑顔でいて欲しいと願ってしまう。自分の気持ちを抑えてでも、姉さんの想いは成就して欲しいと、心の底から、そう思えてしまうのだ。
私は…………どうするべきなのだろうか。
〜・〜・〜・〜・〜・〜
- 461 :長い物に巻かれた :2008/04/12(土) 01:02:31 ID:diQ0J2z/
- 【Epilogue−Side雪華】
「つらい……ぐすっ…ですよ……兄さん。」
涙が止まらなかった。胸が痛かった。独り……失恋のつらさに泣いた。
それでも………後悔だけは、していなかった。
だって………
だって………
「どっちも同じ位………大好きなんだよ………お兄ちゃん。お姉ちゃん。」
ーーーーー・ーーーーー
長くなりましたが、一応雪華の話は、これで終わりです。
御国家関連では、番外編である『由佳編』と、続きで在り、完結編でも在る『桜編』の構想は、有るんですが、どちらもこのスレだと、スレ違いになってしまうので自重することにします。バカ兄妹の方は、ちまちま書いていくことにします。
遊星さん、自分もああいうキャラは、大好きなんで、続きを楽しみにしております。
- 462 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/04/12(土) 22:16:09 ID:g1+4OHjs
- >>461
お疲れ様!面白かったよ!
ところで番外編と完結編はどのスレに貼るの?
- 463 :長い物に巻かれた :2008/04/13(日) 00:32:06 ID:XU0eZ7O4
- >>462
桜(完結)編は、やっぱり姉スレが妥当とは、思うんですが…………いきなり続きを貼っても、訳わかんない人も多そうですし。
由佳(番外)編は、何処に貼るべきか、全く考えていません。百合っぽい展開になるので、見当違いのスレに貼ると、迷惑でしょうし。
- 464 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/04/14(月) 21:00:12 ID:vUzrUIXg
- 職人さん乙
ちょっと見ない間に良い感じに
- 465 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/04/14(月) 23:24:55 ID:vNkgoaKr
- 図書室。
遥は……勉強してる。真面目ー。
「待たせたな、遥」
「ううん、全然……」
出来るだけ小さな声で話しかけると、遥はペンを置いて、ゆっくり顔を上げる。
「……」
顔を上げた遥がそのまま固まった。
「遥ー?」
「え……お、お兄ちゃん……?後ろの人……」
やっぱり真雪に対してか。
「あぁ、成り行きで送っていくことになった」
振り向いた斜め後ろ。
「冬月真雪……です……」
俺の後ろで小さくお辞儀をする真雪。
「え、えっと、お兄ちゃんの妹の大野遥です」
立ち上がって大きく頭を下げた遥。
真面目な遥でお兄ちゃんは嬉しいよ……。
「帰るぞ」
色々面倒なことがあったせいで一刻も早く帰りたい俺は、そんな遥を急かす。
「ね、ねぇ、お兄ちゃん……?」
遥が耳打ちするように話し始めた。
「何だよ」
遥は真雪をチラッと見た後、
「どうしたの?何か女の子と一緒なのにあんまり嫌そうじゃないけど」
「そうなんだよ。だけど理由は俺にも……」
「もしかして、お兄ちゃんの運命の人なのかも」
「はぁ!?」
誰かにも言われたな、そんなこと……。
- 466 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/04/14(月) 23:25:42 ID:vNkgoaKr
- 「冗談だよ、冗談。でも、仲良くなれるかもね」
「確かに、少しは克服できるかもな」
「うん、頑張ってね」
ボーっと立っている真雪を二人で振り返る。
「……」
ジト目の真雪……。
やめろ……怖い……。
「あぁ、悪い。帰ろう」
「仲、いいんだね」
「よく言われる……」
「シスコン……?」
辛辣……。
「遥がブラコンなんだよ」
「ち、違うよぅ!お兄ちゃんがシスコンなの!!」
「クスクス……」
真雪が笑ってる。
笑うんだな、こいつ……。
───────────────────────
ネガティブ兄vsクール娘。今回は短いです。やっと妹が出てきましたね。
もう二、三回は続きます。遅く貼れば貼るほど、季節はずれになっていく……早くしなければ。
>長い物に巻かれた様
乙です。そして、ありがとうございます。次回作、楽しみにしておりますので。
- 467 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/04/15(火) 06:32:10 ID:aNVD48l4
- とりあえずバカ兄妹の方を落としときます。
扉を開けると、そこはナースだった。
え?意味が分からない?
うん、そうだろうな。まあ、簡潔に説明すると、ナース服を着た可奈が、居たんだが…………幻覚?違う違う、俺正常。
いや、だから正常だって。あ!黄色い救急車呼ばなくていいから!だから正常だって!!
「あ、お帰りなさーい!!」
「なんだ可奈、来てたのか。」
アパートに帰ると、そこに居るのが当然であるかの様に、可奈が居た。前々から思っていたんだが、何故こいつは、わざわざ大声で挨拶をするのだろう?
まあ、どうでもいいか。
「お湯沸いてるから、これ食べよー!!」
そう言って、カップ麺(二百円)を掲げる可奈。…………前より、安物になってやがる。
お湯を注ぎ三分待つ。程よく麺がほぐれた所で、液体スープをいれ、よくかきまぜたら完成。
「「いただきます!!」」
ハモる辺りが、兄妹っぽい。
ズルズル。ズルズル。ズルズル。
もぐもぐ。もぐもぐ。ごくごく。ごっくん。
「「ぷはぁー!!」」
またハモった。なにも、食べるペースまで似なくても。
- 468 :長い物に巻かれた :2008/04/15(火) 06:34:55 ID:aNVD48l4
- 「て!あっさりスルーしないで!!忘れてる!!重大な、ツッコミを忘れてるよ!!お兄!!」
長いノリツッコミだったな。
「ナース服!!ボクナース服着てるんだよ!!普通は、ツッコムか、欲情するかでしょ!!それをなに!?なに普通にスルーしてるの!?なにラーメン完食してるの!?なんでハモってるの!?な(中略)!?」
「長い台詞だな、作者も思わず、中略してるぞ。」
「ボクが沢山しゃべるのが普通なの!!ここは、妹に言われたいセリフスレなんだから!!前回お兄ばっかりしゃべり過ぎだったの!!てゆうかそんなのどうでもいいいいよ!!萌えるでしょ!!欲情するでしょ!!こんなに可愛いボクが、こんなにセクシーな、ってむかつく!!その顔むかつく!!」
「そんなに、むかつく顔してるか?」
「してるよ!!読者様にお見せ出来ないのが残念な位むかつく顔してるよ!!て!だからって真面目な顔しないで!!真面目な顔して見詰めないで!!惚れちゃう!!惚れなおしちゃう!!」
「…………可奈よ、テンション上がってるとこ悪いが、言わせてもらう。ナース服なんぞただの服だ。全然興奮しない。」
「…………」
いきなり沈黙する可奈。とりあえず五月蝿いのが黙ったので、カップ麺の容器をくずかごに入れる為、可奈に背中を向ける。
「……………ど」
ど?
「どっせぇーーーい!!」
やたら男らしい掛け声と同時に、首に凄まじい衝撃。(可奈よ、女の子が、どっせーい、はないと思うぞ?)
そんな事を考えながら、俺の意識は、深い闇の底へと、沈んで行くのだった。
〜fin〜
「終わらないよ!!まだ続くよ!!」
〜・〜・〜・〜・〜・〜
- 469 :長い物に巻かれた :2008/04/15(火) 06:38:34 ID:aNVD48l4
- 目を覚ますと、そこはナースだった。
…………あれ?これやったな。割愛しとこう。
「あ、お兄起きた?」
目が覚めた俺に、そう問い掛ける可奈………もとい、諸悪の根源。
「………………」
ジト目で可奈を睨みつける俺。
「そんな目をしても無駄だよー。今日こそは、お兄の変態性癖を、僕の魅力で治すんだから。」
妹やナース服に興奮するのも、充分変態だと思うぞ?
「まずは、お熱を計りますよー。」
そう言って、顔を近付けて来る可奈。キスが出来る位、顔が近付き………こつん。
おでことおでこをくっつけて、熱を測り始めた。顔が近い為、可奈の吐息がかかる。しかし、俺も百戦錬磨のツワモノ(童貞だけどな!!)、この程度では、ちっとも興奮しない。
「むー。」
不満そうな声を出し、おでこを離す可奈。
「こうなったら!!最後の手段だよ!!」
そう言って、ナース服の一番上のボタンを外す。ていうか、いきなり最後かよ。レパートリーの少ないやつだ。
「ど、どう?」
前屈みになり、上目使いで訪ねてくる可奈。その頬は、微かに赤く染まっている。それも、当然といえば当然だろう。ボタンを外したことにより、元々大きめだったナース服は、大きくはだけ、可奈の健康的な肌が、鎖骨から胸元にかけて、随分と露出している。
そんな光景を目の当たりにして、俺は……………
- 470 :長い物に巻かれた :2008/04/15(火) 06:39:57 ID:aNVD48l4
- 「ナース関係ねぇじゃん。てゆうか、そういうポーズは、谷間が出来る位、胸を大きくしてからしろ。このド貧乳。」
割と冷静かつ、致命的なツッコミをいれた。
ピキッ!!
可奈のこめかみに青スジが浮かぶ。ヤバッ!!死亡フラグか?
「ど、どうして言っちゃうの!!文章だけだから、その話題に触れなければ、気付かれないと思って、触れないでいたのに!!お兄のバカー!!」
「……………いや、可奈さんよ。作者が>>448で解説いれてるから、もうバレバレなんですが。」
「あ、ホントだ。てゆうかなんでお兄、アンカー入れれるの!?てゆうか誘導しないで!!ボクの貧乳をこれ以上晒さないでよ!!」
「可奈、兄ちゃん疲れたから寝るよ。お休み。」
「なんで!?さっきまで寝てたじゃん!!眠い訳無いじゃん!!」
「暴走し過ぎて、収拾が付かなくなったから、強引にでも、終わらせたいんだよ。」
「それ、お兄の言葉じゃないよね!?作者が言わせてるよね!?てゆうか認めないよ!!こんな終
ーーーーー・ーーーーー
バカ兄妹の第二弾です、暴走しすぎました、ハイ。今は反省してます。ごめんなさい。
謝りついでにもう一つ、由佳編貼るとこ無いので、ここに貼っても良いですか?駄目なら諦めます。
遊星さん、ニヤニヤしながら読ませていただきました。ホントよかったです!!続きを楽しみにしております。
- 471 :長い物に巻かれた :2008/04/15(火) 07:09:24 ID:aNVD48l4
- >>467
名前書き忘れました。
- 472 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/04/15(火) 23:15:07 ID:99xLTpEt
- GJ
続きが気になる。
- 473 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/04/21(月) 22:48:32 ID:c4wWBuJy
- 「おぉ……」
知っていることとと知っていることが繋がる瞬間。
通学途中、いつも大きくて良い家だと思っていた家が、まさか冬月の家だとは……。
「……」
隣の遥も俺と同様に、呆然と鉄製の門を眺めている。
「デカいな、真雪の家……」
「一人だと広すぎるくらいだよ」
「一人で暮らしてるのか……?」
「うん。お父さんもお母さんもたまにしか帰ってこないから」
少しだけ、寂しそうな顔。
「そうか……」
ものの見事に地雷を踏んでしまった俺は、少し言葉を弱める。
「あの……冬月先輩……?」
そんな俺に、遥の助け舟。
「良かったら、家でご飯食べていきませんか?」
遥はホンマにええ子や……。
「いい……の?」
「はい。もともとお鍋の予定でしたから、一人くらい増えても大丈夫ですよ」
「そりゃいいや。食べてけよ」
「うん……じゃあ、お邪魔する」
微笑。
何だ、思ってたより笑うじゃないか。
「真雪は、なかなか笑顔もいけるな」
「え……?」
微妙に驚きの真雪。
「!?」
かなり驚きの遥。
っていうか、ヒいてる……?
- 474 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/04/21(月) 22:49:51 ID:c4wWBuJy
- 「……各々の驚きの内訳を聞こうか」
ヘコみながら辛うじての質問。
「だ、だって、お兄ちゃんが女の人を自然に褒めるなんて!?」
「……私は……笑顔なんて褒められたことないから……」
……。
……なんていうか、真雪は意外と笑うんだな。ってぐらいの意味合いなんだが……。
妙に誤解されてる気がする……。
「別にそういう意味で言ったんじゃねぇ……」
「照れなくても良いのに。冬月先輩可愛いもんね」
「……か……かわ……っっ……」
「あ、先輩も照れてる」
……ダメだ、コイツら……。
───────────────────────
しばらく来ていない間にめっきり人がいなくなって……。
責任の一端を感じているので、短いですが貼ってしまいます。
もう1、2回で終わりますので、しばらくのご辛抱を。
あと、長い物に巻かれた先生は早めに次回作を貼ってください。先生の力が必要ですw
- 475 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/04/22(火) 01:50:30 ID:+wzCnwKB
- えーと、妹あんまり関係無いですが、とりあえず由佳編を貼ります。
叶わぬ想いというのは、存在するのだろう。痛みをともなって、確かに、胸の奥深くに、存在するのだろう。
痛みに耐えられ無ければ、別の想いで上書きしてしまえば良い、想いを忘れてしまえば良い。それが1番、確かな方法なのだから。
なら……………
想う事を止められない私は、どうすればいいの?
〜・〜・〜・〜・〜・〜
シャッ シャッ シャッ シャッ
放課後の教室に、軽快な音が響く。親友の雪華が、デッサンをしている音だ。
このリズムが、雪華のリズムなのだろう。軽快でありながら、どこか繊細さを感じさせるリズム。
私はこのリズムが好きだ、もちろん、このリズムを奏でる事が出来る、雪華の事も大好きだ。
「………」
雪華は、ただ一点のみを見つめ、それが自分のすべき唯一の事であるかの様に、絵を描く事に集中している。
雪華の視線の先を追ってみる。そこには、綺麗な紅色に染まった、紅葉の木があった。
(その景色の先に見えるのは……………誰?)
本人に問うまでもなく、答えは出た。
紅葉先輩に決まっている。
- 476 :長い物に巻かれた :2008/04/22(火) 01:51:58 ID:+wzCnwKB
- 雪華が風邪を引いた日、私はお見舞いに行った。そして、帰り際に一言「がんばれ」とだけ言った。
その言葉が、引きがねになったのか、ならなかったのかは分からない。雪華がどういう意味で受け取ったのかも分からない。
ただ、これだけは確実に言える。雪華は、あの日を境に、少しだけ変わった。
なにがあったのかは聞いていない、雪華が、自分から話をしてくれるのを待つのが、マナーだと思うから。だから、自分からは聞かない。そう、誓った。
「そろそろ………帰りましょうか。」
その声を合図に、紅葉の木から視線を戻すと、雪華は絵を描くのをやめていた。
「うん、帰ろっか」
私は、雪華にそう返し、二人並んで、夕暮れ時の校門をくぐった。
ーーーーー・ーーーーー
許可も得て無いのに、由佳編を貼ってしまいました…………えーと、ごめんなさい。季節外れの上に妹関係無いですね。
一気に全部書こうと思っていたんですが、長くなりそうだったので、前半、後半に分ける事にしました。
遊星さん、一応貼りましたが、こんな拙い作品で良いのでしょうか?
それと、一ファンとして、ネガティブ兄シリーズ、続きを楽しみにしております。
最後に言い訳を少しだけ、G級に対抗するために、古龍狩りしてて、余り時間が取れませんでした。て、言い訳になってませんね、ごめんなさい。
- 477 :長い物に巻かれた :2008/04/22(火) 01:53:53 ID:+wzCnwKB
- >>475
また、名前書き忘れました…………orz
- 478 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/04/24(木) 05:24:21 ID:VCAYCzZj
- お二人とも乙!!!
続きが楽しみです。
- 479 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/04/24(木) 22:23:58 ID:s8QFGUZB
- 職人さま方GJ!
- 480 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/04/24(木) 22:40:14 ID:BBEtu8t+
- 四人用のテーブル。形は正方形。座る人間は三人。
どう考えたって、一辺に一人座るべきだろうが。
「遥……狭いぞ」
俺と真雪が同じ辺に。
遥は向かいに座って
「そう?ほら、やっぱり近い方が良いって」
「……」
絶句。
「あ、私居ない方が良いかな?」
「遥!?」
いかん……声が裏返った……。
「冗談だよ、冗談」
むぅ……なんだか遥に良いように遊ばれているような気がする……。
「……悪いな、真雪……」
「別に……気にしてないから……」
「ならいいんだが」
問題は……妙に浮ついている遥だな。
どうしたものかねぇ……。
「まぁまぁ、お兄ちゃん。そんな難しい顔しないで。お兄ちゃんの好きな鶏団子もう煮えてるよ」
俺の顔色をうかがいながら、お皿に取り分けてくれる遥。
そう……鶏団子多めにな。
「……」
待っている間ふと横を見ると、何故か俺の顔を覗き込んでいる真雪に気付いた。
「どうした、真雪……?」
「大野君に聞きたいことがあるんだけど……」
「何を?」
「遥ちゃん以外に妹が居るって本当……?」
……いる……のか……?
- 481 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/04/24(木) 22:41:39 ID:BBEtu8t+
- 「いるのか……?」
遥に丸投げ。
遥は歯切れ悪く、
「……あきらさんや宮原先輩のこと……かな……?」
あれを妹に含めるんだ、やっぱり……。
「いるんだ……」
何か考えるように呟いた真雪。
あぁ、嫌なノリ……。
「っていうか、どこで聞いたんだよ、そんなこと」
「……」
少し俯く真雪。
「知りたいから……」
「はい?」
「大野君のこと……何でも……」
……ストーカーかなにか……?
それとも、敵を知り己を知らば百戦危うからず。的な……?
「お兄ちゃん……そういうことじゃないってば」
遥が見事に呆れた表情で俺の心を読む。
「というと?」
遥に尋ねるべきじゃないね、ここは。
「先輩、ちゃんと言ったほうが良いですよ」
「うん……」
言う?何を?
「あの……大野君のこと……好き」
……はいはい。なんとなく分かってましたよ、この展開。
ああ、そうですよ。信じたくなかっただけですよ。
「……でも……私も、妹で良い」
「……」
良かないけどな……。
- 482 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/04/24(木) 22:43:20 ID:BBEtu8t+
- 「だって。どうする、お兄ちゃん?」
「……」
どうって……性懲りも無く三回目ですぞ?
もう遥も慣れちゃってるし……。
出来れば聞かなかったことにしたいが、ばっちりアイコンタクトをとってしまった俺。
「勝手にしろ……」
肩の力が抜ける。
もうどうでもいいや……。
虚空を眺める俺の肩を、チョンチョンと優しく小突く真雪。
「賢にぃ……。食べないの……?」
ヘンな呼び方された……。
「食べるけどさ……」
美味いよ、鍋。
美味いってば……。
「賢にぃ」
「ん?」
「これからもよろしくね」
「……あぁ」
胃が……。
胃が痛いのに……腹が減っている……。
もうダメだな、俺……。
───────────────────────
このクール娘編は一応終了ですかね。もう同じパターンであることを開き直っている感があります。
まぁ、あと一回エピローグ的なものをよういしてますので、あと一回ご辛抱を。
しかし、自分で言うのもなんだけど、真雪可愛いなぁ……。可愛く書けないのが申し訳ないなぁ……。
>長い物に巻かれた先生
乙です。次回作も楽しみにしてますので。
しかしハンター多いんだなぁ……。頑張りましょう、皆さん。
- 483 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/04/28(月) 01:49:37 ID:8FAn21yy
- GJだ!
- 484 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/05/04(日) 23:35:09 ID:vR6tEHF4
- コンコン。
お兄ちゃんの部屋を軽くノック。
「ん?」
「お兄ちゃん、お風呂空いたよー」
ドアを開けて、お兄ちゃんの部屋に。
この部屋寒いなぁ、湯冷めしちゃうよ……。
「……ん?」
ベッドに寝転んでいたお兄ちゃんが、妙な表情になる。
「どうしたの?まだヘコんでる?」
「いや……ちょっといいか?」
ゆっくり立ち上がるお兄ちゃん。
そして、真顔で私の傍に……。
「……」
お兄ちゃんが私の耳に顔を寄せる。
耳に息が当たって……ヘンな感じ……。
そんな……お兄ちゃん……私なんかでいいのかな……。
「お……お兄ちゃん……?」
そう考えたら凄くドキドキしてきて、耐えられなくなりそうで……口を開いた。
「……やっぱりそうだ!」
「え……?」
「同じなんだよ」
「何が……?」
「真雪がさ、何か良い匂いがすると思ったんだが、遥と同じ匂いなんだな」
「へ……?」
「使ってるシャンプーが同じなのかな」
「さあ……そうなんじゃない?」
安心したような、ガッカリしたような……。
- 485 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/05/04(日) 23:35:48 ID:vR6tEHF4
- 「……ってことは……お兄ちゃんは私と同じ匂いだから冬月先輩と抵抗無くお話できるって事?」
「説明的だな……。恐らくそうだと思う」
お兄ちゃん、野生動物みたい……。
「意外と俺の女嫌いもたいしたこと無いのかな」
と、手ごたえを感じているのか小さく呟くお兄ちゃん。
翌日このことを七海ちゃんに話したら、
次の日から、宮原先輩とあきらさんと亜紀ちゃんの髪の匂いが同じになった。
まぁ……お兄ちゃんは相変わらずだったけど……。
───────────────────────
少し時間が空いてしまいました。ネガティブ兄クール娘編、これで最後になります。
しかし人いないな……俺のせいですか、やっぱ。
- 486 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/05/05(月) 00:58:23 ID:VZwFdQjV
- いやいや遊星氏を待ってるんですよ。
このシリーズ好きなんでこの先も続けて欲しい…。
ともかくGJ!
- 487 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/05/05(月) 02:03:34 ID:fGEYg8bV
- ネガティブ兄好きだ〜。
GJ!
- 488 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/05/05(月) 02:09:56 ID:j8Qh0CBT
- 流星さんも長い物には巻かれろさん二人の投下楽しみに待ってますよ。
今回もGj
- 489 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/05/09(金) 03:27:54 ID:Pjlv6Wer
- 遥が相変わらず良い妹で可愛い、最高だ!
真雪も可愛いですが、しかしこの兄ちゃんも上手くすれば
ナチュラルに妹を含めたハーレムを造れそうなのにw
- 490 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/05/09(金) 19:50:15 ID:xWEuwImO
- 小学3〜5年の実妹or養子(義妹?)を俺専属のメイドにする妄想
文才無いのは理系なので仕様
由佳「にいさま、ご飯出来ましたよ♥」
俺「ありがとう由佳、じゃあ食べようか」
由佳「はいっ♥今日は兄さまの好きなハンバーグを作ったんですよ♪」
俺「ははは、それはとても楽しみだよ」
由佳「冷めないうちに持ってきますね♥」
30秒後
由佳「はわわっ」 ガシャン!
俺「あぁ…あ…ハンバー…グ…ぁ…」
由佳「すっ、す、すす、すみません!、今すぐ片付けますのd」
- 491 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/05/09(金) 19:51:30 ID:xWEuwImO
- 俺は由佳のエプロンを掴み揚げると、思いっきり腹を殴る
由佳「…っが…ぁ…にい…さ…ま」
俺「お前さ、誰に養ってもらってると思ってんの?俺さ今超腹減ってるんだよね、解かる?」
由佳「すびっ…すみ…はぁっ、はぁガッ…ません、ごめ…ご免なs」
俺「じゃあ今すぐ作り直せよ!早くしろよこのカス!!」
怒りに任せて由佳を絨毯の上に突き倒す
由佳「ひぃ…許し…て…ご免なさい、ご免なさい、ご免なさい…」
俺「早くしろっつってんだろおおおおおおお」
絨毯の上に寝転んだ由佳に、殴る蹴るなどの暴行を数分間続ける
由佳「ごめ………さ…い…許して、許し…て…兄…さま」
俺「…はっ!、由佳!由佳!僕は…何て事を…」
由佳「違うんです兄さま、由佳が…由佳が悪いんです、どうか御自分を責めないで下さい」
俺「由佳、こんな…僕を許してくれるのか?」
由佳「いいえ兄さま…許してもらうのは由佳の方です、こんな駄目な妹を許してくれますか?」
俺「当然だよ由佳…ご飯なんてまた作り直せば良いんだからね」
由佳「うぅ…兄さま、兄さまぁ…ぐすっ…うぅ」
泣き付いてきた由佳をそっと抱きしめる
俺「痛かったよね…御免ね…でも由佳の為なんだよ、解かってくれるよね?」
由佳「ぐすっ…はい…兄さまは由佳の事を大切にしてくれていますから…大丈夫ですよ♥」
俺「ありがとう、由佳はいい子だね…」
由佳「に…兄さま…っています」
俺「何だい由佳?」
由佳「お腹にっ…兄さまのモノがっ、ひゃぁ…♥」
鬼畜ロリコンは死ぬべきですね
ギャルゲ版は長文規制が有るんだな
他の板では1レスで書けたのに
- 492 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/05/16(金) 23:48:56 ID:nj8m2tSA
- このスレも随分寂れてしまったなぁ・・・・。
海中さんとか夢ノ又夢さんとか健在だった頃が懐かしい。
あの頃がピークだったのかもしれんね、
もう一度、巴ちゃんが読みたい・・・
- 493 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/05/19(月) 22:11:02 ID:Upd8quln
- 続き期待保守
- 494 :長い物に巻かれた :2008/05/21(水) 05:18:43 ID:3oD6fZvN
- えーとお久しぶりです、そしてすみません、由佳編投げっぱなしで。
由佳編ですが、続きが上手く書けないので別のを投下します、ホントすみません。
妹が死んだ。
急な事故………という訳ではない。
妹は五年前から入退院を繰り返しており、死ぬ間際も病院で生活していた。
そして………あっさりと死んだ。
病院から連絡を受け、駆け付けるまでの一時間、その間に、現実は残酷な程簡単に、妹の命を奪った。
死に際を看取る事さえ出来なかった。
そして僕には、『空虚』という名の、大きな傷が刻まれた。
その傷が疼く度、思い出してしまう。妹との十五年間………特に残酷だった五年間を。
〜・〜・〜・〜・〜・〜
その知らせは突然だった。
今年十歳になった妹、自分より五つ年下の妹が、病院に運ばれたのだ。
学校の授業を投げ出して、病院へと急いだ。
ロビーで病室の番号を聞き、妹の病室へと向かう、途中で看護婦の人達に注意されたが、それでも構わず、病室へと急ぐ。
病室の前には、母さんがおり、慌てている様子の俺を見て
「静かにっ」
と、視線でたしなめた。
それで我にかえり、気持ちを落ち着かせる。
一呼吸置いてから、ドアノブに手をかけ、母さんの方へと視線を向ける。母さんが無言で頷いたので、そのままドアを開けた。
妹は、少し多めの汗をかいていたが、それ以外は比較的穏やかに寝ているようだった。
「紗夜………」
その様子を見て、妹の名を呼ぶと共に、安堵のため息をはく、この様子ならたいしたことないか、と思ったからだ。
けれど、三日後に…………僕はこの時の自分を、呪いたくなる程憎む事になる。
〜・〜・〜・〜・〜・〜
- 495 :長い物に巻かれた :2008/05/21(水) 05:21:07 ID:3oD6fZvN
- あの後しばらくして、紗夜は目を覚まし、少しだけ会話をして、僕は病院を後にした。
紗夜は検査の必要があるらしく、三日間の入院を余儀なくされた。
僕は、学校が終わると病院に寄り、紗夜の話相手を務めた。周囲からはシスコンとからかわれたが、僕はこれが兄としてやるべき事だと思ったし、やめる気も無かった。
それも今日で三日目、つまり紗夜が退院する日だ。
僕は学校が終わると、急いで帰宅し、母さんと共に紗夜の待つ病院へと向かった。
ロビーで待っていた紗夜を見つけ、二言三言話していると、母さんが医者に呼ばれた。
「私はお医者さんと話して来るから、二人は先に帰っていて?」
その言葉に僕たちは頷き、二人並んで病院を出た。
思えばこの時気付くべきだったのかもしれない。看護婦達が紗夜に対し、同情の視線を向けていた事に。
帰り道、紗夜はいつもと様子が違っていた。僕のシャツの裾を不安げに掴み、
「お兄ちゃん…………」
と何度も語りかけてきた。
僕は呼びかけられる度に返事をしたが、紗夜は結局最後まで、同じ言葉を繰り返すのみだった。
母さんは僕たちが家に着いてから、2時間程後に帰ってきた。少し疲れたような顔をして、僕が病院での事を聞いても、上の空でなにも答えてくれなかった。
- 496 :長い物に巻かれた :2008/05/21(水) 05:22:34 ID:3oD6fZvN
- その日の夜、受験勉強を済ませ、寝る準備をして電気を消そうとすると、
コンコンッ
と、随分軽いノックの音が聞こえた。
「お兄ちゃん……私」
「紗夜、どうした?」
ドアを開けると、不安そうな表情をした紗夜が、枕を持って立っていた。
「あのね……久しぶりに………一緒に寝て。」
怯えるような、甘えるような、複雑な声色で、そう嘆願してきた。
僕はやっぱりシスコンなのかもしれない、紗夜にそんな風にお願いされて、断れる訳無いじゃないか。
紗夜が布団に入ったのを確認して、電気を消す。僕が布団に入ると、紗夜が身を寄せてきたので、頭を撫でてあげた。
「………うぅ…ひっぐ…………ぐすっ」
「ど、どうした!?」
しばらくそうしていると、紗夜が突然鳴咽をあげはじめた。僕はどうしていいか分からなかったので、とりあえず紗夜の頭を撫で続けた。
「ひぐっ…………あのね」
10分程泣いた後、紗夜の口から出た言葉は………………
「私………死ぬらしいの」
あまりに残酷過ぎるものだった。
その後、紗夜に色々聞かされた。看護婦と医者が話している内容を聞いてしまった事、いつ死んでもおかしくないという事、手術をしても助からない可能性の方が高いという事。
聞く度に、絶望的な気分にさせられる言葉を、一字一句逃さず聞いた。
全てを話し終え、泣きじゃくる紗夜を強く抱きしめ、現実を恨んだ、自分を恨んだ……………紗夜を、精一杯愛そうと誓った。
〜・〜・〜・〜・〜・〜
- 497 :長い物に巻かれた :2008/05/21(水) 05:25:34 ID:3oD6fZvN
- 夢を見た、三日程前の現実の夢を。
夢のなかの自分を、どうしようもなく、呪いたくなった。どうしようもなく、殺したくなった。
なにも知らず、楽観的な考えを持っていた自分を、どうしても、許せそうになかった………
〜・〜・〜・〜・〜・〜
朝、カーテンの隙間から、朝日が差し込んでいる。
腕の中に、まだ温もりはあった。その温もりは、もう起きていたようで、笑顔で………涙の痕がしっかり残っているが、それでも………精一杯の笑顔で、僕を見つめていた。
「お兄ちゃん、私………簡単には死なないから。」
その日から、僕たちの、辛くて残酷で…………少しだけ幸せな五年間が始まった。
ーーーーー・ーーーーー
なんか予想以上に長くなってしまいました。それになんか場違い感が…すみません、なんか色々すみません。
- 498 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/05/21(水) 05:57:23 ID:9OznVceN
- つ、続きが気になります…
- 499 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/05/21(水) 21:48:04 ID:n565eXMj
- やっべぇ…むっちゃ続き気になるっす…
続き待っております!!
- 500 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/05/21(水) 22:54:42 ID:/dWJKyE5
- 500
- 501 :原 :2008/05/21(水) 22:57:55 ID:8/5peZpv
- イェヤアー
セーックス
- 502 :長い物に巻かれた :2008/05/23(金) 03:49:14 ID:hRY4yKNd
- 一年目・夏 〜僕がすべき事〜
紗夜の病気が発覚して、僕たちの周りは、少しだけ状況が変わった。
まずお金の問題があった。
長期に渡り、入退院を繰り返す事を前提にした治療。それにはやはり、かなりのお金がかかるらしい。
そういった経緯があり、母さんは、今まで週に二日程度だったパートの仕事を、毎日するようになった。父さんも、夜遅くまで帰って来ない日が多くなった。
だから自然、僕と紗夜、二人でいる時間が増えた。
僕にも少し高めの目標が出来た、ワンランク上の高校に、志望校を変えたのだ。
変えた理由は簡単、家から1番近い高校だからだ。
今の僕の学力では、ぎりぎり合格圏内と言ったところだが、ここに受かれば、少しでも長く、紗夜と一緒に過ごせる。だから僕は、今まで以上に受験勉強に力を入れた。
出来る限り紗夜のそばにいる事。それが僕のするべき事だと思ったから、そのための努力を怠る気はなかった。
〜・〜・〜・〜・〜・〜
『あの日』から一週間が過ぎ、学校は夏休みにはいった。僕の基本的に、昼は紗夜と一緒に遊び、夜はひたすら受験勉強を頑張る、という毎日を繰り返していた。
おかげで学力も少しづつだが、順調に伸びているし、紗夜と多くの時間を過ごせたが、友人達と過ごす時間がめっきり減ってしまった事が、やはり心苦しかった。
まあ、1番の親友で幼なじみの紅葉は、部活の引き継ぎが忙しいらしく(演劇部部長)、僕の状況を抜きにしても、余り遊べなかったと思うけど。
そんな紅葉も、今日は午後からはフリーらしく、僕の家に来て、勉強を教えてくれると言ってくれた。紅葉は成績がよく、僕が志望している高校より、更にワンランク高い高校への推薦の話が出ているぐらいなので、その申し出は素直に有り難かった。
- 503 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/05/23(金) 03:53:15 ID:hRY4yKNd
- ピンポーンッ
昼食を食べ終わり、紗夜と一緒にテレビを見て時間をつぶしていると、玄関のチャイムが鳴った。
「ハーイ、今いくよ。」
紅葉が来たのだと思い、返事をして玄関へと向かう。しかし、玄関の扉を開け、そこにいる人物を見て、僕は少しだけ驚いた。
そこにいたのは紅葉ではなく、予想外だけど、ある意味納得出来る人物だった。
愛らしく、優しげな瞳。肩の辺りまで伸びた、少しウェーブのかかった綺麗な黒髪。肌の色は初雪のように白く、街ですれ違えば、ほとんどの人が振り返るであろう、文句なしの美少女。
「せ、雪華ちゃん?」
紅葉の妹の雪華ちゃんだった。
「お久しぶりです、南先輩。」
そういって、軽く微笑んでから、頭を下げる雪華ちゃん。
(や、やっぱり雪華ちゃんて、凄く可愛いなぁ………て、違う違う。)
一瞬鼻の下を伸ばしそうになったが、思考を切り替え、気になった事を聞いてみる。
「せ、雪華ちゃんがどうしてここに?紅葉は?」
僕がそう聞くと、雪華ちゃんは微苦笑をしながら答えた。
「兄さんは急な用事で来れなくなってしまったので。」
雪華ちゃんの表情から考えて、部活の後輩達に引き止められたのだろう。相変わらず凄い人気だなぁ、紅葉は。
- 504 :長い物に巻かれた :2008/05/23(金) 03:58:58 ID:hRY4yKNd
- 「ですから、兄さんに頼まれて、これを届けに来ました。」
そういって、五冊のノートを差し出してくる雪華ちゃん。
「これは?」
「兄さんのノートらしいです。参考になれば、と言っていました。」
紅葉のノートか、それは参考になりそうだ。
「お兄ちゃーん、まだぁー?」
雪華ちゃんからノートを受け取った所で、リビングの方から、紗夜が顔を覗かせてきた。そして、雪華ちゃんの姿を確認すると、嬉しそうな顔をして、玄関まで歩いてくる。
「お久しぶりです!!雪華さん!!」
物凄く興奮した様子で、雪華ちゃんに挨拶する紗夜。てゆーかキャラが変わってないかい?
「お久しぶりです。紗夜さん。」
僕にしたのと同じ様に、雪華ちゃんは紗夜にも挨拶した。
「遊びに来てくれたんですか!?」
とても嬉しそうに言う紗夜。そういえば紗夜は、昔から雪華ちゃんに懐いてたな。
雪華ちゃんの方をちらりと見ると、少し困ったような微笑を浮かべながら、なにかを確認するように、僕の方を見ていた。
「えーと、僕は構わないけど?」
「ありがとうございます。」
お礼を言いたいのはこっちなんだけどね。
〜・〜・〜・〜・〜・〜
- 505 :長い物に巻かれた :2008/05/23(金) 04:01:08 ID:hRY4yKNd
- その後は、僕、紗夜、雪華ちゃんの三人で、Tvゲームをしたりして、時間を潰した。
ちなみに、総合的な勝率は、雪華ちゃんの圧勝だった。紅葉といい、桜先輩といい、この姉兄妹はなにをやっても凄いらしい。
時計の針が四時半を指す頃になって、雪華ちゃんは家に帰って行った。
紗夜は久しぶりに雪華ちゃんと遊べて満足だったらしく、今は幸せそうな顔をしながら、リビングのソファーで寝ている。
紗夜に毛布をかけてあげると、僕は紅葉のノートに目を通す事にした。
紅葉のノートは丁寧に纏められている上に、少し先の範囲まで予習までしてあったので、とても参考になった。
ススス、ぴと。
2時間程たった頃、いつの間に起きたのか、紗夜が僕によりそうようにして、隣に腰掛けてきた。
僕は右手でシャープペンシルを動かしながら、左手で紗夜の頭を撫でてあげた。
紗夜の体温は夏場だというのに、それほど不快ではなく、逆に心地よい程だった。
…………………そんなはずないだろ?
心の中で、誰かが囁いた。そう、そんなはずがない。夏場だぞ?人間の体温が心地いいなんてあるわけないだろ!?
「紗夜!!」
紗夜の方に目を向ける、紗夜は………………不思議そうな顔でこちらを見ていた。
「どうしたの?お兄ちゃん?」
まるでなんでも無いかのように、そう答えた。
その様子を見て、肩の力が抜けた。そうだよ、紗夜は最初から体温が低いんだった。気温が高いと、人の体温の方が逆に涼しく感じるということも、思い出した。
安堵すると共に、ある感情が、僕の心に深く突き刺さっているのも感じていた。
- 506 :長い物に巻かれた :2008/05/23(金) 04:03:25 ID:hRY4yKNd
- 『恐怖』
いつ、最悪の自体になってもおかしくないという現実に対する、ソレ。
ソレが僕をたまらなく不安にさせた。
その不安が顔に出ていたのか、紗夜が心配そうな顔をしていた。
「ああ、大丈夫だよ。紗…」
言い終わる前に、紗夜が僕を抱きしめてきた。十歳の平均よりも、幾分か小さいその体で、精一杯僕を抱きしめていた。
「大丈夫だよ、お兄ちゃん。紗夜はまだ、大丈夫だよ。」
不覚にも、涙が出そうになった。だけど、堪えた。僕が泣けば、紗夜はもっと心配するだろうから。
紗夜に抱きしめられながら、僕は、雪華ちゃんが帰り際に残していった言葉を、思い出していた。
『頑張って、下さいね?紗夜さんと一緒に。』
そうだよ、紗夜が頑張ってるんだ。僕が不安に負けてどうする!?紗夜を信じてあげなくてどうする!?
僕は紗夜の背中に手を回し、大切な妹を、優しく抱きしめた。
「ありがとう、紗夜。」
〜・〜・〜・〜・〜・〜
その日の夜、僕と紗夜は一緒に寝た。僕が抱きしめてあげると、紗夜は、凄く嬉しそうに、少しだけ照れたようにしながら、僕の胸に、頭を押し当ててきた。
『恐怖』という名の楔は、相変わらず心に突き刺さったままだったけど、その日は、とても安らかに眠る事が出来た。
ーーーーー・ーーーーー
『紗夜』の二回目です。相変わらず場違い感が……………次の話は一気に時間が跳んで、二年目の春の話です。なるべく早く書き込みたいとは思いますが、いつになるかはわかりません。
- 507 :長い物に巻かれた :2008/05/23(金) 04:04:56 ID:hRY4yKNd
- >>503
また、名前いれ忘れてました…………orz
- 508 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/05/23(金) 18:38:23 ID:cPO2oFq3
- これは続きが気になる
全然場違いじゃないです。
- 509 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/05/23(金) 23:01:44 ID:9hZJbi8v
- 読んでてドキドキする…
- 510 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/05/29(木) 00:05:52 ID:LNB5y8o0
- 投下期待age
- 511 :長い物に巻かれた :2008/05/30(金) 04:05:49 ID:etYvPPxc
- 前回の投下から、結構な時間が開いてしまいました。スミマセン。しばらくぶりですが、『紗夜』投下します。
季節は流れる。
夏が過ぎ、紗夜は一つ歳をとった。
11歳の誕生日、僕が贈ったのは、蝶があしらわれた髪飾りだった。決して高い物でもなかったけど、紗夜は凄く喜んでくれた。
新学期になった。僕は学校に行かなければならなくなったけど、紗夜はもう学校に通っていない。
通えないのだ。
だから紗夜は、僕が学校に行っている間は一人ぼっち。仕方がない事とはいえ、僕にはそれが、とても辛かった。
学校が終わったら、真っすぐ家に帰り、なるべく多くの時間を紗夜と過ごす。そして夜は受験勉強にうちこんだ。
単純な日々の繰り返し、それでも僕は、自分に出来る事を、精一杯頑張った。
季節は流れる。
二年目・春 〜茨の刺〜
秋が終わり、冬が過ぎ、春になった。
紗夜はその間、数回の入退院を繰り返した。
最初の頃は、小学校の友人達が沢山お見舞いに来てくれたが、二回、三回と入院を繰り返すたび、お見舞いに来てくれる子達は、その数を減らしていった。
無理して笑う紗夜に、僕はなにも言ってやれなかった。
僕の方は志望の高校に無事合格した。夏休み前にはぎりぎりだった学力も、紅葉や桜先輩の協力もあって、二学期が終わる頃には、合格ラインを十分にクリアする程まであがっていた。
春、微かな変化をともなって、温かなこの季節を迎えた。
〜・〜・〜・〜・〜・〜
- 512 :長い物に巻かれた :2008/05/30(金) 04:10:01 ID:etYvPPxc
- 今日は紗夜と一緒にピクニックに出掛けた。
紗夜が言うには、僕の入学祝いにデートをしてくれるらしい。
という訳で、今日はピクニック改め紗夜とのデートだ。
朝、一緒に家を出て、目的地ヘと向かう。その間、紗夜は僕と腕を組み、時折鼻唄が口ずさむ程上機嫌だった。
紗夜の歩幅は小さい。僕はその歩幅に合わせて、ゆっくりと歩いた。
しばらく歩いて目的地に着いた。時刻は午前11時頃、思っていたより時間がかかったが、まあよしとしよう。
…………チクリ。
「少し早いけど、お昼にしよ?」
紗夜がそう言ってきたので、少し考える。
きゅるる〜〜〜〜
だが、考えるまでもなく、僕のお腹が鳴った。
「そ、そうしよっか。」
恥ずかしくなって、苦笑しながらそう答えた。
適当な場所にシートを敷き、その真ん中にバスケットを置く。朝、早起きして紗夜と一緒に作ったお弁当だ。中身はサンドウィッチ。僕も紗夜も、料理は余り得意ではないので、うまく出来たとは言い難いが、作っている時は、なぜかとても楽しかった。
トマト、タマゴ、玉葱のサラダ等々、紗夜の体を考えると、肉系は避けた方がいいと思ったので、野菜中心の具材構成。いろんな種類が楽しめる様に、小さめに作って種類を豊富にした。
紗夜がトマト、僕がタマゴをそれぞれ手にとって、とりあえず一口食べてみる。
ばくりっ
「………………」
「………………」
- 513 :長い物に巻かれた :2008/05/30(金) 04:13:22 ID:etYvPPxc
- 「普通だね。」
「ああ、普通だ。」
うん、普通だった。特別美味しいという訳ではないが、別に食べれないという訳でもない。まあ、うん、普通だ。
モグモグ
最初の一つは、なぜか二人とも黙って食べた。食べ終わるのは、僕の方が幾分か早かったが、二つ目には手をのばさず、なんとなく紗夜が食べ終わるのを待った。
「普通だけど……」
「普通だけど?」
「普通だけど、うん、美味しいね。」
一つ目を食べ終えた紗夜が、ニコッと笑って、そんな矛盾したことを言う。
言っている事は明らかにおかしいんだけど、僕には紗夜の言いたい事が、なんとなく分かるような気がした。
その後、二人で話しをしながら食べたサンドウィッチは、やっぱり普通だけど美味しかった。
少なめに見積もって作ってきたんだけど、全部を食べ終わる頃には、僕のお腹はしっかり満腹になっていた。
……………チクリ。
- 514 :長い物に巻かれた :2008/05/30(金) 04:18:37 ID:etYvPPxc
- 昼食を食べ終わり、その場で少しお腹をおちつけた後、僕と紗夜は、小川の近くに移動した。僕の膝程の深さしかないので、激しい運動が出来ない紗夜と遊ぶには、ちょうどいい場所だ。
「つめたーいっ。」
紗夜は靴を脱いでから、足首辺りまでを川につけて、無邪気にはしゃいでいる。
僕は紗夜がはしゃぎ過ぎない様に注意しながら、紗夜の後ろ姿を見守っていた。
花柄のワンピースに麦藁帽子。今の紗夜の精一杯のオシャレ。
端から見ればほほえましい光景だろう。しかし、その光景を見つめる僕の心境は、とても複雑だった。
今の紗夜はとても生き生きしている様に見える。しかしそれは、事実とは違う。
無力だから、儚いから、必死に強がっているだけなのだ。
『あの日』から、八ヶ月の時間が過ぎた。紗夜の身長は少しだけ伸び、僕が進学して…………確実に、残された時間は短くなった。
(諦めない。)
この八ヶ月、何度も反芻した言葉を、再度繰り返す。
希望はまだ有る、時間はまだ残されている。だから諦めない、無力だからこそあがく、紗夜の為に。
決意を改めて確認し、紗夜の後ろ姿を見つめる。紗夜はしばらく水面を見ていたが、ふいにこちらに意識を移し、小走りに駆け寄ってきた。
「お兄ちゃっ。」
その途中、紗夜は小石に足をとられたのか、転びそうになる。僕は慌てて反応し、紗夜が転ぶ前に抱きとめた。
「うあ、大丈夫か?紗夜。」
「う、うん、ありがと、お兄ちゃん。」
紗夜は転びそうになった事が恥ずかしいのか、慌てた様子で返事をする。そこで、ふと気付いた。
「紗夜、眠い?」
「う、うん、ちょっと……」
ちょっととは言っているが、僕がみたところ、かなり眠そうだ。僕はそのまま紗夜を抱き抱えると、適当な木陰まで、紗夜を運んだ。
「ほら、無理はしない。」
「で、でも〜。」
「いいから、大人しく寝なさい。」
「う゛ー」
紗夜は不満そうにしていたが、やはりかなり眠かったらしく、すぐに寝息をたてはじめた。
- 515 :長い物に巻かれた :2008/05/30(金) 04:25:23 ID:etYvPPxc
- 「て、どこに寝かそう。」
地面にそのまま降ろす訳にもいかない、仕方ないので紗夜の帽子をとり、頭を僕の膝の上に乗せた、まあ、いわゆるひざ枕って奴だ。
ひざ枕をしたまま、紗夜の寝顔を見つめる。しばらく見つめていると、ある事に気が付いた。
「これ…………」
麦藁帽子に隠されて気が付かなかったが、紗夜の髪には蝶のあしらわれた髪飾りが着いていた。言うまでもなく、僕が紗夜の誕生日に贈ったものだ。
普段は大事にしまってあるから、今日、僕とのデートの為に着けてきたのだろう。
その事に気付いて、少しむず痒くなったので、照れ隠しの為に、寝ている紗夜の頭を、いつもより優しくなでた。
〜・〜・〜・〜・〜・〜
紗夜が目を覚ましたのは、結局少し日が傾いてからだった、暗くなってはいけないので、そのまますぐに家に帰った。大半を寝て過ごしてしまった紗夜は、とても残念そうな顔をしていたが、また出かける約束をすると、目を輝かせて喜んでいた。
夜、ベッドに横たわり、今日の事を思い出していた。
目的地に着くまでの少しの遅れ…………僕は紗夜の歩幅の狭さを考慮に入れて、予定を考えた筈だった。
少なめに作ったお昼ご飯…………紗夜が食べる量は、少しづつだが、日に日に減っている。
そして、紗夜を抱きとめた時………………紗夜の体重は、驚く程軽くなっていた………………
今まで気が付かない振りをしていた事がある。紗夜の体は、病魔という名の茨に、ゆっくりと、だが確実に、侵食されているという現実。
目を反らすのは、もう限界かもしれない。
そう思うと、僕の心に刺さった刺が、はっきりとその姿を見せる。
『恐怖』が顔を覗かせる。
現実は、多分甘くない……………
ーーーーー・ーーーーー
『紗夜』の三回目です、また思っていたより長くなってしまいました…………。えーと、次は秋の話デス。例によって、いつ貼れるかは分かりません。なるべく早く貼れる様にはするつもりです。
- 516 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/05/31(土) 20:20:58 ID:4XeUo5BF
- 投下乙
結末がわかってるだけにキツい展開ですなぁ・・・
- 517 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/06/01(日) 05:03:07 ID:aLTabkSo
- 続き待ってます。
- 518 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/06/03(火) 00:21:17 ID:IUna49Ws
- test
- 519 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/06/06(金) 02:54:05 ID:33cLwIws
- テスト?
- 520 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/06/06(金) 11:39:33 ID:cJh9laNk
- お兄ちゃん・・・
- 521 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/06/07(土) 17:17:54 ID:ygvKOlpd
- 言われたいセリフか・・・
凄まじく可愛い異母妹に潤んだ瞳でお兄様・・・とか言われたい
- 522 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/06/14(土) 23:19:55 ID:V93Bp8mF
- お兄様、投下をお待ちしております・・・
- 523 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/06/20(金) 19:03:01 ID:fu5fGQY7
- 人いねー
- 524 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/06/24(火) 22:36:39 ID:RP3PIK3q
- 過疎だ……。
何か貼りたいけどネタが無いなぁ……具体的なリクエストとかあれば書くけど。
- 525 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/06/25(水) 10:46:58 ID:O5dT47QY
- うn
- 526 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/06/25(水) 23:47:10 ID:cl99o8sZ
- 作家様方の妹系以外の作品も読んでみたい。
【幼なじみ】
- 527 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/06/29(日) 16:52:23 ID:SyL/T1BH
- >>524
ド直球な素直で甲斐甲斐しい兄に尽くす妹物が読みたいかも
- 528 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/07/04(金) 23:06:07 ID:sthxYFKf
- 兄上ー
- 529 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/07/06(日) 15:18:59 ID:4SgT/RLt
- しかし過疎だな
- 530 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/07/06(日) 15:58:58 ID:F6yWBKWe
- びっくりした……>>522
「お兄様、股下をお待ちしております・・・」って読めた。
- 531 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/07/06(日) 16:44:22 ID:qT4HRFWn
- ゴメンね、筆が遅くて……。
幼馴染が、もうすぐ書きあがるけど……よく考えたら、ここじゃ貼れないね。
- 532 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/07/06(日) 22:57:14 ID:0ftmdb/a
- 期待して待ってます!
>>よく考えたら、ここじゃ貼れないね。
そう言えばそうですね……
たびたびあることではないので特別に、このスレに貼ってもらうって事はできませんかね?
どうせなら別のスレよりここで読みたいですし、
- 533 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/07/08(火) 23:44:32 ID:k9pvMjF2
- 俺も期待してる
- 534 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/07/12(土) 20:48:15 ID:YUjszdja
- そういや、今日は7月12日でした……。
全く忘れてたんで、一応リクエストの幼馴染とお蔵入りするつもりだったネガティブ兄を貼ろうかなぁ……。
───────────────────────
いつもと同じ朝。
……眩しい朝日に、少しため息がこみ上げてくる。
そのため息を飲み込んだまま、玄関のドアを開けた。
「おはよう、いっくん。偶然だね」
目の前には、朝日の下で微笑を浮かべる幼馴染、野咲このは。
「あぁ……悪かったな」
ため息を紛らわすように、野咲の首辺りに話しかける。
「え?何で?」
「いや、いつも時間ズラしてたのに、重なって悪いなと思って」
「ん?別に悪くないよ?一緒に学校行けるの嬉しいよ」
相変わらず、このはは俺なんかにも優しい。
「っていうか、いっくん時間ずらしてたの?」
「朝から、わざわざ俺の顔なんか見たくも無いだろう?」
「え?そんなこと無いよ?」
この曇りの無い笑顔。
この否定の言葉の裏を考える俺は、随分とネガティブが板についているようだ……
「ねぇ、いっくん。いっくんが思ってるほど、私気にして無いよ?あんまり気を使わないでよ、幼馴染でしょ?」
「……気をつける」
気をつけたってどうにかなるもんでも無いとは思うが、このはに言っても分かるまい。
当たり障りの無い言葉でお茶を濁す。
「うん。さぁ、立ち話してる時間も無いし、行こうか?」
クルリと振り返る野咲。
「あぁ、先に行くといい」
「え?どうしたの?忘れ物?」
「別に自惚れているわけじゃないが、俺と何か関係があると思われても困るだろう?」
「ううん、全然困らないよ。だから、一緒に行こう?」
差し出された手。
……これは……どうしろと……。
固まる俺。
- 535 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/07/12(土) 20:48:47 ID:YUjszdja
- 「遅刻しちゃうよ?」
煽る煽る……。
「行くか」
迷った挙句、その手をスルー。
少し焦っているフリをして、仕方ない感をアピール。
「あ、待ってよ、いっくん!いっくんに話したいこと、たまってるんだから!!」
いつもと同じ朝……というのを撤回しよう。
今日はいつもよりも良くない……。
「それでね、私ね……」
「……」
気まずい思いをかかえながら、このはの言葉を黙って聴き続ける。
このはには悪いが、返すような言葉は俺は持ち合わせていない。
徐々に近づいてくる学校に、安堵を隠せない俺。
ため息だけは何とか我慢した。
しかし、気がついた。
人が多くなるにつれてこのはと一緒に歩いているというのは、結構恥ずかしい。
次第に歩くペースが上がっていく。
完全にこのはと離れてしまう俺とこのは。
距離が離れていくにつれて無口になっていくこのは。
近づいていく玄関。
このはは少し手前で駆け出して
「じゃあね、いっくん!今日は楽しかったよ!」
「あ、あぁ……」
「帰りも……一緒だといいね!」
「そうだな」
白い嘘をつく。俺も立派な大人だ。
───────────────────────
- 536 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/07/12(土) 20:49:19 ID:YUjszdja
- 思っていたより、朝の一件は尾を引いているようだ。
気付けばこのはの事ばかりを考えてしまう有様。
まぁ……これは、あまりいい意味では無いのだが。
「何で俺なんかに……」
確かに、幼馴染ではあるが、たまたま家が隣だというだけの話で、俺そのものには一切関係の無いことだ。
顔だって良くは無い。
成績だって良い方ではない。スポーツも同様。
性格なんてこの有様だ。
俺なんか見捨てて、もっといい人のトコに行けばいいのにな。
こみ上げてくる申し訳なさと、自信の持てない時自分に対する情けなさ。
今も、このはを避けて、裏門からコソコソと帰ろうとする俺。
すると、体育館裏に見知った人影。
「このはと……男だ」
この出来すぎなシチュエーション。
さすがの俺だって、どういう状況かは分かっている。
「……」
覗いて行きたいという好奇心もあったが……やはり、そういうのは良くない。
このはの幸せを祝って、俺は黙って退こうじゃないか。
足音を立てぬように、サッと死角に逃げ出す。
……不思議と、悪い気分はしないものだ。
───────────────────────
コンコン。
勉強中の俺の部屋、ノックされる音が響く。
「何か?」
特に何も考えず、扉の向こうの人間に声をかける
「うん」
予想しなかったこのはの声に驚いて振り向く。
- 537 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/07/12(土) 20:49:51 ID:YUjszdja
- 「こ……野咲?」
「ゴメンね、いきなり……ちょっと話があって」
「いや、気にするな。俺も少し話がある」
「いっくんも……?」
「俺は後でいい。先に言ってくれ」
「うん、いっくん……」
俯きがちのこのはが小さな声で話し出した。
「いっくんは……昔の約束、覚えてる?」
「約束……?」
「あ、覚えてないならいいんだ。忘れちゃうよね、普通……」
自己完結してしまったこのはにそれ以上何も言えない。
約束について色々考えていたが、
「……そ、それで、いっくんのお話って……何かな……?」
気まずくなったのか、このはが俺に話を振ってくる。
この雰囲気で話しづらいが、言わなければどうしようもない。
「野咲……もう俺とは関わらないほうがいい」
「……え……?」
「幼馴染は今日で終わりにしようと思ってな」
「……何で……」
何故か浮かない野咲。
「直して欲しいところがあるんだったら直すよ!だから……これで終わりなんて……言わないでよ……」
「でも、お前……」
「何で……何で……」
全身の力が抜けたように、肩を落とし、同じ言葉を繰り返すこのは。
このはの気持ちが全く分からずに、何も言えない俺。
「私……いっくんのこと諦めないって、決めたのに……」
「諦める……?俺を……?」
「分かってたよ……いっくんが私のこと、よく思ってないことは……。でも、好きだから……」
「何が……?」
「いっくんがだよ!!」
- 538 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/07/12(土) 20:50:23 ID:YUjszdja
- 「俺が……?」
「そうだよ!!私、ずっとずっとずぅっと……いっくんのこと好きだったんだから!!」
……繋がらない。
「ちょっと待って、野咲!?だって、お前……今日校舎裏で彼氏と会ってたじゃないか……?」
「え……」
今のこのはの顔には『キョトン』という擬音が物凄く似合う。
「……いっくん、あれ見てたの……?」
「見た。約束したじゃないか。野咲を幸せにするって。だから、いつまでも俺は野咲の足を引っ張っちゃいけないと思ってだな……」
「え……だって、いっくん……約束忘れちゃったんじゃ……」
「約束なら山ほどしたじゃないか。……まぁ、さすがに全部有効とは思っちゃいないが……」
間。
このはは、ゆっくりと顔を上げて、
「いっくん……あれは……告白されたのを……断わっただけだよ」
「何で?」
「何でって……いっくんのこと、好きだから……」
頬を赤らめるこのは。
……何で胸が熱いんだ……。
「ねぇ、いっくん……?」
「ん?」
「誤解が解けたところで、改めて言うね……」
立ち上がるこのは。
並々ならぬ真面目な雰囲気に、俺も立ち上がる。
このはの少し潤んだ真っ直ぐな目、逸らしたいけど逸らせない不思議な視線。
「いっくん……じゃなくて、今井一郎君……私とお付き合いしてください!私は、いっくんが一番好きです……!」
……身構えてはいたが……これはクる……。
そりゃあ……嬉しいけど……でも……
「……いや!?俺なんかでいいのか!?」
「いい!っていうか、いっくんじゃないとイヤ!!」
何も言い返せない……。
俺のネガティブ加減をすっかり忘れたこのはは、瞳を潤ませながら……。
- 539 :ケータイより愛を込めて :2008/07/12(土) 20:55:36 ID:8ww98EyR
- 連投規制厳しいなぁ……
続きはまた後ほどに。
- 540 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/07/13(日) 00:22:04 ID:ZGhsxL+r
- 「いっくんは……私じゃ嫌?」
「そんなこと……いや、俺だって、このはのこと……」
「こと……?」
ニヤニヤしてる……。
ふと考える。
このはなら……このはならば、俺は信じることが出来る気がする。
そこまで決まれば、あとは勇気だけだ。
このはの目を見る。大きく息を吸う。
「好き……だ」
あぁ、顔から火が出そうだ……。
「ふふふふふっ……」
顔を伏せて笑い出すこのは。
さっきから、こいつのリアクションは……
「わ、笑うなよ!!」
「ふふふっ、ゴメンね。でも、両想いだったなんて……嬉しくて……」
「このは……」
「あと、それ!!久しぶりに、このはって呼んでくれた!」
「嫌ならやめる」
「じゃあ、止めないでいいよー。ずっと呼んでいいよ、いっくん」
「そうか……」
テンションの高いこのは。
満更でもない俺。
「ねぇねぇ、いっくん!もう一回、名前で呼んでくれないかな?」
「このは……」
「うぅ〜!このは、幸せだよっ!!」
「うおっ!?」
「きゃあっ!?」
- 541 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/07/13(日) 00:26:58 ID:ZGhsxL+r
- 勢い良く俺の胸に飛びついて来るこのは。
受け止めてもらえると思ったのかもしれないが、突然の事過ぎて対応できずそのままベッドに倒れる。
「いっくん……」
「……」
俺の胸に寝転ぶこのは。
顔が近い……
これは……ヤバい雰囲気……。
「いっくん……さっきの約束。まだ有効かな?」
「……このはが有効だと思えば」
「じゃあ……いっくん。このはのこと……いっぱいいっぱいいっぱい、ずっとずっとずっと!幸せにしてください!」
俺の腹の上に座って言うことじゃないな、と思いつつも……。
「うん……」
「へへ、じゃあ……」
意地悪に光る子猫のようなこのはの眼……。
「こ、このは……!?」
「このはの初めて……もらっちゃってください!」
……。
接吻ですからね……?
───────────────────────
日付が変わってしまいましたが……続きです。もう一つは、少し時間を開けることにしましょう。
幼馴染……自分の書いた作品にムカついたのは初めてだ……w
ともあれ、今の僕にはこれが精一杯です……
リクエストなんて身の丈に合わないことをするもんじゃないですね……。
- 542 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/07/13(日) 01:37:31 ID:mpRsHQqg
- リクエスト書いてくれてありがとうございます!
いやはや、やっぱりさすがです。
何か読んでいて萌えすぎて体中がむずかゆくなってきたw
エロスレがまだあった頃なら続きはそっちで…ってことになったかもしれない!?
ネガティブ兄の方も待ってますのでよろしくです!
- 543 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/07/14(月) 03:37:26 ID:/OEt1vhW
- これは萌えた。
このはタン良いキャラだ
- 544 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/07/15(火) 23:14:00 ID:9wvz9mwm
- その日は雨が降っていた。
氷のように冷たい雨が、持ち主から離れた傘に弾かれ音を立てる。
その音が途絶えた瞬間、冷え切った体にさらに冷たい血が流れ始めたのを感じた。
目の前の敵と鈍く輝く刃を、仇として認識する。
「……お前か、お前が遥を……」
───────────────────────
「結局、傘は必要なかったな……」
帰り道。
すっかり持て余してしまった傘の先端を軽く蹴飛ばす。
「わかんないよ。今から降るかも」
隣の遥は空を見上げながら、
「……確かに」
青空が大嫌いな俺でも気持ちの悪いと感じる色の空。
いつ一雨降ってもおかしくはない。
「ま、もう家だし俺には関係ないけどな」
「私は買い物に行かなくちゃいけないから関係有るんだけど……」
「そうだったな。付き合おうか?」
「ううん」
珍しく提案した俺。遥は首を小さく振って
「今日は、お兄ちゃんには秘密」
「何を?」
「お兄ちゃんの好きなものを作るから、今日は付いてきてくれなくても良いんだよ」
「ほぅ……」
遥もなかなか可愛いことを言う。
さほど気にはならないが、少しは楽しみにしておこう。
「じゃあ、私は荷物置いたらこのまま行くから、留守番よろしくね」
「おぅ。まかせとけ」
「うん、じゃあね」
小さく手を振って、遥は制服のまま再び家を出て行く。
「さてと……」
一人残された俺は、とりあえずポストを。
- 545 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/07/15(火) 23:14:32 ID:9wvz9mwm
- ダイレクトメールが数枚と……ファンシーな封筒。
遥宛かと思ったが、どうやら俺にらしい。
といっても、差出人も住所も、切手も何もない。
……直接ポストに入れたのか。
正直言って怪しかったが、一応中を確認する。
「何だ……こりゃ……」
中に入っていたのは、4枚の写真と一枚のメモ。
写真には遥、あきら、宮原、真雪が。
しかし、顔の部分には絵の具で描かれたような掠れた赤のバツ印。
そしてメモには
「『もうすぐ会えるね』……って……」
性質の悪い悪戯……というワケでも無さそうな予感……。
肝心なときに一番話を聞いて欲しい人がいない……。
少し悩んだが、一応これも俺の責任だ。
気は進まないが、皆に連絡を入れようと決断した。
その時
「お、お兄ちゃん!!」
あきらが、必死の形相でこちらに駆けて来る。
「……どうした?」
並々ならぬ鬼気を感じ、俺もシリアスモード。
「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
堰を切ったように、俺の胸で泣き始めたあきら。
「ど、どうしたんだよ!?」
「怖かったよ!怖かったよぅ!!」
「何が?」
「スコップ持った変な女の人に追っかけられて……必死で逃げてきて……!!」
「で、大丈夫なのか?ケガは!?」
「ボクは平気……ちょっと、転んで膝擦り剥いちゃったけど……」
- 546 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/07/15(火) 23:15:17 ID:9wvz9mwm
- 「でも……何なんだそいつ……あきらの危ないファンか何かか?」
「分かんない……けど……ボクのこと……邪魔だって言ってた」
「邪魔……?」
「ボクがいると、あの人のところに行けない……って」
「……」
もしかして……。
「こりゃ不味いかもなぁ……」
「何が……?」
「さっきこんな封筒がポストに入ってたんだよ」
さっきの写真をあきらに見せながら、話を続ける。
「もしかしたらなんだが、この写真のみんながヤバいんじゃないのか」
「だとしたら……」
「とりあえず、みんなに伝えよう!!あきらは宮原に連絡してくれ」
「う、うん……」
俺は……とりあえず真雪に連絡を取る。
焦っている空気。
徐々に不安になってくる。
ケータイを持つ手が震えているのを自覚し始めていた。
───────────────────────
時間空けるっていうのも限度があるだろう……。
しかも、今回はここまでで。……連投制限五回はキツいです……。
一応、僕の想像するヤンデレのお話になりますが、まぁ、あまりヤンデレ度合いには自信は無いです。
あと、もう一つ>>527さんのリクエストを頂いてますが、
登場人物がネガティブになってしまう奇病に冒されたため、もう少し時間がかかります。申し訳ない。
- 547 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/07/16(水) 00:24:06 ID:NH7/avOq
- これは怖いな…
これからどうなるのか気になるわ…
- 548 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/07/16(水) 15:36:54 ID:aONR3D7y
- 続きが気になる
- 549 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/07/16(水) 21:47:24 ID:yQpYwLUi
- ヤンデレキターーーーーーーーーーーー
- 550 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/07/20(日) 00:33:25 ID:awpxw07h
- とりあえず、宮原も真雪も学校に居るらしい。
遥だけが、連絡が付かないまま。
「探しに行ってくるから、あきらは家の中で待ってろ」
「ぼ、ボクも行くよ!!」
「駄目だ。危ない」
あきらも対象であることに変わりは無い。
あきらは少し不満そうな顔をしながら、
「分かった……気をつけてね」
「ああ」
返事も適当に遥が向かったであろう道を走り出す。
何も無いなら何も無いで良い。
大袈裟なら大袈裟で良い。
が、この胸騒ぎを気のせいで片付けられるほど、俺も素直な人間じゃない。
今日は昼間だというのに暗いし、このあたりは人通りもない。
絶好の襲撃環境と言ったところか。
「……」
我ながら最低の冗談に呆れて物も言えない。
良い感じに絶望感を蓄えながら、緩やかなカーブを曲がる。
視界が開けた瞬間、足が止まった。
地面に開いた見覚えのある傘。
その向こうに見える、どこかの学校の制服の女。
そして、その手には鈍く輝くスコップ。
足を止めた瞬間、雨が降っていることに気付いた。
「あ、兄上様……」
確かに女はこう言っていた。
もちろん面識はない。
危ない女の登場に、一気に全身の筋肉が張り詰める。
「……お前か、お前が遥を……」
「ううん。まだなの」
予想以上の軽口に、血液が凍ったまま沸騰し始めているのを感じる。
- 551 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/07/20(日) 00:34:07 ID:awpxw07h
- 「まだ、生きてるもの」
「……」
一安心。
が、この言葉はつまり、
「でも、安心して兄上様。この女、もうすぐ死んじゃうから」
「……」
「見てて」
その得物を振りかざす女。
それを黙って見ている気は更々無い。
手に持った傘を全力で投げる。
自分のコントロールに自信が無い俺は、傘の軌跡を見ずに距離を詰め、女と遥の間に入る。
「……!?」
驚きからか、顔を引きつらせている女。
「遥!!起きろ!!」
女から眼を離さずに後ろに下がり、遥の肩を抱き上げる。
「ん……お兄ちゃん……?」
ゆっくり目を開けた遥。
重いものをおろしたように、全身が軽くなったのを感じた。
「良かった……。怪我とかないか!?」
「う、うん……大丈夫だよ」
「はぁ……本当に良かった。立てるか、遥」
「うん。ふふ、お兄ちゃんもそういう顔するんだね」
「何が?」
「なんでもない」
遥の微笑みにホッとする。
という状況ではないようで、
「何をするんですか、兄上様。遊びたいなら、あとでゆっくり……」
「何故こんなことをする」
こいつの意味不明な話はもう沢山だ。
- 552 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/07/20(日) 00:34:41 ID:awpxw07h
- 「もちろん兄上様のためですよ。あんな女達がいるから、兄上は私に会いに来れない……」
かみ合わない会話。
次第にイライラしてくる。
「だから、兄上様、意地悪はやめてそこを退いてください」
スコップを構える女。
答えなど考えるまでもない。
牽制のつもりで放つ蹴り。
「兄上様!?」
本気で驚く辺りが癇に障る。
「次は当てるぞ」
「冗談は辞めてください」
それでもずんずんと進んでくるこの女。
どうも威嚇で応じてくれるほど楽じゃ無さそうだ。
警告通り、今度はマジ当て。
といっても、蹴るというより押す感じに近いが。
バランスを崩し、水溜りの中に突っ込む女。
泥が跳ね、彼女の顔にかかる。
これで退いてくれるという淡い期待……
「ふふっ……」
しぶとい……。
笑いながら立ち上がる女。
「兄上様を私のものにしちゃうのが先みたいですね」
とスコップを振り上げる。
……つまり、標的は俺になったと。
「遥。下がってろ」
「だ、大丈夫なの!?」
「当然」
遥を下がらせる。
あまり、取り乱している姿は見せたくないんだけど。
「はぁ……」
意識を……塗り潰す……。
───────────────────────
- 553 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/07/20(日) 00:35:15 ID:awpxw07h
- ネガティブ兄vsヤンデレ風、第二回。
……まぁ、そろそろお蔵入りになるべく台本だったという意味が分かっていただけるのではないかと。
僕自身がヤンデレという属性をいろんな意味で理解していない、というのもそれに拍車をかけていますね……
そんなこんなで、もう少し続きます。申し訳ない。
- 554 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/07/20(日) 01:03:45 ID:MBENuPvX
- やっぱり遥カワイイな
続きがんばって
- 555 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/07/20(日) 01:28:36 ID:KmCdEBN5
- これをおくらいりにするなんてとんでもない!
ネガティブ兄ちゃんが頼れる男に見えてきたw
続き待ってますよ!
- 556 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/07/20(日) 16:23:02 ID:3XeAO+7U
- 冷蔵庫からフルーチェを取り出して、部屋で食べる。
バターン!
勢いよくドアを開けて妹登場。
「おにーちゃん!わたしのフルーチェ取ったでしょ!?」
すごい剣幕に思わず固まる俺。
「あ!やっぱり勝手に食べてる!返せっ!」
俺の手からフルーチェの器を奪い取る。
「もうっ!ほとんど食べちゃってるじゃん!」
「あうっ・・・ごめん」
「口の中のも返せっ!」
怒りながら、いきなりディープキス。
ちゅぱっちゅぱっ
「フルーチェおいし〜」
あーあ、妹がいるやつっていいな〜
こんなことばっかりしてんでしょ?
- 557 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/07/20(日) 21:27:08 ID:iLA2E87U
- >>556
そうだね、前半はそれとまったく同じ状況が起こり後半は地獄絵図だね。
- 558 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/07/21(月) 15:26:48 ID:7Zvms0Qz
- 食い物を巡り兄妹で地獄絵図・・・
まぁ、普通にあるな
- 559 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/07/22(火) 13:48:06 ID:c78jGZa6
- おちんちんは食べ物です
- 560 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/07/26(土) 19:46:26 ID:Fj1Ipo0g
- 続き期待
- 561 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/07/29(火) 23:03:51 ID:wz1/a6Xq
- 「はぁ……」
ため息と一緒にお兄ちゃんの頭が、一気に下がる。
「お、お兄ちゃん!?」
危ないっていう自覚が無いのか、前も見ていないお兄ちゃんに思わず焦りの声が出てしまった。
どうしよう……でも、間に合わない……。
そう思った瞬間、斧のように振り下ろしたスコップを、左足を軸にクルッと回って避けるお兄ちゃん。
そしてその勢いのまま、側頭部に強烈なキック。
「くっ……」
体勢を崩した女の子の右手を狙って、全体重をかけた飛び蹴り。
女の子の力が抜け、なすすべなくスコップが落ちる。
お兄ちゃんはそのままもう一回転、女の子の足を間髪入れずに払った。
「うわぁ……」
あっという間に、相手を倒してしまった。
……強い……無駄に……。
でも、足技ばっかりなのは何で……?
「はぁ……」
でも、頭は垂れたまま。
お兄ちゃんは落ちたスコップを拾って、
「お前は良いよなぁ……」
「え……」
「そんな簡単に人を殺すとか言えてさ……どうせ俺なんか……」
寝転がった相手の耳元でネガティブ全開な発言を繰り返すお兄ちゃん。
暗い……お兄ちゃん、暗いよ……。
「……」
あんまり聞こえないけど、何言ってるんだろう……。
相手の女の子も何だか暗い顔してるし……。
逆に可愛そうになってきちゃったな……。
- 562 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/07/29(火) 23:04:30 ID:wz1/a6Xq
- 「は、遥ちゃん、大丈夫!?」
後ろから声がして振り返る。
「みんな……。私は大丈夫だけど……」
あきらさんを先頭に、宮原さんと冬月さん、そしてお兄ちゃんの友達の州田さん。
「あれ、州田さん?どうしたんですか?」
「私が……頼んだ……」
「冬月先輩が?」
この二人……どういう関係だろう……。
まぁ、いいけど。
「で、遥さん?何をやってるんですか、アレは……?」
宮原さんが恐る恐る指差した先には、
雨の路上で傘も差さずに、寝転がっている女の子の耳元に片膝付いてボソボソ呟く男の人。
どう見ても見ても怪しいよね……。
「それが私にも……」
「うーん……遥ちゃんにも分かんないんじゃお手上げだねー」
「ですね」
「……だね」
この人たちは……私を何だと思ってるんだろう……。
「でも……そろそろ……」
「そ、そうだね。お兄ちゃーん?」
恐る恐る。
矛先がこっちに向いたらヤダなぁ……。
「ん?あぁ、遥。いや、すっかり夢中になってしまった」
と、振り向いたお兄ちゃんはビショビショだけど異常なほど爽やかで、ちょっと気味が悪い……。
「あぁ、みんな。来てたのか」
みんなリアクションが無い……。引いてるんだ、やっぱ……。
- 563 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/07/29(火) 23:05:04 ID:wz1/a6Xq
- 「……その人は?」
お兄ちゃんの笑顔とは対照的に、さっきの女の子はこの世の終わりのような顔をして、地面に倒れている。
「さぁ。さっきから一言も喋らないんだ」
……大丈夫かな。
「……どうするの?」
「んー……警察で良いんじゃないか。電話しよう」
軽いノリで警察に電話するお兄ちゃん。
……説明するの、私なんだろうなぁ……。
───────────────────────
お久しぶりで……。ネガティブ兄vsヤンデレ風、第三回。次で終わりになります。
まぁ、多くは語らずとも、やっぱり封印すべき作品だったなぁとこれを貼る前に思いました……。
ネガティブ兄が蹴り主体で戦うのは、もちろんあの人をリスペクトだからです。
- 564 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/07/30(水) 19:21:27 ID:8y448u7E
- 遥可愛いよ遥
- 565 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/07/30(水) 23:38:31 ID:sqKmXWKT
- 続きも期待!
- 566 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/08/08(金) 15:12:48 ID:RoWyTdZh
- 【調査】携帯電話「1日のほとんどがマナーモード」…若い世代ほど、また男性ほど着信音を気にしている傾向
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1218171511/286
286 名前:名無しさん@九周年[] 投稿日:2008/08/08(金) 14:59:39 ID:0MjvY/I40
電車のなかで俺の携帯が携帯がなって
「お兄ちゃん!メールが届いたよっ!」と電車の中に響き渡った
すげーゾクゾクした
- 567 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/08/13(水) 00:33:06 ID:YXmJE+DK
- 「つまり、アレはお兄ちゃんへの愛情表現のつもり……ってこと?」
「この文章を平たく解釈するとそうなるな……」
後日、びっしりと書かれた紙を読みながら。
「だが、一応心を入れ替えたってことらしいがな」
「安心して良いのかなぁ……」
ちょっと不安そうな遥。
まぁ、ああいう人間は何するか分からないからな。
「その……悪かったな」
「何が?」
「完全に俺のことなのに遥や真雪達には迷惑をかけた」
「ううん、気にしてないよ」
「……」
「お兄ちゃんが私のことを助けに来てくれたのが嬉しかった。だから、今回は許す」
「そうか」
本当はもっと責めてくれた方が、こちらとしても気が楽なのだが……
遥の微笑を見ているとそういう気分ではなくなってしまう不思議。
「うん。で、何が問題なの?」
「近いうちに本人が謝りに来るらしい」
「あぁ……お兄ちゃんには大問題だねぇ……」
「それもだし……それすらも罠なんじゃないかってふと思うんだが……」
「お兄ちゃんのネガティブも今回ばかりは大袈裟じゃない気がしてきたよ。あの人……ちょっと普通じゃないからね」
「……そうだな。その時は、俺一人で行く」
気は進まないけどな。
遥は心配そうに俺の顔を覗き込んで、
「大丈夫……?」
「死ぬほど嫌だ。でも、仕方ない。遥に危険が及ぶ」
「お兄ちゃん……」
「何だよ?」
「たまにはカッコいいこと言うんだ」
「……すまん……」
- 568 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/08/13(水) 00:33:39 ID:YXmJE+DK
- 「え?褒めたのに!?」
「いつももっとカッコよかったらよかったのに……」
「それはちょっとキモいと思うよ……」
「キモい……」
気持ち悪いならともかく、キモい……。
もう立ち直れない……。
「……どうせ俺なんか……」
「お、お兄ちゃん?そんなに落ち込まないで!?別にお兄ちゃんに言ったんじゃないからね!?」
「……」
遥の声も遠く聞こえてきた。
ピンポーン。
インターホンが鳴った……気がする。
「わ、お客さん……えと……お客さんが来たから行ってくるけど、落ち込んじゃダメだよ!?」
「……」
「あと、自棄起こして、洗剤一気飲みとかしちゃだめだからね!?」
しねぇよ……。
「あと……あとは……」
「良いから行けよ……」
「う、うん……!」
テンパる遥を追い出して、ソファーの上で一人体育座り。
と思っていたが、すぐに遥が戻ってきて
「お兄ちゃん?」
「……何だ?キモい俺に何か用か……」
「噂をすれば。だよ……」
「いっ!?」
マジかよ……まだ心の準備が……。
落ち込んでいる暇がなくなった俺は……ソファーに座ってみたり。
- 569 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/08/13(水) 00:34:11 ID:YXmJE+DK
- 「あ、あの……突然お伺いしてすいません」
この前の女が入ってくる。
「遥は下がってなさい」
一応、俺が命令したという形に。
うん、なかなか良い判断だぞ、俺。
「まぁ、座って」
「はい……」
うーん……なんつーか、狂気の色が消えているし……心配には及ばないかもなぁ。
「あの……この度はご迷惑をおかけしました。お怪我とかありませんでした?」
「はぁ、あの……こちらこそ、随分暴れまわってしまって……」
あんまり記憶にないが。
「とんでもないです!!私を止めてくれて……ホントに感謝してます」
「もう……大丈夫なんですか……?」
「そのことなんですが……。私……気付いて……しまって……」
恥ずかしそうに俯いてしまった女。
「……何にです?」
売り言葉に買い言葉。仕方なくこう聞いてみる。
すると、女はゆっくりと顔を上げて、
「蹴られることがあんなに気持ちの良いものとは……思いませんでした……♥」
訂正だ!!この女、怖ぇえ!!
「ちょ、ちょっと……!?」
「これからも、もっともっといじめてくださいね、兄上様♥」
……全身の体液が逆流しているような気分だ……。
拒絶する気力も、逃げる気力も、冗談にする気もない……。
「うぉぇ……」
喉の奥がちょっと酸っぱい……。
……夢なら……覚めてくれよ……。
───────────────────────
- 570 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/08/13(水) 00:36:15 ID:YXmJE+DK
- お久しぶりでございます。ヤンデレ編、最終話です。
この程度のものを引っ張りすぎじゃないか……。
まぁ、なんつーか、やっぱりヤンデレってよく分かんないなー、とか、シリアスはガラじゃないなー、とか。
せっかくの夏なんで、夏の話でも書きたいと毎年思うんですが……
色々している内に毎年夏が終わってしまう……今年もダメそうだ。
- 571 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/08/13(水) 16:52:22 ID:c+5eaziV
- お疲れさん。
もう休んでいいよ。
- 572 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/08/13(水) 21:59:27 ID:3Ph6qHdD
- 流星さんお疲れさま
遥可愛いなやっぱり。
- 573 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/08/14(木) 00:41:16 ID:nUX4dlb0
- グッジョブ!
ヤンデレ怖えぇ…
>>572
流星…?
- 574 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/08/14(木) 01:14:42 ID:sVuwsfEL
- >>572
遊星の間違いだったorz
- 575 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/08/14(木) 01:48:14 ID:giEZl0fy
- 遥は俺の妹
- 576 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/08/29(金) 08:31:59 ID:8GixXOzw
- 作品来ないかな
- 577 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/08/29(金) 23:09:11 ID:HlD1hw5m
- 下がり過ぎ
- 578 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/08/31(日) 22:53:30 ID:d7Hris2B
- >>563
あの兄貴ですね、わかりますw
- 579 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/09/11(木) 11:14:47 ID:qmUsMVEx
- 保守
- 580 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/09/13(土) 20:47:07 ID:CXX2G0FI
- この前、友達の部屋でゲームやってて、そいつにお菓子とジュースを買いに行ってもらった。
そのまま一人でゲームしてたら、いきなりガツーンと脳天に衝撃!
涙目で振り向いたら、友達の妹さんがいた。驚いて青ざめた顔してる。
どうやら友人と間違えて、脳天に思い切りエルボー落としたらしい。
「なんなの?」って言ったら、妹さんの表情がぶわわっと泣き顔になって、
「間違えたのごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめ(ry」
大粒の涙をボタボタこぼしながら泣き叫びはじめた!
さらに嗚咽しながら俺の足にすがり付いてくる。
俺の足に涙がボトボトかかって、ジーパンごしに涙の熱さが伝わる。
人ってこんなにも大量に涙が出せるもんなのか〜と冷静に思った。
泣きながら必死に「ごめんなさい」を繰り返す妹さんに、
「いいから、だいじょうぶだからw」と笑顔で答えながら、ええ、思い切り勃起しましたよw
- 581 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/09/14(日) 10:37:17 ID:skTJrN4h
- アゲん
- 582 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/09/15(月) 00:30:16 ID:IVS92ooz
- >>580
チュッチュしたのか?
- 583 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/09/15(月) 08:22:22 ID:hNZmqcFO
- >>580
そこから友人の妹フラグですね。わかります。
- 584 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/09/17(水) 23:13:07 ID:yyOh+6eC
- エルボーで死ななくて良かったね。
- 585 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/09/17(水) 23:56:46 ID:yyOh+6eC
- 兄貴とか兄さんとか呼ばれたいな。弟にはあんちゃんと呼ばれるが…
- 586 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/09/18(木) 00:32:14 ID:JvM8fzct
- 「反省したら今からPSP買ってくるといって、その通りに実行しなさい。」
- 587 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/09/23(火) 19:00:50 ID:H/SCoLxv
- >>580
まだマシだろ・・・俺なんか友達と遊んでたら、そいつの妹がしょっちゅう嫌がらせしてくるぞ。
しかも地味に嫌な事ばっかorz俺は妹さんに嫌われるような真似した覚えはないんだがな・・・・
まあ、相手は中学生だから別に腹は立たないけど
- 588 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/09/23(火) 21:19:03 ID:EwzDHk3y
- それなんてフラグ?
- 589 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/09/23(火) 21:38:07 ID:H/SCoLxv
- >>588
まあ、その子かなりブラコン入ってるから、多分俺がいるのが邪魔なだけだと思うが。
でも、女相手ならともかく、男相手にそれはないか・・・・とするとやっぱ単純に俺が嫌われてるだけかなorz
いいさいいさ、嫌われるのは実の妹で慣れてますよっと
- 590 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/10/07(火) 20:44:38 ID:FQ8IrfQh
- 保守。
大分廃れたねぇ
- 591 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/10/07(火) 20:53:11 ID:COg0mzVf
- もう気が済んだんだろ
- 592 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/10/14(火) 22:50:02 ID:IazpJaBZ
- 保守
- 593 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/10/14(火) 23:52:53 ID:eV1DDWZT
- ほす
- 594 :No.2 :2008/10/15(水) 00:41:19 ID:WVlF/cqB
- どもども
ご無沙汰しております
近日中に過去ログ倉庫を移転させます
行き先はさくらの既存mewlog垢か
このたびCORESERVERにて新たに取得した垢のどちらかです
いずれにせよ0ch Scriptによる掲示板形式とし
専ブラで閲覧できるようにさせて頂きます
移転が完了次第お知らせ致しますので
何卒ご理解のほどよろしくおながい致します
- 595 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/10/15(水) 22:11:17 ID:OJIW1/DB
- おながい致します…
- 596 :こんなのはどうだ :2008/10/16(木) 21:58:39 ID:wA8jl2wk
- 「にいさん」
「ん?」
「まるむし あげようか」(手を出す)
「・・・」
- 597 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/10/17(金) 01:26:35 ID:bVTML3zX
- >>594
お疲れ様です。
- 598 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2008/10/17(金) 11:53:36 ID:eOK9nk3U
- >>594
おつですー
- 599 :No.2 :2008/10/19(日) 23:32:12 ID:ryx1M6zp
- どもども
やっと作業が完了しました
万全を期してはおりますが、不具合その他がございましたら
このスレにてお知らせ下さいませ
妹に言われたいセリフ
http://mewlog.sakura.ne.jp/sisterswords/
- 600 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/11/04(火) 08:41:54 ID:vPU1fUCz
- 600
- 601 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/11/20(木) 23:17:07 ID:rdg6cRwc
- 人が……
- 602 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/12/09(火) 09:14:10 ID:JbUcbkkh
- いない…
- 603 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/12/09(火) 21:08:40 ID:XH5KY8zg
- いるけどね。作品無いけど。
- 604 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/12/24(水) 21:50:36 ID:5IluGuZ5
- この時期は、俺みたいな人間には生き辛い。
誰かの誕生会なんて都合のいい言い訳に過ぎない。
結局、人は自分の愚かさに自覚していて、その愚かさを誤魔化すために口実を作り、騒ぐ。
それはそれでも構わないが……何故、そのメカニズムに乗らない人間を卑下するのか、それだけは不満だ。
「……今年の言い訳は決まりましたか?」
隣の遥が、ため息混じりに尋ねた。
「……大体……」
遥の質問に対し、言葉交じりにため息で返す。
「この時期は最低だな……」
まだこの俺に追い討ちをかけようと手薬煉引くテレビを、リモコンで消し、またため息をつく。
「みんな、楽しいことが大好きだからね」
「楽しめない俺みたいなヤツもいるけど……」
クリスマスの日って、みんな何してんだろうな。
「お兄ちゃんだってその気になれば……」
「その気にはならないんだ。不思議なことに」
「じゃあ、しょうがないよ」
「しょうがないな」
でも、憎い気持ちは少しある。不思議なことに。
自覚できるほどの苦い顔。
「何かクリスマスプレゼント買ってあげようか?」
「いや、そういうのは毎年断わっているだろ」
毎年大野家にはクリスマス禁止令が……というか、遥が空気呼んでくれるだけだが。
「うん。でも、少しでも楽しみがあったほうがいいよ……」
意味深な遥。
「どういうことだ?」
「どういうことって……」
何だか呆れたご様子。
俺、何か変な事言っただろうか。
……まぁ、いいか。
- 605 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/12/24(水) 21:51:09 ID:5IluGuZ5
- 「とにかくだ。今年もクリスマスとは縁の無い年末を送りたい……」
この単語を自分で言うのも嫌だな……。
ちょっと口の奥が苦くなる。
「だと良いけどね……」
何だかさっきから引っ掛かる遥。
「どうした、さっきから……」
もしかしてご機嫌斜めでいらっしゃる?
恐る恐る尋ねてみた。
「いや、だって……」
躊躇いがちの遥。
「?」
意味が分からない俺。
「何何何?ケンカはダメだよ?」
背後からの声。
……。
……?
「あきらっ!?」
「やっほー。久しぶりだね、お兄ちゃん」
冬でも元気なボク女……。
「……勝手に入ってくるなよな」
「勝手じゃないよ。ちゃんとお邪魔しますって言ったよ」
別に突っ込むほどのテンションは無い。
腹を立たせながらも流す。
「何か用か」
「クリスマスの予約を取りに来たの!」
今一番聞きたくない言葉をさらりと言いやがった……
「遥……頼む」
「え……うん……えっとね、あきらさん……?お兄ちゃんは、クリs……が大嫌いで……」
「うそだー。そんな人、聞いたこと無いよー」
もはや俺の存在があきらの常識外……ヘコむなぁ……。
- 606 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/12/24(水) 21:51:43 ID:5IluGuZ5
- 「ね?ウソだよねっ?お兄ちゃん?」
リアルで信じていないらしい。
いつもより何だかテンション高めのあきらが後ろから、俺の首に巻きついてくる。
「あっ……お、お兄ちゃんっ!!怒っちゃダメだからねっ!?」
「怒りはしないけど……」
はぁ……もう今年終わらねぇかなぁ……。
「だから、お兄ちゃん。クリスマス、ボクと一緒に遊ぼう!!」
「……」
「お仕事があるから、夜からになっちゃうけど……でも、いいよね!クリスマスは夜でも!!」
……帰って欲しいなぁ。
「じゃあ……私は……朝でもいいよ……」
またも背後で声。
「真雪か……」
「うん……。寒いね」
「ああ……寒いな」
……中身の無い会話。
「プレゼント、何がいい……?」
「いらない」
「じゃあ……自分で考える」
もうここまで来ると、日本語が通じていない可能性があるな……。
「少し遅れてしまいましたね。こんにちは、兄様」
……もういい。もう誰でもいい……。
「宮原……」
……ここ俺の家なんだけどなぁ。
「この様子ですと……クリスマスの予定はあまり空いて無いですか」
またその話かよ……。
クリスマスになると大野賢太郎の需要が増大すると言う話は聞いたことが無いが……。
まぁ、ともかく来る人来る人に嫌いな言葉を浴びせられ、どんどん弱っていく俺の体。
頼みの遥も、もはやどこにいるのかすら分からない……。
周りを見渡せば、何だか記憶に無い連中もいるし……一体俺は何をすればいいんだろう……。
- 607 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/12/24(水) 21:52:18 ID:5IluGuZ5
- 流れに逆らわぬように、ジッとソファーで耐えていると、
「じゃあ、平等にみんなでクリスマスパーティーを開くということで」
と、誰かが言った。
……もう決定の雰囲気。
「というわけで、お兄様。楽しみにしててくださいね。詳しくはまた追って連絡しますので」
宮原のこの笑顔を正直殴ってやりたいと思った。殴らないけど。
ぞろぞろと捌けていく人。
残る遥と俺。
「どうしよう……」
「どうしようもないよ……」
「……はぁ……」
うん、逃げよう。
───────────────────────
脱出は簡単だった。
俺の家を会場にしたのは方法としてはいいが、遥を完全に味方に付けられなかったのはかなりのミスだな。
目下の問題は、ほとぼりが冷めるまで俺はどこで何をすればいいか。だ。
友人のほとんどが今日をお楽しみだろうから、そんな中に入っていく勇気は無いし、
そもそもどこまで根回しが進んでいるか……。
買い物しようにも絶対『口に出すのも憚られる二人組』が沢山いるだろうし……。
とすると、もう行ける場所はそうないな……。
「……何もかも今日と言う日が悪い」
呟いた言葉。
恨み節は、自爆の合図。
『お前が負け犬なだけじゃないか』と北風が囁く。
「そうか、これが遥の罠だったんだな……」
遥にまで被害妄想が出ている。
これは本格的にヤバいかもしれないな……。
「どうしようかなぁ……」
- 608 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/12/24(水) 21:52:51 ID:5IluGuZ5
- 帰る?
帰らない?
まぁ、少なくとも手ぶらでは帰りづらい空気ではある。
かといってこれから何処に行けば良い?明日の朝までは安心は出来ないぞ……。
もはや八方塞の俺。
小さな公園のベンチだけが、かろうじて俺に扉を開いている気がした。
「はぁ……」
すっかりため息も白い季節だ。
こんな真っ黒な体から出てきたのにな。
「そうか……これが孤独か」
そういえば、いろんな負の感情を抱いてきたつもりだが、
孤独、というのは自分には縁がなかった気がするな。
そう考えると、遥の存在は偉大だな。
……五分前の自分の言葉を忘れた発言に、少し情けなくなる。
「悪かったな、遥よ」
とりあえず曇り空に向かって謝ってみた。
青空に劣等感を掻きたてられる俺だが、この嫌なことが起こりそうな曇り空も……。
「サンタさんはこんな寒い日に、何してるのかな?」
そんな声を顎で聞いた。
頭を下げ、前方に視線を向ける。
「遥っ……!?」
ヒマから解消されたと言う感情が少しと、見つかった!という感情がかなり……。
即座にダッシュの姿勢。
「お、お兄ちゃん!!大丈夫だよ、連れ戻しに来たわけじゃないから!!」
小動物の相手をするように、まずは優しい言葉。
「本当か……?」
「うん。まぁ……一応、探してくる、ってことになってるけど」
「いいのか?」
「ちょっと悪いとは思うけど……」
- 609 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/12/24(水) 21:53:23 ID:5IluGuZ5
- 困り顔の遥。
遥も被害者であることに変わりは無い気もするなぁ。
俺はとりあえず逃走体制を解除、もう一度ベンチに座る。
「隣、お邪魔するね」
「どうぞ」
クリスマスの昼間に兄妹二人。
誰もいない公園のベンチで。
傍目カップルですかね、俺たち。
「……寒くないか?」
「私は平気。お兄ちゃんは?」
「俺も別に」
……ホントは結構寒い。
多分遥もそうじゃないかと思う。
「……お兄ちゃんは覚えてるかな」
そんな遥が空を見上げながら、ゆっくりと話し出す。
「何を?」
「小さいとき、お兄ちゃんが私にくれたクリスマスプレゼント」
……あっさり言うなぁ。
「なんかあげたか……?」
「ふふ、覚えてない?」
「昔の俺は死んだと思ってくれたほうが良いぐらいだ」
というか、俺にも小学生の時期があったんだろうか。今となっては謎である。
「お兄ちゃんがくれたのはね……温もり」
……。
「何言ってんだよ、遥……」
ネガティブ兄シリーズとは思えないハートフルな単語が……。
この体のど真ん中からこみ上げる気持ち悪さは何だ……。
「お、お兄ちゃんが言ったんだからね!?」
恥ずかしそうに反論する遥。
「俺が……?」
衝撃の事実……。
- 610 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/12/24(水) 21:53:55 ID:5IluGuZ5
- やっぱり昔の俺は死ぬべき存在だったんだ。
「うん……『僕にプレゼントできるのは温もりだけだけど……』って」
気持ち悪いことするなぁ、我ながら……。
「そんなこと言ったかな……」
「うん。クリスマスにお父さんもお母さんも帰れなくて……でも、お兄ちゃんは私の傍に居てくれた」
穏やかな微笑の遥……。
その微笑を向けるのは、俺ではなく、いつの間にかいなくなってしまった俺。
……あまり良い気分ではない。
「ちょっと不機嫌になっちゃった?」
全てお見通しとでも言いたげな、意地悪な顔の遥。
「そりゃまぁ」
そのことを含めて、バツの悪い俺。
「でもね、お兄ちゃんは……今でも私に温もりをくれてるよ?」
「バカな。そんなもの、何処にあるって言うんだ……」
「わかんないけど……きっといろんな所にあるよ。お膝の上とか、腕の中とか、胸の真ん中に」
「……」
ヤバい、この雰囲気に少し飲まれていた……。
「ずっと、一緒にいよう?」
「……」
この疑問符を恨む。
俺の答えを待っている遥の瞳。
あぁ、昔の俺はこういうところに生きていたなぁ。
「今の俺に温もりなど無い……と思いたい……。
だが、まぁ……遥が俺の中に何かを見つけたなら……好きなだけ持って行けばいい」
昔の俺の心が今の俺の言葉を使って。
……まぁ、遥が俺にとって大事な妹なのは、そんなに変わって無いような。
「うん」
真正面を見つめて、小さく頷く遥。
「……変なこと言わせやがって」
俺も遥の眺める方を見ながら、足を組みなおす。
- 611 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/12/24(水) 21:54:39 ID:5IluGuZ5
- 「さ、兄妹交流も済んだことだし!そろそろ引導を渡してもらおうかな」
「……」
まぁ、予想通りではある。
いつまでも逃げ切れるとは……思って無いけどさ。
「そんな嫌な顔しないの!私もついててあげるから、ね?」
「遥の方が姉さんみたいだな……」
「あはは……久しぶりに言われたよー」
……言われてるのか。
「……悪かったな、世話焼かせて……」
「お、お兄ちゃん!?べ、別にそういう意味じゃ……」
「分かってるよ……」
本当はもっと謝り倒してやりたいが……少し空気を読んだ。
遥は少し不満そうな顔をしながらも、
「さぁ、帰ろう?」
立ち上がり振り帰る。
俺も、そのあとに続いてゆっくりと立ち上がって
「遥……少し寄り道を許可してくれよ」
「寄り道?いいけど、何処行くの?」
「姉さんに何かプレゼントでも」
「もう……」
遥は小さく不満の吐息を漏らしながらも
「じゃあ、私からも何かプレゼントしてあげるよ、おとーとクン」
意地悪に微笑んで、遥が俺の手を取り走り出す。
嫌な流れに飲まれてしまった俺とその流れを操る遥。
……やっぱり嫌いだな、クリスマス。
───────────────────────
- 612 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/12/26(金) 01:45:00 ID:6wsGE8Ld
- GJ!
- 613 :No.2 :2008/12/27(土) 01:07:26 ID:fjQzd3Cl
- 乙ぬるぽ!
- 614 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/12/28(日) 23:57:43 ID:qO1aUJ7A
- あげええ
- 615 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/12/29(月) 00:11:38 ID:YHEr3WDP
- de? dounaruno
- 616 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/12/29(月) 07:12:27 ID:6vQVlyce
- ド変態
- 617 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/12/29(月) 21:28:09 ID:Rlvhvy97
- 小説まだ〜?
- 618 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/12/29(月) 21:48:55 ID:arV4kgA+
- ( ^ ^ ) オニイチャン!!
- 619 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/12/29(月) 23:53:54 ID:zVHEkU++
- Zガンダムのロザミィとか年上の妹ってありなのか?
- 620 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/12/30(火) 22:38:08 ID:qG6cXzTa
- 2メートルはあるだろう塀の上。
見たこと無いような派手、それでいて奇抜な服を着用。身長が1.5mほどの少女が、俺を睨んでいる。
「ちょっとそこのアナタ!!」
「……」
せめて遥の居るときに話をして欲しいもんだ……。
間違いなく会話のベクトルは俺に向いているが、あえてのスルー。
「無視するなぁー!!」
そう叫びながら、俺のすぐ目の前に飛び降りてくる女。
「いったぁーっ……!!」
やっぱ痛かったか……。
「あの……何か?」
「い……1分待ちなさい……」
何故命令口調……ムカつく……。
仕方ないから待つけど……。
「58……59……1分。で、何か用ですか」
「無視することないんじゃない!?」
「僕じゃないと思ったので」
「しっかり目があったでしょ!?」
「気のせいじゃないですか?」
「はぁ……そんなんでよくこの社会で生きてるわね……」
何故だ……何故見ず知らずの他人にここまで言われねばならん……。
「……絶望した……」
「そんなことで落ち込まないでよ、鬱陶しい」
鬱陶しい……。
- 621 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/12/30(火) 22:38:41 ID:qG6cXzTa
- 「……俺を詰るだけの用なら帰りますが……」
「そんなワケないでしょ。アナタ、名前は?」
「……矢車……」
「嘘仰い」
「大野賢太郎です……」
「やっぱり……」
「やっぱりって……?」
「大野賢太郎君……」
真顔で俺を見つめる……何……?
「……?」
「やっと見つけた!私と交際しなさい!!」
「交際……って……?」
「俗に言う、付き合うってことよ」
……何を言うかと思えば……。
こんな展開にはもううんざりしている。
あとはどう断わるかだが……
「……」
無言で逃げる。
「ちょ、ちょっと!!待ちなさい!!」
待つわけ無いだろう。
とにかく、全力ダッシュ。
自分の知る限りの細道や、分かれ道を出来るだけ通過し、いつもの倍以上の時間をかけて自宅まで。
……俺は、悪くないんだよ、うん。
───────────────────────
- 622 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/12/30(火) 22:39:13 ID:qG6cXzTa
- 「遅かったわね」
リビングのドアの向こうには、悪夢が待っていた。
「お兄ちゃん、お帰りなさい」
女にお茶を出しながらなんとも能天気な遥。
って、そうではなく……
「な、何故だ……っ!?」
「撒いたつもりかもしれないけど、家ぐらい知ってるわよ。フィアンセなんだから」
……。
「遥!?何か今聞こえなかったか!?」
「え……?うん……」
どうも聞き間違いではないらしい。
しかし、遥。何故お前はそんなに普通なんだ……。
まぁ、いい。そんなの今は些細なことだ。
「どういうことだ、婚約者って!?」
「婚約者は婚約者よ。知らないの?」
「誰と、誰が!?」
「私とアナタに決まってるでしょ?」
「人違いだろ」
「じゃあ、どうしてこの家に来たって言うのよ」
「……でも、全然記憶に無いぞ」
そう。それが一番大事なんだよ。
何で気付かなかったんだ、俺は。
「フィアンセの顔を忘れたって言うの!?」
「言う。お前なんか知らん。女と婚約した覚えもない」
やさぐれモード発動。
「な、何言ってるのよ!?したでしょ!?」
「知らんといっている。いつだ、いつ婚約したというんだ!?大体お前誰だ!?」
「そ、そんなの忘れる方がどうかしてるわよ!!」
「どうかしてるのは今に始まったことじゃない。四の五の言わずに教えなさい」
普段もココまで言えれば良いんだが……いや、ちょっと困るかな。
- 623 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/12/30(火) 22:39:55 ID:qG6cXzTa
- 「ね、ねぇ……お兄ちゃん……?」
今まで黙っていた遥が不意に口を開く。
「黒河さん……忘れちゃったの……?」
「はっ!?」
遥が裏切った!?
「ふぅ……やっと薬が効いてきた……」
「何か言ったか!?」
「いえ、何も」
確かに言ったが、今の優先度はそっちじゃない。
「遥、大丈夫か!?この女になんか脅されてるのか!?」
「え?えぇ……っと……別に何も無いけど……お兄ちゃんこそどうしたの?あんなに仲良かったのに……」
悲しそうな顔の遥……
なんか、妙な思い出を捏造されてる気がする……。
「……」
チラッと女を見ると、したり顔がムカつくこと……。
しかし、こいつはともかく……どうも遥が嘘をついてるって感じじゃないんだよなぁ。
「お兄ちゃん……ホントに大丈夫なの?」
「よく分からんが……とりあえず遥。下がってもらって良いぞ」
「う、うん……あの……お兄ちゃん?黒河さんにひどい事しちゃダメだよ……?」
「覚えとく」
遥が部屋から出て行くのを見届ける。
さて……どうしたものか……。
「うむぅ……」
「思い出してもらえたかしら?」
「いや、全然……出合ったのって、そんなに前だったか?」
若干信じ気味の発言……。うーん、なんか急に俺が忘れてるだけのような気がしてきた。
「……いつだったかしらね」
「俺が女嫌いになる前なんだよな」
「そうね」
「じゃあ、小学生くらいか」
- 624 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/12/30(火) 22:41:06 ID:qG6cXzTa
- 「多分ね」
「それなら、あきらに聞こう。アイツなら知ってるかもしれん」
「そ、そんな私たちのことに巻き込んだら、彼に悪いじゃない」
……。
「ついに尻尾出しやがったな」
「え……?何を?」
「高羽あきらは女だ。彼じゃない」
「……」
「さて……いろいろ話してもらおうか。とりあえずは……俺の妹に何をしたのかを。
言っておくが、俺の足は女だって容赦なく蹴り飛ばすからな」
若干脅し気味だが、この際関係ない。
女はしばらく俯いていたが、急にコチラを睨んで
「アンタが……アンタが悪いんじゃない!!」
「は……」
逆ギレかよ……これだから……。
「順を追って説明しろ。俺が何をした」
「言っても信じないわよ……」
「信じるつもりもないが、一応言っておけ」
「……変な女だと思わないでね」
「もう思っているし、俺のまわりは変な女だらけだ」
俺の一言に意を決したとは思えないが、ゆっくりと口を開く女。
「私……魔女なの」
……。
…………。
…………やべぇ、コイツ本物だっ……!
「だ、だから言いたくなかったのに……!」
「それを信じろというほうがどうかしている……せめて証拠を見せろ証拠を」
「それは……無理」
……騙す気ゼロかよ。
- 625 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/12/30(火) 22:41:40 ID:qG6cXzTa
- 「使えないの……今は」
「何故?」
「恋しちゃったから……」
「ふざけてんのか?」
耳を疑うセリフに、思わず口が乱暴になる。
俺は悪くないだろ……!?
「ふざけてないわよ!!だって、しょうがないじゃない……恋しちゃったのも、魔法が使えないのも……」
「で、何だ。何で婚約者偽って俺のとこに来た」
「……魔女に戻るためには……好きな人と添い遂げる必要があるの」
「だから、何で俺なんだよ。その好きな奴のトコに行けよ」
「……だから!!アンタが好きになったって言ってるのよ!!女の子にココまで言わせないでよ!!」
不意打ち……。
苦いし気持ち悪い……吐きそうだ、俺……。
「……別に良いじゃないか……魔法なくても……生きていけるぞ……」
頭をガックリ落としながら、声を絞り出す。
「そんなワケには行かないのよ!!こうしてる間にもアイツらが……っ!!」
「アイツら?」
「アンタは気にしなくても良いのよ。さぁ、早く!私を愛しなさい!!」
もう全く会話の道筋が分からねぇ……。
「急にそんなこと言われても困るからなぁ……少し考えさせてくれよ……」
「だから!そんな悠長なこと言ってる場合じゃないんだってば!!」
「何をそんなに急いでるんだよ……ん……?」
そこまで言いかけて止める。
女が緊迫した表情で窓の外を眺めていた。
「どうした……?」
「ほら、来ちゃったじゃない!!」
怒鳴るように叫んで玄関から外に出て行く女。
あぁ、お仲間の登場ですか……。
しかし、これはチャンスだ。
玄関に鍵をかけてやろうと、肩を落として向かうと……
- 626 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/12/30(火) 22:42:23 ID:qG6cXzTa
- 「とうとう見つけたわっ、覚悟なさい」
さっきの女と、白い変な服の女と黒い変な服の女の二人組みが向かい合っている。
何だか緊迫した雰囲気。
「……えっと、これは何……?」
「出て来ちゃダメよ、賢太郎!」
手を大きく広げて、俺を庇う姿勢の女。
「は……?」
「こいつらは、アナタたち人間の魂を奪いに来たの!!」
「……お前は……?」
「私はアイツらと戦うために……きゃっ!!」
少し先の地面が爆発した。
「そんな話を聞く必要は無いのよ、人間さん」
黒娘が小馬鹿にしたような口調で語り始めた。
「そうそう。はやく魂欲しいなぁー!」
と、白娘。もうこいつについては語りたくない……。
設定についていけない俺。
そんな俺の背後から、
「え、え!?何、何なの、お兄ちゃん!?」
遥の登場。
もうどうしよう、この場……。
「遥、出てこないほうが良いらしいぞ」
「え……何で……?」
何でと言われても、俺もよく分からないしなぁ。
「賢太郎!のんきに話してる場合じゃないでしょ!?」
そんな場合じゃないのか……。
そんな場合が掴めない俺と遥は、どうしようもなくて、棒立ち。
「魔法力が無くなったアンタなんてもう敵じゃないの」
「そうそう。早く死んじゃいなよ!」
身の丈ほどもある杖を構える二人組。
あぁ、そういう状況……。
- 627 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/12/30(火) 22:42:56 ID:qG6cXzTa
- 「賢太郎……ゴメンね、巻き込んじゃって……」
「おいおいおいおい!!やめてくれよ!?そんなこと言われたら一生悔やむだろ、俺!?」
「でも……」
しかし、俺もどうせなら一矢報いてから死にたいなぁ……。
「「消えな!」」
杖の先から放たれた禍々しい光が迫る。
考える間もない。女を突き飛ばし、その光を体に受ける。
「賢太郎っ!!」
「お兄ちゃんっ!?」
全然痛くない……死んだのか、俺。
と、思ったのは一瞬。
「あれ……?」
生きてる。
っていうか……何にも感じなかったぞ。
「え?えっ?」
周りを見回すも、敵味方ともにポカーンとしている。
……俺もそのリアクションに乗ってみる。
「そ、そんな……魔光力が効かないなんて……」
「うそうそ!?人間なんかに!?」
我に返った敵さんが焦ってらっしゃる……。
周りの人が騒いでいるのに、当事者がよく分からないんですけど……。
「遥……?」
もう何したら良いのか分からなくて、遥のほうを振り返る。
「お兄ちゃん……?」
瞳に涙を浮かべた遥が、キョトンと俺の目を覗き込んだ。
「……驚いた。まさか、賢太郎が魔封心の持ち主なんて……」
魔封心って……その設定、何だよ……?
「魔封心!?」
「魔封心!?」
魔封心……?
- 628 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/12/30(火) 22:43:32 ID:qG6cXzTa
- 敵さんも驚いている……そんなに凄いのか、俺……?
「魔封心って……何?」
女に聞いてみる。
「要するにあらゆる魔法の干渉を受けない体質というか、性格みたいなものね……」
「性格……?」
「まぁ……魔法は所謂催眠術みたいなものなの。その催眠術自体を疑っちゃうから、かかりにくいのよ」
「つまり、お兄ちゃんがネガティブだから、魔法が効かないって事なのかな……」
「まさかでも、本人の周囲にまで影響が及んでるなんて……凄いわね、賢太郎!」
褒められたことがイマイチ腑に落ちないが……俺は今、相手に対して絶対的な高みにいるということだ。
「ま、魔封心なんて無いに決まってるじゃない!!」
「そうそう。さっきは何かの偶然よ!!」
もう一度、さっきの光が迫る。
そしてもう一度直撃したが、やっぱ何ともない。
二度目なんてどうしたら良いのか……。
「うーん……」
ここまできて何にもないと恥ずかしいな……。
「ど、どうしよう……」
「うそうそ……やっぱりホントに」
「慌てちゃダメよ!!かくなる上は……!!」
「そうそう。最後の手段!!」
最後の手段……?
「「喰らえ!!」」
俺の右側、遥に向かって放たれる光弾。
そのなんとも全く予想通りの攻撃を高めの蹴りで消す。
当てた。という視覚と当たってない。という触覚が齟齬を生んで、非常に気持ちが悪い。
その上、見事な空振りで少し体制を崩したまま足を付く。バツが悪い……。
「無事か、遥」
「うん……ありがとう」
遥が無事で何より。
- 629 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/12/30(火) 23:03:37 ID:qG6cXzTa
- グッと頭を下げて、
「……こんなことだろうと思ったよ……」
「そんな……」
「うそうそ?ヤバいんじゃない?」
焦る表情に柄にも無く少し強気になる。
「……遥に矛先向けやがったな……!?」
「そ、そんなつもり無かったわよっ!?」
「そうそう。私たちは……」
弁解を聞くつもりは残念ながら無い。
身を縮め、バネを使って距離を詰める。
「……お前らはいいよなぁ……そうやって、人間を見下して……なぁ?」
「み、見下すなんてそんな、ねぇ?」
「俺の力だけでも……相当痛いからな」
少し右足を引く。
さて、どちらから蹴り飛ばしてくれようか……。
「「ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」」
───────────────────────
「……迷惑かけたわね、賢太郎」
……例の如く、記憶は無いが。
「一応、お前には世話になった。もっとゆっくりしてけばいいのに」
「人間界に長居するわけには行かないわ……私は、魔女なんだから」
「ご苦労さんだな」
「ええ……まぁね……」
何だか暗い。
「そういえば……」
「何?」
「名前を聞いていなかった。黒河は本名なのか?」
「ええ、黒河夜影。まだ名乗ってなかったわね」
……黒河夜影……ダークな名前だ。
「……そういえば……」
「まだ何か?」
「魔法はどうした?」
- 630 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/12/30(火) 23:04:14 ID:qG6cXzTa
- 「……それは……あの……」
「ん?」
「あなたの魔封心の影響で……一時的に……で、でもっ、あなたのこと好きじゃなくなったわけじゃなくて……」
そんなことかい……。
「もう何でもいいや。そもそもこの設定に間違いがあったんだな」
「設定って何よ……」
「こっちの話だ」
まさか……ファンタジーに片足突っ込むとは思わなかったからなぁ。
「じゃあ、これでお別れね」
「ああ」
「また、何かあったら呼んで頂戴」
「また何も無いといいけどな」
本心だ。
「そう……そうよね……」
そう呟いて、ゆっくりと振り返る黒河。
その背中には黒い翼が。
……驚いてもいい場合なのかな、この状況は。
戸惑う俺に、黒河は肩越しに俺を見て
「じゃあね、兄」
「……」
兄って言った……?
「妹なら、また会いに来てもいいでしょう?」
「……」
「いけないかしら?」
「こういう場合……好きにしろ。ということにしているが」
「ふふふ、ありがとう。じゃあ、また会いましょう、兄?」
黒河の微笑がフッと消えた。
……あまりにも一瞬だったな。
「まぁ、一件落着ってことに……」
夕暮れの街、胃を押さえながら歩く。
……今日の記憶を消してもらえばよかったなぁ。
───────────────────────
- 631 :名無しくん、、、好きです。。。 :2008/12/31(水) 03:19:29 ID:g/kM23L7
- GJ!今回はいつも以上に、
俺の好みのツボにジャストフィットしておもしろかったっす!
- 632 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/12/31(水) 21:55:23 ID:qLZHbJ0H
- まぁ、別にどうということもない一日。
俺は別に急いでいるわけでもなく廊下を歩いている。
すると、
「やぁ」
……見慣れぬ声に振り返ると、やっぱり知らない女が立っていた。
「学校で会うのは初めてだな」
「……?」
あまりの出来事にもはや疑問符しか出てこない俺。
「今日も……ん?どうかしたかい?」
あまりに何も言わない俺に、話を続けようとした女が尋ねてくる。
「いや……誰……ですか……?」
勇気を出して聞いてみた。
「ん?あぁ……そういうことか」
どういうことだ!
心の中で突っ込みを入れながら相手の出方を伺っていると、
「まぁ、近いうちに分かるさ」
不敵な笑みを浮かべながら、女がそう呟いた。
「積もる話は、その時にしようじゃないか」
「はぁ……」
なんともリアクションが取りづらい……。
「じゃ、また今度」
満足したのか小さく手を振って、去っていく女。
どうしようもなく、ただそれを眺めている俺。
……新たな面倒は、もう避けられそうに無い……。
───────────────────────
「……というようなことがあってだな……」
帰り道、昼間の一件を遥に語る俺。
遥は一瞬だけ真面目な顔を見せてから、
「その女の人、誰なの?」
「それが……全然心当たりが無い」
- 633 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/12/31(水) 21:56:00 ID:qLZHbJ0H
- 「どんな人だった?」
「……あんまり見てない……」
「それじゃ、わかんないよ……」
呆れた表情の遥。
「だろうな」
当然だと頷く俺。
「まぁ、二度と会わなきゃ問題は無いわけだ。だから、俺は先に帰るぞ」
「あ、うん。私は買い物してから帰るよ」
「おう。後でな」
分かれ道で遥と別れる。
しばらく早歩きで自宅へと向かっていたが……
「……暗いな……」
俺の不安心が活動を開始した。
……そうだよな、この時期この時間なら真っ暗だよな……。
……遥は一回危ない目にあってるわけだし……いいのか、一人で行かせて……。
……でも、あの女には会いたくない……。
……どうしたものか……。
「あれ、お兄ちゃん!?帰ったんじゃないの!?」
「……いや……やっぱり夜道は危ないなと……」
「じゃあ……私のために……?」
「まぁ、そういうことだ……」
スーパーで何とか遥に合流に成功。
前回の発言を覆すのは、何かと言い訳がちになってしまうな……。
「ありがとう、お兄ちゃん」
何だかご機嫌な遥。
俺はカートを押して歩き出した遥のあとをゆっくり付いていく。
- 634 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/12/31(水) 21:56:45 ID:qLZHbJ0H
- ……まぁ、買い物の付き合いなんて退屈なものだ。
何が家にあって、何が安くて、何ができるか。
それら全てを理解してなければ、夕飯のメニューのアドバイスなど出来ない。
結局、付いてきたものの何にもしてないわけだ、俺は。
若干退屈になってきた時、
「やっぱり来たな」
……マジかよ……。
出来るだけゆっくりと振り返る。
視線の先には、なんだか白っぽい服を着ているさっきの女が
「そんなに嫌そうな顔をするな、僕だよ」
……だから嫌なんですけど……。
「……」
今度はじっくり顔を見るが……やっぱり分からない。
「お兄ちゃん?」
異変に気が付いたのか、遥がこちらに参戦してくる。
「あ」
「どうも」
発見の声を出す遥と、軽く頭を下げる女。
「あぁ、遥の知り合い……」
取り残された俺が一人、納得していると
「何だ、まだ分かってなかったのか、キミは」
呆れたような女。
……っていうか、歯に衣着せないね、この人……。
「……で、遥。誰なんだ、この人は」
「僕はパン屋だよ」
そう答えたのは遥ではなく例の女。
「パン屋……?」
「そう。ほら、そこの」
女が振り返って、指をさすお店。
そこは……
- 635 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/12/31(水) 21:57:33 ID:qLZHbJ0H
- 「あそこはっ!?」
「お兄ちゃん、そこのカレーパン大好きなんだよね」
確かに、あそこのパンは好きだ……。
しかし、こんな店員がいた記憶が無い……のは、当然か。女の顔を覚えられない障害を抱えているからな。
「……バイトしてるのか?」
もう一体どういうリアクションをとればいいか分からず、下らない質問でお茶を濁す。
「まぁ、そんなトコロだ」
「へぇ……」
話、膨らまず。
気まずいよ。
「さてと、素性が分かったところで自己紹介と行こうか。僕は笹野くるむ、よろしく」
「えと、私は妹の大野遥です」
「兄の賢太郎……」
自己紹介が苦手なのは分かってもらえたと思う……
「あぁ、兄妹なんだな。あまりに仲がいいから、てっきり恋人同士かと思っていたが」
「こここここここ、恋人同士っ!?」
テンパる遥。
……そんなに嫌か。
「笹野だったな。あまり遥をいじめないでやってくれ……」
「いじめる?そんなつもりは無いが……気に障ったなら申し訳ない」
「こんな不逞の兄がいるだけでも可愛そうなヤツだ……そこを刺激しないでやってくれ……」
「……ははは!面白いなぁ、キミは」
嘲笑われた……。
……もういいや、こいつ嫌いだ……。
俺が一人落ち込んでいると、
「おっと、もう帰らなければ。では、また学校で会おう」
自己完結的にあっという間に帰ってしまう笹野。
落ち込む俺に遥は、
「……お疲れ様……あんまり、私の出る幕無かったね」
「どんな気持ちであのパン食えばいいんだ……俺は……」
- 636 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/12/31(水) 21:58:11 ID:qLZHbJ0H
- 「買い物、続けようか」
「うん……」
肩をガックリ落として、俺は遥の後を付いていく。
この話、まだ、続くんですか……?
───────────────────────
「やぁ。探したよ。クラスぐらい聞いておけばよかったな」
あれから、二日後。
とうとう見つかってしまった……。
「……あぁ、久しぶり」
心底会いたくなかった俺は、げんなりしながら答える。
「元気が無いぞ、大丈夫か?」
「気にするな」
「それならいいが。無理はするんじゃないぞ。そうだ、カレーパンが好きだったな、これは土産だ」
小さな、見慣れた紙袋を机の上に置く。
……この俺を物で釣ろうってか……。
「で、何か用か?」
若干いい気分の俺。
……釣られてるなぁ、見事に。
「この前は、大事なことを言い忘れていたからな」
「大事なこと……?」
「ああ、大野賢太郎君、僕は君を愛している。僕と付き合ってくれないか」
「……」
……?
…………?
「何だとっ!?」
「ん?変な事言ったか、僕は?」
いたって普通の笹野。
それに対し、俺は大慌てで、
「普通!!」
「普通……?まぁ、そんなに個性的な方では無いな。普通と言えば普通だ」
「は……」
- 637 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/12/31(水) 21:58:47 ID:qLZHbJ0H
- お前が普通なものか!!
いや……この突っ込みもおかしいぞ。
「いきなり!!」
まだ全然身の上話とか聞いて無いし、言っても無いし!!
「昔から善は急げと言うからな。あの子が恋人で無いことも分かったしな」
「……」
こいつは手強いぞ……。
俺の性格を知らないから遠慮が無い……。
いや、この女の性格を考えたら、それすらも乗り越えてきそうだが……。
しかも、こういうときいると心強い遥がいない。
……どう断わろうかなぁ。
げんなりしながら、次の一手を練っていると、
「そんなことより……そろそろ返事をもらえないか……その……僕だって不安なんだ」
あら、そういうところもあるんですね……。
「……」
『残念だけど……』
いや、あまり遠回りな表現が効果的な相手では無さそうだ。
『俺、彼女いるし』
いねぇし。
『ダメに決まってんだろ!!』
言えない言えない……。
もうやさぐれそうだなぁ……。
そんなことを考え始めたとき、
「……っ!?」
背筋が凍るようなこの感覚は……殺気……?
凍ってしまった首をなんとか動かして、何にも言わずに振り返る。
視線の先には
「賢にぃ……誰……その人……」
「ま、真雪……」
絶対零度の視線を容赦なく刺しこんでくる冬月真雪……。
これはヤバいんじゃないかなぁ……。
- 638 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/12/31(水) 21:59:25 ID:qLZHbJ0H
- 「あぁ、賢太郎君の友達だね。僕は笹野くるむ。今、賢太郎君に告白して、返事を待っているところなんだ」
空気を全く読まない笹野。
流血沙汰ですか、これは……。
「賢にぃ……答えは……?」
何でこんなノリで言わなきゃならないんだ……。
全く性質の違う二つの視線が痛い……。
「まぁ……そりゃ、お断りさせてもらうつもりだったけど……」
もはや尋問だよ、これは……。
「そうか、残念だね。いや、僕としたことが早とちりしてしまったようだね」
「は……?」
「遥君が恋人でないことを聞いて、君に恋人がいないと勘違いしてしまった。君にはこんな恋人がいたんだな」
……。
……それも違うんじゃないかな……。
いつもはその辺の複雑な事情を説明してくれる遥がいないので、仕方なく俺が。
「あの……確かに恋人いないけど……真雪も恋人とかじゃなくて……」
痛痛痛痛っ!間違って無いだろ!?
「ん?ちがうのか?」
「なんていうか……あの……俺は女性が苦手で……」
あぁ、自分で何を言っているんだ俺は……。
「賢にぃ……説明……しようか……?」
こんなグダグダな俺を哀れんで、真雪からの助け舟。
「……じゃあ、頼む」
本当に助け舟かどうかは疑問が残るが……。
もうどうでもいい……事実が伝われば……。
もはや投げやりな俺は説明を真雪に託し、机に崩れ落ちる。
帰りたいなぁ、もう……。
「なるほど、じゃあ、僕にもまだチャンスはあるんだな」
「うん……ライバル……」
「そうか。僕も晴れて君の妹だな。兄上」
こんな台詞が遠くで聞こえる。
もうどうでもいいから、この話、早く終われ……。
───────────────────────
- 639 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/12/31(水) 22:00:00 ID:qLZHbJ0H
- いつもの帰り道。
いつもと同じくらいの時間。
いつもと同じようにいつものスーパー。
いつもと違う遥……。
「あ、あのね……えとね……」
ハキハキしている遥が今日に限ってモジモジ。
一体何が……。
「……熱でもあるのか?」
不思議に思って、立ち止まり、振り返る。
「熱は……ないんだけどね……」
珍しい表情の遥。
遥の感情が読めず、出方を伺うのみの俺。
「買い物に付き合ってくれて……ありがとう」
「……あぁ」
いつものことじゃないかと思いつつも、この状態の遥に水を差す気は無い。
何食わぬ顔を装って、何にも言わずにカートを押す。
「ねぇ、お兄ちゃん?お兄ちゃんは何が食べたい?」
「遥なら分かるんじゃないか」
まぁ、俺の好きな物には詳しいわけだし……。という意図の発言であり、
やんわり否定するなり、考えるなりして欲しかったわけだが、
「えっ!?そ、そんなこと……ないよぉ……」
照れるように否定した遥。
……どうしちゃったんだ、俺の妹は。
「遥……?」
何気なく肩に置いた手に、
「え……?お、お兄ちゃん……」
胸焼けのするリアクションの遥。
嫌ではないが、何なんだ、この空気……。
- 640 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2008/12/31(水) 22:00:40 ID:qLZHbJ0H
- 「やぁ、兄上」
空気をぶっ壊す笹野の声。
今回ばかりはありがたい……。
「あ、ああ、笹野。今日もバイトか」
この空気を断ち切った笹野に、出来るだけ好意的な視線。
「そうだが……兄上?」
「どうした?」
「本当に君たち兄妹は仲がいいんだな」
「こんなもんじゃないか。なぁ、遥?」
「え……?あ、うん……そうかもね」
さっきと対照的になんだか素っ気無い遥。
その遥を見て、
「兄上。遥君、何だか暗いけど、何かあったのかい?」
「さぁ、俺にも……ちょっと疲れてるんじゃないか、遥?」
「そ、そうかもしれないね」
相変わらず素っ気無い。
……遥のことなら少しは分かっていたつもりだったが、まだまだ知らないことも多いんだな。
───────────────────────
ネガティブ兄に『胃が痛い』とか『胃に穴が開く』みたいなことを言わせまくっていたら、
僕本人がクリスマスイブの日に胃潰瘍に苦しむ羽目になりました……。
というわけで、俺にも遥みたいな妹がいればなぁという意味を込めて、
ネガティブ兄の書きかけの奴を急遽完成させて、厄払い。
まぁ、創作のペースはかなり遅いですが、来年もよろしくお願いします。っと。
- 641 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/01/01(木) 22:48:35 ID:vIABjrOi
- 胃潰瘍ってマジですか…お大事に…
名無しを代表して、今年も宜しくお願いします。
- 642 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/01/02(金) 19:45:10 ID:pI+pjDsY
- 投下乙です。
お体お大事に、そして今年もよろしくお願いします。
- 643 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/01/25(日) 20:54:51 ID:eAvgFF6v
- 保守。
盛り上げるためには、俺なんかでも何か書かなきゃいけないとは思ってるんだが、
書きたいネタはあるけど、文章に出来る程じゃない……。
- 644 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/02/14(土) 23:58:41 ID:sfwYfq2p
- 土曜日。
まぁ、別に何かあるわけでもなく。
のんびりといえば聞こえはいいが、ただ暇なだけの休日。
忙しそうな遥とは対照に、リビングでコーヒーを啜る俺。
「何かつまむもん無いかな」
ちょっとコーヒーだけでは物足りなくなってきた。
何か食べ物を探すために立ち上がる。
そのとき、
ピンポーン
チャイムが鳴る。
少しだけ遥の方を見たが、どうも手が放せなさそうな顔。
俺が出るしかないのか……。
滅茶苦茶嫌。というワケではないが、結構嫌なものだ。
ちょっと暗い顔でドアを開けると、
「お早う。朝早くからすまないね。すぐ済むから勘弁してくれよ」
と、笹野。
「まぁ、忙しくは無いからいいけど……何か用か?」
「ん。まぁ、そうだな。ほら、これを」
と言って、バッグから小さな紙袋を。
「今月は何かと物入りでな、ちょっと安物になってしまって申し訳ないが」
少し、小さな声で呟いた。
俺は不審に思いながらもその紙袋を受け取って、
「あぁ、ありがとう。何だこれ?」
「ん?そんなに変なモンじゃないぞ、普通のチョコレートだ」
- 645 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/02/14(土) 23:59:46 ID:sfwYfq2p
- 何故俺に突然チョコレートをくれるんだろう……。
パンの材料が余ったのかな……。
「あぁ、ありがとう。あとで食べるよ」
理由は不明だが、チョコは嬉しい。コーヒーのお茶請けにしよう。
「うん、喜んでくれて何より。美味しく食べてくれると、嬉しいよ」
「あぁ、悪いな」
「気にするな、僕と君の関係を考えたら……じゃあ、僕はバイトがあるから、失礼するね」
小さく手を挙げて、コートを翻す笹野。
それを黙って見送る俺。……笹野に食で買収されすぎじゃないか、俺……。
───────────────────────
短すぎですが、一応バレンタインにはギリ間に合った……。
続きはまた明日書きます……。
- 646 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/02/15(日) 03:36:09 ID:tMlulBrO
- GJ!
- 647 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/02/16(月) 21:53:05 ID:kc+Ut2RK
- . ,、r‐''''''''''''''''ー 、
,r' `' 、
/ ヽ
. / , ヽ
,,' ; ,、、,_ ニニ ,、」、
l. :;;;i ´ .._`ー ‐''"....|
l:,;'"`'、, . ,;ィェ、.. ,rェ;〈
. ';i l :::i;;,, ::' "......::'''ン .., .:::'''"゙,
l;゙、',.::l;;;i r ヽ. l, いやあっだめっ
l;;;;`‐;;;;;ヽ . './'ー'''ー‐' ', l;;;,, なんでそんなとこ舐めるの!?
. ,、rイ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ゝ ,r";;二二二,ヽ, !;;;;:' 汚いよっ!
'.:.:.l ll ;;;;;;;;;;;;;;;;;' ,rニン"  ̄二´ `ノ;;;;;`-、
:.:.:.| l.l '';;;;;;;;;;;;;;' ,イ l''' l `
:.:.:.:| ','、 ''''''''' , ‐---,ェr'".l.| | |
:.:.:.:| ゙、゙、 `''''''''"",ノ l l .| |
:.:.:.:.| ヽヽ `'---‐'" .// !
- 648 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/02/20(金) 23:16:53 ID:yUJyB29i
- 「早速食べるか」
リビングに戻った俺。
一段落着いたのか、ソファに座って茶を飲んでいる遥。
「あ、お兄ちゃん。もしかして、チョコレート?」
「よく分かったな。笹野からもらった」
「笹野さんから……。それにしては、嬉しそうだね?」
「丁度何か食べたいと思ってたんだ。せっかくだ、一緒に食おうか?」
「え、私はいいよ!」
強く否定する遥。
それに、ちょっとヘコむ……。
「……じゃあ、一人で食おうかな……」
ちょっと出鼻を挫かれたが、俺の動き出した甘いものを食べたい気分は止まらない。
紙袋から、上品な箱を取り出し、その箱を眺めながらテーブルへと向かう。
その最中、
「お兄ちゃんがバレンタインにそんな嬉しそうな顔してるの、初めて見たよ」
……。
ドサっ……。
……。
「お、お兄ちゃんっ!?」
遥が大声を張っている。
足の上に、小箱的なものが落下してきた痛みを感じる。
「まさか、気付いてなかったの!?」
遥の目を見る。
視線を下にズラす。
「忘れていた……」
俺はそっとチョコを拾い、そのまま紙袋に戻す。
「遥、いるか?」
「ううん……私はそれを食べる勇気は無いよ……」
「だよなぁ……」
ソファに座り、カップに残ったコーヒーを一気に飲み干す。
まさか、チョコレート一個がこんなに俺にダメージを与えるとは……。
- 649 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/02/20(金) 23:17:26 ID:yUJyB29i
- 「うわ、お兄ちゃん凄い……苦くないのー?」
もう別にあきらが来たって驚きはしない。
というより、もはや感情が半分凍っている。
「……熱い」
「そっかー、でも、気をつけたほうがいいよ。ベロをヤケドすると痛いよー?」
「ああ……気をつける」
「あ、でも、もしヤケドしちゃっても、ほら!ボクのチョコは食べられるよ!!」
両手で差し出されたチョコ。
「……チョコは熱くないな」
「うん。ボクはあんまり詳しくないんだけど、有名なお店のチョコなんだって!」
「ふぅん……」
出されたチョコ。覚悟は決まった。
それを中指と親指で受け取る。
「あとで食べる」
「うん。じゃあ、ボクは帰るね?」
「気をつけてな」
「うん、ありがとう。じゃあね、お兄ちゃん」
帰ったか。
……。
「え、お兄ちゃん?な、何で私をそんな目で見てるのかな……?」
「……やり場の無いこの感情をどうしたものかと思って……」
「うー……美味しいチョコでも食べたら?」
「今食べたら、諸々を認めることになる気がする……」
「そうだね……コーヒー、もう一杯飲む?」
「……もらおうか……」
立ち上がる遥。
二つのチョコを前に、頭を抱える俺。
「……居留守、使う?」
手早くコーヒーを入れてくれた遥。
コトリとカップを置いて、言い辛そうに提案。
- 650 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/02/20(金) 23:17:58 ID:yUJyB29i
- 「……もう二人にもらった時点で遅いだろ……」
そりゃ逃げたいは逃げたいが、後々面倒なことになる気が物凄くしている……。
「それもそうだね。じゃあ、先は長いけど頑張ろう」
コーヒーが薄い……。
……バレンタインなんて無くなればいいのに。
「気分が優れないようですが、大丈夫ですか?お兄様」
「……うん。大丈夫」
宮原。
宮原か。
「バレンタインのチョコを持って参りました、よかったら受け取ってください」
あぁ、手書き風の花柄が書かれた薄い紙袋。
「……手作りか……?」
「すいません……あまり時間がなかったもので……手の込んだものは……」
「いや、そういうつもりじゃないんだ……」
あぁ、俺のせいで気を悪くさせてしまった……。
ただでさえ元気が無いのに、さらにヘコむ……もう嫌だ……。
「ごめん……手作りのチョコなんて貰い慣れて無いから……」
「ふふ、私も本命チョコなんて渡すの初めてです」
……すっげぇパンチ打ってきやがった。
「……」
俺も初めて。とか何とか言ってやろうと思ったが、やっぱ無理だ……。
「ありがとう……あとで食べる」
「はい。では、お兄様もお忙しそうですし……私もそろそろ失礼しますね」
「……悪いな、お構いもしなくて」
「いえ。受け取ってもらえただけでも嬉しいです。それでは、また月曜日に会いましょう?」
……会いたくない。
「だから……その目は辞めてよぉ……私が悪いんじゃないよ……」
「……分かってるけど」
テーブルに突っ伏して、少し休憩。
三杯目の遥のコーヒーはさっきよりも随分濃い……。
……口の中に残る苦味では、喉の奥の苦味は紛らわせそうに無い。
───────────────────────
- 651 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/02/20(金) 23:19:32 ID:yUJyB29i
- 立て続けに三人の自称妹たちに会って、俺の心ももうボロボロ。
毎年俺以外の男はこの時期になるとチョコを欲しがるが……こんなのが本当に幸せだと思ってるのか……。
半分死んだような気持ちで土曜日の午前中を過ごしている。
テーブルの上には三つのチョコ。
もはやこのソファから立ち上がる気力も起きない……。
……まだ土曜で良かったな。明日はゆっくり休もう。
せめて明日のことを考えて明るくなろうとしているというのに、
「おはよう兄。っていうか、もう『こんにちは』かしら?」
背後から襲い掛かる非現実女、夜影。
「別にどっちでもいい……」
「ま、それもそうね。兄、チョコレートは好きかしら?」
「……普段なら」
今、俺のチョコレート株は大暴落しているが。
「そう……良かったわ、甘いもの嫌いだったらどうしようかと思ってたの」
四個目のチョコか……。
「……これ、大丈夫なんだろうな」
「な、何よ!!その言い方!?」
「……」
ヘコんでしまった心は大きな声に弱い……。
だって、蛙とか蛇とか入れてそうな感じするじゃないか……。
「あ、ゴメン……」
俺の死にそうな雰囲気を察してくれたのか、すかさず謝罪を入れる夜影。
「いや……俺も……」
……悪くは無いはずだ、俺は……。
- 652 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/02/20(金) 23:20:04 ID:yUJyB29i
- 「でも、そんな言い方……向こうの世界にはチョコレートはないし、ちゃんとこっちの世界で買ったものなんだから……」
「……」
「作るのだって、魔法は使ってないのよ……?」
「それは……悪かった……」
「そう思うのなら、このチョコ、受け取りなさい!」
「……はい……」
受け取る。
……別に、置いてってくれればいいのに。と今更ながら思う。
「じゃ、じゃあ、私は帰るから!!」
「おぅ……」
と言った瞬間には夜影は消えていた。
……アイツ便利だなぁ。
もう動く元気すらなく、しばらくそのまま食器棚の方向を眺めていると
「何処見てるの?賢にぃ」
虚空を眺める俺を本気で哀れむ真雪の声。
この人たち、今日はホントにテンポがいいなぁ……。
「……別に」
「そう……」
……心配されているね。
「遥ちゃんは?」
「……そういや、いないな。まぁ……忙しいんだ、遥は」
「忙しいんだ……」
「ああ、そうらしい」
見の無い会話は相変わらず。
- 653 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/02/20(金) 23:20:37 ID:yUJyB29i
- 「……そ、その……賢にぃ……?」
「ん……?」
「こ、これ……」
はいはい。チョコだよね、チョコ。
受け取りますよ。
「……あんまり気に入らないかもしれないけど……」
……あぁ、相手の卑屈に返す言葉が無い……。
俺も少し反省した方がいいなぁ……。
「気にするな、チョコ好きだぞ」
俺、ちょっと優しい。
「……よかった……」
真雪の微笑。
別に俺は今日に関しては何とも思いませんがね。
「……今日は……帰るね……」
「おぅ、気をつけて」
真雪の背中をボッーと見つめる。
……真雪のチョコを仲間達の中に入れてみた。
───────────────────────
- 654 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/02/20(金) 23:21:10 ID:yUJyB29i
- 「ふぅ……」
ため息にも色々あるが、まぁ、その色々を含んだため息を吐いてみる。
……もう誰も来ないはず。誰も来ないはずだ……。
「……あぁ……」
机の上のチョコレート五つを見る。
どうしようかなぁ……。
食べたい気持ちはかなりあるが、前述の理由を考えると食べられるはずが無い……。
「あー……チョコが食いたい!!」
買いに行こうかなぁ。
……いや、今日買いに言ったら、もうそれは恥ずかしい人じゃないか。
「遥に買ってきてもらおうかなぁ……」
「え?私がどうしたの?」
背後から遥の声。
まぁ、みんなの今日のタイミングの良さと来たら……。
俺は首をそのまま後ろに倒して、
「ん?チョコが食べたいんだが……さすがに今日買うのは恥ずかしいし、遥、買ってきてくれよ」
「お兄ちゃん……それは、出来ないよ……」
なんだか困り顔の遥。
「……何で?」
「こっち、向いて」
「んー?」
折れそうな首を正常な位置に一旦戻し、今度は捻る。
視線の先には
「あ……」
「……私も……チョコ、あるんだけど……やっぱり私のもダメ?」
「いや、遥のだったら食べるよ」
こういうのは失礼かもしれないが、遥には一番気兼ねが無い。
当たり前か。妹だし。
- 655 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/02/20(金) 23:21:43 ID:yUJyB29i
- 「ち、ちなみに……私のチョコも……他の皆とあんまり変わらない感じだけど……」
「ん?どういうこと?」
「そ、その……込められてる気持ちが……」
……?
手を後ろに組んで、モジモジの遥。
「そりゃ、そうじゃないか?」
「え……?」
「遥だって……というか、遥こそ、俺の妹だからな」
「……え?」
呆然顔の遥。
「あぁ……そっちか……」
今度は、ちょっと納得した遥。
「どっち?」
「ううん、何でもない……はい、チョコ。コーヒーは……いらないよね、もう?」
「あぁ、ありがとう。コーヒーはもうさすがにいらないね」
「私は……ちょっと疲れちゃった……休んでくるね」
「あ、あぁ……」
ヨロヨロとリビングから出て行く遥。
チョコを一つ頬張る俺。美味い。
机の上を見なければ、今幸せだなぁ。
様子のおかしい遥は……まぁ、今日は気にしないことにしよう。っていって、二度と思い出さないのだけど。
───────────────────────
何だこのあまりにも、なストーリーは。とか。
そもそも、もう日本語が上手く書けて無いじゃねぇか。とか、
こんなん書くのに何日かけてんだ。とか……。
俺、本格的に台本書きとしての能力がヤバいみたい……。
……次に会うのはいつだろうね。
- 656 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/02/22(日) 18:04:00 ID:iyOum8aP
- GJ!
- 657 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/02/24(火) 01:57:05 ID:egeDSQkQ
- 乙
- 658 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/03/23(月) 22:12:18 ID:VgXc8Q9Y
- 行く場所が無い、目的も無いというのは悲しいことだ。あるのは時間だけ……。
せめて暇な時間を共有できる人間がいればいいんだが、今の俺にはそれすらも。
まぁ、別に本屋やらコンビニやら時間をつぶせそうな場所を目指してブラブラと歩く。
「いっくん……?」
すれ違った女が振り返って呟いた。
が、この『いっくん』と呼ばれる要素を持っていない大野賢太郎には、関係の無いこと。
何にも気にせず歩き続ける。
「……いっくん……」
泣き出しそうな声。
あぁ、携帯音楽プレイヤーの電池さえ切れていなければ、聞き流せたのに……。
いや、俺には関係の無いことだ。だって、いっくんじゃないし!
少し気にしながらも、歩き続けた。
今度は、
「うぅっ……うえぇぇぇん……」
とうとう泣き出した。
周りには俺達以外は誰もいない。
少し離れたところからは、数人の人が歩いてくる。
……あぁ、この状況はどう考えたってマズいねぇ。
「……」
仕方なく振り向く。
当然女には見覚えが無い。
「……?」
何故お前も俺と同じ顔をしているんだ。
「誰……?」
泣きながら、ポツリ。
……それはこっちの台詞だ。
「人違いなら、行ってもいいですよね?」
という言うが早いか、逃げるように女から背を向ける。
大丈夫、おじさんも変な顔はして無いし。
- 659 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/03/23(月) 22:13:44 ID:VgXc8Q9Y
- 「ん……?」
袖が掴まれている。
「待ってくださいぃぃ……」
鼻声でこんなことを言ってくる女。
……何でだよ……関係ないだろ、俺と……。
「私、アナタにぃ〜……」
……周りの目が痛い。
家で大人しくしてりゃ良かったよ……。
───────────────────────
買い物の帰り道。
ビニール袋を手に提げた私は、正面から来る人に見覚えがあることに気づく。
そうだ、あの人は……
「あ……一郎くん」
「え……あ、遥さん」
今井一郎くんは私の従兄。
親戚だけあって、お兄ちゃんを水で薄めたような人……っていうと、少し失礼かなぁ。
「偶然だね。何してるの?」
「え……」
明らかに焦っている一郎くん。
聞いてみただけ。聞いてみただけ。
「あ、忙しそうだね。邪魔したら悪いし、私はもう行くね」
適当に気を使って、その場から抜けようとする。
「あ、あの……」
時間にして2秒後くらい。
一郎くんの声が……。
「え?」
にわかに信じられなかったが、もしかしたら私を呼んでいるかもしれない。
- 660 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/03/23(月) 22:14:39 ID:VgXc8Q9Y
- 首を少しだけ向けて、目だけで一郎くんを確認する。
「あ、ゴメン。ちょっと聞きたいことが……」
どうも本当に私の用らしい。
……うーん、お兄ちゃんならこんなこと絶対しないのに……。
「何かな?」
「えと……人を探してるんだけど……」
「人?どんな人?」
「このは……」
「このは……?」
このは……このは……。
……名前かなぁ、苗字かなぁ。それとも木の葉ってことなのかなぁ……。
しばらく考えていると、
「あ……」
そうだ。昔2、3回会ったことがある気がする。
確か……
「彼女さん?」
何度か一郎くんの家に遊びに行ったとき、いつも、一郎くんの後ろから離れなかった女の子の名前。
「え……?何で、それを……」
照れながらも答える一郎くん。
そんなこと忘れてたって、一郎くんの顔を見れば十分理解できるのに。
「それで、どうしたの?」
「……ちょっと……ケンカして……。俺が悪いのは……分かってるから……謝りたいんだけど……」
「なるほど、そんなことなら私も手伝うよ」
「え、いいよ!」
そうだそうだ、ここで押しても無駄だったね。
「そう?じゃあ、写真とか無い?見つけたら連絡するから」
「え?……う、うん……」
一郎くんにケータイで写真を見せてもらう。
幸せそうな顔。
……仲直りさせてあげたいな。
───────────────────────
- 661 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/03/23(月) 22:15:27 ID:VgXc8Q9Y
- お久しぶりです。ネガティブ兄、いつぞやのネガティブ幼馴染編。
まぁ、全く関係は無いんだけど、裏設定を破綻させるセルフコラボ。
……当初の予定というか願望はこんな話じゃなかったんだけどなぁ。
しかし、一ヶ月書き込みなくても、落ちないんだね……
俺一人、目指せギャルゲー板最下層。
- 662 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/03/24(火) 00:09:21 ID:+8wsGQ1H
- GJ!
- 663 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/03/24(火) 14:05:08 ID:hhrjdeWQ
- 更新来た!これでかつる!
- 664 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/03/27(金) 23:36:09 ID:hxNd4udw
- 「……」
「……」
「……」
公園のベンチ。
隣同士の俺と女。
……何か言ってくれよ。
「……落ち着いた……?」
仕方ないので、何故か俺が気を使う。
「す、すいませんっ!!私、ちょっとっ……」
「まぁ、いいけどさ……」
気が弱いなぁ、俺……。
「で……何か、俺に聞きたいことがあったんじゃないのか?」
もう早く帰りたい。
まぁ、嫌では有るが、仕方なく話を振ってみる。
「あ、はい……えと、その前に……私、野咲このはっていいます。あの……お名前を……」
「大野賢太郎」
「大野さん……すごくつまらないことなんですけど、大野さんが……私の友達と似てて……」
あー……。
この話は恐らくめんどくせぇぞ……。
「で、よかったら相談に乗ってもらえないかと……」
やっぱり……。
しかし、少し考えてみると、そんなことを見ず知らずの人間にすがるなんて、普通の感覚じゃない。
……それだけ友達に入れ込んでるのか、それともこの女が相当変なヤツなのか。
「まぁ、仕方ない……。で、具体的に何を?というか、どこが似てるのかまずは聞きたいんだが」
「……えと、雰囲気というか、オーラというか……陰々滅々とした感じというか……」
あー、そうか。
バカにされてんだ、俺……。
「ご、ゴメンなさい!!べ、別に大野さんがそういう人って言うつもりじゃ……」
……言ってるじゃん……。
- 665 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/03/27(金) 23:37:00 ID:hxNd4udw
- でも、まぁ、
「……いいんだ、間違ってない……」
「で、でも……私、そういうところも嫌いじゃなくて……!!」
「……」
全く俺へのフォローになってないぞ……。
「えと、えと……と、というか……そういうとこも、好き……なんですけど……!!」
「……」
もう何を言っても負けな気がする。
……どうすりゃいいの?怒っていいの?
なんか女はフォローを続けてるけど、もう惚気にしか聞こえない……。
「……で、そこまで言っといて、何を俺に相談することが……」
ちょっとやさぐれた。
「……え……?」
……え……?
もしかして、いい事言った、俺……?
そんな気はなかったのに、何だかアドバイスっぽくなってしまったことに自分でも驚いている。
「そ、そうですよね、大野さん!!私は、いっくんのことが……」
全く意図してなかったんだ、その目はやめてくれよ……。
あー……消え失せたい……。
「……もう、帰っていいか……」
「あ、お礼をさせてください!」
「そういうの、いいから……」
「いえ、是非!」
……いっそ殺してほしい……。
───────────────────────
- 666 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/03/27(金) 23:37:43 ID:hxNd4udw
- 一郎くんと別れた後、一度家に帰り、もう一度このはさんを探す。
気を使わせないように、一郎くんには見つからないようにしていたが……
「あ、あれ、遥さん?」
まずい……見つかった……。
「遥さん、帰ったんじゃ……」
「うん。天気もいいし、ちょっとお散歩ついでに、このはさん探しのお手伝いをしようかなって」
……うーん、これもちょっとイマイチな言い訳……。
「そう……ゴメンね、わざわざ」
やっぱり今一つ納得していない一郎くんの顔。
「気にしないで。ついでだから」
焼け石に水ではあるけど、『ついで』を強調してみる。
しばらく、二人で歩いていたが、
「あ、お兄ちゃんだ」
「ホントだ、賢太郎さん……」
公園の向こうの方にお兄ちゃんがいる。
そして、遠くてよく分からないが女の人……あぁ、またお兄ちゃんは変なことに巻き込まれてるのか……。
「あれは……このは……」
「え、あの人が……?」
言われてみると、確かに特徴は似ている。
……これは、もしかして……。
「一郎くん。多分、怒るだけエネルギーの無駄だよ?」
「どういうこと?」
「……別に怒って無いならいいけど……。あのお兄ちゃんが女の人を好きになることなんてないから」
「うん……知ってる。でも、このははどうかな……」
「あの顔が、お兄ちゃんのこと好きな顔に見える?」
「……いや」
「じゃあ、行こう。お兄ちゃんも困ってるし」
「ああ」
大きく息を吐く。
そして、少し明るい口調で、
「おーい!お兄ちゃーん!!」
───────────────────────
- 667 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/03/27(金) 23:38:25 ID:hxNd4udw
- 第二弾。次で終わり。意外に短い……。
しかし、俺だけのスレかと思ったら、まだ人がいるんだねぇ。
あとは職人様がいらっしゃることを祈るばかり、と。
- 668 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/03/28(土) 17:57:31 ID:309AVUgD
- GJ!
投稿待ちでROMってるんだ
- 669 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/03/28(土) 19:23:13 ID:HOpJFLuC
- ノシ俺もだ
遊星氏は我々の希望の星なのさ!!
- 670 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/04/06(月) 16:58:47 ID:VHPa+dAS
- 保守
- 671 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/04/17(金) 23:10:55 ID:KkfFbybR
- 「おーい!お兄ちゃーん!!」
聞きなれた声。
このタイミング……さすが遥と言ったところか。
「は、遥!!」
完全に『助けてくれ』を込めた言葉。
その言葉に、何故か今まで俺の腕を掴んでいた女の手が離れる。
「……いっくん……」
視線の先。
アイツは……。
「なんだ、一郎じゃねぇか。ってことは、この女が一郎の彼女……?」
「どうもそうみたいだよ、お兄ちゃん」
……あー、そう……あの一郎にも……。
「このは……」
俺を無視して、この女に話しかける一郎。
……あぁ、もしかして俺達が邪魔?
「このは、ゴメン!俺が悪かった!!俺が……こんなだから……」
「ううん、いいの。私は、そんないっくんが好き」
「このは……」
「いっくん」
あー、何か抱き合ってるよ。
……気持ち悪ぃ!!
これネガティブ兄シリーズじゃねぇの!?
「で、何でこんなことに……?」
何と言うか敗北感のような感情に目を背けるように、遥にしょうもない質問を。
「お兄ちゃんこそ、何があったの?」
「俺は……話せば長くなるが、一郎と勘違いされて、何やかんやで相談に乗ってた。遥は?」
「私は、このはさんを探してる一郎くんに偶然会って、一緒に探してたの」
しかしまぁ、あれが一郎の彼女ねぇ……。
- 672 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/04/17(金) 23:12:19 ID:KkfFbybR
- 「羨ましい?」
「そういうのが全く無いといえばウソになるが……嫌悪感の方が強い」
「お兄ちゃんらしいよ」
……呆れた様子の遥。
「……帰ろうかな」
もう別に何かを言い返す気にはなれない。
何も考えずに、帰宅を提案する。
「帰りますか」
賛同する遥に心からホッとする。
しかし、
「待ってください」
帰らせてよ、バカップルさんよ……もう俺の負けなのは明白だからさぁ……。
「……」
言葉は語らない。
死ぬほど元気の無い顔で、振り返る。
「大野さん、本当に有り難う」
「……」
黙って頷く。もうどうでもいいから。
「あの、お礼といってはなんですが、お二人とも一緒に食事でも……」
「あ、もちろん奢りますから」
……この二人と一緒に?
このさっきから自分達の世界を展開しっぱなしの二人と?
死んでも嫌だ。……とは言えないんだが、どうしたらいいんだろう。
遥をチラッと見る。
お見通し、とばかりに視線を背ける遥。
……あぁ、助けてはくれないんだ……。
- 673 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/04/17(金) 23:13:05 ID:KkfFbybR
- 沈黙の俺。
三種の視線が突き刺さる。
「わかった……」
「わっ!?ホントですか!?」
驚く女。
……このリアクションなら、行かないという選択肢も十分有りだったな。
「ふふ〜♪」
ニヤニヤ顔の遥。
そして、
「良かった。俺たちがよく行くお店があるんです。紹介しますよ」
何か、いいトコ見せたいんだか何だか知らんが、よく喋る一郎。
ここから先はもう語りたくも無い。もう最低だよ……。
───────────────────────
……今回の話はこれで終わり。
毎度のことながら、このオチ弱さ。さすが俺。
相変わらず、アイデアは出ません。
まぁ、何か浮かべば出来るだけ書くようにはしますんで、その時もこのスレがあればな、と。
- 674 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/05/04(月) 14:59:38 ID:d4Rwl5TN
- ほしゅ
- 675 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/05/08(金) 03:33:38 ID:caXeZd0e
- 保守
- 676 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/05/14(木) 23:10:24 ID:mDfhxhpd
- ・・・保守
- 677 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/05/23(土) 16:45:04 ID:iBg07Qa7
- お兄、保守するねっ
- 678 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/06/07(日) 08:56:53 ID:5lnfnkg2
-
- 679 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/06/18(木) 15:02:19 ID:RyNsI+NL
-
- 680 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/06/25(木) 20:50:46 ID:xI1N8OQW
- 妹に言われたいセリフか…
可愛くて綺麗で俺に優しくて甘い妹にお兄ちゃんが一番好きだよって言われたい。
- 681 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/06/26(金) 23:57:11 ID:VXKRDMpn
- 父の会社の取引先の社長令嬢と俺との結婚式が終わりホテルの中庭にて
妹「ずっと…、ずっとお慕いしておりました…」
俺「え…ッ?」
妹「ごめんなさい、お兄さま」
俺「え…ッ?えぇ〜ッ?」(俺ハジマタ的なニュアンスで)
- 682 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/06/27(土) 01:58:49 ID:6/D5iIOc
- >>681
血の繋がった妹とのドロドロの不倫に突入するのか
でも妻になった社長令嬢は外見だけでなく性格も素晴らしく自分を一心に慕ってくれて…
- 683 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/07/09(木) 01:36:31 ID:2vX6uc08
- 保守
- 684 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/07/09(木) 13:21:36 ID:6um/aRH8
- 妹「わたし、初めて」
- 685 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/07/09(木) 14:16:17 ID:q2jHLym/
- お兄ちゃん一緒にお風呂入ろ♪
やだやだぁ一緒に入ってくれないと駄目ぇ
- 686 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/07/11(土) 00:15:36 ID:Bc7AZ5dG
- 「わたしが起きるの手伝ってあげるね♪それぇ」
「!」「きゃあ(>_<)お兄ちゃん裸で寝てる!」
「!!」「ウ・ソ・だよ」「…」「でも、はみ出してるヨ」
- 687 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/07/11(土) 01:25:11 ID:7h8ExjAY
- 『お兄!手、何か付いてるよ。ゴミかな?ちょっと見せて…あっ、あのお店…行こっ』そういって、俺の手を握ったまま、妹が駆け出した
- 688 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/07/11(土) 21:47:28 ID:fKxy5U4B
- お兄ちゃんのエッチ
- 689 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/07/11(土) 22:58:36 ID:9TKPQ+r4
- 「お兄ちゃん…最近アニメとかしか見なくて私と全然遊んでくれないよね…付き合ってくださいなんて無理なことは言わない……でも…もう一度だけあの頃みたいに私と遊んでよ…お兄ちゃん…(ここで妹涙目)」
by妹のいない俺
- 690 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/07/11(土) 23:06:18 ID:eIu3dzYb
- 妹 「そんなゲームばかりして馬鹿兄さん この変態 変態 変態〜」
- 691 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/07/13(月) 23:41:47 ID:vmc4np2j
- 妹『お兄ちゃんが彼氏だったらなぁ…いや、何でもないよ』
- 692 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/07/26(日) 04:01:55 ID:xVtclSef
- 妹『・・・・・いいよ』
- 693 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/08/12(水) 15:30:15 ID:QsFHPI7g
- それでもっ、あたしは、あんたのこと好きなの!
- 694 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/09/04(金) 11:29:59 ID:dYrkdhqj
- 妹『保守するよ』
- 695 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/09/20(日) 23:51:37 ID:iKCAl/xv
- この全てを蒸発させそうなほど暑い日。
頬を流れる暑い汗すらも凍りつかせるその絶対零度の視線……。
「あ、あの……真雪……?どうかし……」
視線の持ち主は恐る恐る尋ねた俺の言葉を目で潰す。
「賢にぃに聞きたいことがある」
俺の言葉を遮って、淡々と言葉をつむぐ真雪さん。
「な、何でしょう?」
「3組の新谷さんと……付き合ってるって、本当?」
「は……?」
「色んな人から噂を聞いた」
僕らのイメージする取調べのように、机に手をつく真雪。
蛍光灯があれば、顔に押し付けられているところだ。
あぁ、そうだった……コイツ、俺のことが好きなんだった……はぁ……。
「いや、残念ながら心当たりが……」
「あるの?」
感情の無い言葉に妙な威圧感。
真雪……怖い……。
「あ、あの……冬月さん……?第一、僕その人知りませんし……そもそも、女嫌いなんですが」
めっちゃ下手から。
だって怖いし……。
「本当?」
「本当です……」
「……」
冷たい視線でジッと俺の目を見る真雪。
しばら沈黙が続いた後
「……じゃあ、賢にぃを信じる」
フッと微笑む真雪。
「あぁ……つーか、そんな有り得ないデマを信じないでくれ……」
「それも……そうだね」
その噂、根も葉も無さすぎなんですけど……。
- 696 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/09/20(日) 23:56:31 ID:iKCAl/xv
- 「喉渇いたな……」
「賢にぃ、何か飲み物買いに行く?」
「……行くか」
恐怖の数分間の終焉……。
まさかこれが最悪の事態の予兆であるとは……薄々気付いていた。
───────────────────────
授業終了後、妹と合流すると逃げるように校舎裏へ。
ここに来た理由は、三つ。
一日中日陰なので涼しいというのが一つ。妙な噂に振り回された人間に会いたくないのが一つと、もう一つは
「お兄ちゃん、どこ行くのー?」
「コンビニでアイス買う」
「こっちにコンビニなんてあったっけ?」
「俺も知らなかったが、穴場らしい」
こういう嫌なことがあった日は、冷たい物を食べて現実逃避したい……という淡い期待。
が、
「あー……そういうことか……」
何だか含みがあるような遥の言い方。
気になって、隣の遥を見る。
その遥の視線は前方右側に。その視線を追うと……少し高い場所に張り巡らされたフェンス。
そういえば、使ったこと無いが、プールってここだったな。
「で、プールがどうかしたか……?」
「え……だって……」
「だって……?」
今一つ、歯切れの悪い遥。
その理由は
「あ、大野君」
プールからの声に思わず振り返る。
「!?」
余りの眩しさに目を反らしてしまった……。
スラッとした肢体、少し日に焼けた肌、スクール水着という相当眩しさレベルの高い女性を直視してしまった俺。
眼が眩むぅ……。
- 697 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/09/20(日) 23:57:13 ID:iKCAl/xv
- 「だ、大丈夫!?大野君!?」
「いや、大丈夫っす……」
ぼやけた視界のまま、平静を装う。
「顔色悪いよ?部室使っていいから、少し休んでいったら?」
しゃがむ謎の女。
くぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!
の、脳が侵されるっ!?
「もう……いっそ殺してくれ……」
「お、お兄ちゃん……落ち着いて……人前だよ……」
「そ、そうか……そうだったな……」
大きく息を吸う。そして、吐く。
「少し落ち着いた……」
しかし、まだ脅威は去っていない。
「あのー……本当に大丈夫なんですか?」
向こうの人。
「えっと……多分大丈夫なんで、あんまりお構いなく」
と遥。しかし、この後、遥が衝撃的な一言を付け加える。
「新谷さん」
……新谷……?
……どこかで聞いた……。
「新谷……」
「自分の彼女の名前、忘れちゃったの?お兄ちゃん?」
「……あぁ……って、違ぇよ!!」
ノリツッコミは苦手だね。
「え?違うの?」
「遥までも変な噂を……。俺ってそんなに信用無いんだな……」
「私も嘘だとは思ってたけど……お兄ちゃんがプールの方にわざわざ来るから……」
「あの『あー……そういうことか……』って、そういう意味か……」
「いや、だってー!」
落ち込む俺と必死でフォローの遥。
- 698 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/09/20(日) 23:58:41 ID:iKCAl/xv
- 「あ、あのー……私に何かあったんですか?」
すっかり忘れてた。
っていうか、泳いでろよ、水泳部は。
「んと……何ていうか……新谷さんとこの人に噂が……」
複雑な顔で説明をする遥。
この人っていうなよ、遥……。
「え!?初耳ですよ!?」
「会ったこともないのにな」
「え!?一年生のとき同じクラスだったじゃないですか!?」
「……あぁー……」
……。
知らん。
にも関わらず、納得したかのような素振り。こういうのは得意だ。
「まぁ、それにしても……困るよなぁ」
「あはは、私は困りませんよ?」
新谷の先制攻撃。
「……」
俺、スルー失敗。
「あ、あはははっ。新谷さん、お兄ちゃんをからかわないでくださいよー」
遥のフォロー。
「そ、そうだねー」
この悲壮感がたまらなく辛い……。
この最低な空気をどうしたものかと悩んでいると
「新谷ー!サボってるんじゃないぞー!!」
青春大好き!と言った感じの水泳部男子がこちらに叫ぶ。
ああいう奴も苦手だなぁ、俺。助かったけど。
「あ、部長ー!すいませーん!!」
振り返って叫んだ新谷。
- 699 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/09/20(日) 23:59:33 ID:iKCAl/xv
- そして、立ち上がって
「呼ばれちゃった。じゃあね、大野君!」
小さく手を振って駆けて行く。
「……死ぬかと思った……」
「お疲れ様」
……暑い。
───────────────────────
- 700 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/09/21(月) 00:00:47 ID:EY8k8LLy
- 久しぶり。
もう秋だね……。
- 701 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/09/21(月) 00:50:30 ID:J8OWrRSz
- やっと投下が…。GJです。
- 702 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/09/22(火) 03:56:09 ID:YO7PvvYK
- 投下乙過ぎです
- 703 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/09/22(火) 10:09:42 ID:fHfNrOPP
- 遊星殿、お久しぶりです
- 704 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/09/28(月) 23:55:19 ID:qBHPCZfT
- 「……お兄ちゃん……」
「ん?」
「……そんなTVの番組表なんか立ち読みしてないで、帰ろうよ……」
「わぁ、今日は野球があるぞー」
「野球なんて見てるの、見たこと無いよ……」
「明日はサッカーだぁー」
「……お兄ちゃん、スポーツ嫌いでしょ」
「今度の二時間ドラマは何だろー」
「……あ、怖い顔した冬月先輩が」
「何っ!?」
「……」
ジト目の遥。
『ベタなネタに引っ掛かってんじゃないわよ』という視線が痛い。
「……」
気まずい俺。
「帰ろう?」
「……はい……」
現実逃避はあっさりと終了。
遥のあとに続いて、コンビニを後にする。
「あ……」
入り口付近で立ち止まる。
「あ、大野君」
まさかの……。
いや、ある意味予定調和。
『ほら、早く帰ればよかったのに』という遥の視線が痛い痛い……。
「えと……体は大丈夫?」
「お陰様で」
……と、体調不良の原因に気を使う。
- 705 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/09/28(月) 23:56:01 ID:qBHPCZfT
- 「良かった。それなら、えと……」
ここまで言いかけたのち、チラっと俺と遥の顔を見る新谷。
「?」「?」
よく分からずに顔を見合わせる俺たち。
新谷は俺の顔を見て、
「……少し、お話聞いてくれないかな」
「……え?」
思わぬ言葉……。
横目で遥を見ると、気の毒そうな遥の顔……。
そして、ニコッと笑って一歩下がる。
諦めろということですか……。
「……手短に頼む」
最大限の譲歩。
行きたく無いんだけどなぁ……。
「うん、ゴメンね」
遥が引いたのを確認すると、俺の前に一歩近づいて
「えっと、噂、あったよね。私と大野君の」
「あぁ……」
思い出したくなかった記憶が……。
苦虫を噛み潰しながら、遥の顔を見る。
「?」
わざとらしく首を傾げる遥。……助けて。
「その……ゴメンね。あの噂流したの、水泳部の後輩だったみたいで……」
「はぁ?そりゃ、また何で……?」
別に興味は無いけど、話さないと気まずくなりそうだったから……。
「……えっと……それは……」
「……?」
嫌ぁな予感……。
- 706 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/09/28(月) 23:56:44 ID:qBHPCZfT
- 「や……やっぱり言えません!!ゴメンなさい!!」
物凄い勢いで走り去っていく新谷。
「早っ……」
「ど、どうしたの!?」
走り去っていく新谷と同じくらいの速さで遥が駆けて来る。
「俺……何かしたかな……」
妙な責任……。
謝らなきゃいけないのかな……。
「お、お兄ちゃん!!落ち着いて、きっとお兄ちゃんが悪いんじゃないよ!!」
「そうだと……いいけど……」
「さ、帰ろう!お腹すいたねー!」
「……うん……」
こっからはあんまり覚えてない……。
───────────────────────
- 707 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/09/28(月) 23:58:20 ID:qBHPCZfT
- 意外に人多いね。
じゃあ、また。
- 708 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/09/29(火) 00:51:38 ID:lpqFF2K0
- GJ!次回も期待してます
- 709 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/10/07(水) 22:06:29 ID:T5/KTjld
- 今頃投下に気付いたよ
遊星さんGJ
- 710 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/10/11(日) 22:41:25 ID:YpQmxRIK
- まぁ、そんな一件ももはや一週間も前の話。
誰も俺と新谷の噂をするものはいなくなり……っていうか誰ですか、新谷って。
「……聞いたことはある気がするんだけどな」
「お兄ちゃん、本気……?」
「あぁ……女……?」
遥のリアクションを読んだ。
「そうだけど……」
「で、新谷だっけ?その人がどうしたって?」
「うーん、新谷さんの話をする感じじゃないけど……えと、大会で優勝したんだって」
「ふーん……」
知らないからピンと来ない……。
「ま、お兄ちゃんらしいね」
「そう。俺らしいんだ」
開き直り大失敗!……ま、これが下手だからネガティブなんですけどね。
ぐったり肩を落としつつ遥の先を歩いていく。
こんな日はアイスに限るね。
「……ねぇ、やっぱり……」
「ん?」
何だかキレが悪い遥に思わず振り返る。
「なんでも……ないけど……」
変な遥だ。
再び前を向く。
「ん?」
するとそこには、水着姿の女が。
「大野君……」
「……?」
名前を呼ばれたが、知らない。
「お兄ちゃん、新谷さんだよ」
妹がこっそり耳打ちで教えてくれる。
「あぁ、優勝した」
「……それだけじゃないでしょ……」
- 711 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/10/11(日) 22:42:07 ID:YpQmxRIK
- 「……ん……?」
それだけじゃない……?
必死に記憶を辿るが、思い出そうとするたびに記憶のブラックボックスに行き着くこと以外は、特に何も無い。
「大野君」
しばらくこの謎の女を放置していたが、向こうは向こうの都合があるらしい。
混乱気味の俺に、何か伝えようと、俺の目をジッと見ている。
「私……ずっとアナタのことが好きでした!!」
「……」
えぇ、この展開にはもう慣れたモンですよ。
俺の事好きなんだ、へぇー……。
キリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリ……
「ホントは……アナタと付き合ってるって噂が流れたのも……凄く嬉しくて……」
「……」
「大会で優勝できたら……ずっと伝えようと思ってたから……」
「……」
胃に意識が行き過ぎて、断片的にしか頭に入ってこない。
ただ一つ言えるのは……
「ダメなんだ……」
「え……?」
「俺は……もう……ダメだ……」
水着女が俺の前で、何か優勝したらどうとか青春地味たこと言ってるし、
何か夕焼け綺麗だし、遥もいつの間にかいなくなって、二人きりだし、
っていうかコイツと俺、一週間前に一悶着あったばっかりだし、その時も辛い想いしたし……
遠のきそうになる意識を何とか保って、
「……妹からで……頼めないか……」
いや……このシリーズの設定的には間違っていない。間違っていないが……何言ってんだ!?俺は!?
「え……?」
「ちょっと体調が悪い……詳しい話は、『妹』にでも聞いてくれ」
「え、う、うん……」
胃を押さえながら、ゆっくりと校門へ向かう。
この事件について、後に遥に苦言を呈されたが……残念ながら、俺の限界はこのあたりだと思う……。
───────────────────────
- 712 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/10/11(日) 22:42:49 ID:YpQmxRIK
- 「にぃに!おはよう!!」
翌朝。
性格も悪ければ、タイミングも最低な俺。
珍しく新聞を取りに行って、新谷とばったり……。
「……」
昨日の一件がどうなったのかを知らない以上、沈黙して、相手の出方を伺うほかは無い。
俺の思惑など当然知らず、新谷本人は極めて明るく、
「ランニング中なんだけど、よかったら、一緒に走らない?」
「……いや、今日はいい」
気弱な正確が言わせた『今日は』。
と、なれば当然……。
「そっか、じゃあ明日は?」
「……考えとく」
絶対行かない。
「毎日走ってるのか?」
「うん。朝走るのって、気持ちいいよ」
「そうか……」
爽死(さわやかし)するな。俺なら。
「にぃにも、明日は一緒走ろうね!!」
……さっきは流したが、この呼び方は……。
被っちゃいけないって言う、偽妹間の協定でもあるんだろうか……どんどん奇を衒った物に……。
そんな諸々の感情を含めての、
「あぁ……」
「じゃあ、またね!」
俺の返事に満足したのか、笑顔で去っていく新谷。
それを見届けて朝日に崩れ落ちる俺。
今日も良い一日には到底なりそうにも無いな……。
───────────────────────
- 713 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/10/11(日) 22:43:33 ID:YpQmxRIK
- 今回の話はこれで最後。
じゃあ、またいつか。
- 714 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/10/13(火) 01:33:14 ID:rsTEVAg4
- にぃに吹いたw
- 715 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/10/20(火) 23:13:33 ID:CGyafp6Z
- 保守
- 716 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/11/07(土) 22:50:34 ID:24HWkND5
- 最近、他の職人様を見ないな。
- 717 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/11/23(月) 23:11:00 ID:oODLqg0p
- 「……帰りたい」
人ごみの中、誰にも聞こえぬように呟いた。
……文化祭って……。
因数分解が何の役に立つんだ!という屁理屈をテスト前に幾度となく聞いたが、
じゃあ、聞こう……この文化祭は一体何の役に立つんだ?
「……はぁ……」
残念ながら、こういう祭りのときに盛り上がれない奴は悲しい奴とみなされるが、
まさに俺は悲しい奴の典型。
帰る、もしくは静かな場所に一人でいたいんだが……。
何かみんな楽しそうだなぁ、何故か。
あぁ、妬ましいこと。
「……どこか、静かな場所は……」
……どうせ有る訳無いな。
じゃあ、どうすればいいのかな……。
仕方なく、校舎内を死んだ目でウロウロしていると、
一階中央付近で、さらに濃い人ごみが……。
「何だ……?」
退屈よりはマシという意味では、興味はある。
だが、中に入っていくほどではない。
人ごみの一番外側に立って、中央の様子を伺うと、
「……誰だ……?」
真ん中には、一人の王子。……俺は、間違ったことは何も言っていない。
どうも俺の嗅覚によるところによると、男装の女性といった感じだろうか。
女ではあると思うのだが、少なくとも遥ではないことしか分からない。
確かに、外殻の奴らは全員その女を見ている。
男だけでも、俺には意味が分からないが、その中に女も含まれているのは不思議だ。
……随分人気者のようだが、人気者であればあるほど、俺には縁の無い人間だ。
こんな場にいることに対して、ため息を吐くと、
- 718 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/11/23(月) 23:11:47 ID:oODLqg0p
- 「はぁー。劇、終わったみたいですねぇ」
騒音の中、耳元で聞こえる声。
もちろんシカト。
「アナタに言ったんですよ、大野賢太郎先輩?」
少し棘のある言い方で、耳元の声が間違いなく俺を詰った。
幻聴だったら良かった……いや、それも良くないか。
嫌々ながらも、首をそちらに向ける。
「賢太郎先輩も、あの王子様に興味あるんですね?」
「……君は……」
顔は見たことがある。
というか、遥の友達だ。
だが、
「菊池七海です。自己紹介、何度目ですか?」
察していただけたようで。
「……遥から聞いてないか?」
「もちろん聞いてます♪」
分かっているなら。とも思ったが、きっと楽しんでいるな……。
「ところで、賢太郎先輩。今お暇ですか?」
「今は何もしたくない。だから、きっと暇ではないのだろう」
俺が苦い顔で伝えると、菊池は軽くため息を吐いて、
「心配しないでください。ウチのお兄さんは、賢太郎先輩よりずっとステキですよ?」
「……だろうな」
「あれ?お兄さん、知ってましたっけ?」
「知らないが……」
俺ほどの盆暗は、そういるもんじゃない。
と、言いかけて止めた。
「そこまで胸張って言われたら、そう信じるしかない」
「そうですね。残念ですが、受け入れてください♪」
まぁ、コイツの兄は絶対会いたくない奴だってことはわかった。
- 719 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/11/23(月) 23:12:34 ID:oODLqg0p
- 「じゃあ、質問変えますね。今から、行きたい場所とか行かなきゃいけない場所とか、あります?」
「……それはない」
「それは良かった。先輩、私のクラスのお店に来ませんか?」
「……客引きが目的か」
「はい♪先輩の察しがよくて嬉しいです♪」
ここまでだと逆に清清しいな。嫌な気分にはなるが。
「残念なことに、遥ちゃんはいませんが……損はさせませんよ」
「……何をやっているんだ?」
「あ、遥ちゃんに聞いてないんですか?」
聞かないようにしていた。当たり前だろう。
「喫茶店です。ただの」
「……在り来たりだな」
「と、言いつつも先輩は行った事無い。と見ましたが、どうでしょう?」
さすがは情報通。
「その顔は、図星ですね?さ、初体験しちゃいましょー?」
「……」
遥の友達は、とんでもない奴だ……。
だが、コイツが敵(キャンセル待ち)でなくて、本当に良かった……。
───────────────────────
- 720 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/11/23(月) 23:14:20 ID:oODLqg0p
- 久しぶり。
今更文化祭。昔のを読んでて書きたくなったから。
あと、他人様の作品に僕のキャラクタを出してもらったのを思い出したから。
まだ続く。
- 721 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/11/26(木) 00:12:08 ID:9rOLQwNE
- GJ、続きに期待
- 722 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/11/30(月) 16:39:16 ID:u0M6OvEa
- おお、投下が!!GJ!!!
- 723 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/11/30(月) 17:38:36 ID:e8Fspc3L
- 続き期待してます!
- 724 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/11/30(月) 23:09:31 ID:HVyCTcqo
- 「ささ。賢太郎先輩、どうぞー」
最後の数メートル、菊池に背中を押され、何度か来たことのある遥の教室へ。
なかなか盛況している様子だったが、菊池はその人並みを掻き分け、
「賢太郎先輩、ご案内ー!」
大声で叫ぶ。
ざわつく遥のクラスメイト。
別の意味でざわつく客。
……何?嫌がらせ?
何故か注目を浴びてしまった俺は、体を小さくしながら教室内へ。
ドアをくぐると、
「あ……」
小さな声。
そこには、
「遥……?」
この服、メイド……だっけ?
「違いますよー、賢太郎先輩。ウチのメイドさん、カプチーノちゃんですよ?」
「か、カプチーノ……?」
あぁ……カプチーノだけあって、見事に俺の顔を苦々しくさせたね……。
「か、カプチーノですっ!!お帰りなさいませ、ご主人様!!」
もはやヤケクソな遥、もといカプチーノ。
死にそうなくらいに痛々しいその姿に、何故だかアキレス腱辺りが痛くなる。
「……」
ムリだよ……こんなのにリアクション取れねぇよ……。
っていうか、正しい反応が分からないんだ……俺、ご主人様経験ないし……。
- 725 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/11/30(月) 23:10:14 ID:HVyCTcqo
- 「ほらほら。カプチーノちゃん、ご主人様の椅子を引いてさしあげないと」
「は、はい!!どうぞ!!」
椅子を引いてくれるカプチーノ……。
苦笑いで、その椅子に座る俺。
そもそも、妹にマジ敬語を使われて、俺は軽く死にたくなっているのだが。
「何かお飲みになりますか?それとも、甘いものはいかがでしょうか?」
正直、頭の中で普通の接客用語に変換すんのがめんどくせぇ……。
死にたい気持ちが収まらないし、普通に喋ってくれないかなぁ……。
「……コーヒー、頼めるか……?」
「はい。しばらくお待ちくださいね、ご主人様」
やたらと短いスカートを翻して、奥へと消えるかと思ったが……。
何故俺の裏にいる?
「……」
「……えっと……ご主人様とお話、しなくちゃ……」
極小さな声で、段取りを確認する遥。
聞こえてはいるが、それは聞かなかったフリ。大人だから。
「あの……遥さん……?」
「……」
まぁ、まともな神経なら、否定するのに躊躇するのは分かる。
「あの……俺、今、相当ヤバいんで……素に戻っていただけませんか……?」
「……うー……でも、みんなに見られちゃうと……」
……まぁ……一応……夢を売っているお店だものな……。
「だが……あくまで文化祭の店だ。商売じゃない……」
「それも……そうかな……うん、いらっしゃい。お兄ちゃん」
……素。
それもどうかねぇ、そんな格好で。
- 726 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/11/30(月) 23:11:35 ID:HVyCTcqo
- 「俺は……妹がメイドだなんて、知らなかったぞ」
振り向かず、壁に向かって呟く。
「……怒ってる……?」
「怒ってはいないが……兄としてだな……そういう……格好というか……振舞いというか……」
要するに破廉恥な格好をするんじゃない。といいたいが、さすがに言えない。
そういうことを考える人間だとは思われたくない。まして妹相手に。
「……それは……私も……ちょっと、恥ずかしいけど……」
顔を赤らめ俯く遥。
……そりゃ、大事な妹だもの。俺の感情だって、変じゃないよ。変じゃないはず。
「だが……文化祭ってそういうものなんだろうな、多分」
「お兄ちゃん……?」
そんなに意外かい、遥。
「……遥は楽しめばいいんだ。変なのにさえ、気をつけてくれれば」
俺は別のメイドが運んできたコーヒーをトレーから奪うと、
一気に飲み干し、その場から立ち上がる。
「やっぱり……俺は場違いだったな」
遥の顔をチラッと見ると、出口へ。
「お兄ちゃん!」
ガタっ!!
……一斉に椅子が動いた。
あの……振り向くのは俺だけでいいはずなんだが……。
まぁ、いいか。
「もうすぐ……終わるの。そのあと……一緒に文化祭回ってくれる?」
俯いた顔から、囁くような声。
「……遥の頼みじゃ仕方ない」
少し俯く遥の頭にしばらく触れ、頭のリボンを少し直してやる。
「へへ……」
くすぐったそうに微笑む遥に苦笑いで返し、振り返って出口へ向かう。
とたんに吐き気に襲われる俺……雰囲気に飲まれた……。
ニヒルぶった俺の先ほどの態度が、鼻について鼻について……。
……これも、まさか菊池の陰謀ではあるまいな。
───────────────────────
- 727 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/11/30(月) 23:16:04 ID:HVyCTcqo
- 今回の話はこれで最後。
じゃあ、またいつか。
- 728 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/12/02(水) 22:04:16 ID:ZfRNqD0E
- 遊星殿GJです!!遥フラグktkr
続き楽しみにしてまつ
- 729 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/12/05(土) 02:45:37 ID:IWOQD8M4
- この二人おせーて、かわええー
ttp://www.youtube.com/watch?v=a3JK2bAp1rE&feature=channel
ttp://www.youtube.com/watch?v=rkJGK432L74&feature=channel
ttp://www.youtube.com/watch?v=V-GtrY2YFT0&feature=channel
ttp://www.youtube.com/watch?v=Cqu9Pv98mow&feature=channel
ttp://www.youtube.com/watch?v=5IfPRcT6S7k&feature=channel
- 730 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/12/08(火) 11:40:18 ID:wqiqaudi
- >>727
遥ちゃん可愛い過ぎや
- 731 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/12/10(木) 23:08:34 ID:kk3a65k5
- 「お兄ちゃん」って呼ばれたい
「○○ちゃん」呼びだよ、うちは。。。
- 732 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/12/21(月) 18:20:25 ID:fLkYWWul
- おにぃって呼ばれたい
- 733 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/12/22(火) 16:42:58 ID:+ccbu/MN
- もー、お兄ちゃん!日曜だからっていつまで寝てるのよっ
お布団干すんだから、ホラ起きた起きた!
あ、あのね?こんなに天気いい日なんだからさ
二人で遊園地行きたいな、…ダメ?
- 734 :No.2 :2009/12/22(火) 23:19:55 ID:nXIrMg+Y
- >>733
だ、たったらぁ
昨日、隣にいたひとは誰なの?
- 735 :No.2 :2009/12/22(火) 23:22:29 ID:nXIrMg+Y
- 遊星さん、乙です
漏れの方は、インスピレーションの泉が涸れたまま数年が経ちますが
いつも遊星さんのSSを楽しみにしています
- 736 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/12/23(水) 00:35:11 ID:c/bndySP
- もう寝ようかって夜中に雨がざんざか降ってる中、ドアの呼び鈴が鳴った
「はいはい、どちらさまぁ…こんな夜中に誰だよ、おれぁもうねむ」
そこには傘もささずにアパートまで来た妹が立っていた
「来ちゃった…」
「おま、ずぶ濡れじゃねーか。どうしたんだよ?こんな時間に」
「…ごめん」
はぁ、こいつが何を聞いてもごめんしか言わなくなったら
何を聞いても無駄だな、ほんと誰に似たんだか
「ったく、しょーがねーなぁ。いいからさっさと風呂入って来い
サイズは合わねーだろうけど、俺の服貸してやっから」
- 737 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/12/23(水) 10:56:27 ID:IyyS4LUY
- あのさ、ケータイ電話買ったんだけど
番号の登録とかよくわからなくてさ
た、試しに兄貴のケータイでメールの練習してみても、いい?
- 738 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/12/27(日) 00:21:25 ID:/MelqcdI
- >>736
新星現る!!続きが気になるぞ
>>737
あっ、コラ!人の携帯勝手に見るな!!
待て!SDカードの中身見るなー!!
- 739 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/12/28(月) 00:12:28 ID:L7XC0laG
- おにぃになら、いいよ…
- 740 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/12/28(月) 15:17:49 ID:PSbhgLQ+
- 「じゃ、ボクはシャワーを浴びてくるから
朝食の準備はよろしく」
「へいへい」
「なんなら一緒に入るかい?
なに、恥ずかしがるコトはないじゃないか
昨夜のキミは素直で可愛かったよ」
「ちょ、変な言い方してんじゃねー!!
だいったい昨日はお前のほうから雷が怖えーからって
俺のベッドに入ってきたんだろーが!!」
「ふふ、怒った顔もまた可愛いね。愛してるよ?おにぃ」
- 741 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2009/12/29(火) 21:35:15 ID:3IJ2Cikr
- >>740
あ、凄い。最高。
もっと長いのを!
- 742 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/12/29(火) 22:48:02 ID:R4Y0yyta
- >>741
ごく短い単発オムニバスしか思い浮かばんのです、申し訳ない。
「なんでこんな寒みー日に花火なんてしたがんだよ〜」
「ねえねえねえねえ!蛇玉って花火としてどーなの?やる気あんの?
あ、鉄砲型のヤツはあたしんだかんね!あー!ちょっとおにぃ!
なーに線香花火一束持ってんのよ!?それは最後にすんだかんね!!」
「ったく、聞いちゃいねーよ。ま、いっか…」
- 743 :名無しくん、、、好きです。。。 :2009/12/30(水) 12:13:28 ID:jOkGLJCD
- 短いのでも投下して頂ければ個人的には満足
- 744 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/01/04(月) 20:20:03 ID:uylj5YLP
- 買い物行くのに付き合わされて、自転車に二人乗りしてて
下り坂になって、風でお互いの声が聞き取りにくい時に
「おにぃちゃーーーん!だーーーーーーい好きーーーーーーー!!」
「なぁ、お前さっきなんか叫んでなかった?」
「へ?別に何にも言ってないけど?」
- 745 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/01/27(水) 20:26:30 ID:MlnCQNUu
- ねぇお兄ちゃん、こんな風に腕組んで歩いてたら
周りの人にはどんな風に思われるかな?
- 746 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/01/27(水) 22:02:44 ID:MlnCQNUu
- え、映画のチケットが、友達と行く予定だった映画のチケットがあるんですが
その友達が急に行けなくなってしまって、それで…あの、その
チケット捨ててしまうのも勿体無いですし、兄さんさえ良ければなんですが
映画、一緒に観に行ってもらえま…せんか?
- 747 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/01/28(木) 18:20:34 ID:2et6G707
- も、もぅ兄さん!わたしだっていつまでも子供じゃないんですから
いい加減、この頭を撫でるクセはやめてください…
- 748 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/02/21(日) 13:36:22 ID:JqHRUoeS
- >>744-747
良い流れだ
- 749 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/02/22(月) 00:19:44 ID:sCeetmcy
- 兄さん、好きです。
だから、ねぇ…
死んで。
- 750 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/02/22(月) 09:09:20 ID:C6yEJK4w
- 「ねぇねぇねぇ、高校の頃さ、おにぃのコトが好きだって娘、いたんだよ」
「はぁ?んなワケねーだろ、俺ほとんど学校行ってなかったんだから」
「ホントだもん。おにぃのコト、ずーっとずーーーっと好きだって娘、いたんだもん。
あの、ね?その娘が誰か…知りたい?知りたくない?」
「今更だろ?何年前の話だよ、どうせならタイムリーで言えっての(笑)」
「ふーんだ。折角さ、教えてあげようって思ったのに…」
- 751 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/02/22(月) 13:04:19 ID:hUHRTPoX
- >>750
良いよー
- 752 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/02/22(月) 18:13:57 ID:C6yEJK4w
- 「キャーーーー!!窓窓!お風呂場の窓になんかおっきい影が映ってガサガサって!!
なんか怖いからおにぃ外見てきt…って、ちょっとぉ聞いてるんの?なんでさっきからそっぽ向い…て
キャーーーーーーーーー!!!おにぃのエッチ!バカ!変態!信じらんない!!」
- 753 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/02/22(月) 18:18:50 ID:Oql5yi8j
- 参考動画↓
http://www.nicovideo.jp/watch/sm9298472
- 754 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/02/23(火) 23:41:08 ID:pKr1ObnF
- もっと盛り上がれ
- 755 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/02/24(水) 00:53:32 ID:7JAYhSfg
- 朝に「お兄ちゃん、起きてください」
家に帰る時「お帰りなさい、お兄ちゃん」
夜に「お兄ちゃん、今日一緒に寝ってもいいですか」
「勿論いいですよ」
「ありがとうお兄ちゃん、やっばりお兄ちゃんのことが大好きだよ、ずっと一緒にいってください」
実はわたしは妹がいません- -妹がほしいだ
- 756 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/02/24(水) 09:18:53 ID:TdHcUNLf
- >>732
なぜかそう呼ばれてる。
おかげで、シュタゲの後にカオヘをやって泣きそうになった。
>>755
そんな妹いる奴いねえ。
せいぜい親が旅行中に朝ごはんを作ってくれて、
「べ、別にあんたのために、作ったんじゃないんだからねっ!」
と言ってくれるのが限界だな。うちは。
- 757 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/02/24(水) 10:50:46 ID:w95bpuW0
- 「バカっ!バカバカ!!ほんと!ほんっっと信じらんない!
今まで散々ほっといて、今更んなって兄貴面とかやめてよ!!
…………でも、ありがと…」
- 758 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/02/24(水) 10:58:49 ID:w95bpuW0
- 「兄妹でもいいでしょ?BLよりは生産的だもん♪」
「…いや、兄妹で生産したら色々とダメだろ…」
- 759 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/02/24(水) 17:56:50 ID:5v99LUbM
- >>749
もう壊れたでしょ
- 760 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/02/25(木) 20:34:56 ID:httG+5yF
- 久々に盛り上がってるみたいで嬉しい
リアル妹は萌えないので二次元の妹が好きです
- 761 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/02/26(金) 18:53:08 ID:/75EW/4y
- 「お兄ちゃん、それドロップちゃう!クローズや!!」
- 762 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/02/27(土) 23:12:32 ID:FZdnTh9v
- 「ほら、ネクタイ曲がってますよ?
もぅホント兄さんは朝が弱いんですから」
- 763 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/02/28(日) 01:05:39 ID:2HdN04vn
- 可愛い二次元妹萌えるよ
- 764 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/02/28(日) 22:10:38 ID:hYfExqFn
- 「明日も頑張ろうね、お兄ちゃん♪」
- 765 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/03/01(月) 04:23:55 ID:jHixntoq
- 頑張るよ
- 766 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/03/03(水) 22:48:16 ID:E5HJFNXP
- 復帰記念
- 767 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/03/04(木) 09:54:15 ID:1gAawFQK
- >>757を釘宮さんで聞きたい。
- 768 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/03/04(木) 16:25:12 ID:CEGIjkOt
- じゃあ俺はゆかなで
- 769 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/03/04(木) 17:12:49 ID:/nGgIqrz
- お兄ちゃん、お口くさーい
- 770 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/03/04(木) 22:43:22 ID:3ePwrhFI
- 「やーっと追いついた〜。駅の階段トコでおにぃの頭が見えたからさ
走って追いかけて来ちゃった、にへへ♪一緒に帰ろうよ
あー走ったら喉渇いちゃったー、なーんか喉渇いちゃったな〜」
- 771 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/03/06(土) 00:27:46 ID:TBlt2Edy
- 健気な妹かわゆすなぁ
- 772 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/03/07(日) 18:21:07 ID:MnAV+lr6
- 「えっとね、あのね?このえほん、よんでくえゆ?」
- 773 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/03/09(火) 04:41:26 ID:z6UlAEau
- はなまる幼稚園の見すぎだ
- 774 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/03/09(火) 10:34:13 ID:ISncRuVf
- いや、GS美神の美神が子供に戻ったヤツだろ
- 775 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/03/10(水) 02:46:37 ID:gJd8fLDb
- >>774
これまた懐かしい
- 776 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/03/10(水) 09:20:59 ID:XXzDtRZ/
- 「横島どーん!!」
うん、スレ違いもいいとこだ
ごめん、でも反省はしてない
- 777 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/03/11(木) 19:36:56 ID:1Jkc24N6
- 幼くて可愛らしい妹が欲しい
- 778 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/03/12(金) 02:56:20 ID:DPfY3Z0d
- 「新婦さんキレイだねー」
『そうだなー』
「あっブーケ投げるよ!…あっ!アタシ、と、取っちゃった!!お兄ちゃーん!!!」
『ばっ、抱き着くな!』
- 779 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/03/12(金) 20:35:28 ID:GX3IeOWh
- 「おにぃちゃん、えへへ呼んでみただけ♪」
- 780 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/03/14(日) 19:35:00 ID:m/pufoVE
- >>778
ぐはっ!!(脳内妹テロが起きた様子です)
- 781 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/03/14(日) 19:40:22 ID:j/wEJu7E
- 妹可愛いな
可愛すぎてヤヴァイ確かにこれはテロ
- 782 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/03/16(火) 12:49:46 ID:1M5wVKXP
- 「おにぃ〜、コンビニ一緒に行こうよー。で、あたしにアイスおごろうよ!
ダッツねダッツ。あたしダッツじゃなきゃヤだかんね?」
- 783 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/03/17(水) 01:16:39 ID:04XNZotK
- 妹(長女)「お兄ちゃん、今日は私と遊ぶんだよね!!」
妹(二女)「違うよお姉ちゃん!!私が遊ぶの〜!」
妹(三女)「みんなで遊べばいい…」
あぁ…弟よりも妹が欲しかった…orz
- 784 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/03/19(金) 00:01:47 ID:+bYPhxjo
- 「お兄ちゃん!」
『……んーー…』
「起きてってば!遅刻しちゃうよ!」
『うんんーー?』
「………起きないとチューするぞ…」
『んーー(おちょぼ口になる)』
「ばっ、バカッ///」ベチッ
- 785 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/03/19(金) 04:22:36 ID:RkmDA++K
- 良い感じに子ネタの投下が続いてるね
遊星さんの投下も期待
- 786 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/03/23(火) 00:01:01 ID:gi6AdS2G
- 「お兄ちゃん、だ〜い好き?」
普通すぎた、後悔はしていない
- 787 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/03/23(火) 00:02:18 ID:esrFyoKr
- >>786
?=ハート
- 788 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/03/23(火) 20:02:05 ID:ZonpnLlt
- 可愛い妹のブラコン魂?
- 789 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/03/24(水) 22:54:42 ID:xcEJlEEp
- 「あ、お兄ちゃん」
『おう、どうした?先帰ったんじゃなかったのか』
「傘忘れちゃって。お兄ちゃん傘ある?」
『あるけどビニ傘だから小さいぞ』
「大丈夫!くっついて帰るから。えへへ…相合傘」
『あんまりくっつくなよ…ああ、周りの目が痛い』
「恥ずかしがらなくてもいいじゃん、兄妹なんだから」
『いやしかしですね、微妙に柔らかいものがですね…』
「つべこべ言わない(お兄ちゃんあったかいな///」
うん、俺きめえ
- 790 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/03/25(木) 22:08:07 ID:hrKqTT4C
- うん、確かにきめぇ
2828しながら見てる俺きめぇ
- 791 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/03/26(金) 03:04:26 ID:hFCN4/OQ
- 「お兄ちゃん、ボンキュボンってなんて意味?」
- 792 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/03/27(土) 04:05:07 ID:To5o3GZB
- >>789
妹かわゆすw
- 793 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/03/30(火) 01:02:28 ID:vMpQu1Jm
- 『ふああぁ…おはよう』
「やっと起きた。お兄ちゃん遅いよ」
『うるさいなぁ。春休みなんだから別にいいだろ?
よいしょっと。なあ、メシなんかある?』
「ありません」『作って』
「イヤです」『お願い』
「お断りします」『そんな殺生な』
「……うーん…作ってあげてもいいけど…お願いきいてくれる?」
『できる事ならば何でも』
「あの、さ…アタシをどっか連れてってよ」
『はあ?!何だいきなり?』
「だってせっかくの休みなのにお兄ちゃんずっとダラダラしてんだもん、勿体ないよ」
『確かにそれは言えてる』
「でしょ?だから運動がてらアタシをエスコートしなさい!」
『うーん……じゃ水族館でも行くか、前にお前が行きたいって言ってたトコ』
「え、本当!!じゃ、ちょっと待っててね。すぐご飯作るから」
『よろしく頼む。というかご機嫌だな』
「えへへーー」
- 794 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/03/31(水) 00:11:44 ID:jbYIVF/A
- >>793
デ、デート編は!?
- 795 :では793の続きを :2010/04/03(土) 02:19:01 ID:tUukFGsL
- 兄と二人きりで出掛けるなんて久しぶり
電車の中で一人浮かれる私は変な目で見られてはいないだろうか
『いい天気だねー』
「そうだなー」
しかし横に座る兄は生返事で私の問いに応え携帯をいじっている
ホントは私と出掛けるの面倒なの…かな…?
「よし」
兄はそう小さく呟くと携帯をしまい私を見て問い掛ける
「ところで水族館って何見たいのさ?」
『え?あっホラ、水族館と言えばイルカでしょ!ペンギン、ラッコ…
…あとフグ!』
「フグ?!フグ見たいのか?」
『えーだってフグ可愛いじゃん』
兄の横顔を目の端でチラリと見る。いつもの兄だ
不安がってたのは私の気のせい…かな
- 796 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/04/03(土) 02:20:54 ID:tUukFGsL
- ふと腕時計を見ると今はちょうどお昼どき。
入館してからあっという間に時間が過ぎていく…
『そろそろお昼だね。ご飯どうしようか?』
私が尋ねると兄は不敵な笑みを浮かべた
「ふっふっふ…任せなさい…連いてきたまえ!」
言われるまま、兄に連れていかれたのは館内のレストランだった
それも少し高級そうな…。それでも兄は躊躇いもせず店内に入っていく
「あの…予約した者ですが…」
『予約って?』兄の袖を引っ張る私
「ああ、電車で来る時に携帯で予約しといた」
そうだったんだ。安堵と同時に嬉しさが込み上げてくる
案内された席につくと兄は申し訳なさそうに言う
「コースになってるからメニュー選べないけど良かったか?」
『うん、私は構わないけど…お兄ちゃん大丈夫なの?その…値段的に』
「お前にはいつも世話になってるからこれ位はな。
それに三割引きだし」
『え、そうなの?』
「おう、カップルで予約すると値引いてくれるらしい」
『か、カップル…』
兄のさりげない言葉にドキッとしてしまう
周りからすれば私たち恋人同士に見えるのかな…
「まあ俺らカップルじゃないけどバレやしないだろ」
私の気も知らずに兄がケタケタ笑う
「アハハ…あれ、怒ってらっしゃいます?なんで?」
『何でもありません!』
もう…少しは察してよね…鈍感なんだから……
- 797 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/04/03(土) 02:22:19 ID:tUukFGsL
- 『あー楽しかった!今日はありがとうございました』
「どういたしまして。喜んで頂けて幸いです」
昼食を取ったあとも私は兄を連れ回し、気付けば閉館ギリギリになっていた
名残惜しい気持ちで兄と並ぶ帰り道
バッグの携帯が震える。メールだ、誰からだろ?
『お母さんからだ…えっと
“父さんと夕飯食べて帰るのでヨロシク”だって』
「相変わらず仲がよろしいようで」
兄が半ば呆れた様子で言う
『じゃあ夕飯用意しないとね』
「疲れてないか?」
『ううん平気。さっ、早く帰ろ』
「そうだな。昼も良かったけどお前の作るメシが一番だよ」
サラリと放たれた兄の言葉に私は感極まって抱き着いてしまう
「またお前はそうやって…
ああ、周りの視線が痛い……」
『…暗いから誰も見てないよ』「それもそうか」
『えへへ…お兄ちゃん何食べたい?』「んーそうだなーー……」
おわり
駄文失礼いたしやした
- 798 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/04/06(火) 01:35:11 ID:I+9Ccgbu
- あっ…で、出ちゃった…
ナイス、GJ
- 799 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/04/08(木) 10:34:17 ID:35qd6fGE
- >>795-797
素晴らしい萌えた感動した
妹可愛いなぁ
- 800 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/04/08(木) 23:56:56 ID:lG16w8o+
- ピンポーン
休日のある日、時刻は九時過ぎ。
普段は誰も訪ねてこないような俺の部屋のチャイムが鳴る。
「……?」
普段は人が訪ねてこない部屋に訪ねてくるようなヤツなど、ろくな用ではない。
居留守という選択肢も考慮してそろそろと玄関へ。
怪訝な顔をしながら、客の顔を見ようとドアに顔を近づけると、
「にいさま。いるのは分かってるんです。開けてください」
……女の子の声だった。
しかも、聞き覚えのある。
「その声……馨か」
「にいさま!?いるんですね!?」
何を切迫しているのかは分からないが、何か事情がありそうだ。
「あぁ、今開ける」
「え……えぇ……」
今ひとつ納得しない。と言ったふうな声を聞きながら、鍵を外しドアを開ける。
「久しぶり」
と、俺が声を掛けるかかけないかという間に、部屋の中に入ってくる女。
「えぇ、お久し振りですね。にいさま」
和服、長い黒髪、色白な娘。
典型的な大和撫子と言ったふうだが、これが自分の妹では。
とりあえず、在り来りな台詞で、奥のテーブルに座ってもらう。
「お茶は?」
「にいさまは下手ですから、いりません」
じっと正座したまま、冗談とも思えない口調で返事をする馨。
「そうかい。で、今日はどうした?」
「やっと……やっと見つけましたよ」
感慨深げな馨。
- 801 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/04/08(木) 23:57:57 ID:lG16w8o+
- 唐突なセリフに少し戸惑いながらも、
「どうして私に何も言わずに出ていったんですか!?」
「いや、まぁ、多少事情が」
「事情って何ですか!?私、それを聞くまでは帰りませんから!!」
珍しく声を荒らげる馨に少し驚く。
「あまり言いたくないし、言わない方がいいとおもったから黙って来たんだよ」
「……にいさまは馨のことが嫌いになったのですか?」
「は?」
「だから、馨に黙って出てきたんですか!?」
「いや、違うけど」
「じゃあ……」
ミィ。
馨がそこまで言いかけた瞬間、隣の部屋で物音がした。
正確には……
「猫……?にいさま、ネコちゃん飼ってるんですか?」
「あぁ、まぁ」
隣の部屋の様子を伺いながら、答える。
……起きおったか。
「にいさま。まさか、それが理由とか言わないですよね?」
「……そうだけど?ほっとけなくてさ、猫を。馨、猫嫌いだっていってたし」
「い、言ってないですよ!?」
「そうだっけ?」
言っていたような気がするんだが……まぁ、いいや。
「なんだ……てっきり馨は……」
「ん?何?」
「何でも無いです!!」
顔を急に赤らめて、顔を背けた馨。
- 802 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/04/08(木) 23:59:25 ID:lG16w8o+
- それを不思議に思いつつも
「でも、にいさま……?今度からは、馨もあそびにきてもいいんですよね?」
「まぁ、それは構わないけど……」
「じゃあ、明日も来ます!」
「ああ」
「明後日もいいですか?」
「構わないけど」
「じゃあ……」
この流れが無限に続きそうだったので、
「もういっそ一緒に住んじゃえば?」
「にににににににににいさまっ!?そんなっ、同棲だなんて、そんなっ!!」
……飛躍している。
「馨は……まだ、心の準備がっ……!」
面白いから今日は放っておこう。
───────────────────────
- 803 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/04/09(金) 03:07:28 ID:U5Oyd9rg
- >>800-802
GJ!!雅な妹も良いものだ
- 804 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/04/09(金) 09:23:49 ID:/VW5zLud
- >>800-802
馨ちゃんについてkwsk
過去編とかも期待
- 805 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/04/09(金) 21:58:24 ID:7j0hPvdH
- >>800-804
GJ!!!
続きに期待
- 806 :便乗スマソ :2010/04/10(土) 07:23:32 ID:B9XhU302
- 「お兄様、おはようございます」
『ふああ…おはよう』
「相変わらずだらし無いですね。早く食卓について下さい」
『おっ、今朝は塩鮭に卵焼きか…和食なんて珍しいな
というか何だその“お兄様”ってのは?』
「私はいつもこうです。無駄口を叩かずに早く召し上がって下さる?」
『…言葉遣いが所々おかしいんですけど』
「な、何をおっしゃいますか!そんな事あるはずありませんわ!」
『ははーん…さては大和撫子な妹のウケがいいからあやかるつもりだな?
残念だったな、ボロが出てるぞ』
「!!」
『ハハハ、慣れないことはするもんじゃねーな
っておいコラ、皿を下げるな!』
「そういう事言う人に食べさせる食事はありません」
「……(ジ〜〜ッ)」『……(うっ)』
『……悪かったよ。ただな、お前はそのままでいいんだよ』
「え…?」
『大和撫子を演出しなくても普段通りにしてくれれば充分魅力的だぞ』
「………(//////)」
『ほい、皿返せ。
いやぁたまには和食もいいよな』
「…美味しい、お兄ちゃん?」
『ウマイ!!』
「えへへ…。お兄ちゃん今日はどうする?どっか行こうよ」
『金なら無いぞ、先週の水族館で』
「もう!お昼なら私が作るから…ね?」
『そっか…なら花見でも行くか!』
「うん!」
- 807 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/04/10(土) 16:02:53 ID:/6QAoDCz
- >>806
便乗乙!!
- 808 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/04/11(日) 03:53:03 ID:Lch1yem3
- 良スレage
- 809 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/04/11(日) 04:49:17 ID:9+GOQGu7
-
( = 3 =) おにぃ〜
- 810 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/04/11(日) 14:07:49 ID:chnPYP7F
- これで読んでくれる人とか出たらさいこーなんだけど
- 811 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/04/13(火) 23:21:23 ID:IunU9Ugp
- お嬢様っぽい妹ってどうよ?
「お兄様、私(わたくし)の宿題につきあってくださる?」的な
- 812 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/04/16(金) 11:59:53 ID:3MHizFMU
- >>810
同人でもプロの声優さん使ってるとこあるし
職人さんの許可と金出す人がいればここ投下作品もプロの声優さん使って一次創作同人ドラマCDに出来る
>>811
最高だろ
- 813 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/04/16(金) 14:09:56 ID:i7JoGQJN
- 「今度飲みに行かない?…兄貴の奢りで。」
- 814 :800 ◆isG/JvRidQ :2010/04/16(金) 21:43:24 ID:ftuvCHGU
- >>812
それホントにできたらすごいねー。
僕なんかのでよければ全然使ってもらって構わないんだけど。
- 815 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/04/17(土) 00:56:39 ID:jbB2/xbN
- >>814
一瞬>>800-802の中の人かと思ってビックリしたw
遊星さんも投下待ってますお
>>800-802の人も続き待ってます。
ドラマCDは金さえあればなぁw
- 816 :遊星 ◆isG/JvRidQ :2010/04/17(土) 10:33:41 ID:/q7E2I/4
- >800-802を書いたのが実は僕、ということなんだが伝わらなかったか……
- 817 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/04/17(土) 11:34:35 ID:E3mBpWUI
- バタバタバタ……ガチャ
「お兄ちゃん!!」
『うおっ、なんだ!!』
「遊星殿キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!」
『もちつけ』
- 818 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/04/17(土) 18:15:48 ID:jbB2/xbN
- >>816
うお、そうだったのか
でも確信持てなかったのです
続き待ってます
- 819 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/04/21(水) 01:09:12 ID:v2eiWn51
- 保守
- 820 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/04/21(水) 13:41:35 ID:nqo82Bit
- 先日リアルお兄ちゃんに「中の上の顔だね」と言ったらへこんでました
ちょっと気遣って「上の下ぐらい」と言えば良かったかなと反省しています
- 821 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/04/21(水) 23:49:04 ID:BeMyN2Pi
- (ユサユサ)「お兄ちゃんそろそろ起きてよー?ごはんだよ?(ユサユサ)・・・もうーせっかく早起きして作ったのにー(プンプン)」
- 822 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/04/25(日) 00:28:38 ID:9jZeAGer
- 二次元の妹可愛いよ
- 823 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/04/25(日) 09:34:34 ID:xSPHLhqw
- 三次元の妹そんなことない
- 824 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/04/26(月) 23:44:15 ID:zL+Qozsc
- だって三次元の妹はリアルに居るから…
俺は二次元の可愛くて幼い妹が良いな!!!!
- 825 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/04/27(火) 01:58:09 ID:jPassBSR
- 3次元の妹も欲しい
- 826 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/05/01(土) 20:59:37 ID:OdGKsie/
- 明日二次元の妹の職場に行ってきます
フヒヒ
- 827 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/05/04(火) 03:43:55 ID:zx4hWfM8
- 『む〜ですの〜』
「はぁ…」
カランカラン。グラスの中の氷が溶け、音を奏でる。
『まったく、お兄様はこんな飲み物で私(わたくし)が機嫌を直すとお思いですの?』
ズズズ…
「とか言いつつ飲んでんじゃねぇか」
『これはこれ!ですの』
突然こんな没頭から始まるのには訳がある。簡単なことだ、俺が遅刻したからだ。
べ、別にどう始めを書けばいいか分からなかったなんてことはないんだからね!!
と、一応ツンデレっておこう。
そして、機嫌をとるために近くの自販機でジュースをおごって、今に至る。
『お兄様も、た、ま、に、は、私より早く来て、「ごめん、待たせた?」「今来たとこさ。HAHAHA」みたいにできませんですの!?』
「無茶言うなっての〜」
『そのために5分送れてきたというのにですの…(ゴニョゴニョ)』
「? なんか言ったか?」
『ふみゅ〜う、ですの』
「いででででぇ、、、」
なんか知らんがつねられた。
「んで、今日はなんの用だ?」
『これですの!!』
バーン!と、目の前に突き出されたのは、
祭りのチラシであった。
『今日は祭りがあるのですのよ!!』
「んなもん、俺じゃなくてお前のダチと行けばいいじゃねえか」
『お兄様…。私はお兄様と行きたいのですの!』
もじもじさせながら少し紅くなって俯きながら言っている。
『ダメ…ですか…?お兄様…?』
→仕方ないな、付き合ってやるか。
すまん、今日は他の奴と行くんだ…。
- 828 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/05/04(火) 03:47:01 ID:zx4hWfM8
- >>827
書いてから気付いた。
自販機だとグラスとか氷の音とかしないよね…
"自販機"
の部分を
"喫茶店"
に変更でお願いします。
- 829 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/05/05(水) 23:03:56 ID:lMvrP93j
- >>827-828
続きを期待だ!!
- 830 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/05/05(水) 23:59:41 ID:LMIkArnD
- >>826
リアル知り合いに声優さんかシナリオライターにいらっしゃるのですか?
>>827-828
私も可愛い二次元妹にお兄様って言われたい><
- 831 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/05/06(木) 23:27:43 ID:1W2GVBG8
- →仕方ないな、付き合ってやるか。
遅れたのもあるしな…
「仕方ねえな、付き合ってやるぜ」
『やった!』
何かをやり遂げたようにガッツポーズをしている。そこまでうれしいか、おい。
「そ、そんなにうれしいか?」
『う、うれしい訳…あるですの…』
指をあわせ、再びもじもじ。
「行くならとっとと行くぞ」
『はいですの!』
こうして、祭りに向かうことになった。
祭り編に続く
- 832 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/05/07(金) 10:03:07 ID:71lzl8mU
- >>831
祭り編に期待せざるおえない
- 833 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/05/29(土) 23:23:05 ID:Zj1K4Vnv
- 保守
- 834 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/05/30(日) 00:31:08 ID:K+juDNye
- 「こら!このくそ兄貴!ぼけ!かす!」
蹴り×10
「変態!きもい!最低!」
ストンピング×10
「エロ本見るくらいなら私の・・・」
沈黙。
「ちっ!」
部屋を出て行く妹。
兄貴は、思う。
「これで邪魔がいなくなった♪」
- 835 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/05/31(月) 22:12:43 ID:np9eDx+D
- >>834
ツンデレ妹ですか
強気なのは兄に対してのみで
基本的に家庭的で引っ込み思案な妹萌えます
- 836 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/06/01(火) 23:24:02 ID:wS2HnD7W
- 僕も何か書きたいなー。
- 837 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/06/03(木) 07:40:16 ID:EcB1qwQv
- 是非お願いしまふ
- 838 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/06/04(金) 08:17:57 ID:rzzUpJoy
- >>836
>>800-802の続きもお願い致します。
- 839 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/06/04(金) 18:41:08 ID:FhQV9LJS
- >>835
sage推奨
>>836
よろしくお願いします。
- 840 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/06/05(土) 23:10:30 ID:nb2Xu4fi
- んふふ、、、カワイイアニキ、、食べちゃいたい
- 841 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/06/06(日) 00:22:20 ID:0wiVNmTm
- >>1の本文をおっさんが一生懸命考えてタイピングしたかと思うと今更ながら吐き気がするな
- 842 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/06/06(日) 02:48:58 ID:jD7bGzbX
- それを言っちゃあおしめえよ
- 843 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/06/06(日) 18:09:27 ID:J/nzk1Ne
- まぁ、一生懸命かどうかは忘れたけど、タイピングした当時は大学生だけどね。
- 844 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/06/06(日) 19:20:15 ID:2gNEWxc+
- お兄たち週末厨に構っちゃダメだよ!
- 845 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/06/12(土) 01:16:05 ID:+RYCsvt0
- 妹『私の足を舐めるか、それとも死ぬか。選んでお兄』
- 846 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/06/12(土) 23:34:44 ID:I21eyoti
- 兄『そんなことより俺を踏むのか、それともなじるのか。選べ妹よ』
- 847 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/06/13(日) 01:11:24 ID:WyVQkJt+
- 『お兄ちゃん…。お兄ちゃん。いや、これは絶対無い』
『…うーん』
『…』
『お兄』
いつもの呼び名を口にする。やっぱり、これだった。
『なんなのよこのエロビデオ…』
妹百選とうち付けられたタイトルを睨む。中身はと言えば妹と兄の…まぁ、そういう内容だった。
『はぁ、お兄の部屋なんて掃除したのが間違いだった…』
お兄ちゃんお兄ちゃんと連呼していたツーテールの女が脳裏に浮かぶ
『……はぁ』
残念な気持ちと、そういう性癖を持っていた兄に対する何とも言えない嬉しさが、私の中でぐるぐる回る。
(って!なんで嬉しがってんの私は!!)
ふと首を横にする。いつも着替えに使っているのだろう私の身長くらいはある鏡があった。
そこに写るひどくにやけた顔。
『…うわ〜』
「それ、俺の台詞な」
『へっ?』
思わず裏返る声。
『お、おにっ!?』
「…鬼?いや、そんな事よりお前その手に持っ
『いや私は別におにぃがどんな性癖持とうがそんなの人それぞれだしまぁ実妹がいるのにこのビデオはどうなんだろうとは思うよだって目の前に性癖を満たす塊が居るって言うのにおにぃときたらもうそれは
「おちつけーーっっ!」
ぽかっ!額にチョップ。
『アヴッ』
「それは友達のイタズラだ。俺のじゃねぇよ」
『……そ、そうなんだ』
「ったく…」
『…。……へ、部屋掃除しといたからっ!じゃねっ』
「あ、おいっ」
エロビデオをその場に置き、ダッシュで駆け抜け勢いよく扉を閉める
『……なにやってんだ…私』
- 848 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/06/13(日) 23:59:42 ID:3d2ZOodO
- おい続きはまだか
息子が怒張したままなのだが
- 849 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/06/14(月) 01:08:12 ID:JzmY5J4N
- 後日イタズラをした友人とやらが私に謝りに来た
「まさか妹ちゃんに見られるとは思わなくてさ…。ごめんね」
『い、いえ。いいですよ。あはは』
あの時の私は上手く笑えていたのだろうか?
…何故ならあの時の私は――
酷く落ち込んでいたからだ
『…ハァ』
世間一般の妹ならこんな反応はしないだろう。しかし仕方ない。私は変な子だからだ。
実の兄に恋をする…変な子
(いやいやいや!ていうか世間の風潮がおかしいのよ!何で兄弟の恋愛が駄目なのよ意味わかんないでしょ!絶対私は変じゃないそうそうよ変なのは世の中様よいつも昔から私を守ってくれるし優しいし格好いいし私を理解してくれるし惚れない方が無理ってもんでしょ!!)
『…ハァアアア』
「本日二回めー」
「めー」
『えっ?』
食堂で一緒にお昼をとっていた友人二人が言う。
「最近溜め息多いねー」
「ねー」
『な、べっ、別にそんな事ないわよ!?』
「ふふーん」
全てを見透かすような目で私を見る。昔から仲が良い分、本当に見透かされている気分だった。
「ズバリ、お兄さんだね!?」
『んなっ!!べ、べつにあんなやつのことなんてこれぽっちもおもってなんかいやしな
「…あ、あんたのお兄さん」
『へっ!?ど、どこ!?』
『……あ』
「うふふ、嘘だにゃ。にやにや」
「うひうひ」
『……〜〜っ!!も、もうっ!さっさと食べて教室戻るわよ!』
「ふふ。はーい」
「へーい」
- 850 :おしマイケル :2010/06/14(月) 01:15:11 ID:JzmY5J4N
- 『ただいま』
そう言いながらリビングへと繋がるドアを開く。
「おかえり」
声のする方を見ると、兄はエプロンをつけて料理に励んでいた。
「晩飯そろそろ出来るからさ、先に風呂入ってこいよ」
『う、うん…手伝わなくて良い?』
「いいよ、大丈夫」
『そ、そっか』
・・・・・・
ドサッ。ベッドに全身を預けるように仰向けになって倒れた。
『…ちゃんと…笑えてたかな…』
もう食事どころではなかった。あの日の一件以来…いつも以上に兄を意識し始めている私。
『…ハァアアア…』
窓の外を見ると雨が降り始めていた。遠くで雷の音も聞こえ…
フッ『え』
不意に部屋の明かりが消える。
『嘘…停電!?…やだ…』
昔から暗闇は苦手だった。そう言えばこういう時はおにぃが手を握ってくれてたっけと、ふいに思い出す。その刹那、ゴゴゴと落雷の音。かなり近い。
『ひゃっ』
『う、うう…』
目を閉じ両手で耳を塞ぐ。
『…怖いよぅ……おにぃ…ちゃん』
ドンっ
『ひっ』
唐突に開く部屋のドア。
「おい、大丈夫か!」
私が一番好きな人の声が耳に届く。
『おにぃ…ちゃん?』
「おにぃちゃんて。全く、よっぽど気が動転してるみたいだな。急いで来てよかった…ってお前泣いて―――
暗闇に慣れていない目で懸命に兄の姿を捉え、駆け寄り抱きしめた…そして…
キスをした
- 851 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/06/14(月) 07:09:43 ID:FpfrdwtU
- イイ!GJ!!
時に貴殿、姉妹スレ〜文才スレで活躍なさった職人ですよね?
- 852 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/06/14(月) 19:20:38 ID:JzmY5J4N
- そんなこたぁあるかもしれない
- 853 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/06/15(火) 22:33:17 ID:JX5TdrS2
- >>852
お兄が投下サボったから文才スレ落ちたんだからね!
でも…このスレで会えて嬉しいよ
って何ニヤニヤしてんの!べっ、別にそんなんじゃないんだから!!
- 854 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/06/16(水) 02:10:56 ID:f4mXrsGH
- >>853こんな妹が欲しかったぉ(´;ω;`)
- 855 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/06/17(木) 23:55:41 ID:wIKrS1is
-
『お兄ちゃん』
「んぁ」
聞き慣れた声で目を覚ます。目の前には視界いっぱいに広がる妹の顔。
「…近い」
『あ、ごめん///』
顔を赤らめながら一歩後退する妹。と同時に俺は上体を起こした。
「あふ……んん。で、何か用か?」
『友達のいないお兄ちゃんのために、今日のお誘いを全て断った妹を、まずは褒めて下さい☆』
「んー。友達いますけどね、俺」
『はいはい。人を疑う事しか出来ないお兄ちゃんに、ホントの意味でのお友達なんて居ないでしょー』
いつも思うがコイツは、もう少しオブラートに包むという事を学ぶべきだ。
「悔しいけどその通りに御座います」
まぁ、人を疑いやすい性格なのは事実だし、言い返せないので素直に肯定した。
『という訳で!』
右手人差し指をビシッと一本突き出して俺を指す。
「はい」
『遊びに行きましょうお兄ちゃん!』
「嫌だ」
即答した。
- 856 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/06/17(木) 23:59:37 ID:wIKrS1is
- 『なんでですか!?』
「疲れてるから」
昨日は体育祭で、今日はその振替休日。身体が、「早く二度寝しようぜ相棒…」と呟いているのを、全身で感じる。
『ヤングマーン!』
ヤングマン…つまり翻訳すると、『若者がなに言ってるんですかお兄ちゃん!私はこんなに元気なんだからお兄ちゃんはその3倍くらい元気でいないとダメなんですよこの腐れカス野郎!!』と言っているのだろう。
だから俺はこう返す。
「3倍とか無理。あと兄に腐れカス野郎はどうなんだ」
『よくわかりましたねお兄ちゃん!でも腐れカス野郎ではないです。鬼畜腐れカス早漏野郎って思いながら言いました』
「お前の事なら大体はわかるさ〜…って後半なんて!?」
まぁいいや…そう言いながら再びベッドに身体を預ける。
『私の事がわかるのであれば、これから私がどう出るのか…。わかりますよね?お兄ちゃん』
…これを翻訳するとつまり…
『お兄ちゃんが遊ぶと約束するまでこのままここに死ぬまで居座ります。早く着替えて下さいお兄ちゃん』だろう。
『よくわかりましたね』
「俺まだ何も言ってないよ!?」思わずツッコミをいれつつ上体を起こす俺。
『しかし惜しい。早く着替えて下さいお兄ちゃん…ではなく、早く私に着替えさせて下さいお兄ちゃんハァハァ。の間違いです』
「ちょっと今何て!?」
『早く私に着替えさせて下さいお兄ちゃんハァハァハァ』
「増えてる!?」
- 857 :おしまい :2010/06/18(金) 00:02:23 ID:wIKrS1is
- 『いいから早く遊びにヴヴヴ
「ん」
枕元に置いてあった携帯が鳴る。サブ画面には友人の名前が表示されていた。
「ちょっと待って」
妹に一言断りを入れ、携帯をとろうとしたその時だった。妹の腕がいち早く伸びて…
ぴっ!
『おかけになった電話番号の契約者は現在妹と愛の逃避行中です。馬に蹴られぬ内に回線をお切り下さい。というかこちらから切りますさようならもう話す事もないでしょう』
ぴっ!
「……」
『…』
見つめあう二人。
『ふふ…お兄ちゃんっ!』
ビシィッ!と 親指を突き立てる妹。
『さぁ有言実行!愛の逃避行といきましょう!!』
「いくかぁぁぁぁぁあああああああああああっっ!!!」
「お前は何をしているんだ!何だ愛の逃避行って?!え?!?」
『わかってる癖に……辞書、持ってきましょうか?』
「そぉおーゆぅうう話しじゃあぁあないぞーーっっ!!?」
『……ごめんなさい。一度、やってみたくて…』
「あははそっか☆」
『はいっ☆』
ゴスッ!喉仏に突きをお見舞いする。
『ごぇっ』
「ったく…はぁ…。…。…着替えるから出てけよ」
『……えっ?…じゃあお兄ちゃん…!』
「あぁもうわかった観念するよ、行―――――
『着替えさせてくれるんですね!!!?』
「ちがうわぁああああああああぁあぁあああ!!」
ゴスッ!
『ぎゃぇっ』
- 858 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/06/18(金) 06:55:04 ID:g39yktGo
- 興味深いな、続けて
というかお出かけはどこかね?
- 859 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/06/20(日) 00:11:14 ID:PXhKWgqH
- 続きはおまいの脳内で
- 860 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/06/22(火) 00:00:30 ID:/ggwjg7H
- 『兄貴ィィィィィ!!』
「うぉ!?」
突然、休み時間の余暇を楽しんでいた所に突如現れる。
『体育着貸せェェェェ!!』
「まてぇい!他の女子から借りればいいだろ!」
『いやぁ〜、今日あたしらの学年全クラスで体育なのに忘れちゃってさ〜』
「なら別の学年からだな…」
『先輩達、体育ないって〜』
そういえば男子だけ外でサッカーだったような…
「さっきまで体育だったからかなり濡れてるぞ?」
『なっ…!?そ、それでいいから貸しなさい!(ハァハァ…)』
息が荒くなっている。
「マジで?」
『え、えらくマジで(ハァハァ)』
「んじゃ、ほいよ」
『サンキュゥゥゥ!』
そのままダッシュで廊下を走り去る。
「よかったのかなぁ…?」
後々後悔するのだが、今は話さない方がいいだろう。
先生「ちょwwwお前何着てる!?w」
『え?兄貴のですヨ…』
先生「あとニヤニヤ&ハァハァしすぎ」
『うへへ〜』
周りの人A「あの子ブラコン?」
周りの人B「みたそうね…」
その日の妹はとてもよい記録が出せたそうな。
- 861 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/06/22(火) 20:43:54 ID:BitXhzg9
- 『ねぇ、早く入れてよ…』
「そっちからこいよ」
『え…?わ、わたしから?やだ、恥ずかしいよぉ…』
「そういうのもういいから。早くしてくれ。さっさとイくぞ」
『さっさとイくって…嫌だよ』
「なんでだよ」
『おにぃとゆっくり楽しみながらイきたいの』
「俺はさっさとイきたいんだよ…」
『…なんで?』
「ゆっくりイってたら結構体、濡れちゃうだろ」
『イイじゃん別に…おにぃと濡れあうのも悪くない』
「…もういい」
そう言って妹の背中に手を回し強引に抱き寄せる。
『あんっ、もう…乱暴しないで…』
「さっさと帰るぞ。ったく、次は傘忘れんなよな」
そう言い捨て校舎を後にした。
- 862 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/06/26(土) 21:23:06 ID:2dQxnUth
- 「じゃあ、もう行くよ」
兄が私に振り向き、言う。
兄の上京――――――――
いつか来ると待ち構えていたけれど、やっぱり嫌なものは嫌だった。
『上京して一人になっちゃうけど、大丈夫なの?』
「はは。その台詞、今日だけで何回目だよ?」
あっ。となった。顔が赤らんでいくのが自分でもわかる。
『…わ、悪かったわね…』
「…。父さんと母さんによろしく言っといてくれ」
『う、うん。あの二人も休日に仕事が入るなんて残念だよねー、あはは』
無理に笑う。そうしないと泣いてしまいそうになるから。
「…それじゃあ」
『あ、お兄ちゃん…』
「うん?」
『…ううん。な、なんでも…』
「?」
手を振る兄。閉まりだす電車のドア。
気付けば私は兄を追って――――
- 863 :久しぶりの1レス投稿 ◆isG/JvRidQ :2010/06/26(土) 22:08:19 ID:cRphhW94
- 「髪型変えようかな……」
雑誌を見ながら、ポツリと呟く妹。
「え……?」
「お兄ちゃん。そんなに私が髪型変えるのおかしいですか?」
「おかしいっていうか、何で今になって?」
「意味はないですけど……暑いし、イメージチェンジに」
「ふーん……ま、好きにしたら?」
「……」
「どうした?」
「お兄ちゃんは、どう思います?」
「は?だから好きに……」
「そういうことじゃなくて!」
「どういうこと……?」
「……お兄ちゃんは、どういう髪型が好きですか?」
「考えたこともない……」
「たまにはバッサリ切ってみても可愛いかなー?」
「……」
「それともパーマとか」
「……」
「あ、髪を染めてみるのもいいかも知れませんね」
「……」
「……どうですか?」
「俺は……」
「うん」
「俺が贈ったヘアピンを使ってくれてる髪型だとうれしいな」
「え……?」
「ほら、ちょうど今みたいな」
「……お兄ちゃん……?」
「ま、髪型は好きにしたらいいよ」
「うん……!!」
- 864 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/06/27(日) 23:55:18 ID:lRur3KjX
- ふんふんふー
『いい、メロディーだな』
私の鼻歌に反応する兄
『よく口ずさむよな、ソレ。なんて歌なんだ?』
お兄ちゃんなら知っていて当然の曲なのに。兄の言葉が、私の胸を締め付ける
「ん、とね……この曲は……」
兄が妹へ贈った歌。そう答えた
『……あ…』
「……お兄……ちゃん?」
私の言葉に何かを感じ取ったのか。何かに気付いた、感づいたような声をだす兄
『…はは…』
気付くと兄の目には涙が浮かんでいた
『歌詞が……でてこねぇや。………俺が…』
「…」
『俺が作った歌なのに……!』
嗚咽をもらす兄。もう見ていられなかった
「…っ…」
『……』
「お兄ちゃん……!!」
涙で霞む兄。ふと、白い天井を見上げる。釣られて私も見上げた
『……記憶障害…なんだ…よな。それすら忘れてたよ。事故で頭ぶつけて…って、何の事故だったっけ?あはは』
「…」
『…あのさ。俺の記憶がある内に…頼みたい事があるんだ』
「…頼み?」
『……俺はもう死ぬだろうから』
「お兄ちゃん!!」
ガタッと立ち上がる。悲しみよりも怒りが勝った。助かる可能性が無い訳じゃない。兄に生きて欲しいと願うから。だからこそ、叫んでしまった
『聞け!!!…俺の……俺の棚に陳列されてある辞書のカバーを外すとエロ本が隠されてるんだ。それ、処理しといてくれ、いやまじで。あんなの置いてちゃ死ぬに死ねねぇ!!』
「は?…………………ぷっ」
『な、なんだよ!』
「……自分で片づけなさいっ」満面の笑みで、そう言った
- 865 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/07/02(金) 00:43:38 ID:dnNdcJuM
- 「ただいま」
ウキウキ気分で帰宅。そりゃそうだ。なんてったって今日から夏休み。宿題?…知らんな。
「…?誰も居ないのか?」
やけに静かだ。俺はリビングに駆け寄り、ガチャリとドアを開いた。
『あ…おかえり、兄貴』
そこには、妹が一人、テーブルに肘をつきながら棒状のアイスを頬張っている姿が。
「母さん達は?」
『海外赴任。二人ともね』
マジかよ。そういやそんな事言ってたような言って無かったような…。
『親の話しはよく聞こうね、兄貴』
俺の心中を察したかグサリと突き刺さる一言。伊達に俺の妹をやっているワケではないようだ。
「…ふっ。しかしそんな嫌み、これから始まる俺のサマータイムのおかけで全て受け入れられるぜ…」
『何ブツブツ言ってんの……?あ、あとお姉ちゃんだけど』
姉貴か。そういや居ないな。
「遊んでから帰ってくんのか?」
まだ時間は昼過ぎ。どっかでよろしくやってんだろう。
『や、お母さん達、海外赴任でしょ?それをいい事に彼氏の家に泊まるって…』
なん…だと…!?まさか彼氏とよろしくやっているとは…。
「じゃあ当分は二人暮らしか」
『いや………実は、私もさ、彼氏の家行くから…さ』
…
…
「なん…だと…?!」
- 866 :続き :2010/07/02(金) 00:45:27 ID:dnNdcJuM
- 「お兄ちゃんは許しませんよ!!!!?」
『お、お姉ちゃんの時とはえらい違いだね…』
そりゃそうだ!可愛い妹だもの!
「そりゃそうだ!可愛い妹だもの!」
思わず口に出してしまった。きゃっ、恥ずかしいっ☆…って、んな事より彼氏がいたなんて初耳なんですけどぉおおっっ!?
『……ま、ま…まぁ、冗談なんだけどね』
「…はっ?」
『…冗談』
何故か火照りながら言う妹。オイ夏風邪か?
「…んだよタチ悪いなぁ…」
安心したのか、脱力感が俺の全身を駆け巡る。思わずその場にしゃがみこんだ。
『どんな反応…するかなって…。ま、まさか兄貴があんな反応するとはブツブツ』
何だかブツブツ言っていてよくわからない。まぁいいや。
「腹減った」
『ん』
食べかけのアイスをこちらへ差し出される。
「いらんわっっ!」
そう言って冷蔵庫の方へと足を進めた。
『……ねぇ』
「んー?お、見事に何もねぇな」
『…な、何で私とお姉ちゃんで反応が違ったワケ?』
「…」
『…』
「……さぁ?」
『なっ、なによそれ…バカアニキ…期待して損したじゃないブツブツ』
「…?」
なんか言ってる。まぁいいや。
「買い物行くぞ」
『あ、うん』
妹と俺。当分は二人暮らし。一体どうなる事やら
- 867 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/07/04(日) 20:54:28 ID:5oSaalBX
- お久しぶりです。>>800-802の続きです。
前回のがアレだったんで、急遽です。
───────────────────────
駅から少し歩いた、とあるマンション。
エレベーターを降り、自室前のドアに鍵を差し込む。
……手応えが無い。
確か朝はちゃんと鍵をかけてきたはずだが。
「……ということは」
残念なことに犯人の目星はついている。
溜息とともにドアを開ける。
「……お」
開けたドアから、醤油と鰹出汁の匂いが漂ってくる。
「にいさま?にいさまですか!?」
部屋の奥からそんな声が聞こえた。
「あぁ、ただいま……」
と答えてみる。
声の主は部屋の奥でドタドタ音を鳴らした後、玄関に全力で駆けてくる。
「にいさま!おかえりませいませ!!」
流れるように玄関前に膝を付き、三つ指付いてお出迎えをする妹。
俺は一切それには触れず、
「どうやって入った……?」
「大家さんに事情を話して入れてもらいました!」
馨の何とも嬉しそうなお顔だが……こちらとしてはセキュリティの甘さに身の毛がよだつ思いだ。
「妹だって話したら、似てるね!って言われちゃいました!!」
「お世辞に決まってるだろ……血の繋がりもないのに」
疲労のせいか、マズい事を言った!と気付くのがワンテンポ遅れた。
- 868 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/07/04(日) 20:55:32 ID:5oSaalBX
- 前に同じようなことを行って塞ぎ込ませてしまったのを思い出す。、
いつでも謝る姿勢をとりながら、妹のほうを見ると、
「ふふん、にいさま。馨は大事なことに気付いたんですの!」
なぜか自慢気。
「はぁ?どんな?」
拍子抜けながらも、気になって尋ねた。
「双子は顔がそっくりでも性格が違うように、遺伝子が同じでも人は変わるんです!」
「うん……それで?」
「逆をいえば、にいさまと馨はずっと一緒に過ごしてきたんですから、二人が似てきても不思議じゃありません!」
何だか嬉しそうな馨。
そして、ゆっくり立ち上がって
「にいさま。馨にとっては、にいさまと一緒に過ごした時間が、にいさまとの兄妹の証なんですよ?」
「あぁ……」
「これからも一緒にいましょう、にいさま?」
「……」
馨の甘ったるい顔に耐えきれず、目をそらし、靴を脱いで、家に上がる。
だが、まぁ……
「合鍵、無くしたりはしないよな?」
「え……っ!?は、はい!!絶対大事にします!!」
「明日作ってくる」
「あっ!!はい!!私も明日来ます!!夕飯作って待ってます!!」
「冷たいのにしてくれ。明日も暑いらしいから」
「はい!にいさまのお願いなら!!」
服を脱ぎながら、妹と会話。
あとは、ウチの同居人にお伺いを立てないとな。
- 869 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/07/05(月) 12:39:56 ID:Ob8tUjBQ
- お兄たちGJなんだから!
- 870 :名無しさん@そうだ選挙に行こう :2010/07/10(土) 21:10:35 ID:Mbf3jiiJ
- 『兄貴、これなんて読む?』
(汚兄ちゃん)と書かれた紙を出される。
「おにいちゃん?」
『お、正解〜』
ブスッ
『目がァァァァァ』
「全国(俺を含む)の兄貴に謝れ!!今すぐ謝れ!!」
『ニコ○コ動画のタグだからいいじゃん!!』
- 871 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/07/10(土) 22:11:45 ID:FOH2Zg7f
- 「御馳走様」
箸をおき、食卓から立ち上がる。
「お粗末様。どうだった、新メニュー?」
先に食べ終わっていた妹の遥はエプロンを装着しながら、俺に尋ねる。
「あぁ、美味かった。やっぱり遥が作るのが一番だな」
「あはは……褒めても何も出ないよ?」
照れくさそうに目を逸らす遥。
つい言ってしまった言葉だが、お互いに褒め慣れても褒められ慣れてもいないためギクシャクしてしまう。
「あ、お兄ちゃん。お茶碗、水に浸けといてくれる?」
「あぁ、分かってるよ」
「それと、お風呂沸いてるから、すぐ入っちゃって」
「おぅ」
「あと、明日から二人で旅行だから、準備しといてね」
「了解……んっ?」
『明日から二人で旅行』……?
「……遥、今なんて言った……?」
「明日から二人で旅行?」
「うん、それ。で、旅行って……何?」
「明日から、二人で海に」
「何で!?」
「お父さんとお母さんがホテルの宿泊券くれたから」
「……何故俺には何も言わない……」
「絶対嫌がるから言うなって……」
……なんてヤツら……俺の性格を分かってやがる……。
「行きたくない?」
「行きたくない」
「何で?」
「……俺みたいな日陰者の行くところじゃない……」
「言うと思った……」
うんざりしたと言いたげな遥。
- 872 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/07/10(土) 22:12:46 ID:FOH2Zg7f
- どうせ語彙が少ないよ、俺は……。
「ならば、なぜ俺を海に連れて行こうとする!?」
「お兄ちゃんにもメリットがあると思うんだけどな」
「メリット?」
「あきらさんや宮原さん達に会わなくて済むじゃない?」
ん?それは確かに大きなメリット……。
だが、しかし……。
「……待て、遥……このノリ、海でも一悶着ある気がする……」
「大丈夫でしょ。万が一海で女の子に会っても、こっちに帰ってきちゃえば問題ないじゃない?」
「いや、普通に越してくるぞ、こっちに。で、絶対に同じ学校だ」
「そんな偶然あるかなぁ……」
「今更何を……今年の夏は確実に女関係の運が悪い」
『今年の夏は』で済めば良いのだが……。
「うーん、無いと思うけど……もし、そんなことになったらお兄ちゃんに協力するよ」
「……」
あんまり気が進まない……。
「行かない?」
「気が進まない」
「行こうよ。遥はお兄ちゃんと行きたいよ」
俺とねぇ……。
しかしまぁ、遥がここまで言うなら……。
「たまには……遥の役にも立たなきゃな」
「行ってくれるの?」
「遥の頼みだ、今回は仕方ない。ただ、そうそうあることと思うなよ」
「うんうん!じゃ、準備しなきゃ!!」
嬉しそうな遥。
珍しいなと思いながらも……やっぱり嫌な予感は……消えない……。
───────────────────────
- 873 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/07/10(土) 22:13:47 ID:FOH2Zg7f
- 最近良くお目にかかります。
えっと。別に狙って書いたわけじゃありません。なぜなら二年前に書いたから。
タイミングは完全にアレを狙ってますが。
久しぶりにネガティブ兄の台本になります。いいですね、この兄は。
どんなものか知りたければ、このスレを検索してください。
- 874 :名無しさん@そうだ選挙に行こう :2010/07/11(日) 02:00:52 ID:yofKIi/8
- 待望の遥ルート!!!!
遊星殿GJです
- 875 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/07/19(月) 22:17:15 ID:6TZiJoyo
- 広い部屋。
高級そうな和内装。
大きな窓。そして広い海。
「……」
落ち着かない……。
大体、子供二人で泊まるようなホテルじゃない……。
一旦チェックインしたら、遥はどっか行っちゃったし……。
「色々見て回るか」
……部屋の中を、だが。
今いるここがまぁ、メインとなる部屋だろう。
隣の部屋へと続くであろうふすまを開ける。
掘り炬燵がある……まぁ、夏なので布団は無いが。しかし、どうやら遥もいないようだ。
「……暗いな」
窓の方を見ると、障子のようなものが日差しを遮っている。
隣の部屋から察するに、この先にはベランダのようなものがあると見た。
バカと煙は……という法則に則り、ブラインドを開けベランダに……
「きゃっ!?」
……遥の声。
「あぁ、遥。ここにいたのか」
声のするほうに振り向くと、なにやら木製の箱に水。そして、さらにその中に肌色の遥。
平たく言えば露天風呂付き個室。
なるほど、初めて見た。
「……え?……う、うん……」
「露天風呂か、なかなかいいじゃないか」
「……!?」
俺の顔を見ながら口をパクパク動かす遥。
- 876 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/07/19(月) 22:18:18 ID:6TZiJoyo
- 「どうかしたか?」
「あっと……えっと……」
珍しく歯切れの悪い遥。
まぁ、そんなこともあるのだろうとキョロキョロと辺りを見回す。
遥の服と下着……なるほど、服はここで脱ぐのだな……。
「お、お兄ちゃん……あんまり……」
「何?」
「……なんでもない……」
「?」
もしかして……避けられてる……。
「じゃあ、俺行くから」
まぁ、ここはもう見るもの無いしな。
「あ、うん……」
やっぱり浮かない返事の遥。
俺……何かしたかな……。
───────────────────────
続きを貼るのをすっかり忘れてました。
一応まだまだ続きます。夏が終わるまでには終わらせたいですね。
- 877 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/07/20(火) 12:46:48 ID:rkTMwJwP
- >>875-876
遊星殿GJです!!
個人的には遥との絡みが一番好きです
- 878 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/07/21(水) 18:03:04 ID:U9FEGMuW
- 妹が、あゆが死ぬ…
そう聞かされて、俺は呆然としていた。
「もう長くはないでしょう、今日生きれればいいぐらいです。」
医者からそう告げられた。
『お兄ちゃん、あゆ、退院したの?』
「あぁ、また家で一緒に暮らすんだ。」
妹が今日死んでしまうなら、今まで一緒に暮らしていた家にいさせてあげたかった。
…妹の病気は突然発覚した。
学校の検査で引っかかっただけだったのに、病院で精密検査させただけなのに…
元気そうな妹は、最近見つけられた極めて珍しい病気にかかっていた。
世界でも1〜2人しかかかっていないらしい。
元気な子でも突然死ぬ。そんな病気に何故、妹が…
俺達の家族は、事故で死んでしまって俺と妹しかいない。
俺が働いて、妹を養わせる。2人になってしまった時、そう決めた。幸せにしてやるって決めたんだ。
街へ、海へ、あゆが行きたい所へと行った。空が暗くなる。今日が終わる。
- 879 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/07/21(水) 18:07:07 ID:U9FEGMuW
- 『お兄ちゃん、一緒に寝てくれる?』
「そうだな、ずっと病院で1人だったもんな…。」
互いに寄り添って、温もりを確かめ合う。
『明日も遊ぶよね、お兄ちゃん。』
「あぁ、、、」
明日があるなら、あげられるなら、明日をあげたい。
『おやすみ、お兄ちゃん。』
寝息が聞こえる。このおやすみも、最期を意味するのだろうか。
『お兄…ちゃ…ん』
「どうした!?」
『トイレ…』
「…」
今までの緊張が一気に緩む。とりあえず、トイレに連れて行く。
時計の針は進んでいく。
壁を殴る。
「俺には…何も出来ないのか…?」
妹が出てきたから布団に戻る。
「あゆ…」
妹を抱きしめる。
『お兄ちゃん…大好き…。』
そう言って抱きしめてくる。
「ぜったい幸せにしてやるって…な…」
冷たくなっていく体をずっと抱きしめていた。
俺は何もできない。そう思っていた。本当にそうだったのか?そうじゃなかった。できた。だが、認められなかった。
今なら認められるか?今なら。
泣いてる俺の辺りが白くなる。
次の朝、妹を守るように、白い羽根が辺りを覆っていた。
『お兄ちゃん…?』
思いつきで書いた。この最後の文の続きは貴方が考えている通りです。
- 880 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/07/22(木) 00:20:07 ID:K3igEtfp
- 深夜にいい年ぶら下げたオジサンを泣かせるでない
- 881 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/07/25(日) 21:29:54 ID:S/7C+Ngt
- 「お兄ちゃん、準備できた?」
掘り炬燵の部屋から現れた遥が唐突に切り出す。
「何の?」
「海」
「……え?」
「あ……そっか。私が持ってたんだった」
一旦消えた遥。
そして現れたとおもいきや、
「はい、ゴメンね」
……変な布を手渡す。
「……何?」
変な布と遥の顔を見比べながら尋ねる。
「水着」
「何で?」
「お兄ちゃんにまかせると絶対持ってこないから」
「いや、そうじゃなくて……何故水着が?」
「泳ぐから」
海……泳ぐ……?
「嫌だ!!絶対嫌だ!!」
「何で?」
「場違いだ。場違いの極みだ!!」
「そう?黙ってれば普通だと思うけど」
「俺ほど醜い人間がいるか!!」
「ネガティブだね……誰も気にしないって」
「だとしても……無理だよ……そんな華やかな場所には耐えられない……」
「はぁ……じゃあ、恋人って設定にしよう!それなら場違いじゃないよ?」
「こ、恋人っ……!?」
何だ、この語感から感じる眩しさは……!!
……負けた……もう動けねぇ……。
「……負けた」
- 882 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/07/25(日) 21:31:06 ID:S/7C+Ngt
- 「え?行ってくれるの?」
「……違う……無理だ……もう立てん……」
「何で……?」
「眩しすぎて……死ぬ……」
「お兄ちゃんは、本気なところがすごいんだよね……」
呆れ顔の遥が、細いため息を吐く。
「全然嬉しくない……」
「まぁ、褒めてないからね」
うんざりした様子の遥。
グッタリした俺。
「アレか……彼女はまぁまぁだけど、男はねぇー……って言われたりとか……
可愛い女の子に不細工な彼氏がいるのって世界の七不思議の一つだよねー。っていわれるんだ……」
「お兄ちゃんは私のこと褒めてるつもり?」
「相対的に……」
「喜んで良いのかな?」
「……嬉しきゃ喜べば……?」
「じゃあ、ダメだ……」
ため息の遥。
そして、
「……一人で行っちゃおうかな……」
ボソッと呟く遥。
「いや……それは……」
不味いだろう、女の子一人じゃ……。
「じゃあ、どうする?遥は一人でも行くよ?」
「……分かった……耐える……」
「ありがと。恋人設定は?」
「断固拒否だ」
「言うと思った。さ、隣行ってるから着替えて。で、早く行こう?」
……流された。
───────────────────────
- 883 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/07/25(日) 23:25:42 ID:5IcWnikl
- >>881-882
遊星さんGJっす!
- 884 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/01(日) 21:34:56 ID:c4rJ0geI
- 海。
海……。
「海なんか消えてなくなれば良いのに……」
「お兄ちゃん……そういうこというと気持ち悪いと思われるよ……」
そういう独り言に限って、聞き逃してくれない遥。
ちなみに……ビキニ姿の隣の遥を、直視することが出来ず、何だか変な方向を眺めている。
「そうだね……」
言葉にすら力が入らない……。
「とりあえず、幸せな人間が憎い……」
「やめてよ、そういう発言」
「……自然に出てくるんだ……」
どんどん暗い……。
「楽しもうよ、せっかく来たのに」
「どうやって……」
「お兄ちゃんも男なんだから、こう……水着の女の人とかに鼻の下伸ばしたりとかしないの?」
「逮捕されないか……?」
「されないと思うけど……」
「少なくとも、言葉の暴力あたりは受けそうだな……キモいとかなんとか言いたい放題言われた挙句に……」
んで……あぁ、やっぱり警察沙汰……。
「……遥のハダカ見たくせに」
「何?」
ポツリと呟く遥。唐突すぎて反応できなかった俺。
「別に。妙に納得した」
「何を?」
「女の子にしか分からない話」
「ならいいや」
絶対に分からんからな。
- 885 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/01(日) 21:36:04 ID:c4rJ0geI
- 「まぁ、騙されたと思って遥と遊んでみようよ」
「気乗りしない……」
「でも、ジッとしてる方が逆に変だよ?」
「だろうな……」
「覚悟決めちゃえ!」
「覚悟……」
「ほれほれ!」
水をかけてくる遥。
それに対し、
「……悪かった……」
「何がっ!?」
「いや、何か怒らすようなこと言ったかと……」
「そのリアクションに驚きだよ……」
「どういうリアクションが正解なんだ……?」
「『あ、やったなー!この〜!』みたいな……」
「……要求する所が高い……」
「だよねぇ……」
呆れている遥。
そんな遥に俺も半ば呆れている。
「私と一緒じゃ嫌?」
「そんなことはないが……」
女に縁の無い男が考える、女のキラーフレーズ。俺にも、兄にも有効。
「じゃあ、行こう?」
「仕方ない。泳げないと思われたら嫌だしな」
「うんうん。行こう行こう」
遥に連れられ、大嫌いな海へ。
……あぁ、気が重い……。
───────────────────────
- 886 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/10(火) 23:06:32 ID:zIgV2VAx
- 長かったけど、やっと太陽が沈んだ。
日頃から日の当たる道を歩けない俺だが、今日ほど太陽が憎かったことはない……。
「あははっ!!楽しかったね!!」
海水浴場からの帰り道、テンションの上がりきった遥と、
「俺は気まずくて死にそうだったよ」
テンションの下がりきった俺……。
「そう?よく遊んでたじゃない?」
「一種の擬態だ」
そして、擬態も楽ではないのだな。
「お兄ちゃんは……楽しくなかった?」
「このリアクションで分からないか……?」
「そっか……」
悲しそうな声の遥。
少しミスったかなと後悔していると、
「ありがとう」
「は……?」
「遥のワガママに付き合ってくれて」
「あ、あぁ……?」
「私は楽しかったよ。お兄ちゃんが楽しくないのが残念だけど……」
自然に俺の手を握ってくる遥。
「でも、ありがとう」
コイツは俺如きに、なんて笑顔を見せてくるんだろう……。
笑顔の浪費家め……。
「……いや、俺こそ……遥にしてもらってること考えたら、これじゃ足りないくらいだ」
「……」
あ、凄い嫌な顔……。
「じゃあ、明日はもっと付き合ってもらおう!!」
「は!?」
「ううん、今晩もしっかり付き合ってもらう!!」
「……」
抜け目ないなぁ……。
- 887 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/10(火) 23:07:35 ID:zIgV2VAx
- 「まぁ……いいか」
今日は遥の休日だ。
そう思うことにして……これから起こることに対して少し身構える……。
───────────────────────
夕飯を食べ終え、テレビでも見ながらお茶をすする。
……若さが無いなと、少し苦笑いしたとき
「お兄ちゃん退いてー。布団敷くからー」
「あぁ、悪いな」
ゴソゴソと布団を敷き始める浴衣姿の遥。
……しかし、そこには大きな落とし穴が
「何故二人分?」
「え?だって、向こうの部屋、掘り炬燵があるから布団敷けないし」
「あぁ……」
何となく別々の方がいい気がしているのだが……。
「まぁ、遥が良いなら良いか」
「え?何の話?」
「別に……もう寝るのか?」
「うん。疲れちゃったから」
「じゃあ、俺も寝るか……」
「あ、いいよ。私、明るくても……」
「気にすんな。遥に付き合ってやるよ」
「……そう?」
といいつつ、布団も既に敷き終えて、明かりを消す気満々。
テレビを消してその布団に潜り込む。
待ってましたとばかりに電灯の紐を引く遥。
「ふぁ……疲れたね、今日は」
興奮冷めぬ口ぶりの遥が右のほうから聞こえる。
「まぁ、あれだけはしゃげばなぁ」
「うん。楽しかったよ。お兄ちゃんのおかげだね」
「……」
不意打ち……。
- 888 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/10(火) 23:08:38 ID:zIgV2VAx
- 「どうしたの?」
「あまり日陰者を褒めるな……褒められるのには慣れていない」
……。
突っ込みなし……?
「ねぇ、前から聞きたいことがあったんだけど」
「何?」
「お兄ちゃんはよく自分のこと日陰者とかいうじゃない?じゃあ、お兄ちゃんが陰なら、私は何?」
「ん……まぁ……光……的な」
拒絶ワード:光。
吐きそう……。
「そうかなぁ……」
「そうだよ」
「じゃあ……それでもいいや。でもね、お兄ちゃん……」
「……?」
「でも、忘れないで。私が光なら……私を私に作ったのは、間違いなくお兄ちゃんなんだから」
「……だから褒めるなって」
「うん。だったら、少しずつ慣れていこう」
「キツいな……」
まさに褒め殺し……。
「お兄ちゃん?」
「ん?」
「一緒の布団で寝ても良い?」
「何だよ、今日は……やけに接近してくるじゃないか」
「あきらさんや宮原さんたちと一緒に居ることが最近多いからね……今まで一緒だった身として、ちょっとジェラシー」
「正直な奴……。まぁ、遥が良いなら俺は何でも良いけど」
「へへへ、お邪魔します」
俺の布団に転がってやってくる遥。
……暑苦しい。
- 889 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/10(火) 23:09:39 ID:zIgV2VAx
- 「光があるから陰がある。私たちって、ある意味バランスとれてるのかもね」
「そういえば聞こえは良いが……」
「……が?」
「結局俺が遥の足を引っ張ってるんだよな……」
「……んー……そういう話じゃ無いんだけどなぁ……」
すっかり呆れてる様子の遥。
「相手が俺だから、仕方ない」
「ネガティブだね」
「褒めても何も出ないからな」
「……」
何故黙る、妹よ。
「……」
「お休み、お兄ちゃん」
「お休み」
───────────────────────
長めですが。まだ続きます。
少しペースを上げないと、夏が終わってしまいそうなので。
あとはスレの容量が持てばいいですが。
- 890 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/08/14(土) 10:03:19 ID:05WvInQM
- シベリアに抑留されてたのでGJできませんでした
というわけで遊星殿GJ!!!!
- 891 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/17(火) 23:01:42 ID:AdbFmScJ
- 「……」
眠れない。
この状況で、眠れるはずが無い。
「すぅ……すぅ……」
……抱き癖があるとは聞いて無いぞ、遥。
「くすっ……」
俺の頭を抱く力を少し強めて、ちょっと笑った。
どうしよう。
エアコンのタイマーが切れて、少し熱いこの部屋。
遥の寝息と、妙にうるさい俺の呼吸音と。
「いいよ……」
何が。
「お兄ちゃん……」
何が?
「……遥は……んぅ……」
……寝言に突っ込みいれるのも野暮だが。
さて、どうしたものか……。
「……」
仕方ない。ゆっくり動いて、脱出しよう。
……と思ったのもつかの間。
「お兄ちゃん……風邪引くよ……」
抱き寄せる力がグッと強まり、俺は遥の胸の中に……。
遥の匂いが鼻腔を通じて肺の中を満たす。
起きてんじゃねぇのか、コイツ……。
「妹なら……問題にならないのか……?」
ふと、裁判沙汰の四文字が頭に浮かんだ瞬間……。
- 892 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/17(火) 23:02:43 ID:AdbFmScJ
- 痛たたたたたたたたたたたたたたたたた!!
もはや、抱き寄せるというより、ベアハッグに近い。
「お兄ちゃん……!」
「……」
口が塞がって、何もいえない。
息が苦しい……。
何、俺が悪いことしたか!?
「今日は……一緒なんだから……。放さない……」
「……」
全く、急に寂しがりになりやがって……。
「……」
少し話をしようと思ったが、この位置では物も言えない……。
仕方なく、遥の腕を軽く叩く。
「お兄ちゃん……?」
分かってくれたようで、ちょっとだけ力が弱まる。
その隙に、顔を胸前から顔前に移動させて、
「んなことしなくても……離れやしないって」
「……ホント?」
「ま、認めたくはないが、お互いブラコンでシスコンだしな……」
「へへへ……」
くすぐったそうに笑う遥。
寝てる人間にクサいことを言って、心の底から恥ずかしい俺。
……明日には忘れていたい。
「だからいい加減放せ……苦しくて眠れん」
「うん……」
寂しそうな声。
これをほっとけない辺り、俺も立派な兄だね。
「手ぐらいは繋いでやるよ……」
「うん」
黙って、遥の手を握る。
……ちょっと冷たい。
───────────────────────
- 893 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/08/18(水) 21:44:45 ID:CIdkuLkl
- >>891-892
遊星さんGJ
- 894 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/08/20(金) 12:11:51 ID:22CXu9I3
- 遊星殿GJ!!!
遥みたいな面倒見のいい妹がほすい
- 895 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/08/24(火) 01:26:34 ID:IM/kvSYP
- ヤバい素晴らしいよ
こんな投下があったのに規制でGJを書き込めなかった…
- 896 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/27(金) 23:12:39 ID:HmrjfKeC
- 「嫌だ!!絶対嫌だ!!というか無理だ!!」
「えー?なんで?海には行けたじゃない?」
「レベルが違う!!」
「水族館はそんなにレベルが高いの?」
「高い!高すぎる!!」
「違いが分からないんだけど……」
「海に行く理由はまぁ、如何わしい理由以外にも色々あろう。が、水族館はなぁ……」
家族連れorカップルじゃないか……。どっちも嫌いだし……。
「じゃあ、他にどこか行くところある?」
「……」
「もう一回海に行く?」
「え……」
さすがに……もう……。
「魚見に行くだけだよ?生物の勉強みたいなものでしょ?」
「生物、履修(と)ってないし……」
「私はやってるよ。じゃあ、決まりだね。行こう。生物の勉強に」
「えぇ……」
生物の勉強(魚類限定)……乗れないなぁ……。
あまり良い顔をしていない俺に対して、遥は
「お兄ちゃん」
「ん?」
「私に付き合ってくれるんでしょ?」
「はい……そうでした……」
まさに切り札……というか、拒否しすぎですか、俺……。
「謹んでお供させていただきます……」
「そ、そんな硬くならないでいいから」
「お姫様扱いはご不満か」
「それじゃ面白くないじゃない?いつもみたいなのでいいよ」
「それはそれで……」
というか、意識するとどうにも……。
- 897 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/27(金) 23:13:41 ID:HmrjfKeC
- 「まぁまぁ、行ってみたら面白いかもしれないよ?よし、行こう!」
「……」
遥の頼みは……断われませんものねぇ……。
───────────────────────
「でか……」
大きさ。というのは、最も単純であるが、最も説得力のあるパラメータである。
大きくすれば良いというものではないとは重々承知だが、それも突き詰めれば何もいえなくなるわけだ。
「お兄ちゃん……」
「ん……?」
「固まってるよ」
「あ、あぁ……大きいな」
「驚いたでしょ?」
「まぁ……」
自分の気持ちを相手に悟られるのはあまり良い気分ではない。
まぁ、その相手が遥なら慣れるべきだが。
「もう行くいこう?早くしないとイルカショーに間に合わないよ」
「イルカ……」
「どうしたの?」
「アイツら……目が怖い。あれは人を馬鹿にしている目だ」
「動物にまで劣等感を持たなくても……」
やはりというべきか、遥の共感は得られなかったようだ。
呆れる遥。
呆れながらも、しっかり俺の腕を掴んでいるあたり、俺のことを分かってる、と言わざるを得ない。
逃げ場は無いし、もともと選択権が無いのだということをこれで思い出す。
- 898 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/27(金) 23:15:00 ID:HmrjfKeC
- それにしても……何だろう、この腕の感じ……。
「……!?」
三度目の衝撃。
一度目は目で。二度目は顔で。三度目は腕で……遥の柔らかい部分を感じた。
まぁ、意識したのは今回が初だが……。
「は、遥……?」
「何?」
無垢な顔。
……そっち方面の感情を持っているのは俺だけか……。
そうなると余計言えない……。
「行くから……手、離してくれよ……」
「どうしたの?急に……」
言える訳がない。
「イルカも……悪くないかもしれない……」
「そ、そうなの?何だか、微妙な顔してるけど……」
「気にするな……行こう……」
俺、もう人としてダメかも……。
───────────────────────
- 899 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/08/28(土) 23:50:57 ID:M8p5tL6h
- 遊星さん乙です!!!
しかしネガティブ兄は実妹しか女性は無理な身体なんだなw
- 900 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/30(月) 23:26:05 ID:pLgyQjVB
- 「……はぁ……」
夕日を背景に、ため息をつく遥。
ため息は俺の専売特許では……。
「どうした?」
両手に二人分の旅行鞄を持ちながら、そんな遥に尋ねる。
「……あっという間だったな、って……」
本当に寂しそうな面の遥。
「そんなに楽しかったか?」
「うん……でも、仕方ないね」
「まぁな」
正直なところ、そんなことはどうでもよく、はやく両手の重量から開放されたい……。
「帰るぞ」
「うん……」
とは言うものの、やはり口調は重い。
夕陽が、遥の憂いを帯びた表情にさらに影を作る。
しょうがないやつ……。
「あのな、遥……」
「あ、うん。分かってる。分かってるよ、帰ろう」
「いや、そうじゃなくてだな……」
荷物を置く。
「言いたいことがあるなら、はっきり言えば良い……まぁ……」
遥の目を見る。
「今回は何が言いたいかは俺でも分かったけどな」
「……?」
「今から入れる宿探すぞ」
「え……」
「ダメなら潔く帰るからな!!」
「う、うん!!」
痺れる腕を少し振って、再度荷物を手にする俺。
その後を、跳ねるようについてくる遥。
- 901 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/30(月) 23:27:20 ID:pLgyQjVB
- 「ねぇ、お兄ちゃん」
「ん?」
「今夜は何食べようか」
「宿が決まったらガイドブック見て決めよう」
「ねぇ、お兄ちゃん?」
「んー?」
「ホテル、空いてるかな?」
「まぁ……贅沢言わなきゃ大丈夫じゃないか。保障は出来んが」
「うん。あるといいね」
「出来れば、シングルを二つとれればいいがな……」
「何で?」
「……」
赤く染まる駅を背に、海に向かって坂を下っていく。
……まぁ、とんでもない安請け合いをしたものだと思いつつも、期待を持ってしまう。
変な気起こさないといいけどなー、俺。
───────────────────────
長きに渡ってお邪魔いたしましたが、今回の話はこれで最後。
随分前に書いたんですが、ずっと貼るタイミングを見失ってまして。
僕も久しぶりに読んだので、自分自身楽しめました。
- 902 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/09/05(日) 22:22:10 ID:nuT1ZaJV
- 遊星殿、毎度GJです!
細かいことを気にせず投下して頂ければ幸いです
待ち望んでますゆえ
- 903 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/09/12(日) 17:03:26 ID:RGt/VvqP
- 規制解除来たー
遊星さんGJ!
- 904 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/09/13(月) 00:45:24 ID:QnwIb5ZU
- ほ
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0ch BBS 2004-10-30