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[第五弾]妹に言われたいセリフ

144 :月影に踊る血印の使徒:第三夜 12 :太正94/04/02(土) 13:45:19 ID:szyt9Beb


「あのさー、奈菜」
 夕飯のシチューを掬いながら、史也が話し出す。
「何だ」
「いや、さぁ・・彼氏の事、なんだけど」
「だ、だから其れは違うと言っただろう!」
「あーうん、それは、な。 んでさ、もしも奈菜に彼氏が出来たら、さ」
「・・・出来たら?」
「教えてくれよな。 祝ってやっから。 まぁ、さ、心配しない訳でもないけど、ほら、俺なんかより奈菜はずっとしっかりしてるからさ。
 奈菜が選んだヤツなら、まぁ、多分大丈夫だろうし・・・」
「う・・ん・・・・分かった・・」
「んー・・そうだよなぁ。 いつまでも一緒ってわけにもいかんよなぁ・・。 俺も妹離れしないとな。 彼女も出来やしねぇ」
 冗談めかして笑う。
「彼女・・居ないのか」
「おいおい・・居ると思ったか?」
「否・・・唯、確証が無かったから」
「だはは、彼女居ない暦がそのまま年齢だ」
「そうか。 良かった・・・」
「いや、良かった、って・・・」
「ん? 如何かしたか?」
「いや・・・・ははは、奈菜も兄離れしないとな?」
「私は・・したくないな」
「え?」
「出来るなら・・・・ずっと、一緒に居たい」
「・・・・・・まぁ、アレだな。 ・・無理に離れることもないか?」
「うん」
「奈菜は家事出来ないしな」
「う・・・うん。 そ、其の内、憶える」
「俺と居るウチは憶えなさそうだけどな」


145 :月影に踊る血印の使徒:第三夜 13 :太正94/04/02(土) 13:47:29 ID:szyt9Beb
「な、何だ・・間接的に離れろと言ってるのか?」
「あーいやいや、そんなつもりじゃねーって」
「嫌だからな・・・私は」
「ん?」
「お兄ちゃんが何と言っても、私の方から離れる心算は無いからな」
「・・・何ムキになってんだ?」
「べ、別にむきに成ってなど居ない」
「ムキになってるよなぁ? セツ」
「んにゃー」
「おー、セツもそう思うかー」
「なっ・・・! も、もう良い!」
 だん、とテーブルを叩き、立ち上がる。 其の儘ドアに向う。
「何処行くんだー?」
「散歩だっ!」
 怒鳴り散らし、台所を出る。
 つとと・・と切も走り出す。
 一人残される史也。
「たはは・・・からかいすぎたか?」
 苦笑いと独白が部屋に響いた。


「ブラコン」
 外に出る為り、切が言う。
「・・・・五月蝿い」
「自覚は在るのね」
 塀に飛び上がり、私の少し前を行く。
「貴方少し可笑しいわよ」
「・・・分かっている」
 此処の所・・如何も自分を上手く扱えない。 自分の想いをコントロール仕切れない。
「使徒らしくないわ」

146 :月影に踊る血印の使徒:第三夜 14 :太正94/04/02(土) 13:49:31 ID:szyt9Beb
「使徒らしく、か・・・」
 今迄感じようとして居なかった、想い。 其れを受け入れて、私は・・・・。
「ヒトに、近づけた・・・のだろうか・・・・」
「ヒトに、近づく・・・?」
 切が訝しげに此方を見遣る。
「貴方・・・ヒトに成りたいの?」
「ヒトに・・成りたい訳じゃ、無い。 唯、私はもっと・・ヒトを・・・『想い』を、知りたい」
「・・・・変わらないわ。 それは詰り、ヒトに成りたいと云う事よ」
「そう、かもな」
「そして・・それは馬鹿げてる。 使徒は使徒よ・・そしてヒトはヒト。 例え『人』だって、結局は使徒であってヒトではない」
 何処か、寂しそうな切の声。 淡々と語る其れは、確かに真実。
「でも、私は―――」
「貴方は『変容』を認められないのね」
 私の声が、三つ目の声に遮られる。 道の行く手、街灯にぼんやりと映し出される女性。
「其れは仕方の無い事。 誰だって今迄の自分を否定されれば腹が立つわ。 でもね、『世界』は変わろうとしている。
 其れは疑いようの無い事実なのよ、八百四番目」
 其の女性の言葉が続く。 『世界』が、変わる・・?
「私も変わるのは嫌だった。 嫌だったの。 でも、変わってしまう迄、其れが分からなかった。
 ――変えられてしまう迄。 ねぇ、奈菜?」
 ぞっとする、其の声・・殺意。
「だから、私は貴方の味方。 変わりたくなければ、変わらなければ良いの」
「あ、貴方は、何なの・・・?!」
 切が、声を搾り出す。
「私? うふふ・・・奈菜に半身を奪われた、哀れな使徒よ」
「貴様・・?! 焼を操ったのは、貴様か・・・・!!」
 つかつかと歩み寄る。 構えようとするが・・。
「・・・動けない・・?!」
「奈菜、少し待ってなさいな。 私は今、八百四番目に用が在るの」
 言葉一つ一つが私を縛る鎖と成る。 圧倒的な、『強さ』・・・・!!!
「八百四番目・・・司るのは、『切』でよかったかしら?」

147 :月影に踊る血印の使徒:第三夜 15 :太正94/04/02(土) 13:51:52 ID:szyt9Beb
 切も、身動ぎ一つ出来ない。
「貴方にも、在るのでしょう? 変えたくない、失いたくない何か。 私にとっての彼女の様な。
 失いたくないのでしょう? 其れを奪われて、貴方は貴方で居られる?」
「う・・・あ・・・・」
 切が、相手の言葉に伏されて行く。 眼光が鈍り、虚ろに成る。
「教えましょうか、護る術を。 変わらなければ良いの。 そう、其れだけ。 でも、其れだけじゃ完璧じゃない。
 貴方が変わらなくても、世界が変えられてしまうから。 だったら如何すればいいの?」
「・・・変えさせない・・・・・変えさせなければ、良い・・」
 うわ言の様に・・・意識が在るのかも分からない様な声で、切が答える。
「そう。 『世界の変容』なんて・・馬鹿げてる。 私達に『変容』なんて―――必要無い」
「失う位なら――この儘で良い・・・新しいモノなんて、要らない・・・・・」
「そう・・私達には大切なモノが在る。 何よりも、自分よりも大切なモノが」
「私は・・・私達は・・ずっと、この儘で・・・・良い」
「そうよ。 うふふふふ・・・良い子ね」
 大事そうに切を抱え上げる。
「行きましょう、八百四番目。 私と共に。 『世界の変容』なんて私達には必要無いもの」
 身を委ねる切・・二人は、夜闇に消えようとする。
「ま・・・待て・・!! 貴様、切を如何する気だ!!」
「如何も? この子が言ったとおり。 私達は私達が望む儘に行動するだけよ」
「私が・・・・狙いでは無かったのかっ!?」
「貴方を殺すわ。 絶対に」
 確かな殺意が私を貫く。 堪らず、膝を突く。
「でも言ったとおり。 私は私と同じ想いをさせたくないの。 この子には」
 既に意識の無い切を優しく撫でる。
「・・・なんてね。 精々私の役に立って貰うわ・・・うふふふふふふふ」
 狂気。 間違い無く、其れは病院で垣間見たものと同じ。
「うふふふふ・・安心してね。 ちゃんと、貴方の半身から殺してあげるから。 貴方を『殺す』のは其の後」
「史也に・・・・手を出すなぁっ!!!」
「うふふふふふふふふふ・・・・・楽しみに、待っててね。 うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ――――――」
 漆黒に影が消え・・辺りに残るものは無かった。 空には月さえも無く――――闇だけが、其処に。

148 :名無しくん、、、好きです。。。 :太正94/04/02(土) 13:58:18 ID:szyt9Beb
そろそろ忘れられた頃じゃないでしょうか。
待っていたヒトは長らくお待たせ。 待ってないヒトはいつものやつで。
NGワードにHN欄の「:」を指定してちょ。
月影に踊る血印の使徒 >>133-147
450行に全てを賭ける! とは言うものの、三回目ということでここらでスパッと終わるといい感じなんですが。
まだ続くのかい?! 続きます。 これ、あと二、三回で終わらせられるんかいな・・・?
暴走列車は今日も逝く。

149 :なぜなに月下:さんにちめ :太正94/04/02(土) 14:00:29 ID:szyt9Beb
「久々にきたっ! 有紗と!」
「マイのー」
「「なぜなに月下ーっ」」
「・・・ってあれ? にゃんこちゃんは?」
「知らなーい。 なんかねー本編で自分がどーだとか言ってねー、マイにパスされたー」
「むぅ、職務放棄だね。 後でマタタビの刑だ」
「それよりはやくやんないとー」
「そうだね! じゃ、マイたんよろしく!」
「おー。 マイ、がんばるー。 あのねー、今日は使徒の『強さ』についてー」
「『強さ』かー。 単純な強さとかじゃないんだね?」
「うん。 マイもねー、よく分かんないけどー、使徒の『強さ』はねー、かんしょおりょくなんだってー」
「干渉力、かな?」
「うん。 例えばー、えーと、五人目だったかなー。 『水』はねー、生命があるのにとって、すごく重要な要素だよねー」
「そだね。 無かったら死んじゃうもん」
「つまりー、命があるものにとってー、『水』の干渉力はすっごいってことだよね」
「うんうん」
「だからー、『獣』とかー、『木』とかはー、『水』よりずっと『弱い』の」
「ずっと?」
「うん。 絶対勝てないよー」
「絶対なの? まぐれも無理?」
「使徒と使徒の戦いはー、要素の干渉合戦なのー。 百回やっても千回やっても、結果は絶対変わらないのー」
「絶対ー?」
「絶対の絶対ー」
「絶対の絶対ー?」
「絶対の絶対の絶対ーっ」
「ホントかなー?」
「ホントだもん。 ウィルもエイジも言ってたもん。 絶対の絶対の絶対の絶対だもんっ」
「・・・・・マイたん、カワイイ」
「はえ?」
「んじゃ、またね! しーゆーねくすつ!」


150 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/02(土) 22:36:09 ID:maMWhb9W
>>たゆんさん
待ってました!乙です!GJ! Σd(>ヮ<)
もうハラハラドキドキしまくりの展開っスねぇ!
続きキボンですヨ〜! ヽ(>▽<)ノ
奈菜ちゃんも萌えるけど
俺は有紗ちゃんとマイちゃん萌え……! (*´Д`)ハァハァ

151 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/04/02(土) 22:52:11 ID:KDwR5ehp
おぉ、凄ぇ……。
萌えるって言うより、面白いですね。……あ、褒めてませんか。すいません。

姐さんのSSに触発されて、俺もなんかインスピレーションが沸いてきたー。
俺もカッコいい台本書きてー!!

152 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/03(日) 17:55:00 ID:XJjb8Wdk
「おにいちゃん、ハメハメして!」

言われ…たくないな

153 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/04(月) 15:31:00 ID:XSswwWHt
↑を受けて・・。
「あう〜、おにいちゃん、ハメ技しちゃやだ〜」

コントローラーを握って涙目で。
言われたいけど、言わしちゃ駄目だよ。 ハメ技禁止ですぅ。

154 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/04/04(月) 22:42:51 ID:pigkp2AG
お風呂でサラちゃんの裸を直視してしまった俺は……
「あの……ホントにゴメンなさい」
まだ謝ってました。
「もういいわよ……」
「そうですか……あ、あの……明日、奮発してお寿司でも買ってくるから……」
「いいわよ、そんな……私も悪かったから」
「あ……そうですか……」
ま、許してもらえたようだし……良しとしよう。
「えっと……今晩のことだけど、和室にお布団敷くからサラちゃん、そこで寝てね?」
「え……えっと……」
「あ、ベッドのほうがいい?それなら、俺が和室で寝るよ?」
「えっと……えっと……」
サラちゃんが俯いてモジモジ……。
「何?」
「マサト……」
「はい」
「マサトと……一緒に寝たいな……なんて」
「ダメ!!絶対ダメ!!」
「え?何で?」
「いや、さっきの件もあるからさ。俺、ホントに何するか分からないよ?」
「大丈夫。私はマサトを信じてるから」
「いや……そういう問題じゃなくて……」
「そういう問題なのっ!!」
ビシッと言い切る。

155 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/04/04(月) 22:44:41 ID:pigkp2AG
「大体……一人じゃ……淋しいじゃない……」
バツが悪そうにサラちゃんが呟く。
「しょうがないなぁ……」
あーあ。言っちゃったよ……
ま、手出さないように頑張ろう!!
「いいの?」
「ただし!!責任は取らん!!」
「それは困る。だから……私を……私を……」
「サラちゃんを……?」
サラちゃんの顔が一気に赤くなる。
「な、何でも無いわよっ!!で、マサトの部屋はどこなの!?」
「えっと……階段上がって右だけど……」
「じゃ、行きましょ?」
「もう寝るの?」
「うん。いろいろあって疲れちゃったから」
「そう。じゃ、行こうか」
正直……不安だ……。
俺が変な気起こさないといいけど……。
───────────────────────
ピークのときよりも人が減ってるような……気のせいか。

しかし、この台本、いつになったら終わるんだろう……。
行き当たりばったりですが……まだまだ続きます。
ですので、もうしばらく、スレ違いは勘弁してください……出来るだけ頑張りますんで。

156 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/04(月) 23:04:25 ID:o3+nwpNa
スレ違いなんか気にしないでいいですよーきっと。
面白ければ良しっす〜!

しかし、確かに人減ってますねぇ…寂しい限りですハイ

157 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/05(火) 05:33:07 ID:lU6/qFnb
GJですー。

確かに人減りましたねー…orz

158 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/05(火) 21:16:13 ID:z52PcHWf
「あ、あ、あああ……」
「どうした、もう限界か?」
「ま、まだ大丈夫だもん!……うくっ」
「ほれほれ」
「やっ、やだぁ……!!そこは……」
「なんだよ。威勢はいい割に、こっちは全然たいしたこと無いな」
「おっ、おにいちゃんが上手すぎるんだよぉ……ひゃうっ」
「ふふん。お前の弱点など知り尽くしているからな」
「だっ、だからって……んっ……少し、休ませてくれてもぉ……」
「ダメだ」
「お、おにいちゃんの、いじわるぅ……んっ!」
「さて、そろそろラストスパートをかけるか」
「あっ!あっ!あっ!!おにいちゃん……!!もうっ……もうっ……わたしっ!!」
「イってもいいんだぜ?」
「あっ……あ……ああぁぁぁぁっ!!」


「―――お、逝った。やっぱりお前弱いな」
「ああぁぁぁぁっ!!もうヤダ!おにいちゃん強すぎだよっ!!」
「お前の攻撃がワンパターンなのがいけないんだよ」
「おにいちゃんのハメ技がいけないんですっ!あとそのキャラは使用禁止っ!」
「ハンデつけすぎ……」
「おにいちゃん!!もう一回勝負だよっ!!」

159 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/04/05(火) 21:54:25 ID:wtY/mi9d
ベッドの上。見慣れた天井。
俺は何時間この天井を眺めているのだろうか……。
別にサラちゃんを意識して興奮してるわけじゃない。
でも……眠れないのは、サラちゃんのせいには違いないんだろうな……。
「ね、マサト……起きてる?」
「ああ、起きてるよ」
「眠れないの?」
「ああ。サラちゃんは?」
「私もなの。なんだか目が冴えちゃって……少しお話してもいい?」
「ああ、構わないよ」
「あの……マサトに聞きたいことがいくつかあるんだけど……」
「うん。答えれる範囲で答える」
「ありがと。まず……恋をしたら……どうしたらいいのかな?」
「恋?はは。いきなり難しいね……そうだな。特にしなきゃいけないことなんて無いんじゃない?」
「そうなの……?」
「でも……そのうち何かしたくなるんだよ」
「何かって?」
「それは人それぞれだね」
「マサトは?」
「俺?俺は……鍛えたくなるな、猛烈に」
「え……鍛える……?」
「その人に見合うような、その人を守れるような人間になりたくなる。だから鍛える」
「ふぅん……」
「ま、意味があるかどうかは別としてね」
「……なるほどね。じゃ、次……マサトの好みのタイプは?」
「難しい質問だな……答えなきゃダメか?」

160 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/04/05(火) 21:55:26 ID:wtY/mi9d
「ええ。是非」
「んー……美人っていうよりカワイイって感じかな……後は極端な年齢差はちょっと……」
「あ……そう……なんだ……」
「でも、そういうタイプってあんまり意味が無いと思うよ」
「え?」
「何だかんだ言っても、人間、恋に落ちるときは落ちるからさ。例え、タイプじゃない相手でも」
「なるほどね……じゃあ、まだ私にもチャンスは……」
「え?何か?」
「え!?えっと!!なんでもないの!!じゃ、最後の質問」
「おぅ」
「マサトは……私のこと……どう思ってるの?」
「へ?」
「だからね……えっと……その……」
「うーん……コレも難しいけど……ま……妹が出来たような感じかな」
「妹……?」
「うん。ちっちゃくて可愛くて……妹みたいだから」
「へ、へぇ……」
「あ、可愛いは失礼だったかな?」
「う、ううん!!そんなことない!!」
「そう……もう質問はいい?」
「うん……ありがと」
沈黙……。

161 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/04/05(火) 21:56:25 ID:wtY/mi9d
「ねぇ……マサト……」
「ん?」
「妹だったら……たまに遊びに来ても不思議じゃないよね?」
「うん。いいよ」
「マサト……妹だったら、一緒にお風呂に入ってもいいよね?」
「そう……かもね」
「妹だったら、一緒に寝てもいいよね?」
「まぁね……」
「それなら、私、妹でもいいかな」
「え……あぁ……そう」
「お兄ちゃん」
「え……!?」
「おにぃちゃん」
「な、何?」
「ただ呼んだだけ。お休みなさい」
「おい。サラ」
「え、何?お兄ちゃん」
「ただ呼んだだけだ。お休みなさい、サラ」
「うん」
「そうだ。日本の昔話でもしてやろうか?」
「うん。聞いてみたい」
「じゃあ行くぞ……Once upon a time,there lived an old man and his old wife in a village.……」
「英語、上手なのね?驚いたわ……」
「ははっ、鍛えてるからな。ま、でも、サラの前じゃ自慢にもならんさ」

162 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/04/05(火) 21:57:33 ID:wtY/mi9d
「まぁ……そう……ね……」
「ん?サラ?」
「くぅ……くぅ……」
「寝ちゃったのか……ま、いいや。お休み、サラ」
妹の髪を軽く撫でて、俺も目を閉じる……。
明日は……何をしようかな……。
───────────────────────
人が減ったのは俺の責任なんだろうな……。
俺も鍛えたら、いつかSSが書けるようになるだろうか……。
いやいや。自分を信じて鍛えまくれ、俺!!

>>158
いいねぇ……エロスレで一本書いてみる気ない?

163 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/04/05(火) 22:16:02 ID:odkxDed4
>>158 = 拙者

(・∀・)ニヤニヤ うわなにするやめr

164 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/04/05(火) 22:17:52 ID:odkxDed4
それは置いといて、遊星さんGJです。
サラちゃんファンクラブとか発足しちゃいますよ、自分(*ノ∀ノ)

165 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/06(水) 00:46:29 ID:sH5qvwoq
>>遊星さん
たとえ世界中から人がいなくなっても、俺はこのスレと供に生きていきますから

166 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/06(水) 00:48:17 ID:paUCV+aa
久しぶりにコテ付きで参上


遊星さんGJですー。

サラちゃんファンクラブかぁ(*´д`)ハァハァ


コテ付けて参上したのは新たなる挑戦のため…
僕には遊星さんやたゆんさんのようにばんばん投下するのは無理だ…ならばっ!!
叩かれるの覚悟で逝きます…携帯からだしネ('A`)

今、超絶即興で描きました。前スレ投下の夢亜(子供時代)のイメージ晒し。
http://p2.ms/605f2

こーゆーのはアリですか?氏ねですか?


晒しageだけはマジで勘弁願いたいorz

167 :すばる ◆9tSxotve.o :2005/04/06(水) 00:50:55 ID:paUCV+aa
コテ付け忘れてたorz

>>166=すばる

168 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/06(水) 00:57:56 ID:jSE0rS+P
遊星神GJ!毎度ながら最高にかわいいっす〜
あ、そーだ。また某雑談スレにも顔出して下さいねー

169 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/06(水) 01:59:30 ID:BA0cS0hC
歳の差があるんですか! ロリなんですか、やっぱり! やった―――っっ!!
はい、病気です。 流石やで、ホンマ・・・。
>>151
アレだ、面白いなんて最高の褒め言葉でがんす。
あれは萌えを捨ててますから(問題発言)。
両方なんて高等テク、私には無理です。 片一方でも危ういのに。

>>166
私的にはアリです。 欲しい。 下さい。 妹画像。 愛してる。

多分ですねー、ヒトが減ったと言うより書き込みが減っただけではないかと。
まぁ、ね、誰かがコメントし辛いのを貼ってるから、ねぇ。 あはは、俺だっつーの。
がんがります。 もっともっと、がんがります。 7日から学校だけど、がんがります。

170 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/04/06(水) 19:39:59 ID:yBW8f41E
未来派、沙耶派に続く、第三勢力、サラ派誕生の予感……!?
……俺は沙耶派ですけど。

>海中様
偉そうな口利いてすいませんでした……orz
海中様の作品を見抜けないとは……鍛え直さねば!!

>すばる様
絵かぁ……。
俺は絵が下手だから羨ましいなぁ……。

>姐さん
姐さんのSSは完成度が高いですからね。
俺なんかが褒めても、価値を損ねるだけだ……などと思ってしまうわけですよ。
おそらく皆も同じ気持ちではないかと。


あ、ちなみに英文の訳は『昔々、あるところにおじいさんとおばあさんがいました』ですよ。

171 :忘れた頃にやってくる :2005/04/06(水) 23:28:55 ID:vrCr+jEc
 頬杖をつきながら外の風景を眺める
 前方からは数学教師から発せられる声が静かな教室に響き渡っている
「おい、真田。授業聞かなくて良いのか?」
 不意に後ろから声を掛けられた
 声の主は親友である石井裕也だ。
「どうせ聞いたって訳が分からないさ。」
「とか言って愛しの妹の事考えてるんじゃねぇのか?」
 全く、とんでもない事を言う奴である。
「あのなぁ、何で『愛しの』が付くんだ?しかも何であいつの事を今考えなきゃいけないんだ。」
「だって、お前ら絶対仲良すぎだぜ。周りと比べてみろよ、異常とも言えるぞ。」
「そんな事ないさ、そりゃ仲が良いのかもしれないが、別に飛び抜けてるわけじゃない。」
 そう言うと同時にキーンコーンと今日最後の授業の終わりを知らせるチャイムがなった。
 挨拶を終え、出ていく数学教師と入れ替わりに担任の教師が教室に入ってくると
 手っ取り早くホームルームを済ませ、開放された。

172 :続き :2005/04/06(水) 23:30:03 ID:vrCr+jEc
 自由の身となったクラスメート達がバラバラと散っていく中、教室の入口から
「コウくーん!」
 と弾んだ声を響かせながら妹の美幸が小走りに走ってきた。
「おっと、早速愛しの人のお出ましだ。」
 後ろから茶化す声が聞こえるがこの際無視する。
「お前な、たまにはクラスメートと一緒に帰ったりしないのか?」
「良いじゃん別にー、損する訳じゃないんだしさっ。それにクラスに話の合う人が少ないから面白くないんだもん。」
「こっちは大迷惑なんだ。今じゃ学校中でシスコン扱いされてるんだぞ?」
「うぅ〜、そんなに私のこと嫌い?」
「いや、嫌いじゃないけどだな・・・」
「じゃあ良いでしょ?」
「おうおう、夫婦漫才繰り広げてくれちゃって、校内放送で聞かしてやりたいぜ。」
 すかさず石井が首を突っ込んでくる。
「馬鹿言ってるんじゃねぇよ、おかげで全くモテないんだからな。」
 そう喋りながら教科書を通学鞄に収め、出口に向かう。
「ほらユキ、帰るぞ。それじゃあな、石井!」
「あ、待ってよぉ〜!」
「じゃあな、真田夫婦!」
 最後まで馬鹿なことを言っているが、日常茶飯事なので突っ込む気にもならず、逃げるように教室を出た。

--------------------------------------------
スレ汚しなものを貼ってすみません・・・。
統一感のない文章ですがどうか悪しからず・・・orz

173 :雨音は紫音の調べ ◆cXtmHcvU.. :2005/04/07(木) 01:23:55 ID:mHvoiAey
>>遊星さん
俺はみんな好きっス!
中でも未来ちゃんは特に好きー! (≧∇≦)b

>>海中さん
スゴイ… (*´Д`)ハァハァ
最初えっちぃ事してるのかと思いましたヨ…w 

>>すばるさん
可愛い! (≧∇≦)b
絵が描ける人羨ましいっス…!

>>たゆんさん
萌え捨ててたんですか…?
萌え+燃えで素晴らしいっスよ!

>>171-172
イイっす! Σd(>ヮ<)
是非続きキボンです〜!

174 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/08(金) 16:24:44 ID:BBvZMAip
>>171-172
GJですー。
これ前少し書いてなかったですか?あれの続きかな?
今度こそ続きキボン(*´д`)

175 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/08(金) 18:11:13 ID:SmjfSc3A
漏れも続ききぼんぬ

176 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/09(土) 00:57:37 ID:BrjW2kFb
>>173-175
おほめの言葉ありがとうございます。

現在マイペースながらも書いていますが、SSではなく小説になってしまいそうです

177 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/04/09(土) 22:15:38 ID:BrjW2kFb
 二人で並びながら歩く
 校門まで来た時、横から聞き覚えのある声で話し掛けられた。
「あら、真田君じゃない?」
「あ、どうも。上原さん。」
 話し掛けてきたのは1学年上の風紀委員である上原百合恵さんだった。
 上原さんは隣にいる美幸を見ると・・・
「そちらはお友達?それとも真田君の彼女?」
「え・・・・あ、いえ。私は妹の美幸って言います。」
「そうなんだ。私は2年の上原百合恵って言うの、よろしくね。」
「こちらこそよろしくお願いします。」
「そそっかしい奴ですけど、大目に見てやって下さいね。」
「コウくん、余計な事言わないでよぉ」
「うふふ。そう言えば、真田君は1年生よね?じゃあ美幸ちゃんは・・・」
「俺は4月生まれで妹は3月生まれなので学年は同じなんですよ。」
「そうだったんだ。あまりにも仲が良くて恋人かと思っちゃった。」
「そ・・・そんな、恥ずかしいです。」
 そんなに嬉しがるな、妹よ。
「えっと。それで、上原さんは今から何かやること有るんですか?」
「ええ、ちょっと風紀委員の集まりが有るの、それじゃあ行くわね。バイバイ、真田くん、美幸ちゃん。」
「はい、さようなら〜」
 二人で上原さんの姿が校舎の中に消えるのを見届けると、再び歩き出した。

178 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/04/09(土) 22:16:51 ID:BrjW2kFb
「えへへ、恋人みたいだって!」
「兄妹で見られたって何も嬉しくないぞ・・・」
「え〜、何でよぉ。こんな可愛い妹のどこが不満なの?」
「後々が問題なんだよ。シスコンだのブラコンだの不名誉な称号が付くぞ。」
「そんなの気にしなければ良いんだよ。それに仲が良いのは良いことだよ。」
「仲が良いにも限度ってもんがあるんだ。特に兄弟はな。」
 その言葉を聞くといきなり美幸は黙り込んでしまった・・・
 何か気に障ることでも言ったか、俺?

 それから一言も喋らないまま歩いた。
 通学路の途中にある公園に通りかかった時
「ねぇ、コウくん。公園寄っていこう・・・」
 何か思い詰めたような面持ちで美幸が誘ってきた。
「ん?別に良いけど、何かあるのか?」
「うん、ちょっとね・・・」
 曖昧に答えたまま美幸は公園に入っていく。
 取りあえず俺はそれに着いて行くことにした。

179 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/04/09(土) 22:18:08 ID:BrjW2kFb
 美幸は手頃なベンチを見つけると腰を掛け、溜め息をした。
 俺もその隣に座る。
「なぁ、一体どうしたんだ・・・?」
「・・・・・・コウくん。コウくんは私のこと好き・・・?」
「何を言ってんだ。そんなの当たり前だろう。」
「・・・そうじゃない。その好きじゃなくて・・・」
「・・・・ユキ?」
「・・・私は好きだよ。兄妹としてじゃなくて、コウくんを男の人として見てる・・・。」
「・・・・・・」
「・・・何度も諦めようとしたよ。でもどうしても諦められなかった・・・・。」
 言葉が出なかった。
 心底驚いた。まさか美幸がそんな事を考えてるとは思ってもみなかった。
「だから・・・気付いてもらおうと何度もアタックしたよ・・・、でも気付いてくれなかった・・・。」
 美幸の口から次々と言葉が出てくる。
「もう・・・限界だよ、こんなの耐えられない!」
「どうして兄妹で好きになっちゃいけないの?!どうして・・・!」
 目からは涙が溢れてきた。
「何で兄妹として生まれて来ちゃったのかな・・・・」
「ねぇ・・・コウくんは私のことどう思ってるの・・・?答えて・・・っ!」
 俺は返答に迷った。確かに美幸のことは好きだ。
 だが、それは兄妹の範囲を超えるものでは無いのではないか?
 答えが出なかった・・・。
 だから、俺は美幸の肩に手を置き、首を横に振った・・・。
「そんな・・・・えぐっ・・・・っく・・・・・・・コウくんの・・・・ばかああああぁぁぁぁぁっ!!」
 そう叫ぶと美幸は思いっきり手を振りほどいて走り去ってしまった。

180 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/04/09(土) 22:20:13 ID:BrjW2kFb
・・・暫く動く気になれなかった。
 俺は・・・本当はどう思っているのだろう。ただの兄妹でしかないのか?
 思えば、小さな頃から常に俺と美幸は一緒だった。
 俺と一緒にいると、美幸は本当に楽しそうに笑ってくれるし、俺もその笑顔が好きだった。
 だから、美幸を喜ばせる為に色々なことをやってきた。
 無意識の内に美幸を喜ばせることを生きがいにしていたのかもしれない。
 それは・・・好きだということだと思う。兄妹としてではなく、本当の意味で。
 何故そんな事も気付かなかったんだろう、今更ながら馬鹿だったと思う。
 今ならまだ間に合うはずだ・・・。
 俺の本当の気持ちを伝えよう。
 そう考えると同時に俺は走り出した。

 色々な場所を探して回った。
 家にも帰ったが美幸は居なかった。
 そして、最後に思いついたのが此処だった。
 ─学校。
 日が沈みかけ、誰も居なくなった校舎を歩く。
 教室に着くと、一人寂しく椅子に座って泣いている美幸の姿を見つけた。
 呼吸を整えて教室に入る。

181 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/04/09(土) 22:23:35 ID:BrjW2kFb
「・・・・美幸。」
「・・・コウ・・く・・・ん?」
「さっきは済まなかった、気が動転しちまって・・・」
「・・・・」
「あれからよく考えたんだ、自分の気持ちを。」
「俺、真剣に自分の気持ちを考えたこと無かったんだ。」
「それで、分かったよ。俺は・・・否、俺もユキのことが好きだ。」
「コウくん・・・」
「俺はユキの笑顔が無いと駄目なんだ、ユキは俺の生きがいなんだよ。」
「・・・・本当?」
「本当さ、だから笑ってくれ。」
「うん・・・・うん・・・っ」
 ユキの目から余計に涙が溢れてきた、だけど顔は満面の笑みを浮かべていた。
「さぁ、帰ろうか・・・あ、この事は父さん達には内緒だぞ?何言われるか分からないしな。」
「うん!ありがとう・・・・大好きだよっ、コウくん!」

-----------------------------------------
え〜・・・と、お気付きかも知れないですが紛らわしくない様にコテハンとトリップ付けました。
自分ながら馬鹿な文章書いてるな〜と思っております。
ちなみに、特に「萌え」等を意識しては書いてないのでお見苦しいかも知れません。

182 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/09(土) 23:38:56 ID:7VGJmXjn
>>177GJ


ところで、


巨 人 フ ァ ン で す か ?

183 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/10(日) 13:42:41 ID:AzRQyDxW
>>171-172>>177-181 GJです!
これからもがんばってください!

184 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/04/10(日) 16:57:02 ID:lN8BLcA9
応援ありがとうございます。

>>182
どこのファンでも無いです。
強いて言えば地元である阪神ですが。
キャラの名前は中学時代の知り合いから拝借しました。

>>183
遊星さん達のような素晴らしいものは書けませんけど
神職人が不在の間、少しでも楽しめるようなものを書けるように頑張ります。

185 :182 :2005/04/10(日) 17:36:00 ID:+DZoU1wf
そうでしたか。
上原 真田と来たものですからついそうなのかと。
これからも頑張ってください。

186 :雨音は紫音の調べ ◆cXtmHcvU.. :2005/04/11(月) 00:26:41 ID:1fh0T0QE
>>二姉持ちの弟さん
GJです! Σd(>ヮ<)
すごいイイ!萌えるっス!
続きが気になります…!

187 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/04/11(月) 21:26:20 ID:wX16aF+o
時刻は七時半。場所は俺の部屋。
俺はサラのための朝食を作って、ここに戻ってきた。
「サラー。朝だぞー」
カーテンが開き、部屋中に光が満ちる。
サラは眩しそうに固く目を閉じ、寝返りをうった。
今まで暗くて分からなかったけど……寝顔も結構可愛い……。
って、見惚れている場合ではなくて……
「おーい。サラー」
俺はサラの肩を掴み、軽く揺する。
「起きろー」
「……what……?」
え、英語!?地が出たか!?
「サラ、起きろー。Wake up.」
「ん?マサト……?」
「Good morning」
「おはよう……」
ゆっくり起き上がって、眠そうに目をこするサラ。
「朝御飯できたぞー」
「うん……」
「下に行くぞ?」
「うん……」
聞いてるんだか、聞いてないんだか分からないが……
俺はそんなサラを従えて、階段を下り、ダイニングへ。

188 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/04/11(月) 21:27:05 ID:wX16aF+o
ダイニングのテーブルの上には、ご飯。味噌汁。焼き魚などなど……パーフェクトな日本の朝食だな。
「でさ……サラは今日帰るんだよね?」
俺は茶碗にご飯を盛りながら、サラに尋ねる。
「うん。今日の夕方、ママが迎えに来るの」
「よし。じゃあ、今日は遊びに行けるな……いいよね?」
「うん」
「どっか行きたいトコある?無きゃ俺が決めるけど?」
「うーん……無くはないけど……でも、マサトに任せるわ。そのほうが面白そうだから」
「そう?ま、そのほうがやりやすいけどね」
「うん。楽しみにしてるよ、マサト」
卵焼きを頬張りながら微笑むサラ。
何だか今日でお別れなんて信じられそうに無い……。
───────────────────────
「はぁ……着いた……」
俺は自転車のブレーキを握り締め、片足を地面につける。
俺はサラを後ろの荷台に座らせ、四、五十分ほど自転車を漕ぎ、とうとう目的地へと辿り着いた。
「お疲れ様、マサト」
「ああ、さすがに疲れたよ……」
「うん。ずいぶん遠くまで来たみたいだからね。さぁ、行こう?」
「ああ」
「って言っても、ここが何処なのか分からないんだけど……」
「ここ?お城だけど?」
「えっ?ここにあるの?」
「うん。ま、もう少し歩くけどね」
「へぇ……ここがお城か……。楽しみだな……」
本当に嬉しそうに辺りをキョロキョロ見回すサラ。
見たがってたもんな……お城。

189 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/04/11(月) 21:27:50 ID:wX16aF+o
「でもな、サラ。ここには、お城を見に来たわけじゃないんだ」
「え……」
「こっち来て」
俺はうなだれるサラの手を掴み、歩き出す。
このまままっすぐ行けば……
「わ……あ……」
「すごいだろ?」
辺り一面の桜の木に圧倒されているサラ。
「知ってるよな、桜?」
「う、うん……でも、こんなにキレイなんて……」
「うん。ちょうど満開だからね」
「何だか……ずっとこうして見ていたい……」
「気持ちはわかるけど、歩きながら見ていこう?そのうちもっといい景色があるかもしれないからね」
「うん……」
俺も風流な気持ちになりながら、桜の下を歩いていく。
「ねぇ、お兄ちゃん……」
「何?」
「手、繋ごう?」
「うん。いいよ」
幻想的な風景をサラと二人、歩く。
もはや言葉など無い。だが、居心地のいい沈黙だった。
「ねぇ、サラ」
「?」
「サラは今何処に住んでるの?」
「よく分からないけど……近くに角山って言う駅がある……」
「角山か……結構近いんだな」
「えっ!?近くなのっ!?」

190 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/04/11(月) 21:28:35 ID:wX16aF+o
「まぁ、俺の家の最寄り駅から電車で四、五十分ぐらいかな」
「何だ……全然近く無いね……」
「でも、来れない距離じゃない。だろ?」
「うん……」
「だからさ、また遊びに来てよ。前もって連絡くれたら、何か用意するし」
「いいの……?」
「何言ってんだよ。兄妹だろ、俺たち?」
「うん!!」
サラの笑顔。
自分ではああ言っておきながらも、この笑顔を何度見えるだろうと思うと切なくなる。
「喉も渇いたし、お茶でも飲んでいこうか?」
「うん」
「そうそう。せっかくだし、桜餅を食べなきゃね」
「サクラモチ?食べてみたい!!」
「そうそう。花見団子も忘れちゃいけないよな」
「ふむふむ……よく分からないけど、楽しみだなぁー」
……良くないな。
サラが目の前にいるのに、サラがいなくなってからのことを考えるなんて。
しばらくは、サラと一緒に楽しもう。俺も。
───────────────────────

191 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/04/11(月) 21:29:47 ID:wX16aF+o
>>184
『神職人?いやぁ、いいんだよ、クソ台本書きで』
……俺もヒビキさんみたいなカッコいい大人になりたいなぁ。

というわけで、やっとラストが見えてきた感じですな。
あと少しだ。頑張ろう。

実は影で、あることを計画中。ま、このスレには関係ないけど……けど……。

192 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/11(月) 21:33:47 ID:8AF/ePFm
リアルタイムで乙!
いや〜サラちゃんも可愛いね〜!

193 :すばる ◆9tSxotve.o :2005/04/12(火) 05:44:55 ID:BPcKadcd
今日はー 休みなのにー 目覚ましをー 消し忘れ〜
起 き た orz

>>二姉持ちの弟さん
乙ですー。
王道ストーリーですね。王道の良さがしっかり出てますです(*´Д`)

>>遊星さん
乙でーす。
相変わらずリアルの季節にあった話で素敵です。


もしかしたらこの前のPCから見れない設定になってたかも…

【夢亜(第二形態)】
http://p2.ms/ha3lk
第二形態が前の台詞集の夢の中前後で第三形態になると事故前後になりまする。

194 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/04/14(木) 21:07:20 ID:OvsBSyhB
何か本当にあっという間だった。
城の見学したり、外国人観光客と話したり、寿司食いに行ったり……。
全て終えて帰ってきたとき、丁度クミ姉ぇの車が家に来たところだった。
「お、丁度良かったみたいだな」
「……」
うつむいたまま、何も答えないサラ。
俺はそんなサラの手を掴んで……
「大丈夫。また会えるからさ」
「うん……」
「じゃ、そんな暗い顔してるんじゃねぇよ」
俺はサラの背後に回りこみ、脇腹をくすぐる。
「きゃ、お兄ちゃん!?きゃはははははっ!!」
身を捩じらせながら、サラが笑う。
「もう!!お兄ちゃん、何するのよ!!」
「よし。笑った笑った」
「え?」
「サラは笑顔が一番似合うよ」
「お兄ちゃん……」
「何度も言うが、俺たちは兄妹だ。会いたくなったらいつでも会いに来い」
「うん!!」
「あとは……ほい。俺のケータイの番号とメールアドレス。また連絡してくれ」
「うん!!」
サラが笑う。俺も微笑を返す。
そして、別れの挨拶はひと通り済んだと判断したクミ姉ぇがサラを呼び、
最後の最後がやってきた。

195 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/04/14(木) 21:08:11 ID:OvsBSyhB
「マサト」
「……!?」
反応する間もなく、サラが俺の胸に飛び込んでくる。
そして……頬にキス。
「ホントは唇にしたいんだけど……まだ我慢するわ」
「え……?」
「いい!?マサトの次の恋人には私が予約入れてるからね!!勝手に新しい恋人作っちゃダメよ!?」
「え……えぇ……?」
「返事は?」
「……はい」
「それまでは、お兄ちゃんの妹で我慢してあげるわ」
「はい……」
「よろしい♪」
満足そうに微笑み、手を振りながら車に向かっていくサラ。
そして、乗り込む手前で振り返り
「バイバイ、マサト!!大好きだよ!!」
ちょっと恥ずかしかったが、俺も笑顔で手を振り返す。
サラはまた大きく手を振り、車の中に消える。
車はすぐに動き出し、あっという間に見えなくなった。
呆然と立ち尽くす俺の隣を、一陣の風が悲鳴を上げながら通り過ぎる。
そして、どこから来たのか、俺の手のひらの上に一枚の桜が。
「そうだよな。また会えるもんな」
俺はその桜を優しく握り締め、誰もいない家のドアを開けた……
───────────────────────

196 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/04/14(木) 21:08:56 ID:OvsBSyhB
サラが帰った後、なんとなく物足りない気持ちでテレビを見ていた。
すると……
「ねぇ、兄さん」
「ん?何、未来ちゃん?」
「私が旅行に行っていた間……お友達でも来てたんですか?」
「え……?友達は来てないけど……どうした?」
「あぁ、そうですか。何でもありませんよ、お兄様」
……未来ちゃんがキレてる!?
「えっと……何かあったのか?未来……?」
「ええ、お風呂場で、こんなものを見つけまして」
そう言って、未来が取り出したのは……
サラの髪の毛……?
「あ……お兄様の枕からも同じ方の物と思われる髪の毛を見つけましたよ」
「あっ……それは……!!」
「心当たりがおありのようですね?お兄様?」
「えっと……ちょっと待て、未来!!」
「いいんですよ、言い訳なさらなくても?私は分かってますから」
「言い訳じゃないって!!それは、サラっていって……」
「へぇ……お兄様の恋人、サラさんっておっしゃるんですか」
「恋人じゃないってば!!ホント、誤解なんだって!!」
「そんなに私が邪魔ならば、遠慮なく仰ってくれればいいのに」
俯いて、ちょっと拗ねている未来。
すげぇ可愛いけど……

197 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/04/14(木) 21:09:41 ID:OvsBSyhB
今はそんなこと考えてる場合じゃない!!
「はぁ……疲れたので、私はもう寝ますね?」
「ちょっ!?未来!?晩飯は……!?」
「カップラーメンでも何でもお食べになってください」
「ちょっ!?待てって!!未来!!みくぅー!!」
俺の叫びも空しく、自分の部屋へ消えてしまう未来。
叫ぶ腹を押さえながら、やり場の無い怒りを抱く俺……。
……結局、未来の料理が食えたのは、ここから二十四時間後のことでした……。

[終わり]
───────────────────────
ま、やっと終わりなワケです。俺、ご苦労様。
一月近く書いてたわけですねぇ……。

で、結局この台本でやりたかったこと
・ツンデレっぽい娘。
・嫉妬する未来。
・限りない響鬼ネタ。

……ホント難しいな、台本書きって。

198 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/14(木) 21:59:32 ID:3BAsTLWb
遊星神乙!ってかGJ!
長きに渡って楽しませて頂いたっす〜

199 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/14(木) 22:24:14 ID:VpuAVIy6
うわ、そこで未来ちゃんスカ!
いや〜相変わらず萌え面白いっス!さすが遊星神!乙で〜す。

200 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/15(金) 21:33:40 ID:tDG2Dwpp
かなり意表をつかれましたよ!未来ちゃんでしたか!

201 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/15(金) 23:36:12 ID:zBZnli9C
GJ!
今後の未来とサラの遭遇が楽しみです。

202 :コンズ :2005/04/16(土) 03:15:10 ID:684b5Xjd
いや〜、皆さん最高です!!
自分もまさか未来タソの兄様だとわ思ってなかったっス!!
まぁ、何わともあれ乙です!!

203 :雨音は紫音の調べ ◆cXtmHcvU.. :2005/04/16(土) 19:22:45 ID:dNK5O2Gr
乙です〜GJ! 
俺も今後の展開が楽しみです〜! (≧∇≦)b

204 :コンズ :2005/04/17(日) 02:56:49 ID:3PguGlN5
漏れなら妹に『一緒に寝よ?』って言われたいなぁ………orz

205 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 1 :2005/04/17(日) 22:26:17 ID:BI16hUL8
 世界は千十一の要素で構成されている。
 それは私が生まれた刻から変わっていない。
 私が、世界が生まれたその刻から。
 私が私として存せられるのは、世界が在るから。
 私が私として存せられるには、世界が今の儘で無ければならない。
 世界が変わる刻、即ち私が変わる刻。
 何故ならば私は世界の一部。
 私と世界は不可分。
 それは『要素』を背負う『使徒』の宿命。
 私は、未だ、変わりたくない―――。


「奈菜・・・その、なんだ。 きっとすぐに帰って来るって」
 史也が私を慰める。
「・・・有り難う」
 如何にか形ばかりでも笑顔を作ろうとした・・が、無理だった。
「・・明日、また探そうぜ。 俺も手伝うからよ」
「否、お兄ちゃんは、無理をしない方が・・・・」
「何言ってんだよ。 セツも立派な家族の一員だぜ。 呑気なこと言ってらんねーよ」
「有り難う・・・・・」
「な? 今日はもう風呂入って寝ろ。 探し回って疲れたろ」
「ん・・・・分かった・・」
 俯いた儘、脱衣場の戸を潜る。
 唯惰性で衣服を脱ぎ捨てていく。
 ――今日、我が家の飼い猫のセツが、逃げた。 私はこの時間迄探し回って来たのだ。
 浴室の扉を開けてとぼとぼと浴槽迄歩く。
 蛇口を捻り、水を風呂桶に満たす。 頭から、被る。
 ――真実は違う。 切は私を狙う使徒・・恐怖に連れ去られたのだ。
 圧倒的な『強さ』に、私は動けなかった。 見す見す切を敵の手に・・・・。
「私は・・・切を、護れなかった・・・・!!」


206 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 2 :2005/04/17(日) 22:27:41 ID:BI16hUL8
 ばしゃーっ。
 二杯目の水が私を打つ。
「秋に頼まれたんだ・・・自分の代わりに切を護ってくれ、って・・・・なのに、私は・・・!!
 秋の大切な姉を・・・護れなかった・・・・!!」
 ばしゃーっ。
 もう冷たくも感じ無い。 唯液体が体を走る感覚だけ。 其れでも私は、幾度も其れを繰り返す。
 秋の、大切な、何よりも大切な、切を。 護れなかった。
 其れは私にとっての史也。
 史也を護れなかったのと、同じ。
 ばしゃーっ。
 取り戻す。 絶対に、切を―――取り戻す。


「おはよー奈菜ちゃ・・・如何したの?」
 行き成り有紗にそう尋ねられる。
「お早う・・・・何がだ?」
「だって・・今日は久々にお兄さんと一緒の登校でウキウキ奈菜ちゃんかと思ったら・・どんより奈菜ちゃん?」
「あー、あのね、有紗ちゃん・・・・実は、さ」
 史也が私に代わって答えようとするが・・チャイム。
「ありゃ、遅刻しちゃうね・・・後で、お願いします」
「うん、じゃあ後で」
 史也が自分の教室に歩き出す。
「それじゃ・・・行こ、奈菜ちゃん」
「ん・・・」

 一時間目、二時間目、三時間目、四時間目。
 授業を聞く気にも成れず、唯ぼんやりと外を眺める。
 そう言えば・・あいつ等と初めて出会ったのは授業中だったな・・・。
「奈菜ちゃん・・」
 躊躇いがちな有紗の声。 振り向くと、私の席の直ぐ其処に立って居た。

207 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 3 :2005/04/17(日) 22:30:02 ID:BI16hUL8
「お昼休み、だよ」
 教室の正面の時計を見る。 確かに、昼休みの時間だった。
「休み時間にも声掛けたけど・・・上の空だったから・・・・」
「・・・そうだったか。 済まない」
「ううん、いいの。 でも、よっぽど思い詰めてるんだね・・・にゃんこちゃん、えと、セツちゃんのこと」
「ん・・? 何故其れを?」
「俺も居るって」
 有紗の後ろから聞き慣れた声・・史也だ。
「気付いてなかったか?」
「嗚呼・・・・」
「マジで重症だな、こりゃ・・有紗ちゃんには俺から話しといた」
「うん・・あのね、わたしも放課後手伝うから」
「あ・・否、有紗に迄、迷惑は・・」
「迷惑じゃないよ! 奈菜ちゃんがそんなののままだったら、心配でそっちのが迷惑だよ・・・」
「ほら、俺はこれだからさ」
 ギプスを指す。
「悪いとは思うけど、俺の低下した分の戦力になって貰おうと思ってな。 俺から頼んだんだ」
「頼まれなくてもやるつもりだったよ。 奈菜ちゃんの大切な家族だもん」
「有紗・・・うん、有り難う。 宜しく頼む」
「んじゃ・・飯食おうぜ。 腹が減っては戦も午睡も出来ねーからな」
「・・寝る気か」
「怪我人は良く寝るのが大切なんだよ」
「そーですよぉ。 今晩はセツちゃんが見付かるまで寝ないで探しますからね〜。 奈菜ちゃんも今のうちに寝た方がいいかもよ?」
「ふ・・そうだな。 寝るなら今の内かも知れん」
「じゃ、わたしも寝ないとねーっ。 何か三人でお泊り会でもするみたいだねっ」
「おいおい、そうなってもどうせ俺は除け者だろ? 女の子二人で盛り上がってさ」
「あはは、お兄さんも一緒に盛り上がりましょーよ」
 有紗と史也が無理に明るく振舞う。 きっと、私の為に。
「・・・・有り難う、有紗、お兄ちゃん」



208 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 4 :2005/04/17(日) 22:31:42 ID:BI16hUL8

「奈菜ちゃん、次は歴史だよ。 移動、移動」
 有紗の声に目を覚ます。
「ん・・・有り難う」
「は〜、ホントに寝たんだ、奈菜ちゃん」
「嗚呼。 今日は徹夜する覚悟だからな」
「そかそか。 うん、わたしも次は寝るよ。 くまちゃんせんせー寝放題だからね」
「・・・・最前列だろう、有紗は確か」
「うん。 寝放題だから」
 道具を持ち、廊下を歩きながら話す。
「でも奈菜ちゃんも佐々木せんせーの授業で寝るなんていい度胸だねー。 殴られるよ?」
「教師が無闇に暴力を振るうか」
「いやま、そりゃ滅多には殴んないけどさぁ。 怒ると怖いでしょ、佐々木せんせー」
 階段を登り切る。 廊下を左へ曲がろうとした時―――。
「ねぇ、そこのキミ達」
 透き通る声が、私達を呼び止めた。
「そう、キミ達。 ここの生徒でしょ?」
 銀髪が揺れる。
「当然だ」
「よかった。 ボクは方向音痴でね。 こんな所まで迷い込んじゃってさ」
「あれ、でもウチの制服着てますね。 転校生さんですか?」
「うん。 明後日からなんだ。 先生にちょっと顔を見せに来たんだけど、職員室って何処かな?」
「は〜、本気で音痴さん・・? 一階だよ?」
「あれ、ここって・・・」
「三階だ」
「・・・・あはははは、日本の建物はよく分からないね」
「それ以前じゃないかなぁ・・」
「えーと、出来れば案内してくれないかな?」
「しょうがないなぁ。 奈菜ちゃん、先行ってて」
 と、授業で使う道具を渡される。


209 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 5 :2005/04/17(日) 22:33:10 ID:BI16hUL8
「あ、出来ればそっちのコに案内されたいかな」
「・・・・なんで?」
「ん〜、ボクの好みだから」
「絶っっっっ対に!!! 駄目!!!!」
 有紗が大声を出す。 ・・・何故有紗が返事をするんだ?
「つれないなぁ。 ボクは唯、案内してもらいたいだけなのに」
「奈菜ちゃん!! コイツの半径250メートル以内に近寄っちゃ駄目だよ!! 犯されるから!!」
「有紗・・・落ち着け」
「落ち着けない!! 危険!! コイツはデンジャーよ!!」
「ふふふ、愉快なお友達だね、奈菜」
「呼び捨てにするな! 穢れる!!」
「あはははは・・・・『屋上で待ってるから後で来て、七十七番目』」
「!! ・・・・『貴様、使徒か』」
「『まぁ、そう云う事』。 それじゃ、自力で探してみるよ」
 と言って、階段を下りて行く。
「・・・・・」
 アイツは、一体・・・。
「・・・・どっか行ったね。 ふう、一安心だ」
「・・・御苦労様」
「なんのなんの、コレも愛しの奈菜ちゃんの貞操を護るためですから。 ってか奈菜ちゃんすごいね。 ドイツ語でしょ、今の」
「あ・・何て言ってたか、聞き取れたのか?」
「んーん、ドイツ語だってのは分かったけど、速いからサッパリ。 ・・・・なんかヒワイな事でも言われたの?」
「否、唯の挨拶だ」
「ふーん・・・・あ、時間がピムチ。 早く行こ」
「有紗、私は保健室に行く」
「えええぇぇぇっっ!!? 具合悪いの?! 大丈夫なの?!!」
「否、ベッドで寝たいだけだ」
「へ・・・? あ、そ、そお? じゃ、わたしも行こうかな」
「ベッド、一つしか無いぞ」
「一緒に寝ればいいよ」


210 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 6 :2005/04/17(日) 22:34:33 ID:BI16hUL8
「今度にしてくれ」
「ん〜、まぁ真面目な奈菜ちゃんは授業中に居眠りなんかした事ないだろーからね。 机じゃ熟睡出来ないか〜。
 分かったよ。 丁度吉川先生もお休みだしね。 今なら寝れるんじゃないかな」
「其れじゃあ、済まないが宜しく頼む」
「任せろ! あ、奈菜ちゃん!」
 階段を下りようとしていた私に声を掛ける。
「何だ?」
「あのヘンタイには気を付けてね!」
「・・・・分かった」

「やぁ、待ってたよ奈菜」
 屋上の手摺りに背中と肘を乗せ、此方を見る。
「キミの事は知ってる。 けれどボクの事は知らないよね? ウィル・フロイライン。 半分がドイツで日本とイギリスが四分の一ずつ」
 銀髪を摘んでみせる。
「ご覧の通り、ね」
「・・・用件は何だ」
「せっかちだね。 キミの友達の件さ。 猫のね」
「切か!? 切は今、何処に居る!?」
「まぁ、待ってよ。 もう一人呼んであるから」
「もう一人・・・?」
 ぶわっ――。
 一陣の風、降り立つ少女と、青年。
「つれてきたよー」
「御苦労様、マイ」
「んーん、このくらいなんでもないよー」
「んじゃ、先に帰ってて。 お土産にケーキでも買ってくから」
「うんっ。 じゃ、またねー」
 あっと言う間に少女が飛び立ち―――すぐに見えなく成った。
「・・・・・奈菜」
 後に残されたのは、私と、ウィルと、青年――秋だけ。

211 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 7 :2005/04/17(日) 22:35:59 ID:BI16hUL8
「秋・・・済まない、私は・・」
「いや・・・いい。 詳しく聞いてる。 姉さんは、アイツに屈したみたいだね」
「そう、八百四番目・・・切は、恐怖に屈した。 負けた訳でも、『殺された』訳でもなく、ね」
「如何云う意味だ」
「そのまま。 心が屈したって事だから、自分から帰ってくる事は無いだろうね」
「寧ろ・・・敵対するかもね、そっちと」
 秋がウィルにそう云う。
「はは、多分そうだろうね。 でも、彼女の事だ、奈菜辺りを襲わせるんじゃないかな? 奈菜は、『血印』だから」
「『血印』・・・?」
「『世界の変容』其の物とも言える、要素の意味の変化。 キミの事さ」
「『世界の、変容』・・・奴も、そんな事を言って居た。 『世界の変容』とは、何だ?」
「停滞したものは存在しているとは言えない。 変わり続ける事こそが『永遠』だ・・・ってね。
 世界は永遠でなければならないのさ。 だから、変わろうとしている・・・『世界』がね」
「・・・・・はっきりと言え」
「はは、そのままだよ。 どんなものでも変わらずに在り続ける事は出来ない。 それは『世界』も同じ。
 奈菜、キミは変わるべき『世界』なんだよ」
「詰まり・・・今の姉さんにとって奈菜は敵其の物なんだよ。
 姉さんは・・・・変わりたくないみたいだから・・・・」
「・・・・・・・」
「さて、それは兎も角。 彼女の居場所なんだけど―――」


 波音が無機質な壁に響く。
 唯一定の間隔に並べられた倉庫達は、返って乱立と云う言葉を思い起こさせる。
 電車で30分程の寂れた港町に着く頃には、辺りは夕日に染まり始めていた。。
「奈菜、僕は向こうから見て回る」
「嗚呼、此方は任せろ」
 一つ一つの倉庫を見て行く。 非効率的だが、どの倉庫か分からない以上之しかない。
 扉を開け中を覗き、奥を窺う。 何度と無く其れを繰り返して行く。
 さして多くは無い倉庫だが、一つ一つ奥まで見て行く内に段々と暗く成っていく。

212 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 8 :2005/04/17(日) 22:37:41 ID:BI16hUL8
 潮風にくすんだ赤い屋根の倉庫。 私が受け持った方の最後の倉庫。
 錆付いた扉を押すと、ぎきぃ・・・と不快な音が響いた。
 高い位置の窓から辛うじて射す月光。 物音無く、鉄錆の臭いが鼻を突いた。
 暗くて判別出来ない資材の中を進む。 かつん、かつん――自分の足音のみ響く。
 と、空間に出る。
 資材達が意図的か偶然か除けられ、丁度月明かりが其処を射す。
 蒼い闇の中、宛ら其の光景は深海に射した光の様だった。
 之以上は進めそうも無い。
 踵を返そうとして―――見付けた。
「・・・・・・・切、か?」
 資材の上に、小さな影。 のっそりと怠惰に反応し、此方に動き出す。
 徐々に月影に現れた姿は、紛れも無く切だった。
「切、無事・・だったか?」
 答えない。
 唯、瞳は、連れ去られた時と同く、虚ろに輝いて居た。
「切・・・・」
「・・・・・七十七・・」
 やっと発せられた言葉。
「・・・何だ?」
「貴方は・・・私の、敵なのね・・」
「私が、敵?」
「そう・・・私から私の全てを奪う・・敵」
「私はそんな事をする心算は無い」
「貴方にその気が在ろうと無かろうと・・・・事実として、貴方は私から奪う・・」
「私が・・・お前の、何を奪う?」
「私の全て・・・私にとっての全て。 何に代えられる事は無く、二度と手に入れる事も出来ない、私の全て」
「奪わない・・・奪うものか。 私にだって、其れ位大切なものが在るんだ」
「でも、貴方は奪ったじゃない。 『恐怖』から、半身を」
「・・・・・其れは・・」
 す――猫独特の無音の動きで、床に降り立つ。

213 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 9 :2005/04/17(日) 22:39:19 ID:BI16hUL8
「貴方が齎(もたら)す変化は、私から其れを奪う。 屹度(きっと)・・・私の全てを、奪う」
「・・・・何故、そう言い切れる?」
「現に貴方は奪っているじゃない・・・『恐怖』から」
「切の大切なものが、『恐怖』の其れと同じとは・・・限らないだろう」
「同じよ。 私に取って半身も同じ。 幾数千、幾数万の時を共にした、私の半身・・・・」
 其の表情は窺い知れない。
「私は護る・・私の全ての為に。 私と私の全てが、何時までも共に居られる用に・・『変容』など、不要」
「私は・・・」
「貴方が如何考えて如何行動しようと、結果として貴方は『変容』を齎す。 だから―――」
 ひゅっ――。
 極々小さく風が鳴き、私の頬に一筋の線。 遅れて、血。
「此処で、死んで頂戴」
 見据えた其の瞳には、暗い決意。
「・・・・・本気か」
「勿論」
 私との距離を保ちながら、ゆっくりと、ゆっくりと歩き出す。
「・・・・・・・・出ろ!」
 私の声と共に大鎌は現れ、確かな質量を持つ。
 同時、駆け出して来た切の爪を鎌に止める。
 其の儘鎌を跳び、私の真上に躍る。
 横方向へ回避。
 着地から間髪置かず私への追撃。
 低く跳び上がった其の一撃を、更に身を低くしてかわす。
 三角跳びに又も私への追撃を繰り出す。
 この角度では、回避は――!
 ならば攻撃に因って止めるしかな無い。
 体が反転するように鎌を振るう。
 柄の軌道は確かに切を捉えていたが、猫独特の柔軟な動きで衝撃を完全に殺し、少し離れた場所へ着地した。
 す――がたん。
 周りの資材が騒ぎ出す。 切の攻撃に因り『切』られた鉄材等が、間を置いて崩れ始めたのだ。


214 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 10 :2005/04/17(日) 22:41:30 ID:BI16hUL8
 がたん、がっ、ず・・・・。
 ほんの少しの間、騒音が倉庫に響き・・・静寂。
 私と切の視線はぶつかった儘。
 かたん、かたん・・・鉄片がゆっくりと資材の上を転がる。
 かたん、かたん・・・・・かーん――床に落ちた鉄片が甲高い音を響かせ、同時、切と私が動き出す。
 私との距離をぎりぎりに詰め、跳躍。
 零に近い距離の其れを、刃の横腹で受ける。
 瞬間的に切の質量が増し、私は受けた姿勢の儘数メートル吹き飛ばされた。
 ・・・・風を使ったか。
 微かな流れだった空気に、静かに、だが確実に意図的な流れが出来ていた。
「切り刻む・・・貴方を・・私から私の全てを奪う、私の敵全てを」
 切の周りに風溜まりが出来る。
 空気と空気の圧力差に因って、『切る』。 鎌鼬所では無いだろう。
「私と、あの子の為に・・・私とあの子が、ずっとずっと共に居られる様に・・『変容』、貴方を『殺す』。
 ずっとずっと、今迄と同じ様に・・・私とあの子が居られる様に・・・今迄と同じで居られる様に・・・」
「『変容』・・・其れは一体何々だ? 私にも止められない事なのか? お前達を犠牲にしなければ為し得ない事なのか?」
「貴方の要素に刻まれた変わる運命。 存在を始めた其の時から、貴方は変わる宿命。 絶対に不可避」
「・・・・・・」
「如何して数ある獣の中で、『人』だけが始原として在るか、分かる?」
「ヒトは・・・唯一心を持つ存在だから・・・」
「『変容』、其れはヒトの齎すもの。 ヒトが使徒に齎す・・・・災いよ」
「災い・・・」
「そう。 私から全てを奪う、災いよ」
 徐々に徐々に、切の風溜まりが大きさを増す。
「使徒に、心なんて要らない。 必要なのは、己の司るものを司る使命だけ・・・七十七、貴方はヒトに感化され過ぎた。 心を求めた。
 使徒を別のものに変え・・そして世界を変える。 私達を巻き込んで。 私からあの子を、奪う・・・!」
 ぶわっ―――風の塊が、私を撃つ。
 切の『切る』と云う意思其の物が私を包む。 其れに負けない為には、私も意志を強く持つしかない。
「―――くっ!!」
 私の衣服が切り刻まれ、幾筋もの傷が体に刻まれる。


215 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 11 :2005/04/17(日) 22:43:18 ID:BI16hUL8
「私は、死ぬ訳にはいかない!!」
 大鎌を振るい――風を断った。
「――!! 風を切るなんて・・・其処まで『強い』のね、貴方は・・・・」
 再度風を纏い出す・・・。
「だからこそ危険なの・・・貴方の『強さ』は、『世界』への影響力其の物。 此処で、死んで・・・!!」
 駆け出す。 先程迄と違うのは、全身に纏った風と言う名の凶器。
 無尽に駆け、私を徐々に切り刻む。
 一気に切られないのは私の意志が其れを抑えて居るからだ。
「切・・・! 何故『変容』を恐れる! お前が恐れるものなど、何も無い!!」
「嘘――!! 貴方は奪った!!」
「其れは奴が私から奪おうとしたからだ!! 『世界』が変わったって・・・お前らが離れる理由なんか無い!!」
「私は・・私は・・!! 私とあの子の繋がりなんて、使徒としての繋がりしかない!! 使徒で無く成れば・・・私達は・・!!」
 切の軌道が終に私自身に向かう。
 正面から、私に・・・来る!
 身構え様とした時――私の背面から軋む鉄の音。
 切の度重なる攻撃に因って崩れ掛かった鉄材の山―――!!!
 私の体に切が届くのと、鉄材が崩れたのは、どちらが先だったか・・・・・。


 走って居た方向から突然の騒音。
 青年は其の音に立ち止まる事無く、更に速度を上げた。
 一番東端の赤い屋根。 音のした其処へ全速力の儘駆け込む。
「姉さん!! 奈菜!!」
 未だ音が響く倉庫に青年、秋の声が其の音の上に響いた。
 返事は無いが、此処しか在り得ない。 暗い倉庫を月明かりを頼りに進む。
 奥の広がりの一角・・崩れた鉄材の山。
 其処に―――。
「奈菜!?」
 見知った人影。
「・・・・・秋、か・・」

216 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 12 :2005/04/17(日) 22:44:46 ID:BI16hUL8
「奈菜、大丈夫なの?!」
「未だ・・・生きては居る・・」
 駆け寄り覗くと、鉄材を大鎌で支え如何にか空間を確保していた。
「僕が支えるから、早く!!」
「分かった・・・・」
 転がる様に這い出て、奈菜は別の鉄材を背にして座り込む。
 意識が向かなくなった大鎌が消え、秋の手からも離れた鉄材がもう一度騒音を立てて崩れた。
「如何して・・・」
 奈菜の腹部の辺り・・・血塗れの猫が声を出した。
「如何して私を助けたの・・・?!」
「言っただろう・・・私にも大切なものがあるって・・・私だって、好き好んで誰かの其れを、奪ったりはしないし・・私が護れるなら、護る・・・」
 其の血は、奈菜の血。
「な、奈菜、その傷・・・!!」
 秋が言葉を失う。
 如何見ても其れは、死に至る傷。
「奈菜! 血は止められないのか?!」
「・・いくら『血』だからと言って・・・そんな事は出来ない・・ふ、血流は止められても、傷口が塞げ無くては、な・・・」
「な、何でもいい! このままじゃ出血多量で死んじゃうよ!」
「ふう・・・済まんが、意識が霞んで来た・・・・其れも出来ない・・様だ・・・・」
「奈菜、奈菜!?」
「・・・・切・・」
「な、何・・・!?」
「切、お前の大切な・・秋・・・秋に取っても、お前は大切なヒトだ・・」
「・・・・」
「そうだろう、秋・・」
「あ、ああ・・・・」
「互いに想い合って・・何を恐れる? 何が変わったって・・・今の其の想い・・変わらないだろう?
 秋を・・・自分を・・・・信じろ。 何を疑っても、秋を信じて・・・そうすれば・・」
「奈菜・・・・」
「でも・・・私は、使徒なのよ・・!! ヒトには、成れない・・!!」

217 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 13 :2005/04/17(日) 22:46:40 ID:BI16hUL8
「ふ・・・切、お前は、ヒトだ・・お前の秋を想う・・心・・確かに、お前は、心が在る。 お前は・・ヒトだ・・・・・・」
 段々と言葉の力が弱まって行く。
「奈菜!!」
「済まん・・・私は、此処迄・・・の様、だ・・・・。 史也を・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「な・・・奈菜!!」
 瞳が閉じて、奈菜は沈黙した。
「奈菜・・・そんな・・・私、私・・・・私は・・」
 唐突に気付く。 自分は、史也の大切なものを、奪ったのだと。
「・・・私・・・私が・・奪った・・・・駄目、駄目、駄目っ・・!!」
 強烈な自責の念が切を襲う。
「こん・・な・・・!! 奈菜、死んじゃ駄目!! 死んじゃ、駄目ぇ!!!」
 泣き叫ぶ切。
「姉さん・・・!! 泣くのは何時だって出来る!! 僕は救急車を呼んで来るから!!」
「駄目・・・・駄目・・・・こんな、こんな・・・っっ!!」
「姉さん!!」
「駄目・・・死なせない!! 私の命に換えても・・・奈菜、貴方は―――!!!」
 体が熱く成る。
 切の体に新たな流れが生じる。
 風が騒ぐ―――。
「姉さん―――!?」
 世界が、変わる―――。


「・・・・・私は・・・生きて・・」
 意識が蘇る。
「・・・はは、当たり前か。 私は使徒なのだからな・・・私自身、『血』が死んだ訳じゃ無い・・」
 体を起こす。 ―――体?
「や、起きた?」
 聞き覚えの在る声。 ・・・秋だ。
「秋・・・!? わ、私は―――!?」

218 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 14 :2005/04/17(日) 22:48:13 ID:BI16hUL8
「生きてるよ。 太刀川奈菜として、ね」
「な、何故・・・」
「戻し切りって知ってるかな。 達人の刀と達人の腕があるとね、切ったものがまたくっ付くんだ。
 元々姉さんの『切』は其れに近い現象だったんだけどね。 分かれた分子と分子を再結合したんだよ」
「切に・・・そんな事が出来たのか?」
「いや、出来なかったよ。 姉さんも・・・見付けたんだ」
「何を・・?」
「切れたものは又くっ付けられる、ってね。 『切』の新しい一面・・新しい意味を、ね」
「そうか・・・切も、見付けたんだな・・」
 意味を見付けた・・きっと、何か大きなものを掴んだんだろう。
「切は?」
「ん・・自分の限界以上の干渉をした所為かな。 ・・猫の体は、死んだよ」
「・・!」
「今は、取り敢えず僕の中に居る。 色々考えたい事が在るんだって」
「そうか・・」
「伝言。 本当に御免なさい、って」
「なら伝えてくれ。 何も気にする事は無い、と」
「うん。 有り難う」
「・・そうだ、此処は?」
「病院だよ。 僕が入院してて、奈菜のお兄さんが入院してた」
「史也・・お兄ちゃん達には・・・」
「連絡したよ。 ただ、事前に口裏合わせとく必要があったからついさっきだけど。 すぐに来ると思うよ」
「そうか・・・心配掛けたろうな。 ふう・・・有紗辺りに言い訳するのが大変そうだ」
「あはは・・それだけ思われてるんだよ。 幸せ者だね」
「嗚呼・・・・私は幸せ者だ。 お兄ちゃん、有紗、秋、切・・・皆が私を支えてくれる。 家族として、親友として」
「僕と、姉さんも?」
「嗚呼。 二人は私の親友だ」
「・・・はは、姉さん泣いちゃった。 意外と泣き虫なんだなぁ」
「何だ知らなかったのか。 切はか弱いんだ。 お前が支えてやるんだ」
 秋の苦笑い。 しかし何処か嬉しそうだ。 大丈夫、この二人なら―――。

219 :月影に踊る血印の使徒:第四夜 エピローグ :2005/04/17(日) 22:49:47 ID:BI16hUL8
 日野瀬秋がこの病院に入院したのは三年前に成る。
 修学旅行の新幹線、脱線事故。 数百の命が消えた中、辛うじて其の生命を留めたのは、僅かに二人。
 日野瀬秋と、日野瀬五十鈴。
 二人は親戚として幼い頃からの交流が在った。
 強気な五十鈴に従う秋。 しかし五十鈴が何時も前に前にと出られたのは、何時もどんな時でも従ってくれる秋が居たからだった。
 二人が惹かれ合ったのは自然な流れだった。
 其の二人を引き裂いた事故。
 まるで何時も通りに一緒で在るかの様に・・二人は揃って植物状態に成った。
 先に目を覚ましたのは、秋。
 体に刻まれた記憶は、断の使徒としての秋の胸も強く締め付けた。
 そして、秋の目覚めから数日後―――。 

「ほら、姉さん・・・もういいだろ?」
 自分の中の『切』に話し掛ける。
「一杯悩んで、一杯考えて・・答え、出したんだろ? 後は、勇気を出すだけだよ」
 そっと姉の背中を押す。
 優しい風が二人限りの病室に流れ、ベッドの上の女性を包む。
 ―――女性が、三年振りに瞳を開く。
「あ・・秋・・・・」
「・・・お早う、姉さん」
 三年前と同じ様に、秋は五十鈴に笑い掛けた。
 切を、五十鈴の記憶が駆け巡る。
 そして、自分の想いと重なる。
「秋・・・秋・・!!」
 涙が止まらない。 又会えて嬉しい。 迷惑掛けて済まない。 支えてくれて有り難う。 ―――貴方が愛しい。 想いが止まらない。
「秋・・・っ!!」
 抱き締めて、唯々涙を流す。
「大好き・・・大好き・・・・・ずっと、ずっと一緒に、居て・・・!!」
「うん・・・僕は、ずっと姉さんと一緒だよ・・」
 唇が重なり―――風は、幸せを謳って居た。

220 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/17(日) 22:54:23 ID:BI16hUL8
姉スレに貼れ。
月影に踊る血印の使徒 第四夜 >>205-219
律儀に一話15レス450行でやるもんだから・・・
たいへん だ! レスすう より ようりょう の ほうが おおきい ぞ!

ってかよ、終わんないです。
あと2,3話は掛かる・・・。 が、がんがります。
多分次回あたりから伏線の回収が始まります。
名作の余韻をぶった切って・・・お邪魔しました。

221 :なぜなに月下:よんにちめ :2005/04/17(日) 22:56:16 ID:BI16hUL8
「有紗とぉ〜」
「五十鈴の」
「なぜなに月下〜ってうわぁ〜?!」
「・・・・何よ」
「にゃ、にゃんこちゃんが人間形態にビルドアップしてる?!」
「・・・何よ・・それより始めましょう」
「あ、う、うん、そだね・・今日のテーマは?」
「名前ね」
「名前? 切とか、断とか?」
「其れは要素の、引いては使徒自身の名前ね。 此処では人間としての名前。 奈菜や秋」
「あーそれね。 なんか二つも名前あってごっちゃになんない? 使徒同士なら使徒の名前だけで呼び合えばいいんじゃないの?」
「其れはとても失礼なの」
「失礼?」
「そう。 名前が在るのは基本的に人間だけ。 それを無視するなんて、その寄り代を蔑ろにする事になる。 何番目、とか言うのもね」
「はー、なるほどねー」
「おい、其処の女・・って呼ばれれば誰でも少しは頭に来るでしょう?」
「そうだねー。 つまり使徒にとって寄り代ってのは大事なんだねー」
「借り物だもの」
「うん、今日は使徒の考え方が少し分かった! それじゃまた・・・ってそーだ!」
「・・・何よ」
「前回休んだでしょ、にゃんこちゃん。 だからマタタビの刑」
「・・・マタタビって・・私はもう猫じゃ・・」
「そりゃー、くらえー」
「にゃっ?! にゃうっ、にゃーっ・・・・・はっ!」
「・・・・・にゃう・・?」
「う・・つい・・・・」
「何か・・・ひょっとして・・・・萌え?」
「う、五月蝿いわね、終わりよ、今日は!!」
「ね、ね、このネコミミカチューシャを・・・」
「今日は終わりよ!!!」

222 :雨音は紫音の調べ ◆cXtmHcvU.. :2005/04/18(月) 01:53:57 ID:YZNNUtEp
GJ!すっげー!素晴らしい! (≧∇≦)b
バトルカッコイイ!
姉と弟…!感動! 。・゚・(ノД`)・゚・。

ネコ耳カチューシャ… (*´Д`)ハァハァ



223 :コンズ :2005/04/18(月) 11:49:41 ID:CBqWVbI9
乙華麗様です!!
普通に真剣に呼んでました。そして、姉と弟(´Д`)ハァハァ
次回も楽しみにしておりますゾ!!

224 :コンズ :2005/04/21(木) 00:19:29 ID:y6MRr5It
どなたか投下お願いしますっ!!このままでわ………



















バタッ

225 :すばる ◆9tSxotve.o :2005/04/21(木) 19:35:04 ID:aofNaFKO
なむなむ(´・人・`)

最近萌え話・妹出てくるもの書いてないです(ノд`)

226 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/21(木) 20:07:34 ID:kOvCuYgC
私も。

227 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/04/21(木) 21:12:47 ID:pyi/bCeT
 あれから一週間。
 コウくんは何事も無かったかのように振る舞っている。
 もしかしたらそれはコウくんなりの配慮なのかもしれない。
 第一、赤ちゃんの時から一緒に暮らしている私達兄妹には
 お互いの想いが伝わったところで特別に振る舞う必要は無いんだと思う。
 それに、そのおかげで何気なく接することが出来るから気が楽だ。
「・・・〜ぃ、ユキ〜起きてるか〜?」
「・・・・え?あ、ごめん。ボーっとしてた。」
「なんか最近そればっかりだなぁ、しっかりしろよ。」
「うん、大丈夫だから。」
 いけないいけない、考え事が多いせいかボーっとしてるように見えるらしい。
「えっと、お風呂入ってくるね。」
「おぅよ。」
「・・・・・一緒に入らない?」
「っ?!ちょ、ちょっと待て!それはっ」
「じょ、冗談だよ、じゃあ入ってくるねっ!」
「お、おぅ・・・」
 無意識の内に大胆なことを言っちゃった・・・・。
 今になってから顔が熱い。
 ふふ、それにしてもコウくんの慌てっぷり・・・
 面白くて吹き出しそうだけど我慢我慢。


228 :二姉持ちの弟 ◆NzGZTaJDAM :2005/04/21(木) 21:15:26 ID:pyi/bCeT
 シャワーを浴び、体を洗う。
 体を洗い終えると湯船に浸かり、考え事に耽る。
 周りを気にしなくて良い分考え事がはかどる。
 ・・・・
 特別な振る舞いをしなくても良いのは楽だけど
 やっぱり何も変化が無いというのもつまらないし・・・
 何かコウくんをびっくりさせられるような事はないかなぁ
 ・・・そうだ、コスプレをするって言うのはどうだろう。
 友達によると、男の人はメイドさんや巫女さんに目がないらしい
 その格好をすればきっとコウくんも・・・・・・
「ユキ〜、タオルここに置いておくからな。」
「っわぁ!・・・・あ、うん。わかったぁ。」
「何驚いてるんだよ。」
「ううん、何でもないよ。」
「全く、変なヤツだなぁ。」
「もぉ〜、コウくん!」
「はいはい、失礼しやした〜。」
 ふぅ〜、びっくりした。
 全然気付いてなかったよ
 一体私がびっくりしてどうするんだ・・・。
 う〜ん、どうしようかなぁ。
 でも、善は急げって言うよね・・・
 よぉし、決めた!コスプレをしてコウくんをびっくりさせてやるぞぉ!
 そんな決意を胸に私はお風呂から出た。

---------------------------------------
投下して良いレベルなのかと迷いましたが投下することにしました。
今回は妹視点で書いてます。
展開が無茶苦茶ですが暇つぶしになれば幸いです。

229 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/22(金) 00:27:29 ID:0OvjfHNR
巫女さんでお願いします

230 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/22(金) 08:53:38 ID:vMg5zshI
↑ワロス

頑張ってくれ
十分イケてるから

231 :コンズ :2005/04/22(金) 11:53:01 ID:nS5tt6+y
二姉持ちの弟すゎん、乙です!!さぁ〜、一体何のコスプレをするのでしょうか?次回作も期待して折ります!!

232 :雨音は紫音の調べ ◆cXtmHcvU.. :2005/04/23(土) 01:30:00 ID:J7isavrN
GJです! (≧∇≦)b
コスプレがすごく楽しみです〜!!

233 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/23(土) 03:21:45 ID:NvxdCejB
ツボった!!
続きに期待(゚∀゚)

234 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/26(火) 19:23:19 ID:lXBPn57j
ω・`)ダレモイナイ…

235 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/27(水) 00:27:08 ID:6/WowKhM
ここは心のオアシス

236 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/27(水) 21:42:18 ID:tMFY60ck
TOR秘奥義風に。


「行くよ、姉さん!」
「私の『切』と!」
「僕の『断』!」
「重ね合わせて!」
「全てを断ち切る刃と成す!!」
「「奥義!! 風刃剣<<ゴッドブレス>>!!!!」」

勝利メッセージ
「僕と姉さんに掛かれば」
「この世界に、断ち切れないものなど無いわ!」



まぁアレだ、保守です。
所詮テイルズ厨ですから。
風刃剣と書いてゴッドブレス。
刃と神が掛かってるのがポイント・・・?

237 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/30(土) 00:59:14 ID:OR0aE8oY
姉スレで偶然遊星さんを見かけ、「オレは姉でもイケるかも」と感じた。
しかし妹には敵わないはずだ!とにかく誰か書いて下さいお願いします!!

238 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/04/30(土) 02:13:06 ID:+slL1Dyc
「お兄ちゃん、キスってどんな味するか知ってる?」
「ああ? 知らねーよ」
「した事ないんだ」
「おめーはどーなんだ」
「えへへ・・私も。 だから知りたいの。 ね、してみよっか?」
「はぁ? しねーよ」
「えぇ? しよーよぉ」
「誰がおめーとするか」
「ひっどーい。 私の何が不満なのよ?」
「全部だ、全部。 遅いからもう寝ろ」
「ちょっとぉ、誤魔化さないでよ〜」
「おめーが寝ねーなら、俺が寝る。 オヤスミ」
「ああ、ちょっとぉ〜、待ちなよ〜」


数時間後・・・。
ベッドで眠り込んだ兄と、その前に立つ妹。
「くふふ・・駄目だなぁ、お兄ちゃんは。
 ちゃんと寝る時は鍵を掛けとかないと・・・こうなっちゃうんだからっ♪」


妹はキスの味を知りました。
――――――――――――――――――――――――――――――
誰でも良いって感じの事言ったから即興で書いた。
思い付けば何でも良かった。
反省はしていない。

239 :すばる ◆9tSxotve.o :2005/04/30(土) 03:00:38 ID:2SV7BT0a
↑の続きを勝手な……止めた。
人の作品に手を出すのはイクナイな。うん。

GJですー。

240 :すばる ◆9tSxotve.o :2005/04/30(土) 03:01:54 ID:2SV7BT0a
誤字 orz
× 勝手な
〇 勝手に

241 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/04/30(土) 07:05:56 ID:WxO5BCjD
>>237
でも、姉スレでは俺は放置されてますから!
残念!!っと。……コレは古いな、もう。

>>238
(・∀・)イイ!!ねぇ。
次回も期待してるよ。

242 :すばる ◆9tSxotve.o :2005/04/30(土) 14:13:49 ID:2SV7BT0a
「…てよ……」
「……………」
「………起きろっっ!バカ兄貴ィ〜!!」
「ぉうわあっっっ!!何だ…お前か」
「何だよー、せーっかく起こしてあげたのにぃ」
「って何でお前が俺のベッドで寝てんだよっ!?」
「えー?だって昨日寝るの遅かったから寝坊しないように…」
「お前なぁ〜…そう言っていっつも俺より早く起きてるぞ?」
「あれだけ目覚ましが鳴って起きないのは兄貴だけだよっ」
「目覚ましで起きれるなら自分の部屋で寝ろっ、毎回起こされる俺の身にもなってみろよ…」
「この幸せ者〜♪」
「どう考えたら幸せなんだよ!?」

243 :すばる ◆9tSxotve.o :2005/04/30(土) 14:15:55 ID:2SV7BT0a
「へっ?!だ…だって目が覚めた時傍らにこんな可愛い妹が居るんだよっ///」
「いや、恥ずかしいなら言わなけりゃいいじゃん……それにバカ兄貴なんて叫ばれて幸せな訳ないだろ」
「じゃあ今度から『おにいちゃん♥』にするぅっ?」
「勘弁して下さい……」

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ちょっとふざけただけですorz

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0ch BBS 2004-10-30