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[第五弾]妹に言われたいセリフ
- 635 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/19(金) 22:30:30 ID:1Nvq5qMq
- 夏になると寂れるのは、ここの特徴みたいなモンだ。
どんな状況でも、俺だけは沸いて出るから気を抜くな。早速、始めようか。
「はぁ……」
胸を押さえて、ため息。
─今日こそ、言うんだ。お兄ちゃんに。
─チャンスは……もう、今日しかないんだから……
─勇気を出さなきゃ……
あと10秒……9……8…………0。
待ち望んでいた授業終了のチャイムが鳴りました。
時計とのにらめっこは、私の勝ちみたいです。
みんなが立ち上がり、礼をする。そして、騒がしくなる。
そんなあの人の教室を私は廊下から、こっそりと見ています。
あの人は……いました。
日直なのでしょうか……黒板を消しています。
お疲れ様です。と心の中で呼びかけます。
あの人は、思ってたよりも、几帳面みたいで……。
何度も黒板の前を往復しています。
それが意外でもあり、微笑ましくもあり……じれったくもあります。
ふと視線を落とす。
私とあの人のお弁当。
今日は一生懸命頑張ったんですよ?
最後……ですから。
そう思うと、少し悲しくなってきました……いけませんね、こんな弱気じゃ。
だって、今日は……
- 636 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/19(金) 22:31:01 ID:1Nvq5qMq
- 「ねぇ、そこのキミ」
そんなことを言う男の人の声が聞こえます。
下を向いているので分かりませんが、コレが、ナンパというものでしょうか。
頑張ってくださいね。
「ねぇ、キミだってば」
またそんな声がします。
あらら……ナンパ、失敗でしょうか……?
……?
何でしょう。
右の肩の上に何か……?
顔を上げて、右の肩を見ると……手が……。
その手の先には……知らない男の人の肩……。
私……?
「私……ですか?」
「うん。キミ、最近いつもいるよねー?カレシ待ち?」
「え……えっと……違います……」
一応……カレシ……では……ないですよね……。
え……?一応……?
少し、引っかかりますが……この際無視します。
「そうなんだー。そんならさ、オレと昼メシでも食いに行かねー?」
「え……?」
「あ?もしかして、こういうの初めて?だいじょーぶだって。変な事しねーから」
「で、でも……」
「あ?迷ってる?じゃあ、オレのオゴリでいいよ。どーよ?」
「……あ、あの……」
「ん?行く?」
「え……えっと……」
困り……ました……。
早くしないと……お兄ちゃんが……。
───────────────────────
- 637 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/19(金) 22:31:35 ID:1Nvq5qMq
- 水道の水でチョークの粉で汚れてしまった手を洗う。
水が冷たくて気持ち良い。
そのまま、つい顔まで洗ってしまう。
「ふぅー」
夏の必需品、タオルで顔を拭く。
窓から外を見ると、気持ち良いほどの青空。
オレも、今日から本当の夏休み。
補習最終日に日直とは運が悪いけど……仕事ももう終わった。
何も気にすることは無い。
「さてと、帰るとしますか」
足取りも軽く、帰り支度のため教室へ向かう。
大した荷物もないので、一瞬で荷物をまとめ、教室を後にした。
教室の戸の前にいたのは、羽音ちゃんの背中と……彼女の前に立つ知らない男。
え……何でっ!?
何もせずにそこに立っているのもアレなので、慌てて教室に身を隠す。
教室内でホッと小さくため息をつく。
とりあえず……そう!状況の整理だ!
えっと……とりあえず、羽音ちゃんと、男A。
あの男A、羽音ちゃんの知り合いだろうか……。
羽音ちゃんの肩に手なんか置いてたし……。
よく考えれば、ここは羽音ちゃんの地元。
しかも、この学校には、この市出身の人が多いみたいだし、
羽音ちゃんの中学の先輩とかがこの学校にいても何もおかしくは無い。
何処にでもある、久しぶりに会った先輩との会話。
そう考えるのが、一番合理的だ。
それだけだ。
それだけ……なのに……何か腹立つ……。
- 638 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/19(金) 22:32:06 ID:1Nvq5qMq
- まぁ、いい。
合理性の面では、ある程度納得の行く答えを得た俺は、することもなくなったので、
こっそりと羽音ちゃんの様子を伺ってみた。
二人は、まだ話してる。
会話する男と女。別によくある光景だ。
だが……ホント、イライラする。
さっきから、何でこんなに怒ってるんだ。ってぐらい腹が立つ。
さすがに俺がこんなことに口挟むの悪いと思って我慢してたが、もう我慢の限界!!
バッグを背負い、男Aに向かっていく。
羽音ちゃんの背後から、その男に向かって声をかける。
「「あの……」」
ハモった。
振り返った羽音ちゃんと目が合う。
「お、お兄ちゃんっ!?」
羽音ちゃんが、驚きで目を大きくさせて言った。
作戦変更。
この際、羽音ちゃんで良いや。
「よっ」
右手を上げ、羽音ちゃんに挨拶。
「羽音ちゃんの知り合い?」
「いえ……えっと……」
羽音ちゃんが、チラリと男Aを見る。
男Aは困惑したように視線をそらしたが、すぐにこちらに向き直り、
「あ、いえ、何でもないんス。一緒にご飯でも食べに行こうかな。なんて」
「そうなんだ」
心の中で胸を撫で下ろす。
……が、まだ安心は出来ない。羽音ちゃんがどうするかだ。
- 639 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/19(金) 22:33:26 ID:1Nvq5qMq
- 「えっと……それなら、俺はお邪魔かな?」
「い、いえっ!!そんなこと、ないですっ!!」
俺は二人に尋ねたつもりだったが、羽音ちゃんが答えた。
「あ……でも……この人は……」
羽音ちゃんは、もう一度男Aに向き直り……
「あ、あのっ、すいませんが……お断りさせていただきますっ!!」
頭を下げ、言った。
気まずそうに、俯く男A。
ちょっと可哀想だな。とも思ったが……嬉しい気持ちが勝った。
「行こうか?」
「はい」
並んで歩き出す二人。
さっきまでのイライラと一変して、凄く良い気分。
青い空がさっきよりも何倍も気持ちよく見えた。
───────────────────────
「はい、お兄ちゃん、どうぞ」
公園の噴水の前のベンチ。
いつもの場所に二人で座って、羽音ちゃんのお弁当を食べる。
「うん。ありがとう」
緊張した面持ちの羽音ちゃんによって手渡されたお弁当箱。
蓋を開けると、美味しそうなおかずが、キレイに敷き詰められている。
「お、今日も美味しそうだね」
緊張をほぐすため、そう言って羽音ちゃんに笑ってみせる。
「あのね……」
しかし、羽音ちゃんは緊張した顔のまま、小さな声で呟く。
「うん」
- 640 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/19(金) 22:33:59 ID:1Nvq5qMq
- 「今日は……全部、私が作ったんだよ」
「羽音ちゃんが?」
「うん。昨日までは、お母さんと一緒だったんだけど……今日は私一人で作ったんだよ」
そこまで言って、俯いてしまう羽音ちゃん。
「だって……今日で最後だから」
「最後って?」
「補習……今日で終わりなんですよね……?」
「ああ、そうだけど?」
「だったら……もう……お兄ちゃんに会えない……」
「え?何で?」
「だから……もうお兄ちゃんが学校に来ないから……」
だんだん小さくなる声。
最後にはもう、聞こえないぐらいまでになってしまった。
「ねぇ、羽音ちゃん?」
「はい……?」
「俺は今夏休みが始まったトコだよ?
明日からは、ついでじゃなくて、羽音ちゃんに会うだけのためにこっちに来れるし、
羽音ちゃんと一緒にどっか遊びにも行けるんだよ?」
「……」
「毎日だって会えるんだよ、俺たち。っていうか、俺は毎日会いたいんだけど」
「え……それって……」
「まぁ、まだ待ってよ。
話は変わるけど、さっき羽音ちゃんが男と話してて凄くムカついたんだよね」
「うん……」
「だから……何て言うのかな……羽音ちゃんには……
俺以外の男とは出来るだけ話して欲しくないっていうか……」
「お兄ちゃん……?」
「いつでも羽音ちゃんと一緒にいたいし、俺だけの羽音ちゃんでいて欲しい……」
「……」
「あぁ、もう!!つまり!!上手くいえないんだけど、俺、羽音ちゃんのこと、好きなんだよ!!」
- 641 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/19(金) 22:34:30 ID:1Nvq5qMq
- ……言ってしまった。
肝心な羽音ちゃんは……俯いたまま反応が無い。
さっきの男と同じ、どう断ろうか困ってるって感じかな……。
「あ、変な事言ってゴメン……イヤなら忘れてくれて良いから……」
「……せん……」
羽音ちゃんが何かを呟く。
「え……?」
「私、絶対に忘れませんっ!!だって……凄く……嬉しいから……っ!!
わ、私も、ずっとずっと……昔から……お兄ちゃんのこと、好きだったから」
「羽音ちゃん……」
「私も……今日言おうと思ってたんです。でも……お兄ちゃんに先に言われちゃいましたね」
微笑む羽音ちゃん。
「可愛いね、その顔?」
「お、おおおおお兄ちゃんっ!?」
顔を真っ赤にして、慌てる羽音ちゃん。
やっぱり可愛い。
今までよりも、ずっとずっと。
「早速だけど、遊びに行こうよ。今から」
「え……?」
「嫌?」
「ううん!!行きたい!!」
「良かった。でも、その前に、お弁当を頂こうかな」
「はい!!」
幸せそうな羽音ちゃんの笑顔を見ながら、茄子の煮物を口に運ぶ。
「うん。美味しいよ」
「ホント?」
「うん。食べてみなよ」
「……あ、ホントだ。良かった……。ちゃんと柔らかくなってますね」
「うん」
「でも……ちょっとお醤油入れすぎかなぁ……」
- 642 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/19(金) 22:35:05 ID:1Nvq5qMq
- ちょっと考えるように、俯き加減になる羽音ちゃん。
この瞬間でも、羽音ちゃんの顔が可愛すぎて……
「羽音ちゃん」
羽音ちゃんが振り向く。
その瞬間、羽音ちゃんの唇を奪う。
「ん……んー!!」
羽音ちゃんはパニックになって、手をジタバタ。
俺はちょっと意地悪して、強く唇を押し付ける。
とはいえ、さすがに悪い気がするので、お子様のキスだけでやめておいた。
唇を離す。
羽音ちゃんは、俺の顔をジッと見ながら、唇を手で押さえた。
「んー。砂糖かな?甘くて美味しいよ」
「お、お兄ちゃん!!」
「いやぁ、悪い悪い」
「私……初めて……だったのに」
「俺とじゃ嫌?」
「ううん……でも、初めてはもっと素敵なシチュエーションでしたかったな……」
「う……そ、それは悪かった」
「謝っても……手遅れですよ」
「いや、ホント反省してるから……許してくれ……」
「許しません!!だから……お返しですっ!!」
視界に空が広がっていく。
青空をバックに、頬を赤らめた羽音ちゃんの顔。
その顔が、徐々に近づく……。
高校最初の夏休み。
今年は……今までで一番、楽しくなりそうだ。
- 643 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/19(金) 22:36:05 ID:1Nvq5qMq
- 〜エピローグ(?)〜
「い、意外と羽音ちゃんも大胆だね……」
「私も……お兄ちゃんと同じなんです。
お兄ちゃんのことが、好き過ぎて……我慢できなくなっちゃっただけですよ」
「なるほどね」
「えへへ……お兄ちゃん、大好きです」
「……」
「ほら、お兄ちゃんも」
「え……俺も言うの!?」
「当たり前です。私だけなんてズルいです」
「……あんまり、そういうの何度も言うのってカッコ悪いと思うんだけどな」
「そんなことないですよ!!さぁ!!」
「羽音……」
「はい」
「愛してるよ」
「はい!!」
[終わり]
───────────────────────
この兄妹、前の一回で終わるつもりだったけど……気に入ったんでもう一回。
ここまでハッキリした両思いは初めてだから、やりたい放題書いた。
書いてるうちに、やりたいことがポンポン浮かんできて……。
あと、そろそろ次スレのことも考えなきゃならなくなってきたよ。
- 644 :終末 ◆ZkGZ7DovZM :2005/08/20(土) 04:14:50 ID:FApac86B
- >635-643
GJっ!!遊星様、相変わらず素晴らしいですねぃ。
お気に入りは双子ちゃんですが、この際何でもイイですな!!
- 645 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/20(土) 14:52:39 ID:mrGscolb
- >遊星さん
GJです。
とても微笑ましいっすね
俺もSS書いてみようかなぁ〜…
- 646 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/20(土) 19:52:21 ID:IrGWMR+J
- >>635-643
つまらない。
いつまでたっても成長しないのな。
- 647 :終末 ◆ZkGZ7DovZM :2005/08/21(日) 22:40:27 ID:wqtkx04y
- >645様
お願いします!!
- 648 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/22(月) 15:40:05 ID:TUCVJXmn
- >>647
お題がなかなかみつからない…
リクエストがあれば、言ってください
携帯からだからあまり長い文も書けないですけど…
- 649 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/23(火) 00:19:39 ID:GSr86m9N
- ツンデレを希望
- 650 :終末 ◆ZkGZ7DovZM :2005/08/23(火) 02:49:33 ID:Q59sI3KV
- >648様
ソチで決めてもらってイイですよ!書きたいものを書いてくださいなっ
>649氏の言うツンデレでも良いので
グダグダでスマソorz
- 651 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/23(火) 14:33:36 ID:f1TyQfL7
- ただ今執筆中……
ツンデレ難カシス……
今週中にはできると思います
短いと思いますが、携帯からなので勘弁して下さい…
できるだけツンデレになるよう頑張ります
- 652 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/23(火) 19:30:55 ID:TLUNl9Lv
- 暇つぶしに書いてみました。宜しければ感想くださいな。
ついさっき布団に包まってもふもふしてたら飼い猫(通称ロボ)が入ってきた。
可愛かったので一緒にごろごろした。満ち足りていた。
しばらくすると5つ下の妹までもぐりこんできた。
暑いし邪魔だったので蹴っ飛ばした。少し悲しそうな顔をしていた。
しばらくすると暑かったのかロボが暴れて出て行ってしまった。
引き止めたが、振り返ってくれなかった。とても悲しかった。
落ち込んでいると妹と目が合った。寂しそうにこちらを見ている。
妙に妹が愛しくなり手招きでこっちへ来い、と呼び込んだ。
妹の表情(カオ)が輝いた。いそいそと布団に入ってくる。
恥ずかしそうに微笑んでから、そっと身体を摺り寄せてきた。
どぎまぎしながら「暑くないのか」と聞いてみると「あったかいよ、心も体も」とはにかみながら首に手を回してくる。
くらっときた。
堪らず力いっぱい妹を抱きしめた。「いたた、いたいよ」と腕の中でやんわりと抵抗する。
少しだけ力を緩めるも離してやらない。
観念したのか目を閉じて為すがままにされる妹。
胸や腕に感じる幼くも柔らかい感触、甘い髪の香り、手触り。全てが心地良い。
枕が一つしかないので抱擁を解き腕を差し出してやる。おずおずと頭を預けてくる仕草が愛らしい。
暫く妹の長い髪を梳いたり指に絡めたりしていると小さな寝息が。
安心しきったような寝顔が俺の擦れた心を暖かくしてくれる。
思えば最近仕事に付き合いにと色々忙しくて全然構ってやれなかった。
恥ずかしがりやなこいつがこんな事をしたのも一種のアピールだったのだろう。
明日からはぼちぼち相手してやるか。丁度これから暇になるしプールにでも連れて行ってやろう。
そんな事を思いつつ、軽い睡眠を取る為に目を閉じた。
- 653 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/23(火) 19:31:58 ID:TLUNl9Lv
- うわ、ageちまいましたスマソ
- 654 :終末 ◆ZkGZ7DovZM :2005/08/24(水) 04:35:55 ID:K2xTWpL7
- >651
ツンデレなんて初かな?期待してまつ(´・ω・`)
>652
GJ。初めエロかと思いました。続きキボーン
- 655 :終末 ◆ZkGZ7DovZM :2005/08/26(金) 13:16:26 ID:M+QwFBO7
- (´・ω・`)ショボーン
- 656 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/08/27(土) 01:55:44 ID:7dlh6asL
- 『お兄ちゃん……起きてよぉ……』
「んー……」
『お兄ちゃん……そろそろ起きないと、濡れタオルを顔に被せちゃうよっ?』
「んー……」
『……お兄ちゃん……』
「…………」
『………………ばか』
「―――お客さん、起きて下さいよ!」
意識が戻った瞬間の大声に、俺は驚いて椅子を揺らした。
慌てて顔を向けると、そこには呆れ顔の乗務員が立っていた。
「お客さん、着きましたよ、駅。この列車は車庫行きなんですから、早く降りてくださいね」
「あ、ああ……どうも」
それだけ返事をすると、乗務員はさっさと隣の車両に行ってしまった。
頭を振り、小窓から駅のホームを見る。
……馴染みのあるホームだ。俺は、帰ってきた。
浮かれてきた心を抑えつつ、荷物を下ろすために席を立った。
- 657 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/08/27(土) 01:56:54 ID:7dlh6asL
- 列車を降りると、まるでサウナに放り込まれたかのような熱気に包まれた。
むし暑い。というか、暑すぎる。あまりの暑さに、脳細胞がすべて蒸発しそうだ。
そんな感じでぐでぐでと改札に向かって歩いていると、ふと視界に女の子の姿が映った。
14〜16歳くらいだろうか。制服を着ている。
女の子は友達と楽しそうに話をしながら、通路の向こうへと消えていった。
その様子を眺めて、俺はどことなく懐かしい気分になり、荷物を担ぎなおした。
瞬間。
「……どこを見ているんですか?」
「うわっ!?」
女の子の声。
びっくりして背後を振り返ると、そこには。
「ひどいですよ?再会の第一声が『うわっ!?』なんて」
さっきの子と同じくらいの年齢。気持ち控えめな身長。大人しそうな瞳。馴染んだ制服。
そして……忘れたことのなかった、その顔。
「おかえりなさい、お兄ちゃん」
―――妹は、可愛らしくはにかんだ。
- 658 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/08/27(土) 01:57:50 ID:7dlh6asL
- 「……しかし変わったなぁ、お前も」
駅から自宅までのわずかな距離を、ふたり並んで歩く。
隣にこいつの頭があるというのも、なんだか久しぶりだ。俺はじろじろと妹を観察した。
「そうですか?お兄ちゃんはちっとも変わってないですね」
「その減らず口も相変わらずだなぁ」
「そっちこそ、女の子に目がないところは変わってないですね?お兄ちゃん」
「いや、あれは……」
ふと、言葉を止める。たしかに……あの女の子は少しは可愛かったけど、でも……。
「お前ほどじゃ無かったよ」
前後に繋がりのない言葉に、妹は目を丸くしてこちらを見た。
「は、はあ?どういうことですか?」
俺は無言でじろじろと妹を観察する。その様子で気づいたのか、妹は即座に顔を沸騰させた。
「ば、ばか!!久しぶりに再会した妹を、いきなり口説いてどうするんですかっ!」
「別に口説いてなんかいないけどなぁ。正直な感想を述べただけだし」
「え、あ、う……う、嬉しくなんかないですからねっ!?」
妹はそれだけ言うと、つかつかと歩を速めた。
「お、おーい……荷物持ってくれないのか?」
「知りません!!お兄ちゃんのすけべ!!嫌い!!」
嫌い、か。俺は苦笑しながら妹の後姿を眺めた。
お前はたしかに、変わったよ。
- 659 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/08/27(土) 01:58:47 ID:7dlh6asL
- 「―――親父も母さんも出張!?なんだそりゃ!!」
我が家のリビングで荷物を下ろした俺は、突然の知らせに驚愕した。
それをさも当然の反応とでもいうように、妹はため息をもらした。
「わたしは反対したんです。せっかくお兄ちゃんが帰ってくるのに、海外出張だなんて」
「……まったく聞いてなかったぞ。初耳だ」
「……はあ……なんでわたしがお兄ちゃんの世話をしなければならないのでしょうか……」
「ん。あのな、俺だって大学に入ってから一人暮らしだったんだ。家事くらいできるぞ」
「そーですか。なら自分のことは自分でしてくださいね、お兄ちゃん」
「……なに怒ってんだ?お前」
「怒ってなんかないです!ばか!!」
なんだこいつ。本当は自分が面倒見たいんじゃないのか?
っていうか……。
「むしろ、面倒見られるのはお前のほうじゃないのか?ええ?」
それを聞いて、妹はぎくりとした表情になる。
そう。今回、俺は妹の高校受験の家庭教師をするために、我が家に戻ってきたのだ。
なので、勉強の面倒を見るのは俺。つまり主従関係では俺に利があるということだ。
- 660 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/08/27(土) 01:59:44 ID:7dlh6asL
- 「うっ……」
「ほれほれ、どうした?……よし、さっそく勉強を始めるか?」
「え……あの、まだ着いたばかりですし……」
「そうやって先送りにするのはいけないんだ。やるなら今すぐやらなきゃ」
「で、でも……ほら、お昼ご飯、まだですよね?わたし、作りますよ?」
「……ん」
そういえば、昼はまだだった。ちょうどいいタイミングで俺の腹が鳴る。
「ほ、ほら!わたしがお兄ちゃんのお昼ご飯、作ってあげますから!!」
「んー……そうだな。腹が減っては戦はできぬというしな」
「えっと、お兄ちゃん、たしか冷やし中華好きでしたよね?」
「おう。……あ、そんな気にしなくていいぞ。簡単なものでいいから」
「え?ダメですよ。久しぶりに帰ってきたんだから、わたしが美味しいものを作ってあげます」
「そ、そうか?悪いな」
「ふふっ、そんなことないですよ。わたし、お料理の手伝いとかしてたんですから」
「……へ、へえ。いい子だな、お前は」
「えへへ……。お兄ちゃんの好きな味付けって、たしか―――」
- 661 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/08/27(土) 02:00:41 ID:7dlh6asL
- そこまでまくし立てて、妹はハッと気づいた。
「―――なっ、なんでわたしがお兄ちゃんのお昼ご飯を作らなきゃいけないんですか!!」
「い、いや……俺に言われても」
妹は顔を真っ赤にしてむうっ、とうなり、頬を膨らませた。頭から湯気が出ているようだ。
「ばかっ!!ばかばかばかっ!!罠にはめましたね!?」
「ここ数年、罠って単語すら聞いたことなかったぞ」
「ばかぁ!!お兄ちゃんなんて嫌いっ!」
叫びながら、ドアを開けて出て行った。どかどかと階段を昇る音が聞こえる。
「……はあ。変わったなぁ、あいつは」
呟きながら冷蔵庫を開ける。ひんやりとした冷気を感じ、そして俺は驚いた。
中には冷やし中華の材料だけでなく、俺の好きだった色々な料理の具材が整頓されていた。
「……素直じゃないねぇ」
俺は二人分の冷やし中華を作るべく、麺に手を伸ばした。
やっぱり俺は、面倒を見られる側らしい。
- 662 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/08/27(土) 02:03:08 ID:7dlh6asL
- リアルが忙しくてご無沙汰してました、海中です。お久しぶりです。
久しぶりに色々と書いてみたのですが……どうでしょうか。
またお世話になるかもしれませんが、できれば拾ってやってくださいな。
- 663 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/27(土) 03:08:59 ID:tmS5QLY9
- >海中さん
萌えました、GJです。
でも今書いてる奴とかなり被ってる…orz
もう一回書き直すか…
- 664 :終末 ◆ZkGZ7DovZM :2005/08/27(土) 09:41:29 ID:KPPmLaN5
- >656-661
海中様、GJです!
忙しい中お疲れ様ですた。そして続きキボン
- 665 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/08/27(土) 10:05:53 ID:po65iWoW
- >>663
吊ってきまつorz
>>664
続きはまだ書いてないのですが、できれば書きたいですね。
- 666 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/08/28(日) 20:50:13 ID:yU2K3QNI
- >>656-662
海中さんだ、海中さんがいらっしゃったぞ、わーい!!
やっぱ海中さんはすげぇや、感動だよ。
- 667 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/30(火) 19:13:03 ID:eiueUqW0
- GJ!
- 668 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/08/30(火) 23:27:08 ID:MbMwxm7F
- 一歩踏み出すたびにギシギシと軋む階段を昇り、妹の部屋の前に立つ。
ドア越しに室内の気配を探ろうとエスパーみたいな真似もしてみたが、駄目だった。
やはり行くしかない。開いた窓から吹き込んだ風が、俺の背中を押した。
「……なあ、入ってもいいか?」
「…………」
返事は無い。ゴン、とドアを小突いてみるも、やっぱり返事は無い。
俺は意を決して、ドアノブに手をかける。静かに開けると、ベッドの上で寝ている妹が見えた。
しかし、ここでひとつ予想外の出来事が起こった。俺はそっとドアを開けたつもりだった。
だが、廊下の窓から入り込んできていた風が、突如として勢いを増したのだ。
当然のようにドアは凄まじい勢いで開いた。そしてすぐ入り口に置いてある本棚に激突する。
ゴンッ!!!
……家中に響き渡るほどの豪快な音が鳴った。瞬間、ベッドの上の妹がびくりと驚く。
けれど起き上がって文句を言ってこない。
(こいつ……まさかこの年にもなってタヌキ寝入りか?)
風に乗って、優しい匂いが鼻をくすぐる。俺は片手に持っていたある物を机の上に置いた。
「……おーい、生きてるかー?」
「…………」
返事は、無い。
- 669 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/08/30(火) 23:28:13 ID:MbMwxm7F
- 「なあなあ、たかが昼飯ごときでむくれてタヌキ寝入りする妹もどうよ?」
なんとはなしに話しかけてみるけど、まったく反応は無い。
「そろそろ起きないと、兄ちゃん怒って犯しちゃうぞ」
言いながら足の裏をくすぐってみる。すぐにバッと片足が動き、俺の手を蹴り飛ばした。
「本日は白」
「―――!!!??!!」
妹はついに起き上がった。おお、顔面真っ赤だ。ついでに奥歯がぎりぎりと鳴っているような。
「いい加減にしてくださいっ!!」
「はい」
俺はすっとお盆を差し出した。妹は突然の行動に目を丸くする。
目の前に差し出されたお盆の上には、二人分の冷やし中華が乗っていたからだ。
「仲直りの冷やし中華、始めました」
「…………え?」
「久しぶりなんだ。お前とケンカがしたい訳じゃないんだ。ごめん」
「………あ…」
しばらくの間、見詰め合ったあと、俺たちはお互いに吹き出した。
「あはは、はは…………ありがとう、お兄ちゃん」
「なんで?」
「えへ……わたしがどんなにワガママしても、結局は来てくれるから」
そう言って恥かしそうに微笑んだあと、妹はベッドの上で膝を抱えた。
「わたしも、ごめんなさい……」
「……それじゃ、これであいこにしよう」
「……はいっ」
その日の昼飯は、格段に美味かった。
- 670 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/08/30(火) 23:29:23 ID:MbMwxm7F
- 空になった皿をお盆の上に乗せ、俺たちふたりはベッドの上に横になっていた。
そよ風が窓から入り込み、前髪を無遠慮に撫でていく。
「えへへ……川の字ですねっ♪」
妹はごろりと寝返りを打ち、俺にタコのように絡み付いてきた。
すりすりと頬を擦り付けてくる。ついでに胸のような物も感じる……。
「川の字にはひとり足りないだろ」
「あ……そうでした」
呟き、くすくすと笑う。俺はそんな妹がいとしく感じ、ぎゅっと引き寄せる。
妹はさらに頬を緩め、 言った。
「……三人目、欲しいですか……?」
What?
俺は即座に妹から離れ、そのままベッドから床へダイブした。尻を打った。痛い。
「じょ、じょじょじょ冗談ですっ!!」
「冗談にしては顔が赤いぞ!?」
赤面してあわあわと慌てる俺たち。端から見られたくない光景だ。
「きょっ、きょ兄妹だしな!俺たち!!」
「そ、そうですよねっ!義理ですけど!!」
「…………」 「…………」
赤面したまま、しばらく沈黙する。
- 671 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/08/30(火) 23:30:22 ID:MbMwxm7F
- 「……あのさ」
「……はい」
「……俺のこと、どう想ってる?」
「…………兄として、尊敬してます」
「……だよね?」
「……だよです」
「変な間違い、おかしたりしないよね?」
「……たぶん……」
「たぶんかよ!」
「……だって!!」
妹は言葉を吐き出そうとして、しかし途中で止めた。
「だって……!!」
いつの間にか、空はもう赤くなっていた。
「だって…………だって好きなんですっ!!」
「―――な」
「好きなんですっ!!お兄ちゃんのことが、ずっと、ずっと!!」
妹は涙をぽろぽろとこぼし、弱弱しく崩れ落ちた。
「……ずっと……ずっとぉ……うっ……ひっく……」
「あ……」
―――俺は、決断を迫られる。
- 672 :海中 ◆xRzLN.WsAA :2005/08/30(火) 23:34:59 ID:MbMwxm7F
- >>666
相変わらず下手ですが、そう言ってもらえると嬉しいです。ウホッ
>>667
できればsageで・・・ GJありがとうです。
実はまだ次回を考えていないので、選択肢置いておきますね。
1.「これに応えないのは男じゃない!」
2.「い、いや……俺たちは義理でも兄妹なんだぞ!?」
- 673 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/31(水) 00:21:26 ID:nTmyLxn8
- >>海中さん
現時点では 「2」
…畜生、頬が弛んでしまうじゃないか
- 674 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/08/31(水) 12:04:52 ID:BScVxLm3
- 彼女いない暦=年齢のキモヲタが妄想しまくるスレはここですか?
- 675 :終末 ◆ZkGZ7DovZM :2005/09/01(木) 06:28:54 ID:KQaL043r
- >668->671
海中様、GJです!!萌えました!!
漏れ的に1キボンです
- 676 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/09/02(金) 03:08:56 ID:uOBPun7T
- 【大阪】中学生の妹を脅して淫らな写真を撮り自サイトで公開していた19歳の兄逮捕
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/news7/1124361427
- 677 :終末 ◆ZkGZ7DovZM :2005/09/02(金) 05:16:18 ID:iKnhGt3L
- >675
アンカーミスOTL
>668-671
- 678 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/09/05(月) 01:36:27 ID:G0VMRxMG
- daremoinai
- 679 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/09/07(水) 18:51:19 ID:D7lyIe+z
- 面白いスレだな
俺もSS書いてみようかな…
- 680 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/09/09(金) 21:24:19 ID:ncNJ9BGW
- 業務連絡。
第四弾までのSSをまとめちゃいました。よければ、どうぞ。
ところで、何気に容量が450を超えちゃってるワケですよ。
ぼちぼち次スレのことも考えなきゃですよ。
- 681 :終末 ◆ZkGZ7DovZM :2005/09/13(火) 01:34:40 ID:gFrinwOE
- 人がいない(´・ω・`)
>679様
お願いします。期待しております
>遊星様
乙です!
次スレ……ですね。
- 682 :260 :2005/09/14(水) 21:55:41 ID:icBwl0Ik
- 「お、お前が俺に?」
「うん」
「本気で?」
「うん」
「タダで?」
「お金なんて取らないよ!!」
思いっきり照れながら妙な具合に怒る巴。
勿論な事だが耳まで赤くしていては説得力の欠片もない。
そんな俺の視線を知ってか知らずか更にそっぽ向いて拗ねた横顔。
他人には絶対に見せない顔、その二だ。
俺と接していると時々こうやって子供っぽくなる事があるんだよな巴は。
まぁ、俺から言わせてもらえばこれこそ巴の真の姿なんだが。
「もう・・・あまりからかわないでよ、お兄ちゃん」
「いや、笑ったり怒ったりせわしないなぁ、と思って」
「お兄ちゃんがそうさせてるんだよ!?」
「はいはい分かった分かった、じゃあ、折角なんで膝借りるぞ」
「あ・・・うん・・・」
ここで言い合いを始めては多分、昼休みが終わるまで続くかもな・・・
不毛な論争を避け、柔らかい膝に潜り込む。
背中越しに伝わる温もりと胸を透くサラリと風に揺れる髪の香り。
想像なんて遥かに及ばない心地よさについ黙り込んでしまう俺。
「・・・あの、お兄ちゃん・・・どうかな?」
俺を膝に乗っけてから黙り込んでいた巴が不意に口を開く。
「えっ、ああ・・・なんというか・・・かなり恥ずかしい」
- 683 :260 :2005/09/14(水) 22:03:18 ID:icBwl0Ik
- お久しぶり、誰も待ってない期待してない260です。
前回から約二ヵ月ぶりに投下します。
- 684 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/09/14(水) 22:20:35 ID:cnkDzGMc
- キタ━━━(゚∀゚)━━━!!
待ってましたよ。期待してましたよ!!
アナタの作品、大好きです、俺。
- 685 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/09/14(水) 23:16:25 ID:/h12MEU3
- 今日も何時もと同じ朝がやってくる
「シャ!」
カーテンの開く音と共に朝日の眩しい日差しが射し込んでくる…
「何時まで寝てんだよ!もう起きる時間だぞ!」
妹の舞の声が耳に響く…
「あぁもう!何時コイツは!起きろ!」
「ガバッ!」その言葉と同時に布団が取られる
「あと少しだけ……」
「あと少しじゃねぇよ!サッサと起きろ!毎朝起こす身にもなってみろ!」
「でも少し…(ゴニョゴニョ)」
「?何か言った?」
「サッサと起きろってんだよ!!」
「わかった、わかった…わかったからもう怒鳴るな…」
「怒鳴りたくて怒鳴ってるわけじゃねぅんだ!てめぇがサッサと起きねぇから怒鳴ってんだよ!ほら早く朝飯食わねぇと学校遅れちまうぞ!」
何時と同じような時が、何時と同じように流れて行く
そんな何時と変わらない朝…
- 686 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/09/14(水) 23:19:04 ID:/h12MEU3
- 645です…諸事情で来れませんでした、スミマセン…
初めてなんで色々ご指摘お願いします…
ツンデレって難しい…
- 687 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/09/15(木) 22:59:23 ID:MhIlxmEh
- おお、待ってました!!
続きを期待してますぜ。
そうですねぇ、指摘するなら、
後半どれが誰のセリフか分かりにくい。とか……。
効果音をセリフと同じように書く(二行目と七行目)のは違和感。とか……。
偉そうだね。ゴメン。
- 688 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/09/16(金) 00:05:00 ID:oiY7qzfM
- デレ分が足りない…いや真のツンデレ好きなら分かるのだろうか。
とにかく先を期待している。
オレなんか何も書けないくせに偉そうだね、超ゴメン
- 689 :ツンデレより愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/09/16(金) 18:54:26 ID:dokk7KB2
- 忘れたのか!? 『 ツンデレ 』とは
「なによあんた、半径2m以内に入ってこないで!
― でも5m以上離れないで 。― 」だ。
ちょ、ちょっと見つけたからコピペしただけよ!!
ほら、ワタシはこのスレのためを思って……。
だから、勘違いしないでよ!!べ、別にアンタのためとか、全然そういうのじゃ……ないんだからねっ!!
で、でも……折角ワタシが探してきてあげたんだから……ステキなSS、書きなさいよ!?
- 690 :大日本美桜塾 ◆HenXmdfsKc :2005/09/17(土) 06:18:36 ID:gmTJYAZF
- もっと暴力的な方がいい
- 691 :【官憲上等】大日本美桜塾 ◆HenXmdfsKc :2005/09/17(土) 06:28:54 ID:gmTJYAZF
- >>690はツンデレの事ね
最近生塩なキャラが増えたな…と思っただけ
妹じゃないがリアル姪っ子に言われたいなぁこのセリフ↓
あにじゃー
もっと高くなのじゃー
〃´⌒`ヽ
〈((リノ)))iiヽ
l从・∀・ノ!リ人
⊂)丕⊂)ヽ)
∩</」jゝ((
/ / / ∩
/ / / ||
/ / ||
/ / /∧_∧||
/ /´_ゝ`)/
/| /
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| /⌒l
ヽ | /
/ |゙ー| L
/ | /(__ヽ
/ ノ
`/ /
(_ヽ
(*゚Д゚)<まだ二歳なのにツンデレの兆候が!?
御成長が楽しみでつ
- 692 :終末 ◆ZkGZ7DovZM :2005/09/18(日) 00:11:30 ID:rX9U2ao6
- >260様
GJです!続きお願いしますっ!
>645様
GJです!ツンデレ…イイですな
>691氏
イイですねぃ(´Д`)
- 693 :260 :2005/09/20(火) 20:44:46 ID:BQPS4kNx
- 随分と今更ながらな感想ではあるが巴が言い出した事も俺がそれに素直に従っ
た事もかなり大胆な話ではなかろうか?
心の天秤は未だにグラグラと上下を繰り返している。
しかし、既に巴の膝の上で安らいでいる自分がいる訳で・・・
「でも・・・良いな」
「・・・うん」
陽の光が巴の顔に影を落とす。
思えばこんな風に巴を見上げたのは初めてかもしれない。
視線の先にある表情は今までで一番、優しさに満ちていた。
俺の知らなかった巴の穏やかな顔。
そっと白い指先が額に触れる。
背中から伝わる暖かな魔法にだんだんと掛かっていく。
「ゆっくり眠っていいからね、予鈴が鳴ったら起こしてあげるから」
「サンキュ、う〜む・・・」
「?・・・どうかしたの?」
「いや、今とてつもなく幸せを感じているんだが・・・これでいいんだろうか?」
「・・・ふふっ、変なお兄ちゃん」
俺の言っている事の意図には全く気付いていないご様子の我が妹。
「ボクも思うよ、これが多分・・・女の子の幸せなんだって・・・」
「なんとまぁ、大胆な言葉」
「言わせてるのはお兄ちゃんだよ」
「はいはい、それも俺の所為ですか」
「所為じゃなくてお蔭だよ、お兄ちゃんと一緒だとボクは心に素直になれる、正直になれる」
「買い被り過ぎだって・・・神様じゃあるまいし・・・」
- 694 :260 :2005/09/20(火) 20:46:10 ID:BQPS4kNx
- 単純な事を大袈裟に語ってみせる巴。
神に近いのは巴の方だろ?と思う、本人には照れ臭くてとても言えたものではないが
容姿で言えば立派に女神だし。
太陽に映える漆黒の髪に絹の様な白い肌、薄紅色の唇。
そんな巴の瞳にやたら眠たげな俺の顔が映っている。
この腑抜けが神とは到底思えないな、我ながら。
「目に見えない神様より傍にいてくれたよ、ボクの事を解ってくれたよ」
「そう・・・かな?」
「辛い時、悲しい時、誰よりも傍にいてくれた、手を繋いでいてくれた・・・ホントに嬉しかった」
「・・・」
「今までも、これからもきっと・・・ずっと」
「ん・・・悪い、もう眠くてしょうがない」
「・・・おやすみなさい・・・夢の中でも傍にいてね・・・お兄ちゃん」
薄れ行く意識の中で聞いた言葉はこれまた大胆だったのか?
覚えているのは頭を撫でる冷たくて気持ちのいい指の感覚と陽だまりの様に暖かな膝の感触。
耳の奥にやたらくすぐったい言葉を残したまま俺はフワリと雲の上に浮かび上がった。
- 695 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/09/20(火) 21:07:22 ID:fbNHGDgX
- >>693-694
もう、最高です!!
先生と呼ばせてくださいっ!!
っていうか、コテハン、せめてトリップ付けて下さい!!
先生にはその価値が十分ありますから!!
- 696 :260 :2005/09/20(火) 21:08:14 ID:BQPS4kNx
- ようやく一段落付きました。
というか何ヶ月かかってるんだ('A`)
>遊星さん
忘れられてなかっただけで感謝です。
遊星さんのSSも期待してますよ。
羽音ちゃん、可愛いなぁ。
>645さん
ツンデレですか、この先が楽しみです。
期待してますんで無理せずにご自分のペースで頑張って下さいね。
>終末さん
ようやく涼しくなってきたのでまたちょこちょこと投下していきす。
とはいえこんなレベルなんであまり期待せずにお待ち下さい。
- 697 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/09/21(水) 11:21:07 ID:8DTrhmb/
- 童貞ヲタの妄想ほどキモいものはない。
- 698 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/09/22(木) 05:47:33 ID:q31Inh4X
- ↑
ピザデブ?
- 699 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/09/22(木) 23:52:43 ID:lBpKqiJt
- すっげえ言われたい
いや、解かってるんだ、リアルは違うなんてことくらい。
だからこそオレは、このスレに…居るんだ……(ガクッ
- 700 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/09/24(土) 02:10:49 ID:I3SxLL4k
- >>697
粘着質だなー
よっぽど恵まれない毎日を送ってるんだね君ってw
- 701 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/09/29(木) 13:25:14 ID:S0xd9dzq
- 流れをぶったぎりますが、妹に言われたいせりふです。
「おかゆ先生だいすき〜!!」
これだけでたぶん俺もおかゆになれます。
- 702 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/09/29(木) 23:27:02 ID:sZNsZdVx
- >>701
なんでそうなるかなぁ……?
- 703 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/09/30(金) 07:34:27 ID:3XE7FDoG
- つぽかっ☆
- 704 :260 :2005/09/30(金) 21:26:21 ID:dahocQXW
- 学校帰りに軽い足取りで駅前を歩く。
「家に直行するのもいいがなんとなくどこかに寄っていきたいし、ん?あれは・・・」
本屋でも冷やかしに行こうかと思索していたその時に見つけ二つの背中。
一つは見慣れた妹の背中、そしてもう一つは知らない男の背中。
どうやらまた勇気あるチャレンジャーが現れたみたいだな。
普通なら兄として多少なりとも心配すべき所かもしれないが俺は正直なんとも思わない。
「おぉ、まだいたんだ・・・挑戦者が」
見えるんだよな、あからさまな拒絶のオーラが。
程なくして肩を落とし去っていく男。
去り行く背中は気のせいか一回り小さくなって見えた。
善戦した様だがまたもや秒殺か。
そんな光景を後に俺は忍び足で巴の背後に迫る。
「ご一緒にお茶でも如何ですか?お嬢さん」
「はい、喜んで・・・お兄ちゃん」
- 705 :260 :2005/09/30(金) 21:33:07 ID:dahocQXW
- 朝晩がようやく涼しくなってきましたねぇ。
そんなこんなで投下させて頂きます。
>遊星さん
せ、先生!?
褒め過ぎでしょうそれは。
真面目な話、前にも言いましたが萌えでは遊星さんに
敵わないですよ。
後、トリップかコテハンはもう少し書き続けられたら考え
ます。
なにげに投下したssはまだ二つだけなんで。
- 706 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/10/02(日) 13:07:12 ID:9reAzgol
- >>704-705
いやー、俺、もう感動したっスよ!!
あれですね、さすが260さんって感じっスね!!
しかし、さすがに俺も何か書かなきゃなぁ。
- 707 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/03(月) 23:46:29 ID:mCHWU/2X
- 「...兄貴...いっしょに食べよ。」
これだけで俺は多分泣けます。
- 708 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/04(火) 03:56:50 ID:/PkeQlI0
- 「お兄ちゃん……お兄ちゃん…………お兄ちゃん!!」
「えっ?あぁ俺のこと?」
「はい…」
「どうしたの急に?いつもは真司さんって呼ぶのに」
「義理でも一応妹ですから…そう呼んだ方がいいかなって………嫌ですか?」
「いや、全然いいけど…なんか照れ臭いな」
「あと私のことも真希ちゃんじゃなくて真希って呼んで下さいね♪」
「はいよ」
「それにしてもお母さんたち遅いですね」
「あぁ〜…今日は外で食うっつってたの忘れてた…」
「えぇ!?じゃあ晩ご飯はどうするんですか!?」
「真希ちゃん作ってよ」
「真希ちゃん…ですか?」
「あぁ〜真希ね、真希、はいはい」
「わかればいいんです♪」
「で?何作ってくれんの?」
「ん〜…じゃあお兄ちゃんの大好きなハヤシライス作ります!」
「おぉ!嬉しいねぇ〜真希のハヤシライスは最高に美味いからなぁ〜」
「おだてても何も出ませんよ♪」
「ハヤシライスが出ます!」
「もう!」
「あはははは」
秋の夜に…ハウスのハヤシライス…
以上、ハヤシライスのCMでした。
- 709 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/04(火) 04:31:44 ID:69OZb7lj
- >>708 ..............
こういうの嫌いじゃないな
- 710 :260 :2005/10/05(水) 20:43:49 ID:fu61cigc
- わざわざ声色を変えて話し掛けた俺に弾んだ声が返ってくる。
「・・・気付いてたか、無念だ」
「ボクがお兄ちゃんの声、解らないと思う?ふふっ」
先程までとは打って変わって和やかな笑顔の巴。
人差し指で俺の鼻先に軽くタッチして、くるりとスカートを翻す。
(うっ・・・可愛い過ぎるぞ、巴・・・)
やたらと人懐っこい仕草に思わず鼓動が高鳴る。
意識してこういう事をやっていない分、余計にドキドキさせられてしまう俺。
ちょうど背中越しになって照れた俺の顔が見られなかったのが幸いだ。
「じゃ、行こ」
「は?どこに?」
「お茶に誘ってくれたのはお兄ちゃんだよ」
「・・・あ〜・・・しょうがない、男に二言は無いか」
寄り道したいと思っていた矢先だし、それも悪くない。
まんざらでもない俺の態度に満足したのか上機嫌で肩を並べ隣を歩く巴。
昔と少しも変わらない巴のそんな姿に思わず笑みの零れる俺だった。
- 711 :260 :2005/10/05(水) 20:55:17 ID:fu61cigc
- >遊星さん
お褒めの言葉どうもです。
一ファンとして次回作を期待してますよ。
>708さん
いいですね、こういうほんわかしたのは大好きです。
なんかハヤシライスが食べたくなりました。
文字通り旨いCMだ。
- 712 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/10/05(水) 21:23:52 ID:eAYB1uHB
- 朝だ。
何時に起きようと、学校に行くという目標が控えている限り、眠い。
最近やっと、そんなことに気付いた。
休みの日はいくら眠くてもなかなか眠れないしね。
「ふあぁぁぁあ」
俺は、大きな欠伸をしながら、階段を下りる。
「おはよー……って誰もいないよなー」
自分の挨拶に自分で突っ込みながら、キッチンに続くドアを開けた。
……ハズだった。
「……ぇと……」
俺を迎えてくれたのは、小さな小さな女の子。
俺の妹、杏。
まぁ、妹と言っても血の繋がりは無い。
つい最近、母親が再婚して出来た、歳の離れた妹。
とにかく、そんな妹と、ガッツリ目が合ってしまった俺は、なんというか、気まずい思いに駆られた。
それは杏もおなじらしく、杏も全力で視線を下に逸らす。
……ここまでやられると、微妙にショックなんですけど。
「おはよう」
俺も目をそむけたかったが、まだ仲もよろしくないので、挨拶は重要だ。
俺は杏の座っているテーブルに近づきながら、出来るだけの笑顔を杏に向ける。
「……」
俯いて、全身を強張らせている杏は何も言わない。
無視ですか……。
「むぅ……」
杏の隣にでも。と思ったが、あまりの滑りっぷりのため、杏の横を通り抜け、冷蔵庫に向かう。
今となっては、あの笑顔が恨めしいよ、お母さん。
特に意味もなく、冷蔵庫の前までやってきた俺は、別に飲みたくも無い牛乳を取り出してみる。
バタンと冷蔵庫の扉が閉まったとき……
- 713 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/10/05(水) 21:25:42 ID:eAYB1uHB
- 「お、おはよう……ございます……」
「ん……?」
今小さな声で、おはようございます、と聞こえたような……。
「杏ちゃん、何か言った?」
黙ってブンブンと首を振る杏。じゃ、気のせいですね。
「そう、ゴメンね」
「……」
返事なし。
……クールですね、杏さんは。
「さてと、朝飯朝飯」
いつものように、食卓の上には朝食。
ちなみに母さんは二度寝中。ご苦労さんです。
「杏ちゃん、朝ごはんは?」
「え……えと……」
俯いて、モジモジする杏。
そんなに俺が嫌いなのか……杏ちゃん。
もうそろそろ、仲良くなるの諦めようかな。
なんて思っていると……
「ま、まだ……です」
「無理して丁寧な言葉しなくてもいいから」
「あ……うん」
「じゃ、一緒に食べようか?」
「う、うん」
杏ちゃんが立ち上がる。
そして、トテトテこちらに歩いてきたかと思うと、背伸びをして、食器棚を覗き始める。
俺はそんな杏を横目で見ながら、箸を出したり、茶碗にご飯をよそったり。
そうだ、茶碗と言えば
「そういえば、杏ちゃん」
「は、はい」
ビクっと体を大きく震わせて、こちらを向く杏。
- 714 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/10/05(水) 21:27:10 ID:eAYB1uHB
- 「杏ちゃんのお茶碗って、このクマのでよかったんだっけ?」
クマの茶碗を杏にも見えるように、上げる。
「えっ?……あ……うん」
「……何してるの?」
「えっと……お茶碗……」
「茶碗?」
「……お手伝い、しようと思って……」
「あぁ、そういうことか。そっちの棚は、あんまり使わないのばっかり入ってるからね。
お茶碗とか、よく使うのはコッチなんだよ」
「っ!?ご、ゴメンなさい!!」
凄いスピードで頭を下げる杏。
……謝るときだけ元気だな。
「い、いや。別に謝る事じゃないよ」
って言うか、ここまでされるとコッチが困ってしまう。
「さ、用意できたから、食べよう?」
「……うん」
恐る恐る顔を上げた杏は、いつもの杏で……食卓に向かう俺の後を、ゆっくりとついてくるのでした。
───────────────────────
何か最近新キャラばっかりで……どうなる!?未来、沙耶、双子!?
ってな感じで……新キャラ、杏。
まだ続くつもりです。どうかご期待しないように。
>260様
先生、アナタのSS、大好き。
アンタ最高だよ、マジで。
- 715 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/05(水) 21:39:28 ID:NxNXrSgc
- 生徒A「おい!あの子可愛くね!」
生徒B「うお!やばいな!」
美紀「…なにかよう?」
生徒A「ねぇねぇこれからどっか行かない?」
美紀「いい」
生徒B「ようでもあるの?」
美紀「別に」
生徒A「ならいいじゃん」
美紀「あんた達と遊んでる暇はない」
生徒A「ちょっと可愛いからってイキがんなよ!」
由紀「おい!お前らうちの妹に用か?」
生徒B「(げっ!山中!こい山中の妹かよ!)」
生徒A「い、いや!なんでもないよ!なぁ!」
生徒B「そうそう!じゃあ俺たちこれで!」
由紀「なんなんだあいつら?」
美紀「ただのナンパ野郎てか兄貴面すんな」
由紀「はいはい」
美紀「アリガト」
由紀「なんかいったか?」
美紀「別に」
夜
由紀「ふぁ〜ねるか」
コンコン
由紀「ふぁい?」
美紀「ぐすっね、ねぇ一緒にねてもいい?」
由紀「またか〜いいよこっちこいよ」
美紀「う、うんありがとお兄ちゃん…」
おしまい
- 716 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/05(水) 21:40:39 ID:NxNXrSgc
- >>生徒B「(げっ!山中!こい山中の妹かよ!)」
>>生徒B「(げっ!山中!こいつ山中の妹かよ!)」
に直しておいてください
- 717 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/05(水) 21:50:31 ID:WcOqpTh7
- わーい褒められた!なんかめっちゃ嬉しい♪
ハヤシライス食ってる時に思いついたんです
- 718 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/06(木) 01:36:10 ID:s9zIu7rK
- 俺もさっきカレー食べてたのにハヤシライス食べたくなってきた。
つーかしばらく来ない間に新規さんが増えてるし、>>260氏が台頭
してきてるし、ゴッドは新キャラが登場してるし。
・・・この調子で職人さんが増えてくれれば良いなあと
- 719 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2005/10/06(木) 20:02:01 ID:N/VanJ8N
- 職人さんが増えるのはもちろん歓迎だけど、
海中さんとか、すばるさんとか、姐さんとかのSSが読みたいと思ってるのは俺だけだろうか。
最近お姿を見てないのだけど……。
- 720 :712 ◆isG/JvRidQ :2005/10/07(金) 22:05:56 ID:lYbppSbX
- 俺を持ちうけていたのは……沈黙の食卓でした。
俺から杏に言うことも特に思いつかず、杏が俺に話しかけてくるわけも無く、必然的にこういうことになっている。
……美味いハズがねぇよ。
これは、何よりも、気まずい。
何か話すこと無いかなー、なんて思いながら、チラッと杏の顔を見ると……
「!?」
また目が合ってしまった。
そして、また全力で視線を逸らす杏。……またもショックを受ける俺。
話をするタイミングまで失ってしまった。
「あ……あの……」
そんな小さな声が聞こえる。
「ん?」
「それ……」
俺が杏ちゃんに目を向けると、杏ちゃんは俯いたまま、俺の顔の右下辺りを指差した。
俺もそちらに目をやると、
「あぁ、醤油ね。どうぞ」
またも俯きながら、俺の出した醤油を取る杏。
「あの……えっと……その……あ、ありがとう……」
段々小さくなっていく言葉。俺には『が』辺りから聞こえなくなった。
まぁ、何を言おうとしているのかは分かったが。
そして、また沈黙の食卓の再開。
いや、それだけは避けねば!!
「そういえば……今日は早いよね?どうかしたの?」
「え……あ……うん」
うん。って……。
俺は別に理由の有無を聞いてる訳じゃないっつーの!!
- 721 :712 ◆isG/JvRidQ :2005/10/07(金) 22:07:08 ID:lYbppSbX
- だけど、こんなこと本人に直接言えるわけも無く
「あ、ああ、そうなんだ。何があるの?」
「えと……当番なの……」
「当番?あぁ、飼育当番とか?」
「ううん……お水……あげるの」
「そうなんだ」
……まぁ、60点だな。
「友達出来た?」
ちょっと調子に乗ってきたので、質問を続ける。
首をコクコクと縦に振る杏。
「そっか。よかったな」
「うん」
杏は少しだけ顔を上げて、頷いた。
「学校楽しい?」
「うん」
さっきよりもまたちょっと顔を上げて頷く杏。
「そっか」
うん、割と満足。
つ−か、会話が成立しただけでも快挙なんじゃないですか?
満足と同時に、朝から疲労した気持ちを感じながら、焼き魚を突付く。
うん、美味い。
そのまま満ち足りた気分でご飯を食べていると……
- 722 :712 ◆isG/JvRidQ :2005/10/07(金) 22:08:04 ID:lYbppSbX
- 「あっ……あの……」
杏の小さな声が聞こえたような気がした。
「ん?」
俺がゆっくり杏に目を向けるのにつれて、目を伏せていく杏。
……この行動の意味が分からん。
しばらく見つめていたが、杏はモジモジしたまま何も言わない。
諦めて、下を向くと……
「い、いっしょに……」
確かに杏がそう言った。
あわてて、顔を上げる俺。
「ん?」
「え、えと……い、いっしょに……」
「一緒に……?」
「いっしょに……えと……学校……」
「一緒に学校……?」
「えと……その……行こう……?」
あ……。
顔、上げた。
杏が何かを話してるときの顔、初めて見たかもしれない……。
こんなに顔、真っ赤にして話してたんだ……。
「うん、いいよ」
「あ、ありがとう……!!」
胸の前で組んだ手をせわしなく動かしながら、杏がちょっとだけ笑う。
……そういえば、笑顔も始めてだ。
「いいよ、お礼なんて」
俺がそういうと、杏はご機嫌そうに、食事の続きを始める。
訂正。80点はカタい。
大きな進展を感じながら、俺も朝食をまた食べ始めるのでした
───────────────────────
- 723 :712 ◆isG/JvRidQ :2005/10/07(金) 22:10:57 ID:lYbppSbX
- とりあえず前回のでネタ切れにならなくて一安心。
……でも、続くのやら続かないのやら。とりあえず、頑張ります。
- 724 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/08(土) 00:33:54 ID:3Bx7W86Z
- 激しく続き期待してます
ただ、この兄妹の年齢設定がワカリマセヌ
このオレが脳内補完もできねーとはね
- 725 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/08(土) 06:18:38 ID:NH8Yq+2P
- 妹 年齢一桁
兄 おそらく高か大だろう
一緒に行く 妹の学校までの道に駅があり、兄はその駅を使って学校へ行きます 途中まで一緒
漏れの中ではこういう設定になっている
- 726 :712 ◆isG/JvRidQ :2005/10/08(土) 14:06:49 ID:kScl96pG
- 今回はあんまり年齢とか細かい設定は考えてないんだけど、
まぁ、妹が小学校高学年、兄は高校一年くらいかな。と。
場所については、>>725さんと逆で、駅までの道の途中に学校が。みたいな。
だから『今日は早いよね』となる訳でして……まぁ、だからどうってことはないですが。
- 727 :260 :2005/10/08(土) 21:59:14 ID:u8qDI+Ih
- 「はぁ、涼しいな〜っていてて!!なにするんだよ!?」
「・・・余所見してるからだよ」
冷房の効いた喫茶店でまったりウェイトレスさんを眺め始めた矢先に
耳を軽く引っ張られる。
「見るぐらいならいいじゃないか、タダなんだし」
「そういう問題じゃないの・・・それより、ホントによかったの?」
「ん?注文の事か?いいのいいの」
能天気な返事に零れる呆れた巴の溜め息。
店内に流れるモノラルの音色がそれを俺の耳元でかき消す。
「普通のオレンジジュースでよかったのにスペシャルトロピカルジュースだなんて」
「だってこれだけ値段が一桁違うんだぞ?気になるだろ」
注文しようとした巴を手で制して頼んだ大層な名前の飲み物。
正直、興味本位だったのは否めない。
「俺のおごりなんだから気にするな、飲みきれなけりゃ半分俺が飲むし」
「でも・・・」
「そんなに深刻な事でも無いだろうに・・・責任は俺が取る、それよりだ」
「?」
「またまたアタックを受けてたみたいだったな」
「・・・ああ、その事」
- 728 :260 :2005/10/08(土) 22:18:39 ID:u8qDI+Ih
- 今現在、クリスマスSSを頑張って書いてます。
ええ、出来上がるのはちょうどそれ位の時期でしょうから
>>718さん
新規さんも増えて俄かに活気付いてきて嬉しいかぎりですね。
一個人としてはこれからもぼちぼち投下していくつもりです。
>>遊星さん
流石は遊星さん、続きも期待させて頂きます。
杏ちゃん、ぎこちない感じが可愛いですね
- 729 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/10(月) 01:46:56 ID:aojs9GCd
- 「お兄ちゃん!今日が何の日か知ってる?」
「…知らない」
「あ、ひっどーい!今日は私がこの家に来てから丁度2年だよ」
「ちげぇよ…。俺がお前を好きになった日から丁度2年」
「…え?私もそれ今言おうとしたのぉ!ずるいよ…」
- 730 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/10(月) 02:13:01 ID:VpFNMmyu
- 9時。居間でテレビを見ていた妹がコタツの中で寝ている
テレビが終わったら風呂に入るとか言っていたのだが…
風呂に入れば眠気も取れたろうに
しかたない。このままでは風邪をひくから抱えて部屋に連れてってやる
よいしょ!…結構重たい
暖房の効いた居間の戸を足で乱暴に開けると冷たい風が頬をかすめた
布団の用意がまだだったので畳の上にそっと寝かせて布団の用意をしてやる
押し入れを開けて布団をだすと、ふと良いにおいがした
布団の用意ができたので上に寝かせてやる
見ると畳の上で寒そうに足を抱えて縮こまっている
手を触ると冷たかった
手が冷たい人は心が暖かいという話を思い出す
この部屋には暖房がない
だから毛布を2枚かけてやる
湯たんぽも用意してやろうかな
立ち上がって台所に行く
湯たんぽは昨日使ったまま、流しに立て掛けられていた
タオルで2重にまいてポットから湯を入れる
湯たんぽの用意もできたので部屋に戻る
部屋に戻ると妹は起きていた
どうやら布団の冷たさで目が覚めたらしい
服を脱がしてパジャマに着替えさせ、布団の横から湯たんぽを入れる
なんか寂しいので手を握ってみた
やっぱり手は冷たい
両手で左手を包むようにして暖める
少しすると規則正しい寝息が聞こえ出した
妹の左手を布団の中に入れて肩が冷えないように布団をかぶせ、部屋から出た
さて、風呂入って寝るか
- 731 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2005/10/10(月) 11:14:44 ID:VhDinb8P
- トリ忘れた・・・これで合ってる・・・・・ハズ(ぇ
>>719
一応は居るんですが忙しくて・・・('A`)
まとめサイト(?)管理乙です〜
- 732 :712 ◆isG/JvRidQ :2005/10/12(水) 21:58:11 ID:pf6ZEXpT
- 「……」
「……」
二人、黙ったまま、学校への道を歩いていく。
……いや、こうなるのは分かってましたけどね。
何か話した方がいいのかとも思うけど、
さっきの恥ずかしそうな顔見ちゃうと、無理に話しかけるのも可哀想な気がして……
どうしようかな……。
「あ、あの……」
そんな時、隣の杏が俺の顔を見上げて言う。
「ん?」
「え……えと……」
杏は、腰の辺りで指をモジモジ動かしながら、小さな声で言った。
「どうしたの?」
「え、えっと……その……」
徐々に真っ赤になっていく杏の顔。
「だから……その……」
こういう娘だって分かってるから、別に俺も急かしはしない。
急かしたところで、どうにかなるものでもなさそうだし。
「えっと……その……手……」
「手……?」
ああ、俺ちょっと分かってきたよ。
この感じから行くと……
- 733 :712 ◆isG/JvRidQ :2005/10/12(水) 21:59:41 ID:pf6ZEXpT
- 「はい」
杏に手を差し出す。
「え……」
「手、繋ぎたいんでしょ?」
「う、うん……!!」
杏は嬉しそうに、大きく頷いてから、俺の手を優しく握る。
「へへ……」
顔を真っ赤に染めながら、俺の横で並んで歩く杏。
……もう少し、ゆっくり歩かなきゃな。
「……帰りも……いっしょだと……いいな……」
暖かくて、優しい杏の笑顔。
「うん。そうだね」
そんな杏に、優しく笑いかける俺。
……おや、意外と俺も笑顔出来るんだな。
そのまま、何の会話もなく進む。
やがて、杏の学校の前に着く。
小さく手を振りながら離れていく杏に、手を振り返し、
いつもの道とは違う道を、駅に向かって歩き出した。
───────────────────────
- 734 :712 ◆isG/JvRidQ :2005/10/12(水) 22:01:48 ID:pf6ZEXpT
- ええい、筆が進まん!!
つーか……本格的なネタ切れかもしれません、俺……。
クリスマス、正月、バレンタイン……あぁ……。
>260様
GJっス!!続き、期待してます!!
あと、クリスマスSSも、楽しみにしてますよ!!
>>730
季節先取りって感じですな。
ふむふむ……情景描写の描き方とか、勉強になるっス……。
>すばるさん
おぉっ!!久しぶりでござりますです!!
いつか、すばるさんのSSが読める日を待ってますぜ。
さて、そろそろ、次スレ立てましょうかね。
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