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[第四弾]妹に言われたいセリフ
- 759 :兄:尚登サイト :05/03/05 03:43:05 ID:xWjP97C2
- 「コンビニって、ドコの?」
「一番近く。 わざわざ遠いとこ、こんな寒い中行くかよ」
「あはっ、そうだね〜寒いよね〜」
「あ〜・・・一つ言いたいことがある」
「な〜に、なおくん?」
「・・・・・・・・なんで短パンなんだ?」
そう、信じられないことに短パンなのだ、このおぜうさんは。 上着は着てるクセに。
「コレぐらいが丁度いいんだよ」
「ウソだ・・・・・」
「ってゆーかなおくんが寒がりすぎなの。 それでも北国育ちかぁ〜」
「気温が一桁なんだ・・・コレぐらいが正しいリアクションだ」
「運動してないからだよぉ〜。 なおくん、体力あるクセに。 サッカー部のクセに」
「知るか。 オレは寒いの、とにかく」
さっさと行っちまおう。
「あ、まってよなおくんっ」
並んで歩き出す。
「何しに行くの?」
「雑誌」
「雑誌・・・・・?」
「雑誌だ。 買いに行くんだよ」
「雑誌って・・・・」
「あん?」
なんか様子が・・・・?
- 760 :妹:素直サイト :05/03/05 03:44:17 ID:xWjP97C2
- 「雑誌って・・・・」
ボクの頭の中に数ヶ月前のことが蘇ります。
なおくんの部屋にあった・・・・えっちな・・・・。
「なお?」
「えっ?! な、なに?!」
「なにって・・・・どーかしたか?」
「う、ううん! なんでもないよっ!!」
ぶんぶん、っと首を振ります。
「・・・・行くぞ?」
「う、うんっ」
なおくんが歩きだします。 ボクも遅れずについて行きます。
うう・・・なんだか顔が火照ってきたよ・・・・・。
ちら、となおくんを見ると、何も知らないなおくんは真っ直ぐ前を見ているだけです。
いつものカッコイイ顔のままで・・・・・。
・・・・うぅ〜、また顔が・・もぉ、なおくんのせいだもんっ。
なおくんがえっちなのがいけないんだもんっ!
「・・・・・なおくんのバカ」
「・・・なんだと?」
「なんでもないもん」
ぷいっ、だもん。
「何いきなり不機嫌になっとるんだ・・・・?」
「ふんっ、だ」
- 761 :妹:素直サイト :05/03/05 03:45:21 ID:xWjP97C2
- 結局なおくんが買ったのはサッカーの雑誌でした。 ・・・でも、別のときにきっと買うんだもん。
「真っ直ぐ帰るぞ」
「え〜? 折角出てきたのにぃ?」
「寒い」
「だったらさ、商店街行こ?」
「商店街ぃ〜?」
「ホラ、なんか暖かいの食べてこーよっ」
「暖かいのか・・・・それならいいかな」
「やったぁ、決まり♪ 何食べよかな〜♪」
折角なんだから寒いのも楽しまなくちゃ。
「・・・・ふぅ」
「ん? どしたの、なおくん」
「いや、機嫌直ったみたいだな、って」
「へ? 機嫌?」
「・・・・いや、何でもない」
変ななおくんです。 そんなことより、何食べよっかな〜。
「甘いのがいいな〜。 鯛焼きとか」
「鯛焼きは・・・・お前はマズイような・・・」
「へ? なにそれ? 何でボクが鯛焼き食べちゃ駄目なの?」
「ボクって言うからだ」
「何ソレぇ? ヒドイよ、そんなこじつけ!」
「そんなこと言うならやめにする」
「あ、あ、ごめんなさい、ボ、わたしが悪かったよっ」
「よろしい」
「・・・・・むぅ、食べ物を盾にするなんて・・」
「何か言ったか」
「なんでもないもん」
- 762 :兄:尚登サイト :05/03/05 03:46:23 ID:xWjP97C2
- 「なんでもないもん」
またまたなおがむくれてしまった。
う〜む、ちょいとひどかったかもな・・・・。
しかし、ボク、背が低い、生足、ショートカット、に鯛焼きまでプラスされたら・・・・色々マズイ気がする。
それだけは阻止しろと天が言ってる気がする。
「・・・・で、何にする?」
「えと・・・・甘くて暖かいの・・」
「甘いのじゃなきゃ駄目なのか?」
「んー・・・・なおくんは甘くない方がいい?」
「俺は甘いのはそんなに好きじゃない」
「そだったね。 じゃ、肉まん!」
「肉まんか・・・コンビニに戻るのか?」
「おやおや〜? なおくん知らないの〜?」
「・・・・なんだよ」
「最近おにがわらさんとこの近くに中華まん屋さんが出来たんだよ〜?」
おにがわらさんとこ、とは、おにがわら診療所のことだが・・・。
「ちゅうかまんやぁ〜?」
何だソレ。 聞いたことが無い。
「なおくんもボ・・・わたしも田舎者だから知らないだけだよ〜。 都会じゃ中華まん屋さんくらいあるんだよ」
・・・・・そうなのか。
「ね、行ってみよ?」
「むぅ・・・百聞は一見にしかずか」
「決まりだねっ。 肉まん肉まん〜♪」
「あれ・・・ってゆーかそれならお前はあんまん食えばいいだろ」
「なおくんと同じのがいいんだもん」
「・・・・そーかよ」
- 763 :兄:尚登サイト :05/03/05 04:08:21 ID:xWjP97C2
- 「ん、ここか」
確かに・・・中華まん屋、とでっかく看板に書いてあるな・・・・なんで病院の近くに食い物屋・・・・・・。
「尚登さん?」
「あん? 誰だ俺を呼ぶのは」
「えーと、虎鉄です」
後ろに立っていたのは中学のときの後輩だった。
「鉄か。 なにやってんだ?」
「あの、ここ、俺の家です」
指差すのはおにがわら診療所。
「そーいやそーだったな」
「先輩は?」
「中華まん屋に」
「あー・・・・あそこですか・・」
「あん? 何だよ、その思わせぶりなセリフ」
「いえ・・・・そちらは?」
と、なおを見やる。
「あ、えと、妹の素直です。 今度中学生になります」
ぺこりとお辞儀。
「こんにちは。 俺は虎鉄。 よろしくね」
「あ、はいっ」
「さてさて挨拶も済んだ所で話を戻そうか」
「・・・・逸らそうとしたのに」
「そんなことは許さん。 吐け」
「あ〜、その・・・・店に入るの、この時間帯は先輩だけにした方がいいですよ」
「は?」
「それじゃ」
「あ、こら待てっ」
なんだよ・・・逃げるようなことなのか?
- 764 :妹:素直サイト :05/03/05 04:10:55 ID:xWjP97C2
- 「それじゃ」
虎鉄さんが家に入って行ってしまいました。 なんだろ・・・・?
「・・・・・まぁ、一応俺だけで入るから待っててくれ」
「・・・うん」
なおくんがお店に入って行きます。 待ちます。 ・・・・・・。
「・・・・・うぅ、遅い〜」
時計を見ます。 もう三分は経ってます。
「早く〜。 なおく〜ん、一人で外に居る身にもなってよ〜」
五分以上待たせたらデコピンしちゃいます。
「う〜、う〜、遅いよ〜」
「・・・・・誰か待ってんの?」
「え・・・あっ、お姉さん」
「や、憶えててくれたんだ」
それはこの間パンツを見られたお姉さんでした。
「誰待ってるの? お兄さん?」
「はい。 なおくんってばヒドイんです。 もう五分・・あ〜、六分も! ボクのこと待たせてるんですよ!」
「六分って・・・・はは、せっかちさんなんだ」
「そんなことないですよ〜。 なおくんの方がよっぽどせっかちです。 ボクが着替えるのも待てないんだから・・・」
この間、着替えてる所を見られたんです・・・。 恥ずかしかったです、あれは・・・。
「似たもの兄妹か・・・羨ましいね」
「え・・そうですか? 似ててもいいことなんてないですよ?」
「ん〜、オレ、アニキと全然似てないからさ」
「お兄さん、いらっしゃるんですか?」
「うん。 中々かっこいいよ?」
「そ、それならなおくんだってっ」
「あはは・・・・誰だって自分のアニキが一番だよね。 キミもお兄さん好きなんだ?」
「え・・あ、あの、その・・・・」
「オレもね〜・・・なんか素直になれないんだけどさ、アニキのこと好きだよ」
「ボ、ボクも・・好き・・・・です。 でも・・ボクも、素直じゃないかも・・・」
「ん〜・・・お互い、要努力、だね」
- 765 :妹:素直サイト :05/03/05 04:12:20 ID:xWjP97C2
- 「じゃ、またね」
「あ、はいっ」
お姉さんが歩いていきます。
「素直に、かぁ・・・」
ボクの名前なのになぁ・・・。 なれないんだよね・・・。
きぃ・・・と、お店のドアが開きます。
「あ、なおくん」
「・・・・・無駄に疲れた」
「・・・・なおくん?」
「いや・・・何でもない。 ほら、肉まん」
「わ、ありがとー。 待ってて、お金・・・・」
「いらねーよ」
「え、でも・・・」
「奢る、ソレくらい」
「あ・・・あ、ありがと」
袋から熱い肉まんを取り出します。
「わ、あっついねぇ」
「まぁわざわざ店で買って冷めてたら最悪だからな」
「ん〜、おいしいねぇ」
「そうか・・・」
「あれ、なおくん食べないの?」
「・・・・疲れたからいい・・・」
「え〜、一緒に食べよ〜よ?」
「いや・・・・食欲がない。 ってか買ってない」
え・・買ってないの? そ、そんなぁ・・・・一緒に同じの食べたかったのに・・。
「むぅ・・・しょうがないなぁ」
「ああ・・・・悪いな」
「はい」
「ん?」
- 766 :兄:尚登サイト :05/03/05 04:14:25 ID:xWjP97C2
- 「はい」
と差し出された右手。
「・・なんだよ?」
「半分こ」
「はぁ? だから、いらないって―――」
「だめだもん、食べなきゃ」
「なんで・・?」
「なおくんと・・・・同じがいい。 一緒の食べたいんだもん」
コイツ・・・なかなか可愛いことを言いよるわい・・・。
「まぁ、そこまで言うなら」
右手から食べかけ肉まんを頂く。
「って、半分以上残ってるぞ」
「食べてもいいよ?」
「バカ、コレはもともとお前のために買ったんだから、それじゃ本末転倒だろ」
「でも、疲れたときは美味しい物いっぱい食べれば元気になれるよ」
「あ、いや・・そんな心配されるほど疲れた訳じゃないから」
「そお? でも食べて。 ボクおなかいっぱいだから」
「んなわけ・・・・まぁいいや、食うぞ?」
「うん」
「ん・・・言うだけあって、なかなか美味いな」
あの女、腕だけは確かか・・・。
「おいしいよね」
「ん。 やっぱりお前も食え」
「え・・? いーよ、ボクはもう」
「遠慮なんかすんなって」
「してないよぉ」
「くのやろう、あんまり遠慮するのも失礼なんだぞ」
「してないってば〜」
- 767 :兄:尚登サイト :05/03/05 04:15:59 ID:xWjP97C2
- 「そんなに嫌なら・・・・こうだ!」
「え・・むぐっ?!?」
肉まんを無理やり突っ込んでやる。
「むぐむぐ・・・・?!」
「ほーれほれ。 食わんと窒息するぞ?」
「む、むぐ・・・・・・んぐ・・」
食い始めたようだな。 手を放してやる。
「んぐんぐ・・・ぷは、ひ、ヒドイよぉ、なおくんっ」
「なにおう。 お前があんまり嫌がるからだろ?」
「嫌がってなんかないよぉ。 ボクはただ、なおくんにいっぱい食べて欲しかっただけだもん」
「嘘吐けぇ、俺が口にしたもんなんて食べたくないだけだろ?」
「そ、そんなことなっ・・・!!」
「・・・・?」
「か・・・・間接キス?」
「は・・・? 何を今更」
肉まんでキスもなにも無いと思うが・・・。 でも、一応そうなる・・・よな?
「え、やだ、ボ、ボク、なおくんと間接・・・?!」
そーゆーの気にする辺り、まだ小学生だよなぁ・・・もうすぐ中学だけど。
「まぁはじめにしたのは俺の方だけどな。 なおの食べかけ食ったから」
「わ、わ、そ、それじゃ、お互いに・・・!?」
なんか面白いな。
「これじゃ本当にキスしたのと変わんないかもなぁ〜?」
「ええ??!! そそ、そんなぁ?!」
「なんだなお、俺とキスは嫌か」
「え、あの、その・・・・っ」
「やっぱそーなのかぁ・・・お兄ちゃん傷ついたなぁ」
「あ、あう・・・・」
- 768 :妹:素直サイト :05/03/05 04:24:14 ID:xWjP97C2
- 「やっぱそーなのかぁ・・・お兄ちゃん傷ついたなぁ」
な、なおくんとなら・・いやじゃないケド・・・・・・・。
う〜・・・ヒドイよ・・ファーストキス・・・・もっとちゃんとしたのがよかったよぉ・・・。
「うぅ・・・ヒドイ、ヒドイよぉ・・・ぐす」
「おわ、なお、泣くなよ!」
「だってぇ・・ボクのファーストキス・・・」
「あ、アレは冗談だって」
「・・・本当?」
「本当だって! 泣かないでくれよ、な?」
「う・・うん」
ごしごし、と涙を拭います。
「わ、悪いなお、まさか泣くとは思わなかった」
「う、ううん、ボクこそ泣いちゃったりしてゴメンね?」
「いやいや、今のは俺が完全に悪い。 女の子なのにな・・・あーいうからかい方はまずかったな」
「ん・・・えへへ、いっつもボクに女の子らしくしろとか言ってるのにね〜?」
「う・・・・スマン」
なおくんってば、口ばっかりなんだから。
「う〜む・・俺が女の子のこと分かってないんだもんなぁ・・・もっと乙女心を学ばねばならんな」
「ぷっ・・なおくんってば真面目な顔でなに言ってるの〜?」
「いやぁ、深刻な問題だぞ。 こんなんじゃいつまで経っても彼女の一人も出来ん・・・」
「え・・・・彼女?」
「いつまでもフリーじゃなぁ。 何かとお前にも世話させちまうし」
「う、うん・・・・・」
なおくんに・・・彼女・・・・。
「そ、そんなに焦んなくてもいいんじゃない?」
「ん〜・・・まぁ焦って身に付くモンでもないか」
「そ、そ〜だよ!」
「まぁこんなんだから、彼女出来ても世話になるかもしんねーな。 そんときは頼むわ」
「う、うん・・・・・」
なんか・・・・やだな・・。
- 769 :妹:素直サイト :05/03/05 04:29:21 ID:xWjP97C2
- なおくんも・・・彼女、つくっちゃうんだね・・・。
そう、だよね・・・・男の人だもん、それが普通だよね・・・・。
いつまでも・・・・ボクと一緒じゃ・・・ないんだもんね・・・・。
「なお・・?」
「ん、なに?」
「いや・・・なんか沈んでるから・・やっぱ結構傷ついたか、アレ」
「ううん、そんなことないよ?」
「う〜ん・・・分かった、何か一つ言うことを聞いてやろう」
「そ、そんな、別にそんなことしなくても・・・」
「遠慮なく言え」
「・・・・・・・・」
ボクの、願い・・・・・。
なおくん・・・ボク・・ずっとこのままがいいよ・・・・。 二人で居たいよ・・・彼女なんてつくっちゃやだよ・・。
でも・・・こんなの、ただのワガママだよね・・。 素直になるとか・・そんなんじゃないよね・・・。
「なおくん・・・」
「おう」
「なんでも・・・いいの?」
「二言はない」
「だったら・・・・ちゃんとして」
「なにを?」
「キス・・・・ちゃんと、して」
「は・・・・はいっ?!」
「ボク・・初めては、なおくんがいい・・・・なおくんじゃなきゃ、やだ・・」
「ば、バカお前、そんなの・・・・っ」
「やだもん・・・なおくんと離れるの、やだもん。 でも、ワガママだから、それだと・・・だから、代わりに、キスして・・・」
ちょっと・・・泣いてた。 泣き落としなんて・・卑怯かな? でも・・・・。
「なおくん・・・・・」
ボクは、目を閉じた。
「な、なお・・・・」
そして―――――。
- 770 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/05 04:36:51 ID:xWjP97C2
- 終わりだよ?
封印したのはネタが被ったんで永久封印です。
こんなのでよければあげます、先生。
「お兄ちゃん(またはそれに類する語)」じゃないけど、妹だからセフってことに。
設定がアレなのの続きみたいなの >>758-769
サイトチェンジの生かし方を模索中。 コレじゃ読みづらいだけですからねぇ。
しかし連投規制がウザいです・・・・。
どうしても呼ぶ名前が欲しいという奇特な方は、>>3を。
- 771 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/05 04:46:09 ID:xWjP97C2
- 妹サイトが敬語混じりで読みづらいのは、小学生っぽいかなーって思ったからです。
駄目だこりゃ。
次回からの台本に期待しないで下さい。
なんかホントにちらしになっちゃいそうでこあい。
神々のSS所望。 もっとだ、もっと僕に力を・・・・!!!
- 772 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/05 05:08:31 ID:/Y8RxE+v
- えっと…清次郎の中の人ですか?
GJです!
Kanonネタキタ━━━( ゚∀゚ )━(∀゚ )━(゚ )━( )━( ゚)━( ゚∀)━( ゚∀゚ )━━━!!!!
兄は一体中で何をされたんですか?
- 773 :コンズ :05/03/05 08:06:15 ID:XC1qqSCF
- キタ━━(°∀°)━━━
乙華麗様です!!次回に期待っ!!
まだかね?
- 774 :雨音は紫音の調べ ◆cXtmHcvU.. :05/03/05 08:37:43 ID:g2Iqivhb
- GJ!Σd(>ヮ<)
兄が中で何をしたのか僕も気になるっス。
肉まん作ってたのかな?
- 775 :中華:偽妹 1 :05/03/05 14:37:16 ID:xWjP97C2
- どうして自分がこんなことをするのか、よく分からなかった。
「それじゃあ始めるよ」
なんで女の子が僕を不敵に睨んでいるのか分からなかった。
「勝負は一本。 お題は――言わなくても分かってるね?」
女の子が頷く。 ばあさんが僕を見る。
「いいね?」
ここで駄目、って応えても駄目なんだろうね・・・。
しかたなく頷く。
「それじゃあ厨房担当決めの一本勝負・・・・はじめ!」
調理場に声が響き渡った。
「ここかな・・・・?」
求人ちらしを頼りに着いた場所。 開店前で看板も出していない。
「病院の隣・・・ここだよ・・ね?」
戸をこんこん、と叩く。
「あの・・・すみませーん。 ちらし見て来たんですけど・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・。
なかなか返事が返ってこない。
「あれ・・・開いてる?」
手をかけると戸が動いた。
「あの・・・・」
首だけ入れて中を覗く。 うわ・・・・な、なにこれ・・・。
「ぼ、ボロい・・・・」
「あんだって?」
「うわぁっ!?」
後ろから声。 驚いて僕は奇声を発してしまった。
「あんた、何してんだい?」
そこに居たのは一人のばあさん。
「えと・・・その」
「見てのとおり、うちは開店前で金目のモンなんかないよ」
- 776 :中華:偽妹 2 :05/03/05 14:38:26 ID:xWjP97C2
- 「金目・・・って違います! 泥棒なんかじゃないですよ!」
「ならなんだってんだい?」
「あ、あの・・・これ」
と差し出すちらし。
「ほう・・・あんた、うちで働く気かい?」
「は、はい、出来れば」
「見てのとおりうちは貧乏だからいい待遇なんて出来ないよ?」
「・・・・いいんです」
「ふん、ワケありかい。 まぁいいさ、安月給でなら雇うよ」
「あ、有り難う御座います!」
「まぁ中に入んな」
中に通される。 まぁ、なんというか・・・・。
「ボロいかい?」
「そ、その・・・・」
「ま、安く買い叩いたからね。 でも」
と、そこは―――。
「ここだけはしっかりしとる」
「わ・・・す、すごい、ちゃんとした厨房だ・・・・!!」
周りがボロいせいもあって、厨房の設備は格段に良く見えた。
「どうだい? 料理屋の一つでもやれそうなモンだろ?」
「は、はい、すごいです」
「かっかっかっ。 その目付き、あんたも厨房希望かい」
「え・・・あんたも?」
「ま、中に入んな」
「あ、はい」
事務室らしき所に入れられると、そこには・・・。
「ばばさま、何してるか?」
・・・・女の子がいた。
- 777 :中華:偽妹 3 :05/03/05 14:39:28 ID:xWjP97C2
- 「うちはただの中華まん屋。 調理に二人もいらん。 ちゃっちゃと決めちまいな」
そ、その理屈は分かるけど・・・。
「ふふふ・・・この勝負、わたしの勝ちね!」
そのちょっと怪しい日本語も分かるけど・・・・。
「な、なんでホイコーロー勝負!?」
「オトコが決まったコト、グダグダ言わないアル!」
「あ、アル・・・!? ば、ばあさん、この娘、なんなの?!」
「うん? あたしの孫さね。 広東育ちの」
「いや、アルって・・・・」
「そんなことより料理しなくていいのかい?」
「おわぁ、そーだった!」
野菜を切っていく。 ふと目をやると・・・。
「わ、なんだあの手つき!?」
・・・・・・野菜が宙を舞って切られていく。
「あの子はホイコーローが一番得意なんだ」
「って、僕が不利じゃないですか!!」
「イチイチうるさいアル! オトコならビシッとするアル!」
うー、このままじゃ負けちゃうって! 折角見付けた僕の居場所なのに・・・・!
「ま、負けられるかぁ!!」
僕はペースを上げた・・・・。
- 778 :中華:偽妹 4 :05/03/05 14:40:36 ID:xWjP97C2
- 「そこまで!」
どうにか僕が作り終えた所で、ばあさんが言った。
「ふふーん、わたしの回鍋肉が冷めてしまうとこだたアル」
「う・・・」
「まず食ってみるのが先さね」
先にあの娘のから食べる。
「ふむ・・・腕を上げたね」
「当然アル」
「・・・・美味い」
ちゃんとしたホイコーローは肉より野菜が美味い・・・・コレは、まさにそれだ。
「ふふふーん、どうやら勝負あったカンジアル」
「それじゃあこっちも食うよ」
う・・・・ど、どうだ・・・?!
「ほう・・・・これは・・・・」
何その微妙なリアクション!?
「勝負あったね」
「当然アル」
「厨房担当は―――アンタだよ」
「・・・・・・ぼ、僕!?」
「・・・・・・ええ?! な、なんでアル、ばばさま!!」
「食ってみな」
「む・・・・あむ」
神妙な面持ちで食べていく・・・。
「そ、そんな・・・ウソアル・・・・・」
「この勝負、アンタの負けさ」
「ウソ・・・ウソアル!!」
「あ・・・っ」
女の子は飛び出して行った。
「ほっときな。 アンタは明日から来な」
い、いいのかな・・・でも、他人の僕が出来ることなんてないし・・。
- 779 :中華:偽妹 5 :05/03/05 14:42:27 ID:xWjP97C2
- 翌日、僕は店の前に居た。 昨日の今日で・・・あの娘に会うのは、ちょっと気が引けるなぁ。
相当な自身があったみたいだったからなぁ・・・。 しかも一番得意なホイコーロー・・。
「っていうか開店もしてないのに何させるつもりなんだろう・・・」
「やることならいっぱいあるんだよ」
「うわぁ、ばあさん、また後ろかよ!?」
「何をビビってんだい。 店内の片付けがあるんだ、とっととお入り」
「わ、ちょ、待って、心の準備が・・・」
無理やり中に入れられると―――。
「あ、お兄ちゃん、ようこそアル!」
あの娘が・・・・ってええ!?
「お、お兄ちゃん・・・・!?」
「昨日お兄ちゃんに負けて分かたアル。 わたし、テングなてた。 上には上が居るアル。
お兄ちゃんの回鍋肉、とてもおいしかた・・・・だから、お兄ちゃんてよばせて欲しいアル!」
「だ、だからの使い方が変なような・・・なんでお兄ちゃん?! 意味分かってる!?」
「尊敬できる、身近、年上、って聞いたら、ばばさまが教えてくれたアル。 間違てたアルか?」
「ば、ばあさん!?」
「かっかっかっ。 いいじゃないか、アンタシスコンだろ?」
「うぐ、何故ソレを・・・・!?」
「駄目アルか・・・?」
「だ、駄目って言うか・・・」
「お兄ちゃん・・・・」
「・・・・・・・是非そう呼んで下さい」
「やったぁ、んこぃ、どもありがと!」
「わわ、跳び付かないでよっ」
「わたし、藍、らん言うアル。 お兄ちゃんは?」
「ぼ、僕は浩人・・・・」
「ひろと・・・かこいい名前アル。 これからよろしくアル、浩人お兄ちゃん!」
う・・・お、お兄ちゃん・・・・ぼ、僕の理性、もつんだろうか・・・・。
僕の、新しい日常が始まった・・・騒がしく。
- 780 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/05 14:47:37 ID:xWjP97C2
- 中華ならなんでもよかった・・・とういう話。
ホイコーローは四川料理、ランは北京読み、育ちは広東・・・とバラバラ。
一応わざとですよ?
続かせようかと思ったけど、止めた方がいいカンジ・・・。
プロジェクト僕のチラシの裏。
- 781 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/05 14:53:34 ID:xWjP97C2
- 一時間半じゃこんなんですた。
身近、ていうのはこれから身近になるってことですよ。
ほぼ毎日顔あわせるようになるから。
中華な偽妹 >>775-779
>>772 >>774
秘密です・・・って対したことじゃないんですが。
- 782 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/03/05 16:20:14 ID:+Xb4ZXZv
- 「お兄ちゃん?……もうっ、早く起きてよ〜!」
………………。
「わたし朝練があるんだからね?先に行っちゃうよ?」
…………。
「……ふんだ。いいもん、お兄ちゃんなんて知らないから!」
……。
「―――あれ?」
俺は目を開けた。もぞもぞと布団から這い出て、目覚まし時計を引っ掴んだ。
……すでに8時。
…………あはは。
完っ璧に遅刻コースだ!!
「くそっ!比奈のやつ、起こせっての!!」
―――あれ?
待てよ。そういえば何か聞いたような気がする。
俺はせわしなく動きながらも、わずか数行上のやりとりを回想してみる。
……ああ。そういや言ってたな。
「はあ……間に合うかなぁ」
絶望的な期待を込めて、俺は制服の袖に腕を通した。
- 783 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/03/05 16:21:48 ID:+Xb4ZXZv
- 「なんだ、余裕じゃないか」
校門をくぐり、備え付けの時計を見上げ、俺は呼吸を整えた。
本気で走ったら案外早く着いてしまった。さすが俺だ。元テニス部なだけある。
緩やかなスロープをのぼっていくと、ふと視界に嫌なものが入った。
「……朝練か」
見ると、テニス部の連中がコンクリートの壁に打ち込みの練習をしているところだった。
その中に見慣れた後ろ姿があるのを見つけ、俺はゆっくりと近づいていく。
「よう、比奈。朝から元気ですねぇ」
「ひゃうっ!?」
突然、背後から声をかけられた制服の女の子―――比奈は、慌ててボールを打ち損なった。
ふたりのすぐ横を通過して、ボールはスロープを転がっていく。
「あ!あああっ!!」
それを比奈は呆然と眺め、がっくりと肩を落とした。
「お兄ちゃん……?」
「ははは。愉快、愉快」
そのまま背中を向けて立ち去ろうとすると、がしっと手を掴まれた。
「拾ってきて」
「嫌だ」
……ゴゴゴゴゴ、と擬音が聞こえてきそうな雰囲気に変わっていく。
ところが。比奈は本気で怒っているつもりだろうけど、まったく怖くない。
そもそも比奈は校内で1、2を争うほど可愛いのだ。ぷくっと頬を膨らませても、むしろ可愛い。
「……お兄ちゃん、もう一回言うね?……拾ってきて?」
「もう一回言うぞ、比奈。……い、や、だ」
周囲が後ずさりを始めた、瞬間。
- 784 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/03/05 16:23:28 ID:+Xb4ZXZv
- 「―――コラ!比奈さん、朝練はジャージに着替えてやりなさいって言ったでしょ!?」
げ。
「は、はいっ!すみません、先輩……」
向こうから一人の女生徒が歩いてくる。そいつは俺の顔を見て、にんまりと笑みを浮かべた。
「あらあら、真司君。ついに我がテニス部に戻ってくれる気になったのね?」
「アホ」
現テニス部部長で、同級生でもある女子を睨む。
「俺は戻らないって言ってるだろ」
……そう。昔、俺はテニス部に入っていた。
しかしある試合でケガをしてしまい、そのまま退部した。
そのケガは今も俺の右腕を呪っているからだ。
「……そうよね。テニスできる腕じゃないもんね」
「そういうこと。じゃあな。そろそろチャイム鳴るぞ?あと、比奈」
「は、はいっ!?」
「……朝練はジャージですること。じゃないと白いものが見え隠れして非常にいい」
きょとんとした比奈はまず下を見て、それからじわじわと顔を赤くした。
ワケの分からないセリフを吐いた俺は背中を向ける。
「おっ、お兄ちゃん!?それは早く言ってよぅ!」
「もうひとつ」
元テニス部のエースとしてではなく、兄として言う。
「今度から、朝は無理矢理にでも起こしてくれ。お前が困りそうだしな」
「あ……う、うん」
- 785 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/03/05 16:25:26 ID:+Xb4ZXZv
- 大方、俺のせいで朝練に遅れ、制服のまま練習をしていたのだろう。
やれやれ。俺はため息をもらしながら下駄箱を開けた。
―――さあ、一日が始まる。
=====
_| ̄|○ このスレの役立たず、海中時計です。
何を発狂したか、これからテニス部の妹SSを書くつもりのようです。
すみませんが、また俺のくだらないSSに付き合っていただけると幸いです。
- 786 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/05 16:35:35 ID:xWjP97C2
- テニスだー!!
壁打ちキボン(謎)。
軟式かな、硬式かな・・・・ワクワク。
- 787 :前スレ921→すばる ◆9tSxotve.o :05/03/05 21:40:24 ID:VGSl8MND
- とりあえずコテ&トリ付けました。
以後これでお願いします。
海中さん、乙ですー。おもしろかったです!
たゆんさん(で、いいのかな?)、乙ですー。
あれってサイトチェンジっていうんですか?知らなかったです…難しいですよね…
次回作も楽しみにしてますよ(゚∀゚)
- 788 :雨音は紫音の調べ ◆cXtmHcvU.. :05/03/06 02:03:18 ID:CFfydd51
- >>たゆんさん
ここでは馴れ馴れしく「ちゃん」つけない方がいいですよね?
SS乙です〜!
語尾にアル…イイですねぇ… (≧∇≦)b
>>海中時計さん
テニスっ娘萌えまくりです! Σd(>ヮ<)
白いものが見え隠れ…… (*´Д`)ハァハァ
>>すばるさん
コテ&トリおめでとうございます!
- 789 :コンズ :05/03/06 02:49:07 ID:mEFyJ9vS
- たゆん様、海中時計様、乙です!!やっぱりココわイイっ(・∀・)
- 790 ::生命を貫く鉄の槍 :05/03/06 03:37:23 ID:VMtaWsII
- カチャリ、カチャリ――。
暗い洞窟に音が響く。 僕は唯一の明かりのアルコールランプを頼りに、「武器」を組み立ていた。
これは僕らを守る槍。
同時に、僕らがここに居なければならない理由を作った槍。
――僕と、あの子の両親を貫いた槍。
「おにいちゃん・・・・・」
奥から声。
「まだ、起きてたの?」
「うん。 手入れをしないと、すぐに壊れちゃうんだ」
そういって僕は彼女に黒い槍を見せる―――拳銃という名の槍を。
「早く寝ないと、明日も大変だよ?」
「うん、分かってる。 もう寝るよ」
「じゃあ、一緒に寝よう?」
「うん」
簡単なベッド・・・拾った毛布を敷いただけのそれ。
二人で並んで横になる。
「寒くない?」
「うん。 おにいちゃんにくっつけば大丈夫」
「そっか。 じゃ、おやすみ」
アルコールランプの灯りを消す。
「うん、おやすみおにいちゃん。 明日も・・・よろしくね?」
「うん」
僕は目を閉じた。
明日も続く戦いに備えて。
僕はただ、この子を守りたかった。
- 791 ::ただ殺意を乗せたその音 :05/03/06 03:38:37 ID:VMtaWsII
- タタタッ、タタンッ。
嫌になるくらい軽快な音。
だがその音一つ一つに禍々しい程の狂気が詰まっているのを、僕は知っていた。
タタタタタンッ。
絶え間なく続く音の絶え間を見計らい、僕は飛び出す。
タンッ、タンッ、タンッ。
音を、今度は僕が発する。
三つのうち一つが、その狂気の牙をむいて男に飛び掛ったようだ。
あと、三人。
僕は左の腰に下げたパイナップルを手に取った。
安全ピンを抜いて、投げる。
そして、炸裂。
二人の男がソレに飲まれたようだ。
あと、一人。
僕は周囲を見渡した。
先程の爆発を逃れて・・・・彼は何処に?
慎重に身を乗り出す――瞬間、後ろに物音。
男が僕の後ろに飛び出して来た。
だが・・・・。
「な・・・・子供?!」
男は引き金を引くのを躊躇ってしまった。
僕は、左手の引き金を引いた。
タンッ。
嫌になるくらい軽快な音。
「おじさん、ここには子供なんていないよ。 ここにいるのは、生き残る人と死ぬ人だけだよ」
もう応えることなどないソレに、僕はつぶやいた。
僕は生き残る。 ただ、彼女を守るために。
- 792 ::11年の命、戦場を駆けて :05/03/06 03:40:16 ID:VMtaWsII
- 戦場は旧市街地を離れ、原野の方に広がっていった。
遮蔽物の少ない原野。
当然標的になる確率は高くなる。
でも、僕は戦っていた。
あの子と生きていくために。
「コージさん、今日の分、下さい」
「ん、お疲れさん。 ほら」
食べ物の入った袋を受け取る。
「ありがとうございます。 それじゃ、また」
早く帰ろう。 あの子が待ってるから。
「コージ・・・あの子・・・」
「ん、まだ11だそうだ」
「11・・・・生きていくためとはいえ・・・あんな子供が戦場に、ね・・・・」
幾度もの爆破を繰り返され、道は荒れ果てている。
そんな道を、転ぶ限界の速さで駆けていく。
今日の食料にはあの子の好きなリンゴが入ってる。
僕は早くあの子が喜ぶ顔が見たかった。
「おにいちゃん、おかえりなさい!」
あの子が迎えてくれた。
どうやら洞窟の外で僕を待っててくれたらしい。
「ただいま」
この子の笑顔を見て、僕はやっと戦場から帰って来られる。
僕だって、本当は怖い。
僕や、この子の家族を殺した、こんな武器は憎い。
でも、僕はこの子の笑顔のためなら、どんなつらいことも我慢出来た。
僕は、誰のためでもなくこの子のために死ぬんだろうと思っていた。
- 793 ::少年の存在意義 :05/03/06 03:41:50 ID:VMtaWsII
- 「ほら、リンゴだよ」
「わぁ・・・リンゴだぁ」
満面の笑顔になる。
ああ、それだけで僕は救われる。
血で汚れたこの手にも、何の悔いも浮かばなくなる。
「食べていいの?」
「もちろん」
「ありがとう、おにいちゃん!」
僕は、この子に救われている。
この子がいるから、僕は生きている。
ただ、この子が望むように・・・・。
「あむ・・・おいしいよ」
「うん、そっか」
おいしそうに、リンゴをかじる。
「おにいちゃんは食べないの?」
「うん、全部食べていいよ」
「わぁ、ありがとう」
頭を撫でると、くすぐったそうに目を細めた。
「おにいちゃん・・・やっぱりおにいちゃんも食べよ?」
「うん? 僕のことは気にしなくていいよ」
「でも、はんぶんこがいいよ」
「・・・そうかい?」
「うんっ。 おにいちゃんと一緒の方が、きっともっとおいしいもん」
「じゃあ・・僕も一口」
爽やかな甘味が僕に広がる。
「うん・・・おいしいね」
「うん! おにいちゃんと一緒だもん!」
この子のために・・・・そう、僕はこの子のために、ここに存在しているんだ。
- 794 ::二人、戦場に生き抜いて :05/03/06 03:43:16 ID:VMtaWsII
- 「おにいちゃん・・・」
「ん?」
「明日も・・・よろしくね?」
「うん」
「明日も・・・おにいちゃんでいてね・・・・?」
「うん」
「ずっとずっと・・おにいちゃんでいてね?」
「うん」
「おにいちゃんは・・・・おいてっちゃやだよ?」
「うん・・・・僕は置いてかない」
「おにいちゃんだけ・・・・おかあさんたちのところに行っちゃ・・・やだよ?」
「うん・・・・僕は、死なないよ」
「おにいちゃん・・・・」
「うん・・・・おやすみ」
僕はただ、この子を守りたかった。
戦場の中、残された僕ら。
お互い一人。 でも今は二人。
僕は生き残る。 ただ、彼女を守るために。
でも、その時が来れば―――。
僕は、誰のためでもなくこの子のために死ぬんだろうと思っていた。
だって僕は、もう死んでいてもいい存在だったから。
この子が僕に生きる意味を与えてくれたんだ。
この子のために・・・・そう、僕はこの子のために、ここに存在しているんだ。
僕は生きる。 この戦場を、この子と供に。
- 795 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/06 03:49:00 ID:VMtaWsII
- ときどき不意に真面目なのを書きたくなる。
それが台本屋クォリティ。
「お兄ちゃん(またはそれに類する語)」で、
どれだけ普通じゃない兄妹モノを書けるかチャレンジしてみますた。
ちなみに外国ですよ。 言わなくても分かるか。
戦場の二人 >>790-794
呼ばれるのは何でもよかった。 今も反省はしていない。
なんか某スレ以外でHN呼ばれるの、妙な気分・・・。
- 796 :中華:第二話 1 :05/03/06 05:32:32 ID:VMtaWsII
- 一週間。 僕がこの店に来て、一週間。
かなりボロかった店内の内装も、かなりしっかりしたものになった。
「明日、店を開けるよ」
「え、明日ですか?」
結構急だったので驚いた。
「ああそうさ。 アンタの仕事も明日からが本番さね」
「分かりました・・・それじゃ厨房借りていいですか?」
「練習かい?」
「はい。 開店初日に下手なもの出せませんから」
「かっかっかっ。 アンタなら大丈夫さね」
・・・なんの根拠があってそんなこと言うんだろう・・・・。
「ま、気の済むようにするがいいさね」
「あ、はい、有り難うございます」
「さて、と」
僕は受け取ってあったレシピを取り出す。
別に中華まんを専門に作っていたわけじゃないけど、それでもここの中華まんのレシピは結構変わってると思う。
「え・・・ここで春菊入れ・・シメジ!?」
・・・・・本当にこのレシピであってるんだろうか。
あ、あとは蒸しあがるのを待つだけ・・・・なんだけど。
「ふ、不安だ・・・・」
「お兄ちゃん、何してるアル?」
「わぁ! ら、藍! び、びっくりしたぁ」
「あ、でういんじゅ・・・ゴメンなさい」
しゅんとする藍。
「あ、や、そんな謝ることじゃないんだ。 僕がぼーっとしてたのが悪いんだし」
っていうか・・・まだ「お兄ちゃん」耐性がついてないだけなんだけど・・・。
- 797 :中華:第二話 2 :05/03/06 05:34:15 ID:VMtaWsII
- 「あ、そのね、試しに作ってみてるんだ」
蒸し器を指す。
「そうアルか・・・。 ばばさまの中華まんはとてもほうめいよ!」
「ほうめい?」
「おいしアル」
「へ、へぇ・・・」
でも、シメジ・・・・まぁ食べてみれば分かるか。
「ん、出来たかな」
蒸し器から取り出していく。
「ん〜、いい匂いアル」
「そうだね・・・・食べてみよう」
僕は肉まんを一つ取って食べてみた。
「わ・・・・・美味いよ、コレ」
「いくどう、おいしいね? お兄ちゃん、わたしも食べていいアル?」
「ん、いいよ」
「んこぃ・・・・ん〜、はんふく・・・お兄ちゃんのウデも合わさて、とてもおいしいアル」
「ん〜、コレなら売れそうだね」
すぐにこの町の名物になるんじゃないかな。
「看板娘もいるアル。 売れない方がヘンよ」
「あはは、そーだね」
ん・・・僕の腕も落ちてないみたいだし、一安心かな。
「よいしょっと」
片付けなくちゃね。
「あ、わたしも手伝うアル」
「ん、それじゃ頼んじゃおうかな」
「任せるアル!」
二人で並んでジャブジャブ。
あ〜・・・なんか本当の兄妹みたいだ・・・・・幸せ。
「お兄ちゃん? なんかぼーとしてるアル。 だいじょぶか?」
「ん!? あ、ああ!! 大丈夫、大丈夫!!」
- 798 :中華:第二話 3 :05/03/06 05:35:18 ID:VMtaWsII
- 「よっし、片付け終わり」
「二人なら早いアル」
「うん、助かったよ」
「そ、それじゃあ・・・」
と、頭を突き出す藍。
「・・・・・藍?」
「なでなで・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・くぅ!! 可愛い!! 可愛すぎる!!
「んんっ、そ、それじゃあ・・・なでなで」
「はう〜・・・・はんふく・・・・・」
本当に幸せそうに目を細める。
僕も幸せです、本当に。
「は、はい、お終い」
名残惜しいけど、いつまでもこうしてる訳にもいかないからね・・・。
「はう・・・・しあわせだたアル」
「そ、それじゃあまたね」
「あ・・・・お兄ちゃん、帰てしまうアル?」
「う、うん・・・・」
「そうアルか・・・・」
またまたしゅんとする藍。
「あ、明日も来るよ?」
「うん・・・・・」
「そ、それじゃね・・・」
「うん・・・・お兄ちゃん、ちょぃぎん・・・」
そ、そんな泣きそうな目で見られても・・・・!
「あん? まだ居たのかい」
「あ、ばあさん・・・」
「やれやれ、外見てみな」
「外・・・・? うわ、何この雪!?」
外は季節外れの大雪模様だった。
- 799 :中華:第二話 4 :05/03/06 05:36:44 ID:VMtaWsII
- 「こ、これじゃあ電車も止まってるかも・・・・」
僕は携帯を取り出して、調べてみた。
「うわ・・・・明日まで復旧は絶望的って・・・・」
「お兄ちゃん・・・・・電車、駄目だたアルか?」
「うん・・・・どうしようかな・・・・」
「・・・お兄ちゃん、それなら泊まてくといいアル」
「え・・・・・と、泊まるって、ドコに?」
「ココ・・・わたしとばばさまのウチにアル」
「え・・・・ええ?!」
「ソレがいいアル、決定アル! お兄ちゃんお一人、ご案内アル!」
「え、ちょ、待って待って!」
「まぁ仕方ないさね。 今日は泊まってきな」
「ば、ばあさんまで・・・!」
「やたアル! お兄ちゃんと明日まで・・・明日も一緒アル!」
そ、それは・・・一晩同じ家にいるということで・・・・かなり僕の理性がピンチなんですけど・・?!
こうして僕の一日は・・・・まだまだ続きそうな予感。
頑張れ、僕の理性! 神奈川浩人の、明日はどっちだ!?
続くらしい。
- 800 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/06 05:42:46 ID:VMtaWsII
- そしてときどき狂ったように書くのも台本屋クォリティ。
今の僕ならもう一本くらい書けそうなテンション。
書かないけど。 質より量が僕の台本屋モットー。
紅の蒼龍(仮題)第二話 >>796-799
800ゲト。 ゴメンなさい。
みんな! SSは一日一本にしとこうぜ!
健康に悪いから!
まぁ僕は台本なんで多分大丈夫れすけろね。
- 801 :雨音は紫音の調べ ◆cXtmHcvU.. :05/03/07 08:45:35 ID:STmHwddS
- たゆんさん乙ですー!
>>790-794
シリアスだ……
僕もこの子のために戦うよ!w(何と?)
>>796-799
つづきキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
萌えるぜ……ッ!!
- 802 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/08 02:45:37 ID:lOxsD9GB
- 僕が悪かったんで誰かなんか書いてください。 orz
- 803 :中華:第三話 1 :05/03/08 05:09:05 ID:lOxsD9GB
- 「お兄ちゃーん、湯加減どうアルかー?」
「んー、最高だねー」
「そうアルかー。 足りない物、何かあるアルかー?」
「んー、シャンプーもあるし・・・大丈夫だよー」
「それじゃあわたしも入ていいアルかー?」
「んー、もちろ・・・・ダメー!!!」
「ちぇー、失敗アル」
ね、狙ってたんですか、アナタ・・・・。
というわけで。
僕は今、藍とばあさんの店の奥、居住スペースのお風呂に入ってます。
「(う〜・・・自分をドコまで保てるか・・・)」
お恥ずかしい限りだが、俗に言う妹フェチな僕。
そんな僕が藍の「お兄ちゃん」攻撃に耐えられるか・・・・かなり不安だ・・。
「(昔は純粋に『普通の兄妹』に憧れてただけなんだけどなぁ・・・何時からそういう対象になっちゃったんだろ・・・)」
ふぅ・・・まぁここで自分を追い込んでも仕方ない。
体も頭も顔も洗ったし・・・・あがろう。
「あれ・・・・着替えが・・ある」
あがってみると、そこには着替えが用意されていた。
「ん〜・・・・藍とばあさん、二人暮らし・・だったよなぁ?」
どう見ても男物のパジャマ・・・だね。
「お兄ちゃんのために買っといたアル」
「わぁ、藍?!」
戸越しに声を掛けたようだ・・・・。 びっくりした。
「着たアル?」
「ややや、ちょっと待って!」
急いで服を着ていく。
- 804 :中華:第三話 2 :05/03/08 05:10:19 ID:lOxsD9GB
- 「も〜い〜か〜い?」
「う、うん」
がらら。
戸が開けられる。
「ん〜・・・ちゃんと似合てるね。 よかた〜」
「ホントに僕のために買った・・・の?」
「勿論アル。 ちゃんと全部わたしが選んだよ」
「へぇ・・・サイズも合ってる」
「パンツも買たアル」
「・・・・・アレも藍が買ったの?」
「・・・・・ちょと、恥ずかしかたアル。 ちゃ、ちゃんと穿いてるアル?」
「う、うん」
「ならいいアル。 恥ずかし思いしたかいがあるよ」
し、しかし、そんなことまでしてくれるとはね・・・。
「晩御飯、出来てるよ」
「あ、じゃあ頂こうかな」
「はいな! こちアル!」
引っ張られていくと・・・。
「わ、茶の間だ」
畳敷きの茶の間だった。
「日本の建物なんだ、普通だろ?」
とばあさん。
まぁそうなんだけど、店内はすっかり中華屋の内装だからちょっと戸惑ってしまったわけだ。
「ほれ、とっととお座り。 飯が冷めちまう」
促され、ちゃぶ台に着く。 ・・・・ちゃぶ台なんて初めて見た。
そこに並んでいたのは―――。
「和食だ・・・・」
秋刀魚、味噌汁、菜っ葉に漬物・・・・・完全に和食。
「コレ・・・誰が作ったんです?」
ばあさん、和食も作れたのか?
- 805 :中華:第三話 3 :05/03/08 05:11:24 ID:lOxsD9GB
- 「わたしアル」
「え・・・藍がコレを?」
「はいな。 勉強したアル」
「へぇ・・・凄いなぁ」
「まぁまだまださね。 季節外ればっかりさ」
「あ・・・そう言えばそうだ」
「えへへ・・・まだ出来るのそれくらいしかなかたから・・」
「いやでも凄いよ・・・食べてもいいかな?」
「勿論アル」
「じゃ、いただきます」
ん・・・・コレは・・。
「美味しい・・・」
「ホント!? やた、ほぃさむ!」
「うん、美味しいよ、コレ・・・・凄い、下手すると僕が作ったのより美味しいかも・・・」
「そな褒めても、ナニも出ないよ〜」
「ん〜、でも本当に美味しいよ。 凄いね」
「そう言われると練習したかいあるよ〜」
「やっぱ練習したんだ?」
「はいな。 お兄ちゃんのために・・・あ」
「え・・・ぼ、僕のため?」
「・・・・・・・はいな」
こ、こんなことまで・・・・? え、ホントに・・・?!
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・何二人で世界作ってんのさ。 ここにババァが居ること、忘れんじゃないよ」
「え、あ、何言ってんすか、も〜! あははははっ!!」
「そ、そうアルばばさま! あははははっ!!」
・・・・食卓に二人の寒い笑いが響いた。
- 806 :中華:第三話 4 :05/03/08 05:12:31 ID:lOxsD9GB
- 「ふぅ〜・・・何か・・・眠れない」
それで。
僕はやっと床についたんだけれども・・・なんか眠れない。
「ん〜・・・藍があんなにまで僕を慕っててくれてるとはね・・・」
どうしてだろう・・・・藍は・・僕をかなり慕ってるみたいだ・・・・・でも、なんか・・・。
コンコン―――。
「・・・誰?」
「わたし・・・アル」
「・・藍? どうしたの、こんな時間に・・・」
「開けて・・・いいか?」
「うん」
すっ・・・と戸が引かれ、藍が入ってくる。
「で、どしたの?」
「あの・・・お兄ちゃん・・お願い・・・あるよ」
「うん?」
「一緒・・・・寝ていいか?」
「・・・・・・・・(えぇぇぇ―――――!!?)」
な、なんとか声には出さなかったけど・・・そ、それはマズイんじゃないかな!?
「ら、藍、いくらなんでも、そ、ソレは・・・・」
「ダメ・・・・・か?」
「・・・・藍?」
すがる様な・・・・目。
「う・・・・・ん〜・・・・・しょうがないなぁ・・」
「やたぁ・・んこぃ」
早速布団に潜り込んでくる。
「お兄ちゃん・・・じょうたう」
「う、うん・・・お休み・・・・」
そうして・・・・一分と経たないうちに、藍は寝息を立て始めた。
藍・・・・キミはどうして・・そこまで僕を信用してるんだ?
・・・・・なにか・・不自然な程に・・・・・・・。
- 807 :中華:第三話 5 :05/03/08 05:14:48 ID:lOxsD9GB
- 「すぅ・・・・」
穏やかな息。 本当に・・・・僕に委ねてしまっている。
まだ、会って一週間そこらなのに・・・・。
「おにい・・・ちゃ・・」
「ん・・・・?」
「すぅ・・・」
寝言で、僕を? はは・・・出来すぎだよ・・・。
「おいてちゃ・・・・や・・・」
「・・・・え・・?」
「また・・・藍を・・・らう・・・・せい、んだく・・・!!」
「・・・・・・」
「ご・・・・んだく・・・! まま、ばば・・・・ご・・らう・・・じょい・・!!」
意味は・・・・分からなかった。
けれど・・・・この娘の抱える何かを・・・垣間見た気がした・・・・。
「・・・・よしよし」
僕は、藍の頭を撫でた。 少しでも・・・藍を安心させてやりたくて・・・・・・。
「あ・・・ご・・・・・ご、んごい・・・ほう・・」
藍は、幸せそうに微笑んだ。
僕の存在が少しでもこの娘の救いになるなら・・・・こうして撫で続けよう。
いつか、本当に救える日が来るまで・・・・。
小さな決意と供に・・・僕の一日は終わった。
- 808 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/08 05:29:42 ID:lOxsD9GB
- お呼びじゃないのは知ってるけれど〜、出来ちゃったから貼っちゃいま〜す。
保守。
誰かなんか書いて〜・・・もう来んな〜とかでもいいから・・・・。
広東語はかなりてけと〜なんで解読しようたって無駄無駄無駄ぁですよ〜。
紅の蒼龍(もうこれでいいや)第三話 >>803-807
台本の三連投に成功。
- 809 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/08 16:56:01 ID:ORQiDLcI
- ノ ‐─┬ /
,イ 囗. | / _ 丿丿
| __| ―ナ′
/ ‐' ̄
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ナ' ̄ / 、___
/ ノ`‐、_
/ _ 丿丿 _メ | _/
―ナ′ 〈__ X / ̄\
/ ‐' ̄ / V /
/ \ l レ ' `‐ ノ
/ 、___ Χ ̄ ̄〉
\ 丿 /
\ / _
―ナ′__
| _/  ̄ ̄〉 / ,
X / ̄\ ノ / _|
/ V / / く_/`ヽ
レ ' `‐ ノ ―――'フ
/ ̄ ┼┐┬┐
| 〈 / V
`− 乂 人
┼‐ | ―┼‐
┼‐ | |
{__) | _|
| く_/`ヽ
- 810 :遊星より愛を ◆isG/JvRidQ :05/03/08 18:40:02 ID:NhkRDZ5m
- 久しぶりだな……いろんな意味でさ。
幾多のSSが貼られているが……ま、俺が一々感想書いてくと、作品に泥を塗ることになるだろうから何も言わない。
だが、言葉じゃ表せないほど、みんな素晴らしい!!それだけは言っとこう。
- 811 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/08 19:26:47 ID:lOxsD9GB
- >>809
有り難う。 何もレス付かないのが一番つらいよ。 本当、有り難う。
>>810
(つД`)・゜・。
- 812 :すばる ◆9tSxotve.o :05/03/08 21:12:19 ID:kbJRUqFP
- 前スレ並に過疎化してる……とりあえず『名無しさん歓迎』
>>たゆんさん
乙ですー。
折角SS投下してくれているのに反応が遅くなって申し訳ないです_no
このスレには無いタイプのSSですね!イイっ(゚∀゚)
- 813 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/08 22:07:07 ID:hu1qyMz1
- ホワイトデーには祭りになるはず…ですよね、神の皆様!?
- 814 :すばる ◆9tSxotve.o :05/03/08 22:27:54 ID:kbJRUqFP
- 俺は神達には及ばずながらもホワイトデイSS書くつもりですよ。
ネタが浮かばなければパスしますが…。
- 815 :コンズ :05/03/09 16:58:03 ID:tpkrUFt6
- たゆんさん、中華娘のSSの方、萌えさせていただきましたよ!!
遊星さん>是非双子を〜(しつこい
すばるさん>楽しみにしておりますぞ!!
ホワイトデーっていつだっけ?orz
- 816 :未来たん教信者 :05/03/09 17:15:37 ID:o7MrBJNZ
- ホワイトデーは未来たんですよね?遊星さん。
- 817 :未来たん教信者二号 :05/03/09 18:19:24 ID:wjdEweEC
- 漏れも未来たんきぼんです!
- 818 :遊星より愛 ◆isG/JvRidQ :05/03/09 20:59:33 ID:r241y1Vx
- 未来のつもりだよ。
ま、しかし、俺の命もあと五レス。台本など到底貼れまいよ。
- 819 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/09 22:21:51 ID:f6Nizatw
- 終末まで残り4レス?!
↓
神が氏ぬ。
↓
神々の黄昏(ラグナロク)。
↓
世界滅ぶ。
↓
そこで僕が世界を再生。
↓
僕が創造神。
↓
(゚д゚)ウマー
ここで何故かVPネタ。
そうか・・・ホワイトデーか・・・忘れてた。
なんも貰ったことないからねー、あはは。 だってあげたこと無いからね・・・・。
やっぱり充電期間ってのが欲しいんですねぇ・・垂れ流し状態で、環境にも悪そうな自分。 ゴメン。
>このスレには無いタイプのSS
ヌレ違いの悪寒。 すいません。 (´Д`;lll)
- 820 :すばる ◆9tSxotve.o :05/03/09 23:26:54 ID:r//voCY8
- >>818
つ【を込めて】
ドゾー
>>819
世界観が・なんでスレ違いなんて事ないスよ!
寧ろスレ違いでも萌えられるなら気にしな(ry
- 821 :中華:第四話 1 :05/03/10 01:34:32 ID:uRJdAEi+
- さてさて、僕がこの店に来て一週間と三日。
お客さんも段々と増えてきた手ごたえが感じられる。
「ん〜・・・もう三時過ぎか・・・・」
ちょっと半端な時間だ。 休日だからこんな時間に来る人もあんまりいないだろうけど、かと言って来ない訳でもない。
「ん〜・・・仕込みでもしとこうかな・・・」
がた――んっ!
「わ?! な、何だ!?」
店の方から大きな音。 な、何かあったのかな・・・?
僕は急いで厨房を出た。
「・・・るアル! おマエに売るモノはないアル!」
「はぁ?! お前、何言ってんだ?!」
口論が聞こえる・・・ま、まさか・・・・。
「ど・・・どうしたのさ・・・?」
「あ・・・お兄ちゃん! 出てきちゃダメアル! ココは危険アル!」
藍が僕を追い返そうとする。
「お、おいアンタ! 責任者か!?」
お客さんらしき男の人が、それを止める。
「放すアル! お兄ちゃんは渡さないアル!!」
「てめ、変なこと言うんじゃねぇ!」
「あ、あの!! 二人とも落ち着いて!!」
「あ・・・はいな」
「・・・・・む」
「そ、それで・・・どうしたんですか?」
「この女、いきなり俺に売るモノぁねえとか言い出したんだよ」
「ふん、どうせお兄ちゃんを狙うオンナの手先ね! オンナの匂い、するよ!」
「このアマ、さっきから調子乗りやがって・・・!!」
ああ・・・・またなんだね、藍・・・。
「藍・・・誰彼構わず喧嘩売るのやめなさい」
「む・・お兄ちゃんがそう言うなら・・・」
- 822 :中華:第四話 2 :05/03/10 01:35:58 ID:uRJdAEi+
- 「あの、すみません・・・本当に・・・」
頭を下げる。
「いや・・・アンタに謝られても・・・」
「あ、ほら、藍も・・・」
「わ、わたしは謝らないよ! だてそいつ、ウソ吐いたよ!」
「ウソ・・・?」
「わたし聞いた! オンナ連れてるな、て。 でもそいつ、オンナなんて連れてない言うたよ!」
「そ、それじゃあ連れてないんだよ。 藍の勘違いだったんだよ」
「ち、違うよ! そいつからオンナの匂いするよ! ホントよ!」
「・・・俺、そんな匂うか・・?」
「あ、す、すいません!!」
「あ、いや・・・女連れってのは・・間違いじゃないんだよ。 外に待たせてるから」
「ほら! やぱりウソ吐いてたアル!」
「あんなぁ、普通いきなり女連れか、って聞かれたら恋人とかそういうもんだと思うだろ? 待たせてんのは妹だよ」
「む・・・・その妹がお兄ちゃん狙てるに違いないアル」
「こ、こら藍!」
「あ〜・・もういいわ。 何か疲れた・・・・」
「あ、す、すいません! そ、それでご注文の方は・・・」
「肉まん一個」
「お一つでよろしいのですか?」
「食欲失せたわ」
「あ、はい、で、では、御代は要りませんので・・・・」
「ん? そうか? なら貰っとくぞ」
「毎度有り難うございましたー」
ふぅ・・・・さてと・・。
「藍・・・・またやったね?」
「ら、藍はお兄ちゃんのためを思てやたアル!」
「僕のことを思うなら、喧嘩はよしてよ・・・」
これでもう・・・あーもう、何回目だろう、藍が客に喧嘩売ったのは。 僕が居ると女の人が来るだけで喧嘩腰だもんなぁ・・・。
「ねぇ・・・僕のこと狙う人なんて居ないんだから・・・もうちょっと落ち着いてよ」
- 823 :中華:第四話 3 :05/03/10 01:37:10 ID:uRJdAEi+
- 「甘いよ・・・甘いアル、お兄ちゃんは・・・一瞬の油断が死を呼ぶよ」
「な、何言ってるのさ・・・」
「でも、お兄ちゃんが迷惑なら・・・」
「迷惑って言うか・・・まぁ、喧嘩は止めてよ」
「・・・・・・はいな。 それなら、これ持つアル」
「・・・・何コレ?」
「護身用の武器ね」
柄からずっしりと来るその重み。 すらっとした美しい刃。
ゆるやかにカーヴを描いた刀身は、日本刀のそれよりもずっと幅がある。
「・・・・何コレ?」
僕は思わず同じ言葉を発していた。
「青竜刀アル」
「・・・お返しします」
「な、なんでアル? ナギナタみたいなののがよかたか?」
「いや・・・あのね藍、日本には銃刀法というものがあってね、こういうものは持ち歩いちゃいけないの」
「そ、そうなのか?」
「うん。 だから、コレはしまっといてね。 気持ちはありがた〜く、受け取るから」
「むぅ・・・明日までに代わり探しとくアル」
いりません。
まぁこんな感じで、藍が客に喧嘩を吹っ掛けること以外、概ね問題は無かったんだ。 ただ・・・。
「お兄ちゃん、今日も泊まてくアル!」
「あ、いや・・・きょ、今日は流石に・・・」
「だ、ダメか・・・?」
「あ、いや、その・・・・」
「お願いアル・・・・」
「・・・・・・・う〜・・・うん・・・」
「やた! 今日も一緒アル!」
・・・・と、あの日以来、この家の厄介になってます・・・。
- 824 :中華:第四話 4 :05/03/10 01:38:15 ID:uRJdAEi+
- 「おやぁ? アンタ、また泊まってくのかい?」
「は、はい・・・すいません」
「あたしゃ構わんさね。 それよりアンタんとこの親御さんにゃ連絡してるのかい?」
「いえ、家は出てるんで・・・」
「そうかい。 ま、あたしゃあの娘がよけりゃそれでいいさ」
「は、はぁ・・・」
一緒の寝てるなんて言えないよなぁ・・・。
「お兄ちゃん、今日も一緒に寝るアルーっ!」
「わ―――っっ!!」
「・・・・ほう」
「あ、や、その、こ、これには訳がっ!!」
「あ・・・ば、ばばさま居たのか?!」
「居たともさ」
「あ、あう、わ、わたし、ご飯作てくるアル!!」
わ、ぼ、僕を置いて逃げたっ!!
「一緒に、ねぇ・・・」
「あ、その、なんて言うか・・・」
や、ヤバくないか、コレ!?
「・・・・・あたしはね、あの娘が望むんなら何だっていいのさ」
「え・・・?」
「あたしはあの娘に何にも出来なかったからね・・・」
「ば、ばあさん・・・?」
「あの娘・・・・何か言ってなかったかい? ・・・・寝言とかで」
寝言・・・毎晩繰り返される、寝言・・・・。
「言って・・・ました。 中国語で、なんか・・・・」
「・・・・そうかい。 まだ夢に見るのかい、あの娘は」
「あ、あの・・・・何か・・・あったんですか?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
- 825 :中華:第四話 5 :05/03/10 01:39:47 ID:uRJdAEi+
- 「ご飯出来たよーっっ!!」
沈黙は藍の声に破られた。
「わ、ら、藍、随分早かったね」
「へへー、今日のめにゅうはコレね!」
「お・・・うどんだね」
「はいな。 下準備軽くしとけばちょちょいのちょいよ」
「それじゃあ、いただきます・・・・・うん、コレも美味いよ」
「へへーん、当然アル! アイジョウたっぷりそそいだアル!」
「あ、あはは、ありがとう」
「・・・ふむ。 あたしの好みを言わせて貰えば、もう少しコシが欲しいところだね」
「ふむふむ、コシが足りないか。 お兄ちゃんもそう思うアルか?」
「ん〜、そうだね。 今のままでも十分美味しいと思うけど、僕もコシの強いのが好みかな」
「分かたアル。 次はもとコシ入れるアル!」
「ん、頑張れ藍」
「はいなっ」
満面の笑みとガッツポーズ。 うん、やっぱり藍はこういう顔が似合う。
夢にうなされる藍は・・悲しそうで、辛そうで・・・・。
「(・・・・明るくなったね、この娘も)」
聞こえるか聞こえないかの、ばあさんのつぶやき・・・やっぱり、この娘は、何かを抱えてるんだ。
「(僕は・・・この娘に何か出来るのか? 僕にその何かを・・・・藍と共有出来るだけの、器があるのか?)」
無いのかも・・・知れない。
けれども・・・・・僕は、藍のために、何かをしてやりたかった。
「ご・・・・んだく・・・! まま、ばば・・・・ご・・らう・・・じょい・・!!」
「・・・・よしよし・・・大丈夫、大丈夫だから―――」
僕には、撫で続けることしか出来ないんだろうか?
彼女を救ってやることは出来ないんだろうか?
「おにい・・・ちゃん・・・」
僕は―――――藍を、救いたい。
この娘の、「お兄ちゃん」として――――。
- 826 :中華:第四話 6 :05/03/10 01:41:26 ID:uRJdAEi+
- 「た、大変アルーっ!! 遅れてしまうアルー!!」
大きな声で目を覚ます。
「ん・・・? 藍・・・・・? どうしたの・・?」
「あ、あう、遅れてしまいそうアル!! お兄ちゃん、いってきます!! アル!!」
「・・・・い、いってらっしゃい」
言い終わる前に・・というか言ったのも分かんなかっただろうな、藍は出てってしまった。
「・・・・? 何なんだろう・・・?」
僕は着替えて下に降りた。
「あ、ばあさん・・・おはようございます」
「ん、おはよう」
「あの・・・藍、どこに行ったんですか?」
「あの娘かい? 仕入れさ」
「へぇ・・・今日は藍が行ったんですか?」
「いつもあの娘さ。 今日は寝坊した様だがね」
「寝坊って・・・わ、まだ五時になってない・・。 どうりで薄暗いわけだ・・・・」
「本当はもう少し後でもいいんだがね、アンタに食わせる晩飯の材料も仕入れてくるんだとさ」
「え・・・僕の? わざわざ・・・?」
・・・そんなことまで・・・・。
藍・・・なんで、なんでキミは・・・・。
- 827 :中華:第四話 7 :05/03/10 01:42:47 ID:uRJdAEi+
- 「あの・・・どうして藍は・・・・そうまで僕に・・?」
「・・・・アンタを好いてるんだろうさ」
「そ、そういう話じゃないんです!」
「照れ隠しかい?」
「ふざけないで下さい!! あの娘は・・・何か、何かあるんでしょう?! 何かを抱え込んでるんでしょう!?」
「・・・・・アンタ、あの娘のなんなんだい?」
僕は―――僕は、あの娘の・・。
「僕は、あの娘の、兄です」
驚くほどに・・・素直にその言葉が言えた。
まだ、ホンの数日だけれど・・・確かに藍は僕にとって大きな存在になっていた。
僕の・・・・・妹として。
大切な片翼として・・・・・。
忘れえぬ痛みと供に。
「・・・・・・・そうかい。 聞いて・・くれるかい? あの娘の支えになってやってくれるのかい?」
「はい・・・・」
僕は、今度こそ、苦しみから彼女を解き放ってやりたかった。
一日が始まる。
藍と、僕が、本当の兄妹になるために―――。
- 828 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/10 01:47:22 ID:uRJdAEi+
- 何をやってもダメなヒトがやってきました。
もうすぐ終わるはずだから・・・・。 四連投・・・。
ゴメンね、こんな中華属性以外のヒトには無用の長物置いて。
神々が降臨される前に終わらせたいんだけど・・・。
紅の蒼龍第四話 >>821-827
萌えないよ、コレ・・・・どうしてくれようか。
- 829 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/10 07:44:49 ID:BAwcCc/6
- こんなに続きが気になるのはこの間の神ラッシュ以来だ!
早く続ききぼん!
- 830 :すばる ◆9tSxotve.o :05/03/10 15:41:57 ID:BV/8FAR5
- >>821-827
乙ですー。
イイっ(・∀・)です!
続きも期待してますよ。
- 831 :遊星より ◆isG/JvRidQ :05/03/10 22:53:16 ID:y+SAEwN5
- >>816-817
エロバージョンに一つ貼ったぞ。
兄の変態度アップだが、よければ見て。
>>821-827
乙ッス!!
毎回素晴らしいですよ、マジで。
- 832 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/11 07:48:45 ID:x/7uM6Ff
- 妹「お兄ちゃんキモィ…」
- 833 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/11 15:32:37 ID:ecBwaEqZ
- 妹「ちょっとぉ お兄ちゃんのと一緒に洗濯しないでよ」
- 834 :地獄の死者 :05/03/12 16:20:27 ID:NFWMm24s
- 妹「一緒に寝よっ」
- 835 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/03/13 21:03:33 ID:xJ0cSVLy
- ageられてますね・・・まぁいいけど。
なんだか神々らにまで気を使わせてしまったようで・・・僕って奴ぁ、ドコまでも・・・。
そんじゃあいつかの続きでも貼りましょうかね・・・。
出来は結構ひどいですが・・・どうも伝えたいことを重視しすぎてまとまってないんですよね・・。
でも14日に張ることだけは避けたいので・・・。
前言い訳はこんぐらいにして、貼りましょーか。
なうろ−でぃんぐ・・・・。
- 836 ::僕がお兄ちゃんになってあげるから :05/03/13 21:36:51 ID:xJ0cSVLy
- 僕があの子と出会ったとき、彼女は動かなくなった二人の前に呆然と座り込んでいた。
『・・・・逃げないの?』
僕は聞いた。
『・・・・・・』
彼女は応えなかった。
『ここにいても・・・殺されるだけだよ。 その人たちも・・・・そんなことは望まないんじゃない・・・かな』
『・・・・・・』
この二人は、彼女の両親だろうか・・・・。
『僕も・・・お父さんとお母さん、殺されたんだ。 でも、二人は最後まで僕に生きろ、って言ってた。
だから、キミのお父さんとお母さんも―――』
『思い出せないの』
言葉が遮られた。
『えっ?』
『多分、この人たちがお父さんとお母さんだと思うの・・・でも、思い出せないの。
確かにお父さんもお母さんも居たの。 とっても優しかったの。 大好きなおにいちゃんも居たの。
でも・・・この人たちが・・お父さんとお母さんなのか・・・・・思い出せないの・・・』
そんな・・・ことって・・・・。
『ねぇ・・・おしえて。 この人たちがお父さんとお母さんなの・・・? 死んじゃったの・・・・?
ひっく・・・わたしを置いて、死んじゃったの・・・・?』
『・・・・・・』
『うう・・・おにいちゃんも死んじゃったの? わ、わたしのこと、守ってくれるって言ってたのに、死んじゃったの?
ずっと、ずっと守ってくれるって言ってたのは、ウソだったの・・・?』
同じ―――この子も、僕と一緒で・・誰も居ない、もう一人きりなんだ。
『お兄ちゃん、お兄ちゃん・・・助けてぇ・・・こんなの、嫌だよぉ・・・』
そう思ったら・・・この子を放って置けなくなった。
『・・・泣かないで』
『うう・・・おにいちゃん・・・おにいちゃん・・・・ひっく・・』
『泣かないで・・・僕が・・・・僕が―――』
『僕がお兄ちゃんになってあげるから』
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