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[第四弾]妹に言われたいセリフ

775 :中華:偽妹 1 :05/03/05 14:37:16 ID:xWjP97C2
 どうして自分がこんなことをするのか、よく分からなかった。
「それじゃあ始めるよ」
 なんで女の子が僕を不敵に睨んでいるのか分からなかった。
「勝負は一本。 お題は――言わなくても分かってるね?」
 女の子が頷く。 ばあさんが僕を見る。
「いいね?」
 ここで駄目、って応えても駄目なんだろうね・・・。
 しかたなく頷く。
「それじゃあ厨房担当決めの一本勝負・・・・はじめ!」
 調理場に声が響き渡った。

「ここかな・・・・?」
 求人ちらしを頼りに着いた場所。 開店前で看板も出していない。
「病院の隣・・・ここだよ・・ね?」
 戸をこんこん、と叩く。
「あの・・・すみませーん。 ちらし見て来たんですけど・・・」
 ・・・・・・・・・・・・・・・・。
 なかなか返事が返ってこない。
「あれ・・・開いてる?」
 手をかけると戸が動いた。
「あの・・・・」
 首だけ入れて中を覗く。 うわ・・・・な、なにこれ・・・。
「ぼ、ボロい・・・・」
「あんだって?」
「うわぁっ!?」
 後ろから声。 驚いて僕は奇声を発してしまった。
「あんた、何してんだい?」
 そこに居たのは一人のばあさん。
「えと・・・その」
「見てのとおり、うちは開店前で金目のモンなんかないよ」

776 :中華:偽妹 2 :05/03/05 14:38:26 ID:xWjP97C2
「金目・・・って違います! 泥棒なんかじゃないですよ!」
「ならなんだってんだい?」
「あ、あの・・・これ」
 と差し出すちらし。
「ほう・・・あんた、うちで働く気かい?」
「は、はい、出来れば」
「見てのとおりうちは貧乏だからいい待遇なんて出来ないよ?」
「・・・・いいんです」
「ふん、ワケありかい。 まぁいいさ、安月給でなら雇うよ」
「あ、有り難う御座います!」
「まぁ中に入んな」
 中に通される。 まぁ、なんというか・・・・。
「ボロいかい?」
「そ、その・・・・」
「ま、安く買い叩いたからね。 でも」
 と、そこは―――。
「ここだけはしっかりしとる」
「わ・・・す、すごい、ちゃんとした厨房だ・・・・!!」
 周りがボロいせいもあって、厨房の設備は格段に良く見えた。
「どうだい? 料理屋の一つでもやれそうなモンだろ?」
「は、はい、すごいです」
「かっかっかっ。 その目付き、あんたも厨房希望かい」
「え・・・あんたも?」
「ま、中に入んな」
「あ、はい」
 事務室らしき所に入れられると、そこには・・・。
「ばばさま、何してるか?」
 ・・・・女の子がいた。

777 :中華:偽妹 3 :05/03/05 14:39:28 ID:xWjP97C2
「うちはただの中華まん屋。 調理に二人もいらん。 ちゃっちゃと決めちまいな」
 そ、その理屈は分かるけど・・・。
「ふふふ・・・この勝負、わたしの勝ちね!」
 そのちょっと怪しい日本語も分かるけど・・・・。
「な、なんでホイコーロー勝負!?」
「オトコが決まったコト、グダグダ言わないアル!」
「あ、アル・・・!? ば、ばあさん、この娘、なんなの?!」
「うん? あたしの孫さね。 広東育ちの」
「いや、アルって・・・・」
「そんなことより料理しなくていいのかい?」
「おわぁ、そーだった!」
 野菜を切っていく。 ふと目をやると・・・。
「わ、なんだあの手つき!?」
 ・・・・・・野菜が宙を舞って切られていく。
「あの子はホイコーローが一番得意なんだ」
「って、僕が不利じゃないですか!!」
「イチイチうるさいアル! オトコならビシッとするアル!」
 うー、このままじゃ負けちゃうって! 折角見付けた僕の居場所なのに・・・・!
「ま、負けられるかぁ!!」
 僕はペースを上げた・・・・。

778 :中華:偽妹 4 :05/03/05 14:40:36 ID:xWjP97C2
「そこまで!」
 どうにか僕が作り終えた所で、ばあさんが言った。
「ふふーん、わたしの回鍋肉が冷めてしまうとこだたアル」
「う・・・」
「まず食ってみるのが先さね」
 先にあの娘のから食べる。
「ふむ・・・腕を上げたね」
「当然アル」
「・・・・美味い」
 ちゃんとしたホイコーローは肉より野菜が美味い・・・・コレは、まさにそれだ。
「ふふふーん、どうやら勝負あったカンジアル」
「それじゃあこっちも食うよ」
 う・・・・ど、どうだ・・・?!
「ほう・・・・これは・・・・」
 何その微妙なリアクション!?
「勝負あったね」
「当然アル」
「厨房担当は―――アンタだよ」
「・・・・・・ぼ、僕!?」
「・・・・・・ええ?! な、なんでアル、ばばさま!!」
「食ってみな」
「む・・・・あむ」
 神妙な面持ちで食べていく・・・。
「そ、そんな・・・ウソアル・・・・・」
「この勝負、アンタの負けさ」
「ウソ・・・ウソアル!!」
「あ・・・っ」
 女の子は飛び出して行った。
「ほっときな。 アンタは明日から来な」
 い、いいのかな・・・でも、他人の僕が出来ることなんてないし・・。

779 :中華:偽妹 5 :05/03/05 14:42:27 ID:xWjP97C2
 翌日、僕は店の前に居た。 昨日の今日で・・・あの娘に会うのは、ちょっと気が引けるなぁ。
 相当な自身があったみたいだったからなぁ・・・。 しかも一番得意なホイコーロー・・。
「っていうか開店もしてないのに何させるつもりなんだろう・・・」
「やることならいっぱいあるんだよ」
「うわぁ、ばあさん、また後ろかよ!?」
「何をビビってんだい。 店内の片付けがあるんだ、とっととお入り」
「わ、ちょ、待って、心の準備が・・・」
 無理やり中に入れられると―――。
「あ、お兄ちゃん、ようこそアル!」
 あの娘が・・・・ってええ!?
「お、お兄ちゃん・・・・!?」
「昨日お兄ちゃんに負けて分かたアル。 わたし、テングなてた。 上には上が居るアル。
 お兄ちゃんの回鍋肉、とてもおいしかた・・・・だから、お兄ちゃんてよばせて欲しいアル!」
「だ、だからの使い方が変なような・・・なんでお兄ちゃん?! 意味分かってる!?」
「尊敬できる、身近、年上、って聞いたら、ばばさまが教えてくれたアル。 間違てたアルか?」
「ば、ばあさん!?」
「かっかっかっ。 いいじゃないか、アンタシスコンだろ?」
「うぐ、何故ソレを・・・・!?」
「駄目アルか・・・?」
「だ、駄目って言うか・・・」
「お兄ちゃん・・・・」
「・・・・・・・是非そう呼んで下さい」
「やったぁ、んこぃ、どもありがと!」
「わわ、跳び付かないでよっ」
「わたし、藍、らん言うアル。 お兄ちゃんは?」
「ぼ、僕は浩人・・・・」
「ひろと・・・かこいい名前アル。 これからよろしくアル、浩人お兄ちゃん!」
 う・・・お、お兄ちゃん・・・・ぼ、僕の理性、もつんだろうか・・・・。

 僕の、新しい日常が始まった・・・騒がしく。

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0ch BBS 2004-10-30