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[第四弾]妹に言われたいセリフ

803 :中華:第三話 1 :05/03/08 05:09:05 ID:lOxsD9GB
「お兄ちゃーん、湯加減どうアルかー?」
「んー、最高だねー」
「そうアルかー。 足りない物、何かあるアルかー?」
「んー、シャンプーもあるし・・・大丈夫だよー」
「それじゃあわたしも入ていいアルかー?」
「んー、もちろ・・・・ダメー!!!」
「ちぇー、失敗アル」
 ね、狙ってたんですか、アナタ・・・・。
 というわけで。
 僕は今、藍とばあさんの店の奥、居住スペースのお風呂に入ってます。
「(う〜・・・自分をドコまで保てるか・・・)」
 お恥ずかしい限りだが、俗に言う妹フェチな僕。
 そんな僕が藍の「お兄ちゃん」攻撃に耐えられるか・・・・かなり不安だ・・。
「(昔は純粋に『普通の兄妹』に憧れてただけなんだけどなぁ・・・何時からそういう対象になっちゃったんだろ・・・)」
 ふぅ・・・まぁここで自分を追い込んでも仕方ない。
 体も頭も顔も洗ったし・・・・あがろう。

「あれ・・・・着替えが・・ある」
 あがってみると、そこには着替えが用意されていた。
「ん〜・・・・藍とばあさん、二人暮らし・・だったよなぁ?」
 どう見ても男物のパジャマ・・・だね。
「お兄ちゃんのために買っといたアル」
「わぁ、藍?!」
 戸越しに声を掛けたようだ・・・・。 びっくりした。
「着たアル?」
「ややや、ちょっと待って!」
 急いで服を着ていく。

804 :中華:第三話 2 :05/03/08 05:10:19 ID:lOxsD9GB
「も〜い〜か〜い?」
「う、うん」
 がらら。
 戸が開けられる。
「ん〜・・・ちゃんと似合てるね。 よかた〜」
「ホントに僕のために買った・・・の?」
「勿論アル。 ちゃんと全部わたしが選んだよ」
「へぇ・・・サイズも合ってる」
「パンツも買たアル」
「・・・・・アレも藍が買ったの?」
「・・・・・ちょと、恥ずかしかたアル。 ちゃ、ちゃんと穿いてるアル?」
「う、うん」
「ならいいアル。 恥ずかし思いしたかいがあるよ」
 し、しかし、そんなことまでしてくれるとはね・・・。
「晩御飯、出来てるよ」
「あ、じゃあ頂こうかな」
「はいな! こちアル!」
 引っ張られていくと・・・。
「わ、茶の間だ」
 畳敷きの茶の間だった。
「日本の建物なんだ、普通だろ?」
 とばあさん。
 まぁそうなんだけど、店内はすっかり中華屋の内装だからちょっと戸惑ってしまったわけだ。
「ほれ、とっととお座り。 飯が冷めちまう」
 促され、ちゃぶ台に着く。 ・・・・ちゃぶ台なんて初めて見た。
 そこに並んでいたのは―――。
「和食だ・・・・」
 秋刀魚、味噌汁、菜っ葉に漬物・・・・・完全に和食。
「コレ・・・誰が作ったんです?」
 ばあさん、和食も作れたのか?

805 :中華:第三話 3 :05/03/08 05:11:24 ID:lOxsD9GB
「わたしアル」
「え・・・藍がコレを?」
「はいな。 勉強したアル」
「へぇ・・・凄いなぁ」
「まぁまだまださね。 季節外ればっかりさ」
「あ・・・そう言えばそうだ」
「えへへ・・・まだ出来るのそれくらいしかなかたから・・」
「いやでも凄いよ・・・食べてもいいかな?」
「勿論アル」
「じゃ、いただきます」
 ん・・・・コレは・・。
「美味しい・・・」
「ホント!? やた、ほぃさむ!」
「うん、美味しいよ、コレ・・・・凄い、下手すると僕が作ったのより美味しいかも・・・」
「そな褒めても、ナニも出ないよ〜」
「ん〜、でも本当に美味しいよ。 凄いね」
「そう言われると練習したかいあるよ〜」
「やっぱ練習したんだ?」
「はいな。 お兄ちゃんのために・・・あ」
「え・・・ぼ、僕のため?」
「・・・・・・・はいな」
 こ、こんなことまで・・・・? え、ホントに・・・?!
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・何二人で世界作ってんのさ。 ここにババァが居ること、忘れんじゃないよ」
「え、あ、何言ってんすか、も〜! あははははっ!!」
「そ、そうアルばばさま! あははははっ!!」
 ・・・・食卓に二人の寒い笑いが響いた。

806 :中華:第三話 4 :05/03/08 05:12:31 ID:lOxsD9GB
「ふぅ〜・・・何か・・・眠れない」
 それで。
 僕はやっと床についたんだけれども・・・なんか眠れない。
「ん〜・・・藍があんなにまで僕を慕っててくれてるとはね・・・」
 どうしてだろう・・・・藍は・・僕をかなり慕ってるみたいだ・・・・・でも、なんか・・・。
 コンコン―――。
「・・・誰?」
「わたし・・・アル」
「・・藍? どうしたの、こんな時間に・・・」
「開けて・・・いいか?」
「うん」
 すっ・・・と戸が引かれ、藍が入ってくる。
「で、どしたの?」
「あの・・・お兄ちゃん・・お願い・・・あるよ」
「うん?」
「一緒・・・・寝ていいか?」
「・・・・・・・・(えぇぇぇ―――――!!?)」
 な、なんとか声には出さなかったけど・・・そ、それはマズイんじゃないかな!?
「ら、藍、いくらなんでも、そ、ソレは・・・・」
「ダメ・・・・・か?」
「・・・・藍?」
 すがる様な・・・・目。
「う・・・・・ん〜・・・・・しょうがないなぁ・・」
「やたぁ・・んこぃ」
 早速布団に潜り込んでくる。
「お兄ちゃん・・・じょうたう」
「う、うん・・・お休み・・・・」
 そうして・・・・一分と経たないうちに、藍は寝息を立て始めた。
 藍・・・・キミはどうして・・そこまで僕を信用してるんだ?
 ・・・・・なにか・・不自然な程に・・・・・・・。

807 :中華:第三話 5 :05/03/08 05:14:48 ID:lOxsD9GB
「すぅ・・・・」
 穏やかな息。 本当に・・・・僕に委ねてしまっている。
 まだ、会って一週間そこらなのに・・・・。
「おにい・・・ちゃ・・」
「ん・・・・?」
「すぅ・・・」
 寝言で、僕を? はは・・・出来すぎだよ・・・。
「おいてちゃ・・・・や・・・」
「・・・・え・・?」
「また・・・藍を・・・らう・・・・せい、んだく・・・!!」
「・・・・・・」
「ご・・・・んだく・・・! まま、ばば・・・・ご・・らう・・・じょい・・!!」
 意味は・・・・分からなかった。
 けれど・・・・この娘の抱える何かを・・・垣間見た気がした・・・・。
「・・・・よしよし」
 僕は、藍の頭を撫でた。 少しでも・・・藍を安心させてやりたくて・・・・・・。
「あ・・・ご・・・・・ご、んごい・・・ほう・・」
 藍は、幸せそうに微笑んだ。
 僕の存在が少しでもこの娘の救いになるなら・・・・こうして撫で続けよう。
 いつか、本当に救える日が来るまで・・・・。

 小さな決意と供に・・・僕の一日は終わった。

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0ch BBS 2004-10-30