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[第四弾]妹に言われたいセリフ

545 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/17 23:16:05 ID:SqAW3MX4
「春香っ!!」
病室に転がり込む。春香に繋がれていたパイプは消え、呼吸器もなくなっていた。
背後で担当医が医者に出ていくように告げる。すぐに病室には俺たちふたりだけになった。
「……お兄ちゃん……」
「春香っ!!ここだよ!!ここにいるよ!!」
「……あは……分かるよ。目、見えるもん……」
ぎゅっ、と強く手を握る。春香は弱弱しい笑みを浮かべた。
「……春香、もうがんばれない……」
「そんなこと言うなよ!!まだ、まだ頑張れるだろ!?」
「ううん……春香、分かるの……」
それからゆっくりと、本当にゆっくりと呼吸をして、春香は呟いた。
やめろ。
言うな。
「次に眠ったら……もう……起きられないと思う……」
―――つう、と頬を涙が伝う。
「春香……幸せ……だったよ。後悔……してないから……」
嗚咽をもらす。
「だから、泣かないで……お兄ちゃん……」
分かっている。泣いちゃいけない。でも、止められない。
「春香まで……泣いちゃう……から……」
俺は涙を必死でこらえた。それから春香の頭を撫でる。
春香は気持ち良さそうに目を細め、やがて言った。
「お兄ちゃん……お願いが……あるの……」

546 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/17 23:17:05 ID:SqAW3MX4
真夜中の駐車場を、ひとつの影が走っていく。
いや。
よく見ると、それはふたつの影が重なってひとつになっていることが分かる。
背中に誰かを背負った誰かは、駐輪場に近づいていく。
錆び付いた自転車を引っぱり出し、背負っていた誰かを後部に乗せる。
自分は前に座り、ゆっくりと向きを変えていく。
そして。
かなりの速さで、自転車は走り出していった。
「…………」
それを一人の男が見つめていた。白衣を着て、メガネをかけている。
担当医だ。
彼はポケットから本来は使用禁止のはずの携帯電話を取り出すと、どこかへかけ始めた。
しばらく何かを話し、通話を切る。
「私にできることは……これで精一杯だ。すまない……」
ぽつりと呟き。その場に崩れ落ちた。

547 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/17 23:18:06 ID:SqAW3MX4
闇夜の中、とある部屋の女性が動き出した。
一人の女性が電話で何かを叫び、室内を走り回っている。
しばらくして電話を切ると、車のキーを掴み、部屋から飛び出していった。


闇夜の中、死んだ街が動き出した。
数々の民家から人が飛び出していき、次第にそれは周囲に広がっていく。
人影が民家を訪ね、そこからまた人影が飛び出して、さらにまた隣の家へ―――。
それらを繰り返し、どんどんと人影は増えていく。


闇夜の中、死んだ空が動き出した―――。

548 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/17 23:20:25 ID:SqAW3MX4
_| ̄|○ 長い間つまらない駄文を読んでいただいて感謝しています。
次回でやっと最終回です。

……これ、萌える話じゃないや。

549 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/17 23:23:57 ID:UdHGKjV2
続きをはやく!飢えてる!涙がでそう!
続きを…早く俺にネ申SSを…!

550 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/17 23:25:29 ID:AjGjRSZr
俺にも続きを…

ダム決壊寸前

551 :堕天使は紫音の調べ ◆cXtmHcvU.. :05/02/17 23:34:44 ID:kwDjySo7
もう…今にも大泣きしそうな状態です……  (ノд`)゜。゜ 



552 :前スレ931 :05/02/17 23:46:29 ID:zNcO6j6I
あ、ダメだ。どうやら完全に俺の負けみたいです、海中さん
ラストが気になって気になってしょうがないんで続きくださいっす…

553 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/17 23:56:25 ID:6sYkCy8Y
……漏れを殺す気かぁ〜!
懐中殿ぉ!早く…早く最終話を見せて下され〜!

554 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/18 01:58:57 ID:8ltRfqlH
すげぇ・・・。
今日中に見れるのかな・・・?

555 :前スレ921 :05/02/18 04:18:01 ID:RChPIumj
やばい……凄過ぎる……やっぱあなた神だ。゚・(ノд`)・゚。

とゆーわけで海中さんの邪魔をしたくないので明日は貼るの控えようと思います。

556 :コンズ :05/02/18 10:37:54 ID:iLYM7GZf
海中時計様すんばらしすぎます!自分も早く続きがぁ!!
前スレ921様もお願いしまふ

557 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/02/18 18:13:03 ID:puWRS2Hx
。・゚・(ノД`)・゚・。


そういや、海中時計様のネタをパク……いや、影響されて俺の双子のSSが出来たんだよな……。
ホントに頭が上がらねぇよ……。

558 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/18 20:57:57 ID:/rC7efZR
ああ、こう言うの俺弱いんだ・・・。
読み終えたら数日間は鬱状態と食欲不振が続く。

559 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/18 23:03:29 ID:wJObKQim
( ´−`) .。oO(長かった。でもここまで書けたのはみなさんのおかげです。ありがとう)

あらすじ
7日前 332-336 340-345
6日前 367-373
5日前 400-408
4日前 461-466
3日前 523-531
終わりの始まり 543-547

それでは泣けるBGMをおかけになって、どうか最後までお読みになってください。

560 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/18 23:04:32 ID:wJObKQim
終わりの終わり。


「はあっ……はあっ……!」
息も絶え絶えに、俺は春香を乗せて自転車をこいでいた。
急な坂道を全力でのぼっていく。てのひらに汗が滲みだし、ハンドルを握る手が滑る。
しかも病院で盗んだ自転車は錆び付いていて、今にも自壊しそうだった。
「お兄ちゃん……」
春香は俺の腰に手を回し、しっかりと抱きついている。
「大丈夫……!きっと……たどり着ける……!」
真っ暗な空の下、街灯の明かりを頼りに、自転車は進んでいく。
目指す先はもちろんあの場所。
この街で、最も空に近い場所。
あの丘だ。
俺は病室での春香の言葉を思い返していた。

「お兄ちゃん……お願いが……あるの……」
「な、なに!?なんでも言って!!なんでもしてやるから!!」
「あのね……春香、お星様が見たい……」
「お星様?」
「うん。……あと、お月様も……」
春香は首を傾け、窓の外を見た。空は真っ暗だ。
「お兄ちゃんの魔法……見たいな……」

561 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/18 23:05:37 ID:wJObKQim
「はあっ……ふうっ……!」
全力でペダルを踏みつける。自転車は失速しながらも、少しずつ坂道をのぼっていく。
全身の骨が軋んでいる。肺が活動することを拒んでいる。
だけど、そんなものは今の俺にとっては微々たる問題にしかすぎなかった。
そして、たどり着いた。
あの丘だ。
「は、春香……着いたぞ……」
「うん……。ありがとう、お兄ちゃん……」
「ま、まだ……お礼は早いって……」
俺は無理矢理、呼吸を整える。肺が悲鳴を上げるがなんとか我慢する。
「よ、よし……!いくぞ!」
俺は春香から少し離れ、草むらの上に立つ。
……周囲を風が駆け抜けていく。空は相変わらず真っ暗だ。
俺は両手を広げる。風をその身に受ける。……大丈夫、やれる。

562 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/18 23:06:40 ID:wJObKQim
―――なあ。
俺たちが見えるか、親父、母さん。
春香、死にそうなんだぞ。
力を貸してくれよ。頼む。
春香はいい妹なんだ。誰にでも優しくて、明るくて。家事も万能だし、文句無しだ。
それに、可愛いし。
そんな春香が、あの時の空を見たいって言っているんだ。
あの時の空だよ。宝石箱をひっくり返したような、あの空。
頼む。
力を、貸してくれ。
親父、あんた天才音楽家なんだろ。
この世のすべてを……奏でてみせろよ。
俺は見えないタクトを振り上げる。



―――振り下ろす!

563 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/18 23:07:43 ID:wJObKQim
そして真っ暗な空は―――――――――――――――――――――何も変わらなかった。
「あ…………」

俺は膝をつく。もはや動けなかった。
……すべてが終わってしまった。
ゆっくりと春香に振り返る。
春香は俺の目を見て、にへっと微笑み……。
……そのまま涙をこぼした。
「ううっ……」
俺は春香に近寄り、優しくその体を抱きしめる。
ぎゅっと抱きしめる。
「もう離さないよ、春香」
「…………うん」
春香は呟き、顔を上げる。
そっと、俺の唇にキスをした。
「ありがとう、お兄ちゃん。今も、昔も、これからも…………ずっとずっと大好きです」
「ああ……」
春香にキスを返す。
「俺も好きだよ。大好きだよ……春香」
春香はうっとりと表情を緩ませ、ぎゅむっ、と俺の胸に顔をうめた。
「えへへ……両想い……だね……」
「ああ…………」
そして。
「…………さよなら…………お兄ちゃ…………」

ゆっくりと。

その瞳を。

閉じ―――。

564 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/18 23:08:46 ID:wJObKQim
ようとしたとき、大地は輝いた。


まず我が目を疑った。
一面に広がる、光、光、光。まさに光の海だ。
そう。
街が、街が光っていた。
「……お、お兄ちゃん……」
「ああ……これは……」
ぶるるるる。
自転車のカゴの中の携帯電話が揺れた。ふたりは呆然とそれを眺める。
しばらくして留守電に切り替わり、メッセージが流れる―――。

「もしもし?私だ。妹さんは無事か?無事じゃなかったら君を殴らせてもらう。
星が見たいんだって?聞かせてもらった。さっき、件のお姉さんに電話した。
あいにく、巨大ライトと懐中電灯とすべての家を利用した地上の星しか作れなかったよ」

担当医だ。担当医はそれだけ言うと、じゃ、と切ってしまった。
ぶるるるる。

「もしもし!?オレだ!!あの医者から話は聞いたぞ!!
町の連中をすべて駆り出した!!どうだ!?すごいだろ!!」

要姉さん。
電話から、様々な励ましの声が語られる。
がんばれ。死ぬな。諦めるんじゃないよ。おまえら、最高だよ。がんばれよ、真人、春香!
俺はよろよろと立ち上がり、携帯電話の電源を切った。
俺たちは。
俺たちは、決してふたりきりじゃなかった―――!

565 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/18 23:09:50 ID:wJObKQim
「すごいな」
「……ん……」
圧倒的な光。まるで空をはやしたてるかのように、大地が光っている。
俺は空を見上げた。……うん。今度は俺の番だ。
みせてやろう。
もう一度、タクトを振り上げる。
どうしてここまでしてくれるのか。
俺たち本川家は天才音楽家だ。
この寂れた町の名前を、一瞬で世界に広めたのだ。
町の誇り。
この街が生んだ天才音楽家の息子、真人とその妹、春香。
ならば、期待に答えなければ。あの頃のように。

あの頃?

視界が、真っ白に染まっていく。

………………そして思い出した。

俺の名前は本川真人。―――双子だった。
双子の妹の名前は、はるか。
もうひとりの妹だ。
俺と双子で生まれたはるかは、小さい頃から俺に懐いていた。

566 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/18 23:10:53 ID:wJObKQim
「おにいちゃん!待ってよーっ!」
「あははっ!早くこいよ、はるかっ!」
「待ってよーっ!……ううっ……ぐすっ……」
「あ、泣くなよ!もう、僕がお父さんに怒られるだろ?」
「ううっ……だって……」
「しょうがないなぁ……。ほら、はるか。みてごらん」
「……え?」
そう。俺はタクトを振り下ろす。
たちまち空には星が溢れ、月が輝く。
「うわあ!すごい、すっごーい!」
「えへへ。すごいだろ」
「うんっ!ありがとう、おにいちゃん!」
えへっと笑う、はるか。

「……そして数年で、はるかは死んでしまった。交通事故だった。
悲しみに暮れた親父と母さんは、養子をもらうことに決めた。
それは偶然というか奇跡というか。同じ年に春香という子どもが生まれていた。
親父と母さんは春香を養子にして、悲しみを愛情に変えて、注ぎ込んだ」
息を継ぐ。
「ははっ……。だから小さい頃、俺は春香があまり好きじゃなかったんだ。
オムライス、嫌いだったし。俺の反感を買ってたわけだ」
そして、俺は見た。
真っ白な世界に立つ、魂を分かち合った、双子の妹の姿を。

567 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/18 23:11:56 ID:wJObKQim
「久しぶりだね、はるか」
「うん」
「やっぱり、運命かな。春香ははるかにそっくりだ。……はは、言ってて混乱する」
「そうだね」
「元気?ああ、失礼だよな、それは」
「そうかも」
「くそっ。なんではるかのこと、忘れていたんだろうな?」
「私が死んで、春香ちゃんを養子にして、それからお父さんとお母さん、亡くなったから」
「ああ、そうだった。だから記憶に鍵をかけたんだった」
「本当はね。お父さんとお母さんが憎かったの。私のこと、忘れていたから」
「ああ」
「春香ちゃんも憎かった。おにいちゃんを独り占めしていたから」
「ああ」
「でも、おにいちゃん、春香ちゃんのこと好きなんだよね?」
「ああ」
「……負けちゃった」
「はは」
言葉はいらなかった。
ありがとう、はるか。

568 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/18 23:13:00 ID:wJObKQim
大丈夫。
俺は“僕”に戻れる。
あの日に失った力も、取り戻せる。
僕は半身のカケラを再び手に入れた。
ほら、タクトが見えるようになった。
タクトを振りかざす。

―――僕は、タクトを振り下ろした。
瞬間。


ようやく、空は輝いた。

569 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/18 23:14:03 ID:wJObKQim
「わ……」
春香は目を丸くして、ぼうっ、と空を見上げた。
数多の星々と見事な満月が、優しく世界を照らしていた。
「どうだい?」
僕は春香に振り返る。
「……あはは……やっぱり……お兄ちゃんはすごいよ……」
歩み寄り、その体を抱きしめ、改めて周囲を見回した。
……すごい光景だ。空と地上は呆れるほどの光を放っていた。
「春香」
僕は春香の顔を両手で挟み、固定する。
「好きだ」
「……うん」
そして―――。

「ありがとう……お兄ちゃん。わたし、幸せでした……」
そして、長い長い物語は……僕らの、長い長い物語は。ようやく終わりを告げたのだった。

570 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/18 23:15:06 ID:wJObKQim


ジリリリリ。
……目覚まし時計が鳴っていた。
僕は腕を伸ばし、乱暴に止める。
昨日で連休は終わり。今日からは登校だ。
ふと、空になった左腕を見る。数日前までは春香の頭があった、左腕。
今は誰もいない。
僕はベッドから上体を起こし、思いっきり背伸びをした。
欠伸をしながら階段を下りる。
半ば意識が覚醒しないまま、リビングのドアを開けた。


「おはよう、春香」
「おはよう、お兄ちゃん」
春香はエプロン姿でくるりと振り向き、両腕をぶんぶんと振った。
「ほらほらぁっ!早く食べないと学校に遅れちゃいますよ?」
「ああ、早く食べないとな」
テーブルに座る。春香はエプロンを外し、向かいの席に座った。
「それじゃ、いただきます」
「はいっ、お水」
「お。さんきゅ」
「えへへ……。一人前のお兄ちゃんますたーだもん。当然だよ」
「なにそれ」

571 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/18 23:16:10 ID:wJObKQim
ふたつ、変わったことがある。
ひとつめは春香の病気。もともと原因不明だったけれど、これまた原因不明に治ってしまった。
町の住民はわしたちの活躍のおかげじゃ!と信じて疑わなかったりする。
……おそらくあの時、はるかが何かをしたのだろう。
今や春香は一人で眠るようになり、家事のすべてを取り仕切るようになっていた。
そしてふたつめ。僕たちは―――。
……いや、話さないでおこう。何だか分かるはずだろうし。

そうそう。最近、新曲を書き上げた。春香が入院していた頃から作曲していたやつだ。
来週、要さんたちと初合わせが行われる。そのうち僕も練習しておかないとな。
そして。
僕が名づけた、この曲のタイトルは―――。



『パンドラ』 ―――終わり。

572 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/18 23:17:03 ID:q7aCQjGo
リアルタイムGJ


全米が泣いた!

573 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/18 23:28:21 ID:regz0yie
ネタがだせない…むしろ自分がちゃんとかきこめてるかもわからない
目の前がぐしゃぐしゃだし自分でなに書いてるかわかんない
とにかく神「海中時計さん」に感動をありがとうございました!

574 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/18 23:43:17 ID:wJObKQim
>>572
ありがとうございます。嬉しいです。

>>573
正直、感動してくれる人がいたら嬉しすぎです。
俺も涙でキーボードが見5jpy

575 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/18 23:57:33 ID:W+yB/ujZ
GJ!

いや〜、久しぶりに感動しました

576 :前スレ921 :05/02/18 23:58:38 ID:RChPIumj
乙でした!
アレ?目が霞んでよく見えない(つд⊂)

(。゚д゚)……

(つД`)・゚。
俺から言える事は二つだけ……
萌えと感動をありがとう。
次回作待ってます。
涙が止まらねぇ(。ノД`)。゚。

577 :[○]総会屋 ◆dlxMjaHjk6 :05/02/19 01:06:13 ID:bFOsHtzX

            \     _n               /
              \   ( l    _、_ グッジョブ /
               .\   \ \ ( <_,` )    /
                 \   ヽ___ ̄ ̄  ) /
   _、_  グッジョブ       \    /    / /   _、_   グッジョブ
 ( ,_ノ` )      n        \∧∧∧∧/   ( <_,` )     n
 ̄     \    ( E)       < の .グ >   ̄     \    ( E)
フ     /ヽ ヽ_//        <     ッ >  フ     /ヽ ヽ_//
─────────────< 予 .ジ >────────────────
    ∩          .     <     ョ  >
    ( ⌒)     ∩ good job! < 感 .ブ >.      |┃三
   /,. ノ      i .,,E      /∨∨∨∨\.     |┃   ガラッ  話は聞かせて
  ./ /"      / /"    /         .\    |┃ ≡    _、_  もらった
  ./ / _、_   / ノ'     /   グッジョブ!! \__.|ミ\___( <_,` )< グッジョブ!
 / / ,_ノ` )/ /     /|    _、_     _、_   \ =___    \
(        /    /\ \/( ,_ノ` )/( <_,` )ヽ/\≡   )   人 \
 ヽ      |     /   \(uu     /     uu)/ \


578 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/19 03:03:39 ID:Kg1TqN/8
すげーとしか言えないです。
コレの後じゃ誰も貼れなくなるかもですよ・・・・。
本当、すげー。 すげー。 すげー。
バグった。 しかしすごい。

579 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/19 04:45:09 ID:Kg1TqN/8
よし、余韻をぶち壊して貼るぞ! じゃないと誰も貼れなくなるからな!
僕を踏み台にしてくれ! コレでも読んで自身を付けるんだ!
「下には下がいるもんだな」 って!

580 :1:ただの日曜日SS :05/02/19 04:48:12 ID:Kg1TqN/8
 日曜の朝日を浴びながら、浅い息を繰り返し、小刻みに、跳ねる様に、前へ、前へ。
 約800mの折り返し地点。
 スピードを落とさずターン。
 今まで追い抜いてきた風景が再び現れる。
 また、前へ、前へ。
 時速制限の看板、曲がり角のミラー、すれ違い際に交わす新聞配達員との挨拶―――。
 数年前からずっと変わらない、俺のジョギングの風景。
 と、ふいに現れる見慣れない、見慣れた後姿。
 短めの黒髪に小さなリボン。
 あれは、翔華(しょうか)?
 何故翔華がここに?
 いつもの朝の散歩――いやそれは無い。
 数年来、ジョギング中に会ったことは無い。
 俺のジョギングも、翔華の散歩も別の時間、それぞれの時刻を外れることなく続けられてきた。
 だったら、何故。
 辺りをキョロキョロと見回し、何かを探している様だ。
 段々と距離が縮まり、声が聞こえ始める。
「――ゃん、健兄ちゃん!」

581 :2:過去と現在のSS :05/02/19 04:49:13 ID:Kg1TqN/8
『二人とも、待ってよぉ〜』
『何やってんだ、翔華!』
『翔華、こっちだ急げ!』
『そんなに早く走れないよぉ〜』
 小さい頃のことだ。
 俺は一組の兄妹に出会った。
 毎日毎日同じ公園で会ううちに、いつの間にか俺も兄妹の一員になっていた。
 兄の名は健一郎。 妹の名は翔華。
『よ〜し、ここまで来れば大丈夫だな』
『健、翔華がまだ来てないぞ』
『大丈夫だって。 すぐに――ほらな』
『はぁ、はぁ、ひどいよ〜っ。 二人とも翔華のこと置いてくんだもん』
『あのなぁ翔華・・・・今回の作戦は素早い行動がモノを言うんだ。 お前に合わせてたら確実に失敗しちゃうだろ』
『ふえぇ・・・健兄ちゃん、ひどいよぉ〜』
『健、ちょっと言いすぎじゃないか』
『甘やかすな、洋介。 別にオレは翔華をいじめてる訳じゃないんだ。
 翔華はやれば出来るんだ。 翔華、もう大丈夫だよな?』
『う、うんっ』
 兄は誰よりも妹を理解していて、それを知っている妹は誰よりも兄を信頼していた。
 俺も早くそうなりたい。 そう願ってやまなかった。

 けれども、兄は、今―――。

582 :3:兄妹+1SS :05/02/19 04:50:13 ID:Kg1TqN/8
「健兄ちゃ――んっ!」
 余程懸命なのか、大分近づいても俺に気付く気配は無い。
「翔華、どうした」
 殆ど真後ろに立って声を掛ける。
「あ・・・・洋兄ちゃん!」
 若干、涙目なのに気付く。
「あの・・・健兄ちゃんが、昨日からいないの・・・・」
「・・・またか」
 気付かれないよう、小さく溜め息。
「放って置いても、今晩辺りにひょっこり帰ってくるだろ?」
 週に一度はふらっと出て行き、一晩もすれば帰ってくる。
 それがアイツの行動パターンだ。
「でも・・・・事故とかに遭ってるかも・・」
 その度に心配する翔華。
「大丈夫だよ。 生まれたばっかの仔犬じゃないんだからさ」
 ――その度になだめる俺、なだめられる翔華。
「でも・・・なんか、胸騒ぎが・・するの」
 しかし、今日の翔華は引かなかった。
「すごく・・嫌な予感、するの・・・・怪我とかしてるのかも」
 何故――と思い、一つの変えようの無い事実に思い当たる。
 そうか。 明日なのか。
「どうしよう・・・・健兄ちゃんに何かあったら・・・私、私・・・っ」
「――分かった。 俺も探そう」
「あ・・・うん、お願い、洋兄ちゃん」

583 :4:ココロ前向きSS :05/02/19 04:51:17 ID:Kg1TqN/8
『誰にも見付かってないか?』
『うん、多分大丈夫だよ』
『本当かぁ?』
『う、うん・・・・多分、大丈夫・・・』
『健、やめろって。 それより早く行ったほうがいいんじゃないか?』
『そうだな。 ここでうだうだやってたら見付かっちまう』
『ほら翔華、そこ、気を付けて』
『うん、洋兄ちゃん』
『ほらお前ら、急げよ』
『分かってるって。 ・・・・でもさ健、本当に在ったのか?』
『ああ、間違いないって。 あれはダイヤモンド、ってやつだ』
『ダイヤモンドか・・・重いのか、やっぱり』
『ああ。 でなきゃ翔華なんか連れてかないって。 猫の手も借りたい、ってやつだよ』
『うぅ〜、健兄ちゃんひどい〜』
『いいからしっかり働けよ、翔華。 お前も洋介が家族になったら嬉しいだろ?』
『う、うんっ。 お母さんにダイヤモンドあげて、洋兄ちゃんを家族にして下さい、って頼むんだよね?』
『ああ! それで洋介はオレたちの本物の家族だ!』
『二人とも、ゴメンな・・・・オレのために・・』
『何言ってんだ、洋介。 弟のために一肌脱ぐ、ってやつだぜ』
『そうだよ、洋兄ちゃん』
『・・・えぇ〜、オレが弟なのかよ』
『当たり前だ。 お前が一番新入りなんだからな。
 本当はお前が一番下なんだけど、どう見ても翔華よりしっかりしてるから二番目な』
『うぅ〜・・そうだけどぉ。 やっぱり健兄ちゃんひどい〜』
『・・ま、いっか。 じゃあ悪いけど二人とも、オレのために力を貸してくれ!』
『おう!』
『うん!』

584 :5:過去に囚われたSS :05/02/19 04:53:23 ID:Kg1TqN/8
 学校、商店街、駅前。 辺りを見ながら回っていく。
「・・・・見付からないね」
「やっぱり公園だな」
「うん・・・急ご」
 気ばかり焦っている様だ。
 理由のない焦燥感。
 翔華・・・お前は、今も―――。
「健兄ちゃん・・・・」

585 :6:廃屋探検SS :05/02/19 04:54:28 ID:Kg1TqN/8
 廃屋の危なっかしい階段を登り、三階へ。
 廊下を箸まで歩いて、健が止まる。
『ここだ』
 右手に指差す古めかしい扉。
『すげぇボロいな。 開くのか?』
『思いっきりやればな。 洋介、手伝え』
『おう』
 二人掛かりで戸をこじ開ける。
 がたん。
『あ、開いたよ』
『よし、中に入るぞ・・・あ、入り口のとこ、気を付けろよ』
 見ると、床が今にも崩れそうになっていた。
 ひょい、と健が飛び越えていく。
 俺もそれに続いた。
『翔華、跳べるか?』
『う、うん、やってみる』
 危なっかしく、ぴょん、と跳ぶ。 しかし、着地際にバランスを崩し転びそうになる。
『危ない!』
 とっさに手を掴み、引っ張って抱き寄せる。
『翔華、大丈夫か?』
『う、うん・・・ありがとう、洋兄ちゃん』
『気にすんなって』
 カァー、カァー。
 いきなり響く烏の鳴き声。
 振り向くと、俺の身長位ある窓ガラスの向こう、木の枝に烏が止まっていた。
『あはは、笑われちゃったな』
『あはは、そだね』
『おい、お前ら何やってんだー?』
 奥から健の声。
『悪い、すぐ行く』

586 :7:萌え無しSS :05/02/19 04:55:31 ID:Kg1TqN/8
 無駄に広い公園を、文字どうり草の根分けて探していく。
 一分、十分、三十分。 時間が積み重なるうちに、随分無駄なことをしている様な気がしてくる。
「健兄ちゃん・・・無事でいてね・・・・」
 翔華の悲痛とも言える願いが、かろうじて俺を繋いでいた。
 きらっ。
 視界の隅に映る光の反射。
 歩み寄り、それを拾い上げる。
「洋兄ちゃん・・?」
 それはアイツがいつも首にかけているタグプレートだった。
「そ、それって・・・・け、健兄ちゃんの・・・っ!
 健兄ちゃん、何か事件とか、事故とかに巻き込まれたの!?」
 動揺する翔華。
「落ち着け、翔華。 コレ、いつも外れやすいってぼやいてたやつだろ?」
「う、うん・・・健兄ちゃんのことだから、落としたの気付かなかったんだよね?」
 自分に言い聞かせるように、翔華は呟いた。
「健兄ちゃん・・・・大丈夫、大丈夫だよね・・・・・」
 アイツの無事を祈る翔華は、最早悲痛そのもので―――。
「健兄ちゃん・・・・!」
 翔華・・・・お前は今も―――健一郎に縛られている。

587 :8:トラウマSS :05/02/19 04:56:41 ID:Kg1TqN/8
『うわぁ・・・すごーい!』
『こりゃあ・・・すごい量だな』
『な? これだけあればきっとお母さんも許してくれるぜ』
『そ、そうだねっ』
『しかし・・重いってのは量が多い、てことだったのか』
『ああ。 コレなら分けて運べるから翔華でも役に立つだろ』
『うん、翔華も頑張る!』
 持って来た鞄に、ガラス細工のダイヤモンドを詰めていく。
 それが俺たちの願いを叶える魔法の石だと信じて。
『よし・・・翔華、それ背負って立ってみろ』
『え・・・まだ入るよ?』
『いいから』
『う、うん・・・わわ、重いよぉ・・・』
『やっぱりな・・・ほら、こっちに入れなおせ』
『う、うん・・・この位かな』
『健、こっちは詰め終わったぜ』
『よし・・・こっちもオッケーだ』
『結構重いな・・・・翔華、あの床跳べるか?』
『多分・・・』
『まず洋介から行け。 で、鞄だけ渡してその後に翔華が跳ぶんだ』
『よし、それでいこう』
『せ〜の、よっと・・・・と』
『洋兄ちゃん、大丈夫?』
『おう。 よし翔華、鞄渡せ』
『うん―――』
 ぎしっ。
 軋んだ床の音を、今でも憶えている。

588 :9:物理的SS :05/02/19 04:57:45 ID:Kg1TqN/8
『あ――』
 崩れる床。
 手を伸ばす俺。
 届かない。
 健一郎の手が、翔華に届いた。
 そのまま引っ張り寄せて――。
 何も無い方向へ翔華を送り出す。
 物理法則に作用反作用というものがある。
 いわく、力が作用するときには必ず反対方向に同等の力が発生するという。
 また、同じ加速度のときならば、質量が多いほど力は増す。
 リュックいっぱいにガラス細工を積んだ健一郎は、その力を制御出来る訳もなく――。
 ガラス窓を突き破り、宙を舞った。
 ―――鈍い音。
 時が止まった。
 何が起こったのか、分からなかった。

589 :10:ココロの時SS :05/02/19 04:58:47 ID:Kg1TqN/8
『健にい・・・・ちゃん・・・・?』
 数秒後か、数分後か。
 翔華の声が俺を現実に引き戻した。
『け・・・健!』
 廃屋を駆け下りていく。
『健! 健!』
 あの木の根元。
『健、け――』
 赤。 赤。 赤。
 赤にまみれた、人形が一体。
『け・・・・ん・・・・・・?』
 虚ろな目で、ただ宙を見つめて。
『おい・・・嘘だろ・・・・・?』
『けんにいちゃん・・・・・?』
 上から、翔華の声。
『翔華! 見るな!!』
 見せてはいけない。 何故か真っ先にそれが浮かんだ。
『けんにい・・・・』
『翔華! 見るな!! 翔華っ!!』
『う・・そ・・・・けんにい・・ちゃん・・・・・?』
 人形は動き出すこともなく。
『う・・・・わぁぁぁ――――っ!!!』
 ただ翔華の慟哭を聞き続けて。

 そして、彼女の時が止まった。

590 :11:犬SS :05/02/19 05:00:02 ID:Kg1TqN/8
 がさがさっ。
 草むらから物音。
「あ・・・健兄ちゃん!?」
「・・・・・・・」
「健兄ちゃんでしょっ!? 健兄ちゃん!!」
「・・・・ほら、出て来いよ」
 がさがさ、がさっ。
「健兄ちゃん!!」
 駆け寄り、抱きつく。
「心配したんだから・・・健兄ちゃんに何かあったら・・・私、私ぃ・・・っ!!」
「・・・・・?」
 きょとん、とした顔。 なぜ翔華が泣いているのか分かっていないようだ。
 ぺろっ、と涙を舐め取る。
「健兄ちゃん・・・・無事で、ひっく、無事でよかった・・」
 想いが伝わったのか。 ようやく口を開く。
「わうっ」
 元気を出して、とでも言うように、その犬は翔華の涙を、頬を舐め続けた。

591 :12:PTSDSS :05/02/19 05:01:12 ID:Kg1TqN/8
 兄は誰よりも妹を理解していて、それを知っている妹は誰よりも兄を信頼していた。
 兄を失った妹の心は、粉々に砕けた。
 何をするでもなく、兄の名を呼び続けていた。
 俺はといえば、何も出来ない自分を憎むことしか出来なかった。

 ある日、妹に一匹の犬があてがわれた。
 何でもいい、生きるという行為に復帰するきっかけになれば――。
 そう願ってのことだった。

 妹は、粉々になった心を辛うじて繋ぎ止めた。
 そして、その犬は彼女の兄になった。


「健兄ちゃん・・・良かった・・・・よかったよ・・」
 泣き続ける翔華を、俺は直視することが出来なかった。
 憐憫、後悔、怒り。 全てのような、どれでもないような感情を持て余していた。
「また・・・・居なくなるのは・・やだよ、健兄ちゃん・・」
 それは、ただ単にこの犬の放浪癖へのつぶやきだったのかもしれない。
 だが、俺には――二度目の別れに対する怯えに聞こえた。

592 :13:流れ出す時のSS :05/02/19 05:02:32 ID:Kg1TqN/8
 泣き止み、帰り道。
 俺は聞かずには居られなかった。
「翔華・・・・明日は何の日か知ってるか?」
 答えて欲しかった。
 健一郎のために。
 翔華のために。
 俺のために。
「明日・・・・? なんだろ? 分かんないや」
 けれども、願いは叶わなかった。
「・・・・・そっか」
「何の日なの?」
「いや・・・・何でもないよ」
 翔華・・・それが翔華の望みなら・・・・俺はそれに従うよ。
「何だろ〜・・・? 何かあった気もするんだけど」
「いいんだ。 忘れてくれ」
 それが、きっと翔華のためなんだ。
「でも・・・何か気になる・・・・・あれ?」
「翔華・・・?」
「あれ? あれれ?」
 泣いていた。
 声もあげず、ただ涙を流していた。
「あれ? な、なんで? 何で涙が・・・?」
 ―――それが、俺を動かした。
 あるいは無意識の悲しい記憶が揺さぶられただけかもしれない。
 けれども、俺には翔華が今の自分を嘆いているように見えた。

593 :14:俺の屍を超えていけSS :05/02/19 05:07:32 ID:Kg1TqN/8
「な、何で泣いてるんだろ? え、えへへ、おかしいね、健兄ちゃん?」
「わうっ」
「あれれれ? ま、また涙が・・・」
 翔華・・・そろそろ歩き出そうか。
 俺も、勇気を出すよ。
「・・・・・・翔華、明日暇か?」
 健一郎が死んだ、明日。
 その日から止まった時を、動かそう。
「え? う、うん、暇だよ」
 兄は誰よりも妹を理解していて、それを知っている妹は誰よりも兄を信頼していた。
 俺も早くそうなりたい。 そう願ってやまなかった。
「ちょっと付き合ってくれないか?」
「え・・・へへ〜、で〜とのお誘い?」
 けれども、兄は、今はもう居ない。
 だから、俺が兄になるんだ。
「まぁそんなとこかな」
 誰よりも翔華を理解して。
「え・・・・? あ、う、うん、そうなの? じゃ、じゃあ準備しておくね」
 誰よりも翔華を想って。
「そんなに準備とかはいらないぞ。 色気の無いところだからな」
 誰よりも翔華と一緒にいて。
「え、何処行くの?」
「墓参り、かな」
「おはか・・・?」
「ああ。 一緒に、行こう――」
 健一郎、見ていてくれ。
 お前以上の兄になってみせるよ。


 明日、俺たち三人の、時が動き出す。

594 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/19 05:17:05 ID:Kg1TqN/8
以上です。
マネして真面目な話を書いてみました。 出来はあぼーん。 ('A`)
ふふふ、これならばみんな自身を持って貼れるハズだ。
自分なりにせいいっぱいSS的なものを書いたつもりですが、出来はあぼーん。 (AA略
台本でいいです、もう。 そっちのが楽だし。
ってかこれPTSDじゃないね、トラウマだけど。
てかてか、血のつながったあにいもうとモノ書いたことないや。 このスレ的にあぼ(ry
まぁいつもどうり「:」をNGにしておけばおkですから。 多分。
では、次回からはもっといいSSが貼られる予定なので、職人ならびに神さま、あとはよろしく。
へたれ台本をたれ流してるお姉さんは逃げますから。
言い訳がウザいね。 あぼーん。 逃げ逃げ。

595 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/19 05:21:59 ID:b/5C8TBX
愚痴っていいですか?
さらにはりづらく感じるのは決して俺だけじゃないな
もうエロ妹スレのSS書くのいやになってきたわ俺
三人の神SS+神SS見せられたら書けないよ(´;ω;`)
マジで…

596 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/19 07:22:46 ID:PyVdSitL
今さら言う必要もないだろうけど、言わずにはいられない

ここのSS、ヘタな小説やゲームより泣ける(さらに萌える)

597 :前スレ921 :05/02/19 07:52:00 ID:fwguD8yi
甘いですよ清次郎の人!
下には下がいるもんです!
何を隠そう一番下はこの漏れさorz
一番下というものをお見せしましょう
……貼りづらい('A`)

598 :前スレ921 :05/02/19 07:53:16 ID:fwguD8yi
ドアを開けた瞬間、笑顔で広司に手を振っていた夢亜の表情が凍り付いた。

「どうした?」
この質問の返答はわかっているが一応聞いておく。社交事例のようなものだ。

「……さ……さぶぅい……」
予想以上の反応。ついさっきまで笑顔で手を振っていたのに今はその細い両腕を自分を抱き締めるようにして震えている。
俺達をカウンターから見送っていた広司も密に吹き出していた。
こういう事をされるとツッコミたくなってしまう……折角テレビでの件を忘れたようだしここで夢亜の機嫌を損ねるような事はしない方が良いだろう。

599 :前921 :05/02/19 07:55:21 ID:fwguD8yi
ともあれ夢亜と星一は家へと歩き始めた。

「夢亜、寒い中悪いが、寄り道してもいいか?」

「お兄ちゃん……私を殺す気なの……?」
夢亜から早く帰りたい・という雰囲気が漂ってくる。
自分の体を両腕で抱え込み、細い体はぶるぶると震えている。
だが、今ここで夢亜を帰らせる訳には行かない。
星一は着ているダッフルコートを脱ぎ、夢亜に掛けてやる。

「っ!?……え?」

「それ貸してやるから少し寄り道に付き合ってくれ。」

「でも、それじゃお兄ちゃんが寒いよ!!」

「俺はいいから。付き合ってくれるよな?」

600 :前スレ921 :05/02/19 07:56:57 ID:fwguD8yi
「う…うん。ありがとう。」
夢亜は訳のわからない。という顔をしている。

「サンキュー。この寄り道は夢亜と一緒じゃなきゃ意味がないからな。」

「そ、そうなの……?ねぇ、どこ行くの?」
夢亜は相変わらずきょとんとしている。俺の普段とは違う態度に戸惑っているのだろう。

「……着けばわかる。」
そう言って俺は家とは違う方向へ歩き始めた。

―――10分程度して星一は歩みを止めた。夢亜もワンテンポ遅れて、星一の横で止まる。

「着いた。」

「着いたって……ここ、海だよ?」

601 :前スレ921 :05/02/19 07:58:18 ID:fwguD8yi
そう。ここは海だ。
家からさほど離れていないが、この辺りは民家も無く、普段から人通りも少ない静かな所だ。

調度風も止み、穏やかな波の音だけが辺りに響く……

「上だ。」

「上??……あっ」
兄に促されて見上げて空は、雲一つない夜空に無数の星とほんの少し掛けた穏やかな月が佇んでいた。

「うわぁ〜〜〜……」
家から見る夜空とは比べものにならない。
うっすらと軟らかな蒼みを帯びた銀の月。
夜空に宝石をちりばめたような星……いや、ちりばめたというより敷き詰めたと言った方が正しいかもしれない。
そして穏やかな波の音。

602 :前スレ921 :05/02/19 08:00:17 ID:fwguD8yi
夢亜は思わず感嘆の声を漏らし、見とれてしまった。

「まぁ…アレだ…テレビを見れなかったお詫び……だな。どうだ?」

「凄い!!こんなに綺麗な星空初めてだよ!!」
我を取り戻した夢亜は感激の言葉と共に兄の方へと向き直る。
と、兄がいつもと違う事に気付いた。
普段は何でも冷静にこなしてしまう兄が、もどかしそうな、歯痒そうな顔をしている。
普段しなれない事をして、照れているのだろう。

長年同じ家で暮らしている夢亜でも初めて見る。

「そっか。それは良かった。ここは俺のお気に入りの場所だからな。」

603 :前スレ921 :05/02/19 08:02:50 ID:fwguD8yi
星空を見上げた兄の口調はとても穏やかなものだった。
こんな兄の姿は初めてだった。いつもの冷静な顔でもふざけた顔でも無く、少し子供っぽさの漂うぎこちないが軟らかな照れ笑い。

「お兄ちゃんのお気に入りの場所なのに、私に教えちゃっていいの?」
余り自分の事を話さない兄の秘密を知ってしまったみたいで、少し不安になる……

「言ったろ?夢亜と一緒じゃなきゃ意味がない・って。夢亜だから教えたんだよ……」
そう言った兄の顔からはぎこちなさはもうなく、穏やかな優しい顔で私を見ていた。

604 :前スレ921 :05/02/19 08:04:19 ID:fwguD8yi
いつも私の前に居た兄。追い掛けても追い掛けてもいつも私の前にいた兄が今、私を見ている。これが兄ではなく、本当の星一の姿……
そう思ってしまったら急に恥ずかしくなってきた。

「そ、そんな……あ…ありがとう……」
それだけ言って兄から顔を反らす。
冬なのに顔が熱い。頭がぼーっとしてしまって立っているのも辛い……

「……折角だからそこに座って広司がくれたミルクティーでも飲んでくか。」
そう言いながらスタスタと防波堤の方へと歩いて行く。

「お兄ちゃん!!」

605 :前スレ921 :05/02/19 08:06:45 ID:fwguD8yi
夢亜は防波堤へ向かう兄へ向かって走り出した。
そして兄が振り向く間もなく背中に飛び付く。

「だぁーい好きっっっ♥」
言葉にすればたった一言……それでもぼーっとする頭の中で考えた私の精一杯の気持ち……

「俺もだ……夢亜…大好きだよ」
聞き逃してしまいそうな程、穏やかな波の音よりも小さな声、それでも私にはしっかりと聞こえた―――ずっと聞きたかった。たった一言―――

夢亜は力一杯兄を抱き締める。離れないように……精一杯の笑顔の瞳から流れる涙が見えないように……

606 :前スレ921 :05/02/19 08:20:25 ID:fwguD8yi
これで本編は終わり。

これが俺の限界orz
マイPCよ……なぜあぼーんしてしまったのさ……
しかもいっつも『大好き』で締めてんの('A`)ワンパターン

神達が舞い降りるまでの繋ぎ程度にでも読めて貰えれば幸いです。
萌えない泣けないつまらない。三拍子そろってるorz

SS書いてみようかな・って人。俺を踏み台にしてがんがって書いてみませう。
踏み台にすらならないかもね('A`)
おれのレベルじゃ他の人達の足元すら見えないよママン。゚・(ノД`)・゚。

607 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/19 11:20:53 ID:runVYSLl
記憶力のない俺にはどの話か分からなくって来ている…。
しかし断片だけでも十分萌える!さすが最強の神集団。GJ!!

608 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/19 17:43:56 ID:Kg1TqN/8
対処例 1
1 ぞぬをダウソ。
2 読みたいヒトのコテをコピー。
3 フィルタのHN欄にコピー。
4 フィルタかける。
5 (゜д゜)ウマー


スレタイ的には
921さんのSS    ○
おいらの台本もどき ×
何だかんだで「大好き」に勝る萌え台詞はないっすよ。 最高。 (´д`*)

609 :堕天使は紫音の調べ ◆cXtmHcvU.. :05/02/20 02:05:03 ID:PpJ3dGJT
みんなすごくレベル高い…
もう小説家だ……  (ノд`)゜。゜ 

610 :コンズ :05/02/20 15:13:41 ID:XYqH5QjX
いんや、最早小説家の域を超えちまったようだ!すばらし過ぎる!
どなたか投下お願いしまふ!!

611 :前スレ921 :05/02/20 19:41:28 ID:Lep92P5F
あんまり褒められるとニヤニヤし過ぎてとろけちゃいます(=´∀`=)

>>コンズ氏
では投下させていただきます。
短い&スレ違いであまり引きずりたくないのでプロローグとエピローグ一度に貼ります。

612 :前スレ921 :05/02/20 19:45:11 ID:Lep92P5F
暗闇に居た。
何も見えない、光の無い世界。
気付いた時にはそこに居た。

(ここは…どこ……)
当然な疑問。
ただ、声に出したつもりだが、声が出ていたかわからない。

何もわからず立ち尽くしている。そう、何も……
名前すらわからない。
不安も恐怖も感じない。
何も感じない。ただ、胸に空いた気持ちを除いては―――。

何か足りないような……とても大切なものを忘れているような……。

暗闇の恐怖も不安も感じないのに、この気持ちだけが気になって考え込んでしまう。

『――夢亜――』

613 :前スレ921 :05/02/20 19:46:15 ID:Lep92P5F
突然声がした。
いや、声というより心に直接響いてきたと言った方が正しいかもしれない。

夢亜。
そうだ。私の名前。
しかし、声の主はいったい……
そう思った瞬間、突然景色が変わった。
暗闇にぽつぽつと淡く青白い、小さな優しい光が瞬き始めた。
光は瞬く間に広がっていきすぐに辺り一面に広がった。

幻想的な風景。まるで満天の星空の中に舞い降りたような、とても綺麗だ。

何となく、近くの淡い光に触れようと手を伸ばす……

光に手が触れた。
それと同時に今まで無かった感情が沸き起こる。

614 :前スレ921 :05/02/20 19:48:29 ID:Lep92P5F
不安……広い世界に一人だけ取り残されてしまったような不安。そして恐怖。

苦しい……意識が朦朧(もうろう)としていく……目の前の『世界』が霞んでいく……

意識が薄れていく……恐い……

(……お兄……ちゃん……)

615 :前スレ921 :05/02/20 19:50:53 ID:Lep92P5F
幻想的な風景。
まるで満天の星空の中に舞い降りたような、とても綺麗な風景。
気付いた時にはそこに居た。

指先に触れていた淡い光―――かけがえのない思い出

淡い光―――それは記憶

兄との思い出……

胸に空いた気持ちは消えていた。

しかし何か足りない………

とても大切なもの………

記憶の中に居ても

ここには居ない兄

瞼が熱い……
瞼の熱は液体となり少女の頬を伝う

―――お兄ちゃん―――

返事など来るはずはない

液体が雫となり頬からこぼれ落ちる
そして地面へ―――

『―――夢亜―――』

616 :前スレ921 :05/02/20 19:56:39 ID:Lep92P5F
聞こえるはずのない声

少女は叫ぶ
『お兄ちゃん!!』

少女の瞳から大粒の涙がこぼれた。

―――その瞬間

光達が騒ぎだす

強風に流されるように私の周りを飛び交う

光達は重なり、次第に大きくなってゆく

いつしか光はひとつになり少女を包む

何故だろう

暖かい

心地良い

同時に強い眠気が訪れる

意識が薄れていく―――

617 :前スレ921 :05/02/20 19:58:38 ID:Lep92P5F
………暖かい。

あの光だろうか……?

―――

何か聞こえる……

「夢亜……夢亜……っ」

兄の声。
重い瞼をゆっくりと開く。

白い天井が見える。

「夢亜……」

兄の声が震えている。

「……どうしたの……?」

突然、手が濡れた。

ゆっくりと頭を動かし兄を見る。

「夢亜……良かった……」
泣いている……あの兄が……

618 :前スレ921 :05/02/20 20:00:04 ID:Lep92P5F
何故かわからない……

「お兄ちゃん……泣かないで……」

突然兄に抱き締められる。

「夢亜ぁ……」

「お兄ちゃん、私ね、夢を見てたの。
お兄ちゃんと星を見た時の夢―――」



ここが病院だという事
私が事故にあったという事を知るのはこの後だった。

619 :前スレ921 :05/02/20 20:20:24 ID:Lep92P5F
これにて今回のSS(台詞集)終了です。
皆さんこんなヘタレに長い間お付き合いいただきありがとうございました。

━夢亜のまとめ━

プロローグ>>612-614
第一話 >>456-459
第二話 >>495-504
第三話 >>534-541
第四話 >>598-605
エピローグ>>615-618

620 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/20 20:33:10 ID:zfiDSEHP
最初っから順番どうり貼った方がよかったと思いました。
ともあれ、ぐっかれ。
携帯からなんてすごい。 僕には真似出来ない。
次回作待ち。

621 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/20 20:42:37 ID:zNLAeDKx
グッジョブ!

こころゆくまで萌えパワー充電さしてもらいました

これで心置きなく受験に迎えます

622 :前スレ931 :05/02/20 22:31:09 ID:F/fNqW10
お見事でした、921さん
遅れましたが、スバラシイです海中さん

ぬ〜…俺も次こそ誇れるようなSS書こう…

623 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/20 22:42:13 ID:zfiDSEHP
あんまり頑張られると貼りづらくなるヒトが何人か・・・あ、僕だけっすか? そうですか。
そんなわけで、そろそろもとの馬鹿みたいな感じの台本を貼っつけたくなってきた。
理由1 みんなのために犠牲になろう! 踏み台精神! (建前)
理由2 真面目なのは正直、自分にはもう無理。
理由3 SS風に書くのめんどい。 台本を想像で補ってこそ萌えイズム! がんがれみんな!
理由4 単に貼りたい。
ただ、こーいうの貼ると嵐が来そうでやなんだよなぁ。
神とか新規のヒトとかに迷惑かかりそう。
でも多分貼る。

624 :前スレ931 :05/02/20 22:50:20 ID:F/fNqW10
>>623
どしどし貼っちゃって下さい!
待ってますよう?

625 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/20 23:10:14 ID:zfiDSEHP
待つと言われたら待たせない。
それが僕の戦略。 いみーでぃえっとりぃに貼りゅ。

626 :1:相談SS :05/02/20 23:12:14 ID:zfiDSEHP
「鉄、俺の相談に乗ってくれ」
「あ? 何だよいきなり」
「保品川って男、知ってるか」
「保品川・・・・保品川先輩か? 陸上部だろ?」
「そいつってさ・・・好みのタイプとかって、あるのか?」
「は?」
「どういうやつが好みなんだ? 年下派か? 奥手なのは苦手か? 林檎は好きか?
 どーいう風に告られたら落ちそうだ? 付き合ってる奴はいないんだよな?」
「お、おい、史郎、お前まさか・・・」
「まさか・・・なんだ?」
「・・・・保品川先輩、狙ってんのか?」
「・・・・・はぁ?」

627 :2:頼られSS :05/02/20 23:13:15 ID:zfiDSEHP
 トンでもない誤解を受けるところだった。
「よう、俺の名前は小野寺史郎。 家族構成は両親と妹が一匹。 その妹が今回の騒動の原因なんだ」
「・・・・・おい、何を言い出すんだ」
「うるせぇなぁ、折角人が物語の導入風に事情を説明しようとしてんのに」
「悪かったよ、続けろ」
「いや、もう飽きた。 掻い摘んで説明するとな――」


「おにいちゃん・・・・あのね?」
 食事が終わって部屋でくつろいでいると、ドア越しに声が掛かった。
「その・・・相談が・・・あるんだけど」
「・・・・まず部屋に入ってきたらどうだ」
「ふぇぇっ!? お、おにいちゃん、今の聞こえてたの!?」
「は? ・・・・独り言・・?」
「あ、あの・・・・・入る・・・・ね?」
 おずおずと開けられるドア。
「あ、あのね・・・その・・・相談が・・・あるんだけど」
「それはさっき聞いた・・・・ってか、何してたんだよドアの前で」
「れ、練習・・・相談、持ちかける・・・」
「はぁ・・・?」
「あの・・・・ね?」
 視線をさまよわせて、もじもじもじもじ。
 段々と頬が赤くなってきている。
「その・・・おにいちゃんは・・保品川さんて・・・知ってる?」
「知らん」
「にゃうぅぅ・・・・そう・・・」
 がっくりとうなだれ、帰ろうとする。
「まぁ待て、話くらいなら聞いてやるから、そんなにしょんぼりすんな」
「う、うん・・・・じゃあ、聞いてくれる?」
「おう」

628 :3:にゃうぅSS :05/02/20 23:14:15 ID:zfiDSEHP
「あの、ね・・・・?」
「おう」
「かなるね・・・?」
「おう」
「その・・・・ね?」
「おう・・・・」
「・・・・にゃうぅ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「はよ言え―――っっ!!!」
「にゃうぅっっ、ごめんなさい〜〜っっ!!」
 飛び退き、部屋の隅にうずくまる佳奈留。
「ごめんなさいぃ、ごめんなさいぃ・・・・」
「あ〜・・・いや、悪かった。 つい、な・・・だから泣かんでくれ・・・・」
「にゃうぅ・・うん・・・」

「と、言う訳だ、鉄」
「さっぱり分からん」
「だろうな。 肝心のところを話してない」
「殴るぞ」
「お前の姉さんに言いつけるぞ」
「関係有るか」
「無いな。 よし、続きだ」
「結論だけ言え」
「その先輩を今日の放課後、呼び出してくれ」
「お前はどうしてそう極端なんだ」
「遺伝だ」
「遺伝か。 妹さんには受け継がれてないようだがな」
「文句ならファラデーに言えよ馬鹿」
「メンデルだ大馬鹿野郎」

629 :4:告白SS :05/02/20 23:15:17 ID:zfiDSEHP
「あのね・・・・かなるね・・・す、好きに・・・・なっちゃったみたい・・なの」
 三十分くらいしてから、ようやく佳奈留が口を開いた。
「・・・・何だって?」
 が、ちょいと読み込みエラー。
「だ、だから・・・かなる・・・好きに・・なっちゃったみたい・・・」
「はぁ? 佳奈留が? 何を?」
「だ、だからぁ・・・その・・・・」
「俺か?」
「ちっ、ちち違うよぉっ! その、保品川さんのこと!!」
「・・・・・へぇ」
「にゃ・・・・にゃうぅ〜〜〜っっ!!」
 みるみる顔が赤くなる。
 手で顔を隠そうと試みるも、全く隠れない。
「にゃうっ、にゃうぅ〜っ!」
 ばっ、とベッドに逃げ込み、布団にくるまってしまう。
 ・・・・そこ、俺のベッドですが。
「へぇ・・・佳奈留が恋を、ねぇ・・」
「にゃうぅっっ」
「佳奈留、そのままでいいから話せよ」
「にゃう・・・うん」

 佳奈留がその男を見初めたのは、何でも我が高校の文化祭だったらしい。
 俺と見て回ったわけだが、そのとき運動部主催の腕相撲対決が行われた。
 景品に某電気ネズミのぬいぐるみ。
 今どきどうかと思ったが、佳奈留がたいそう気に入った様子だったので参加した。
 で、だ。 そのとき俺と対決したのが保品川なる男らしい。
 何でもそこそこ名の知れたスプリンターらしく、名前は簡単に分かったらしい。
 何となく気になり、それからずっと悶々と眠れぬ日々を過ごしていたらしい。
 で、昨日やっと気付いたそうだ。
 コレは恋だ、って。

630 :5:初恋SS :05/02/20 23:16:21 ID:zfiDSEHP
 時刻は六時三十分。 呼び出してもらった時間にはあと三十分ある。
 あの後佳奈留が言い出したことは、正直驚いた。

「だから・・・ね? その・・・保品川さんに・・伝えたいの・・・・」
「ふむ?」
「だから、だから・・・明日、保品川さんと・・お話したいの・・・・」
「・・・・いきなり告白か」
「にゃ、にゃうぅ・・・」
 否定しなかった。
「いいけど・・・いいのか、そんないきなりで? 心の準備とか」
「かなるは・・・平気だよ? ・・・ううん、平気なんかじゃないけど・・・多分、いつまで経っても・・そうだから・・。
 だったら・・・・想いが確かなうちに・・・伝えたいよ・・」

「あの佳奈留にあんなこと言わせるたぁね・・・」
 思わずごちる。
「兄貴としては、少々複雑だね」
 いつの間にか、佳奈留も大人になってたんだな。
 妹の旅立ちを見送る兄・・・なかなか絵になりそうだな。
 と、向こうからてってけと駆けて来る少女。
「来たか・・・」
「お、おにいちゃん・・・ごめんね・・遅くなっちゃった・・・・」
「いや、まだ余裕だ」
 長い針は、9を少し越えたところ。
 ・・・・あんな短い回想で15分も使ってたのか。
 感慨浸りすぎ、俺。

631 :6:保護者のSS :05/02/20 23:17:26 ID:zfiDSEHP
「さて・・・俺は帰るかな」
「にゃうっ? か、帰っちゃうの?」
「邪魔だろ」
「そ、そんなこと、無いけど・・・」
 随分と心細そうだこと。
「あのなぁ、保護者同伴で告白する奴がどこに居るっての」
「にゃうぅ・・・そうだけどぉ・・」
「言うことは決めてあんだろ? なら、バシッといけ!」
「にゃう・・・う、うんっ」
 決意を固めた佳奈留は、まさに戦乙女の顔をしていた。
「だいじょぶだ。 佳奈留の可愛さは俺が保障する。 佳奈留に告られてぐっとこない奴はいない!」
「にゃう・・・うん、がんばるっ」
「よし、それで良い。 それじゃあな。 幸運を祈る!」
「にゃう!」
 妙な返事だったが、気合はばっちりだ。
 大丈夫、きっと上手くいくさ。
 なんてったって、この俺の妹だからな。


「ふぅ・・・・今頃告ってる頃かな」
 時計を見る。 七時七分七秒。 スリーセブン。
 ふっ・・・勝ったな、この勝負。
 テーブルの上には晩御飯。 「暖めて食べて」のメモ付。 母さん夜勤らしい。
「勝利の晩餐にゃ、ちょっとしょぼいが・・・お、佳奈留の好きな林檎じゃん」
 佳奈留との祝賀会のため、晩御飯はステイ。
「あ〜、早く帰って来〜い。 兄ちゃん腹減ったぞ〜」

632 :7:心配SS :05/02/20 23:18:29 ID:zfiDSEHP
「いや待てよ・・・上手くいったんなら帰りが遅くなる心配も・・・いやいや!
 佳奈留に限ってそんなこたぁねーか!
 でもなぁ・・・明日帰ってくるとかじゃねぇよな、まさか・・・ない! それはない!
 しかぁし! ちょっと語らってくるくらいはあるかもしれん! 腹減る!!」
 いつにも増して饒舌な独り言。
 何だかんだで心配らしい。
 あはは、俺ってば良い兄貴してる?
 がらがら――。
 キタ――――!!
「お、お帰り、佳奈留!!」
「ただいま・・・」
「か、佳奈留・・・・どう・・だった?」
「えへへ・・・・」
 佳奈留がにっこりと笑う――力無く。
「駄目でした・・・・」
「そ・・・・そう、か・・」
「えへへへ・・・へ・・・・・・・・・・・うぅ」
「佳奈留・・・」
「・・・・おに・・おにいちゃぁぁんっっ!」
「佳奈留・・・・・!」
「う、うああぁぁぁぁぁんっ、わぁぁぁぁぁんっっ」
 何も言えなかった。 ただ、佳奈留を抱きしめてやることしか、俺には出来なかった。
 くそっ、何が良い兄貴だ・・・・!

633 :8:兄とSS :05/02/20 23:19:32 ID:zfiDSEHP
「おにい・・・ちゃん」
「ん・・・?」
「今日・・・一緒に寝て、いい?」
「ああ・・・・」
 辛い事があったとき、佳奈留はいつもそうねだってきた。
「ご飯、食べなくていいか?」
「うん・・・食べたく、ない・・・」
「そっか・・よっと」
 お姫様抱っこ。
「はは、結構大きくなったな」
「にゃう・・重いってこと?」
「そーいう意味じゃないって」
 とん、とん、とん、と階段を登っていく。
「佳奈留、開けてくれ」
「ん・・・はい」
「電気を・・」
「すぐ寝るのに?」
「そーだな。 電気はいいか」
 とさっ。
 ベッドに横たえてやる。 しかし、何だかな・・・。
「にゃう・・? おにいちゃん・・・?」
「ん、何でもない」
 これじゃあまるで俺が佳奈留の恋人みたいじゃないか。

634 :9:添い寝SS :05/02/20 23:20:32 ID:zfiDSEHP
「おにいちゃん・・・・はやくぅ・・・」
「はいはい、今入りますよっと」
 俺も布団に入り込む。
「にゃう」
 待ちかねた、とでも言わんばかりに抱きつく佳奈留。
「にゃう・・・・おにいちゃん」
「なんだ?」
「ううん・・・なんでもないよ」
「・・・・佳奈留、無理はするなよ」
「大丈夫・・・・かなる、おにいちゃんが居れば、なんでも大丈夫だもん」
「そうか」
「うん・・・・・お休み、おにいちゃん」
「お休み、佳奈留」
 ゆっくりと・・・・眠りに落ちていく。
 ゆっくりと・・・・穏やかに。
 夢の世界へ。

635 :二酸化炭素 :05/02/20 23:22:20 ID:FARTYvB+
妹「にぃたん〜」
兄「ん?どうした雛乃?」
妹「ひなおなかすいた〜」
兄「そうか〜なにが食べたい?」
妹「かれ〜がたべたい〜」
兄「わかった大人しくテレビみてまっててな」
妹「うん!ひないい子だからおとなしくしてる〜」
俺とひなはかなり年の離れた兄妹だ
俺19ひな5
親はひながまだ2歳のころに他界している
当初は親戚が預かってくれるといってくれていたのだが
断ったどうしても俺が守らなくちゃいけない気がして…
だから今はひなと俺の二人暮しとても大変だでも
兄「できたぞ〜」
妹「かれ〜!」
兄「おいしいか?」
妹「うん!ひなにぃたんの作ったかれ〜大好き〜」
兄「そうかありがとう」
妹「ひなね〜おっきくなったら大好きなにぃたんのお嫁さんになるの〜」
兄「はははっ!楽しみにしてるぞ」
ちゅ
妹「にぃたんだーいすきぃ!」
兄「…ふふっ」

でもこんな生活も悪くない


はぁ〜変なものはってしまった
リハビリもかねて書いてみたがだめですね
スレ汚しスイマセン'`,、('∀`)'`,、

636 :二酸化炭素 :05/02/20 23:24:56 ID:FARTYvB+
うわ〜!スイマセン!!
こんな糞SSで神SS汚してしまって!!
うわ俺なんか死ねばいい!!

637 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/20 23:25:18 ID:zfiDSEHP
おおっと、タイミング被っちまったぜい。
炭素くんへの乙コールはちょいとまってくれ!
僕のがまだあるんだ〜っ。

638 :10:約束SS :05/02/20 23:26:27 ID:zfiDSEHP
『おにいちゃんは、かなるのこと、すき?』
『ん? まーすきかな』
『えへへ、そしたらけっこんだね』
『結婚?』
『うんっ! けっこん! すきどーしのおとこのことおんなのこは、けっこんするの!』
『ばかだなー、佳奈留。 兄妹は結婚できないんだぞ』
『え・・・?』
『それにだなー、結婚するんなら大人しい女の子がいい、ってきいたことがあるぞ』
『ええ? ええっ?』
『おまえどっちもだめじゃん』
『そ、そんなー・・・かなる、おとなしいおんなのこになるよっ。 だから、だからっ』
『でも、兄妹じゃん』
『う・・うぅ〜・・・・やだぁ・・・・おにいちゃんとけっこんするぅ』
『むりなものはむりなんだよ』
『やだぁ・・・・おにいちゃんとけっこんするんだもんっ』
『泣くなよなぁ・・・しょうがないなぁ』
『にゃう・・・けっこん・・・・』
『佳奈留、結婚はむりだけどな、オレがずっと一緒にいてやるよ』
『ずっと・・・いっしょ?』
『ああ。 それなら結婚と変わんないだろ・・・・・・たぶん』
『うん・・・わかった・・・・・かなる、それでがまんする』
『そのかわり』
『にゃう?』
『もうわがまま言うなよ。 オレがずっと一緒にいてやるんだから』
『にゃう・・・・がんばる・・・』
『がんばる、じゃない! なんでも大丈夫にしろ!』
『にゃ、にゃうぅ・・・・うん、かなる、なんでもだいじょぶにするっ』
『よーし、それでいい』
『だから・・・・ずっといっしょだよ、おにいちゃん?』

639 :11:思い出しSS :05/02/20 23:27:48 ID:zfiDSEHP
 朝。
 素敵な夢を見た朝は寝起き抜群。
「何で思い出しちゃうかねぇ・・・・」
 しかもこのタイミングで・・・・いやこのタイミングだから思い出したんだろうけど。
「ずっと一緒か・・・」
「にゃう・・・? おにいちゃん?」
 俺の右腕が声を発した! でなく、右腕に抱きついた佳奈留が寝ぼけ声を出す。
「おにいちゃん・・・今・・」
「あーいや、何でもないぞよ?」
「おにいちゃんも・・・同じ夢・・・・見たの?」
「へ・・? ・・・・・ん、多分な」
「にゃう・・・・えへへ」
 む・・・なんか恥ず。
「さて、起きるぞ!」
「にゃうぅ・・・もーちょっと」
「なぬ?」
「もーちょっと・・・・このままがいい」
「・・・・我侭は言わんのじゃなかったのか?」
「お願いだよう・・・・」
「ああもう・・・もう少しだけだぞ」
「にゃう、有り難う、おにいちゃん」
 すりすりと頬を擦り付けてくる。 腕がくすぐったい。
「んで? どーすんの?」
「にゃう・・・ちょっと、お話しよ?」
「・・・・この状態でいる理由が分からんが、まぁいいだろう」

640 :12:発覚SS :05/02/20 23:28:56 ID:zfiDSEHP
「昨日ね・・・保品川さんにね、言われて・・ちょっとショックだったことが・・・・あるの」
「なに? よし言ってみろ、場合によっちゃタダじゃおかんぞあの野郎」
「にゃうぅ・・・駄目だからね?」
「まず話してみなさい」
「うん・・・・あのね・・かなるね、一生懸命伝えたの・・・・・かなるの気持ち」
「うん」
「でもね・・保品川さんにはね・・・・・」
「好きな奴とか・・・恋人とかがいたのか?」
「ううん・・・そうじゃないの。 でもね、誰よりも大切な人が居るんだって」
「・・・・・恋人も作れないくらいか?」
「うん・・・・・」
 恋人も作れないくらい大切な人、か。
「だから、ごめん、って・・・」
「それがショックだったのか?」
「ううん・・・・その後ね、別れ際に言われたの」
「何て?」
「キミにも、そういう人が居るんじゃないか、って・・・・」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「・・・・そうか」
「えへへ・・・・誰だか分かっちゃった」
「・・・誰だよ?」
「にゃう、内緒だもん」
 勿論、聞かなくても分かっていた。 自惚れじゃ無く、確信。

641 :13:婚約SS :05/02/20 23:30:11 ID:zfiDSEHP
「でも、かなるは・・・出来ればその人と、恋人とかになりたかったなぁ・・・」
「・・・なれないのか?」
「にゃう・・・昔、結婚断られちゃったから、ね・・・」
「そうか・・・・」
「にゃうぅ・・」
「でも、それって昔の話なんだろ?」
「にゃう?」
「今だったら・・・・案外おっけーかもしれんぞ?」
「にゃ、にゃ、にゃうぅっっ!?」
 真っ赤になる佳奈留。
「お、おにいちゃん、それって・・・っ?!」
「聞いて・・・・みればいいじゃないか」
「お、おにいちゃん・・・・」
 見つめ合います。 可愛いです。 俺って幸せ者。
「あの・・・・・かなる・・・・やっぱり、おにいちゃんと・・けっこん・・・・したい・・・・・・」
「いいぜ・・結婚、しちゃおうか」
「にゃあ・・・・・おにい・・ちゃん・・・・・でもぉ・・兄妹は、駄目・・・・なんだよ?」
「なんだ、やっぱり嫌なのか?」
「にゃうぅぅっっ」
 ぶんぶんと首を振る。
 俺はもう、兄妹とか、どうでも良かった。 ただあるのは、このか弱い一人の女の子を守りたい。
 その想いだけだった。
「佳奈留、目、閉じろ」
「にゃう?」
 言われたとうりに目を瞑る。
「開けるなよ・・・」
「にゃ・・・・にゃうっ!!??」
 唇と唇が触れ合った。
「おにい・・・・ちゃん・・」
「婚約代わりだ、受け取れ」
「にゃう・・・・うん」

642 :14:そういうことSS :05/02/20 23:31:48 ID:zfiDSEHP
「おにいちゃん・・・・すき・・」
「ん・・・まぁ言わなくても分かってるだろうが、俺もだ」
「にゃうぅ・・なんで? なんでちゅーしてくれたの?」
「そりゃ・・・・好きだからだろ」
「今まで・・・なんにもなかったのに?」
「お互い様だろ・・・お前なんて、昨日まで別の男好きだったじゃねぇか」
「にゃ、にゃうぅぅっっ!!」
「あ〜・・・母さん父さんになんて言おうか」
「にゃうぅ・・しょうがないよ、正直に・・・話そ?」
「そうだな・・・さし当たって、母さんに話すか。 もう帰ってきてるだろ」
「にゃう? お母さん宿直から継続で、今晩まで帰って来ないって言ってたよ・・・?」
「なんと? 聞いてなかった。 父さんは?」
「昨日は泊り込み・・・今日も、かな・・・?」
「佳奈留・・・・今日って休みだったよな?」
「にゃう? うん・・・」
「ふむ・・・・夜まで二人っきりだな」
「にゃ・・・・・・にゃうぅっ!!??」
「・・・・佳奈留。 実は俺、すでに辛抱堪らん」
「にゃ・・・・・?」
「・・・・・・かなるぅ〜〜〜っっっ!!」
「にゃにゃっ!?!? お、おにいちゃ、にゃふぅっっ」
「愛してるぞ〜〜〜っっ!!」

 まぁ・・・・その後は想像にまかすわ。
 ただ確かなのは―――俺たちは愛し合ってるっていう事実。
 いろいろこれから大変かもしんないけど、まぁどーにかなるっしょ。
「な、佳奈留?」
「にゃうぅ・・おにいちゃんのばかぁ・・・////」

「でも・・・やっぱりだいすきだよ、おにいちゃんっ」

643 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/20 23:37:11 ID:NXo0zrGO
思ったんだが、これはSS倉庫をちゃんと作るべきじゃないか?
こんな素晴らしい作品が山ほど有るのにログに埋もれるのは勿体ない。

644 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/20 23:37:41 ID:zfiDSEHP
途中、ちょっとしたアクシデンツもありましたが、こんな感じの馬鹿台本です。
初めて血の繋がったあにいもうと。 そんでちゅー。
なんだか試験的な中身っぽいですが、結局妹泣かしちゃいました。
悪い癖だ。 何故泣かす。 そこに保護欲を掻き立てる妹がいるからさ。
じゃあ今日はこれで終わり。

炭素くん、ぐっかれ。
何気にいいよこれ。 不意を討たれた感じだよ・・・・。

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0ch BBS 2004-10-30