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[第七弾]妹に言われたいセリフ

853 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/06/15(火) 22:33:17 ID:JX5TdrS2
>>852
お兄が投下サボったから文才スレ落ちたんだからね!
でも…このスレで会えて嬉しいよ
って何ニヤニヤしてんの!べっ、別にそんなんじゃないんだから!!

854 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/06/16(水) 02:10:56 ID:f4mXrsGH
>>853こんな妹が欲しかったぉ(´;ω;`)

855 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/06/17(木) 23:55:41 ID:wIKrS1is


『お兄ちゃん』
「んぁ」
聞き慣れた声で目を覚ます。目の前には視界いっぱいに広がる妹の顔。
「…近い」
『あ、ごめん///』
顔を赤らめながら一歩後退する妹。と同時に俺は上体を起こした。
「あふ……んん。で、何か用か?」
『友達のいないお兄ちゃんのために、今日のお誘いを全て断った妹を、まずは褒めて下さい☆』
「んー。友達いますけどね、俺」
『はいはい。人を疑う事しか出来ないお兄ちゃんに、ホントの意味でのお友達なんて居ないでしょー』
いつも思うがコイツは、もう少しオブラートに包むという事を学ぶべきだ。
「悔しいけどその通りに御座います」
まぁ、人を疑いやすい性格なのは事実だし、言い返せないので素直に肯定した。
『という訳で!』
右手人差し指をビシッと一本突き出して俺を指す。
「はい」
『遊びに行きましょうお兄ちゃん!』
「嫌だ」
即答した。

856 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/06/17(木) 23:59:37 ID:wIKrS1is
『なんでですか!?』
「疲れてるから」
昨日は体育祭で、今日はその振替休日。身体が、「早く二度寝しようぜ相棒…」と呟いているのを、全身で感じる。
『ヤングマーン!』
ヤングマン…つまり翻訳すると、『若者がなに言ってるんですかお兄ちゃん!私はこんなに元気なんだからお兄ちゃんはその3倍くらい元気でいないとダメなんですよこの腐れカス野郎!!』と言っているのだろう。
だから俺はこう返す。
「3倍とか無理。あと兄に腐れカス野郎はどうなんだ」
『よくわかりましたねお兄ちゃん!でも腐れカス野郎ではないです。鬼畜腐れカス早漏野郎って思いながら言いました』
「お前の事なら大体はわかるさ〜…って後半なんて!?」
まぁいいや…そう言いながら再びベッドに身体を預ける。
『私の事がわかるのであれば、これから私がどう出るのか…。わかりますよね?お兄ちゃん』
…これを翻訳するとつまり…
『お兄ちゃんが遊ぶと約束するまでこのままここに死ぬまで居座ります。早く着替えて下さいお兄ちゃん』だろう。
『よくわかりましたね』
「俺まだ何も言ってないよ!?」思わずツッコミをいれつつ上体を起こす俺。
『しかし惜しい。早く着替えて下さいお兄ちゃん…ではなく、早く私に着替えさせて下さいお兄ちゃんハァハァ。の間違いです』
「ちょっと今何て!?」
『早く私に着替えさせて下さいお兄ちゃんハァハァハァ』
「増えてる!?」


857 :おしまい :2010/06/18(金) 00:02:23 ID:wIKrS1is
『いいから早く遊びにヴヴヴ
「ん」
枕元に置いてあった携帯が鳴る。サブ画面には友人の名前が表示されていた。
「ちょっと待って」
妹に一言断りを入れ、携帯をとろうとしたその時だった。妹の腕がいち早く伸びて…
ぴっ!
『おかけになった電話番号の契約者は現在妹と愛の逃避行中です。馬に蹴られぬ内に回線をお切り下さい。というかこちらから切りますさようならもう話す事もないでしょう』
ぴっ!
「……」
『…』
見つめあう二人。
『ふふ…お兄ちゃんっ!』
ビシィッ!と 親指を突き立てる妹。
『さぁ有言実行!愛の逃避行といきましょう!!』
「いくかぁぁぁぁぁあああああああああああっっ!!!」
「お前は何をしているんだ!何だ愛の逃避行って?!え?!?」
『わかってる癖に……辞書、持ってきましょうか?』
「そぉおーゆぅうう話しじゃあぁあないぞーーっっ!!?」
『……ごめんなさい。一度、やってみたくて…』
「あははそっか☆」
『はいっ☆』
ゴスッ!喉仏に突きをお見舞いする。
『ごぇっ』
「ったく…はぁ…。…。…着替えるから出てけよ」
『……えっ?…じゃあお兄ちゃん…!』
「あぁもうわかった観念するよ、行―――――
『着替えさせてくれるんですね!!!?』
「ちがうわぁああああああああぁあぁあああ!!」
ゴスッ!
『ぎゃぇっ』

858 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/06/18(金) 06:55:04 ID:g39yktGo
興味深いな、続けて
というかお出かけはどこかね?

859 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/06/20(日) 00:11:14 ID:PXhKWgqH
続きはおまいの脳内で

860 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/06/22(火) 00:00:30 ID:/ggwjg7H
『兄貴ィィィィィ!!』
「うぉ!?」
突然、休み時間の余暇を楽しんでいた所に突如現れる。
『体育着貸せェェェェ!!』
「まてぇい!他の女子から借りればいいだろ!」
『いやぁ〜、今日あたしらの学年全クラスで体育なのに忘れちゃってさ〜』
「なら別の学年からだな…」
『先輩達、体育ないって〜』
そういえば男子だけ外でサッカーだったような…
「さっきまで体育だったからかなり濡れてるぞ?」
『なっ…!?そ、それでいいから貸しなさい!(ハァハァ…)』
息が荒くなっている。
「マジで?」
『え、えらくマジで(ハァハァ)』
「んじゃ、ほいよ」
『サンキュゥゥゥ!』
そのままダッシュで廊下を走り去る。
「よかったのかなぁ…?」
後々後悔するのだが、今は話さない方がいいだろう。

先生「ちょwwwお前何着てる!?w」
『え?兄貴のですヨ…』
先生「あとニヤニヤ&ハァハァしすぎ」
『うへへ〜』
周りの人A「あの子ブラコン?」
周りの人B「みたそうね…」
その日の妹はとてもよい記録が出せたそうな。




861 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/06/22(火) 20:43:54 ID:BitXhzg9
『ねぇ、早く入れてよ…』
「そっちからこいよ」
『え…?わ、わたしから?やだ、恥ずかしいよぉ…』
「そういうのもういいから。早くしてくれ。さっさとイくぞ」
『さっさとイくって…嫌だよ』
「なんでだよ」
『おにぃとゆっくり楽しみながらイきたいの』
「俺はさっさとイきたいんだよ…」
『…なんで?』
「ゆっくりイってたら結構体、濡れちゃうだろ」
『イイじゃん別に…おにぃと濡れあうのも悪くない』
「…もういい」
そう言って妹の背中に手を回し強引に抱き寄せる。
『あんっ、もう…乱暴しないで…』
「さっさと帰るぞ。ったく、次は傘忘れんなよな」
そう言い捨て校舎を後にした。

862 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/06/26(土) 21:23:06 ID:2dQxnUth
「じゃあ、もう行くよ」
兄が私に振り向き、言う。
兄の上京――――――――
いつか来ると待ち構えていたけれど、やっぱり嫌なものは嫌だった。
『上京して一人になっちゃうけど、大丈夫なの?』
「はは。その台詞、今日だけで何回目だよ?」
あっ。となった。顔が赤らんでいくのが自分でもわかる。
『…わ、悪かったわね…』
「…。父さんと母さんによろしく言っといてくれ」
『う、うん。あの二人も休日に仕事が入るなんて残念だよねー、あはは』
無理に笑う。そうしないと泣いてしまいそうになるから。
「…それじゃあ」
『あ、お兄ちゃん…』
「うん?」
『…ううん。な、なんでも…』
「?」
手を振る兄。閉まりだす電車のドア。
気付けば私は兄を追って――――



863 :久しぶりの1レス投稿 ◆isG/JvRidQ :2010/06/26(土) 22:08:19 ID:cRphhW94
「髪型変えようかな……」
雑誌を見ながら、ポツリと呟く妹。
「え……?」
「お兄ちゃん。そんなに私が髪型変えるのおかしいですか?」
「おかしいっていうか、何で今になって?」
「意味はないですけど……暑いし、イメージチェンジに」
「ふーん……ま、好きにしたら?」
「……」
「どうした?」
「お兄ちゃんは、どう思います?」
「は?だから好きに……」
「そういうことじゃなくて!」
「どういうこと……?」
「……お兄ちゃんは、どういう髪型が好きですか?」
「考えたこともない……」
「たまにはバッサリ切ってみても可愛いかなー?」
「……」
「それともパーマとか」
「……」
「あ、髪を染めてみるのもいいかも知れませんね」
「……」
「……どうですか?」
「俺は……」
「うん」
「俺が贈ったヘアピンを使ってくれてる髪型だとうれしいな」
「え……?」
「ほら、ちょうど今みたいな」
「……お兄ちゃん……?」
「ま、髪型は好きにしたらいいよ」
「うん……!!」

864 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/06/27(日) 23:55:18 ID:lRur3KjX
ふんふんふー
『いい、メロディーだな』
私の鼻歌に反応する兄
『よく口ずさむよな、ソレ。なんて歌なんだ?』
お兄ちゃんなら知っていて当然の曲なのに。兄の言葉が、私の胸を締め付ける
「ん、とね……この曲は……」
兄が妹へ贈った歌。そう答えた
『……あ…』
「……お兄……ちゃん?」
私の言葉に何かを感じ取ったのか。何かに気付いた、感づいたような声をだす兄
『…はは…』
気付くと兄の目には涙が浮かんでいた
『歌詞が……でてこねぇや。………俺が…』
「…」
『俺が作った歌なのに……!』
嗚咽をもらす兄。もう見ていられなかった
「…っ…」
『……』
「お兄ちゃん……!!」
涙で霞む兄。ふと、白い天井を見上げる。釣られて私も見上げた
『……記憶障害…なんだ…よな。それすら忘れてたよ。事故で頭ぶつけて…って、何の事故だったっけ?あはは』
「…」
『…あのさ。俺の記憶がある内に…頼みたい事があるんだ』
「…頼み?」
『……俺はもう死ぬだろうから』
「お兄ちゃん!!」
ガタッと立ち上がる。悲しみよりも怒りが勝った。助かる可能性が無い訳じゃない。兄に生きて欲しいと願うから。だからこそ、叫んでしまった
『聞け!!!…俺の……俺の棚に陳列されてある辞書のカバーを外すとエロ本が隠されてるんだ。それ、処理しといてくれ、いやまじで。あんなの置いてちゃ死ぬに死ねねぇ!!』
「は?…………………ぷっ」
『な、なんだよ!』
「……自分で片づけなさいっ」満面の笑みで、そう言った

865 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/07/02(金) 00:43:38 ID:dnNdcJuM
「ただいま」
ウキウキ気分で帰宅。そりゃそうだ。なんてったって今日から夏休み。宿題?…知らんな。
「…?誰も居ないのか?」
やけに静かだ。俺はリビングに駆け寄り、ガチャリとドアを開いた。
『あ…おかえり、兄貴』
そこには、妹が一人、テーブルに肘をつきながら棒状のアイスを頬張っている姿が。
「母さん達は?」
『海外赴任。二人ともね』
マジかよ。そういやそんな事言ってたような言って無かったような…。
『親の話しはよく聞こうね、兄貴』
俺の心中を察したかグサリと突き刺さる一言。伊達に俺の妹をやっているワケではないようだ。
「…ふっ。しかしそんな嫌み、これから始まる俺のサマータイムのおかけで全て受け入れられるぜ…」
『何ブツブツ言ってんの……?あ、あとお姉ちゃんだけど』
姉貴か。そういや居ないな。
「遊んでから帰ってくんのか?」
まだ時間は昼過ぎ。どっかでよろしくやってんだろう。
『や、お母さん達、海外赴任でしょ?それをいい事に彼氏の家に泊まるって…』
なん…だと…!?まさか彼氏とよろしくやっているとは…。
「じゃあ当分は二人暮らしか」
『いや………実は、私もさ、彼氏の家行くから…さ』


「なん…だと…?!」

866 :続き :2010/07/02(金) 00:45:27 ID:dnNdcJuM
「お兄ちゃんは許しませんよ!!!!?」
『お、お姉ちゃんの時とはえらい違いだね…』
そりゃそうだ!可愛い妹だもの!
「そりゃそうだ!可愛い妹だもの!」
思わず口に出してしまった。きゃっ、恥ずかしいっ☆…って、んな事より彼氏がいたなんて初耳なんですけどぉおおっっ!?
『……ま、ま…まぁ、冗談なんだけどね』
「…はっ?」
『…冗談』
何故か火照りながら言う妹。オイ夏風邪か?
「…んだよタチ悪いなぁ…」
安心したのか、脱力感が俺の全身を駆け巡る。思わずその場にしゃがみこんだ。
『どんな反応…するかなって…。ま、まさか兄貴があんな反応するとはブツブツ』
何だかブツブツ言っていてよくわからない。まぁいいや。
「腹減った」
『ん』
食べかけのアイスをこちらへ差し出される。
「いらんわっっ!」
そう言って冷蔵庫の方へと足を進めた。
『……ねぇ』
「んー?お、見事に何もねぇな」
『…な、何で私とお姉ちゃんで反応が違ったワケ?』
「…」
『…』
「……さぁ?」
『なっ、なによそれ…バカアニキ…期待して損したじゃないブツブツ』
「…?」
なんか言ってる。まぁいいや。
「買い物行くぞ」
『あ、うん』
妹と俺。当分は二人暮らし。一体どうなる事やら

867 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/07/04(日) 20:54:28 ID:5oSaalBX
お久しぶりです。>>800-802の続きです。
前回のがアレだったんで、急遽です。
───────────────────────
駅から少し歩いた、とあるマンション。
エレベーターを降り、自室前のドアに鍵を差し込む。
……手応えが無い。
確か朝はちゃんと鍵をかけてきたはずだが。
「……ということは」
残念なことに犯人の目星はついている。
溜息とともにドアを開ける。
「……お」
開けたドアから、醤油と鰹出汁の匂いが漂ってくる。
「にいさま?にいさまですか!?」
部屋の奥からそんな声が聞こえた。
「あぁ、ただいま……」
と答えてみる。
声の主は部屋の奥でドタドタ音を鳴らした後、玄関に全力で駆けてくる。
「にいさま!おかえりませいませ!!」
流れるように玄関前に膝を付き、三つ指付いてお出迎えをする妹。
俺は一切それには触れず、
「どうやって入った……?」
「大家さんに事情を話して入れてもらいました!」
馨の何とも嬉しそうなお顔だが……こちらとしてはセキュリティの甘さに身の毛がよだつ思いだ。
「妹だって話したら、似てるね!って言われちゃいました!!」
「お世辞に決まってるだろ……血の繋がりもないのに」
疲労のせいか、マズい事を言った!と気付くのがワンテンポ遅れた。

868 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/07/04(日) 20:55:32 ID:5oSaalBX
前に同じようなことを行って塞ぎ込ませてしまったのを思い出す。、
いつでも謝る姿勢をとりながら、妹のほうを見ると、
「ふふん、にいさま。馨は大事なことに気付いたんですの!」
なぜか自慢気。
「はぁ?どんな?」
拍子抜けながらも、気になって尋ねた。
「双子は顔がそっくりでも性格が違うように、遺伝子が同じでも人は変わるんです!」
「うん……それで?」
「逆をいえば、にいさまと馨はずっと一緒に過ごしてきたんですから、二人が似てきても不思議じゃありません!」
何だか嬉しそうな馨。
そして、ゆっくり立ち上がって
「にいさま。馨にとっては、にいさまと一緒に過ごした時間が、にいさまとの兄妹の証なんですよ?」
「あぁ……」
「これからも一緒にいましょう、にいさま?」
「……」
馨の甘ったるい顔に耐えきれず、目をそらし、靴を脱いで、家に上がる。
だが、まぁ……
「合鍵、無くしたりはしないよな?」
「え……っ!?は、はい!!絶対大事にします!!」
「明日作ってくる」
「あっ!!はい!!私も明日来ます!!夕飯作って待ってます!!」
「冷たいのにしてくれ。明日も暑いらしいから」
「はい!にいさまのお願いなら!!」
服を脱ぎながら、妹と会話。
あとは、ウチの同居人にお伺いを立てないとな。

869 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/07/05(月) 12:39:56 ID:Ob8tUjBQ
お兄たちGJなんだから!

870 :名無しさん@そうだ選挙に行こう :2010/07/10(土) 21:10:35 ID:Mbf3jiiJ
『兄貴、これなんて読む?』
(汚兄ちゃん)と書かれた紙を出される。
「おにいちゃん?」
『お、正解〜』
ブスッ
『目がァァァァァ』
「全国(俺を含む)の兄貴に謝れ!!今すぐ謝れ!!」
『ニコ○コ動画のタグだからいいじゃん!!』





871 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/07/10(土) 22:11:45 ID:FOH2Zg7f
「御馳走様」
箸をおき、食卓から立ち上がる。
「お粗末様。どうだった、新メニュー?」
先に食べ終わっていた妹の遥はエプロンを装着しながら、俺に尋ねる。
「あぁ、美味かった。やっぱり遥が作るのが一番だな」
「あはは……褒めても何も出ないよ?」
照れくさそうに目を逸らす遥。
つい言ってしまった言葉だが、お互いに褒め慣れても褒められ慣れてもいないためギクシャクしてしまう。
「あ、お兄ちゃん。お茶碗、水に浸けといてくれる?」
「あぁ、分かってるよ」
「それと、お風呂沸いてるから、すぐ入っちゃって」
「おぅ」
「あと、明日から二人で旅行だから、準備しといてね」
「了解……んっ?」
『明日から二人で旅行』……?
「……遥、今なんて言った……?」
「明日から二人で旅行?」
「うん、それ。で、旅行って……何?」
「明日から、二人で海に」
「何で!?」
「お父さんとお母さんがホテルの宿泊券くれたから」
「……何故俺には何も言わない……」
「絶対嫌がるから言うなって……」
……なんてヤツら……俺の性格を分かってやがる……。
「行きたくない?」
「行きたくない」
「何で?」
「……俺みたいな日陰者の行くところじゃない……」
「言うと思った……」
うんざりしたと言いたげな遥。

872 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/07/10(土) 22:12:46 ID:FOH2Zg7f
どうせ語彙が少ないよ、俺は……。
「ならば、なぜ俺を海に連れて行こうとする!?」
「お兄ちゃんにもメリットがあると思うんだけどな」
「メリット?」
「あきらさんや宮原さん達に会わなくて済むじゃない?」
ん?それは確かに大きなメリット……。
だが、しかし……。
「……待て、遥……このノリ、海でも一悶着ある気がする……」
「大丈夫でしょ。万が一海で女の子に会っても、こっちに帰ってきちゃえば問題ないじゃない?」
「いや、普通に越してくるぞ、こっちに。で、絶対に同じ学校だ」
「そんな偶然あるかなぁ……」
「今更何を……今年の夏は確実に女関係の運が悪い」
『今年の夏は』で済めば良いのだが……。
「うーん、無いと思うけど……もし、そんなことになったらお兄ちゃんに協力するよ」
「……」
あんまり気が進まない……。
「行かない?」
「気が進まない」
「行こうよ。遥はお兄ちゃんと行きたいよ」
俺とねぇ……。
しかしまぁ、遥がここまで言うなら……。
「たまには……遥の役にも立たなきゃな」
「行ってくれるの?」
「遥の頼みだ、今回は仕方ない。ただ、そうそうあることと思うなよ」
「うんうん!じゃ、準備しなきゃ!!」
嬉しそうな遥。
珍しいなと思いながらも……やっぱり嫌な予感は……消えない……。
───────────────────────

873 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/07/10(土) 22:13:47 ID:FOH2Zg7f
最近良くお目にかかります。
えっと。別に狙って書いたわけじゃありません。なぜなら二年前に書いたから。
タイミングは完全にアレを狙ってますが。

久しぶりにネガティブ兄の台本になります。いいですね、この兄は。
どんなものか知りたければ、このスレを検索してください。

874 :名無しさん@そうだ選挙に行こう :2010/07/11(日) 02:00:52 ID:yofKIi/8
待望の遥ルート!!!!
遊星殿GJです

875 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/07/19(月) 22:17:15 ID:6TZiJoyo
広い部屋。
高級そうな和内装。
大きな窓。そして広い海。
「……」
落ち着かない……。
大体、子供二人で泊まるようなホテルじゃない……。
一旦チェックインしたら、遥はどっか行っちゃったし……。
「色々見て回るか」
……部屋の中を、だが。
今いるここがまぁ、メインとなる部屋だろう。
隣の部屋へと続くであろうふすまを開ける。
掘り炬燵がある……まぁ、夏なので布団は無いが。しかし、どうやら遥もいないようだ。
「……暗いな」
窓の方を見ると、障子のようなものが日差しを遮っている。
隣の部屋から察するに、この先にはベランダのようなものがあると見た。
バカと煙は……という法則に則り、ブラインドを開けベランダに……
「きゃっ!?」
……遥の声。
「あぁ、遥。ここにいたのか」
声のするほうに振り向くと、なにやら木製の箱に水。そして、さらにその中に肌色の遥。
平たく言えば露天風呂付き個室。
なるほど、初めて見た。
「……え?……う、うん……」
「露天風呂か、なかなかいいじゃないか」
「……!?」
俺の顔を見ながら口をパクパク動かす遥。

876 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/07/19(月) 22:18:18 ID:6TZiJoyo
「どうかしたか?」
「あっと……えっと……」
珍しく歯切れの悪い遥。
まぁ、そんなこともあるのだろうとキョロキョロと辺りを見回す。
遥の服と下着……なるほど、服はここで脱ぐのだな……。
「お、お兄ちゃん……あんまり……」
「何?」
「……なんでもない……」
「?」
もしかして……避けられてる……。
「じゃあ、俺行くから」
まぁ、ここはもう見るもの無いしな。
「あ、うん……」
やっぱり浮かない返事の遥。
俺……何かしたかな……。
───────────────────────
続きを貼るのをすっかり忘れてました。
一応まだまだ続きます。夏が終わるまでには終わらせたいですね。

877 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/07/20(火) 12:46:48 ID:rkTMwJwP
>>875-876
遊星殿GJです!!
個人的には遥との絡みが一番好きです

878 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/07/21(水) 18:03:04 ID:U9FEGMuW
妹が、あゆが死ぬ…
そう聞かされて、俺は呆然としていた。
「もう長くはないでしょう、今日生きれればいいぐらいです。」
医者からそう告げられた。
『お兄ちゃん、あゆ、退院したの?』
「あぁ、また家で一緒に暮らすんだ。」
妹が今日死んでしまうなら、今まで一緒に暮らしていた家にいさせてあげたかった。

…妹の病気は突然発覚した。
学校の検査で引っかかっただけだったのに、病院で精密検査させただけなのに…
元気そうな妹は、最近見つけられた極めて珍しい病気にかかっていた。
世界でも1〜2人しかかかっていないらしい。
元気な子でも突然死ぬ。そんな病気に何故、妹が…

俺達の家族は、事故で死んでしまって俺と妹しかいない。
俺が働いて、妹を養わせる。2人になってしまった時、そう決めた。幸せにしてやるって決めたんだ。

街へ、海へ、あゆが行きたい所へと行った。空が暗くなる。今日が終わる。




879 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/07/21(水) 18:07:07 ID:U9FEGMuW
『お兄ちゃん、一緒に寝てくれる?』
「そうだな、ずっと病院で1人だったもんな…。」
互いに寄り添って、温もりを確かめ合う。
『明日も遊ぶよね、お兄ちゃん。』
「あぁ、、、」
明日があるなら、あげられるなら、明日をあげたい。
『おやすみ、お兄ちゃん。』
寝息が聞こえる。このおやすみも、最期を意味するのだろうか。
『お兄…ちゃ…ん』
「どうした!?」
『トイレ…』
「…」
今までの緊張が一気に緩む。とりあえず、トイレに連れて行く。
時計の針は進んでいく。
壁を殴る。
「俺には…何も出来ないのか…?」
妹が出てきたから布団に戻る。
「あゆ…」
妹を抱きしめる。
『お兄ちゃん…大好き…。』
そう言って抱きしめてくる。
「ぜったい幸せにしてやるって…な…」
冷たくなっていく体をずっと抱きしめていた。
俺は何もできない。そう思っていた。本当にそうだったのか?そうじゃなかった。できた。だが、認められなかった。
今なら認められるか?今なら。
泣いてる俺の辺りが白くなる。
次の朝、妹を守るように、白い羽根が辺りを覆っていた。
『お兄ちゃん…?』


思いつきで書いた。この最後の文の続きは貴方が考えている通りです。

880 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/07/22(木) 00:20:07 ID:K3igEtfp
深夜にいい年ぶら下げたオジサンを泣かせるでない

881 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/07/25(日) 21:29:54 ID:S/7C+Ngt
「お兄ちゃん、準備できた?」
掘り炬燵の部屋から現れた遥が唐突に切り出す。
「何の?」
「海」
「……え?」
「あ……そっか。私が持ってたんだった」
一旦消えた遥。
そして現れたとおもいきや、
「はい、ゴメンね」
……変な布を手渡す。
「……何?」
変な布と遥の顔を見比べながら尋ねる。
「水着」
「何で?」
「お兄ちゃんにまかせると絶対持ってこないから」
「いや、そうじゃなくて……何故水着が?」
「泳ぐから」
海……泳ぐ……?
「嫌だ!!絶対嫌だ!!」
「何で?」
「場違いだ。場違いの極みだ!!」
「そう?黙ってれば普通だと思うけど」
「俺ほど醜い人間がいるか!!」
「ネガティブだね……誰も気にしないって」
「だとしても……無理だよ……そんな華やかな場所には耐えられない……」
「はぁ……じゃあ、恋人って設定にしよう!それなら場違いじゃないよ?」
「こ、恋人っ……!?」
何だ、この語感から感じる眩しさは……!!
……負けた……もう動けねぇ……。
「……負けた」

882 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/07/25(日) 21:31:06 ID:S/7C+Ngt
「え?行ってくれるの?」
「……違う……無理だ……もう立てん……」
「何で……?」
「眩しすぎて……死ぬ……」
「お兄ちゃんは、本気なところがすごいんだよね……」
呆れ顔の遥が、細いため息を吐く。
「全然嬉しくない……」
「まぁ、褒めてないからね」
うんざりした様子の遥。
グッタリした俺。
「アレか……彼女はまぁまぁだけど、男はねぇー……って言われたりとか……
 可愛い女の子に不細工な彼氏がいるのって世界の七不思議の一つだよねー。っていわれるんだ……」
「お兄ちゃんは私のこと褒めてるつもり?」
「相対的に……」
「喜んで良いのかな?」
「……嬉しきゃ喜べば……?」
「じゃあ、ダメだ……」
ため息の遥。
そして、
「……一人で行っちゃおうかな……」
ボソッと呟く遥。
「いや……それは……」
不味いだろう、女の子一人じゃ……。
「じゃあ、どうする?遥は一人でも行くよ?」
「……分かった……耐える……」
「ありがと。恋人設定は?」
「断固拒否だ」
「言うと思った。さ、隣行ってるから着替えて。で、早く行こう?」
……流された。
───────────────────────

883 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/07/25(日) 23:25:42 ID:5IcWnikl
>>881-882
遊星さんGJっす!

884 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/01(日) 21:34:56 ID:c4rJ0geI
海。
海……。
「海なんか消えてなくなれば良いのに……」
「お兄ちゃん……そういうこというと気持ち悪いと思われるよ……」
そういう独り言に限って、聞き逃してくれない遥。
ちなみに……ビキニ姿の隣の遥を、直視することが出来ず、何だか変な方向を眺めている。
「そうだね……」
言葉にすら力が入らない……。
「とりあえず、幸せな人間が憎い……」
「やめてよ、そういう発言」
「……自然に出てくるんだ……」
どんどん暗い……。
「楽しもうよ、せっかく来たのに」
「どうやって……」
「お兄ちゃんも男なんだから、こう……水着の女の人とかに鼻の下伸ばしたりとかしないの?」
「逮捕されないか……?」
「されないと思うけど……」
「少なくとも、言葉の暴力あたりは受けそうだな……キモいとかなんとか言いたい放題言われた挙句に……」
んで……あぁ、やっぱり警察沙汰……。
「……遥のハダカ見たくせに」
「何?」
ポツリと呟く遥。唐突すぎて反応できなかった俺。
「別に。妙に納得した」
「何を?」
「女の子にしか分からない話」
「ならいいや」
絶対に分からんからな。

885 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/01(日) 21:36:04 ID:c4rJ0geI
「まぁ、騙されたと思って遥と遊んでみようよ」
「気乗りしない……」
「でも、ジッとしてる方が逆に変だよ?」
「だろうな……」
「覚悟決めちゃえ!」
「覚悟……」
「ほれほれ!」
水をかけてくる遥。
それに対し、
「……悪かった……」
「何がっ!?」
「いや、何か怒らすようなこと言ったかと……」
「そのリアクションに驚きだよ……」
「どういうリアクションが正解なんだ……?」
「『あ、やったなー!この〜!』みたいな……」
「……要求する所が高い……」
「だよねぇ……」
呆れている遥。
そんな遥に俺も半ば呆れている。
「私と一緒じゃ嫌?」
「そんなことはないが……」
女に縁の無い男が考える、女のキラーフレーズ。俺にも、兄にも有効。
「じゃあ、行こう?」
「仕方ない。泳げないと思われたら嫌だしな」
「うんうん。行こう行こう」
遥に連れられ、大嫌いな海へ。
……あぁ、気が重い……。
───────────────────────

886 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/10(火) 23:06:32 ID:zIgV2VAx
長かったけど、やっと太陽が沈んだ。
日頃から日の当たる道を歩けない俺だが、今日ほど太陽が憎かったことはない……。
「あははっ!!楽しかったね!!」
海水浴場からの帰り道、テンションの上がりきった遥と、
「俺は気まずくて死にそうだったよ」
テンションの下がりきった俺……。
「そう?よく遊んでたじゃない?」
「一種の擬態だ」
そして、擬態も楽ではないのだな。
「お兄ちゃんは……楽しくなかった?」
「このリアクションで分からないか……?」
「そっか……」
悲しそうな声の遥。
少しミスったかなと後悔していると、
「ありがとう」
「は……?」
「遥のワガママに付き合ってくれて」
「あ、あぁ……?」
「私は楽しかったよ。お兄ちゃんが楽しくないのが残念だけど……」
自然に俺の手を握ってくる遥。
「でも、ありがとう」
コイツは俺如きに、なんて笑顔を見せてくるんだろう……。
笑顔の浪費家め……。
「……いや、俺こそ……遥にしてもらってること考えたら、これじゃ足りないくらいだ」
「……」
あ、凄い嫌な顔……。
「じゃあ、明日はもっと付き合ってもらおう!!」
「は!?」
「ううん、今晩もしっかり付き合ってもらう!!」
「……」
抜け目ないなぁ……。

887 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/10(火) 23:07:35 ID:zIgV2VAx
「まぁ……いいか」
今日は遥の休日だ。
そう思うことにして……これから起こることに対して少し身構える……。
───────────────────────
夕飯を食べ終え、テレビでも見ながらお茶をすする。
……若さが無いなと、少し苦笑いしたとき
「お兄ちゃん退いてー。布団敷くからー」
「あぁ、悪いな」
ゴソゴソと布団を敷き始める浴衣姿の遥。
……しかし、そこには大きな落とし穴が
「何故二人分?」
「え?だって、向こうの部屋、掘り炬燵があるから布団敷けないし」
「あぁ……」
何となく別々の方がいい気がしているのだが……。
「まぁ、遥が良いなら良いか」
「え?何の話?」
「別に……もう寝るのか?」
「うん。疲れちゃったから」
「じゃあ、俺も寝るか……」
「あ、いいよ。私、明るくても……」
「気にすんな。遥に付き合ってやるよ」
「……そう?」
といいつつ、布団も既に敷き終えて、明かりを消す気満々。
テレビを消してその布団に潜り込む。
待ってましたとばかりに電灯の紐を引く遥。
「ふぁ……疲れたね、今日は」
興奮冷めぬ口ぶりの遥が右のほうから聞こえる。
「まぁ、あれだけはしゃげばなぁ」
「うん。楽しかったよ。お兄ちゃんのおかげだね」
「……」
不意打ち……。

888 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/10(火) 23:08:38 ID:zIgV2VAx
「どうしたの?」
「あまり日陰者を褒めるな……褒められるのには慣れていない」
……。
突っ込みなし……?
「ねぇ、前から聞きたいことがあったんだけど」
「何?」
「お兄ちゃんはよく自分のこと日陰者とかいうじゃない?じゃあ、お兄ちゃんが陰なら、私は何?」
「ん……まぁ……光……的な」
拒絶ワード:光。
吐きそう……。
「そうかなぁ……」
「そうだよ」
「じゃあ……それでもいいや。でもね、お兄ちゃん……」
「……?」
「でも、忘れないで。私が光なら……私を私に作ったのは、間違いなくお兄ちゃんなんだから」
「……だから褒めるなって」
「うん。だったら、少しずつ慣れていこう」
「キツいな……」
まさに褒め殺し……。
「お兄ちゃん?」
「ん?」
「一緒の布団で寝ても良い?」
「何だよ、今日は……やけに接近してくるじゃないか」
「あきらさんや宮原さんたちと一緒に居ることが最近多いからね……今まで一緒だった身として、ちょっとジェラシー」
「正直な奴……。まぁ、遥が良いなら俺は何でも良いけど」
「へへへ、お邪魔します」
俺の布団に転がってやってくる遥。
……暑苦しい。

889 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/10(火) 23:09:39 ID:zIgV2VAx
「光があるから陰がある。私たちって、ある意味バランスとれてるのかもね」
「そういえば聞こえは良いが……」
「……が?」
「結局俺が遥の足を引っ張ってるんだよな……」
「……んー……そういう話じゃ無いんだけどなぁ……」
すっかり呆れてる様子の遥。
「相手が俺だから、仕方ない」
「ネガティブだね」
「褒めても何も出ないからな」
「……」
何故黙る、妹よ。
「……」
「お休み、お兄ちゃん」
「お休み」
───────────────────────
長めですが。まだ続きます。
少しペースを上げないと、夏が終わってしまいそうなので。

あとはスレの容量が持てばいいですが。

890 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/08/14(土) 10:03:19 ID:05WvInQM
シベリアに抑留されてたのでGJできませんでした
というわけで遊星殿GJ!!!!

891 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/17(火) 23:01:42 ID:AdbFmScJ
「……」
眠れない。
この状況で、眠れるはずが無い。
「すぅ……すぅ……」
……抱き癖があるとは聞いて無いぞ、遥。
「くすっ……」
俺の頭を抱く力を少し強めて、ちょっと笑った。
どうしよう。
エアコンのタイマーが切れて、少し熱いこの部屋。
遥の寝息と、妙にうるさい俺の呼吸音と。
「いいよ……」
何が。
「お兄ちゃん……」
何が?
「……遥は……んぅ……」
……寝言に突っ込みいれるのも野暮だが。
さて、どうしたものか……。
「……」
仕方ない。ゆっくり動いて、脱出しよう。
……と思ったのもつかの間。
「お兄ちゃん……風邪引くよ……」
抱き寄せる力がグッと強まり、俺は遥の胸の中に……。
遥の匂いが鼻腔を通じて肺の中を満たす。
起きてんじゃねぇのか、コイツ……。
「妹なら……問題にならないのか……?」
ふと、裁判沙汰の四文字が頭に浮かんだ瞬間……。

892 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/17(火) 23:02:43 ID:AdbFmScJ
痛たたたたたたたたたたたたたたたたた!!
もはや、抱き寄せるというより、ベアハッグに近い。
「お兄ちゃん……!」
「……」
口が塞がって、何もいえない。
息が苦しい……。
何、俺が悪いことしたか!?
「今日は……一緒なんだから……。放さない……」
「……」
全く、急に寂しがりになりやがって……。
「……」
少し話をしようと思ったが、この位置では物も言えない……。
仕方なく、遥の腕を軽く叩く。
「お兄ちゃん……?」
分かってくれたようで、ちょっとだけ力が弱まる。
その隙に、顔を胸前から顔前に移動させて、
「んなことしなくても……離れやしないって」
「……ホント?」
「ま、認めたくはないが、お互いブラコンでシスコンだしな……」
「へへへ……」
くすぐったそうに笑う遥。
寝てる人間にクサいことを言って、心の底から恥ずかしい俺。
……明日には忘れていたい。
「だからいい加減放せ……苦しくて眠れん」
「うん……」
寂しそうな声。
これをほっとけない辺り、俺も立派な兄だね。
「手ぐらいは繋いでやるよ……」
「うん」
黙って、遥の手を握る。
……ちょっと冷たい。
───────────────────────

893 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/08/18(水) 21:44:45 ID:CIdkuLkl
>>891-892
遊星さんGJ

894 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/08/20(金) 12:11:51 ID:22CXu9I3
遊星殿GJ!!!
遥みたいな面倒見のいい妹がほすい

895 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/08/24(火) 01:26:34 ID:IM/kvSYP
ヤバい素晴らしいよ
こんな投下があったのに規制でGJを書き込めなかった…

896 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/27(金) 23:12:39 ID:HmrjfKeC
「嫌だ!!絶対嫌だ!!というか無理だ!!」
「えー?なんで?海には行けたじゃない?」
「レベルが違う!!」
「水族館はそんなにレベルが高いの?」
「高い!高すぎる!!」
「違いが分からないんだけど……」
「海に行く理由はまぁ、如何わしい理由以外にも色々あろう。が、水族館はなぁ……」
家族連れorカップルじゃないか……。どっちも嫌いだし……。
「じゃあ、他にどこか行くところある?」
「……」
「もう一回海に行く?」
「え……」
さすがに……もう……。
「魚見に行くだけだよ?生物の勉強みたいなものでしょ?」
「生物、履修(と)ってないし……」
「私はやってるよ。じゃあ、決まりだね。行こう。生物の勉強に」
「えぇ……」
生物の勉強(魚類限定)……乗れないなぁ……。
あまり良い顔をしていない俺に対して、遥は
「お兄ちゃん」
「ん?」
「私に付き合ってくれるんでしょ?」
「はい……そうでした……」
まさに切り札……というか、拒否しすぎですか、俺……。
「謹んでお供させていただきます……」
「そ、そんな硬くならないでいいから」
「お姫様扱いはご不満か」
「それじゃ面白くないじゃない?いつもみたいなのでいいよ」
「それはそれで……」
というか、意識するとどうにも……。

897 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/27(金) 23:13:41 ID:HmrjfKeC
「まぁまぁ、行ってみたら面白いかもしれないよ?よし、行こう!」
「……」
遥の頼みは……断われませんものねぇ……。
───────────────────────
「でか……」
大きさ。というのは、最も単純であるが、最も説得力のあるパラメータである。
大きくすれば良いというものではないとは重々承知だが、それも突き詰めれば何もいえなくなるわけだ。
「お兄ちゃん……」
「ん……?」
「固まってるよ」
「あ、あぁ……大きいな」
「驚いたでしょ?」
「まぁ……」
自分の気持ちを相手に悟られるのはあまり良い気分ではない。
まぁ、その相手が遥なら慣れるべきだが。
「もう行くいこう?早くしないとイルカショーに間に合わないよ」
「イルカ……」
「どうしたの?」
「アイツら……目が怖い。あれは人を馬鹿にしている目だ」
「動物にまで劣等感を持たなくても……」
やはりというべきか、遥の共感は得られなかったようだ。
呆れる遥。
呆れながらも、しっかり俺の腕を掴んでいるあたり、俺のことを分かってる、と言わざるを得ない。
逃げ場は無いし、もともと選択権が無いのだということをこれで思い出す。

898 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/27(金) 23:15:00 ID:HmrjfKeC
それにしても……何だろう、この腕の感じ……。
「……!?」
三度目の衝撃。
一度目は目で。二度目は顔で。三度目は腕で……遥の柔らかい部分を感じた。
まぁ、意識したのは今回が初だが……。
「は、遥……?」
「何?」
無垢な顔。
……そっち方面の感情を持っているのは俺だけか……。
そうなると余計言えない……。
「行くから……手、離してくれよ……」
「どうしたの?急に……」
言える訳がない。
「イルカも……悪くないかもしれない……」
「そ、そうなの?何だか、微妙な顔してるけど……」
「気にするな……行こう……」
俺、もう人としてダメかも……。
───────────────────────

899 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/08/28(土) 23:50:57 ID:M8p5tL6h
遊星さん乙です!!!
しかしネガティブ兄は実妹しか女性は無理な身体なんだなw

900 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/30(月) 23:26:05 ID:pLgyQjVB
「……はぁ……」
夕日を背景に、ため息をつく遥。
ため息は俺の専売特許では……。
「どうした?」
両手に二人分の旅行鞄を持ちながら、そんな遥に尋ねる。
「……あっという間だったな、って……」
本当に寂しそうな面の遥。
「そんなに楽しかったか?」
「うん……でも、仕方ないね」
「まぁな」
正直なところ、そんなことはどうでもよく、はやく両手の重量から開放されたい……。
「帰るぞ」
「うん……」
とは言うものの、やはり口調は重い。
夕陽が、遥の憂いを帯びた表情にさらに影を作る。
しょうがないやつ……。
「あのな、遥……」
「あ、うん。分かってる。分かってるよ、帰ろう」
「いや、そうじゃなくてだな……」
荷物を置く。
「言いたいことがあるなら、はっきり言えば良い……まぁ……」
遥の目を見る。
「今回は何が言いたいかは俺でも分かったけどな」
「……?」
「今から入れる宿探すぞ」
「え……」
「ダメなら潔く帰るからな!!」
「う、うん!!」
痺れる腕を少し振って、再度荷物を手にする俺。
その後を、跳ねるようについてくる遥。

901 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/30(月) 23:27:20 ID:pLgyQjVB
「ねぇ、お兄ちゃん」
「ん?」
「今夜は何食べようか」
「宿が決まったらガイドブック見て決めよう」
「ねぇ、お兄ちゃん?」
「んー?」
「ホテル、空いてるかな?」
「まぁ……贅沢言わなきゃ大丈夫じゃないか。保障は出来んが」
「うん。あるといいね」
「出来れば、シングルを二つとれればいいがな……」
「何で?」
「……」
赤く染まる駅を背に、海に向かって坂を下っていく。
……まぁ、とんでもない安請け合いをしたものだと思いつつも、期待を持ってしまう。
変な気起こさないといいけどなー、俺。
───────────────────────
長きに渡ってお邪魔いたしましたが、今回の話はこれで最後。
随分前に書いたんですが、ずっと貼るタイミングを見失ってまして。
僕も久しぶりに読んだので、自分自身楽しめました。

902 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/09/05(日) 22:22:10 ID:nuT1ZaJV
遊星殿、毎度GJです!
細かいことを気にせず投下して頂ければ幸いです
待ち望んでますゆえ


903 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/09/12(日) 17:03:26 ID:RGt/VvqP
規制解除来たー
遊星さんGJ!

904 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/09/13(月) 00:45:24 ID:QnwIb5ZU


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