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[第七弾]妹に言われたいセリフ
- 144 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/07/20(金) 20:01:10 ID:8Fp/HzRG
- お兄ちゃんには夢が無いね。
- 145 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/07/21(土) 13:24:30 ID:eOegB1y3
- >>143
来世と二次があるさ
- 146 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/07/22(日) 01:48:28 ID:R9abGzC4
- 小学校とかは今日から夏休みが始まるらしいですね。
懐かしき夏休み…
夏休みネタでアイデアが閃いたゾというそこのあなたっ!
そのネタを文章にしてこのスレに貼ってみませんか?!
あなたの才能を活かしてみる気はありませんか?!
…へんな言い方は止めにして、
もし夏休みでネタが閃いた方がいらしたら是非お願い致します。
もちろん新職人様も大歓迎ですので宜しくお願い致しますー
- 147 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/07/22(日) 10:56:00 ID:F1RSJdQu
- 「?」
視線を感じて立ち止まる。視線というか、話し声が聞こえたような気がするんだけど……。
振り返ってみても、誰もいない。
―――ボフッ
「ふにゅっ」
「あ、ごめん」
さっきの僕の言葉に突進してきたゆなが、急にと止まった僕に反応しきれず突っ込む。
「うぅ〜急に止まらないでください……って、先輩、どうかしました?」
「うん。なんかさっきから、誰かに見られてるような気がするんだけど……」
「……?ゆなはいつでも先輩の事を見つめてますよ?今まで気付いてなかったんですか?もぅ♥」
「そ、そうなんだ…?」
「はい♪それはもう先輩がお風呂に入ってるときも、寝ているときも、いつでも……」
それ、世間ではストーカーっていうんじゃないだろうか?
というかそんな事を恥らいながら言われても反応に困るんだけど……まさか、本当じゃないよね…?
「……なんちゃってっ♪さすがにそこまではしませんけど、先輩の事はかなり知ってる自身がありますよ!なんでも聞いてください!」
そう言って目を輝かせてこちらを見つめてくる。
自分の事を自分で聞くって……一体何を聞けばいいのやら。
「あー……そういえばゆなちゃん?」
「はいっ」
「えーと……今日は僕にどうしても聞きたい事があるんじゃなかった?」
反応に困ることを言われて、無理矢理話を逸らしてみる。
「……なんでも聞いてください!」
「今聞いたけど……」
「なんでも聞いてください!」
「えーと……じゃあ、学校での僕はどんな感じ?変なとことかな…」
「カッコイイです!」
「そ、そう…ありがと……あははは……」
「いえいえ!本当のことを言ったまでですよ♥」
これは苦笑いであって、照れてるわけではないんだけど……
- 148 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/07/22(日) 10:56:55 ID:F1RSJdQu
- 「ゆなならこう答えるに決まってるじゃないですか、もぉっ♥」
両手を頬にあて照れるような仕草をしながら一人でなにやら盛り上がり始める。
こうしてゆなは違う世界へと旅立つのだった。完
――――――
いや、冗談ですよ……?
このテンションはなかなか疲れるのでちょっと遊んだだけです。
最後の一行だけスルーしてくださいorz
過疎気味なのでとりあえず中途半端で投下しましたが、まだ続きます。
相変わらず投下の間隔が開きまくりですが最後までお付き合いいただければ。
- 149 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/07/23(月) 00:17:42 ID:LNyhh/Qv
- 待ってました!GJ!
ゆなちゃんは僕のツボにむっちゃジャストミートしてます!
続きも待ってますー!
- 150 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/07/24(火) 02:28:45 ID:qs9co9UR
- >>149
どうもです。
そこまで褒められるとやる気が出てきちゃいますw
ですが今日からリトバスのネタバレ回避とプレイの為にしばらく2ちゃんを封印します。
続きを書くのは速くてもコミケ後くらいになるかと……
なので申し訳ないですが結構な期間待ってください……
- 151 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/07/26(木) 02:51:20 ID:3+W0nljo
- コミケ後となると一ヶ月近く先になりそうですね…
続きが投下される日を楽しみにまったりと待っております!
- 152 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/01(水) 07:37:47 ID:GGJyUZ3B
- 保守
- 153 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/02(木) 15:48:43 ID:jIGw83Ns
- にいさま、ごはんができましたの!
- 154 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/08/02(木) 23:04:31 ID:35tDiHOz
- 雲ひとつ無い青空。
透き通るような青を背景に、ケヤキの木は葉を茂らす。
さらにその下では、太陽の光を受けて二つの影が揺れる。
「はぁ……」
鉛のように重いため息が口から溢れた。
隣の影は得意げな顔をしながら
「『空が青いと、俺が汚れているのがよく分かる……』って?」
「人の心を読むな、遥……」
ため息と同時に諌めると、
「それ、お兄ちゃんの口癖じゃない……」
呆れたと言わんばかりの口調で反撃してくる妹の遥。
「あとは……『どうせ俺なんか……』とか『絶望だ……』とか」
似てない口真似で俺の口癖を紹介する遥。
……正直、楽しい物ではない。
「妹にまで俺は嘲笑われているのか……」
「あ、ゴメンゴメン。機嫌直して!ねっ!?」
「気にするな、いつものことだ」
「あ、ちょっと、歩くの速いよー」
「いつものことだ」
「もー……」
不満を漏らしつつも、早足でついてくる妹。
「あ、そういえば知ってるー?」
「何を……?」
「希望ヶ丘って知ってる?」
「希望……希望……」
呟くたびに胸のあたりがズンと重い……。
「あぁ、ゴメン。お兄ちゃんってそういう言葉嫌いだよねー」
「大丈夫だ、耐えてみせる……」
- 155 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/08/02(木) 23:05:29 ID:35tDiHOz
- 「そんなに辛いんだ……。
まぁ、いいや、その……ヶ丘っていう映画がやるんだけど、それ、この辺で撮ってるらしいよ」
「……へぇ」
「それで、その映画誰が出るか知ってる?」
「……俺の知ってそうな芸能人?」
「んーん、全然」
「じゃあ振るなよ、そんな話題……」
「へへー。早く誰かに言いたかったんだよー!!だから、一番最初にお兄ちゃんに教えてあげようと思って」
「とっておきの情報どうも……」
心の底から必要としない情報にうんざりしながら、さらに歩みを速める。
「もしかしたら、この辺にも来るのかなぁ?」
「来ないだろ、こっちには」
「そうかなぁ」
「この辺で丘っていったら、蔵野公園のあたりだろ?」
「うん、多分」
「だったら、こっちじゃなくて十崎市のほうに行くんじゃないか?向こうの方がデカいし」
「夢が無いなぁ……」
「夢……」
「あ、ゴメン」
「……大丈夫。耐えられないほどじゃない」
「世話が焼けるなぁ」
といいつつも何だか嬉しそうな遥。
「うん、ホントお兄ちゃんったら世話が焼けるよ」
「二度も言うな……」
「三回目聞きたい?」
嫌なやつだ……
「急がないと遅刻するぞ」
「あ、待ってよー!!」
暑い一日になりそうな予感を、肌と頭皮で感じつつ。
まさか、あんなことが起こるとは、俺のご自慢のネガティブでも思いつかなかったのだが……。
───────────────────────
- 156 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/08/02(木) 23:06:20 ID:35tDiHOz
- あの人を見たときから、ずっと書いてみたいと思っていた台本。
そのせいで妹ほったらかしで兄の性格から決めたワケですが……。
この兄妹の関係は気に入ってるんで、結果オーライといえなくもないかと。
ちなみに今回完璧な見切り発車で、オチはまだ決まってません。
期待は厳禁です。
- 157 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/03(金) 20:47:44 ID:0N/lRERK
- >>154-156
遊星さん投下乙
そして保守
- 158 :二姉持ちの弟 ◆qopBr3PozM :2007/08/04(土) 15:14:47 ID:xI5CJCPU
- ぽつりぽつりと浮かぶ綿雲を眼下にF-22が2機飛んでいた。
その隊長機のパイロット、真田幸輔が無線を開いた。
「……まもなく作戦空域だ。メビウス2、火器管制システムの確認をしておけよ。…………おい、ユキ?」
その呼びかけにユキと呼ばれた2番機のパイロット、真田美幸は我に返った。
「え? わ、何コウくん、火器管制システム? 何それ? って言うかなんで私達戦闘機に乗ってるの!?」
俺「そりゃ、これ俺の妄想SSだし。何やっても無問題だろ?」
「そういう問題!? って、今の声どこから聞こえてきた訳!?」
筆者の声が突然登場したにも関わらずツッコミを入れる美幸。流石、妄想の中の住人である。
その異様に高いテンションに幸輔は呆れる。
「何騒いでんだユキ。もうすぐ接敵するぞ、チェックは済んだのか?」
「っと、そうでした。メビウス2、システムチェック完了!」
いたって冷静な幸輔に窘められた美幸は、意識を本来の場所に戻す。
何も知らないそぶりだったのに何故チェックできたのかは謎。
って言うか、俺の事は完璧無視みたいですねコウくん。
「うっせぇ、その呼び方を許してるのはユキだけだ。気安く呼ぶな」
「……なんかキャラ変わってるよぉ、コウくん」
俺「そうだそうだ、筆者の俺に冷たく当たるな」
「調子に乗るな。あぁ、もう良い。作戦空域に入ったぞ。メビウス2、俺を援護しろ。行くぞ!」
「わ、メビウス2了解!」
そうして2機のF-22は翼を翻し敵と味方が入り乱れる空域へ突入していく。
「「メビウス1(2)、エンゲージ!」」
完
───────────────────────
なんか久しぶりにこのスレを見たら何か書きたくなって訳の分からない物書いてしまいました。
しかも2年以上前のネタを引っ張り出して……
しかもゲームのネタを取り入れちゃいました。
……戦闘機とかに興味のない人、ごめんなさい。
- 159 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/07(火) 22:22:46 ID:TBvyJy06
- age
- 160 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/07(火) 23:13:29 ID:N2Fh1yT+
- >>遊星さん
あの人って誰だろう…
これほどネガティブな主人公もめずらしいですねーw
期待は厳禁と言われてもやはり今回も期待してしまいます。
続きも待ってますー!
>>二姉持ちの弟さん
おお!姉スレの職人さんがこのスレに…!
作者みずからSSに登場するとは、なかなか面白かったですよー!
長編の新作も待っておりますー!
- 161 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/07(火) 23:18:19 ID:N2Fh1yT+
- このスレは読み手の人数が少なすぎる気がする…
書き込みが無いだけで実際は読んでる人はもっといるのかもしれないけど…
- 162 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/08/08(水) 23:12:42 ID:5ZenRGto
- 夕方とはいえ、まだ十分すぎるほどの力を持つ太陽を今度は正面に受け、またも揺れる二つの影。
「ふぅ。今日も暑かったねー?」
ハンカチで汗を拭きながら、力の無い声で話しかける遥。
「いや、今でも十二分に暑い……」
「ホント……。ねぇ、コンビニでアイスでも買ってこうか?」
「そうだな」
二人の意見の一致を確認すると、そのままダレたままコンビニへ。
しかし、運命の分かれ道とはこういうところに存在するものだ。
「そういえば、坂野先生って知ってる?」
「……ああいうの俺は苦手だ……」
「だよねー」
遥との道中のたわいも無い会話。
一人の帽子の少女とすれ違った。
そんなこと、俺は気にも留めなかったのだが、
「……っ!?」
しかし、少女は驚いたように振り返ると
「……あの……ちょっといいですか?」
俺たちに向かって話しかけてきた。
いや、正確には俺たちではない……その視線は明らかに俺に向いている。
……変な目で見るなよ、遥……。
「……遥、頼む」
「あ、うん。えと……なんでしょうか?」
人と話すのが苦手な俺と人当たりの良い遥。
どちらが出るのが得策かは比を見るより明らか。
大体こういう場面では、俺は遥に任せることにしている。
「えっと……えっと……その人は……?」
困惑したように、俺を指差して尋ねる帽子の少女。
- 163 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/08/08(水) 23:13:16 ID:5ZenRGto
- 「え?あの人は私のお兄ちゃんですけど……」
「……」
何ですか。俺に用ですか。……勘弁してください……マジで……。
相手をしたくない俺は、気付かれないように一歩後ろに下がる。
が、そういうわけにはいかないようで。
「あの、人違いだったら申し訳ないんですけど……もしかして大野賢太郎君?」
「……え?」
確かにそれは俺の名前だけど……。
「知り合いなの?」
遥が鋭い目で俺に尋ねた。
「いや……確かにそうだけど……君は?」
「やっぱりそうなんだ!!」
「は?」
「ボクだよ、近野あきら!あきらだよ!!」
近野……あきら……。
その名前を頼りに記憶の糸を辿っていく。
しかし、俺よりも先に
「近野あきらっ!?」
「なんだ、遥の知り合いか」
「違うよっ!!ほら、朝話したじゃない!!」
「何を?」
「映画の話!!」
「あぁ……」
いかにも俺の嫌いなタイトルの……。
「その映画のヒロイン役の娘だよ!!」
「ふぅん……」
「お兄ちゃんの知り合いなんだ!?」
「……」
思い出せません……。
芸能人といわれるとますます分からん……。
- 164 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/08/08(水) 23:13:47 ID:5ZenRGto
- 「……忘れちゃったんだ……」
悲しそうな『あきら』と名乗る女……。え?俺が悪いの……?
「申し訳ない……」
「あ、あの……お兄ちゃん、女性が苦手なんです。だから……」
そんな彼女を気の毒に思ってか、遥が必死でフォローを入れる。
「いいんです。賢ちゃん私のこと忘れてるんじゃないかって覚悟は……してたから」
「……?」
もしかして……
「もしかして……」
「お兄ちゃん、思い出したの?」
「いや……でも、だって……」
「どうしたの?」
「あの……遥。俺、勘違いしてた……」
「何を?」
「確かに昔、それっぽい名前のヤツがいた。俺のことを賢ちゃんって呼んでた」
「うん。それで?」
「……男だと思ってた」
だって、一人称僕だし、あきらだし……。
「賢ちゃんまでそんなこと言うなんてぇ……」
きっと言われ慣れているのだろう。
不満そうに頬を膨らますあきら。
「でも、覚えていてくれて嬉しいよ!!」
「はぁ……」
といわれても、という感じ。
大体……あきらのことよく覚えてないし。
「ボクね、これは神様の贈り物だと思うんだぁ!!」
「……」
うわぁ……。怖いよ、このコ……。
- 165 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/08/08(水) 23:14:20 ID:5ZenRGto
- 「……」
遥もチラッと横目で、苦々しい視線を俺に向けた。
「どしたの?」
「いや……何でも……」
「ふーん。変なのー。あ、そだ。賢ちゃん。これ、あげる」
鞄から何かを取り出し差し出した。
「ボクの連絡先。ボクはもう戻らなくちゃいけないから……またゆっくりお話しようね!!」
黙って頷く。
「賢ちゃんもちょうだい?」
「あぁ……」
俺も自分のケータイの番号とアドレスを紙に書いて、あきらに渡す。
「ありがとう!!あとで絶対メール送るから!!」
「……」
メール……。
『あいうえお』は須らく『ぁぃぅぇぉ』になっていたり、
『wa』と読む『は』は『ゎ』になってたり、
顔文字や絵文字のせいで文章なのに文章じゃない、あのメールですか?
……絶対返せない……。
「じゃあ、賢ちゃん。またねー」
手を振って、遠くへ歩いていってしまうあきら。
その姿が完全に見えなくなってから……
「……無理……もう無理……」
「お疲れ様、お兄ちゃん」
「どうなっちゃうんだよ、俺……」
「確かに、お兄ちゃんには辛いかもね」
「辛いよ。何だよ、あのポジティブさんは……」
「うんうん。遥には分かるよ。もう帰ろうか、お兄ちゃん」
メールするという言葉が社交辞令であって欲しいと願う俺。
遥だけが俺の理解者だ……。
───────────────────────
- 166 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/08/08(水) 23:16:10 ID:5ZenRGto
- 続き。だが、これから先、さらに続くとは限りません。
>>158
なかなか斬新ですね……。参考にさせてもらおう……。
>>160
言って分からないとは思いますが、『仮面ライダーカブト』に出てきた矢車さんがモデルです。
絶望先生の影響も多少受けてますね。
>>161
まとめサイトのアクセス数見る限り、結構読んでるもんだと思いますけどね。
書き込みはこのスレの性質上少なくなるのはしょうがないのでしょうね。
まぁ、個人的には書き込みが少ない方がのんびりしていて良いと思いますがw
- 167 :二姉持ちの弟 ◆qopBr3PozM :2007/08/09(木) 14:00:00 ID:b7JROsRn
- >>160
感想ありがとうございます。
現在のところ他にも色々やらなければならない事があるんで長編を書けるかどうか分かりません。
ちなみにこの短編書くにも20分くらいもかかっていたと思います…。
>>161
ROMの人は多いんじゃないでしょうか?
自分も最初はそうでしたし。
>>遊星さん
相変わらず素晴らしい作品ですね、見習いたいものです。
ちなみに自分の作品は第三者視点だったのがいきなり筆者視点になったりと、小説的にはアウトだと思いますよ。
それにしても凄いネガティブな主人公、筋金入りですねw
レス遅れました、すみません。
- 168 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/12(日) 21:33:52 ID:1sAREIPS
- 上げ
- 169 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/14(火) 04:46:55 ID:hVSx+Tsa
- 遊星さんのSSで、ライダー好きな俺はニヤリとさせられてますよ。桃色係長のテイストも入ってたんですね。
- 170 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/08/14(火) 23:27:04 ID:6y8BsDwk
- 「ごちそうさま。美味かったよ、遥」
「お粗末様。ありがとう、お兄ちゃん」
カチャカチャと食器を片付け始める遥。
「あ、俺も手伝う」
「え?どうしたの?」
「……体、動かしていたい……」
「あぁ……それなら、手伝ってもらいましょうか」
「助かる……」
ため息をつきながら、スポンジを握る。
「ねぇ、お兄ちゃん?」
「ん?」
「この際だから、聞いてもいい?」
「あぁ、何を?」
「あきらさんとはどういう関係なの?」
嫌なことを聞く……。
まぁ、遥になら言ってもいいか。
「……どういう関係っていったって……」
「じゃあ、どうして知り合ったの?」
「……確か、小学一年だか二年だかのときに一ヶ月間だけ俺の学校に転校してきたんだ。で、知り合った」
「で、そのころは?」
「……質問攻めだな。別に特別な関係じゃないと思う。ま、記憶違いしてたくらいだし」
「ふぅん……お兄ちゃんは、昔は今みたいなのじゃなかったんだっけ?」
「……忘れた。でも、嫌だろ、こんな小学生……」
「今でも嫌だけど……」
……突き刺すような言葉。
妹の本音を聞けて嬉しい……ワケは当然無く、心が無惨に凹む凹む……。
- 171 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/08/14(火) 23:27:35 ID:6y8BsDwk
- 「……絶望した……」
「わわっ!!冗談だよ、冗談!!」
「……ホントにか?」
「ホントだよ!!リアクションが暗いから、こっちが焦っちゃうよ、もう……」
「スマン……」
「謝ることじゃないけど」
食器を濯ぎながら、遥は呆れたようにため息を吐いた。
「変わっちゃうんだよね。人間も。人と人の関係も」
「……俺みたいな理系にはアレルギー出そうな話だな……」
「ゴメン。変な事聞いたね」
「あぁ。ま、俺に言わせればだな……変わるのは当然。大切なのは変わった中でどうするか、だろ」
「ふむふむ……で、すっかり変わっちゃったお兄ちゃんは、あきらさんとはどうするつもり?」
変な話題になってきた……。
だが、聞かれたからには答えねばならない。
満を辞して俺の口から出た言葉は、
「このまま自然消滅を狙う……」
「却下。それじゃ、あきらさんが可愛そうだよ」
「厳しいな……」
半ばマジだったのだが、即座に却下され少し不満が漏れる。
「甘やかすばっかりが妹の役目じゃないんだよ?」
胸を張って答える遥。
……甘やかすのも妹の役目じゃないと思うが。
「……じゃ、どうすればいいんだ……」
「普通で良いんじゃない?話しかけられたら話す。メールしてきたらメールする。受身は得意でしょ?」
「……今日はちょくちょく毒を吐くな……」
「べっつにー。とにかく、逃げるのだけはダメだからね!」
「やけに今野の肩を持つんだな」
「そうかな?……でも、やっぱり女の子のことは女の子が詳しいでしょ?私には分かるんだよ」
得意顔の遥。俺にはさっぱり意味が分からず、
- 172 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/08/14(火) 23:28:09 ID:6y8BsDwk
- 「うん。で?」
「それだけ」
「答えになってないぞ」
「そうでもないよー」
「そうでもないのか……?」
「うん、そうでもないの」
……いつまで続くんだ。
「まぁ、要するに……近野とは普通に接すれば良いんだな」
「うん。頑張ってね」
「……頑張るよ」
頑張る自信が無い。
……まぁ、やるだけやってみるしか……ないよなぁ……。
───────────────────────
「おはよう、お兄ちゃん……眠そうだね?」
翌朝、いつもどおり爽やかな笑顔の遥が、いつも以上に顔色の悪い俺の顔を覗き込む。
「……寝てないからな」
「何で?」
「……嫌な夢……見そうだったから……」
「あ、そう……じゃあ、その様子だとメールとかはなかったんだ?」
「……ん」
無言でケータイを差し出す。
「えと……『今日は会えて嬉しかったよ』……普通だけど?」
声に出して読む遥。
思い出したくないからできれば控えて欲しいが……俺だって大人の事情は分かっているつもりだ。
「下」
「『お話したいことがいっぱ〜いあるから、
今度ゆっくりお話しようね。
明後日は撮影無いから、その日はどうかな?』……あぁ、なるほどね」
納得した顔で、ケータイを閉じる遥。
「行かなきゃダメか……?」
- 173 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/08/14(火) 23:28:40 ID:6y8BsDwk
- 「うん。逃げるのは卑怯だよ、卑怯」
卑怯……。
それは……嫌だな。
「遥……」
すがるような気持ちで遥の名前を呼ぶ。
「遥はついていかないよ」
即答。
やはり遥にはお見通しと言うわけか……。
「……酷い……」
「あのねぇ……幼馴染と会うのに妹を連れて行くなんて前代未聞だよ?」
「やっぱダメか……」
「少しでもついていくなんて思わないでよ、そんなこと……」
遥はすっかり呆れている。
「なぁ……週刊誌の記者とかいるのかな……?」
「さぁ?でも、多分いないんじゃない?」
「近野に変なイメージつかないかな……」
「大丈夫だよ。ホント心配性……何だかんだで心配なんだ?」
「……俺と偶然出合ったことで、近野の人生が狂ったらって考えたら心配もするさ……」
「私は……私の人生は狂ったとは思ってないけどな」
「そりゃ生まれたときから俺がいたから。だから、遥の人生は生まれつき狂ってんだよ」
「……ネガティブだね」
なにやらガッカリした様子の遥。
……ここでその顔は違わないか?
「これも生まれつきだ。遥には申し訳ないな」
「難しいなぁ……」
「何が?」
「別に。で、それには返事したの?」
「まだ……」
「じゃ、早くしなきゃ」
遥に急かされるようにメールの返事を打ち込む俺。
……遥も常に味方ではないのだな……
───────────────────────
- 174 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/08/14(火) 23:31:19 ID:6y8BsDwk
- 大分終わりも見えてきました。
この兄妹面白いんで、ぜひ続編も作りたいなと……。
>二姉持ちの弟様
20分で書けるって早くないですか?僕ならもっとかかると思いますが……。
まぁ、とにかく、新作のほうも期待しております。
>>169
ライダーネタを分かってくれる人がいて非常に嬉しいです。
これからも無理矢理ネタ混ぜていくんでよろしくお願いしますw
- 175 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/15(水) 00:49:52 ID:ViJ3FfjW
- >>170-174
遊星さん投下乙
相変わらずネガティブな兄様だ
- 176 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/15(水) 21:37:27 ID:xLZcIDb0
- age
- 177 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/17(金) 09:19:50 ID:r0frLZ2A
- 新作期待
- 178 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/18(土) 03:21:55 ID:f9LBOTQs
- 容姿端麗頭脳明晰の妹に学校帰って寝てたら
その格好ヒドくお似合いねって冷めた眼差しで蔑まれたい
リアルはきゃあきゃあ笑いながら言いながら横に寝てくる超絶うざいこのみみたいな妹('A`)
- 179 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/18(土) 04:25:59 ID:9P7QZqa7
- ほとんど会話のみなSSってのもきもいな
れいぱあず作の荒らしコピペみたいw
- 180 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/18(土) 08:27:44 ID:bfniMnZS
- >>178
>このみみたいな妹
普通によこせ。
- 181 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/18(土) 10:17:23 ID:EsmQFaKF
- >>178
リアルの妹もそれなりに可愛いよ
- 182 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/18(土) 13:55:29 ID:K85C6Hev
- リアル妹が駄目なので二次元に走った
現実はもういい
- 183 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/19(日) 13:54:42 ID:Dz2kQ7Yk
- 新作待ち
- 184 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/21(火) 01:17:49 ID:iJFORBVi
- 新作お願いします
- 185 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/22(水) 18:19:30 ID:Fl/0rhpe
- 上げ
- 186 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/24(金) 21:56:33 ID:y/2lxBbr
- age
- 187 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/27(月) 19:52:59 ID:qxx74BIU
- あげ
- 188 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/29(水) 20:49:34 ID:Ni/k/fCE
- もはや保守しか居ないのか
- 189 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/29(水) 21:08:28 ID:wJOIh0rh
- おにいちゃんのばか・・・
- 190 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/29(水) 21:31:02 ID:xn6mJxIz
- 妹「ねぇおにいちゃんお金貸してくれないかな?」
俺「手持ち1万しかないんだが…」
妹「じゃあ1万」
妹はツンデレだお
- 191 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/29(水) 21:33:38 ID:a+Wr5cO2
- 妹「あぇるぅす」
- 192 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/29(水) 22:48:17 ID:8866hSc7
- 変にageるから人がいなくなるのに……
- 193 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/30(木) 12:54:52 ID:Se0yfunN
- それにしても人がいない…
- 194 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/30(木) 12:55:22 ID:Se0yfunN
- すまんsage忘れた
- 195 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/31(金) 00:10:19 ID:7nandioR
- 保守はしても作品にレスは返さない。そりゃ人もいなくなるわ
- 196 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/31(金) 02:32:44 ID:oggJzQDC
- >>195
数人、最低でも4人程度は返してるような気が
- 197 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/08/31(金) 06:46:31 ID:J9rb03rB
- 一応私はいるんですが、投下するものがないのにコテ出してもなぁ…
という感じなのでROMってたりします…
- 198 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/08/31(金) 13:09:35 ID:wWw8nGFN
- ちょ・・・やめろ!ばかぁ!
- 199 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/09/01(土) 00:36:03 ID:lKTncX7z
- >>198
な、なんだ?
- 200 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/09/01(土) 02:49:54 ID:A0S2jgSz
- 中学時代
妹「あにぃ、神社の夜店行くなら私も連れてって」
俺「ええ〜、友達も来るけどいいの?」
妹「うん、お母さんに頼んで着付けしてもらう!」
俺「早くしろよ」(やれやれ)
- 201 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/09/01(土) 11:48:59 ID:qkowk25z
- >>200
で、妹を見て友達が羨ましがるのか
いいなあ
- 202 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/09/01(土) 23:59:11 ID:BigJzcD9
- 意外に萌えるな
- 203 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/09/03(月) 21:41:40 ID:nGmxf+GP
- 全て思い通りにはいかないものだ。
来るな来るなと思っていれば、時間はあっという間に過ぎるし、
いっそ早く終わらせたいと思い始めたら時間は長い。
長いんだか短いんだかよく分からない時間を過ごし、近野との約束の時間になった。
俺が半径100m以内に存在するのも場違いなくらいの洒落た喫茶店で待ち合わせ。
……頼むから早く来い。
遅刻するのが怖くて、二十分も早めに来たのがモロに裏目に出た……。
「あ、賢ちゃん。早いねー。待った?」
約束の時間十分前。これまたオサレな格好の今野が現れる。
場違いすぎて泣けてきた……脇目も振らずに帰りたい……。
「いや……慣れてるから」
……このセリフは何か違う気がする……。
「ふぅん。大人なんだ」
大人……俺が……?
おっと。突っ込み入れすぎか、俺。
「今日は遥ちゃんは来てないの?」
「あぁ、まぁ、いろいろと……」
このノリ……つれて来てよかったのか……。
「じゃ、二人っきりだ?」
「そうなるな」
「そっか……二人っきりか」
必要以上にその言葉を反芻する近野。
「何か都合が悪い?何なら今から遥を呼んでも……」
「いやっ!!いいのいいの!!ほら、遥ちゃんに悪いよ!!」
「まぁ、それもそうだ」
アイスコーヒーの氷を噛み砕く。
しばし相手の出方を探るような世間話が続く。
が、いざというときにはなかなか話題が出てこないものだ。
次第に手詰まりによる沈黙が訪れる。
気まずそうに近野が切り出す。
- 204 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/09/03(月) 21:42:11 ID:nGmxf+GP
- 「ねぇ……賢ちゃん。驚かないで聞いて欲しいんだ」
「あぁ……」
「ボク、賢ちゃんに会えてすごく嬉しかった。ううん、今でも嬉しい」
汗をかいたグラスを握り締める近野。
「あの時から……ずっと言おうと思ってたんだ。ボクは……賢ちゃんのこと……好きだって」
俺の目を見るな……。
「だから……ボクと……」
「近野」
答えは決まっている。
「……悪い。それはできない」
「え……」
「今野は……俺には眩しすぎる……」
「そっか……」
「もともと俺は女性がダメなんだ。察してくれると……有難い」
まさか俺が女を、まして芸能人をフるなんて思いもしなかったが……やはり、あまり良い気分ではない。
死ぬほど気まずくて、底のほうにうっすら溜まった水を飲み干す。
「えへっ……へへへっ……おかしいな、覚悟してたのに……」
流れてくる涙を隠すように、今野が俯く。
……どうすりゃいいんだ。
「近野、出よう……」
「うん……ゴメンね……」
「いいって……」
泣いたままの近野をホテルまで送る。
……何だってんだ、今日は……。
───────────────────────
- 205 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/09/03(月) 21:42:44 ID:nGmxf+GP
- 「で……そのまま帰ってきたと」
買い物袋をぶら下げた遥が、昨日の話の経緯をたどる。
「それ以外できねぇよ……」
遥の倍の荷物を持った俺はため息と同時に答えた。
「まぁ、変に誤魔化さないトコがお兄ちゃんの良いトコだね」
「お褒めに預かりまして……」
ホントに褒められたのかという疑問は残しつつ。
「私の勘も馬鹿にできないね」
「……遥は知ってたんだ」
「うん。何となくだけど。目がね、恋する乙女の視線だったの」
「……恋……乙女……」
胃がキリキリする……。
「話が進まないよぉ……耐えて耐えて!!」
「オーケー……続けてくれ」
「はぁ……泣いちゃったんでしょ?撮影とか、影響ないか心配だよね」
「確かに……」
そう考えると責任重大な気も……。
「まぁまぁ、そう気を病まないで。何か甘いものでも食べに行こう?奢るからさ」
「そうだな……」
納得して進路を変える二人。
すると
「お兄ぃーちゃん!!」
反射的に遥のほうを向くが、当の遥すらも困惑した顔を見せている。
声の方向は……後ろ?
二人して振り返ると
「……近野?」
- 206 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/09/03(月) 21:43:17 ID:nGmxf+GP
- 「こんにちは。お兄ちゃん、お買い物?」
「……あぁ、しかし……近野……?」
「お兄ちゃん。ボクのことは、あきらって呼んでよー」
「はぁ……で、何だその呼び方は……」
「えっと……一晩考えたんだけどー、ボク、まだお兄ちゃんのこと諦められないから……
だから、お兄ちゃんに女の子に慣れてもらうために、妹から始めようと思って。ねっ?」
「……はぁ……」
今一つ納得しかねる……。
『妹から』どこまでだよ……。
「遥ちゃん!!」
「は、はいっ!」
「ボク、遥ちゃんには絶対負けないから!!」
何の宣言だ……。
「え?……えっと……じゃあ、私も……」
お前もか、遥……。
「あはっ……あはは……さすがポジティブだね……」
「俺、ヤバいかも……」
「お兄ちゃん!ボクも荷物持つよー」
何故か妹が二人。
今度、胃薬買おう……。
───────────────────────
スレが下がれば俺の出番……っと。
このネガティブ兄の話はひとまず終わり。
このままどんどん色んな女の子と知り合ってくのも面白いかも。
……つか、ネガティブ妹ってのも面白そうだな。
- 207 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/09/03(月) 22:20:47 ID:l29zZGax
- GJ!!!
- 208 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/09/03(月) 23:44:00 ID:LgEe/n45
- GJ!!ですが、このスレ的にはピンチの状態なんですよね(汗
でも、あきらに頑張って欲しいと思ってしまう自分、失格だ。
- 209 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/09/04(火) 20:40:33 ID:pjHIgwzC
- 乙!!
今気付いたよ、これからもヨロ
- 210 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/09/04(火) 23:45:07 ID:0mYk6QHZ
- >>206
>ネガティブ妹
ストライクゾーンかもしれん
- 211 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/09/05(水) 14:03:49 ID:46dpeNJp
- ggggGJ!!!!!
>ネガティブ妹
待ってます!!
- 212 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/09/08(土) 23:40:47 ID:nBo8v80r
- 自分以外に全く懐かない妹に
朝優しい言葉で起こしてもらいたい
- 213 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/09/13(木) 17:33:57 ID:6qmubI2v
- 保守
- 214 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/09/15(土) 23:05:38 ID:gYtHtdBt
- 眩しい太陽。
どこまでも続くアスファルトの黒は視覚的にもかなり暑い。
そんな猛暑の中、俺は妹と二人でスーパーまでの道を歩く。
しかも妹はいつものように俺にピッタリとくっついて……暑い……。
「なぁ、琴?」
「?」
「暑いから……」
「……」
フルフルと首を横に振る琴。
「守ってくれるって……言った……。だから、離れない……」
「そうでした」
まぁ、慕ってくれるのは嬉しいけどさ。
「使う……?」
ハンカチを差し出してくれる琴。
「ありがと。しかし暑いなー」
汗を拭いながら、『しまった』と思った。
「……迷惑なら……いいよ……」
寂しそうに呟いて、少しだけ俺から離れる琴。
「いや、別に迷惑じゃないよ」
「?」
言葉の代わりに首を傾げる琴。
「ホントだよ」
「じゃあ……」
再びくっついてくる琴。
さっきよりも近い……。
- 215 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/09/15(土) 23:06:22 ID:gYtHtdBt
- 「……琴?」
会話が途切れそうだったので、少し無理矢理話題を切り出す。
「?」
「夕飯は何にするつもり?」
「安いから……キャベツ……」
「キャベツ……?」
単品……?
「うん。ロールキャベツと……お好み焼き……どっちがいい?」
「うーん、じゃあ、お好み焼きかな」
「じゃあ、今晩はロールキャベツ……」
えぇ……そりゃねぇだろ……。
「お好み焼きは明日……」
「え?」
「楽しみは……後の方が良い……」
「……まぁ、いいけど」
「うん。いい」
満足そうに呟いて、会話を終わらせる琴。
なんとも嬉しそうな横顔。
基本的に琴は無表情だから、この微妙な変化に気付くのは俺くらいのものだろう。
俺だけにしか見えない笑顔と考えると、とても可愛らしく思えてくる。
少々沈黙がちに歩いていくと、公園の脇の道、歩道全体が木陰に覆われた場所に差し掛かった。
「琴はさ」
「?」
「食べたい物とか無いの?」
「……我侭は言っちゃ駄目……」
琴の雰囲気が一変する。
空気が重い……。
- 216 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/09/15(土) 23:07:07 ID:gYtHtdBt
- 「え?」
「いつも言われてた……だから……」
「琴……」
「ゴメン……忘れて……」
辛そうに俯く琴。
嫌な記憶、というワケではなさそうだが、俺も見ていて辛いことに変わりは無い。
「琴の気持ち、俺も少し分かるよ」
「お兄ちゃんも……?」
「琴は大人しくて真面目だから……人より強めに受け取っちゃうんだよね」
「……」
「それって凄く偉いことだと思うけど……いいんだよ、俺には我侭言っても」
「……いいの……?」
「いいよ。琴はいい子過ぎるから」
琴の手を重ねるように強く握る。
「ちょっとワガママなくらいで、丁度良いんじゃないかな」
俯いていた琴は、少し顔を上げて、
「……嫌いにならない?」
「え?何で?」
「琴の中には……お兄ちゃんしかいないから……嫌いになって欲しくない……」
「いや、そういうことじゃなくてね……」
「?」
「嫌いになる理由なんて、何処にも無いってことだよ」
「……信じても……いいのかな……」
「うーむ……信じてくれると嬉しいかな」
「じゃあ……お兄ちゃんに……喜んでもらいたい……」
ゆっくり顔を上げる琴。
その顔は先ほどよりも眩しい笑顔で。
「うん。いい顔だ」
「……え……」
顔を真っ赤にして再び俯いてしまった……。
- 217 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/09/15(土) 23:07:49 ID:gYtHtdBt
- まぁ、いいか。
「行こうか?」
「うん……」
歩き出す二人。
まだお互い気付いてないが、手は繋いだまま。
「琴はさ、俺の何処が好き?」
「……私なんかと……一緒にいてくれるとこ……」
「ははは、じゃあ、ずっと一緒にいようかな」
「うん……」
恥ずかしそうに返事をした琴。
無意識のうちにその手をぎゅっと握る。
「……?」
琴がハッとして俺の顔を見た。
だが残念ながら、俺はまだ自分で何をしているか気付かない。
「クスっ……」
笑顔の琴。
繋がった左手を少し上げる。
「おぉっ……!?ゴメン、琴!!」
やっと己のしていたことに気付き、慌てて手を離す。
「あ……止めないで……」
「え……?」
「手……繋ごうよ」
「え……」
「最初の……ワガママ……」
「う、うん……分かった」
木陰のような、穏やかな琴の笑顔。
確実に……琴に癒されている俺がいるのだった。
───────────────────────
- 218 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/09/15(土) 23:08:35 ID:gYtHtdBt
- ……なんか、また日本語が上手に書けなくなっている……。
妹全然ネガティブじゃないし……可愛いけど……。
そもそもある一言セリフを言わせたいがために……こんな大掛かりな……。
しかも無理にねじ込んだ割にはインパクトないし……。
まぁ、ある意味スレタイ通りかw
- 219 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/09/16(日) 00:02:51 ID:Quyl/bZT
- GJです!!!!
もう最高ッすよ!!!
- 220 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/09/16(日) 02:00:21 ID:SmNEE+xo
- 琴は俺が命に代えても守り通す!!
- 221 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/09/16(日) 18:44:08 ID:OfUGq9cm
- なんという萌え妹
投下乙です
- 222 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/09/17(月) 02:11:25 ID:17QJKmyD
- 投下来てたー
続きも待ってます
- 223 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/09/23(日) 22:37:50 ID:C+1tGLC4
- 保守っと。
夏物はもう季節外れ……夏は短いなぁ……。
- 224 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/09/27(木) 21:10:42 ID:4s283cqj
- 保守ですよお兄ちゃん
- 225 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/09/28(金) 22:56:37 ID:5YOPpRL8
- 「はぁ……」
水銀でも混ざってるんじゃないかと思うほど重いため息。
「いつにも増してため息が重いね。何かあったの?」
いつにも増して能天気な隣の妹、遥。
「あんなことがあって、何かあったの?ってお前……」
あんなこと=新しい妹ができました……ありえねー……。
「尾を引いてるね……大丈夫?」
「大丈夫だと思うか!?」
思わず言葉が強くなる。
「思わないけど……」
「……女運悪いのかな、俺」
「むしろ良いんじゃない?芸能人の妹なんて、普通できないでしょ?」
「……やめてくれ……近野……じゃなくて、あきらが芸能人だってこと忘れようとしてんだから」
「何で?」
「眩しすぎるから……」
「うーん……よく分かんないけど……」
困ったような呆れたような顔をする遥。
ま、別に理解してもらおうとは思ってないが。
「こんなテンションで授業なんか受けたくねぇな……」
「ま、頑張って。私も授業聞きながら応援してるから」
「そりゃどうも……」
皮肉をたっぷり込めて呟いた後、下駄箱から上履きを取り出す。
「……?」
女が使うような可愛らしい封筒が落ちた。
爆弾か何かかと思い、思わず一歩下がる俺。
遥はその封筒をひょいと拾い上げ、
「もしかして……ラブレ……」
「それ以上言うな、遥」
遥から封筒を奪い取り、その封筒で遥の口を封じる。
- 226 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/09/28(金) 22:57:23 ID:5YOPpRL8
- 「え?」
「この平成の時代だぞ?いまどき、こんな恋文があるか?」
「恋文……。まぁ、私もちょっと時代じゃないとは思うけど……」
「だろ?これは、罠だよ」
「罠ぁ……?」
呆れてらっしゃる……。
「ラブレターと勘違いして、浮かれた俺を嘲笑おうという誰かの罠だ……」
「誰かって……誰?」
「誰かは誰かだ。俺に恨みを持っている誰か」
「心当たりは?」
「無いけど……俺の知らないうちに……」
「ホント、ネガティブだね……」
呆れたといわんばかりの遥の言葉。
何度目だ、この言葉を聞くのは。
「羨ましいだろ?」
「全然。私は、罠よりはラブレターの方があると思うけどな」
冗談のつもりだったのに軽く流され、少し気まずい思いをしながら、
「甘いな、遥。物事は最悪の方向を予想して動かなければ」
「そう……まぁ、お兄ちゃんは女の子嫌いだし、ラブレターでもあんまり良い結果じゃないからね」
「その通り。まぁ、俺に用があるなら直接言って来いって話だ」
ま、俺も面と向かって話すのは苦手だけどさ。
「お兄ちゃんを好きになった人は大変だね……」
「その言葉、近n……あきらにも言ってやってくれ」
「あははっ。言って聞くようなコじゃないよ」
そうだ。だから困ってるんだった……。
「ともかく。こういうのは見なかったことにするに限る」
「……人として間違ってる気がするよ、お兄ちゃん」
「何を今更……」
謎の手紙を無意識にポケットに突っ込み、今日も日常へ飛び込んでいく。
まぁ……嫌な予感はしていたのだが。
───────────────────────
- 227 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/09/28(金) 22:58:12 ID:5YOPpRL8
- たまには誰か俺のリクエストに答えてくれないかな……。
ネガティブ兄、新シリーズ。しばらく続きます。
相変わらず妹成分は薄いですけど……まぁ、長めの保守だと思って読み飛ばしていただければ。
- 228 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/09/29(土) 12:58:13 ID:NvfKw7BJ
- >>227
バカアニキがリクエストなんて100年早いのよ!
死ぬまであたしの為にSS書いてればいいの!
- 229 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/09/29(土) 23:40:57 ID:6VFEUKIS
- 「……はぁ……」
一日の生活を終えた俺は、節目がちに昇降口に向かう。
ここは中庭を越える渡り廊下。
まぁ、渡り廊下といっても大層なものではなく、レンガ敷きの道にちょっとした屋根があるだけのもので、
そろそろ秋の気配があってもよさそうなもんなのにまだまだ暑いこの時期、風が通って涼しい。
「ふぅ……」
ふと誰もいない中庭中央の大きな木に目を向けると、木陰に一人の女が。
……だからどうしたというんだ。
「あ……」
木の下に立っている女も俺のほうを見て、何か気付いたように小さな声を出す。
「……」
気にしないフリ。それが一番楽だ。
というか、あの娘との距離は50mはある。
気のせいだ、うん。気のせい。
自己満足しながら徐々に歩く速度を速め、遥が待っている(と思われる)昇降口へ。
なんとかその場から脱出したと思いきや
「あのっ……!!」
この女……近寄ってきやがった……。
「……」
何だ……何だ……。
「大野賢太郎……くん……?」
「はぁ、まぁ……」
木の下の女に適当に答える。
大体なんだってんだ、この女……。
- 230 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/09/29(土) 23:41:39 ID:6VFEUKIS
- 「来て……くれたんですね……」
来てくれた?この女……大丈夫かよ……?
「手紙を置いたのは良いけど名前書くの忘れちゃったから……来てくれるか、不安だったんです」
手紙……?
あぁ……あの手紙……。
……っていうか、こいつ誰だよ……?
疑問符が頭の中でグルグル回る。
「あ、あの……私……貴方のことが好きです。だから、お付き合いしてください……!」
……えぇー……。
あの近野だってまだもう少し段階踏んできたぞ……。
チラと女の顔を見る。
不安が可愛そうなほどにじみ出ているのが分かる。
そうか……そういうことか……。
「安心しな。ちゃんと断わるから」
「え……?」
「罰ゲームか何かなんだろ?事を大きくする前に俺から断わってやるから」
「……」
「まぁ、そういうことで」
朝の手紙も、嫌な予感も、全てが解決。
すがすがしい気持ちで昇降口に向かう。
俺だから良かったものの……こういう罰ゲームは酷いよな、うん。
───────────────────────
怒られた……。俺はただボクっ娘に萌えたかっただけなのに……。
続きます。早くもマンネリの予感。
まだ相変わらず日本語が上手く書けませんが……一度貼ってしまったからには。
- 231 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/09/30(日) 00:29:05 ID:fnaCaH6E
- なんかにやにやする
投下乙
うーん文才が致命的にたらんから俺は書けない・・・・・・
>>228
ツンデ・・・デレてはないかwww
- 232 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/10/02(火) 11:32:33 ID:wJcu1FO5
- 保守
- 233 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/10/04(木) 22:24:48 ID:zYxRtz3l
- 「あ、お兄ちゃん。遅かったね?何してたの?」
昇降口では遥が少し不安そうな顔で俺を持っていた。
「あぁ……少し面倒なことに巻き込まれてたんだ」
「面倒なこと?大丈夫?」
「いいんだ、もう解決したから」
「そう?それならいいけど……ところで中庭が騒がしいけど……」
「本当だな……俺が通ったときには何も無かったんだけど」
割と運良いんだな、俺。
「見に行く?」
「いい。今日はもう人に会いたくない。腹減ったし帰る」
「私もお腹減ったー……帰ろうか」
「あぁ。そうだ、朝の手紙の謎が解けたぞ」
歩きながらさっきの話を遥に振ってみる。
「え?ホント?何だったの?ラブレター?」
「まぁ、広い意味でな。でも、罠でもあった」
「ん?どういうこと?」
「それはなぁ……」
「あ、ちょっと待って」
「何?」
「ケータイが……メールかな」
携帯電話を鞄から取り出し、なにやら操作している遥。
どうやらメールのようだ。
「へー……」
画面を見ながら小さな声を出す遥。
- 234 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/10/04(木) 22:25:19 ID:zYxRtz3l
- 「何?」
「お兄ちゃん、この学校一のお嬢様って知ってる?」
「知らん。いるのか、そんなの」
「うん。宮原澄乃さんっていって……お兄ちゃん、萩野町の宮原医院は知ってるよね?」
「まさか……」
「そのまさか。お金持ちで、すっごい美人で、勉強もできて……知らないのお兄ちゃんだけだよ?きっと」
漫画かよ……。
「で、そいつがどうした?」
「うん。告白してフラれたんだって」
はぁ……?
「どうでもいいな……」
「でも、宮原さんいろんな人の告白を断わってきたんだよ?どんな人を好きになったのか気にならない?」
「ならない。大体俺みたいな日陰者に……そんな人間は眩しすぎる……」
「ま……それもそうだね。お兄ちゃんには相応しくない話題でした」
小さくお辞儀をして、謝るフリの遥。
「しかし……何でそんな情報がメールで……」
「友達から送られてくるんだよ」
「無駄な情報網だな……」
「時々は役に立つよ。授業変更とか。明日体操服が要るとか」
「あぁ……それはいいかもな」
「でしょ?まぁ……普段は……ガセばっかりだけど」
「……ま、そんなもんか」
すっかり気分が盛り下がった……。
- 235 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/10/04(木) 22:25:50 ID:zYxRtz3l
- 「帰るか」
「そだね」
……今後の展開を予想しているのは遥を含む俺以外の人間。
しかも……恐らく全員が正解。
「……ねぇ、もしかしてなんだけど……」
しばらく黙って歩いていた遥が気まずそうに切り出した。
「何だ?」
「宮原さんをフったのは……お兄ちゃんだったりして……?」
「……冗談のつもりなら笑ってもいいけど」
「割と本気なんだよ……残念ながら……」
遥がため息混じりに語りだす。
「条件合いすぎなんだもん……何か心当たり無いの?」
「……無い」
「ホントに?」
いつにも増して厳しい遥。
「ある……かもしれない……」
「どんな?」
「中庭で……知らない女に告白された……」
「……やっぱり。どうして言わなかったの?」
「罰ゲームかと思ってたから……」
「はぁ……!?」
さすがの遥も驚いている。
「ねぇ……お兄ちゃん、それってすごく失礼じゃない?」
「そりゃまぁ……本気だったら失礼だが」
「本気なんだよっ!」
「本気なのか……?」
「お兄ちゃん?本気じゃないのに、お嬢様が手紙出して、暑い時に中庭で待って、お兄ちゃんに告白なんてする?」
「するかも……」
「しないのっ!!」
……遥……怖いっ……。
- 236 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/10/04(木) 22:26:21 ID:zYxRtz3l
- 「はい……」
「悪いことは言わないから、謝った方が良いよ……?さすがにその勘違いは可愛そすぎるよ……」
「……結果同じなのにか?」
「気持ちが伝わらないよりはずっとマシだよ。だから、ね?」
こういうときの遥は何だか母親のようだ。
無駄に世話焼きで、妙に威圧感があって……そして、それに逆らえない弱い俺……。
「わかった……」
「うん。じゃ、宮原さん探してくるよ。きっと残ってると思うから!」
そう言うや否や、振り返って走り出す遥。
「え……そんないきなり……」
まさか今からとは思わず、呆然とする俺。
……謝るセリフ考えなきゃ……。
───────────────────────
別に下手でも良いから書きゃ良いのに……。
どうせ俺以下にはならないんだから……。
三回目。
結局、何が出てこようと妹との絡みがメイン。
- 237 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/10/06(土) 00:55:07 ID:YgdigRdt
- しえん
- 238 :名無しくん、、、好きです。。。 :2007/10/09(火) 10:54:58 ID:nbAbFRFJ
- 良作の多いスレで素敵だ
- 239 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/10/10(水) 22:55:33 ID:LXfazulE
- それから待つこと十数分。
遥から連絡を受けた俺は、例の女が待つという屋上へ嫌々ながらも向かっていた。
階段を上りきり、屋上へ続く重い金属製のドアを力一杯押す。
「……」
「……」
いきなり目が合ってしまった……。
なにやら気まずい空気が漂い始める……。
「あの……」
相手の出方を窺っていると、相手がゆっくりと切り出した。
「先ほどは大変すみませんでした。驚かれたでしょう?」
「それは……まぁ……」
先に謝られてしまい、こっちから謝りにくくなった……。
「いや……でも……さっきは俺が……」
「いえ、全ては唐突だったこちらが悪いんです」
学生とは思えぬ大人の対応。
一応、今回は俺が悪いということで終わらせたいのだが……やり辛いったら無いな……。
「そういうワケでも無い。勘違いしたのは俺のほうだから。俺も少し誠意と常識に欠けてた」
おぉ、俺、政治屋みたい……。
まぁ、コレぐらいお堅い方が性別意識しないで済むか。
「……あの……改めてなんですが……」
来た……。
性別を意識しないと言った直後に……。
- 240 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/10/10(水) 22:56:09 ID:LXfazulE
- 「私と……お付き合いしてください……」
「無理」
不意討ちに重い胃を押さえながら、必死に言葉を捻り出す。
「苦手なんだ、そういうの……だから……無理……」
「……何が……苦手だと言うんですか……?」
「何がって……」
好きとか、そういうことがだよ!!
「気に入らないところがあれば、私、直します。ですから……」
何?何なの、この本気ぶり……。
若干引いている俺。
悪いとは思うけど……何で俺ごときにそこまで言えるんだ……。
「いや……アンタが嫌いとかじゃなくて……」
何故見ず知らずの人間のフォローに回っているんだ、俺。
……大体、被害者俺じゃん……。
だんだん面倒になってきたぞ……。
「……女、嫌いだから。それ以上の理由はない」
「それは知ってました。やはりダメでしたか……」
「自分なら大丈夫と思ったか?そういう自信は嫌いだ」
「違います」
「何だよ?」
「……駄目でも……伝えたかったんです。生まれて初めての、感情をアナタに」
「非効率的」
「そうかも……しれませんね」
瞳に涙を浮かべながら、笑ってみせる女。
……やば……ちょっとやさぐれ過ぎた……。
どうしよ……これで恨み買ったら……。
「ゴメン、ちょっと卑屈になりすぎた……」
「いえ……でも、すっきりしました……」
「は?」
- 241 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/10/10(水) 22:56:44 ID:LXfazulE
- 「まだ、時間はかかりそうですが……キレイに諦めることができそうです」
「そう……」
信じて良いのかな……。
「……悪かったな」
「謝ることじゃないですよ。さぁ、これでお開きにしましょう」
「あぁ……」
最後に微笑んでお辞儀をした後、ドアの方に静かに歩いていく女。
全てが終わると安心しかけたその時……。
ドアが勢いよく開く。
慌てて飛び退く女。ドアからは
「お兄ちゃーん!!」
近野……
「あ、あきらさん!!出てっちゃダメだって!!」
と、遥。
「遥!?」
「あはっ……あははは……ゴメン、止めてたんだけど……」
「お兄ちゃん!?遥ちゃんばっかり気にしてー、ボクもいるんだよー?」
「まさか……近野あきら……?」
あぁ……この女は初対面か。
つか、そんなに有名なんだ、こいつは。
「大野君、兄妹だったの?」
あぁ、こいつになんて説明すりゃ良いんだ……。
「遥……頼む……」
まさかの人任せ。
……だって俺には無理だよ……まともな説明は……。
「あ、うん。あの、宮原さん……これは……あの……何というか、変な事情があって……」
「変な事情……?」
まぁ、こっちは遥に任せておけば良いだろう。
あとは……
- 242 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/10/10(水) 22:57:28 ID:LXfazulE
- 「?」
ニコニコと嬉しそうなあきら。
……っていうか、帰れよ、お前……。
「……何でいるんだ」
「お兄ちゃんの学校に遊びに来たら遥ちゃんがいて……それで、色々あって、こうなったの」
ヒマなのか……芸能人って……。
そんなこんなで、段々三人の女にエネルギーを吸い取られながら耐えていると、
「なるほど。理解しました」
……しなくていいのに……。
「では……私も仲間に入れてもらいましょう」
「はぁっ!?」「え?」「へ?」
俺と妹と妹のようなものが同時に、三者三様のリアクションをとる。
「お兄様……でよろしいですか?」
「……」
良くないよ……。
何にもよかねぇよ……。
そういうことじゃねぇんだよ!!
「ふふ……少し照れてしまいますね。でも、楽しいです」
……コイツも変なヤツだ……。
「……遥」
「……何?」
「どうしよう……俺……」
「……さぁ……。お兄ちゃん、私もどうしよう……」
「さぁ……」
常識外れのバカ二人に、相対的常識人が悩む悩む。
「お兄ちゃん」
「お兄様……」
俺を見るな……吐きそうだ。
- 243 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2007/10/10(水) 22:58:00 ID:LXfazulE
- 「気持ち悪……」
「大丈夫ですか、お兄様」
俺のピンチに颯爽と背中をさすってくれる妹のようなものその2。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
心配してくれる妹のようなものその1。
「……頑張って」
力なく励ましてくれる妹。
……近いうちに、胃に穴が開く……。
「大丈夫ですかー?お兄様ー」
「元気出してよー。遊びにいこーよー、お兄ちゃん」
……いつか胃が無くなるな……。
───────────────────────
最後。
最初の話とほぼ流れが同じ……。引き出し少ねぇ……。
俺みたいなのばかりが出しゃばってもしょうがないので、しばらく大人しくしようか。
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0ch BBS 2004-10-30