■スレッドリストへ戻る■ 全部 1- 101- 201- 301- 401- 501- 601- 701- 801- 901- 最新50

[第七弾]妹に言われたいセリフ

12 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/04/18(水) 21:15:14 ID:4CAJBsh4
「美佐子さん、もう時間だよ」
「ん?もうそんな時間か。二人ともお疲れ様。あがっていいよ。まさか康は一緒に帰ろうなんて考えてないよね?」
「も、もちろん」
午後8時。鉱先輩のクラスメイトの四羽先輩……の彼氏(?)の康先輩……の従姉の美佐子さんのお店(喫茶店)でのバイト終了の時間。……ちょっと紛らわしい。
店内の客はもうあまりいないけど夕方の混み具合がひどかったから洗い物が溜まってる。
「あ、じゃあゆな、洗い物してからんぐっ!?」
「……お疲れ様です」
洗い物を片付けから帰ろうと美佐子さんに声をかけようとしたゆなの口が塞がれ強引に裏へ引き摺られる。
更衣室に着いたところでようやく口に当てられた手が離され、生きてる事の素晴らしさを改めて実感する。
「ぷはぁっ!はぁ、はぁ、く、苦しかったですぅ……」
「…………」
「何するんですか紫乃先輩!ゆな、危うく帰らぬ人になるところでしたよ!?」
息を整えて私を引っ張って来た殺人未遂者に抗議する。
「………………?」
そんな『なんで?』みたいな顔されても……。
「先輩が口だけじゃなくて鼻まで塞いでたんです!」
「!……」
言われるまで気付いてなかったのか、ちょっと驚いたような顔をしてからゆなの頭を撫でてくる紫乃先輩。
ええっと……一応は悪いとは思ってくれてるんでしょうか?
「それで、急にこんな事して一体何なんですか?」
「……鉱くんと………………どう?」
今、『鉱くんと』と『どう?』……凄い端折られた気が……。
えぇと、最近何か進展はあったかという事でしょうか。
「実は……」
「……(コクコク)」
「もう先輩とは人には言えないような関係に」
なってないです。
「……………」
「この前なんて先輩が……きゃっ♥」
「…………………………………………………………」
じーっと紫乃先輩に疑いの眼差しで見つめられる。

13 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/04/18(水) 21:15:45 ID:4CAJBsh4
「う……な、なんです?」
「………………………………………………………………………………………」
疑いの眼差しが……沈黙が痛い。新しい快感に目覚めそう!
というか呆れられてるような……。
『康!お前いい加減にしないと追い出すぞコラァ!…………』
店の方から聞こえてくる美佐子さんの怒鳴り声がよく聞こえてくる。
康先輩、また何かしたんでしょうか……。
「うぅ……すいません……いつも通りというか相変わらずというか……」
「♪」
紫乃先輩の目がまるで玩具を貰った子供みたいにきらーんと光った。ような気がする。
満面の笑み(実際はそんなに笑顔じゃないけど紫乃先輩の場合はこれで満面と言っていいと思う)で近付いてくる紫乃先輩。……正直、怖い。
「な、何ですか……?ゆな、紫乃先輩の気に触るような事何もしてないですよ?ホントですよ?」
ズルズルと後ろに下がりながら一生懸命弁解するも、ゆなの言葉が聞こえているのか聞こえていないのか無言のまま笑顔を崩さずに近づいて来る紫乃先輩。
「ホ、ホントに何もしてないですよ!?」
必死の弁解も空しくロッカーひ追い詰められる。
もうダメ……殺される。
「こ、この前、紫乃先輩の忘れ物を届けに来た紫乃先輩のお兄さんをちょーっと変質者と間違えて大声で人呼んじゃっただけで……あとはホントに何もしてないです!ごめんなさい!よく分からないけどごめんなさい!」
「…………初耳」
「…………え?それで怒ってたんじゃないんですか……?」
「…………(コク)」
「え……え?ええぇぇぇーーー!?じゃ、じゃあなんでそんな怖い顔で詰め寄ってくるんです!?それ以外はホントに何もしてないですよぉ〜!」
「……可愛い後輩に…アドバイス」
「ごめんなさーい!謝りますから!お願いだから許してくださいー!って……アドバイス……ですか?」
「……(コクコク)」
「えーっと…何のアドバイス、ですか?」
「鉱くんいちころ作戦……その五」
「な、なんだってー!?」
「…………?」
「なんでもないです……。それで、今度は何をさせる気です……」
今度、というのは前もあったということで。
前があるのにまたやるということは失敗したということで……。

14 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/04/18(水) 21:16:17 ID:4CAJBsh4
「今度は……完璧」
グッと自身満々(多分)に親指を立ててくる紫乃先輩。
「いつもそう言って変なことばっかりじゃないですか!」
「……完璧」
そう言って更に立てた親指を誇張する紫乃先輩。
「……どうせ断ってもやらせるんですよね?」
ポンポンと慰めるように肩を叩かれた……。
「うぅぅ……いじめです。絶対いつか教育委員会に訴えてやります」
「〜♪」
紫乃先輩は明後日の方を向いて知らん振りする。こんな人がなんで『人魚姫』なんて呼ばれてるんでしょう……学校の皆は騙されてます。
絶対に魔女の間違いです……
「ゆなちゃん、声に出てるよ……」」
「ひぇえっ!す、すいません!すいません!今のはちょっとした冗談で……って四羽先輩、。どうしたんですか?」
紫乃先輩かと思って謝ったらいつの間にか更衣室に来ていた苦笑している四羽先輩だった。
「先輩なんてつけなくていいって言ってるのに……」
四羽先輩はこの通り紫乃先輩とは対極のとても優しい先輩で、紫乃先輩の意外な親友(?)。
男の人には少し他人行儀(女の人にもほとんど他人行儀だけど)なのに何故か康先輩だけは康くん(本名は康人)とあだ名で呼び、一緒の家に住んでて更に幼馴染らしいから学校では皆に付き合ってると疑われているけど、二人はそういう関係じゃないと否定している。
関係ないけど、紫乃先輩には違う学校にとても仲の良いもう一人親友がいるとか。
さっきの魔女発言で紫乃先輩に何か仕返しされるかとこっそり紫乃先輩を見てみると何故かご機嫌な様子。
「紫乃ちゃん、呼んだ?」
「…………(コクコク)
「え?いつ呼んだんですか?」
「ちゃんと呼ばれた訳じゃないんだけど、なんとなく呼ばれた気がして」
相変わらず四羽先輩は凄い。テレパシーでも使ってるんじゃないかっていう程紫乃先輩の事が分かっている。
学校ではよく紫乃先輩の通訳をしているとか。
「何か用事?」
コクっと頷いて手招きする紫乃先輩に近づいて行く四羽先輩。
あぁ。可憐な乙女(四羽先輩)が魔女(紫乃先輩)の魔手に……
「ゆなちゃん、また声に出てる……」
「はぁっ!!じょ、冗談ですよ……あは、あはははは……」
機嫌を損ねてないかと慌てて紫乃先輩を見てみると

15 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/04/18(水) 21:16:48 ID:4CAJBsh4
「………………」
じーっと見つめられた。
「…………………………………………………………………………」
怖……。
「そ、それで紫乃ちゃん、用事って?」
四羽先輩がフォローしてくれた。
ああ四羽先輩、先輩は本当に良い人です。いつかこういう落ち着いた優しい人になりたい……紫乃先輩にも見習って欲しいものです。
こういう時、爪の垢を煎じて飲ませてやりたいって言うんでしたっけ。
「……………………………………………………………………………………………………………………………………………………」
そんなことを考えてながら二人の方を見てみると四羽先輩は苦笑していて紫乃先輩にはまたじーっと見られていた。
というか……睨まれてる?
……もしかしてまた声に出てたんでしょうか。
「し、紫乃ちゃん…それはさすがに……それより用事。ね?」
「『それ』ってなんですか!?今紫乃先輩が何か言ったんですか!?」
「え……あの……言っていいのかな……。柔らかく言うと『騒がしくて小さい小学生の癖に』って」
「ち…小さい……小学生………」
うぅ……人が気にしてる事を……。
「それって硬く言うとどうなるんですか……」
「え、え〜と……ねぇゆなちゃん?私はね、世の中知らない方がいい事もあると思う……なんて」
四羽先輩……それ、フォローになってないです。
「四羽の言う通り……おチビ」
「ち……」
「ち?」
「ち……チビって言うなーっ!紫乃先輩だって小さい癖に!ゆなと大して変わらないじゃないですか!無いのは口だけでにして貰いたいですぅー!」
「………!」
「ゆなちゃん、ちょっと落ち着いて」
「おチビ……まな板……コケシ」
「し、紫乃ちゃんも落ち着いて」
「ゆなは少しずつ成長してるからいいんです!口数も胸囲も増えない人と一緒にしないでください!」
「ちょっと二人とも落ち着いて……」
「……(フルフル)」

16 :すばる ◆9l4B6y7T.Q :2007/04/18(水) 21:19:01 ID:4CAJBsh4
「四羽先輩はゆなの味方ですよね!?」
「え?それはその……えぇと?」

 ◇ ◆ ◇

「「ごめんなさい」」
「…………」
「わかればいいんだ。わかれば」
「だ、ダメだよ。康くんも謝らなきゃ」
「そうだぞこのバカ」
そう言って康先輩が美佐子さんに叩かれる。
「いてぇ。すいません」
「分かればよろしい」
結局、あの後騒ぎを聞き駆けつけた康先輩が騒動を納め……たりはせず、二人を更に炊き付けた。
そして康先輩を四羽先輩が注意。ゆなと紫乃先輩の言い合いは加熱。
康先輩に白黒付けて貰おうとした所で喫茶店の主、美佐子さんが来て「給料無くされたい?」という笑顔の一言で鎮圧。
その後、店のボックスのひとつに座らされ今に至る。
「今日はなんでこんな騒ぎになったんだ?」
「ゆなに……アドバイス………恋の」
「! そういう事なら年上のお姉さんにまっかせなさい!」
水を得た魚のように美佐子さんが目を輝かせてゆなを見てくる。
「え?いや、その、ゆなはべつに自分で何とかしますから……」
「だよなー。この年で結婚してないやつに任せられる訳ないよな」
「そういう訳じゃなくて……」
「康、お前夕飯抜きな」
「なっ!マジか!?」
「マジ」
「……………orz」
なんでこの人たちと話すとこうも話がそれるんでしょう……。
「そういえば紫乃ちゃん、私に用があるって言ってたよね?」
「………(コク)」

486KB
新着レスの表示

スレッドリストへ戻る 全部 前100 次100 最新50

0ch BBS 2004-10-30