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[第六弾]妹に言われたいセリフ
- 20 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/23(日) 06:51:48 ID:ORt6Jj+E
- そう、アイツの唯一の欠点は足が遅い事だ。
俺の妹のくせに、俺より何でも出来た。
勉強とか。
俺が七十点取れば、アイツは必ず満点を取った。
スポーツとか。
体力こそ無いが、アイツは大体のコツを直ぐ掴んで、上手く技術を身に付けた。
人付き合いとか。
俺の親友は一桁を超えないが、アイツの周りに友達が居なかった事は無かった。
まぁ是については男女の違いって奴があるのかも知れない。
後は―――まぁ、兎に角。
全部が全部、俺を上回って居たアイツの欠点。
それが、足の遅さだった。
- 21 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/23(日) 06:52:37 ID:ORt6Jj+E
- 「おにいちゃ〜んっ・・ま、待ってよぉ・・・・」
「・・遅ぇぞ、紗枝」
電信柱一間隔分後ろにアイツ。
先刻迄隣を歩いて居たと思ったら是だ。
「お前、前世亀だろ」
「ひ、ひどっ。 私亀さんじゃないよぉっ」
「じゃあ何だってんだ。 お前、その足の遅さは異常だぞ。 何で俺が百メートル歩く間に二十メートルしか歩けないんだ」
「そ、それは言い過ぎだよぉっ」
「そんな足じゃヒマラヤは越えられんぞ」
「越える気なんか無いもん」
「ヒマラヤを越える気が無いだと? 兄ちゃんはそんな夢の無い子に紗枝を育てた覚えは無いぞ」
「あ、ご、御免なさい・・」
「・・・・其処は育てられた覚えも無い、って返す所だ」
「あ、そ、そっか。 流石お兄ちゃんだ〜」
「・・嫌味抜きに言えるお前は凄いと思う」
色んな意味で。
「お兄ちゃん」
「あん?」
「待っててくれて有り難う」
俺の隣迄追い付いた紗枝が、俺を見上げながら言う。
「・・もっと速く歩いてくれれば、俺が待つ必要も無いんだがな」
「あう、それは言わない約束だよぉ」
言いながら、また歩き出す。
今度は、先刻よりゆっくりと。
「ふふっ・・」
「・・何だよ」
「お兄ちゃん、優しいから大好きっ」
嗚呼そうだ、欠点もう一つ。
俺なんかを、慕ってる。
- 22 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/23(日) 06:53:31 ID:ORt6Jj+E
- もう何年前だろう。
今でも憶えて居る。
あの日はそう、冬の晴れた日だった。
積もった雪に、反射した陽光が眩しかった。
冬休みも終わりに差し掛かって・・それで紗枝を、折角だからどっかに行こう、って誘ったんだ。
何時も一緒だから、冬休み中も特別何かした訳じゃなかったから・・。
そんな理由を付けて・・本当は、もっと大切な事を伝えたくて・・・・。
俺の特別を、アイツにやろうと思ったんだ。
- 23 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/23(日) 06:54:28 ID:ORt6Jj+E
- 「・・冬場は一層厳しいものがあるな」
振り向くと、二トントラック二台分程後方に紗枝。
「お、おにいちゃ・・」
「・・・・転ぶなよ」
危なっかしい足取りが追い付く迄待ってやる。
「・・・・間に合うかな」
右手の腕時計は、差し迫った時間の程を無情に告げて居た。
「ご、御免ね・・・・」
少々息を切らせて、謝って来る。
「いや、それは良いけど・・風邪とか引いて無いよな?」
「へ? な、何でかな?」
「いや、何か結構顔赤いから」
「あ、嗚呼、だってほら、その、ちょっと疲れちゃったから」
「疲れたか? なら少し休んで行くか」
「あ、駄目だよ、間に合わなく成っちゃうっ」
「いや、だってお前・・」
「大丈夫大丈夫っ、本当はそんなに疲れて無いって言うか、何て言うかっ」
「・・は? 疲れてるんだろ、お前。 息も切れてたし」
「そ、そんな事無いってっ。 は、早く行かないと間に合わなく成っちゃうんでしょっ」
「いや、でもなぁ・・」
俺は正直、迷って居たんだと思う。
今更伝えるには、少し・・所じゃなく、照れ臭いものがあった。
だから、今日じゃなくても・・って思いがあった。
でも・・。
「・・嬉しかったの」
「ん?」
「お兄ちゃんと一緒に出掛けるなんて、凄くすっごく久し振りだったから。
それもお兄ちゃんから誘ってくれるなんて・・小学校二年生の時、公園に遊びに行って以来だったから」
「・・良く憶えてんな」
「憶えてるよ・・だって、お兄ちゃんの事だもん」
- 24 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/23(日) 06:55:31 ID:ORt6Jj+E
- 「あん? 如何いう意味だよ」
「・・その儘、だよ、お兄ちゃん。 お兄ちゃんの事なら、何でも知ってるもん」
「何でもって・・そりゃ無いだろ」
「何でもだもーん」
「お前は何でも知ってるお星様か」
「お兄ちゃんの事ならね?」
「ほう、言ったな。 例えば?」
「えろ本は現在三冊所持っ」
ずびしぃっ、と効果音付きで指を突き付けて来る。
「・・往来で何を言ってるんだ」
「図星でしょ〜? ふふ、お兄ちゃんも中々良い趣味ですなぁ?」
「・・行き成りオヤジに成るな。 つか・・・・読んだのか」
「ええ勿論。 妹として兄の趣味位把握して置きませんと」
「んな妹要らん・・」
「ふふ・・お兄ちゃん」
「・・あんだよ。 未だ何かあんのか」
「うん。 何でも知ってるって言ったでしょ」
「・・勘弁しろ・・・・」
- 25 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/23(日) 07:10:09 ID:ORt6Jj+E
- 「ふふ・・お兄ちゃんの、一番の秘密、知ってるもん」
「一番?」
「・・・・私の秘密でも、あるんだけど・・」
ゆっくりと・・視線が絡まる。
見上げる瞳は、兄を、見るそれでは無く・・そう、想い人を見る――。
「ずっと一緒だから・・ずっと一緒だけど・・」
「・・・・」
「そういう、事・・気付いて、たよね?」
「・・・・・・ん」
「・・・・答え、今日、聞かせてくれるんだよね?」
「・・ん」
「ふふ、それじゃ、急がないと。 折角用意してくれたんでしょ、その為のシチュエーション」
「ん、まぁ、な」
何だよ、全部お見通しかよ。
適わねぇな・・コイツには。
「お兄ちゃん、ほら早くっ」
何時の間にか俺の前方に立つ、紗枝。
「・・このやろ、紗枝のくせに俺の前に立つとは良い度胸じゃねーかっ」
「ふふっ、早く早くっ。 日が暮れちゃうよっ」
公園迄の駆けっこは、小学二年以来だった。
- 26 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/23(日) 07:11:53 ID:ORt6Jj+E
- 「ふ・・俺が本気を出せばこんなもんだぜ」
照れ隠しに本気を出してしまった。
結構全力で。
・・日没迄もう少し。
如何にか間に合った様だ。
「・・お、おにい・・・・」
遥か後方から微かに聞こえる声。
あー・・・・居た居た。
高層ビルを横にした位の距離に、小さな影がぴょこぴょこ跳ねて居た。
「・・無理すんなよー」
公園を見遣る。
雪が積もって居たが、近所の餓鬼共が冬でも遊んで居るらしく、歩くのには困らない程度だ。
懐かしい公園だ。
俺と紗枝が遊んだ公園。
唯、俺と紗枝がこの公園に、この時間に居る事は無かった。
律儀に母親の言う事を聞いて居た俺は、空が赤味を帯びる頃にはもう紗枝を連れて家に居た。
日暮れ迄此処に二人で居るのは、初めてだ。
- 27 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/23(日) 07:12:53 ID:ORt6Jj+E
- 「―――きゃっ!」
聞き慣れた声の、聞き慣れない短い悲鳴に、俺は思考から引き戻された。
「・・紗枝?!」
振り向くと、道路の真ん中で尻餅をついた紗枝。
何だ・・転んだのか。
「おい、大丈夫か?」
歩いて近寄ろうとする。
「うん、平気・・えへへ、転んじゃった」
恥ずかしそうに笑いながら立ち上がる。
――――思い出が綺麗なのは此処迄だ。
あの瞬間。
あの音。
鮮明に刻み込まれて居る。
先刻迄紗枝が居た場所には、軽自動車。
紗枝が吹き飛ぶ。
数メートル。
道路の上に、吹き飛ぶ。
事態の把握には数十秒掛かった。
或いは、もっと。
・・紗枝が、跳ねられた。
雪に染みこむ紅は、夕日に染まる中でもはっきりと見えた。
- 28 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/23(日) 07:13:41 ID:ORt6Jj+E
- それから・・それから数日は、余り良く憶えて居ない。
それ程体の強い方じゃなかった紗枝の手術は、長引いたらしい。
スピードの出し過ぎのスリップ事故だとか、そんな話がされて居た気がする。
でも、俺は俺が悪いとしか思えなかった。
俺の所為じゃないか・・俺が紗枝を置いて行ったから、紗枝は転んだんだ。
紗枝の足が遅い事なんて、俺が一番知ってるじゃないか。
紗枝の足で走れば、直ぐに転ぶなんて想像に難く無いじゃないか。
俺が一緒に歩いて居れば、紗枝は転ばなかったかも知れないじゃないか。
俺があの日を選んだから、事故に遭ったんじゃないか。
俺があの日、答えを出そうとしたのが悪いんじゃないか。
俺が、紗枝を・・・・俺なんかが、紗枝を・・。
―――結果から言えば、紗枝の命に別状は無かった。
けれど・・。
- 29 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/23(日) 07:14:45 ID:ORt6Jj+E
- 今日は退院の日だ。
病院の人達からも見送られ、涙脆い紗枝は案の定泣いて居た。
俺と紗枝は、家迄の道をゆっくり、ゆっくりと歩いて居た。
「・・紗枝」
「んー? 何、お兄ちゃん」
「退院おめでとう」
「何、今頃ー」
くすくすと笑う紗枝。
「いや、何か言いそびれてたから。 ・・おめでとう」
「うん・・・・ふふ、何時の間にか私もおばさんだ」
「何言ってやがる、二十にも行かないくせに」
「お兄ちゃんは行ったんだよね?」
「嗚呼、立派に社会人だ。 敬え」
「ははーっ、私が通信教育とは言え、大学に在籍して居られるのは兄上様のお陰で御座いますーっ」
「明日からは通えるな」
「ちょっと不便だけどねー」
「まぁ俺の金で買ったんだ。 文句言うな」
「言わないよー。 絶対、何があっても」
「・・文句位言われないと困るんだが」
「如何して? 私の為に、働いて買ってくれたんでしょ? 確か借りれるのに」
「注文して作らないと、体にぴったり合わないんだ。 オーダーメイドって奴」
「嗚呼、何か妙に体に合って気持ち悪いと思ったよ」
「・・気持ち悪いってお前。 俺の苦労が吹き飛ぶ台詞だな」
「いやだってさぁ。 うん、でも、良く馴染むよ」
- 30 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/23(日) 07:23:37 ID:ORt6Jj+E
- 「・・大学迄は俺が送るからな」
「え、毎朝?」
「そう、毎朝。 朝じゃなくても」
「そ、それは迷惑掛けちゃうよ」
「良いんだ。 俺がやりたいんだから」
「・・・・そう?」
「そう。 今迄ずっと、一緒に歩く事も出来なかったからな。 暫くは・・一緒に歩こうじゃないか」
「・・ん。 もう、置いて行かれる事も無いしね」
「・・・・嗚呼」
コイツの唯一の欠点は、足が遅い事だった。
何時も俺の後ろに居て、それで俺は何時もコイツが追い付くのを待って居たんだ。
でも、それはもう無い。
コイツが俺の後ろを歩く事は、もう、無い。
「お兄ちゃん・・疲れない?」
「いや? 何で」
「や、だって、結構重いんじゃないかなーって」
「んな事ぁ無いぞ」
「そうかなぁ。 私はとっても軽いけどさ、車椅子って結構重そうじゃん」
「最近のは軽いんだ。 お前よりもな」
「あんだとーっ。 言ったなこのーっ」
―――紗枝の足が遅いのは、ある種の病気だったらしい。
生まれ付き、足が弱いのだ。
だがそれは日常の生活に現れる程では無かった。
足が遅い、程度にしか。
交通事故と言う、大きな負荷が、紗枝の足を壊した。
紗枝は二度と、立って歩く事が出来なく成った。
それは、俺の罪だ。
抱いてはいけない想いへの、罪なんだ。
だから俺は、兄として・・贖罪の道を、選ぶんだ―――。
- 31 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/23(日) 07:27:13 ID:ORt6Jj+E
- 「お兄ちゃん」
「ん?」
「私は重いけど、車椅子が軽いから平気なんだよね?」
「嗚呼、お前は重いが車椅子が軽いから平気だ」
「それじゃ、寄り道頼もうかな」
「父さんと母さんが待ってるぞ」
「直ぐ済みまーす」
「・・やれやれ、仕様が無ぇなぁ」
「ふふ、そんな甘いお兄ちゃんが大好き」
「はいはい、俺も大好きですよー、っと。 で、何処行くんだ」
「公園」
「公園?」
「そう。 あの日の公園に行きたい」
「・・・・・・」
「駄目?」
「・・・・いや。 分かった」
- 32 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/23(日) 07:28:31 ID:ORt6Jj+E
- 薄っすらと赤味を帯びた空。
公園への道が長く感じた。
あの時と同じ時間。
今度こそ、二人で公園に居た。
「お兄ちゃん」
「何だ」
「・・あの時の答え」
「・・・・」
「聞いて無いよ」
「・・・・・・・・」
俺の、答え。
あの日の、答え。
でも・・・・それは、もう・・。
俺に許される答えじゃない。
「俺の・・・・答え、は――」
「お兄ちゃん」
言葉が遮られる。
「お兄ちゃん、事故の日から、ずっと私に付いて居てくれたよね」
「・・・・・・」
「毎日私の所に来て、お話して、身の回りの世話してくれて、面会時間のぎりぎり迄居てくれた。
大学行くの止めて、会社に入って、お金貯めて、車椅子買ってくれた。
私の在学費払ってくれてるのもお兄ちゃん。 有り難う、って思ってる。 感謝、凄くしてる」
「・・・・当然だ」
「如何して?」
「俺は・・お前の兄貴だからな」
- 33 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/23(日) 07:29:49 ID:ORt6Jj+E
- 「嘘吐き」
「・・・・・・」
「正直に成りなさい」
「・・・・・・・・・・・・罪の意識は、ある」
「・・・・やっぱり」
悲しそうに、紗枝は呟いた。
「・・・・嬉しくない」
「・・何が?」
「全部。 そんな想いでされても、全然嬉しくない」
「・・・・・・・・」
「罪とかそういうの、すっごく頭に来る」
「・・・・・・御免」
「・・もっと頭に来る事がある」
「・・何だ?」
「お兄ちゃん、誤魔化してる」
「誤魔化して・・?」
「・・・・お兄ちゃん。 ちゃんと、答え聞かせて」
逡巡。
でも、やっぱり・・俺の答えは・・。
「・・・・紗枝。 ・・俺は―――」
- 34 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/23(日) 07:31:27 ID:ORt6Jj+E
- 「お兄ちゃん!」
・・此処迄紗枝が大きな声を出したのは、初めてじゃないだろうか。
「もう止めようよ。 お兄ちゃんは悪く無いよ。 お兄ちゃんだって本当は気付いてるでしょ?
言い訳にしてるだけでしょ? お兄ちゃんだって辛いでしょ?
でも・・私は、もっと辛いんだからねっ!? お兄ちゃんが苦しいと、私はもっと苦しいんだからねっ!!」
・・嗚呼、俺は。
「・・・・私の想いは、あの日の儘だよ。 お兄ちゃんが一番。 お兄ちゃんじゃなきゃ、駄目」
俺一人で勝手に背負い込んで。
「なのに・・お兄ちゃんは、私から目を逸らしてる。 罪だとかそんな事考えて、私を見てくれない」
自分にもコイツにも嘘付いて。
「ちゃんと私を見てよ・・私を見てくれないのは・・・・辛いよぉ・・」
挙句俺の大切なものを、自分で傷付けて―――。
啜り泣きが公園に響く。
空は茜。
あの日見せたかった、茜。
ゆっくり、ゆっくりと車椅子を押す。
高台にあるこの公園の端へ。
街を見下ろせる場所へ。
「―――綺麗だろ」
茜色に染まる街は、輝きを帯びた宝石だった。
「結構ありきたりだけどな。 でもさ、すげー綺麗だろ?」
「・・・・うん」
しゃくり上げ混じりに答える。
「あの日見せたかったんだ。 俺の一番。 俺の知ってる風景で、一番綺麗な風景。
冬場はもっとすげーんだぜ。 光が雪に反射して・・でも半分は雪を染めて・・」
目を閉じて、紗枝は頭にそれを描いて居る様だ。
- 35 :名無しくん、、、好きです。。。 :2005/10/23(日) 07:40:54 ID:ORt6Jj+E
- 「紗枝」
「・・何?」
「俺、最低だよな。 お前事故に遭わせて。 その事何時迄も引き摺って。
その所為にして、お前の事ちゃんと見てやんなくて。 ―――お前を傷付けて」
「お兄ちゃん。 お兄ちゃんが私と一緒に居てくれたのは、罪の意識だけ?」
「・・いや、違う」
「傷付いたのは、私だけ?」
「・・多分、違う」
「ふふ、おっけー。 今迄の事は水に流してあげましょう」
「・・・・・・有り難う」
本当に、コイツは・・俺の妹のくせに・・出来過ぎだ・・・・。
「それで? 水に流れた後に残ったのは何?」
「あの日の、答え」
「うむ、申してみよ」
車椅子を回転させ、俺と向き合わせる。
「・・酷い面だな」
「泣かしたのは誰よ」
「水に流したんだろ」
「女の涙は重いのよ。 水じゃ流れないわ」
「なら俺が払ってやるよ」
両手で頬を包み、涙を拭ってやる。
「是が、俺の答えだ・・」
「お兄、ちゃん・・」
茜から群青へと移る刹那の時間。
俺と紗枝の影が重なった。
―――もう紗枝が俺の後ろを歩く事は無い。
ずっと、俺と一緒に歩いて行くから・・。
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