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[第三弾]妹に言われたいセリフ

872 :たゆん ◆BUK/i6Ymmg :04/12/31 20:58:48 ID:G4NQY4WZ
どっちも兄貴だよ・・・。

873 :No.2 :04/12/31 23:33:12 ID:1tKFQDNj
お久しぶりです

前スレがdat落ちして、HTML化される予定がないようなので
過去ログ倉庫をつくりました

http://www.geocities.jp/mewmirror9/

では、よいお年をお迎えください

874 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/12/31 23:34:17 ID:E/v9ZGdK
>>873
貴様に今年最後の「よくやったよ!!最高だ!!」を授けよう。

875 :たゆん ◆BUK/i6Ymmg :05/01/01 00:33:18 ID:Ju7b0EMj
あけました。
今年もお兄ちゃん、お姉ちゃんがたにとっていい年でありますように。

876 :@引T ◆LS6RgCUyNA :05/01/01 00:48:13 ID:+k0Xuz6e
公開プロキシに通しても無いのに引っかかってた◆LS6RgCUyNAです。
トリップだけじゃ呼びにくいと思うのでHNつけました
@引Tでアップルティーとお読みください。(何でそうなるのかはわかると思いますが)
と言うことでかけなかったので今から書きたいところですが初詣帰りの疲労と明日から親戚が来てドンチャンに備えて寝ます。
そんなことで親戚来てリビングでドンチャン⇒PCリビング⇒小説かいてる暇なし。
よってしばらくかけませぬ。ご勘弁を。
4日以降には必ず。ハイ

877 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/01/01 19:35:30 ID:Q1JlFlbO
正月である。
我が家の場合は家でのんびり……というワケには行かず、毎年九州の祖母の家に行く事になっている。
俺たちは無事両親と九州で落ち合い、祖母の家で宴会などを楽しんでいる。
つなみに、ヒロ姉ぇは海外へ行ってしまったらしい。一安心と言うか、なんと言うか……。
……しかし、未来ちゃんの周り、心なしか人が多いような……。
と言っても、酔ったオッサンばかりなワケだが……。
未来ちゃんのうんざりした顔を見た俺はその人々の間をすり抜け、未来ちゃんの隣に座る。
「よっ!楽しんでる?」
「そう見えますか……?」
未来ちゃんが俺に耳打ちする。
「……見えないね」
「はぁ……勘弁してほしいですよ……」
「美しさは罪ってやつですかね?」
「全く……兄さんまで。冗談は止めてくださいよ」
相当参ってるな……未来ちゃん……。
「でも、チヤホヤされるのって悪い気分じゃないだろ?」
「まさか……。だって……私……」
未来ちゃんが口篭る。
「どうしたんだよ?」
「触られたんですよ……その……お尻を……」
俺の耳に近づけられた未来の顔から熱が伝わってきて、未来がまた真っ赤になっている事が分かった。
ついでに……俺の頭も怒りで真っ白に……。
「……おい、未来……どいつだ……!!」
「えっ……?」
「未来にそんなことしたのは、どの酔っ払いだ……!?」
「突然だったんで……ちょっと分からないですけど……」
「じゃあ片っ端から狩るか……!!」
「め、目が本気ですっ!?」
「大丈夫だ……命は取らん……」
「に、兄さんっ!!私は気にしてませんからっ!!だから、落ち着いて!!」

878 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/01/01 19:36:25 ID:Q1JlFlbO
「大事な妹の大事な部分を触られて、そう簡単に落ち着けるかぁっ!!」
「に、兄さん!!声が大きいですっ!!」
「俺も触りた……もがっ!!!」
「ああ、もう!!兄さん、ちょっと来てください!!」
───────────────────────
「頭冷えましたか?」
使っていない部屋。
俺は未来に無理矢理引っ張られて、ここに来た。
「うん……面目ない……」
「まったく……今日のは冗談になりませんよ……?」
「分かってるよ」
「昔から、兄さんは頭に血が上ると手がつけられませんからね……」
「だってよぉ……」
「だって。じゃありませんよ。向こうは酔ってるんですから」
「じゃあ、未来は我慢できるのって言うのかよ?」
「そりゃ……嫌ですけど……怒ってもしょうがないですよ……」
もう諦めたと言う様子の未来……。
「じゃあ、未来は我慢できるってのか!?」
「仕方ないじゃないですか……反抗なんて出来るわけないですし……」
「好きでもないヤツに体触られて……嫌なんだだろ!?」
「だから、言ってるじゃないですか……我慢するしかないんです……」
未来の悲しそうな顔……。
未来は、真面目で大人しいほうだから……
何もいえなくて、じっと我慢してるのが簡単に想像できて……。
やっぱり、俺は……未来のこんな悲しい顔は見たくないなぁ……。

879 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/01/01 19:37:44 ID:Q1JlFlbO
「分かった……。仕返ししてやろうなんて、もう思わないよ」
「……」
「だから、今からは俺が未来ちゃんを守る事にする」
「兄さん……」
「もう二度と、未来に嫌な思いはさせない……これならいいだろ?」
……ちょっとキザだったかも……。
つーか、言ってるこっちが恥ずかしいんだけど……。
「……はい!!嬉しいです!!」
未来に笑顔が戻る。
未来の笑顔を見るのは、凄く久しぶりのような気がした。
「さ、戻ろう?まだ、食い足りないんだ」
「はい!」
そういって、ドアを開け、廊下に出ると……
「うおっ!?未来、何してるんだ!?」
未来が俺の腕に抱きついてきた。
……まさか、未来ちゃんの偽者!?
「だって……兄さんは、私を守ってくれるんですよね?」
「そりゃそうだけど……。母さんも父さんもいるんだぞ!?」
「いいじゃないですか。それよりも、早く行かないと、料理なくなっちゃいますよ?」
「ま、まぁ……そうなんだけどさぁ……」
未来が……壊れた……。
もしかして……酔ってるのかな……。
「だって……兄さん、私を守ってくれるんじゃないんですか……?」
ギャー!!!見上げるないで!!!上目遣いは可愛すぎるってば!!!
「は、はは……参ったな……」
「♥」

皆さんも妹を大切に……。

880 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/01/01 19:39:11 ID:Q1JlFlbO
うん。>>860-862様とネタが被ってます。
いや、パクリじゃないんです。パクってもしょうがないですし……。
貼るのやめようかと思ったんですけど……第一回目を貼っちゃった後だったし……。
でも、それほど>>860-862様は自分の理想の兄貴像に近かった。ということだけは知っておいて貰いたいです。

881 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/01 22:13:53 ID:ucFqFCDv
神だ…。

882 :たゆん ◆BUK/i6Ymmg :05/01/01 23:05:42 ID:Ju7b0EMj
兄神様。

883 :@引T ◆LS6RgCUyNA :05/01/04 10:49:45 ID:6AN8BhqX
長らくお待たせいたしました。連日連夜のドンチャンで疲れ気味の@引Tです。
では本編

「アシカ見に行くぞー。で、どこでやるんだアシカショー。」
「えっとね。こっちの道をまっすぐ行って突き当たりを右だよ。」
「あと10分しかないんだ。急ぐぞ。」
「だから走らないでってば。お兄ちゃん。もう」
「これだな、アシカショーはここだろ。」
「う、うん。お兄ちゃんが走ったせいでもう疲れたよ。」
「ごめんごめん。こっちも楽しみだからつい、な。」
「やっぱ楽しんでるんだ。」
「いいだろ別に。水族館だって久しぶりなんだから。」
「へへへ。よかった。」
「ん?何が?」
「あの、ね。私が無理矢理誘ったりしてお兄ちゃん困ってたり怒ったりしてるんじゃないかって思ってたんだ。」
「そんなこと無いって。俺は、ゆきに服かってもらって嬉しかったし水族館だって、そりゃぁちょっと疲れるかなくらいは思ったけど、でも楽しみだったし。」
「よかった。私ちょっと心配だったんだ。」
「だいじょぶだって。俺そんなこと思ってないから。つーか時間。速く入るぞ」
「そうだそうだ。早く入ろう。」
「あれ?お前泣いてんのか?もうだいじょぶだから泣くなって。」
「うん。ありがと。あ、一番前の席開いてるよ。すわろ。」
「おう」

884 :@引T ◆LS6RgCUyNA :05/01/04 11:13:03 ID:6AN8BhqX
「もう始まるね。」
「あぁ。楽しみだよ。」
「はじまったよ。あ、アシカがボール乗っけたまんま出てきたよ。」
「おぉ。移動も出来んのか乗っけたまんま。」
「アシカってやっぱすごいよね。」
「あぁ。お、係の人とキャッチボールしてるぞ。」
「あれってキャッチボールなの?」
ボールを乗っけては返し乗っけては返ししているんだがまあキャッチボールかどうかは微妙である
「このアシカのトトちゃんとキャッチボールしてみませんか?では、そこのお子さんどうでしょう。」
「ほら、やっぱりキャッチボールじゃんか」
「それどころじゃないって。うまく投げられない子供でも出来るのかな?」
「できるんじゃん?」
「あ、ほんとだ。出来てる出来てる。」
「すっげーなやっぱアシカって。」
「本日は最後までのご観覧とご声援ありがとうございました。」
「あ、終わったね。」
「終わったな。すごかったなアシカ。あ、そういえばどこ行く?次」
「この近くにある建物で熱帯魚見れるみたいだから見よ。」
「いいぜ。じゃあ行くか。」

だめだ。ねみぃ。寝る。また今度を待ってくれや

885 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/04 16:01:31 ID:dV3foUi5
妹が風邪で学校を休んでいました。兄もショックです。
テレビには、終始投げやりに司会を進めるタモリが映し出されています。
妹と目が合いました。まず汗をかいたパジャマを脱いでください。無抵抗ですか。
お兄ちゃんがシスコンなのを忘れるほど発熱しているんですね。
床に投げ出された体温計が、なおも妹脱衣ショーで3分経過とピーピー鳴き蠢いています。
笑って安心させようたって駄目です。しかし葛根湯を選んだセンスは評価したい。
いま妹がご就寝されました。妹の寝顔に兄もそっとでこちゅうです。


886 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/05 00:23:26 ID:fEQI9faX
世界のSONY赤っ恥社員が勤務中に精を出す「セックス相手」募集
http://news13.2ch.net/test/read.cgi/news/1104815617/

他社製品を貶し続け、自社製品を褒めるという情報操作を繰り広げてきた
ソニー直属の自作自演工作員、通称GKの悪行の一部が
ついにマスコミと2チャンネラーの手によって白日の下に晒された!

集えソニーに苦しめられてきた消費者よ!
聖戦はまだ始まったばかりなのだ!!

【ゲートキーパーズ悪行まとめ】
http://perape.sakura.ne.jp/memo/001/1218_gatekeeper.htm
【Sonny祭りのまとめサイト】
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1030/

関連スレ
PSP欠陥・初期不良とソニー社員による他社製品中傷に関する問題★63
http://news13.2ch.net/test/read.cgi/news/1104755382/

887 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/05 02:09:19 ID:24pGpn9j
待つ。

888 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/01/06 21:20:22 ID:aGef6N1A
あ゙〜!!
古文ってのは、どうしてこんなに面倒臭いんだ!!
明日提出の課題を終わらせるため、俺は眼鏡をかけ、辞書とシャーペンを持って、テキストの前で唸っている。
数学や物理なら得意なのだが……国語は苦手。典型的な理系だった。
コンコン。
ノックの音が聞こえる。
「どうぞ?」
「失礼します、お兄さん」
軽くお辞儀をしながら、妹の千奈が入ってくる。
「勉強、お疲れ様です」
「あぁ、大変だよ」
俺は椅子を回転させて、体全体を千奈に向ける。
「あっ、お兄さん……ソレ……」
千奈が俺の顔を指差して、言う。
「ああ、眼鏡のことか?頭良さそうに見えるだろ?」
「はっ、はいっ!!似合ってます!!」
冗談のつもりだったのに……。まぁ、いいか。
「でも、いつの間に……?」
「前から軽い近視なんだ。まぁ、勉強には全然関係無いけどな」
「そうですか?でも、いつもと違って感じで……あの……か……か……」
千奈が言葉を詰まらせ、俯く。
「ゴメンなさい……なんでもないです」
「ああ、そう……そういえば、千奈は宿題はいいのか?」
「宿題ですか?今日の分は終わりましたよ」
ちゃんと計画立ててるんだなぁ……。流石千奈と言うか……。
「そうなのか。ところで、親父はどうしてる?気配がないけど……」

889 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/01/06 21:21:42 ID:aGef6N1A
「旅行に行きましたけど?」
「旅行ぉ!?何で!?」
「お母さん……旅行がすごく好きなんです」
「へぇ……」
「でも……お父さんが亡くなってから、ほとんど行けませんでしたから……」
「そっか……」
そうだった……千奈と唯奈のお父さんも……
「変な話をしてすいませんでした……」
「いや、こっちも変な話して悪かった。で、話が大分逸れたが、何か用があったんじゃないか?」
「あっ!忘れてました!!えっと……暇だったから……シフォンケーキ、焼いたんですけど……お茶にしませんか?」
「ケーキ?千奈が?」
「はぃ」
「おぉ!!食べたい食べたい!!」
「ふふっ。じゃあ、準備してきますね?」
「あぁ。ところで……唯奈は?」
「勉強してますよ。そうだ。ちょっと呼んで来てくれませんか?」
「ああ、いいよ。先に行ってて」
「はい」
千奈が階段を下りていく音を聞き、俺は眼鏡を外して唯奈の部屋へ行く。
俺は唯奈の部屋のドアを軽くノックをして、しばらく待つ。……が、返事は無い。
「おい?唯奈?」
名前を呼んでみても、やはり返事は無い。
「入るぞ?」
一応の確認。
まぁ、多分聞こえてないと思うけど、しておいたほうが気分的には安心だ。
ドアを開けると、机に突っ伏している唯奈の姿。
「唯奈……!?」
「……」
ココまで来ても、まだ返事が無い。……まさか!?
「おい!!唯奈!!しっかりしろ!!」
俺は唯奈の肩を揺すり、強く名前を呼ぶ。

890 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/01/06 21:23:05 ID:aGef6N1A
「んぅ?……お兄ちゃん……?いたの……?」
唯奈が意識朦朧といった感じで、ムクリと起き上がる。
「唯奈!?大丈夫なのか!?」
「うーん……大丈夫じゃないかも……」
「一体どうしたんだ!?どっか痛いか!?」
「うん……頭が痛いよぅ」
「頭か!?」
「うん……全然分からないんだよぅ……」
「分からない?何が!?」
「何が……って、数学だよ……?」
「スウガク……?」
「うん。宿題が全然分からないの……」
「は……宿題?」
「そうだよ?」
「もしかして、宿題が分かんなくて、倒れてただけ?」
「う、うん……エヘヘ……」
なんだ……勘違いかよ……。
って言うか、勉強ダメなんだ、見かけ通り……。
「あっ、そうだ。千奈がケーキ焼いたから、お茶にしよう。って」
「ホント!?食べる食べる〜!!」
「美味いのか、千奈のケーキって?」
「美味しいよ〜!!あのね、文化祭のときに焼いたケーキ一切れが千円で裏取引されたこともあるんだって!!」
「誰にだよ……」
「千奈ちゃんのファン」
「いるんだ……」
「うん、結構いたよ。でも、本人は全然気付いてないみたいだから、千奈ちゃんにはナイショにしてね?」
「ああ」
なんか、思わぬところで妹の過去を知ってしまった……。
まぁ、千奈なら妙に納得というかなんというか……。
「ま、それはそれとして。早く行こう。ケーキは温かいほうが美味いだろ?」

891 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/01/06 21:24:13 ID:aGef6N1A
「う、うん……ねぇ、あのさ……」
「何?」
「ケーキ食べたら、唯奈に勉強教えてくれないかな?」
「どうしようかな……。俺も課題があるし……」
「あっ、無理なら……いいんだよ?」
「いや、構わない」
「えっ!?いいの!?」
「ああ、数学は得意科目だからな」
「わーい!!お兄ちゃん、ありがとう!!」
「いいっていいって。さぁ、千奈が待ってるぞ?」
「うん。行こう〜」
───────────────────────
「遅かったですね、お兄さん」
「ああ……悪い。唯奈が紛らわしい格好で寝てるもんだから、ちょっと……」
「ぶぅ!!唯奈寝てないよぉ!!」
「結果としては、どちらも変わりはないんだがな」
「そうだけどぉ……」
「ふふっ、相変わらず仲がよろしいですね?」
「確かに。ボケなしではツッコミは成り立たないからな」
「え〜!?唯奈がボケ〜!?」
「だよな?」
千奈に話題を振る。
「……ですね」
千奈は冷静に答えた。
「ヒドいよ〜!!千奈ちゃんまで〜!!」
「まぁまぁ……。それは置いといて……食べましょう?」
「そうだね」
俺はテーブルの上に置いてある皿を千奈から受け取り、一口食べてみる。
おっ、美味い。
難しいことはよく分からんが、とにかく美味い。

892 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/01/06 21:25:08 ID:aGef6N1A
「あの……お兄さん……どうですか?」
千奈が不安そうに尋ねる。
「ああ、美味いよ。驚いた」
「そうですか!?嬉しいです!!」
「うん。千奈ちゃん、おいしいよ〜」
「ありがとう。唯奈ちゃん」
千奈は本当に嬉しそうだ。いや、幸せそうと言った形容が一番しっくりくる。そんな微笑だった。
そんな千奈を横目で見ながら、どんどん消えていくケーキ。
そして、気がついた時には、ケーキはもう既になくなっていた。
「いや……ホントに美味かった。千奈、また作ってくれるか?」
「はい。喜んで」
千奈に微笑を投げかけていると、同じく食い終わったらしい唯奈が騒ぎ出す。
「さあ、お兄ちゃん。勉強行くぞ〜!!」
「あ、ああ……じゃあな、千奈」
「何処に行くんですか?」
「あのね、唯奈ね。お兄ちゃんにね、数学教えてもらうんだ〜!!」
唯奈は自慢のつもりは無いのだろうけど、千奈は羨ましそうに……
「……いいなぁ……」
そう呟く。
「千奈ちゃんも一緒にやればいいよ〜。ね?お兄ちゃん?」
「ああ、別に構わないけど……」
「えっ!?いいんですか、お兄さん!?お邪魔じゃありませんか!?」
「あ、ああ……全然」
「ありがとうございます!!じゃあ、私、準備してきますから!!」
「うん、準備できたら俺の部屋に来てよ」
「はい!!」
「唯奈もな」
「うん。行こ、千奈ちゃん」
「うん」
さてさて、俺の腕の見せ所って訳だ。
───────────────────────

893 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/01/06 21:26:07 ID:aGef6N1A
「お兄ちゃん、お待たせ〜!!」
「お願いします、お兄さん」
千奈と唯奈が、一緒に俺の部屋へやってきた。
「おぉっ!!お兄ちゃんがメガネだー!!」
唯奈が俺の顔を見るなり、俺の眼鏡を指差して、大声を出す。
「ああ、眼鏡だな」
「すごーい、頭よさそ〜!!」
「はは……」
俺は苦笑いをしながら、眼鏡を上げる。
「ねぇねぇ、千奈ちゃんは知ってたの〜?」
「うん。私もさっき見たんだよ」
「いつもカッコいいけど、こういうのもカッコいいよね〜?」
「う、うん……」
一応、声のトーンは落ちているものの……何で俺の聞こえてる前でこういう事を言うかなぁ……。
しかし、俺はそんなに格好良いワケではないと思うんだけど……。
「ま、まぁ、勉強始めようよ」
「うん」
「はい」
兄妹三人、小さなテーブルを囲んで勉強を開始する。
「お兄ちゃん……教えてー」
俺がテキストを開くとすぐに、唯奈が俺に質問してくる。
問題を見ると……数列か。これなら楽勝だな。
「ん?ああ……まず、まず、数列Anは等差数列で初項が2。第六項が17だろ?」
「……」
「だから、公差をdとすると、17=2+(6−1)dよりd=3」
「……」
「つまり、数列Anの一般項は、An=3n−1」
「……」
「よって、公式より、数列Anの初項から第十一項までの和は187となる。……分かるか?」
「……全然ダメ〜!!お兄ちゃん、初項とか等差数列とか、難しすぎるよ〜!!」

894 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/01/06 21:27:06 ID:aGef6N1A
「おぇ!?もしかして……唯奈?等差数列がどんな物か、分かってない?」
「ふぇ?聞いたこと無いよ?」
「ダメだ……唯奈を見くびっていた……。数列の基礎を一から教えねば……」
「ふふっ、お兄さん。頑張ってくださいね」
俺と唯奈のやりとりを黙って見ていた千奈が俺に声をかける。
「あぁ……」
千奈の言葉に力なく答える。
「ところで、お兄さん……この英文の訳し方を教えて欲しいんですけど……」
「ああ。えっと……コレは仮定法のifの省略だな。つまり、この『Had』以下の文を仮定として訳すんだ」
「へぇ……全然知らなかったです……。お兄さん、スゴイですね……」
「偶然だって」
「そうですか?そんな謙遜しなくてもいいですよ?」
「そうだよ〜?お兄ちゃん、難しい言葉いっぱい知ってるしね〜?」
唯奈の場合は……。まぁ、黙っておこう。
「いや……そこまで大層なモンじゃないけど……」
「だから、お兄さん。そんなに謙遜しないで下さい」
「えっ……?」
「どんなに面白い先生の話よりも……私には……兄さんの言葉のほうが興味をもてますから……」
「唯奈もー!!」
「だから、自信を持ってもいいと思います。少なくとも私……いえ、私たちは、お兄さんを尊敬してますよ」
「そうそう。唯奈、バカだから、お兄ちゃん、スゴイと思うよ?」
「……」
「さぁ、続けましょ。みんな頑張ったら、私、また、お菓子作りますから」
「ああ。で、今度は何を作ってくれるんだ?」
「そうですねぇ……何にしましょう?」
「楽しみだな」
「ねぇ……お兄ちゃん、早く教えて〜!!」
「はいはい……えっと……何から説明しようかな……」
「は〜い。お兄ちゃんせんせぇ」
「ふふっ……唯奈ちゃんも頑張ってね」

どっかに行くわけでもないが、ま、こういう日もいいんじゃないか?

895 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/01/06 21:28:10 ID:aGef6N1A
そのうち俺のレスは永久欠番になります。遊s(ryです。

今回は、人気の無い俺のSSの中でも、更に人気の無い(ような気がする)双子の話。
ま、所詮、ドングリの背比べだけど。

話の進行には全く関係ないけど……数列の計算間違ってないよなぁ……。

896 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/06 22:00:54 ID:hVHs8tiq
いんや、オレわどの話よりもこの双子モンが好きさぁー!!!頑張ってくだされっ!てか双子の続きを……。

897 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/08 01:47:25 ID:G5Ki8hyV
最近は遊星さん=未来ちゃんて感じだったから、一瞬新シリーズかと思ってしまったよ
しかしこちらの双子もイイ。期待してるからガンガレ!

898 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/09 01:12:44 ID:1FpRHODH
「遺産相続のお金お兄ちゃんにあげるよ」
言われたらハァハァしちゃいそうだ

899 :たゆん ◆BUK/i6Ymmg :05/01/09 02:08:15 ID:qs7qcKvJ
717 名前:名無しさん@非公式ガイド 投稿日:05/01/08 23:38:04 ???
63 名前:名無しさん@非公式ガイド 本日のレス 投稿日:05/01/08 22:53:12 ???
「お兄ちゃん、朝だよー、起きてー」
「む・・・お前なんで休日に起こすんだよ・・・・」
「だってお兄ちゃんといっぱい遊びたいんだもん」
「・・・・・・・(萌え)」


64 名前:名無しさん@非公式ガイド 本日のレス 投稿日:05/01/08 23:01:36 ???
「じゃ、起きてね」
「はいはい」
「・・・・・・」
「・・・・・・何だよ?」
「お兄ちゃん、勃起してるよ?」
「ぶはっ、ナニを言い出すんだお前は!?」
「やーらしんだー♪」
「朝なんだから仕方ねーだろっ」


後は頼む・・・・・ぐはっ


900 :たゆん ◆BUK/i6Ymmg :05/01/09 02:08:51 ID:qs7qcKvJ
718 名前:名無しさん@非公式ガイド 投稿日:05/01/08 23:52:09 ???
「おにいちゃん朝だよ早く起きろー!」
「・・・まだ7時じゃないか」
「起きろってば起きろー!」
「・・・るせーぞまだ起きねーよ」
「もぞもぞ」
「・・・ん?」
「もぞもぞ」
「・・・っばっかそこは」
「別のところは起きてるくせにー!」
「・・・るせー」
「キャハハ!」


以上、コピペ。

901 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/09 18:42:42 ID:AYyuVGEy
俺には妹が居る。いや、居た。
昔から明るくて成績は俺と同程度のバカチンだけど
人望はあった。
いっつもニコニコしてて、友達の悩みを聞いてあげたり。
俺もよく相談に付き合わされた。
ある日、妹は病気にかかった。
なんてことは無く、一ヶ月もすれば完治すると聞かされた。
妹が倒れたって聞いてすっとんで病院まで行ったが、その話を聞いて
俺は胸をほっとした。

だからこそ信じられないんだ。妹が死んだのは。
妹は死んだ。死ぬはず無いのに死んだ。
医療ミスだって。投薬量を間違えたんだって。
頭にきた。なんで死なないといけないんだよ。
投薬量のミスだって。ふざけてるよ。
そんなので死んだ妹がとても浮かばれなく思った。

葬式で、妹の体をふいてあげた時
こんな話すると「うそっぱち」とか「作り話」とか言われるかもしれない。
けど、体をふいてあげた時、聞こえた気がするんだ
「いままでありがとう」って
その時、こらえてた涙がメチャクチャあふれて、周りに親戚が居るんだけど
大声あげて泣いてしまった。
妹の旦那さんに背中をさすってもらった。
彼の手は震えていた。



902 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/09 23:14:59 ID:xCsSuM2a
>>901
作り話だったら感動的だけど
実話だったら悲しすぎて俺からは何も言えない・・・

もし俺の妹が医療ミスで殺されたら俺は・・・俺は・・・・

903 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/10 18:01:24 ID:zePOYZ1w
「お兄ちゃんのだから大丈夫だよ…。」
言われたいけど………
これは遠回しに粗○ンと言っているんですよね?

904 :たゆん ◆BUK/i6Ymmg :05/01/10 18:18:53 ID:rwr7mj54
あげるほどのネタではないと思われ。

905 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/10 22:32:33 ID:url6FFQx
兄上と呼ばれたいのだが

906 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/10 23:54:31 ID:sfzWNlWa
押し倒して上に乗って「今度から兄上と呼べ!」って言ってみたらどうだろう?

907 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/11 01:48:34 ID:ZMXMRd8s
兄上…私…
兄上のことを考えてると…

908 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/11 06:13:24 ID:2zZOT1rJ
>>906
その意見に賛成です

909 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/12 19:33:21 ID:I1s2y0qN
日記など見てないのに
「お兄ちゃん…私の日記…見た?」
などと言われ、見てないよ。と言うと「そ、そう、ごめんね」と謝り風呂に入る妹。
こっそり妹の日記を読むと「最近兄をまともに見れない」「兄で自慰してしまった」などと書いてあった。
こちらも変に意識してしまって我慢できなくなり、夜中に妹の部屋に入って夜這いしようと布団に潜り込むと
「やっぱり見たんだ…………でもうれしい…」
以下略

妄想劇場でした

910 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/12 22:39:45 ID:hVv+6Vs5
>>909
イイヨイイヨ

911 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/12 22:41:35 ID:hVv+6Vs5
ああっ、ageちゃったよぉ…
ごめんなさいお兄ちゃん。許してぇ…

912 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/12 23:06:59 ID:ptloxLVa
大丈夫だよ。ゆるしてあげる。
>>910はわざとじゃないもんね?
正直に謝ったからいい子いい子してあげるね〜

913 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/13 03:26:29 ID:OLHOnFu9
遊星さん>俺は未来ちゃんの虜になりました。
また未来ちゃんシリーズ期待してます。

914 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/13 06:19:06 ID:DUZP8NIr
俺が膝枕をして頭を撫でてやると、妹は気持ちよさそうに眼を閉じ
そのまま眠ってしまった。しばらくその安らかな寝顔を見守っていると、
口元が微かに動いている。「・にい・・・」
何だろう?耳を近づけてみる。
      ・
      ・
「お兄ちゃん..だいすき....」

同じく妄想。ショボくてすまん

915 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/13 08:36:45 ID:FrXh08yT
お兄ちゃん…頭の中で
私のこと、そこまで大切に
想ってくれてたんだね…。


イイヨ♪イイヨ♪

916 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/14 12:17:52 ID:g7/9FSfA
なんだこのスレは……?

最高だ


感動をありがとう(´;д;`)

917 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/14 14:10:11 ID:LRXaqUAk
未来ちゃんキボンヌ

918 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/14 19:13:16 ID:aszmf6Eq
もう知ってるかもしれないけど、一応貼っとく
こっちもどーぞ

いっちゃうよ・・・お兄ちゃん・・・
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/otaku/1077037305/l50

スレタイが釣りっぽい・・・・

919 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/14 20:40:24 ID:8yU671A+
ロムってきた
スレタイでクソスレかと思ってたけど良スレですね!

触発されて自分でも書いてみようと思い挑戦したが   ヽ(゚∀゚ ).ノウンコー

920 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/15 01:31:15 ID:qd9KgALl
漏れもロムってきた(・∀・)

スレタイがあれじゃなければオタクじゃなくても十分読める希ガス

普通に良





双子はまだかぁ〜〜〜(*´д`)

遊星氏はまだこのスレにおられるのでしょうか?

921 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/15 18:35:01 ID:qd9KgALl
「……きて……ちゃん起きて!」
………
「起きてってば!お兄ちゃん!!」

ドスッ
「ぐはっ!!」
突然俺の腹に衝撃がきた。
「あ、起きた〜。お兄ちゃんおはよ♪」
「朝からいきなり何すんだよ…」
俺の腹の上には嬉しそうな顔をした妹が乗っていた。
「折角の休みなんだからゆっくり寝かせてくれよ…」「折角の休みだから起きるんだよぉー&e」
…またわけのわからんことを言って…
「とりあえず、どいてくれ」
「ごめん!!重かった…よね…?」
そういって恥ずかしそうにベッドの横に移動した。

922 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/15 18:37:14 ID:qd9KgALl
起こされた仕返しに少しからかってやるか。
「あぁ、ほんとにな」
「ヒドイ…そんな正直に言わなくても…」
「冗談だ。」
「…ホント?」
「嘘だ。」
「……バカ…」
本当に拗ね始めたからやめてやるか。

「まぁ冗談はともかく、なんだ?」
「へ?」
「折角の休みに起こしたからにはそれなりに何か用があったんだろ?」
「あ!そうだ!雪が降ってるの!!」
「で?」
「だから雪が降ってるんだよぉ!!」
「…そんなことで起こしたのか?」
「そんなことじゃないよー!!今年最初の雪だよ&e」
なんでこいつは雪位でこんなに騒ぐかねぇ…

923 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/15 18:39:12 ID:qd9KgALl
寝起きのおれを横に、積もるかなぁ〜&eなんて言いつつずっと雪を見ている。

「じゃ、おれは寝るから。」
「ちょっ!!寝ちゃダメだよぉ!!」
「なんでだよ?」
「雪が降ってるんだよ?お兄ちゃん何も思わないの?」
「ああ、雪のお陰でいつもより布団が温かい気がするよ」
「そんなんじゃなくて!!もっとこう……ほら…」
何故か妹は俯いて頬を赤らめている。
さすがにこれだけ話すと眠気も覚めてしまって身体を起こした。
「そうだな、目が覚めたら腹がへってきたかな?」

924 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/15 18:41:14 ID:qd9KgALl
「そうじゃなくってもっとこう……雪が綺麗だから散歩に行きたいな…とか…」
「この寒い中わざわざ外に出たい奴なんていないだろ。」
「そうかな?わたしは行きたいな…その……お兄ちゃんと…」
「え?」

……普段は明るい素直な妹だが、そんな事を言われると少しどきりとしてしまう。

「な、なんでもないよ!ごめんね!すぐご飯の用意するから!!」
「…そうだな、たまには外で飯もいいかもな。」

「え…っ?」
「お前は来ないのか?」

「行くっ!準備してくるからちょっと待っててね!お兄ちゃん&e」




糸冬?

925 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/15 18:49:30 ID:qd9KgALl
どーも。
スレ汚しスマソ。

地元で霙が降ってたから咄嗟に作ってみますた。

最近書いてる人が少ないっぽいしいいかなぁ〜なんて魔がさしたんですorz

バカが居る程度に読み流してやって下さい。

926 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/01/15 20:56:17 ID:ONsQbpBj
>>920
今日センター受けてきたんです。明日も受けるんです。しかも、ネタが無いんです。
だから、勘弁してください……。

>>921-924
イイっす!!
これからも是非書き続けてください

……ところで、&eとは……?

927 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/15 21:25:00 ID:vqBRmXDk
>>926
えっ?センターって…



キニシナイ!!

期待age

928 :920ー925 :05/01/15 21:49:15 ID:qd9KgALl
>>遊星氏
詳しくは知らないんですが何かの絵文字のハートが&eと化けるらしいんですよ。
で、一部のサイトでタグを入れるのまんどくさ&ハートを入れると文字化けがあったりなかったりでまぎらわしいから「&e」としようとかなんとか…
で&eを使うのが癖になっててつい。
はっきりしなくてすんません。

お褒めの言葉ありがとうございます。

センター試験頑張って下さい(´∀`)

長文失礼しますた

929 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/15 21:59:17 ID:c7vaXVg2
やば…ここ見てたらSSのネタが浮かんできて止まらなくなってきた。レポートあるのに…

930 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/16 05:44:20 ID:nlCBeYEh
グヘヘへ。レポートなんかよりSSの方が先じゃないかぁ〜い?てか書いてくださいなm(_ _)m

931 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/16 16:30:07 ID:guwI2WPU
いかん、SSのつもりがどんどん長くなってる…いいのかな?

932 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/16 17:23:34 ID:pnTVosbv
おkでしょ(´∀`)

933 :931 :05/01/16 19:20:21 ID:oSgsUbor
ホントにレポートそっちのけで書いちゃったよ…
あんま萌えなくても勘弁してね…

934 :931 :05/01/16 19:51:20 ID:oSgsUbor
ピロリロリ〜ピロロ〜………
「ん…」
布団の中で惰眠をむさぼっていた俺を現実に引き戻したのは
おとといケータイに入れたばかりの着メロ、「月のワルツ」だった。
「…やっぱ良ーなぁ、この曲………と」
曲に聞きほれている場合ではない。まとわりつく眠気を振り切り、冷たい空気
をかき回しながら手探りでケータイを探して手に取る。
「ふぁい、もしも……」
『わあーーーーーーーーっ!!』
「!!?」
受話器から聞こえてきたのは聞き覚えの有る声の、耳を劈くような叫びだった。
『起きたぁ、蓮にい?』
「まあな…。ゆずか…?」
『そーだよ、おっはよーっ♪』
朝っぱらから大声で俺を叩き起こしたのは4つ年下の妹、柚葉だった。
天文学をやりたくて必死の思いでなんとか某有名国立大学に入学。と同時に一人暮らしを
始めて早10ヶ月が過ぎた。夏以来一度も帰省しておらず、実家に電話をかけた
回数も両手で数えられる程度だったので、妹の声が妙に懐かしいものに聞こえる。


935 :931 :05/01/16 19:53:05 ID:oSgsUbor
「まだ七時だぞ…なんだよ、そのテンションは…」
『ボクにとってはもう七時、だよ。部活だったらとっくに朝錬始まってる
時間だからねっ♪。』
「俺は夢の中にいる時間だ。特に今日みたいな土曜の朝にはな……寝かせて、
頼むから…」
『ダメだよぉ寝ちゃあ。今日は大事なお客さんが来る日なんだからぁ!』
ばかにうれしそうに言う。
「?あのなぁ、そっちに誰が来ようが俺にはかんけーな…」
ぴんぽーん
「うん?誰だ?」
『ほぉら来た!』
「おい、まさかお前…」
あわてて布団から飛びぬけ玄関へ向かう。鍵を開けて氷のように冷え切った
ドアノブに手をかけ、扉を開けるとそこには良く知っているちっちゃな影が
ケータイ片手に立っていた。

「おはよ!おにーちゃん♪」

正にいたずらが成功した時の勝ち誇った表情で、柚葉は白い歯を見せて
にっと笑った。


936 :931 :05/01/16 19:55:26 ID:oSgsUbor
「おま…なんでここに!?連絡もなしに!しかもこんな早くに?…って外さむっ!!」
「まーまー落ち着いてよぉ、蓮にい。とりあえずおっじゃましま〜す♪」
俺の矢継ぎ早な質問をさらりと受け流しさっさと我が家へ入ってゆく柚葉。
「うっわ!きったなーい!よく住めるね〜こんなトコでぇ。
あ、そーいえば朝ごはんまだだったっけ。台所借りるよー♪
ボクがちゃっちゃっと作っちゃうからさ♪」
「お前な…ってあ〜もう…」
完全に主導権を握られている。ここはひとまず様子を見よう。落ち着け俺。
ガタン!「あっごめん、おしょーゆこぼしちゃったぁ。」
ドン「ああっお砂糖もぉっ」
グシャっ「卵落としたぁ!」
落ち着け俺。
……
大騒ぎをした割にはフツーの朝食を二人で食べながら、先ほどの続きをする。
「で、急にどーしたんだよお前は…」
「うん。高校受験も終わったからさ、久々に蓮にいのとこに遊びに来たんだ♪
部活ももうあんまり無くって暇なんだよぉほんと」
「そーいや推薦だったもんな。でもお前いくらヒマだったからって、わざわざ
こんな時間に来んでも…」


937 :931 :05/01/16 19:57:06 ID:oSgsUbor
実家から我が家までは2時間近くかかる。向こうを5時前に出なければ
7時過ぎにうちに来ることなんてできないはずだ。
「始発で来たのか?親父もそんな時間によく行かせてくれたなぁ。
年のわりに古い人間だからなぁ親父は…。お袋の方が許してくれたのか、やっぱ」
「え……?あ、うん。そーなんだ」
「相変わらずだな、まったく。で、元気か二人とも」
「あー…うん…。…うん元気だよ…」
「そっか、ならいいけどさ。…ん。この卵焼き美味いな」
「あ、でしょでしょー?ボク最近卵焼きにこっててさぁ♪
今日のはちょっと自信あるんだよぉ♪」
「美味いは美味いが、台所半壊させてこれだけってのはちょっと物足りなくないか?」
何せ一人用の狭い食卓の上に乗ってるのはごはんと韓国海苔(大好物で、常に
備蓄してあるのだ)、卵焼き、それにタマネギとジャガイモの味噌汁だけなのだ。
「は、半壊って…ちょっとおしょーゆとかお砂糖とか
こぼしちゃっただけじゃないかぁ」
「台所の天井コゲてんだけど」
「あははっ♪き、気のせい気のせい。細かいこと気にしてちゃ立派な
天文学者になれないよぉ?うん!」
「…」
ここは我が家が全焼しなかっただけで儲けもんとしとくべきかもしれない


938 :931 :05/01/16 19:58:30 ID:oSgsUbor
「そーいや学校はどーだ?」
俺はごはんを口に運びながらたずねた。
「うん、楽しいよお♪でもこの時期はみんな受験勉強でさぁ、忙しくって
あんまかまってくれないんだよね〜」
「お前のハイテンションぶりについていけなくなったんじゃねーか?」
「あ、ひど〜い。いつも明るく楽しくお気楽に、がボクのモットーなんだよぉ♪」
「お気楽が8割占めてんだろ、おまえわ…」
休みの朝からこのテンションはこたえるな…
にしても…我が家での一人きりじゃない朝食は久しぶりだ。
「あの時以来…か」

ふいに思い出してしまった。あの人がいた頃を。

「ああもう、女々しいなぁ我ながら」
「何がメシなの?」
「いやメシじゃな…ってあーっ!」
ふと食卓に目を移すと、大事なものがなくなっている!
「俺の!俺の海苔が無いーっ!まさか柚葉っ」
「あれ?残してたんじゃないのぉ♪」
ぺろっと舌を出す。
「のぉぉぉぉ〜〜〜〜〜!」
「あはは冗談、冗談だってば♪」
にぎやかな朝食も悪くない。久しぶりにそう思えた。


939 :931 :05/01/16 20:00:14 ID:oSgsUbor
朝食を終えるとさっそく柚葉の催促が始まった。
「ねーねー、せっかく来たんだから買い物連れてってよぉー。
色々あるんでしょー、この近くって」
「そりゃまあ確かになんでもあるっちゃあるけどさぁ…」
俺の通ってる大学は都心のど真ん中にあり、当然下宿先である俺んちも都心に
程近い。都会とは言い難いところで暮らしている柚葉が目を輝かせるのも
うなずける話ではあった。が…
「お前、今日の最高気温知ってる?」
「ううん。何度?」
「2度だ2度。オマケに午後から雪も降るんだと。な?今日はやめとこう?」
「ええ〜〜!やだよぉ!今日がいいー!」
柚葉のダダこねも久しぶりだが、ここは懐かしんでいる場合ではない。
「お前俺が寒いの苦手だって知ってんだろーが。な、明日にしようや。時間あるんだろ?」
「やだっ!」
「!」
突然語気を強めた柚葉に俺は面食らった。柚葉も一瞬気まずそうな顔をするが、
すぐにさっきまでの調子に戻る。
「あ……あの…あ…ほ、ほらぁ、せっかく早めに来たんだからぁ。今日一日だけ
わがまま聞いてよぉ〜。ね♪」
「ん〜しょうがねえなぁもう…」
久しぶりに会ったんだ。妹にちょっとはサービスしてやらないと
バチが当たるってもんかもしれない。朝飯も作ってもらったことだし。
「んじゃあ行くか、買い物」
柚葉の表情がぱあっと晴れやかなものに変わった。



940 :931 :05/01/16 20:01:22 ID:oSgsUbor
とりあえずここまで、ということで

941 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/16 20:09:37 ID:pnTVosbv
>>934ー939
キタ!

キタ!!

キタ━━━(゚∀゚)━━━!!

萌えるのに萌えきれない…なんて引っ張り上手な(*´д`)

とりあえずGJ!!

942 :941 :05/01/16 20:23:50 ID:pnTVosbv
ミスったorz

>>934ー939→>>934-939

943 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/01/16 20:52:37 ID:wtdBNj72
センター終わったぜ!!

>>934-939
ボクっ娘、萌える……(;´Д`)。続きを楽しみにしてるッス。

つーか、ホントどーでもいいけど、俺も某有名(地元では)国立大学を推薦で受かっちゃってるんだよね
決して受験の追い込み時期にSS書いてるわけじゃないので悪しからず。

944 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/16 21:39:56 ID:oSgsUbor
あー…レスさんくすです。
一応シナリオは全部出来てるんで、よろしければ風呂上がりに
続き出させて頂きます。

945 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/16 22:09:45 ID:mxPw/K4N
期待age

946 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/16 22:34:29 ID:pnTVosbv
是非!!

早くっ早くっ(゚∀゚)

947 :かばちゃ :05/01/16 23:02:47 ID:lDQcvxZ8
それでは僭越ながら…

_____________________________________________________

「お前…そーとー溜まってたのな、物欲」
「あはは♪まーねっ。みぃ〜んな可愛く見えちゃうからつい、ね。でもでもっ、これでも
少なくすませたつもりなんだよぉ?」
「少なく済ませてこの有様かい」
「いーじゃないか。ボクのお小遣いで買ったんだからぁ。毎月ちょっとづつ
ためてたんだぞ♪」
「荷物持ってんの誰だと思ってんだよ、ったく…」
トップス、ボトムス合わせて4着に帽子2つ、ブレス、チョーカー、ペンダント
それぞれ1つずつ。見事な買いっぷりだった。
一方俺が買ったのはユーズドのデニパン一本だけ。見事な貧乏臭さだった。
「そーいや今何時だ?」
時刻を確かめるためケータイを取り出そうとするが柚葉のほうが先にケータイを
開いていた。
ほんとに何するにしても俺より数段手際が良い。
「えと…うわ〜もう四時半だよ!楽しかった〜っ♪」
「そりゃそんだけ好き勝手やりゃあな…」
「はいはい。付き合ってくれてありがとー♪。でももう満足だから……あ、見て見て!
このお店かわい〜♪」
言うや否や速攻で店の奥へ突撃してゆく柚葉。
「コラコラコラ!ったくもー」
しょうがない。今日はあいつの奴隷を決め込むことにしよう…いまさらだけど。
大荷物を抱えながら俺も柚葉の後を追った。


948 :931(コテハンマチガエタヨ…) :05/01/16 23:06:27 ID:lDQcvxZ8
「へぇ…何かいい感じじゃんこの店」
そこはアクセサリーなどが所狭しと並ぶ雑貨屋だった。
シックで落ち着いた内装にコルトレーンのBGMが良く合っていた。
多少ベタではあったけれど。
並んでいるものも中々センスが良い。少なくとも俺好みだ。特にこのシルバーリング
なんか良い感じに見える。ちょっと手にとって見てみようとしたそのとき
「!」
隣から差し出された女性の手と俺の手が重なってしまう。
「あっ!と、すみませ……ん?って何だ、ゆずか」
呆れ顔と微笑が入り混じったような顔で柚葉が俺を見ていた。
「ボクで悪かったねぇまったく、な〜に焦ってんのさ、蓮にい。」
「あせってねー」
「まったく、女の子と手触れたくらいでそんな反応してたら先が思いやられるよぉ?」
「余計なお世話だっての。それより、気が済んだのか?」
さっさと話を切り上げようとするが柚葉は俺を逃がそうとはしなかった。
「大体、蓮にいは大人しすぎるんだよー。オクテって言うかさぁ。」
「………」
「悪い女の人にだまされたりしないか心配だよぉ、まったく。ボク知らないよぉ、
そんなことになっても……もっと積極的に攻めていかないとぉ…」

そう………
結局俺は…あの時も…



949 :931 :05/01/16 23:09:12 ID:lDQcvxZ8
「まあそーなったら…ボクが…ボクがその…面倒……見てあげても……その……
…って蓮にい?」
怪訝そうな声で呼びかけられて現実に引き戻される。
「……あ?ああ、なんだっけか」
「も〜大事な話してたのにぃ〜」
「すまん、ぼーっとしてた。あ、お詫びに何か欲しいもん買ってやるよ」
「えぇ?い、いーよーそんなの。悪いよお?」
「良いから遠慮すんなって。ちょっとは気前良いとこ見せてやるよ」
なんだかんだ言って今日は楽しかったし、最後に奮発してやろう
「ほ、ホントにいいの?」
「ああ」
「じゃ、じゃあ………これ」
柚葉がおずおずと指差したのは、俺が手に取ろうとしていたリングだった。
三日月がレリーフされているだけのシンプルなやつで、値段も大したものではない。
「おいおい、もーちょい良いやつでもいいんだぞ?」
「ううん。これが…いいの。お願い…」
……

リングをはめて店から出た柚葉はいたく上機嫌だった。リングを愛おしそうに
眺めている姿を見るとこっちまでうれしくなってくる。
「気に入ったか、それ?」
「うん!すごくうれしいよぉ!」
柚葉は満面の笑みで答えた。
「そかそか。なら良かった。あ、そうだ、親父たちにも何か買ってってやろうかな」
「あ……」
柚葉の足が急に止まる。


950 :931 :05/01/16 23:11:19 ID:lDQcvxZ8
「ん、どした?」
「え…お、お父さんとお母さんの分はいいんじゃない…かなぁ?」
「そんなわけいくかよ。長いこと帰ってないからなあ。」
柚葉は笑顔で続けるが、その顔は少しこわばったように見える。
「で、でもほらぁ、ボク服とかいっぱい買っちゃったし、お土産まで持って
帰れないかなぁ、なんて…」
「自業自得だろうが。ちょっとはガマンするんだな」
「!」

俺の言葉に柚葉は身をこわばらせた。

「…我慢なんて……」
「え?」
「………我慢しろなんて…簡単に……言わないでっ」
「柚葉っ?」

引き止める間もなかった。
柚葉はダッときびすを返し人の波間へと姿を消していってしまった。
「あいついったいどうしたって………あ。」
しまった。ひょっとして…
俺は急いでケータイを懐から取り出す。電源は入っていなかった。
俺は切った覚えは無い。
「あいつ…」
ケータイの電源をいれ、実家に電話をかける。
「あ、お袋。俺だ。柚葉のことなんだけどさ……」



951 :931 :05/01/16 23:33:36 ID:lDQcvxZ8
……… 

「寒い…なぁ…」
雪のちらつきはじめた公園のベンチで誰とも無くつぶやく。
「せっかく冬服買ったのにな…」
かじかむ手にかける吐息は白いベールのよう。
寒さとさびしさにひざを抱く。
「蓮にいは…悪くなかったのに」
何であんなこと言っちゃったんだろう…。自己嫌悪でいっぱいになる。

『ガマンするんだな…』

『我慢してね……お願い。お母さんのためにちょっとだけ…』

「っ……」
ぎゅっと体をこわばらせる。
「がま…ん……なん…て」

「ゆず」

「!」
紙袋を両手にさげた蓮にいが静かに立っていた。

「…あ……蓮…にい……」

「隣いいか?」
蓮にいは荷物を降ろして隣に座る。


952 :931 :05/01/16 23:34:27 ID:lDQcvxZ8
白い吐息の間隔はボクより少し短い。走ってボクを探してくれたのだろうか。
申し訳なさと恥ずかしさで蓮にいの顔をまともに見れない。

「蓮にい……あ、あの………ご、ごめ…!」
「親父たちに知らせてなかったんだな、来ること」
「…」

ばれちゃっ…た…

「心配してたぞ、二人とも」
「いまさら………いまさら…心配…なんて」
「そう…か」

蓮にいはそれ以上言わない。ボクも何も言えない。
お互いに虚空をみつめたまま時間だけが過ぎてゆく。
暗闇の中を舞い散る粉雪はまるで幻想のよう。
視界にかかる純白のカーテンは夢の世界への入り口みたいだ。
「夢…だったらいいのに」
かじかむ手の感覚だけがボクを現実に留める…


953 :931 :05/01/16 23:37:33 ID:lDQcvxZ8
どれくらいそうしていたろうか。
「親父もお袋も…」
ふいに蓮にいが口を開いた
「やっぱり決めたんだな、離婚」
「………うん。そーみたい…」
「お袋が出て行くんだ」
「うん。ボクも…一緒に…」
「あの男のところへ…行くのか」
「…」
あの男…お母さんの恋人。とっても良い人だけど…でも…
「ボクのお父さんは…あの人じゃない…」
「ああ」
「あのひとじゃあ……ないよぉっ…!」
「ああ」
涙があふれ出た。堰を切ったように後から後から…。そんなボクを
蓮にいは優しく抱き寄せる。
「あ…」
「ごめんな、一人にしちまってた…」
あったかい…そのあたたかさが…
「うぅ…!…えっく……うあぁぁあぁぁ………!」
蓮にいの胸を借りてボクは子供のように泣きじゃくった。


954 :931 :05/01/16 23:39:25 ID:lDQcvxZ8
ごめん、ちょっと調子に乗りすぎっすね…。流石に今日はこのあたりで
止めときます。スレ汚しすいません。

955 :921 :05/01/17 00:02:29 ID:pnTVosbv
>>931
(・∀・)イイ!!

とても読みやすいです。
続き期待してまつ(´∀`)


>>遊星氏
センター乙っす。つ旦ドゾー

遊星さんのSSも楽しみにしてまつ(・∀・)
是非書いて下さい(´д`)

956 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/17 10:45:31 ID:8KdlVjrU
妹の結婚式前日

 |  ('ー`)ノ   「明日は、この成人式のスーツでいいかな・・」
 |  <( )
 |   / \
/ ̄     ̄


 | Σ('A`)ノ     >「無職で引きこもりのお兄ちゃんに出て欲しくない!」
 |  <( )       >「そんなこと言わないの!」
 |   / \
/ ̄     ̄


翌日・・・

          (ー`) イマゴロハケーキデモキッテルカナ・・・シアワセニナ
      /⌒⌒⌒⌒⌒ヽ
     // ̄ ̄ ̄フ /
   / (___/ /
   (______ノ

↑ほぼ実話

957 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/17 14:24:55 ID:3+R13NtG
>>956
   チラシの裏
     ↓
  /| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
 |⌒             |
 |               |
 |               |
 |               |
 |               |
 |               |
 |________|

958 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/17 21:06:16 ID:k9i+FZgV
寂しい、お兄ちゃんの遺体と一緒にいたい⇒妹を逮捕
http://game9.2ch.net/test/read.cgi/gal/1105834213/l50
泣きたいときにどーぞ

959 :931 :05/01/17 23:15:23 ID:wtVInmZU
頼まれてないけど続き投下しま〜す

______________________________

そう…あれは3年くらい前、俺がまだ高校生活を謳歌していた頃だ…
親父が出張で出かけているとき、お袋が家に連れてきた一人の男
「母さんの同僚なの」
そういって紹介された男はわざとらしい笑みで握手を求めてきた
ああ、そういうことか
と気付いた。
その男の満面の笑みの奥にあるものがいっぺんに垣間見えたような気がして、
その時からそいつのことが大嫌いになった
「おに〜ちゃんみてみて〜おいしいチョコもらったよぉ〜♪」
その男にとって、まだ小学生だった柚葉を懐柔するのは簡単だったと見えて、
すぐになつかせてしまったようだった
俺は何もわかってないかのような無邪気な柚葉が苛立たしかった
「うっせーぞゆず!向こう行け!」
「う〜なんだよぉ。せっかくわけてあげようとおもったのにぃ!もぉ!」
そのときはただエディプスコンプレックス丸出しの自分が
恥ずかしかったのかもしれない

それからもその男は親父のいないときに、時にはいるときにまでちょくちょく現れるようになり、我が家になじんでいった
一度など親父と酒を飲み交わしたことまであった
俺は我が家があいつに汚されてゆくように感じられて嫌で嫌で仕方なく、よく
家を空けるようになっていた
家族と話すことも出来るだけ避けていたから、その頃の柚葉が俺に何か言いたげ
だったこともわかっていながら無視を決め込んでいた

そして今から1年半くらい前だったろうか。来るべきときが訪れた
「別れましょう」
お袋が親父に言った


960 :931 :05/01/17 23:17:36 ID:wtVInmZU
親父はショックのせいか何も言わなかった
柚葉は唇をかんでうつむいていたが、やがて堪えきれなくなったように
泣き出した
俺はやっぱりなと思いながらも胸に大きなつかえがあるような感覚を
拭い去ることが出来なかった


その後、俺は大学入学と同時に下宿したいと両親に願い出た
親のことなんかでうじうじしているような自分がうっとおしかったからだ
一人になればそんなことを考える必要も無くなる
両親もそんな俺の心中を酌んだのだろう、二つ返事で了解してくれた
そんな俺に柚葉が声をかけてきた
「蓮にい、一人で暮らすんだぁ♪」
「ん?ああ。やっぱいいかげん自立しないとな、自立」
出来る限り軽く言う。柚葉には俺の弱い部分を悟られたくなかったのだ。
「そーなんだぁ……ちょっと…さみしいな…なんて…」
「ちっとはガマンしろ。もう今年は中3だろーが」
「あ…うん。そお…だね……」


961 :931 :05/01/17 23:18:41 ID:wtVInmZU
「…」
柚葉の声に影が含まれているのを感じとった俺は聞いた。
「柚葉、お前平気か…一人で?」
「んぅ?うん。全然へーきだよ♪ボク自身よりも蓮にいの方がずっと心配だよぉ」
「うっせー」
「あ、そーだ♪引っ越したら鍵ちょーだいね♪いつでも遊びに行っちゃうからさぁ♪」
「や・だ・ね。お前に俺の暮らしを邪魔されてたまるかってんだ」
「えぇー!?ケチぃ〜…」
……



「ごめんな…ずっと…我慢してたんだな」

「うん…」

消え入るような声。
柚葉はずっと我慢してたんだ。きっと初めから全部わかってて……でも誰にも
言えずに溜め込んで…

「気付いてやれなかった…俺だけ悩んでたみたいな顔してて……ごめんな…
…俺…樹さんとの時に後悔したはずなのに…」

「……樹さんって…?」

涙のあともそのままに、穏やかな声で柚葉がたずねる。

「付き合ってたんだ。三つ上の先輩。すげー綺麗な人で優しくってさぁ…
…星が大好きな人だったんだ…」



962 :931 :05/01/17 23:24:26 ID:wtVInmZU
初めて樹さんに声をかけてもらったときのことは良く覚えている。
大学に入ってすぐに俺は、天文学の分野で高名な教授のところに
行って色々な話を伺った。
そして一年生ながら研究室で研究生の真似事をさせてもらえるようになったのだ。
樹さんはその研究室の四年生だった。
「キミ、ホントに好きなんだね。星が」
夢中で天文の本を読み漁る俺に、樹さんはそう言った。
「え、ええ。俺、月が大好きで、それでこーゆー勉強やりたくって…」
あまり女と縁がなかったせいか、突然話しかけられてしどろもどろに
なってしまう俺。
しかし樹さんはそんな態度を意に介さず言葉を返した。
「そうなんだ。私もね、大好きなんだ、お月様が」
「あ…」
そう言った彼女の横顔を見たそのときにはもう
俺は月のことなんか考えられなくなっていた
……
馴れ初めから付き合い始めるまでに大して時間はかからなかった。
いや、付き合ってるというのは少し違うかも知れない
俺の樹さんへの感情は崇拝にも近いものだったからだ。
彼女と一緒にいられるだけで俺は満足だった。
一緒に話せるだけで他に何もいらなかった。
月よりも大事なものを知ることが出来た。それだけで俺は…


だから彼女が別れを切り出したときも俺は何も言えなかった。


963 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/17 23:25:02 ID:g4/rDhYe
やばい。俺リアル妹いるのに
このスレの萌えるSSのせいで(おかげで)
すっごく「妹」と言う言葉、ネタに萌えまくってる・・・



あぁ神よ・・・罪深き僕を許してください・・・

964 :931 :05/01/17 23:36:09 ID:wtVInmZU
「君には感謝してる……でも…さよならしよう」
「樹さんがそう望むのなら」
「訳を…聞かないんだね」
「あなたと一緒にいられた。俺はそれだけで十分でした」
「私も…うれしかったよ、一緒にいられて。……………さよなら」
「さよなら」
それでよかったと思った。いや、思い込もうとしていただけだったのだろう…


「結局俺はあのときからずっと逃げてるだけだ……一緒にいられただけで
幸せだったなんて……俺は………俺には追いかける勇気が無かったんだ。
彼女を知るのが怖かった。」
「…うん」
柚葉は目を細めて静かにうなずく
「だから俺は…もう後悔したくないって…そう願っていたのに…逃げるのは
もう止めようって………なんのことはねぇ、たった一人の妹の気持ちからも
逃げてたんだよ俺は…!……なさけねぇ……」
俺は自分のみじめさに押しつぶされそうになる。しかし…
「ううん。そんなことないよ…そんなことない…」
優しくつぶやく柚葉。
「蓮にいは不器用だけど…優しくてあたたかかで…こうして……ボクを包み込んでくれてるじゃないか」
「ゆず…」
「それに……約束をまもってくれた」
「約束…?」
「…うん。ずっと前の…三日月をくれるって約束……まもってくれた」
「あ…」

ふいに脳裏に浮かぶいつかの風景


965 :931 :05/01/17 23:37:49 ID:wtVInmZU
広い草むらでちっちゃな俺とゆずが月夜の空を見上げている
そうだ あれは10年以上も前 俺がまだ月に憧れだけを抱いていた頃
『おれはおおきくなったらあのつきのおうさまになってやるんだ。
そしたらゆず、おまえにもつきをちょっとだけわけてやるよ!』
『ちょっとぉ?』
『そーだ。ちょっとだ!みかづきのぶんくらいならわけてやってもいいぜ!』
『うん!みかづきちょーだい、おにいちゃん!まってるから!』
それは他愛も無い約束
時と共に薄れゆくはずの儚い誓い
それを……

「ゆず…」
「ほら…このリング。おにいちゃんがくれた三日月だよ…」
柚葉のいじらしさに胸がしめつけられる

「……………………離れたくない…よ」

愛しい。狂おしいまでに。

「………ずっと一緒にいたいよ……ずっと…おにいちゃん…」

「ああ…柚葉……俺もだ。俺も…いたい……ずっと…一緒に…」

お互いの顔を見つめあう。
瞳と瞳が合わさる
互いの息がかかる距離まで近づく
どちらともなくそっと瞳を閉じる
そして……


966 :931 :05/01/17 23:40:52 ID:wtVInmZU


そして交わしたキスは

禁断のキスは

冷たく冷えた、でもあたたかいキスは

二人の心の奥底に

そっと優しく染み渡っていった



これは二人だけの秘密

誰にもいえない秘密

二人のなかのパンドラの箱に

そっとしまっておく希望


967 :931 :05/01/17 23:52:26 ID:wtVInmZU

………………
泣き疲れてしまった柚葉を布団に寝かせ、俺はケータイ片手に表へ出た。
ケータイのリダイヤルボタンを押して耳に当てる。
「蓮だ。おやじ…いや父さん、それに母さん、話したいことがあるんだ…」
その時実際に何を話したかはあまり覚えていない。
ただ、いままで何があっても泣くことの無かった父さんの嗚咽混じりの声だけ
が妙に印象に残っていた。
両親を電話で泣かせた俺はたいそうな親不孝ものだろう…
でも…柚葉のために出来ることがあった…これで…いいんだ。




「もっとゆっくりしててもいいんだぞ?親父たちもいいって言ってくれたし…」
日曜の朝、帰り支度をする柚葉に声をかける
「うん。これ以上メーワクかけるわけにいかないしね♪それに…ボクもお母さんたち
とちゃんと話してみたいんだ」
「そう…か。頑張れよ」
「うん!!」
柚葉の返事は力強かった


968 :931 :05/01/17 23:54:02 ID:wtVInmZU
「じゃあ行こうか。気をつけろよ、今日は晴れてるから道滑るぞ」
うっすら積もった雪景色の中、駅まで柚葉を見送る
「うん!蓮にい、ホントに色々ありがとねっ♪鍵も…ありがと」
「また来いよ。いつだっていい、遠慮すんな」
「うん!ボク遠慮なんか全然しないよぉ♪あ、あと…さ……」
「ん?」
「指輪…大切にするから…」
「ん…ああ」
昨日を思い出してお互いに少し気恥ずかしくなる。
柚葉の顔が心なしか赤いのは寒さのせいではないようだ。
俺も同じなのだろう。

そうこうしているうちに駅にたどりつく。
切符を買って柚葉に手渡す。


969 :931 :05/01/17 23:57:41 ID:wtVInmZU
「じゃあ、元気でな」

「うん。あ、………蓮…にい…」

急に切なげな声で柚葉が呼ぶ

「な…何だよ…」
「もしボクに…彼氏とか…できなかったらさ……その…」

どもる柚葉。
俺は答えた。

「ああ。俺がもらってやるよ」

柚葉の表情が華やいでゆく

「あっ…お…おにい…」

「気が向いたらな」

「なぁっ?きっ、気が向いたらって何だよぉ〜!?そんなこといったら昨日のこと
ぜ〜んぶばらしちゃうよっ?ご近所のみなさぁ〜ん!?聞いてください!
ここにいる…!」
「あっ…てコラコラコラコラぁ〜〜〜!!」
捕まえようとする俺からひらりと身をかわす柚葉。
そして改札前で「ふうっ」と一息つくと、俺に向かって大きく手を振った。

「ばいばーい!またねっおにーちゃん♪」

「……ああ。またな!」

手を振る柚葉の左の薬指にはめられたリングが、太陽を受けてきらりと輝いた。

970 :931 :05/01/18 00:00:13 ID:NKZ/7eFR

…つーわけで終わりです。しょーもないもんを長々と書いてしまってすみませんでしたホント。
ちょっとでも萌えて頂けたら幸いです。

971 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/01/18 00:08:00 ID:k9i+FZgV
綺麗な話ですねぇ。 乙可憐様です。

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0ch BBS 2004-10-30