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[第三弾]妹に言われたいセリフ

234 :751 ◆FFV1SjUAV2 :04/02/08 19:23 ID:???
「ただいまー……」
 玄関のドアを開けながら、少女は気怠そうな声を発した。
 いつもなら、元気溢れる声を出すところだが、今日の少女にはいつもの活発さ
が感じられなかった。頬は紅く染まり、目はうつろで、ゴホゴホと咳き込んでい
る。ようするに少女は、風邪をひいているのだった。
「あーあ。やっぱりマフラーしなかったせいかなあ」
 独り言を呟きながら少女は、ヒリヒリと痛む喉をさすった。
 少女は秋風が吹き始めた頃から、外出するときは必ずマフラーをするように心
掛けていた。それは、二年前に小遣いをはたいて買ったものだ。綺麗な青色でと
ても気に入っていたのだが、一週間前に木の枝に引っかけ、破いてしまった。そ
れ以降はマフラーを付けなかったのだが、それが喉を痛め、風邪をひく結果を招
いてしまったようだ。
 痛む頭を抑えながら、少女は自分の部屋へ歩いていった。二階にある自分の部
屋までの道のりが、今日はやけに長く感じられた。
 無造作にカバンを放り投げてから、クローゼットの扉を開ける。その中にある
緑色の薬箱を取り出し、フタを開いた。プーンという消毒液の臭いが鼻をついた。
「……あれっ? 風邪薬がない……」
 少女は箱の中をかき回したが、お目当ての風邪薬はどこにもなかった。
 何でだろう、と思った少女は、ハッと顔を上げた。少女は去年の暮れ、熱を出
して三日ほど寝込んだことがある。そのときは兄が薬を飲ませてくれたのだが、
あの薬はこの薬箱から出したものだったのだ。あのときちゃんと確認しておけば、
すぐに補充できたのに、面倒臭くてつい怠けてしまった。

235 :751 ◆FFV1SjUAV2 :04/02/08 19:24 ID:???
 困ったな、どうしよう……考え込んだ少女は数秒後、パチンと指を鳴らした。
「そうだ! お兄ちゃんの部屋ならあるかもしれない!」
 いや、あるに違いない……少女は思った。少女の兄はサッカー部の主将で、い
つも体調を気にしているから、医薬品は切れないようにしている。だからきっと、
風邪薬も常備しているはずだ……少女はそう考えたのだ。
 少女はすぐに立ち上がって、隣にある兄の部屋へと移動した。
 部屋に入った瞬間、窓から眩しい西日が差し込んできて、少女は目を細めた。
 陽光に照らされた兄の部屋は、意外なほど小綺麗で、さっぱりしていた。男の
子の一人部屋は、いろんなものが乱雑に転がっていることが多いと聞いたが、兄
に限って言えばそんなことはない。きちんと整理整頓されていて、まるで女の子
の部屋のようだった。
(ま、汚いより綺麗な方がいいけどね。さて、薬を探そうっと)
 少女は薬箱を探して、部屋の中を歩いた。
 それから間もなく、薬箱は見付かった。箱は脇机の上という、最も目立つ場所
に置かれていた。怪我をしたときにすぐ対処できるよう、普段から目に付きやす
い所に置いているのだろう。兄の几帳面さがうかがえた。
 箱を開けると、風邪薬は一番上に入っていた。薄茶色の小瓶に入った、カプセ
ル状の薬だ。少女はフタを開け、二粒の薬を取り出した。
「さーて、これ飲んで早く寝ようっと……ん?」
 少女の目が、兄の机の上でピタリと止まった。そこに、紙製の箱が置かれてい
るのを見付けたからだ。
 ただそれだけなら、あまり気にすることもなかっただろう。しかし、その箱の
フタには紙が貼ってあり、さらに大きな文字で「開封厳禁」と書かれていた。そ
れが少女の好奇心をかきたてたのだ。

236 :751 ◆FFV1SjUAV2 :04/02/08 19:25 ID:???
(ふふふっ。そんなこと言われると、かえって開けたくなっちゃうのよね〜)
 少女は薄笑いを浮かべながら、箱のフタに手をかけた。どうせ分かりっこない
だろうし、もしバレても、適当に言い訳すれば許してくれるだろう。そんなこと
を考えながら、少女は箱を開けた。
「……えっ? 何これ?」
 箱の中身を見た瞬間、少女の目が点になった。
 そこには、無造作にたたまれた布きれが一枚、入っているだけだった。取り出
してみると、それは80センチほどの長さで、ところどころに糸を通した跡があ
る。お世辞にも上手とは言えない編み方で、いかにも素人が必死になって編んだ
という感じだ。
 少女は最初、それが何なのか分からなかった。しかし、布の長さと大きさを確
かめているうちに、その用途に思い当たった。
「これ……もしかして、マフラー? それにこの編み方……まさか、お兄ちゃん
が編んだの?」
 そんな、信じられない……少女は思った。サッカー部で主将を務めるという、
筋金入りの体育会系の兄が、編み物をするなんて想像もできない。しかし、少女
はこんなものを編んだ覚えがないし、母親ならもっと上手に編めるはずだ。とい
うことはやはり、このマフラーは兄が編んだのだろうか……?
「でも、何のために……あれっ?」
 少女は箱の中に目を止めた。箱の底に一枚の紙切れが置かれているのを見付け
たからだ。少女はその紙を取り出し、バサッと広げた。
 そこに書かれている文字を目にした瞬間……少女は時間が止まったかのような
錯覚に襲われた。そしてその直後、じーんと胸が熱くなるのを感じた。

237 :751 ◆FFV1SjUAV2 :04/02/08 19:30 ID:???
『妹へ いつもありがとう 兄より』

 たったそれだけの、簡素な手紙。だがその言葉は、千語にも勝さる優しさと温
かさに満ちあふれていた。
「お兄ちゃん……あたしのために編んでくれたんだ……」
 少女はマフラーを胸に抱き、両腕で力いっぱいに握り締めた。
 兄は知っていたのだ。少女がお気に入りのマフラーを破って、喉を寒風に晒し
ていることを。そして、妹が風邪をひいたりしないよう、慣れない手付きで一生
懸命にマフラーを編んでくれたんだ。
 込み上げる嬉しさを噛み締めながら、少女はマフラーを首に巻いた。
 兄手製のマフラーは、市販のものと比べると、実に格好悪かった。ちゃんとし
た長方形ではないし、編み損ねでところどころに穴も開いている。でもそんなこ
とは、少しも気にならなかった。どんなに不格好でも、少女にとってそれは、世
界一のマフラーだ。身に付けているだけで、心も身体も暖まった。
(ありがとう、お兄ちゃん……このマフラー、一生大切にするよ……)
「おーい、ただいまー!」
 階下で、聞き慣れた少年の声が響いた。少女の兄の声だ。
「あっ、お兄ちゃん! おかえりなさい!」
「さっき学校の後輩に聞いたんだけど、風邪をひいたんだって? 大丈夫か?」
「あっ……うん、平気だよ。待ってて、今すぐそっちへ行くから!」
 少女は首にマフラーを巻き直し、兄のいる玄関口へと走っていった。
 大丈夫だよ、お兄ちゃん。このマフラーを付けていれば、風邪なんか一発で治っ
ちゃうよ。
 本当にありがとう。次はあたしから何か贈り物をするから、楽しみに待ってい
てね、お兄ちゃん!

238 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/02/08 19:37 ID:???
勝手に開けちゃいかんだろう。勝手に開けちゃ( *´∀`)ムハー

239 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :04/02/08 21:39 ID:???
妹に萌え(*´Д`)。兄にも燃え。

240 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/02/09 00:27 ID:???
スゴク(・∀・)イイ!

241 :751 ◆FFV1SjUAV2 :04/02/09 19:06 ID:???
>>238さん、>>239さん、>>240さん、感想ありがとうございました。
僕は一週間前に本当の風邪をひいたのですが、そのときに思い付いたのがこのSSです。
病気ネタはありがちなので、どんな反応を受けるか心配でしたが、気に入っていただけたようで良かったです。

次回も頑張りますんで、よろしくお願いします。

242 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/02/09 19:18 ID:???
>>241
またたのむよ〜

243 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/02/14 01:17 ID:x6YGMQ+w
ytuj

244 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/02/14 01:26 ID:???
良スレだよ汚兄ちゃん

245 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :04/02/14 19:14 ID:???
二月十四日。俗に言うバレンタインだ。
今日は土曜で休日のはずだったのだが、不運なことに模試があり、学校へ行っていた。
なので、妹が何をしていたのかは俺はまったく知らなかった。
尤も、この時俺はバレンタインのことなどすっかり忘れていたのだが……。
「ただいま」
俺の言葉が、ただ家の中に虚しく響いた…。
家の中は静まり返っていたが、居間の明かりはついているようだ。
「誰かいるのか……?」
俺は居間のドアを開けて、中を見回す。
よほど疲れていたのだろうか、妹がソファーで幸せそうに眠っているのを見つけた。
「おい、起きろ。風邪ひくぞ」
「ぅん……?お兄ちゃん……?」
「おはよう」
「……おはよう……。今何時?」
「七時過ぎ……」
「ふぅん……」
妹はしばらくぼんやり俺の顔を見ていたが、
しだいに意識がハッキリしてきたようで、その顔が笑顔に変わり始める。
「……あっ!!お兄ちゃん、お帰りなさい♪」
「ただいま……」
「どうしたの私の顔、ジッと見て……?もしかして……寝癖、ついちゃってる!?」
妹が慌てて髪の毛を整えたり、目を擦ったりしている。
「いや。そうじゃないけど、何でこんなところで寝てるんだ……と思って」
「えっと……お兄ちゃんを待ったんだけど……いつの間にか寝ちゃってたみたい……へへへ♪」
「最近いつも遅くまで起きてるからじゃねぇか、睡眠不足だ」

246 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :04/02/14 19:15 ID:???
叱ったつもりだったが、妹は相変わらず笑ったままだ。
「それはさておき!!お兄ちゃん、帰って来るの遅いよ〜!!」
今度は俺が怒られる番のようだ。妹が軽く頬を膨らませて、偉そうに叱る。
「悪い。まさか模試がこんなに長いとは思わなかった」
「せっかくゴチソウ作って待ってたのにぃ〜!!」
「ご馳走……?何故に?」
「あ〜!!お兄ちゃんのばか〜!!!!今日はバレンタインデーだよぅ!!」
「あぁ、そういえば……」
「も〜!!忘れないでよ〜!!」
「いや……バレンタインだろうが何だろうが、俺には全然関係ないし……」
「う〜ん……でも……私は……」
妹が言葉を詰まらせ、恥ずかしそうに俯いてしまう。
「お前は……?」
「私は、お兄ちゃんがいないと困るの!!だから、お兄ちゃんにもちゃんと関係あるんだよ!!」
「なぁ、それってどういう意味だ……?」
「まったく……お兄ちゃんのドンカンさには呆れるなぁ……」
「今、何か言ったか……?」
「ううん。何も♥さぁ、ご飯食べようよ〜♪待ってたんだよ〜♪」
妹は俺を強引にダイニングまで連れて行く。俺も腹が減っていたので、特に抵抗はしなかった。

247 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :04/02/14 19:16 ID:???
俺はバレンタインのようなイベントにはあまり興味が無い。むしろ嫌いなぐらいだ。
だが、飯が豪華という点では、バレンタインも悪くは無いのである。
「ふぅ……。ご馳走様でした……っと」
「お粗末様でした」
妹がテーブルの向こう側で、ニコニコしながら俺の顔を見ている。
「結構食ったなぁ……」
「うん♪でも、嬉しいなぁ〜♪お料理あんなにいっぱい作ったのに、全部食べてくれて♪」
「仕方ないだろ。腹が減ってたんだから」
「ねぇ、何が一番美味しかった!?」
「そうだなぁ……あのパスタが美味かった。是非、また作ってくれ」
「良かった〜!!実は、アレ、ちょっと自信なかったんだぁ〜♪また作るね〜♪」
「うむ。あの味付けは結構俺好みだったぞ」
…コレが普通の兄妹の会話とは全く思えない。
まぁ、俺には普通の兄妹というものがどんな物かは知らないが、こんな会話はしないと思う。
「はい、お兄ちゃん。ハッピーバレンタイン……って言うのかな」
そんな事を考えていると、テーブルの向こうから、妹が恥ずかしそうに小さな箱を差し出す。
「コレは?」
「チョコ……手作りなんだけど……」
「食べてもいいか?」
「うん。いいよ」
俺は妹から貰った箱を開け、少々不恰好なチョコを一つ頬張る。
「うん。結構美味い。ちょっと柔らかいけどな」
「えっ?……ゴメン……ずっと握ってたから……溶けちゃったのかも……」
「大丈夫だって、これでも十分美味い」
「ありがと、お兄ちゃん……それでね……えっと……もう一つ、プレゼントがあるんだ♥」
「へぇ……。何だ?」
「はい……」
今度は小さな紙袋をくれる。チョコのものと比べると、とても軽い。

248 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :04/02/14 19:18 ID:???
「コレは……マフラー……」
「うん。初めて……編んでみたんだけど……」
「もしかして……最近夜更かししてたのは……」
「もちろん……コレを作るためだよ♥」
「そうなのか……悪かったな、何も知らずに叱ったりして……」
「ううん、全然気にしてないから」
「……ありがとう。大事に使うよ」
「へへへ♪実はね、マフラー、私のも作ったんだ♪これでお兄ちゃんとお揃いだよね♪」
「まぁ……それはともかく……マフラー、ありがとな」
「喜んでもらえたかな……?」
「ああ。ホントにありがとう……ってさっきから、俺、礼言ってばっかりだな……」
「ううん。お兄ちゃんはいつも私のそばにいてくれる……。私こそありがとう。だよ♥」
「ん?何か言ったか?」
「ううん、全然♥」
「う〜む……どうも最近空耳が多いな……」
「ふふっ♪」
「何だよ……」
「何でもないよ〜♪」
「まぁいいか……」
満腹なったので、俺がその場から立ち去るために、立ち上がろうとすると
「あっ!!お兄ちゃん、ちょっと待って!!」
「まだ何かあるのか?」
「うん」
その返事とともに、妹が俺に抱きつく。
「一言だけ……言いたいんだ……。えっとね……お兄ちゃん、大好きだよ♥」
そんな妹を俺は黙って、優しく抱いてやる。
「お兄ちゃん……これからもずっと一緒に、ご飯食べたり、お話したり、ケンカしたりしようね?」
「ああ」
「ほんとっ!?絶対だよっ!?約束だよっ!?」
「分かってるよ」
「えへへへっ♪お兄ちゃん、やっぱりだ〜い好き♥」
結局、妹はチョコのように甘く、ベタベタなのだ……

249 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :04/02/14 19:19 ID:???

やっぱり締めるのは苦手だ……。
情けないことに、751さんと比べると、遠く及びませんが、
どうか下手の横好きということで許してやってください_| ̄|○


どうでもいいですが、
俺が妹から貰ったチョコです↓
http://www.choco-q.com/top_html
_| ̄|○ウレシインダケド……ナンダカナァ……

250 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/02/14 20:52 ID:???
>>249
妹からもらえるってだけで幸せなんだぞ、こいつぅ〜(*´д`)σ)・∀・)

251 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/02/15 05:24 ID:???
良いです良いですかなり好きです

252 :751 ◆FFV1SjUAV2 :04/02/15 19:51 ID:???
>>249さん、どうもお疲れさまです。

そういえば、昨日はバレンタインだったんですね・・・僕は予想通り、なんにも
貰えませんでした。
僕もバレンタインSSを考えていたんですが、去年書いたやつ以上のものを
書く自信がなかったので、やめておきました。

しかし、リアルで妹さんからチョコをもらえるって羨ましいですね。僕の
妹なんか、完全に無視してますから(笑)。

それじゃ、これからもよろしくお願いします。

253 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/02/21 21:34 ID:???


254 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/02/21 23:45 ID:???


255 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/02/22 00:31 ID:???


256 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/02/22 11:09 ID:???


257 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/02/22 11:14 ID:???


258 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/02/22 11:18 ID:???


259 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/02/22 18:39 ID:???


260 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/02/22 22:01 ID:???


261 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/02/22 22:33 ID:???


262 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/02/23 01:55 ID:???


263 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/02/23 02:18 ID:???


264 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/02/23 18:08 ID:???


265 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/02/23 19:45 ID:???


266 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/02/23 22:13 ID:???


267 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/02/25 20:29 ID:???


268 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/02/26 00:23 ID:???


269 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/02/27 20:32 ID:???
♥?

270 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/02/28 14:43 ID:???
  _|_ \  ┌──┐   _/__             /   
   _|_     │    │    /      ヽゝ_      /    
 / |  ヽ   └┬┬┘   // ̄ヽ   ̄\_)    /⌒!    
 \ノ   ノ    ノ  レ       _ノ     ヽ     /  \ノ 

  __l__   /      ‐‐┼‐‐        /      ‐┼‐  ‐‐┼‐‐  ┼─‐
   __|  、   |    |   └ 、  ┼┼、   |    |  ‐┼‐    ○    | ─
  (__|_ノ   し       _ノ  ヽ ノ   し      ○\   ノ    ノ _ 


271 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :04/02/28 21:09 ID:???
テスト数日前のある日。
俺は学校で勉強するために、朝早く学校に行くつもりだった。
昨晩使った教科書をバッグに入れようと、机の上を見ると
「ん……?何だ……」
手紙のようだ。
宛先も差出人も書いていない。
俺は腕時計で時間を確認した後、不思議に思いながら中を見る。

「大好きなお兄ちゃんへ♥」

やはりというべきか、それは妹からの物だった。
そういえば……最近忙しすぎて、妹に冷たくしていた事を思い出す。

「やっほ〜、お兄ちゃん。元気ですか?私はとっても元気です♪
 え〜と、急いでるわけじゃないから、暇なときにこの手紙を読んでくれると嬉しいです。

 多分今『どうして手紙なんだっ!?』って、お兄ちゃんは思ってると思うけど、
 えへへ♪あんまり意味は無いんです。
 お兄ちゃん、テストで毎日忙しそうだったから、最近全然お話してないな〜。って、ただそれだけ。
 迷惑だったらごめんなさい。」

 でも、お兄ちゃん、頑張り屋さんだね。
 朝は私が起きるより早く学校行っちゃうし、夜はずっと起きてるし。
 お兄ちゃん、いつも成績いいもんね。お兄ちゃんならきっと今度のテストもバッチリだよ♪

 でもでも、あんまり無理しちゃダメだよ?
 勉強もいいけど、ずっと勉強ばっかりじゃ、ストレス溜まっちゃうよ。
 だからさ、たまには遊ばなきゃダメだよ〜?

272 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :04/02/28 21:11 ID:???
 う〜ん。だからって言う訳じゃないけど、たまにでもいいから、私の話し相手にもなって欲しいな。
 ほら、お喋りはストレス解消になるって言うし。私だって、たまにはお兄ちゃんの声も聞きたいしね♥
 
 え〜と、お話したいことはいっぱいあるんだけど、
 お兄ちゃんのお邪魔になっちゃ悪いので、今日はコレぐらいにします。

 お兄ちゃん、テスト頑張ってね♪私は応援してるよ♪
 バイバイ、お兄ちゃん。大好きだよ〜♥
 良かったらでいいから、お返事書いてほしいな♪待ってるよ♪

 P.S
 美味しいアイスクリーム屋さん、教えてもらったんだ♪
 テスト終わったら一緒に食べに行こうね♪」

俺にとってのテストとは、妹の誇れる兄であるための手段……。
であるはずなのに、俺は妹に必要の無い不安感を持たせ、
それだけに止まらず、俺はその妹に励まされ、元気を貰ってしまったような気がする。
「またワケの分からんことを……」
そう言いながらも、今日は土産にケーキでも買って帰ることを、密かに心に決めるのだった。
本当に妹のために……
――――――――――――――――――――
妹からの手紙ってシチュは結構好きなんだけど、
全然、腕が追いついてないや……スレ汚しすみません_| ̄|○

俺の自己満足シリーズ。次回はホワイトデーを予定しております。
出来れば、次回もスレ汚しを許していただきたいなぁ……と図々しくも思っております。

273 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/02/29 02:28 ID:???
いや、スゴク(・∀・)イイ!よ

274 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/02/29 22:51 ID:???
次回もたのしみにしてまっす!

275 :751 ◆FFV1SjUAV2 :04/03/03 06:05 ID:???
お疲れさまです! また次も楽しみにしています。

276 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/03/09 03:11 ID:???
moehosyu

277 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/03/12 11:55 ID:???
これは保守ですね。

278 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/03/14 19:51 ID:???
「えへへ♪」
バツがいっぱい書いてあるカレンダーを見ると、自然に笑顔になる。
そして、また一つ、13って書いてある欄に大きなバツ印を描いた。
「とうとう明日かぁ〜♪楽しみだな〜♪」
そう考えると、なんだか胸がドキドキしてくる。
不安のような期待のような、胸のドキドキ。
そのドキドキを胸に抱えたまま、電気を消してベッドに潜り込む。
「おやすみっ♪お兄ちゃん♪」
隣に聞こえるぐらいの大きな声で、隣の部屋にいるはずのお兄ちゃんにおやすみの挨拶をした。


三月十四日。今日は待ちに待ったホワイトデー。
楽しみで、いつもより一時間も早く起きてしまった。
朝ごはんも作って、お兄ちゃんが起きてくるのを待っていたんだけど……
もう、待ち切れないよ〜!!ゴメンね、お兄ちゃん、起こしちゃうよ!!
コンコン
「お兄ちゃ〜ん♪朝だよ〜♪」
ドアの前でノックをして、ドアノブに手をかける。
「ちょっと待て!!入るな!!」
お着替え中だったのか、お兄ちゃんがちょっと慌てて言う。
「あっ……ごめんなさい」
思わずドアの前で頭を下げてしまう。
「ゴメンな。でも、ちょっとお前には見られたくない物が……」
「あっ!?それって、もしかしてエッチな本〜?」
「そんなの持ってねぇ!!」
必死になってお兄ちゃんが反論する。
こういうウブって言うかキマジメって言うか、そんなところが可愛いんだよね〜♪
でも……何なんだろう、私に見られたくない物って……
「じゃあ、何〜?」
「ココで教えたら、見せない意味が微塵もないじゃねぇか」

279 :名前忘れた、↑も俺です ◆isG/JvRidQ :04/03/14 19:53 ID:???
「う〜ん。なんだか怪しいなぁ〜?」
「気にするな、そんな変なもんじゃないから」
お兄ちゃんがドアを開けて、出てくる。
「さぁ、飯だ飯!!早起きしたから腹減ったぞ」
「うん♪食べよう♪」
でも……何で早起きなんてしたんだろう……いつも大体同じ時間に起きてくるのに……。
なんだか今日のお兄ちゃん……変だなぁ……。
今日は楽しみにしていたホワイトデー……のはずだったのに、何だか……。


「はい、お兄ちゃん。コーヒー」
「ありがと……」
お兄ちゃんはトーストをかじりながら、コーヒーを口に運ぶ。
私はお兄ちゃんの向かい側に座って、お兄ちゃんの顔を眺めてる。
「そういえば……お前、今日どこか出掛けるか?」
もしかして、どこか連れていってくれるのかな。
そうだったら、嬉しいな。そうだったら、いいのにな……
「ううん!!今日は家にいるつもりだよ!!」
思わず声が大きくなってしまう。
「そうか……なら……今日は……」
今日は……?
「今日一日だけ家を空けてくれないか?」
えっ……。
「どう……して?」
「ちょっとワケは言えないが……どうしても一人でやりたいことがある」
「また……ヒミツ……か……」
「何か言ったか?」
「ううん……何も。……いいよ。私、出掛けてくるよ」
「頼む。金はやるから、昼飯は好きな物食ってきていいぞ」

280 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :04/03/14 19:55 ID:???
「うん。分かったよ……」
私はため息ですっかり覚めてしまったココアを飲み干し、お兄ちゃんに背を向ける。
ホワイトデー……やっぱり忘れちゃったんだ……。
それとも……私のことなんて……ホントはどうでもいいのかなぁ……。
私は泣きそうになるのをグッとこらえて、お出かけの準備をする。
「じゃあ……行ってきます」
「気をつけろよ」
「うん。大丈夫だよ」
私はお兄ちゃんの顔を一度も見ずに、玄関のドアを開ける。
……なんでだろう、お兄ちゃんの顔が思い出せないや。


今日一日、自分が何をしていたのかのも分からないぐらい、私は悲しみでいっぱいだった。
不安で、寂しくて、何かにすがるような思いで、街頭の時計を見ると、もう五時を過ぎていた。
「そろそろ帰ってもいいかなぁ……」
私は遠くの空にそう呟いて、家に帰る道を歩き出す。
歩いて五分ぐらいの距離だったのに、そこからの道のりはとても長かった。
お兄ちゃんは……私のこと、どう思ってるのかな……。
好き……?ただの妹?それとも……邪魔者……?
今まで考えたことも無かった不安や疑いが次々に浮かんできて、何度も足を止めた。
仕方ないか、何でも出来るお兄ちゃんと比べたら、私はドジでバカで……
それでも……この家の玄関まで辿り着けたのは、どうしてもお兄ちゃんを信じたかったからだと思う。
そして、ありったけの勇気と希望を振り絞ってインターホンのボタンを押す。
『はい、どちら様でしょうか?』
お兄ちゃんのかしこまった声……。
「私だけど……もう入ってもいいかな……?」
『おお、お帰り。丁度いい!!すぐ入って来い!!』
う〜ん、何か困ってるのかなぁ……。
よく分からなかったけど、言われたとおり、急いで家の中に入った。

281 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :04/03/14 19:56 ID:???
「お帰り!」
お兄ちゃんが出迎えてくれる。
いつもの顔とは違って、お兄ちゃんは恥ずかしそうにニヤニヤしてる。
「えっと……何かな?」
「まぁ、入れ……あっ、ちょっと目をつぶっててくれ。その方が……」
お兄ちゃんが何かを言いかけて止める。
気になったが、聞く気に離れなかった。
お兄ちゃんは私の背中を押して、キッチンに連れて行く。
何だろう……。
もし『紹介するよ、俺のカノジョだ』とかだったら……。
部屋に入りたくない……何も見たくないよ……。
「そんな嫌そうな顔すんなって……目、開けてもいいぞ」
私は閉じていた目を恐る恐る開く。
「あっ……」
目の前には、色とりどりのお花がいっぱい……。
一瞬、何が起こったのか分からなくなった。
「えっ……お兄ちゃん……コレって……」
「その……今日はホワイトデーだろ……?花なら……気に入ってもらえるかと思ったんだが……」
「お兄ちゃん……」
覚えててくれたんだ……。
なんだかホッとするのと同時に、胸の辺りが暖かくなってくる。
「それと……」
お兄ちゃんはお花を私に渡して、奥から何かを持ってくる。
「ほい。バレンタインのチョコのお返し」
そう言って、お兄ちゃんが差し出した物は……
「ケーキだぁ……」
大きくて、いい匂いで、細かい飾りがいっぱいついたケーキ。
私には一目見ただけで、お兄ちゃんの手作りだと分かった。
「どうだ!!素晴らしかろう!!手間と神経をふんだんに使ってるぞ!!」
お兄ちゃんが自信たっぷりの表情を見せる。
「まぁ、売り物にはちょっと及ばないけどな」

282 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :04/03/14 19:57 ID:???
こう言ってるけど、お兄ちゃんは手先がとっても器用で、何か作るのが大好き。
そういえば、去年の七夕では、すごくちっちゃくて可愛い笹飾りを作ってくれたなぁ……。
そして、何か出来上がったときの、こんな嬉しそうな子供みたいな顔のお兄ちゃんも普段と違って、素敵だった。
「すご〜い!!お兄ちゃんって、こんなのも作れるんだね〜!!」
「これぐらい、本さえありゃ誰でも作れると思うぞ。まぁ、大分神経は使うが……」
お兄ちゃんは、大げさに目頭を押さえてみせる。
「と言うか、コレを作ることより、お前にバレないように準備する方が余程大変だった」
そういえば、そうだ。
いつごろから準備をしていたのか知らないけれど、最近、お兄ちゃんに違和感を感じたことは……
今朝以外ない。
「もしかして……私に見られたくない物って……」
「恐らく、ご想像通りかと……」
この言葉を聴いた途端、何だか目の前のお兄ちゃんの顔が滲んできた。
「あれ、おかしいな……すごく嬉しいのに、涙が……」
嬉し泣きってこういうことを言うんだろうな。
自分の意思とは関係なしに、涙がポロポロとこぼれてくる。
お兄ちゃんは、微笑みながら、涙を拭いてくれる。
「お兄ちゃん……ありがとう。今日は最高のホワイトデーだよ」
「礼には及ばん。いつも何だかんだ言っても、お前には世話になってるからな」
「ううん!!そんなことない、何の役にも立ってないのは私の方で……」
私がここまで言いかけると、お兄ちゃんが手を私の口に差し出して、私の話をさえぎる。
「俺は、お前の笑顔だけで十分だ……と思ってる」
お兄ちゃんがちょっと恥ずかしそうに言う。
そんなふうに思っててくれたんだ……。お兄ちゃんにとって、私は必要な存在なんだよね?
そう考えると、とっても嬉しくて、何だかお兄ちゃんに『好きだ』って言われたような気分になる。
だから……。
「お兄ちゃん……。私、お兄ちゃんのこと……大好きだよ♥」

たぶん私の気持ちを伝えるのに、これ以上の言葉は無いと思う。
だって、誰になんて言われたって、私は誰よりもお兄ちゃんのことが大好きだから……。
だから……今日だけでいいんだ。私の精一杯の言葉、無視しないで、笑わないで、聞いて欲しいな♥

283 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :04/03/14 19:59 ID:???
兄の視点でのホワイトデーが、書きにくいので、思い切って妹の視点にしてみたら、
普段の三倍ぐらいワケが分からなくなってしまった……。ごめんなさい……。

しかし、質より量。他人の嗜好より自分の趣味。現実から目を背け、イタい妄想に走る。
最低じゃん、俺……。_| ̄|○

284 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/03/15 00:31 ID:???
>>283
キタ━━━( ´∀`)・ω・) ゜Д゜)゜∀゜)・∀・) ̄ー ̄)´_ゝ`)−_)゜∋゜)´Д`)゜ー゜)━━━!!!!

そして

イイ━━(゚∀゚)━━( ゚∀)━━(  ゚)━━(  )━━(゚  )━━(∀゚ )━━(゚∀゚)━━━ !!!!

285 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/03/16 22:53 ID:???
これはイイ萌えもエ萌えもエですな!!

286 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/03/24 19:28 ID:???
ほしゅ〜

287 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/03/29 14:49 ID:r5a0Dc51
hosyu

288 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/03/29 19:39 ID:???
  「ただいま」
俺は玄関の重いドアを開けた。靴を乱雑に脱ぎ捨て、どかどかと上がる。
コンビニ袋をぶら下げてリビングに入るが、そこに俺以外の人の姿は無かった。
……いや、誰もいないことは分かっていた。俺は一人暮らしをしているのだから。
テーブルの上にジュースやら何やら入った袋を置き、テレビのスイッチを入れた。
明るいバラエティ番組が流れる。
  「アイツ、寂しくて泣いてなんかいないだろうな」
無表情でぽつりと呟いた。


 俺には三歳年下の妹がいる。今は離れ、家族と一緒に暮らしている。
まだ俺が家族の元にいたころ、深夜によく「眠れないよぅ……」とか「怖いよぅ……」とか
涙声で部屋を訪れてきたものだった。
他にも、料理が下手なくせに「任せなさ〜い♪」とか見栄を張って、キテレツな料理を
創り出したこともあった。ずいぶん世話好きな奴だった。
そして今、俺はアイツがいてくれたことの有難さを、身をもって痛感していると言うわけだ。
本音を言うと寂しい。やっぱり誰かと一緒にいたいという気持ちはある。
しかし、何故アイツが頭に中に出てくるのか、俺にはよく分からなかった。


289 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/03/29 19:39 ID:???
 「そろそろ夕飯でも作るか……」
テレビから顔を上げ、壁時計に目を移す。時計の針はもう六時をさしていた。
やれやれと腰を上げると、ケータイの着メロが鳴り響いた。
誰だ?
 「もしもし」
 「あ、お兄ちゃん!?私〜!」
懐かしい声。
 「おう、久しぶりじゃないか。どうした?」
 「えへへ、今日はね、お兄ちゃんに夕食を作ってあげようと思って♪」
はあ?
 「何言ってんだお前。そこからウチまで何時間かかると―――」
 「思ってんだ?」
その声は電話越しでは無かった。
 「う、うわああぁぁぁぁぁっ!」
驚いて振り向くと、そこには懐かしい姿が立っていた。
妹だ。
 「あはははは♪かっこ悪ぅ、お兄ちゃん」
 「な、なんでお前がここにっ!」
 「あ〜、何よ?たまに遊びに来ちゃいけないって言うの?」
 「いや、そういう訳じゃ無いけど……」
 「だったらいいじゃない♪ほら、夕食作ってあげるから!」
すっかりペースを乱され、ソファに座らされる。その間に妹はキッチンへ向かう。
……ここは俺の家だぞ。


290 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/03/29 19:42 ID:???
 「で、なんでここにいるんだ?」
 「兄妹愛に理由なんて要らないよ、お兄ちゃん♪」
 「適当に流すな」
 「……ちょっと家出」
 「家出?」
 「うん……だから、少しだけここにいさせて。お願い……」
背中越しでも充分に悲しみが伝わってきた。やれやれ。
 「少しだけだぞ。それより、何か手伝うよ」
立ち上がり、妹の隣に並ぶ。小声で何か聞こえたような気がしたが、あえて問わないでおこう。
しばらくして料理が出来上がった。出来栄えは……それなり。
テーブルを挟んで向かい合う。自然と会話が弾む。こういうのは何ヶ月ぶりだろう。
 「どう?お兄ちゃん」
 「ん〜……まあ、前に比べれば進歩したかな」
 「やった〜♪あのね、あれから一生懸命努力したんだよ!」
 「分かった!分かったから口に物を入れてしゃべるな!」
 「あ……ごめんなさい」
 「それで、お前が親とケンカなんて珍しいな」
 「悩み多き乙女なのよ」
 「どこが乙女だ。お前はどっちかと言うと魔女」
 「ひ、ひどい!繊細な女の子のハートというものを……!」
 「警棒持った奴に襲われるなよ〜」
 「なぁに、それ?」
 「こっちの話」
こうして夕食は楽しい時間が過ぎていった。


291 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/03/29 19:43 ID:???
 俺は食器を拭きながら、隣で洗っている妹に言った。
 「一応、家には連絡しとくぞ?」
 「うん……」
神妙な面持ちで返事をする。どうやら本気で帰りたくないらしい。
俺は食器を拭く手を止め、そっと頭を撫でてやった。
ボッ、と赤くなる。
 「なっ……!」
 「我慢するなよ」
なるべく優しい口調で言う。
 「俺も寂しかったんだから、さ」
 「え……てっきり迷惑かと思ってた……」
 「そう見えたか?」
 「うん……」
 「赤の他人ならともかく、俺の前では無理するな」
言いながら優しく撫でてやる。すると、頬を何か伝うのが見えた。
ギュッと抱きしめてやる。妹は泡だった手のまま、抱き返してきた。
 「ありがとう……」
涙声はそのまま嗚咽に変わった。


292 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/03/29 19:45 ID:???
 夜も更けて。
俺はベッドの上で寝転んでいた。風呂場の方から鼻歌が聞こえる。
のん気なものだ。まだ体調が優れてないくせに。
しばらくして脱衣所から出てきた。ふと視線を向けてみる。
相変わらず出てないところは出ていない。俺は少しだけ悲しくなって目をそらす。
 「なによ?」
 「別に」
 「あ〜!まさか、『小さいな』とか思ってたんでしょ!?」
図星。
 「そ、そんな訳無いだろ!誰がお前なんかの……!」
 「お前なんかの……なぁに?」
 「………」
 「私の何なのよ……?」
 「………胸」
拳骨が飛んだ。
 「痛ってぇ……」
俺は頭をおさえてうずくまる。すると、頭上から予想外のものが降ってきた。
妹は泣いていた。意外だった。
 「私だって……もう少し経てば立派になるもん!なのに……」
 「あああ、悪かった!悪かったよ……」
 「うう……ひっく」
 「ほら、昔お前が好きだった子守唄を歌ってやるからさ」
 「ほ、本当?」
現金な奴だ。
 「ああ。好きだったろ?この歌」
そう言って俺は歌い始める。それを制する。
 「ま、ままま待って!」
どうしたのかと眺めていると、急いで髪を乾かし、歯を磨き、布団にもぐった。
 「いいよ」
 「………」
……ダメだこいつは。


293 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/03/29 19:46 ID:???
 カーテンの隙間から綺麗な夜空が見える。
俺は妹と二人、ベッドに並んで横になっていた。一人用なので密着している。
ふいに、妹が呟いた。
 「ありがとう……」
 「ん?」
 「ありがとう……。私、こんなに優しくしてくれるお兄ちゃんがいて、嬉しいよ」
急に言われて、俺は動揺した。強気な妹からは今まで一度も聞いたことが無かった。
 「どうした?なんか変だぞ?」
 「変……かな。やっぱり」
 「?」
 「でもね、私は後悔してないよ。自慢できるお兄ちゃんがいて……」
 「……?」
 「本当にありがとう……お兄ちゃん……」
俺は顔を向ける。月明かりに照らされ、垂れる涙が見えた。
 「大好きだよ……お兄ちゃん……!」
ようやく分かった。
俺が寂しいとき、コイツのことが頭に浮かんだ理由。
 「ああ、俺もだ。……大好きだ」
月と星星に祝福され、俺たちは口づけた。
甘い、甘い香りがした。柔らかな感触が伝わってくる。
いつしか俺は眠っていた。


294 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/03/29 19:47 ID:???
 朝。
俺はケータイの音で目を覚ました。寝癖のついた頭のまま電話に出る。
 「ふわい」
 「……おはよう」
母さんからだった。
 「どうした?……ああ、コイツのことだろ?」
俺は言いながら隣に視線を落とす。しかし、そこに妹の姿は無かった。
あれ?と思っていると、向こうから耳を疑う言葉が聞こえてきた。
 「昨夜……亡くなったの」
 「え?」
え?
亡くなった?
 「昨日の朝から急に具合が悪くなってね……それで、その日の……夜に……」
待ってくれ。
 「ちょ、待てよ!亡くなったって……誰が!?」
本当は聞きたくなかった。
ずっと、昨夜のまどろみに浸っていたかった。
無情だった。


 妹は死んだ。
もともと病気がちで、よく風邪をひいては両親を困らせていた。
俺も何度か看病をしたことがある。ものすごく感謝されてたっけ。
話によると、妹は昨日の朝、急に体調不良を訴えたそうだ。
そのまま運ばれた病院で昏睡状態に陥った。
その間に母親は俺に連絡をしようとしたが、何故か電話が繋がらなかったそうだ。
そして……昨夜。
亡くなった。
原因は不明。知りたくもなかった。
ただ、ひとつだけ言える。昨日、ここに遊びに来た妹……。
あれは、間違いなく俺の妹だということは……。


295 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/03/29 20:00 ID:???
どなたか存じませんが、神キタ━━━(゚∀゚)━━うあ゛ぁあ ・゚・(´Д⊂ヽ・゚・ あ゛ぁあぁ゛ああぁぁうあ゛ぁあ゛ぁぁ

296 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/03/30 00:12 ID:???
うわああああああんんんんん!!!   GJだよおおおおおおお!!!!

297 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/03/30 00:44 ID:???
ヽ(`Д´)ノウワァァァァァン!!(`Д´)b GoodJob!

298 :288-294 :04/03/31 16:06 ID:???
いえいえ、お役に立てて幸いですよ

299 :元リレーSS書き :04/04/01 12:27 ID:???
>>遊星より愛をこめて氏
>>751
>>maskedriderMoe氏
相変わらず萌えっぷりですね(w
それにまだここ残っていてくれたんですね…
以前携帯からカキコしてパケ死して以来遠ざかっていたのですが、FOMAに機種変したのを機に戻ってきました。とは言えROMしかしてないのですがf^_^;
>>228
素晴らしかったです!中華号泣してしまいました(w
どうも加奈以来これ系の話に対し耐性0になってるようでして
ダラダラ長文スマソ

300 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/04/01 21:53 ID:???
            \     _n               /
              \   ( l    _、_ グッジョブ /
               .\   \ \ ( <_,` )    /
                 \   ヽ___ ̄ ̄  ) /
   _、_  グッジョブ       \    /    / /   _、_   グッジョブ
 ( ,_ノ` )      n        \∧∧∧∧/   ( <_,` )     n
 ̄     \    ( E)       < の .グ >   ̄     \    ( E)
フ     /ヽ ヽ_//        <     ッ >  フ     /ヽ ヽ_//
─────────────< 予 .ジ >────────────────
    ∩          .     <     ョ  >
    ( ⌒)     ∩ good job! < 感 .ブ >.      |┃三
   /,. ノ      i .,,E      /∨∨∨∨\.     |┃   ガラッ  話は聞かせて
  ./ /"      / /"    /         .\    |┃ ≡    _、_  もらった>>288
  ./ / _、_   / ノ'     /   グッジョブ!! \__.|ミ\___( <_,` )< グッジョブ!
 / / ,_ノ` )/ /     /|    _、_     _、_   \ =___    \
(        /    /\ \/( ,_ノ` )/( <_,` )ヽ/\≡   )   人 \
 ヽ      |     /   \(uu     /     uu)/ \


301 :288 :04/04/02 23:23 ID:???
(*´Д`) thx!

302 :751 ◆FFV1SjUAV2 :04/04/04 21:49 ID:???
お疲れさまです! 読んでて切なくなりました・・・。
この次も期待してます!

303 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :04/04/06 12:46 ID:???
またアク禁の巻き添えくらった……レスが遅れて申し訳ないです。

>>288-294
素晴らしすぎる……
そして、このスレにおける俺の立場が、また一段と無くなっていく……。

>>299
いえいえ……。
定期的に貼ることのみが俺の取り柄ですから……

304 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :04/04/07 22:15 ID:???
桜舞う気持ちいい春の日。
「気持ちよさそうだな」
ソファーで、まったりしていた妹に声をかける。
「あ……お兄ちゃん……」
「天気がいいからって、あんまりダラダラしてんなよ」
「だって気持ちいいんだも〜ん。お兄ちゃんも一緒にダラダラしようよ〜」
妹は寝ぼけたように気の抜けた声で言う。
「遠慮しとく……」
「そう?とっても気持ちいいのに〜」
妹が寝返りをうって、うつ伏せになる。
「春はいいねぇ〜、ポカポカして気持ちいいなぁ〜」
「そうだな。そろそろ炬燵も片付けようか……」
「え〜!?コタツ片付けちゃうの〜!?」
「最近暖かいし、もういらねぇだろ……?」
「でも、無くなっちゃうと寂しいよ〜!!」
この冬中、俺たち(主に妹)の足を温めてきた炬燵。
多少の愛着を感じるかもしれないが……そこまで言うのはどうなんだろう……。
「そういえば……そんなこと毎年言ってるような……」
「えへへ……そうだっけ?」
妹が舌をペロッと出して、微笑む。
「まぁいい、まだ今日はまだ今日は片付けないから安心しな」
「そうなの〜?あ〜、良かった〜♪」
「で、話は変わるが、ちょっと出掛けてくるから、留守番よろしくな」
「どこに行くの〜?」
「いや……別に言うほどのトコでは……」
「あ〜!!分かった〜!!またコンビニでしょ〜?」
「……くっ」
「それで、また、おもちゃ買いに行くんでしょ〜?」
「おもちゃって言うな、食玩と言え」
「お兄ちゃん、ソレ、ホントにどっちでもいいよ……。で、図星なんでしょ?」

305 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :04/04/07 22:16 ID:???
「ああ、確かにその通りだよ!!悪かったな!!」
「別に、そこまで言ってないでしょ……」
妹が呆れたように、小さなため息を一つ。
完全に立場が逆転している……。
「とにかく、ちょっと出掛けてくるから、留守番を頼んだぞ!!」
なんだか、居心地の悪いノリだったので、強引に話を終わらせようとする。
「あっ、ちょっと待って〜!!私も行くよ〜!!」
「何で?」
「お兄ちゃんとお散歩したいもん♪」
「じゃあ、行くか」
「うん♪」

「お兄ちゃん、何か買う〜?」
いつものコンビニ。いつもの棚の前。
唯一違うのは、今日は隣に妹がいること……。
「ああ、勿論」
俺は、目当てのブツを適当に二箱手に取り、今度は俺が妹に聞く。
「で、お前は何か買うのか?」
「あのね、ココでお菓子とかジュースとか買って、公園で食べようかなぁ〜と思ったんだけど……」
「ああ、いいねぇ」
「じゃあ、決まりね〜♪お兄ちゃん、何が欲しい〜?」
「団子か饅頭みたいな、和菓子が食いたい……」
「あっ!?気が合う〜♪私もそう思ったんだ〜♪」
「じゃあ、決まりだな」
俺は和菓子を売っている棚まで行き、相談した挙句、桜餅と団子のパックを手に取る。
そして、途中、お茶のペットボトルを二つ手に取って、レジまで持っていく。
「あっ!!お兄ちゃん……私、お金忘れちゃったよ……」
「いいよ、これぐらい俺が払う」
「えっ!?いいの〜?」
「そこまで俺はケチじゃないって」
「えへへ♪じゃあ、ご馳走になりま〜す♪」

306 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :04/04/07 22:18 ID:???
レジで、大量の商品をドサリと置き、ポケットから財布を取りだす。
そして、金を払い、袋に入ったお菓子やお茶を持って店の外に出る。
「お兄ちゃん、私が荷物持つよぅ……」
道路に出た途端、妹にビニール袋の持ち手を引っ張られた。
「何で?」
「だって、お金、全部払ってもらったから……それぐらいは……」
「おいおい……お前、何時からそんなにケチ臭い事言うようになったんだ?」
「でも……私、お兄ちゃんにこれ以上迷惑かけたくないもん……」
「それなら尚更、俺に持たせて欲しい」
「えっ……?」
「女に荷物持たせて自分は楽してる。なんて、後味が悪すぎる。俺のことを考えるなら、俺に持たせろ」
「お兄ちゃん……」
「それに、妹を可愛がることは、迷惑なんかじゃねぇよ」
うわぁ、恥ずかしいセリフ……。
……まぁ、あながちウソじゃないんだけど……。
「お兄ちゃん……♥」
そして、予想通りというべきか、妹が『恋する少女の視線』を俺に向ける。
やっぱり、こういう雰囲気は好きじゃない。
俺は軽く妹の頭を叩いて、少し早足で歩き出した。
妹は最初は戸惑っていたようだが、いつの間にか俺と並んで歩いていた。

「お兄ちゃん……気持ちいいねぇ……」
「ああ」
大きな桜の木の根元に座っている。
「さぁてと、桜も十分眺めたし、おやつにしよう♪」
「もうかよ?早ぇなぁ……」
「いいのいいの、花より団子って言うじゃない♪」
「ソレの意味知ってて言ってるのか?」
「ううん〜♪ぜんぜ〜ん♪」
「なら、いいや……」
俺は呆れて、突っ込む気も起きない。

307 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :04/04/07 22:19 ID:???
「じゃあ、決まり〜♪おやつだ〜♪」
妹は嬉しそうに、袋の中から団子を取り出して、手際よくパックを開ける。
そして、団子を二本持って、一本を俺に差し出す。
「はい♪お兄ちゃん、どうぞ〜♪」
「ああ、ありがとう」
妹の手から団子をもらい、一粒口に入れてみる。
「ん〜!!甘くて美味しいね〜?」
妹がニコニコしながら、俺を見る。
コイツ、甘い物食べてるときはホントにいい顔するなぁ……。
頬にちょこんとついてる餡子でさらに可愛さアップ……って、おい!!
……一人ノリツッコミをしてしまうほど、意識の中では異様にテンションの高い俺。
「……」
「ん?どうした、お兄ちゃん?」
俺の考えなど露知らず、妹は俺を不思議そうに見ている。
俺は無言で、自分の右の頬を軽くトントンと叩いて、暗示してやる。
「ふにゃ?どういう意味〜?」
「わからないのか?」
「えっ?うん……」
仕方ないので、俺は妹の頬の餡子を指で取って、妹に見せる。
「えっ!?コレが、私のほっぺに〜!?」
黙って頷く。
「ふわぁぁぁぁぁぁぁん!!恥ずかしいよぉ〜!!」
「別に、俺は気にしないけど……」
そんなことより気になる餡子をどうにかするため、俺は指を妹の口に押し込んでみた。
「むぐぅ…………ぷはぁっ!!もう!!イジワルしないでよ〜!!」
妹は真っ赤な顔をして怒る。
「ああ、悪い悪い……」
「……お兄ちゃんのバカ……」
「だから、悪かったって……」
「お兄ちゃんなんか、大っ嫌いだもんね〜!!」

308 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :04/04/07 22:20 ID:???
大嫌い……か。実際言われてみると、結構キツい言葉だな……。
「おい、帰るぞ……」
『あること』を決めた俺は突然、そう告げ、妹の手を無理矢理引っ張る。
「ちょっと……お兄ちゃん!?どこ行くの!?」
俺は沈黙したまま、妹の手を引っ張り続けた。

そのまま、十五分ぐらい歩いていたと思う。
俺の住んでる辺りは結構田舎なので、ここまで歩いてくると、建物も少なくなってくる。
「お兄ちゃん!!こんなとこまで来て、何があるの〜!!」
俺はなおも無視して歩き続けた。
小さな保育園の横を通り、自販機のある角を直進。
「お兄ちゃん……もう帰ろうよぉ……」
お寺の脇の坂を上り、そこにある角を右に曲がって……。
「おにぃちゃん……どこなの?ここ……?」
妹が泣きそうな声を出して、俺の手をクイクイと引っ張る。
「そのうち分かる。そうだ、目つぶってろよ」
「え……?ヤダよぅ……怖いよぅ……」
「大丈夫だって。ほれ、閉じろ」
妹はオドオドしながら、目を閉じ、俺の腕にしがみつく。
この雑木林を抜ければ……。
「ほれ、目開けてもいいぞ」
妹は恐る恐る目を開けたが、眩しそうにすぐに閉じてしまった。
そうして、またゆっくり瞼を開き……
「わぁ〜!!すご〜い!!」
「どうだ、凄ぇだろ?」
俺が妹を連れてきたのは、鮮やかな黄色に染まる大きな菜の花畑。
周りには何も無い。誰もいない。本当に二人っきりだ。
「お兄ちゃん!!スゴイよぉ〜!!」
「そうだろ?……どうだ、コレでも俺が大嫌いか?」
「えっ……?もしかして……お兄ちゃん……私が言ったこと……気にして……」

309 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :04/04/07 22:21 ID:???
「ああ、気にするに決まってる……。お前は、俺の大事な大事なたった一人の妹なんだからな……」
俺は妹の頭を撫でながら、自分の気持ちを正直に伝えた。
「お兄ちゃん……。お兄ちゃん、大嫌いなんて言ってゴメンなさい……ホントは……私……」
妹が俺に抱きついてくる。
「お兄ちゃんの事……大好きだよ……♥」
「ああ、分かってる」
花に心が洗われたのだろうか……。
今の俺には、一面の菜の花が霞むぐらい、妹が眩しく見える。
俺が素直なのは花のせいならば……今はせめて心の赴くままに……。
そんな思いを込めて、俺は妹を優しく抱き返した。
お返しとばかりに、妹は顔を俺の胸に強く埋める。
春の花のような、優しい匂いがした……。
────────────────────
調子に乗って書いてしまいました。
他の方と比べると、やっぱり、見劣りしますけど、
まぁ、『またやりやがったな』ぐらいの気持ちで、生暖かい目で読み飛ばしてやってください。

310 :288 :04/04/07 23:03 ID:???
dでも無いです、最高ですよ(*´Д`)

311 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/04/08 00:02 ID:???
萌え補充完了・・・  GJ!!

312 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/04/08 00:34 ID:???
キタ━━(゚∀゚)━━( ゚∀)━━(  ゚)━━(  )━━(゚  )━━(∀゚ )━━(゚∀゚)━━━ !!!
(`Д´)b GoodJob!

313 :751 ◆FFV1SjUAV2 :04/04/11 20:53 ID:???
お疲れさまです! こんな台詞、本当に言われてみたいです!

314 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/04/15 23:23 ID:???
moehoshu

315 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/04/18 09:57 ID:xeFVmAoj
本当に…兄貴………ううっ。 そのとおりだったんだね。
『いったん食らいついたら、腕の一本や二本、失おうとも、
決して「スタンド能力」は…………解除しないと』 オレに言った事は!!

316 :遊星より愛を込めて :04/04/18 10:02 ID:???
        \                   /
          \                /
           \             /
             \          /
              \ ∧∧∧∧/
               <    俺  >
               < ス し   >
               <    か  >
 ─────────< レ 来  >──────────
               <    な  >
               < !!!!  い  >
               /∨∨∨∨\
              /         \
            /            \
           /     (-_-)       \
         /      (∩∩)        \


317 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/04/18 17:38 ID:???
(・∀・)ニヤニヤ

318 :288の人 :04/04/18 23:14 ID:???
↓caution!!

心臓の弱い方は萌え死にしないように気をつけてください。
また、気分を悪くされた方はすぐに楽しいことを考えてください。

319 :288の人 :04/04/18 23:16 ID:???
 それは、妹のある一言から始まった。
 「ねえねえ、お兄ちゃん♪」
 「ん、どうした?」
 「ぎょーちゅー検査って、なあに?」
 俺は凍りついた。
今、妹はなんと言ったのだろうか。
俺の聞き間違いであることを祈りながら、もう一度問いただしてみる。
 「……なんだって?」
 「ぎょーちゅー検査ってなあに?お兄ちゃん♪」
 「……なんだって?」
 「だ〜か〜らぁ!ぎょ―――」
大声で言おうとした妹の口を慌ててふさぐ。
 「わ、分かった分かった。ぎょうちゅう検査、だな?」
 「うん、そうだよ。私、初めて聞いたから全然分からないの」
 「ちょっと待て。お前何歳だ?」
 「私?お兄ちゃん知ってるでしょ?お兄ちゃんのひとつ下だよ」
言いながら、通学用のカバンから青いシートを取り出す。
 「これでやるらしいんだけど……教えて♪」
無知とは恐ろしい。いや、この場合は無恥か。
 「知るか。勝手にやってくれ」
 「え〜!だって分からないんだもん……」
 「俺の知ったことじゃ無いだろ。別にお前が忘れて怒られても、俺には関係無いしな」
ここまで言ってハッとした。妹は顔を俯かせ、今まさに泣こうとしていた。
 「ひどいよ、お兄ちゃん……ううっ…ひっく……」
 「あああ!分かった、教えるよ!ただしやり方だけな!」
 「ほ、本当?」
涙目で上目遣いに俺の顔を覗き込んでくる。俺はくしゃくしゃと頭を撫でてやった。
 「ああ、教えるよ」
 「ありがとう、お兄ちゃん?」
………待て、早まるな。やり方だけを教えればいいんだ。
期待に添えられず悪いが、俺はコイツを立派にしなくてはならない!
そう!ベタな展開だけは避けねばならんのだッ!

320 :288の人 :04/04/18 23:17 ID:???
 「………」
 「……お兄ちゃん?」
 「……あ、ああ、何だ?」
 「もう!早く教えてよ!」
 「あ、ああ……じゃあ、言うぞ」
俺はたっぷりと深呼吸をした。
 「そのブルーシートを……ぺたっと貼り付けるんだ」
 「貼り付けてどうするの?」
 「いや、貼り付けるだけでいい。それだけで虫がいるかどうか分かるんだ」
 「ふむふむ……」
 「じゃ、じゃあな」
 「で、どこに貼ればいいの?お兄ちゃん」
部屋から逃げ出そうとした背中に声をかけられ、俺は硬直した。
ぎこちない動作で振り向く。
 「……トイレでする大と小があるよな?」
 「やだぁお兄ちゃん、いやらしい〜」
 「いいから聞け。あるよな?」
 「……セクハラだよぅ?う、うん……」
 「その大が出てくるところに貼り付けるんだ」
 「大………?」
間。
顔面が噴火した。
 「えっ………えええええええええええええ〜〜〜っ!!」
 「………だから言いたくなかったのに」
 「お、お兄ちゃんのばかぁっ!エッチ!スケベ!セクハラ!」
 「お前が教えろって言ったから教えてやったのに………」
 「だからって、他にも伝え方があるでしょ!?ばかぁ!」
 「何とでも言え。俺は寝る」
 「ふんだ!とっとと寝ちゃってよ!エッチ!」
俺は後手でドアを閉め、重い足取りで自室へと向かった。

321 :288の人 :04/04/18 23:18 ID:???
 俺はベッドの上に転がった。
予想はしていたが、さすがにあんなに言われるとへこんでしまう。
深いため息をもらした。
 「やれやれ……どうして俺たち二人を残して先立つんだよ……父さん、母さん」
今までそれを理由に泣いたことは無かったが、自分のバカらしさに泣けてきた。
その時、室内にノックの音が響いた。
この家に住んでいる人間は二人しかいない。
 「………何だ?」
 「あのね、お兄ちゃん……さっきは言い過ぎちゃった…ごめんなさい」
案の定、妹だった。
 「ああ……別に気にしてないぞ。予想はしてたしな」
 「うん……本当にごめんね?」
 「大丈夫だって。それより、方法は分かったんだろ?もう俺に恥ずかしいことさせるなよ?」
 「あ、それなんだけど……」
嫌な予感。いや、悪寒。
 「その……手伝って…くれないかな?」
的中。

322 :288の人 :04/04/18 23:20 ID:???
 「それで、俺はどうしたらいいんだ?」
 「え、ええと…その…こ、これ、お願い……」
ブルーシート。
 「こ、これって!俺に貼り付けろってか!?」
 「う、うん……わ、私は体固いから…」
 「…いいのか?」
 「お兄ちゃんなら……いいよ。信頼できるもん♪」
 「そう言う割には顔が真っ赤だぞ」
 「は、恥ずかしいもん……!それに、お兄ちゃんだって真っ赤だよ?」
 「わ、分かった分かった!やるぞ!」
 「う、うん………」
俺はベッドの上に横になった妹から目をそらす。
 「見ないでね……」
妹がゆっくりと動くのが分かる。
 「いいよ……そ〜っと、優しくお願い……」
 「お、おう」

323 :288の人 :04/04/18 23:21 ID:???
俺はゆっくりと手を伸ばす。
だが、見ないで手を伸ばしても無意味な訳で。
ぴたっ。
 「ひゃあっ!」
 「あ、悪い…」
 「ばっ、ばかばかばかぁ!」
ぴたっ。
 「きゃっ!」
ぴたっ。
 「や、やぁ……」
ぴたっ。
ゴスッ!
足蹴りをアゴに受けた俺は、後ろに吹っ飛んだ。
 「エッチ……!」
 「ほ、本当に悪い……」
 「あ、ばかぁ!こっち見ちゃダメ!」
 「ううう……」

 「これでいくよ?いいよね、お兄ちゃん?」
 「あ、ああ」
妹は俺の手を掴み、ゆっくりと引っ張る。
俺の手は妹に引かれて、そのまま動く。
ぴたっ。
 「ひゃあっ……」
 「当たってる?」
 「え、エッチ………うん……」
俺はすぐに手を離した。妹もすごい勢いで動き始めた。
 「は、はき終わるまで振り向いちゃダメだからね?」
 「分かってるよ」
そう答え、俺は大きな吐息をした。

324 :288の人 :04/04/18 23:22 ID:???
 「なあ」
 「なあに?お兄ちゃん」
 「何で俺の隣で寝てるんだ?」
 「えへへ?それは私がお兄ちゃん大好きだからだよ♪」
 「そのうち襲うぞ」
 「襲って♪」
 「……バカ」
 「ふふふ、可愛いなぁ♪私が試したときの反応も可愛かったよ♪」
 「うるせえブラコン……って、待て。今、なんて言った?」
 「あっ……何も言ってないよ?」
 「試したときの反応って……まさか、お前……最初から知ってたな!?」
 「え、えへへ?」
 「もう寝る」
 「ご、ごめんなさい〜!」

325 :288の人 :04/04/18 23:23 ID:???
行き過ぎた変態→_| ̄|○



_| ̄|○「死して屍残すまじ…っ さらば…っ」

326 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/04/19 00:05 ID:???
キ…(-_-)キ(_- )キ!(-  )キッ!(   )キタ(.  ゚)キタ!( ゚∀)キタ!!( ゚∀゚ )キタ━━━

327 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :04/04/19 20:42 ID:???
うぉぅ!?なんかスゴイのがキタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!!
萌え━━━(゚∀゚)━━━!!!!!

328 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/04/20 10:57 ID:???
                 危うく萌え死ぬ所だっただろッ!!!!!!!!!!

        ∧_∧                           ∧_∧
        ( ´Д`)                          (´Д` )
        )  l            ハワワワワ……            l  ( 
      / / )              ∧_∧            ( \\
      |/ /|             ( *゚Д゚*) っ            |\ \|
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    ○( <二\ |||⌒)⌒)二二三三( (三三三三三二二(⌒(⌒||| 二> )○
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         \ ) )           >>288         ( ( /
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          |__)                         (__|


329 :751 ◆FFV1SjUAV2 :04/04/21 06:38 ID:???
萌え尽きさせてくれた>>288氏に敬礼!

330 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/04/22 05:35 ID:???



331 :名無しくん、、、好きです。。。 :04/04/26 22:02 ID:???
保守

332 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :04/04/28 20:27 ID:???
学校からの帰り道。
ふと、見知った後姿を見つけ、俺は駆け出した。
「おーい!!未来ちゃーん!!」
振り返った少女は、俺を見てため息を一つ。
「もう……兄さん……せめて人前では『未来ちゃん』は自粛してください……」
この娘は、目の中に入れても痛くない愛妹の未来。
両親が出張しがちで、俺がよく面倒を見ていた所為なのか、もう、可愛くて仕方が無い!!
未来がしっかり者で、真面目であるせいか、未来と話すときはどうしても、おどけた口調になってしまう。
「えっ?なんでよ?」
「恥ずかしいからです!!」
丁寧な言葉使いではあるのだが、堅苦しさや冷たさは全く無い。
尤も、俺に対してなら、敬語なんて使う必要は無いと思うんだけど……。
「そっか。気に入らないけど、可愛い可愛い未来がそう言うなら仕方ないか」
つまり、家の中では自由に呼んで言い訳だしな。
「もう……で、兄さん、何か用ですか?」
「いンや。歩いてたら、スゲェ可愛い女の子を見つけたんで、声かけたら未来だったと言うわけだ」
「嘘ばっかり。最初から、私の名前呼んでましたよ?」
「そうだっけか?」
「そうですよ」
「でもまぁ、可愛い娘見つけたってのはホントだから」
「もっ、もう!!兄さん!!実の妹口説いてどうするんですか!!」
「そりゃ、妹だろうと何だろうと、未来が可愛すぎるからに決まってるだろ……?」
そう言って、俺は妹の首に手を回し、妹の顔を俺の顔に引き寄せる。
「にっ、兄さん!!!」
顔を真っ赤にして、俺の手を振り解く。こういう純なところがとてつもなく可愛い……。
「あはは、悪い悪い」
「もう兄さんなんて知りません……」
そう言い残して、妹はスタスタと歩いていってしまう。
「おいおい、待ってくれよ」
「ふふっ、冗談ですよ。さ、一緒に帰りましょ?」

333 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :04/04/28 20:29 ID:???
珍しいな、未来からお誘いなんて……。
全くの予想外の言葉にしばし唖然となる。
「いいのか?」
「帰る家は同じですしね。それとも……嫌ですか?」
妹は悪戯っぽく微笑みを浮かべる。
答えは決まってる。……それは妹にだって分かっているのだろう。
「いやいや、滅相もない!」
「じゃ、帰りましょうか」
「ああ……うん、はい」
歩き出した妹に従って、俺も不思議に思いながらもその後をついていった。
すると突然、未来が振り返って、
「……あの……兄さん、今から買い物に行きたいんですけど……付き合ってもらえませんか?」
「俺は別に良いけど」
買い物!?服とかか!?それならデートじゃん!!
……あっさりとした返答だが、その反面、内面ではかなり燃え上がっていた。
「ありがとうございます、兄さん」
「で、何を買うのよ?」
「行けば分かりますよ」
秘密主義かよ、可愛いじゃねぇか……。
妹はそう言って、またスタスタと歩き出した。
────────────────
今までずっと同じ兄妹を書いてきた(つもり)けど、今になって新シリーズ。
ダラダラと書いていったら、かなり長くなってしまったので、小出しにしていきます。
稚拙の塊なんですけど、人の迷惑を考えずこれからもしばらく続くんで……
まぁ、黙殺でもしてもらえると嬉しいです。

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