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夏目房之介さんについてver.2

452 :フィル :2000/09/23(土) 00:38
これは特に悪い例ですが、数年前に流行った映画「タイタニック」を例に取り上げると、さらに解りやすくなります。たぶん、映画「タイタニック」には「人間の尊厳」や「本当に人間を愛するというのはどういうことか」といったテーマがありました。「タイタニック」はそのテーマを、カッコ良いヒーローと美しいヒロインを登場させ、女の子の喜びそうなロマンスを繰り広げさせ、タイタニック号の沈没シーンという大スペクタクルシーンを仕掛けて展開させました。ついでにカナダの白人女の歌う、なんだか良く解らない、やたらとドラマチックな主題歌もありましたね。これは本当に極端で最悪の例ですが、このようにあるテーマを語るために、見るものを楽しませる色々な演出を凝らすのがプロの仕事なのだと思います。当然、こういったことはやりすぎると、本来描きたかったものの切れ味や純度を失わせることにもなります。「タイタニック」の場合は、あれだけ長い映画を見せられて、結局、記憶に残るのはヒーローとヒロインが、バカバカしい曲がかかってタイタニック号の船首で繰り広げるラブシーンだけという、本末転倒な結果を生んでいます(これはあくまで私の意見ですよ)。
初期の大友さんは、とらえどころのない物語を、(大友さんの驚異的な構成力のおかげで緊張感のあるものになっていますが、ぱっと見は)クールで締まりの無い絵で表現していて、特にこういった表現とは無縁だったようなので、アマチュアぽい作家だったというのだ思います。「童夢」以降は、解りやすいヒーローやヒロインが物語に登場するなどして、初期の作品とは物語の質が変化して行き、それに伴い、表現方法もより見やすいメリハリのあるものになっていったので、ハリウッド映画的なプロっぽい表現をする作家になったということになるのだと思います。

私はたったこれだけの文章を書くのに、バカみたく長い時間をかけてしまいました。共通の知識のない大勢の人に向かって文章を書くのは、とても骨の折れる作業ですね。あらためて夏目さんはすごいなと思いました。

421のTさんに

こちらこそ面倒なことを頼んでしまって申し訳ありません。けれども、Tさんのおかげで、夏目さんから興味深い話を聞き出すことができました。ありがとうございました。

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0ch BBS 2004-10-30