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[第七弾]妹に言われたいセリフ
- 884 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/01(日) 21:34:56 ID:c4rJ0geI
- 海。
海……。
「海なんか消えてなくなれば良いのに……」
「お兄ちゃん……そういうこというと気持ち悪いと思われるよ……」
そういう独り言に限って、聞き逃してくれない遥。
ちなみに……ビキニ姿の隣の遥を、直視することが出来ず、何だか変な方向を眺めている。
「そうだね……」
言葉にすら力が入らない……。
「とりあえず、幸せな人間が憎い……」
「やめてよ、そういう発言」
「……自然に出てくるんだ……」
どんどん暗い……。
「楽しもうよ、せっかく来たのに」
「どうやって……」
「お兄ちゃんも男なんだから、こう……水着の女の人とかに鼻の下伸ばしたりとかしないの?」
「逮捕されないか……?」
「されないと思うけど……」
「少なくとも、言葉の暴力あたりは受けそうだな……キモいとかなんとか言いたい放題言われた挙句に……」
んで……あぁ、やっぱり警察沙汰……。
「……遥のハダカ見たくせに」
「何?」
ポツリと呟く遥。唐突すぎて反応できなかった俺。
「別に。妙に納得した」
「何を?」
「女の子にしか分からない話」
「ならいいや」
絶対に分からんからな。
- 885 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/01(日) 21:36:04 ID:c4rJ0geI
- 「まぁ、騙されたと思って遥と遊んでみようよ」
「気乗りしない……」
「でも、ジッとしてる方が逆に変だよ?」
「だろうな……」
「覚悟決めちゃえ!」
「覚悟……」
「ほれほれ!」
水をかけてくる遥。
それに対し、
「……悪かった……」
「何がっ!?」
「いや、何か怒らすようなこと言ったかと……」
「そのリアクションに驚きだよ……」
「どういうリアクションが正解なんだ……?」
「『あ、やったなー!この〜!』みたいな……」
「……要求する所が高い……」
「だよねぇ……」
呆れている遥。
そんな遥に俺も半ば呆れている。
「私と一緒じゃ嫌?」
「そんなことはないが……」
女に縁の無い男が考える、女のキラーフレーズ。俺にも、兄にも有効。
「じゃあ、行こう?」
「仕方ない。泳げないと思われたら嫌だしな」
「うんうん。行こう行こう」
遥に連れられ、大嫌いな海へ。
……あぁ、気が重い……。
───────────────────────
- 886 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/10(火) 23:06:32 ID:zIgV2VAx
- 長かったけど、やっと太陽が沈んだ。
日頃から日の当たる道を歩けない俺だが、今日ほど太陽が憎かったことはない……。
「あははっ!!楽しかったね!!」
海水浴場からの帰り道、テンションの上がりきった遥と、
「俺は気まずくて死にそうだったよ」
テンションの下がりきった俺……。
「そう?よく遊んでたじゃない?」
「一種の擬態だ」
そして、擬態も楽ではないのだな。
「お兄ちゃんは……楽しくなかった?」
「このリアクションで分からないか……?」
「そっか……」
悲しそうな声の遥。
少しミスったかなと後悔していると、
「ありがとう」
「は……?」
「遥のワガママに付き合ってくれて」
「あ、あぁ……?」
「私は楽しかったよ。お兄ちゃんが楽しくないのが残念だけど……」
自然に俺の手を握ってくる遥。
「でも、ありがとう」
コイツは俺如きに、なんて笑顔を見せてくるんだろう……。
笑顔の浪費家め……。
「……いや、俺こそ……遥にしてもらってること考えたら、これじゃ足りないくらいだ」
「……」
あ、凄い嫌な顔……。
「じゃあ、明日はもっと付き合ってもらおう!!」
「は!?」
「ううん、今晩もしっかり付き合ってもらう!!」
「……」
抜け目ないなぁ……。
- 887 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/10(火) 23:07:35 ID:zIgV2VAx
- 「まぁ……いいか」
今日は遥の休日だ。
そう思うことにして……これから起こることに対して少し身構える……。
───────────────────────
夕飯を食べ終え、テレビでも見ながらお茶をすする。
……若さが無いなと、少し苦笑いしたとき
「お兄ちゃん退いてー。布団敷くからー」
「あぁ、悪いな」
ゴソゴソと布団を敷き始める浴衣姿の遥。
……しかし、そこには大きな落とし穴が
「何故二人分?」
「え?だって、向こうの部屋、掘り炬燵があるから布団敷けないし」
「あぁ……」
何となく別々の方がいい気がしているのだが……。
「まぁ、遥が良いなら良いか」
「え?何の話?」
「別に……もう寝るのか?」
「うん。疲れちゃったから」
「じゃあ、俺も寝るか……」
「あ、いいよ。私、明るくても……」
「気にすんな。遥に付き合ってやるよ」
「……そう?」
といいつつ、布団も既に敷き終えて、明かりを消す気満々。
テレビを消してその布団に潜り込む。
待ってましたとばかりに電灯の紐を引く遥。
「ふぁ……疲れたね、今日は」
興奮冷めぬ口ぶりの遥が右のほうから聞こえる。
「まぁ、あれだけはしゃげばなぁ」
「うん。楽しかったよ。お兄ちゃんのおかげだね」
「……」
不意打ち……。
- 888 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/10(火) 23:08:38 ID:zIgV2VAx
- 「どうしたの?」
「あまり日陰者を褒めるな……褒められるのには慣れていない」
……。
突っ込みなし……?
「ねぇ、前から聞きたいことがあったんだけど」
「何?」
「お兄ちゃんはよく自分のこと日陰者とかいうじゃない?じゃあ、お兄ちゃんが陰なら、私は何?」
「ん……まぁ……光……的な」
拒絶ワード:光。
吐きそう……。
「そうかなぁ……」
「そうだよ」
「じゃあ……それでもいいや。でもね、お兄ちゃん……」
「……?」
「でも、忘れないで。私が光なら……私を私に作ったのは、間違いなくお兄ちゃんなんだから」
「……だから褒めるなって」
「うん。だったら、少しずつ慣れていこう」
「キツいな……」
まさに褒め殺し……。
「お兄ちゃん?」
「ん?」
「一緒の布団で寝ても良い?」
「何だよ、今日は……やけに接近してくるじゃないか」
「あきらさんや宮原さんたちと一緒に居ることが最近多いからね……今まで一緒だった身として、ちょっとジェラシー」
「正直な奴……。まぁ、遥が良いなら俺は何でも良いけど」
「へへへ、お邪魔します」
俺の布団に転がってやってくる遥。
……暑苦しい。
- 889 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/10(火) 23:09:39 ID:zIgV2VAx
- 「光があるから陰がある。私たちって、ある意味バランスとれてるのかもね」
「そういえば聞こえは良いが……」
「……が?」
「結局俺が遥の足を引っ張ってるんだよな……」
「……んー……そういう話じゃ無いんだけどなぁ……」
すっかり呆れてる様子の遥。
「相手が俺だから、仕方ない」
「ネガティブだね」
「褒めても何も出ないからな」
「……」
何故黙る、妹よ。
「……」
「お休み、お兄ちゃん」
「お休み」
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長めですが。まだ続きます。
少しペースを上げないと、夏が終わってしまいそうなので。
あとはスレの容量が持てばいいですが。
- 890 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/08/14(土) 10:03:19 ID:05WvInQM
- シベリアに抑留されてたのでGJできませんでした
というわけで遊星殿GJ!!!!
- 891 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/17(火) 23:01:42 ID:AdbFmScJ
- 「……」
眠れない。
この状況で、眠れるはずが無い。
「すぅ……すぅ……」
……抱き癖があるとは聞いて無いぞ、遥。
「くすっ……」
俺の頭を抱く力を少し強めて、ちょっと笑った。
どうしよう。
エアコンのタイマーが切れて、少し熱いこの部屋。
遥の寝息と、妙にうるさい俺の呼吸音と。
「いいよ……」
何が。
「お兄ちゃん……」
何が?
「……遥は……んぅ……」
……寝言に突っ込みいれるのも野暮だが。
さて、どうしたものか……。
「……」
仕方ない。ゆっくり動いて、脱出しよう。
……と思ったのもつかの間。
「お兄ちゃん……風邪引くよ……」
抱き寄せる力がグッと強まり、俺は遥の胸の中に……。
遥の匂いが鼻腔を通じて肺の中を満たす。
起きてんじゃねぇのか、コイツ……。
「妹なら……問題にならないのか……?」
ふと、裁判沙汰の四文字が頭に浮かんだ瞬間……。
- 892 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/17(火) 23:02:43 ID:AdbFmScJ
- 痛たたたたたたたたたたたたたたたたた!!
もはや、抱き寄せるというより、ベアハッグに近い。
「お兄ちゃん……!」
「……」
口が塞がって、何もいえない。
息が苦しい……。
何、俺が悪いことしたか!?
「今日は……一緒なんだから……。放さない……」
「……」
全く、急に寂しがりになりやがって……。
「……」
少し話をしようと思ったが、この位置では物も言えない……。
仕方なく、遥の腕を軽く叩く。
「お兄ちゃん……?」
分かってくれたようで、ちょっとだけ力が弱まる。
その隙に、顔を胸前から顔前に移動させて、
「んなことしなくても……離れやしないって」
「……ホント?」
「ま、認めたくはないが、お互いブラコンでシスコンだしな……」
「へへへ……」
くすぐったそうに笑う遥。
寝てる人間にクサいことを言って、心の底から恥ずかしい俺。
……明日には忘れていたい。
「だからいい加減放せ……苦しくて眠れん」
「うん……」
寂しそうな声。
これをほっとけない辺り、俺も立派な兄だね。
「手ぐらいは繋いでやるよ……」
「うん」
黙って、遥の手を握る。
……ちょっと冷たい。
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- 893 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/08/18(水) 21:44:45 ID:CIdkuLkl
- >>891-892
遊星さんGJ
- 894 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/08/20(金) 12:11:51 ID:22CXu9I3
- 遊星殿GJ!!!
遥みたいな面倒見のいい妹がほすい
- 895 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/08/24(火) 01:26:34 ID:IM/kvSYP
- ヤバい素晴らしいよ
こんな投下があったのに規制でGJを書き込めなかった…
- 896 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/27(金) 23:12:39 ID:HmrjfKeC
- 「嫌だ!!絶対嫌だ!!というか無理だ!!」
「えー?なんで?海には行けたじゃない?」
「レベルが違う!!」
「水族館はそんなにレベルが高いの?」
「高い!高すぎる!!」
「違いが分からないんだけど……」
「海に行く理由はまぁ、如何わしい理由以外にも色々あろう。が、水族館はなぁ……」
家族連れorカップルじゃないか……。どっちも嫌いだし……。
「じゃあ、他にどこか行くところある?」
「……」
「もう一回海に行く?」
「え……」
さすがに……もう……。
「魚見に行くだけだよ?生物の勉強みたいなものでしょ?」
「生物、履修(と)ってないし……」
「私はやってるよ。じゃあ、決まりだね。行こう。生物の勉強に」
「えぇ……」
生物の勉強(魚類限定)……乗れないなぁ……。
あまり良い顔をしていない俺に対して、遥は
「お兄ちゃん」
「ん?」
「私に付き合ってくれるんでしょ?」
「はい……そうでした……」
まさに切り札……というか、拒否しすぎですか、俺……。
「謹んでお供させていただきます……」
「そ、そんな硬くならないでいいから」
「お姫様扱いはご不満か」
「それじゃ面白くないじゃない?いつもみたいなのでいいよ」
「それはそれで……」
というか、意識するとどうにも……。
- 897 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/27(金) 23:13:41 ID:HmrjfKeC
- 「まぁまぁ、行ってみたら面白いかもしれないよ?よし、行こう!」
「……」
遥の頼みは……断われませんものねぇ……。
───────────────────────
「でか……」
大きさ。というのは、最も単純であるが、最も説得力のあるパラメータである。
大きくすれば良いというものではないとは重々承知だが、それも突き詰めれば何もいえなくなるわけだ。
「お兄ちゃん……」
「ん……?」
「固まってるよ」
「あ、あぁ……大きいな」
「驚いたでしょ?」
「まぁ……」
自分の気持ちを相手に悟られるのはあまり良い気分ではない。
まぁ、その相手が遥なら慣れるべきだが。
「もう行くいこう?早くしないとイルカショーに間に合わないよ」
「イルカ……」
「どうしたの?」
「アイツら……目が怖い。あれは人を馬鹿にしている目だ」
「動物にまで劣等感を持たなくても……」
やはりというべきか、遥の共感は得られなかったようだ。
呆れる遥。
呆れながらも、しっかり俺の腕を掴んでいるあたり、俺のことを分かってる、と言わざるを得ない。
逃げ場は無いし、もともと選択権が無いのだということをこれで思い出す。
- 898 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/27(金) 23:15:00 ID:HmrjfKeC
- それにしても……何だろう、この腕の感じ……。
「……!?」
三度目の衝撃。
一度目は目で。二度目は顔で。三度目は腕で……遥の柔らかい部分を感じた。
まぁ、意識したのは今回が初だが……。
「は、遥……?」
「何?」
無垢な顔。
……そっち方面の感情を持っているのは俺だけか……。
そうなると余計言えない……。
「行くから……手、離してくれよ……」
「どうしたの?急に……」
言える訳がない。
「イルカも……悪くないかもしれない……」
「そ、そうなの?何だか、微妙な顔してるけど……」
「気にするな……行こう……」
俺、もう人としてダメかも……。
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- 899 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/08/28(土) 23:50:57 ID:M8p5tL6h
- 遊星さん乙です!!!
しかしネガティブ兄は実妹しか女性は無理な身体なんだなw
- 900 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/30(月) 23:26:05 ID:pLgyQjVB
- 「……はぁ……」
夕日を背景に、ため息をつく遥。
ため息は俺の専売特許では……。
「どうした?」
両手に二人分の旅行鞄を持ちながら、そんな遥に尋ねる。
「……あっという間だったな、って……」
本当に寂しそうな面の遥。
「そんなに楽しかったか?」
「うん……でも、仕方ないね」
「まぁな」
正直なところ、そんなことはどうでもよく、はやく両手の重量から開放されたい……。
「帰るぞ」
「うん……」
とは言うものの、やはり口調は重い。
夕陽が、遥の憂いを帯びた表情にさらに影を作る。
しょうがないやつ……。
「あのな、遥……」
「あ、うん。分かってる。分かってるよ、帰ろう」
「いや、そうじゃなくてだな……」
荷物を置く。
「言いたいことがあるなら、はっきり言えば良い……まぁ……」
遥の目を見る。
「今回は何が言いたいかは俺でも分かったけどな」
「……?」
「今から入れる宿探すぞ」
「え……」
「ダメなら潔く帰るからな!!」
「う、うん!!」
痺れる腕を少し振って、再度荷物を手にする俺。
その後を、跳ねるようについてくる遥。
- 901 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :2010/08/30(月) 23:27:20 ID:pLgyQjVB
- 「ねぇ、お兄ちゃん」
「ん?」
「今夜は何食べようか」
「宿が決まったらガイドブック見て決めよう」
「ねぇ、お兄ちゃん?」
「んー?」
「ホテル、空いてるかな?」
「まぁ……贅沢言わなきゃ大丈夫じゃないか。保障は出来んが」
「うん。あるといいね」
「出来れば、シングルを二つとれればいいがな……」
「何で?」
「……」
赤く染まる駅を背に、海に向かって坂を下っていく。
……まぁ、とんでもない安請け合いをしたものだと思いつつも、期待を持ってしまう。
変な気起こさないといいけどなー、俺。
───────────────────────
長きに渡ってお邪魔いたしましたが、今回の話はこれで最後。
随分前に書いたんですが、ずっと貼るタイミングを見失ってまして。
僕も久しぶりに読んだので、自分自身楽しめました。
- 902 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/09/05(日) 22:22:10 ID:nuT1ZaJV
- 遊星殿、毎度GJです!
細かいことを気にせず投下して頂ければ幸いです
待ち望んでますゆえ
- 903 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/09/12(日) 17:03:26 ID:RGt/VvqP
- 規制解除来たー
遊星さんGJ!
- 904 :名無しくん、、、好きです。。。 :2010/09/13(月) 00:45:24 ID:QnwIb5ZU
- ほ
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