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[第三弾]妹に言われたいセリフ

792 :(1/4) :04/12/21 22:55:31 ID:STQNYpRX
「お兄ちゃ〜ん!こっちこっちー!」
――ああ、今行くよ!
「もっと早く〜!」
――まったく……なんだよ?
「ほら!見て〜!あのイルカさん、可愛い〜!」
――そうだな。食べると美味そうだ。……イルカって食えたっけ?
「……お兄ちゃん、食べちゃダメだよぅ」
――分かってるって。冗談。
「むー。本気の目だったよ」
――冗談だっつの。ほら、次行こうぜ。
「…うん。イルカさ〜ん!またね〜!」

妹の声が、焼けた空に響く。
俺はまだイルカのほうを向いている妹の手を掴み、歩き出す。
なんてことない、よくある風景。
よくある日常。
だけど。

これが、もう長続きしないのは分かっていた。


793 :(2/4) :04/12/21 22:56:30 ID:STQNYpRX
「…………」
俺は目を覚ました。
目覚まし時計の音が鳴っている。ぼうっとした頭のまま手を伸ばし、止めた。
再び静寂が戻る。
「またあいつの夢か……」
俺はうんざりしながら頭を抱えた。体がひどく冷たい。冬だから、だろうか。

俺にはふたつ年下の妹がいた。名前は紗枝。
今、俺は18だから……16歳か。
自分で言うのもなんだが、可愛い妹だった。変な意味じゃなくて。
純粋にいい妹だった。明るくて、世話好きで、家事もこなせて。
俺にはもったいないくらい。とにかく、それくらいよくできたやつだった。
両親が離婚し、離れ離れになる前までは。

794 :(3/4) :04/12/21 22:58:06 ID:STQNYpRX
当時12歳だった俺は、成す術もなかった。もちろん紗枝も。
突然の離婚により、俺は親父に。紗枝は母さんに引き取られた。
それ以来だ。今日みたいな夢を見るようになったのは。
もう永遠に会えないのだろうか。俺の中の紗枝はずっと10歳のままなのだろうか。
俺は……いつもそう思う。

親父は郵便局で働いているので、朝は早い。だから俺が目を覚ます頃には誰もいない。
……ハズだ。

ガタン。

音がする。階下のキッチンから。
ドロボウ?まさか。
俺は忍び足で階段を下りていった。

795 :(4/4) :04/12/21 22:59:14 ID:STQNYpRX
音を立てずにキッチンの戸を開けた。わずかな隙間から覗き込む。
(OK,落ち着け俺。昨日やったメタル○アの要領だ。ゆっくり近づけ)
慌てて訂正する。
(いや、近づいてどうするよ。警察だ。確認したら警察を呼ぶんだ)

ガタン。

あ。今のはどっちが出した音だ。
「――誰?」
俺か。
「誰かいるの?」
綺麗な声。女だ。足音がこっちに向かってくる。
(やばっ!隠れなきゃ!)
また訂正する。
(いや、隠れてどうするよ!ここは俺の家だぞ!)
「そ、そっちこそ誰だ!?」
戸を勢いよく開ける。相手は女だ。高見盛似でもない限り、勝てる。
しかし―――。

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0ch BBS 2004-10-30