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[第四弾]妹に言われたいセリフ
- 8 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/01/20 18:48:04 ID:xTmy03wt
- のんびり書いていくつもりだったけど、
即死回避のために、急遽完成。
実際、出来は自分でも納得してないけど……下手なAA貼るよりはいいでしょ?
「はぅ……に、兄さん……」
未来がまるで玩具を取られた子供のような目で俺を見ている。
「な、何だよ?」
とは、聞いてみたものの、理由は俺が一番よく分かっていた。
と言うのも……
「料理したいですぅ……」
「しょうがないだろうが!!手を捻挫して料理できないんだから!!」
そう。未来が右の手首を捻挫してしまったのだ。
さすがにそんな状態の未来に料理を作らせるワケには行かないので、俺が晩飯を作っていると言うワケだ。
料理マニアの未来にとって、数日間料理を作れないのは生き甲斐を失ったも同じ。
その辺の心境は俺にも一応分かっていた。
「で、出来ますよ!!ちょっと我慢すれば……」
「そんなことしたら、クセになるだろうがっ!!大体、指でも切ったらどうする!?」
「で、でも……」
「でも……じゃない!!とにかく数日間は絶対安静!!」
「だ、大丈夫ですよ……明日になれば、きっと……」
- 9 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/01/20 18:50:03 ID:xTmy03wt
- 「無理無理。そんなに腫れてるもん、一晩じゃ無理だって」
未来が、駄々をこねてる……。意外だなぁ……
「兄さん、意地悪です……」
「おいおい……何でそうなるんだよ!?」
「だって……」
黙って俯いてしまう未来。
「何だよ?」
「な、なんでもないです……」
「あっそ……。さ、飯出来たぞ」
「はい……」
妙に元気が無いまま、食卓に並べられた料理を眺めている未来。
「どうだ、美味そうだろ?」
「そうですね……」
「……元気ないな?」
「しょうがないですよ……」
「そう気を落とすなよ……湿布貼って、無理しなければすぐ治るから」
「一晩じゃ無理なんですよね……?」
「ま、まぁ……そうだけど……」
気持ちは分かるけど……やりにくいなぁ……。
結局その後、無理に話しかけることは避け、沈黙の夕食が続いた。
───────────────────────
- 10 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/01/20 18:51:09 ID:xTmy03wt
- 「はぁ……」
何度目かの溜息は、湯気を巻き込んでお風呂の水面に少しだけ波を立てた。
水面に移った私の顔がクシャクシャに歪む。
そしてまた溜息が出る……。
そんなことの繰り返しだった。
「兄さんの料理……美味しかったよ……」
そう。兄さんの料理は本当に美味しかった。
でも……。
「もう……用無しなのかな……私って……」
ずっと信じていた。
料理さえ出来れば……兄さんは私のことを必要としてくれてるって……。
でも、思い上がりかもしれない……。
結局……私の唯一の特技は、兄さんも持っていて……。
私が兄さんと一緒にいられなくなる日が、確実に近づいているような気がした……。
「兄さん……」
宿題を教えてくれたり、いじめっ子から守ってくれたり……優しかった兄さん……。
そんな兄さんに『ありがとう』って言われたくて始めた料理……。
兄さんは美味しそうに食べてくれるし……『ありがとう』とも言ってくれる……。
でも……もうそんな役目を果たさないかもしれない……私も……私の料理も……。
「練習すれば……誰だって私ぐらいには……なれるもんね……」
そう考えると、無力感がどっと押し寄せてきて……もう兄さんに顔を合わせられるような気分じゃなかった。
しょうがないよ……。
可愛い服も着れないし……
兄さんに可愛く甘えれらないし……
スタイルもよくないし……
それに……妹だし……。
「うぅっ……にぃ……さん……」
目から溢れてくる涙が、水面にいくつもの円を描く。
もう、自分も兄さんも信じられなかった……。
───────────────────────
- 11 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/01/20 18:52:09 ID:xTmy03wt
- 「遅い……」
未来が風呂に入ってもう一時間以上。
いつもなら俺に気を遣って、もっと早く出てくるのに……。
「大丈夫かな……」
未来のことだから心配は要らない。と強く言い聞かせてみる
が……やっぱ気になる!!
俺は戸惑いも迷いも捨て、風呂場に駆け込む。
そして、そして浴室に続くドアの前で未来に声をかける。
「未来?大丈夫か?」
……返事が無い。
「未来!!未来っ!!」
やはり、反応が無い。
……未来っ!!
俺は急いでノブに手をかける。
幸い鍵はかかっていなかった。俺は力いっぱいドアを開け、中に入る。
「未来!!」
未来はバスタブの縁にもたれかかって、グッタリとしていた。
「未来っ!!未来っ!!」
呼びかけながら体を揺すってみるも、反応が無い。
顔も赤い。どうやら、のぼせてしまったようだ。
「しょうがない……」
俺は、バスタオルで未来の体を包み、抱きかかえる。
そして、そのまま未来の部屋へ連れて行き、ベッドに寝かせる。
「ふぅ……」
ここまで来て、やっと落ち着く事ができたのだが……。
どうしよう!!未来の裸、ちょっと見ちゃったよ!!
細くて、やわらかくて、真っ白で、最高!!……って、マジで不謹慎だな。
今も、未来はバスタオル一枚と言う艶姿。
しかも、そのバスタオルだって体にかけているだけなので、ちょっとズラせば大事な部分が見えそうで……
- 12 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/01/20 18:53:21 ID:xTmy03wt
- ……って、何考えてんだ!!俺は!!馬鹿か!!
「お、おい!未来っ、未来っ!!」
ペチペチと未来の頬を軽く叩きながら、強く名前を呼ぶ。
「……えっ、にぃ……さん……?」
「未来!!気がついたか!?良かった……」
「私は……?」
未来は天井を見つめたまま答える。
「風呂でのぼせて、目回してたんだよ」
「ごめんなさい……迷惑かけて……」
「いいって」
「迷惑かけてばっかりですね……私……」
未来が悲しそうに呟いた。
「迷惑じゃないって」
「でも……」
「どうした?」
「ダメなんです……もう……兄さんに迷惑はかけられないから……」
「その辺はお互い様。未来にはいつも世話になってるからな」
「……ご飯を作ってくれれば……いいんですよね……?」
「えっ?」
「お母さんでも……おばあちゃんでも……知らない女の人でも……ご飯が美味しければ……私じゃなくても……」
「べ、別に……そんなことは……」
「いいですよ、気を使わなくても……。大体……兄さんだって、料理上手じゃないですか……。もう私なんて……」
「未来……」
「もう私は大丈夫ですから、お風呂に入ってきてください……」
そんな作り笑いを浮かべると、未来は首を倒し、俺の顔を見ないようにする。
- 13 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/01/20 18:54:31 ID:xTmy03wt
- そんな未来に俺は頭を掻きながら、
「未来……俺が、料理が出来ないから未来は役立たず。なんて考えると思うか?」
「……」
「少なくとも、俺は……そんな未来を物を扱うような見方で見てない」
「……」
「だから……料理が出来なくても、未来は未来だ……俺はそんな事、気にしないって」
「兄さん……」
「でも、未来の気持ちはよく分かるよ。ちょっと心細かったんだよな?」
未来の髪を優しく撫でてやる。
「うわぁぁぁん!!兄さんっ!!」
突然、俺の胸に抱きつき、堰を切ったように泣き出す未来。
俺はそれを優しく抱きとめ、なだめるように髪を撫で続ける。
「私……兄さんに嫌われるのが……不安で……!!」
「うん」
「兄さんが……誰かに取られちゃうような気がして……!!」
「うん」
「ワガママでゴメンなさい!!でも……私……兄さんの事が……!!うわぁぁぁん!!」
「俺も……未来のこと、好きだよ」
しばらく、そうしているうちに未来も段々落ち着いてきたようで……
「ねぇ、兄さん……」
俺の胸の中の未来が囁く。
「何だ?」
「もし……私が料理が出来なくっても……私と一緒にいてくれますか?」
「あぁ。未来が望むなら、俺はいつまでも隣にいてやるよ」
「はい!ありがとうございます、兄さん!!」
ま、これにて一件コンプリートかな
ところで……
- 14 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/01/20 18:56:05 ID:xTmy03wt
- 「あのさぁ……未来ちゃん……」
「何ですか……?」
「あの……気付いてない?」
「何にですか?」
「いや……あの……服……」
「服……?……あぁっ!!」
そうなんです。未来ちゃん、服着てないんです……。
つまり、今の俺は裸の未来ちゃんをベッドの上で抱いているわけで……
両親が見たら卒倒モノの光景だった。
「に、に、兄さん!?どうしましょう!!??」
「ま、待てっ!!落ち着け、動くな!!」
とは言ったものの、いままで経験したことの無い未来との距離に、俺もかなり動揺している。
「でででで、でもっ!!恥ずかしいですっ!!」
「ば、バカっ!!動くなって!!」
未来の柔肌が俺の体に押し付けられる。
そして……その……未来の二つの山も……。
「ひゃうっ!!兄さんこそっ、動かないで下さいっ!!!」
「動いてないだろうが!!」
「あんっ!!触らないでくださいよぅ……。兄さんの手、冷たいんですから……」
「いや……悪かった……」
いや……間抜けなやり取りに見えるかもしれないが、俺たち、本当にテンパってるのだ。
「ちょっと待て!!今、目をつぶってるから、服着ろ!!」
結局、このアイデアに気付いたのが五分後……。
「は、はい……わわっ!!きゃっ!!」
「な、何だ!?……って、うぉぅ!?」
全身に衝撃が走り、俺は床に倒れた。
慌てて目を開けると……。
「未来に押し倒された!?」
「ち、違いますよぅ!!ちょっと転んじゃって!!って、どこ触ってるんですか!!」
……こういうドタバタのノリのほうが、やっぱり俺たちに合っているような気がするなぁ……。
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0ch BBS 2004-10-30