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[第四弾]妹に言われたいセリフ

340 :前スレ288 :05/02/13 19:58:16 ID:RtwTmGNA
「春香、そこのしょうゆ取って」
「これ?はい、お兄ちゃん」
「ああ、ありがとう」
何気無い日常。本来ならどこの家庭にもある、当たり前の風景。
俺はその重さを噛みしめていた。
やっと、やっと春香は我が家に帰ってこられた。ここまで、本当に長かった。
だけど―――。
あと、6日。
あくまでも予測で、今日を含めても7日。
それでもたった7日だ。それしか春香は生きることができない。
……明日から、学校は休もう。先生も分かってくれるだろう。
一週間だけ。残されたこの時間を、春香と一緒に過ごそうと思う。
「ダメだよ、お兄ちゃん」
「えっ!?」
何故か心の中を見透かされたような気がして、俺は素っ頓狂な声を上げてしまった。
春香はやっぱり、という表情になる。
「…………本当は分かってたの。春香、もうダメなんでしょ?」
俺は凍りついた。
「なんとなく気づいてた。お兄ちゃんにはウソついていたけど、体調は悪くなる一方だったし」
春香の口から、春香の心が紡がれる。
「春香、幸せだったよ。こんなに優しいお兄ちゃんがいてくれて」
言うな。その先は言うな。泣きそうな顔して、なに笑おうとしてるんだよ。
「だから……だから、もういいの。春香、どうせ死ぬから」
動けなかった。何も言えなかった。叱る言葉さえ出てこなかった。
そんな自分が、殺したいほど憎かった。
よくのん気に飯が食えるな、このクソ野郎。待ってろ。今、叩きのめしてやる。
「お兄ちゃんは普段通りの暮らしを続けて。春香は家でいい子にしてるから」
そこまで言って、春香はようやく作り笑いを浮かべることに成功した。
それが俺を動かした。


341 :前スレ288 :05/02/13 20:00:19 ID:RtwTmGNA
―――バチン。
俺は手加減せず、思いっきり春香の頬を叩いた。
「ふざけるなっ!何がどうせ死ぬから、だ!逃げるんじゃねえよ!!」
「う……」
「生きろよ!!最後なんだろ!?だったら……だったらしっかり生きてみろよ!!」
「……何も……何も分からないくせにっ!!」
春香はイスから転げ落ちるようにして俺から離れた。そのままドアへ走る。
「春香っ!!」
俺は後を追う。しかし―――。
目の前で、春香は自分の部屋の鍵をかけた。
しまった。その一言が頭に浮かんだ。
「お兄ちゃんのばかっ!!ばかばかばかばかっ!!」
俺はすでにその罵声を無視して、どうやって部屋に入るかの方法を考えていた。
「ばか……ばかぁ……」
だから、すぐには気が付かなかった。罵声はいつからか力無い泣き声に変わっていた。
「うう……ひっく……」
「春香……」
ドアの向こうで、ぐっ、と鼻水をすする声が聞こえる。
「あっちいって…………」
……待て。
やっぱり俺はバカだな。
部屋に入る方法なんて、すでに知っているじゃないか。


342 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/13 20:03:30 ID:RtwTmGNA
「―――春香。ここ、開けてくれないか?」
「やだ」
「外、綺麗だな」
「……外?」
「見てみろ、星が綺麗だぞ」
「…………あっちいってよ」
「言ったよな、春香。覚えてるか?小学校のときの……何年生かは忘れたけど、春休み」
「…………」
「お前、夜中にいきなり桜が見たいって言い出した。当然、俺は困ったよ」
次々と言葉が紡がれていく。


343 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/13 20:05:10 ID:RtwTmGNA
俺は悟った。何を、と訊かれると答えられないが、とにかく悟った。
きっと。
「でも、あまりに必死なお前の顔を見て、なんとしても叶えてやろうって思った」
人を最も傷つけることができるもの、最も癒すことができるもの。それは―――。
「家を抜け出して、そこの堤防まで行った。桜は咲いてたけど、暗くてまるで見えなかった」
言葉だ。
「お前はもういいよって言ってたけど、今度は俺がその気になっちゃって。帰ろうとしなくて」
ドアから返事は聞こえない。
「そしたら、雲が割れてさ。凄かったよな、空」
夜の空を覆っていた雲が突然割れ、隙間から爛々と輝く月と、無数の星が現れた。
その光は、壮大で、雄大で、何よりも綺麗で。
「その光のおかげで、桜、見れたよな」
そして、約束した。また今度、桜を見に来ようねって。
「春香」
言う。
「桜を見に行こう」
返事は聞こえない。だけど、俺は確信していた。
実はドアの向こうで春香は意識を失っていて、しばらくして病院に運ばれるけど―――。
春香はそんなことしない。
―――ガチャリ。
ドアが、開いた。
「……うん」

344 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/13 20:06:57 ID:RtwTmGNA
外は呆れるほど寒く、吐く息はことごとく白かった。
春香に厚いコートを着させ、俺のマフラーを首に巻かせた。手袋もさせる。
「大丈夫か?寒くないか?」
「……平気」
「そっか」
俺は手を差し出す。
「行こう」
「うん」
春香はその手を握った。
家から出て数分歩いたところで、もうその堤防まで辿り着いた。
「……もう、着いちゃったんだ」
「俺たちが大きくなったからな」
春香の手を引き、堤防をのぼる。力強く、握り締める。
そして、のぼりきった。
空には―――。
「…………」
「…………」
なにひとつ、輝いていなかった。
そんなバカな。さっきまではあんなに綺麗だったのに。
「……もういいよ、お兄ちゃん。帰ろ?」
春香が俺の手を引く。しかし、俺はふと思いついたようにその手を振り払った。
「お兄ちゃん?」
「見てろ、春香」
俺はさっと両手を上げる。真っ暗な空へ、目に見えない指揮棒を振り上げる。
「大事な大事なお客様だぞ。いいか、ヘマするなよ」
世界に告げる。
指揮棒を、振り下ろす。
―――瞬間。

345 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/13 20:09:11 ID:RtwTmGNA
空が輝いた。
雲は消え、月が現れ、星が光りだした。
夢なんかじゃない。
これは、現実の夢だ。
現実にしか作り出せない、夢なんだ。
「う、うわわ……わあ……」
春香は大口を開けてその光景に見入った。
『いいか?本当の音楽家ってやつはな、指揮棒一本で何でも操れるんだよ』
俺は人差し指を立てる。
『将来、お前がどう歩むかはお前の勝手だ。だが、これだけは覚えておけ。
エマーソンが言った。心の奥底に達して、あらゆる病を癒せる音楽。それは暖かい言葉だ。
俺のあとを継いで音楽家にならなくてもいい。だが、名前の通り、真の人間を目指せ。
いいな、真人。それだけは忘れるなよ』
俺は空を指差した。
「……覚えてるよ。天才音楽家の親父殿」
「……まこと……お兄ちゃん」
春香に向き直り、優しい笑みを浮かべる。
「はは。なに?」
「なんか……生き生きしてる」
「そうかな?ああ……そうかもしれない」
「……まこと兄ちゃん」
春香はそう言うと、俺の手を掴み、
「ありがとうっ!」
笑顔。
それが見たかったから、俺はいつも寝ているお前のために、音楽を始めたんだよ。

346 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/13 20:14:19 ID:RtwTmGNA
>>338
すまぬ。これで許してください。 _| ̄|○

>>339
いや、むしろ俺がパク(ry
というか自分は下手なので、前スレ931さんのSSを期待しております。

347 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/13 20:25:52 ID:3EksoEle
>>346
スマン…

俺は身内や友人の死になんどもたちあい泣く事許されず過ごした
もう何年も泣いてない俺が
目が潤んでしかたない
一言
良い作ありがとう

348 :前スレ931 :05/02/13 20:31:02 ID:e+kDRYFj
ああ…切ねぇっすよ…ステキです…
ドコが下手ですか海中さん!

349 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/02/13 20:33:18 ID:DeVwSD31
>海中時計 >前スレ931
あなた方、素晴らし過ぎ……もう言葉もないよ、マジで。


バレンタインSS?延期だ、延期!!来年まで延期!!!

350 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/13 20:50:06 ID:hgitM/xr
神が増えてる!

351 :前スレ931 :05/02/13 22:18:01 ID:e+kDRYFj
>>349
神に褒められた!
てか延期しないで…お願いっすから

352 :前スレ931 :05/02/13 22:58:51 ID:e+kDRYFj
遊星さんへのテコ入れも兼ねて…続きいきまっす
_________________________________

空が茜色に染め抜かれ、道行く人の影が伸びゆく頃。
試験の張り詰めた空気がにわかに失せた教室で、蓮は和人に歩み寄った。
「よお和人。どーだった」
返事はない。
しかし、西に傾く夕日を見つめるそのうつろな瞳は、言葉以上のものを物語っていた。

「んぁあ〜もー!何なんだよあれはぁ…」
帰りの道すがら、和人は不満をぶちまけた。
「まあ確かにちょっとキツかったな、今日の試験」
「ちょっと?ちょっとと来たかい蓮?よゆーだねぇまったく。俺この単位やばいって…」
「ご愁傷様。つーかお前授業中ほとんど寝てたろうが。アレで単位取れたらこっちの立つ瀬がねえっての」
「う…」
「ま、今日で後期の試験は全部終わりだろ?明日から春休みだし、気晴らしに
飲みにでも行こーぜ」
「よっしゃー飲んだる!だから蓮…」
「ん?」
「…今夜は…帰さない…」
「よし黙れ」


353 :前スレ931 :05/02/13 23:01:22 ID:e+kDRYFj
リビングに響くのはテレビから流れる流行りの歌謡曲。
独りきりの夕食を終え、ソファに腰かけた雪乃は静かに目を閉じた
音楽に耳を傾けているわけでは無い。
夜半の静寂を破るためだけにつけたテレビに、端から意識を向けてはいなかったからだ。
ただ、待ち焦がれていた。
ちらと見た時計はもうすぐ11時を指そうとしている
「(…にいさん…まだかな…)」


静寂は嫌いだった あの夜を思い出すから 鮮烈な赤に溺れた夜を
正直に言えば、そのときのことをはっきりと覚えているわけじゃない
ただ思い出さないようにしているだけかもしれない
でも、記憶の底に残る忌まわしい傷跡の疼きは私を捕らえて離そうとはしない
静寂はいや… 
ひとりはいや… 


そのとき不意にドアチャイムがリビングに響いた。
その音に思考を中断させた雪乃は、ふきんで手を拭いながら小走りで玄関へと向かった。
鍵を開け、がちゃりと扉を開ける。
「にいさ…」
「や、こんばんは」
そう言って、玄関口でひょいと左手を挙げたのは彼女も知っている人物だった。

354 :前スレ931 :05/02/13 23:04:41 ID:e+kDRYFj
「…鷹梨さん…?」
蓮は、どうもと小さく答えると背後に向かって話しかけた。
「しっかりしろ、和人。お前んちついたぞ」
「お〜う…」
蓮に半ば寄りかかるようにしながら、唸るような声で返事をしたのは和人だった。
その顔は赤く染まり、視線も虚ろ。何より漂ってくるアルコールの匂いが今の彼の状態を端的に表していた。
「ほら、立てるか?」
蓮の問いかけに行動で答えようとする和人。
しかし3歩も歩まぬうちに前のめりになり、玄関に崩れ落ちてしまう。
「あっ…だいじょぶです…か…?」
雪乃はおそるおそる尋ねるが、もはや和人の意識はまどろみの中に
沈んでしまったようだった。
「やれやれ、しょーがない。雪乃ちゃん、和人の部屋まで案内してくれる?」
蓮はそう言いながら、いびきをかき始めた和人を抱えあげた。

「よいしょっと」
二階の部屋にあるベッドに和人を寝かせた蓮はふうと息をついた。
「…ありがとうございました、鷹梨さん」
和人の顔をタオルでそっと拭くと、雪乃は蓮に向かってぺこりと頭を下げた。
蓮はひらひらと手を振りながら答える。
「いいって。もともと俺が誘ったんだしね。」
「れ〜ん…よく頑張ったねー、ごくろうさ〜ん。雪乃ちゃーん、ジュースちょーだーい…」
ベッドにうつ伏せになったまま間抜けた声を出す和人に、雪乃は呆れ顔になる。
「…にいさん、黙って寝ててください…」
「はは。じゃあ、おれはそろそろおいとまするよ」
そう言って玄関へ向かおうとする蓮の背に雪乃が声を投げかける。
「あ…私もご一緒してよろしいですか?…ちょっと近くのコンビニに用事があって…」
「そう?じゃあ一緒に行こうか」

355 :前スレ931 :05/02/13 23:08:31 ID:e+kDRYFj
蓮と雪乃はどっぷりと日の暮れた町を、少し離れて歩いていた。
外を満たす2月の冷たい空気が肌を刺す。
漆黒が塗りつぶした夜空を統べるかのような青白い三日月に、雪乃はしばし目を奪われていた。
「いい兄妹なんだね、2人は」
ふいに蓮が口を開く。
「え…」
「和人のやつ、酔うと雪乃ちゃんの話ばっかりしてたよ。君に感謝してるって。いつもすまないってさ」
「…」
「雪乃ちゃんは兄さん思いだしね。いい妹さん持って幸せだよ、和人はさ。ウチの妹にも
見習って欲しいもんだなー、まったく」
酔いの勢いも手伝ってか蓮はいつになく饒舌だった。
しかし、それとは逆に雪乃は伏せ目がちになって黙り込んでしまう。
「ん、どうしたの?雪乃ちゃん」
「………そんなこと……無いです……」
「え?」
「あ…いえ……何でもありません。私…ここで失礼しますね…」
通りにぽつんと立つコンビニの明かりを確かめると、雪乃はまたぺこりと頭を下げ、蓮に背を向けた。


「う…ん…」
自身のアルコール臭い吐息に、和人は小さくうめいた。
ベッドの上でごろりと仰向けになって澄んだ空気を大きく吸いこむと、改めて部屋の中を
ぐるりと見渡す。

356 :前スレ931 :05/02/13 23:10:54 ID:e+kDRYFj
カーテンの隙間からわずかに漏れた月明かりが、机の上を照らしていた
「もうすぐ…か」
浮かび上がった卓上のカレンダーを見ながらつぶやく。

「優」

和人の淀んだ瞳に、ありし日の情景が映し出されてゆく


死んだ母さんのことはあまり覚えていない。
物心つく前にいなくなってしまった人だから寂しさもなかった
母親のいない三人だけの暮らし。
父さんと俺と、そして優との暮らしは俺にとって十分に幸せなものだった。



2つ年の離れた妹は、俺が子供ながらに守りたいとはじめて願った存在だった

「お兄ちゃん!」

小さな身体で力いっぱい俺を呼ぶその声はどこまでも明るくて、それを聞くたび俺の心は満たされるようだった
優が笑って俺が笑って父さんが笑って
こんな暮らしがいつまでも続くと信じていた
それが限りある時間だなんて想像もしなかった

11年前
突然訪れた崩壊の日はあまりに唐突で不条理だった

357 :前スレ931 :05/02/13 23:12:26 ID:e+kDRYFj
優を――まだ5才になったばかりだった少女を襲ったのは死に至る病だった
可憐な花のようだったその身体は、見る見るうちに枯れ木の様にやせ衰え、やがて優はベッドの虜に成り果ててしまった

始めのうちは、見舞いに足しげく通っていた
少しでもあいつのそばに居てやらなきゃいけない、という7歳のガキなりの使命感だったのかもしれない
だが、俺が優の元にいることで出来ることなんか何一つ無いことをやがて思い知る
優の弱々しいながらも精一杯の笑顔が激しい苦痛に歪むのを目の当りにする度、俺は彼女に何もしてやれない無力な自分を呪った
そして、俺の足は次第に病院から遠のいていった
守りたいものを守れない無力な己の姿を見るのが怖かったから

そして優は死んだ

春を待たずに散った花の骸は小さくて、軽くて、はかなくて
俺は冷たくなった彼女のそばでいつまでもいつまでも泣き続けた
涙が枯れ果てるまで
それなのに…

「なんでだろうね」

そっと呟く。まるでそこにいる誰かに語りかけるように。

あの時あんなに後悔したはずなのに…

「今じゃお前の笑顔も思い出せないんだ」


358 :前スレ931 :05/02/13 23:14:28 ID:e+kDRYFj
コンビニの袋を右手に提げ、家路を急いでいた雪乃は吸いこまれるかのような
星空をふと仰いだ。
霞がかった夜空の支配者が放つ、淡く冷たい輝きは和人の目に宿るそれと似ていた。
「にいさん…」
和人に本当の妹がいたことは雪乃も知っていた。
そして彼女の命日まであと少しだということも。

「…私は…にいさんの何なのかな…」

掌に向かって問いかける。

義理の妹
それ以上でもそれ以下でも無い
わかってはいるけれど…

あの地獄から
あの世界の果てから
私を救ってくれたにいさん
私にとって誰よりも大切な人…
例えにいさんの中に私がいないとしても

『優はね…』

亡くなった妹の話をするときのにいさんは、いつも行き場の無い怒りと悲しみをたたえていた
私はそんな姿を見る度、切なさと嫉妬をにじませずにはいられなかった

にいさんの中にはいつも優さんがいる。
どんなに私がにいさんを思っても
想い出の人にはかなわない
「…それでも…」

雪乃はぎゅっと唇を結んだ。

359 :前スレ931 :05/02/13 23:18:38 ID:e+kDRYFj
帰宅した雪乃は真っ直ぐ和人の部屋を目指した。
「にいさん…起きてますか…?」
そっと部屋の戸を開け、明かりを絞ってベッドに歩み寄る。
大の字になったまま布団もかけずに寝息を立てる和人の様子に、雪乃は小さく微笑みながら
そっと毛布をかけた。と、
「う…あ…」
目を瞑ったままの和人の口からふいに呻きが漏れた。
心なしか息遣いまで荒くなる和人に思わず雪乃が
「にいさ…」
声をかけようとしたとき…

「…ゆ…う…」

「!」

和人が漏らした言葉に、雪乃は体の芯が凍ってゆくような感覚に襲われた。
手に提げていたコンビニの袋が滑り落ち、中からジュースの缶が転がった。

「っ…」

雪乃はその場から逃げるように部屋を出て、扉を閉めた。
頭に浮かんだおそろしい感情が、暗い水のようにゆっくり体に染み渡ってゆくのを感じた。
閉めた扉に背中を預けたまま、力なく座り込む。

「…私は……優さんの代わり…なのかな……」

宵闇に問うても答えはなく。

………私は……何処に………いれば………

白蝋のような頬をひとすじの雫が伝ってこぼれた。

360 :前スレ931 :05/02/13 23:25:09 ID:e+kDRYFj
それから続いた日々は何気ないようで、どこか奇妙に歪んでいた。

勢いよく流れる水がステンレスの流しを叩く。
キッチンで朝食の食器を洗おうと、雪乃はスポンジを手に取った。すると
「雪乃ちゃん。俺がやろうか」
脇から和人が声をかける。
「…いえ、大丈夫ですから…にいさんはゆっくりしてて下さい…」
「そう…」
雪乃にそう言われた和人は手をもてあましながらリビングのソファに腰掛け、窓の外を
ぼうっと眺め始めた。

和人は家にいることが多くなり、その目はいつも何処か遠いところを見ていた。
雪乃はそんな和人の様子を気懸かりに思いながらも、立ち入ることが出来ずにいた
2人の交わす会話も空虚で、形だけのものになってしまっていた。
この時期に毎年繰り返される光景ではあったのだが、幾度経験しても慣れるような
類のものではなかったし、その根幹にある傷が癒えるわけでもなかったから、この雰囲気が打破されることなど永久にないのではないかとさえ思われた。

「よっ、と」
ふいに掛け声をあげて和人はソファから立ち上がった。
「部屋にいるから。なんかあったら呼んでね」
そう短く告げると、さっさとリビングを出て二階へ上がっていった。

自室に戻った和人はベッドの上に身を投げ出した。
「はぁ…」
口を開けばため息ばかりの自分に軽い自己嫌悪を覚えながら、窓の外を見上げる。
空は雲ひとつない、透き通った快晴だ。
そんな美しい青空も今の彼には皮肉そのものだった。
ちらと目を背けた先に、最近変えたばかりのケータイがあった。
和人は上体を起こしてそれを手に取ると、履歴から番号を探して通話ボタンを押した。

361 :前スレ931 :05/02/13 23:26:50 ID:e+kDRYFj
耳障りな呼び出し音のあと、
『もしもし?』
と声がした。
「よう蓮、ちょっといいか?」
出来るだけ明るく言う。
『どうしたよ、いきなり』
「いやヒマだからさ、今夜カラオケにでも行か…」
『蓮にい、大変!天井まで火がぁー!』
途中まで言いかけた和人の耳に、電話口から聞きなれない嬌声が聞こえた。
『あ、アホっ!また台所焼く気か柚葉!』
それに蓮の声が続く。いつもの何処か醒めた印象とは異なるその様子に
和人は思わず尋ねた。
「誰か…いるのか?」
『ん?ああ、今妹がウチに遊びに来ててな。やかましくて大変だよ』
『あ、やかましいって言ったー!せっかくボクがお世話してあげてるのにーもお!』
『頼んでないっつーに……っと悪い。何だっけ?』
「………………あ…いや。やっぱ何でもない」
『何でもないってお前…』
「お邪魔しちゃったみたいだからねぇ?」
『いやっだから妹だって…』
「あははは。じゃ、頑張れよー」
『頑張れってあ…』

まだ何か言いたげな蓮を尻目に通話を切ると、和人はベッドにごろりと寝転がった。
そしてまだ愛想笑いの抜けきらない顔に、今度は嘲笑を浮かべた。

「何してんだ俺は…」

そっと目をつむる。
瞼に映るのはまたあの白い夢………

362 :前スレ931 :05/02/13 23:29:19 ID:e+kDRYFj
日も暮れなずむ頃。和人はノックの音で目を覚ました。
「ん〜…何?」
扉を開け雪乃が顔を出す。
「あ…ごめんなさい…起こしちゃいましたか…?」
「いいって。それより、どうしたの」
「…ちょっと駅前まで買い物に行ってきます。7時前には帰りますから、それまで留守番よろしくお願いします…」
「わかった。行ってらっしゃい」
それだけ言うと、和人は寝ぼけ眼をこすりながら再び横になる。
「…あ……にいさん…」
「ん?」
「…あの…」
寝転んだ和人の背中に言葉を投げかけようとする雪乃。しかし
「……………いえ…なんでもありません…」
その言葉は飲み込まれてしまった。
「そう」
和人は振り向きもせずに短く答えた。

雪乃が去った部屋で和人はひとり、窓からの夕焼けを望んだ。
今宵の黄昏を染める紅蓮はいつもより紅く見えた
______________________________________

夕闇が茜色の空を塗りこめてゆく。
駅前の繁華街を離れ、人もまばらな暗い道を雪乃はトートを片手に歩いていた。
「………はぁ」
取り留めのないことばかりを考えては打ち消し、ため息をつく。
どうしても思い浮かべてしまうのは和人のことだった。

363 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/13 23:29:26 ID:MGMBN756
超リアルタイム!

364 :前スレ931 :05/02/13 23:32:03 ID:e+kDRYFj
「(にいさん、辛そうだった…)」
義兄の心を捕らえて離さない呪縛は、今や彼女自身の枷にもなりつつあった。
和人を縛る後悔の念は、雪乃を孤独の迷宮に追いやる。
少女はそこから抜け出すすべを知らなかった。

誰かが悪いわけじゃない

わかっているからこそ、その悲哀には出口がなかった。

そんな雪乃の耳に不意に、みいみいという甲高い鳴き声が聞こえた。
「?」
声は横手に見える公園から発せられているようだった。
雪乃は声に導かれるように公園に入って、その鳴き声の主を探す。
植え込みの中に、果たして主はいた。
小さな三毛猫。
雪乃を見るなりびくりと飛び上がり、まだ小さくかわいらしい牙をむき出しにする。
体全体を震わせて力一杯感情を吹き出すその体に、雪乃は歩み寄って手を触ようとした。
はじめは警戒していた子猫だったが、やがてゆっくり近づいてゆくと雪乃の手に体をこすりつけ、のどをごろごろと鳴らし始めた。
「…きみも…ひとりぼっちなの…」
手に伝わる暖かさが優しくて、雪乃はしばし時を忘れて猫と戯れていた。
しかし
「あっ」
突然子猫はふっと身構えると、きびすを返し植え込みの奥に走り去ってしまった。
雪乃は少し寂しそうに後姿を見送るとゆっくり立ち上がる。
その時だった。
突然後ろに感じた人の気配に、雪乃ははっと振り向いた。
公園の薄暗がりの中、大学生くらいの三人の男が雪乃を取り囲むようにして立っていた。
ひとりは大柄でパーカーをだらしなく着こなしており、別のひとりは赤いキャップをかぶった狡猾そうな小男。
そして真ん中にいるニット帽の男が、にぃと薄笑いを浮かべて声を出した
「ねえ君、ヒマ?」

365 :前スレ931 :05/02/13 23:36:00 ID:e+kDRYFj
今日はここまでにさせて頂きます
ビミョーに引きを持ってきてみたり…

366 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/13 23:39:34 ID:hgitM/xr
引くのかよ!?
も、持つ彼さま・・・・。

367 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/14 00:13:15 ID:GbLxIR1R
最後の日まで、あと6日。

当たり前だが、病気は正確ではない。わずかな誤差はあるに決まっている。
早朝、俺は誰もいないリビングで受話器を下ろした。
わずかな誤差。それが何日なのかは分からない。もしかしたら、何週間なのかもしれない。
……ある程度、覚悟はしておかなきゃ、な……。
―――バタン!
頭上、つまり二階から激しい物音がした。
そろそろ春香が目覚める頃だ。俺は苦笑しながらリビングを出た。
階段を上がり、俺の部屋のドアを開ける。
案の定、春香がベッド…………から落ちていた。目が合う。春香はにへっと笑う。
「……おはよう、まこちゃん」
「な、なんだ、まこちゃんって」
「あれ?入院する前はそう呼んでたのになぁ……」
「三年前だろ?そんな昔の話を持ち出すなよ」
「……そっか。もう三年も昔だもんね……」
しゅんとする春香。ああ、なんて俺はバカなんだ。朝からまた失敗してるのか。
「あ、いや、その……いいよ。その呼び方でも」
「え?い、いいの?」
「男に二言はないぞ」
「……じゃあ、ここは間をとってまこちゃんお兄ちゃんって呼ぶことにっ」
「却下」

368 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/14 00:14:37 ID:GbLxIR1R
ちなみに俺の部屋に春香がいたのは、別にやらしい行為が行われたからじゃない。
昨夜、俺は春香に自分の部屋で寝ろと言ったのだが、春香はどうしても聞かなかった。
無理もないだろう。入院する前はお兄ちゃん子だったし。
何より、人と一緒に寝るなんてことも久しぶりだったのだから。
「ところで、お兄ちゃん。学校は大丈夫なの?」
朝食のご飯を口に膨らませながら、春香は言った。
「うん、今日は休むよ。さっき電話した」
「ええっ!?」
ご飯粒が飛び、慌てて春香は口の中のものを飲み込んだ。
「え、えとっ……だ、ダメだよ!ちゃんと―――」
「春香」
その先を遮る。
「俺は少しでも春香と一緒にいたい。俺のわがまま、聞いてくれないかな」
「……む〜」
「……」
「……お兄ちゃん、わたしが断れないってこと分かってて言ってるでしょ」
ぷくっ、と頬を膨らませて、春香は怒った表情をみせた。
しかし、俺から見ればそんなものはバレバレで……笑顔を噛み殺しているのが分かった。
やっぱり、本当は嬉しいのだ。

369 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/14 00:16:13 ID:GbLxIR1R
とは言ったものの、普段なら学校に行っている時間。
俺はソファに座りながら、ぼーっとテレビを見ていた。
ヒマだ。
「春香ぁ、ヒマだな」
「え?そうかなぁ」
春香は隣で楽しそうにテレビを見ていた。何かのバラエティ番組の再放送だ。
「画面、やっぱり大きいね」
「病室のテレビは小さかったもんな」
「うん。本当に小さくて、すみっこの文字とかぼやけてたんだからっ!」
何故か拳を振り上げる春香。その振り上げた拳に自分自身がよろける。
「お兄ちゃん、退屈なの?」
「春香がいるから少しはマシだけどな」
「じゃあ……どこか行こうよ〜」
甘えるように俺の腕に頬をすりすりさせてくる。ここはひとつからかってやろう。
「……お前、自分の立場を分かってるのか?」
冷たい目つき。春香は明らかに動揺したようだった。
「あ……う……病人、です……」
たまらず吹き出してしまう。
「えっ!?は、春香っ、な、何かおかしなこと言った!?」
「言った言った!はははははっ!」
俺は春香に向き直る。
「お前は俺の妹だよ」

370 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/14 00:17:42 ID:GbLxIR1R
「お兄ちゃん……ほんとに……これで?」
「失礼な。まだまだ現役だっつの」
目の前には、自転車。要するに二人乗り。兄バカ炸裂。でもいいや。
「ふ、二人乗りはっ!」
この病院純粋培養め。頭から湯気を出して否定している。
力強く口を開くたびに、俺が被らせたニット帽のぼんぼんが揺れた。
「みんな普通にしてるって。特にカップルとか」
「かっぷる……」
しまった!ぼんぼんに気を取られた!
「た、例えの話!例えばだよ、た・と・え・ば!」
「かっぷる……わたしと、お兄ちゃんが……」
「と、とにかく行くぞ!乗れ!」
春香はきょとん、と我に帰る。
「ところで、どこに行くの?」
ずっこけた。

371 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/14 00:19:12 ID:GbLxIR1R
「うーみーはひろいーなー、おおきーいーなー♪」
「はあ……ひい……」
「お兄ちゃん、大丈夫?」
「……だ、大丈夫。平気……」
さすがに二人乗りで坂道はきつかった。この町は田舎なのだ。
海と山に挟まれ、自宅を出て数十分で海岸もしくは山道に出る。
おまけに川まで縦横無尽に走っているのだ。どんな町やねん。一人愚痴をこぼしてみる。
「つ、着いた……」
俺はペダルを踏むのをやめる。春香はすぐに気づいたようで、あっ、と息を呑んだ。
「すごいね……ここ……」
丘の上だ。町全体が見下ろせる公園になっている。
日没なんかは結構な景色になるため、デートには最適だったりする。
しかし今は平日の昼間。俺たち二人の他には誰もいない。
そもそも俺以外に知っているやつはいないだろう。そんな場所だ。
春香はにへっと笑い、両手を広げて走り出した。
「あははっ♪空があんなに近くにあるよ〜」
「こ、転ぶなよ!」
深呼吸をして息を整える。それから来た道を振り返った。
―――春香には過去を振り返って欲しくない。
思い出の場所へ行けば、必ず両親が生きていた頃の記憶を思い出す。それはダメだ。
俺たち二人にとって悲しい記憶にしかならないのだから。
俺はそれだけは避け、春香の知らないこの丘へ来たのだった。

372 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/14 00:21:10 ID:GbLxIR1R
野原に寝そべり、空を眺める。春香も隣で寝そべっている。
「……のどかだな」
「……うん。いつまでも、こういう時間が続けばいいのにね」
重い一言。
「……」
言えなかった。軽々しく、ああ……、なんて言えなかった。
「あははっ。でも、それは無理なのは分かってます」
春香は立ち上がり、お尻をぱんぱんと払った。白いコートが揺れる。
「だから、今はお兄ちゃんと過ごすこの時間を、大切にしたいと思います」
えへへっ、と笑う。―――春香。お前はいつからそんなに強くなったんだ?
「……そうだな。よっと」
俺は起き上がり、手を伸ばせば届きそうな青空を見上げた。
「大丈夫だよ」
突然、澄んだ声で春香が言った。
「―――ここなら、わたしがお空にのぼっても、すぐに見つけられるから」
言いながら。春香はぽろぽろと涙をこぼし始めた。
いくつもの雫が、春香の頬を伝い、足元に落ちていく。
「あれ……?なんで、泣いちゃうのかな?ここは笑わなきゃいけないのに……」
「春香」
俺はそっと春香を抱きしめた。なんて小さい背中だろう。
「悲しいから、泣いているんだ」
それが合図だったかのように、春香は―――。

373 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/14 00:22:28 ID:GbLxIR1R
「う……うわああぁぁぁぁぁっ!!」
泣き出した。俺の服を硬く握りしめ、叫ぶように嗚咽をもらす。
「やだよ……死にたくないよぉ……!!」
春香の痛みが、鮮烈に突き刺さってくる。自分から両親と自由を奪った、悪魔。
その悪魔は。今度は自分を見つめているのだ。
圧倒的な恐怖。やっぱり、春香は弱かった。誰よりも、誰よりも弱いのだ。いや違う。
誰だって、怖いのだ。
「ずっとお兄ちゃんといたいよぉっ!!ひっく……やだよぉ……!!」
―――現実からは、逃れられない。
ちくしょう!ちくしょう!!どうして、どうしてこんな―――こんなッ―――!!!
春香のすべてを受け止める。いつしか、俺も涙を流していた。
世界はどうしてこんなにも、悲しく、切なく、無情なんだ。
ひたすら泣き続ける俺たちの上を、雲はのんびりと時を刻んでいく―――。

あと、5日。

374 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/14 00:26:50 ID:i+xKpVrg
リアルタイムGJ!

375 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/14 00:28:23 ID:Ae1Ry0W5
なんだこの同一人物? 的な発想さえ醸し出す神SSラッシュは・・・。
すげーよ。 三神降臨だよ・・・。

376 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/14 00:29:16 ID:EBRq/pMd
くそ!だれか俺の目にワイパーを!!

377 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/14 00:32:12 ID:Ae1Ry0W5
____   r っ    ________   _ __
| .__ | __| |__  |____  ,____|  ,! / | l´      く`ヽ ___| ̄|__   r‐―― ̄└‐――┐
| | | | | __  __ |  r┐ ___| |___ r┐  / / | |  /\   ヽ冫L_  _  |   | ┌─────┐ |
| |_| | _| |_| |_| |_  | | | r┐ r┐ | | | /  |   | レ'´ /  く`ヽ,__| |_| |_ !┘| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|‐┘
| r┐| |___  __|. | | | 二 二 | | |く_/l |   |  , ‐'´     ∨|__  ___| r‐、 ̄| | ̄ ̄
| |_.| |   /  ヽ    | | | |__| |__| | | |   | |  | |   __    /`〉  /  \      │ | |   ̄ ̄|
|   | / /\ \.   | |└------┘| |   | |  | |__| |  / /  / /\ `- 、_ 丿 \| | ̄ ̄
 ̄ ̄ く_/   \ `フ |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |   | |  |____丿く / <´ /   `- 、_// ノ\  `ー―--┐
           `´ `‐' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`‐'     ̄          `  `´          `ー'    `ー───-′

しないかな・・・・・。

378 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/14 00:35:11 ID:j8ugAql5
何なんだ、この神ラッシュは!!
萌えすぎて死にそうだぞ俺は!
ここで未来ちゃんが降臨したらマジ逝っちまう……。

379 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/14 00:47:51 ID:j8ugAql5
……っていうかこれでおしまい?
な、なんてじらす神達なんだ!気になって寝むれやしねぇ…orz

380 :雨音は紫音の調べ ◆cXtmHcvU.. :05/02/14 00:50:45 ID:XW2+TTCB
すごい……
マジで泣けてくる……

381 :前スレ921 :05/02/14 01:20:53 ID:TsMlMoJR
えーと……
神降臨しまくってて非常に言い出し難いのですが、予告通りバレンタインネタSSを書いたのでもう少ししたら貼ろうと思います……
要らないという方いましたら今のうちに貼るなと言ってくだせぇ。
即興なのでかなり読みにくい&纏まりがないんですが……

382 :コンズ :05/02/14 01:22:10 ID:D2gHCyk9
たっ、たまら〜ん!!皆様乙でふ!!
で、次回作わいつのご予定で?

383 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/14 01:28:36 ID:Ae1Ry0W5
>>381
待ってます。

384 :前スレ921 :05/02/14 01:33:33 ID:TsMlMoJR
今日最後の授業の終わりを知らせる鐘がなり、教室が騒がしくなる。
毎日学校へ来ていても最後の授業が終わると幸せだ。

だが今日はいつもに増して騒がしい。
バレンタインだ。
女子は女子、男子は男子で期待やら不安を抱いてあちこちでざわついている。

「苦手だ‥‥‥」
誰かに話し掛けるでもなく呟いてしまう。
こういう行事は嫌いではない。だがもう少し静かに出来ないものか……
俺はこういうのはチョコを渡すという行為より雰囲気が大事だと思うのだが……
そして何より騒がしいのが嫌いだ。
こういう時はさっさと帰ろう。

385 :前スレ921 :05/02/14 01:36:42 ID:TsMlMoJR
と、教室を出ようとした。

「広田ー、ちょっといいか?」

早く帰りたい時に限って教師にひっかかるのだ……
やはりこういうのは苦手だ……

――――――――――――


結構長いですが、携帯からのカキコなので勘弁して下さい

386 :前スレ921 :05/02/14 01:39:22 ID:TsMlMoJR
「やっと終わった……」
やっとの思いで学校を出た人気のない帰り道、ついつい呟いてしまう。
仕方ないだろう。苦手な騒がしい空間に居て、更に教師に呼び出されたのだから。

教師の用件は『妹が学校に来ていないがどうしたのか』だった。
なぜ妹は学校を休んだのだろう。
朝は元気だった。第一学校をサボるような性格ではない。

考えている間に段々不安になってきた……
事故にでも遇ったのだろうか?
そうこう考えている間に小走りに、そしていつしか走っていた。

家に着き、玄関を開ける。と

387 :前スレ921 :05/02/14 01:42:43 ID:TsMlMoJR
「おかえりなさぁ〜い♪お兄ちゃん♥」

「…………」
玄関には妹が立っている。
いつもと変わった様子は見られない。寧ろいつもよりも元気に見えるのは俺の気のせいだろうか……

「帰ってきたらただいま。だよー??」

「……あぁ、ただいま。」

「おかえりなさーい♥」
家に入り、居間へと向かいながらもう一度妹を見てみた。

「さっきから真剣な顔してどうしたのぉ??」

やはり至って普通。
もしかして学校で何かあったのだろうか。それで学校を休んだのだろうか……

388 :前スレ921 :05/02/14 01:46:26 ID:TsMlMoJR
考えている内に居間に着き、俺は椅子に座り、妹はパタパタ小走りで台所へ向かって行く。
直接聞くのが一番早いだろう。

「なぁ……零(れい)……」
妹が二人分のココアを作って運んできた。

「なぁに?はい、ココアだよー」
零はココアを口に運び、この上なく幸せそうな顔をしている。

「零、何で今日学校休んだんだ?」

「へっ!?」
零の表情が急変、どう見ても『驚いた』表情だ。
表情だけではなく、ココアの入ったカップまで落としそうになっている。

「え、えーと……それは……そのぅ……」

389 :前スレ921 :05/02/14 01:49:06 ID:TsMlMoJR
あからさまに動揺している。やはり学校で何かあったのだろうか……

「どうした?学校で何か行きたくないようなコトがあったのか?まさかいじめにあったのか?」

「そんなコトないよ!みんな優しいし、学校も楽しいよ!!」
必死に否定している表情を見る限り、嘘を言っているようには見えない。

「じゃあなんで休んだんだ?」

「……それは……その……」

「朝元気だったのに学校に来てないから俺がどれだけ心配したと思ってるんだ?学校で何かあったんじゃないか、登校中に事故にでも遇ったのかと思った……」

390 :前スレ921 :05/02/14 01:52:40 ID:TsMlMoJR
やっと落ち着き、今まで不安に思っていたた事が一気に言葉として紡がれる。

「うぅ……ごめんなさい……」

「なんで言わなかったんだ?俺がサボるななんて言う性格じゃないのは知ってるだろう…」

「うん……でも……」
零はそこまで言って俯いてしまった。

‥‥‥

気まずい沈黙……
少し言い過ぎたかもしれない…
「……まぁ、零ももう高校生だし、言いたくない事もあるだろう。理由が言いたくなければ言わなくてもいい。ただ、休む事くらいは言ってくれ。な?」

「……うん」

391 :前スレ921 :05/02/14 01:55:11 ID:TsMlMoJR
いつかは妹も兄から離れていく……わかってはいるが悲しいものだ……
俺は一気にココアを飲み干し自室へ戻ろうと椅子から離れた。

「……でも……」

「ん?」

「高校生だからじゃない……今日だから言いたくなかったんだよ……っ」
俯いたまま、小声だが、はっきりと言い切った。

「え?」
突然で話が読めない……何が言いたいんだ?

「お兄ちゃんに……チョコ……作ってたの……」

「………なんで?」

「へ?……今日は…その……バレン…タイン…だから……」
「……あ」
……忘れてた……零の心配をしててすっかり忘れてた……

392 :前スレ921 :05/02/14 01:59:21 ID:TsMlMoJR
「じゃあ……今日休んだのって……俺のために……?」
「そうだよ…」
俺は立ったまま固まってしまった。
なんて事だ…零は俺の為に休んだのに、あんな事を……

「ごめん……あんな事言って……」

「ううん!!言わなかった私が悪いから。でも、お兄ちゃんが心配してくれて嬉しかった♥」

「はい。チョコだよ!!お兄ちゃん♥」

「あ、ありがとう」
ラッピングも零がしたのか、少し粗がある。

「うぅ〜……やっぱり恥ずかしいよぅ〜……」

「開けていいか?」

393 :前スレ921 :05/02/14 02:03:08 ID:TsMlMoJR
と言うのは社交事例で既に開け始めた俺に慌てて零が止めに入ろうとする。
が、伊達に長年兄をやっているわけではない。

「ぇ!?ちょっ!は、恥ずかしいから部屋に戻ってからにしてよ!!」
包装を開ける俺を阻止すべく繰り出される零の手をことごとくかわしながら手早く包装を開けてチョコを一つ口に放り込む。

「うぅ〜…お兄ちゃんのいぢわるぅ〜……」
ちょっと涙目になりながら文句を言ってくる零を無視しつつチョコを味わう。

「うまい!!」

「えっ!?ホントっっ!?」

「本当だ。ありがとうな。零」

394 :前スレ921 :05/02/14 02:07:58 ID:TsMlMoJR
形は少し崩れているものの、味は確かにうまい。少し甘めで、ココアと一緒に持ってきていたから程よく柔らかい。
何より零がわざわざ学校を休んでまで作ってくれたのが嬉しかった―――

「ううんー!お兄ちゃんが喜んでくれたら零も頑張った甲斐があったよ♪これからもよろしくね♪」

「大好きだよ♥お兄ちゃん♥」

――――――――――――

一応これで終わりです。
俺のヘタレSSでスレ消費してしまって申し訳ないorz

広田は苗字でござい。
妹→零
兄→名無し

ネーミングセンスの悪さは俺の才能がないせいです。

395 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/14 02:12:02 ID:j8ugAql5
………プツン
今日は神祭りだーーー!!あひゃひゃひゃ!!!(萌えすぎて暴走w)

396 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/14 02:16:51 ID:ti9Pmvyo
リアルで乙

397 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/14 02:18:24 ID:Ae1Ry0W5
このラッシュは・・・なんだ!? このスレに一体なにが起きているんだ!?
超乙可憐!

398 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/02/14 16:34:54 ID:H9dKM/oJ
すげぇよ……。
このスレ、すげぇよ……。

つーことで、今年のバレンタインはお休みさせてもらいますです。
俺の軽くて薄っぺらな台本を貼る勇気はマジでありません。

399 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/14 17:23:56 ID:Ae1Ry0W5
僕なんてフォルダごと削除しようかと思いましたよ・・。 ('A`)
や、割と本気で。 ・・・・やるか?

400 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/14 20:43:22 ID:4S6cmlZI
最後の日まで、あと5日。


……月も眠る真夜中に、俺はぼんやりと天井を見つめ続けていた。
右隣から、春香の規則正しい寝息が聞こえる。時計の短針はすでに三時を指していた。
…………どうすればいい。
俺は38回目の自問自答を繰り返す。
逃げることの出来ない死。それは不確かで、しかし確実に迫ってきている。
「くそっ……」
38回目の愚痴をこぼす。止めることは出来ない。止めようとも思わなかった。
「春香……」
俺は顔を傾ける。春香は頬にくっきりと涙の痕を残し、静かに眠っていた。
いつか、この呼吸が止まる日が来る。
―――その時まで、俺はどうすればいいんだ?
俺は39回目の自問自答をすると同時に、39回目の愚痴をこぼした。
……40回目は無かった。

401 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/14 20:44:31 ID:4S6cmlZI
夜が明けた。
カーテンの隙間から差し込む光が、俺の顔を照らした。ゆっくりと瞼を開ける。
「……はあ」
結局、疲労困憊で眠りに落ちたのが午前四時だ。おそらくはクマが出来ていることだろう。
今は七時だから、三時間しか寝ていないことになる。
ダメだ。やる気が出ない。
全身から力が抜けていくような感覚。俺は完全な無気力状態に陥っていた。
「……休もうかな」
ぽつりと呟き、春香の髪を撫でる。春香は、んっ、と小さな声をもらし、その頬を緩ませた。
やっぱり、俺には迷うことしか出来ない。春香を助けようとあがいて、余計に苦しんでいる。
ならばいっそのこと、春香を見捨てるか?
そんなこと出来るわけが無い。
ああ。そうなんだ。
俺に何か出来るわけが無いんだ―――。
俺は……何も……出来ない……。
「ちくしょう……」

402 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/14 20:46:10 ID:4S6cmlZI
「…………」
「…………」
気まずい朝食。テーブルを挟んでお互い向かい合ったまま、黙々と食べ続けていた。
春香は寝ぼけ眼でベーコンエッグを口に運んでいる。
そういえば春香はオムライスが好きだったっけ。
小さいころ、まだ両親が生きていたころ。春香は母さんのオムライスが大好きだった。
それはとても甘くて、美味しくて。それなのに栄養もきちんと考えてあって。
当時、俺はオムライスがあまり好きではなかった。理由は今でも分からない。
そのせいか、夕食がオムライスになるたびに、ことあるごとに春香に不満をぶつけていた。
春香にとってみればいい迷惑だろう。
いつの間にかオムライス=春香という図式が成り立っていたのだから。
そうだ。
オムライスを作ろう。
母さんのように美味しくは作れないかもしれないけれど。
違う。
ここだ。
母さんのように……美味しいオムライスを作ってみせよう。
「いいや……作ってやる」
勇気の使いどころは、ここなんだ。
「……え?」
春香は目を丸くして、俺の顔をしげしげと見つめた。

403 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/14 20:47:18 ID:4S6cmlZI
「……よし!」
完成したオムライスを前に、俺は一人ガッツポーズをした。
我ながらよく作れたと思う。味こそそっくり同じとは言わないものの、かなり美味しいはずだ。
そろそろ昼食の時間だ。俺はリビングのドアを開けた。
「はる―――か?」
いない。さっきまでは、ここでテレビを見ていたはずなのに。
しばらく室内を見回したあと、ふとテーブルの上に何かが置かれているのを見つけた。
書置きだった。

お兄ちゃんへ。ちょっと出かけてきます。お昼ご飯には帰ってきます。
春香より。

「……もう一時だよな」
俺は時計を見上げた。針は言葉通りの時刻を示している。
「行きますかね」
エプロンを投げ捨て、自転車の鍵を取った。

404 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/14 20:48:32 ID:4S6cmlZI
「―――ここにいたのか、春香」
俺の声に驚いた春香は、びくっ、と体を震わせて振り向いた。
辺りは緑一色。遠くを見ると、緑と青の境界線が伸びていた。
あの堤防だ。
「お兄ちゃん……」
春香はためらいながらも呟き、すぐに俺から目をそらした。
俺はずかずかと春香に歩み寄る。そのまま、わざと大きな動作で手を振り上げた。
「っ!?」
叩かれると思ったのだろう。春香は思わず反射的に肩を縮めた。
「これなんだ?」
想像していた衝撃は現れず、春香の顔が恐る恐る上がっていく。
そして、俺の手に掴まれていた弁当箱を見つける。
「……お弁当箱」
「うーん、ちょっと惜しいな」
がしっ。
「きゃっ!」
頭上に気をとられ、お留守になっていた春香の片手を掴む。
「お、お兄ちゃん?」
「さて、ここでヒント。春香の大好きな食べ物といえば。なんでしょう?」
「は、春香の大好きな……たべ……」
ようやく意図が分かったのだろう。春香はすぐに目の色を変えた。そして予想外の行動。
春香は片手を掴まれたまま、もう片方の手で弁当箱を奪おうと身を乗り出した。
当然、バランスは崩れて―――。

405 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/14 20:49:32 ID:i+xKpVrg
またも
リ ア ル タ イ ム !

406 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/14 20:49:56 ID:4S6cmlZI
「おわっ!」「わわっ!」
悲鳴は見事にハモり、ふたりはもつれ合い、緩やかな堤防をごろごろと転げ落ちていた。
「あぐ、あぐ、あぐ、あぐ……」
衝撃が背中を殴りつける。どうして俺が下のときに段差が来るのだろう?
どすん。
「あぐっ……」
止まった。同じく止まりかけた呼吸を必死で立て直し、目を開けた。
真っ暗だ。……何やら柔らかい感触。―――まさか。
「……あ……」
春香のか細い声。くい、と顔を上げると、春香の真っ赤な顔が目の前を覆っていた。
「春香……ちゃん?あの、もしかして……もしかしなくても……」
「お、おおお、お兄ちゃんのエッチ!!」
ものすごい勢いで飛び跳ねる。しかもちゃっかりと弁当箱を奪っている。
「は、春香の胸に飛びついてくるなんてっ!ばかっ!エッチ!!」
「おいっ!?誰が飛びついたんだよ、誰が!?」
「お兄ちゃんが飛びついてきましたっ!ちょっと嬉しかったんだか―――あ」
「……ほほう」
ぼん、と春香の顔が真っ赤に染まった。
「ち、違うのっ!あの……その……」
「ありがとう」
「……え?」
俺は春香のポケットの包みを指差す。
「チョコだろ、それ?俺のために買ってきてくれたから、こんなに遅くなったんだよな」
「あ…………」

407 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/14 20:51:14 ID:4S6cmlZI
「ありがとう、春香。お返しにそのオムライスやるよ」
「え?で、でも……お返しは、ホワイデーで……」
「ホワイトデーのお返しは、春香の命が欲しい」
思いがけない言葉。
「見ろよ、オムライス。上手く作れたんだぜ。だから、きっと大丈夫さ」
どういう理屈だ。オムライスひとつで人の命が救えるか。
「春香を死なせはしない。もしダメでも、きっと春香を幸せにしてやる」
―――ああ。
「嬉しくて、楽しくて、後悔のない、幸せだったと心から言える喜びを……春香にやる」
救って、みせる。
「だから。一応、ホワイトデーは春香の命が欲しい」
めちゃくちゃだ。でも、完璧なめちゃくちゃだ。
「……うん」
春香は――本当に久しぶりに――にへっ、と微笑んだ。
「わたしの命、お兄ちゃんに預けたっ!」

408 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/14 20:52:44 ID:4S6cmlZI
「お兄ちゃん、よくわたしがここにいるって分かったね」
「お前、遠くまで行けないだろ。だからまずはここかなぁ、と思って来たら、どんぴしゃ」
「あははっ。春香の行動パターン、お兄ちゃんにバレバレだね」
「そうとも。可愛い妹の行動パターンなんてすぐに理解できる」
「えへへ……ありがとう♪」
「ところで、オムライスの味はどう?美味いかな?」
「うん。美味しいよ。お母さんの味そっくり」
「そっか。これからもっと美味くなるから覚悟しとけよ」
「あは♪楽しみだなぁ♪大丈夫?そんなに大きく言っちゃって〜」
「ふふふ。この俺に後悔の文字など無いっ!」
「ほえ?後悔しないの?」
「ああ。反省はしてる、でも後悔はしてない」
「ふわぁ〜……なんかかっこいいね」
「昨日、寝ずに考えたからな」

堤防に腰を並べ、春香はオムライスを、俺はチョコレートを食べる。
ふと空を見上げた。青い、青い空が広がっている―――。
たとえ、救えないとしても。
「はい、あ〜ん♪」
「勘弁してください」
……誇れるだけの、人生を送ろう。


あと、4日。

409 :前スレ931 :05/02/14 20:56:48 ID:4iVAw1gf
同じくリアルタイム!やばいっすよ海中さん…

410 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/14 20:57:34 ID:4S6cmlZI
_| ̄|○ なんだ、ホワイデーって。

バレンタインなので意識してみました……が、大失敗のようですね。
夜は混みそうだから今のうちに貼っておきます。

411 :265 :05/02/14 21:03:51 ID:+wm+1esG
この和やかさと深刻さの混ぜ合わせ方・・・・神だ・・・。

412 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/02/14 21:08:03 ID:H9dKM/oJ
上手だねぇ……。
アンタこそ、神にふさわしいよ……。

413 :前スレ931 :05/02/14 21:13:45 ID:4iVAw1gf
どうしよう…俺のヤツ自粛した方がいいっすかね?
ちょっとバイオレンス入っちゃうんで、海中さんの綺麗な余韻に水差すかも…

414 :海中時計 ◆xRzLN.WsAA :05/02/14 21:20:03 ID:4S6cmlZI
俺にみなさんのSSという名のチョコをください。

俺?もちろん戦死したー。・゚・(ノД`)・゚・。

415 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/02/14 21:24:24 ID:H9dKM/oJ
今回はマジで欠席のつもりだったけど……海中時計様の作品見て気が変わったよ……。
俺も後悔しないように参戦しよう。もう、バッシングでも何でもしなさい。勇気こそ魔法だ!!

前スレ931様のが終わったら、貼りましょうか……。

416 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/14 21:26:27 ID:tF38l1fG
どなたか、ここのSSに合うBGMを作ってくれませんか?
俺の脳内BGMでは限界があるので…

417 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/14 21:28:51 ID:IXRlmSKH
>>416
歌手はKOTOKOがいいな

418 :前スレ931 :05/02/14 21:35:33 ID:4iVAw1gf
>>416
ラルクの「fourth avenue cafe」と「瞳の住人」がここでのマイBGMです。聞くだけで涙腺緩む…
わりとオススメですよー

>>415
次の俺のはホントにスレ汚しになっちゃうかもしれないんです…今日は自粛させて頂きますので
遊星さんの萌えSSを見せてください、お願いします!!

419 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/14 21:36:57 ID:+wm+1esG
ちょうど「Timeless-Mobius Rover-」と言う曲を知っていたり・・・。
良い曲ですよ。

420 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/02/14 21:37:41 ID:H9dKM/oJ
「千奈ちゃん、明日はバレンタインだけど、どうするの?」
「私はやっぱり何か作りたいな……えっと……お兄さんに……」
「そっかぁ。千奈ちゃんはお菓子作れるからなぁー」
「じゃあ、唯奈ちゃんも一緒に作る?」
「えっ?いいの!?……って、言いたいところだけど、遠慮しとくよ。唯奈は自分だけでやりたいんだ」
「ふふっ。唯奈ちゃんはそう言うと思ったよ」
「えへへ。そうだ!!勝負しようよ、千奈ちゃん!!」
「え?勝負?」
「うん。どっちがお兄ちゃんに喜んでもらえるか勝負するの!!」
「どうして?」
「え……?だ、だって、そっちのほうが楽しいじゃん!!」
「ふふっ、そうだね。じゃあ、負けた方はどうするの?」
「うーん、そうだなぁ……じゃ、勝ったほうにクレープを買ってあげるっていうのは?」
「うん。分かったよ」
「じゃあ準備開始だね!!千奈ちゃん、頑張ってね!!」
「うん。唯奈ちゃんも頑張ってね!!」
───────────────────────
[Tina's side]

「えっと……お兄さんは……甘い物好きなのかなぁ……」
好きならば、ミルクチョコやホワイトチョコにしたほうがいいし、
好きじゃないなら、ビターチョコとか、いっそチョコじゃないほうがいい。
「そういえば、私、全然知らないや」
お兄さんは私のお菓子を美味しそうに食べてくれるけど……それだけじゃ、何が好きかなんて分からない。
でも……自分で聞くのは恥ずかしいです……。
「うーん……困ったなぁ……」
「どうした?千奈?」
「えっ!?あっ!?お兄さんっ!?」
えっ!?独り言が聞かれてしまいました!?

421 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/02/14 21:38:43 ID:H9dKM/oJ
どうしましょう!どうしましょう!?
「よう。で、どうしたんだ?なんか困り事か?」
「いっ、いえっ!!そんな、お兄さんに言うほどの事ではっ!!」
あわわ……声が上ずってしまいました……。
「まぁまぁ。遠慮しないで、俺に相談してくれよ。俺に出来る事なら、何でもするからさ」
 バレンタインのチョコはどんなのがいいいですか……?
「そんなこと、聞けるわけありませんよぉ!!」
「えっ!?ちょっと、千奈!?」
頭の中が真っ白になって、顔が熱くなって……
情けない事に、お兄さんの前から逃げ出してしまいました……。
お兄さん、ゴメンなさい!!お兄さんは悪くないんです!!
───────────────────────
[Yuna's side]

『そんなこと、聞けるわけありませんよぉ!!』
「ん?千奈ちゃん?」
そんな声が聞こえたと思ったら、唯奈の隣を千奈ちゃんが凄いスピードで走っていった。
「すごぉい!!千奈ちゃん、唯奈より速いかもー!!」
でも……大人しい千奈ちゃんがあんなことになるなんて……何があったのかな?
そんなことを考えていると、ドアからお兄ちゃんが不安そうに顔を出した。
「えっと……千奈は?」
「すごいスピードで二階に行ったけど……お兄ちゃん、千奈ちゃんに変な事したの?」
「いや……そんなつもりはないんだけど……ただ、困った事があるなら相談してくれって言っただけで……」
「ふぅん……」
「も、もしかして、俺なんかマズいことしたのか……?」
お兄ちゃんがオロオロしてる……初めて見たよ。
「唯奈は、大丈夫だと思うけどなぁ」

422 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/02/14 21:39:51 ID:H9dKM/oJ
「そ、そうか……?」
「うん。と・こ・ろ・でぇ……お兄ちゃんの誕生日って2月10日だったよね?」
「あ、あぁ……」
「じゃあ、みずがめ座?」
「そうなるな」
「って、ことは……わぁーい!!ふたご座と相性良いみたいー!!」
「相性……。え、えっと……唯奈はふたご座なのか?」
「うん。千奈ちゃんもふたご座だよ」
「はは。そりゃそうだ」
「ふぇ?何で分かるの?私たちが双子だから?」
もしかして、双子の人はみんなふたご座なのかなぁ……?
もし、そうだったらスゴいなぁ……お兄ちゃん物知りー!!
「ん……?そりゃ、双子は普通誕生日同じだろ?」
「あ……そ、そうだよね!!誕生日同じだもんね!!あはははは……」
「ああ……」
ありゃ……お兄ちゃんがヒいてる……。
わ、話題変えなきゃ!!
「え、えーと……そうだ、お兄ちゃんの血液型を当ててあげる!!」
「あ、ああ……。やってみな」
「えっと……お兄ちゃんは……A型でしょ!?」
「ははっ。よく言われるけど、俺はBだよ」
「へぇ……意外……でも、相性はいい感じだね」
「また相性……。ま、つまり当たんないんだって、占いなんて」
「うん……分かってるけど……」
「でもまぁ、みんなでワイワイやるぶんには楽しいよな?」
「うん!」
「でも、血液型だけで人を判断したらダメなんだぞ」
「はーい!!」
───────────────────────

423 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/02/14 21:40:53 ID:H9dKM/oJ
[Tina's side] part2

「はぁ……どうしましょう……」
ちょっと頭がスッキリしてきました。
どうして、唯奈ちゃんみたいに出来ないんでしょうか……。
私も唯奈ちゃんみたいに積極的なら……今日みたいにお兄さんを困らせる事なんてなかったのに……。
「はぁ……」
お兄さん……本当にゴメンなさい……。
「あっ!!」
そ、そうです!!
いつまでも落ち込んでちゃダメなんですよね!!私も唯奈ちゃんみたいにならないと!!
で、でも!!お兄さんの好みが分からないし……。
何かいいアイデアは……
…………
……そ、そうです!!
───────────────────────
[Yuna's side] part2

「えっと……お兄ちゃんはKタイプか……」
コレは、『あなたのカレは何タイプ!?バレンタイン必勝チャート 20タイプ!!』
友達が当たるって言ってたから借りてきたけど……20タイプは多いと思うなぁ……。
そうそう。えっとKタイプの人は……。

    [Kタイプ]
真面目で面倒見のいいあなたのカレ。融通が利かず頭は固め。恋愛にはちょっと疎い!?
あなたに対しては優しくしてくれるのですが、それは持ち前の正義感から来るモノ。
カレが優しくしてくれるからと言って、カレにベッタリ甘えてしまってはいい関係になるのは難しいです。
かといって、世話を焼きすぎると、カレもあなたのことを避けがちになってしまいます。
ちょっと控えめな態度で接し、カレのパートナー的な関係から始めるのがベスト!?
そんなカレへのプレゼントは、手作りよりも売り物の方がベター。
奇抜な物よりも、ベーシックなモノのほうが良さそうです。


424 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/02/14 21:42:27 ID:H9dKM/oJ
「唯奈との相性は60%か……あっ!!千奈ちゃん99%だって!!すごーい!!」
なるほど……お兄ちゃんのパートナーか……。
そういえば、お兄ちゃんと千奈ちゃん、たまに、二人でマジメな話してるしなぁ……。
私とはどうでもいいような話ばっかり……。
お兄ちゃんには千奈ちゃんみたいなコがいいのかなぁ……。
ううん!!お兄ちゃんだって『当たんないんだって、占いなんて』って言ってたし、
まだ唯奈でも大丈夫だよねっ!?バレンタインで頑張れば、大丈夫だよね!?
「よし、そうと決まれば、チョコ買いに行くぞー!!」
───────────────────────
──二月十四日。夜。我が家のリビングにて。
「真司君。はい、コレ」
俺の義母、唯奈千奈の母、恵さんが何かの箱を俺に手渡す。
「え?何ですか?」
「チョコだけど……こんなオバさんのチョコはいらない?」
「あ、今日はバレンタインだったんですね。ありがとうございます」
「えっ、知らなかったの!?」
「えぇ、まぁ……」
「学校の娘たちから貰わなかった?真司君モテそうなのに」
「ま、理系のクラスですしね。女子自体が少なくて」
「そうなの?大変なのね……私が最初でよかったわ……」
「最初?」
「いやっ、こっちの話……ところで、私はお邪魔なのかしらね?」
「邪魔?なんでです?」
「あれ……」
恵さんが指差した先を見ると……ドアのガラス部分にベッタリ張り付いている唯奈と千奈が……。
「な、何ですか……アレは……」
「さぁ……でも真司君に用みたいよ。じゃあ、私は失礼するわ」
そう言って、恵さんは二人が張り付いているドアに向かう。
怒られると思ったのか、磁石が反発するようにサッとドアから飛び退く二人。
しかし、恵さんは二人に何か囁いて、どこかへ行ってしまう。

425 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/02/14 21:43:29 ID:H9dKM/oJ
代わりにリビングに流れ込んでくる二人。
「お兄ちゃん!!」
「お……お兄さん!」
「どうした?二人して?」
「お兄ちゃん、今日は何の日か知ってる?」
「ああ、さっき恵さんに教えてもらった」
「えっと……じゃあ……私たちがここに来た訳……分かりますよね?」
「あー……チョコをくれるため……って言ったら自惚れてるか?」
「ううん。大正解だよ」
「まずは私から……」
千奈は精一杯手を伸ばして俺に大きめの箱を差し出した。
「私、お兄さんの好みが分からなかったんですけど……一応、色々な味のものを作って……」
「うん」
「えっと……!!お口に合うかどうか分かりませんけど……一生懸命作りましたからっ!!」
「あぁ。ありがとう。千奈」
俺は千奈の肩をポンポンと軽く叩く。
千奈は一気に緊張が解けたようで、優しく微笑んだ。
「次は唯奈ね……はい、コレ、唯奈からのチョコだよ」
唯奈が小さめの深緑色の箱を俺に差し出した。
「私は不器用だから、千奈ちゃんみたいに手作りなんて出来ないけど……お兄ちゃんのために頑張って選んだんだよ」
唯奈は珍しく、控えめにそう言った。
「あとは……えっと……お兄ちゃん、前にこの色が好きって言ってたから」
「うん。嬉しいよ、唯奈」
「えへへ……」
唯奈は薄く頬を紅潮させて、照れくさそうに笑う。
「二人ともホントにありがとう。バレンタインなんて、俺には関係ない物だと思ってたから、嬉しいよ」
「えへへ……」
「へへ……」
で、俺はそこで立ち去ろうとしたら……。

426 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/02/14 21:44:30 ID:H9dKM/oJ
「お兄ちゃん!!」
「お兄さん」
「ん?今度は何?」
「お兄ちゃん、千奈ちゃんと唯奈、どっちが嬉しかった!?」
「遠慮しないで言ってくださいね」
「……は?」
「唯奈と千奈ちゃんのどっちのチョコがお兄ちゃんに喜んでもらえるのか勝負してるの!!」
「だから、お兄さんが決めて下さい」
「……いや、二人とも良かったってのはダメ?」
「ダメ!!クレープが懸かってるんだから!!」
「はい!」
あ、なるほど。負けたほうがクレープを奢るとか、そんな感じね……。
しかし、まぁ……妹たちは仲が良いもんだと思ってたから、勝負ってのはなぁ……。
「なぁ……その勝負がなかったら、俺にチョコくれなかったのか?」
「「えっ……」」
「あ……俺、また自惚れてるな……気にしないでくれ」
二人の肩を叩いて、俺はその場から離れようとする。
「そんなことないよ……」
唯奈が呟いた。
「どっちの話だ?」
「どっちもです」
今度は千奈が言う。

427 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/02/14 21:45:32 ID:H9dKM/oJ
「唯奈は……お兄ちゃんに喜んで欲しかったから……」
「私も……です」
「二人とも、それだけ言えれば、俺の言いたい事は分かるだろ?」
俺の問いかけに、二人は同時にうなずいた。
「ま、どうしても白黒つけたいって言うのなら……俺の負けだね」
「「えっ……」」
「明日、クレープ食いに行こう。三人で。俺が奢るからさ」
「お兄ちゃん……」
「お兄さん……」
「仲良きことは美しきかな……だな」
「うん。お兄ちゃん……好きだよ」
「私も……すき……」

また一つ、楽しみにするイベントが増えた。
全く、いい妹たちだよ……。
───────────────────────
ホント薄っぺらだね……余韻ブチ壊し。
つーことで、今年のバレンタイン台本は、双子。
こんな台本でも、俺は、やっと満足する双子モノが書けたと思ってるんだけど、どうだろう……。

あと、[Tina]はワザとやってます。
[China]じゃ、俺にはチャイナとしか読めないからねぇ……

428 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/02/14 21:52:23 ID:H9dKM/oJ
二月十四日。バレンタインですよ。
「ねぇ、兄さん。今日はバレンタインですよ?」
学校への道を妹の未来と一緒に歩いている。
「今年もチョコ、作りますからね?」
「あぁ、楽しみだ」
「兄さんは、どんなのが好きですか?」
「そうだなぁ……」
ちょっとからかってやるかな。
「未来の体にチョコ塗って……んで、俺が隅から隅まで味わわせてもらうと。どう?」
「だ、ダメに決まってるじゃないですか!!何言ってるんですか!!」
公衆の面前でそんな事を言われて、未来ちゃんの顔も紅さ三割増し。やっぱり可愛い!!
「でも、未来はチョコも美味いからな。何でもいいよ」
「ありがとうございます。じゃあ、頑張って作りますね?」
「ああ、楽しみだ。……じゃ、今年はチョコ全部断っちゃおうかな!!」
「だ、ダメですよ、そんなの!!」
意外だな……喜ぶと思ったのに……。
「何で?」
「気持ち……分かりますから……」
「気持ち……?」
「はい。その中には、本命の人もいるわけですから……その人の勇気とかを無駄にするのって酷いと思うんです……」
「んー。俺にはその辺はよく分からんなぁ……」
「でも……その人のこと大切にしてほしいんです……」
「ああ。分かったよ。未来がそこまで言うなら」
「はい!ありがとうございます!!」
そんな感じで、仲睦まじく歩いていると……

429 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/02/14 21:53:28 ID:H9dKM/oJ
「よ、未来ちゃん。おはよ」
何者かが後ろから未来に声をかける。
「あっ、おはようございます」
未来の声が聞こえたかどうか知らんが、その声の主は自転車であっという間に俺たちを追い抜いてしまった。
「で……誰?」
「クラスの人ですね」
「ほぅ……しかし、相当未来に期待してる感じだな……」
「期待って、何ですか?」
「チョコに決まってるだろ?アイツにあげるのか?」
「あ、あげるわけないじゃないですか!!大体、話したことだってそんなにないですし……」
「義理も?」
「はい……そういえば、聞いてください!!あの人、お弁当がいつも美味しそうなんですよ!!」
「べ、弁当……?」
「はい!!冷凍食品とかあんまりないし、彩りもキレイですし!!きっと、お母さんが頑張ってるんですね!!」
ああ、なるほど。
多分、未来はあの彼の弁当がついつい気になっちゃうんだろう。
そして、彼は未来が自分に興味があると勘違いして……。
俺が言うのも難だが、あの少年に幸有れ!!
「ま、未来ちゃんの本命チョコは俺のものだしね」
「もう……兄さんったら……」
そう呟いて、顔を赤くした未来は少しだけ歩く速度を速めた。
───────────────────────
今日は一日があっと言う間だった。
気付いてみればもう夕方。周りも薄暗くなった。
「ただいま」
家の中が甘い匂いで満ちている。未来がチョコを溶かしているのかな……。

430 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/02/14 21:54:30 ID:H9dKM/oJ
「あっ、お帰りなさい。兄さん」
エプロン姿の未来が玄関に出てきて言う。
「ああ、ただいま」
「あっ、兄さん。丁度良かった!!ご飯できましたよ」
「ああ。着替えてから行く」
「はい!早く来てくださいね!!」
未来がそういうので、俺は手っ取り早く着替えを済ませキッチンに行く。
「へぇ……チーズフォンデュか……美味そうだな」
「ふふっ。違いますよ、兄さん」
「違うって?何が?」
「食べてみれば分かりますって」
未来に言われるがままに、金串をパンに刺し、チーズに浸して口に運ぶ。
「何コレ!?甘っ!?」
「ホワイトチョコですよ。って、こんなに匂いがしてるじゃないですか……」
「ま、そりゃそうなんだが……思い込みって怖いな」
「ふふっ、そうですね。それで……美味しいですか、兄さん?」
「うん。美味いよ、未来」
「ありがとうございます。……でも、これデザートのつもりなんですけどね」
「ま、流石にこれメインじゃ飯は食えないよな……」
「はい。ご飯、今持ってきますから待っててくださいね」
「ああ、頼む」
「今日は兄さんの好きなもの作ったんですよ?」
「へぇ、何?」
「じゃーん!!兄さんの大好きなピザです!」
「おぉ!未来が作ったのか!?」
「はい。生地からソースまで全部、未来特製ですよ!」
「ほぅ。じゃあ、早速食べようかな」
「はい。熱いですから、気をつけてくださいね」
───────────────────────

431 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/02/14 21:55:31 ID:H9dKM/oJ
「ごちそうさま」
「はい。お粗末さまでした」
まぁ、未来の料理について語る事はないだろう。とにかく見事の一言であった。
例のデザートも、ホワイトチョコだけでなく普通の黒い(?)チョコも出てきて、なかなか美味しかった。
「さ……課題でもやるか」
ドアに手をかけた俺を未来が呼び止めた。
「あ、あの……ちょっといいですか?」
「ああ。いいけど?」
「すいません……。あの……兄さん言いましたよね……?えっと……」
何を言うつもりかは知らんが、未来は顔を真っ赤にして俯いている。
「わ、私の体にチョコ塗って食べたいって……」
「ま、まぁ……言った事は言ったけど……」
何!?する気なの!?チョコレートフォンデュはその伏線!?
「ちょ、ちょっと未来ちゃん!?」
「えっと……」
溶けたチョコが入った鍋を掴み、その白い人差し指を褐色の液体で染める。
そして……
「み、未来……?」
口の中が甘くて暖かい……。
気付くと、俺は未来の指を口に含んでいた……。
「えっと……私は……兄さんのためなら……何でもしてあげたいけど……」
「み、みく……?」
俺は驚き、間抜けな声を出してしまう。
「私には……これが精一杯です……でも……こんな私でもいいなら……」
未来の途切れ途切れの言葉。……そっか、コレが勇気ですか?未来ちゃん。
「ったく……お前は冗談が通じねぇヤツだな!!」
俺は未来を抱き寄せ、頭をクシャクシャに撫でる。
「可愛いぞ、このヤロー!!」
「に、兄さん……や、やめてくださいよぉ!!」
微笑みながら、くすぐったそうに体をよじらせる未来。

432 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/02/14 21:56:33 ID:H9dKM/oJ
「未来……最高だったよ。ありがとな」
「ふふっ、兄さん。まだ早いですよ」
「えっ?」
「えっと……はい……」
未来が小さな箱を差し出す。
「何、コレ?」
「チョコレートです……」
「何で?」
「えっと……私も……他の女の子たちの仲間に入れて欲しかったから……」
今の未来の様子を改めて言うこともないだろう。
「私も……ドキドキしたかったから……」
そう。いつも通りの未来なのだ。
何度見てもあまりに可愛すぎて……
「じゃ、俺の部屋でもっとドキドキしようか!?」
つい意地悪してしまう。
「わ!!に、兄さん!?な、何言ってるんですか!!」
「はははっ!!冗談だって」
「もう……兄さんってば……」

ラブラブな雰囲気ってのも理想と言えば理想なんだが……。
バカ言って、突っ込まれての生活も捨てたモンじゃないと思うよ、俺は。
───────────────────────
なんつって、今年はまだまだ終わらないよ。
二作目は未来。
なりきりは散々だったけど、台本の方はどうだろうか……。

433 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/14 21:58:05 ID:i+xKpVrg
またも
リアルタイム!!!

GJ!!最高です!!


未来ちゃん最高!
双子も最高!

434 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/02/14 22:00:01 ID:H9dKM/oJ
今日は二月十四日。バレンタイン神父撲殺記念日です。
……いや、別に僻んでる訳じゃないんだけど、俺、三上修二はやっぱりこの日は好きじゃない。
何故かこの日はクラスみんながソワソワしていて、俺だけ取り残された気分になる。
そして……そのソワソワは、今年は学校の中だけの物ではなかった。
「おにぃちゃーん!!」
パジャマ姿の沙耶が俺のベッドに飛び込んでくる。
「うぉっ!?」
間一髪、俺は沙耶のフライングボディープレスを回避。スプリングがきしみ、沙耶はその場でバウンドした。
「おにぃちゃん、おはよー!!」
俺の隣で寝転がってる沙耶が俺に能天気な笑顔を向ける。
「沙耶……俺を永遠の眠りに就かせる気……?」
逆に、悪気はないとはいえ朝っぱらから殺されかけた俺は機嫌が悪い。
「ううん。おにぃちゃんを起こしに来たんだよー!!」
テンション高ぇ……。
「……で、何?」
「おにぃちゃん、知ってるー!?」
「何を?」
「今日はバレンタインなんだよー!!」
……は?
それは、今日がバレンタイン、つまり、二月十四日であることを知っているのかと聞いているのか?
それとも、二月十四日にバレンタインと言う行事があることを知っているのかと聞いているのか?
……ま、どっちにしろイエスだが。
「あぁ……一応……」
「えへへ。おにぃちゃん、サヤのチョコ欲しい?」
「学校で一杯貰うから要らない……」
あっ……マズいっ……!!

435 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/02/14 22:01:03 ID:H9dKM/oJ
沙耶に冗談は通じない。
全てを本気にして、今も涙が臨界点に達しようとしている。
「あ……そ、そっか……ご、ゴメンなさい……」
「沙ー耶ー!!冗談だってば!!俺、沙耶のチョコが欲しいなぁ!!」
「おにぃちゃん……」
「いや、実は俺、チョコ大好きなんだよ!!」
いや、心にもないことを言ってるわけじゃないけど……なんか白々しいのは何でだろ……。
「わぁーい!!おにぃちゃん、サヤのチョコ欲しいのー!?」
「ああ。下さい。是非下さい」
「わぁーい!!やったやったぁー!!」
すさまじいテンションでベッドの上で飛び跳ねる沙耶……。
まだ眠い頭には響くってば……。
「沙耶……飯でも食うか?」
「うん。食べるー!!」
俺は沙耶の暴走を止めるべく、食事と言う手段を用いて、沈静化を試みた。
……今日は、もしかしたら頭痛薬が要るかもしれない……。
───────────────────────
もう夕方だが……学校での出来事を特に言う必要はないと思う。
まぁ、敢えて要約するなら、
『三上クン、これあげるー!!』とか『しゅーちゃん!はい、チョコ!!』とか……。
……まぁ、つまり、俺にチョコをくれるのは女友達ばっかりだ。義理100%。
だからと言って、どうしたということはないんだがな。
しかし、まぁ……俺は特別甘い物が好きなわけでもないので、正直、チョコなどいらないのだが、
知らない人からの本命チョコよりも、友人からの義理チョコのほうが千倍は断りにくいと俺は思う。
まぁ……沙耶からのチョコが一番断りにくいのだが。
……そんなことを考えながら、リビングへ続く扉の前で、俺はちょっと身構える。
それなら、別にリビングに入る必要などないだろう。と思うかもしれないが……甘い!!

436 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/02/14 22:02:07 ID:H9dKM/oJ
朝の沙耶を見れば分かるように、今日のテンションはかなりのものだ。
もしかしたら深刻なダメージを受ける可能性もある。
しかし、一回顔を会わせておけば、その後しばらくはリスクは少なくなる。
つーことで、最初の一回を身構えて受ける事で、後々のダメージを最小限に抑えられるのだ!!
……って言うのは、話が飛躍しすぎかもしれないが。
「ふぅ……」
俺は大きく深呼吸して覚悟を決めた。
すると……
ガッシャーン!!
「わわわぁっ!!」
ドアの向こうの更に向こう。キッチンから沙耶の声がした。
「わわわっ!!こぼれちゃったよぅ!!」
沙耶がなんかやってるみたいだな……。
助けてあげてもいいけど……このまま様子を見ていてもいいような気がする。
「はわっ!!床が水浸しだよぉ!!」
……めんどぃ。
もうちょっとピンチになってからでもいいか……。
「ひゃっ!!」
まだ余裕だな。
「きゃん!!」
まだまだ。
「くぅーん……」
そろそろか。
俺は静かにドアを開け、わざと足音を立てながらキッチンに向かう。
「ただいま、沙耶」
「はわ……おかえりなさい……」
沙耶はグチャグチャになったキッチンの床にペタンと座っていた。
「ずいぶん汚れてるな……。ほれ、立ちな」
俺は手を差し出して、沙耶を立たせてやる。
「うん……」

437 :遊星より愛を込めて ◆isG/JvRidQ :05/02/14 22:03:17 ID:H9dKM/oJ
朝のノリはどこへやら。沙耶はすっかり気を落としていた。
「どうしたんだよ、沙耶?」
「サヤ……おにぃちゃんにチョコを作ろうと思ったのに……失敗……しちゃった……」
「まったく……」
今にも泣き出しそうな沙耶の頭にポンと手を置く。
「大丈夫?ケガはないか?」
「うん……でも……」
「いいんだよ、沙耶が無事なら」
俺は沙耶の頭を優しく撫でる。居心地がよさそうに、涙目ながらも、沙耶は次第に俺に身を寄せて来た。
そこで、ふと調理台の上に目をやると……
「あ、美味そうなチョコがあるじゃないか。これ、俺の?」
「わわっ!!それは、ダメだよぉ!!」
「何で?」
「だって……変になっちゃったから……」
まぁ、言われてみると、ハート型にちょっと突起物がついたような不思議な形をしてるし、
ホワイトチョコで書いてある字も一応読めるが、かなり下手糞だ。
「でも、沙耶が一生懸命作ったんだろ?嬉しいよ」
「おにぃちゃん……」
「後で、二人で一緒に食べような?」
「うん!!」
沙耶のとても明るい笑顔は、俺にまで微笑を浮かべさせた。
「おにぃちゃん!!サヤね、おにぃちゃんのこと大好きだよっ!!」
「そっか」
「ねぇねぇ!!おにぃちゃんは……サヤのこと……好き……?」
「そうだなぁ……嫌いじゃないかな」
「ホント!?わーい!!わーい!!」

……出来れば、沙耶にはいつまでもこの純真さを持ち続けてほしいもんだな。
───────────────────────
バレンタイン、最後の妹は沙耶。マジで疲れた……。
文句なら何でも聞くよ。今回はそれに値する事をしたからね。なんなら、このトリップを晒してもいいけど。

438 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/14 22:03:21 ID:IXRlmSKH
沙耶キタ−−(゜∀゜)−−−−−−−−−−−−!!

439 :名無しくん、、、好きです。。。 :05/02/14 22:06:46 ID:DHw18aLu
も、萌え死ぬ…orz

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