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[第二弾]妹に言われたいセリフ

814 :712 :03/02/14 06:22 ID:???
NO.8氏、Masked Rider Moe氏の作品の余韻に浸っていたい人、忙しい人、イライラしている人。
上記の方は迷わずここから先7レス程飛ばしてください(w

二月十四日。チョコがどうこうと騒がしい日だが…俺はあまり好きではなかった。
「ただいま…」
学校から帰ってきた俺を妹が迎えた。
「おかえり〜。ねぇねぇ、バレンタインのチョコ、いくつ貰った〜?」
「何でお前がそんな事を気にするんだ?」
俺は家の中に入り、着替えをしながら妹に話しかける。
「何でもいいじゃない♪それよりいくつ〜?」
「ゼロだよ、一個も貰ってない」
「ホントに〜?」
「こんな嘘ついて何になるっていうんだ…」
「そうか…ウチのお兄ちゃんは義理チョコも貰えないのか…」
「貰えないんじゃないぞ、妹よ。くれるっていう奴は何人かいたんだが全部キッパリ断った」
「え〜?それは可哀想だよぉ〜」
「あのなぁ…俺の学校はチョコのプレゼントは禁止しているんだぞ?
 望んでもないのに同罪にされたら、俺の方が可哀想だ」
「…もしかしてお兄ちゃん、機嫌悪いね?」
「悪いよ。ったく…バレンタインなんてチョコで男を釣るようなモンだろ?一体何が楽しいのか…」
「解釈が歪んでるね…あ、そうだ!まだお兄ちゃんにチョコあげてなかったよね?ちょっと待ってて♪」
俺は何だか恥ずかしくなって、この場から逃げようとドアを開けた。
「ちょっと、お兄ちゃん!どこ行くの〜?」
妹は俺を逃がしはしない。すぐさま俺を呼び止めた。
「散歩だ…」
「あ〜、私も行く〜」
そそくさと家を後にする俺の後を、妹がトテトテとついてきた。
俺は困って、難しそうな顔をするだけだった。

815 :712 :03/02/14 06:22 ID:???
人気の無い道を並んで歩く俺と妹。妹は俺の隣でピョコピョコ跳ねている。
「ええい、鬱陶しい!跳ねるな!」
「だって嬉しいんだも〜ん♪」
「何が…?」
「だって…お兄ちゃんと一緒に歩いてるんだよ?嬉しいに決まってるじゃない♪」
「俺は…恥ずかしいがな…」
「誰も見てないんだよ〜?恥ずかしがることは無いんじゃないのかな〜?」
「まぁ…それはそうなんだが…」
「それに…今なら何しても誰にも見られないよ♪」
「俺が前に何するって言うんだよ?」
「手を繋いでも、腕を組んでも、キスしちゃっても、押し倒してもいいんだよ〜?」
「押し倒す…って止めろよ、そういう危ない発言は…」
「誰も聞いてないからいいんだよ〜。ねぇ、お兄ちゃん、まずは手を繋ごうよ♪」
「まずは…ってどういう意味だ!どこまで行く気だ!?」
「んふふ〜それはお兄ちゃん次第ね〜。さ、手を繋ご〜♪」
妹は歩きながら手を差し出した。
「手を繋ぐだけとはいえ…路上でイチャつくのは迷惑だろ」
…以前、街の真ん中で手を繋いだことは…忘れたことにしよう。
「…そんなに…私のこと…嫌い…なの…?」
妹は上目遣いで俺に問う。この顔は…俺にとって反則だった。
「いっいや…お前自身に恨みは無いのだが…」
「じゃあ…どうして…?」
「分かったよ!しょうがねぇな!」
俺は奪い取るように妹の手を掴む。
「お兄ちゃん…ありがと♪」
俺の顔を見て微笑む妹。戸惑いながらも微笑を返す俺。
妹が俺の手を強く握り締めていた。

816 :712 :03/02/14 06:22 ID:???
「まいったな…」
玄関の前に着いた俺はあることに気が付いた。
「どうしたの…?」
妹が不安そうに尋ねる。
「いや…そういえば晩飯の準備をして無かったなって思って…」
俺の両親は出張中で、いつ帰ってくるのかも分からない。
とにかく、家に俺たちしかいないから、俺たちは当番で家事をすることになっている。
ただし当番と言っても『お前だって時々はやってもらうぞ』程度の意味しかなく、
今現在、ほとんどの家事、特に料理は俺がやっている。
「今から作っても、我慢できるか?」
「その心配はいらないよ、お兄ちゃん♪実はもうご飯は出来てるんだよ♪」
「お前が…作ったのか…?」
「何よ〜、そんなに嫌そうな顔をしなくてもいいじゃない!」
これは別に妹の料理が下手というわけではない。ただ…奇抜なアイデアに走りたがるのが問題だった。
「俺は…味噌汁ラーメンは喰いたくないぞ…」
「え…?でも美味しかったでしょ?」

『味噌汁ラーメン』…妹が作った料理の一つで、味噌汁の中に麺を入れるという危険な料理のことである

「『美味い』『不味い』は問題じゃない。あれは『不味そう』だった…。まぁ、美味くなかったがな…」
「そうかなぁ…」
「豆腐が浮いたラーメンを食えって言うほうが間違ってるだろ!」
「でも…今日のはきっと成功してるよ♪」
「なら…見せてもらおうか…」
「お兄ちゃん、きっとビックリしちゃうよ〜♪」
「悪い意味でビックリしないといいがな…」
「ん?何か言った?」
「別に…」
「ま、いっか…一名様ご案内〜♪」
妹に案内されるままに、俺はキッチンへと向かった。

817 :712 :03/02/14 06:22 ID:???
「うわぁ…凄ぇ…」
思わず口からそんな言葉が漏れた。
「エヘヘ、凄いでしょ〜?」
「凄い。ある意味凄い」
机の上に並べられていたのはこれでもかと言わんばかりのハート型の食べ物。
ハート型の目玉焼き、ハート型のコロッケ、ハート型に盛られたご飯、それにかけられたカレー。
「驚いたでしょ?」
妹が俺の腕を抱いて聞いた。
「ああ…何よりお前が食えそうなものを作ったことに驚いた」
「お兄ちゃ、ヒドイよ〜」
「まぁ、いいや。とにかく喰うか…」
「うん♪いっぱい食べてね♪」
と俺はいつもの席に座る。が、俺が食べ始めようと思った瞬間、あることに気が付いた。
「スプーンとフォークが無いぞ…」
「仕方ないな〜、私が食べさせてあげるよ〜。あ〜んして〜♪」
スプーンを俺のほうに突き出す妹。……謀ったな!
俺は立ち上がって、スプーンとフォークを取りに行こうとする。
「ちょっとお兄ちゃん。どこに行くの〜?」
「決まってるだろ。スプーンを取りにだ」
「お食事中に席を立っちゃいけないんだよ〜。だからコレ食べて〜♥」
と、また腕を突き出す妹。
「…分かったよ…仕方ねぇな!」
俺は口を開ける。
「あ〜ん♥」
妹は手を精一杯伸ばして、俺の口の中にスプーンを突っ込んだ。
「どう?美味しい?」
「ああ…美味いよ…」
「ありがとう、お兄ちゃん♪」
妹はそう言って、ニッコリと笑った。


818 :712 :03/02/14 06:23 ID:???
「ふぅ…ご馳走様でした…っと」
どうも俺は意志が弱いと言うか雰囲気に呑まれやすいと言うか…なんだかんだでそのまま食べ続けていた。
「お兄ちゃん…」
「ん?」
「はい…チョコ…」
妹は俺に何かの箱を差し出した。
「猪口?俺は未成年だから酒は飲まんぞ」
「そうじゃなくて、チョコレートだよ!」
「ああ、ありがとう…」
「じゃあ、ちゃんと渡したからね!」
妹はそう言って逃げるように部屋の外に出て行ってしまった。
俺は呆然と妹から貰った箱を眺めた。
「ん…何かついてるな…」
それはピンク色の封筒に入った手紙。
俺は開けて中を読む

『お兄ちゃんへ。 
 お兄ちゃん、今日はバレンタインデーだよ♪だからお兄ちゃんに愛のプレゼント〜♥

 時々イジワルで、怒りんぼで、ちょっと面白くないけど…
 カッコよくて、頭が良くて、優しい…私はそんなお兄ちゃんが…大好きだよ。
 
 お兄ちゃんは『そんなのくだらない』って思うかもしれないけど、
 今日だけはワガママな妹のお相手をしてくれると嬉しいです。
                                 
 これからも二人一緒でいようね♥ 出来損ないの妹より』

丸みを帯びた字で書かれた手紙。
「アイツ…手紙とは言え、よくこんな恥ずかしいこと書けるよな…」
俺は顔を赤くして、ドアノブを掴んだ。

819 :712 :03/02/14 06:23 ID:???
ドアを開けると妹がすぐ向こうに立っていた。妹はイタズラっぽい笑みを浮かべて俺に聞く。
「どう?チョコは喜んでもらえた?」
「その…悪いな…飯まで作ってもらって…その上チョコまで貰えるなんて…」
「いいんだよ♪気にしないで〜」
「でも…俺も何か礼を…」
俺がそこまで言うと、妹が突然俺の頬をつねった。
「何しやがる!」
「お兄ちゃん、そうやって『ぎぶあんどていく』で考えるのはよくないよ〜。
 私はお兄ちゃんのために作ったんだから、お兄ちゃんが喜んでくれれば私はそれでいいんだよ♥」
「そっか…でもホワイトデーにはしっかり受け取ってもらうからな」
「うん♪楽しみにしてるね♥」
「ああ…期待してろよ〜」
俺は妹の頭をそっと撫でてみた。嬉しそうに目を細める妹。
「ねぇ…私のお願い聞いてくれる?」
妹が俺の手をギュッと掴んで、俺を見上げる。
「内容にも因る…」
「今日だけは…この手を離さないで欲しいな♥」
「今日だけ…って寝る時もか?…お前…俺だって男だということを忘れてないか?」
「う〜ん、それなら胸を触るまでなら許しますよ〜♪お買い得だと思うけどなぁ〜♪」
「くだらねぇ…却下に決まってんだろ」
「イヤだよ〜。今日はもう離さないんだから〜♥」
そう言って俺の腕に抱きつく妹。
「それじゃ、全然『お願い』じゃないだろうが…!」
俺は呆れたような、諦めたような顔をして妹の顔を見て、ドキッとした。
「なんだか…一瞬、お前が可愛く見えたよ…」
「失礼な〜、私はいつもカワイイよ〜」
「ああ…そうかもな…」
「どうしちゃったの?今日のお兄ちゃんなんかヘン…。でも、ありがと!お兄ちゃん大好き♥」

…今日だけは、俺の嫌いな『愛』や『恋』なんて言葉も信じられるような気がする。
確かに…妹のチョコには愛が込められていて、それが今日の俺を優しくしているのだから…

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0ch BBS 2004-10-30